説明

荷受台昇降装置

【課題】格納動作時において格納姿勢に至るまでの荷受台の高さ位置のばらつきを広く許容することができる荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】車両の荷台に対する荷物の積み下ろし作業を支援する荷受台昇降装置4において、車両の下部に取り付けたガイドレール8と、このガイドレール8に沿って走行する基部機構体60と、この基部機構体60に連結されたアーム62と、このアーム62に連結された荷受台5と、荷受台5を車両の下部に引き込んだ格納位置に基部機構体60があるときのアーム62の可動域の上下の制限角度のうちの下限角度のみを規制するストッパ機構80とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の荷台に対する荷物等の積み下ろし作業を支援する荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置とは、車両の荷台床面高さと地面高さとの間で荷受台を昇降させ、車両の荷台に対する荷物等の積み下ろし作業を支援するものである。荷受台昇降装置の中には、荷役作業時の位置よりも前方に荷受台をスライドさせて車枠の下部に格納するものがある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−238982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術では、荷受台が折り畳み式になっていて、格納姿勢に移行した際には荷受台の先部側部材が基部側部材の上部に折り重ねられる。先部側部材の裏面(格納姿勢時の荷受台の上面)には断面コの字型の落下防止部材が前後に延在している。荷受台昇降装置を車両の下部に引き入れる際に、そのスライド動作をガイドする断面I型のガイドレールの下フランジが落下防止部材の内側に納まるようにし、ガイドレールの下フランジの上下に落下防止部材の壁面を対向させて荷受台の上下方向の可動域を規制している。これにより、例えば荷受台を昇降させるシリンダの圧油のリークが格納時に生じたとしても荷受台の不測の下降が抑制される。
【0005】
しかしながら、シリンダの圧油は気温等によって粘度が変動し、荷受台の昇降動作や前後移動の速度が変動する。動作速度が異なると、例えば、格納動作時に荷受台が所定位置に上昇したことを検出して上昇動作から引き込み動作(前進動作)に切り換えられる際、同じシーケンス下でも、実際に荷受台の動作が上昇から前進に切り換わるタイミングがずれることがある。そのため、前進時の荷受台の高さ位置がばらつき、上記の落下防止部材の内側にスムーズにガイドレールが通らないことも起こり得る。
【0006】
なお、落下防止部材の内法寸法を上下に大きく採れば荷受台の高さのばらつきの許容幅は広がるが、落下防止部材の高さ寸法は荷受台の裏面に延在させた補強部材(リブ)の高さ(厚み)の寸法で制約される。補強部材は荷受台を接地させる際の接地部でもあり、この補強部材の高さを落下防止部材が超えると、落下防止部材が接地してしまい損傷の要因になり得るからである。そのため、同文献の構成では、格納動作時における荷受台の高さ位置のばらつきの許容幅を十分に採ることができない。
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、格納動作時において格納姿勢に至るまでの荷受台の高さ位置のばらつきを広く許容することができる荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、車両の荷台に対する荷物の積み下ろし作業を支援する荷受台昇降装置において、前記車両の下部に取り付けたガイドレールと、このガイドレールに沿って走行する基部機構体と、この基部機構体に連結されたアームと、このアームに連結された荷受台と、前記荷受台を前記車両の下部に引き込んだ格納位置に前記基部機構体があるときの前記アームの可動域の上下の制限角度のうちの下限角度のみを規制するストッパ機構とを備えたことを特徴とする。
【0009】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記アームを駆動して前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、前記基部機構体を前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、格納動作時における前記荷受台の角度を検出するゲートセンサと、前記基部機構体が前記格納位置にあることを検出する格納センサと、前記リフトシリンダ及び前記スライドシリンダを制御する制御装置とを備え、前記制御装置が、前記荷受台の格納動作時、前記リフトシリンダを駆動して前記アームを上げ、前記ゲートセンサからの信号を基に前記アームが動作切換角度になったことを検知したら前記リフトシリンダを停止させるとともに前記スライドシリンダを駆動して前記基部機構体を移動させ、前記格納センサからの信号を基に前記基部機構体が前記格納位置に到達したことを検知したら前記スライドシリンダを停止させるとともに前記リフトシリンダを再度駆動して前記アームを格納角度まで上げて前記荷受台を格納姿勢に移行させ、前記基部機構体が前記格納位置にあるときに前記ストッパ機構で規制される前記アームの前記下限角度は、前記動作切換角度かそれよりも低角度であることを特徴とする。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記ストッパ機構は、前記アーム又は前記基部機構体に回動自在に連結した第1のストッパ部材と、前記車両に対して固定関係にある第2のストッパ部材とを備えていることを特徴とする。
【0011】
(4)上記(3)において、好ましくは、前記第1のストッパ部材は、前記アーム又は前記基部機構体に対して回動自在であり、前記基部機構体が前記格納位置に向かう間に前記第2のストッパ部材に接触してその回動方向の一方側に回動し、前記基部機構体が前記格納位置に到達した際に、前記アームと係止する係止部が前記アームの可動域の下側の制限角度を前記下限角度に規制する位置まで上昇するものであって、前記基部機構体が前記格納位置から移動する際、前記第2のストッパ部材から前記基部機構体が離れるにつれてその回動方向の他方側に回動し、前記係止部が下降し前記アームが下降することを特徴とする。
【0012】
(5)上記(3)において、好ましくは、前記第1のストッパ部材は、前記アームに対して固定されており、前記第2のストッパ部材は、前記第1のストッパ部材との接触面が、前記基部機構体の引き出し方向に向かって上側に傾斜していて、前記第1のストッパ部材を介して前記第2のストッパ部材に前記アームの荷重がかかった状態で前記基部機構体を前記格納位置から移動させると、前記第2のストッパ部材に対する前記第1のストッパ部材の接触部が前記第2のストッパ部材の接触面に沿って上昇し前記アームが下降することを特徴とする。
【0013】
(6)上記(3)において、好ましくは、前記第1のストッパ部材は、前記アームに対して固定関係にある支持部材と、前記基部機構体に対して出入可能に取り付けた軸とを有していて、前記基部機構体が前記格納位置に向かう間に前記第2のストッパ部材によって前記軸が押し出され、前記基部機構体が前記格納位置に到達した際に、前記アームが前記下限角度にあれば前記支持部材と接触する位置まで突き出るものであって、前記第1のストッパ部材を介して前記第2のストッパ部材に前記アームの荷重がかかった状態で前記基部機構体を前記格納位置から移動させると、前記第2のストッパ部材から前記基部機構体が離れるにつれて前記軸が前記基部機構体に押し込まれ、これに伴って変位する前記支持部材とともに前記アームが下降することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、格納動作時において格納姿勢に至るまでの荷受台の高さ位置のばらつきを広く許容することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置の詳細構造を表す斜視図で、荷受台を格納した状態を表した図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置の詳細構造を表す斜視図で、荷受台5を展開した状態を表した図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられた油圧駆動装置の一構成例を表す油圧回路図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御装置の一構成例を周辺機器と併せて表す機能ブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御装置による荷受台の格納動作の制御手順を表したフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置を基部機構体が格納位置にあるときに後方斜め上から見た斜視図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置を基部機構体が格納位置にあるときに後方斜め下から見た斜視図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置を基部機構体が展開位置にあってアームが下がった状態にあるときに後方斜め上から見た斜視図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置を基部機構体が展開位置にあってアームが上がった状態にあるときに後方斜め上から見た斜視図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられたストッパ機構の動作説明図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられたストッパ機構の動作説明図である。
