説明

荷受台昇降装置

【課題】電源を切り忘れた場合でも、不測に動作指令がなされることを抑制することができる荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】車両の荷台3に対する荷物の積み降ろしを支援する荷受台昇降装置100において、荷物を載せる荷受台30と、この荷受台30を昇降させるリフト駆動装置40と、格納姿勢の荷受台30を機械的に拘束するロック装置150と、このロック装置150がロック解除位置にあることを検出するロックセンサ167と、ロック装置150がロック位置にある場合にリフト駆動装置40の動作を不能にするコントローラ90とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の荷台に対する荷物の積み降ろし作業を支援する荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷受台昇降装置とは、車両の荷台入口付近で荷受台を昇降させ、車両の荷台に対する荷物や作業者の積み降ろし作業を支援するものであり、不使用時には荷受台を所定の格納姿勢に移行させる。この種の荷受台昇降装置には、格納姿勢にある荷受台を格納姿勢で拘束するロック装置を備え、例えば荷受台昇降装置を作動させる油圧機器に圧油のリークが生じた場合でも荷受台が変位しないようにしたものがある(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−203906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、荷受台昇降装置の操作系統の電源を切り忘れた場合等、例えば荷受台昇降装置の操作手段に積荷や作業者が接触する、又は荷受台昇降装置の電気系統に短絡が生じる等、何らかの外的要因によって不測の動作指令が荷受台昇降装置の制御系統に入力されないとも限らない。これに対し、例えば上記特許文献1の荷受台昇降装置では、ロック装置で荷受台を拘束しておくことによって、不測に動作が指令されても荷受台昇降装置の動きを拘束し得る。
【0005】
しかしながら、このような動作はそもそもエネルギーの浪費であり、また、機械的に動作を拘束された状態であるため、荷受台昇降装置の可動部や油圧回路にかかる負荷も大きい。さらには、ロック装置が損傷する、また、確実にロック装置がロックされていない等の状況も起こり得ないとは言い切れず、電源の切り忘れによる不測の動作の防止策にはまだ改善の余地がある。
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みなされたもので、電源を切り忘れた場合でも、不測に動作指令がなされることを抑制することができる荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、車両の荷台に対する荷物の積み降ろしを支援する荷受台昇降装置において、荷物を載せる荷受台と、この荷受台を昇降させるリフト駆動装置と、格納姿勢の前記荷受台を機械的に拘束するロック装置と、このロック装置がロック位置又はロック解除位置にあることを検出するロックセンサと、このロックセンサによって前記ロック装置がロック位置にあることが検出された場合に前記リフト駆動装置の動作を不能にする制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
第2の発明は、第1の発明において、前記制御手段は、電力供給を停止することによって前記リフト駆動装置の動作を不能にすることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、前記荷受台を傾動させる傾動駆動装置をさらに備え、前記制御装置は、前記ロックセンサによって前記ロック装置がロック位置にあることが検出された場合に前記リフト駆動装置とともに前記傾動駆動装置の動作を不能にすることを特徴とする。
【0010】
第4の発明は、第1−第3のいずれかの発明において、前記ロック装置は、ロック解除位置で前記車両の荷台の開閉扉に干渉することを特徴とする。
【0011】
第5の発明は、第1−第4のいずれかの発明において、前記ロック装置がロック解除位置にあることを報知する報知装置を備えたことを特徴とする。
【0012】
第6の発明は、第1−第5のいずれかの発明において、前記車両に取り付けたベースユニットと、このベースユニットに対して上下に回動可能に連結されたアームユニットとをさらに備えており、前記荷受台は、このアームユニットに対して傾動可能に連結されており、荷受台本体及びこの荷受台本体に立設した背凭れでL字状に形成され、L字のコーナー部分で前記アームユニットに軸支されていて、前記傾動シリンダによって前記荷受台本体を水平にした起立位置、及び前記背凭れを寝かせた倒伏位置の間で回動変位可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電源を切り忘れた場合でも、不測に動作指令がなされることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図であり、展開姿勢、格納姿勢及び中間姿勢の状態の荷受台昇降装置を併せて図示した図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図であり、荷受台が展開姿勢にある状態を表す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図であり、荷受台が接地してガイドローラに凭れた状態を表す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図であり、荷受台が地面から離れてガイドローラに支持されている状態を表す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の斜視図であり、荷受台が格納姿勢にある状態を表す図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた荷受台の斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられたロック装置をベースユニットとともに表す側面図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられたロック装置をベースユニットとともに表すである。
【図9】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた操作レバーの近傍の構成を表す拡大透視図である。
【図10】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられたリフト駆動装置及び傾動駆動装置の油圧駆動装置の回路図である。
