説明

衣類乾燥機

【課題】衣類乾燥機内の極めて狭い空間に設置されたヒートポンプユニットにおいて、フィンチューブ式の熱交換器の正面以外からの空気の流入に対しても熱交換効率の低下を抑えた乾燥効率の高い衣類乾燥機を提供する。
【解決手段】空気循環経路の風向と前記吸熱器内及び前記放熱器内の通気路の風向がこの空気循環経路内で斜めになるよう前記吸熱器及び前記放熱器が配設された衣類乾燥機において、前記吸熱器及び前記放熱器は、複数の平板フィンと、前記平板フィンを蛇行しながら貫通する冷媒を流すためのチューブで構成されたフィンチューブ式熱交換器であり、前記吸熱器となる熱交換器の最初に空気が接触する前記チューブより風上側の前記平板フィンを前記空気循環経路の風上側の風向と並行になるように曲げ、前記放熱器となる熱交換器の最後に空気が接触する前記チューブより風下側の前記平板フィンを前記空気循環経路の風下側の風向と並行になるように曲げた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般家庭にて使用される洗濯乾燥機に用いられる衣類乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷媒を圧縮する圧縮機、圧縮機により圧縮されて高温高圧になった冷媒と周囲の空気とを熱交換させて冷媒の熱を放熱する放熱器、放熱器で放熱された高圧の冷媒を減圧するための絞り手段、絞り手段により減圧されて低温低圧となった冷媒と周囲の空気とを熱交換させて冷媒で周囲から熱を奪う吸熱器を順次冷媒が循環するように管路で連結して構成したヒートポンプ装置を、洗濯乾燥機に設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この構成によれば、衣類より蒸発させた水分を吸熱器に結露させることにより効率よく衣類の乾燥が行えると共に、衣類からの水分を含んだ温風の熱が吸熱器で吸収され、それが冷媒を介して圧縮機に送られ、圧縮機で暖められた冷媒の熱が放熱器で放熱されて温風を再加熱することで、熱を有効に活用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−178289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヒートポンプ方式の乾燥装置では、吸熱器で湿った衣類の水分を除湿することで冷凍サイクルの吸熱源とし、圧縮機を駆動するための電気入力を加えて、放熱器で空気を加熱することで更に衣類の水分を蒸発させる動作を繰り返している。
【0005】
しかしながら、ドラム式の衣類乾燥機において、乾燥室と背面との間にヒートポンプユニットを構成する場合、ドラム駆動モータを有するため送風路は駆動モータを挟む如くモータの左右に設置し、ヒートポンプユニットはドラム駆動モータの略下部に設置する場合がある。その場合ヒートポンプユニットの略上部や略左右から乾燥用空気は出入りすることとなる。
【0006】
通常、フィンチューブ式の熱交換器である吸熱器や放熱器は、フィンに対して正面から空気を流し、風速分布を均等に保つことが熱交換効率を高く保つ手段であるが、この場合、熱交換器に対して正面以外の方向から乾燥用空気の流入が発生する場合があるので、風路の通風抵抗の影響により熱交換器を通過する乾燥用空気の速度分布が不均一となり、熱交換効率が低下することによる乾燥効率の低下が発生するという課題を有していた。