説明

薄肉ガラス板の収納方法および薄肉ガラス板の収納体

【課題】薄肉ガラス板を重ね合わせるようにして収納させる場合において、表面に異物を付着させることなく、ガラス板同士を密着させることなく収納する。
【解決手段】収納箱は箱本体12の内部に2つの収納部15A、15Bを備え、各収納部15A、15Bには複数枚のカバーガラス10が各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士が対向させるように立設状態で収納可能とされる。カバーガラス10は間に僅かな隙間△Tを画成する状態でその底辺部を支持面19上に支持され、またこのようにして立設されたカバーガラス10は蓋体14で開口13を閉塞する状態において、蓋体14の下面の当接面20に当接され、その上辺部を当接面20にて当接され、支持されることとなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は例えばプレパラート上の細胞組織片を覆うカバーガラス、液晶表示体に使用する薄板ガラスなど、全体平板状からなる複数枚の薄肉ガラス板を安全に収納保持するための薄肉ガラス板の収納方法および薄肉ガラスの収納体に関する。
【背景技術】
【0002】
プレパラート上の細胞組織片を覆うカバーガラスや、液晶表示体に使用される薄肉ガラス板は、その厚さが10μmないし900μm程度と、極めて薄肉の全体平板状からなる。こうした薄肉のガラス板を収納するための収納体としては、下記特許文献1に示されるカバーガラス収納箱や一般に用いられている図11に示すカバーガラス収納箱が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−127585
【0004】
図13に示すような、従来一般に存在するカバーガラス収納箱1は、上面に開口2を備える箱本体3の内部に、2つの収納部3A、3Bを備えてなり、各収納箱3A、3Bに対し、上方より複数枚重ねられた方形状のカバーガラス4を平面が鉛直状態になるように収納させるようにしている。収納箱1の開口2には、上方より矢印Aに示すように側蓋部5Aを備えた蓋体5が被覆可能とされる。すなわち、カバーガラス4はこうした収納箱1に収納される状態で販売等が行われ、購入者においては、蓋体5を開け、図11の矢印Bに示すように収納部3A、3Bより収納されるカバーガラス4を1枚ずつつまむようにして取り出し、使用していた。
【0005】
しかしながら、このようにして形成される収納箱1に1枚の厚さが数10μm程度の薄肉のカバーガラス4を重ねて収納させておくと、カバーガラス4同士が湿気により相互に張り付いてしまったり、密着状態で保管されてしまう不具合が生じた。こうして収納されていたカバーガラス4同士を1枚ずつ剥がす場合、薄肉のカバーガラス4の表面に手に付いた脂やホコリが付着する場合があった。さらにカバーガラス4同士を1枚ずつ剥がす際に、カバーガラス4は薄肉とされるため破損し易いものとされていた。
【0006】
こうした不具合を防止するため、従来カバーガラスを収納箱1に収納する際にカバーガラスの表面にガラス粉を付着させたり、カバーガラス4同士が密着しないよう、表面にシリコンなどの材料をコーティングするなどの方法が用いられていた。例えば図14に示すように重合されるカバーガラス4の間に直径数μm程度のガラス粉6が介在する場合、カバーガラス4同士は相互に密着することがなく、上記のような不具合が生じない。
【0007】
しかし、カバーガラス4の表面にガラス粉6を付着させたり、シリコンなどをコーティングした場合、例えばプレパラート上の細胞組織片をカバーガラス4で覆う場合に、ガラス粉やコーティング材が組織等に付着してしまい、後で顕微鏡等で組織片を観察する際、こうした付着物質が異物として観察に影響を与えるものとされた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような従来の不具合に着目してなされたものであり、薄肉ガラス板を重ね合わせるようにして収納させる場合において、表面に異物を付着させることなく、ガラス板同士を密着させることなく収納することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1は、全体方形状で、かつ平板状の同サイズからなる、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士を対向させるようにして立設状態で収納させる薄肉ガラス板の収納方法において、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士並びに各面部同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部同士を密着させるようにして薄肉ガラス板の複数枚の一辺部を底辺部とし、各薄肉ガラス板の底辺部を水平状態に保持させ、加えて重ね合わされた薄肉ガラス板の複数枚の底辺部同士も、底辺部と交差する方向において水平状態に保持させ、こうして各薄肉ガラス板の底辺部並びに底辺部同士が水平状態に保持させて重ね合わされた各薄肉ガラス板の面部を鉛直方向に対する一方に傾斜させるように指向させ、立設させる立設プロセスと、立設プロセスにおいて各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるように指向させ、立設させた薄肉ガラス板の複数枚を、全体クッション性を有し、かつ水平に保持された支持面上に、底辺部並びに底辺部同士を水平に保持させた各薄肉ガラス板の底辺部をそれぞれ載置し、支承させるように支持させる支持プロセスと、支持プロセスにおいて各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるよう指向させ、支持面上に立設させた薄肉ガラス板の複数枚について、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成し、各薄肉ガラス板の底面部を支持面上にそれぞれ載置し、支承させるように支持させる隙間形成プロセスと、を備えるようにしている。
【0010】
また本発明の請求項2は、隙間形成プロセスにおいて、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間が画成された状態において、支持面上に支持された各薄肉ガラス板に対し、上方より下面が水平で、クッション性を有する上方支持体を下降させ、各薄肉ガラス板の上辺部を、上方支持体に当接させて、隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成する状態を保持し、複数枚の薄肉ガラス板を収納可能とする隙間保持プロセスを、さらに備えてなる請求項1に記載の薄肉ガラス板の収納方法としている。
