説明

茶葉二段摘採機

【課題】刃先が前面に露出することがなく作業安全性に優れ、刈取りされた茶葉を茶葉収納部に確実に収納することができる茶葉二段摘採機を提供する。
【解決手段】茶畝上を走行する台車部11と、台車部上に茶畝の幅方向Yに渡設された門型フレーム12と、門型フレームの後方の後方支柱部12aに取り付けられ上下に昇降する刈刃ユニット20と、刈刃ユニットの上刈刃部14aの後方かつ下方で下刈刃部13の上方に設けられた空気噴出ノズル16とを有し、空気噴出ノズルから刈刃ユニットに向けて空気を噴射することによって、上下の刈刃部で刈り取られた茶葉を台車部の後方に配置された茶葉収納部18に搬送するようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶畝を挟んで茶畝の横幅巾全体を覆うバリカン型刈刃により、茶畝に沿って走行しながら茶葉を採取する茶葉二段摘採機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の茶葉二段摘採機は、茶畝を跨ぐ門型フレームの両下部に走行装置を設け、茶畝の畝間を走行させながら、刈刃によって摘み採られた茶生葉を茶葉収納袋に集める装置が知られている。
このような茶葉二段摘採機に関連して、例えば特許文献1(特開2003−102234号公報)には、茶畝を挟んだ2本の走行装置を門型枠でつなぎ、門型枠下方に茶畝の横幅全体を覆うバリカン型の刈刃を設け、刈刃の前方に刈刃の上面に強風を送る送風管を設け、刈刃の後方に茶葉を収容する収容装置を接続し、茶畝に沿って移動しながら茶葉を摘採する乗用型茶葉摘採機において、門型枠の前方に脱着自在とした2段刈用のバリカン型の刈刃を設けた乗用型茶葉摘採機が記載されている。
また、特許文献2(特開2010−99005号公報)には、刈刃の刈取方向後側に、前記刈刃に連動して駆動する刈ナラシ用の第2の刈刃を有し、前記刈刃及び前記第2の刈刃は、前記刈取装置の昇降動作に連動して駆動、停止するようにした茶葉摘採機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−102234号公報
【特許文献2】特開2010−99005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1の乗用型茶葉摘採機は、その動作する刈刃部分が走行する台車の前方に突出して配置されており、茶葉摘採機の走行中や作業中における安全面での問題がある。
また、バリカン型刈刃の駆動部にフレキシブルシャフトの一端を接続し、他端を乗用型茶葉摘採機の機体の回転軸に接続して、門型枠前方に2段のバリカン型刈刃を脱着自在に設けるようにするので、そのバリカン型刈刃の脱着やメンテナンスに手間取ることが多く、作業効率性に欠けるという問題もあった。
さらに特許文献2の茶葉摘採機のように、刈取方向後側の刈刃に連動する刈ナラシ用の第2の刈刃を有した茶葉摘採機では、刈刃や第2の刈刃が、刈取装置の昇降動作に連動して駆動、停止するので、コンピュータなどの制御系が必要であり、結果的に構造が複雑化して高価になるという欠点があった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するためになされたもので、茶葉摘採機の稼働中において運動する刃先が前面に露出することがなく作業安全性に優れるととも、茶芽の生育状態に応じて上刃部分を設定する際の作業効率性やメンテナンス性に優れた茶葉二段摘採機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)前記課題を解決するため、本発明の茶葉二段摘採機は、
茶畝上を走行する台車部と、前記台車部上に茶畝の幅方向に渡設された門型フレームと、前記門型フレームの後方の後方支柱部に取り付けられ上下に昇降する刈刃ユニットと、
前記刈刃ユニットの上刈刃部の後方かつ下方で下刈刃部の上方に設けられた空気噴出ノズルとを有し、
前記空気噴出ノズルから前記刈刃ユニットに向けて空気を噴射することによって、
前記上下の刈刃部で刈り取られた茶葉を前記台車部の後方に配置された茶葉収納部に搬送するようにしたことを特徴とする。
【0007】
(2)本発明の茶葉二段摘採機は、前記(1)において、前記刈刃ユニットの上刈刃部及び下刈刃部が、前記門型フレームの後方の後方支柱部と前方の前方支柱部との間に位置するように、前記台車部の中間位置に配置されていることを特徴とする。
