表示装置および頭部装着型表示装置
【課題】装置の小型化、軽量化を図るとともに、立体表示を行うことが可能な頭部装着型表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の発光素子を有し、右目用画像を示す第1の光L1と、第1の光L1と同じ色で且つピーク波長が異なり、左目用画像を示す第2の光L2と、を射出する画像形成部2と、第1の光L1と第2の光L2とのうち、いずれか一方を透過し他方を反射する波長分離素子4と、波長分離素子4を介した第1の光L1を観察者の右目へ導き、波長分離光学系を介した第2の光を観察者の左目へ導く導光部5と、を備える。
【解決手段】複数の発光素子を有し、右目用画像を示す第1の光L1と、第1の光L1と同じ色で且つピーク波長が異なり、左目用画像を示す第2の光L2と、を射出する画像形成部2と、第1の光L1と第2の光L2とのうち、いずれか一方を透過し他方を反射する波長分離素子4と、波長分離素子4を介した第1の光L1を観察者の右目へ導き、波長分離光学系を介した第2の光を観察者の左目へ導く導光部5と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および頭部装着型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着型表示装置、Head Mounted Display。以下、HMDと称する)が普及している。一般に、HMDとしては左右一対の画像表示装置に表示された画像を観察者に両眼で観察させる両眼式のHMDが採用されている(例えば、特許文献1参照)。このような両眼式のHMDを観察者が装着した場合、観察者は左右のそれぞれの表示画像を重ねて1つの画像として観察する。
【0003】
しかし、特許文献1に記載されたHMDでは、左右一対の画像表示装置を備えることから、画像表示装置に付随する回路などの構成も左右一対必要となり、装置全体が大型になりやすい。
【0004】
そこで、1つの画像表示装置を用い、表示される画像をハーフミラーで右目用画像と左目用画像とに分割して用いる構成のHMDが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このようなHMDでは、左右一対の画像表示装置を有するHMDよりも装置構成が簡略化されるため、装置全体の小型化、軽量化を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−277818号公報
【特許文献2】特開平8−211326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで近年、表示画像を立体的に表現する技術が開発、実用化されてきている。このような技術として、例えば、人間の両眼にそれぞれ対応して両眼視差の分だけずらして作成された左目用画像と右目用画像とを、観察者が左目および右目にてそれぞれ観察する視差利用の方式を挙げることができる。
【0007】
HMDを用いて立体表示を行うことを想定すると、左右一対の画像表示装置を備えるものでは、それぞれ独立に左目用画像と右目用画像とを表示することができるため、容易に実現することができる。一方で、装置の小型化、軽量化を図るために1つの画像表示装置を用いた、上述の特許文献2のような構成のHMDでは、1つの画像表示装置で表示される画像をハーフミラーで分割するため、左右に同じ画像を表示することとなり、立体表示が実現できなかった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、装置の小型化、軽量化を図るとともに、立体表示を行うことが可能な頭部装着型表示装置を提供することを目的とする。また、このような頭部装着型表示装置に好適に用いられ、装置全体の小型化に資する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の頭部装着型表示装置は、複数の発光素子を有し、右目用画像を示す第1の光と、前記第1の光と同じ色で且つピーク波長が異なり、左目用画像を示す第2の光と、を射出する表示装置と、前記第1の光と前記第2の光とのうち、いずれか一方を透過し他方を反射する波長分離光学系と、前記波長分離光学系を介した前記第1の光を観察者の右目へ導き、前記波長分離光学系を介した前記第2の光を前記観察者の左目へ導く導光部と、を備える。
【0010】
この構成によれば、第1の光で表現する右目用画像と、第2の光で表現する左目用画像と、を一つの表示装置で表示しつつ、波長分離光学系で良好に分離して異なる方向に導くことができる。そのため、装置の小型化、軽量化を図りながら、良好に立体表示を実現する頭部装着型表示装置とすることができる。
【0011】
