説明

茶園管理装置の袋機構

【課題】茶刈機の特に傾斜地での袋交換を安全に行えることを実現する。
【解決手段】走行部に立設した鉛直側の柱体と、中間フレーム等で構成した鉛直側のフレームと、この鉛直側の柱体に外嵌された昇降柱体に設けた門形の可動側のフレームと、可動側のフレームの昇降・可動を司る昇降手段及び/又は可動手段と、可動側のフレームに可動装置を介して設けた茶刈機と、茶刈械に着脱自在に設けた走行部の運転席側に収歛形状となる筒体と、筒体に着脱自在に設けた袋で構成した茶園管理装置の袋機構である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶園管理機に単独で袋を装着可能とした簡便で、安全性を考慮した茶園管理装置の袋機構に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、摘採(茶刈り)作業において摘み取った袋(茶袋)をどのように交換するかは作業の中で重要な事柄である。従って、種々検討されているが、未だ十分とは云えないのが現況である。そこで、念のために、従来の取扱いに関して概述すると、従来の茶刈機において、全面刈り(茶畝の幅全体を刈ることを云う)の場合、通常、袋を2枚使用して、茶刈機の荷台に左右別々に袋を取付けて摘採を行う。そして、この場合は、運転者(農事専従作業者、他の作業者等)が一人で作業をする際は、袋が一杯になると袋載置用の荷台まで降りて、原則として同時に2つの袋を交換する。この袋の交換は、かなりの危険性と手間を要する。例えば、傾斜地においては、高く、かつ狭い機械の荷台上又はデッキの上を移動しなければならず大変である。殊に、このように傾斜地では荷台が傾いていることから、この傾いた荷台上に乗り、移動することが必要であり、危険で、かつ作業効率が悪いことが知られている。また傾斜地では、左右の袋で生葉(茶葉)の入り量が大きく異なるため、袋交換のタイミングが難しいことも知られている。従って、これらの改良を踏まえて、袋交換を安全に一人で行うことが、従来から要望されている。
【0003】
そして、これに関する先行文献としては、特開2004−147540の「乗用作業型茶刈機」(文献(1)とする)と、特開2001−224221の「茶畝跨走型茶刈装置における荷台構造」(文献(2)とする)と、特開2003−235324の「走行式茶刈装置並びに方法」(文献(3)とする)が挙げられる。
【0004】
この文献(1)の発明は、収容袋の交換(取替え)作業について、走行機体から地面に降りること、またデッキから昇降することなく簡単にかつ効率よく作業が行え、更に摘採等の茶刈作業を中断することなく行え、またトラック等に積載する際にもコンパクトにすることができる新規な乗用作業型茶刈機を提案する。その構成は、走行機体に搭載される摘採作業、剪枝作業を行うための刈刃と、茶葉類を収容する収容袋と、刈刃から収容袋へ茶葉類を移送する移送装置で構成した茶刈機において、走行機体のデッキの上は作業デッキとし、収容袋は走行機体の後部上方で、かつその幅方向に並設される複数基の収容袋吊持体によって支持される構成であって、この収容袋吊持体はデッキの後端に直接臨むとともに、その位置を走行機体の前後方向に移動可能とし、張り出し及び格納自在とされ、更にこの収容袋吊持体と刈刃後方の案内胴を連通する移送ダクトを設け、この移送ダクトは、収容袋を切り換え的に選択できるとともに、少なくとも常時一つの収容袋が荷受け待機状態となっていることを特徴とする。
【0005】
また文献(2)の発明は、張出荷台を、単に側方から茶畝跨走型茶刈装置の走行ライン中央に向かって摺動状態に退去できる構成とし、積荷物である袋を移動する必要がなくその作業を行い得るものであり、円滑な障害物の通過が可能となる。その構成は、茶刈装置に、刈刃を備えた茶刈機ユニットを搭載し、この茶刈機ユニットの刈刃を茶畝上面に臨ませ、茶刈を行う構成であって、走行機ユニットのフレームには収穫茶葉を充填した袋を積載する張出荷台をフレーム上方から走行機ユニットの両側方に張出すように対設し、かつ荷台は機枠中心方向に向かって摺動移動することによって側方の張出しをなくした退去状態となるようにしたことを特徴とする。