【0008】
(3)本発明の茶葉二段摘採機は、前記(1)において、前記刈刃ユニットの上刈刃部及び下刈刃部が、前記門型フレームの後方の後方支柱部の後部に位置するように、前記台車部の後方位置に配置されていることを特徴とする。
(4)本発明の茶葉二段摘採機は、前記(1)において、
上刈刃及び下刈刃で刈り取られた茶葉を搬送する空気噴出ノズルが、
送風ダクトからの噴出空気を、
上部及び/又は下部ダクト内部空気噴出口に投入し、
その下方の反射板に当接させて、反射板で反射した噴出空気を、
前記上部及び/又は下部ダクト内部空気噴出口平面ノズル部から、茶葉移送ダクトの下方から上方に向けて反射させるようにしていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の茶葉二段摘採機は、茶畝上を走行する台車部と、前記台車部上に茶畝の幅方向に渡設された門型フレームと、前記門型フレームの後方の後方支柱部に取り付けられ上下に昇降する刈刃ユニットと、前記刈刃ユニットの上刈刃部の後方かつ下方で下刈刃部の上方に設けられた空気噴出ノズルとを有し、空気噴出ノズルから刈刃ユニットに向けて空気を噴射することによって、上下の刈刃部で刈り取られた茶葉を前記台車部の後方に配置された茶葉収納部に搬送するようにしたので、上下の刈刃が台車部から突出して進行方向前方に配置されておらず茶葉の刈取り作業中の安全性を高めることができる。
また、下刈刃部と上刈刃部との間に設けられた空気噴出ノズルにより刈取りされた茶葉を台車部後方の茶葉収納部に搬送するので、上下刈刃部によって摘採された茶葉を確実に茶葉収納部に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1に係る茶葉二段摘採機の模式構成図である。
【図2】実施例1に係る茶葉二段摘採機の刈刃ユニットの斜視図である。
【図3】実施例1に係る茶葉二段摘採機の刈刃ユニットの平面図である。
【図4】実施例1に係る茶葉二段摘採機の刈刃ユニットを台車中間位置に配置する手順の斜視図である。
【図5】(a)は実施例1に係る茶葉二段摘採機の刈刃ユニットを台車中間位置する手順を示す平面図であり、(b)は台車中間位置に配置した平面図である。
【図6】実施例2に係る茶葉二段摘採機の模式構成図である。
【図7】(a)は実施例2に係る茶葉二段摘採機の刈刃ユニットを台車後端位置に配置する手順の斜視図であり、(b)は台車後端位置に配置した斜視図である。
【図8】実施例2に係る茶葉二段摘採機の刈刃ユニットを台車後端位置に配置する手順を示す平面図である。
【図9】実施例3に係る茶葉二段摘採機の模式構成図である。
【図10】図9の部分拡大図である。
【図11】茶葉移送部を刈刃ユニットの後方に取付けた状態を示す斜視図である。
【図12】刈刃ユニットを台車に配置する手順の斜視図である。
【図13】茶葉移送部を刈刃ユニットの後方に取付ける手順を示す平面図である。
【図14】(a)は刈刃ユニットを台車に配置する手順を示す平面図であり、(b)は台車に配置した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る茶葉二段摘採機は、茶畝上を走行する台車部と、前記台車部上に茶畝の幅方向に渡設された門型フレームと、前記門型フレームの後方の後方支柱部に取り付けられ上下に昇降する刈刃ユニットと、前記刈刃ユニットの上刈刃部の後方かつ下方で下刈刃部の上方に設けられた空気噴出ノズルを有する。これにより、空気噴出ノズルから刈刃ユニットに向けて空気を噴射して、上下の刈刃部で刈り取られた茶葉を前記台車部の後方に配置された茶葉収納部に搬送するようにしている。
したがって、実施形態に係る茶葉二段摘採機は、上下の刈刃が台車部から突出して進行方向前方に配置されておらず茶葉の刈取り作業中の安全性を高めることができる。
さらに、刈刃ユニットの台車部へ脱着を容易にして、メンテナンス性や経済性にも優れたものとすることができる。
【0012】
茶葉二段摘採機は、茶畝を跨いで走行しながら刈刃ユニットにより刈取った茶葉を採取する装置である。刈刃ユニットが支持され昇降する門型フレームは、2本の走行装置を茶畝の幅方向に渡設するように台車部上に搭載されている。台車部の進行方向の後方には、刈刃ユニットで刈取られた茶葉を空気噴出ノズルによって搬送して収納するための収納袋などの茶葉収納部が設けられている。
