説明

表示装置および表示方法

【課題】表示開始操作の入力からコンテンツ表示までの時間を短くすることができ、ユーザにおける焦燥感や違和感を軽減する。
【解決手段】表示装置120は、コンテンツの表示開始操作を受け付ける操作部130と、コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されているか否かを判定する判定部152と、表示開始操作を受け付けた後、コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されるまでの間、他の映像信号の出力を指示し、コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されると、コンテンツのデジタル映像信号の出力を指示する出力指示部154と、出力指示部の指示に従って、コンテンツのデジタル映像信号と他の映像信号とのいずれか一方を選択的に出力する選択出力部132と、選択出力部から出力された映像信号を表示する表示部134と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示開始操作に応じて入力された映像信号を表示する表示装置および表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、AV(Audio Visual)機器間において、高品質な映像や音声を伝送するためのインターフェースとしてHDMI(High Definition Multimedia Interface)規格が脚光を浴びている。ユーザは、例えば、デジタル放送チューナを内蔵したHDD(Hard Disk Drive)レコーダやBD(Blu-ray Disc)プレーヤ等の電子機器と、映像表示装置とを、HDMI規格に基づくHDMIケーブルで相互接続することで、電子機器から出力されるハイビジョン映像や高品質な音声を、品質を劣化させることなく映像表示装置で楽しむ事ができる。
【0003】
かかるHDMI規格においては、コンテンツの著作権を保護するための技術としてHDCP(High-bandwidth Digital Content Protection)が採用されている。したがって、上述したような高品質なデジタル信号をAV機器間で伝送する際には、HDCPに基づいて相互に認証が行われ、互いが正当な機器であることを確認して、はじめて暗号化した有効なデジタル信号の伝送が開始される。
【0004】
このようなHDCP認証が何らかの理由で失敗した場合に、接続先をデジタル信号側からアナログ映像信号側に自動的に切り換える技術が公開されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−50170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、HDCPでは、接続された双方の機器がHDCP認証に対応していることを確認した後、コンテンツの暗号化に利用する鍵を共有し、その共通鍵を用いてコンテンツを暗号化するといった厳格な認証が行われている。したがって、コンテンツをデジタル信号によって伝送するためには、その前提として所定の認証時間を要していた。
【0007】
したがって、HDMI接続を通じたデジタル信号、特にデジタル映像信号によるコンテンツの視聴をユーザが試みたとしても、そのコンテンツが表示されるまで数秒程度の認証時間が費やされ、ユーザは、焦燥感や違和感を覚えることもあった。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑み、表示開始操作の入力からコンテンツ表示までの時間を短くすることができ、ユーザにおける焦燥感や違和感を軽減することが可能な、表示装置および表示方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の表示装置は、コンテンツの表示開始操作を受け付ける操作部と、コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されているか否かを判定する判定部と、表示開始操作を受け付けた後、コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されるまでの間、他の映像信号の出力を指示し、コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されると、コンテンツのデジタル映像信号の出力を指示する出力指示部と、出力指示部の指示に従って、コンテンツのデジタル映像信号と他の映像信号とのいずれか一方を選択的に出力する選択出力部と、選択出力部から出力された映像信号を表示する表示部とを備える。
【0010】
他の映像信号は、デジタル映像信号と同一のコンテンツのアナログ映像信号であってもよい。
【0011】
表示開始操作を受け付けた後、コンテンツのデジタル映像信号の正当性を認証する認証部をさらに備えてもよい。