【図11】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置の制御手段に備えられたリレー回路の回路図である。
【図12】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御手段による荷受台の展開動作の制御手順を表す模式図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御手段による荷受台の展開動作時の指令信号の入り切りのタイミングチャートである。
【図14】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御手段による荷受台の格納動作の制御手順を表す模式図である。
【図15】本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置に備えられた制御手段による荷受台の格納動作時の指令信号の入り切りのタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は本発明の第1実施形態に係る荷受台昇降装置を搭載した車両の全体構造を表す側面図であり、展開姿勢、格納姿勢及び中間姿勢の状態の荷受台昇降装置を併せて図示してある。本実施形態で例示する荷受台昇降装置はいわゆる小型車両・中型車両・大型車両のいずれにも適用可能であるが、図1では小型車両(バン型車両)に搭載した場合を例示している。また、以下の説明において図1中の左右を前後とする。
【0017】
図1に示した車両は、シャシフレーム(車枠)1の前部に設けた運転室2、シャシフレーム1上に設けた荷台(荷箱)3、及び荷台3内の後部に設けた荷受台昇降装置100を備えている。荷受台昇降装置100は、図のようにL字状の荷受台(プラットフォーム)30を荷台3の後方外部で起立した姿勢(「展開姿勢」という)から徐々に寝かせていって最終的に荷台3の内部に倒伏して収まった姿勢(「格納姿勢」という)に姿勢変位させることにより、長尺の荷物を縦置きの状態で荷受台30に積み込み、寝かせた状態で荷台3内に収容する。荷物を荷台3から降ろす際は格納姿勢から展開姿勢に荷受台30を姿勢変位させる。また、格納姿勢にあるとき荷受台昇降装置100は荷台3の内部に完全に納まり、後述するロック装置150をロックした状態とすれば、荷台3の開閉扉4を閉めても開閉扉4に干渉することはない。
【0018】
図2−図5は荷受台昇降装置100の斜視図であり、図2は荷受台30が展開姿勢にある状態、図3は荷受台30が接地してガイドローラ14(後述)に凭れた状態、図4は荷受台30が地面から離れてガイドローラ14に支持されている状態、図5は荷受台30が格納姿勢にある状態をそれぞれ表している。
【0019】
図2−図5に示したように、荷受台昇降装置100は、荷台3の床面に取り付けるベースユニット10と、このベースユニット10に取り付けられた左右のアームユニット20と、アームユニット20の先端部に取り付けた上記の荷受台30と、荷受台30を昇降させるリフト駆動装置40と、荷受台30を傾動させる傾動駆動装置50とを備えている。
【0020】
ベースユニット10は、荷台3の床面に当該ベースユニット10を取り付ける取り付け部11と、取り付け部11の前部に接続した縦根太12と、縦根太12の前部に接続したストッパ部材13とを備えている。取り付け部11は左右に延びる板状の部材で、荷台3の床面の後端付近にボルト等で固定されている。縦根太12は左右一対の梁状の部材であり、取り付け部11から前方に延在している。ストッパ部材13は、荷受台30の荷受台本体31(後述)との間に荷物の収容空間を画定する部材であり、図5に示したように、格納姿勢にある荷受台30の荷受台本体31の前方に対面するように、縦根太12の前端部に溶接等の手段で接合されて荷台3の内部に立設している。ストッパ部材13の前後位置、すなわち縦根太12の長さは、格納姿勢時の荷受台30の前端部にストッパ部材13の後面が当接若しくは近接する程度に設定されている。また、当該ベースユニット10の後端部、具体的には取り付け部11の後部には、格納姿勢又は展開姿勢に姿勢変位する荷受台30の背凭れ32(後述)をガイドするガイドローラ14が備えてられている。ガイドローラ14は、取り付け部11の後部に突設したブラケット15によって軸を水平にして回転自在に支持されており、本実施形態では左右2箇所に設置されていて、荷台3の開閉扉4を閉じても開閉扉4に接触しないように配置されている。
【0021】
なお、図の煩雑防止のため図2−図5では図示していないが、このベースユニット10には、格納姿勢の荷受台32を拘束するロック装置150が備えられている。ロック装置150については図7−図9を用いて後で説明する。
【0022】
アームユニット20は、ベースユニット10に取り付けられた平行リンクアーム21と、この平行リンクアーム21の先端部にそれぞれ連結された支持アーム22とを備えている。平行リンクアーム21は、第1リンクアーム28及び第2リンクアーム29を有している。これらリンクアーム28,29の基端側は、ベースユニット10の取り付け部11上の左右両側に配置された基部ブラケット23にそれぞれピン24,25を介して連結されており、先端側は、上記支持アーム22の上部(基端部)にそれぞれピン26,27を介して連結されている。支持アーム22は、平行リンクアーム21との連結部から下方に延在している。平行リンクアーム21のピン24−27を結んで描かれる形状は平行四辺形状であり、文字通り平行リンクアーム21は平行リンクを構成し、荷台3の内部から後方に突出した位置(以下「下降位置」という)及び荷台3の内部で荷台3の床面から起立した位置(以下「上昇位置」という)の間で回動可能である。
【0023】
また、第2リンクアーム29におけるピン25,27の間にはピン41が設けられていて、このピン41と第1リンクアーム28の先端の上記ピン26とに上記のリフト駆動装置40の両端がそれぞれ連結されている。この平行リンクアーム21に設けたリフト駆動装置40には、電動又は油圧のシリンダ(本実施形態では複動式の油圧シリンダ)が用いられるが、電動又は油圧のモータを適用することもできる。リフト駆動装置40の伸縮動作に伴って平行リンクアーム21が上記下降位置及び上昇位置の間で回動変位し、具体的にはリフト駆動装置40が伸長することで起立する方向(上昇位置方向)に、縮むことで後方(下降位置方向)に平行リンクアーム21が回動変位する。このとき、上記の通り平行リンクアーム21は平行リンクであるため、平行リンクアーム21が回動することによって、支持アーム22は上下に延びた姿勢を保ったまま弧状の軌跡を描いて上下動する(図1も併せて参照)。