【図13】本発明の第3の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられたストッパ機構の動作説明図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられたストッパ機構の動作説明図である。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられたストッパ機構の動作説明図である。
【図16】本発明の第6の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられたストッパ機構の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0017】
<第1の実施の形態>
図1は本発明の第1の実施の形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図である。本願明細書においては、図1の左右を車両の前後とする。
【0018】
図1に示した車両は、車枠1と、車枠1の前方に設けた運転室2と、車枠1上に搭載した荷台3と、車枠1の下部後側に設けた格納式の荷受台昇降装置4とを備えている。この荷受台昇降装置4は、例えば走行運転時には荷受台5を折り畳んで車枠1の下部側に格納する一方、荷台3への荷物の積み下ろし作業時等には荷受台5を後方に引き出して展開し、荷台3の床面高さと地面高さとの間で昇降させ作業支援を行う。
【0019】
図2及び図3は荷受台昇降装置4の詳細構造を表す斜視図で、図2は荷受台5を格納した状態、図3は荷受台5を展開した状態を表している。図2及び図3では後述するストッパ機構80は図示省略してある。
【0020】
図2及び図3に示したように、荷受台昇降装置4は、荷物を積載する上記の荷受台(プラットフォーム)5と、荷受台5等を前後方向に移動させるスライド駆動部6と、荷受台5を昇降させる昇降駆動部7とを備えている。
【0021】
スライド駆動部6は、車枠1の下部後側に前後方向に延在するように取り付けた左右一対のガイドレール8と、左右のガイドレール8に沿ってスライドする基部機構体60と、基部機構体60をガイドレール8に沿って移動させる左右のスライドシリンダ14とを備えている。
【0022】
ガイドレール8は、支持部材を介して車枠1の下部に取り付けられていて、左右の延びる連結部材61により連結されている。ガイドレール8の延在方向が基部機構体60の移動方向であり、本実施形態では前後方向に延在しているが、車両の側方に荷受台5を展開する構成の場合、ガイドレール8は左右方向に延在する場合もある。
【0023】
基部機構体60は、左右のガイドレール8にそれぞれ係合支持されガイドレール8に沿って走行可能な左右のスライダ9と、左右のスライダ9を連結する左右に延びる連結部材10と、連結部材10におけるスライダ9の外側に設けた左右のブラケット部11と、スライダ9の後方に突設した左右の支持フレーム13(図3参照)と、支持フレーム13の先端に設けられ格納及び展開の際に荷受台5が転接する支持ローラ12とを備えている。
【0024】
スライドシリンダ14は、油圧駆動式であり、その両端は、基部機構体60の構成部材(例えば左右のスライダ9を連結する連結部材10)及び車両に対して固定関係にある部材(例えば左右のガイドレール8を連結する連結部材61)にそれぞれ連結されている。この左右のスライドシリンダ14の伸縮駆動に伴って基部機構体60がガイドレール8に沿って移動し、基部機構体60と一体に荷受台5及び昇降駆動部7が前後にスライドする。
【0025】
このとき、左右のガイドレール8には、スライダ9の前後方向の移動範囲を制限する前後のストッパ(図示せず)と、スライダ9が後側ストッパに当接した位置(引き出し位置とする)にあるかどうかを検出する引出センサ15(後述の図5参照)と、基部機構体60がスライダ9を前側ストッパに当接させた位置(格納位置とする)にあるかどうかを検出する格納センサ16(後述の図5参照)が設けられている。これらセンサ15,16には例えば近接センサやリミットスイッチ等を用いることができる。
【0026】
昇降駆動部7は、基部機構体60に連結した左右のアーム62と、左右のアーム62をそれぞれ駆動して荷受台5を昇降させる左右のリフトシリンダ20とを備えている。
【0027】
リフトシリンダ20は、油圧駆動式であり、ロッド側がチルトアーム17(後述)の下端部にボトム側がリフトアーム18(後述)にそれぞれ回動可能に連結されている。
【0028】
アーム62は、上端部がブラケット部11に回動可能に連結された第1アーム(チルトアーム)17と、前端部がチルトアーム17に後端部が荷受台5にそれぞれ回動可能に連結された第2アーム(リフトアーム)18と、前端部がブラケット部11に後端部が荷受台5にそれぞれ回動可能に連結された第3アーム(コンプレッションアーム)19とを備えている。リフトアーム18及びコンプレッションアーム19は基部機構体60に対して荷受台5を昇降可能に連結する平行リンクを形成し、この平行リンクがリフトシリンダ20の伸縮駆動に伴って上下に回動駆動することで荷受台5が水平姿勢を保って昇降する。荷受台5が接地した状態でリフトシリンダ20を更に伸ばすと、チルトアーム17が傾動してチルトアーム17の前端の支点位置が後退し、荷受台5が傾斜して地面に広く接地する。
【0029】
荷受台5は、上記昇降駆動部7に支持された荷受台基端部21と、荷受台基端部21にヒンジ22を介し回動可能に連結された荷受台本体部23と、荷受台本体部23にヒンジ24を介し回動可能に連結された荷受台先端部25とを備えている。ヒンジ22は、両端が荷受台基端部21及び荷受台本体部23の上面近傍にそれぞれピン(図示せず)を介し回動可能に連結されており、荷受台基端部21に対する荷受台本体部23の回動機構が、ヒンジ22を介する二重関節構造となっている。同様に、ヒンジ24は、両端が荷受台本体部23及び荷受台先端部25の上面近傍にそれぞれピン(図示せず)を介し回動可能に連結されており、荷受台本体部23に対する荷受台先端部25の回動機構が、ヒンジ24を介する二重関節構造となっている。荷受台本体部23及び荷受台先端部25は、それぞれ展開状態から上方に回動して折り重ねられる。
【0030】
このとき、図2及び図3には図示していないが、荷受台基端部21と荷受台本体部23を連結するヒンジ22には、荷受台5の角度(開閉状態)を検出し荷受台5が格納動作中か否かを検出するゲートセンサ56(図5参照)が設けられている。このゲートセンサ56には、ヒンジ22の荷受台基端部21に対する角度を検出する角度センサを用いることができる。
【0031】
前述したようにヒンジ22は二重関節構造であるため、荷受台本体部23を荷受台基端部21に折り重ねる際、荷受台本体部23がヒンジ22に対して90度回動した後、ヒンジ22が荷受台本体部23に拘束されて荷受台基端部21に対して回動し始め、最終的に荷受台本体部23と荷受台基端部21の互いの荷受面が対向する。作業後に実際に荷受台5を格納する際には、後述するように荷受台先端部25及び荷受台本体部23を折り畳んで支持ローラ12に立て掛けた状態でリフトアーム18を上昇させるが、この時点では荷受台基端部21に対してヒンジ22が起き上がった角度(地面(水平)に対するヒンジ22の角度)R(図3参照)は90度に到達していない。荷受台5が展開しているときの荷受台基端部21に対するヒンジ22の角度を0(ゼロ)、接地位置で支持ローラ12に荷受台本体部23を立て掛けた際の荷受台基端部21に対するヒンジ22の角度をα(0<α<90°)とした場合、ゲートセンサ56は、荷受台基端部21に対してヒンジ22が起き上がった角度Rが設定角度β(α<β≦90°)となったときに検出信号を出力するように設定されている。設定角度βは、例えば格納動作時において荷受台5が接地した姿勢からリフトアーム18が上昇する途中の角度であり、ヒンジ22の角度が設定角度βのときには荷受台5は地面から浮き上がった姿勢となる。
【0032】
また、スライド駆動部6のブラケット部11の左端部には前出のスライドシリンダ14及びリフトシリンダ20を駆動するための油圧駆動装置(パワーユニット)26が、右端部には荷受台昇降装置4を操作するための荷台外側操作装置27(図2及び図3中にスイッチボックスのみ図示、詳細は後述)が、それぞれ設けられている。
【0033】
図4は油圧駆動装置26の一構成例を表す油圧回路図である。
【0034】
