表示灯
【課題】LED光源の個数を多くすることなく、表示灯の側方への輝度を高めて広い視野角を確保する。
【解決手段】LED光源3からの光の一部を集束する集束傾斜面42aと、この集束傾斜面42aにて集束された光を側方に導く反射傾斜面42bとを有する複数の導光体42が表示灯取付け面に垂直な軸を中心として放射状に配置されてなる拡散部材4を、LED光源3の前方側に配置し、LED光源3からの光のうち各導光体42に入射した光を側方に拡散することにより表示灯の側方への輝度を高める。このように、拡散部材4の拡散効果により表示灯の側方への輝度を高めることで、LED光源3の個数を多くすることなく、低コストのもとに広視野で視認性が良好な表示灯を実現する。
【解決手段】LED光源3からの光の一部を集束する集束傾斜面42aと、この集束傾斜面42aにて集束された光を側方に導く反射傾斜面42bとを有する複数の導光体42が表示灯取付け面に垂直な軸を中心として放射状に配置されてなる拡散部材4を、LED光源3の前方側に配置し、LED光源3からの光のうち各導光体42に入射した光を側方に拡散することにより表示灯の側方への輝度を高める。このように、拡散部材4の拡散効果により表示灯の側方への輝度を高めることで、LED光源3の個数を多くすることなく、低コストのもとに広視野で視認性が良好な表示灯を実現する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、工場等に生産設備として設置されている各種機械や生産ラインなどに設置される表示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等においては、生産設備として設置されている各種機械類の作動状況あるいはメンテナンス時期などを周囲の作業者等に知らせるために、機械類の近傍に各種の表示灯が設置されている。また、生産ラインにおいて作業者等の安全を確保するために表示灯が設置されている。
【0003】
このような表示灯の光源としては、従来、白熱ランプが使用されていたが、最近では、消費電力の低減化や保守・管理に要する手間の削減等をはかることを目的として、LEDを光源とする表示灯が実用化されている。その一例を図24に示す。
【0004】
図24に示す表示灯201は、本体202と、この本体202の中央部に保持されるLED光源(LEDモジュール)203と、LED光源203の前方側を覆うカバーレンズ205などによって構成されている。この表示灯201は、本体202を操作パネルなどに締付ナット206を利用して固定する構造となっており、その取付状態でLED光源203を点灯することにより、機械類の作動状況や生産ラインの異常などを作業者等に知らせることができる。なお、図24に示す表示灯201のLED光源203としては、図25に示すように、モジュール前面231にLEDチップが実装されたLEDモジュールが用いられている。
【0005】
ところで、LEDの発光は、正面から見て中央部が輝度が最も高くて側方部(横方向)の輝度が低いという特性がある(図26参照)。このため、図25に示すようなLED光源203を用いた表示灯では、表示灯を正面から見た場合には視認性が良好であるが、表示灯を側方から見た場合、側方(横方向)への輝度が低いため視認性が悪いという問題がある。
【0006】
このような問題を解消する方法として、図27に示すように、複数のLED光源303・・303を搭載したLEDモジュール300を用いて、表示灯の側方への輝度を高めて視認性を良くするという方法が考えられるが、この場合、複数のLED光源が必要となるのでコスト高となる。
【0007】
また、配光特性を考慮した表示灯として、複数のLEDランプをカバーレンズ(グローブ)内に配列し、それら複数のLEDランプの前方に円錐形状のハーフミラーを配置することにより、表示灯の側方(横方向)の輝度を高めた構造の表示灯が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この特許文献1に記載の表示灯においても、LEDランプの個数が多くなるので、コスト高となる。
【特許文献1】特開2002−260404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、LED光源とする従来の表示灯において側方への輝度を高めるには、LED光源の個数を多くする必要があるので、コスト高となるうえ、生産性が悪くて量産化をはかることも難しくなる。さらに、LED光源の個数が多くなると、表示灯の構造が複雑になるとともに、設計の自由度も制限される。
【0009】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、LED光源の個数を多くすることなく、側方への輝度を高めて広い視野角を確保することが可能な表示灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の表示灯は、LED光源と、そのLED光源を保持する本体を備え、パネルまたは壁面などに取り付けて使用する表示灯であって、前記LED光源の前方側に拡散部材が設けられており、前記拡散部材は、当該表示灯の取付け面に垂直な軸を中心とし、その中心から側方に向けて放射状に延びる複数の導光体を有するとともに、その各導光体には、それぞれ、前記LED光源からの光のうち、各導光体に入射する光を当該表示灯の側方に導く傾斜面が形成されていることによって特徴づけられる。なお、本発明において、「側方」とは、表示灯の取付け面と略平行な方向のことを指す。
【0011】
本発明の表示灯によれば、LED光源からの光のうち、拡散部材の各導光体に入射する光は傾斜面にて側方に反射され、その反射光によって表示灯の側方への輝度を高めることができる。一方、LED光源からの光のうち、拡散部材の導光体に入射しない光つまり放射状に配置された導光体間に向かう光は、導光体間を通り抜けて前方(正面側)に出射するので、表示灯の正面への輝度も確保することができる。従って、広視野で視認性が良好な表示灯を実現することができる。しかも、表示灯の側方に光を出射する側方専用のLED光源を配置することなく、例えば表示灯の中央部にLED光源を配置するだけで、表示灯の側方への輝度を高めることができる。