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ドラム式の衣類乾燥機内の極めて狭い空間に設置されたヒートポンプユニットにおいて、フィンチューブ式の熱交換器の正面以外からの空気の流入に対しても熱交換効率の低下を抑えた乾燥効率の高い衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、被乾燥物を収容する乾燥室と、冷媒が圧縮機、放熱器、減圧手段、吸熱器の順で循環する冷凍サイクルと、前記乾燥室の空気を送風手段により前記吸熱器から前記放熱器へ流した後に再び乾燥室へ導く空気循環経路と、を備え、この空気循環経路の風向と前記吸熱器内及び前記放熱器内の通気路の風向がこの空気循環経路内で斜めになるよう前記吸熱器及び前記放熱器が配設された衣類乾燥機において、前記吸熱器及び前記放熱器は、複数の平板フィンと、前記平板フィンを蛇行しながら貫通する冷媒を流すためのチューブで構成されたフィンチューブ式熱交換器であり、前記吸熱器となる熱交換器の最初に空気が接触する前記チューブより風上側の前記平板フィンを前記空気循環経路の風上側の風向と並行になるように曲げ、前記放熱器となる熱交換器の最後に空気が接触する前記チューブより風下側の前記平板フィンを前記空気循環経路の風下側の風向と並行になるように曲げたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の衣類乾燥機は、フィンチューブ式の熱交換器である吸熱器や放熱器のフィン形状を変更することにより、乾燥効率の低下を防止する衣類乾燥機を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用した一実施例の洗濯乾燥機の側面から見た内部構成図である。
【図2】図1の洗濯乾燥機の放熱器及び吸熱器の概略構成図である。
【図3】従来の洗濯乾燥機の放熱器及び吸熱器の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、ドラム式の衣類乾燥機内の極めて狭い空間に設置されたヒートポンプユニットにおいて、フィンチューブ式の熱交換器の正面以外からの空気の流入に対しても熱交換効率の低下を抑えた乾燥効率の高い衣類乾燥装置を提供するものであり、以下、図面に基づき本発明の実施形態を詳述する。
【0012】
図1は、本発明を適用した一実施例の洗濯乾燥機Wの側面から見た内部構成図を示している。洗濯乾燥機Wは、衣類等の被洗濯物(被乾燥物)を洗濯する洗濯運転とこれを乾燥する乾燥運転とを実行可能なものであって、外郭を構成する本体Bの外装ケース1側面上方には被洗濯物を出し入れするための取出口6を開閉するための開閉扉3が取り付けられており、開閉扉3の側方、或いは、上方の外装ケース1には各種の操作スイッチや表示部が配設された図示しない操作パネルが設けられている。
【0013】
前記本体B内には、貯水可能な円筒状樹脂製の外槽ドラム2が設けられ、この外槽ドラム2は円筒の軸を斜め方向として配設されている。そして、この外槽ドラム2の内側には、洗濯槽と脱水槽を兼ねる略円筒状のステンレス製の内槽ドラム5が設けられている。この内槽ドラム5の内部は被洗濯物を収容する収容室10とされ、これも円筒の軸を斜め方向として配設されると共に、この軸が外槽ドラム2に装着された駆動モータMの軸8に連結され、当該軸8を中心とし、外槽ドラム2内で回転可能に保持されている。
【0014】
更に、内槽ドラム5の一端面5A(図1の左上方の面)には、前記取出口6が形成されており、内槽ドラム5は、エチレンプロピレンゴム等から成る軟質ゴム部材11及び支持部材9を介してこの取出口6に回転自在に支持されている。この取出口6の下方に位置する支持部材9には後述する空気循環経路50の吸込口52が形成されている。この吸込口52は収容室10から空気を吐出させるための収容室10の空気出口である。また、内槽ドラム5の円筒の側面5S周囲及び軸方向における他端面5B(図1の右下方の面)には空気及び水が流通可能な複数の透孔7・・が形成されている。この透孔7・・は、洗濯運転においては水が流出すると共に、乾燥運転においては乾燥用の空気(循環空気)が流通するための孔となる。
【0015】
前述した駆動モータMは、洗濯運転及び当該洗濯運転終了後の乾燥運転において、外槽ドラム2及び内槽ドラム5の軸と同一の斜め方向の軸8を中心として内槽ドラム5を回転させるためのモータである。この駆動モータMは、前記軸8の一端に取り付けられ、後述するコントローラCにより、洗濯運転の脱水工程時には、高速にて内槽ドラム5を回転させると共に、乾燥運転時においては洗濯運転時に比して低速にて内槽ドラム5を回転させるよう制御されている。