【0006】
更に文献(3)の発明は、茶刈機ユニットにおける刈刃高さの設定値を記帳し、この刈刃の高さを簡易に調整可能で、かつ正確に設定できる走行式茶刈装置を提供する。その構成は、この走行機体に搭載され摘採、剪枝作業を行うための茶刈機ユニットを備えた茶刈装置において、茶刈機ユニットに設けた刈刃を、上下に高さ調節自在とするとともに、茶刈を行う場所に対応した刈刃の設定高さを複数記憶する手段を備えており、この手段には、記憶された刈刃の設定高さのデータから所望の刈刃の高さの設定を選択する手段と、この選択された設定値に基づき刈刃の高さを位置移動させる手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
【特許文献1】特開2004−147540
【特許文献2】特開2001−224221
【特許文献3】特開2003−235324
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
文献(1)は、複数基の収容袋吊持体に袋をそれぞれ載置する構成であり、次のような問題点がある。先ず、この発明においては、傾斜地で摘採した場合、往々にして左右の袋で生葉の入り量が大きく異なるため、袋交換のタイミングが難しいこと、効率的な袋交換が図れないこと等の改良点がある。また袋を個別に移送ダクトに取付ける必要があり、袋の交換の安全性及び/又は効率化が図れないこと、又は装置全体の構造の複雑化を招来すること、又はコストの上昇と、取扱いに苦慮すること等の改良点がある。
【0009】
また文献(2)は、フレーム上方から走行機ユニットの両側方に張出すよう設けた張出荷台を、障害物があった際に、自由に調整可能とした構成であり、袋を対で取付ける構成と同じであり、前述の文献(1)と同じ改良点がある。
【0010】
更に文献(3)は、圃場ごとに摘採高さを記帳した手段で、刈刃を所定の高さに調整する構成であり、従来の如く、この記帳された帳面を見ながら茶刈機ユニットの刈刃の高さを設定することを要しない特徴はある。しかし、この発明では、記憶する手段である制御部を設置する必要があり、構造の複雑化と、コストの上昇並びに操作の複雑化を招来すること等の不都合がある。
【0011】
上記に鑑み、本発明は、次のような改良点を提案及び/又は意図(目的)する。(1)は、例えば、全面刈りで摘み取った生葉を生葉用の筒体(シュート)を収斂し(絞り込み)、この筒体に設けた一つの袋で生葉を集葉する構成にする。そして、この筒体は、運転者がその場で交換できるように中央又は運転者側に収斂することで、この袋の交換を容易で安全に行えるようにすることを意図する。また摘み取った生葉が全て一つの袋に入るため、従来の如く、袋を二枚取付ける構成の問題点であった生葉を均一に集葉できない問題点を解消できる。更に本発明では、従来の可搬式の袋をそのまま使用可能な構成とし、イニシャルコストの低減化を可能とすることを意図する。そして、また本発明は、重量が重い茶刈機と運転者を走行部の反対側にそれぞれ配置する構成を採用し、茶刈機の車体バランスを確保することを意図する。(2)は、刃物及び/又は筒体の昇降装置において、周知の如く、茶畝の端まで摘採作業を行った後に、茶刈り機を全面的に約50mm程度持上げ後退する必要がある。これに対して、本発明は、鉛直側の柱体に第一・第二の柱体が適宜間隔を持って抱持するように設け、この第一・第二の柱体に筒体の吸込側と吹出側を枢支する構成であり、この筒体を小さいスペースで、かつ合理的に支持すること、また刃物の昇降を、省スペースで可能とすること、更には筒体と一体の刃物を3〜5°傾けた状態で茶刈機に取付け得ることで、摘採面が綺麗に仕上がり、また今後の茶樹の生育に好影響を与えること等を意図する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1の発明は、前述の目的を達成するための包括的な構成を提案することを意図する。
【0013】
