説明

蛍光灯型LEDランプ及びLED照明装置

【課題】蛍光灯型LEDランプの低消費電力化を可能とする。
【解決手段】インバータ回路11は、負荷の変動に応じてDCバス電圧が変動する。LEDモジュール12は、蛍光灯と交換可能にインバータ回路11に取り付けられるLEDランプである。LED回路23は、1以上の発光ダイオードを含む。入力端子20は、インバータ回路11に接続され、インバータ回路11からLED回路23に入力すべき電力を入力する。整流回路22は、インバータ回路11が出力する高周波電圧を整流する。インダクタ24は、入力端子20とLED回路23との間、例えば整流回路22の出力とLED回路23との間に挿入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光灯型LEDランプに関し、更に詳しくは、蛍光灯の点灯装置に取り付けて蛍光灯の代わりに使用できる蛍光灯型LEDランプに関する。また、本発明は、そのようなLEDランプを用いたLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、低消費電力かつ長寿命の照明装置として、LED(発光ダイオード)を用いたLED照明装置が注目されている。LEDを利用した照明に関して、例えば特許文献1には、通常の蛍光灯と同じ外形を有する蛍光灯型LEDランプ(LEDモジュール)が記載されている。ユーザは、例えば既存の蛍光灯器具から蛍光灯を取り外し、これを蛍光灯型LEDランプと交換する。蛍光灯型LEDランプは、LEDを点灯させるための回路を含んでおり、既設の設備をそのまま用いつつ、光源をLEDに変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−54103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図4に、蛍光灯用のインバータに接続して使用できるLEDモジュールの回路構成例を示す。LEDモジュール50は、フィラメント相当回路51、整流回路52、及びLED回路53を有する。LED回路53は、例えば直列接続された複数のLEDを含む。インバータ回路54からの入力は、フィラメント相当回路51を介して整流回路52に入力され、整流回路52で整流された後にLED回路53に供給される。フィラメント相当回路51は、インバータの形式によっては省略できる場合もある。また、整流回路52は、LED回路53の構成によっては省略できる場合がある。
【0005】
ここで、LEDモジュール50は、省エネルギー効果を狙うなどの理由で、蛍光灯の点灯時よりも低い電力で点灯するように設計されることがある。例えば、消費電力が20Wの照明装置があり、蛍光灯部分の電力が16Wで、点灯装置のロスが4Wであったとする。このとき、蛍光灯の代わりに、LEDモジュール50に電力が10W入るように設計した蛍光灯型LEDランプを取り付けると、照明装置の消費電力は10W+4W=14Wとなる。この場合、照明装置の消費電力は、蛍光灯使用時(20W)に比べて、6Wだけ省エネルギー化することができる。
【0006】
しかしながら、インバータ回路54が、負荷の変動に応じてDCバス電圧が変動する回路である場合(例えば高調波対応型のワンコンバータの回路形式に多い)、上記のように蛍光灯に比べて低い電力で点灯するように設計されたLEDモジュール50を使用すると、LEDモジュール50への通電時にインバータ回路54側のDCバス電圧が上昇し、インバータ回路54を構成する部品の定格電圧を超える場合がある。これを回避するために、LEDモジュール50をあまり低い電力で点灯するように設計することができなかった。
【0007】
本願発明は、上記に鑑み、負荷の変動に応じてDCバス電圧が変動するインバータ回路に、蛍光灯に比して低い電力で点灯するように設計したLEDランプを接続したときでも、DCバス電圧の上昇を抑えることができる蛍光灯型LEDランプ及びLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、負荷の変動に応じてDCバス電圧が変動するインバータ回路と、蛍光灯と交換可能に前記インバータ回路に取り付けられるLEDランプであって、1以上の発光ダイオードを含むLED回路と、前記インバータ回路に接続され、前記インバータ回路から前記LED回路に入力すべき電力を入力する入力端子と、前記入力端子と前記LED回路との間に挿入されたインダクタとを有する蛍光灯型LEDランプとを備えることを特徴とするLED照明装置を提供する。
【0009】