【0016】
一方、前記本体Bの外槽ドラム2上方には、外槽ドラム2内に給水するための図示しない給水通路が設けられており、この給水通路の一端は給水バルブを介して水道水などの給水源に接続されている。給水バルブは前記コントローラCにて開閉が制御される。また、給水通路の他端は、前記外槽ドラム2に接続されて外槽ドラム2内の内槽ドラム5の上方にて開口しており、コントローラCにて前記給水バルブが開放されると、給水源から水(水道水)が外槽ドラム2内に供給されると共に、この水が内槽ドラム5の側面5S周囲の透孔7・・を介して収容室10にも供給されるように構成されている。
【0017】
また、前記本体Bの下部には、外槽ドラム2内(収容室10も含む)の水を排出するための排水手段としての図示しない排水通路が設けられており、この排水通路の一端は、洗濯乾燥機Wの外部に導出され、排水溝等に開口している。そして、排水通路の他端はコントローラCにて開閉が制御される排水バルブを介して内槽ドラム5の他端面5Bより外槽ドラム2の他端2B側となる外槽ドラム2の最低部と連通している。また、外槽ドラム2の他端2B上方には前記空気循環経路50の吹出口54が形成されている。この吹出口54は、収容室10に空気を導入するための収容室10の空気入口である。
【0018】
他方、本体B内の外槽ドラム2の前側から下側及び後側に渡って機械室60が構成され、この機械室60内に前述した空気循環経路50が構成されている。空気循環経路50内には後述するヒートポンプユニット20の放熱器22、吸熱器24が設けられている。
【0019】
この空気循環経路50は、空気が吸熱器24及び放熱器22と順次熱交換した後、収容室10の空気入口としての吹出口54に至り、当該収容室10を経た後、収容室10の空気出口としての吸込口52から再び吸熱器24に戻る空気循環を行わせるための経路である。
【0020】
また、空気循環経路50内には、ファン55が設けられている。このファン55は、乾燥運転において放熱器22で加熱された空気を空気循環経路50の吹出口54から内槽ドラム5内の収容室10に送り、収容室10を経た空気を吸込口52から吸熱器24に送った後、再び、放熱器22に戻すことにより、空気循環経路50内の空気循環を行うための送風手段である。本実施例では、ファン55は空気循環経路50内の放熱器22の空気下流側となる吹出口54側に配設されている。
【0021】
即ち、洗濯乾燥機Wは、乾燥運転時において、ファン55を運転して吸熱器24及び放熱器22と順次熱交換した空気を、収容室10に送風し、収容室10を経た空気を再び吸熱器24に戻すように循環させる構成とされている。
【0022】
次に、図1において、20は前述したヒートポンプユニットであり、このヒートポンプユニット20はコンプレッサ21、放熱器22、減圧装置としての膨張弁23及び吸熱器24等を順次環状に配管接続して構成された冷媒回路(冷凍サイクル)を備えている。尚、本実施例ではヒートポンプユニット20の減圧装置(減圧手段)として膨張弁23を用いるものとしたが、キャピラリーチューブを用いても差し支えない。また冷媒は二酸化炭素(CO2)であり、コンプレッサ21に圧縮されて冷凍サイクルの高圧側が超臨界圧力となる。
【0023】
本実施例では、コンプレッサにロータリコンプレッサを用いたが、これに限定されるものでなく、スクロール型、レシプロ型のコンプレッサなど、その他種々のコンプレッサも適用可能である。また、冷媒回路に封入する冷媒も二酸化炭素に限らず、既存の他の冷媒を用いるものとしても差し支えない。
【0024】
前記コンプレッサ21の冷媒吐出管25Bは、空気循環経路50の吹出口54側に設けられた空気加熱用の放熱器22の入口に接続される。そして、放熱器22を出た配管25Cは膨張弁23に至り、膨張弁23の出口に接続された配管25Dは、空気循環経路50の吸込口52側に設けられた吸熱器24の入口に接続され、吸熱器24の出口には上記コンプレッサ21の冷媒導入管25Aが接続されて、係る環状の冷媒回路を構成している。