請求項1は、左右の車輪、クローラ等の走行部にそれぞれ立設した鉛直側の柱体と、この鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体と、この昇降柱体に枢支した中間フレームで構成した鉛直側のフレームと、この鉛直側のフレームの鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体に設けた門形の可動側のフレームと、この可動側のフレームの昇降及び/又は可動を司る昇降手段及び/又は可動手段と、この可動側のフレームに可動装置を介して設けた茶刈機、整枝機等の茶園管理機械と、この茶園管理機械に着脱自在に設けた前記走行部の少なくとも運転席側に収歛形状となる筒体と、この筒体に着脱自在に設けた袋で構成した茶園管理装置の袋機構である。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、そして、この目的を達成するのに最適な可動側のフレームの可動を司る可動手段を提供することを意図する。
【0015】
請求項2は、請求項1に記載の可動手段を、可動側のフレームに設けた対の支持框と、この対の支持框のネジに噛合する前記鉛直側のフレームの中間フレームに固止した螺軸と、この螺軸を回転する前記鉛直側のフレームの中間フレームに固止した回転軸と、この回転軸を回し、かつこの鉛直側のフレームを可動する可動手段用のハンドルで構成した茶園管理装置の袋機構である。
【0016】
請求項3の発明は、前述の目的を達成するための包括的な構成を提案することを意図する。
【0017】
請求項3は、左右の車輪、クローラ等の走行部にそれぞれ立設した鉛直側の柱体と、この鉛直側のフレームの鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体と、この昇降柱体の昇降を司る昇降手段と、この昇降柱体に可動装置を介して設けた茶刈機、整枝機等の茶園管理機械と、この茶園管理機械に着脱自在に設けた前記走行部の少なくとも運転席側に収歛形状となる筒体と、この筒体に着脱自在に設けた袋で構成した茶園管理装置の袋機構である。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項3の目的を達成すること、そして、この目的を達成するのに最適な筒体の可動を司る可動装置を提供することを意図する。
【0019】
請求項4は、請求項1又は請求項3に記載の可動装置が、前記少なくとも運転席側に収歛形状となる筒体を可動可能に支持する構成であって、
この可動装置は、前記筒体の吹出側を可動側のフレームの第一の柱体の支持片に枢支し、またこの筒体の吸込側は、その基端を前記可動側のフレームの第二の柱体に設けた支持片に軸支したリンク板の自由端に枢支し、このリンク板を軸支する軸を回転し、かつ前記筒体を可動する可動装置用のハンドルで構成した茶園管理装置の袋機構である。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項3の目的を達成すること、そして、この目的を達成するのに最適な筒体の構成を提供することを意図する。
【0021】
請求項5は、請求項1又は請求項3に記載の筒体の吸込側に、茶刈機用の刃物及び/又は空気ノズルを設ける構成とした茶園管理装置の袋機構である。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1の目的を達成すること、そして、この目的を達成するのに最適な可動側のフレームの可動構成を提供することを意図する。
【0023】
請求項6は、請求項1に記載の茶園管理装置の可動側のフレームを、門形でなる第一・第二の柱体で構成し、この第一・第二の柱体の基端側を前記鉛直側の柱体に被嵌した昇降柱体に枢支し、前記鉛直側のフレームが傾斜地で鉛直方向に立設した状態において、この第一・第二の柱体がこの傾斜地に対応して可動する構成とした茶園管理装置の袋機構である。
【0024】
請求項7の発明は、請求項1の目的を達成すること、そして、この目的を達成するのに最適な可動側のフレームの可動を司る可動装置を提供することを意図する。
【0025】