【0024】
荷受台30は、荷受台本体31、及び荷受台本体31の前部に立設した背凭れ32でL字状に形成されている。荷受台本体31、背凭れ32ともほぼ同幅の板状の部材であり、筋交35によって強度が高められている。荷受台30のL字のコーナー部分(荷受台本体31と背凭れ32の境界部近傍)には回転軸33が左右に突出しており、この回転軸33が左右の支持アーム22の下端部(先端部)に貫通している。これによって荷受台30は、L字のコーナー部分で支持アーム22に軸支され、図2のように荷受台本体31を水平にした位置(以下「起立位置」という)、及び図5のように背凭れ32を寝かせた位置(以下「倒伏位置」という)の間で回動変位可能となっている。なお、倒伏位置を定義する背凭れ32を「寝かせた位置」とは、ここでは車両が走行する際の荷台3内における荷物の収納姿勢まで背凭れ32を寝かせた位置を意味し、通常は背凭れ32が水平になる位置を倒伏位置とするが、例えば内部に液体を貯留していて完全に水平に寝かせられない事情を有する荷物を積載する場合等に、背凭れ32が斜めになった姿勢も含み得る。
【0025】
また、背凭れ32の背面の上下方向の中間位置には、ブラケット34が左右に設けられていて、左右両側においてブラケット34と支持アーム22とに上記の傾動駆動装置50の両端がそれぞれピン51,52を介して連結されている。ピン52は支持アーム22の下部における回転軸33の前寄りの位置に貫通している。傾動駆動装置50には、電動又は油圧のシリンダ(本実施形態では複動式の油圧シリンダ)が用いられるが、電動又は油圧のモータを適用することもできる。傾動駆動装置50の伸縮動作に伴って荷受台30が回転軸33を中心に傾動し、具体的には傾動駆動装置50が伸長することで起立する方向に、縮むことで倒伏する方向に荷受台30が回動変位する。
【0026】
ここで、図2−図5では図示していないが、荷受台30に対して着脱可能な荷物固定用の固定装置36,37(図6)や、格納姿勢の荷受台30を機械的に拘束するロック装置150(図7−図9)が備えられている。
【0027】
図6は荷受台30とともに固定装置36,37を図示した斜視図である。この図では、筋交35や回転軸33、ブラケット34は図示省略している。
【0028】
図6に示したように、荷受台30には固定装置36,37を固定するための取り付け穴38が多数設けられている。本実施形態においては、背凭れ32に取り付け穴38を規則的に配列した場合を例示しているが、取り付け穴38の穿設位置や配列は特に限定されず、例えば荷受台本体部31にも取り付け穴38を設けることができる。固定装置36,37は、オプションであり、これら取り付け穴38に対してボルト及びナットで固定される。固定装置36,37の構成は特に限定されないが、荷受台30に搭載する荷物の固定姿勢等を考慮して決定される。例えば、荷受台30の格納動作時には荷物が傾動するので、この傾動動作中及び倒伏後の姿勢において荷物ががたつかないように、例えば背凭れ32と荷物との間の間隙を埋めて荷物を拘束するように固定装置36,37は適宜形成される。したがって、固定装置36,37を用いる場合、荷受台30が格納姿勢に移行したら、荷物は固定装置36,37を介して背凭れ32に支持される。特に図示していないが、固定装置36,37の固定に用いたもの以外の取り付け穴38は、ロープやバンド等の固縛手段の固定に使用することができ、固定装置36,37にセットした状態の荷物を固縛手段によって固定することができる。なお、本実施形態では2つ1組の固定装置36,37を例示しているが、固定装置の数は荷物の形状等に応じて変わり得る。
【0029】
なお、図2−図5には図示していないが、本実施形態において、荷受台30には、背凭れ32に係止部39が設けられている。係止部39の構成は後述するロック装置150のフック152(図7等参照)が掛かるものであれば特に限定されないが、本実施形態においては、背凭れ32の上端部の左右両側の角部が切り欠かれていて、これら切り欠き部に左右方向に伸びるピンを設けることで、これを係止部39としている。
【0030】
図7はベースユニット10とともにロック装置150の構成を表す側面図、図8はその平面図である。図7及び図8では図中の右左を前後としてある。
【0031】
図7及び図8に示したように、ロック装置150は、操作レバー151と、荷受台30の係止部39に係止するフック152と、操作レバー151の操作をフック152の動作に変換するリンク機構153とを備えている。
【0032】
操作レバー151は、ベースユニット10の取り付け部11の左右片側(本実施形態では右側)の端部に設けたボックス154に対し、左右方向に伸びる軸155を介して前後に回動するように設けられている。この操作レバー151は荷受台昇降装置100の後部に位置しているため、車両の荷台3の開閉扉4を開ければ無理なく作業者が手を掛けることができ、起立した位置(以下「ロック位置」という)にあるときには開閉扉4の可動領域に干渉しないが、後方に寝かせた位置(以下「ロック解除位置」という)にあるときにはガイドローラ14よりも後方に長さL(図7参照)だけ突出し開閉扉4の可動領域に干渉する。このようにロック解除位置にある操作レバー151を干渉させて開閉扉4を閉じられなくすることにより、開閉扉4を閉じることができない場合にロック装置150がロックされていない(ロック位置にない)ことが作業者に判るようになっている。
【0033】
なお、本実施形態では、ロック位置にあるときにロック装置150の操作レバー151が開閉扉4に干渉する構成としたが、開閉扉4に干渉させる部位は操作レバー151に限定されず、他の部位が開閉扉4に干渉する構成でも良いし、ロック位置にあるときに開閉扉4に干渉させるためだけに専用の部材を別途設けても良い。例えば、棒状で操作レバー151よりも長い当て部材を操作レバー151と平行に軸155に別途取り付け、操作レバー151をロック位置に操作したときに当て部材が操作レバー151よりも後方に突出するようにして、ロック位置にあるときには操作レバー151ではなく当て部材が開閉扉4に干渉する構成とすることが考えられる。この場合には、操作レバー151が開閉扉4に干渉しないので、ロック装置150を機能させる上で不可欠な部材である操作レバー151が開閉扉4との干渉によって損傷することを防止することができる。
【0034】