【0011】
また本発明の請求項3は、全体方形状で、かつ平板状の同サイズからなる、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士を対向させるようにして、立設状態で収納させる薄肉ガラス板の収納方法において、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士並び各面部同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部同士を密着させるようにして薄肉ガラス板の複数枚の一辺部を底辺部とし、各薄肉ガラス板の底辺部を水平状態に保持させ、加えて重ね合わされた薄肉ガラス板の複数枚の底辺部同士も、底辺部と交差する方向において水平状態に保持させ、こうして各薄肉ガラス板の底辺部並びに底辺部同士が水平状態に保持させて重ね合わされた各薄肉ガラス板の面部を鉛直方向に対する一方に傾斜させるように指向させ、立設させる立設プロセスと、立設プロセスにおいて各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも、一方に傾斜させるように指向させ、立設させた薄肉ガラス板の複数枚を、表面粘着性を有するか、あるいは表面摩擦性の高い材質で形成し、かつ水平に保持された支持面上に、底辺部並びに底辺部同士を水平に保持させた各薄肉ガラス板の底辺部をそれぞれ載置し、支承させるように支持させる支持プロセスと、支持プロセスにおいて各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるように指向させ、支持面上に立設させた薄肉ガラス板の複数枚について、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成し、各薄肉ガラス板の底面部を支持面上にそれぞれ載置し、支承させるように支持させる隙間形成プロセスと、を備えるようにしている。
【0012】
また本発明の請求項4は、隙間形成プロセスにおいて、各面部を鉛直状態に対応するように立設させ、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間が画成された状態において、支持面上に支持された各薄肉ガラス板に対し、上方より下面が水平で、表面粘着性を有するか、あるいは、表面が摩擦性の高い材質で形成される上方支持体を下降させ、各薄肉ガラス板の上辺部を、上方支持体に当接させて、隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成する状態を保持し、複数枚の薄肉ガラス板を収納可能とする隙間保持プロセスを、さらに備えてなる請求項3に記載の薄肉ガラス板の収納方法としている。
【0013】
また本発明の請求項5は、全体方形状で、かつ平板状の同サイズからなる複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士を対向させるようにして立設状態で収納させる薄肉ガラス板の収納体において、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士並びに各面部同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部同士を密着させるようにして薄肉ガラス板の複数枚の一辺部を底辺部とし、各薄肉ガラス板の底辺部を水平状態に保持させ、加えて重ね合わされた薄肉ガラス板の複数枚も、底辺部と交差する方向において水平状態に保持させ、こうして各薄肉ガラス板の底辺部並びに底辺部同士が水平状態に保持されて重ね合わされた各薄肉ガラス板の面部を、鉛直方向に対する一方に傾斜させるように指向させ、立設させた薄肉ガラス板の複数枚を、内底部がクッション性を有し、かつ水平に保持させる支持面とされ、底辺部並びに底辺部同士を水平に保持させた各薄肉ガラス板の底辺部を該支持面にそれぞれ載置し、支承させるように支持可能とする下方支持体と、上記下方支持体の支持面上において、各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるように指向させ、支持面上に立設させた薄肉ガラス板の複数枚について、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間が画成可能とし、こうして下方支持体の支持面上に支持された各薄肉ガラス板の上辺部にそれぞれ当接して、隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成する状態を保持する上方支持体と、を備えるようにしている。
【0014】
また本発明の請求項6は、全体方形状で、かつ平板状の同サイズからなる複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士を対向させるようにして立設状態で収納させる薄肉ガラス板の収納体において、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士並びに各面部同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部同士を密着させるようにして薄肉ガラス板の複数枚の一辺部を底辺部とし、各薄肉ガラス板の底辺部を水平状態に保持させ、加えて重ね合わされた薄肉ガラス板の複数枚も、底辺部と交差する方向において水平状態に保持させ、こうして各薄肉ガラス板の底辺部並びに底辺部同士が水平状態に保持されて重ね合わされた各薄肉ガラス板の面部を、鉛直方向に対する一方に傾斜させるように指向させ、立設させた薄肉ガラス板の複数枚を、内底部が粘着性を有し、かつ水平に保持させる支持面とされ、底辺部並びに底辺部同士を水平に保持させた各薄肉ガラス板の底辺部を該支持面にそれぞれ載置し、支承させるように支持可能とする下方支持体と、上記下方支持体の支持面上において、各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるように指向させ、支持面上に立設させた薄肉ガラス板の複数枚について、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間が画成可能とし、こうして下方支持体の支持面上に支持された各薄肉ガラス板の上辺部にそれぞれ当接して、隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成する状態を保持する上方支持体と、を備えるようにしている。