この図4において、油圧駆動装置26は、電動モータ28と、電動モータ28によって駆動される油圧ポンプ29と、油圧ポンプ29の吸込側に設けたオイルタンク30と、油圧ポンプ29の吐出管路29aの圧油をリフトシリンダ20に供給する圧油供給通路31と、圧油供給通路31の流れを連通又は遮断する上げ動作用制御弁32と、圧油供給通路31における上げ動作用制御弁32の下流側から分岐してオイルタンク30に接続する圧油戻し通路33と、圧油戻し通路33の流れを連通又は遮断する下げ動作用制御弁34と、下げ動作用制御弁34の下流側に設けた流量制御弁35と、油圧ポンプ29の吐出圧の最大値を規定するメインリリーフ弁36と、電動モータ28とバッテリ(図示せず)との間に介設したコンダクタリレー37とを備えている。本実施形態では、上げ動作用制御弁32と下げ動作用制御弁34が、油圧ポンプ29からリフトシリンダ20への圧油の流れを制御するリフトシリンダ用制御弁を構成する。
【0035】
例えば、荷役動作又は格納動作における荷受台5の上げ動作時には、後述する無線操作装置46等からの操作信号に応じて制御装置45から出力される指令信号に従って、コンダクタリレー37のコイル37aに通電されて通常開き状態の接点37bが閉じ、接点37bを介してバッテリから電動モータ28に給電され油圧ポンプ29が駆動する。同時に、上げ動作用制御弁32のソレノイド部32aに駆動指令信号が入力され、上げ動作用制御弁32が図4中左側の連通位置に切換わる。このとき、下げ動作用制御弁34は図4中下側の遮断位置であるから、油圧ポンプ29からの圧油が圧油供給通路31を介しリフトシリンダ20のボトム側に供給され、リフトシリンダ20が伸長し、荷受台5が上昇する。
【0036】
一方、荷役動作又は展開動作における荷受台5の下げ動作時には、無線操作装置46等からの操作信号に応じて制御装置45から出力される指令信号に従って接点37bが開き、電動モータ28及び油圧ポンプ29が停止するとともに、上げ動作用制御弁32が図4中右側の遮断位置になる。同時に、下げ動作用制御弁34のソレノイド部34aに駆動指令信号が入力され、下げ動作用制御弁34が図4中上側の連通位置に切換わり、リフトシリンダ20のボトム側が圧油戻し通路33を介しオイルタンク30に連通し、荷受台5が自重で下降する。
【0037】
また、油圧駆動装置26は、油圧ポンプ29の吐出管路29aから分岐してスライドシリンダ14のロッド側に接続する圧油供給通路38と、圧油供給通路38に設けた絞り弁39及び逆止弁40と、圧油供給通路38から分岐してスライドシリンダ14のボトム側に接続する圧油供給通路41と、圧油供給通路41の流れを連通又は遮断する後退動作用制御弁42と、後退動作用制御弁42の下流側で圧油供給通路41から分岐してオイルタンク30に接した圧油戻し通路43と、圧油戻し通路43の流れを連通又は遮断する前進動作用制御弁44とを備えている。本実施形態では、後退動作用制御弁42と前進動作用制御弁44が、油圧ポンプ29からスライドシリンダ14への圧油の流れを制御するスライドシリンダ用制御弁を構成する。
【0038】
例えば、展開動作における荷受台5のスライド動作時には、後述する無線操作装置46等からの操作信号に応じて制御装置45から出力される指令信号に従って、コンダクタリレー37の接点37bが閉じて電動モータ28及び油圧ポンプ29が駆動し、同時に後退動作用制御弁42のソレノイド部42aに駆動指令信号が入力され、後退動作用制御弁42が図4中上側の連通位置に切換わる。このとき、前進動作用制御弁44は図4中下側の遮断位置であるから、油圧ポンプ29からの圧油が圧油供給通路41を介しスライドシリンダ14のボトム側に供給され、ロッド側との受圧面積差によってスライドシリンダ14が伸長方向に駆動し、荷受台5等が後方にスライドする。
【0039】
一方、格納動作における荷受台5のスライド動作時には、後述する無線操作装置46等からの操作信号に応じて制御装置45から出力される指令信号に従って、コンダクタリレー37の接点37bが閉じて電動モータ28及び油圧ポンプ29が駆動し、同時に前進動作用制御弁44のソレノイド部44aに駆動指令信号が入力され、前進動作用制御弁44が図4中上側の連通位置に切換わる。このとき、後退動作用制御弁42は図4中下側の遮断位置であるから、油圧ポンプ29からの圧油が圧油供給通路38を介しスライドシリンダ14のロッド側に供給され、スライドシリンダ14のボトム側からの圧油が圧油戻し通路43を介してオイルタンク30に流出する。この結果、スライドシリンダ14が縮短方向に駆動し、荷受台5等が前方にスライドする。
【0040】
なお、スライダ9が後端位置にある状態で荷受台5を昇降させるため、リフトシリンダ20を伸長させる間、後退動作用制御弁42を連通位置に切換えてスライダ9を既述した後側ストッパに押し付けるように構成することもできる。また、荷受台5の下降時も油圧ポンプ29を駆動し、後退動作用制御弁42のボトム側に圧油を供給して、スライダ9を後端位置に付勢するように構成することもできる。また、荷受台5の後方スライド時に瞬間的に前進動作用制御弁44を連通位置に切換え、スライドシリンダ14を圧抜きするように構成することもできる。
【0041】
また、本実施形態においては、絞り弁39の間で吐出管路29aから分岐して圧油戻し通路43に接続したバイパス通路71を有しており、このバイパス通路71に、サブリリーフ弁73と切換弁72とを設けている。切換弁72は、そのソレノイド駆動部72aへの駆動信号によって切り換えポジションが連通位置(図中上側の位置)又は遮断位置(図中下側の位置)に切り換わり、その切り換えポジションによってサブリリーフ弁73への圧油の流れを連通又は遮断する。切換弁72はサブリリーフ弁73の上流側に設けているが、下流側に設けても良い。サブリリーフ弁73は、そのリリーフ圧(例えば6MPa程度)がメインリリーフ弁36のリリーフ圧(例えば20MPa程度)よりも低く設定してあり、切換弁72が連通位置に切り換わって吐出管路29aに接続した際には、吐出管路29aの圧油の最大値をメインリリーフ弁36のリリーフ圧よりも低い値に規定する。
【0042】
図5は荷受台昇降装置に備えられた制御装置の一構成例を周辺機器と併せて表す機能ブロック図である。
【0043】
図5において、荷受台5が後端位置にあるかどうかを検出する引出センサ15と、荷受台5の格納動作に入ったことを検出するゲートセンサ56と、折り畳まれた荷受台5がスライド可能な格納位置にあるかどうかを検出する格納センサ16と、本荷受台昇降装置4に対する操作信号を有線出力する荷台外側操作装置27と、車両1側(又は油圧駆動装置26内)に設けた制御装置45と、本荷受台昇降装置4に対する操作信号を無線出力する携帯可能な無線操作装置(リモコン)46とが設けられている。制御装置45は、荷受台昇降装置4の電源(バッテリ)57に電源スイッチ58を介して接続しており、電源スイッチ58によって制御装置45の電源の入り切りが切り換えられる。電源スイッチ58は例えば車両1の運転室2内或いは油圧駆動装置26等に設置することができる。
【0044】
荷台外側操作装置27は、例えば、押しボタン式の上げ動作スイッチ47A及び下げ動作スイッチ47Bを備えたペンダント操作方式のものであり、上げ動作スイッチ47A又は下げ動作スイッチ47Bの操作に応じた操作信号を制御装置45にケーブル等を介して出力する。
【0045】
無線操作装置46は、押しボタン式の上げ動作スイッチ48A、下げ動作スイッチ48B及び電源スイッチ48Cと、動作スイッチ48A又は48BのON・OFF状態等のシリアルデータを生成し、このシリアルデータを無線信号として送信する送信部49とを備えている。勿論、運転室2や荷台3の中等、任意の場所に保管しておくこともできる。
【0046】
制御装置45は、引出センサ15、格納センサ16及びゲートセンサ56からの検出信号、荷台外側操作装置27からの操作信号を入力する入力部50と、無線操作装置46からの無線操作信号を受信する受信部(入力部)51と、制御プログラム(例えばシーケンス制御やタイマ制御等に基づいたプログラム)を記憶した記憶部(メモリ)52と、この記憶部52に記憶された制御プログラムに従って演算処理を実行しシリンダ14,20の動作を指示する指令信号等を生成する演算部(CPU)53と、この演算部53で生成した指令信号を各制御弁32,34,42,44,72のソレノイド部32a,34a,42a,44a,72aやコンダクタリレー37に適宜出力する出力部54とを備えている。
【0047】
上記構成の荷受台昇降装置において本発明の大きな特徴は、荷受台5を車両の下部に引き込んだ格納位置(前述)に基部機構体60があるときのアーム62の可動域の上下の制限角度のうちの下限角度のみを規制するストッパ機構80を備えている点である。
【0048】
なお、「格納位置に基部機構体60があるときのアーム62の可動域」について、次のように定義する。即ち、基部機構体60が格納位置にある間は、シーケンス的に、通常、格納動作の過程で後の図11の(ii)に示した姿勢から(iii)に示した姿勢までの上昇動作(又は展開動作中の図11の(iii)に示した姿勢から(ii)に示した姿勢までの下降動作)しか想定されていないところ、仮にリフトシリンダ20に圧油のリークが発生した際には、図11の(ii)の姿勢を超えてアーム62が下降し得る。また、詳細は後述するが、圧油の粘度によって格納動作時又は展開動作時の図11の(ii)のアーム62の角度自体がばらつく場合がある。このように、格納位置に基部機構体60があるときにシーケンス的に想定される動作範囲を外れてアーム62が動き得る範囲を「格納位置に基部機構体60があるときのアーム62の可動域」とする。
【0049】
