船舶および船舶推進ユニット
【課題】船内への水の進入を防止でき、高出力の電動モータを搭載できる船舶および船舶推進ユニットを提供すること。
【解決手段】船舶は、船体2と、船体に取り付けられたジェットポンプ31と、ジェットポンプを駆動する電動モータ30とを含む。ジェットポンプは、吸水口41と、吸水口より後方に配置された噴射口42と、吸水口と噴射口とを接続する流路43とを形成している。ジェットポンプは、吸水口から吸い込んだ水を噴射口から噴射する。ジェットポンプは、船体の外に配置されており、電動モータは、船体とジェットポンプとの間に配置されている。
【解決手段】船舶は、船体2と、船体に取り付けられたジェットポンプ31と、ジェットポンプを駆動する電動モータ30とを含む。ジェットポンプは、吸水口41と、吸水口より後方に配置された噴射口42と、吸水口と噴射口とを接続する流路43とを形成している。ジェットポンプは、吸水口から吸い込んだ水を噴射口から噴射する。ジェットポンプは、船体の外に配置されており、電動モータは、船体とジェットポンプとの間に配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ジェットポンプを備える船舶、およびジェットポンプを備える電動式の船舶推進ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ジェットポンプを備えるジェット推進式の船舶が知られている。特許文献1に記載の船舶(第1船舶および第2船舶)は、ジェットポンプと、ジェットポンプを駆動する電動モータとを備えている。
第1船舶では、ジェットポンプの一部(ダクト)が、船体と一体であり、電動モータが、船体内に配置されている。ジェットポンプと電動モータとは、船体を貫通するドライブシャフトによって連結されている。
【0003】
一方、第2船舶では、電動モータが、ジェットポンプの流路に配置されており、流路内でインペラに連結されている。電動モータは、流路に配置された軸受ケース内に収容されている。ジェットポンプの一部(ダクト)は、船体と一体である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−362488号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
このように、前述の第1船舶では、電動モータが船体内に配置されているので、電動モータとドライブシャフトとを連結する作業を船内で行う必要がある。さらに、ドライブシャフトが挿入される貫通孔が船体に形成されているので、船内への水の進入を防止するために、貫通孔の内周面とドライブシャフトとの間を確実にシールする必要がある。
一方、前述の第2船舶では、電動モータが、ジェットポンプの内部に配置されており、貫通孔が船体に形成されていないので、貫通孔を塞ぐシールを設けなくてもよい。しかしながら、電動モータが、ジェットポンプの内部に配置されているので、電動モータの大きさがジェットポンプによって制限される。そのため、高出力のモータ(大型のモータ)を用いることができない場合がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、船内への水の進入を防止でき、高出力の電動モータを搭載できる船舶および船舶推進ユニットを提供することである。
本発明の一実施形態は、船体と、ジェットポンプと、電動モータとを含む、船舶を提供する。ジェットポンプは、船体の外に配置されている。電動モータは、船体とジェットポンプとの間に配置されており、ジェットポンプを駆動する。ジェットポンプは、吸水口と、吸水口より後方に配置された噴射口と、吸水口と噴射口とを接続する流路とを形成している。ジェットポンプは、吸水口から吸い込んだ水を噴射口から噴射する。船舶は、電動モータを動力源とする電動式の船舶であってもよいし、エンジン(内燃機関)および電動モータを動力源とするハイブリッド式の船舶であってもよい。
【0007】
この構成によれば、ジェットポンプが、船体の外に配置されており、電動モータが、船体とジェットポンプとの間に配置されている。したがって、船体を貫通するシャフトによってジェットポンプと電動モータとを連結しなくてもよい。そのため、シャフトが挿入される貫通孔を船体に設けなくてもよい。これにより、船内への水の進入を防止できる。さらに、電動モータが船体とジェットポンプとの間に配置されているので、電動モータがジェットポンプの内部に配置されている場合よりも大型のモータを電動モータとして用いることができる。これにより、ジェットポンプの最大出力を高めることができる。
【0008】
本発明の一実施形態において、電動モータは、船体およびジェットポンプのいずれか一方に取り付けられていてもよいし、船体およびジェットポンプの両方に取り付けられていてもよい。電動モータがジェットポンプに取り付けられる場合、電動モータは、ジェットポンプに直接取り付けられていてもよいし、中間部材を介してジェットポンプに取り付けられていてもよい。電動モータが船体に取り付けられる場合も同様である。電動モータがジェットポンプに取り付けられる場合、ジェットポンプは、電動モータが取り付けられたモータ取付部を含んでいてもよい。この場合、電動モータは、モータ取付部に直接取り付けられていてもよいし、スペーサーを介してモータ取付部に取り付けられていてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態において、ジェットポンプは、流路の少なくとも一部を形成するダクトを含んでいてもよい。この場合、モータ取付部は、ダクトの前方に配置されていてもよい。すなわち、電動モータは、ダクトの前方でジェットポンプに取り付けられていてもよい。
本発明の一実施形態において、モータ取付部は、ダクトと一体であってもよいし、ダクトとは異なる部材であってもよい。モータ取付部がダクトと一体である場合、モータ取付部とダクトとの結合強度を高めることができると共に、部品点数を減少させることができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、モータ取付部は、吸水口の前端よりも後方に配置されていてもよい。この場合、モータ取付部が吸水口の上方に配置されていると共に、電動モータの少なくとも一部が吸水口の上方に配置されていてもよい。
本発明の一実施形態において、ジェットポンプおよび電動モータは、個別に船体に取り付けられていてもよいし、一括して船体に取り付けられていてもよい。すなわち、ジェットポンプおよび電動モータは、電動モータがモータ取付部に取り付けられた状態で船体に取り付けられるようにユニット化されていてもよい。この場合、電動モータがジェットポンプに取り付けられているので、ジェットポンプが船体に取り付けられることにより、電動モータが船体に取り付けられる。したがって、船体に対する取り付け作業の負担を低減できる。
【0011】
本発明の一実施形態において、船舶は、モータを冷却するモータ冷却装置をさらに含んでいてもよい。モータ冷却装置は、水冷式の冷却装置であってもよいし、空冷などのその他の形式の冷却装置であってもよい。モータ冷却装置が水冷式の冷却装置である場合、モータ冷却装置は、流路からの水によって電動モータを冷却してもよい。
具体的には、モータ冷却装置は、船体の外で流路から電動モータに向かって延びる冷却水配管を含み、流路から冷却水配管に供給された水によって電動モータを冷却してもよい。この場合、冷却水配管は、流路のインペラより下流の部分から電動モータに延びていてもよい。さらに、モータ冷却装置は、電動モータに取り付けられており、冷却水配管に接続されたウォータージャケットをさらに含んでいてもよい。また、モータ冷却装置は、流路から冷却水配管に供給された水を電動モータに向けて吐出する吐出部をさらに含んでいてもよい。すなわち、モータ冷却装置は、冷却水配管によって導かれた水を吐出部から電動モータに向けて吐出してもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、船舶は、電動モータを制御するモータ制御装置と、モータ制御装置に電力を供給するバッテリーとをさらに含んでいてもよい。さらに、船舶は、モータ制御装置と電動モータとを接続する電力供給ワイヤとをさらに含んでいてもよい。モータ制御装置およびバッテリーは、船体内に配置されていてもよい。この場合、電力供給ワイヤは、船体に形成された第1貫通孔を通じて船体内から船体の外に延びていてもよい。船舶は、第1貫通孔の内周面と電力供給ワイヤとの間を密閉する第1シールをさらに含んでいてもよい。この構成によれば、第1シールによって船内への水の進入を防止できる。具体的には、ドライブシャフトなどの回転体に比べると、電力供給ワイヤは、外径が小さい上に、船体に対して殆ど移動しない。そのため、第1貫通孔の内周面と電力供給ワイヤとの間が確実に密閉される。これにより、船内への水の進入が防止される。
【0013】
本発明の一実施形態において、船舶は、バッテリーと、操船者によって操作される操作ユニットと、電動モータを制御するモータ制御装置とをさらに含んでいてもよい。さらに、船舶は、モータ制御装置とバッテリーとを接続する電力供給ワイヤと、操作ユニットとモータ制御装置とを接続する制御ワイヤとをさらに含んでいてもよい。制御ワイヤは、操作ユニットとモータ制御装置との間で制御信号を伝達するワイヤである。バッテリーおよび操作ユニットは、船体内に配置されていてもよい。モータ制御装置は、電動モータに内蔵されていてもよい。この場合、電力供給ワイヤは、船体に形成された第1貫通孔を通じて船体内から船体の外に延びていてもよい。さらに、制御ワイヤは、船体に形成された第2貫通孔を通じて船体内から船体の外に延びていてもよい。船舶は、第1貫通孔の内周面と電力供給ワイヤとの間を密閉する第1シールと、第2貫通孔の内周面と制御ワイヤとの間を密閉する第2シールとをさらに含んでいてもよい。この構成によれば、第1シールおよび第2シールによって船内への水の進入を確実に防止できる。
【0014】
本発明の一実施形態において、船舶は、バッテリーと、操船者によって操作される操作ユニットと、電動モータを制御するモータ制御装置とをさらに含んでいてもよい。さらに、船舶は、モータ制御装置とバッテリーとを接続する電力供給ワイヤと、操作ユニットとモータ制御装置とを接続する制御ワイヤとをさらに含んでいてもよい。バッテリーおよび操作ユニットは、船体内に配置されていてもよい。モータ制御装置は、電動モータに内蔵されていてもよい。この場合、電力供給ワイヤおよび制御ワイヤは、船体に形成された共通貫通孔を通じて船体内から船体の外に延びていてもよい。船舶は、共通貫通孔の内周面と電力供給ワイヤとの間、および共通貫通孔の内周面と制御ワイヤとの間を密閉する共通シールをさらに含んでいてもよい。この構成によれば、船内への水の進入を確実に防止できると共に、部品点数を低減できる。
【0015】
本発明の一実施形態において、モータ制御装置がバッテリーと電動モータとの間に設けられておらず、電動モータの出力トルクが制御されなくてもよい。具体的には、船舶は、バッテリーと、バッテリーと電動モータとを接続する電力供給ワイヤとをさらに含んでいてもよい。バッテリーは、船体内に配置されていてもよい。この場合、電力供給ワイヤは、船体に形成された第1貫通孔を通じて船体内から船体の外に延びていてもよい。船舶は、第1貫通孔の内周面と電力供給ワイヤとの間を密閉する第1シールをさらに含んでいてもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態は、ジェットポンプと、電動モータとを含む、船舶推進ユニットを提供する。ジェットポンプは、吸水口と、吸水口より後方に配置された噴射口と、吸水口と噴射口とを接続する流路とを形成している。ジェットポンプは、流路に配置されたインペラを含む。ジェットポンプは、吸水口から吸い込んだ水を噴射口から噴射する。電動モータは、流路の外に配置されている。電動モータは、ジェットポンプに取り付けられている。電動モータは、インペラを回転駆動する。この構成によれば、前述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0017】
本発明の他の実施形態において、ジェットポンプは、流路のインペラより上流の部分の少なくとも一部を形成するダクトと、ダクトの前方に配置されたモータ取付部を含んでいてもよい。この場合、電動モータは、モータ取付部に取り付けられていてもよい。
本発明の他の実施形態において、モータ取付部は、吸水口の前端よりも後方に配置されていてもよい。この場合、モータ取付部は、吸水口の上方に配置されていると共に、電動モータの少なくとも一部が吸水口の上方に配置されていてもよい。
【0018】
本発明の他の実施形態において、モータ取付部は、ダクトと一体であってもよいし、ダクトとは異なる部材であってもよい。
本発明の他の実施形態において、ジェットポンプおよび電動モータは、電動モータがモータ取付部に取り付けられた状態で船体に取り付けられるようにユニット化されていてもよい。
【0019】
本発明の他の実施形態において、船舶推進ユニットは、モータを冷却するモータ冷却装置をさらに含んでいてもよい。モータ冷却装置は、水冷式の冷却装置であってもよいし、空冷などのその他の形式の冷却装置であってもよい。モータ冷却装置が水冷式の冷却装置である場合、モータ冷却装置は、流路からの水によって電動モータを冷却してもよい。
具体的には、モータ冷却装置は、船体の外で流路から電動モータに向かって延びる冷却水配管を含み、流路から冷却水配管に供給された水によって電動モータを冷却してもよい。この場合、冷却水配管は、流路のインペラより下流の部分から電動モータに延びていてもよい。さらに、モータ冷却装置は、電動モータに取り付けられており、冷却水配管に接続されたウォータージャケットをさらに含んでいてもよい。また、モータ冷却装置は、流路から冷却水配管に供給された水を電動モータに向けて吐出する吐出部をさらに含んでいてもよい。
【0020】
本発明の他の実施形態において、船舶推進ユニットは、電動モータの回転をインペラに伝達するドライブシャフトをさらに含んでいてもよい。この場合、ドライブシャフトは、電動モータの出力軸と共に回転する前端部と、インペラと共に回転する後端部とを含んでいてもよい。さらに、ドライブシャフトは、前端部と後端部とを接続しており、ジェットポンプに非接触の中間部をさらに含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る船舶の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る船舶の一部を破断した平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る船舶の背面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る第1推進ユニットの部分断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る第2推進ユニットの断面図である。
【図6】電動モータおよび第2ジェットポンプが取り付けられる前の状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る第2推進ユニットの底面図である。
【図8】第2インペラを含む図5の一部を拡大した図である。
【図9】電動モータを含む図5の一部を拡大した図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る船舶の電気的構成について説明するための図である。
【図11】一対の第1推進ユニットが船舶を前進させるときの模式的な平面図である。
【図12】一対の第1推進ユニットが船舶を前進させながら旋回させるときの模式的な平面図である。
【図13】一対の第2推進ユニットが船舶を前進させるときの模式的な平面図である。
【図14】一対の第2推進ユニットが船舶を前進させながら旋回させるときの模式的な平面図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る第2推進ユニットの断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る第2推進ユニットの一部の断面図である。
【図17A】本発明の第4実施形態に係る第2推進ユニットの一部の断面図である。
【図17B】本発明の第4実施形態に係る第2推進ユニットの一部の断面図である。
【図17C】本発明の第4実施形態に係る第2推進ユニットの一部の断面図である。
【図18】本発明の第5実施形態に係る第2推進ユニットの一部の断面図である。
【図19A】本発明の第6実施形態に係る船舶を側方から見た模式図である。
【図19B】本発明の第6実施形態に係る船舶を側方から見た模式図である。
【図19C】本発明の第6実施形態に係る船舶を側方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。各図では、船舶が水上で静止している静止状態の船舶が示されている。以下の説明における「前後方向」「左右方向(幅方向)」および「上下方向」は、静止状態の船体(ハル:hull)を基準とする方向である。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る船舶1の側面図である。図2は、船舶1の一部を破断した平面図である。図3は、船舶1の背面図である。
【0023】
図1に示すように、船舶1は、船体2と、船体2の上方に配置されたデッキ3とを含む。図2に示すように、船舶1は、船体2を推進させる複数の推進ユニット4、5と、船舶1を操作するために操船者によって操作される操作ユニット6とをさらに含む。操作ユニット6は、船舶1を操舵するために操船者によって操作されるステアリングハンドル7と、推力の調整や進行方向の切替を行うために操船者によって操作される出力調整レバー8とを含む。ステアリングハンドル7および出力調整レバー8は、デッキ3に設けられた操船席に配置されている。複数の推進ユニット4、5は、船体2の後部に取り付けられている。複数の推進ユニット4、5は、エンジン10(図4参照)を動力源とする一対の第1推進ユニット4と、電動モータ30(図5参照)を動力源とする一対の第2推進ユニット5とを含む。第1推進ユニット4および第2推進ユニット5は、いずれもジェット推進ユニットである。第1推進ユニット4および第2推進ユニット5は、互いに独立している。
【0024】
図2に示すように、一対の第1推進ユニット4は、船体2の幅方向に関して船体2の中央部に配置されている。具体的には、第1推進ユニット4は、船体2の後方に水を噴射する第1ノズル24を含む。2つの第1ノズル24は、船体2の中央部で左右対称に配置されている。すなわち、2つの第1ノズル24は、船首と船尾中央とを通る鉛直な平面(船体中心C1)に対して対称に配置されている。したがって、一対の第1推進ユニット4は、船体2の中央部で左右対称に配置されている。また、第2推進ユニット5は、船体2の後方に水を噴射する第2ノズル47を含む。2つの第2ノズル47は、2つの第1ノズル24の両側で左右対称に配置されている。したがって、一対の第2推進ユニット5は、船体2の幅方向に関して船体2の中央部の両側で左右対称に配置されている。
【0025】
