説明

草刈機及び草刈用装着具

【課題】構成が簡易な草刈機を提供すること。
【解決手段】本体11と、車輪と、耕耘機の耕耘爪用の、本体11に連結された主軸13と、主軸13を耕耘用の回転速度で回転させる、本体11に設けられたモータ115と、主軸13の前方に配置され、主軸13と実質上同じ幅に構成され、横軸芯に回転駆動する草刈用の回転刃18と、主軸13の少なくとも左右いずれかの側方に設けられており、主軸13の回転を増幅して、回転刃18の回転刃軸を回転駆動させる回転増幅機構30と、主軸13の左右両側の端部分に設けられ、主軸13の回転を回転増幅機構に伝動するための伝動軸29と、伝動軸29と主軸13を着脱可能に連結するピン31、32と、車輪、伝動軸29、回転刃軸を支持し、回転増幅機構30を保持する保持体とを備え、伝動軸29を13主軸から外すことによって、車輪、伝動軸、回転刃、回転増幅機構、及び保持体が一体となって外れる、草刈機である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈機及び草刈用装着具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耕耘及び草刈に兼用される切削ロータリ刃を用いた構成の管理機が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
図14は、従来の管理機の構成を示す側面図である。図14に示すように、走行輪1001を有するミッションケース1002の上部にエンジン1011が配備され、ミッションケース1002の前方にロータリ作業機1022が配備されている。このロータリ作業機1022の前方に、高さ調節自在に構成されたゲージ輪1032が設けられており、ゲージ輪1032の高さ調節によってロータリ作業機1022が耕耘高さ及び草刈高さに切り替えられる。
【0004】
また、ロータリ作業機1022には、ロータリ刃1024が設けられており、ロータリ刃1024は耕耘時には図中反時計回り(前進時の走行輪1001の回転方向)に回転し、草刈時には図中時計回りに回転するように制御が行われる。更に、草刈時には、耕耘時と比べて、ロータリ刃1024を高速で回転させるように制御が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002―84812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、耕耘作業と草刈作業では、ロータリ刃1024の回転方向を変えるとともに、回転数も変更する必要がある。そのため、制御機能も含めて可変速機構の構成が複雑化する。
【0007】
本発明は、上記従来課題を考慮し、構成が簡易な草刈機及び草刈用装着具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
本体と、
車輪と、
耕耘機の耕耘爪用の、前記本体に連結された主軸と、
前記主軸を耕耘用の回転速度で回転させる、前記本体に設けられた駆動部と、
前記主軸の前方に配置され、前記主軸と実質上同じ幅に構成され、横軸芯に回転駆動する草刈用の回転刃と、
前記主軸の少なくとも左右いずれかの側方に設けられており、前記主軸の回転を増幅して、前記回転刃の回転刃軸を回転駆動させる回転増幅機構と、
前記主軸の左右両側の端部分に設けられ、前記主軸の回転を前記回転増幅機構に伝動するための伝動軸と、
前記伝動軸と前記主軸を着脱可能に連結する連結具と、
前記車輪、前記伝動軸、前記回転刃軸を支持し、前記回転増幅機構を保持する保持体とを備え、
前記伝動軸を前記主軸から外すことによって、前記車輪、前記伝動軸、前記回転刃、前記回転増幅機構、及び前記保持体が一体となって外れる、草刈機である。
【0009】
これにより、可変速機構の構成を簡易な構成にすることが出来る。
【0010】
第2の本発明は、
前記主軸の回転方向は、前記草刈機の前進時の前記車輪の回転方向と同じであり、
前記回転増幅機構は、前記回転刃軸の回転方向が前記主軸の回転方向と反対になるように、前記主軸の回転を増幅して、前記回転刃軸を回転駆動させる、第1の本発明の草刈機である。
【0011】
これにより、回転増幅機構の構成が簡単化されるとともに、効率良く草を刈ることが可能となる。
【0012】
第3の本発明は、
前記回転刃の前方に、前記回転刃軸に沿って設けられた、草の姿勢を傾けるガードを更に備えた、第1の本発明の草刈機である。
【0013】
これにより、丈の長い草の下側を刈り取りやすくすることが可能となる。
【0014】
第4の本発明は、