また、「基部機構体60があるときのアーム62の可動域の上下の制限角度のうちの下限角度のみを規制するストッパ機構80」とは、仮にストッパ機構80で規制しなければ、アーム62の可動域の上限角度はガイドレール8又は車枠1で、下限角度は地面でしか規制されず、機械構造的には荷受台5が接地する高さから車枠1又は車両に接する位置までの広い領域が「可動域」となるところ、「可動域」の下限角度を地面で規制される角度よりも高角度にストッパ機構80で規制し、かつ、ストッパ機構80としてはアーム62の可動域の上限角度の規制には関与しないことをいう。
【0050】
図7は基部機構体が格納位置にあるときの荷受台昇降装置4を後方斜め上から見た斜視図、図8は基部機構体が格納位置にあるときの荷受台昇降装置4を後方斜め下から見た斜視図、図9は基部機構体が展開位置にあってアーム62が下がった状態の荷受台昇降装置を後方斜め上から見た斜視図、図10は基部機構体が展開位置にあってアーム62が上がった状態の荷受台昇降装置4を後方斜め上から見た斜視図である。これらの図においては、荷受台5、支持ローラ12、スライドシリンダ14、リフトシリンダ20、コンプレッションアーム19、油圧駆動装置26及び荷台外側操作装置27は図示省略してある。
【0051】
図7−図10に示したように、ストッパ機構80は、アーム62に対応して左右に設けられており、基部機構体60に回動自在に連結した第1のストッパ部材81と、車両に対して固定関係にある第2のストッパ部材82とを備えている。
【0052】
第1のストッパ部材81は、くの字型のストッパ本体83を有している。このストッパ本体83は、左右方向においてアーム62の内側に位置していて、水平なピン84を介して一端がスライダ9に連結されており、アーム62と同じく前後に延びる鉛直面内で回動する。なお、本実施の形態ではストッパ本体83をスライダ9に連結した構成を例示したが、アーム62(例えばリフトアーム18)にストッパ本体83を連結する構成も考えられる。また、くの字型のストッパ本体83の折れ曲がり部分の左右方向の外側の面すなわちアーム62側の面には、アーム62の下部を支持し得る係止部85が突出している。ストッパ本体83の他端には、第2のストッパ部材82との接触部であるローラ86が取り付けられている。ローラ86の軸は水平に延び、ピン84と実質平行である。
【0053】
一方、第2のストッパ部材82は、ガイドレール8の前端部に取り付けたL字型の支持部材87と、この支持部材87に取り付けた座部88とを備えている。支持部材87は、ガイドレール8の前面に固定されて下方に延在し、先端を後方(スライダ9側)に向けて折れ曲がっている。座部88は、本実施の形態では、支持部材87に後方からねじ込んだボルトの頭部で構成してあり、支持部材87からのボルトの突出量を調整することによって座部88の前後位置を調整することができる。座部88を構成するボルトには、回り止めのためにナットを螺合しておくと良い。
【0054】
続いて荷受台昇降装置4の動作を説明する。
【0055】
例えば車両1の下部に格納された状態の荷受台5を使用する場合、制御装置45の電源スイッチ58を入れ、無線操作装置46の下げ動作スイッチ48B又は荷台外側操作装置27の下げ動作スイッチ47Bを押せば、スイッチ操作をしている間、制御装置45を介してスライドシリンダ14の伸長指令がなされて荷受台5が格納位置から後方に移動する。荷受台5が後端位置まで引き出されたことが引出センサ15で検出された後、さらにスイッチ48B又は47Bを押すと、制御装置45からの指令信号がリフトシリンダ20の縮退指令に切り換わり、荷受台5が接地位置まで下降する。荷受台5が接地位置まで下降したら、荷受台5を展開し、無線操作装置46又は荷台外側操作装置27の上げ動作スイッチ及び下げ動作スイッチを適宜操作することにより、荷受台5を昇降させて荷役作業の支援に利用することができる。
【0056】
格納動作時には、折り畳んだ荷受台5を支持ローラ12に立て掛け、リフトシリンダ20を伸長させて荷受台5を上昇させ、ゲートセンサ56によって上記設定角度βが検出されたら、動作指令がスライドシリンダ14の伸長指令に切り換わり、基部機構体60が格納位置まで前進して格納姿勢に移行する。
【0057】
なお、この動作例は、荷受台5の引き出し→荷受台5の下降(或いは荷受台5の上昇→荷受台5の引き込み)の二段階の動作であるが、以下に説明する動作も例示できる。
【0058】
図6は制御装置45による荷受台5の格納動作の制御手順を表したフローチャートである。なお、展開動作については説明を省略するが、以下の格納動作と逆手順となる。
【0059】
(ステップ101−104)
例えば荷役作業終了後に車両1の下部に荷受台5を格納する場合、まず荷受台5を折り畳んで支持ローラ12に立て掛け(ステップ101)、操作装置27又は46の上げ動作スイッチ47A又は48Aを押す。制御装置45は、上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作信号が入力されたかどうかを判断し(ステップ102)、操作信号が入力された場合にはリフトシリンダ20の伸長指令を出力して荷受台5を上昇させ(ステップ103)、操作信号の入力がない場合にはステップ102を繰り返して操作信号の入力を待つ。荷受台5の上昇中には、荷受台5(のヒンジ22)の角度が前述した設定角度βに達したかどうかをゲートセンサ56の信号を基に判定する(ステップ104)。ゲートセンサ56の信号がOFFで荷受台5の角度がβに達しない間は、ステップ102−104の手順を繰り返し、上げ動作スイッチ47A又は48Aが操作されている間だけ荷受台5を上昇させ、操作が解除された場合には停止させる。
【0060】
(ステップ104−107)
荷受台3が上昇するうちにゲートセンサ56からの検出信号が入力され、ステップ104において格納動作中であることを認識したら、制御装置45は、さらに上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作信号が入力されたかどうかを判断する(ステップ105)。操作信号が入力された場合にはスライドシリンダ14の縮退指令を出力してスライダ9を荷受台5とともに前進させ(ステップ106)、操作信号の入力がない場合にはステップ105を繰り返して操作信号の入力を待つ。荷受台5の前進中には、スライダ9が格納位置に達したかどうかを格納センサ16の信号を基に判定する(ステップ107)。格納センサ16の信号がOFFでスライダ9が格納に達しない間は、ステップ105−107の手順を繰り返し、上げ動作スイッチ47A又は48Aが操作されている間だけスライダ9を前進させ、操作が解除された場合には停止させる。
【0061】
(ステップ107−112)
スライダ9が前進するうちに格納センサ16からの検出信号が入力され、ステップ107においてスライダ9が格納位置に達したことを認識したら、制御装置45は、スライドシリンダ14を停止させるとともに、切換弁72を連通位置に切り換えて油圧回路のリリーフ圧をサブリリーフ弁73による低圧リリーフ圧に切り換える(ステップ108)。その後、上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作信号が入力されたかどうかを判断する(ステップ109)。操作信号が入力された場合にはリフトシリンダ20の伸長指令を出力して荷受台5を上昇させ(ステップ110)、操作信号の入力がない場合にはステップ109を繰り返して操作信号の入力を待つ。荷受台5の再上昇を開始する際、この時点でリリーフ圧がサブリリーフ圧によるリリーフ圧に厳密に低下しきっていることは問われず、回路的にサブリリーフ弁73が作動し得る状態に切り換わっていれば良い。或いは、タイミングの誤差で、荷受台5の再上昇がリリーフ弁の切り換えに遅れる場合もあり得るが、荷受台5が上昇し切るまでにサブリリーフ弁73が作動し得る状態になっていれば良い。
【0062】
荷受台5の上昇中には、上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作が停止したかどうかを判定する(ステップ111)。操作信号が入力されている間はステップ110−111の手順を繰り返してリフトシリンダ20のボトム側に圧油を送り続け、例えば荷受台5が上昇し切って操作者が上げ動作スイッチ47A又は48Aから指を離したら、荷受台5の上昇動作(リフトシリンダ20のボトム側への圧油の供給)を停止させる(ステップ112)。特に図示していないが、格納位置において荷受台5が上昇しきった位置にはガイドレール8にパッドが設けられていて、荷受台5はこのパッドに下から押し付けられてガタツキが抑制される。
【0063】
(ステップ113−114)
荷受台5の上昇停止後は、制御装置45の電源が切られる前に上げ操作スイッチ47A又は48Aの操作がないかどうかを判定し(ステップ113)、もし操作があればステップ110に手順を戻してリフトシリンダ20のボトム側に圧油を供給する。操作がない場合は電源が切られたかどうかを判定し(ステップ114)、切られない間はステップ113に手順を戻して待機し、切られた場合は図6の手順を終了する。
【0064】
このとき、本実施の形態では、荷受台昇降装置4の動作に連動してストッパ機構80が動作する(後述)。
【0065】