リンク機構153は、複数のリンクアーム156−162を備えている。リンクアーム156は、軸155から操作レバー151と反対側に伸びており、リンクアーム157の一端に連結している。リンクアーム157の他端には、軸163に固定されたリンクアーム158に連結されている。軸163はボックス154の前部に設けた支持部材164及び取り付け部11に設けた支持部材165によって左右に延在する姿勢で回転自在に支持されている。軸163にはリンクアーム159を介してリンクアーム160が連結されており、さらにリンクアーム160には前後方向に延在するリンクアーム161の一端が連結されている。このリンクアーム161の他端は、軸166に固定されたリンクアーム162に連結されている。軸166は左右の縦根太12の前端部近傍を貫通して左右方向に延び、縦根太12に対して回転自在に支持されている。
【0035】
上記フック152は、軸166に対して固定されている。フック152は左右に設けられていて、左側のフック152は左側の縦根太12の左側に、右側のフック152は右側の縦根太12の右側に位置している。そして、操作レバー151がロック位置(図7中の実線参照)からロック解除位置(図7中の一点鎖線参照)に倒伏すると、軸155、リンクアーム156−158、軸163、リンクアーム159−162及び軸166を介して操作レバー151の動きがフック162に伝達され、フック152が格納姿勢の荷受台30の係止部39(係止部39のみ図7に図示)に掛かり得るロック位置(図7中の実線参照)から係止部39を解放するロック解除位置(図7中の一点鎖線参照)に起立する。反対に、操作レバー151をロック解除位置からロック位置に起立させると、フック152はロック解除位置からロック位置に倒伏する。
【0036】
図9は操作レバー151の近傍の構成を表す拡大透視図である。
【0037】
図9に示したように、ボックス154の内壁にはロック装置150がロック位置又はロック解除位置にあることを検出するロックセンサ167が取り付けられている。ロックセンサ167には各種センサが適用可能であるが、本実施形態ではリミットスイッチを用いており、操作レバー151がロック解除位置に移行すると、操作レバー151と同方向に伸びるリンクアーム156に接触することによってリミットスイッチが入り、ロック装置150がロック解除位置にあることが検出されるようになっている。このロックセンサ167の検出信号は後述するコントローラ90に出力される。詳細は後述するが、このロックセンサ167からの信号を基にロック装置150がロック位置にあると判断された場合には、コントローラ90によってリフト駆動装置40及び傾動駆動装置50の動作が不能にされる。
【0038】
なお、本実施形態ではリンクアーム156の姿勢変位をロックセンサ167で検出する構成としたが、直接操作レバー151の変位を検出する構成でも良いし、他のリンクアーム157−162やフック152の姿勢変位、又は軸155,163,166の回転角等を検出することでロック装置150がロック位置又はロック解除位置にあることを検出することができる。
【0039】
図10は荷受台昇降装置100に備えられたリフト駆動装置40及び傾動駆動装置50の油圧駆動装置の回路図である。
【0040】
図10の油圧駆動装置は、作動油を貯留するタンク61と、フィルタを介してタンク61の作動油を吸い上げて吐出する油圧ポンプ62と、この油圧ポンプ62を駆動する駆動装置(例えば電動モータ)60と、油圧ポンプ62の吐出管路63に並列に接続された上記のリフト駆動装置40及び傾動駆動装置50と、リフト駆動装置40及び傾動駆動装置50に対する作動油の流れを制御する3位置切換式のコントロールバルブ64,65とを備えている。
【0041】
コントロールバルブ64と左右のリフト駆動装置40のボトム側油室とを接続する作動油管路66には可変絞り型の絞り弁ユニット67が設けられていて、リフト駆動装置40のボトム側油室に供給する作動油、及び同油室から排出される作動油の流量が当該絞り弁ユニット67によって絞られる。また、コントロールバルブ65と左右の傾動駆動装置50のボトム側及びロッド側の油室とを接続する作動油管路68,69にも、可変絞り型の絞り弁ユニット70,71がそれぞれ設けられており、傾動駆動装置50のボトム側油室から排出される作動油、及びロッド側油室から排出される作動油の流量がそれぞれ絞り弁ユニット70,71によって絞られる。傾動駆動装置50の作動油管路68,69はバイパス管路72で接続されており、このバイパス管路72に設けた切換弁73を開くことで傾動駆動装置50はフリーの状態になる。
【0042】
また、吐出管路63は、コントロールバルブ64,65とタンク61とを接続する戻り管路74にリリーフ管路75,76を介して接続されている。一方のリリーフ管路75には回路保護用のリリーフ弁77が設けられていて、他方の低圧リリーフ管路76には低圧リリーフ弁78及び切換弁79が設けられている。低圧リリーフ弁78のリリーフ圧はリリーフ弁77のそれよりも低く設定されていて、切換弁79が開くことにより吐出管路63のリリーフ圧が低圧リリーフ弁78のリリーフ圧に低下する。
【0043】
さらに、吐出管路63は、補助管路80を介してタンク61に接続しており、この補助管路80にはハンドポンプ81が設けられている。ハンドポンプ81を人力で駆動させることで、油圧ポンプ62が使用できない場合でも油圧駆動装置を駆動させることができる。
【0044】
そして、コントロールバルブ64,65及び切換弁73,79は、荷受台昇降装置100に備えられたコントローラ(制御手段)90からの指令信号により切り換え制御される。このとき、特に図示していないが、荷受台昇降装置100には、平行リンクアーム21が上昇位置にないことを検出するアームセンサ、荷受台30の背凭れ32がガイドローラ14に接していることを検出するローラセンサ、及び荷受台30が地面に接地していることを検出する接地センサが設けられていて、アームセンサからの検出信号Sarm、接地センサからの検出信号Sgrd、ローラセンサからの検出信号Srolは、それぞれコントローラ90に入力される。コントローラ90は、後述する格納スイッチ97や展開スイッチ98からの操作信号を入力して荷受台30の格納動作又は展開動作を開始したら、動作中に入力される検出信号Sarm,Sgrd,Srolをトリガにしてコントロールバルブ64,65及び切換弁73,79への指令信号Ssol1−Ssol6を適宜出力する。これによって、コントローラ90は、リフト駆動装置40及び傾動駆動装置50を連動制御して荷受台30を展開姿勢と格納姿勢との間で姿勢変位させる。
【0045】
指令信号Ssol1−Ssol6と、出力先/結果的動作の対応関係は次の通りである。
【0046】
Ssol1:コントロールバルブ64/リフト駆動装置40が伸長
Ssol2:コントロールバルブ64/リフト駆動装置40が縮退
Ssol3:コントロールバルブ65/傾動駆動装置50が伸長
Ssol4:コントロールバルブ65/傾動駆動装置50が縮退
Ssol5:切換弁79/リリーフ圧が低下
Ssol6:切換弁73/傾動駆動装置50がフリーになる
