説明

芯ズレ測定装置

【課題】 バットで球を実際に打撃し、その際に、球の打撃位置とバットの芯位置との違いを測定することにより、球の打撃位置をバットの芯位置に近づけることができるようなバットを選択したり、バッターのバッティングフォームを矯正することができるようにした芯ズレ測定装置を提供することにある。
【解決手段】
打球用のバットBの芯位置1と、該バットBによる球Kの打撃位置2との芯ズレの程度を測定する芯ズレ測定装置であって、前記バットBによる球Kの打撃の様子を撮像する高速度カメラ5と、前記高速度カメラ5の画像に基づきバットBの芯位置1と球Kの打撃位置2との違いの距離dを求める演算手段6とを備えたことを特徴とするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芯ズレ測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
軟式野球、硬式野球やソフトボールのゲームに用いられるバットは、重量、長さ、太さ、形状等の違いによって様々なタイプのものがある。一方、バッターについても、体重,身長,腕力等に応じて、各バッターに適したバットがある。
【0003】
そして、バットがバッターに適していない場合には、バッターが打球を打撃する際に、バットの芯からずれた位置において球を打撃し易く、その結果、打球が期待通りの距離を飛ばなかったり、打球が期待通りの方向へ飛ばなかったりする傾向にあった。このため、バッターが自己に適したバットを選択することは、期待通りのバッテテイングをする上において、極めて重要なことであった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来においては、スポーツ店の店員のアドバイスに基づきバットを購入することが一般的であったが、顧客に適したバットを客観的に選択する手法がなかったため、顧客に適したバットを選択することは実際上、困難であった。
【0005】
本発明は、前記従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、バットで球を実際に打撃し、その際に、球の打撃位置とバットの芯位置との違いを測定することにより、球の打撃位置が、バットの芯位置に近づけることができるようなバットを選択したり、バッターのバッティングフォームを矯正することができるようにした芯ズレ測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、打球用のバットの芯位置と、該バットによる球の打撃位置とのズレの程度を測定する芯ズレ測定装置であって、前記バットによる球の打撃の様子を撮像する高速度カメラと、前記高速度カメラの画像に基づきバットの芯位置と球の打撃位置との違いの距離を求める演算手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、打球用のバットの芯位置と、該バットによる球の打撃位置とのズレの程度を測定する芯ズレ測定装置であって、前記バットによる球の打撃の様子を撮像する高速度カメラと、バットによる球の打撃時点を検出する検出手段と、当該打撃時点における前記高速度カメラの画像に基づきバットの芯位置と球の打撃位置との違いの距離を求める演算手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、球は、静止してセットされていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、球は、投球されたものであることを特徴とするものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の発明において、検出手段は球又はバットに設けられて、球の打撃時点を検出することを特徴とするものである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明において、高速度カメラは、バットによる球の打撃位置の上方に設けられていることを特徴とするものえである。