【0012】
デジタル映像信号は、HDMI規格に基づく信号であってもよい。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の表示方法は、コンテンツの表示開始操作を受け付け、コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されているか否かを判定し、コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されるまでの間、他の映像信号を出力して表示部に表示し、コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されると、他の映像信号に代えてコンテンツのデジタル映像信号を出力して表示部に表示する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、認証動作等により高品質なデジタル映像信号によるコンテンツをすぐに表示できない状況であっても、他の映像信号を一時的に代替表示することで、コンテンツが表示されていない時間を短くし、コンテンツの見逃し時間を極力短くしてユーザにおける焦燥感や違和感を防止すると共に、デジタル映像信号によるコンテンツが表示可能となれば、その高品質なコンテンツの視聴が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態における表示システムの概略的な接続関係を示した説明図である。
【図2】第1の実施形態における表示装置の概略的な構成を説明するための機能ブロック図である。
【図3】第1の実施形態における出力指示部の動作を示した説明図である。
【図4】第1の実施形態における出力指示部の動作を示した説明図である。
【図5】第1の実施形態における表示方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
【図6】第2の実施形態における出力指示部の動作を示した説明図である。
【図7】第2の実施形態における出力指示部の動作を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0017】
(第1の実施形態:表示システム100)
図1は、表示システム100の概略的な接続関係を示した説明図である。表示システム100は、複数の電子機器110(図1における110aや110b)と、表示装置120とを含んで構成され、電子機器110から供給されるコンテンツ(コンテンツの映像信号)を表示する。
【0018】
ここで、映像は、動画や静止画といった、視覚を通じて知覚可能なイメージを含む概念である。また、コンテンツ(デジタルコンテンツ)は映像、音声等の情報の内容を示し、その伝送方法がデジタル映像信号であるかアナログ映像信号であるかによって伝送後の品質が異なる。アナログ映像信号は、連続的な量を高分解能で示すことができる代わりにノイズに弱く、コンテンツの品質の劣化を招き易い。一方、デジタル映像信号は、離散値で示されるので分解能が有限であるものの、ノイズに強く、劣化を伴うことなくコンテンツを伝送することができる。
【0019】
電子機器110としては、AV機器、放送チューナ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーナビゲーション、ポータブルテレビ、ゲーム機器等の様々な機器を適用することができる。また、電子機器110は、HDMI等のデジタル映像信号出力端子、および、コンポジットやコンポーネントのアナログ映像信号出力端子を有し、コンテンツを、デジタル映像信号出力端子を通じてデジタルの状態のまま直接出力するか、または、DAC(Digital to Analog Converter)を通じてアナログ化しアナログ映像信号出力端子から出力することができる。
【0020】
また、電子機器110は、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の記憶媒体112から、または、インターネット、LAN(Local Area Network)、専用回線等の通信網114を通じてサーバ装置116からコンテンツを取得したり、放送局118からの放送電波を受信してコンテンツを取得することができる。
【0021】
表示装置120は、HDMIケーブルやAVケーブルを通じて電子機器110のデジタル映像信号出力端子やアナログ映像信号出力端子に接続され、電子機器110から出力されたコンテンツを表示する。また、表示装置120は、複数の電子機器110a、110bに並列接続している場合、その複数の電子機器110a、110bからコンテンツの入力先を選択することもできる。このとき、各電子機器110a、110bからは、それぞれデジタル映像信号とアナログ映像信号の伝送経路が形成されている。
【0022】