前記ガードの下端の高さと、前記回転刃軸の高さは実質上一致している、第3の本発明の草刈機である。
【0015】
これにより、丈の長い草の下側を、より刈り取り易くすることが可能となる。
【0016】
第5の本発明は、
前記保持体は、
前記回転増幅機構を内蔵し、前記伝動軸と前記回転刃軸の一端に連結された第1カバーケースと、
前記伝動軸と前記回転刃の他端に連結され、前記第1カバーケースと平行に配置された第2カバーケースと
前記第1カバーケース及び前記第2カバーケースのいずれか一方に固定された左フレームと、
前記第1カバーケース及び前記第2カバーケースの他方に固定された右フレームと、
前記左フレーム及び前記右フレームの後端同士を連結する横フレームと、
前記横フレームの中央から立設し、上端が前記本体に連結された縦フレームとを有し、
前記車輪は、前記左フレーム及び前記右フレームに回転可能に取り付けられている、第1の本発明の草刈機である。
【0017】
これにより、安定して草刈機を移動させることが可能となる。
【0018】
第6の本発明は、
前記車輪は、前輪及び後輪を有し、
前記前輪及び前記後輪は、前記左フレーム及び前記右フレームの内側に設けられている、第5の本発明の草刈機である。
【0019】
これにより、回転刃の外側の草が車輪によって倒されないため、続いてその部分の草を刈る際に刈りやすくすることが出来る。
【0020】
第7の本発明は、
前記駆動部は、
前記主軸の上方に配置されたモータと、
前記モータの回転を前記主軸に伝達するために、上下方向に配置された駆動軸とを有し、
前記車輪は、前輪及び後輪を有し、
側面から見て、前記前輪は、前記駆動軸の実質上延伸上に配置されている、第1の本発明の草刈機である。
【0021】
これにより、バランスを良くすることが出来、ユーザが操作を行い易くなる。
【0022】
第8の本発明は、
耕耘爪用の主軸と、前記主軸を耕耘用の回転速度で回転させる駆動部を備えた耕耘機によって草刈を行うために前記耕耘機に着脱自在に装着される草刈用装着具であって、
車輪と、
前記主軸の前方に配置され、前記主軸と実質上同じ幅に構成され、横軸芯に回転駆動する草刈用の回転刃と、
前記主軸の少なくとも左右いずれかの側方に設けられており、前記主軸の回転を増幅して、前記回転刃の回転刃軸を回転駆動させる回転増幅機構と
前記主軸の左右両側の端部分に設けられ、前記主軸の回転を前記回転増幅機構に伝動するための伝動軸と、
前記伝動軸と前記主軸を着脱可能に連結する連結具と、
前記車輪、前記伝動軸、前記回転刃軸を支持し、前記回転増幅機構を保持する保持体とを備えた、草刈用装着具である。
【0023】
これにより、耕耘機を簡単な操作で草刈機として使用することが出来る。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、構成が簡易な草刈機及び草刈用装着具を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明にかかる実施の形態1における草刈機の側面構成図
【図2】本発明にかかる実施の形態1における草刈機の本体と草刈部を分離した状態を示す側面構成図
【図3】本発明にかかる実施の形態1における主軸、伝動下部及び草刈部の平面構成図
【図4】本発明にかかる実施の形態1における回転刃近傍を示す正面構成図
【図5】(a)(b)本発明にかかる実施の形態1における主軸と伝動軸の接続を説明するための斜視構成図
【図6】本発明にかかる実施の形態1における回転増幅機構の構成図
【図7】本発明にかかる実施の形態1における草刈機を耕耘機として使用する状態を説明するための側面構成図
【図8】本発明にかかる実施の形態1における草刈機を耕耘機として使用する状態を説明するための耕耘爪近傍の正面構成図
【図9】本発明にかかる実施の形態1の変形例において後輪がフレームの内側に配置された草刈機の主軸、伝動下部及び草刈部の平面構成図
【図10】本発明にかかる実施の形態1の変形例において回転刃の下方側面にそり部材が設けられた草刈機の側面構成図
【図11】本発明にかかる実施の形態1の変形例において後輪を1つ有している草刈機の主軸、伝動下部及び草刈部の平面構成図
【図12】(a)本発明にかかる実施の形態1の変形例において後輪が高さ調節可能に構成されている草刈機の側面構成図、(b)後輪の高さ調節機構を説明するための模式図
【図13】本発明にかかる実施の形態1の変形例において後輪が高さ調節可能に構成されている草刈機の主軸、伝動下部及び草刈部の平面構成図
【図14】従来の管理機の側面構成図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明にかかる実施の形態における草刈機について説明する。