図3に示すように、船体2は、底部2aと、底部2aの右端部および左端部から上方に延びる左右一対の側部2bとを含む。底部2aは、たとえば、後方から見て左右対称なV字状である。したがって、底部2aは、船体2を後方から見たときに最も下に位置している中央部2c(キール:keel)と、中央部2cから側部2bに向かって延びる左右一対の傾斜部2dとを含む。傾斜部2dは、外端部(チャイン:chine)が内端部よりも上方に位置するように傾斜している。したがって、底部2aの中央部2cは、傾斜部2dの外端部よりも下方に配置されている。船舶1が前方に滑走している滑走状態では、喫水線WL1がチャインとほぼ同じ高さに位置する。したがって、滑走状態では、中央部2cまでの水深が、チャインまでの水深よりも大きい。
【0026】
図3に示すように、第1推進ユニット4および第2推進ユニット5は、底部2aに配置されている。一対の第1推進ユニット4は、船体中心C1の両側に配置されており、一対の第2推進ユニット5は、一対の第1推進ユニット4よりも側方において船体中心C1の両側に配置されている。したがって、船体中心C1から第2推進ユニット5までの幅方向への距離は、船体中心C1から第1推進ユニット4までの幅方向への距離よりも長い。底部2aが後方視V字状であり、第1推進ユニット4および第2推進ユニット5が底部2aに配置されているから、船体中心C1からの距離(幅方向への距離)が長いほど、ノズル24、47は上方に位置している。したがって、第2ノズル47に加わる水圧は、第1ノズル24に加わる水圧よりも小さい。
【0027】
図4は、本発明の第1実施形態に係る第1推進ユニット4の部分断面図である。
第1推進ユニット4は、エンジンECU9(Electronic control unit)と、エンジン10と、第1ジェットポンプ11と、第1バケット12とを含む。エンジン10は、エンジンECU9によって制御される。エンジン10は、内燃機関である。エンジン10およびエンジンECU9は、船体2の内部に配置されている。第1ジェットポンプ11は、エンジン10の後方に配置されている。第1バケット12は、第1ジェットポンプ11の後端部に取り付けられている。第1ジェットポンプ11は、エンジン10によって駆動される。第1ジェットポンプ11は、船底から水を吸い込んで、この吸い込んだ水を後方に噴射する。第1バケット12は、第1ジェットポンプ11から後方に噴射される水の方向を前向きに変更可能である。
【0028】
第1ジェットポンプ11は、第1流路20を形成する第1形成部材13と、第1流路20に配置された第1インペラ14および第1静翼15と、第1インペラ14に連結された第1ドライブシャフト16とを含む。さらに、第1ジェットポンプ11は、噴流の方向を左右に変更する第1デフレクタ17と、第1形成部材13に取り付けられた第1スクリーン(図示せず)とを含む。第1形成部材13は、船底で下向きに開口する第1吸水口18(first inlet)と、第1吸水口18よりも後方で後向きに開口する第1噴射口19(first outlet)と、第1吸水口18と第1噴射口19とを接続する第1流路20とを形成している。第1形成部材13は、第1吸水口18を形成する第1ダクト21と、第1インペラ14を取り囲む筒状の動翼ハウジング22と、第1静翼15を取り囲む筒状の静翼ハウジング23と、第1噴射口19を形成する第1ノズル24とを含む。
【0029】
第1ドライブシャフト16は、前後方向に延びている。第1ドライブシャフト16の前端部は、カップリング25を介してエンジン10に連結されており、第1ドライブシャフト16の後端部は、複数のベアリング26を介して回転可能に支持されている。第1インペラ14は、第1ドライブシャフト16の後端部よりも前方で第1ドライブシャフト16に連結されている。第1静翼15は、第1インペラ14の後方に配置されており、第1ノズル24は、第1静翼15の後方に配置されている。第1インペラ14は、第1回転軸線A1(第1ドライブシャフト16の中心軸線)を取り囲む複数の羽根(動翼)を含む。同様に、第1静翼15は、第1回転軸線A1を取り囲む複数の羽根を含む。第1インペラ14は、第1流路20に対して第1回転軸線A1まわりに回転可能であり、第1静翼15は、第1流路20に対して固定されている。
【0030】
第1インペラ14は、エンジン10によって、第1ドライブシャフト16と共に第1回転軸線A1まわりに駆動される。第1インペラ14が回転駆動されると、第1吸水口18から第1流路20内に水が吸い込まれ、第1流路20内に吸い込まれた水が、第1インペラ14から第1静翼15に送られる。第1インペラ14によって送られた水が第1静翼15を通過することにより、第1インペラ14の回転によって生じた水流のねじれが低減され、水流が整えられる。したがって、整流された水が、第1静翼15から第1ノズル24に送られる。第1ノズル24は、前後方向に延びる筒状であり、第1ノズル24の後端部の内径は、第1ノズル24の前端部の内径より小さい。第1噴射口19は、第1ノズル24の後端部によって形成されている。したがって、第1ノズル24に送られた水は、第1ノズル24の後端部から後方に噴射される。
【0031】
第1デフレクタ17は、上下方向に延びるデフレクタ回転軸線Ad1まわりに左右に回転可能に第1ノズル24に連結されている。第1デフレクタ17は、中空である。第1噴射口19は、第1デフレクタ17内に配置されている。第1デフレクタ17は、後向きに開口した前進噴射口27と、斜め前向きに開口した後進噴射口28とを形成している。前進噴射口27は、第1噴射口19の後方に配置されており、後進噴射口28は、前進噴射口27よりも下方に配置されている。第1デフレクタ17は、直進位置を中心に第1ノズル24に対して左右に回動可能である。直進位置は、前進噴射口27および後進噴射口28から噴射される水の方向が平面視において前後方向に沿う方向である。第1デフレクタ17は、操船者によってステアリングハンドル7が操作されることにより、デフレクタ回転軸線Ad1まわりに左右に回動する。
【0032】
第1バケット12は、第1デフレクタ17と共にデフレクタ回転軸線Ad1まわりに左右に回動する。第1バケット12は、左右方向に延びるバケット回転軸線Ab1まわりに回転可能に第1デフレクタ17に連結されている。第1バケット12は、後進位置(二点鎖線で示す位置)と、前進位置(実線で示す位置)との間で移動可能である。後進位置は、前進噴射口27を後方から見たときに前進噴射口27が第1バケット12によって覆われる位置であり、前進位置は、前進噴射口27を後方から見たときに前進噴射口27が第1バケット12によって覆われていない位置である。第1バケット12は、操船者によって出力調整レバー8が操作されることにより、前進位置と後進位置とで移動する。
【0033】
第1バケット12が前進位置に配置されている状態では、前進噴射口27が覆われていないので、第1噴射口19から噴射された水は、第1デフレクタ17内を通って、前進噴射口27から後方に噴射される。これにより、前進方向への推力が発生する。したがって、この状態で、第1デフレクタ17がデフレクタ回転軸線Ad1まわりに左右に回動すると、前進噴射口27から噴射される水の噴射方向が左右に変更される。これにより、第1デフレクタ17からの水の噴射方向が前後方向に対して左右に傾けられ、船舶1が前進しながら旋回する。
【0034】
一方、第1バケット12が後進位置に配置されている状態では、前進噴射口27が覆われているので、第1噴射口19から噴射された水は、前進噴射口27から噴射されずに、後進噴射口28から前方に噴射される。これにより、後進方向への推力が発生する。したがって、この状態で、第1デフレクタ17がデフレクタ回転軸線Ad1まわりに左右に回動すると、後進噴射口28から噴射される水の噴射方向が左右に変更される。これにより、第1デフレクタ17からの水の噴射方向が前後方向に対して左右に傾けられ、船舶1が後進しながら旋回する。
【0035】
図5は、本発明の第1実施形態に係る第2推進ユニット5の断面図である。図6は、電動モータ30および第2ジェットポンプ31が取り付けられる前の状態を示す断面図である。図7は、第2推進ユニット5の底面図である。図8は、第2インペラ35を含む図5の一部を拡大した図であり、図9は、電動モータ30を含む図5の一部を拡大した図である。
【0036】
図5に示すように、第2推進ユニット5は、モータECU29と、電動モータ30と、第2ジェットポンプ31とを含む。電動モータ30は、モータECU29によって制御される。電動モータ30は、たとえば、ブラシレスモータである。第2ジェットポンプ31は、船体2の外に配置されており、電動モータ30は、第2ジェットポンプ31と船体2との間に配置されている。電動モータ30および第2ジェットポンプ31は、船体2に形成された収容部2e(凹部)に収容されている。収容部2eは、船底から上方に凹んでいる(図3および図5参照)。第2推進ユニット5は、船体2から独立したユニットであり、船体2とは別の部材によって構成されている。
【0037】
図6に示すように、第2ジェットポンプ31は、電動モータ30が第2ジェットポンプ31に取り付けられた状態で船体2に取り付けられる。すなわち、電動モータ30および第2ジェットポンプ31は、ユニット化されており、船体2に取り付け可能なメインユニットを構成している。図7に示すように、第2ジェットポンプ31は、収容部2eを下方から覆う取付部32を含む。取付部32は、船底の一部を形成している。取付部32は、取付部材の一例である複数のボルト33によって船体2に取り付けられている。これにより、電動モータ30および第2ジェットポンプ31が船体2に取り付けられている。
【0038】
第2ジェットポンプ31は、電動モータ30によって駆動される。第2ジェットポンプ31は、船底から水を吸い込んで、この吸い込んだ水を後方に噴射する。図5に示すように、第2ジェットポンプ31は、第2流路43を形成する第2形成部材34と、第2流路43に配置された第2インペラ35および第2静翼36と、第2インペラ35を回転可能に支持する支持機構37とを含む。さらに、第2ジェットポンプ31は、第2流路43への異物の進入を防止する格子状の第2スクリーン38と、電動モータ30が取り付けられたモータ取付部39と、第2インペラ35と電動モータ30とを間で回転を伝達する第2ドライブシャフト40とを含む。
【0039】
図5に示すように、第2形成部材34は、船底で下向きに開口する第2吸水口41(second inlet)と、第2吸水口41よりも後方で後向きに開口する第2噴射口42(second outlet)と、第2吸水口41と第2噴射口42とを接続する第2流路43とを形成している。第2流路43は、第2吸水口41から斜め上に向かって後方に延びている。第2形成部材34は、第2吸水口41を形成する第2ダクト44と、第2インペラ35を取り囲む筒状の動翼ハウジング45と、第2静翼36を取り囲む筒状の静翼ハウジング46と、第2噴射口42を形成する第2ノズル47とを含む。第2形成部材34は、取付部32と一体であってもよいし、取付部32とは異なる部材であってもよい。また、第2形成部材34の一部(たとえば第2ダクト44)が取付部32と一体であってもよい。
【0040】
図5に示すように、動翼ハウジング45、静翼ハウジング46、および第2ノズル47は、前後方向に延びる筒状である。静翼ハウジング46は、動翼ハウジング45の後方に配置されており、第2ノズル47は、静翼ハウジング46の後方に配置されている。第2ノズル47の後端部の内径は、第2ノズル47の前端部の内径よりも小さい。第2噴射口42は、第2ノズル47の後端部によって形成されている。静翼ハウジング46および第2ノズル47は、第2インペラ35の下流側で第2流路43を形成しており、第2ダクト44は、第2インペラ35の上流側で第2流路43を形成している。第2スクリーン38は、第2ダクト44に取り付けられている。第2スクリーン38は、船底より上方で第2吸水口41に沿って配置されている。第2吸水口41から第2流路43への異物の進入は、第2スクリーン38によって防止される。
【0041】
図8に示すように、第2インペラ35は、第2静翼36および支持機構37より上流側(第2吸水口41側)に配置されている。第2インペラ35は、前後方向に延びる第2回転軸線A2の周囲に配置された複数の羽根(動翼)を含む。同様に、第2静翼36は、第2インペラ35の後方で第2回転軸線A2の周囲に配置された複数の羽根を含む。支持機構37は、前後方向に延びる流線形のハウジング48と、ハウジング48によって回転可能に支持された回転軸49とを含む。ハウジング48は、静翼ハウジング46および第2ノズル47内に配置されている。第2静翼36は、ハウジング48の周囲に配置されている。第2静翼36は、ハウジング48から静翼ハウジング46に延びている。第2静翼36は、ハウジング48および静翼ハウジング46に固定されている。したがって、第2静翼36は、第2流路43に対して回転不能である。ハウジング48は、ハウジング48の内部に配置された複数のベアリング50を介して回転軸49を支持している。回転軸49は、第2回転軸線A2に沿って延びている。回転軸49は、ハウジング48から前方に突出している。第2インペラ35は、たとえばネジによって、回転軸49に連結されている。したがって、第2インペラ35および回転軸49は、第2流路43に対して第2回転軸線A2まわりに回転可能である。
【0042】
一方、図5に示すように、モータ取付部39は、第2ダクト44と船体2との間に配置されている。モータ取付部39は、第2ダクト44と一体であってもよいし、第2ダクト44とは異なる部材であってもよい。第2ダクト44は、斜め上に向かって後方に延びダクト傾斜部44aを含む。モータ取付部39は、ダクト傾斜部44aに結合されている。モータ取付部39は、第2ダクト44の前方に配置されている。したがって、モータ取付部39は、第2インペラ35よりも前方に配置されている。さらに、モータ取付部39は、第2吸水口41の上方に配置されている。したがって、第2吸水口41の前端41aは、モータ取付部39よりも前方に位置している。モータ取付部39は、船体2および第2ジェットポンプ31によって区画されたモータ空間S1に配置されている。同様に、電動モータ30は、モータ空間S1に配置されている。電動モータ30は、筒状のスペーサー51を介してモータ取付部39に取り付けられている。電動モータ30は、出力軸30aが後方に向けられた状態でモータ取付部39に保持されている。電動モータ30の出力軸30aは、第2回転軸線A2上に配置されており、第2ドライブシャフト40と同軸である。電動モータ30は、船舶1の静止状態において水面より下方に配置される。
【0043】
図5に示すように、第2ドライブシャフト40は、電動モータ30と第2インペラ35との間で前後方向に延びている。第2ドライブシャフト40の大部分は、第2流路43に配置されている。第2ドライブシャフト40は、モータ取付部39および第2ダクト44を前後方向に貫通する貫通孔に挿入されている。第2ドライブシャフト40は、電動モータ30の出力軸30aと共に回転する前端部40aと、第2インペラ35と共に回転する後端部40bと、前端部40aと後端部40bとの間に配置された中間部40cとを含む。図9に示すように、前端部40aは、たとえばスプライン軸によって、電動モータ30の出力軸30aに連結されている。前端部40aは、スペーサー51内に挿入されている。前端部40aは、ベアリング52を介してスペーサー51に支持されている。さらに、前端部40aとスペーサー51との間は、環状のシール53によって密閉されている。これにより、第2流路43から電動モータ30の内部への水の進入が防止されている。また、図5に示すように、後端部40bは、たとえばスプライン軸によって、回転軸49に連結されている。前端部40aおよび後端部40bは、中間部40cに結合されている。第2ドライブシャフト40は、中間部40cの外周面が第2ジェットポンプ31に非接触の状態で支持されている。第2ドライブシャフト40は、第1推進ユニット4の第1ドライブシャフト16とは独立しており、第1ドライブシャフト16と平行または略平行である(図2参照)。
【0044】
図9に示すように、第2推進ユニット5は、モータECU29に電力を供給するバッテリー54をさらに含む。モータECU29およびバッテリー54は、船体2内に配置されている。バッテリー54は、電力供給ワイヤ55を介してモータECU29に接続されており、モータECU29は、電力供給ワイヤ56を介して電動モータ30に接続されている。電力供給ワイヤ55および電力供給ワイヤ56は、絶縁体によって被覆された複数本の電線を含む多芯線である。電力供給ワイヤ56は、船体2に形成された第1貫通孔57を通じて船体2内から船体2の外に延びている。第1貫通孔57の内周面と電力供給ワイヤ56との間は、ゴムや樹脂などの弾性材料によって形成された筒状の第1シール58によって密閉されている。バッテリー54の電力は、モータECU29を介して電動モータ30に供給される。モータECU29は、操船者によって出力調整レバー8(図2参照)に入力された出力指令に基づいて電動モータ30に供給される電力を制御する。これにより、第2ジェットポンプ31が電動モータ30によって駆動される。
【0045】
電動モータ30(出力軸30a)は、正転方向および逆転方向に回転可能である。電動モータ30が正転方向(たとえば、後方から見て右回りの方向)に回転すると、第2インペラ35も正転方向に回転する。これにより、第2吸水口41から第2流路43に水が吸い込まれ、吸い込まれた水が第2インペラ35から第2静翼36に送られる。そのため、第2インペラ35の回転によって生じた水流のねじれが低減され、水流が整えられる。したがって、整流された水が、第2静翼36から第2ノズル47に送られ、第2噴射口42から後方に噴射される。これにより、水の噴流が形成され、前進方向への推力が発生する。一方、電動モータ30が逆転方向に回転すると、第2インペラ35も逆転方向に回転する。そのため、第2噴射口42から第2流路43に水が吸い込まれ、吸い込まれた水が第2吸水口41から斜め下に向けて前方に噴射される。これにより、後進方向への推力が発生する。このように、第2推進ユニット5は、第2インペラ35の回転方向を切り替えることにより、推力の方向を変更できるように構成されている。
【0046】
図5に示すように、第2推進ユニット5は、電動モータ30を冷却するモータ冷却装置59をさらに含む。モータ冷却装置59は、船体2の外に配置されている。モータ冷却装置59は、水冷式の冷却装置である。モータ冷却装置59は、船体2と第2ジェットポンプ31との間で第2流路43から電動モータ30に向かって延びる冷却水配管60と、電動モータ30に取り付けられたウォータージャケット61とを含む。冷却水配管60は、第2ジェットポンプ31の上方に配置されている。冷却水配管60の前端部は、ウォータージャケット61の流入口61a(図9参照)に接続されており、冷却水配管60の後端部は、第2インペラ35より下流側で第2流路43に接続されている。冷却水配管60の後端部は、静翼ハウジング46に取り付けられていてもよいし、第2ノズル47に取り付けられていてもよい。
【0047】