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明において、高速度カメラは、バットによる球の打撃位置の下方に設けられていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項8に記載の発明は、バットによる球の打撃の様子を側面から撮像する高速度カメラと、前記高速度カメラの画像に基づきバットの位置と球の打撃位置との上下方向の芯ズレの程度を求める演算手段とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、バットによって球を実際に打撃しつつ、球の打撃位置とバットの芯位置との違いを測定することにより、球の打撃位置が、バットの芯位置に近づけることができるようなバットを選択したり、バッターのバッティングフォームを矯正することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明が有する効果を奏する上に、検出手段によって、バットが球を打撃している瞬間の画像を即座に検出できて、各バッターに適したバットを容易に選択したり、バッターのバッティングフォームを矯正することができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明が有する効果を奏する上に、バットによって、静止している球を打撃することにより、各バッターに適したバットを選択したり、バッターのバッティングフォームを矯正することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明が有する効果を奏する上に、バットによって、投球された球を打撃することにより、各バッターに適したバットを選択したり、バッターのバッティングフォームを矯正することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の発明が有する効果を奏する上に、検出手段を球、又はバットに設けて、球がバットによって打撃された瞬間を検出することができる。
【0019】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明が有する効果を奏する上に、高速度カメラによってバッターの上方から、球がバットによって打撃された瞬間を検出することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の発明が有する効果を奏する上に、高速度カメラによってバッターの下方から、球がバットによって打撃された瞬間を検出することができる。
【0021】
請求項8に記載の発明によれば、バットの芯位置と球の打撃位置との上下方向の違いの程度を測定することにより、各バッターに適したバットを選択したり、各バッターのバッティングフォームを矯正ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1乃至図12は第1実施形態を示す。本実施形態の芯ズレ測定装置は、図1に示すように、バッターが球Kを打撃した際に、打球用バットBの芯位置1と打撃位置2との違いの距離dを求める装置である。
【0023】
図2は芯ズレ測定装置3の側面図を示す。第一実施形態においては、球Kは、テイ4に載置されて静止した状態でセットされる。該テイ4は上下方向へ伸縮できるものであって、バッターに適した高さに調節できるものである。
【0024】
図2に示すように、該芯ズレ測定装置3は、高速度カメラ5と、演算手段6とを備えている。該高速度カメラ5は、バットBが球Kを打撃する様子を撮像する機器である。該高速度カメラ5は、テイ4の真上に配置されて、テイ4に載置されている球KをバットBが打撃する瞬間を上方から撮像できるようになっている。該高速度カメラ5はCCDカメラによって構成することができる。
【0025】
前記演算手段6は、図1に示すように、バットBの芯位置1と球Kの打撃位置2との違いの距離dを演算によって求める手段である。演算手段6は、パーソナルコンピュータによって構成されることができる。
【0026】
図2に示すように、高速度カメラ5は、カメラ支持台7に支持された状態で、前記テイ4の真上に配置されている。該カメラ支持台7は、基台8と、支柱9と、カメラ取付部10とを備えた構成である。
【0027】
前記演算手段6は、図3に示すように、メモリ11と、演算部12を備えている。メモリ11は前記高速度カメラ5が撮像した画像情報を記憶するメモリである。又、演算部12は、前記高速度カメラ5が撮像した画像情報に基づき、バットBの芯位置1と球Kの打撃位置2との違いの距離dを求める手段である。演算手段6は、前記メモリ11、及び演算部12の他に、表示手段13を備えて高速度カメラ5が撮像した画像を表示することができる。該表示手段13は、前記パーソナルコンピュータのディスプレイによって構成することができる。前記高速度カメラ5、演算手段6は測定開始スイッチ(図示せず)によって作動を開始するものである。又、高速度カメラ5はバッティング終了スイッチ(図示せず)によって撮像を終了するものである。
【0028】