【0027】
(実施の形態1)
以下に、本発明にかかる実施の形態1における草刈機について説明する。本実施の形態の草刈機は、歩行型耕耘機の耕耘爪を取り外し、草刈用の回転刃を取り付けた構成である。
【0028】
図1は、本実施の形態1の草刈機10の側面構成図である。図に示すように、草刈機10には、本体11と、本体11の下側に着脱可能に設けられている草刈部12を有している。図2は、本体11から草刈部12を取り外した状態を示す側面構成図である。尚、草刈部12を取り外す動作については、詳しくは後述する。図1及び図2に示すように、草刈機10の前進方向(矢印A方向)を基準として、本体11は、本体上部111と本体下部112とを有しており、本体上部111の前側にバンパー113が設けられている。また、本体上部111には、脱着可能なバッテリー114が設けられており、バッテリー114の前方には、モータ115が内蔵されており、モータ115はモータカバー118によって覆われている。
【0029】
また、本体上部111から本体下部112に渡って、モータ115の回転力を主軸13に伝達するために、下方に向かって伝動部116が設けられており、伝動部116の下部である伝動下部116aには主軸13が貫通して設けられている。この伝動部116は、モータ115の動力を主軸13に伝達する駆動軸117を内装するケースである。駆動軸117は縦軸芯に回転し、その回転力が傘歯車などを用いて回転方向が変換されながら主軸13に伝達され、主軸13は横軸芯に回転される。
【0030】
図3は、伝動下部116a、主軸13及び草刈部12の平面構成図である。尚、図3では、説明のため、後述する回転刃カバー19の天井部191が省略されている。図3に示すように、主軸13は、伝動下部116aの左右両側に延びるように構成されている。このように主軸13の軸方向が前後方向に対して垂直、且つ地面に水平になるように設けられており、バッテリー114の電力を用いてモータ115が回転し、その回転が伝動部116内の駆動軸117によって主軸13に伝達され、主軸13が回転する。尚、主軸13の回転は、図1及び図2において、反時計回り(矢印B参照)であり、草刈機10を前進させる際の車輪の回転方向と同一方向である。
【0031】
図2に示すように、伝動部116には、2つのボルト119によって主支持部14が固定されており、この主支持部14は伝動部116の後側に配置されている。この主支持部14には、運搬用車輪支持部15が設けられている。この運搬用車輪支持部15には運搬用車輪151が設けられている。主支持部14との連結部分を中心に、運搬用車輪支持部15を下方に回動させることにより、運搬用車輪91は地面に接する(後述する図7の点線矢印参照)が、草刈を行う際には、上方に退避されている。
【0032】
また、運搬用車輪支持部15との連結部分よりも前側の主支持部14に固定され、本体上部111の後側から上方に向かって形成されたハンドル部16が設けられている。このハンドル部16には2つのグリップ161が設けられている。尚、これら2つのグリップ161のうちユーザが握る際の右側のグリップ161には、主軸13を回転駆動させるためのスイッチであるレバー162が設けられている。また、主電源を入れるためのメインスイッチ163が、ハンドル部16の途中に設けられている。尚、右側のグリップ161は、左側のグリップ161に重なっているため、図示されておらず、レバー162のみが図示されている。
【0033】
次に、本発明の草刈用装着具の一例である草刈部12について説明する。
【0034】
本実施の形態の草刈部12には、主軸13の両側にカバーケース17a、17bが設けられている。これら2つのカバーケース17a、17bの間であって、主軸13の前側に主軸13と平行に草刈用の回転刃18が設けられている。一方のカバーケース17aの内側には、主軸13の回転を増幅して回転刃18に伝動する回転増幅機構30が設けられている。
【0035】
図4は、回転刃18部分の正面構成図である。図4に示すように、回転刃18には、左右方向に水平に配置された回転刃軸181と、回転刃軸181の軸方向に沿って設けられた筒状部材182と、筒状部材182の側面に複数配列された草刈爪部183が設けられている。本実施の形態では、回転刃軸181と平行に4つの草刈爪部183が設けられた列と3つの草刈爪部183が設けられた列が筒状部材182の周囲に交互に配置されている。また、草刈爪部183は、左右方向に開くように形成された草刈爪184と、草刈爪184を筒状部材182の側面に固定する固定部185によって構成されている。