第2インペラ35が正転方向に回転すると、第2インペラ35が後方に水を送るので、静翼ハウジング46および第2ノズル47内の水圧が上昇する。これにより、第2流路43内の水が冷却水配管60に送られる。冷却水配管60に送られた水は、流入口61aからウォータージャケット61の内部に流入する。そして、ウォータージャケット61の内部に流入した水は、ウォータージャケット61の流出口61b(図9参照)から排出される。ウォータージャケット61から排出された水は、船体2と取付部32と間の隙間を通ってモータ空間S1から排出される。したがって、電動モータ30が正転方向に回転している間は、冷却水が絶えずウォータージャケット61の内部を流通する。これにより、低温の冷却水が安定してウォータージャケット61に供給される。そのため、電動モータ30が安定して冷却される。
【0048】
図10は、本発明の第1実施形態に係る船舶1の電気的構成について説明するための図である。
船舶1は、船舶1の航走を制御するメインECU62をさらに含む。前述のように、各第1推進ユニット4は、エンジンECU9を含み、各第2推進ユニット5は、モータECU29を含む。エンジンECU9およびモータECU29は、メインECU62に電気的に接続されている。メインECU62は、エンジンECU9およびモータECU29を制御するようにプログラムされている。2つのエンジンECU9は、それぞれ、2つのエンジン10を制御するようにプログラムされており、2つのモータECU29は、それぞれ、2つの電動モータ30を制御するようにプログラムされている。
【0049】
操作ユニット6は、ステアリングハンドル7の操舵位置を検出するハンドル位置検出装置63を含む。ハンドル位置検出装置63は、メインECU62に電気的に接続されている。ステアリングハンドル7は、左最大操舵位置と右最大操舵位置との間で移動可能である。ステアリングハンドル7は、操船者の操作によって、左最大操舵位置と右最大操舵位置との間の任意の位置に配置される。直進位置は、左最大操舵位置と右最大操舵位置との間に設けられている。直進位置は、船舶1を真っすぐに前進または後進させるときに配置される位置である。ステアリングハンドル7は、機械的または電気的に第1デフレクタ17(図4参照)に接続されている。ステアリングハンドル7が直進位置よりも左最大操舵位置側の領域に配置されている状態では、第1デフレクタ17は、左に傾けられている。一方、ステアリングハンドル7が直進位置よりも右最大操舵位置側の領域に配置されている状態では、第1デフレクタ17は、右に傾けられている。
【0050】
操作ユニット6は、さらに、出力調整レバー8のシフト位置を検出するレバー位置検出装置64を含む。レバー位置検出装置64は、メインECU62に電気的に接続されている。出力調整レバー8は、F領域、N領域、およびR領域で移動可能である。N領域は、F領域とR領域の間に設けられている。出力調整レバー8は、操船者の操作によって、F領域、N領域、およびR領域内の任意の位置に配置される。F領域は、船舶1を前進させるときに配置される領域であり、R領域は、船舶1を後進させるときに配置される領域である。出力調整レバー8は、機械的または電気的に第1バケット12(図4参照)に接続されている。出力調整レバー8がF領域に配置されている状態では、第1デフレクタ17の前進噴射口27が第1バケット12によって覆われておらず、出力調整レバー8がR領域に配置されている状態では、第1デフレクタ17の前進噴射口27が第1バケット12によって覆われている。
【0051】
メインECU62は、エンジンECU9およびモータECU29を制御することにより、第1推進ユニット4および第2推進ユニット5の少なくとも一方によって船舶1を推進させる。船舶1は、操船者によって操作される運転モード選択スイッチ65をさらに含む。運転モード選択スイッチ65は、メインECU62に電気的に接続されている。船舶1の運転モードは、操船者が運転モード選択スイッチ65を操作することにより選択される。メインECU62は、操船者によって選択された運転モードで船舶1を運転する。船舶1の運転モードは、マニュアルモードを含む。マニュアルモードは、一対の第1推進ユニット4だけに船舶1を推進させるエンジンモードと、一対の第2推進ユニット5だけに船舶1を推進させる電動モードと、第1推進ユニット4および第2推進ユニット5に船舶1を推進させるアシストモードとを含む。さらに、船舶1の運転モードは、メインECU62がエンジンモード、電動モード、およびアシストモードのうちのいずれか一つを選択する自動選択モードを含む。
【0052】
船舶1は、船舶1の速度を検出する速度検出装置66と、バッテリー54の残量を検出する残量検出装置67とをさらに含む。速度検出装置66および残量検出装置67は、メインECU62に電気的に接続されている。自動選択モードにおいてメインECU62がモードを選択するときの選択基準は、たとえば、船舶1の速度であってもよいし、バッテリー54の残量であってもよい。当然、速度および残量の両方に基づいてモードが選択されてもよいし、速度および残量以外の基準に基づいてモードが選択されてもよい。
【0053】
たとえば、船舶1の速度に基づいてモードが選択される場合、船舶1の速度が所定の第1速度(たとえば、時速5マイル)未満である低速領域では、メインECU62は、一対の第2推進ユニット5だけに船舶1を推進させる(電動モード)。また、船舶1の速度が、第1速度以上で、第1速度よりも大きい第2速度未満である中速領域では、メインECU62は、第1推進ユニット4および第2推進ユニット5に船舶1を推進させる(アシストモード)。また、船舶1の速度が第2速度以上である高速領域では、メインECU62は、一対の第1推進ユニット4だけに船舶1を推進させる(エンジンモード)。第1速度は、一定の速度(定数)であってもよいし、変化する速度(変数)であってもよい。第2速度についても同様である。
【0054】
以下では、マニュアルモードのエンジンモードが選択されている場合と、マニュアルモードの電動モードが選択されている場合とについて説明する。マニュアルモードのエンジンモードが選択されている場合、船舶1は、速度に拘わらず一対の第1推進ユニット4によって推進される。同様に、マニュアルモードの電動モードが選択されている場合、船舶1は、速度に拘わらず一対の第2推進ユニット5によって推進される。アシストモードについては、電動モードとエンジンモードとが並行して行われる場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0055】
[エンジンモード]
図11は、一対の第1推進ユニット4が船舶1を前進させるときの模式的な平面図である。
操船者が船舶1を真っすぐに前進させるときには、ステアリングハンドル7が直進位置に配置され、出力調整レバー8がF領域に配置される。したがって、2つの第1デフレクタ17は、前進噴射口27からの水の噴射方向が平面視において前後方向に沿うように配置され、2つの第1バケット12(図4参照)は、前進位置(前進噴射口27が覆われていない位置)に配置される。さらに、メインECU62から2つのエンジンECU9に指令が入力され、2つのエンジン10の出力の大きさが一致するように、2つのエンジンECU9がそれぞれ2つのエンジン10を制御する。これにより、2つの前進噴射口27から平面視において前後方向に沿う方向に水が噴射される。また、2つの前進噴射口27から後方に水が噴射されることにより、水流X1が形成される。2つのエンジン10の出力の大きさが一致しているから、各第1推進ユニット4が発生する推力の大きさも一致している。さらに、一対の第1推進ユニット4は、左右対称に配置されている。したがって、2つの前進噴射口27から後方に水が噴射されることにより、前方向(船体中心C1に平行な方向)への力が船体2に加わり、船舶1は、左右に旋回せずに、真っすぐに前進する。
【0056】
第1推進ユニット4だけで船舶1が推進されている状態では、第2インペラ35(図5参照)の回転による吸引力が発生していないので、吸引力によって第2吸水口41から第2流路43に水が吸い込まれない。しかし、船舶1の航走によって第2吸水口41に水圧が加わるので、この水圧によって、第2吸水口41から第2流路43に水が進入する。すなわち、船舶1の航走によって第2吸水口41から第2流路43に進入する水流X2が形成される。第2流路43に進入した水は、第2噴射口42に向かって流れる。そして、この第2噴射口42に向かって流れる水は、第2インペラ35に圧力(水圧)を加え、第2インペラ35を回転させる。第2インペラ35の回転は、第2ドライブシャフト40を介して電動モータ30に伝達される。これにより、電動モータ30が回転駆動され、電動モータ30が電力を発生する。そのため、電動モータ30が発生した電力がバッテリー54に供給され、バッテリー54が充電される。このように、一対の第2推進ユニット5が推力を発生していない状態で、船舶1が一対の第1推進ユニット4によって推進されているときには、電動モータ30が発電し、バッテリー54が充電される。
【0057】
図12は、一対の第1推進ユニット4が船舶1を前進させながら旋回させるときの模式的な平面図である。
操船者が船舶1を前進させながら旋回させるときには、ステアリングハンドル7が操舵され(直進位置よりも右最大操舵位置側または左最大操舵位置側に配置され)、出力調整レバー8がF領域に配置される。したがって、2つの第1デフレクタ17は、前進噴射口27からの水の噴射方向が平面視において前後方向に対して左右に傾くように配置され、2つの第1バケット12(図4参照)は、前進位置に配置される。さらに、メインECU62から2つのエンジンECU9に指令が入力され、2つのエンジン10の出力の大きさが一致するように、2つのエンジンECU9がそれぞれ2つのエンジン10を制御する。これにより、2つの前進噴射口27から平面視において前後方向に対して傾いた方向に水が噴射される。すなわち、2つの前進噴射口27から後方に水が噴射されることにより、船体2を旋回させる前進方向への力が船体2に加わる。したがって、船舶1は、ステアリングハンドル7の操舵位置に応じた角度で旋回しながら前進する。
【0058】
[電動モード]
図13は、一対の第2推進ユニット5が船舶1を前進させるときの模式的な平面図である。
操船者が船舶1を真っすぐに前進させるときには、ステアリングハンドル7が直進位置に配置され、出力調整レバー8がF領域に配置される。ステアリングハンドル7が直進位置に配置されており、出力調整レバー8がF領域に配置されている状態では、メインECU62から2つのモータECU29に指令が入力され、2つの電動モータ30の出力の大きさが一致するように、2つのモータECU29がそれぞれ2つの電動モータ30を制御する。これにより、2つの第2インペラ35(図5参照)が正転方向に回転駆動され、2つの第2噴射口42から平面視において前後方向に沿う方向に水が噴射される。2つの電動モータ30の出力の大きさが一致しているから、各第2推進ユニット5が発生する推力の大きさも一致している。さらに、一対の第2推進ユニット5は、左右対称に配置されている。したがって、2つの第2噴射口42から後方に水が噴射されることにより、前方向への力が船体2に加わり、船舶1は、左右に旋回せずに、真っすぐに前進する。
【0059】
図14は、一対の第2推進ユニット5が船舶1を前進させながら旋回させるときの模式的な平面図である。
操船者が船舶1を前進させながら旋回させるときには、ステアリングハンドル7が操舵され、出力調整レバー8がF領域に配置される。ステアリングハンドル7が操舵されており、出力調整レバー8がF領域に配置されている状態では、メインECU62から2つのモータECU29に指令が入力され、2つの電動モータ30の出力の大きさが異なるように、2つのモータECU29がそれぞれ2つの電動モータ30を制御する。これにより、2つの第2インペラ35が正転方向に回転駆動され、2つの第2噴射口42から平面視において前後方向に沿う方向に水が噴射される。2つの電動モータ30の出力の大きさが異なっているので、一方の第2推進ユニット5からの推力の大きさと、他方の第2推進ユニット5からの推力の大きさとが異なっている。さらに、一対の第2推進ユニット5は、左右対称に配置されている。そのため、2つの第2噴射口42から後方に水が噴射されることにより、船体2を旋回させる前進方向への力が船体2に加わり、船舶1は、ステアリングハンドル7の操舵位置に応じた角度で旋回しながら前進する。すなわち、メインECU62は、一対の第2推進ユニット5からの推力に差が生じるように2つのモータECU29を制御して、船舶1を旋回させる。
【0060】
以上のように第1実施形態では、第2ジェットポンプ31が、船体2の外に配置されており、電動モータ30が、船体2と第2ジェットポンプ31との間に配置されている。したがって、船体2を貫通するシャフトによって第2ジェットポンプ31と電動モータ30とを連結しなくてもよい。そのため、シャフトと電動モータ30とを船体2内で連結しなくてもよい。さらに、シャフトが挿入される貫通孔を船体2に設けなくてもよいので、船内への水の進入を防止できる。
【0061】
また、電動モータ30が船体2と第2ジェットポンプ31との間に配置されているので、電動モータ30が第2ジェットポンプ31の内部に配置されている場合よりも大型のモータを電動モータ30として用いることができる。これにより、第2ジェットポンプ31の最大出力を高めることができる。
さらに、電動モータ30および第2ジェットポンプ31がユニット化されているので、電動モータ30および第2ジェットポンプ31を個別に船体2に取り付けなくてもよい。したがって、船体2に対する電動モータ30および第2ジェットポンプ31の取付が容易である。しかも、電動モータ30が第2ジェットポンプ31に取り外し可能なので、必要とされる第2推進ユニット5の最大出力に応じて電動モータ30を変更できる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、この発明の第2実施形態について説明する。
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、噴流の方向を左右に変更する第2デフレクタと、噴流の方向を前後に変更する第2バケットとが、第2推進ユニットに設けられていることである。
【0063】
図15は、本発明の第2実施形態に係る第2推進ユニット205の断面図である。図15において、前述の図1〜図14に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態に係る船舶201は、第1実施形態に係る第2推進ユニット5に代えて、第2推進ユニット205を含む。第2推進ユニット205は、第1実施形態に係る第2推進ユニット5と同様の構成を備えている。すなわち、第2推進ユニット205は、第1実施形態に係る第2ジェットポンプ31に代えて、第2ジェットポンプ231を含む。第2ジェットポンプ231は、第1実施形態に係る第2ジェットポンプ31の構成に加えて、噴流の方向を左右に変更する筒状の第2デフレクタ268を含む。さらに、第2推進ユニット205は、噴流の方向を前後に変更する第2バケット269を含む。
【0064】
第2デフレクタ268は、上下方向に延びるデフレクタ回転軸線Ad2まわりに左右に回転可能に第2ノズル47に連結されている。第2デフレクタ268は、中空である。第2噴射口42は、第2デフレクタ268内に配置されている。第2デフレクタ268は、後向きに開口した前進噴射口270と、斜め前向きに開口した後進噴射口271とを形成している。前進噴射口270は、第2噴射口42の後方に配置されており、後進噴射口271は、前進噴射口270よりも下方に配置されている。第2デフレクタ268は、直進位置を中心に第2ノズル47に対して左右に回動可能である。直進位置は、前進噴射口270および後進噴射口271から噴射される水の方向が平面視において前後方向に沿う方向である。第2デフレクタ268は、操船者によってステアリングハンドル7が操作されることにより、デフレクタ回転軸線Ad2まわりに左右に回動する。これにより、噴流の方向が左右に変更され、船舶201が操舵される。
【0065】
一方、第2バケット269は、第2デフレクタ268と共にデフレクタ回転軸線Ad2まわりに左右に回動する。第2バケット269は、左右方向に延びるバケット回転軸線Ab2まわりに回転可能に第2デフレクタ268に連結されている。第2バケット269は、後進位置(二点鎖線で示す位置)と、前進位置(一点鎖線で示す位置)との間で移動可能である。後進位置は、前進噴射口270を後方から見たときに前進噴射口270が第2バケット269によって覆われる位置であり、前進位置は、前進噴射口270を後方から見たときに前進噴射口270が第2バケット269によって覆われていない位置である。後進噴射口271は、第2バケット269が後進位置に配置されているときに水を噴射する。第2バケット269は、操船者によって出力調整レバー8(図2参照)が操作されることにより、前進位置と後進位置との間を移動する。これにより、噴流の方向が前後に変更され、船舶201の進行方向が切り替えられる。
【0066】
[第3実施形態]
次に、この発明の第3実施形態について説明する。
この第3実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、第2ジェットポンプから送られてきた水を電動モータに向けて吐出する吐出部が、モータ冷却装置に設けられていることである。
【0067】
図16は、本発明の第3実施形態に係る第2推進ユニット305の一部の断面図である。図16において、前述の図1〜図15に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
第3実施形態に係る船舶301は、第1実施形態に係る船舶1と同様の構成を備えている。すなわち、船舶301は、第1実施形態に係る第2推進ユニット5に代えて、第2推進ユニット305を含む。第2推進ユニット305は、モータ冷却装置を除き、第1実施形態に係る第2推進ユニット5と同様の構成を備えている。すなわち、第2推進ユニット305は、第1実施形態に係るモータ冷却装置59に代えて、モータ冷却装置359を含む。モータ冷却装置359は、船体2と第2ジェットポンプ31との間で第2流路43から電動モータ30に向かって延びる冷却水配管360を含む。冷却水配管360は、第2ジェットポンプ31の上方に配置されている。冷却水配管360は、第2流路43から冷却水配管360に供給された冷却水を電動モータ30に向けて吐出する吐出部360aを含む。第2インペラ35(図5参照)が正転方向に回転すると、吐出部360aから電動モータ30に向けて冷却水が吐出される。これにより、電動モータ30が冷却される。
【0068】
[第4実施形態]
次に、この発明の第4実施形態について説明する。
この第4実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、モータECUの配置、および電動モータに関連する配線状態が異なることである。
図17A、図17B、および図17Cは、本発明の第4実施形態に係る第2推進ユニット405A、405B、405Cの一部の断面図である。図17A、図17B、および図17Cにおいて、前述の図1〜図16に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0069】
第4実施形態に係る船舶401は、第1実施形態に係る船舶1と同様の構成を備えている。すなわち、第1実施形態では、モータECU29が、船体2内に配置されている場合について説明した。しかし、図17Aおよび図17Bに示すように、モータECU29は、船体2の外に配置されていてもよい。また、電動モータ30の出力トルクを制御しない場合には、図17Cに示すように、電動モータ30とバッテリー54との間にモータECU29が設けられていなくてもよい。
