説明

茎稈結束装置

【課題】紐ホルダ及び結節ビルを有した紐結節部と、紐供給ニードルを有した紐供給部とが茎稈収束空間を挟んで対向し合っている茎稈結束装置において、収集茎稈のボリューム増大があっても結束ミスを回避しやすくする。
【解決手段】紐供給ニードル15に一体揺動自在に支持された茎稈押圧体36を設けてある。紐供給ニードル15が待機位置に位置すると、茎稈押圧体36が茎稈収束空間Sの外部に位置する。紐供給ニードル15のニードル本体15bが紐結節部Aに進入するに伴って茎稈押圧体36が茎稈収束空間Sに収集された茎稈を茎稈収束空間Sの茎稈放出口12に向けて押圧するように茎稈収束空間Sに進入する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紐ホルダ及び結節ビルを有した紐結節部と、紐供給ニードルを有した紐供給部とが茎稈収束空間を挟んで対向し合っている茎稈結束装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した茎稈結束装置では、茎稈収束空間に設定量の茎稈が収集されると、結束紐のうちの紐ホルダによって既に保持されている旧紐部に連なる新紐部が紐供給ニードルによって収集茎稈に巻き付けながら紐結節部に供給され、旧紐部と新紐部とが結節ビルによって結節される。
この種の茎稈結束装置として、従来、たとえば特許文献1に記載された排ワラ結束装置Bがあった。特許文献1に記載された排ワラ結束装置Bでは、伝動ケース4の上下中間部位に収束空間S(茎稈収束空間に相当)が形成され、収束空間Sの下側となる伝動ケース4の下部に、結束紐供給用のニードル7を装備され、収束空間Sの上側となる伝動ケース4の上部に、結節ビル13および紐ホルダ14を装備されている。(各符号は、公報に記載されたものである。)
【0003】
【特許文献1】特開2008−182980号公報(段落〔0013〕、〔0016〕、図3,4,5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の茎稈結束装置では、紐供給ニードルによって紐結節部に供給された前記新紐部は、茎稈収束空間における収集茎稈に対して茎稈収束空間の茎稈放出口が位置する側とは反対側に位置して収集茎稈に巻き付けられる。したがって、茎稈の茎稈収束空間への送り込み速度や送り込み量が速くあるいは多くなって収集茎稈のボリュームが大になった場合、収集茎稈から紐ホルダに至る新紐部が、収集茎稈の押圧作用を受けて設計箇所とは位置ずれした箇所を通り、新紐部が作動した結節ビルに掛かりにくくなることがあった。収集茎稈のボリュームが増大するほど、新紐部の設計箇所からの位置ずれが大となり、結節ビルの紐掛かり不良が発生しやすくなっていた。
【0005】
本発明の目的は、収集茎稈のボリューム増大にかかわらず、結束ミスを回避しやすい茎稈結束装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1発明は、紐ホルダ及び結節ビルを有した紐結節部と、紐供給ニードルを有した紐供給部とが茎稈収束空間を挟んで対向し合っている茎稈結束装置において、
前記紐供給ニードルに一体揺動自在に支持された茎稈押圧体を設け、
前記紐供給ニードルが待機位置に位置すると、前記茎稈押圧体が前記茎稈収束空間の外部に位置し、前記紐供給ニードルのニードル本体が前記紐結節部に進入するに伴って前記茎稈押圧体が前記茎稈収束空間に収集された茎稈を前記茎稈収束空間の茎稈放出口に向けて押圧するように前記茎稈収束空間に進入するよう構成してある。
【0007】
本第1発明の構成によると、紐供給ニードルのニードル本体が紐結節部に進入して新紐部を紐結節部に供給する際、茎稈押圧体が茎稈収束空間に進入して茎稈収束空間の収集茎稈を茎稈収束空間の茎稈放出口に向けて押圧するから、収集茎稈のボリュームが大であっても、収集茎稈の茎稈放出口側とは反対側が茎稈押圧体によって茎稈放出口側に押し寄せられ、これにより、収集茎稈に対して茎稈放出口側とは反対側に位置する結束紐を紐ホルダに寄せて位置させ、収集茎稈から紐ホルダに至る新紐部が設計箇所又はこれに近い箇所に位置して結節ビルに所定どおり掛かるようにできる。
【0008】