【0012】
本発明の表示灯において、拡散部材の各導光体の入射側に、それぞれ、LED光源からの光を集束する傾斜面を形成しておくことが好ましい。このように導光体への入射光を集束する傾斜面を形成しておくと、LED光源からの光のうち、各導光体に入射する光を効率よく表示灯の側方に導くことができるので、表示灯の側方への輝度を更に高めることができる。
【0013】
本発明の表示灯において、拡散部材の各導光体の光出射面(導光体の側面)にそれぞれ凹凸を形成しておくことが好ましい。このように各導光体の光出射面に凹凸を形成しておくと、傾斜面によって側方に反射された光を光出射面で拡散することができるので、表示灯の側方への輝度分布の均一化をはかることができる。
【0014】
本発明の表示灯において、前記LED光源の前方側を覆う円形ドーム状のカバーレンズを設けておくことが好ましい。この場合、カバーレンズ内に前記拡散部材を収容するとともに、カバーレンズの内周面で拡散部材の側方に相当する部分に、LED光源からの光の一部を、当該表示灯の側方と斜め前方に拡散する側部拡散領域を形成しておいてもよい。
【0015】
その側部拡散領域には、例えば、表示灯の取付け面に垂直な軸と平行に延びる複数の拡散縦レンズ(断面略半円形)をカバーレンズの内周面に沿って一定のピッチで形成するとともに、その各拡散縦レンズの前端からそれぞれ前方内側に延びる拡散傾斜レンズ(断面略半円形)を形成しておく。
【0016】
このように、側部拡散領域に拡散縦レンズと拡散傾斜レンズを形成しておくと、拡散部材の各導光体によって側方に拡散された光(拡散部材を通過した光の一部も含む)を、拡散縦レンズによって更に拡散することができるので、側方への視認性を更に高めることができる。また、拡散傾斜レンズによって、拡散部材の各導光体からの光の一部を斜め前方に拡散することができるので、視野角を広げることができる。なお、このような拡散縦レンズと拡散傾斜レンズは、側部拡散領域の前後方向に複数段設けておいてもよい。
【0017】
本発明の表示灯において、前記カバーレンズの内周面で前記側部拡散領域の前方(拡散部材の前方)となる部分に、前記LED光源からの光の一部を、当該表示灯の側方と斜め前方及び前方に拡散する傾斜部拡散領域を形成しておいてもよい。
【0018】
その傾斜部拡散領域には、例えば、表示灯の取付け面に垂直な軸と平行に延びる複数の拡散縦レンズ(断面略半円形)と、表示灯の取付け面に垂直な軸に対して斜め内側に延びる複数の拡散傾斜レンズ(断面略半円形)とを、カバーレンズの内周面に沿って一定のピッチでかつ互いに所定の間隔をあけて形成しておく。
【0019】
このように、傾斜部拡散領域に拡散縦レンズと拡散傾斜レンズを形成しておくと、LED光源からの光のうち、拡散部材を通過した光の一部を側方と斜め前方及び前方(正面側)に効率よく拡散することができるので、視野角を更に広げることができる。なお、このような拡散縦レンズと拡散傾斜レンズとは傾斜部拡散領域の前後方向に複数段設けておいてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、LED光源からの光を側方(表示灯の取付け面と略平行な方向)に導く複数の導光体を有する拡散部材を設けているので、その拡散部材の拡散効果により表示灯の側方への輝度を高めることができる。しかも、LED光源の数を多くするすることなく、低コストのもとに、広視野角で視認性が良好な表示灯を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明の表示灯の一例を示す分解斜視図である。図2及び図3はそれぞれ図1の表示灯を使用状態で示す平面図及び側面図である。図4は図1の表示灯の要部縦断面図である。
【0023】
この例の表示灯1は、本体2、LED光源3、拡散部材4及びカバーレンズ5などによって構成されている。なお、この例では、LED光源3として、図25に示したものと同じ構造のLEDモジュールが用いられている。
【0024】
本体2は、円板状の背面カバー21と、LED光源3を取り付けるソケット部23が一体形成されており、背面カバー21の裏面が表示灯1の取付け面21aとなっている。背面カバー21の周縁には前方側に突出する側壁24が一体形成されている。側壁24の外周面には雄ねじ24aが形成されている。背面カバー21の前面側の中央部には、円筒形状のボス22が一体形成されており、このボス22の外周面に係止突条(雄ねじの一部)22a,22aが形成されている。
【0025】
ソケット部23は、背面カバー21の中央部(表示灯1の中心部)から背面側に突出しており、このソケット部23にLED光源3を前面側から取り付けることにより、LED光源3を表示灯1の中央に保持することができる。ソケット部23は、前部側の円筒部23aと後部側の端子部23bを備えており、円筒部23aの外周面には雄ねじ23cが形成されている。
【0026】
そして、以上の表示灯1は、図2及び図3に示すように、本体2のソケット部23(締付ナット6は取り外した状態)を、パネル100の取付穴101にパネル100の表側から挿入し、背面カバー21の取付け面21aをパネル100の表面にパッキン(図示せず)を介して当接させた状態で、パネル100の裏面側から締付ナット6を本体2の雄ねじ23cにねじ込んで締め付けることにより、表示灯1の全体をパネル100に固定することができる。
【0027】
次に、この例の特徴部分である拡散部材4及びカバーレンズ5の構成を説明する。
【0028】
−拡散部材−
この例の表示灯1に用いる拡散部材4を図5〜図9を参照しながら説明する。
【0029】
拡散部材4は、透光性樹脂(例えば、透明のポリカーボネート)の成形品であって、円筒部41と、この円筒部41の前方に位置する複数(12枚)の導光体42・・42とが一体形成されている。複数の導光体42・・42は、円筒部41の中心軸から側方に向けて放射状に延びており、これら複数の導光体42・・42の中央部(拡散部材4の中央部)に正面円形の貫通穴43が設けられている。なお、拡散部材4の中央部には必ずしも貫通穴43を設ける必要はなく、拡散部材4の中央部を透光性樹脂で構成して、LED光源3からの光が通過できるようにしてもよい。