本実施形態では、特に、映像のコンテンツを伝送するためのデジタル映像信号のインターフェースとしてHDMI規格を用い、ユーザは、ハイビジョン放送をはじめとする高品質(高画質)なコンテンツを品質の劣化を伴うことなく視聴することが可能となる。しかし、劣化を伴わない高品質なコンテンツには著作権の保護を要する。HDMI規格の著作権保護技術として用いられるHDCPでは、接続された機器同士で厳格な認証が行われている。したがって、コンテンツをデジタル映像信号で伝送するための前提として所定の認証時間が必要となるが、その間は、コンテンツの提供を始めることができないので、ユーザは、焦燥感や違和感を覚えることもあった。
【0023】
そこで、本実施形態では、表示開始操作の入力からコンテンツ表示までの時間を短くすることができ、ユーザにおける焦燥感や違和感を軽減することが可能となる表示装置120や表示方法を提供する。以下、表示装置120の具体的な構成を説明し、その後、表示方法を詳述する。
【0024】
(表示装置120)
図2は、表示装置120の概略的な構成を説明するための機能ブロック図である。図2に示すように、表示装置120は、操作部130と、選択出力部132と、表示部134と、保持部136と、主制御部138とを含んで構成される。
【0025】
操作部130は、プッシュスイッチ、十字キー、ジョイスティック、タッチセンサ等のスイッチから構成され、ユーザによる任意のコンテンツの表示開始操作等の操作入力を受け付ける。ここで、表示開始操作は、任意の電子機器110(例えば電子機器110a)から他の電子機器110(例えば電子機器110b)に入力を切り換える場合や、任意の電子機器110から出力されるコンテンツの入力を開始する場合(例えば電源投入時)を含む。また、表示装置120に、赤外線通信等を通じてユーザによる操作入力を受け付けるリモートコントローラが設けられている場合、そのリモートコントローラも操作部130の一部として機能する。
【0026】
選択出力部132は、複数の電子機器110のデジタル映像信号出力端子とアナログ映像信号出力端子とにそれぞれ接続され、後述する出力指示部154の指示に従って、任意のコンテンツのデジタル映像信号とアナログ映像信号とのいずれか一方を選択的に出力する。具体的に、選択出力部132は、1のアナログ映像信号を選択するアナログ選択部132aと、1のデジタル映像信号を選択するデジタル選択部132bと、アナログ映像信号とデジタル映像信号とからいずれか一方を選択する最終選択部132cとからなり、アナログ選択部132aとデジタル選択部132bとは連動して複数の電子機器110から1の電子機器110の入力を選択し、最終選択部132cは、その1の電子機器110におけるアナログ映像信号とデジタル映像信号とを切り換える。
【0027】
表示部134は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のモニタで構成され、選択出力部132で出力されたコンテンツの映像信号を表示する。また、ここでは、表示部134に、電子機器110から取得したアナログ映像信号やデジタル映像信号を表示する構成を述べているが、映像信号のみならず、それに加えて音声信号を適用することが可能なのは言うまでもない。この場合、ダイナミックスピーカ、コンデンサスピーカ、骨伝導スピーカ、ヘッドホン等の音声出力装置(図示せず)が、選択出力部132を通じたアナログ音声信号またはデジタル音声信号を再生する。このとき音声は、人声や音楽等、聴覚を通じて知覚可能なあらゆる音を含む概念である。
【0028】
保持部136は、RAM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD等で構成され、後述する主制御部138で利用するプログラムやデータを保持する。
【0029】
主制御部138は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路により、表示装置120全体を制御する。特に本実施形態において、主制御部138は、認証部150、判定部152、出力指示部154として機能する。
【0030】
認証部150は、例えば、HDCPに基づいてデジタル映像信号の正当性を認証する。HDCPでは、まず、認証プロトコルを通じて、HDCP送信機(ここでは電子機器110)とHDCP受信機(ここでは表示装置120)とが双方を認証し合う。そして、機器間の伝送経路からコンテンツが漏洩するのを防止すべく、秘密に共有されたデータを、コンテンツを暗号化するための共通鍵として用い、コンテンツを暗号化して伝送を実行する。また、HDCPの安全性を保つために、伝送経路上において危険に晒された機器があれば、その機器とのデジタル映像信号の伝送を遮断する。
【0031】
認証部150は、操作部130で受け付けた表示開始操作が、任意の電子機器110で出力されるコンテンツの表示であれば、その電子機器110に対して上述した機器間認証を実行し、そのコンテンツをHDMI規格に基づくデジタル映像信号で入力できるようにする。かかる構成により、接続先の電子機器110が正当な機器であることを確認でき、著作権の問題を回避しつつ安全に電子機器110からデジタル映像信号によるコンテンツを入力することができる。ここでは、認証部150を主制御部138内におけるソフトウェアで構成しているが、HDMI規格に基づいてモジュール化されていれば、認証部150をハードウェアで構成することもできる。