したがって、収集茎稈のボリューム増大が発生しても、紐供給ニードルによって紐結節部に供給された新紐部が結節ビルに精度よく掛かって結束ミスが発生しにくい茎稈結束装置を得ることができる。
【0009】
本第2発明は、前記紐供給ニードルと前記紐ホルダとにわたる結束紐に係止作用する紐受け部を前記紐結節部に設け、前記茎稈押圧体が前記茎稈収束空間に進入した際、前記茎稈押圧体と前記紐受け部とが近接する。
【0010】
本第2発明の構成によると、本第1発明の構成による作用効果を備えるに加え、次の作用効果を備える。
【0011】
収集茎稈に茎稈押圧体による押圧を受けない茎稈が発生すると、紐供給ニードルによって紐結節部に供給された新紐部が押圧漏れ茎稈に掛かって設計箇所から大きく位置ずれすることがある。本第2発明の構成によると、茎稈押圧体が紐結節部に極力近づいた状態で茎稈収束空間に進入して収集茎稈の全ての茎稈に極力押圧作用して押圧漏れ茎稈が発生しにくく、押圧漏れ茎稈に起因した新紐部の位置ずれを発生しにくくできる。
【0012】
したがって、押圧漏れ茎稈の発生に起因した新紐部の位置ずれを回避しやすく、この面からも結束ミスが発生しにくい結束処理を行わせることができる。
【0013】
本第3発明では、前記茎稈押圧体を弾性体によって構成してある。
【0014】
本第3発明の構成によると、本第2発明の構成による作用効果を備えるに加え、次の作用効果を備える。
【0015】
本第3発明の構成によると、茎稈押圧体が紐結節部に極力近づいた状態で茎稈収束空間に進入するよう構成した結果、長期使用に伴うガタ付きの発生などに起因して茎稈押圧体と紐受け部などとの接触が発生しても、茎稈押圧体の弾性変形によって茎稈押圧体や紐受け部の変形や破損を回避することが可能となる。
【0016】
したがって、茎稈押圧体を紐受け部に近接させて押圧漏れ茎稈の発生に起因した結束ミスを回避しやすいのみならず、茎稈押圧体と紐受け部などとの接触によるそれらの変形や破損を回避しやすいように耐久性に優れた茎稈結束装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例に係る茎稈結束装置10が装備されたコンバインの全体側面図である。この図に示すように、このコンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1,1によって自走し、かつ運転座席2が装備された運転部を有した自走機体と、この自走機体の機体フレーム3の前部に連結された刈取り部4とを備え、前記機体フレーム3の後部側に自走機体横方向に並べて設けられた脱穀装置5と穀粒タンク6を備え、前記脱穀装置5の後部に自走機体前後方向に並べて連結された排ワラ細断装置7と前記茎稈結束装置10を備えている。
【0018】
このコンバインは、稲、麦などの収穫と、脱穀排ワラの細断あるいは結束処理とを行なう。
すなわち、前記刈取り部4は、刈取り部フレーム4aが油圧シリンダ8によって機体フレーム3に対して上下に揺動操作されることにより、刈取り部4の前端部に位置する分草具4bが田面近くに下降した下降作業状態と、前記分草具4bが田面から高く上昇した上昇非作業状態とに昇降する。
【0019】
刈取り部4を下降作業状態にして自走機体を走行させると、刈取り部4は、植立穀稈を引起しながらバリカン形の刈り取り装置4cによって刈り取り、刈り取り穀稈を供給装置4dによって脱穀装置5の脱穀フィードチェーン5aの搬送始端部に供給する。脱穀装置5は、脱穀フィードチェーン5aによって刈り取り穀稈の株元側を挟持して脱穀装置後方側に搬送して刈り取り穀稈の穂先側を扱室(図示せず)に供給し、刈り取り穀稈の脱穀処理を行う。穀粒タンク6は、脱穀装置5からの脱穀粒を回収して貯留する。
【0020】
図2は、前記排ワラ細断装置7および前記茎稈結束装置10の側面図である。この図に示すように、排ワラ細断装置7は、細断ケース7aの上部に揺動開閉自在に支持された投入口蓋7bを備えている。
【0021】
排ワラ細断装置7は、前記投入口蓋7bが上昇開き状態に切り換えられると、排ワラ搬送装置9の搬送終端箇所から落下した脱穀排ワラを投入口7cから細断ケース7aの内部に落下させ、細断ケース内に落下した脱穀排ワラを一対のカッタ軸7d、7dに一体回転自在に設けた円盤カッタによって稈身方向に細断し、細断ワラを細断ケース7aの下部に位置する排出口から落下させる。