【0015】
さらに本発明の請求項7は、上方支持体における各薄肉ガラス板の上辺部に対し、それぞれ当接可能とされる当接面は、クッション性のある材質、粘着性を有する材質あるいは摩擦性の高い材質で形成することとしてなる請求項5あるいは請求項6のいずれかに記載の薄肉ガラス板の収納体としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1によれば、全体方形状で、かつ平板状の同サイズからなる、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士を対向させるようにして立設状態で収納させる薄肉ガラス板の収納方法において、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士並びに各面部同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部同士を密着させるようにして薄肉ガラス板の複数枚の一辺部を底辺部とし、各薄肉ガラス板の底辺部を水平状態に保持させ、加えて重ね合わされた薄肉ガラス板の複数枚の底辺部同士も、底辺部と交差する方向において水平状態に保持させ、こうして各薄肉ガラス板の底辺部並びに底辺部同士が水平状態に保持させて重ね合わされた各薄肉ガラス板の面部を鉛直方向に対する一方に傾斜させるように指向させ、立設させる立設プロセスと、立設プロセスにおいて各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるように指向させ、立設させた薄肉ガラス板の複数枚を、全体クッション性を有し、かつ水平に保持された支持面上に、底辺部並びに底辺部同士を水平に保持させた各薄肉ガラス板の底辺部をそれぞれ載置し、支承させるように支持させる支持プロセスと、支持プロセスにおいて各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるよう指向させ、支持面上に立設させた薄肉ガラス板の複数枚について、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成し、各薄肉ガラス板の底面部を支持面上にそれぞれ載置し、支承させるように支持させる隙間形成プロセスと、を備えることとしたため、破損し易く、取り扱いに注意が必要な薄肉ガラス板の複数枚を、表面に異物を付着させることなく、間に僅かな隙間を画成する状態で収納させることが可能となる。
【0017】
同様に本発明の請求項2によれば、請求項1に加え、隙間形成プロセスにおいて、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間が画成された状態において、支持面上に支持された各薄肉ガラス板に対し、上方より下面が水平で、クッション性を有する上方支持体を下降させ、各薄肉ガラス板の上辺部を、上方支持体に当接させて、隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成する状態を保持し、複数枚の薄肉ガラス板を収納可能とする隙間保持プロセスを、さらに備えることとしたため、破損し易く、取り扱いに注意が必要な薄肉ガラス板の複数枚を、表面に異物を付着させることなく、間に僅かな隙間を画成する状態で収納させることが可能となる。
【0018】
また本発明の請求項3によれば、全体方形状で、かつ平板状の同サイズからなる、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士を対向させるようにして、立設状態で収納させる薄肉ガラス板の収納方法において、
複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士並び各面部同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部同士を密着させるようにして薄肉ガラス板の複数枚の一辺部を底辺部とし、各薄肉ガラス板の底辺部を水平状態に保持させ、加えて重ね合わされた薄肉ガラス板の複数枚の底辺部同士も、底辺部と交差する方向において水平状態に保持させ、こうして各薄肉ガラス板の底辺部並びに底辺部同士が水平状態に保持させて重ね合わされた各薄肉ガラス板の面部を鉛直方向に対する一方に傾斜させるように指向させ、立設させる立設プロセスと、立設プロセスにおいて各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも、一方に傾斜させるように指向させ、立設させた薄肉ガラス板の複数枚を、表面粘着性を有するか、表面が摩擦性の高い材質で形成し、かつ水平に保持された支持面上に、底辺部並びに底辺部同士を水平に保持させた各薄肉ガラス板の底辺部をそれぞれ載置し、支承させるように支持させる支持プロセスと、支持プロセスにおいて各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるように指向させ、支持面上に立設させた薄肉ガラス板の複数枚について、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成し、各薄肉ガラス板の底面部を支持面上にそれぞれ載置し、支承させるように支持させる隙間形成プロセスと、を備えることとしたため、破損し易く、取り扱いに注意が必要な薄肉ガラス板の複数枚を、表面に異物を付着させることなく、間に僅かな隙間を画成する状態で収納させることが可能となる。
【0019】
また本発明の請求項4によれば、請求項3に加え隙間形成プロセスにおいて、各面部を鉛直状態に対応するように立設させ、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間が画成された状態において、支持面上に支持された各薄肉ガラス板に対し、上方より下面が水平で、表面粘着性を有するか、表面が摩擦性の高い材質で形成される上方支持体を下降させ、各薄肉ガラス板の上辺部を、上方支持体に当接させて、隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成する状態を保持し、複数枚の薄肉ガラス板を収納可能とする隙間保持プロセスを、さらに備えることとしたため、破損し易く、取り扱いに注意が必要な薄肉ガラス板の複数枚を、表面に異物を付着させることなく、間に僅かな隙間を画成する状態で収納させることが可能となる。
【0020】