本発明においては、前記発光素子は、前記第1の光を射出する第1のサブ発光素子と、前記第2の光を射出する第2のサブ発光素子と、を有し、前記第1のサブ発光素子および前記第2のサブ発光素子は、それぞれ、一対の電極に挟持された発光層と、前記一対の電極のうち一方側に設けられた反射面と、他方側に設けられた半透過半反射面と、を有し、前記反射面と前記半透過半反射面との間で光共振器を形成しており、前記第1のサブ発光素子は、前記第2のサブ発光素子とは異なる共振長に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、第1の光および第2の光のそれぞれについて、波長帯の幅(例えば半値幅)を狭くすることができる。そのため、第1の光の波長帯と第2の光の波長帯との重なり部分が少なくなり、または無くなることから、波長分離光学系における分離が容易となり、いわゆるクロストークが抑制された良好な画像表示が可能となる。
【0012】
本発明においては、前記第1のサブ発光素子の共振長が、前記第1の光の中心波長に設定され、前記第2のサブ発光素子の共振長が、前記第2の光の中心波長に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、第1のサブ発光素子および第2のサブ発光素子の共振波長が、第1の光および第2の光となるため、色純度が高く高品質な画像表示が可能となる。
【0013】
本発明においては、前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第1の光を透過する第1着色層と、光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第2の光を透過する第2着色層と、を有することが望ましい。
この構成によれば、所望の吸収特性を有する着色層を用いることで、第1の光と第2の光を射出する発光素子を容易に形成することができる。
【0014】
本発明においては、前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第1の光を透過する第1波長分離膜と、光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第2の光を透過する第2波長分離膜と、を有することが望ましい。
この構成によれば、所望の反射透過特性を有する波長分離膜を用いることで、第1の光と第2の光を射出する発光素子を容易に形成することができる。
【0015】
本発明においては、前記複数の発光素子は、青色光を射出する第1発光素子と、緑色光を射出する第2発光素子と、赤色光を射出する第3発光素子と、を含むことが望ましい。
この構成によれば、フルカラー表示が可能となる。
【0016】
本発明においては、前記青色光に係る前記第1の色光のピーク波長は、前記青色光に係る前記第2の色光のピーク波長よりも長波長であり、前記緑色光に係る前記第1の色光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第2の色光のピーク波長よりも短波長であり、前記波長分離光学系は、前記青色光に係る前記第1の色光のピーク波長と、前記緑色光に係る前記第1の色光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を透過させることが望ましい。
この構成によれば、波長分離光学系の構成を簡略化することができる。
【0017】
本発明においては、前記緑色光に係る前記第2の色光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第1の色光のピーク波長よりも長波長であり、前記赤色光に係る前記第2の色光のピーク波長は、前記赤色光に係る前記第1の色光のピーク波長よりも短波長であり、前記分離光学系は、前記緑色光に係る前記第2の色光のピーク波長と、前記赤色光に係る前記第2の色光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を反射することが望ましい。
この構成によれば、波長分離光学系の構成を簡略化することができる。
【0018】
また、本発明においては、前記青色光に係る前記第2の色光のピーク波長は、前記青色光に係る前記第1の色光のピーク波長よりも長波長であり、前記緑色光に係る前記第2の色光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第1の色光のピーク波長よりも短波長であり、前記分離光学系は、前記青色光に係る前記第2の色光のピーク波長と、前記緑色光に係る前記第2の色光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を反射することとしてもよい。
この構成によれば、波長分離光学系の構成を簡略化することができる。
【0019】
本発明においては、前記緑色光に係る前記第1の色光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第2の色光のピーク波長よりも長波長であり、前記赤色光に係る前記第1の色光のピーク波長は、前記赤色光に係る前記第2の色光のピーク波長よりも短波長であり、前記分離光学系は、前記緑色光に係る前記第1の色光のピーク波長と、前記赤色光に係る前記第1の色光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を透過させることとしてもよい。