【0032】
判定部152は、認証部150が実行した認証結果に基づいて、表示を所望する電子機器110における任意のコンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されているか否かを判定する。かかる判定部152では、デジタル映像信号が有効となった開始時点を判定するのみならず、コンテンツの入力開始後もデジタル映像信号が有効に入力され続けていることを判定する。
【0033】
出力指示部154は、操作部130が表示開始操作を受け付けた後、目的とする電子機器110から任意のコンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されるまでの間、すなわち、判定部152が任意のコンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されていないと判定している間、目的とする電子機器110から出力される任意のコンテンツ(同一コンテンツ)のアナログ映像信号の出力を選択出力部132に指示し、目的とする電子機器110から任意のコンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されると、その任意のコンテンツのデジタル映像信号の出力を選択出力部132に指示する。ここで、出力指示部154は、同一のコンテンツのアナログ映像信号およびデジタル映像信号の出力を指示しているが、当該アナログ映像信号およびデジタル映像信号は、同一の機器から出力されている場合に限らず、異なる機器から同時に提供される場合も含む。
【0034】
図3および図4は、出力指示部154の動作を示した説明図である。特に、図3は、任意の電子機器110(例えば電子機器110a)から他の電子機器110(例えば電子機器110b)に入力を切り換える場合を、図4は、任意の電子機器110bから出力されるコンテンツの入力を開始する場合を示している。
【0035】
図3に示すように、表示装置120において電子機器110aのコンテンツを表示しているときには、電子機器110aからはアナログ映像信号とデジタル映像信号とが並行して出力されており、出力指示部154は、選択出力部132のアナログ選択部132aとデジタル選択部132bに電子機器110aを選択させ、最終選択部132cにデジタル映像信号を選択させている。したがって、図3の表示信号(選択出力部132から出力される信号)は、電子機器110aのデジタル映像信号となっている。
【0036】
このとき、時点xにおいて、操作部130が任意の電子機器110bのコンテンツの表示開始操作を受け付けると、出力指示部154は、選択出力部132のアナログ選択部132aとデジタル選択部132bとにその入力を電子機器110bに切り換えさせ、最終選択部132cにその入力をアナログ映像信号に切り換えさせる。すると、表示信号として、電子機器110bのアナログ映像信号が表示されることとなる。同時に、認証部150は、電子機器110bと機器間認証を実行し、デジタル映像信号入力の準備を進める。
【0037】
判定部152は、認証部150が実行した認証結果を監視して、電子機器110bのコンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されているか否かを判定する。認証部150による認証が完了した時点yにおいて、判定部152が、デジタル映像信号が有効に入力されていると判定すると、出力指示部154は、選択出力部132のアナログ選択部132aとデジタル選択部132bとにその入力を電子機器110bで維持させ、最終選択部132cにその入力をデジタル映像信号に切り換えさせる。こうして、表示信号として、電子機器110bのデジタル映像信号が表示される。
【0038】
このように、電子機器110aのコンテンツを表示している途中で、ユーザによる他の電子機器110bのコンテンツの表示開始操作を受け付けると、表示装置120では、表示部134に、一旦電子機器110bのアナログ映像信号によるコンテンツを表示し、認証完了後、速やかにデジタル映像信号によるコンテンツを表示する。
【0039】
また、図4のように、他の電子機器110aからの切換ではなく、任意の電子機器110bから出力されるコンテンツの入力を開始する場合(例えば電源投入時)であっても、操作部130が任意の電子機器110bのコンテンツの表示開始操作を受け付けた時点zにおいて、出力指示部154は、選択出力部132のアナログ選択部132aとデジタル選択部132bに電子機器110bを選択させ、最終選択部132cにアナログ映像信号を選択させる。すると、表示信号として、電子機器110bのアナログ映像信号が表示されることとなる。同時に、認証部150は、電子機器110bと機器間認証を実行し、デジタル映像信号入力の準備を進める。