【0030】
拡散部材4の円筒部41の後部側の内周面には、雌ねじ41aが周方向に沿って離散的に形成されており、この円筒部41の雌ねじ41aを、本体2に設けられたボス22の係止突条22a,22aにねじ込むことにより、拡散部材4を本体2に固定することができ(図4参照)、その固定状態で拡散部材4の円筒部41の中心と、本体2の中心(LED光源3の中心)とが一致する。なお、拡散部材4の円筒部41の外周面には凹凸41bが形成されている。
【0031】
各導光体42には、それぞれ、LED光源3に近い側となる端部(光入射側)にLED光源3からの光を集束する集束傾斜面42aが形成されており、さらに、LED光源3に対して遠い側となる端部に、集束傾斜面42aにて集束された光を、表示灯1の側方(本体2の取付け面21aと略平行な方向)に向けて反射するための反射傾斜面42bが形成されている。また、各導光体42の側面(光出射面)42cには、反射傾斜面42bからの光を拡散するための凹凸42dが形成されている。
【0032】
なお、集束傾斜面42aの傾斜角は、LED光源3からの光を集束して反射傾斜面42bに導くことが可能な角度であれば特に限定されない。また、反射傾斜面42bの傾斜角についても、集束傾斜面42aからの光を側方に向けて反射できる角度であれば特に限定されない。これら集束傾斜面42a及び反射傾斜面42bの各傾斜角は、LED光源3と各傾斜面42a,42bとの位置関係などを考慮して決定する。
【0033】
次に、拡散部材4の作用を以下に述べる。
【0034】
以上の構造の拡散部材4をLED光源3の前方側に配置しておくと、LED光源3からの光のうち、拡散部材4の各導光体42に向かう光は、図9(A)に示すように、各導光体42の集束傾斜面42aにて集束された後、導光体42中を進行して反射傾斜面42bへと向かう。反射傾斜面42bに到達した光は、この反射傾斜面42bによって表示灯1の側方に向けて反射され、その反射光によって表示灯1の側方への輝度が高められる。
【0035】
一方、図9(B)に示すように、LED光源3からの光のうち、拡散部材4の各導光体42に入射しない光つまり拡散部材4の中央の貫通穴43及び導光体42,42間に向かう光は、貫通穴43及び導光体42,42間を通り抜けて拡散部材4の前方に出射するので、表示灯1の正面への輝度も確保することができる。
【0036】
従って、拡散部材4をLED光源3の前方側に配置することにより、その拡散部材4の拡散効果によって広視野で視認性が良好な表示灯1を実現することができる。このように拡散部材4が、側方への輝度の向上及び視野の広角化の役割をはたすので、複数のLED光源を用いることなく、表示灯1の中央部に配置したLED光源3のみで、表示灯1の側方への輝度を高めることが可能になる。
【0037】
さらに、この例では、拡散部材4の各導光体42の側面42cに、それぞれ、反射傾斜面42bからの光を拡散する凹凸42dを形成しているので、反射傾斜面42bにて側方に反射された光を更に拡散することが可能となり、表示灯1の側方への輝度分布の均一化をはかることができる。また、拡散部材4の後部側の円筒部41の外周面にも凹凸41bを形成しているので、LED光源3から円筒部41に入射した光を側方に拡散することが可能であり、表示灯1の側方への輝度を更に高めることができる。
【0038】
−カバーレンズ−
この例の表示灯1に用いるカバーレンズ5を図10〜図23を参照しながら説明する。
【0039】
カバーレンズ5は、透光性樹脂(例えば、ポリカーボネート(着色もしくは透明))を円形ドーム状に成形した樹脂成形品である。
【0040】
カバーレンズ5の後端部の内周面には、雌ねじ5aが周方向に沿って離散的に形成されており、この雌ねじ5aを本体2の背面カバー21周縁の雄ねじ24aにねじ込むことにより、カバーレンズ5を本体2に取り付けることができる(図4参照)。そして、この取付状態で、LED光源3の前方側がカバーレンズ5にて覆われるとともに、そのカバーレンズ5内に拡散部材4が収容される。なお、図4に示すように、カバーレンズ5と本体2との合わせ面にはパッキン7が挟み込まれ、カバーレンズ5と本体2との間の防水が確保される。
【0041】
カバーレンズ5の内面には、図11〜図13に示すように、側部拡散領域51、傾斜部拡散領域52、及び、正面拡散領域53が形成されている。
【0042】
側部拡散領域51は、カバーレンズ5の後端部から拡散部材4の少し前方となる位置までの部分(拡散部材4の側方に相当する部分)に形成されている。側部拡散領域51には、表示灯1の取付け面21aに垂直な軸と平行に延びる複数の拡散縦レンズ(断面略半円形)51a・・51aがカバーレンズ5の内周面に沿って一定のピッチで形成されているとともに、その各拡散縦レンズ51aの前端からそれぞれ前方内側に延びる拡散傾斜レンズ(断面略半円形)51b・・51bが形成されている。
【0043】
この例では、拡散縦レンズ51a・・51aと拡散傾斜レンズ51b・・51bが側部拡散領域51の前後方向に2組(2段)形成されており、さらに、その2組のレンズ群の前方側に1段の拡散縦レンズ51a・・51aが形成されている。
【0044】
このように、側部拡散領域51に、拡散縦レンズ51aと拡散傾斜レンズ51bを形成しておくと、図18〜図20に示すように、拡散部材4の各導光体42によって側方に拡散された光の一部(拡散部材4を通過した光の一部も含む)を、拡散縦レンズ51aによって更に拡散することができるので、側方への視認性を更に高めることができる。また、拡散傾斜レンズ51bによって、拡散部材4の各導光体42からの光の一部(拡散部材4を通過した光の一部も含む)を斜め前方に拡散することができるので、表示灯1全体の視野角を広げることができる。
【0045】
正面拡散領域53は、正面から見て中央部に位置する部分(拡散部材4の正面と対向する部分)に形成されている。正面拡散領域53には、直径が異なる複数のリング状レンズ(断面略半円形)53a,53b,53cが同心円上に形成されており、LED光源3からの光のうち、拡散部材4を通過した光を前方に向けて拡散することができる。
【0046】