請求項7は、請求項1に記載の可動側のフレームを、前記鉛直側のフレームの左右の鉛直側の柱体に昇降自在に被嵌した左右の昇降柱体と、この左右の昇降柱体に基端側をそれぞれ枢支した第一・第二の柱体と、この第一・第二の柱体の自由端間に差渡した第一・第二の梁体で構成した茶園管理装置の袋機構である。
【0026】
請求項8の発明は、請求項7の目的を達成すること、そして、この目的を達成するのに最適な左右の昇降柱体の構成を提供することを意図する。
【0027】
請求項8は、請求項7に記載の左右の昇降柱体に前記第一・第二の柱体の基端側をそれぞれ枢支する構成を、この第一・第二の柱体の基端側に貫通したボルト等の枢軸と、この枢軸の貫通側に螺着されるナット等の止め具で枢支する構成とした茶園管理装置の袋機構である。
【発明の効果】
【0028】
請求項1の発明は、左右の車輪、クローラ等の走行部にそれぞれ立設した鉛直側の柱体と、中間フレームで構成した鉛直側のフレームと、鉛直側のフレームの鉛直側の柱体に外嵌された昇降柱体に設けた門形の可動側のフレームと、可動側のフレームの昇降及び/又は可動を司る昇降手段及び/又は可動手段と、可動側のフレームに可動装置を介して設けた茶刈機、整枝機等の茶園管理機械と、茶園管理機械に着脱自在に設けた走行部の少なくとも運転席側に収歛形状となる筒体と、筒体に着脱自在に設けた袋で構成した茶園管理装置の袋機構である。
【0029】
従って、請求項1は、全面刈りで摘み取った生葉を収斂した生葉用の筒体(絞り込んだ筒体)に取込み、この筒体に設けた一つの袋で生葉を集葉するように構成する。そして、この筒体を、運転者がその場で交換できるように中央又は運転者側に収斂することで、この袋の交換を容易で安全に行うことができること、また摘み取った生葉が全て一つの袋に入るため、従来の如く、袋を二枚取付ける構成の問題点の一つであった生葉を均一に集葉できない課題を解消できること、更に請求項1は、従来の可搬式の袋をそのまま使用可能な構成とし、イニシャルコストの低減化が可能となること等の特徴がある。そして、また請求項1は、重量が重い茶刈機と運転者を走行部の反対側にそれぞれ配置する構成を採用し、茶刈機の車体バランスを確保できる実益がある。尚、また茶園管理装置の小型化にも有効である。
またこの請求項1は、刃物及び/又は筒体の昇降装置において、周知の如く、茶畝の端まで摘採作業を行った後に、茶刈り機を全面的に約50mm程度持上げ後退する必要がある場合、鉛直側の柱体に第一・第二の柱体が適宜間隔を持って抱持するように設け、この第一・第二の柱体に筒体の吸込側と吹出側を枢支する構成であり、この筒体を小さいスペースで、かつ合理的に支持できること、また刃物の昇降が省スペースで可能となること、更には筒体と一体の刃物を3〜5°傾けた状態で茶刈機に取付け得ることで、摘採面が綺麗に仕上がること、また今後の茶樹の生育に好影響を与え得ること等の特徴がある。
更にこの請求項1は袋交換を簡易かつ安全に一人で行うことができるので、この種の摘採作業において摘み取った茶葉を袋に効率的に収容し、かつこの袋の交換を簡易、効率的に処理でき、又はこれらの取扱い作業の簡便化が図れる特徴がある。
【0030】
請求項2の発明は、請求項1に記載の可動手段を、可動側のフレームに設けた対の支持框と、対の支持框のネジに噛合する鉛直側のフレームの中間フレームに固止した螺軸と、螺軸を回転する鉛直側のフレームの中間フレームに固止した回転軸と、回転軸を回し、かつ鉛直側のフレームを可動する可動手段用のハンドルで構成した茶園管理装置の袋機構である。
【0031】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、そして、この目的を達成するのに最適な可動側のフレームの可動を司る可動手段を提供できること等の特徴を有する。
【0032】
請求項3の発明は、左右の車輪、クローラ等の走行部にそれぞれ立設した鉛直側の柱体と、鉛直側のフレームの鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体と、昇降柱体の昇降を司る昇降手段と、昇降柱体に可動装置を介して設けた茶刈機、整枝機等の茶園管理機械と、茶園管理機械に着脱自在に設けた走行部の少なくとも運転席側に収歛形状となる筒体と、筒体に着脱自在に設けた袋で構成した茶園管理装置の袋機構である。