また、アームセンサとしては、例えば平行リンクアーム21のピン24−27のいずれかに設けた角度センサ、平行リンクアーム21と支持アーム22との距離を検出する近接センサ(距離センサ)等を用いることができる。接地センサとしては、荷受台30のコーナー部に地面との距離を検出する近接センサ(距離センサ)や、荷受台30のコーナー部が接地すると入るリミットスイッチ、平行リンクアーム21のピン24−27のいずれかに設けた角度センサ(アーム角度で荷受台30の高さを算出)等を用いることができる。ローラセンサとしては、ガイドローラと荷受台30の背凭れ32との距離を検出する近接センサ(距離センサ)、ガイドローラ14の支持部に設けた(ガイドローラ14に荷重がかかると入状態になる)リミットスイッチ等を用いることができる。
【0047】
図11はコントローラ90に備えられたリレー回路の回路図である。
【0048】
図11に示すリレー回路は、前述した駆動装置60及びロックセンサ167の他、上記アームセンサ、接地センサ及びローラセンサの検出信号が入ったらそれぞれ接点を閉じる接点91−93、荷受台昇降装置100の主電源スイッチ94、主電源が入っていることを報知音で報知するブザー(放置装置)95、ロックセンサ167が切れている(ロック装置150がロック解除位置にある)ことを報知音で報知するブザー(報知装置)96、格納動作を指示する格納スイッチ97、展開動作を指示する展開スイッチ98、リレーコイルR1〜R4,T1,T2,CT、及びこれらリレーコイルR1〜R4,T1,T2,CTが励磁されるとそれぞれ作動するリレー接点R1’〜R4’,T1’,T2’,CT’を備えている。
【0049】
上記リレー接点R2’は3つ存在するが、そのうちの2つは2接点を有する重複型の接点であり、リレーコイルR2が励磁されると2接点のいずれを選択的に入り状態とする。またリレーコイルT1,T2はオンディレータイマのコイルであり、励磁状態が設定時間継続すると励磁開始から設定時間経過後に対応するオンディレータイマ接点T1’,T2’が作動する。なお、主電源スイッチ94やブザー95は運転室2内に、格納スイッチ97及び展開スイッチ98は例えば荷台3内のリモコン等に配置されている。
【0050】
次に上記構成の荷受台昇降装置100の動作及び作用効果を順次説明する。
【0051】
1.展開動作
図12はコントローラ90による荷受台30の展開動作の制御手順を表す模式図、図13はコントロールバルブ64,65,73,79への指令信号の入り切りのタイミングチャートである。以下に図10及び図11を参照しつつ図12及び図13を用いて展開動作について説明する。
【0052】
(ステップA)
荷受台昇降装置100を操作するには、まず運転室2内で荷受台昇降装置100の主電源スイッチ94をON(入)にする。主電源が入ると、図11のリレー回路に示したようにブザー95に通電されることによって運転室2内に報知音が出力され、主電源が入っていることが運転室1内に報知される。この報知音は主電源スイッチ94が入っている間継続的に鳴動する。次に、車両の後部に回って荷台3の開閉扉4を開き、ロック装置150の操作レバー151をロック解除位置に倒伏させる。これによりロックセンサ167がONになり、ブザー96に通電されることによって車両後方に報知音が出力され、ロック装置150がロック解除位置にあることが車両の周囲に報知される。この報知音はロック装置150がロック解除位置にある間継続的に鳴動する。この時点では荷受台30は格納姿勢にあり、検出信号Sarm,Sgrd,SrolはいずれもOFF(切)の状態である。
【0053】
次に展開スイッチ98を操作すると、コントローラ90は、指令信号Ssol2,Ssol6をコントロールバルブ64及び切換弁73に出力し、コントロールバルブ64を図10中の左側のポジション、切換弁73を上側のポジションに切り換える。これによってリフト駆動装置40のロッド側油室が油圧ポンプ62の吐出管路63に接続し、傾動駆動装置50のボトム側及びロッド側の作動油管路68,69が接続する。同時に、コンタクタリレーコイルCTが励磁されてコンタクタリレー接点CT’が閉じ、駆動装置60が駆動して油圧ポンプ62が駆動する。これにより、リフト駆動装置40が縮退動作するとともに、傾動駆動装置50がフリー(伸縮自在な状態)となる。その結果、荷受台30が、平行リンクアーム21に吊り上げられて背凭れ32が縦根太12から僅かに浮き上がった後、後方に下降し始める。ステップAが実行されると、平行リンクアーム21が上昇位置から動き出し平行リンクアーム21が上昇位置を脱したことで、直ぐにアームセンサからの検出信号SarmがON(入)になり、ステップBに手順が移行する。なお、図12中では検出信号Sarm,Srol,SgrdのON/OFFをそれぞれ「○」の有無で表示している。後述の図14も同様である。
【0054】
(ステップB)
ステップBでは、アームセンサからの検出信号Sarmが入って接点91が閉じることで、リレーコイルR1が励磁され、対応するリレー接点R1’が作動する。これにより、コントローラ90から切換弁73に指令信号Ssol3が出力され、コントロールバルブ65を図10中の右側のポジションに切り換える。これによって傾動駆動装置50のボトム側及びロッド側の作動油管路68,69がタンク61に接続し、傾動駆動装置50の従動性が増す。指令信号Ssol2,Ssol6は継続して出力される。これによって荷受台30は、平行リンクアーム21の動作に伴って支持アーム22とともに荷台3から繰り出して後方に移動しながら弧状の軌跡を描いて下降する。この下降速度は、絞り弁ユニット67の作用によって緩やかに抑えられる。
【0055】
なお、例えばこのステップB及び次のステップCにおいては、リフト駆動装置40には荷受台30等の自重の作用が加わって縮む方向に付勢力が作用する。したがって、積極的にロッド側油室に作動油を供給しなくても、ボトム側油室がタンク61に接続しているので荷受台30等の自重で展開方向に動作する。したがって、油圧ポンプ62のピストン動作に起因する作動油の脈動により下降動作時に荷受台30に発生し得る微細な振動を抑制するため、荷受台30を下降させる際には油圧ポンプ62の回転数を落とす等して吐出流量を下げ、下降動作の駆動源として荷受台30等の重量が支配的となるようにすることも考えられる。
【0056】
(ステップC)
ステップBの実行後、直ぐに荷受台30の背凭れ32がガイドローラ14に当接する。これによってローラセンサからの検出信号Srolが入って接点93が閉じ、リレーコイルR3,T2が励磁されてリレー接点R3’,T2’が作動するが、展開動作時には指令信号の出力状態は変化しない。指令信号Ssol2,Ssol3,Ssol6の出力状態を維持したまま、さらに支持アーム22が下降するにつれて背凭れ32がガイドローラ14に倣って起立していく。そして、支持アーム22がさらに下降して荷受台30のコーナー部が地面に接地すると、接地センサからの検出信号SgrdがON(入)になり、続くステップDに手順が移行する。