ここで便宜上、ストッパ機構80の動作説明の前に、アーム62の角度について次のように定義しておく。第一に、格納動作時においてアーム62の上昇動作から基部機構体60の前進動作に切り換わるトリガとなる(図6のフローチャートで例示した動作の場合には、展開動作時においてアーム62の下降動作から基部機構体60の後退動作に切り換わるトリガにもなる)角度であることから、荷受台5(厳密にはヒンジ22)が設定角度βとなった際のアーム62の角度を「動作切換角度」とする。第二に、荷受台5が格納位置において上昇し切った際のアーム62の角度を、荷受台5の格納姿勢時のアーム62の角度であることから「格納角度」とする。
【0066】
図6のフローチャートに従って荷受台昇降装置4が動作する際のストッパ機構80の動作を次に説明する。
【0067】
図11はストッパ機構80の動作説明図である。なお、図の簡略化のため図11においては荷受台5の荷受台基端部21のみを図示してあるが、実際には荷受台基端部21の上に荷受台本体部23及び荷受台先端部25が折り畳まれている。
【0068】
荷受台5の格納動作時、まずステップ104でゲートセンサ56からの検出信号が入力された際、荷受台5が上記設定角度βになると同時に、アーム62が動作切換角度に達する。基部機構体60が後端位置にあるこの時点では、ストッパ機構80の第1のストッパ部材81は第2のストッパ部材82から離れた位置にあり、自重によってピン84の真下に重心を下げた姿勢を採り、係止部85はローラ86よりも低位置にある(図9及び図10も参照)。アーム62が動作切換角度に達すると、荷受台昇降装置4の動作がアーム62の上昇から基部機構体60の前進に切り換わり、アーム62が動作切換角度で油圧的に保持された状態で基部機構体60が格納位置に向かって移動する(図11中の(i)の状態)。
【0069】
そして、格納動作時に基部機構体60が格納位置に向かうとき、基部機構体60の前進の途中で第1のストッパ部材81のローラ86が第2のストッパ部材82の座部88に接触すると、基部機構体60の前進に伴って第2のストッパ部材82に押されて第1のストッパ部材81が第2のストッパ部材82に相対してその回動方向の一方側(本実施の形態では後側)に回動する。そうして基部機構体60が格納位置に到達したら、係止部85をローラ86よりも高く上げた姿勢で第1のストッパ部材81が固定される(同図中の(ii)の状態、図7及び図8も参照)。このときの係止部85は、図示した通りアーム62とは非接触状態である。但し、不意にアーム62が下降すると、同図中の(ii)に図示した位置の係止部85にアーム62が接触しアーム62の下降が規制される。よって、この高さにある係止部85が、基部機構体60が格納位置にあるときのアーム62の可動域の下限角度を規制することとなる。
【0070】
なお、基部機構体60が格納位置にあるときにストッパ機構80で規制されるアーム62の動作範囲の下限角度は、アーム62の動作切換角度よりも低角度であるため、同図中の(ii)の状態のように、通常は、基部機構体60が格納位置に到達したときでも、アーム62(ここではリフトアーム18)は係止部85には接触せず、係止部85に対して一定の間隙を介して油圧的に保持されている。但し、上記下限角度を動作切換角度に等しく設定し、同図中の(ii)の状態でアーム62が係止部85に接触する構成としても良い。
【0071】
基部機構体60が格納位置に到達したら、荷受台昇降装置4の動作が基部機構体60の前進から再びアーム62の上昇動作に切り換わり、アーム62を上昇させて荷受台5を格納姿勢に移行させる(同図中の(iii)の状態)。この間、ストッパ機構8は特に動作しない。
【0072】
荷受台5の展開動作時には、荷受台昇降装置4の動作に伴って格納動作時と逆の手順でストッパ機構80が動作する((iii)→(ii)→(i))。具体的には、展開動作時において格納位置から基部機構体60が後退する際には、第2のストッパ部材82から基部機構体60が離れるにつれて第1のストッパ部材81がその回動方向の他方側(本実施の形態では前側)に自重で回動し、係止部85が下降してアーム62の下限側の規制角度を低角度化させる。基部機構体60が後退するうちに第1のストッパ部材81の重心がピン84の真下に位置してからは、第2のストッパ82による第1のストッパ81の拘束が解かれる。
【0073】
なお、荷受台昇降装置4が図6のフローチャートに従って動作する場合を例に挙げて説明したが、荷受台5の引き出し→荷受台5の下降(及び荷受台5の上昇→荷受台5の引き込み)の前述した二段階の動作の場合でも、ストッパ機構80は荷受台昇降装置4に連動することは言うまでもない。
【0074】
本実施の形態により得られる作用効果を以下に説明する。
【0075】
(1)荷受台5の下降抑制
荷受台5を格納姿勢に移行させた場合でも、仮にリフトシリンダ20に圧油のリークが発生した場合等には、荷受台5やアーム62の自重によってアーム62が下降する可能性がある。アーム62の下降を無制限に許容すると荷受台5が必要以上に低下し、デパーチャアングルが必要以上に小さくなってしまう。そこで、本実施の形態では、ストッパ機構80を設けたことで、格納位置において、アーム62の下降範囲が係止部85に接触する上記下限角度され、荷受台5が必要以上に下降することを抑制することができる(図11の(iv)の状態)。
【0076】
(2)格納動作の確実性の向上
シリンダの圧油は気温等によって粘度が変動し、荷受台の昇降動作や前後移動の速度が変動する。例えば、格納動作時に荷受台の上昇から前進に切り換わるタイミングがずれても、ストッパ機構80は、第1のストッパ部材81に対して第2のストッパ部材82が前から当たって第1のストッパ部材81を後方に押し出し、アーム62の上下の可動域のうち下限角度のみを第1のストッパ部材81であるため、荷受台5の高さ位置にばらつきを広く許容することができる。特に、ストッパ機構80は、格納位置においてアーム62を自由に昇降させることができるとすれば、アーム62の可動域の上下の制限角度のうちの下限角度のみを規制する構成である。そのため、アーム62の角度のばらつきを考慮して、格納動作時の動作切換角度をストッパ機構80により規制される下限角度よりもある程度大きく採っておけば、ストッパ部材同士が擦れ合うこともなく、格納動作を確実に実行することができる。
【0077】
(3)ストッパ部材の設計の制約の緩和
例えば、本実施の形態との対比のために、折り畳んだ荷受台の上面(荷受台本体部23の裏面すなわち荷受面と反対側の面)にフックを設け、格納姿勢時にこのフックが車両又はガイドレール8等にかかるようにした構成を一比較例として考える。このような例においても、格納姿勢の荷受台5の落下防止の手段にはなる。しかし、フックが長くなって荷受台本体部23の裏面に設けたリブ100(図2参照)の高さ(厚み)を超えると、荷受台5を展開した際にフックが荷受台5の下側に突出するため、荷受台5をチルトさせるとフックが接地して損傷する恐れがある。こうした損傷を防止するためにはフックの高さをリブの高さに収める必要があり、フックの長さが大きく制約される。このようにフックの長さに余裕を採ることができなければ、フックと相手部材との嵌め合いの遊びを大きめに確保することができず、前述した圧油の粘度による格納動作時のアーム62の角度のばらつきを結局吸収しきれなくなってしまう。
【0078】
それに対し、本実施の形態のストッパ機構80は、格納位置におけるアーム62の可動域の上限角度と下限角度のうち下限角度のみを規制する構成であるため、折り畳んだ荷受台5の上面やアーム62の上側にストッパ機構80の構成要素が突出することがなく、ストッパ機構80が接地によって損傷することを抑制することができる。また、圧油の粘度による格納動作時のアーム62の角度のばらつきを広く許容できることは前述した通りである。
【0079】
(4)荷受台の急下降の抑制
例えば上記で挙げた比較例のように、格納姿勢時に車両又はガイドレールにフックを介して荷受台5を掛ける構成の場合、フックが車両又はガイドレール8に掛かっているため、本実施の形態のように一端下降させることができず、フックを外す際には格納姿勢から直接基部機構体60を後退させることになる。このとき、格納位置においてリフトシリンダ20の圧油のリークによってアーム62や荷受台5の重量がフックにかかった状態であると強い摩擦力が作用し、フック及び車両又はガイドレール8を傷める恐れがある。また、フックが外れた瞬間、フックによる支持を失ってアーム62が回動し、リフトシリンダ20の圧油のリーク量に応じた分だけ荷受台5が一気に下降する。こうした挙動は荷受台昇降装置4の不良ではないにしても、操作者に与える心象が悪い。
【0080】
それに対し、本実施の形態のストッパ機構80は、第1ストッパ81にアーム62の荷重がかかった状態で基部機構体60を格納位置から移動させる際、第1のストッパ部材81が第2のストッパ部材82から離れるまでの間、基部機構体60の移動に伴ってアーム62が下限角度を超えて下降することが可能な構成となっている。すなわち、圧油のリークが生じてアーム62が下降し得る状態(係止部85にアーム62及び荷受台5の重量がかかった状態)で基部機構体60を格納位置から移動させる場合でも、第1のストッパ部材81の回動に伴って係止部85がアーム62の反力を支持することができる状態で下降するため、アーム62を係止部85で支えつつ下降させることができる。したがって、操作者が気にする程の大きな荷受台5の急下降になることはない。
【0081】
<第2の実施の形態>