本発明では、前記インダクタが、前記LED回路に対して直列に接続される構成とすることができる。
【0010】
本発明のLED照明装置では、LEDモジュールが、前記入力端子と接続され、前記インバータ回路の出力を整流して前記LED回路に供給する整流回路を更に備える構成を採用できる。インダクタは、整流回路の入力側又は出力側に挿入することができる。
【0011】
本発明は、また、蛍光灯型のLEDランプであって、1以上の発光ダイオードを含むLED回路と、インバータ回路に接続され、前記LED回路の入力すべき電力を入力する入力端子と、前記入力端子と前記LED回路との間に挿入されたインダクタとを備える蛍光灯型LEDランプを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の蛍光灯型LEDランプ及びLED照明装置では、入力端子とLED回路との間にインダクタが挿入されることで、LEDランプを蛍光灯に比して低い電力で点灯するように設計した場合でも、負荷の変動に応じてDCバス電圧が変動するインバータ回路のDCバス電圧の上昇を抑えることができる。このため、LEDランプをより低い電力で点灯するように設計することができ、LEDランプの更なる低消費電力化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態の蛍光灯型LEDランプを含むLED照明装置を示すブロック図。
【図2】本発明の変形例の蛍光灯型LEDランプを含むLED照明装置を示すブロック図。
【図3】本発明の別の変形例の蛍光灯型LEDランプを含むLED照明装置を示すブロック図。
【図4】蛍光灯用のインバータに接続して使用できるLEDモジュールの構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態の蛍光灯型LEDランプを含むLED照明装置を示す。LED照明装置10は、インバータ回路11と、LEDモジュール(蛍光灯型LEDランプ)12とを含む。LEDモジュール12は、フィラメント相当回路21、整流回路22と、LED回路23、及びインダクタ24を有する。LEDモジュール12は、蛍光灯型のLEDランプであり、既存の蛍光灯照明装置に取り付けられている通常の蛍光灯と取り換えて使用することができる。
【0015】
インバータ回路11は、蛍光灯を点灯させるための点灯装置を構成する。インバータ回路11は、負荷の変動に応じてDCバス電圧が変動するタイプのインバータ回路である。インバータ回路11は、例えば50Hz/60Hzの入力交流電圧を、高周波電圧に変換する。インバータ回路11には、例えば高調波対応型のワンコンバータが用いられる。一般的なツーコンバータ方式では、1つのコンバータで高調波を低減し、もう1つのコンバータでランプを点灯させる高周波電圧を生成するのに対し、高調波対応型のワンコンバータは、入力電流の高調波ひずみを低減させるスイッチング動作と、ランプを点灯させる高周波電圧を作り出すスイッチング動作を兼ねている。
【0016】
LEDモジュール12は、入力端子20によりインバータ回路11に接続される。入力端子20は、インバータ回路11から出力された高周波電圧を入力する。インバータ回路11からの入力は、フィラメント相当回路21を介して整流回路22に入力される。フィラメント相当回路21は、インバータ回路11の形式によっては省略することができる。整流回路22は、入力高周波電源を整流し、直流電圧をLED回路23に供給する。LED回路23は、1以上のLEDを含む。LED回路23は、例えば直列/並列に接続された複数のLEDを含んでいる。整流回路22は、出力電圧の平滑化を行う整流平滑回路でもよい。整流回路22は、LED回路23の構成によっては省略できる場合がある。
【0017】
LEDモジュール12は、蛍光灯点灯時の電力に比して低い電力で点灯するように設計されている。例えば、蛍光灯の電力37Wに対して、23Wで点灯するように設計されている。インバータ回路11側から見ると、LEDモジュール12に対して電力供給を行っているときは、蛍光灯に対して電力供給を行う場合に比して、電力が低くなる分だけ負荷が軽くなる。
【0018】
例えば上記の数値例の場合、インバータ回路11を含む点灯装置は、接続されたランプが蛍光灯のときは負荷(蛍光灯)に37Wの電力を供給し、接続されたランプがLEDモジュール12のときは負荷(LEDモジュール12)に23Wの電力を供給する。インバータ回路11が高調波対応型のワンコンバータ回路の場合、この減った分の14WのエネルギーがDCバス電圧の上昇にあてられ、結果として、DCバス電圧が上昇することになる。
【0019】