次ぎに、図4に基づき、前記バットBの芯位置1について説明する。一般に、球KがバットBに衝突すると、図4に示すように、バットBが振動し、バットBには、腹Hと節P1,P2とが発生する。腹Hとは、球KがバットBに衝突した場合に大きく振動する部位である。又、節P1,P2とは、球KがバットBに衝突しても、振動しない部位である。このため、バットBの節P1,P2の位置で球を打撃することにより、球Kを最もロスが少ない状態で有効に打ち返すことができるものである。又、図4に示すように、節P1,P2は、バットBの先端側とグリップG側とにそれぞれ1箇所づつ発生するが、バットBの先端側には、1箇所しか発生しない。このため、各バットBの節P1,P2の位置を明確に定義できるものである。
【0029】
そこで、本発明においては、バットBの先端側に発生する節の位置P1をバットBの芯位置1として定義するものである。該芯位置1は、バットBの長さ、太さ、重量、形状等によって決定する各バットB毎の固有の位置であって、各バットB毎に芯位置1はバットBの長さ方向に沿って微妙に変移するものである。
【0030】
このため、各バッターが、バットBの芯位置1で効率よく球Kを打撃するためには、身長、腕力、腕の長さ、バッティングフォーム等のような様々な条件がそれぞれ異なる各バッターは、自分にとって適切なバットBを選択することが必要である。そこで、この実施形態では、バッターが球を実際に打撃し、その際において、バットの芯位置1と、球の打撃位置2との違いを測定することにより、球の打撃位置2が、バットの芯位置1に近づけることができるようなバットBを選択したり、バッターのバッティングフォームを矯正することができるようにしている。
【0031】
次ぎに、図5に基づき、メモリ11,演算部12の動作について説明する。先ず、ステップS1において、測定開始スイッチを操作してシステム全体を作動させる。
【0032】
ステップS2において、高速度カメラ5が連続して撮像を開始する。ステップS3において、高速度カメラ5が撮像した撮像情報は、メモリ11に格納される。この時点において高速度カメラ5が撮像した画像を図6に示す。この時点においては、未だ、バッターはバッティングを開始していないため、図6に示す画像には、バットBは撮像されずに、上に載置された球Kのみが撮像されている。
【0033】
次ぎに、図5中、ステップS4において、バッターがバッティングを開始する。この時点において高速度カメラ5が撮像した画像は図7に示す。同図7においては、バットBは、テイ4上に載置されている球Kから、未だ、かなりの距離、離間している状態が撮像されている。
【0034】
次ぎに、図8においては、テイ4上に載置されている球Kと、該球Kに対して徐々に接近してくるバットBとが撮像されている。図9にはバットBが球Kを打撃した瞬間が撮像される。その後、図10に示すように、球KはバットBから離れて前方へ飛び出す状態が撮像されている。以上の図6乃至図10に示した各画像は画像情報としてメモリ11に記憶されると共に、表示手段13に表示される。
【0035】
次ぎに、図5中、ステップS5において、バッターがバッティングを終了した際に、バッティング終了スイッチを操作して、ステップS6において高速度カメラ5の撮像を終了する。
【0036】
次ぎに、ステップS7において、メモリ11に記憶されている画像情報の内から、バットBと球Kの両方が撮像されている画像を抽出する。即ち、図7乃至図10に示す画像を抽出する。
【0037】
この場合、同図に示すように、画像の背景及びバットBを黒色とし、球Kを白色にする一方、バットBの芯位置1を挟む位置に二つの白色の芯位置識別ラインR1,R2を設けて、画像情報を2値化することにより、バットBの芯位置1と球Kとを背景から識別することができる。つまり、画像情報において、背景情報及びバットBは「0」の集合として認識され、球Kは「1」の集合として認識される一方、バットBの芯位置1は二つの芯位置識別ラインR1,R2の「1」の集合によって挟まれるようにして認識されることができる。そして、バッティングの際には、バットBの二つの芯位置識別ラインR1,R2で挟まれた芯位置1が球Kに接近して球Kを打撃する様子が撮像されるものである。尚、以上の説明では、バットBを黒色にし、背景と同じ色としたが、バットBを白(又は製品固有の色のまま)とし、芯位置1に黒色のテープを貼り、バットB、球K、芯位置1のそれぞれを認識させても良い。又、芯位置1にテープを貼らなくとも、バットBの先端に印をつけておき、各バットBの芯位置1と先端の印までの距離Nのデータを予め登録しておくことで芯位置1を仮想画面上に合成でき、芯位置1と球Kとの距離を同様に求めることができる。