図12は本発明の第2の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられたストッパ機構の動作説明図であり、図11に対応する図である。本図において既述の部材と同様の部材については既出図面と同符号を付して説明を省略し、第1の実施の形態と異なる構成及び効果を中心に説明する。
【0082】
本実施の形態が第1の実施の形態と相違する点はストッパ機構の構成にある。本実施の形態のストッパ機構80Aにも第1のストッパ部材81Aと第2のストッパ部材82Aが備わっているが、第1のストッパ部材81Aは、アーム62に対して固定関係にある。ここで言う固定関係とは、第1のストッパ部材81Aがアーム62に直接固定されている場合の他、何らかの中間部材を介してアーム62に固定されている場合を含む。第1のストッパ部材81Aは、アーム62(本実施の形態ではコンプレッションアーム19)の基部の下部側に直接固定されている。また、第1のストッパ部材81Aは、コンプレッションアーム19の両端の軸の中心を結ぶ線L1から下ろした垂線L2に対して下方に向かって前方すなわち第2のストッパ部材82側に傾斜した接触面89を有している。
【0083】
一方の第2のストッパ部材82Aは、ガイドレール8の前面に取り付けた支持部材87Aの先端にねじ込まれたボルトの頭で構成された座部88Aを有していて、座部88Aの第1のストッパ部材81Aとの接触面90は、図11に示したように基部機構体60の引き出し方向(本実施の形態では後方)に向かって上側に傾斜している。
【0084】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0085】
荷受台5の格納動作時、アーム62が動作切換角度に達すると、アーム62が動作切換角度で油圧的に保持された状態で基部機構体60が格納位置に向かって前進する(図12中の(i)の状態)。
【0086】
そして、基部機構体60が格納位置に到達すると、第1のストッパ部材81Aの接触面89が第2のストッパ部材82Aの接触面90に対して僅かな間隙を介して対向する(同図中の(ii)の状態)。基部機構体60が格納位置に到達すると丁度互いの接触面89,90が接触する構成としても良い。
【0087】
基部機構体60が格納位置に到達したら、荷受台昇降装置4の動作が基部機構体60の前進から再びアーム62の上昇動作に切り換わり、アーム62を上昇させて荷受台5を格納姿勢に移行させる(同図中の(iii)の状態)。
【0088】
本実施の形態においても、荷受台5が格納姿勢に移行した後、仮にリフトシリンダ20に圧油のリークが発生した場合でも、第1のストッパ部材81Aと第2のストッパ部材82Aの互いの接触面89,90が接触することで、アーム62の下降域を上記下限角度で規制することができる(同図中の(iv)の状態)。
【0089】
また、本実施の形態においても、基部機構体60が格納位置に達すると第1のストッパ部材81Aに第2のストッパ部材82Aが対向し、アーム62の上下の可動域のうち下降域のみがストッパ機構80Aによって下限角度で規制される構成である。すなわち、第1の実施の形態と同様、格納動作時において格納姿勢に至るまでの荷受台5の高さ位置のばらつきを広く許容することができ、ひいては格納動作を確実に実行することができる。
【0090】
また、折り畳んだ荷受台5の上面やアーム62の上側にストッパ機構80Aの構成要素が突出することもない。
【0091】
さらには、第2のストッパ部材82Aの接触面90が後方に向かって上り方向に傾斜しているため、リフトシリンダ20の圧油のリーク等によって格納位置においてアーム62の荷重がストッパ機構80Aにかかっている状態でも、荷受台5の引き出し動作の際、第1のストッパ部材81Aの接触部が接触面90に沿って上昇し、これに伴ってアーム62が下降する。第2のストッパ部材82Aから第1のストッパ部材81Aが完全に離れるまでの間は、ストッパ機構80Aで支持しつつアーム62の下降動作を許容することになる。したがって、第1の実施の形態と同様に荷受台5の急下降を抑制することができる。
【0092】
また、本実施の形態の場合、第1の実施の形態に比べて構成が簡素であることもメリットである。
【0093】
<第3の実施の形態>
図13は本発明の第3の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられたストッパ機構の動作説明図であり、図11に対応する図である。本図においても、既述の部材と同様の部材については既出図面と同符号を付して説明を省略し、上述した実施の形態と異なる構成及び効果を中心に説明する。
【0094】
本実施の形態のストッパ機構80Bにも第1のストッパ部材81Bと第2のストッパ部材82Bが備わっている。第1のストッパ部材81Bは、リフトアーム18に対してピン91を介して回動自在に連結されていて、このピン91を通した連結部から荷受台5側(後方)に向かって下方に傾斜して延びる係止部93と、第2のストッパ部材82B側(前方)に向かって下方に傾斜して延びる支持部94とを備えている。支持部94は、左右のスライダ9を連結する連結部材10(図2及び図3参照)の下側を通っていて、先端が当該支持部94の本体部に対して上方に屈曲しており、この屈曲した部分の上面を第2のストッパ部材82Bとの接触面95としている。そして、第1のストッパ部材81Bは、係止部93がリフトアーム18又はこれに設けた係止部(図示せず)に下から接触するようにバネ92で付勢されている。バネ92はリフトアーム18と基部機構体60とを連結している。
【0095】
なお、第1のストッパ部材81Bは、リフトアーム18ではなく基部機構体60(スライダ9等)に連結する構成としても良い。
【0096】
一方の第2のストッパ部材82Bは、ガイドレール8の前面に取り付けた支持部材87Bの下面を第1のストッパ部材81Bとの接触面96としている。接触面96は、本実施の形態においてはほぼ水平に形成してあるが、第2の実施の形態のように後方斜め上方に延びる傾斜面としても良い。
【0097】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0098】
本実施の形態において、基部機構体60が後端位置にあるときには、第1のストッパ部材81Bは第2のストッパ部材82Bから離れた位置にあり、バネ92によってリフトアーム18に下から押し付けられているので、第2のストッパ部材82Bと係合していない状態では、リフトアーム18の上下動に追従して回動する。このとき、第1のストッパ部材81Bの接触面95が、当該第1のストッパ部材81Bの回動時に、左右のスライダ9を連結する連結部材10(図2及び図3参照)に干渉し得る場合には、接触面95との干渉を避けるべく連結部材10にスリット(図示せず)を設けておく。
【0099】
荷受台5の格納動作時にアーム62が動作切換角度に達した後、基部機構体60が格納位置に向かって前進する(図13中の(i)の状態)。基部機構体60が格納位置に到達すると、第1のストッパ部材81Bの接触面95が第2のストッパ部材82Bの接触面96に対して僅かな間隙を介して対向する(同図中の(ii)の状態)。基部機構体60が格納位置に到達すると丁度互いの接触面95,96が接触する構成としても良い。
【0100】
基部機構体60が格納位置に到達したら、荷受台昇降装置4の動作が基部機構体60の前進から再びアーム62の上昇動作に切り換わり、アーム62を上昇させて荷受台5を格納姿勢に移行させる(同図中の(iii)の状態)。
【0101】
本実施の形態においても、荷受台5が格納姿勢に移行すると、第1のストッパ部材81Bの接触面95と第2のストッパ部材82Bの接触面96とが対向することにより、同様にアーム62の下降域を上記下限角度で規制することができる(同図中の(iv)の状態)。
【0102】
また、第1及び第2の実施の形態と同様に、格納動作時において格納姿勢に至るまでの荷受台5の高さ位置のばらつきを広く許容することができ、折り畳んだ荷受台5の上面やアーム62の上側にストッパ機構80Bの構成要素が突出することもない。
【0103】
さらには、第2のストッパ部材82Bの第1のストッパ部材81Bに対する接触面96が後方に向かって上り方向に傾斜した構成としても、第1及び第2の実施の形態と同様の効果を得ることができるため好ましい。
【0104】
<第4の実施の形態>
図14は本発明の第4の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられたストッパ機構の動作説明図であり、図11に対応する図である。本図においても、既述の部材と同様の部材については既出図面と同符号を付して説明を省略し、上述した実施の形態と異なる構成及び効果を中心に説明する。
【0105】
本実施の形態のストッパ機構80Cにも第1のストッパ部材81Cと第2のストッパ部材82Cが備わっている。第1のストッパ部材81Cは、リフトアーム18に対してピン97を介して回動自在に連結されていて、このピン97を通した連結部から荷受台5側(後方)に向かって下方に傾斜して延びる係止部98と、第2のストッパ部材82B側(前方)に向かって延びる支持部99とを備えている。ピン97はチルトアーム17とリフトアーム18とを連結するもので兼用しており、第1のストッパ部材81Cはリフトアーム17の基部側の支点と同軸に連結されている。支持部99は、左右のスライダ9を連結する連結部材10(図2及び図3参照)の上側を通っていて、その上面が第2のストッパ部材82Cとの接触面100になる。また、第1のストッパ部材81Cは、係止部98がリフトアーム18に突設した係止部102に下から接触するようにバネ103で付勢されている。バネ103はリフトアーム18と基部機構体60とを連結している。