【0013】
台車部は、ガソリンエンジンやディ−ゼルエンジンなどを原動機として油圧装置やVベルトなどで走行するクローラやホイールトラクタなどの駆動装置で構成され、門型フレームの他に茶葉二段摘採機を操作する運転席部分や作動用の油圧を発生させるための油圧装置などを備えている。
【0014】
刈刃ユニットは、下刈刃部、上刈刃部、これらの上下の刈刃部を駆動させるための駆動機構、刈取られた茶葉を噴射して搬送するための空気噴出ノズルなどを含み、茶畝の横幅全体をアーチ状に覆う装置である。
【0015】
油圧装置は、上下刈刃部の刈刃を駆動させたり刈刃ユニットを昇降させたり走行装置を駆動するための油圧システムであり、比較的小型の油圧ポンプで大きな動力が得られ、出力や速度の制御が容易となる利点を有している。
【0016】
また、本実施形態の茶葉二段摘採機においては、刈刃ユニットの上刈刃部及び下刈刃部が、門型フレームの後方の後方支柱部と前方の前方支柱部との間に位置するように、前記台車部の中間位置に配置させることもできる。これによって、刈刃ユニットの上刈刃部及び下刈刃部を門型フレームの内側に収めることができ、摘茶作業の安全性を高めることができる。
【0017】
さらに、本実施形態の茶葉二段摘採機は、刈刃ユニットの上刈刃部及び下刈刃部が、門型フレーム後方の後方支柱部の後部に位置するように、台車部の後方位置に配置させることもできる。これによって、刈刃ユニットの上刈刃部及び下刈刃部を門型フレームの後方に配置して、摘茶作業の安全性を高めることができるとともに、刈刃ユニットの脱着やメンテナンスも容易化できる。
【0018】
なお、本発明の茶葉二段摘採機は、上刈刃及び下刈刃で刈り取られた茶葉を搬送する空気噴出ノズルが、送風ダクトからの噴出空気を、上部及び/又は下部ダクト内部空気噴出口に投入し、その下方の反射板に当接させて、反射板で反射した噴出空気を、前記上部及び/又は下部ダクト内部空気噴出口平面ノズル部から、茶葉移送ダクトの下方から上方に向けて反射させるようにすることもできる。
これにより、下部ダクト内空気噴出口平面ノズル部からの空気噴射効果によって、下刈刃部及び上刈刃部で刈り取られた茶葉を茶葉移送ダクト内に吸引して後方の茶葉収納部へ搬送することができ、刈り取られた茶葉の移送を確実に行うことができる(刈取茶葉負圧吸引タイプ)。
この刈取茶葉負圧吸引タイプの茶葉移送用空気噴出ノズルの設置場所は、上刈刃と下刈刃との間ではなく、進行方向に対して下刈刃の後方に取り付ける。これにより、茶葉を移送するうえで茶葉移送用空気噴出ノズルが邪魔にならず、2段刈した茶葉を円滑に茶葉収納部に運ぶことができる。
【実施例1】
【0019】
<刈刃ユニットが中間位置のタイプ>
以下、実施例1に係る茶葉二段摘採機を、図面を参照しながらさらに具体的に説明する。
図1は茶葉二段摘採機の模式構成図であり、図2は刈刃ユニットの斜視図であり、図3はその平面図であり、図4は刈刃ユニットを台車中間位置に配置する手順の斜視図であり、図5の(a)は刈刃ユニットを台車中間位置する手順を示す平面図であり、(b)は台車中間位置に配置した平面図である。
実施例1の茶葉二段摘採機10は、図示するように、茶畝上を走行するクローラ型の台車部11と、台車部上に茶畝の幅方向(Y方向)に渡設された門型フレーム12と、門型フレームの後方の後方支柱部12aに取り付けられ上下に昇降する刈刃ユニット20と、刈刃ユニット20の上刈刃部14の後方かつ下方で下刈刃部13の上方に設けられた空気噴出ノズル16を有する。
【0020】
門型フレーム12には、油圧装置15や油圧シリンダーなどが備えられ、門型フレーム12の後方の後方支柱部12aに取り付けられた刈刃ユニット20を上下に昇降させるとともに、下刈刃部13の下刈刃13a及び上刈刃部14の上刈刃14aをバリカンのように駆動させるようになっている。
また、門型フレーム12には、上刈刃部14aを下刈刃部13aと連動させて駆動するためのVベルトやオイルホースなどを含めた駆動系や、門型フレームに刈刃ユニット20を取り付けるための門型フレーム固定用アタッチメント(ステイなど)などが備えられている。
【0021】