また本発明の請求項5によれば、全体方形状で、かつ平板状の同サイズからなる複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士を対向させるようにして立設状態で収納させる薄肉ガラス板の収納体において、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士並びに各面部同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部同士を密着させるようにして薄肉ガラス板の複数枚の一辺部を底辺部とし、各薄肉ガラス板の底辺部を水平状態に保持させ、加えて重ね合わされた薄肉ガラス板の複数枚も、底辺部と交差する方向において水平状態に保持させ、こうして各薄肉ガラス板の底辺部並びに底辺部同士が水平状態に保持されて重ね合わされた各薄肉ガラス板の面部を、鉛直方向に対する一方に傾斜させるように指向させ、立設させた薄肉ガラス板の複数枚を、内底部がクッション性を有し、かつ水平に保持させる支持面とされ、底辺部並びに底辺部同士を水平に保持させた各薄肉ガラス板の底辺部を該支持面にそれぞれ載置し、支承させるように支持可能とする下方支持体と、上記下方支持体の支持面上において、各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるように指向させ、支持面上に立設させた薄肉ガラス板の複数枚について、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間が画成可能とし、こうして下方支持体の支持面上に支持された各薄肉ガラス板の上辺部にそれぞれ当接して、隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成する状態を保持する上方支持体と、を備えることとしたため、破損し易く、取り扱いに注意が必要な薄肉ガラス板の複数枚を、表面に異物を付着させることなく、間に僅かな隙間を画成する状態で収納させることが可能となる。
【0021】
また本発明の請求項6によれば、全体方形状で、かつ平板状の同サイズからなる複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士を対向させるようにして立設状態で収納させる薄肉ガラス板の収納体において、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士並びに各面部同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部同士を密着させるようにして薄肉ガラス板の複数枚の一辺部を底辺部とし、各薄肉ガラス板の底辺部を水平状態に保持させ、加えて重ね合わされた薄肉ガラス板の複数枚も、底辺部と交差する方向において水平状態に保持させ、こうして各薄肉ガラス板の底辺部並びに底辺部同士が水平状態に保持されて重ね合わされた各薄肉ガラス板の面部を、鉛直方向に対する一方に傾斜させるように指向させ、立設させた薄肉ガラス板の複数枚を、内底部が粘着性を有し、かつ水平に保持させる支持面とされ、底辺部並びに底辺部同士を水平に保持させた各薄肉ガラス板の底辺部を該支持面にそれぞれ載置し、支承させるように支持可能とする下方支持体と、上記下方支持体の支持面上において、各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるように指向させ、支持面上に立設させた薄肉ガラス板の複数枚について、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間が画成可能とし、こうして下方支持体の支持面上に支持された各薄肉ガラス板の上辺部にそれぞれ当接して、隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成する状態を保持する上方支持体と、を備えることとしたため、破損し易く、取り扱いに注意が必要な薄肉ガラス板の複数枚を、表面に異物を付着させることなく、間に僅かな隙間を画成する状態で収納させることが可能となる。
【0022】
さらに本発明の請求項7は、上方支持体における各薄肉ガラス板の上辺部に対し、それぞれ当接可能とされる当接面は、クッション性のある材質、粘着性を有する材質あるいは摩擦性の高い材質で形成することとしてなる請求項5あるいは請求項6のいずれかに記載の薄肉ガラス板の収納体としたため、より安全に薄肉ガラスの収納が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る収納体の全体を示す一部破断の斜視図である。
【図2】下方支持体としての箱本体上部の開口を上方支持体としての蓋体で閉塞した状態を示す斜視図である。
【図3】薄肉ガラス板の複数枚を箱本体に収納した状態を示す断面図である。
【図4】蓋体で箱本体の上部を閉塞し、内部に薄肉ガラス板を収納した状態を示す図2のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】箱本体の内部の支持面に対し、複数枚のガラス板を立設し、支持させる状態を示す断面図である。
【図6】支持面上に支持された複数枚のガラス板の間に隙間を画成する状態を示す断面図である。
【図7】図5に示す状態で複数枚の薄肉ガラス板を箱本体の内部の支持面に対し、立設・支持させた状態を示す拡大断面図である。
【図8】支持面上に支持された複数枚の薄肉ガラス板を各面部が鉛直方向に向くように立設させ、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成させた状態を示す拡大断面図である。
【図9】箱本体の内部の支持面の他の実施形態に係り、支持面に対し、複数枚の薄肉ガラス板を立設・支持させた状態を示す図7と同様の拡大断面図である。
【図10】図9に示す支持面上に支持された複数枚の薄肉ガラス板を各面部が鉛直方向に向くように立設させ、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成させた状態を示す拡大断面図である。
【図11】本発明の実施例に係る収納体を示し、下方支持体の支持面に対して複数枚の薄肉ガラス板を立設し、支持させる状態を示す断面図である。
【図12】収納体に複数枚の薄肉ガラス板を各面部が鉛直方向に向くように立設させ、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成させた収納状態を示す断面図である。
【図13】従来、一般的に使用されているカバーガラスの収納箱を示す斜視図である。