【0070】
具体的には、図17Aに示す第2推進ユニット405Aでは、モータECU29は、電動モータ30に内蔵されている。モータECU29および電動モータ30は、電気的に接続されている。モータECU29は、電力供給ワイヤ56によってバッテリー54に接続されている。さらに、モータECU29は、制御ワイヤ471によって操作ユニット6に接続されている。モータECU29は、操作ユニット6に直接接続されていてもよいし、メインECU62(図10参照)などの中継装置を介して操作ユニット6に接続されていてもよい。すなわち、中継装置が、モータECU29と操作ユニット6との間で制御ワイヤ471に取り付けられていてもよい。
【0071】
制御ワイヤ471は、絶縁体によって被覆された複数本の電線を含む多芯線である。制御ワイヤ471は、操作ユニット6とモータECU29との間で制御信号を伝達する。図17Aに示すように、電力供給ワイヤ56は、船体2に形成された第1貫通孔57を通じて船体2内から船体2の外に延びている。第1貫通孔57の内周面と電力供給ワイヤ56との間は、筒状の第1シール58によって密閉されている。同様に、制御ワイヤ471は、船体2に形成された第2貫通孔472を通じて船体2内から船体2の外に延びている。第2貫通孔472の内周面と制御ワイヤ471との間は、弾性材料によって形成された筒状の第2シール473によって密閉されている。
【0072】
また、図17Bに示す第2推進ユニット405Bでは、モータECU29は、電動モータ30に内蔵されている。モータECU29および電動モータ30は、電気的に接続されている。モータECU29は、電力供給ワイヤ56によってバッテリー54に接続されている。さらに、モータECU29は、制御ワイヤ471によって操作ユニット6に接続されている。モータECU29は、操作ユニット6に直接接続されていてもよいし、中継装置を介して操作ユニット6に接続されていてもよい。電力供給ワイヤ56および制御ワイヤ471は、筒状の絶縁体474によって被覆されている。電力供給ワイヤ56、制御ワイヤ471、および絶縁体474は、集合ワイヤを構成している。集合ワイヤは、船体2に形成された共通貫通孔475を通じて船体2内から船体2の外に延びている。共通貫通孔475の内周面と集合ワイヤとの間は、弾性材料によって形成された筒状の共通シール476によって密閉されている。したがって、共通貫通孔475の内周面と電力供給ワイヤ56との間、および共通貫通孔475の内周面と制御ワイヤ471との間は、共通シール476によって密閉されている。
【0073】
また、図17Cに示す第2推進ユニット405Cでは、電動モータ30が、電力供給ワイヤ56によってバッテリー54に接続されている。電力供給ワイヤ56は、船体2に形成された第1貫通孔57を通じて船体2内から船体2の外に延びている。第1貫通孔57の内周面と電力供給ワイヤ56との間は、筒状の第1シール58によって密閉されている。第2推進ユニット405Cは、電力供給ワイヤ56に取り付けられたスイッチ477を含む。第2推進ユニット405Cは、電力供給ワイヤ56に取り付けられた変圧器をさらに含んでいてもよい。スイッチ477は、操船者によって操作される。電動モータ30とバッテリー54とを接続する電気回路は、スイッチ477によって開閉される。
【0074】
[第5実施形態]
次に、この発明の第5実施形態について説明する。
この第5実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、電動モータからの回転を減速させた状態で第2ドライブシャフトに伝達する減速装置が、第2推進ユニットに設けられていることである。
【0075】
図18は、本発明の第5実施形態に係る第2推進ユニット505の一部の断面図である。図18において、前述の図1〜図17Cに示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
第5実施形態に係る船舶501は、第1実施形態に係る船舶1の構成と同様の構成を備えている。すなわち、船舶501は、第1実施形態に係る第2推進ユニット5に代えて、第2推進ユニット505を含む。第2推進ユニット505は、第1実施形態に係る第2推進ユニット5の構成に加えて、電動モータ30の回転を第2ドライブシャフト40に伝達する減速装置578と、減速装置578を覆うギヤハウジング579とを含む。減速装置578は、複数の歯車を含む歯車伝達装置であってもよいし、無端状のベルトおよび複数のプーリーを含むベルト伝達装置であってもよい。図18では、減速装置578が、歯車伝達装置である場合を示している。
【0076】
図18に示す減速装置578は、電動モータ30の出力軸30aに連結された駆動ギヤ580と、第2ドライブシャフト40に連結された従動ギヤ581とを含む。駆動ギヤ580および従動ギヤ581は、互いに噛み合っていてもよいし、駆動ギヤ580および従動ギヤ581との間で回転を伝達する中間ギヤ582(idle gear)に噛み合っていてもよい。駆動ギヤ580、従動ギヤ581、および中間ギヤ582は、ギヤハウジング579内に配置されている。電動モータ30は、ギヤハウジング579を介してモータ取付部39に取り付けられている。
【0077】
電動モータ30の出力軸30aは、第2ドライブシャフト40と平行に配置されている。電動モータ30の出力軸30aは、第2ドライブシャフト40より上方または下方に配置されていてもよいし、第2ドライブシャフト40より右方または左方に配置されていてもよい。電動モータ30の回転は、減速装置578によって減速された状態で第2ドライブシャフト40に伝達される。したがって、電動モータ30の出力トルクは、増幅された状態で第2ドライブシャフト40に伝達される。そのため、第2推進ユニット505の最大出力を増加させることができる。
【0078】
[第6実施形態]
次に、この発明の第6実施形態について説明する。
この第6実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、船舶が、ハイブリッド式ではなく、電動式であることである。
図19A、図19B、および図19Cは、本発明の第6実施形態に係る船舶601A、601B、601Cを側方から見た模式図である。図19A〜図19Cにおいて、前述の図1〜図18に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0079】
第1実施形態では、船舶が、エンジンを動力源とする第1推進ユニットと、電動モータを動力源とする第2推進ユニットとを備えるボートである場合について説明した。しかし、図19A、図19B、および図19Cに示すように、船舶は、電動モータを動力源とする推進ユニットを備えており、エンジンを動力源とする推進ユニットを備えていなくてもよい。さらに、船舶は、PWC(personal watercraft)であってもよいし、カヤック(kayak)であってもよいし、ボート、PWC、およびカヤック以外の船舶であってもよい。
【0080】
具体的には、図19Aに示す船舶601Aは、電動モータ30を動力源とする電動ボートである。図19Bに示す船舶601Bは、電動モータ30を動力源とする電動式のPWCである。PWCは、図19Bに示す立ち乗り式のPWCであってもよいし、鞍型のシートを備えるPWCであってもよい。また、図19Cに示す船舶601Cは、電動モータ30を動力源とする電動式のカヤックである。
【0081】
図示はしないが、いずれの船舶601A、601B、601Cも、推力の調整を行うために操船者によって操作される出力調整レバーを含む。さらに、船舶601A、601B、601Cは、船舶601A、601B、601Cを操舵するために操船者によって操作されるステアリングハンドル7を備えている。図19Cに示す船舶601Cのステアリングハンドル7は、船体2内で左右方向に延びるレバーである。
【0082】
図19A、図19B、および図19Cに示すように、船舶601A、601B、601Cは、第2推進ユニット605と、第2推進ユニット605に電力を供給するバッテリー54とを含む。第2推進ユニット605は、第1実施形態に係る第2推進ユニット5と同様の構成を備えている。すなわち、第2推進ユニット605は、第1実施形態に係る第2ジェットポンプ31に代えて、第2ジェットポンプ631を含む。第2ジェットポンプ631は、第1実施形態に係る第2ジェットポンプ31の構成に加えて、第2ノズル47から噴射された噴流の方向を変更する第2デフレクタ268を含む。第2デフレクタ268は、操船者によるステアリングハンドル7の操作に連動して、デフレクタ回転軸線Ad2(図15参照)まわりに左右に回動する。これにより、噴流の方向が変更され、船舶601A、601B、601Cが操舵される。
【0083】
[他の実施形態]
この発明の第1〜第6実施形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の第1〜第6実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の第1実施形態では、第1推進ユニットおよび第2推進ユニットが2つずつ設けられており、一対の第2推進ユニットが、船体の幅方向に関して一対の第1推進ユニットの両側に配置されている場合について説明した(図3参照)。しかし、第1推進ユニットの数は、2つに限らず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。第2推進ユニットについても同様である。さらに、第1推進ユニットおよび第2推進ユニットの配置は、それぞれの数に応じて適宜設定されてもよい。たとえば、第2推進ユニットは、第1推進ユニットより外側(船体中心とは反対側)に限らず、第1推進ユニットより内側に配置されていてもよい。
【0084】
また、前述の第1実施形態では、船体の底部が、後方から見て左右対称なV字状である場合について説明した。しかし、船体の底部は、左右対称でなくてもよい。さらに、船体の底部は、後方から見てV字状でなくてもよい。具体的には、船体の底部は、たとえば、後方から見て左右対称なU字状であってもよいし、平坦であってもよい。
また、前述の第1実施形態では、第1推進ユニット(エンジン推進ユニット)が、ジェットポンプを備えるジェット推進ユニットである場合について説明した。しかし、第1推進ユニットは、プロペラを備えるプロペラ推進ユニットであってもよい。この場合、プロペラ推進ユニットは、動力源(エンジン)と、動力源の動力をプロペラに伝達する駆動ユニットとが船体内に配置された船内機であってもよい。さらに、プロペラ推進ユニットは、動力源および駆動ユニットが船体の外に配置された船外機であってもよいし、動力源が船体内に配置されており、駆動ユニットが船体の外に配置された船内外機であってもよい。
【0085】
また、第2実施形態では、第2デフレクタ268および第2バケット269が第2推進ユニットに設けられている場合について説明した(図15参照)。しかし、第2デフレクタおよび第2バケットのいずれか一方だけが、第2推進ユニットに設けられていてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 :船舶
2 :船体
5 :第2推進ユニット
6 :操作ユニット
29 :モータECU
30 :電動モータ
30a :出力軸
31 :第2ジェットポンプ
35 :第2インペラ
39 :モータ取付部
40 :第2ドライブシャフト
40a :前端部
40b :後端部
40c :中間部
41 :第2吸水口
41a :第2吸水口の前端
42 :第2噴射口
43 :第2流路
44 :第2ダクト
51 :スペーサー
54 :バッテリー
56 :電力供給ワイヤ
57 :第1貫通孔
58 :第1シール
59 :モータ冷却装置
60 :冷却水配管
61 :ウォータージャケット
201 :船舶
205 :第2推進ユニット
231 :第2ジェットポンプ
301 :船舶
305 :第2推進ユニット
359 :モータ冷却装置
360 :冷却水配管
360a :吐出部
401 :船舶
405A :第2推進ユニット
405B :第2推進ユニット
405C :第2推進ユニット
471 :制御ワイヤ
472 :第2貫通孔
473 :第2シール
475 :共通貫通孔
476 :共通シール
501 :船舶
505 :第2推進ユニット
601A :船舶
601B :船舶
601C :船舶
605 :第2推進ユニット
【技術分野】
【0001】
この発明は、ジェットポンプを備える船舶、およびジェットポンプを備える電動式の船舶推進ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ジェットポンプを備えるジェット推進式の船舶が知られている。特許文献1に記載の船舶(第1船舶および第2船舶)は、ジェットポンプと、ジェットポンプを駆動する電動モータとを備えている。
第1船舶では、ジェットポンプの一部(ダクト)が、船体と一体であり、電動モータが、船体内に配置されている。ジェットポンプと電動モータとは、船体を貫通するドライブシャフトによって連結されている。
【0003】
一方、第2船舶では、電動モータが、ジェットポンプの流路に配置されており、流路内でインペラに連結されている。電動モータは、流路に配置された軸受ケース内に収容されている。ジェットポンプの一部(ダクト)は、船体と一体である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−362488号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
このように、前述の第1船舶では、電動モータが船体内に配置されているので、電動モータとドライブシャフトとを連結する作業を船内で行う必要がある。さらに、ドライブシャフトが挿入される貫通孔が船体に形成されているので、船内への水の進入を防止するために、貫通孔の内周面とドライブシャフトとの間を確実にシールする必要がある。
一方、前述の第2船舶では、電動モータが、ジェットポンプの内部に配置されており、貫通孔が船体に形成されていないので、貫通孔を塞ぐシールを設けなくてもよい。しかしながら、電動モータが、ジェットポンプの内部に配置されているので、電動モータの大きさがジェットポンプによって制限される。そのため、高出力のモータ(大型のモータ)を用いることができない場合がある。
【0006】
そこで、この発明の目的は、船内への水の進入を防止でき、高出力の電動モータを搭載できる船舶および船舶推進ユニットを提供することである。
本発明の一実施形態は、船体と、ジェットポンプと、電動モータとを含む、船舶を提供する。ジェットポンプは、船体の外に配置されている。電動モータは、船体とジェットポンプとの間に配置されており、ジェットポンプを駆動する。ジェットポンプは、吸水口と、吸水口より後方に配置された噴射口と、吸水口と噴射口とを接続する流路とを形成している。ジェットポンプは、吸水口から吸い込んだ水を噴射口から噴射する。船舶は、電動モータを動力源とする電動式の船舶であってもよいし、エンジン(内燃機関)および電動モータを動力源とするハイブリッド式の船舶であってもよい。
【0007】
この構成によれば、ジェットポンプが、船体の外に配置されており、電動モータが、船体とジェットポンプとの間に配置されている。したがって、船体を貫通するシャフトによってジェットポンプと電動モータとを連結しなくてもよい。そのため、シャフトが挿入される貫通孔を船体に設けなくてもよい。これにより、船内への水の進入を防止できる。さらに、電動モータが船体とジェットポンプとの間に配置されているので、電動モータがジェットポンプの内部に配置されている場合よりも大型のモータを電動モータとして用いることができる。これにより、ジェットポンプの最大出力を高めることができる。
【0008】
本発明の一実施形態において、電動モータは、船体およびジェットポンプのいずれか一方に取り付けられていてもよいし、船体およびジェットポンプの両方に取り付けられていてもよい。電動モータがジェットポンプに取り付けられる場合、電動モータは、ジェットポンプに直接取り付けられていてもよいし、中間部材を介してジェットポンプに取り付けられていてもよい。電動モータが船体に取り付けられる場合も同様である。電動モータがジェットポンプに取り付けられる場合、ジェットポンプは、電動モータが取り付けられたモータ取付部を含んでいてもよい。この場合、電動モータは、モータ取付部に直接取り付けられていてもよいし、スペーサーを介してモータ取付部に取り付けられていてもよい。
【0009】
本発明の一実施形態において、ジェットポンプは、流路の少なくとも一部を形成するダクトを含んでいてもよい。この場合、モータ取付部は、ダクトの前方に配置されていてもよい。すなわち、電動モータは、ダクトの前方でジェットポンプに取り付けられていてもよい。
本発明の一実施形態において、モータ取付部は、ダクトと一体であってもよいし、ダクトとは異なる部材であってもよい。モータ取付部がダクトと一体である場合、モータ取付部とダクトとの結合強度を高めることができると共に、部品点数を減少させることができる。
【0010】
本発明の一実施形態において、モータ取付部は、吸水口の前端よりも後方に配置されていてもよい。この場合、モータ取付部が吸水口の上方に配置されていると共に、電動モータの少なくとも一部が吸水口の上方に配置されていてもよい。
本発明の一実施形態において、ジェットポンプおよび電動モータは、個別に船体に取り付けられていてもよいし、一括して船体に取り付けられていてもよい。すなわち、ジェットポンプおよび電動モータは、電動モータがモータ取付部に取り付けられた状態で船体に取り付けられるようにユニット化されていてもよい。この場合、電動モータがジェットポンプに取り付けられているので、ジェットポンプが船体に取り付けられることにより、電動モータが船体に取り付けられる。したがって、船体に対する取り付け作業の負担を低減できる。
【0011】
本発明の一実施形態において、船舶は、モータを冷却するモータ冷却装置をさらに含んでいてもよい。モータ冷却装置は、水冷式の冷却装置であってもよいし、空冷などのその他の形式の冷却装置であってもよい。モータ冷却装置が水冷式の冷却装置である場合、モータ冷却装置は、流路からの水によって電動モータを冷却してもよい。
具体的には、モータ冷却装置は、船体の外で流路から電動モータに向かって延びる冷却水配管を含み、流路から冷却水配管に供給された水によって電動モータを冷却してもよい。この場合、冷却水配管は、流路のインペラより下流の部分から電動モータに延びていてもよい。さらに、モータ冷却装置は、電動モータに取り付けられており、冷却水配管に接続されたウォータージャケットをさらに含んでいてもよい。また、モータ冷却装置は、流路から冷却水配管に供給された水を電動モータに向けて吐出する吐出部をさらに含んでいてもよい。すなわち、モータ冷却装置は、冷却水配管によって導かれた水を吐出部から電動モータに向けて吐出してもよい。
【0012】