【0025】
尚、本実施例の洗濯乾燥機Wは、前述したコントローラCにより運転が制御されている。このコントローラCは洗濯乾燥機Wの制御を司る制御手段であり、駆動モータMの運転、給水通路及び排水通路の各バルブの開閉、コンプレッサ21の運転、ファン55の風量等を制御している。更に、コントローラCは収容室10内に収容された被洗濯物が変色及び損傷しないように放熱器22を経た空気温度も制御している。具体的に、例えば、収容室10の空気入口である空気循環経路50の吹出口54の近傍に収容室10の入口温度を検出するための温度センサを取り付けて、コントローラCが当該温度センサにて検出される循環空気の温度が所定の温度となるようにコンプレッサ21の運転等を制御している。
【0026】
以上の構成で、水及び洗剤を使用した洗浄工程、すすぎ工程、脱水工程を行う洗濯運転とその後のヒートポンプユニット20を利用した乾燥運転とを順次実行する洗濯乾燥機Wの動作を説明する。
【0027】
先ず、前記コントローラCにより洗濯運転が開始される。これにより、前記給水通路の給水バルブが開かれ、給水通路が開放される。これにより、給水源から外槽ドラム2及び内槽ドラム5の透孔7・・を介して水が供給される。外槽ドラム2に供給された水は内槽ドラム5に形成された複数の透孔7・・を介しても収容室10に流入する。尚、このとき前記排水通路の排水バルブは閉じられている。
【0028】
そして、内槽ドラム5内の収容室10に所定量の水が溜まると、コントローラCにより給水バルブが閉じられて給水通路が閉塞される。これにより、給水源からの水の供給が停止される。
【0029】
次に、コントローラCにより駆動モータMが通電起動される。これにより、軸8が回転し、この軸8に取り付けられた内槽ドラム5が外槽ドラム2内で回転し始めて、洗濯運転の洗濯工程が開始される。そして、この洗濯工程の開始から所定時間経過すると、コントローラCにより駆動モータMが停止され、排水通路の排水バルブが開放されて内槽ドラム5の収容室10内(即ち、外槽ドラム2内)の水(洗濯水)が排出されていく。
【0030】
そして、収容室10(外槽ドラム2内)の水が排出されると、コントローラCにより再び駆動モータMが作動され、被洗濯物の脱水が行われる。この脱水が所定時間実行されると、排水バルブが閉じられ排水通路が閉塞されて、すすぎ工程に移行する。
【0031】
このすすぎ工程では、先ず、給水通路の給水バルブが開かれ、給水通路が開放される。これにより、給水源から外槽ドラム2内及び収容室10に再び水が供給される。そして、内槽ドラム5内の収容室10に所定量の給水が行われると、コントローラCにより給水バルブが閉じられ、給水通路が閉塞される。これにより、給水源からの水の供給が停止される。
【0032】
そして、前記駆動モータMの回転動作が所定時間繰り返されてすすぎが行われた後、駆動モータMが停止され、排水通路の排水バルブが開かれて、収容室10(外槽ドラム2内)のすすぎ水が排水通路に排出されていく。収容室10(外槽ドラム2内)のすすぎ水が排出されると、コントローラCにより駆動モータMが作動され、前述同様に内槽ドラム5が回転されて、被洗濯物の脱水を行う脱水工程に移行する。
【0033】
この脱水工程が所定時間実行されると、コントローラCにより排水通路の排水バルブが閉じられ、排水通路が閉塞される。更に、コントローラCによりコンプレッサ21が起動され、ファン55の運転が開始されると共に、前記駆動モータMにより内槽ドラム5を回転させて乾燥運転に移行する。
【0034】
一方、前記コンプレッサ21の起動により、冷媒導入管25からコンプレッサ21に冷媒(CO2)が吸い込まれて圧縮されて高温高圧の冷媒ガスとなり、冷媒吐出管26より外部に吐出される。
【0035】
冷媒吐出管26から吐出された冷媒ガスは空気循環経路50内に設けられた放熱器22に流入する。このとき、放熱器22に流入する冷媒の温度は+100℃〜+120℃程まで上昇して超臨界状態であり、係る高温高圧の冷媒ガスはここで、空気循環経路50内を循環する空気と熱交換して放熱し、+30℃〜+50℃程まで冷却される。