【0106】
なお、第1のストッパ部材81Cは、リフトアーム18と同軸とすれば構成の簡素化の面で有利だが、同軸とせずにリフトアーム18に別のピンで連結する構成でも良い。また、リフトアーム18ではなく基部機構体60(スライダ9等)に第1のストッパ部材81Cを連結する構成としても良い。
【0107】
一方の第2のストッパ部材82Cは、ガイドレール8の前面に取り付けた支持部材87Cに円形の突出部104を設けており、この突出部104の下半側の面を第1のストッパ部材81Bとの接触面101としている。接触面101は、本実施の形態においては弧状に形成してあるが、第2の実施の形態のように後方斜め上方に延びる傾斜面としても良い。
【0108】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0109】
基部機構体60が後端位置にあるときには、第1のストッパ部材81Cは第2のストッパ部材82Cから離れた位置にあり、アーム62の可動域がストッパ機構80Cによって制限されることはない。第1のストッパ部材81Cはバネ103によってリフトアーム18に下から押し付けられているので、第2のストッパ部材82Cと係合していない状態では、リフトアーム18の上下動に追従して回動する。このとき、第1のストッパ部材81Cの接触面100が、当該第1のストッパ部材81Cの回動時に、左右のスライダ9を連結する連結部材10(図2及び図3参照)に干渉し得る場合には、接触面100との干渉を避けるべく連結部材10にスリット(図示せず)を設けておく。
【0110】
荷受台5の格納動作時にアーム62が動作切換角度に達した後、基部機構体60が格納位置に向かって前進する(図14中の(i)の状態)。基部機構体60が格納位置に到達すると、第1のストッパ部材81Cの接触面100が第2のストッパ部材82Cの接触面101に対して僅かな間隙を介して対向する(同図中の(ii)の状態)。
【0111】
基部機構体60が格納位置に到達したら、荷受台昇降装置4の動作が基部機構体60の前進から再びアーム62の上昇動作に切り換わり、アーム62を上昇させて荷受台5を格納姿勢に移行させる(同図中の(iii)の状態)。
【0112】
本実施の形態においても、荷受台5が格納姿勢に移行すると、第1のストッパ部材81Cの接触面100と第2のストッパ部材82Cの接触面101とが対向することにより、アーム62の下降域を上記下限角度で規制することができる(同図中の(iv)の状態)。
【0113】
また、本実施の形態においても、上述した実施の形態と同様に、格納動作時において格納姿勢に至るまでの荷受台5の高さ位置のばらつきを広く許容することができる。
【0114】
また、折り畳んだ荷受台5の上面やアーム62の上側にストッパ機構80Cの構成要素が突出することもない。
【0115】
<第5の実施の形態>
図15は本発明の第5の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられたストッパ機構の動作説明図であり、図11に対応する図である。本図においても、既述の部材と同様の部材については既出図面と同符号を付して説明を省略し、上述した実施の形態と異なる構成及び効果を中心に説明する。
【0116】
本実施の形態のストッパ機構80Dにも第1のストッパ部材81Dと第2のストッパ部材82Dが備わっている。第1のストッパ部材81Dは、アーム62が動作切換角度のときに第2のストッパ部材との接触面104が下方に延びるようにコンプレッションアーム19に対して固定されている。第1のストッパ部材81Dはコンプレッションアーム19の基部側の支点であるピン106を軸にしていて、コンプレッションアーム19と同軸に固定され、コンプレッションアーム19とともに回動する構成である。また、接触面104は、アーム62が動作切換角度にあるときに下向きに延びていれば良く、正確に鉛直下向きに延在している必要はない。例えば、鉛直下向きの姿勢から、若干前方又は後方に傾斜した姿勢となるようにしても良いが、図15に示したように荷受台5側(後方)に傾斜した姿勢となるようにすることが好ましい。
【0117】
なお、第1のストッパ部材81Dは、コンプレッションアーム19と同軸とせずにピン106とは別の位置でコンプレッションアーム19に固定する構成としても良い。
【0118】
一方の第2のストッパ部材82Dは、第1の実施の形態の第2のストッパ部材82と実質同様の構成であり、ガイドレール8の前面に取り付けた支持部材87Dの先端にねじ込んだボルトの頭を座部88Dとしている。座部88Dの第1のストッパ部材81Dとの接触面は、第1の実施の形態と同じくほぼ鉛直に延在しているが、この態様には必ずしも限られない。
【0119】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0120】
本実施の形態において、基部機構体60が後端位置にあるときには、第1のストッパ部材81Dは第2のストッパ部材82Dから離れた位置にあり、アーム62の角度によらず第1のストッパ部材81Dは第2のストッパ部材82Dと干渉することがなく、アーム62の可動域がストッパ機構80Dによって制限されることはない。
【0121】
その後、荷受台5の格納動作時にアーム62が動作切換角度に達すると、アーム62が動作切換角度で油圧的に保持された状態で基部機構体60が格納位置に向かって前進する(図15中の(i)の状態)。そして、基部機構体60が格納位置に到達すると、第1のストッパ部材81Dの接触面104が第2のストッパ部材82Dの座部88Dに対して僅かな間隙を介して対向する(同図中の(ii)の状態)。基部機構体60が格納位置に到達すると接触面106が座部88Dに丁度接触する構成としても良い。
【0122】
基部機構体60が格納位置に到達したら、荷受台昇降装置4の動作が基部機構体60の前進から再びアーム62の上昇動作に切り換わり、アーム62を上昇させて荷受台5を格納姿勢に移行させる(同図中の(iii)の状態)。
【0123】
本実施の形態においても、荷受台5が格納姿勢に移行すると、第1のストッパ部材81Dの接触面106と第2のストッパ部材82Dの座部88Dとが対向することにより、仮にリフトシリンダ20に圧油のリークが発生した場合等には、アーム62に伴って第1のストッパ部材81Dが回動し、第1のストッパ部材81Dの接触面106が第2のストッパ部材82Dの座部88Dに接触することで、アーム62の下降域を上記下限角度で規制することができる(同図中の(iv)の状態)。
【0124】
したがって、本実施の形態においても、格納動作時において格納姿勢に至るまでの荷受台5の高さ位置のばらつきを広く許容することができるとともに、折り畳んだ荷受台5の上面やアーム62の上側にストッパ機構80Dの構成要素が突出することもない。
【0125】
なお、本実施の形態における第2のストッパ部材82Dから第1のストッパ部材81Dが離れる間のアーム62の下降量は、アーム62が下限角度のときの接触面104が、コンプレッションアーム19と平行になるまでの角度を限度として大きく荷受台5側(後方)に傾斜している程大きく採ることができる。
【0126】
また、本実施の形態の場合、第2の実施の形態と同様、構成が簡素であることも大きなメリットである。
【0127】
<第6の実施の形態>
図16は本発明の第6の実施の形態に係る荷受台昇降装置に備えられたストッパ機構の動作説明図であり、図11に対応する図である。本図においても、既述の部材と同様の部材については既出図面と同符号を付して説明を省略し、上述した実施の形態と異なる構成及び効果を中心に説明する。
【0128】
本実施の形態のストッパ機構80Eにも第1のストッパ部材81Eと第2のストッパ部材82Eが備わっている。第1のストッパ部材81Eは、リフトアーム18に対して固定関係にある支持部材107と、基部機構体60(本実施の形態ではブラケット部11(図2、図7等参照))に対して出入可能に取り付けた軸108とを有している。
【0129】
支持部材107は、アーム62が下限角度のときに下方に延びる接触面109を有している。接触面109は、アーム62が下限角度にあるときに下向きに延びていれば良く、正確に鉛直下向きに延在している必要はない。例えば、鉛直下向きの姿勢から、若干前方又は後方に傾斜した姿勢となるようにしても良い。
【0130】
軸108は、角パイプ等で形成された中空のブラケット11に対して前後に貫通するように設けられていて、当該軸108を通してブラケット部11の内部に接地したバネ110によって第2のストッパ部材82E側(前方)に付勢されており、基部機構体60が格納位置から離れているときにはブラケット部11から第2のストッパ部材82E側(前方)に突出した姿勢を採る。
【0131】
一方の第2のストッパ部材82Eは、ガイドレール8の前面に取り付けた支持部材87Eと、これに設けた突出部111とを有している。
【0132】
その他の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0133】