【図14】収納箱に収納されるカバーガラス間に隙間を画成する状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図1ないし図8に基づいて説明する。図1および図2は、本発明の実施形態に係り、薄肉ガラス板としてのカバーガラス10を、立設状態で収納可能とする収納体としての収納箱11を示す。この収納箱11は、下方支持体としての箱本体12と、箱本体12の上部に形成された開口13を閉塞可能とする上方支持体としての蓋体14にて構成され、図2に示すように開口13を蓋体14により閉塞する状態において全体直方体形状のものとされる。
【0025】
箱本体12の開口13内には、長手方向(Y方向)において、左右2つの収納部15A、15Bが備えられ、各収納部15A、15B間には区画体16が配設される。各収納部15A、15Bには、それぞれ同サイズからなる複数枚のカバーガラス10が図1あるいは図3に示すように立設状態で収納可能とされ、カバーガラス10は表裏各面部10Aが、箱本体12の長手方向(Y方向)と交差し、かつ箱本体12に対し、鉛直方向(Z方向)に立設されるようにして収納可能とするものである。
【0026】
収納箱11に収納されるカバーガラスは、例えばプレパラート上の細胞組織片を覆い、顕微鏡で観察する際などにおいて使用され、厚さが10μmないし900μm程度の極めて薄肉のものとされる。各収納部15A、15Bに収納されるカバーガラス10は、全体正方形状あるいは長方形状の平板状からなり、収納状態において各辺部同士あるいは各隅部同士が対応され、さらに各面部10A同士も対向されるように立設される。
【0027】
上部に開口13を備え、Y方向において2つの収納部15A、15Bを備える箱本体12は、全体をプラスチック材にて形成される。また箱本体12の上部の開口13を閉塞する蓋体14も、全体をプラスチック材にて形成され、その周縁に側蓋部17を備えてなる。箱本体12の上方周部には、蓋体14により開口13を閉塞する状態において、蓋体14の側蓋部17を嵌合可能な段部18が形成される。すなわち、蓋体14は段部18に対して側蓋部17を図4に示すように嵌合することにより閉塞される状態となる。
【0028】
箱本体12の開口13内のうち、各収納部15A、15Bの内底部には、フエルト材、スポンジ材など、弾性を有するクッション材19Aが貼り付けられる状態で支持面19が形成される。一方、蓋体14の側蓋部17内方の長方形状をなす下面にもフエルト材、スポンジ材など、弾性を有するクッション材20Aが貼り付けられる状態で当接面20が形成される。
【0029】
このようにして構成される収納体としての収納箱12に対し、複数枚の同サイズからなるカバーガラス10を、図3あるいは図4に示すように立設状態で収納するについては、次のような手順でその収納を行う。
【0030】
先ず、図5に示すように、複数枚のカバーガラス10を、各辺部同士、各隅部同士並びに各面部10A同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部10A同士を密着させるようにしてカバーガラス10の一辺部を底辺部とし、各カバーガラス10の底辺部を箱本体12の長手方向(Y方向)と交差する方向(X方向)において水平状態に保持させ(図1参照)、加えて重ね合わされたカバーガラス10の複数枚(実際には50ないし100枚程度)の底辺部同士も、底辺部と交差する図5に示す箱本体12の長手方向(Y方向)において水平状態に保持させ、こうして各カバーガラス10の底辺部並びに底辺部同士が箱本体12のXY方向に対応するよう水平状態に保持させて重ね合わされて、カバーガラス10の面部10Aを鉛直方向(Z方向)に対する一方に角度θ分だけ傾斜させるように指向させる(図5参照)。このようにして複数枚のカバーガラス10を立設させる状態において(立設プロセス)、次にこれらカバーガラス10を図6に示すように各納部15A、15Bの支持面19に支持させることとする。
【0031】
上記立設プロセスにおいて各面部10A同士が密着され、重ね合わされるように面部10Aを鉛直状態よりも一方に角度θだけ傾斜させるように指向させ、立設させたカバーガラス10の複数枚を、図5の矢印Pに示すように全体クッション性を有し、かつX方向並びにY方向において水平に保持された支持面19上に、底辺部並びに底辺部同士を、同じくX方向並びにY方向において水平に保持させたカバーガラス10の底辺部をそれぞれ載置し、支承させるように支持させる(支持プロセス)。この際、クッション材19Aは図6に示すようにカバーガラス10により、若干沈む状態となり、各カバーガラス10の底辺部はそれぞれ支持面19に捕促される状態で支持される。
【0032】
上記支持プロセスにおいて各面部10A同士が密着され、重ね合わされるように面部10Aを鉛直状態よりもθだけ傾斜させるように指向させ、支持面19上に立設させたカバーガラス10は、次に図6の矢印Qに示すように回動させ、各面部10Aが鉛直方向に向くように(Z方向に対応)立設させる。こうして図7に示す支持面19に傾斜状態で支持された状態(支持プロセス)から、図8に示す面部10Aが鉛直方向に向くよう立設させるようにカバーガラス10をQ方向(図7参照)に回動させると、図7に示す状態において、重ね合わされて密着されていた隣り合うカバーガラス10の面部10A間に僅かな隙間△Tが画成されることとなる(図8参照)。この結果、各収納部15A、15Bにおいて、複数枚のカバーガラス10は、面部10A間に僅かな隙間△Tを画成する状態(図8に示す状態)で図3に示すように、底辺部を支持面19上にそれぞれ載置し、支承させるように支持させることが可能となる(隙間形成プロセス)。
【0033】
このように隙間形成プロセスにおいて、各面部10Aが鉛直方向に立設させ、重ね合わされて密着されていた隣り合うカバーガラス10の面部10A間に僅かな隙間△Tが画成された状態において、次に図3あるいは図6の矢印Rに示すように上方より上方支持体としての蓋体14を下降させ、蓋体14により開口13を閉塞させるようにする。ここで開口13を閉塞する蓋体14の下面には、上記のようにクッション材20Aが貼り付けられる状態とされ、蓋体14を閉塞する図4に示す状態において、このクッション材20Aの下面の当接面20の部分が、面部10Aを鉛直方向に立設された各カバーガラス10の上辺部に当接されることとなる。この状態において、隣り合うカバーガラス10の面部10A間に僅かな隙間△Tを画成する状態を保持し、カバーガラス10の複数枚を、それぞれ収納箱11内の各収納部15A、15B内に収納させることが可能となる(隙間保持プロセス)。