【0022】
茎稈結束装置10は、前記投入口蓋7bが下降閉じ状態に切り換えられると、排ワラ搬送装置9から前記投入口蓋7bの表面側に位置する供給ガイド11に落下した脱穀排ワラを茎稈収束空間Sに取り入れて結束処理し、結束済みの排ワラを茎稈収束空間Sの後部に位置する茎稈放出口12から自走機体後方に放出する。
【0023】
次に、前記茎稈結束装置10について詳述する。
図3は、前記茎稈結束装置10の結節部配設位置での側面図である。図4は、前記茎稈結束装置10の後面図である。これらの図と図2とに示すように、前記茎稈結束装置10は、前記茎稈収束空間Sを備える他、前記茎稈収束空間Sよりも自走機体上方側に設けた結節ビル13および紐ホルダ14を有した紐結節部Aを備え、前記茎稈収束空間Sよりも自走機体下方側に設けた紐供給ニードル15を有した紐供給部Bを備え、前記茎稈収束空間Sの自走機体前方上方側に自走機体横方向に並べて設けた一対の掻き込みアーム16,16を備え、前記茎稈収束空間Sの自走機体前方下方に自走機体横方向に並べて設けた一対の掻き込みパッカー17,17を備え、前記茎稈収束空間Sの自走機体後方側に設けた感知ドア18を備え、前記茎稈収束空間Sの上方に配置した左右一対の放出アーム19,19を備え、前記紐供給部Bの下方に設けた紐収容器20を備えている。
【0024】
前記茎稈収束空間Sは、前記紐ホルダ14および前記結節ビル13の下方近くに設けた紐案内板21、前記紐案内板21の直下に設けたロッド形の排ワラ支持部材22と、前記排ワラ支持部材22の自走機体横側方に位置するデッキ23とによって形成されている。
【0025】
前記各掻き込みアーム16は、前後方向に並んだ一対の掻き込み爪16a、16bを備えている。各掻き込みアーム16は、掻き込み駆動ケース24に駆動回転自在に支持された回転体25と、結束フレーム26に揺動自在に支持された揺動リンク27とに枢支されており、回転体25の駆動力によって駆動され、後側の掻き込み爪16bの先端が前側の掻き込み爪16aよりも移送下手側で回転軌跡T1(図13参照)を描く状態で掻き込み運動する。
【0026】
前記一対の掻き込みアーム16,16のうちの排ワラ穂先側に位置する掻き込みアーム16は、この掻き込みアーム16から排ワラ穂先側に突出した補助アーム16cを備えている。
【0027】
前記各掻き込みパッカー17は、パッカー駆動軸28に支持されたクランクアーム29と、支点軸30に揺動自在に支持された揺動リンク31とに枢支されており、パッカー駆動軸28の駆動力によって駆動され、掻き込みパッカー17の先端が回転軌跡T2(図13参照)を描く状態で掻き込み運動する。図13に示すように、各掻き込みアーム16の前記回転軌跡T1の移送下手側部分と、各掻き込みパッカー17の回転軌跡T2の移送上手側部分とは、移送排ワラの稈身に沿う方向視で重なり合っている。
【0028】
前記一対の掻き込みパッカー17,17のうちの排ワラ株元側に作用する方の掻き込みパッカー17は、この掻き込みパッカー17の横側部から排ワラ株元側に延出したロッド形の掻き込みアーム17aを備えている。
【0029】
したがって、前記排ワラ支持部材22および前記デッキ23によって形成される排ワラ移送経路に掻き込みアーム16も掻き込みパッカー17も掻き込み作用しない箇所が発生しない状態で各掻き込みアーム16および各掻き込みパッカー17を排ワラに掻き込み作用させて、供給ガイド11からの排ワラを排ワラ支持部材22およびデッキ23に沿わせて自走機体後方側に掻き送りして茎稈収束空間Sに収集させる。
【0030】
前記感知ドア18は、ドア軸32に一体回動自在に支持されており、ドア軸32の軸芯まわりに揺動開閉して前記茎稈放出口12を開閉する。この感知ドア18は、茎稈収束空間Sにおける収集排ワラRの量が設定量に到達せず、前記掻き込みパッカー17による掻き込み作用によって茎稈収束空間Sに発生する排ワラ収集圧が設定圧に達しない間、閉じ状態に維持される。この感知ドア18は、茎稈収束空間Sにおける収集排ワラの量が設定量以上になって排ワラ収集圧が設定圧以上になると、この排ワラ収集圧によって開き側に揺動変位し一回転クラッチ(図示せず)を起動可能状態にする。次に掻き込みパッカー17が掻き込み作動すると、一回転クラッチは、所定のタイミングで入り作動して紐供給部Bおよび紐結節部Aを作動させる。