【0033】
従って、請求項3は、前述した請求項1と、略同じ特徴と実益を有する。
【0034】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項3に記載の可動装置が、少なくとも運転席側に収歛形状となる筒体を可動可能に支持する構成であって、
可動装置は、筒体の吹出側を可動側のフレームの第一の柱体の支持片に枢支し、また筒体の吸込側は、基端を可動側のフレームの第二の柱体に設けた支持片に軸支したリンク板の自由端に枢支し、リンク板を軸支する軸を回転し、かつ筒体を可動する可動装置用のハンドルで構成した茶園管理装置の袋機構である。
【0035】
従って、請求項4は、請求項1又は請求項3の目的を達成できること、そして、この目的を達成するのに最適な筒体の可動を司る可動装置を提供できること等の特徴を有する。
【0036】
請求項5の発明は、請求項1又は請求項3に記載の筒体の吸込側に、茶刈機用の刃物及び/又は空気ノズルを設ける構成とした茶園管理装置の袋機構である。
【0037】
従って、請求項5は、請求項1又は請求項3の目的を達成できること、そして、この目的を達成するのに最適な筒体の構成を提供できること等の特徴を有する。
【0038】
請求項6の発明は、請求項1に記載の茶園管理装置の可動側のフレームを、門形でなる第一・第二の柱体で構成し、第一・第二の柱体の基端側を鉛直側の柱体に被嵌した昇降柱体に枢支し、鉛直側のフレームが傾斜地で鉛直方向に立設した状態において、第一・第二の柱体が傾斜地に対応して可動する構成とした茶園管理装置の袋機構である。
【0039】
従って、請求項6は、請求項1の目的を達成できること、そして、この目的を達成するのに最適な可動側のフレームの可動構成を提供できること等の特徴を有する。
【0040】
請求項7の発明は、請求項1に記載の可動側のフレームを、鉛直側のフレームの左右の鉛直側の柱体に昇降自在に被嵌した左右の昇降柱体と、左右の昇降柱体に基端側をそれぞれ枢支した第一・第二の柱体と、第一・第二の柱体の自由端間に差渡した第一・第二の梁体で構成した茶園管理装置の袋機構である。
【0041】
従って、請求項7は、請求項1の目的を達成できること、そして、この目的を達成するのに最適な可動側のフレームの可動を司る可動装置を提供できること等の特徴を有する。
【0042】
請求項8の発明は、請求項7に記載の左右の昇降柱体に第一・第二の柱体の基端側をそれぞれ枢支する構成は、第一・第二の柱体の基端側に貫通したボルト等の枢軸と、枢軸の貫通側に螺着されるナット等の止め具で枢支する構成とした茶園管理装置の袋機構である。
【0043】
従って、請求項8は、請求項7の目的を達成できること、そして、この目的を達成するのに最適な左右の昇降柱体の構成を提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
本発明の一例を説明する。
図面の説明をすると、図1は茶園管理機械を持上げた状態を説明する全体の側面図、図2は茶園管理機械を降下した状態を説明する全体の側面図、図3は茶園管理機械を持上げた状態を示す正面図、図4は茶園管理機械を持上げた状態を示す全体の背面図、図5は茶園管理装置の全体の平面図、図6は鉛直側のフレームと可動側のフレームの関係を説明する一部欠截の要部の拡大正面図、図7は別の実施例であって、茶園管理機械を持上げた状態を説明する全体の側面図、図8は別の実施例であって、茶園管理機械を持上げた状態を示す正面図、図9は別の実施例であって、茶園管理機械を持上げた状態を示す全体の背面図、図10は別の実施例であって、茶園管理装置の全体の平面図である。
【0045】