【0034】
このように上記実施形態に係る収納箱11による収納によれば、複数枚の薄肉ガラス板からなるカバーガラス10を、間に僅かな隙間△Tを画成するようにして、その底辺部を箱本体12の支持面19上に支持させ、その上辺部を蓋体14の当接面20に当接し、立設状態で収納させることが可能となる。この結果、破損し易く、取り扱いに注意が必要なカバーガラス10を、表面に異物を付着させることなく、間に僅かな隙間△Tを画成する状態で収納させることが可能となる。
【0035】
次に図9および図10に基づき、上記実施形態の変形例を説明する。上記実施形態では、下方支持体としての箱本体12の各収納部15A、15Bの底面においてクッション材19Aを配設し、その上面を複数枚のカバーガラス10を支持するための支持面19としているが、図9に示す実施形態では、クッション材19Aの表面(上面)において粘着性を有する粘着シート材21Aを支持させるようにしている。すなわち、この実施形態では、この粘着シート材21Aの上面を、各面部10A同士が密着され、重ね合わされるように面部10Aを鉛直状態よりも一方に角度θだけ傾斜させるように指向させ、立設させたカバーガラス10の複数枚の底辺部を、支持面21としている。
【0036】
すなわち、こうした構成からなる粘着シート材21Aの支持面21に対し、カバーガラス10の底辺部をそれぞれ載置し、支承させるように支持させた後(支持プロセス)、図10に示すように面部10Aが鉛直方向に立設させると、重ね合わされて密着されていた隣り合うカバーガラス10の面部10A間に僅かな隙間△Tが画成される状態となる、この状態において各カバーガラス10の底辺部は、粘着シート材21Aからなる支持面21に被着される状態で支持されることとなる(隙間形成プロセス)。
【0037】
このような隙間形成プロセスにおいて、各面部10Aが鉛直状態に対応するように立設させ、重ね合わされて密着されていた隣り合うカバーガラス10の面部10A間に僅かな隙間△Tが画成された状態において、前記実施形態と同様、図6の矢印Rに示すように上方より上方支持体としての蓋体14を下降させ、蓋体14により開口13を閉塞させるようにする。ここで開口13を閉塞する蓋体14の下面には、この実施形態において、図6の拡大部Sで示すようにクッション材20Aの下面において粘着性を有する粘着シート材22Aを支持させるようにしている。すなわち、この実施形態では蓋体を閉塞する図4に示す状態において、この粘着シート材22Aの下面が当接面22となり、この部分が面部10Aが鉛直状態に立設される各カバーガラス10の上辺部と当接されることとなる。この状態において各カバーガラス10の底辺部は、粘着シート材22Aからなる当接面22に被着される状態で支持され、隣り合うカバーガラス10の面部10A間に僅かな隙間△Tを画成する状態を保持し、カバーガラス10の複数枚を、それぞれ収納箱11の各収納部15A、15B内に収納させることが可能となる(隙間保持プロセス)。
【0038】
このように上記実施形態に係る収納によれば、複数枚の薄肉ガラス板からなるカバーガラス10を、間に僅かに隙間△Tを画成するようにして、その底辺部を支持面21に被着させ、その上辺部を当接面22に被着させるように立設状態で収納させることが可能となる。その他の構成および作用については上記実施形態と同様であり、説明を省略する。なお、上記実施形態において、支持面21を粘着シート材21Aで、当接面22を粘着シート材で形成するようにしているが、これに代えてサンドペーパーや微細な梨地加工を施したプラスチック材など、表面を摩擦性の高い材質で形成することとしてもよい。
【0039】
なお、上記実施形態において、各収納部15A、15Bの底部において、クッション材19Aの上部に粘着シート材21Aを支持させるようにしているが、クッション材19Aを底部に配設することなく、直接収納部15A、15Bの底部に粘着シート材21Aを支持させ、支持面21上にカバーガラス10の底辺部を支持させるようにしてもよい。同様に蓋体14の下面においてもクッション材20Aの下面に粘着シート材22Aを支持させることなく、蓋体14の下面に直接粘着シート材22Aを支持させ、当接面22でカバーガラス10の上辺部を当接・支持させるようにしてもよい。この場合において、支持面21と当接面22間でカバーガラス10が上下において支持されるように蓋体14の閉塞状態で支持面21と当接面22間の高さがカバーガラス10の鉛直方向(Z方向)での高さH(図6参照)に対応するよう設定する必要がある。
【実施例】
【0040】
図11および図12は、本発明の実施例に係る収納体を示す。この収納体30は、全体一枚物に展開可能な紙製の函体31にて形成され、図11に示すように函体31の内底部に上記箱本体12の内底部と同様、クッション材19Aを貼り付けてなる支持面19を備えることとし、この部分を下方支持体としている。一方、上方より図11の矢印S方向に回動される開閉蓋32は、下面に上記蓋体14の下面と同様、クッション材20Aを貼り付けて当接面20を備えることとし、この部分を上方支持体としている。
【0041】
函体31に対しても前記実施形態と同様にカバーガラス10が収納可能とされ、先ず図11に示すように 複数枚のカバーガラス10を、各辺部同士、各隅部同士並びに各面部10A同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部10A同士を密着させるようにしてカバーガラス10の一辺部を底辺部とし、各カバーガラス10の底辺部を函体31の長手方向(Y方向)と交差する方向(X方向)において水平状態に保持させ、加えて重ね合わされたカバーガラス10の複数枚の底辺部同士も、底辺部と交差する函体31の長手方向(Y方向)において水平状態に保持させ、こうして各カバーガラス10の底辺部並びに底辺部同士が函体31のXY方向に対応するよう水平状態に保持させて重ね合わされて、カバーガラス10の面部10Aを鉛直方向(Z方向)に対する一方に角度θ分だけ傾斜させるように指向させる(図11参照)。このようにして複数枚のカバーガラス10を立設させる状態において(立設プロセス)、次にこれらカバーガラス10を函体31の支持面19上に支持させることとする。
【0042】
上記立設プロセスにおいて各面部10A同士が密着され、重ね合わされるように面部10Aを鉛直状態よりも一方に角度θだけ傾斜させるように指向させ、立設させたカバーガラス10の複数枚を、全体クッション性を有し、かつX方向並びにY方向において水平に保持された支持面19上に、底辺部並びに底辺部同士を、同じくX方向並びにY方向において水平に保持させたカバーガラス10の底辺部をそれぞれ載置し、支承させるように支持させる(支持プロセス)。ここで複数枚のカバーガラス10を支持する函体31も側面部を鉛直方向(Z方向)に対する一方に角度θ分だけ傾斜させるように指向させる。