【0038】
次ぎに、ステップS8において、前述のように抽出された図7乃至図10に記載の画像、即ち、バットBと球Kとの両方が撮像されている画像のうちから、バットBと球Kとの間の距離が最短である方の画像、即ち、図9に示す画像を選択する。以下、このように選択された図9に示す画像に基づき、バットBの芯位置1と、球Kの打撃位置2との違いの距離dを求める。
【0039】
先ず、ステップS9において、バットBの芯位置1を求める。当該芯位置1は図4を用いて説明したように既知である。又、ステップS10において、球Kの位置を求める。次ぎに、ステップS11において、バットBの芯位置1と球Kの打撃位置2との違いの距離d、即ち、芯ズレ量を求める手法について、図11に基づき説明する。
【0040】
先ず、図11に示す画面には、中心0においてX軸とY軸とが直交している。尚、同図11において、実線で示すバットBは図8に示す位置におけるバットBを示し、二点鎖線で示すバットBは図9に示す位置におけるバットBを示す。そして、バットBの芯位置1は、該バットBの先端から所定の距離Nにおいて該バットBの軸心Lと直交する線分として表れる。図8における、該バットBの芯位置1を示す線分の中点をA(x1,y1)、図9における該バットBの芯位置1を示す線分の中点をB(x2,y2)とする。球Kの打撃時における該バットBは直線運動すると仮定すれば、バットBの芯位置1の軌跡を延長した直線Tは、数1で求められる。
【0041】
(数1)
y=(y2−y1)/(x2―x1)x+(x2y1−x1y2)/(x2−x1)
そして、球の中心座標をQ(s,t)とすると、該直線Tと、球の中心座標との間の距離d、即ち、バットBの芯位置1と球Kの打撃位置2との違いの距離d、即ち、芯ズレの量は、以下の数2で表わされる。
【0042】
(数2)
d=|as−t+b|/√(a2+1)
但し、a=(y2−y1)/(x2―x1)
b=(x2y1−x1y2)/(x2−x1)である。
【0043】
そして、ステップS12において、図3に示す表示手段6に芯ズレ量を表示する。
【0044】
図12は、前述のように、芯ズレを測定した結果を表示した表示手段13の画面であって、芯位置、長さ、重量等のような要素の異なる複数のバットを用いてバッターが打撃し、各バットBを用いて芯ズレを測定した結果を各バットB毎に表示した画面である。このように、各バットBを用いた芯ズレの結果を一覧にして目視できることにより、各バッターは自己に適したバットを他のバットと比較しながら検索することができる。図12に表示したバットBの内では、名称が××○○のバットBが最も芯ズレ量が少なく、適切であることが認識される。
【0045】
前述のように、バットBの芯位置1と球Kの打撃位置2との違いの程度を求めることにより、バッターのバッティングフォームの矯正を図ることにより、バットBの芯位置1と球Kの打撃位置2とを徐々に近づけるようにすることができる。又、バットBのヘッドスピード,打球のスピード,インパクト率,打出し角度等によって、打球の方向や打球の飛ぶ距離を推測することができるが、この場合、仮に、バットBの芯位置で球を打撃した場合に、更なる打球の飛ぶ距離をバッターに案内する場合等に本装置を用いることができる。
【0046】
図13,図14は第2実施形態を示す。この第2実施形態の特徴は、テイ4に振動センサを埋め込み、球Kが打撃された瞬間の振動を検出することにより打撃時点を検出し、打撃時点に撮像された画像情報をメモリ11から即座に読み出すことにより、バットBの芯位置1と球Kの打撃位置2との違いの距離dを即座に測定するようにしてもよい。前記振動センサによって、バットBが球Kを打撃した瞬間を検出する検出手段が構成される。この第3実施形態のフローチャートを図14に示す。
【0047】
図14中、先ず、ステップS1において、測定開始スイッチを操作した後、ステップS2において、バッティングを開始する。そして、前述のように、テイ4に埋め込まれた振動センサが、ステップS21において振動を検出すると同時に、ステップS22において高速度カメラ5が作動して、ステップS23において、その撮像画像をメモリ11に記憶する。以降、第1実施形態と同様に、ステップS9乃至ステップS12を実行する。この実施形態においては、高速度カメラ5の応答性が良ければ、バットBが球Kを打撃した瞬間を検出手段が検出した直後に高速度カメラ5が、当該瞬間の様子を撮像することができるため、高速度カメラ5によって当該瞬間の画像のみを撮像するだけで、バットBの芯位置1と球Kの打撃位置2との違いの距離dを測定することができる。尚、前記検出手段は、球KやバットBに設けることにより、バットBが球Kを打撃した瞬間を検出するようにしてもよい。