【0040】
そして、認証部150による認証が完了した時点vにおいて、判定部152が、デジタル映像信号が有効に入力されていると判定すると、出力指示部154は、選択出力部132のアナログ選択部132aとデジタル選択部132bとにその入力を電子機器110bで維持させ、最終選択部132cにその入力をデジタル映像信号に切り換えさせる。こうして、図3同様、表示信号として、電子機器110bのデジタル映像信号が表示される。
【0041】
ここでも、ユーザによる他の電子機器110bのコンテンツの表示開始操作を受け付けると、表示装置120では、一旦電子機器110bのアナログ映像信号によるコンテンツを表示し、認証完了後、速やかにデジタル映像信号を通じたコンテンツを表示する。
【0042】
以上のような表示装置120により、機器間認証等により高品質なデジタル映像信号によるコンテンツをすぐに表示できない状況であっても、同一のコンテンツのアナログ映像信号を一時的に代替表示することで、コンテンツが表示されていない時間を短くし、コンテンツの見逃し(音声信号を含む場合は、見逃しおよび聞き逃し)時間を極力短くしてユーザにおける焦燥感や違和感を防止すると共に、デジタル映像信号によるコンテンツが表示可能となれば、その高品質なコンテンツの視聴が可能となる。
【0043】
また、認証動作が完了するまでの所定の認証時間、アナログ映像信号が表示されることとなるが、その時間は、デジタル映像信号を視聴する時間と比べて非常に短いので、多少品質が劣化していたとしても問題は生じない。
【0044】
(表示方法)
次に、上述した表示装置120を用いて、表示開始操作に応じて入力された映像信号を表示する表示方法を具体的に説明する。
【0045】
図5は、表示方法の全体的な流れを示したフローチャートである。仮に、表示装置120が既に電子機器110aからデジタル映像信号によるコンテンツを入力しており、経路(1)を巡回しているとする。
【0046】
ここで、表示装置120の操作部130が電子機器110bのコンテンツの表示開始操作を受け付けると(S200においてYES)、出力指示部154は、選択出力部132のアナログ選択部132aとデジタル選択部132bに、目的とする電子機器110bへの切換を指示する(S202)。そして、出力指示部154は、選択出力部132の最終選択部132cに一旦アナログ映像信号を選択させて(S204)、電子機器110bのアナログ映像信号によるコンテンツを表示させる。また、認証部150は、電子機器110bと機器間認証を実行し、デジタル映像信号入力の準備を進める(S206)。
【0047】
判定部152は、認証部150の認証結果を用いて、電子機器110bのコンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されているか否かを常時判定し(S208)、電子機器110bからコンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されるまでの間、すなわち、判定部152がコンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されていないと判定している間(S208においてNO)、経路(2)を巡回してアナログ映像信号を表示する。
【0048】
このとき、出力指示部154が最終選択部132cにアナログ映像信号を選択させているか否か判定し(S210)、選択されていなかった場合(S210においてNO)、最終選択部132cにアナログ映像信号を選択させる(S212)。このようなアナログ映像信号の選択処理を設けることで、デジタル映像信号が選択されているとき、何らかの理由でデジタル映像信号の入力を維持できなくなった場合においても、速やかにアナログ映像信号を表示することができる。
【0049】
経路(2)を巡回している途中で、判定部152が、デジタル映像信号が有効に入力されていると判定すると(S208においてYES)、出力指示部154が最終選択部132cにデジタル映像信号を選択させているか否か判定し(S214)、選択されていなかった場合(S214においてNO)、最終選択部132cにデジタル映像信号を選択させる(S216)。こうして、電子機器110bからコンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されるようになると、経路(1)に戻り、デジタル映像信号を表示する。
【0050】
以上、説明した表示方法においても、コンテンツが表示されていない時間を短くし、コンテンツの見逃し時間を極力短くしてユーザにおける焦燥感や違和感を防止すると共に、デジタル映像信号によるコンテンツが表示可能となれば、高品質なデジタル映像信号によるコンテンツの視聴が可能となる。