なお、台車部11の前方には茶葉二段摘採機10を操作する運転台17が設けられている。すなわち、台車部11の後方の後方支柱部12aに昇降自在に取り付けられ、中間位置に刈刃ユニット20が配置されており、この運転台17の前方や後方に下刈刃13aや上刈刃14aが突出して露出することがない。このため茶葉二段摘採機10の作動中における安全性を確保することができる。
【0022】
また、台車部11後方の下刈刃部13に接続して、袋状に形成された茶葉収納部18が配置されており、上刈刃14a及び下刈刃13aで刈り取られた茶葉が、空気噴出ノズル16から噴射された空気によって後方に搬送されて収納されるようになっている。
【0023】
なお、上刈刃部14で刈り取られた茶葉には直接空気噴射を行わず、下刈刃部13で刈り取られた茶葉に対してのみ、下刈刃部13の上方に取り付けてある空気噴出ノズル16から空気を噴射している。空気噴出ノズル16からの空気噴射効果によって、下刈刃部13で刈り取られて茶葉が搬送されるのに伴い、上刈刃部14で刈り取られた茶葉も吸引されて後方の茶葉収納部18へ搬送されるようになる。
よって、空気噴出ノズル16を、刈刃ユニット20の上刈刃部14の後方かつ下方で下刈刃部13の上方に設け、空気噴出ノズル16から刈刃ユニット20に向けて空気を噴射することによって、上刈刃部14及び下刈刃部13で刈り取られた全ての茶葉を残すことなく後方の茶葉収納部18へ搬送することができる。
【0024】
また、空気噴出ノズル16は、図示するように、刈刃ユニット20の上刈刃部14の後方かつ下方で下刈刃部13の上方に、茶畝の幅方向(矢印Y)に多数配列されて設けられており、これらの空気噴出ノズル16が集約される送風ダクト16aを介して送風ファン16bに連結されている。
送風ファン16bは、ガソリンエンジンやディ−ゼルエンジンやオイルモータを駆動源16cとして駆動され、送風ファン16bを駆動させ、空気を下刈刃部13に向けて噴射することによって、上下の刈刃部13,14で刈り取られた茶葉を台車部11後方に配置された茶葉収納部18に搬送するようにした。
なお、送風ダクト16aは蛇腹式のフレキシブルホースなどで構成され、刈刃位置調整時における刈刃ユニット20の上下動の動きに追随して移動可能となるように門型フレーム12に支持されている。
【0025】
門型フレーム12の後方支柱部12aには、刈刃ユニット20を支持する支持体19が取り付けられており、後方支柱部12a上を昇降して刈刃ユニット20及び茶葉収納部18の上下の位置を調整可能としている。
この支持体19に取り付けられ刈刃ユニット20を所定高さに設定して、茶葉二段摘採機10を茶畝上で走行させることによって、上下2段の各刈刃(上刈刃部14及び下刈刃部13)により茶葉を刈取りながら茶葉収納部18に摘採する操作を適正かつ迅速に行えるようにしている。
【0026】
実施例1の茶葉二段摘採機においては、下刈刃部13及び上刈刃部14を含む刈刃ユニット20が門型フレームに対して台車部11の中間位置に配置されている。
図4及び図5の説明図に、刈刃ユニット20を茶葉二段摘採機10の台車部11の側方から挿入して中間位置に配置する手順を示す。図5(a)に示すように、刈刃ユニット20に左右のステイ部21、22を取り付けて、台車部11の側方から横水平方向に挿入する。そして、門型フレーム12の後方支柱部12a上の支持体19に連結することによって、刈刃ユニット20は、その上刈刃部14及び下刈刃部13が門型フレーム12の後方に立設する後方支柱部12aと前方に立設する前方支柱部12bとの間に位置するように、台車部11の中間位置に配置させることができる(図5(b))。
【実施例2】
【0027】
<刈刃ユニットが後方位置のタイプ>
実施例2に係る茶葉二段摘採機を、図面を参照しながらさらに具体的に説明する。
図7(a)は刈刃ユニットを台車後端位置に配置する手順の斜視図であり、(b)は台車後端位置に配置した斜視図である。図8は刈刃ユニットを台車後端位置に配置する手順を示す平面図である。
実施例2の茶葉二段摘採機10’は、茶畝上を走行するクローラ型の台車部11と、台車部上に茶畝の幅方向に渡設された門型フレーム12と、門型フレームの後方の後方支柱部12aに取り付けられ上下に昇降する刈刃ユニット20と、刈刃ユニット20の上刈刃部14の後方かつ下方で下刈刃部13の上方に設けられた空気噴出ノズル16を有する点では、実施例1の茶葉二段摘採機と同一である。