先ず、図1〜図6の実施例を説明すると、1は略々H形の鉛直側のフレームで、この鉛直側のフレーム1は左右の車輪、クローラ等の走行部2、2(以下、左右等の如く、対の場合には、一方を表示する)にそれぞれ立設した鉛直側の柱体3と、この鉛直側の柱体3に外嵌した左右の角筒形状の昇降柱体4と、この左右の昇降柱体4間に枢支した中間フレーム5で構成する。そして、この鉛直側のフレーム1、即ち、その鉛直側の柱体3は、茶園(圃場)の傾斜、水平等の何れの条件下においても、鉛直状態を確保する。また前記枢支は、枢軸500と、この枢軸500が挿入される前記昇降柱体4に設けた長孔501で構成し、この枢軸500が長孔501を移動し、前記鉛直及び/又は後述する可動側のフレームの可動を確保する構成である。尚、図示しないが、この枢軸500の移動は、後述する可動手段との関係による。
【0046】
尚、この鉛直側の柱体3に外嵌(遊嵌)した昇降柱体4は昇降手段で上下動(昇降)するが、この例では、昇降手段は、昇降柱体4に設けた螺軸7及び/又は歯車機構(図示せず)と、この螺軸7に噛合する歯車(図示せず)と、この歯車を回すハンドル8で構成し、このハンドル8の回転で歯車機構→螺軸7→歯車を介して昇降する構成である。尚、シリンダー等の他の機構でも可能である。
【0047】
10は左右の昇降柱体4に設けた(略)門形の可動側のフレームで、この可動側のフレーム10は、昇降柱体4にそれぞれ基端側11a、12aを枢支し、この昇降柱体4を抱持するように設けた第一の柱体11、第二の柱体12と、この第一の柱体11間に差渡した梁材13及び/又は第二の柱体12間に差渡した梁材14と、この梁材13、14を固止する、当該差渡した梁材13、14間に設けた一枚又は数枚の差渡し材15で構成する。そして、この可動側のフレーム10は、傾斜地の茶樹Aに対応して可動可能に設けられている。従って、例えば、この可動側のフレーム10は、鉛直側のフレーム1が傾斜地で鉛直方向に立設した状態において、後述する可動手段で傾斜地の茶樹Aに対応して可動することで、この可動側のフレーム10に設けた刃物(後述する)が傾斜地の茶樹Aに対応できる構成となっている。
【0048】
また20は鉛直側のフレーム1と可動側のフレーム10との間に設けた、この可動側のフレーム10の可動(傾斜)を司る可動手段であり、この可動手段20は可動側のフレーム10に設けた対の支持框21と、対の支持框21のネジ(図示せず)に噛合する螺軸22と、この螺軸22に噛合するナット23と、このナット23に設けた前記中間フレーム5に固止したブラケット24と、螺軸22に自在継手25を介して回転する回転軸26と、回転軸26を回し、かつ鉛直側のフレーム1を可動する可動手段用のハンドル27で構成されている。従って、ハンドル27を回すことで、螺軸22が回転し、この螺軸22に噛合されているナット23が、当該螺軸22に沿って順次移動する。その理由は、この螺軸22が鉛直側のフレーム1に固止されているので、螺軸22は鉛直側のフレーム1とともに、停止状態であり、逆にこのナット23が螺軸22に沿って移動する構成である。このナット23の移動に伴って、ブラケット24の移動を介して中間フレーム5が移動する。この中間フレーム5の移動を介して可動側のフレーム10が鉛直側のフレーム1の昇降柱体4を支点として順次可動する。即ち、この可動側のフレーム10が傾斜地の茶樹Aに倣うように可動する構成(前述の鉛直側のフレーム1を構成する枢軸500の移動を含む)である。尚、図中28は可動側のフレーム10の可動を司る支点軸(回転軸)をそれぞれ示す。そして、この支点軸28は第一の柱体11、第二の柱体12の基端側11a、12aを枢支し、昇降柱体4に固止する。
【0049】
尚、30は可動装置であり、この可動装置30は、筒体40の吹出側40a(吹出口側)を可動側のフレーム10の第一の柱体11の支持片110に枢支する回転機構(図示せず)と、また筒体40の吸込側40b(吸込口側)は、可動側のフレーム10の第二の柱体12に設けた支持片120にその基端31aを軸支したリンク板31の自由端31bに枢支する回転機構(図示せず)で構成し、リンク板31を軸支する軸32に設けた可動装置用のハンドル33で構成する。従って、ハンドル33を回すことで、軸32が回転し、この軸32の回転でリンク板31を下向きに可動する。この下向きの可動で、筒体40の吸込側40bの枢支が降下すると同時に、この降下は筒体40の吹出側40aを支点することで達成される。