傾斜部拡散領域52は正面拡散領域53と側部拡散領域51との間に設けられている。傾斜部拡散領域52には、表示灯1の取付け面21aに垂直な軸と平行に延びる複数の拡散縦レンズ(断面略半円形)52a・・52aと、表示灯1の取付け面21aに垂直な軸に対して斜め内側に傾斜する複数の拡散傾斜レンズ(断面略半円形)52b・・52bとが、カバーレンズ5の内周面に沿って一定のピッチでかつ互いに所定の間隔をあけて形成されている。
【0047】
この例では、傾斜部拡散領域52の前後方向に4つの段部52c・・52cが設けられており、その各段部52cにそれぞれ複数の拡散縦レンズ52a・・52aと複数の拡散傾斜レンズ52b・・52bが形成されている。さらに、正面拡散領域53との境界付近にリング状レンズ52d(図15及び図23参照)が形成されている。
【0048】
このように、傾斜部拡散領域52に、拡散縦レンズ52a、拡散傾斜レンズ52b並びにリング状レンズ52dを形成しておくと、図21の断面図(図11のY7−Y7線断面図)に示すように、拡散縦レンズ52a及び拡散傾斜レンズ52bによって、LED光源3からの光のうち、拡散部材4を通過した光の一部を表示灯1の側方に拡散することができるので、表示灯1の側方への視認性を更に高めることができる。また、図22の端面図(図10のY1−Y1線端面図)及び図23の端面図(図10のY2−Y2線端面図)に示すように、拡散部材4を通過した光の一部を斜め前方及び前方(正面側)に拡散することができるので、表示灯1の斜め前方への視認性を確保することが可能となり、表示灯1の視野角を更に広げることができる。
【0049】
そして、以上のように、カバーレンズ5の内面に、側部拡散領域51、傾斜部拡散領域52及び正面拡散領域53を形成しておくことにより、表示灯1の前方、斜め方向及び側方のあらゆる方向(3次元方向)への視認性を確保することができるので、作業者などが表示灯1をどの方向から見ても確実に認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば、工場等に生産設備として設置されている各種機械類の作動状況あるいはメンテナンス時期などを周囲の作業者等に知らせるために、機械類の近傍に設置される表示灯や、生産ラインにおいて作業者などの安全を確保するために設置される表示灯において、あらゆる方向(3次元方向)への視認性を確保して、視野角を広くするのに有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の表示灯の一例を示す分解斜視図である。
【図2】図1の表示灯を使用状態で示す平面図である。
【図3】図1の表示灯を使用状態で示す側面図である。
【図4】図1の表示灯の要部縦断面図である。
【図5】図1の表示灯に用いる拡散部材の斜視図である。
【図6】図1の表示灯に用いる拡散部材の正面図(A)、側面図(B)及び背面図(C)を併記して示す図である。
【図7】図6のX1−X1線断面図である。
【図8】図6のX2−X2線断面図である。
【図9】拡散部材の作用説明図である。
【図10】図1の表示灯に用いるカバーレンズの正面図(A)、側面図(B)及び背面図(C)を併記して示す図である。
【図11】図10のY1−Y1線断面図である。
【図12】図10のY2−Y2線断面図である。
【図13】図10のY3−Y3線断面図である。
【図14】図11のZ1部詳細図である。
【図15】図12のZ2部詳細図である。
【図16】図10のZ3部詳細図である。
【図17】図13のZ4部詳細図である。
【図18】図11のY4−Y4線断面図である。
【図19】図11のY5−Y5線断面図である。
【図20】図11のY6−Y6線断面図である。
【図21】図11のY7−Y7線断面図である。
【図22】図10のY1−Y1線端面図である。
【図23】図10のY2−Y2線端面図である。
【図24】従来の表示灯の一例を示す半断面図である。
【図25】図24の表示灯に用いるLED光源の側面図である。
【図26】LEDの配光特性を示す図である。
【図27】表示灯の側方への輝度を高めるための方法を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 表示灯
2 本体
21 背面カバー
21a 取付け面
22 ボス
22a 係止突条
23 ソケット部
23a 円筒部
23b 端子部
23c 雄ねじ
24 側壁
3 LED光源
4 拡散部材
41 円筒部
41a 雌ねじ
41b 凹凸
42 導光体
42a 集束傾斜面
42b 反射傾斜面
42c 導光体の側面
42d 凹凸
43 貫通穴
5 カバーレンズ
5a 雌ねじ
51 側部拡散領域
51a 拡散縦レンズ
51b 拡散傾斜レンズ
52 傾斜部拡散領域
52a 拡散縦レンズ
52b 拡散傾斜レンズ
52c 段部
52d リング状レンズ
53 正面拡散領域
53a〜53c リング状レンズ
6 締付ナット
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、工場等に生産設備として設置されている各種機械や生産ラインなどに設置される表示灯に関する。
【背景技術】
【0002】
工場等においては、生産設備として設置されている各種機械類の作動状況あるいはメンテナンス時期などを周囲の作業者等に知らせるために、機械類の近傍に各種の表示灯が設置されている。また、生産ラインにおいて作業者等の安全を確保するために表示灯が設置されている。
【0003】
このような表示灯の光源としては、従来、白熱ランプが使用されていたが、最近では、消費電力の低減化や保守・管理に要する手間の削減等をはかることを目的として、LEDを光源とする表示灯が実用化されている。その一例を図24に示す。
【0004】
図24に示す表示灯201は、本体202と、この本体202の中央部に保持されるLED光源(LEDモジュール)203と、LED光源203の前方側を覆うカバーレンズ205などによって構成されている。この表示灯201は、本体202を操作パネルなどに締付ナット206を利用して固定する構造となっており、その取付状態でLED光源203を点灯することにより、機械類の作動状況や生産ラインの異常などを作業者等に知らせることができる。なお、図24に示す表示灯201のLED光源203としては、図25に示すように、モジュール前面231にLEDチップが実装されたLEDモジュールが用いられている。