本実施の形態において、基部機構体60が後端位置にあるときには、第1のストッパ部材81Eの軸108は第2のストッパ部材82Dに拘束されていないため、アーム62の角度によらず支持部材107も拘束されることがなく、アーム62の可動域がストッパ機構80Eによって制限されることはない。
【0134】
その後、荷受台5の格納動作時にアーム62が動作切換角度に達すると、アーム62が動作切換角度で油圧的に保持された状態で基部機構体60が格納位置に向かって前進する(図16中の(i)の状態)。そして、基部機構体60が前進する過程で第1のストッパ部材81Eの軸108が第2のストッパ部材82Eの突出部111に接触すると、ブラケット部11から荷受台5側(後方)に押し出される。基部機構体60が格納位置に到達すると、押し出された軸108が第1のストッパ部材81Dの支持部材107の接触面109に対して僅かな間隙を介して対向する(同図中の(ii)の状態)。基部機構体60が格納位置に到達すると軸108が接触面109に丁度接触する構成としても良い。
【0135】
基部機構体60が格納位置に到達したら、荷受台昇降装置4の動作が基部機構体60の前進から再びアーム62の上昇動作に切り換わり、アーム62を上昇させて荷受台5を格納姿勢に移行させる(同図中の(iii)の状態)。
【0136】
本実施の形態においても、荷受台5が格納姿勢に移行すると、第2のストッパ部材82Eで拘束された軸108が第1のストッパ部材81Eの支持部材107と対向することにより、仮にリフトシリンダ20に圧油のリークが発生した場合等には、アーム62に伴って支持部材107が回動し軸110に接触することで、アーム62の下降域を上記下限角度で規制することができる(同図中の(iv)の状態)。
【0137】
また、本実施の形態においても、基部機構体60が格納位置に達すると第1のストッパ部材81Eの軸108が拘束状態で支持部材107に対向し、アーム62の上下の可動域のうち下降域のみがストッパ機構80Eによって下限角度で規制される構成である。すなわち、格納動作時において格納姿勢に至るまでの荷受台5の高さ位置のばらつきを広く許容することができるとともに、折り畳んだ荷受台5の上面やアーム62の上側にストッパ機構80Eの構成要素が突出することもない。
【0138】
さらには、第1のストッパ部材81Eの支持部材107を拘束する軸108が前後に移動する構成であるため、リフトシリンダ20の圧油のリーク等が生じても、格納動作時に基部機構体60が格納位置から後退し始めると、第2のストッパ部材82Eから基部機構体60が離れるにつれて軸108がブラケット部11に押し込まれ、これに伴って変位する支持部材107とともにアーム62が下降する。第2のストッパ部材82Eから軸108が完全に離れるまでの間は、第1のストッパ部材82Eと第2のストッパ部材82Eとの間に拘束力が存在するため、この間はストッパ機構80Eで支持しつつアーム62の下降動作を許容することになる。したがって、同様に荷受台5の急下降を抑制することができる。
【0139】
なお、本実施形態では、ゲートセンサ56と格納センサ16の2種のセンサが配された構成としたが、ゲートセンサ56を用いない構成にも用いることができる。例えば、作業者の目視によってスライド可能な位置まで上昇された荷受台5が格納センサ16で検知される構成でも良い。また、荷受台を車枠の下部に格納する荷受台昇降装置を適用対象とするが、この種の荷受台昇降装置には、車枠の下部に格納する格納姿勢の他、荷受台を荷台の後部に起立させた格納姿勢を選択することができるものも存在する。本実施形態は、このような複数の格納姿勢を採用する種の荷受台昇降装置であっても、荷受台を車枠の下部に格納する際に適用することができ、同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0140】
4 荷受台昇降装置
5 荷受台
8 ガイドレール
14 スライドシリンダ
16 格納センサ
17 チルトアーム
18 リフトアーム
19 コンプレッションアーム
20 リフトシリンダ
45 制御装置
56 ゲートセンサ
60 基部機構体
62 アーム
80,80A−E ストッパ機構
81,81A−E 第1のストッパ部材
82,82A−E 第2のストッパ部材
85 係止部
89,90 接触面
95,96 接触面
100,102 接触面
104 接触面
107 支持部材
108 軸
109 接触面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台に対する荷物の積み下ろし作業を支援する荷受台昇降装置において、
前記車両の下部に取り付けたガイドレールと、
このガイドレールに沿って走行する基部機構体と、
この基部機構体に連結されたアームと、
このアームに連結された荷受台と、
前記荷受台を前記車両の下部に引き込んだ格納位置に前記基部機構体があるときの前記アームの可動域の上下の制限角度のうちの下限角度のみを規制するストッパ機構と
を備えたことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
請求項1の荷受台昇降装置において、
前記アームを駆動して前記荷受台を昇降させるリフトシリンダと、
前記基部機構体を前記ガイドレールに沿って移動させるスライドシリンダと、
格納動作時における前記荷受台の角度を検出するゲートセンサと、
前記基部機構体が前記格納位置にあることを検出する格納センサと、
前記リフトシリンダ及び前記スライドシリンダを制御する制御装置とを備え、
前記制御装置が、前記荷受台の格納動作時、前記リフトシリンダを駆動して前記アームを上げ、前記ゲートセンサからの信号を基に前記アームが動作切換角度になったことを検知したら前記リフトシリンダを停止させるとともに前記スライドシリンダを駆動して前記基部機構体を移動させ、前記格納センサからの信号を基に前記基部機構体が前記格納位置に到達したことを検知したら前記スライドシリンダを停止させるとともに前記リフトシリンダを再度駆動して前記アームを格納角度まで上げて前記荷受台を格納姿勢に移行させ、
前記基部機構体が前記格納位置にあるときに前記ストッパ機構で規制される前記アームの前記下限角度は、前記動作切換角度かそれよりも低角度である
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項1又は2の荷受台昇降装置において、
前記ストッパ機構は、
前記アーム又は前記基部機構体に回動自在に連結した第1のストッパ部材と、
前記車両に対して固定関係にある第2のストッパ部材と
を備えていることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項4】
請求項3の荷受台昇降装置において、
前記第1のストッパ部材は、前記アーム又は前記基部機構体に対して回動自在であり、前記基部機構体が前記格納位置に向かう間に前記第2のストッパ部材に接触してその回動方向の一方側に回動し、前記基部機構体が前記格納位置に到達した際に、前記アームと係止する係止部が前記アームの可動域の下側の制限角度を前記下限角度に規制する位置まで上昇するものであって、
前記基部機構体が前記格納位置から移動する際、前記第2のストッパ部材から前記基部機構体が離れるにつれてその回動方向の他方側に回動し、前記係止部が下降し前記アームが下降する
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項5】
請求項3の荷受台昇降装置において、
前記第1のストッパ部材は、前記アームに対して固定されており、
前記第2のストッパ部材は、前記第1のストッパ部材との接触面が、前記基部機構体の引き出し方向に向かって上側に傾斜していて、
前記第1のストッパ部材を介して前記第2のストッパ部材に前記アームの荷重がかかった状態で前記基部機構体を前記格納位置から移動させると、前記第2のストッパ部材に対する前記第1のストッパ部材の接触部が前記第2のストッパ部材の接触面に沿って上昇し前記アームが下降する
ことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項6】
請求項3の荷受台昇降装置において、
前記第1のストッパ部材は、前記アームに対して固定関係にある支持部材と、前記基部機構体に対して出入可能に取り付けた軸とを有していて、前記基部機構体が前記格納位置に向かう間に前記第2のストッパ部材によって前記軸が押し出され、前記基部機構体が前記格納位置に到達した際に、前記アームが前記下限角度にあれば前記支持部材と接触する位置まで突き出るものであって、
前記第1のストッパ部材を介して前記第2のストッパ部材に前記アームの荷重がかかった状態で前記基部機構体を前記格納位置から移動させると、前記第2のストッパ部材から前記基部機構体が離れるにつれて前記軸が前記基部機構体に押し込まれ、これに伴って変位する前記支持部材とともに前記アームが下降する
ことを特徴とする荷受台昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−254657(P2012−254657A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−127441(P2011−127441)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)