【0031】
前記紐供給ニードル15は、前記ドア軸32に基端側が回転自在に支持されたニードルアーム15aと、このニードルアーム15aの先端側に連結されたニードル本体15bとを備えて構成してある。前記ニードルアーム15aの基端側と、ニードル駆動軸33に一体回転自在に支持された駆動アーム34とは、連動リンク35によって連動されている。
【0032】
つまり、前記紐供給ニードル15は、前記一回転クラッチが入り作動して前記ニードル駆動軸33が駆動されると、このニードル駆動軸33の駆動力によって前記ドア軸32の軸芯まわりに往復揺動駆動され、ニードル本体15bの全体が紐供給部Bに位置した待機位置と、ニードル本体15bの先端側が茎稈収束空間Sおよび前記紐案内板21の開口21a(図4参照)を通って前記紐結節部Aにおける紐案内板21の背後に進入した紐供給位置とを往復移動する。紐供給ニードル15は、待機位置から紐供給位置に移動するに伴い、ニードル本体15bによって結束紐を前記紐収容器20に収容されている紐リールから繰り出し、紐供給位置に位置するに伴ってニードル本体15bによって結束紐を前記結節ビル13および前記紐ホルダ14に供給する
【0033】
前記紐供給ニードル15は、前記ニードルアーム15aの先端側の横側部に設けた茎稈押圧体36を備えている。
【0034】
図3は、前記紐供給ニードル15の待機位置に位置した側面視状態を示している。この図に示すように、前記茎稈押圧体36は、紐供給ニードル15が待機位置に位置すると、茎稈収束空間Sに対する排ワラ供給の障害物にならないように茎稈収束空間Sの外部(紐供給部B)に位置している。
【0035】
図5は、前記紐供給ニードル15の紐供給位置に位置した状態での側面図である。この図と図7とに示すように、前記茎稈押圧体36は、紐供給ニードル15と一体揺動し、前記ニードル本体15bが紐結節部Aに進入するに伴って茎稈収束空間Sにこれの入り口側から進入して紐結節部Aが備える紐受け部37に近接した箇所に位置する。茎稈押圧体36は、紐結節部Aに進入すると、茎稈収束空間Sに位置する収集排ワラを押圧作用面36aによって前記茎稈放出口12に向けて押圧し、ニードル本体15bによって紐結節部Aに供給された結束紐を紐ホルダ14に寄せて位置させる。これにより、ニードル本体15bによって紐結節部Aに供給された結束紐は、結節ビル13が結節作動した際に結節ビル13に精度よく引っ掛かる箇所に位置する。
【0036】
前記茎稈押圧体36は、弾性体の一例としてのウレタンゴムブロックによって構成してある。この茎稈押圧体36が茎稈収束空間Sに進入した際、茎稈押圧体36の端部36bが紐案内板21の開口21aに入り込んで紐受け部37の機体前方側に位置する。これにより、茎稈押圧体36が前記紐受け部37や紐案内板21に接触することがあっても、茎稈押圧体36が弾性変形して茎稈押圧体36、紐受け部37、紐案内板21の破損が発生しない。
【0037】
前記紐結節部Aは、前記結節ビル13、前記紐ホルダ14、前記紐案内板21、前記紐受け部37を備える他、前記結節ビル13の駆動ギヤ部13gおよび前記紐ホルダ14の駆動ギヤ部14gに噛み合った駆動ギヤ38を備えている。前記駆動ギヤ38は、結節駆動ケース39に駆動自在に支持されている。前記結節駆動ケース39は、結束フレーム26を介して前記脱穀装置5の機体に支持されている。前記紐受け部37は、前記紐案内板21に取り付けた板片によって形成されている。
【0038】
前記結節ビル13および前記紐ホルダ14は、前記一回転クラッチが入り作動して前記駆動ギヤ38が駆動されると、この駆動ギヤ38の駆動力によって回転操作されて結節作動する。
【0039】
図6〜12は、前記紐結節部Aの結節工程図である。各結節工程図は、紐ホルダ14、結節ビル13、紐受け部37を紐供給部B側から見た図である。これらの図と図3とに示すように、排ワラ収集が行なわれている間、紐ホルダ14と待機位置のニードル本体15bとが結束紐のうちの旧紐部h1を支持している。この旧紐部h1は、茎稈集束空間Sの茎稈放出口側を横断して紐案内板21の開口21aを通り、この開口21aにおいて紐受け部37に引っ掛かっている。集束空間Sに位置する旧紐部h1の茎稈放出口側とは反対側に収集排ワラRが位置する。