【0005】
ところで、LEDの発光は、正面から見て中央部が輝度が最も高くて側方部(横方向)の輝度が低いという特性がある(図26参照)。このため、図25に示すようなLED光源203を用いた表示灯では、表示灯を正面から見た場合には視認性が良好であるが、表示灯を側方から見た場合、側方(横方向)への輝度が低いため視認性が悪いという問題がある。
【0006】
このような問題を解消する方法として、図27に示すように、複数のLED光源303・・303を搭載したLEDモジュール300を用いて、表示灯の側方への輝度を高めて視認性を良くするという方法が考えられるが、この場合、複数のLED光源が必要となるのでコスト高となる。
【0007】
また、配光特性を考慮した表示灯として、複数のLEDランプをカバーレンズ(グローブ)内に配列し、それら複数のLEDランプの前方に円錐形状のハーフミラーを配置することにより、表示灯の側方(横方向)の輝度を高めた構造の表示灯が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この特許文献1に記載の表示灯においても、LEDランプの個数が多くなるので、コスト高となる。
【特許文献1】特開2002−260404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、LED光源とする従来の表示灯において側方への輝度を高めるには、LED光源の個数を多くする必要があるので、コスト高となるうえ、生産性が悪くて量産化をはかることも難しくなる。さらに、LED光源の個数が多くなると、表示灯の構造が複雑になるとともに、設計の自由度も制限される。
【0009】
本発明はそのような実情に鑑みてなされたもので、LED光源の個数を多くすることなく、側方への輝度を高めて広い視野角を確保することが可能な表示灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の表示灯は、LED光源と、そのLED光源を保持する本体を備え、パネルまたは壁面などに取り付けて使用する表示灯であって、前記LED光源の前方側に拡散部材が設けられており、前記拡散部材は、当該表示灯の取付け面に垂直な軸を中心とし、その中心から側方に向けて放射状に延びる複数の導光体を有するとともに、その各導光体には、それぞれ、前記LED光源からの光のうち、各導光体に入射する光を当該表示灯の側方に導く傾斜面が形成されていることによって特徴づけられる。なお、本発明において、「側方」とは、表示灯の取付け面と略平行な方向のことを指す。
【0011】
本発明の表示灯によれば、LED光源からの光のうち、拡散部材の各導光体に入射する光は傾斜面にて側方に反射され、その反射光によって表示灯の側方への輝度を高めることができる。一方、LED光源からの光のうち、拡散部材の導光体に入射しない光つまり放射状に配置された導光体間に向かう光は、導光体間を通り抜けて前方(正面側)に出射するので、表示灯の正面への輝度も確保することができる。従って、広視野で視認性が良好な表示灯を実現することができる。しかも、表示灯の側方に光を出射する側方専用のLED光源を配置することなく、例えば表示灯の中央部にLED光源を配置するだけで、表示灯の側方への輝度を高めることができる。
【0012】
本発明の表示灯において、拡散部材の各導光体の入射側に、それぞれ、LED光源からの光を集束する傾斜面を形成しておくことが好ましい。このように導光体への入射光を集束する傾斜面を形成しておくと、LED光源からの光のうち、各導光体に入射する光を効率よく表示灯の側方に導くことができるので、表示灯の側方への輝度を更に高めることができる。
【0013】
本発明の表示灯において、拡散部材の各導光体の光出射面(導光体の側面)にそれぞれ凹凸を形成しておくことが好ましい。このように各導光体の光出射面に凹凸を形成しておくと、傾斜面によって側方に反射された光を光出射面で拡散することができるので、表示灯の側方への輝度分布の均一化をはかることができる。
【0014】
本発明の表示灯において、前記LED光源の前方側を覆う円形ドーム状のカバーレンズを設けておくことが好ましい。この場合、カバーレンズ内に前記拡散部材を収容するとともに、カバーレンズの内周面で拡散部材の側方に相当する部分に、LED光源からの光の一部を、当該表示灯の側方と斜め前方に拡散する側部拡散領域を形成しておいてもよい。
【0015】
その側部拡散領域には、例えば、表示灯の取付け面に垂直な軸と平行に延びる複数の拡散縦レンズ(断面略半円形)をカバーレンズの内周面に沿って一定のピッチで形成するとともに、その各拡散縦レンズの前端からそれぞれ前方内側に延びる拡散傾斜レンズ(断面略半円形)を形成しておく。
【0016】
このように、側部拡散領域に拡散縦レンズと拡散傾斜レンズを形成しておくと、拡散部材の各導光体によって側方に拡散された光(拡散部材を通過した光の一部も含む)を、拡散縦レンズによって更に拡散することができるので、側方への視認性を更に高めることができる。また、拡散傾斜レンズによって、拡散部材の各導光体からの光の一部を斜め前方に拡散することができるので、視野角を広げることができる。なお、このような拡散縦レンズと拡散傾斜レンズは、側部拡散領域の前後方向に複数段設けておいてもよい。
【0017】
本発明の表示灯において、前記カバーレンズの内周面で前記側部拡散領域の前方(拡散部材の前方)となる部分に、前記LED光源からの光の一部を、当該表示灯の側方と斜め前方及び前方に拡散する傾斜部拡散領域を形成しておいてもよい。
【0018】
その傾斜部拡散領域には、例えば、表示灯の取付け面に垂直な軸と平行に延びる複数の拡散縦レンズ(断面略半円形)と、表示灯の取付け面に垂直な軸に対して斜め内側に延びる複数の拡散傾斜レンズ(断面略半円形)とを、カバーレンズの内周面に沿って一定のピッチでかつ互いに所定の間隔をあけて形成しておく。
【0019】