【0057】
(ステップD,E)
ステップDでは、接地センサからの検出信号Sgrdが入って接点92が閉じ、リレーコイルR2,T1が励磁される。これにより、まずリレー接点R2’が作動し、切換弁79に指令信号Ssol5が出力され、切換弁79が図10中の上側のポジションに切り換わる。これにより油圧駆動装置の油圧回路のリリーフ圧が低圧リリーフ弁78による低圧のリリーフ圧に切り換わり、荷受台30と地面との間に過度の押しつけ力が働かないようになる。そして、リレーコイルT1が励磁されて設定時間t1が経過するとオンディレータイマ接点T1’が開き、指令信号Ssol6の出力が停止されることで切換弁73が図10中下側のポジションに復帰する。これによって傾動駆動装置50がフリーの状態を脱して伸長動作を開始し、ガイドローラ14に凭れた姿勢から荷受台30がコーナー部を始点にして展開姿勢(ステップE)に移行する。この間、すなわち接地センサから検出信号Sgrdが入力されている間、コントローラ90は切換弁79を開放してリリーフ圧を下げた状態を維持する。
【0058】
そして、荷受台30が起立位置に達して荷受台30が展開姿勢に移行した後、展開スイッチ98の操作を止めると、コントローラ90は、出力中の指令信号Ssol2,Ssol3,Ssol5を停止して荷受台30の展開動作を終了する。
【0059】
なお、ローラセンサからの検出信号Srolが切れることでリレーコイルR3が励磁されなくなり、リレー接点R3’が作動するが、ステップDの時点では指令信号の出力状態に影響しない。また、ステップDの実行は、例えば予め設定された時間T0に制限され、ステップDの実行開始後設定時間T0が経過したら、コントローラ90は、出力中の指令信号Ssol2,Ssol3,Ssol5を停止して荷受台30の展開動作を終了する。なお、時間T0は、例えば、荷受台30が地面とガイドローラ14に接した状態から荷受台本体31の底面で接地して起立した状態(展開姿勢)に移行するのに要する時間等である。
【0060】
2.格納動作
図14はコントローラ90による荷受台30の格納動作の制御手順を表す模式図、図15はコントロールバルブ64,65,73,79への指令信号の入り切りのタイミングチャートである。以下に図10及び図11を参照しつつ図14及び図15を用いて格納動作について説明する。
【0061】
(ステップF)
この時点では荷受台30は展開姿勢にあり、検出信号Sarm,SgrdがON、検出信号SrolがOFFの状態である。コントローラ90は、格納スイッチ97が操作されると、コントローラ90は、指令信号Ssol4をコントロールバルブ65に出力し、コントロールバルブ65を図10中の左側のポジションに切り換える。これによって傾動駆動装置50のロッド側油室が油圧ポンプ62の吐出管路63に接続する。同時に、コンタクタリレーコイルCTが励磁されてコンタクタリレー接点CT’が閉じ、駆動装置60が駆動して油圧ポンプ62が駆動する。これにより、傾動駆動装置50が縮退動作し、荷受台30がコーナー部で接地した状態で格納方向に回動してガイドローラ14に凭れ掛かる。荷受台30の背凭れ32がガイドローラ14に凭れ掛かってローラセンサの検出信号SrolがONになると、コントローラ90は、手順をステップGに移す。
【0062】
(ステップG−J)
ステップGでは、ローラセンサからの検出信号Srolが入って接点93が閉じ、リレーコイルR3,T2が励磁される。これにより、まずリレー接点R3’が作動し、切換弁73に指令信号Ssol6が出力されて、切換弁73が図10中の上側のポジションに切り換わる。これにより傾動駆動装置50が一旦フリーになって自重でガイドローラ14に荷受台30が立て掛かった状態となる。そして、リレーコイルT2が励磁されて設定時間t2が経過するとオンディレータイマ接点T2’が閉じ、コントロールバルブ64に指令信号Ssol1が出力され、コントロールバルブ64が図10中の右側のポジションに切り換わり、リフト駆動装置40が伸長動作を開始する。同時に、指令信号Ssol6の出力が停止され、切換弁73が下側の遮断位置に復帰することにより、傾動駆動装置50が倒伏側に動作し、荷受台30の背凭れ32がガイドローラ14に押し付けられる。このように、荷受台30は、ガイドローラ14に押し付けられながら上昇していく。
【0063】
この格納動作の進展に伴って接地センサ及びローラセンサからの検出信号Sgrd,Srolが順次OFFになり(ステップH,I)、アームセンサからの検出信号SarmがONになるが(ステップJ)、図11のリレー回路の通り、この間に指令信号の出力状態が切り換わることはなく、指令信号Ssol1,Ssol4の出力が維持される。荷受台本体31よりも長さのある背凭れ32がガイドローラ14に接した状態では、荷受台30の重心はその回動軸33よりも前方にあるため、支持アーム22とともに弧状に上昇する過程で、自重によっても荷受台30はガイドローラ14に倣いつつ格納方向に傾動していく。
【0064】
そして、平行リンクアーム21が上昇姿勢に達して荷受台30が格納姿勢に移行した後、格納スイッチ97の操作を止めると、コントローラ90は、出力中の指令信号Ssol1,Ssol4を停止して荷受台30の格納動作を終了する。格納動作時にも、荷受台30の上昇速度、傾動速度は絞り弁ユニット67,70,71の作用により緩やかに抑えられている。
【0065】
格納動作が完了したら、ロック装置150、ロック装置150の操作レバー151をロック位置に起立させ、荷受台30の背凭れ32をフック152で拘束する。これによりロックセンサ167がOFFになり、ブザー96への電路が遮断されてブザー96の鳴動が停止する。その後、荷台3の開閉扉4を閉じて運転室2に戻り、主電源スイッチ94をOFF(切)にする。主電源が切れると、ブザー95への電路が遮断されてブザー95の鳴動が停止する。
【0066】
続けて本実施形態により得られる作用効果を説明する。
【0067】
(1)上記のように、本実施形態では、ロック装置150を設けたことにより、格納姿勢の荷受台昇降装置100をフック152で機械的に拘束することができる。
【0068】