【0036】
そして、図2及び図4に示すように、回転刃18を覆うように、回転刃カバー19が設けられている。この回転刃カバー19は、回転刃18の上方を覆う天井部191と、回転刃18の側面上方を覆う側面部192と、回転刃18の後側を覆う背面部193を有しており、更に背面部193の下側には、ゴム製の弾性部材20が設けられている。
【0037】
左右の側面部192の前端には、L字状部材21が配置されており、これらL字状部材21によって、草の姿勢を傾けるためのガード22が固定されている。このガード22は、正面視U字状の部材であり、水平に配置されている中央部分221と、その両端から上方に形成された端部分222を有しており、それぞれの端部分222が左右のそれぞれのL字状部材21によって固定されている。図4に示すようにガード22の下端(中央部分221の下側)が回転刃軸181と実質上同じ高さになるように配置されている。
【0038】
上記カバーケース17aには、図3に示すように、棒状の左フレーム23が固定されており、カバーケース17bには棒状の右フレーム24が固定されている。この左フレーム23と右フレーム24の後端を接続する横フレーム25が設けられており、横フレーム25の中央から立設して縦フレーム26が設けられている。この縦フレーム26は、図1に示すように、その上端部分261において上述した運搬用車輪支持部15の後端とボルト262によって連結して固定されている。
【0039】
そして、図3に示すように左フレーム23の前部分の内側には、前輪27aが回転可能に取り付けられており、右フレーム24の前部分の内側には、前輪27bが回転可能に取り付けられている。ここで、図1に示すように、前輪27aを支持するための支持部材271aが左フレーム23に垂直に設けられており、その支持部材271aの下端に軸272aを介して前輪27aが取り付けられている。前輪27bも同様に、右フレーム24に垂直に取り付けられた支持部材271b(図3参照)の下端に軸を介して回転可能に設けられている。これら前輪27a、27bは、図1に示すように側面視において、実質上駆動軸117の延伸上に配置されている。また、左フレーム23の後部分の外側には、左フレーム23に垂直に取り付けられた支持部材281aの下端に後輪28aが回転可能に取り付けられており(図1参照)、右フレーム24の後部分の外側には、右フレーム24に垂直に取り付けられた支持部材281bの下側に後輪28bが回転可能に取り付けられている(図3参照)。
【0040】
図3に示すように、主軸13の両端には、主軸13の回転を回転伝達機構30に伝動するための伝動軸29が設けられている。図5(a)、(b)は、伝動軸29と主軸13の連結状態を説明するための図である。図5(a)に示すように、伝動軸29は、円柱形状の軸部291と、長手方向に対して垂直な断面形状がコの字形状である接続部292によって構成されている。この接続部292には、2つの貫通孔293、294が形成されている。この貫通孔293、294は、それぞれコの字形状の対向する2つの壁面を貫通するように形成されている。一方、この貫通孔293、294と同じ間隔で、主軸13の端部分にも貫通孔131、132が形成されている。そして、図5(a)、(b)に示すように、接続部292のコの字形状部分に嵌るように主軸13を配置し、貫通孔293及び貫通孔131を通してピン31が挿入され、貫通孔294及び貫通孔132を通してピン32が挿入される。このピン31、32によって主軸13と伝動軸29は互いに連結固定される。これら両端の伝動軸29の軸部291は、それぞれカバーケース17a、17bの側面に設けられたベアリング33の内側に挿入して配置されている(図3参照)。
【0041】
次に、本実施の形態の回転増幅機構30の構成について説明する。
【0042】
図6は、本実施の形態の回転増幅機構30の構成を示す図である。尚、図6では、カバーケース17aは一点鎖線で示されている。
【0043】
図6に示すように、カバーケース17aの側の軸部291には、回転増幅機構30の一部である伝動軸ギア301が配置されている。また、伝動軸29の前方には、中間軸302が設けられており、この中間軸302は、ベアリング39の内側に挿入されてカバーケース17a内に配置されている(図3参照)。そして、図6に示すように中間軸302には、中間軸ギア303と中間軸プーリー304が固定されている。この中間軸ギア303と伝動軸ギア301は当接している。中間軸302の前側には、上述した回転刃軸181がベアリング34を介して配置されている(図3参照)。そして回転刃軸181には回転刃軸プーリー305が固定されている。この中間軸プーリー304と回転刃軸プーリー305の間には、樹脂製のベルト306が捲き掛けられている。