この構成によれば、波長分離光学系の構成を簡略化することができる。
【0020】
また、本発明における表示装置は、陽極と、該陽極に対向する陰極と、前記陽極と前記陰極との間に挟持された発光層と、を有する複数の発光素子を備え、前記発光素子は、第1の光を射出する第1のサブ発光素子と、前記第1の光と同じ色で且つピーク波長が異なる第2の光を射出する第2のサブ発光素子と、を有する。
この構成によれば、第1の光で表現する表示画像と、第2の光で表現する表示画像と、を一つの表示装置で表示することができる。そのため、本表示装置を頭部装着型表示装置に適用した場合に、装置全体の小型化、軽量化を図ることができる。
【0021】
本発明においては、前記発光素子は、前記陽極側に設けられた反射面と、前記陰極側に設けられた半透過半反射面と、の間で形成された光共振器構造を有し、前記第1のサブ発光素子は、前記第2のサブ発光素子とは異なる共振長を有することが望ましい。
この構成によれば、第1の光および第2の光のそれぞれについて、波長帯の幅(例えば半値幅)を狭くすることができる。そのため、本表示装置を頭部装着型表示装置に適用した場合に、クロストークが抑制された良好な画像表示を容易に可能とすることができる。
【0022】
本発明においては、前記第1のサブ発光素子の共振長が、前記第1の光の中心波長に設定され、前記第2のサブ発光素子の共振長が、前記第2の光の中心波長に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、第1のサブ発光素子および第2のサブ発光素子の共振波長が、第1の光および第2の光となるため、色純度が高い混品質な画像表示が可能となる。
【0023】
本発明においては、前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第1の光を透過する第1着色層と、光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第2の光を透過する第2着色層と、を有することが望ましい。
この構成によれば、所望の吸収特性を有する着色層を用いることで、第1の光と第2の光を射出する発光素子を容易に形成することができる。
【0024】
本発明においては、前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第1の光を透過する第1波長分離膜と、光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第2の光を透過する第2波長分離膜と、を有することが望ましい。
この構成によれば、所望の反射透過特性を有する波長分離膜を用いることで、第1の光と第2の光を射出する発光素子を容易に形成することができる。
【0025】
本発明においては、前記複数の発光素子は、青色光を射出する第1発光素子と、緑色光を射出する第2発光素子と、赤色光を射出する第3発光素子と、を含むことが望ましい。
この構成によれば、フルカラー表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態の頭部装着型表示装置を示す図である。
【図2】画像形成部の画素を示す平面図である。
【図3】画像形成部の各サブ画素の構成を示す模式図である。
【図4】発光部から射出される光の発光スペクトルである。
【図5】各サブ画素から射出される色光の発光スペクトルである。
【図6】本実施形態のダイクロイックミラーの反射・透過スペクトルである。
【図7】波長分離素子を介して分離される色光の発光スペクトルである。
【図8】本実施形態のダイクロイックミラー8の反射・透過スペクトルである。
【図9】本実施形態の画像形成部9の各サブ画素の構成を示す模式図である。
【図10】各サブ画素の有機EL素子から射出された色光の発光スペクトルである。
【図11】着色層を介して射出される色光の光学特性について示すグラフである。
【図12】着色層を介して射出される色光の光学特性について示すグラフである。
【図13】着色層を介して射出される色光の光学特性について示すグラフである。
【図14】波長分離素子を介して分離される色光の発光スペクトルである。
【図15】本実施形態における画像形成部のサブ画素の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、図1〜図8を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る表示装置および頭部装着型表示装置(ヘッドマウントディスプレイ)について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0028】
図1は、本実施形態のヘッドマウントディスプレイ(頭部装着型表示装置)1を示す図である。図1に示すヘッドマウントディスプレイ1は、互いに異なる左目用画像と右目用画像を、観察者の左目と右目に分けて表示することができる。上記の左目用画像及び右目用画像は、例えば両目の視差を考慮した画像であり、観察者は、3D画像を観察することができる。