加えて、本実施形態では、ロックセンサ167によりロック装置150がロック解除位置にあることが検出された場合(ロックセンサ167の信号がONになっている場合)には図11のリレー回路に通電されてリフト駆動装置40や傾動駆動装置50の動作が許容される一方で、ロックセンサ167によってロック装置150がロック位置にあることが検出された場合(ロックセンサ167の信号がOFFになっている場合)には、リレー回路の電路が遮断されてリフト駆動装置40や傾動駆動装置50の動作が不能になる。すなわち、仮に主電源スイッチ94を切り忘れたとしても、格納姿勢においてロック装置150がロックされていればリレー回路の電路が遮断されて荷受台昇降装置100が作動しないので、万一展開スイッチ98や格納スイッチ97が不測に押されてしまったり、荷受台昇降装置の電気系統に短絡が生じたりしても、それに起因してコントローラ90から不測に動作指令(Ssol1−Ssol6)が出力されてしまうようなことを回路的に抑制することができる。したがって、ロック装置150のフック152による機械的安全機構とコントローラ90等による回路的安全機構によって荷受台昇降装置100の不測の動作を二重に抑制することができ、更なる安全性を確保することができる。
【0069】
(2)さらに、ロック装置150のロックが解除された状態では操作レバー151が荷台3の後方に突き出し、荷台3の開閉扉4の可動領域に干渉するようになっているため、荷受台昇降装置100を格納してもロック装置150がロックされていないと開閉扉4を閉じることができない。すなわち、車両を走行させるにあたって必要な開閉扉4を閉じる動作がロック装置150をロックしないと許可されない構成である。この構成によってロック装置150のロックのし忘れを効果的に抑制することができるので、より確実に荷受台昇降装置100の不測の動作を抑制することができる。
【0070】
(3)また、本実施形態では、ロックセンサ167によってロック装置150がロック解除位置にあることが検出されている間(ロックセンサ167の検出信号がONの間)、ブザー96から車両の周囲に報知音を発せられる。すなわち、例えば荷受台昇降装置100を格納した後等、ロック装置150をロックしなければ報知音が止まないため、格納作業をした作業者にロック装置150がまだロックされていないことを知らせ、ロックのし忘れを抑制することができる。
【0071】
また、ロック装置150をロックして開閉扉4を閉め、移動のために運転室2に乗り込んだ時点では、まだ主電源スイッチ94が入った状態にある。それに対し、本実施形態では、主電源スイッチ94が入った状態では運転室2内でブザー95の鳴動が継続するので、主電源スイッチ94の切り忘れも抑制することができる。
【0072】
(4)また、本実施形態によれば、荷受台30が地上で起立した展開姿勢から上昇しながら倒伏して荷台3内で倒伏した格納姿勢に移行するので、長尺の荷物を荷受台30に立てた状態で積み込み、荷受3に寝かせた状態で収容することができる。特に、本実施形態のように車両の荷台3が荷箱である場合、すなわち荷台3に天井がある場合、本実施形態のように荷物を昇降させながら傾斜させることで、荷台3の天井との干渉を回避しながら荷物を荷台3に積み込むことができる。
【0073】
(5)展開動作の開始時(図12のステップA)では、リフト駆動装置40を縮めて荷台3の後方に荷受台30を水平に引き出すことになるが、この間、仮に傾動駆動装置50が伸長方向に作動していると、ステップAからステップBの状態に荷受台30の姿勢が変化する際、荷受台30が倒伏姿勢又は倒伏姿勢から僅かに起立し始めた姿勢にあるうちに当該荷受台30を下側に積極的に押さえつける力が発生してしまう。その結果、必要以上に荷受台30がガイドローラ14に押しつけられてしまい、水平方向への引き出し動作がスムーズに行われなくなる恐れがある。重量物が荷受台30に載置されているときは特に懸念される。
【0074】
それに対し、本実施形態のコントローラ90は、先に図12に示したように、展開動作時に倒伏位置から荷受台30を動かす際、傾動駆動装置50をフリーにする。これによってステップAからステップBの状態に移行する際に傾動駆動装置50によってガイドローラ14に荷受台30が押し付けられることがなく、荷受台30の背凭れ32をガイドローラ14に倣わせて円滑に後方に引き出すことができる。
【0075】
(4)また、本実施形態の場合、バン型車両の荷台3、言い換えれば車両の荷箱に荷受台昇降装置100を搭載した場合を例示している。この場合、格納姿勢で荷台3の開閉扉4を閉めれば、荷受台昇降装置100の周囲が荷台3の壁面及び開閉扉4でカバーされた状態となるので、精密機器等が荷物である場合には精密機器を周囲環境から保護することができ、さらには荷受台昇降装置100自体を保護することもでき、メンテナンスに要する労力も軽減される。
【0076】
なお、以上の実施形態では、ロック装置150がロックされた場合にコントローラ90によって回路的に電力供給を停止することによってリフト駆動装置40及び傾動駆動装置50の動作を不能にする場合を例に挙げて説明したが、例えば格納スイッチ97や展開スイッチ98から操作信号が入力されたとしても、コントローラ90の図示しない演算部においてロック装置150のロックを条件に操作信号を無効と判定し、操作信号に応じて動作指令が出力されない構成とすることもできる。
【0077】
また、上記実施形態において、ロックセンサ167はロック装置150がロック解除位置にあるときに検出信号をONにする場合を例に挙げて説明したが、ロック装置150のロック又はロック解除を判定する上では、ロック装置150がロック位置にあるときに検出信号がONになる機構であっても何ら支障はなく、そのような構成に代えても同様の効果を奏することができる。
【0078】
また、ロック装置150がロック解除位置にあることを作業者に知らせる報知装置としてブザー95,96を例示したが、報知装置はこれに限定されない。単なる報知音ではなく、音声で知らせる報知装置を用いることもできる。また、聴覚的な報知に限らず、ロック装置150がロック解除位置にあることをランプや文字表示等で視覚的に知らせる報知装置も考えられる。
【0079】
また、荷受台30を積極的に傾動させる傾動駆動装置50を設けた場合を例に上げて説明したが、ガイドローラ14で荷受台30の傾動動作をガイドする場合には、傾動駆動装置50は必ずしも必要ない。展開姿勢からガイドローラ14に荷受台30を凭せ掛ける動作、ガイドローラ14に寄り掛かった姿勢から展開姿勢に起こす動作については、アクチュエータを用いずに人力により行う構成とすることもできる。これら動作を人力で行う場合、例えば荷受台30と支持アーム22とをガススプリング等の付勢手段で連結し、付勢手段により荷受台30が自重で格納方向に傾動しようとする力よりも弱い力で荷受台30を展開方向に付勢する構成とすることで、荷受台30の展開姿勢への移行動作を補助するとともに、展開姿勢からガイドローラ14に荷受台30を立て掛ける際にもクッションの役割を果たす。ガススプリングのようなシリンダ状の付勢手段であれば傾動駆動装置50と置換することができるし、トーションバー等のねじり戻り力を利用したものも適用可能である。