【0044】
ここで、主軸13は、矢印C方向に回転するため、伝動軸ギア301も矢印C方向に回転することになる。この伝動軸ギア301の回転が中間軸ギア303に伝達され、中間軸ギア303は矢印Cと反対方向(矢印D方向)に回転する。中間軸ギア303の回転によって中間軸プーリー304も矢印D方向に回転し、この回転がベルト306によって回転刃軸プーリー305に伝わり、回転刃軸181が回転する。このため、回転刃軸181の回転方向は矢印D方向となり、主軸13の回転方向と反対方向にすることが出来る。尚、本実施の形態では、回転刃軸181の回転速度は2000rpm程度に設定されており、主軸13の回転速度は100rpm程度に設定されている。この主軸の回転速度100rpmは、本発明の耕耘用の回転速度の一例に相当する。
【0045】
又、カバーケース17bには、カバーケース17b側の伝動軸29と回転刃軸181のベアリング33、34が設けられている(図3参照)。
【0046】
尚、本発明の車輪の一例は、本実施の形態の前輪27a、27b及び後輪28a、28bに相当し、本発明の主軸の一例は、本実施の形態の主軸13に相当する。本発明の駆動部の一例は、本実施の形態のバッテリー114、モータ115及び駆動軸117に相当し、本発明の回転刃の一例は、本実施の形態の回転刃18に相当する。本発明の回転増幅機構の一例は、本実施の形態の回転増幅機構30に相当し、伝動軸ギア301、中間軸302、中間軸ギア303、中間軸プーリー304、回転刃軸プーリー305、及びベルト306に相当する。又、本発明の保持体の一例は、本実施の形態のケースカバー17a、17b、左フレーム23、右フレーム24、横フレーム25、縦フレーム26、及び支持部材271a、271b、281a、281bに相当する。更に、本発明の連結具の一例は、ピン31、32に相当する。又、本発明の第1カバーケースの一例は、本実施の形態のカバーケース17aに相当し、本発明の第2カバーケースの一例は、本実施の形態のカバーケース17bに相当する。
【0047】
次に、本実施の形態の草刈機10の動作について説明する。
【0048】
図1に示す、メインスイッチ163をオンにし、レバー162を握ることにより、バッテリー114の電力によってモータ115が回転し、主軸13が図1中反時計回り(矢印B参照)に回転する。
【0049】
ここで、図5(b)に示すように、伝動軸29は主軸13とピン31、32によって固定されているため、主軸13の回転に従って回転することになる。
【0050】
そして、伝動軸29の回転は、伝動軸ギア301、中間軸ギア303、中間軸プーリー304、ベルト306、及び回転刃軸プーリー305を介して回転刃軸181へと伝動される。主軸13の回転は、上述したように回転増幅機構30を介して回転刃18に伝動されるため、回転刃18は、主軸13と反対の回転方向であって、主軸13の回転速度よりも速く回転する。
【0051】
このように、回転刃18が前輪27a、27b及び後輪28a、28bと反対方向に回転した状態で、草刈機10を前進させることによって、草が刈り取られ、刈り取られた草は草刈機の前進とともに前方に押される
次に、草刈部12を草刈機10から取り外す方法について説明する。
【0052】
図5(a)(b)で説明したピン31、32を伝動軸29から引き抜くことによって、主軸13と、その両端に配置されている伝動軸29との固定が解除される。更に、ボルト262を取り外すことによって、図1及び図2に示すように、縦フレーム26と運搬用車輪支持部15の固定が解除される。これらの固定の解除によって、図2に示すように、草刈機10から草刈部12が取り外される。
【0053】
そして、主軸13の伝動下部116aの両側に耕耘機用の爪を取り付けることによって、本実施の形態1の草刈機10を耕耘機として用いることが出来る。図7は、主軸13の両側に耕耘爪40を取り付けた状態を示す側面構成図である。図8は、主軸13及び耕耘爪40近傍を拡大した正面構成図である。図8に示すように、耕耘爪40は、内爪401と外爪402とを有しており、外爪402の外側には外輪403が設けられている。これら内爪401及び外爪402は主軸13にピン(図示せず)などによって固定されている。尚、図7では、運搬用車輪支持部15は、降ろされているが、耕耘作業を行う際には、上方に挙げられる。尚、図7では、省略しているが、抵抗棒が設けられていても良い。この抵抗棒は、草刈を行う際には上方に退避するように構成する必要がある。
【0054】