上記DCバス電圧の上昇を防ぐために、インダクタ(インダクタンス要素)24を用いる。インダクタ24は、インバータ回路11の負荷側(出力側)に、負荷に対して直列に挿入される。より詳細には、インダクタ24は、LED回路23の電源入力ラインに、LED回路23に対して直列に挿入される。インダクタ24が挿入されることで、LEDモジュール12を蛍光灯に比して低い電力で点灯するように設計したときでも、インダクタ24が挿入されない場合に比してDCバス電圧を低下させることができる。
【0020】
インダクタ24の挿入により、DCバス電圧が低下する理由について考察する。インバータ回路11側にLとCの共振回路があり、その共振電圧が負荷(LEDモジュール又は蛍光灯)に印加される。インバータ回路11の負荷側であるLEDモジュール12内にインダクタ24を設けることで、インバータ回路11のLとCの回路に更にLが足された形になって、共振条件が変化する。この共振条件の変化に伴い、インダクタ24がない場合よりもインバータ回路11のDCバス電圧が低くなるものと考えられる。
【0021】
なお、インダクタ24の位置は、整流回路22の出力側には限定されない。図2及び図3は、変形例を示す。図2では、インダクタ24は、整流回路22の入力側、すなわちフィラメント相当回路21の出力と整流回路22の入力との間に挿入される。また、図3では、インダクタ24は、インバータ回路11からの高周波電圧を入力する部分とフィラメント相当回路21との間に挿入されている。図2及び図3に示す変形例の位置にインダクタ24を挿入した場合も、図1の場合と同様に、インバータ回路11に、蛍光灯に比して低い電力で点灯するように設計したLEDモジュール12を接続したとき、インダクタ24が挿入されない場合に比してDCバス電圧を低下させることができる。
【0022】
本実施形態では、LEDモジュール12の入力端子20とLED回路23との間にインダクタ24が挿入される。インダクタ24を挿入することで、負荷の変動に応じてDCバス電圧が変動するインバータ回路11に対して、蛍光灯に比して低い電力で点灯するように設計したLEDモジュール12を接続したときでも、LEDモジュール12への通電時にインバータ回路11側のDCバス電圧が上昇することを抑えることができる。DCバス電圧の上昇が抑えられることで、LEDモジュール12をより低い電力で点灯するように設計したときでも、インバータ回路11の出力がインバータ回路部品の定格電圧を超える事態を回避することができ、LEDモジュール12の更なる低消費電力化が可能である。
【0023】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明のLEDモジュール及びLED照明装置は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0024】
10:LED照明装置
11:インバータ回路
12:LEDモジュール
21:フィラメント相当回路
22:整流回路
23:LED回路
24:インダクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷の変動に応じてDCバス電圧が変動するインバータ回路と、
蛍光灯と交換可能に前記インバータ回路に取り付けられるLEDランプであって、複数の発光ダイオードを含むLED回路と、前記インバータ回路に接続され、前記インバータ回路から前記LED回路に入力すべき電力を入力する入力端子と、前記入力端子と前記LED回路との間に挿入されたインダクタとを有する蛍光灯型LEDランプとを備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記インダクタが、前記LED回路に対して直列に接続されることを特徴とする請求項1に記載の蛍光灯型LEDランプ。
【請求項3】
前記入力端子と接続され、前記インバータ回路の出力を整流して前記LED回路に供給する整流回路を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の蛍光灯型LEDランプ。
【請求項4】
蛍光灯型のLEDランプであって、
複数の発光ダイオードを含むLED回路と、
インバータ回路に接続され、前記LED回路の入力すべき電力を入力する入力端子と、
前記入力端子と前記LED回路との間に挿入されたインダクタとを備える蛍光灯型LEDランプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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