本発明の一実施形態において、船舶は、電動モータを制御するモータ制御装置と、モータ制御装置に電力を供給するバッテリーとをさらに含んでいてもよい。さらに、船舶は、モータ制御装置と電動モータとを接続する電力供給ワイヤとをさらに含んでいてもよい。モータ制御装置およびバッテリーは、船体内に配置されていてもよい。この場合、電力供給ワイヤは、船体に形成された第1貫通孔を通じて船体内から船体の外に延びていてもよい。船舶は、第1貫通孔の内周面と電力供給ワイヤとの間を密閉する第1シールをさらに含んでいてもよい。この構成によれば、第1シールによって船内への水の進入を防止できる。具体的には、ドライブシャフトなどの回転体に比べると、電力供給ワイヤは、外径が小さい上に、船体に対して殆ど移動しない。そのため、第1貫通孔の内周面と電力供給ワイヤとの間が確実に密閉される。これにより、船内への水の進入が防止される。
【0013】
本発明の一実施形態において、船舶は、バッテリーと、操船者によって操作される操作ユニットと、電動モータを制御するモータ制御装置とをさらに含んでいてもよい。さらに、船舶は、モータ制御装置とバッテリーとを接続する電力供給ワイヤと、操作ユニットとモータ制御装置とを接続する制御ワイヤとをさらに含んでいてもよい。制御ワイヤは、操作ユニットとモータ制御装置との間で制御信号を伝達するワイヤである。バッテリーおよび操作ユニットは、船体内に配置されていてもよい。モータ制御装置は、電動モータに内蔵されていてもよい。この場合、電力供給ワイヤは、船体に形成された第1貫通孔を通じて船体内から船体の外に延びていてもよい。さらに、制御ワイヤは、船体に形成された第2貫通孔を通じて船体内から船体の外に延びていてもよい。船舶は、第1貫通孔の内周面と電力供給ワイヤとの間を密閉する第1シールと、第2貫通孔の内周面と制御ワイヤとの間を密閉する第2シールとをさらに含んでいてもよい。この構成によれば、第1シールおよび第2シールによって船内への水の進入を確実に防止できる。
【0014】
本発明の一実施形態において、船舶は、バッテリーと、操船者によって操作される操作ユニットと、電動モータを制御するモータ制御装置とをさらに含んでいてもよい。さらに、船舶は、モータ制御装置とバッテリーとを接続する電力供給ワイヤと、操作ユニットとモータ制御装置とを接続する制御ワイヤとをさらに含んでいてもよい。バッテリーおよび操作ユニットは、船体内に配置されていてもよい。モータ制御装置は、電動モータに内蔵されていてもよい。この場合、電力供給ワイヤおよび制御ワイヤは、船体に形成された共通貫通孔を通じて船体内から船体の外に延びていてもよい。船舶は、共通貫通孔の内周面と電力供給ワイヤとの間、および共通貫通孔の内周面と制御ワイヤとの間を密閉する共通シールをさらに含んでいてもよい。この構成によれば、船内への水の進入を確実に防止できると共に、部品点数を低減できる。
【0015】
本発明の一実施形態において、モータ制御装置がバッテリーと電動モータとの間に設けられておらず、電動モータの出力トルクが制御されなくてもよい。具体的には、船舶は、バッテリーと、バッテリーと電動モータとを接続する電力供給ワイヤとをさらに含んでいてもよい。バッテリーは、船体内に配置されていてもよい。この場合、電力供給ワイヤは、船体に形成された第1貫通孔を通じて船体内から船体の外に延びていてもよい。船舶は、第1貫通孔の内周面と電力供給ワイヤとの間を密閉する第1シールをさらに含んでいてもよい。
【0016】
本発明の他の実施形態は、ジェットポンプと、電動モータとを含む、船舶推進ユニットを提供する。ジェットポンプは、吸水口と、吸水口より後方に配置された噴射口と、吸水口と噴射口とを接続する流路とを形成している。ジェットポンプは、流路に配置されたインペラを含む。ジェットポンプは、吸水口から吸い込んだ水を噴射口から噴射する。電動モータは、流路の外に配置されている。電動モータは、ジェットポンプに取り付けられている。電動モータは、インペラを回転駆動する。この構成によれば、前述の効果と同様の効果を奏することができる。
【0017】
本発明の他の実施形態において、ジェットポンプは、流路のインペラより上流の部分の少なくとも一部を形成するダクトと、ダクトの前方に配置されたモータ取付部を含んでいてもよい。この場合、電動モータは、モータ取付部に取り付けられていてもよい。
本発明の他の実施形態において、モータ取付部は、吸水口の前端よりも後方に配置されていてもよい。この場合、モータ取付部は、吸水口の上方に配置されていると共に、電動モータの少なくとも一部が吸水口の上方に配置されていてもよい。
【0018】
本発明の他の実施形態において、モータ取付部は、ダクトと一体であってもよいし、ダクトとは異なる部材であってもよい。
本発明の他の実施形態において、ジェットポンプおよび電動モータは、電動モータがモータ取付部に取り付けられた状態で船体に取り付けられるようにユニット化されていてもよい。
【0019】
本発明の他の実施形態において、船舶推進ユニットは、モータを冷却するモータ冷却装置をさらに含んでいてもよい。モータ冷却装置は、水冷式の冷却装置であってもよいし、空冷などのその他の形式の冷却装置であってもよい。モータ冷却装置が水冷式の冷却装置である場合、モータ冷却装置は、流路からの水によって電動モータを冷却してもよい。
具体的には、モータ冷却装置は、船体の外で流路から電動モータに向かって延びる冷却水配管を含み、流路から冷却水配管に供給された水によって電動モータを冷却してもよい。この場合、冷却水配管は、流路のインペラより下流の部分から電動モータに延びていてもよい。さらに、モータ冷却装置は、電動モータに取り付けられており、冷却水配管に接続されたウォータージャケットをさらに含んでいてもよい。また、モータ冷却装置は、流路から冷却水配管に供給された水を電動モータに向けて吐出する吐出部をさらに含んでいてもよい。
【0020】
本発明の他の実施形態において、船舶推進ユニットは、電動モータの回転をインペラに伝達するドライブシャフトをさらに含んでいてもよい。この場合、ドライブシャフトは、電動モータの出力軸と共に回転する前端部と、インペラと共に回転する後端部とを含んでいてもよい。さらに、ドライブシャフトは、前端部と後端部とを接続しており、ジェットポンプに非接触の中間部をさらに含んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る船舶の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る船舶の一部を破断した平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る船舶の背面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る第1推進ユニットの部分断面図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る第2推進ユニットの断面図である。
【図6】電動モータおよび第2ジェットポンプが取り付けられる前の状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る第2推進ユニットの底面図である。
【図8】第2インペラを含む図5の一部を拡大した図である。
【図9】電動モータを含む図5の一部を拡大した図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る船舶の電気的構成について説明するための図である。
【図11】一対の第1推進ユニットが船舶を前進させるときの模式的な平面図である。
【図12】一対の第1推進ユニットが船舶を前進させながら旋回させるときの模式的な平面図である。
【図13】一対の第2推進ユニットが船舶を前進させるときの模式的な平面図である。
【図14】一対の第2推進ユニットが船舶を前進させながら旋回させるときの模式的な平面図である。
【図15】本発明の第2実施形態に係る第2推進ユニットの断面図である。
【図16】本発明の第3実施形態に係る第2推進ユニットの一部の断面図である。
【図17A】本発明の第4実施形態に係る第2推進ユニットの一部の断面図である。
【図17B】本発明の第4実施形態に係る第2推進ユニットの一部の断面図である。
【図17C】本発明の第4実施形態に係る第2推進ユニットの一部の断面図である。
【図18】本発明の第5実施形態に係る第2推進ユニットの一部の断面図である。
【図19A】本発明の第6実施形態に係る船舶を側方から見た模式図である。
【図19B】本発明の第6実施形態に係る船舶を側方から見た模式図である。
【図19C】本発明の第6実施形態に係る船舶を側方から見た模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、この発明の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。各図では、船舶が水上で静止している静止状態の船舶が示されている。以下の説明における「前後方向」「左右方向(幅方向)」および「上下方向」は、静止状態の船体(ハル:hull)を基準とする方向である。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る船舶1の側面図である。図2は、船舶1の一部を破断した平面図である。図3は、船舶1の背面図である。
【0023】
図1に示すように、船舶1は、船体2と、船体2の上方に配置されたデッキ3とを含む。図2に示すように、船舶1は、船体2を推進させる複数の推進ユニット4、5と、船舶1を操作するために操船者によって操作される操作ユニット6とをさらに含む。操作ユニット6は、船舶1を操舵するために操船者によって操作されるステアリングハンドル7と、推力の調整や進行方向の切替を行うために操船者によって操作される出力調整レバー8とを含む。ステアリングハンドル7および出力調整レバー8は、デッキ3に設けられた操船席に配置されている。複数の推進ユニット4、5は、船体2の後部に取り付けられている。複数の推進ユニット4、5は、エンジン10(図4参照)を動力源とする一対の第1推進ユニット4と、電動モータ30(図5参照)を動力源とする一対の第2推進ユニット5とを含む。第1推進ユニット4および第2推進ユニット5は、いずれもジェット推進ユニットである。第1推進ユニット4および第2推進ユニット5は、互いに独立している。
【0024】
図2に示すように、一対の第1推進ユニット4は、船体2の幅方向に関して船体2の中央部に配置されている。具体的には、第1推進ユニット4は、船体2の後方に水を噴射する第1ノズル24を含む。2つの第1ノズル24は、船体2の中央部で左右対称に配置されている。すなわち、2つの第1ノズル24は、船首と船尾中央とを通る鉛直な平面(船体中心C1)に対して対称に配置されている。したがって、一対の第1推進ユニット4は、船体2の中央部で左右対称に配置されている。また、第2推進ユニット5は、船体2の後方に水を噴射する第2ノズル47を含む。2つの第2ノズル47は、2つの第1ノズル24の両側で左右対称に配置されている。したがって、一対の第2推進ユニット5は、船体2の幅方向に関して船体2の中央部の両側で左右対称に配置されている。
【0025】
図3に示すように、船体2は、底部2aと、底部2aの右端部および左端部から上方に延びる左右一対の側部2bとを含む。底部2aは、たとえば、後方から見て左右対称なV字状である。したがって、底部2aは、船体2を後方から見たときに最も下に位置している中央部2c(キール:keel)と、中央部2cから側部2bに向かって延びる左右一対の傾斜部2dとを含む。傾斜部2dは、外端部(チャイン:chine)が内端部よりも上方に位置するように傾斜している。したがって、底部2aの中央部2cは、傾斜部2dの外端部よりも下方に配置されている。船舶1が前方に滑走している滑走状態では、喫水線WL1がチャインとほぼ同じ高さに位置する。したがって、滑走状態では、中央部2cまでの水深が、チャインまでの水深よりも大きい。
【0026】
図3に示すように、第1推進ユニット4および第2推進ユニット5は、底部2aに配置されている。一対の第1推進ユニット4は、船体中心C1の両側に配置されており、一対の第2推進ユニット5は、一対の第1推進ユニット4よりも側方において船体中心C1の両側に配置されている。したがって、船体中心C1から第2推進ユニット5までの幅方向への距離は、船体中心C1から第1推進ユニット4までの幅方向への距離よりも長い。底部2aが後方視V字状であり、第1推進ユニット4および第2推進ユニット5が底部2aに配置されているから、船体中心C1からの距離(幅方向への距離)が長いほど、ノズル24、47は上方に位置している。したがって、第2ノズル47に加わる水圧は、第1ノズル24に加わる水圧よりも小さい。
【0027】
図4は、本発明の第1実施形態に係る第1推進ユニット4の部分断面図である。
第1推進ユニット4は、エンジンECU9(Electronic control unit)と、エンジン10と、第1ジェットポンプ11と、第1バケット12とを含む。エンジン10は、エンジンECU9によって制御される。エンジン10は、内燃機関である。エンジン10およびエンジンECU9は、船体2の内部に配置されている。第1ジェットポンプ11は、エンジン10の後方に配置されている。第1バケット12は、第1ジェットポンプ11の後端部に取り付けられている。第1ジェットポンプ11は、エンジン10によって駆動される。第1ジェットポンプ11は、船底から水を吸い込んで、この吸い込んだ水を後方に噴射する。第1バケット12は、第1ジェットポンプ11から後方に噴射される水の方向を前向きに変更可能である。
【0028】
第1ジェットポンプ11は、第1流路20を形成する第1形成部材13と、第1流路20に配置された第1インペラ14および第1静翼15と、第1インペラ14に連結された第1ドライブシャフト16とを含む。さらに、第1ジェットポンプ11は、噴流の方向を左右に変更する第1デフレクタ17と、第1形成部材13に取り付けられた第1スクリーン(図示せず)とを含む。第1形成部材13は、船底で下向きに開口する第1吸水口18(first inlet)と、第1吸水口18よりも後方で後向きに開口する第1噴射口19(first outlet)と、第1吸水口18と第1噴射口19とを接続する第1流路20とを形成している。第1形成部材13は、第1吸水口18を形成する第1ダクト21と、第1インペラ14を取り囲む筒状の動翼ハウジング22と、第1静翼15を取り囲む筒状の静翼ハウジング23と、第1噴射口19を形成する第1ノズル24とを含む。
【0029】
第1ドライブシャフト16は、前後方向に延びている。第1ドライブシャフト16の前端部は、カップリング25を介してエンジン10に連結されており、第1ドライブシャフト16の後端部は、複数のベアリング26を介して回転可能に支持されている。第1インペラ14は、第1ドライブシャフト16の後端部よりも前方で第1ドライブシャフト16に連結されている。第1静翼15は、第1インペラ14の後方に配置されており、第1ノズル24は、第1静翼15の後方に配置されている。第1インペラ14は、第1回転軸線A1(第1ドライブシャフト16の中心軸線)を取り囲む複数の羽根(動翼)を含む。同様に、第1静翼15は、第1回転軸線A1を取り囲む複数の羽根を含む。第1インペラ14は、第1流路20に対して第1回転軸線A1まわりに回転可能であり、第1静翼15は、第1流路20に対して固定されている。
【0030】
第1インペラ14は、エンジン10によって、第1ドライブシャフト16と共に第1回転軸線A1まわりに駆動される。第1インペラ14が回転駆動されると、第1吸水口18から第1流路20内に水が吸い込まれ、第1流路20内に吸い込まれた水が、第1インペラ14から第1静翼15に送られる。第1インペラ14によって送られた水が第1静翼15を通過することにより、第1インペラ14の回転によって生じた水流のねじれが低減され、水流が整えられる。したがって、整流された水が、第1静翼15から第1ノズル24に送られる。第1ノズル24は、前後方向に延びる筒状であり、第1ノズル24の後端部の内径は、第1ノズル24の前端部の内径より小さい。第1噴射口19は、第1ノズル24の後端部によって形成されている。したがって、第1ノズル24に送られた水は、第1ノズル24の後端部から後方に噴射される。
【0031】
第1デフレクタ17は、上下方向に延びるデフレクタ回転軸線Ad1まわりに左右に回転可能に第1ノズル24に連結されている。第1デフレクタ17は、中空である。第1噴射口19は、第1デフレクタ17内に配置されている。第1デフレクタ17は、後向きに開口した前進噴射口27と、斜め前向きに開口した後進噴射口28とを形成している。前進噴射口27は、第1噴射口19の後方に配置されており、後進噴射口28は、前進噴射口27よりも下方に配置されている。第1デフレクタ17は、直進位置を中心に第1ノズル24に対して左右に回動可能である。直進位置は、前進噴射口27および後進噴射口28から噴射される水の方向が平面視において前後方向に沿う方向である。第1デフレクタ17は、操船者によってステアリングハンドル7が操作されることにより、デフレクタ回転軸線Ad1まわりに左右に回動する。
【0032】
第1バケット12は、第1デフレクタ17と共にデフレクタ回転軸線Ad1まわりに左右に回動する。第1バケット12は、左右方向に延びるバケット回転軸線Ab1まわりに回転可能に第1デフレクタ17に連結されている。第1バケット12は、後進位置(二点鎖線で示す位置)と、前進位置(実線で示す位置)との間で移動可能である。後進位置は、前進噴射口27を後方から見たときに前進噴射口27が第1バケット12によって覆われる位置であり、前進位置は、前進噴射口27を後方から見たときに前進噴射口27が第1バケット12によって覆われていない位置である。第1バケット12は、操船者によって出力調整レバー8が操作されることにより、前進位置と後進位置とで移動する。
【0033】
第1バケット12が前進位置に配置されている状態では、前進噴射口27が覆われていないので、第1噴射口19から噴射された水は、第1デフレクタ17内を通って、前進噴射口27から後方に噴射される。これにより、前進方向への推力が発生する。したがって、この状態で、第1デフレクタ17がデフレクタ回転軸線Ad1まわりに左右に回動すると、前進噴射口27から噴射される水の噴射方向が左右に変更される。これにより、第1デフレクタ17からの水の噴射方向が前後方向に対して左右に傾けられ、船舶1が前進しながら旋回する。
【0034】
一方、第1バケット12が後進位置に配置されている状態では、前進噴射口27が覆われているので、第1噴射口19から噴射された水は、前進噴射口27から噴射されずに、後進噴射口28から前方に噴射される。これにより、後進方向への推力が発生する。したがって、この状態で、第1デフレクタ17がデフレクタ回転軸線Ad1まわりに左右に回動すると、後進噴射口28から噴射される水の噴射方向が左右に変更される。これにより、第1デフレクタ17からの水の噴射方向が前後方向に対して左右に傾けられ、船舶1が後進しながら旋回する。
【0035】
図5は、本発明の第1実施形態に係る第2推進ユニット5の断面図である。図6は、電動モータ30および第2ジェットポンプ31が取り付けられる前の状態を示す断面図である。図7は、第2推進ユニット5の底面図である。図8は、第2インペラ35を含む図5の一部を拡大した図であり、図9は、電動モータ30を含む図5の一部を拡大した図である。
【0036】