尚、本実施の形態では、耕耘機の耕耘爪を取り外し、草刈用の回転刃を取り付けた構成として説明したが、主軸に車輪が取り付けられている管理機から車輪を取り外し、上記草刈部12を取り付けた構成であってもよい。又、管理機として使用する場合であっても、主軸13に耕耘爪を取り付けて耕耘用として用いても良い。すなわち、本実施の形態の草刈機は、管理機の車輪又は耕耘爪を取り外して、草刈用の回転刃を取り付けた構成としても実施出来る。
【0055】
以上のように、本実施の形態の草刈機10では、主軸13の回転速度を一定として、草刈部12を取り付ける構成とすることにより、従来のように主軸自体の回転方向と速度を変更する必要がないため、回転増幅機構30の構成を簡易にすることが出来る。
【0056】
又、耕耘機、管理機等としても使用するため、主軸13の回転速度は、耕耘用の回転速度又は車輪用の回転速度となっているが、主軸13の回転速度を増幅して回転刃18を回転させているため、回転刃18の回転速度は草刈に見合った速度となり、草刈性能を向上させることが出来る。
【0057】
尚、本実施の形態では、回転刃18の回転方向を前進する際の車輪(前輪27a、27b及び後輪28a、28b)の回転方向と反対方向としているが、同じ方向であってもよい。但し、反対方向とする方がより効率良く草を刈ることが可能となる。
【0058】
又、本実施の形態では、回転刃18の前方にガード22が設けられているが、ガード22を設けなくても良い。但し、ガード22を設けることにより、草の上部を前方へ倒して根元を回転刃18にさらすことが出来るため、丈の長い草の下側を刈り取り易くすることが可能となる。
【0059】
更に、本実施の形態では、ガード22は、その下端が回転刃軸181と実質上同じ高さになるように配置されているが、これに限らず、回転刃軸181よりも高い位置又は低い位置であってもよい。しかしながら、同じ位置とすることにより、より効率良く草を刈り取りやすくすることが出来る。
【0060】
更に、本実施の形態では、図3に示すように、回転刃18の草を刈ることが出来る幅よりも長い幅にガード22が形成されている。このように構成することにより、回転刃18の保護を兼ねるとともに草の上部を前方へ倒して根元を回転刃18にさらすことが出来る。
【0061】
又、本実施の形態では、後輪28a、28bを左フレーム23及び右フレーム24の外側に配置されており、このように外側に配置することにより、草刈機10の安定性が増すが、図9に示すように、後輪28a、28bが左フレーム23及び右フレーム24の内側に配置されていても良い。このように、後輪28a、28bをフレームの内側に配置することにより、回転刃18が通過する以外の場所の草が車輪によって踏み倒されることがないため、続いて、その場所の草を刈る際に刈り易くすることが出来る。
【0062】
又、本実施の形態では、図1に示すように側面視において駆動軸117の延伸上に前輪27a、27bが配置されていたが、これに限らなくてもよい。しかしながら、本実施の形態のように配置することにより、草刈機10のバランスが良くなるため、機械を曲げたり前進したりする操作が行い易く、操作性に優れたものにすることが出来る。
【0063】
また、本実施の形態では、図1に示すように回転刃18と地面の間に所定の間隔が設けられているが、この間隔をより確実に保つためにそり部材が設けられていてもよい。図10は、そり部材を設けた草刈機10の断面構成を示す図である。図10に示すように、側面部192の後側にL字状部材21と同様のL字状部材35が設けられており、このL字状部材35にそり部材36の後端が固定されている。このそり部材36は、左右のそり部分361と回転刃18の前方に位置する中央部分332を有しており、この中央部分332が図3に示した中央部分221と同様の働きを行う。そして、このそり部材36によって、図1の構成と比べてより確実に回転刃18と地面との間隔を一定に保つことが出来る。
【0064】
又、本実施の形態では、前輪27a、27b、及び後輪28a、28bは、ユーザが草刈機10を押すことによって従動して回転していたが、主軸13の回転を利用して駆動してもよい。この場合、主軸13のケースカバー17b側の端にギアを設け、そのギアに前輪27a、27bの双方を貫通した軸に設けられたギアを噛み合わせるように構成すればよい。このとき、車輪の回転速度は主軸13の回転速度と同程度でよい。
【0065】
又、本実施の形態では、回転刃カバー19の背面部193の下端に弾性部材20が設けられているため、地面との隙間が狭くなり、回転刃カバー19内で草を砕き、細かくしてから隙間より後方に排出することが出来る。また、弾性部材20の材質をゴムとすることにより、地面と干渉することによる破損を低減することが出来る。