【0029】
なお、ヘッドマウントディスプレイ1は、上記のように互いに異なる左目用画像と右目用画像を表示するモードの他に、左目に左目用画像を表示し、かつ右目に左目用画像と同じ右目用画像を表示するモードを有しており、通常の画像を表示することもできる。
【0030】
ヘッドマウントディスプレイ1は、右目用画像を示す第1の光L1と左目用画像を示す第2の光L2とを射出する画像形成部(表示装置)2と、画像形成部2から射出された第1の光L1及び第2の光L2が入射する位置に配置された結像部3と、結像部3を通った第1の光L1及び第2の光L2が入射する位置に配置され、第1の光L1と第2の光L2とを分離する波長分離素子(波長分離光学系)4と、波長分離素子4を介した光を観察者の左目および右目へ導く導光部5と、画像形成部2を駆動する駆動部6を備える。
【0031】
画像形成部2は、有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)である。画像形成部2が射出する第1の光L1と第2の光L2とは、同色で且つ波長が異なる光である。画像形成部2では、これら異なる波長の光を用いて右目用画像と左目用画像とを形成する。画像形成部2の構成については、後に詳述する。
【0032】
駆動部6は、ヘッドマウントディスプレイ1の外部のDVDプレイヤーやPC、携帯情報端末等の信号源から画像データを有線又は無線により受信し、画像形成部2に画像信号を供給する。
【0033】
結像部3は、導光部5を経由した第1の光L1が観察者の右目で結像し、導光部5を経由した第2の光L2が観察者の左目で結像するように、画像形成部2から射出された光L1,L2を屈折させる。結像部3は、複数のレンズ等によって構成される。
【0034】
上記のように、ヘッドマウントディスプレイ1を装着した観察者の両目の位置に対する画像形成部2の相対位置は、フレームの形状や寸法等により定まる。結像部3は、画像形成部2から射出された光が観察者の左目あるいは右目で結像するように、観察者の両目と画像形成部2の相対位置に基づいて、適宜設計可能である。なお、結像部3は、観察者によってピンボケが認識されない程度の許容範囲をもって、画像形成部2から射出された光を結像させればよい。
【0035】
波長分離素子4は、光透過性の材料で形成された、断面がほぼ直角二等辺三角形の柱状のプリズム7と、プリズム7の断面形状において斜辺を形成する面(以下、斜面と称する)に設けられたダイクロイックミラー8とを有している。図に示す波長分離素子4では、さらにもう一つプリズム7を用い、2つのプリズム7の斜面同士を貼り合わせた直方体状の外形を呈している。ダイクロイックミラー8は、結像部3の光軸に対して略45°の角度をなして傾斜している。
【0036】
ダイクロイックミラー8は、第1の光L1と第2の光L2との波長の違いに基づいて、一方を反射し、他方を透過させることにより、両者を分離する。図では、第1の光L1がダイクロイックミラー8で反射され、第2の光L2がダイクロイックミラー8を透過することとして示している。波長分離素子4では、このようにして第1の光L1と第2の光L2とを分離する。
【0037】
導光部5は、波長分離素子4で反射した第1の光L1を観察者の右目へ導く右目用導光部11と、波長分離素子4を透過した第2の光L2を観察者の左目へ導く左目用導光部12と、を有している。
【0038】
右目用導光部11は、ダイクロイックミラー8で反射した第1の光L1が入射する位置に配置されたレンズ13Rと、レンズ13Rを通った光が入射する位置に配置されたミラー14Rと、を含む。
【0039】
また、左目用導光部12は、ダイクロイックミラー8を透過した第2の光L2が入射する位置に配置されたプリズム15と、プリズム15で反射した第2の光L2が入射する位置に配置されたレンズ13Lと、レンズ13Lを通った第2の光L2が入射する位置に配置されたミラー14Lと、を含んでいる。
【0040】
プリズム15は、断面形状がほぼ直角二等辺三角形の柱状であり、互いに直交する2辺の片方を含んだ面が波長分離素子4の外面と接触するように、配置されている。上記の外面は、画像形成部2から射出されてダイクロイックミラー8を透過した第2の光L2が射出される面である。
【0041】
プリズム15は、ガラス等の誘電体からなり、例えば波長分離素子4のプリズム7と屈折率がほぼ同じである。すなわち、プリズム7とプリズム15は、光学的にほぼ連続しており、プリズム7とプリズム15の間の界面での光の屈折や反射等が抑制されている。
【0042】
プリズム15の斜面16は、波長分離素子4のダイクロイックミラー8と直交しており、ダイクロイックミラー8を透過した光の進行方向に対して略45°の角度をなして傾斜している。ダイクロイックミラー8を透過した光は、斜面16が全反射条件を満たすことによって、斜面16で反射する。
【0043】