【0051】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、操作部130がコンテンツの表示開始操作を受け付けた後、まず、そのコンテンツのアナログ映像信号を表示し、デジタル映像信号の認証完了後にコンテンツのデジタル映像信号を表示する構成を述べた。しかし、表示開始操作の対象である電子機器110が必ずしもアナログ映像信号もサポートしているとは限らず、また、電子機器110を切り換える場合において、切換前の電子機器110が必ずしもアナログ映像信号とデジタル映像信号の両方をサポートしているとは限らない。
【0052】
そこで、第2の実施形態では、電子機器110がアナログ映像信号とデジタル映像信号の両方をサポートしていない場合においても、コンテンツが表示されていない時間を短くし、コンテンツの見逃し時間を極力短くしてユーザにおける焦燥感や違和感を防止する構成を詳述する。第2の実施形態において出力指示部154は、第1の実施形態の出力指示部154同様、操作部130が受け付けた表示開始操作に応じて信号の出力を選択出力部132に指示する。
【0053】
第1の実施形態においては、同一のコンテンツにおけるアナログ映像信号からデジタル映像信号への切換が想定されているので、出力指示部154は、まず、選択出力部132のアナログ選択部132aとデジタル選択部132bとを連動して切り換え、認証完了後、最終選択部132cを切り換えていた。しかし、表示開始操作の対象である電子機器110がアナログ映像信号をサポートしていない場合、同一コンテンツのアナログ映像信号を選択することができない。そこで、第2の実施形態における出力指示部154は、そのような同一のコンテンツのアナログ映像信号の代わりに、電子機器110から任意のコンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されるまでの間、切換前に表示していた電子機器110の信号(アナログ映像信号またはデジタル映像信号)を選択させる。
【0054】
図6および図7は、出力指示部154の動作を示した説明図である。特に、図6は、切換前の電子機器110aがアナログ映像信号とデジタル映像信号の両方またはデジタル映像信号のみをサポートしている場合を、図7は、切換前の電子機器110aがアナログ映像信号のみをサポートしている場合を示している。ここで、表示開始操作の対象である電子機器110bは図6および図7のいずれの図においてもアナログ映像信号をサポートしていない。
【0055】
図6に示すように、表示装置120において電子機器110aのコンテンツを表示しているときには、電子機器110aからはアナログ映像信号とデジタル映像信号とが並行して(またはデジタル映像信号のみが)出力されており、出力指示部154は、選択出力部132のアナログ選択部132aとデジタル選択部132bに電子機器110aを選択させ、高品質な表示を実現するため、最終選択部132cにデジタル映像信号を選択させている。したがって、図6の表示信号は、電子機器110aのデジタル映像信号となっている。
【0056】
時点xにおいて、操作部130が任意の電子機器110bのコンテンツの表示開始操作を受け付けても、出力指示部154は、何らの処理を行わず、表示信号として、引き続き電子機器110aのデジタル映像信号を表示する。このとき、認証部150は、電子機器110bと機器間認証を実行し、デジタル映像信号入力の準備を進める。
【0057】
認証部150による認証が完了した時点yにおいて、判定部152が、デジタル映像信号が有効に入力されていると判定すると、出力指示部154は、選択出力部132の最終選択部132cにその入力をデジタル映像信号に維持させたまま、アナログ選択部132aとデジタル選択部132bにその入力を電子機器110bに切り換えさせる。こうして、表示信号として、電子機器110bのデジタル映像信号が表示される。
【0058】
ここでは、電子機器110aのコンテンツを表示している途中で、ユーザによる他の電子機器110bのコンテンツの表示開始操作を受け付けたとしても、電子機器110aのコンテンツの表示部134への表示を維持し、認証完了後、はじめて電子機器110bにおけるデジタル映像信号によるコンテンツを表示部134に表示する。
【0059】
ただし、ユーザによる操作が受け付けられたことをユーザに認識させるためOSD(On Screen Display)によりその旨報知するとよい。
【0060】
また、図7のように、切換前の電子機器110aがアナログ映像信号しかサポートしていない場合、表示装置120において電子機器110aのコンテンツを表示しているときには、出力指示部154は、選択出力部132のアナログ選択部132aとデジタル選択部132bに電子機器110aを選択させ、最終選択部132cにアナログ映像信号を選択させている。したがって、図7の表示信号は、電子機器110aのアナログ映像信号となっている。
【0061】