【0066】
又、本実施の形態では、2つの後輪28a、28bが設けられていたが、後輪が1つのみ設けられていても良い。図11に示すように左フレーム23と右フレーム24から下方に向けて支持部材381、382(図1の支持部材281a、281bと同様である)が設けられており、この支持部材381、382の下端であって、支持部材381、382の間に回転可能に軸383が設けられている。そして、この軸383に後輪38が固定されている。この後輪38は、左フレーム23と右フレーム24の中央に配置されている。
【0067】
図3に示したように、4輪とした場合、地面に凹凸が存在すると、いずれかの車輪が浮いて3輪接地となり、回転刃18が浮き上がり、回転刃18と地面の間が広くなることがある。しかしながら、3輪にすることにより、回転刃18に近い側の2輪(前輪27a、27b)が常に接地し、後輪38が傾斜に追従することが出来る。
【0068】
更に、後輪の高さが調節可能に構成されていてもよい。図12(a)は、後輪の高さの調節が可能な構成を示す側面構成図である。図12(b)は、後輪部分の拡大模式図である。又、図13は、草刈部12、主軸13及び伝動下部116aの平面構成図である。図12及び図13に示す構成では、一つの後輪37が設けられている。この後輪37は、回転軸371に設けられており、回転軸371は、地面に対して垂直に設けられた第1支持部材372の下端に設けられている。そして、第1支持部材372は、横フレーム25の中央近傍から前方に向かって突出するように水平に設けられた第2支持部材373とボルト374によって固定されている。第1支持部材372には、上下方向に長孔372aが形成されており、第1支持部材372と第2支持部材373との固定部分を、長孔372aに沿って上下させることにより、後輪37の上下方向の位置を調節することが出来る。尚、後輪37の位置は、横フレーム25の前側に限らず、後側であってもよい。
【0069】
このように高さ調節可能な構成とすることによって刈り取り高さを調節することが可能となる。また、上記実施の形態で示した2つの後輪28a、28bも高さ調節可能な構成としてもよいが、後輪1輪の場合、調節する構造を簡易にすることが出来る。又、上記L字状部材35と側面部192との取り付け孔を長孔とすることにより、そり部材36の高さを調節可能にすることも出来る。
【0070】
又、本実施の形態では、草刈機10から草刈部12を簡単に取り外し、耕耘爪を取り付けるだけで、耕耘機として使用することが可能となるため、簡単な操作で草刈機として使用することが出来る。
【0071】
また、ベルト306として樹脂材料で形成されたベルトを用いることによって、回転刃が詰まった時等にはベルト306と回転刃軸プーリー305の間で滑りが発生し、回転刃18が無理に回転しないため、より安全である。
【0072】
また、左右両側のカバーケース17a、17bの内側に回転刃18が配置されているため、刈られた草が左右に飛び散ることを防ぐことが出来る。
【0073】
又、本実施の形態では、草刈部12を本体11に固定するために、主軸13と伝動軸29間の固定だけでなく、縦フレーム26が設けられていたが、縦フレーム26が設けられていなくても良い。但し、強度の面からは縦フレーム26が設けられている方がより好ましい。又、縦フレーム26の本体11側の固定位置は、主支持部14に限らず運搬用車輪支持部15であっても良い。
【0074】
又、上記実施の形態では、伝動軸29から中間軸302にはギアによって回転が伝動されているが、ベルトによって伝動されてもよい。
【0075】
又、回転速度が十分に増幅出来る場合には、中間軸302、中間軸ギア303及び中間軸プーリー304が設けられていなくても良い。
【0076】
又、本実施の形態では、ベルト306は樹脂材料から形成されているが、これに限られるものではない。但し、上述したように草を巻き込んだ場合等を考慮すると、安全性の面からはベルト306は樹脂製の方が好ましい。
【0077】
又、本実施の形態では、回転刃カバー19の天井部191は前方に向かうに従って、地面からの高さが高くなるように斜めに配置されているが、このような構成によって前方の開口部分が広くなり、草が入りやすくなる。
【0078】
又、本実施の形態では、歩行型の草刈機を用いて説明したが、歩行型に限らなくても良い。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明の草刈機及び草刈用装着具によれば、構成が簡易であるという効果を発揮し、草刈に使用可能な管理機及び耕耘機などとして有用である。