レンズ13Rおよびレンズ13Lは、第1の光L1の結像面(右目)とダイクロイックミラー8との間の光路長と、第2の光L2の結像面(左目)とダイクロイックミラー8との間の光路長と、の違いによる焦点のずれを補正するように設けられている。焦点のずれを補正する必要がなければ、これらは省略することも可能である。
【0044】
ミラー14Rは、レンズ13Rを通った光を観察者の右目に向けて反射するように、配置されている。また、ミラー14Lは、レンズ13Lを通った光を観察者の左目に向けて反射するように、配置されている。
【0045】
上記のヘッドマウントディスプレイ1の各部は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ1の一部を構成する不図示のメガネ状のフレームに取り付けられている。観察者がこのフレームを装着すると、観察者の左目あるいは右目と、ヘッドマウントディスプレイ1の各部との相対位置が固定される。
本実施形態のヘッドマウントディスプレイ1の概略構成は、以上のようになっている。
【0046】
次に、画像形成部2の構成と、波長分離素子4の機能と、を説明し、ヘッドマウントディスプレイ1を用いた画像表示について詳細に説明する。
【0047】
図2は、画像形成部2の画素を示す平面図である。図では、画像形成部2が赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の色光を射出し、フルカラー表示が可能な有機EL装置であることとして示している。
【0048】
図に示すように、画素Pは、青色光を発する青用の2つのサブ画素(第1のサブ発光素子、第1発光素子)B1,サブ画素(第2のサブ発光素子、第1発光素子)B2と、緑色光を発する緑用の2つのサブ画素(第1のサブ発光素子、第1発光素子)G1,サブ画素(第2のサブ発光素子、第1発光素子)G2と、赤色光を発する赤用の2つのサブ画素(第1のサブ発光素子、第1発光素子)R1,サブ画素(第2のサブ発光素子、第1発光素子)R2で構成されている。これらのうち、サブ画素R1,G1,B1からは、第1の光L1が射出されて右目用画像を形成し、サブ画素R2,G2,B2からは、第2の光L2が射出されて左目用画像を形成する。
【0049】
すなわち、サブ画素R1からは、第1の光である第1赤色光RL1が射出され、サブ画素R2からは、第2の光である第2赤色光RL2が射出される。同様に、サブ画素G1からは、第1の光である第1緑色光GL1が射出され、サブ画素G2からは、第2の光である第2緑色光GL2が射出される。また、サブ画素B1からは、第1の光である第1青色光BL1が射出され、サブ画素B2からは、第2の光である第2青色光BL2が射出される。本実施形態では、第1の光のほうが第2の光よりも長波長の光であることとして、以下の説明を行う。
【0050】
図では、各サブ画素が行列方向に配列されており、一方向(行方向)には、発する色が異なるサブ画素が、赤用サブ画素、緑用サブ画素、青用サブ画素の順に繰り返し設けられている。更に、第1の光L1を射出するサブ画素R1,G1,B1、および第2の光L2を射出するサブ画素R2,G2,B2が、それぞれ同じ配列軸に沿って設けられている。
【0051】
また、当該行方向に交差する方向(列方向)には、同色のサブ画素が配列し、第1の光L1を射出するサブ画素と、第2の光L2を射出するサブ画素とが交互に設けられている。
【0052】
なお、図2に示した画素の配列は一例であり、他の配列であってもよい。例えば、列方向のサブ画素の配列は図2と同様とした上で、行方向に、サブ画素R1,G2,B1,R2…のように、第1の光L1を射出するサブ画素と第2の光L2を射出するサブ画素とを交互に配列することとしてもよい。この場合、第1の光L1を射出するサブ画素R1,G1,B1、および第2の光L2を射出するサブ画素R2,G2,B2が、それぞれ千鳥配置となり、表示画像の画質が向上する。
【0053】
このような各サブ画素は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)で形成されており、有機EL素子の構成を適宜変更することで、上述した各色光を射出する画像形成部2を構成している。
【0054】
図3は、画像形成部2の各サブ画素の構成を示す模式図である。図に示すように、画像形成部2のサブ画素は、不図示の駆動素子等が形成された基板20と、基板20に形成され光透過性を有する画素電極(一対の電極、反射面)21と、画素電極21に対向して設けられた陰極(一対の電極、半透過半反射面)22と、画素電極21および陰極22に挟持された発光部(発光層)23と、を有している。画素電極21と発光部23と陰極22とが、協働して有機EL素子(発光素子)を形成している。本実施形態の陰極22は、後述するように複数層で構成されている。
【0055】
また、画素電極21と陰極22との間には、発光部23の他に、正孔注入層24、正孔輸送層25,キャリア輸送層26、電子注入層27が形成されている。
【0056】