時点xにおいて、操作部130が任意の電子機器110bのコンテンツの表示開始操作を受け付けても、図6同様、出力指示部154は、何らの処理を行わず、表示信号として、引き続き電子機器110aのアナログ映像信号を表示する。このとき、認証部150は、電子機器110bと機器間認証を実行し、デジタル映像信号入力の準備を進める。
【0062】
認証部150による認証が完了した時点yにおいて、判定部152が、デジタル映像信号が有効に入力されていると判定すると、出力指示部154は、アナログ選択部132aとデジタル選択部132bとにその入力を電子機器110bに切り換えさせ、かつ、選択出力部132の最終選択部132cにその入力をデジタル映像信号に切り換えさせる。こうして、表示信号として、電子機器110bのデジタル映像信号が表示される。
【0063】
このように、電子機器110aのコンテンツを表示している途中で、ユーザによる他の電子機器110bのコンテンツの表示開始操作を受け付けたとしても、電子機器110aのコンテンツの表示部134への表示を維持し、認証完了後、はじめて電子機器110bにおけるデジタル映像信号を通じたコンテンツを表示部134に表示する。
【0064】
かかる表示装置120では、認証動作等により高品質なデジタル映像信号によるコンテンツをすぐに表示できない状況であり、かつ、電子機器110がデジタル映像信号しかサポートしていない場合であっても、例えば他のコンテンツの信号を一時的に代替表示することで、コンテンツが表示されていない時間を短くし、コンテンツの連続性を確保して、ユーザにおける焦燥感や違和感を防止すると共に、デジタル映像信号によるコンテンツが表示可能となれば、その高品質なコンテンツの視聴が可能となる。
【0065】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0066】
なお、本明細書の表示方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、表示開始操作に応じて入力された映像信号を表示する表示装置および表示方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
110 …電子機器
120 …表示装置
130 …操作部
132 …選択出力部
134 …表示部
150 …認証部
152 …判定部
154 …出力指示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツの表示開始操作を受け付ける操作部と、
前記コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されているか否かを判定する判定部と、
前記表示開始操作を受け付けた後、前記コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されるまでの間、他の映像信号の出力を指示し、前記コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されると、前記コンテンツのデジタル映像信号の出力を指示する出力指示部と、
前記出力指示部の指示に従って、前記コンテンツのデジタル映像信号と前記他の映像信号とのいずれか一方を選択的に出力する選択出力部と、
前記選択出力部から出力された映像信号を表示する表示部と、
を備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記他の映像信号は、前記デジタル映像信号と同一のコンテンツのアナログ映像信号であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示開始操作を受け付けた後、前記コンテンツのデジタル映像信号の正当性を認証する認証部をさらに備えることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項4】
前記デジタル映像信号は、HDMI規格に基づく信号であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
コンテンツの表示開始操作を受け付け、
前記コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されているか否かを判定し、
前記コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されるまでの間、他の映像信号を出力して表示部に表示し、
前記コンテンツのデジタル映像信号が有効に入力されると、前記他の映像信号に代えて前記コンテンツのデジタル映像信号を出力して前記表示部に表示することを特徴とする表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−188241(P2011−188241A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51517(P2010−51517)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】