説明

蒸れ防止用開口部付き靴下

【課題】 就寝時など、足の冷え防止を目的として靴下を履いて保温しようとすると、保温に伴う足からの発汗により、最終的には靴下が蒸れて足が冷えてしまうため、普通の靴下では保温性を最後まで確保し冷えを防止することは困難であった。
本発明は、蒸れを防ぎつつも保温が可能な通気用開口部つき靴下を提供する。
【解決手段】靴下の足裏部分のうち、発汗が多く、かつ歩行時にも床に直接接することが少ない指の付け根部分と土踏まず部分に通気のための開口部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足裏部分に開口部を設けた蒸れ防止用開口部付き靴下に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、靴下は靴の中に履くためのものが主流であった。
そのため、蒸れ防止を目的とする靴下は、メッシュなどの素材を用いたもの(特許文献3、および4参照)や、編み方を部分的に変えて小さな通気孔を設けたもの(特許文献2参照)などにみられるように、靴下が足全体を覆った袋状となっている。
蒸れ防止を目的として、特許文献1のように、つま先部とかかと部に分けた形状のものもある。
また、就寝時での着用を想定して、開口部を設けた特許文献5や特許文献6のようなものもある。しかし、いずれも通気性や保温性が考慮されているものの、歩行時の保温性や快適性が十分とはいえなかった。
このように、主として室内において靴を履かない状態での着用を想定し、通気性、保温性、さらには、歩行時の快適性が考慮された開口部を有する袋状の靴下はなかった。
【先行技術文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−182654号公報
【特許文献2】特開平11−140704号公報
【特許文献3】登録実用新案第3075885号公報
【特許文献4】登録実用新案第3090242号公報
【特許文献5】特開2002−146602号公報
【特許文献6】特開2005−68588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
靴下は靴の中に着用するだけでなく、室内、就寝時などにおいて、足の保温を目的に着用することもある。しかし保温の効果は、同時に足の発汗を促し、足の蒸れを誘発する。結果としてこの汗による蒸れが、足を冷やしてしまうこととなり、保温目的での着用が逆効果となることがあった。
一方で、蒸れ防止の通気性に主眼をおいて、特許文献1のように、つま先部分とかかと部分に分けた構造にする、もしくは特許文献6のように、つま先とかかとに開口部を設けると、歩行時には、足裏の床との接地面積が大きくなることになり、保温性および快適性が不十分となる。また特許文献5のように足の裏での体温調節を考慮して多くの開口部を設けることは、上記特許文献1と同様に歩行時での保温性、快適性が考慮されていないだけでなく、構造上が複雑となるとともに、伸縮を繰り返す靴下の強度を保つことも困難となる。
このように、足の冷えを防ぐ保温性、足の蒸れを防ぐ通気性のどちらも兼ね備え、かつ歩行時の保温性、快適性にまで考慮して開口部を設け、構造を単純化したものはこれまでになかった。
本発明は、以上の問題点を解決するためになされたものである。
【問題を解決するための手段】
【0005】
靴下の足裏から内側側面の土踏まず部分に開口部を設ける。靴下の足裏の指の付け根部分に開口部を設ける。
本発明は、以上の構成によりなる蒸れ防止用開口部付き靴下である。
【発明の効果】
【0006】
足の発汗は足裏部分や指の付け根付近から多く発生する。
通気のための開口部を足裏部分のうち、指の付け根付近と土踏まずの2箇所に設けることによって、発汗を促進させ、蒸れを最大限防止する。
開口部を、歩行時に地面と接することのきわめて少ないこの2箇所に限定することにより、特に冷えを感じるつま先や甲の冷えを防止して保温を図るとともに、冷えた床での歩行時における冷感も最小限に抑えることができる。
このことにより、冬季の就寝時のみならず、日中や夏季においてエアコンの効いた部屋などでも着用することができ、一年を通じて快適に室内用として着用できる。また外出用としても、温泉等で湯めぐりを行うなどといった状況においては、サンダル等で外出することが多く、湯冷め防止の効果も期待でき、快適に利用できる。
一方で開口部を最大2ヶ所とすることで、靴下の強度低下を防ぐとともに、構造を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の左足足裏部分の平面図である。
【図2】本発明の使用状態における右足内側からの側面図である。
【図3】本発明の左足接地時における使用状態での平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
(イ)靴下の足裏部分(1A)のうち、横方向には足の第二指(人差し指)から第四指(薬指)に相当する部分、縦方向にはつま先から1番目の関節(遠位指節間関節)から2番目の関節(近位指節間関節)に相当する部分の位置に、開口部(2A)を設ける。
(ロ)靴下の足裏部分(1A)から側面(1B)にかけての部分のうち、足の土踏まずに相当する位置に開口部(2B)を設ける。
開口部は使用の目的などに応じて、(イ)もしくは(ロ)のそれぞれ一箇所か、(イ)、(ロ)両箇所に設ける。
本発明は以上のような構造である。
本発明のうち(ロ)の箇所の開口部を設けた靴下を着用する際は、左右非対称という構造の特徴から、上踏まず部分の開口部(2B)が内側に来るよう、かつ開口部(2A)ならびに(2B)が歩行時の足の接地面に重ならないように着用する。
いずれの場合においても、室内等、靴を履いていない状態、もしくは靴下がむき出しになるサンダル等の着用時などに着用することにより、靴下の蒸れを抑え、かつ足を保温することにより、快適に過ごすことができる。
主として室内での着用を想定しているものの、靴を履いた状態での通常の靴下としての使用が制限されるものではない。
また、本発明は「靴下」を称しているが、主として靴のような履き物の内側に着用するという、靴下同様の使用用途を有するが呼称が異なる、ソックス、ストッキング、足袋等においても適用できる構造であり、本発明において称している「靴下」に含まれる。
【符号の説明】
【0009】
1A 靴下足裏部分
1B 靴下側面内側部分
2A 足指部分の開口部
2B 土ふまず部分の開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴下の足裏から内側側面の土踏まず部分に開口部を設けたことを特徴とする蒸れ防止用開口部つき靴下。
【請求項2】
靴下の足裏の指の付け根部分に開口部を設けたことを特徴とする蒸れ防止用開口部つき靴下。
【請求項3】
請求項1および請求項2の特徴を有する蒸れ防止用開口部つき靴下。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−179155(P2011−179155A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61485(P2010−61485)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(510074461)
【Fターム(参考)】