【0043】
上記支持プロセスにおいて各面部10A同士が密着され、重ね合わされるように面部10Aを鉛直状態よりもθだけ傾斜させるように指向させ、支持面19上に立設させたカバーガラス10は、函体31の側面部とともに図11の矢印Uに示すように回動させ、各面部10Aが鉛直方向に向くように(Z方向に対応)立設させる。こうして図11に示す支持面19に傾斜状態で支持された状態(支持プロセス)から、図12に示す面部10Aが鉛直方向に向くよう立設させるようにカバーガラス10をU方向(図11参照)に回動させると、図11に示す状態において、重ね合わされて密着されていた隣り合うカバーガラス10の面部10A間に僅かな隙間△Tが画成されることとなる(図12の拡大部参照)。この結果、各収納部15A、15Bにおいて、複数枚のカバーガラス10は、面部10A間に僅かな隙間△Tを画成する状態(図12の拡大部に示す状態)で図12に示すように、底辺部を支持面19上にそれぞれ載置し、支承させるように支持させることが可能となる(隙間形成プロセス)。
【0044】
上記のように、各面部10Aが鉛直方向に向くように立設し、重ね合わされて密着されていた隣り合うカバーガラス10の面部10A間に僅かな隙間△Tを画成する際、上方支持体としての開閉蓋32も図11に示す函体31の側面部が傾斜状態の段階でクッション材20Aが貼り付けられる開閉蓋32の下面の当接面20の部分を、面部10Aが傾斜状態のカバーガラス10の上辺部に当接する。この状態から隣り合うカバーガラス10の面部10A間に僅かな隙間△Tを画成する図12に示す状態に函体31を変形するようにし、さらに該変形状態を保持し、カバーガラス10の複数枚を、それぞれ収納体30内に収納させることが可能となる(隙間保持プロセス)。
【0045】
このように上記実施例に係る収納体30による収納によれば、複数枚の薄肉ガラス板からなるカバーガラス10を、間に僅かな隙間△Tを画成するようにして、その底辺部を函体31の支持面19上に支持させ、その上辺部を開閉蓋32の当接面20に当接し、立設状態で収納させることが可能となる。この結果、破損し易く、取り扱いに注意が必要なカバーガラス10を、表面に異物を付着させることなく、間に僅かな隙間△Tを画成する状態で収納させることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
以上のように本発明は、プレパラート上に配設された組織等に被覆されるカバーガラスを収納するための収納箱に応用可能とされる他、最近最も用途の多い液晶ガラス板を収納するための収納箱、マイクロマシン等に使用するための微少ガラス板を収納するための収納箱にも応用することが可能とされる。
【符号の説明】
【0047】
1:カバーガラス収納箱
2,13:開口
3A,3B,15A,15B:収納部
4,10:カバーガラス
5,14:蓋体
5A,17:側蓋部
6:ガラス粉
10A:面部
11:収納箱
12:箱本体
16:区画体
18:段部
19A,20A:クッション材
19,21:支持面
20,22:当接面
21A,22A:粘着シート材
30:収納体
31:函体
32:開閉蓋


【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体方形状で、かつ平板状の同サイズからなる、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士を対向させるようにして立設状態で収納させる薄肉ガラス板の収納方法において、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士並びに各面部同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部同士を密着させるようにして薄肉ガラス板の複数枚の一辺部を底辺部とし、各薄肉ガラス板の底辺部を水平状態に保持させ、加えて重ね合わされた薄肉ガラス板の複数枚の底辺部同士も、底辺部と交差する方向において水平状態に保持させ、こうして各薄肉ガラス板の底辺部並びに底辺部同士が水平状態に保持させて重ね合わされた各薄肉ガラス板の面部を鉛直方向に対する一方に傾斜させるように指向させ、立設させる立設プロセスと、立設プロセスにおいて各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるように指向させ、立設させた薄肉ガラス板の複数枚を、全体クッション性を有し、かつ水平に保持された支持面上に、底辺部並びに底辺部同士を水平に保持させた各薄肉ガラス板の底辺部をそれぞれ載置し、支承させるように支持させる支持プロセスと、支持プロセスにおいて各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるよう指向させ、支持面上に立設させた薄肉ガラス板の複数枚について、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成し、各薄肉ガラス板の底面部を支持面上にそれぞれ載置し、支承させるように支持させる隙間形成プロセスと、を備えてなる薄肉ガラス板の収納方法。
【請求項2】
隙間形成プロセスにおいて、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間が画成された状態において、支持面上に支持された各薄肉ガラス板に対し、上方より下面が水平で、クッション性を有する上方支持体を下降させ、各薄肉ガラス板の上辺部を、上方支持体に当接させて、隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成する状態を保持し、複数枚の薄肉ガラス板を収納可能とする隙間保持プロセスを、さらに備えてなる請求項1に記載の薄肉ガラス板の収納方法。
【請求項3】