【0048】
図15,図16は第3実施形態を示す。この第3実施形態の特徴は、打球Kの打出される方向に沿って第1,第2センサ21,22を設けた点にある。これら二つのセンサ21,22は、発光部23と受光部24とから構成されている。発光部23で出力されたレーザ光線Rを受光部で24受光するようになっている。
【0049】
次ぎに、図16に基づき第3実施形態のフローチャートについて説明する。尚、ステップS1乃至ステップS4については、第1実施形態と同様のため、説明は省略する。
【0050】
打球KがステップS21及びステップS22において、第1,第2センサ21,22によって検出されると、ステップS23において、高速度カメラ5による撮像を終了する。
【0051】
次ぎに、ステップS24において、バットBによる球Kの打撃時点を求める。当該打撃時点は,以下のようにして求める。先ず、二つのセンサ21,22が打球Kをそれぞれ検出すると、二つのセンサ21,22が打球Kをそれぞれ検出した時点の間の時間差を求める。その後、当該時間差によって、二つのセンサ21,22間の距離を除算することにより、打球Kの速度を求める。そして、当該打球Kの速度によって、第1センサ21とテイ4との間の距離を除算することにより、球Kが打撃されて球Kがテイ4から第1センサに至るまでの時間を求めることができる。このため、打球Kが第1センサ21で検出された時点から、打球Kがテイ4から第1センサ21に至るまでの時間を遡及することにより、バットBによる球Kの打撃時点を求めることができる。このため、打撃時点に撮像された画像情報をメモリ11から即座に読み出すことができる。
【0052】
このように、第3実施形態においては、打撃時点に撮像された画像情報をメモリ11から即座に読み出すことにより、バットBの芯位置1と球Kの打撃位置2との違いの距離dを即座に測定することができる。
【0053】
図17,図18は第4実施形態を示す。この第4実施形態の特徴は、図17に示すように、ピッチングマシーン31から投げ出された球Kをバッターが打ち返す際において、バットBの芯位置1と球Kの打撃位置2との違いの距離dを測定するようにした点に特徴を有するものである。この第4実施形態においては、ピッチングマシーン31とバッターとの間に第1,第2センサ21,22が配置されている。
【0054】
次ぎに、図18に基づき、演算手段6の動作について説明する。先ず、ステップS31において、測定開始スイッチを操作して、システム全体を作動させる。ステップS32において、ピッチングマシーン31が球Kを投球する。又、ステップS33において、高速度カメラ5が撮像を開始し、撮像された画像情報はステップS34においてメモリ11に格納される。
【0055】
次ぎに、前記ピッチングマシーン31から打ち出された球Kは、ステップS35,ステップS36において、第2,第1センサ22,21によって感知されながらバッターの手元まで到達する。そして、ステップS37においてバッターによって打ち返される。バッターによって打ち返された球Kは、ステップS38において第1センサ21によって検出された後、ステップS39において第2センサ22によって検出される。ステップS39において、第2センサ22が打球Kを検出することにより、ステップ40において、高速度カメラ5の作動を停止させる。
【0056】
ステップS7以降のステップについては、第1実施形態のステップと同様のため、説明を省略する。以上の実施形態においては、ピッチングマシーン31から打ち出された球Kをバッターが打ち返す場合について説明したが、ピッチングマシーン31に代えて人間が投球した球をバッターが打ち返す場合にも適用できることは勿論である。
【0057】
このように、第4実施形態においては、投球された球をバッターが打ち返す場合に、バットBの芯位置1と球Kの打撃位置2との違いの距離dを測定することができるものである。
【0058】
図19は第5実施形態を示す。この実施形態の特徴は、バットBの芯位置1と、球Kの打撃位置2との上下方向の違いの距離dの程度を求める点にある。このため、高速度カメラ5はバッターの側方から、バットBによって球Kを打撃する瞬間を撮像する。そして、高速度カメラ5が撮像した画像の情報に基づき、演算手段6が、バットBの芯位置1と球Kの打撃位置2との上下方向の違いの程度を求めるものである。
【0059】