【0040】
排ワラRの収集量が設定量以上になると、紐供給ニードル15が待機位置から紐供給位置に移動し、ニードル本体15bの先端側が茎稈集束空間Sを横断して紐結節部Aにおける紐案内板21の背後に進入して結束紐のうちの新紐部h2を結節ビル13における爪13aおよび紐ホルダ14における爪14aの回転作動域まで供給する。新紐部h2は、通って収集排ワラRの茎稈放出口側とは反対側に巻き付けられて、かつ収集排ワラRの茎稈放出口側とは反対側と前記茎稈押圧体36との間を通って、さらに紐受け部37に引っ掛かって開口21aを通る。
【0041】
紐供給ニードル15による紐供給が終了したタイミングで結節ビル13および紐ホルダ14が回転起動され、結節ビル13の閉じ状態の爪13aが旧紐部h1と新紐部h2とを巻き取ってゆく。回動する結節ビル13の紐巻取りによって旧紐部h1および新紐部h2が紐受け部37の先端側にずり動かされ、両紐部h1、h2は紐受け部37を茎稈放出口側に乗り越える。この場合、新紐部h2が回動する紐ホルダ14の爪14aに引っ掛けられる。紐受け部37を茎稈放出口側に乗り越えた両紐部h1、h2は、結節ビル13の爪13aに咥え込まれる。
【0042】
結節ビル13の紐咥え込みが終了すると、紐ホルダ14の回動に伴って旧紐部h1の先端部が紐ホルダ14から外れて自由になる。これとともに新紐部h2が紐ホルダ14に新たに保持される。この後、新紐部h2が、紐ホルダ14と結節ビル13との間において紐ホルダ14のカッタ14bによって切断される。
【0043】
結節ビル13および紐ホルダ14が1回転作動して初期位置に復帰して停止すると、前記放出アーム19による結束ワラの放出によって結束ワラが茎稈放出口側に移動することにより、ワラ束に巻き付けられた結束紐h3が茎稈放出口側(図では右方)に引っ張られ、閉じ状態になった結節ビル13の爪13aに巻き付けられていた結束紐の輪が爪先に抜き出され、結節ビル13の爪13aに咥え込まれている紐部分が相対的に結束紐の輪に通される。この状態でワラ束が更に茎稈放出口側に移動することで、結束紐の輪が締められて結び目が形成され、更に、結節ビル13の爪13aに咥え込まれている紐部分が爪13aから抜け出して結節が完了する。
【0044】
前記放出アーム19は、前記駆動ギヤ38の駆動軸40に相対回転自在に支持されたクランクアーム41と、支点軸42に揺動自在に支持された揺動リンク43とに枢支されている。前記駆動ギヤ38は、これの側面に突設された駆動ピン44を備えている。この駆動ピン44は、収集排ワラの結束処理が完了すると、駆動ギヤ38の駆動力によって前記クランクアーム41の受動部41aに押圧作用してこのクランクアーム41を回転操作する。このとき、放出アーム19が慣性によって回動しようとすると、前記駆動ギヤ38の側面に突設してあるストッパーピン45が、放出アーム19と共に慣性回動しょうとするクランクアーム41の側部41bに当接してストップ作用し、クランクアーム41の駆動ピン44に対する先行回転を防止して放出アーム19の駆動ギヤ38に対する先行回転を防止する。
【0045】
したがって、前記放出アーム19は、収集排ワラの結束処理が完了すると、前記駆動ピン44によって駆動されて結束ワラを茎稈放出口12に向けて放擲し、感知ドア18が開き操作されていて開いている茎稈放出口12から自走機体の後方に放出する。
【0046】
図14は、前記排ワラ搬送装置9の搬送終端側での側面図である。この図に示すように、前記排ワラ搬送装置9は、無端回動チェーン50の搬送始端側に沿った始端側搬送ガイドレール51と、この始端側搬送ガイドレール51に摺動伸縮自在に支持された終端側搬送ガイドレール52と、この終端側搬送ガイドレール52のアーム部52aにリンク53を介して連結された操作アーム54と、この操作アーム54を出力軸55aによって回転操作自在に支持する電動モータ55とを備えている。
【0047】