図5に示すように、第2推進ユニット5は、モータECU29と、電動モータ30と、第2ジェットポンプ31とを含む。電動モータ30は、モータECU29によって制御される。電動モータ30は、たとえば、ブラシレスモータである。第2ジェットポンプ31は、船体2の外に配置されており、電動モータ30は、第2ジェットポンプ31と船体2との間に配置されている。電動モータ30および第2ジェットポンプ31は、船体2に形成された収容部2e(凹部)に収容されている。収容部2eは、船底から上方に凹んでいる(図3および図5参照)。第2推進ユニット5は、船体2から独立したユニットであり、船体2とは別の部材によって構成されている。
【0037】
図6に示すように、第2ジェットポンプ31は、電動モータ30が第2ジェットポンプ31に取り付けられた状態で船体2に取り付けられる。すなわち、電動モータ30および第2ジェットポンプ31は、ユニット化されており、船体2に取り付け可能なメインユニットを構成している。図7に示すように、第2ジェットポンプ31は、収容部2eを下方から覆う取付部32を含む。取付部32は、船底の一部を形成している。取付部32は、取付部材の一例である複数のボルト33によって船体2に取り付けられている。これにより、電動モータ30および第2ジェットポンプ31が船体2に取り付けられている。
【0038】
第2ジェットポンプ31は、電動モータ30によって駆動される。第2ジェットポンプ31は、船底から水を吸い込んで、この吸い込んだ水を後方に噴射する。図5に示すように、第2ジェットポンプ31は、第2流路43を形成する第2形成部材34と、第2流路43に配置された第2インペラ35および第2静翼36と、第2インペラ35を回転可能に支持する支持機構37とを含む。さらに、第2ジェットポンプ31は、第2流路43への異物の進入を防止する格子状の第2スクリーン38と、電動モータ30が取り付けられたモータ取付部39と、第2インペラ35と電動モータ30とを間で回転を伝達する第2ドライブシャフト40とを含む。
【0039】
図5に示すように、第2形成部材34は、船底で下向きに開口する第2吸水口41(second inlet)と、第2吸水口41よりも後方で後向きに開口する第2噴射口42(second outlet)と、第2吸水口41と第2噴射口42とを接続する第2流路43とを形成している。第2流路43は、第2吸水口41から斜め上に向かって後方に延びている。第2形成部材34は、第2吸水口41を形成する第2ダクト44と、第2インペラ35を取り囲む筒状の動翼ハウジング45と、第2静翼36を取り囲む筒状の静翼ハウジング46と、第2噴射口42を形成する第2ノズル47とを含む。第2形成部材34は、取付部32と一体であってもよいし、取付部32とは異なる部材であってもよい。また、第2形成部材34の一部(たとえば第2ダクト44)が取付部32と一体であってもよい。
【0040】
図5に示すように、動翼ハウジング45、静翼ハウジング46、および第2ノズル47は、前後方向に延びる筒状である。静翼ハウジング46は、動翼ハウジング45の後方に配置されており、第2ノズル47は、静翼ハウジング46の後方に配置されている。第2ノズル47の後端部の内径は、第2ノズル47の前端部の内径よりも小さい。第2噴射口42は、第2ノズル47の後端部によって形成されている。静翼ハウジング46および第2ノズル47は、第2インペラ35の下流側で第2流路43を形成しており、第2ダクト44は、第2インペラ35の上流側で第2流路43を形成している。第2スクリーン38は、第2ダクト44に取り付けられている。第2スクリーン38は、船底より上方で第2吸水口41に沿って配置されている。第2吸水口41から第2流路43への異物の進入は、第2スクリーン38によって防止される。
【0041】
図8に示すように、第2インペラ35は、第2静翼36および支持機構37より上流側(第2吸水口41側)に配置されている。第2インペラ35は、前後方向に延びる第2回転軸線A2の周囲に配置された複数の羽根(動翼)を含む。同様に、第2静翼36は、第2インペラ35の後方で第2回転軸線A2の周囲に配置された複数の羽根を含む。支持機構37は、前後方向に延びる流線形のハウジング48と、ハウジング48によって回転可能に支持された回転軸49とを含む。ハウジング48は、静翼ハウジング46および第2ノズル47内に配置されている。第2静翼36は、ハウジング48の周囲に配置されている。第2静翼36は、ハウジング48から静翼ハウジング46に延びている。第2静翼36は、ハウジング48および静翼ハウジング46に固定されている。したがって、第2静翼36は、第2流路43に対して回転不能である。ハウジング48は、ハウジング48の内部に配置された複数のベアリング50を介して回転軸49を支持している。回転軸49は、第2回転軸線A2に沿って延びている。回転軸49は、ハウジング48から前方に突出している。第2インペラ35は、たとえばネジによって、回転軸49に連結されている。したがって、第2インペラ35および回転軸49は、第2流路43に対して第2回転軸線A2まわりに回転可能である。
【0042】
一方、図5に示すように、モータ取付部39は、第2ダクト44と船体2との間に配置されている。モータ取付部39は、第2ダクト44と一体であってもよいし、第2ダクト44とは異なる部材であってもよい。第2ダクト44は、斜め上に向かって後方に延びダクト傾斜部44aを含む。モータ取付部39は、ダクト傾斜部44aに結合されている。モータ取付部39は、第2ダクト44の前方に配置されている。したがって、モータ取付部39は、第2インペラ35よりも前方に配置されている。さらに、モータ取付部39は、第2吸水口41の上方に配置されている。したがって、第2吸水口41の前端41aは、モータ取付部39よりも前方に位置している。モータ取付部39は、船体2および第2ジェットポンプ31によって区画されたモータ空間S1に配置されている。同様に、電動モータ30は、モータ空間S1に配置されている。電動モータ30は、筒状のスペーサー51を介してモータ取付部39に取り付けられている。電動モータ30は、出力軸30aが後方に向けられた状態でモータ取付部39に保持されている。電動モータ30の出力軸30aは、第2回転軸線A2上に配置されており、第2ドライブシャフト40と同軸である。電動モータ30は、船舶1の静止状態において水面より下方に配置される。
【0043】
図5に示すように、第2ドライブシャフト40は、電動モータ30と第2インペラ35との間で前後方向に延びている。第2ドライブシャフト40の大部分は、第2流路43に配置されている。第2ドライブシャフト40は、モータ取付部39および第2ダクト44を前後方向に貫通する貫通孔に挿入されている。第2ドライブシャフト40は、電動モータ30の出力軸30aと共に回転する前端部40aと、第2インペラ35と共に回転する後端部40bと、前端部40aと後端部40bとの間に配置された中間部40cとを含む。図9に示すように、前端部40aは、たとえばスプライン軸によって、電動モータ30の出力軸30aに連結されている。前端部40aは、スペーサー51内に挿入されている。前端部40aは、ベアリング52を介してスペーサー51に支持されている。さらに、前端部40aとスペーサー51との間は、環状のシール53によって密閉されている。これにより、第2流路43から電動モータ30の内部への水の進入が防止されている。また、図5に示すように、後端部40bは、たとえばスプライン軸によって、回転軸49に連結されている。前端部40aおよび後端部40bは、中間部40cに結合されている。第2ドライブシャフト40は、中間部40cの外周面が第2ジェットポンプ31に非接触の状態で支持されている。第2ドライブシャフト40は、第1推進ユニット4の第1ドライブシャフト16とは独立しており、第1ドライブシャフト16と平行または略平行である(図2参照)。
【0044】
図9に示すように、第2推進ユニット5は、モータECU29に電力を供給するバッテリー54をさらに含む。モータECU29およびバッテリー54は、船体2内に配置されている。バッテリー54は、電力供給ワイヤ55を介してモータECU29に接続されており、モータECU29は、電力供給ワイヤ56を介して電動モータ30に接続されている。電力供給ワイヤ55および電力供給ワイヤ56は、絶縁体によって被覆された複数本の電線を含む多芯線である。電力供給ワイヤ56は、船体2に形成された第1貫通孔57を通じて船体2内から船体2の外に延びている。第1貫通孔57の内周面と電力供給ワイヤ56との間は、ゴムや樹脂などの弾性材料によって形成された筒状の第1シール58によって密閉されている。バッテリー54の電力は、モータECU29を介して電動モータ30に供給される。モータECU29は、操船者によって出力調整レバー8(図2参照)に入力された出力指令に基づいて電動モータ30に供給される電力を制御する。これにより、第2ジェットポンプ31が電動モータ30によって駆動される。
【0045】
電動モータ30(出力軸30a)は、正転方向および逆転方向に回転可能である。電動モータ30が正転方向(たとえば、後方から見て右回りの方向)に回転すると、第2インペラ35も正転方向に回転する。これにより、第2吸水口41から第2流路43に水が吸い込まれ、吸い込まれた水が第2インペラ35から第2静翼36に送られる。そのため、第2インペラ35の回転によって生じた水流のねじれが低減され、水流が整えられる。したがって、整流された水が、第2静翼36から第2ノズル47に送られ、第2噴射口42から後方に噴射される。これにより、水の噴流が形成され、前進方向への推力が発生する。一方、電動モータ30が逆転方向に回転すると、第2インペラ35も逆転方向に回転する。そのため、第2噴射口42から第2流路43に水が吸い込まれ、吸い込まれた水が第2吸水口41から斜め下に向けて前方に噴射される。これにより、後進方向への推力が発生する。このように、第2推進ユニット5は、第2インペラ35の回転方向を切り替えることにより、推力の方向を変更できるように構成されている。
【0046】
図5に示すように、第2推進ユニット5は、電動モータ30を冷却するモータ冷却装置59をさらに含む。モータ冷却装置59は、船体2の外に配置されている。モータ冷却装置59は、水冷式の冷却装置である。モータ冷却装置59は、船体2と第2ジェットポンプ31との間で第2流路43から電動モータ30に向かって延びる冷却水配管60と、電動モータ30に取り付けられたウォータージャケット61とを含む。冷却水配管60は、第2ジェットポンプ31の上方に配置されている。冷却水配管60の前端部は、ウォータージャケット61の流入口61a(図9参照)に接続されており、冷却水配管60の後端部は、第2インペラ35より下流側で第2流路43に接続されている。冷却水配管60の後端部は、静翼ハウジング46に取り付けられていてもよいし、第2ノズル47に取り付けられていてもよい。
【0047】
第2インペラ35が正転方向に回転すると、第2インペラ35が後方に水を送るので、静翼ハウジング46および第2ノズル47内の水圧が上昇する。これにより、第2流路43内の水が冷却水配管60に送られる。冷却水配管60に送られた水は、流入口61aからウォータージャケット61の内部に流入する。そして、ウォータージャケット61の内部に流入した水は、ウォータージャケット61の流出口61b(図9参照)から排出される。ウォータージャケット61から排出された水は、船体2と取付部32と間の隙間を通ってモータ空間S1から排出される。したがって、電動モータ30が正転方向に回転している間は、冷却水が絶えずウォータージャケット61の内部を流通する。これにより、低温の冷却水が安定してウォータージャケット61に供給される。そのため、電動モータ30が安定して冷却される。
【0048】
図10は、本発明の第1実施形態に係る船舶1の電気的構成について説明するための図である。
船舶1は、船舶1の航走を制御するメインECU62をさらに含む。前述のように、各第1推進ユニット4は、エンジンECU9を含み、各第2推進ユニット5は、モータECU29を含む。エンジンECU9およびモータECU29は、メインECU62に電気的に接続されている。メインECU62は、エンジンECU9およびモータECU29を制御するようにプログラムされている。2つのエンジンECU9は、それぞれ、2つのエンジン10を制御するようにプログラムされており、2つのモータECU29は、それぞれ、2つの電動モータ30を制御するようにプログラムされている。
【0049】
操作ユニット6は、ステアリングハンドル7の操舵位置を検出するハンドル位置検出装置63を含む。ハンドル位置検出装置63は、メインECU62に電気的に接続されている。ステアリングハンドル7は、左最大操舵位置と右最大操舵位置との間で移動可能である。ステアリングハンドル7は、操船者の操作によって、左最大操舵位置と右最大操舵位置との間の任意の位置に配置される。直進位置は、左最大操舵位置と右最大操舵位置との間に設けられている。直進位置は、船舶1を真っすぐに前進または後進させるときに配置される位置である。ステアリングハンドル7は、機械的または電気的に第1デフレクタ17(図4参照)に接続されている。ステアリングハンドル7が直進位置よりも左最大操舵位置側の領域に配置されている状態では、第1デフレクタ17は、左に傾けられている。一方、ステアリングハンドル7が直進位置よりも右最大操舵位置側の領域に配置されている状態では、第1デフレクタ17は、右に傾けられている。
【0050】
操作ユニット6は、さらに、出力調整レバー8のシフト位置を検出するレバー位置検出装置64を含む。レバー位置検出装置64は、メインECU62に電気的に接続されている。出力調整レバー8は、F領域、N領域、およびR領域で移動可能である。N領域は、F領域とR領域の間に設けられている。出力調整レバー8は、操船者の操作によって、F領域、N領域、およびR領域内の任意の位置に配置される。F領域は、船舶1を前進させるときに配置される領域であり、R領域は、船舶1を後進させるときに配置される領域である。出力調整レバー8は、機械的または電気的に第1バケット12(図4参照)に接続されている。出力調整レバー8がF領域に配置されている状態では、第1デフレクタ17の前進噴射口27が第1バケット12によって覆われておらず、出力調整レバー8がR領域に配置されている状態では、第1デフレクタ17の前進噴射口27が第1バケット12によって覆われている。
【0051】
メインECU62は、エンジンECU9およびモータECU29を制御することにより、第1推進ユニット4および第2推進ユニット5の少なくとも一方によって船舶1を推進させる。船舶1は、操船者によって操作される運転モード選択スイッチ65をさらに含む。運転モード選択スイッチ65は、メインECU62に電気的に接続されている。船舶1の運転モードは、操船者が運転モード選択スイッチ65を操作することにより選択される。メインECU62は、操船者によって選択された運転モードで船舶1を運転する。船舶1の運転モードは、マニュアルモードを含む。マニュアルモードは、一対の第1推進ユニット4だけに船舶1を推進させるエンジンモードと、一対の第2推進ユニット5だけに船舶1を推進させる電動モードと、第1推進ユニット4および第2推進ユニット5に船舶1を推進させるアシストモードとを含む。さらに、船舶1の運転モードは、メインECU62がエンジンモード、電動モード、およびアシストモードのうちのいずれか一つを選択する自動選択モードを含む。
【0052】
船舶1は、船舶1の速度を検出する速度検出装置66と、バッテリー54の残量を検出する残量検出装置67とをさらに含む。速度検出装置66および残量検出装置67は、メインECU62に電気的に接続されている。自動選択モードにおいてメインECU62がモードを選択するときの選択基準は、たとえば、船舶1の速度であってもよいし、バッテリー54の残量であってもよい。当然、速度および残量の両方に基づいてモードが選択されてもよいし、速度および残量以外の基準に基づいてモードが選択されてもよい。
【0053】
たとえば、船舶1の速度に基づいてモードが選択される場合、船舶1の速度が所定の第1速度(たとえば、時速5マイル)未満である低速領域では、メインECU62は、一対の第2推進ユニット5だけに船舶1を推進させる(電動モード)。また、船舶1の速度が、第1速度以上で、第1速度よりも大きい第2速度未満である中速領域では、メインECU62は、第1推進ユニット4および第2推進ユニット5に船舶1を推進させる(アシストモード)。また、船舶1の速度が第2速度以上である高速領域では、メインECU62は、一対の第1推進ユニット4だけに船舶1を推進させる(エンジンモード)。第1速度は、一定の速度(定数)であってもよいし、変化する速度(変数)であってもよい。第2速度についても同様である。
【0054】
以下では、マニュアルモードのエンジンモードが選択されている場合と、マニュアルモードの電動モードが選択されている場合とについて説明する。マニュアルモードのエンジンモードが選択されている場合、船舶1は、速度に拘わらず一対の第1推進ユニット4によって推進される。同様に、マニュアルモードの電動モードが選択されている場合、船舶1は、速度に拘わらず一対の第2推進ユニット5によって推進される。アシストモードについては、電動モードとエンジンモードとが並行して行われる場合と同様であるので、その説明を省略する。
【0055】
[エンジンモード]
図11は、一対の第1推進ユニット4が船舶1を前進させるときの模式的な平面図である。
操船者が船舶1を真っすぐに前進させるときには、ステアリングハンドル7が直進位置に配置され、出力調整レバー8がF領域に配置される。したがって、2つの第1デフレクタ17は、前進噴射口27からの水の噴射方向が平面視において前後方向に沿うように配置され、2つの第1バケット12(図4参照)は、前進位置(前進噴射口27が覆われていない位置)に配置される。さらに、メインECU62から2つのエンジンECU9に指令が入力され、2つのエンジン10の出力の大きさが一致するように、2つのエンジンECU9がそれぞれ2つのエンジン10を制御する。これにより、2つの前進噴射口27から平面視において前後方向に沿う方向に水が噴射される。また、2つの前進噴射口27から後方に水が噴射されることにより、水流X1が形成される。2つのエンジン10の出力の大きさが一致しているから、各第1推進ユニット4が発生する推力の大きさも一致している。さらに、一対の第1推進ユニット4は、左右対称に配置されている。したがって、2つの前進噴射口27から後方に水が噴射されることにより、前方向(船体中心C1に平行な方向)への力が船体2に加わり、船舶1は、左右に旋回せずに、真っすぐに前進する。
【0056】
第1推進ユニット4だけで船舶1が推進されている状態では、第2インペラ35(図5参照)の回転による吸引力が発生していないので、吸引力によって第2吸水口41から第2流路43に水が吸い込まれない。しかし、船舶1の航走によって第2吸水口41に水圧が加わるので、この水圧によって、第2吸水口41から第2流路43に水が進入する。すなわち、船舶1の航走によって第2吸水口41から第2流路43に進入する水流X2が形成される。第2流路43に進入した水は、第2噴射口42に向かって流れる。そして、この第2噴射口42に向かって流れる水は、第2インペラ35に圧力(水圧)を加え、第2インペラ35を回転させる。第2インペラ35の回転は、第2ドライブシャフト40を介して電動モータ30に伝達される。これにより、電動モータ30が回転駆動され、電動モータ30が電力を発生する。そのため、電動モータ30が発生した電力がバッテリー54に供給され、バッテリー54が充電される。このように、一対の第2推進ユニット5が推力を発生していない状態で、船舶1が一対の第1推進ユニット4によって推進されているときには、電動モータ30が発電し、バッテリー54が充電される。