そして、この降下は、略5°であり、刃物45の先は、茶樹Aの下にあり摘採角度となる(図2の状態である)。またこのハンドル33を逆方向に回すことで、前述と逆の動作により復帰し、刃物45の先は、茶樹Aより略50mm以上に位置する(図1の状態である)。従って、茶樹Aの長手方向(茶畝方向)に走行し、摘採(茶刈り)、剪定等する場合には、図2の状態で走行し(摘採、剪定、整枝等の作業をし)、例えば、茶畝の端まで摘採作業を行った後に、茶刈り機を全面的に約50mm程度持上げ後退する必要があるときには、図1の状態である。勿論、袋48が一杯の場合にも同様な作業となり得ることもある。
【0050】
そして、この筒体40は、この例では、中心に向かって収斂した平面視して略台形状であるが、運転席50の運転者H(人)がその場で袋48を交換できるように運転者H側に収斂する形状であればその形状は限定されない。即ち、この袋48の交換を、運転席50の運転者Hが容易で安全に行うことができる形状で、かつ望ましくは従来の袋48(一つの袋48)を採用できる構成であればよい。またこの筒体40の吸込側40bの下部には刃物45が設けられている。そして、この刃物45の僅か上に空気のノズル46が設けられている。従って、摘採された茶葉は、この吸込側40bからスムーズかつ確実に筒体40内に吸込まれた後、袋48内に収容される。
また、図中47は袋48を吊下する竿を示す。
図中51は運転部、52は袋支持台、53は袋係止金具を示す。
【0051】
次に、図1〜図6の別の実施例である図7〜図10を説明するが、共通部品の説明は省略する。この例では、鉛直側のフレーム1を構成する鉛直側の柱体3に設けた昇降柱体4に支持片110及び/又は支持片120を介して筒体40を設ける。尚、支持片110及び/又は支持片120間に設けた連結金具を介して筒体40を設ける例もあり得る(他の例も同じ)。この例では、可動側のフレーム10、可動手段20等を設けないが、他の構成は前述の例に準ずる。またこの別の実施例は固定式であり、前述の例に対して、簡便な使用と、構造の簡略化、低コスト化、又は汎用性等の面で優れる。
【0052】
そして、また本発明は、全面刈りも半面刈りも搭載できる構成であり、例えば、摘採作業やならし整枝作業等、茶刈り精度を必要とする場合は、全面刈り茶刈り機を使用し、中刈り作業等、あまり精度を必要としない場合は、半面刈り茶刈り機を使用することができる。
【0053】
以上で説明した茶園管理装置は、一例であり、本発明の茶園管理装置の袋機構は、同様な機構の他の例においても採用できる。
【0054】
図例で示した茶園管理装置は、この図例に限定されず、望ましくは、走行部2を備えた構成で、運転席50で運転者Hが運転部51を操作し、かつ袋48の端に運転者Hの手が届く構成が理想である。また他の例としては、この種の走行部2より、運転者Hが地上に降りるか、又は装置のデッキの上を移動し、袋48を着脱操作する構成でも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は茶園管理機械を持上げた状態を説明する全体の側面図
【図2】図2は茶園管理機械を降下した状態を説明する全体の側面図
【図3】図3は茶園管理機械を持上げた状態を示す正面図
【図4】図4は茶園管理機械を持上げた状態を示す全体の背面図
【図5】図5は茶園管理装置の全体の平面図
【図6】図6は鉛直側のフレームと可動側のフレームの関係を説明する一部欠截の要部の拡大正面図
【図7】図7は別の実施例であって、茶園管理機械を持上げた状態を説明する全体の側面図
【図8】図8は別の実施例であって、茶園管理機械を持上げた状態を示す正面図
【図9】図9は別の実施例であって、茶園管理機械を持上げた状態を示す全体の背面図
【図10】図10は別の実施例であって、茶園管理装置の全体の平面図
【符号の説明】
【0056】
1 鉛直側のフレーム
2 走行部
3 鉛直側の柱体
4 昇降柱体
5 中間フレーム
500 枢軸
501 長孔
7 螺軸
8 ハンドル
10 可動側のフレーム
11 第一の柱体
11a 基端側
110 支持片
12 第二の柱体
12a 基端側
120 支持片