このように、傾斜部拡散領域に拡散縦レンズと拡散傾斜レンズを形成しておくと、LED光源からの光のうち、拡散部材を通過した光の一部を側方と斜め前方及び前方(正面側)に効率よく拡散することができるので、視野角を更に広げることができる。なお、このような拡散縦レンズと拡散傾斜レンズとは傾斜部拡散領域の前後方向に複数段設けておいてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、LED光源からの光を側方(表示灯の取付け面と略平行な方向)に導く複数の導光体を有する拡散部材を設けているので、その拡散部材の拡散効果により表示灯の側方への輝度を高めることができる。しかも、LED光源の数を多くするすることなく、低コストのもとに、広視野角で視認性が良好な表示灯を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は本発明の表示灯の一例を示す分解斜視図である。図2及び図3はそれぞれ図1の表示灯を使用状態で示す平面図及び側面図である。図4は図1の表示灯の要部縦断面図である。
【0023】
この例の表示灯1は、本体2、LED光源3、拡散部材4及びカバーレンズ5などによって構成されている。なお、この例では、LED光源3として、図25に示したものと同じ構造のLEDモジュールが用いられている。
【0024】
本体2は、円板状の背面カバー21と、LED光源3を取り付けるソケット部23が一体形成されており、背面カバー21の裏面が表示灯1の取付け面21aとなっている。背面カバー21の周縁には前方側に突出する側壁24が一体形成されている。側壁24の外周面には雄ねじ24aが形成されている。背面カバー21の前面側の中央部には、円筒形状のボス22が一体形成されており、このボス22の外周面に係止突条(雄ねじの一部)22a,22aが形成されている。
【0025】
ソケット部23は、背面カバー21の中央部(表示灯1の中心部)から背面側に突出しており、このソケット部23にLED光源3を前面側から取り付けることにより、LED光源3を表示灯1の中央に保持することができる。ソケット部23は、前部側の円筒部23aと後部側の端子部23bを備えており、円筒部23aの外周面には雄ねじ23cが形成されている。
【0026】
そして、以上の表示灯1は、図2及び図3に示すように、本体2のソケット部23(締付ナット6は取り外した状態)を、パネル100の取付穴101にパネル100の表側から挿入し、背面カバー21の取付け面21aをパネル100の表面にパッキン(図示せず)を介して当接させた状態で、パネル100の裏面側から締付ナット6を本体2の雄ねじ23cにねじ込んで締め付けることにより、表示灯1の全体をパネル100に固定することができる。
【0027】
次に、この例の特徴部分である拡散部材4及びカバーレンズ5の構成を説明する。
【0028】
−拡散部材−
この例の表示灯1に用いる拡散部材4を図5〜図9を参照しながら説明する。
【0029】
拡散部材4は、透光性樹脂(例えば、透明のポリカーボネート)の成形品であって、円筒部41と、この円筒部41の前方に位置する複数(12枚)の導光体42・・42とが一体形成されている。複数の導光体42・・42は、円筒部41の中心軸から側方に向けて放射状に延びており、これら複数の導光体42・・42の中央部(拡散部材4の中央部)に正面円形の貫通穴43が設けられている。なお、拡散部材4の中央部には必ずしも貫通穴43を設ける必要はなく、拡散部材4の中央部を透光性樹脂で構成して、LED光源3からの光が通過できるようにしてもよい。
【0030】
拡散部材4の円筒部41の後部側の内周面には、雌ねじ41aが周方向に沿って離散的に形成されており、この円筒部41の雌ねじ41aを、本体2に設けられたボス22の係止突条22a,22aにねじ込むことにより、拡散部材4を本体2に固定することができ(図4参照)、その固定状態で拡散部材4の円筒部41の中心と、本体2の中心(LED光源3の中心)とが一致する。なお、拡散部材4の円筒部41の外周面には凹凸41bが形成されている。
【0031】
各導光体42には、それぞれ、LED光源3に近い側となる端部(光入射側)にLED光源3からの光を集束する集束傾斜面42aが形成されており、さらに、LED光源3に対して遠い側となる端部に、集束傾斜面42aにて集束された光を、表示灯1の側方(本体2の取付け面21aと略平行な方向)に向けて反射するための反射傾斜面42bが形成されている。また、各導光体42の側面(光出射面)42cには、反射傾斜面42bからの光を拡散するための凹凸42dが形成されている。
【0032】
なお、集束傾斜面42aの傾斜角は、LED光源3からの光を集束して反射傾斜面42bに導くことが可能な角度であれば特に限定されない。また、反射傾斜面42bの傾斜角についても、集束傾斜面42aからの光を側方に向けて反射できる角度であれば特に限定されない。これら集束傾斜面42a及び反射傾斜面42bの各傾斜角は、LED光源3と各傾斜面42a,42bとの位置関係などを考慮して決定する。
【0033】
次に、拡散部材4の作用を以下に述べる。
【0034】
以上の構造の拡散部材4をLED光源3の前方側に配置しておくと、LED光源3からの光のうち、拡散部材4の各導光体42に向かう光は、図9(A)に示すように、各導光体42の集束傾斜面42aにて集束された後、導光体42中を進行して反射傾斜面42bへと向かう。反射傾斜面42bに到達した光は、この反射傾斜面42bによって表示灯1の側方に向けて反射され、その反射光によって表示灯1の側方への輝度が高められる。
【0035】
一方、図9(B)に示すように、LED光源3からの光のうち、拡散部材4の各導光体42に入射しない光つまり拡散部材4の中央の貫通穴43及び導光体42,42間に向かう光は、貫通穴43及び導光体42,42間を通り抜けて拡散部材4の前方に出射するので、表示灯1の正面への輝度も確保することができる。
【0036】
従って、拡散部材4をLED光源3の前方側に配置することにより、その拡散部材4の拡散効果によって広視野で視認性が良好な表示灯1を実現することができる。このように拡散部材4が、側方への輝度の向上及び視野の広角化の役割をはたすので、複数のLED光源を用いることなく、表示灯1の中央部に配置したLED光源3のみで、表示灯1の側方への輝度を高めることが可能になる。