【0057】
図12は、一対の第1推進ユニット4が船舶1を前進させながら旋回させるときの模式的な平面図である。
操船者が船舶1を前進させながら旋回させるときには、ステアリングハンドル7が操舵され(直進位置よりも右最大操舵位置側または左最大操舵位置側に配置され)、出力調整レバー8がF領域に配置される。したがって、2つの第1デフレクタ17は、前進噴射口27からの水の噴射方向が平面視において前後方向に対して左右に傾くように配置され、2つの第1バケット12(図4参照)は、前進位置に配置される。さらに、メインECU62から2つのエンジンECU9に指令が入力され、2つのエンジン10の出力の大きさが一致するように、2つのエンジンECU9がそれぞれ2つのエンジン10を制御する。これにより、2つの前進噴射口27から平面視において前後方向に対して傾いた方向に水が噴射される。すなわち、2つの前進噴射口27から後方に水が噴射されることにより、船体2を旋回させる前進方向への力が船体2に加わる。したがって、船舶1は、ステアリングハンドル7の操舵位置に応じた角度で旋回しながら前進する。
【0058】
[電動モード]
図13は、一対の第2推進ユニット5が船舶1を前進させるときの模式的な平面図である。
操船者が船舶1を真っすぐに前進させるときには、ステアリングハンドル7が直進位置に配置され、出力調整レバー8がF領域に配置される。ステアリングハンドル7が直進位置に配置されており、出力調整レバー8がF領域に配置されている状態では、メインECU62から2つのモータECU29に指令が入力され、2つの電動モータ30の出力の大きさが一致するように、2つのモータECU29がそれぞれ2つの電動モータ30を制御する。これにより、2つの第2インペラ35(図5参照)が正転方向に回転駆動され、2つの第2噴射口42から平面視において前後方向に沿う方向に水が噴射される。2つの電動モータ30の出力の大きさが一致しているから、各第2推進ユニット5が発生する推力の大きさも一致している。さらに、一対の第2推進ユニット5は、左右対称に配置されている。したがって、2つの第2噴射口42から後方に水が噴射されることにより、前方向への力が船体2に加わり、船舶1は、左右に旋回せずに、真っすぐに前進する。
【0059】
図14は、一対の第2推進ユニット5が船舶1を前進させながら旋回させるときの模式的な平面図である。
操船者が船舶1を前進させながら旋回させるときには、ステアリングハンドル7が操舵され、出力調整レバー8がF領域に配置される。ステアリングハンドル7が操舵されており、出力調整レバー8がF領域に配置されている状態では、メインECU62から2つのモータECU29に指令が入力され、2つの電動モータ30の出力の大きさが異なるように、2つのモータECU29がそれぞれ2つの電動モータ30を制御する。これにより、2つの第2インペラ35が正転方向に回転駆動され、2つの第2噴射口42から平面視において前後方向に沿う方向に水が噴射される。2つの電動モータ30の出力の大きさが異なっているので、一方の第2推進ユニット5からの推力の大きさと、他方の第2推進ユニット5からの推力の大きさとが異なっている。さらに、一対の第2推進ユニット5は、左右対称に配置されている。そのため、2つの第2噴射口42から後方に水が噴射されることにより、船体2を旋回させる前進方向への力が船体2に加わり、船舶1は、ステアリングハンドル7の操舵位置に応じた角度で旋回しながら前進する。すなわち、メインECU62は、一対の第2推進ユニット5からの推力に差が生じるように2つのモータECU29を制御して、船舶1を旋回させる。
【0060】
以上のように第1実施形態では、第2ジェットポンプ31が、船体2の外に配置されており、電動モータ30が、船体2と第2ジェットポンプ31との間に配置されている。したがって、船体2を貫通するシャフトによって第2ジェットポンプ31と電動モータ30とを連結しなくてもよい。そのため、シャフトと電動モータ30とを船体2内で連結しなくてもよい。さらに、シャフトが挿入される貫通孔を船体2に設けなくてもよいので、船内への水の進入を防止できる。
【0061】
また、電動モータ30が船体2と第2ジェットポンプ31との間に配置されているので、電動モータ30が第2ジェットポンプ31の内部に配置されている場合よりも大型のモータを電動モータ30として用いることができる。これにより、第2ジェットポンプ31の最大出力を高めることができる。
さらに、電動モータ30および第2ジェットポンプ31がユニット化されているので、電動モータ30および第2ジェットポンプ31を個別に船体2に取り付けなくてもよい。したがって、船体2に対する電動モータ30および第2ジェットポンプ31の取付が容易である。しかも、電動モータ30が第2ジェットポンプ31に取り外し可能なので、必要とされる第2推進ユニット5の最大出力に応じて電動モータ30を変更できる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、この発明の第2実施形態について説明する。
この第2実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、噴流の方向を左右に変更する第2デフレクタと、噴流の方向を前後に変更する第2バケットとが、第2推進ユニットに設けられていることである。
【0063】
図15は、本発明の第2実施形態に係る第2推進ユニット205の断面図である。図15において、前述の図1〜図14に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態に係る船舶201は、第1実施形態に係る第2推進ユニット5に代えて、第2推進ユニット205を含む。第2推進ユニット205は、第1実施形態に係る第2推進ユニット5と同様の構成を備えている。すなわち、第2推進ユニット205は、第1実施形態に係る第2ジェットポンプ31に代えて、第2ジェットポンプ231を含む。第2ジェットポンプ231は、第1実施形態に係る第2ジェットポンプ31の構成に加えて、噴流の方向を左右に変更する筒状の第2デフレクタ268を含む。さらに、第2推進ユニット205は、噴流の方向を前後に変更する第2バケット269を含む。
【0064】
第2デフレクタ268は、上下方向に延びるデフレクタ回転軸線Ad2まわりに左右に回転可能に第2ノズル47に連結されている。第2デフレクタ268は、中空である。第2噴射口42は、第2デフレクタ268内に配置されている。第2デフレクタ268は、後向きに開口した前進噴射口270と、斜め前向きに開口した後進噴射口271とを形成している。前進噴射口270は、第2噴射口42の後方に配置されており、後進噴射口271は、前進噴射口270よりも下方に配置されている。第2デフレクタ268は、直進位置を中心に第2ノズル47に対して左右に回動可能である。直進位置は、前進噴射口270および後進噴射口271から噴射される水の方向が平面視において前後方向に沿う方向である。第2デフレクタ268は、操船者によってステアリングハンドル7が操作されることにより、デフレクタ回転軸線Ad2まわりに左右に回動する。これにより、噴流の方向が左右に変更され、船舶201が操舵される。
【0065】
一方、第2バケット269は、第2デフレクタ268と共にデフレクタ回転軸線Ad2まわりに左右に回動する。第2バケット269は、左右方向に延びるバケット回転軸線Ab2まわりに回転可能に第2デフレクタ268に連結されている。第2バケット269は、後進位置(二点鎖線で示す位置)と、前進位置(一点鎖線で示す位置)との間で移動可能である。後進位置は、前進噴射口270を後方から見たときに前進噴射口270が第2バケット269によって覆われる位置であり、前進位置は、前進噴射口270を後方から見たときに前進噴射口270が第2バケット269によって覆われていない位置である。後進噴射口271は、第2バケット269が後進位置に配置されているときに水を噴射する。第2バケット269は、操船者によって出力調整レバー8(図2参照)が操作されることにより、前進位置と後進位置との間を移動する。これにより、噴流の方向が前後に変更され、船舶201の進行方向が切り替えられる。
【0066】
[第3実施形態]
次に、この発明の第3実施形態について説明する。
この第3実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、第2ジェットポンプから送られてきた水を電動モータに向けて吐出する吐出部が、モータ冷却装置に設けられていることである。
【0067】
図16は、本発明の第3実施形態に係る第2推進ユニット305の一部の断面図である。図16において、前述の図1〜図15に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
第3実施形態に係る船舶301は、第1実施形態に係る船舶1と同様の構成を備えている。すなわち、船舶301は、第1実施形態に係る第2推進ユニット5に代えて、第2推進ユニット305を含む。第2推進ユニット305は、モータ冷却装置を除き、第1実施形態に係る第2推進ユニット5と同様の構成を備えている。すなわち、第2推進ユニット305は、第1実施形態に係るモータ冷却装置59に代えて、モータ冷却装置359を含む。モータ冷却装置359は、船体2と第2ジェットポンプ31との間で第2流路43から電動モータ30に向かって延びる冷却水配管360を含む。冷却水配管360は、第2ジェットポンプ31の上方に配置されている。冷却水配管360は、第2流路43から冷却水配管360に供給された冷却水を電動モータ30に向けて吐出する吐出部360aを含む。第2インペラ35(図5参照)が正転方向に回転すると、吐出部360aから電動モータ30に向けて冷却水が吐出される。これにより、電動モータ30が冷却される。
【0068】
[第4実施形態]
次に、この発明の第4実施形態について説明する。
この第4実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、モータECUの配置、および電動モータに関連する配線状態が異なることである。
図17A、図17B、および図17Cは、本発明の第4実施形態に係る第2推進ユニット405A、405B、405Cの一部の断面図である。図17A、図17B、および図17Cにおいて、前述の図1〜図16に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0069】
第4実施形態に係る船舶401は、第1実施形態に係る船舶1と同様の構成を備えている。すなわち、第1実施形態では、モータECU29が、船体2内に配置されている場合について説明した。しかし、図17Aおよび図17Bに示すように、モータECU29は、船体2の外に配置されていてもよい。また、電動モータ30の出力トルクを制御しない場合には、図17Cに示すように、電動モータ30とバッテリー54との間にモータECU29が設けられていなくてもよい。
【0070】
具体的には、図17Aに示す第2推進ユニット405Aでは、モータECU29は、電動モータ30に内蔵されている。モータECU29および電動モータ30は、電気的に接続されている。モータECU29は、電力供給ワイヤ56によってバッテリー54に接続されている。さらに、モータECU29は、制御ワイヤ471によって操作ユニット6に接続されている。モータECU29は、操作ユニット6に直接接続されていてもよいし、メインECU62(図10参照)などの中継装置を介して操作ユニット6に接続されていてもよい。すなわち、中継装置が、モータECU29と操作ユニット6との間で制御ワイヤ471に取り付けられていてもよい。
【0071】
制御ワイヤ471は、絶縁体によって被覆された複数本の電線を含む多芯線である。制御ワイヤ471は、操作ユニット6とモータECU29との間で制御信号を伝達する。図17Aに示すように、電力供給ワイヤ56は、船体2に形成された第1貫通孔57を通じて船体2内から船体2の外に延びている。第1貫通孔57の内周面と電力供給ワイヤ56との間は、筒状の第1シール58によって密閉されている。同様に、制御ワイヤ471は、船体2に形成された第2貫通孔472を通じて船体2内から船体2の外に延びている。第2貫通孔472の内周面と制御ワイヤ471との間は、弾性材料によって形成された筒状の第2シール473によって密閉されている。
【0072】
また、図17Bに示す第2推進ユニット405Bでは、モータECU29は、電動モータ30に内蔵されている。モータECU29および電動モータ30は、電気的に接続されている。モータECU29は、電力供給ワイヤ56によってバッテリー54に接続されている。さらに、モータECU29は、制御ワイヤ471によって操作ユニット6に接続されている。モータECU29は、操作ユニット6に直接接続されていてもよいし、中継装置を介して操作ユニット6に接続されていてもよい。電力供給ワイヤ56および制御ワイヤ471は、筒状の絶縁体474によって被覆されている。電力供給ワイヤ56、制御ワイヤ471、および絶縁体474は、集合ワイヤを構成している。集合ワイヤは、船体2に形成された共通貫通孔475を通じて船体2内から船体2の外に延びている。共通貫通孔475の内周面と集合ワイヤとの間は、弾性材料によって形成された筒状の共通シール476によって密閉されている。したがって、共通貫通孔475の内周面と電力供給ワイヤ56との間、および共通貫通孔475の内周面と制御ワイヤ471との間は、共通シール476によって密閉されている。
【0073】
また、図17Cに示す第2推進ユニット405Cでは、電動モータ30が、電力供給ワイヤ56によってバッテリー54に接続されている。電力供給ワイヤ56は、船体2に形成された第1貫通孔57を通じて船体2内から船体2の外に延びている。第1貫通孔57の内周面と電力供給ワイヤ56との間は、筒状の第1シール58によって密閉されている。第2推進ユニット405Cは、電力供給ワイヤ56に取り付けられたスイッチ477を含む。第2推進ユニット405Cは、電力供給ワイヤ56に取り付けられた変圧器をさらに含んでいてもよい。スイッチ477は、操船者によって操作される。電動モータ30とバッテリー54とを接続する電気回路は、スイッチ477によって開閉される。
【0074】
[第5実施形態]
次に、この発明の第5実施形態について説明する。
この第5実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、電動モータからの回転を減速させた状態で第2ドライブシャフトに伝達する減速装置が、第2推進ユニットに設けられていることである。
【0075】
図18は、本発明の第5実施形態に係る第2推進ユニット505の一部の断面図である。図18において、前述の図1〜図17Cに示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
第5実施形態に係る船舶501は、第1実施形態に係る船舶1の構成と同様の構成を備えている。すなわち、船舶501は、第1実施形態に係る第2推進ユニット5に代えて、第2推進ユニット505を含む。第2推進ユニット505は、第1実施形態に係る第2推進ユニット5の構成に加えて、電動モータ30の回転を第2ドライブシャフト40に伝達する減速装置578と、減速装置578を覆うギヤハウジング579とを含む。減速装置578は、複数の歯車を含む歯車伝達装置であってもよいし、無端状のベルトおよび複数のプーリーを含むベルト伝達装置であってもよい。図18では、減速装置578が、歯車伝達装置である場合を示している。
【0076】
図18に示す減速装置578は、電動モータ30の出力軸30aに連結された駆動ギヤ580と、第2ドライブシャフト40に連結された従動ギヤ581とを含む。駆動ギヤ580および従動ギヤ581は、互いに噛み合っていてもよいし、駆動ギヤ580および従動ギヤ581との間で回転を伝達する中間ギヤ582(idle gear)に噛み合っていてもよい。駆動ギヤ580、従動ギヤ581、および中間ギヤ582は、ギヤハウジング579内に配置されている。電動モータ30は、ギヤハウジング579を介してモータ取付部39に取り付けられている。
【0077】
電動モータ30の出力軸30aは、第2ドライブシャフト40と平行に配置されている。電動モータ30の出力軸30aは、第2ドライブシャフト40より上方または下方に配置されていてもよいし、第2ドライブシャフト40より右方または左方に配置されていてもよい。電動モータ30の回転は、減速装置578によって減速された状態で第2ドライブシャフト40に伝達される。したがって、電動モータ30の出力トルクは、増幅された状態で第2ドライブシャフト40に伝達される。そのため、第2推進ユニット505の最大出力を増加させることができる。
【0078】
[第6実施形態]
次に、この発明の第6実施形態について説明する。
この第6実施形態と前述の第1実施形態との主要な相違点は、船舶が、ハイブリッド式ではなく、電動式であることである。
図19A、図19B、および図19Cは、本発明の第6実施形態に係る船舶601A、601B、601Cを側方から見た模式図である。図19A〜図19Cにおいて、前述の図1〜図18に示された各部と同等の構成部分については、図1等と同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0079】
第1実施形態では、船舶が、エンジンを動力源とする第1推進ユニットと、電動モータを動力源とする第2推進ユニットとを備えるボートである場合について説明した。しかし、図19A、図19B、および図19Cに示すように、船舶は、電動モータを動力源とする推進ユニットを備えており、エンジンを動力源とする推進ユニットを備えていなくてもよい。さらに、船舶は、PWC(personal watercraft)であってもよいし、カヤック(kayak)であってもよいし、ボート、PWC、およびカヤック以外の船舶であってもよい。
【0080】
具体的には、図19Aに示す船舶601Aは、電動モータ30を動力源とする電動ボートである。図19Bに示す船舶601Bは、電動モータ30を動力源とする電動式のPWCである。PWCは、図19Bに示す立ち乗り式のPWCであってもよいし、鞍型のシートを備えるPWCであってもよい。また、図19Cに示す船舶601Cは、電動モータ30を動力源とする電動式のカヤックである。
【0081】
図示はしないが、いずれの船舶601A、601B、601Cも、推力の調整を行うために操船者によって操作される出力調整レバーを含む。さらに、船舶601A、601B、601Cは、船舶601A、601B、601Cを操舵するために操船者によって操作されるステアリングハンドル7を備えている。図19Cに示す船舶601Cのステアリングハンドル7は、船体2内で左右方向に延びるレバーである。
【0082】
図19A、図19B、および図19Cに示すように、船舶601A、601B、601Cは、第2推進ユニット605と、第2推進ユニット605に電力を供給するバッテリー54とを含む。第2推進ユニット605は、第1実施形態に係る第2推進ユニット5と同様の構成を備えている。すなわち、第2推進ユニット605は、第1実施形態に係る第2ジェットポンプ31に代えて、第2ジェットポンプ631を含む。第2ジェットポンプ631は、第1実施形態に係る第2ジェットポンプ31の構成に加えて、第2ノズル47から噴射された噴流の方向を変更する第2デフレクタ268を含む。第2デフレクタ268は、操船者によるステアリングハンドル7の操作に連動して、デフレクタ回転軸線Ad2(図15参照)まわりに左右に回動する。これにより、噴流の方向が変更され、船舶601A、601B、601Cが操舵される。