【符号の説明】
【0080】
10 草刈機
11 本体
12 草刈部
13 主軸
14 主支持部
15 運搬用車輪支持部
16 ハンドル部
17a、17b カバーケース
18 回転刃
19 回転刃カバー
20 弾性部材
21 L字状部材
22 ガード
23 左フレーム
24 右フレーム
25 横フレーム
26 縦フレーム
27a、27b 前輪
28a、28b 後輪
29 伝動軸
30 回転増幅機構
31、32 ビス
33、34 ベアリング
35 L字状部材
36 そり部材
37 後輪
38 後輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
車輪と、
耕耘機の耕耘爪用の、前記本体に連結された主軸と、
前記主軸を耕耘用の回転速度で回転させる、前記本体に設けられた駆動部と、
前記主軸の前方に配置され、前記主軸と実質上同じ幅に構成され、横軸芯に回転駆動する草刈用の回転刃と、
前記主軸の少なくとも左右いずれかの側方に設けられており、前記主軸の回転を増幅して、前記回転刃の回転刃軸を回転駆動させる回転増幅機構と、
前記主軸の左右両側の端部分に設けられ、前記主軸の回転を前記回転増幅機構に伝動するための伝動軸と、
前記伝動軸と前記主軸を着脱可能に連結する連結具と、
前記車輪、前記伝動軸、前記回転刃軸を支持し、前記回転増幅機構を保持する保持体とを備え、
前記伝動軸を前記主軸から外すことによって、前記車輪、前記伝動軸、前記回転刃、前記回転増幅機構、及び前記保持体が一体となって外れる、草刈機。
【請求項2】
前記主軸の回転方向は、前記草刈機の前進時の前記車輪の回転方向と同じであり、
前記回転増幅機構は、前記回転刃軸の回転方向が前記主軸の回転方向と反対になるように、前記主軸の回転を増幅して、前記回転刃軸を回転駆動させる、請求項1記載の草刈機。
【請求項3】
前記回転刃の前方に、前記回転刃軸に沿って設けられた、草の姿勢を傾けるガードを更に備えた、請求項1記載の草刈機。
【請求項4】
前記ガードの下端の高さと、前記回転刃軸の高さは実質上一致している、請求項3記載の草刈機。
【請求項5】
前記保持体は、
前記回転増幅機構を内蔵し、前記伝動軸と前記回転刃軸の一端に連結された第1カバーケースと、
前記伝動軸と前記回転刃の他端に連結され、前記第1カバーケースと平行に配置された第2カバーケースと
前記第1カバーケース及び前記第2カバーケースのいずれか一方に固定された左フレームと、
前記第1カバーケース及び前記第2カバーケースの他方に固定された右フレームと、
前記左フレーム及び前記右フレームの後端同士を連結する横フレームと、
前記横フレームの中央から立設し、上端が前記本体に連結された縦フレームとを有し、
前記車輪は、前記左フレーム及び前記右フレームに回転可能に取り付けられている、請求項1記載の草刈機。
【請求項6】
前記車輪は、前輪及び後輪を有し、
前記前輪及び前記後輪は、前記左フレーム及び前記右フレームの内側に設けられている、請求項5記載の草刈機。
【請求項7】
前記駆動部は、
前記主軸の上方に配置されたモータと、
前記モータの回転を前記主軸に伝達するために、上下方向に配置された駆動軸とを有し、
前記車輪は、前輪及び後輪を有し、
側面から見て、前記前輪は、前記駆動軸の実質上延伸上に配置されている、請求項1記載の草刈機。
【請求項8】
耕耘爪用の主軸と、前記主軸を耕耘用の回転速度で回転させる駆動部を備えた耕耘機によって草刈を行うために前記耕耘機に着脱自在に装着される草刈用装着具であって、
車輪と、
前記主軸の前方に配置され、前記主軸と実質上同じ幅に構成され、横軸芯に回転駆動する草刈用の回転刃と、
前記主軸の少なくとも左右いずれかの側方に設けられており、前記主軸の回転を増幅して、前記回転刃の回転刃軸を回転駆動させる回転増幅機構と
前記主軸の左右両側の端部分に設けられ、前記主軸の回転を前記回転増幅機構に伝動するための伝動軸と、
前記伝動軸と前記主軸を着脱可能に連結する連結具と、
前記車輪、前記伝動軸、前記回転刃軸を支持し、前記回転増幅機構を保持する保持体とを備えた、草刈用装着具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−34607(P2012−34607A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176544(P2010−176544)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】