【0037】
さらに、この例では、拡散部材4の各導光体42の側面42cに、それぞれ、反射傾斜面42bからの光を拡散する凹凸42dを形成しているので、反射傾斜面42bにて側方に反射された光を更に拡散することが可能となり、表示灯1の側方への輝度分布の均一化をはかることができる。また、拡散部材4の後部側の円筒部41の外周面にも凹凸41bを形成しているので、LED光源3から円筒部41に入射した光を側方に拡散することが可能であり、表示灯1の側方への輝度を更に高めることができる。
【0038】
−カバーレンズ−
この例の表示灯1に用いるカバーレンズ5を図10〜図23を参照しながら説明する。
【0039】
カバーレンズ5は、透光性樹脂(例えば、ポリカーボネート(着色もしくは透明))を円形ドーム状に成形した樹脂成形品である。
【0040】
カバーレンズ5の後端部の内周面には、雌ねじ5aが周方向に沿って離散的に形成されており、この雌ねじ5aを本体2の背面カバー21周縁の雄ねじ24aにねじ込むことにより、カバーレンズ5を本体2に取り付けることができる(図4参照)。そして、この取付状態で、LED光源3の前方側がカバーレンズ5にて覆われるとともに、そのカバーレンズ5内に拡散部材4が収容される。なお、図4に示すように、カバーレンズ5と本体2との合わせ面にはパッキン7が挟み込まれ、カバーレンズ5と本体2との間の防水が確保される。
【0041】
カバーレンズ5の内面には、図11〜図13に示すように、側部拡散領域51、傾斜部拡散領域52、及び、正面拡散領域53が形成されている。
【0042】
側部拡散領域51は、カバーレンズ5の後端部から拡散部材4の少し前方となる位置までの部分(拡散部材4の側方に相当する部分)に形成されている。側部拡散領域51には、表示灯1の取付け面21aに垂直な軸と平行に延びる複数の拡散縦レンズ(断面略半円形)51a・・51aがカバーレンズ5の内周面に沿って一定のピッチで形成されているとともに、その各拡散縦レンズ51aの前端からそれぞれ前方内側に延びる拡散傾斜レンズ(断面略半円形)51b・・51bが形成されている。
【0043】
この例では、拡散縦レンズ51a・・51aと拡散傾斜レンズ51b・・51bが側部拡散領域51の前後方向に2組(2段)形成されており、さらに、その2組のレンズ群の前方側に1段の拡散縦レンズ51a・・51aが形成されている。
【0044】
このように、側部拡散領域51に、拡散縦レンズ51aと拡散傾斜レンズ51bを形成しておくと、図18〜図20に示すように、拡散部材4の各導光体42によって側方に拡散された光の一部(拡散部材4を通過した光の一部も含む)を、拡散縦レンズ51aによって更に拡散することができるので、側方への視認性を更に高めることができる。また、拡散傾斜レンズ51bによって、拡散部材4の各導光体42からの光の一部(拡散部材4を通過した光の一部も含む)を斜め前方に拡散することができるので、表示灯1全体の視野角を広げることができる。
【0045】
正面拡散領域53は、正面から見て中央部に位置する部分(拡散部材4の正面と対向する部分)に形成されている。正面拡散領域53には、直径が異なる複数のリング状レンズ(断面略半円形)53a,53b,53cが同心円上に形成されており、LED光源3からの光のうち、拡散部材4を通過した光を前方に向けて拡散することができる。
【0046】
傾斜部拡散領域52は正面拡散領域53と側部拡散領域51との間に設けられている。傾斜部拡散領域52には、表示灯1の取付け面21aに垂直な軸と平行に延びる複数の拡散縦レンズ(断面略半円形)52a・・52aと、表示灯1の取付け面21aに垂直な軸に対して斜め内側に傾斜する複数の拡散傾斜レンズ(断面略半円形)52b・・52bとが、カバーレンズ5の内周面に沿って一定のピッチでかつ互いに所定の間隔をあけて形成されている。
【0047】
この例では、傾斜部拡散領域52の前後方向に4つの段部52c・・52cが設けられており、その各段部52cにそれぞれ複数の拡散縦レンズ52a・・52aと複数の拡散傾斜レンズ52b・・52bが形成されている。さらに、正面拡散領域53との境界付近にリング状レンズ52d(図15及び図23参照)が形成されている。
【0048】
このように、傾斜部拡散領域52に、拡散縦レンズ52a、拡散傾斜レンズ52b並びにリング状レンズ52dを形成しておくと、図21の断面図(図11のY7−Y7線断面図)に示すように、拡散縦レンズ52a及び拡散傾斜レンズ52bによって、LED光源3からの光のうち、拡散部材4を通過した光の一部を表示灯1の側方に拡散することができるので、表示灯1の側方への視認性を更に高めることができる。また、図22の端面図(図10のY1−Y1線端面図)及び図23の端面図(図10のY2−Y2線端面図)に示すように、拡散部材4を通過した光の一部を斜め前方及び前方(正面側)に拡散することができるので、表示灯1の斜め前方への視認性を確保することが可能となり、表示灯1の視野角を更に広げることができる。
【0049】
そして、以上のように、カバーレンズ5の内面に、側部拡散領域51、傾斜部拡散領域52及び正面拡散領域53を形成しておくことにより、表示灯1の前方、斜め方向及び側方のあらゆる方向(3次元方向)への視認性を確保することができるので、作業者などが表示灯1をどの方向から見ても確実に認識することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば、工場等に生産設備として設置されている各種機械類の作動状況あるいはメンテナンス時期などを周囲の作業者等に知らせるために、機械類の近傍に設置される表示灯や、生産ラインにおいて作業者などの安全を確保するために設置される表示灯において、あらゆる方向(3次元方向)への視認性を確保して、視野角を広くするのに有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の表示灯の一例を示す分解斜視図である。
【図2】図1の表示灯を使用状態で示す平面図である。
【図3】図1の表示灯を使用状態で示す側面図である。
【図4】図1の表示灯の要部縦断面図である。
【図5】図1の表示灯に用いる拡散部材の斜視図である。