しかし、図7、図8に示すように、刈刃ユニット20が、その上刈刃部14及び下刈刃部13が門型フレーム12後方の後方支柱部12aの後部に位置するように、台車部11の後方位置に配置されている点で実施例1の茶葉二段摘採機と異なる。
すなわち、実施例1の茶葉二段摘採機10’は、図7(a)、図8に示すように、刈刃ユニット20に左右のステイ部21、22を取り付けて、支持体19のステイ受部24、25に取り付けることによって、刈刃ユニット20が、その上刈刃部14及び下刈刃部13が門型フレーム12後方の後方支柱部12aの後部に位置するように、台車部11の後方位置に配置されている。
なお、ステイ受部24,25は、門型フレーム12の後方に立設する後方支柱部12aに設けられ昇降する支持部19に固定された逆L字状の鋼鉄製部材からなる。
これによって、刈刃ユニット20の上刈刃部14及び下刈刃部13を門型フレーム12の後方に 配置して、摘茶作業の安全性を高めることができるとともに、刈刃ユニットの脱着やメンテナンスも容易化できる。
【実施例3】
【0028】
<刈取り茶葉負圧吸引タイプ>
実施例3に係る茶葉二段摘採機を、図面を参照しながらさらに具体的に説明する。
図9は実施例3の茶葉二段摘採機の模式構成図であり、図10は図9の部分拡大図であり、図11は茶葉移送部を刈刃ユニットの後方に取付けた状態を示す斜視図であり、
図12は刈刃ユニットを台車に配置する手順の斜視図であり、
図13は茶葉移送部を刈刃ユニットの上部に取付ける手順を示す平面図であり、
図14(a)は刈刃ユニットを台車に配置する手順を示す平面図であり、(b)は台車に配置した平面図である。
実施例3の茶葉二段摘採機10’’は、茶畝上を走行するクローラ型の台車部11と、台車部上に茶畝の幅方向に渡設された門型フレーム12と、門型フレームの後方の後方支柱部12aに取り付けられ上下に昇降する刈刃ユニット20と、刈刃ユニット20の上刈刃部14の後方かつ下方で下刈刃部13を有する点では、実施例1及び2の茶葉二段摘採機と同一である。
しかし、実施例3の茶葉二段摘採機10’’は、図9〜図14に示すように、上刈刃14a及び下刈刃13aで刈り取られた茶葉を搬送する空気噴出ノズルは、送風ダクト16aからの噴出空気を、下部ダクト内部空気噴出口30に投入し、その下方の反射板30aに当接させて、反射板30aで反射した噴出空気を、下部ダクト内空気噴出口平面ノズル部34から、茶葉移送ダクト30bの下方から上方に向けて反射させるようにしている。
これにより、下部ダクト内空気噴出口平面ノズル部34からの空気噴射効果によって、下刈刃部13及び上刈刃部14で刈り取られた茶葉を茶葉移送ダクト30b内に吸引して後方の茶葉収納部18へ搬送するようになっている。
なお、図10では、空気噴出ノズルを上段にも設置し、送風ダクト16aからの噴出空気を、上部ダクト内部空気噴出口31に投入し、その下方の反射板31aに当接させて、反射板31aで反射した噴出空気を、上部ダクト内空気噴出口平面ノズル部35から、茶葉移送ダクト30bの中間から上方に向けて反射させるようにしているが、空気噴出ノズルを設置する段数は一段でもよいし、複数段でもよい。
また、茶葉移送ダクト30bの下方に吸風口可変板36を設け、吸込口の大きさや向きを調整可能なようにしている。
さらに、実施例3の茶葉二段摘採機10’’においては、図9に示すように、茶葉収納部18を刈刃ユニットの後方に取付けてある。
【0029】
実施例3の茶葉二段摘採機においては、下刈刃部13及び上刈刃部14を含む刈刃ユニット20が門型フレームに対して台車部11の中間位置に配置されている。
図12〜図14の説明図に、刈刃ユニット20を茶葉二段摘採機10’’の台車部11の側方から挿入して中間位置に配置する手順を示す。
図12に示すように、刈刃ユニット20に左右のステイ部21、22を取り付けて、台車部11の側方から横水平方向に挿入する。そして、門型フレーム12の後方支柱部12a上の支持体19に連結することによって、刈刃ユニット20は、その上刈刃部14及び下刈刃部13が門型フレーム12の後方に立設する後方支柱部12aと前方に立設する前方支柱部12bとの間に位置するように、台車部11の中間位置に配置させることができる(図14(b))。
なお、刈刃ユニット20内の上刈刃部14や空気噴出ノズル16を高さ調整後、刈刃ユニット20を上昇させた時に上刈刃部14や空気噴出ノズル16の門型フレーム12部分への接触をさけるため、スイッチ等を利用して、高さ制限警告装置により運転者に警告する。