全体方形状で、かつ平板状の同サイズからなる、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士を対向させるようにして、立設状態で収納させる薄肉ガラス板の収納方法において、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士並び各面部同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部同士を密着させるようにして薄肉ガラス板の複数枚の一辺部を底辺部とし、各薄肉ガラス板の底辺部を水平状態に保持させ、加えて重ね合わされた薄肉ガラス板の複数枚の底辺部同士も、底辺部と交差する方向において水平状態に保持させ、こうして各薄肉ガラス板の底辺部並びに底辺部同士が水平状態に保持させて重ね合わされた各薄肉ガラス板の面部を鉛直方向に対する一方に傾斜させるように指向させ、立設させる立設プロセスと、立設プロセスにおいて各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも、一方に傾斜させるように指向させ、立設させた薄肉ガラス板の複数枚を、表面粘着性を有しするか、あるいは表面摩擦性の高い材質で形成し、かつ水平に保持された支持面上に、底辺部並びに底辺部同士を水平に保持させた各薄肉ガラス板の底辺部をそれぞれ載置し、支承させるように支持させる支持プロセスと、支持プロセスにおいて各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるように指向させ、支持面上に立設させた薄肉ガラス板の複数枚について、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成し、各薄肉ガラス板の底面部を支持面上にそれぞれ載置し、支承させるように支持させる隙間形成プロセスと、
を備えてなる薄肉ガラス板の収納方法。
【請求項4】
隙間形成プロセスにおいて、各面部を鉛直状態に対応するように立設させ、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間が画成された状態において、支持面上に支持された各薄肉ガラス板に対し、上方より下面が水平で、表面粘着性を有するか、あるいは、表面が摩擦性の高い材質で形成される上方支持体を下降させ、各薄肉ガラス板の上辺部を、上方支持体に当接させて、隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成する状態を保持し、複数枚の薄肉ガラス板を収納可能とする隙間保持プロセスを、さらに備えてなる請求項3に記載の薄肉ガラス板の収納方法。
【請求項5】
全体方形状で、かつ平板状の同サイズからなる複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士を対向させるようにして立設状態で収納させる薄肉ガラス板の収納体において、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士並びに各面部同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部同士を密着させるようにして薄肉ガラス板の複数枚の一辺部を底辺部とし、各薄肉ガラス板の底辺部を水平状態に保持させ、加えて重ね合わされた薄肉ガラス板の複数枚も、底辺部と交差する方向において水平状態に保持させ、こうして各薄肉ガラス板の底辺部並びに底辺部同士が水平状態に保持されて重ね合わされた各薄肉ガラス板の面部を、鉛直方向に対する一方に傾斜させるように指向させ、立設させた薄肉ガラス板の複数枚を、内底部がクッション性を有し、かつ水平に保持させる支持面とされ、底辺部並びに底辺部同士を水平に保持させた各薄肉ガラス板の底辺部を該支持面にそれぞれ載置し、支承させるように支持可能とする下方支持体と、上記下方支持体の支持面上において、各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるように指向させ、支持面上に立設させた薄肉ガラス板の複数枚について、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間が画成可能とし、こうして下方支持体の支持面上に支持された各薄肉ガラス板の上辺部にそれぞれ当接して、隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成する状態を保持する上方支持体と、を備えてなる薄肉ガラス板の収納体。
【請求項6】
全体方形状で、かつ平板状の同サイズからなる複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士を対応させ、各面部同士を対向させるようにして立設状態で収納させる薄肉ガラス板の収納体において、複数枚の薄肉ガラス板を、各辺部同士、各隅部同士並びに各面部同士を相互に対応させるように重ね合わせ、重ね合わされた面部同士を密着させるようにして薄肉ガラス板の複数枚の一辺部を底辺部とし、各薄肉ガラス板の底辺部を水平状態に保持させ、加えて重ね合わされた薄肉ガラス板の複数枚も、底辺部と交差する方向において水平状態に保持させ、こうして各薄肉ガラス板の底辺部並びに底辺部同士が水平状態に保持されて重ね合わされた各薄肉ガラス板の面部を、鉛直方向に対する一方に傾斜させるように指向させ、立設させた薄肉ガラス板の複数枚を、内底部が粘着性を有し、かつ水平に保持させる支持面とされ、底辺部並びに底辺部同士を水平に保持させた各薄肉ガラス板の底辺部を該支持面にそれぞれ載置し、支承させるように支持可能とする下方支持体と、上記下方支持体の支持面上において、各面部同士が密着され、重ね合わされるように面部を鉛直状態よりも一方に傾斜させるように指向させ、支持面上に立設させた薄肉ガラス板の複数枚について、各面部を鉛直方向に立設させるようにし、重ね合わされて密着されていた隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間が画成可能とし、こうして下方支持体の支持面上に支持された各薄肉ガラス板の上辺部にそれぞれ当接して、隣り合う薄肉ガラス板の面部間に僅かな隙間を画成する状態を保持する上方支持体と、を備えてなる薄肉ガラス板の収納体。
【請求項7】
上方支持体における各薄肉ガラス板の上辺部に対し、それぞれ当接可能とされる当接面は、クッション性のある材質、粘着性を有する材質あるいは摩擦性の高い材質で形成することとしてなる請求項5あるいは請求項6のいずれかに記載の薄肉ガラス板の収納体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−73686(P2011−73686A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223886(P2009−223886)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(391020676)株式会社ギヤマン (2)
【Fターム(参考)】