【0080】
また、上記実施形態では、L字状に一体に構成された荷受台30を用いる場合を例に挙げて説明したが、背凭れ32が荷受台本体31に対して回動可能に連結されていて荷受台本体31に折り重ね可能、或いは背凭れ32が荷受台本体31から取り外し可能な構成としても良い。このような構成とした場合、背凭れ32を取り外し又は折り畳んで荷受台30を水平な板状に形状変更することで、荷受台本体31を傾動させずに支持アーム22とともに水平姿勢のまま昇降させる、具体的には傾動駆動装置50を伸長状態に保ったまま平行リンクアーム21を作動させることで荷受台30を水平姿勢のまま昇降させることができる。すなわち、荷物や作業者を載せる通常の荷受台昇降装置としても使用することができるようになる。また、リフト駆動装置40の作動時に、このように傾動駆動装置50を伸長状態に保つ制御と、上記実施形態のように傾動駆動装置50を伸縮動作させる制御とを切り換えて実行可能な構成とすることで、荷受台本体31を水平のまま昇降させる一般的な荷受台昇降装置としての用途、及び上記実施形態のように荷受台30を姿勢変位させて荷物を寝かせて積載する用途に兼用することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、荷受台30の傾動動作をガイドローラ14で案内する場合を例示して説明したが、ガイドローラ14を省略することもできる。例えば、両駆動装置40,50の動作量を予め定めた関係で同期させること、或いは平行リンクアーム21と荷受台30の角度を角度センサで検知しながら両駆動装置40,50の動作を一定の関係で同期制御することにより、荷受台30を一定の軌道で動作させることができる。
【0082】
さらに、上記実施形態ではアームユニット20を拘束するロック装置について特に説明していないが、例えば格納姿勢時に平行リンクアーム21のリンクアーム28,29をフック等で固定する、或いは平行リンクアーム21と支持アーム22とを固定する等のロック装置を設け、格納姿勢で荷受台30を固定する手段を設けることも考えられる。
【0083】
さらには、上記実施形態では、L字状の荷受台30を、地上で起立した状態(展開姿勢)から倒伏させつつ荷台3内に引き込んで格納姿勢に移行させる荷受台昇降装置100に本発明を適用した場合を例に挙げて説明したが、例えば地面と荷台との間で荷受台を昇降させて荷役作業を支援する荷受台昇降装置であれば、他の種の荷受台昇降装置にも本発明は適用可能である。例えば、水平姿勢の荷受台を地面と荷台内部との間で昇降させる荷受台昇降装置(例えば特開2010−155600号公報参照)や、荷台の開閉扉に設けた荷受台昇降装置(例えば特開2005−289150号公報参照)、荷受台を折り畳んで車枠の下部にスライドさせて格納する格納式荷受台昇降装置(例えば特開2009−202667号公報参照)、荷受台をスライドさせずに上方に回動させて車枠の下部に格納する回転格納式荷受台昇降装置(特開2010−52569号公報参照)等にも適用可能である。また、荷台内や車枠の下部に荷受台を格納するものに限らず、荷台の後部で荷受台を起立させて格納する各種の荷受台昇降装置(例えば特開2008−189189号公報、特開2007−331631号公報、特開2004−224082号公報等に記載されたもの)にも適用可能である。これらの場合でも本発明の基本的効果と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0084】
3 荷台
4 開閉扉
10 ベースユニット
20 アームユニット
30 荷受台
31 荷受台本体
32 背凭れ
40 リフト駆動装置
50 傾動駆動装置
90 コントローラ(制御手段)
96 ブザー(報知装置)
100 荷受台昇降装置
150 ロック装置
167 ロックセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台に対する荷物の積み降ろしを支援する荷受台昇降装置において、
荷物を載せる荷受台と、
この荷受台を昇降させるリフト駆動装置と、
格納姿勢の前記荷受台を機械的に拘束するロック装置と、
このロック装置がロック位置又はロック解除位置にあることを検出するロックセンサと、
このロックセンサによって前記ロック装置がロック位置にあることが検出された場合に前記リフト駆動装置の動作を不能にする制御手段と
を備えたことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項2】
請求項1の荷受台昇降装置において、
前記制御手段は、電力供給を停止することによって前記リフト駆動装置の動作を不能にすることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項3】
請求項1又は2の荷受台昇降装置において、
前記荷受台を傾動させる傾動駆動装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記ロックセンサによって前記ロック装置がロック位置にあることが検出された場合に前記リフト駆動装置とともに前記傾動駆動装置の動作を不能にすることを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項4】
請求項1−3のいずれかの荷受台昇降装置において、
前記ロック装置は、ロック解除位置で前記車両の荷台の開閉扉に干渉することを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項5】
請求項1−4のいずれかの荷受台昇降装置において、
前記ロック装置がロック解除位置にあることを報知する報知装置を備えたことを特徴とする荷受台昇降装置。
【請求項6】
請求項1−5のいずれかの荷受台昇降装置において、
前記車両に取り付けたベースユニットと、
このベースユニットに対して上下に回動可能に連結されたアームユニットとをさらに備えており、
前記荷受台は、このアームユニットに対して傾動可能に連結されており、荷受台本体及びこの荷受台本体に立設した背凭れでL字状に形成され、L字のコーナー部分で前記アームユニットに軸支されていて、前記傾動シリンダによって前記荷受台本体を水平にした起立位置、及び前記背凭れを寝かせた倒伏位置の間で回動変位可能であることを特徴とする荷受台昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−71729(P2012−71729A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−218799(P2010−218799)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)