【0083】
[他の実施形態]
この発明の第1〜第6実施形態の説明は以上であるが、この発明は、前述の第1〜第6実施形態の内容に限定されるものではなく、請求項記載の範囲内において種々の変更が可能である。
たとえば、前述の第1実施形態では、第1推進ユニットおよび第2推進ユニットが2つずつ設けられており、一対の第2推進ユニットが、船体の幅方向に関して一対の第1推進ユニットの両側に配置されている場合について説明した(図3参照)。しかし、第1推進ユニットの数は、2つに限らず、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。第2推進ユニットについても同様である。さらに、第1推進ユニットおよび第2推進ユニットの配置は、それぞれの数に応じて適宜設定されてもよい。たとえば、第2推進ユニットは、第1推進ユニットより外側(船体中心とは反対側)に限らず、第1推進ユニットより内側に配置されていてもよい。
【0084】
また、前述の第1実施形態では、船体の底部が、後方から見て左右対称なV字状である場合について説明した。しかし、船体の底部は、左右対称でなくてもよい。さらに、船体の底部は、後方から見てV字状でなくてもよい。具体的には、船体の底部は、たとえば、後方から見て左右対称なU字状であってもよいし、平坦であってもよい。
また、前述の第1実施形態では、第1推進ユニット(エンジン推進ユニット)が、ジェットポンプを備えるジェット推進ユニットである場合について説明した。しかし、第1推進ユニットは、プロペラを備えるプロペラ推進ユニットであってもよい。この場合、プロペラ推進ユニットは、動力源(エンジン)と、動力源の動力をプロペラに伝達する駆動ユニットとが船体内に配置された船内機であってもよい。さらに、プロペラ推進ユニットは、動力源および駆動ユニットが船体の外に配置された船外機であってもよいし、動力源が船体内に配置されており、駆動ユニットが船体の外に配置された船内外機であってもよい。
【0085】
また、第2実施形態では、第2デフレクタ268および第2バケット269が第2推進ユニットに設けられている場合について説明した(図15参照)。しかし、第2デフレクタおよび第2バケットのいずれか一方だけが、第2推進ユニットに設けられていてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0086】
1 :船舶
2 :船体
5 :第2推進ユニット
6 :操作ユニット
29 :モータECU
30 :電動モータ
30a :出力軸
31 :第2ジェットポンプ
35 :第2インペラ
39 :モータ取付部
40 :第2ドライブシャフト
40a :前端部
40b :後端部
40c :中間部
41 :第2吸水口
41a :第2吸水口の前端
42 :第2噴射口
43 :第2流路
44 :第2ダクト
51 :スペーサー
54 :バッテリー
56 :電力供給ワイヤ
57 :第1貫通孔
58 :第1シール
59 :モータ冷却装置
60 :冷却水配管
61 :ウォータージャケット
201 :船舶
205 :第2推進ユニット
231 :第2ジェットポンプ
301 :船舶
305 :第2推進ユニット
359 :モータ冷却装置
360 :冷却水配管
360a :吐出部
401 :船舶
405A :第2推進ユニット
405B :第2推進ユニット
405C :第2推進ユニット
471 :制御ワイヤ
472 :第2貫通孔
473 :第2シール
475 :共通貫通孔
476 :共通シール
501 :船舶
505 :第2推進ユニット
601A :船舶
601B :船舶
601C :船舶
605 :第2推進ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船体と、
前記船体の外に配置されており、吸水口と、前記吸水口より後方に配置された噴射口と、前記吸水口と前記噴射口とを接続する流路とを形成しており、前記吸水口から吸い込んだ水を前記噴射口から噴射するジェットポンプと、
前記船体と前記ジェットポンプとの間に配置されており、前記ジェットポンプを駆動する電動モータとを含む、船舶。
【請求項2】
前記ジェットポンプは、前記電動モータが取り付けられたモータ取付部を含む、請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記ジェットポンプは、前記流路の少なくとも一部を形成するダクトを含み、
前記モータ取付部は、前記ダクトの前方に配置されている、請求項2に記載の船舶。
【請求項4】
前記モータ取付部は、前記ダクトと一体である、請求項3に記載の船舶。
【請求項5】
前記モータ取付部は、前記吸水口の前端よりも後方に配置されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項6】
前記ジェットポンプおよび電動モータは、前記電動モータが前記モータ取付部に取り付けられた状態で前記船体に取り付けられるようにユニット化されている、請求項2〜5のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項7】
前記電動モータは、スペーサーを介して前記モータ取付部に取り付けられている、請求項2〜6のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項8】
前記船体の外で前記流路から前記電動モータに向かって延びる冷却水配管を含み、前記流路から前記冷却水配管に供給された水によって前記電動モータを冷却するモータ冷却装置をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項9】
前記モータ冷却装置は、前記電動モータに取り付けられており、前記冷却水配管に接続されたウォータージャケットをさらに含む、請求項8に記載の船舶。
【請求項10】
前記冷却水配管は、前記流路から前記冷却水配管に供給された水を前記電動モータに向けて吐出する吐出部をさらに含む、請求項8に記載の船舶。
【請求項11】
前記船体内に配置されており、前記電動モータを制御するモータ制御装置と、
前記船体内に配置されており、前記モータ制御装置に電力を供給するバッテリーと、
前記船体に形成された第1貫通孔を通じて前記船体内から前記船体の外に延びており、前記モータ制御装置と前記電動モータとを接続する電力供給ワイヤと、
前記第1貫通孔の内周面と前記電力供給ワイヤとの間を密閉する第1シールとをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項12】
前記船体内に配置されたバッテリーと、
前記船体内に配置されており、操船者によって操作される操作ユニットと、
前記電動モータに内蔵されており、前記電動モータを制御するモータ制御装置と、
前記船体に形成された第1貫通孔を通じて前記船体内から前記船体の外に延びており、前記モータ制御装置と前記バッテリーとを接続する電力供給ワイヤと、
前記船体に形成された第2貫通孔を通じて前記船体内から前記船体の外に延びており、前記操作ユニットと前記モータ制御装置とを接続しており、前記操作ユニットと前記モータ制御装置との間で制御信号を伝達する制御ワイヤと、
前記第1貫通孔の内周面と前記電力供給ワイヤとの間を密閉する第1シールと、
前記第2貫通孔の内周面と前記制御ワイヤとの間を密閉する第2シールとをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項13】
前記船体内に配置されたバッテリーと、
前記船体内に配置されており、操船者によって操作される操作ユニットと、
前記電動モータに内蔵されており、前記電動モータを制御するモータ制御装置と、
前記船体に形成された共通貫通孔を通じて前記船体内から前記船体の外に延びており、前記モータ制御装置と前記バッテリーとを接続する電力供給ワイヤと、
前記共通貫通孔を通じて前記船体内から前記船体の外に延びており、前記操作ユニットと前記モータ制御装置とを接続しており、前記操作ユニットと前記モータ制御装置との間で制御信号を伝達する制御ワイヤと、
前記共通貫通孔の内周面と前記電力供給ワイヤとの間、および前記共通貫通孔の内周面と前記制御ワイヤとの間を密閉する共通シールとをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項14】
前記船体内に配置されたバッテリーと、
前記船体に形成された第1貫通孔を通じて前記船体内から前記船体の外に延びており、前記バッテリーと前記電動モータとを接続する電力供給ワイヤと、
前記第1貫通孔の内周面と前記電力供給ワイヤとの間を密閉する第1シールとをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項15】
吸水口と、前記吸水口より後方に配置された噴射口と、前記吸水口と前記噴射口とを接続する流路とを形成しており、前記流路に配置されたインペラを含み、前記吸水口から吸い込んだ水を前記噴射口から噴射するジェットポンプと、
前記流路の外に配置されていると共に、前記ジェットポンプに取り付けられており、前記インペラを回転駆動する電動モータとを含む、船舶推進ユニット。
【請求項16】
前記ジェットポンプは、前記流路の前記インペラより上流の部分の少なくとも一部を形成するダクトと、前記ダクトの前方に配置されたモータ取付部を含み、前記モータ取付部に前記電動モータが取り付けられている、請求項15に記載の船舶推進ユニット。
【請求項17】
前記モータ取付部は、前記吸水口の前端よりも後方に配置されている、請求項16に記載の船舶推進ユニット。
【請求項18】
前記モータ取付部は、前記ダクトと一体である、請求項16または17に記載の船舶推進ユニット。
【請求項19】
前記ジェットポンプおよび電動モータは、前記電動モータが前記ジェットポンプに取り付けられた状態で船体に取り付けられるようにユニット化されている、請求項15〜18のいずれか一項に記載の船舶推進ユニット。
【請求項20】
前記流路から前記電動モータに向かって延びる冷却水配管を含み、前記流路から前記冷却水配管に供給された水によって前記電動モータを冷却するモータ冷却装置をさらに含む、請求項15〜19のいずれか一項に記載の船舶推進ユニット。
【請求項21】
前記冷却水配管は、前記流路の前記インペラより下流の部分から前記電動モータに延びている、請求項20に記載の船舶推進ユニット。
【請求項22】
前記モータ冷却装置は、前記電動モータに取り付けられており、前記冷却水配管に接続されたウォータージャケットをさらに含む、請求項20または21に記載の船舶推進ユニット。
【請求項23】
前記冷却水配管は、前記流路から前記冷却水配管に供給された水を前記電動モータに向けて吐出する吐出部を含む、請求項20または21に記載の船舶推進ユニット。
【請求項24】
前記電動モータの出力軸と共に回転する前端部と、前記インペラと共に回転する後端部とを含み、前記電動モータの回転を前記インペラに伝達するドライブシャフトをさらに含む、請求項15〜23のいずれか一項に記載の船舶推進ユニット。
【請求項25】
前記ドライブシャフトは、前記前端部と前記後端部とを接続しており、前記ジェットポンプに非接触の中間部をさらに含む、請求項24に記載の船舶推進ユニット。
【請求項1】
船体と、
前記船体の外に配置されており、吸水口と、前記吸水口より後方に配置された噴射口と、前記吸水口と前記噴射口とを接続する流路とを形成しており、前記吸水口から吸い込んだ水を前記噴射口から噴射するジェットポンプと、
前記船体と前記ジェットポンプとの間に配置されており、前記ジェットポンプを駆動する電動モータとを含む、船舶。
【請求項2】
前記ジェットポンプは、前記電動モータが取り付けられたモータ取付部を含む、請求項1に記載の船舶。
【請求項3】
前記ジェットポンプは、前記流路の少なくとも一部を形成するダクトを含み、
前記モータ取付部は、前記ダクトの前方に配置されている、請求項2に記載の船舶。
【請求項4】
前記モータ取付部は、前記ダクトと一体である、請求項3に記載の船舶。
【請求項5】
前記モータ取付部は、前記吸水口の前端よりも後方に配置されている、請求項2〜4のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項6】
前記ジェットポンプおよび電動モータは、前記電動モータが前記モータ取付部に取り付けられた状態で前記船体に取り付けられるようにユニット化されている、請求項2〜5のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項7】
前記電動モータは、スペーサーを介して前記モータ取付部に取り付けられている、請求項2〜6のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項8】
前記船体の外で前記流路から前記電動モータに向かって延びる冷却水配管を含み、前記流路から前記冷却水配管に供給された水によって前記電動モータを冷却するモータ冷却装置をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項9】
前記モータ冷却装置は、前記電動モータに取り付けられており、前記冷却水配管に接続されたウォータージャケットをさらに含む、請求項8に記載の船舶。
【請求項10】
前記冷却水配管は、前記流路から前記冷却水配管に供給された水を前記電動モータに向けて吐出する吐出部をさらに含む、請求項8に記載の船舶。
【請求項11】
前記船体内に配置されており、前記電動モータを制御するモータ制御装置と、
前記船体内に配置されており、前記モータ制御装置に電力を供給するバッテリーと、
前記船体に形成された第1貫通孔を通じて前記船体内から前記船体の外に延びており、前記モータ制御装置と前記電動モータとを接続する電力供給ワイヤと、
前記第1貫通孔の内周面と前記電力供給ワイヤとの間を密閉する第1シールとをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項12】
前記船体内に配置されたバッテリーと、
前記船体内に配置されており、操船者によって操作される操作ユニットと、
前記電動モータに内蔵されており、前記電動モータを制御するモータ制御装置と、
前記船体に形成された第1貫通孔を通じて前記船体内から前記船体の外に延びており、前記モータ制御装置と前記バッテリーとを接続する電力供給ワイヤと、
前記船体に形成された第2貫通孔を通じて前記船体内から前記船体の外に延びており、前記操作ユニットと前記モータ制御装置とを接続しており、前記操作ユニットと前記モータ制御装置との間で制御信号を伝達する制御ワイヤと、
前記第1貫通孔の内周面と前記電力供給ワイヤとの間を密閉する第1シールと、
前記第2貫通孔の内周面と前記制御ワイヤとの間を密閉する第2シールとをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項13】
前記船体内に配置されたバッテリーと、
前記船体内に配置されており、操船者によって操作される操作ユニットと、
前記電動モータに内蔵されており、前記電動モータを制御するモータ制御装置と、
前記船体に形成された共通貫通孔を通じて前記船体内から前記船体の外に延びており、前記モータ制御装置と前記バッテリーとを接続する電力供給ワイヤと、
前記共通貫通孔を通じて前記船体内から前記船体の外に延びており、前記操作ユニットと前記モータ制御装置とを接続しており、前記操作ユニットと前記モータ制御装置との間で制御信号を伝達する制御ワイヤと、
前記共通貫通孔の内周面と前記電力供給ワイヤとの間、および前記共通貫通孔の内周面と前記制御ワイヤとの間を密閉する共通シールとをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項14】
前記船体内に配置されたバッテリーと、
前記船体に形成された第1貫通孔を通じて前記船体内から前記船体の外に延びており、前記バッテリーと前記電動モータとを接続する電力供給ワイヤと、
前記第1貫通孔の内周面と前記電力供給ワイヤとの間を密閉する第1シールとをさらに含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載の船舶。
【請求項15】
吸水口と、前記吸水口より後方に配置された噴射口と、前記吸水口と前記噴射口とを接続する流路とを形成しており、前記流路に配置されたインペラを含み、前記吸水口から吸い込んだ水を前記噴射口から噴射するジェットポンプと、
前記流路の外に配置されていると共に、前記ジェットポンプに取り付けられており、前記インペラを回転駆動する電動モータとを含む、船舶推進ユニット。
【請求項16】
前記ジェットポンプは、前記流路の前記インペラより上流の部分の少なくとも一部を形成するダクトと、前記ダクトの前方に配置されたモータ取付部を含み、前記モータ取付部に前記電動モータが取り付けられている、請求項15に記載の船舶推進ユニット。
【請求項17】
前記モータ取付部は、前記吸水口の前端よりも後方に配置されている、請求項16に記載の船舶推進ユニット。
【請求項18】
前記モータ取付部は、前記ダクトと一体である、請求項16または17に記載の船舶推進ユニット。
【請求項19】
前記ジェットポンプおよび電動モータは、前記電動モータが前記ジェットポンプに取り付けられた状態で船体に取り付けられるようにユニット化されている、請求項15〜18のいずれか一項に記載の船舶推進ユニット。
【請求項20】
前記流路から前記電動モータに向かって延びる冷却水配管を含み、前記流路から前記冷却水配管に供給された水によって前記電動モータを冷却するモータ冷却装置をさらに含む、請求項15〜19のいずれか一項に記載の船舶推進ユニット。
【請求項21】
前記冷却水配管は、前記流路の前記インペラより下流の部分から前記電動モータに延びている、請求項20に記載の船舶推進ユニット。
【請求項22】
前記モータ冷却装置は、前記電動モータに取り付けられており、前記冷却水配管に接続されたウォータージャケットをさらに含む、請求項20または21に記載の船舶推進ユニット。
【請求項23】
前記冷却水配管は、前記流路から前記冷却水配管に供給された水を前記電動モータに向けて吐出する吐出部を含む、請求項20または21に記載の船舶推進ユニット。
【請求項24】
前記電動モータの出力軸と共に回転する前端部と、前記インペラと共に回転する後端部とを含み、前記電動モータの回転を前記インペラに伝達するドライブシャフトをさらに含む、請求項15〜23のいずれか一項に記載の船舶推進ユニット。
【請求項25】
前記ドライブシャフトは、前記前端部と前記後端部とを接続しており、前記ジェットポンプに非接触の中間部をさらに含む、請求項24に記載の船舶推進ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図18】
【図19A】
【図19B】
【図19C】
【公開番号】特開2013−107596(P2013−107596A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256432(P2011−256432)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]