図19は、バッターの側方から撮像した画像とする。先ず、図中、バットBの芯位置1はバットの軸心に相当する。又、球Kはテイ4上に載置されているとする。一方、バットBが該球Kを打撃しようとして接近する方向を矢印で示す。又、2は、バットBが球Kを打撃した打撃位置を示す。そして、当該打撃位置2とバットBの前記芯位置1とを結ぶ線分が前記バットBの進行方向と成す角度をθとすると、当該θが、バットBの芯位置1と球の打撃位置2の上下方向の芯ズレの程度に相当するものである。
【0060】
そして、このようにして求めた、上下方向の芯ズレの程度に基づき、バッターのバッティングフォームを矯正したり、各バッターに適したバットを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】バットによって球を打撃した瞬間の図である。
【図2】芯ズレ測定装置の側面図である。
【図3】演算手段の構成図である。
【図4】バットの振動を示すバットの側面図である。
【図5】フローチャートである。
【図6】高速度カメラが撮像した画像である。
【図7】高速度カメラが撮像した画像である。
【図8】高速度カメラが撮像した画像である。
【図9】高速度カメラが撮像した画像である。
【図10】高速度カメラが撮像した画像である。
【図11】バットの芯位置と球の打撃位置との違いの距離を求めるための作図である。
【図12】表示手段の表示内容である。
【図13】芯ズレ測定装置の側面図である。(第2実施形態)
【図14】フローチャートである。(第2実施形態)
【図15】芯ズレ測定装置の側面図である。(第3実施形態)
【図16】フローチャートである。(第3実施形態)
【図17】芯ズレ測定装置の側面図である。(第4実施形態)
【図18】フローチャートである。(第4実施形態)
【図19】バットの芯位置と球の打撃位置との上下方向の芯ズレの程度を示す図である。(第5実施形態)
【符号の説明】
【0062】
1 バットの芯位置
2 球の打撃位置
3 芯ズレ測定装置
6 演算手段
21 第1センサ(検出手段)
22 第2センサ(検出手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打球用のバットの芯位置と、該バットによる球の打撃位置とのズレの程度を測定する芯ズレ測定装置であって、
前記バットによる球の打撃の様子を撮像する高速度カメラと、前記高速度カメラの画像に基づきバットの芯位置と球の打撃位置との違いの距離を求める演算手段とを備えたことを特徴とする芯ズレ測定装置。
【請求項2】
打球用のバットの芯位置と、該バットによる球の打撃位置とのズレの程度を測定する芯ズレ測定装置であって、
前記バットによる球の打撃の様子を撮像する高速度カメラと、バットによる球の打撃時点を検出する検出手段と、当該打撃時点における前記高速度カメラの画像に基づきバットの芯位置と球の打撃位置との違いの距離を求める演算手段とを備えたことを特徴とする芯ズレ測定装置。
【請求項3】
球は、静止してセットされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の芯ズレ測定装置。
【請求項4】
球は、投球されたものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の芯ズレ測定装置。
【請求項5】
検出手段は球又はバットに設けられて、球の打撃時点を検出することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の芯ズレ測定装置。
【請求項6】
高速度カメラは、バットによる球の打撃位置の上方に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の芯ズレ測定装置。
【請求項7】
高速度カメラは、バットによる球の打撃位置の下方に設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の芯ズレ測定装置。
【請求項8】
バットによる球の打撃の様子を側面から撮像する高速度カメラと、前記高速度カメラの画像に基づきバットの位置と球の打撃位置との上下方向の芯ズレの程度を求める演算手段とを備えたことを特徴とする芯ズレ測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−230563(P2006−230563A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−46921(P2005−46921)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(303011275)株式会社ジャパーナ (43)