13 梁材
14 梁材
15 差渡し材
20 可動手段
21 支持框
22 螺軸
23 ナット
24 ブラケット
25 自在継手
26 回転軸
27 ハンドル
28 支点軸
30 可動装置
31 リンク板
31a 基端
31b 自由端
32 軸
33 ハンドル
40 筒体
40a 吹出側
40b 吸込側
45 刃物
46 ノズル
47 竿
48 袋
50 運転席
51 運転部
52 袋支持台
53 袋係止金具
A 茶樹
H 運転者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の車輪、クローラ等の走行部にそれぞれ立設した鉛直側の柱体と、この鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体と、この昇降柱体に枢支した中間フレームで構成した鉛直側のフレームと、この鉛直側のフレームの鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体に設けた門形の可動側のフレームと、この可動側のフレームの昇降及び/又は可動を司る昇降手段及び/又は可動手段と、この可動側のフレームに可動装置を介して設けた茶刈機、整枝機等の茶園管理機械と、この茶園管理機械に着脱自在に設けた前記走行部の少なくとも運転席側に収歛形状となる筒体と、この筒体に着脱自在に設けた袋で構成した茶園管理装置の袋機構。
【請求項2】
請求項1に記載の可動手段は、可動側のフレームに設けた対の支持框と、この対の支持框のネジに噛合する前記鉛直側のフレームの中間フレームに固止した螺軸と、この螺軸を回転する前記鉛直側のフレームの中間フレームに固止した回転軸と、この回転軸を回し、かつこの鉛直側のフレームを可動する可動手段用のハンドルで構成した茶園管理装置の袋機構。
【請求項3】
左右の車輪、クローラ等の走行部にそれぞれ立設した鉛直側の柱体と、この鉛直側のフレームの鉛直側の柱体に外嵌した昇降柱体と、この昇降柱体の昇降を司る昇降手段と、この昇降柱体に可動装置を介して設けた茶刈機、整枝機等の茶園管理機械と、この茶園管理機械に着脱自在に設けた前記走行部の少なくとも運転席側に収歛形状となる筒体と、この筒体に着脱自在に設けた袋で構成した茶園管理装置の袋機構。
【請求項4】
請求項1又は請求項3に記載の可動装置は、前記少なくとも運転席側に収歛形状となる筒体を可動可能に支持する構成であって、
この可動装置は、前記筒体の吹出側を可動側のフレームの第一の柱体の支持片に枢支し、またこの筒体の吸込側は、その基端を前記可動側のフレームの第二の柱体に設けた支持片に軸支したリンク板の自由端に枢支し、このリンク板を軸支する軸を回転し、かつ前記筒体を可動する可動装置用のハンドルで構成した茶園管理装置の袋機構。
【請求項5】
請求項1又は請求項3に記載の筒体の吸込側に、茶刈機用の刃物及び/又は空気ノズルを設ける構成とした茶園管理装置の袋機構。
【請求項6】
請求項1に記載の茶園管理装置の可動側のフレームは、門形でなる第一・第二の柱体で構成し、この第一・第二の柱体の基端側を前記鉛直側の柱体に被嵌した昇降柱体に枢支し、前記鉛直側のフレームが傾斜地で鉛直方向に立設した状態において、この第一・第二の柱体がこの傾斜地に対応して可動する構成とした茶園管理装置の袋機構。
【請求項7】
請求項1に記載の可動側のフレームは、前記鉛直側のフレームの左右の鉛直側の柱体に昇降自在に被嵌した左右の昇降柱体と、この左右の昇降柱体に基端側をそれぞれ枢支した第一・第二の柱体と、この第一・第二の柱体の自由端間に差渡した第一・第二の梁体で構成した茶園管理装置の袋機構。
【請求項8】
請求項7に記載の左右の昇降柱体に前記第一・第二の柱体の基端側をそれぞれ枢支する構成は、この第一・第二の柱体の基端側に貫通したボルト等の枢軸と、この枢軸の貫通側に螺着されるナット等の止め具で枢支する構成とした茶園管理装置の袋機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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