高さ制限警告装置とは、刈刃ユニット20の上刈刃部14や空気噴出ノズル16の門型フレーム12部分への接触しない高さをスイッチ等で感知して、刈刃ユニット20用の昇降油圧装置の停止用ロックバルブによる緊急停止、警告ランプ、警告ブザー等による警告を行う装置である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の茶葉二段摘採機は、茶畝上を走行する台車部と、台車部上に茶畝の幅方向に渡設された門型フレームと、門型フレームの後方の後方支柱部に取り付けられ上下に昇降する刈刃ユニットと、刈刃ユニットの上刈刃部の後方かつ下方で下刈刃部の上方に設けられた空気噴出ノズルとを有し、空気噴出ノズルから、刈刃ユニットに向けて空気を噴射することによって、上下の刈刃部で刈り取られた茶葉を台車部後方に配置された茶葉収納部に搬送するようにしたので、上下の刈刃が台車部から突出して進行方向前方に配置されておらず茶葉の刈取り作業中の安全性を高め、下刈刃部と上刈刃部との間に設けられた空気噴出ノズルにより刈取りされた茶葉を台車部後方の茶葉収納部に搬送することができ、上下刈刃部によって摘採された茶葉を確実に茶葉収納部に収納することができ、産業上の利用可能性が極めて高い。
【符号の説明】
【0031】
10、10’、10’’ 茶葉二段摘採機
11 台車部
12 門型フレーム
12a 門型フレームの後方支柱部
12b 門型フレームの前方支柱部
13 下刈刃部
13a 下刈刃
14 上刈刃部
14a 上刈刃
15 油圧装置
16 空気噴出ノズル
16a 送風ダクト
16b 送風ファン
16c 駆動源
17 運転台
18 茶葉収納部
19 支持体
20 刈刃ユニット
21、22 ステイ部
24、25 ステイ受部
30 下部ダクト内部空気噴出口
30a、31a 反射板
30b 茶葉移送ダクト
31 上部ダクト内部空気噴出口
34 下部ダクト内空気噴出口平面ノズル
35 上部ダクト内空気噴出口平面ノズル
36 吸風口可変板
Y 茶畝の幅方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶畝上を走行する台車部と、
前記台車部上に茶畝の幅方向に渡設された門型フレームと、
前記門型フレームの後方の後方支柱部に取り付けられ上下に昇降する刈刃ユニットと、
前記刈刃ユニットの上刈刃部の後方かつ下方で下刈刃部の上方に設けられた空気噴出ノズルとを有し、
前記空気噴出ノズルから前記刈刃ユニットに向けて空気を噴射することによって、
前記上下の刈刃部で刈り取られた茶葉を前記台車部の後方に配置された茶葉収納部に搬送するようにしたことを特徴とする茶葉二段摘採機。
【請求項2】
前記刈刃ユニットの上刈刃部及び下刈刃部が、前記門型フレームの後方の後方支柱部と前方の前方支柱部との間に位置するように、前記台車部の中間位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の茶葉二段摘採機。
【請求項3】
前記刈刃ユニットの上刈刃部及び下刈刃部が、前記門型フレームの後方の後方支柱部の後部に位置するように、前記台車部の後方位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の茶葉二段摘採機。
【請求項4】
前記上刈刃及び下刈刃で刈り取られた茶葉を搬送する空気噴出ノズルが、
送風ダクトからの噴出空気を、
上部及び/又は下部ダクト内部空気噴出口に投入し、
その下方の反射板に当接させて、反射板で反射した噴出空気を、
前記上部及び/又は下部ダクト内部空気噴出口平面ノズル部から、茶葉移送ダクトの下方から上方に向けて反射させるようにしていることを特徴とする特徴とする請求項1に記載の茶葉二段摘採機。

【図9】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−223185(P2012−223185A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−55096(P2012−55096)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【出願人】(511085079)
【Fターム(参考)】