【図6】図1の表示灯に用いる拡散部材の正面図(A)、側面図(B)及び背面図(C)を併記して示す図である。
【図7】図6のX1−X1線断面図である。
【図8】図6のX2−X2線断面図である。
【図9】拡散部材の作用説明図である。
【図10】図1の表示灯に用いるカバーレンズの正面図(A)、側面図(B)及び背面図(C)を併記して示す図である。
【図11】図10のY1−Y1線断面図である。
【図12】図10のY2−Y2線断面図である。
【図13】図10のY3−Y3線断面図である。
【図14】図11のZ1部詳細図である。
【図15】図12のZ2部詳細図である。
【図16】図10のZ3部詳細図である。
【図17】図13のZ4部詳細図である。
【図18】図11のY4−Y4線断面図である。
【図19】図11のY5−Y5線断面図である。
【図20】図11のY6−Y6線断面図である。
【図21】図11のY7−Y7線断面図である。
【図22】図10のY1−Y1線端面図である。
【図23】図10のY2−Y2線端面図である。
【図24】従来の表示灯の一例を示す半断面図である。
【図25】図24の表示灯に用いるLED光源の側面図である。
【図26】LEDの配光特性を示す図である。
【図27】表示灯の側方への輝度を高めるための方法を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 表示灯
2 本体
21 背面カバー
21a 取付け面
22 ボス
22a 係止突条
23 ソケット部
23a 円筒部
23b 端子部
23c 雄ねじ
24 側壁
3 LED光源
4 拡散部材
41 円筒部
41a 雌ねじ
41b 凹凸
42 導光体
42a 集束傾斜面
42b 反射傾斜面
42c 導光体の側面
42d 凹凸
43 貫通穴
5 カバーレンズ
5a 雌ねじ
51 側部拡散領域
51a 拡散縦レンズ
51b 拡散傾斜レンズ
52 傾斜部拡散領域
52a 拡散縦レンズ
52b 拡散傾斜レンズ
52c 段部
52d リング状レンズ
53 正面拡散領域
53a〜53c リング状レンズ
6 締付ナット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED光源と、そのLED光源を保持する本体を備え、パネルまたは壁面などに取り付けて使用する表示灯であって、前記LED光源の前方側に拡散部材が設けられており、前記拡散部材は、当該表示灯の取付け面に垂直な軸を中心とし、その中心から側方に向けて放射状に延びる複数の導光体を有するとともに、その各導光体には、それぞれ、前記LED光源からの光のうち、各導光体に入射する光を当該表示灯の側方に導く傾斜面が形成されていることを特徴とする表示灯。
【請求項2】
前記拡散部材の各導光体の光入射側に、それぞれ、前記LED光源からの光を集束する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の表示灯。
【請求項3】
前記拡散部材の各導光体の光出射面に、それぞれ、凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の表示灯。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の表示灯において、前記LED光源の前方側を覆う円形ドーム状のカバーレンズが設けられており、そのカバーレンズ内に前記拡散部材が収容されているとともに、前記カバーレンズの内周面で前記拡散部材の側方に相当する部分に、前記LED光源からの光の一部を、当該表示灯の側方と斜め前方に拡散する側部拡散領域が形成されていることを特徴とする表示灯。
【請求項5】
前記カバーレンズの内周面で前記側部拡散領域の前方となる部分に、前記LED光源からの光の一部を、当該表示灯の側方と斜め前方及び前方に拡散する傾斜部拡散領域が形成されていることを特徴とする請求項4記載の表示灯。
【請求項1】
LED光源と、そのLED光源を保持する本体を備え、パネルまたは壁面などに取り付けて使用する表示灯であって、前記LED光源の前方側に拡散部材が設けられており、前記拡散部材は、当該表示灯の取付け面に垂直な軸を中心とし、その中心から側方に向けて放射状に延びる複数の導光体を有するとともに、その各導光体には、それぞれ、前記LED光源からの光のうち、各導光体に入射する光を当該表示灯の側方に導く傾斜面が形成されていることを特徴とする表示灯。
【請求項2】
前記拡散部材の各導光体の光入射側に、それぞれ、前記LED光源からの光を集束する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1記載の表示灯。
【請求項3】
前記拡散部材の各導光体の光出射面に、それぞれ、凹凸が形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の表示灯。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の表示灯において、前記LED光源の前方側を覆う円形ドーム状のカバーレンズが設けられており、そのカバーレンズ内に前記拡散部材が収容されているとともに、前記カバーレンズの内周面で前記拡散部材の側方に相当する部分に、前記LED光源からの光の一部を、当該表示灯の側方と斜め前方に拡散する側部拡散領域が形成されていることを特徴とする表示灯。
【請求項5】
前記カバーレンズの内周面で前記側部拡散領域の前方となる部分に、前記LED光源からの光の一部を、当該表示灯の側方と斜め前方及び前方に拡散する傾斜部拡散領域が形成されていることを特徴とする請求項4記載の表示灯。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2006−100124(P2006−100124A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284685(P2004−284685)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
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