【0036】
放熱器22にて冷却された冷媒はその後、膨張弁23にて減圧された後、空気循環経路50内に設けられた吸熱器24にて循環空気(収容室10からの湿気を含んだ空気)と熱交換して蒸発する。即ち、冷媒回路20は、吸熱器24にて収容室10からの湿気を含んだ空気を凝結させ、当該空気内の水分を除去させると共に、当該吸熱器24において冷媒により循環空気から熱を汲み上げて、放熱器22に搬送して、収容室10に吐出される循環空気を加熱するヒートポンプとして機能する。
【0037】
このように、冷媒回路20を備えて、収容室10からの空気の水分を吸熱器24にて凝結除去し、このとき、空気から汲み上げた熱を、冷媒により放熱器22に搬送し、収容室10に吐出する循環空気の加熱に利用することで、エネルギー効率の改善を図ることができるようになる。特に、放熱器22により電気ヒーターなどの格別な加熱手段を用いること無く循環空気を高温に加熱することができるので、電気エネルギー等のエネルギーコストを削減して、より効率の良い乾燥運転を実現することができる。
【0038】
そして、吸熱器24にて蒸発した冷媒はその後、冷媒導入管25を経て、再び、コンプレッサ21に吸い込まれる循環を行う。
【0039】
また、前記ファン55の運転により、収容室10内の被洗濯物を乾燥させて湿気を含んだ空気(循環空気)は、収容室10を経て一端面5Aの取出口6の外周に設けられた支持部材9の下方に形成された吸込口52から空気循環経路50内に入り、吸熱器24を通過する。
【0040】
このとき、収容室10内の被洗濯物を乾燥させて湿気を含んだ空気は、当該吸熱器24を通過する過程で、吸熱器24を流れる冷媒と熱交換し、冷媒に熱を奪われて、空気中の水分が吸熱器24の表面に凝結する。これにより、当該吸熱器24にて被洗濯物を乾燥させて湿気を含んだ空気から水分を凝結除去し、再び乾燥した空気とすることができる。
【0041】
尚、吸熱器24の表面にて凝結した水分は、その後、水滴となって吸熱器24の下部に設けられた図示しないドレンパン上に落下し、ドレンパイプ、排水通路等を介して外部に排出される。
【0042】
一方、吸熱器24で湿気が取り除かれて乾燥した空気は、当該吸熱器24を流れる冷媒により熱を奪われて、+20℃〜+40℃程まで冷却される。その後、放熱器22の周囲を通過し、当該放熱器22を流れる高温高圧の冷媒ガスと熱交換して+90℃〜+110℃に加熱された後、ファン55に吸い込まれ、外槽ドラム2の他端面2Bの上方に形成された吹出口54、内槽ドラム5の他端面5Bに形成された透孔7・・から収容室10内に吐出される。
【0043】
そして、収容室10にて被洗濯物を乾燥させて水分を含んだ空気は、内槽ドラム5の一端面5Aに形成された前記吸込口52から空気循環経路50内に吸い込まれるサイクルを繰り返す。このような乾燥運転が実行されることにより、収容室10内の被洗濯物は完全に乾燥される。そして、乾燥運転が行われて、収容室10を経た空気温度が所定の温度に上昇すると、或いは、乾燥運転が所定時間行われると、コントローラCは乾燥運転を終了する。
【0044】
尚、本実施例の放熱器22及び吸熱器24は、フィンチューブ式の熱交換器であり、複数の平板フィン26と、平板フィンを蛇行しながら貫通する冷媒を流すためのチューブ27で構成されている。図3に示す通り、通常、フィンチューブ式の熱交換器は、空気循環経路50の風向と吸熱器24内及び放熱器22内の通気路28が空気循環経路50内で並行にして熱交換させるが、本実施例では、図1に示す通り、空気循環経路50の空気の風向(白抜き矢印)と吸熱器24内及び放熱器22内の通気路28の風向(点線矢印)が空気循環経路内で斜めになるよう吸熱器及び放熱器が配設されている。
【0045】