つまり、終端側搬送ガイドレール52は、電動モータ55による操作アーム54の回転操作によって短縮状態と伸長状態とに切り換え操作される。
前記排ワラ搬送装置9は、終端側搬送ガイドレール52が短縮状態に切り換え操作されることにより、無端回動チェーン50と両搬送ガイドレール51,52とによって搬送してきた脱穀排ワラを排ワラ細断装置7に供給し、終端側搬送ガイドレール52が伸長状態に切り換え操作されることにより、搬送してきた脱穀排ワラを茎稈結束装置10に供給する。
【0048】
前記終端側ガイドレール52の切り換え操作を行うよう前記電動モータ55を操作する操作スイッチは制御ボックス56に支持されている。前記制御ボックス56は、前記運転部の後側近くの前記脱穀装置5と前記穀粒タンク6との間に設置されている。
【0049】
図15は、別実施例の前記排ワラ搬送装置9の搬送終端側での側面図である。この図に示すように、この別実施例の排ワラ搬送装置9は、終端側搬送ガイドレール52に設けたラックギヤ57と、このラックギヤ57に噛み合ったピ二オンギヤ58と、このピ二オンギヤ58を出力軸55aによって回転操作自在に支持する電動モータ55とを備えている。
【0050】
つまり、終端側搬送ガイドレール52は、電動モータ55によるピニオンギヤ58の回転操作によって短縮状態と伸長状態とに切り換え操作される。
この排ワラ搬送装置9は、終端側搬送ガイドレール52が短縮状態に切り換え操作されることにより、無端回動チェーン50と両搬送ガイドレール51,52とによって搬送してきた脱穀排ワラを排ワラ細断装置7に供給し、終端側搬送ガイドレール52が伸長状態に切り換え操作されることにより、搬送してきた脱穀排ワラを茎稈結束装置10に供給する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】コンバインの全体側面図
【図2】排ワラ細断装置および茎稈結束装置の側面図
【図3】茎稈結束装置の結節部配設位置での側面図
【図4】茎稈結束装置の後面図
【図5】紐供給ニードルの紐供給位置に位置した状態での側面図
【図6】紐結節部の結節工程図
【図7】紐結節部の結節工程図
【図8】紐結節部の結節工程図
【図9】紐結節部の結節工程図
【図10】紐結節部の結節工程図
【図11】紐結節部の結節工程図
【図12】紐結節部の結節工程図
【図13】掻き込みアームの回転軌跡を示す側面図
【図14】排ワラ搬送装置の搬送終端側での側面図
【図15】別実施例の排ワラ搬送装置の搬送終端側での側面図
【符号の説明】
【0052】
12 茎稈放出口
13 結節ビル
14 紐ホルダ
15 紐供給ニードル
15a ニードル本体
36 茎稈押圧体
37 紐受け部
A 紐結節部
B 紐供給部
S 茎稈収束空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紐ホルダ及び結節ビルを有した紐結節部と、紐供給ニードルを有した紐供給部とが茎稈収束空間を挟んで対向し合っている茎稈結束装置であって、
前記紐供給ニードルに一体揺動自在に支持された茎稈押圧体を設け、
前記紐供給ニードルが待機位置に位置すると、前記茎稈押圧体が前記茎稈収束空間の外部に位置し、前記紐供給ニードルのニードル本体が前記紐結節部に進入するに伴って前記茎稈押圧体が前記茎稈収束空間に収集された茎稈を前記茎稈収束空間の茎稈放出口に向けて押圧するように前記茎稈収束空間に進入するよう構成してある茎稈結束装置。
【請求項2】
前記紐供給ニードルと前記紐ホルダとにわたる結束紐に係止作用する紐受け部を前記紐結節部に設け、
前記茎稈押圧体が前記茎稈収束空間に進入した際、前記茎稈押圧体と前記紐受け部とが近接する請求項1記載の茎稈結束装置。
【請求項3】
前記茎稈押圧体を弾性体によって構成してある請求項2記載の茎稈結束装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−115157(P2010−115157A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−291092(P2008−291092)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】