説明

船舶の燃料油供給システムに使用する油ポンプ

【課題】船舶の燃料油供給システムに使用する油ポンプでは、高温化、高圧化が進み油ポンプ主動軸のシール部の軸封装置での問題が多く発生している。軸封装置からの油漏れをなくして、環境性の向上、信頼性を高め、安全なものとする。
【解決手段】油ポンプにおいて、ポンプ本体の主動軸と電動機の出力軸の接続部にマグネットカップリングを採用することで油が漏洩することなく電動機の動力をポンプの主動軸に伝達する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の燃料油供給システムに使用する油ポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この発明は、船舶におけるディーゼル機関の燃料油供給システムで使用するC重油用油ポンプは、主動軸シール部の軸封装置としてグランドパッキンによるものや、さらにグランド部よりの漏洩を高精度で防ぐ目的で多くメカニカルシールが使用されている。
【0003】
しかし、ディーゼル機関ではC重油が使用されているが、ディーゼル機関製造メーカーから使用する燃料油粘度の使用制限があり、その油の粘度を管理するには、燃料油粘度を規定範囲内に管理するために燃料油温度を約120〜140℃、圧力は約1MPaと高温、高圧で使用されている。
【0004】
従来の高温、高圧で燃料油に使用されている油ポンプでは、主動軸の軸封装置としてグランドパッキンまたは、軸封性能の高いメカニカルシールを用いているが、それでも、シール部から油分はもれる可能性がある。
【0005】
一般に船舶に使用されるC重油では油の引火点は65℃以上と規制されているが、約100℃程度引火点の油が多く使用されているが、主動軸シール部から油が漏洩した場合では高温、高圧の油の状態では噴霧状となると発火する危険性が高い、フランジなどについては接続部にバンドなど設けることで噴霧状態になるのを防ぐ対策が施工されているが、しかし従来の油ポンプでは主動軸の軸封装置に漏洩対策が急がれている。
【0006】
従来の油ポンプの主動軸の軸封装置としてグランドパッキンまたは、軸封性能の高いメカニカルシールとしても、軸がポンプ本体を貫通している限り、グランドパッキン、メカニカルシールに於いてもポンプ使用中に圧力変動で軸封部から漏洩する弱点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−187114 高圧燃料ポンプ及び高圧燃料ポンプ用シールシステム
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の如く従来の技術に係わる船舶における燃料油に使用する油ポンプの主動軸の軸封装置は、グランドパッキン又はメカニカルシールを用いてポンプ内部油の内部圧力を保つように主動軸部を軸封しているのが主流であるが、近年、特に地球環境にたいして油の排出規制が非常に厳しくなり、ポンプ自身からの油の漏洩することが問題視されている、また、油ポンプは高温化、高圧化して使用する場合が多くなっている漏洩すると大きな事故となる可能性がある、安全面からも軸からの漏れを無くすることが望まれている。
【0009】
本発明は、ディーゼル機関の燃料油供給システムに使用されている油ポンプ主動軸の軸封部からの油漏洩する点を考慮して油が漏洩しない油ポンプを開発したものであり、従来では、油ポンプ主動軸と電動機等の動力出力軸はカップリングを介して動力を伝えていた為に、油ポンプ主動軸の軸封部からの油を漏洩しないように軸封装置が必要としていたが、本発明の伝達方式は軸を直接カップリングで接続することなく、間接に動力を伝達することで、主動軸の軸封装置が無くして磁力で動力を伝達することで油ポンプから油の漏洩をなくしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のディーゼル機関の燃料油供給システムに使用されている油ポンプは、ポンプ主動軸端に磁石装着された内ローターを取付け、その内ローターの磁石外周を磁力が通る材料で製作されたシュラウンドのフランジ部を油ポンプ内部の油を密封するようにポンプ本体に締結取り付け、該油ポンプ主動軸端に取り付けられた内ローターに相対する位置に電動機等の動力出力軸端に磁石装着した外ローターを取付け磁力が該シュラウンドを通して内ローターと外ローターが引き合うことで、油ポンプ主動軸と電動機等の動力出力軸を同期伝達をおこない、油を完全に油ポンプ内に密封することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、ディーゼル機関の燃料油供給システムに使用されている高温、高圧燃料油に対しても、本発明による油ポンプでは、主動軸の軸封装置がないために油漏洩することがない。
【0012】
船舶ではディーゼル機関の燃料油供給システムに使用されている高温、高圧燃料油に対しても、本発明による油ポンプは漏洩することなく霧状となると発火する危険性が伴う大きな事故となる可能性がなく安全面からも有効である。
【0013】
また、船舶の機関室内部では外板のスエット水の発生等が多くこれらの水は二重底のビルヂウエルにビルジ水が溜められているが、油ポンプ軸からの油漏れを無くすることで、水と油が混合することがなく、船外に容易に排出出来る。地球環境にたいして油の排出規制が非常に厳しく制限されている状態では、この発明の油ポンプを使用することで、油を船外に排出することなく、非常に環境にたいして有効で、軸封装置もなくメンテナンスフリーで信頼性の高い密封性を保ち、ポンプの主動軸と電動機出力軸とが完全分離機構となっているのでポンプのメンテナンスが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る油ポンプ主動軸と電動機等の動力出力軸の接合部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の実施例として油ポンプ1はポンプ本体2の主動軸4と電動機3の出力軸5の接合部の断面図をもちいて説明すると、油ポンプ1はポンプ本体2と電動機3はポンプフレーム11に、該ポンプ本体2の主動軸4と電動機3の出力軸5が同一線上に締結され設置、該主動軸4端に内ローター6をキー7をもって固定され、シュラウド10は、内ローター6の外側にかぶせるように該ポンプ本体2にボールト12をもって締結取り付けられる。一方電動機3の出力軸5にも外ローター8をシュラウド10にかぶせるにキー9をもって固定する。
【0016】
実際の運転において、電動機3の回転は、出力軸5から外ローター8にシュラウド12の内部に納まっている内ローター6が磁力で引き合い同期回転を伝えることが出来、ポンプ本体2の主動軸4が回転する。ポンプ本体2の内部圧はシュラウド10で保つことが出来る。よって内部の油は外部には漏洩しない。
【0017】
本発明は、機関室内での油ポンプとしても使用できる
【符号の説明】
【0018】
1、 油ポンプ
2、 ポンプ本体
3、 電動機
4、 主動軸
5、 出力軸
6、 内ローター
7、 キー
8、 外ローター
9、 キー
10、 シュラウド
11、 ポンプフレーム
12、 ボールト































【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ主動軸端に磁石装着された内ローターを取付け、その内ローターの磁石外周を磁力が通る材料で製作されたシュラウンドのフランジ部を油ポンプ内部の油を密封するようにポンプ本体に締結取り付け、該油ポンプ主動軸端に取り付けられた内ローターに相対する位置に電動機等の動力出力軸端に磁石装着した外ローターを取付け磁力が該シュラウンドを通して内ローターと外ローターが引き合うことで、油ポンプ主動軸と電動機等の動力出力軸を同期伝達をおこない、油を完全に油ポンプ内に密封することを特徴とするディーゼル機関の燃料油供給システムに使用されている油ポンプ。





















【図1】
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【公開番号】特開2011−94521(P2011−94521A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248362(P2009−248362)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(309027687)株式会社KITA ENGINEERING (7)
【出願人】(593064951)兵神機械工業株式会社 (7)
【出願人】(595055162)社団法人日本舶用工業会 (25)
【Fターム(参考)】