体的には、吸熱器24では、平板フィン26に対して、斜め方向から空気を流入し、放熱器22では、平板フィン26に対して、斜めの方向へ空気を流出している。並行の場合と比較して、熱交換性能の低下が懸念されるが、図2に示す通り、吸熱器24の熱交換器の最初に空気が接触するチューブ27より風上側の平板フィン26を空気循環経路50の風上側の風向と並行になるように曲げ、放熱器22の熱交換器の最後に空気が接触するチューブ27より風下側の平板フィン26を空気循環経路50の風下側の風向と並行になるように曲げることで熱交換性能の低下を防いでいる。
【0046】
本実施例の冷媒は二酸化炭素であり、冷凍サイクルの高圧側が超臨界圧力以上となるため、放熱器22で放熱する際に、二酸化炭素は相変化を伴わずに放熱するので放熱中の冷媒温度は大きく変化する。
【0047】
従って、フィンチューブ式熱交換器におけるチューブ27内を流れる二酸化炭素は、放熱とともに冷媒温度が降下する。このために、放熱器22の入口側にあるチューブ27と出口側にあるチューブ27との間には温度差が生じ、この温度差に起因して、入口側にあるチューブ27が高温部に、出口側にあるチューブ27が低温部になる。そして、平板フィン26を介して、入口側にあるチューブ27(高温部)から出口側にあるチューブ27(低温部)へ熱伝導による熱移動が生じる。その結果、出口側にあるチューブ27は加熱されてしまい、出口側にあるチューブ27を流れる二酸化炭素冷媒の温度が下がりにくくなるので、熱交換器の熱交換能力が低下する。
【0048】
図2に示す通り、コンプレッサ21から吐出された冷媒は、放熱器22の風下側のチューブ27から放熱器22となる熱交換器に入る構成であるので、放熱器22となる熱交換器の最後に空気と接触するチューブ27と隣りあうチューブ27の間には、熱伝導を阻止するための切り込み29を設けている。
【0049】
また、洗濯乾燥機の形態についてもドラム式の洗濯乾燥機に限るものではなく、パルセータ方式の縦型の洗濯乾燥機に適用することも可能であり、本発明の技術的範囲を逸脱するものではない。
【符号の説明】
【0050】
10 収容室(乾燥室)
21 コンプレッサ(圧縮機)
22 放熱器
23 膨張弁(減圧手段)
24 吸熱器
50 空気循環経路
55 ファン(送風手段)
26 平板フィン
27 チューブ
28 通気路
29 切り込み



【特許請求の範囲】
【請求項1】
被乾燥物を収容する乾燥室と、
冷媒が圧縮機、放熱器、減圧手段、吸熱器の順で循環する冷凍サイクルと、
前記乾燥室の空気を送風手段により前記吸熱器から前記放熱器へ流した後に再び乾燥室へ導く空気循環経路と、を備え、
この空気循環経路の風向と前記吸熱器内及び前記放熱器内の通気路の風向がこの空気循環経路内で斜めになるよう前記吸熱器及び前記放熱器が配設された衣類乾燥機において、
前記吸熱器及び前記放熱器は、複数の平板フィンと、前記平板フィンを蛇行しながら貫通する冷媒を流すためのチューブで構成されたフィンチューブ式熱交換器であり、
前記吸熱器となる熱交換器の最初に空気が接触する前記チューブより風上側の前記平板フィンを前記空気循環経路の風上側の風向と並行になるように曲げ、
前記放熱器となる熱交換器の最後に空気が接触する前記チューブより風下側の前記平板フィンを前記空気循環経路の風下側の風向と並行になるように曲げたことを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項2】
前記冷媒は二酸化炭素であり、前記冷凍サイクルの高圧側が超臨界圧力となる場合、前記放熱器となる熱交換器の最後に空気と接触する前記チューブと隣りあうチューブの間にある前記平板フィンには、熱伝導を阻止する切り込みが設けられていることを特徴とする請求項1記載の衣類乾燥機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−220873(P2010−220873A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72539(P2009−72539)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】