本実施形態の画像形成部2に採用される有機EL装置では、発光部23で生じる光Lが、陰極22を介して外部へ射出されるトップエミッション方式を採用している。以下、各構成要素について順に説明する。
【0057】
基板20を構成する基板本体は、光透過性を備える透明基板、及び光透過性を備えない不透明基板のいずれも用いることができる。このような基板としては、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)を用いることができる。また、これら材料を積層または混合して形成された複合材料を用いることもできる。
【0058】
基板20の上には、画素電極21が形成されている。画素電極21は、基板20側に形成された光反射性の第1層と、第1層上に積層して設けられた光透過性を有する第2層と、を有している。第1層の形成材料としては、例えばアルミニウムが挙げられ、第2層の形成材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等の金属酸化物を挙げることができる。
【0059】
画素電極21の上には、画素電極21からの正孔の注入を容易にする電荷移動層としての正孔注入層24が形成され、正孔注入層24の上には、正孔輸送層25が形成されている。
【0060】
正孔輸送層25の上には、発光部23が形成されている。発光部23は、正孔輸送層25の側から順に、赤色光を射出する赤色発光層23R、キャリア輸送層26、青色光を射出する青色発光層23B、緑色光を射出する緑色発光層23Gが積層して形成されている。発光部23の各発光層は、それぞれから射出される赤色光、青色光、緑色光が混色して、白色光となるように設計されている。
【0061】
さらに、発光部23の上には、陰極22からの電子の注入を容易にする電子注入層27が形成されている。これら、画素電極21と陰極22との間に形成された各層の形成材料としては、通常知られた材料を用いる事ができる。
【0062】
電子注入層27の上には、陰極22が形成されている。陰極22は、Mg(マグネシウム)とAg(銀)との共蒸着により形成した共蒸着層を用いて形成されている。
【0063】
このような陰極22は、MgとAgとの共蒸着比、および膜厚を制御することにより、半透過半反射性を有する。その結果、画素電極21と陰極22とは、発光部23から射出された光を共振させる光共振構造を構成し、画素電極21と陰極22との間の光学的距離に対応した共振波長の条件を満たす光のみが増幅され、陰極22側から特定のピーク波長の色光が取り出される構成となっている。
【0064】
このような構成の画像形成部2では、例えば、画素電極21を構成する光透過性の第2層の膜厚を変更し、画素電極21と陰極22との離間距離を変更することで、サブ画素毎に共振波長を変更し、各サブ画素から射出される光の波長を制御することができる。
【0065】
陰極22の上には、不図示のSiOxNyなどの無機膜を形成し、更に無機膜の上にはエポキシ樹脂を介してガラス基板を貼り合わせる、所謂、固体封止構造を備えるものとするとよい。
【0066】
図4は、発光部23から射出される光の発光スペクトルの例を示したグラフであり、図5は、各サブ画素から射出される色光の発光スペクトルの例を示したグラフである。図5(a)は、サブ画素B1,B2から射出される第1青色光BL1,第2青色光BL2について示したグラフであり、図5(b)は、サブ画素G1,G2から射出される第1緑色光GL1,第2緑色光GL2について示したグラフであり、図5(c)は、サブ画素R1,R2から射出される第1赤色光RL1,第2赤色光RL2について示したグラフである。各グラフにおいては、横軸は波長、縦軸は光の強度を示す。
【0067】
図4に示すように、発光部23から射出される光は、赤色光、青色光、緑色光が混色することで、白色光となる。
【0068】
一方、各サブ画素を構成する有機EL素子において、画素電極21と陰極22との離間距離を変更することにより、図5に示すように、種々の波長の色光を射出させることができる。例えば、青色光を射出するサブ画素B1,B2では、図5(a)に示す各光のピーク波長が、それぞれ第1青色光BL1,第2青色光BL2の波長帯の中心波長となるように、光共振器構造が設定されている。緑色光を射出するサブ画素、および赤色光を射出するサブ画素においても、同様に、各光のピーク波長がそれぞれの色光の中心波長となっている。
【0069】
すなわち、上述のような構成の画像形成部2では、波長の異なる色光を用いて好適に第1の光L1(右目用画像)と第2の光L2(左目用画像)とを射出することができる。
【0070】
このようにして射出された第1の光L1と第2の光L2は、波長分離素子4のダイクロイックミラー8によって分離される。
【0071】
図6は、本実施形態のダイクロイックミラー8の反射・透過スペクトルを示すグラフであり、横軸は波長、縦軸は各波長における反射率を示している。
【0072】
図に示すようにダイクロイックミラー8は、第1青色光BL1の大半を反射し、第2青色光BL2の大半を透過するような反射・透過特性を有している。同様に、ダイクロイックミラー8は、第1緑色光GL1の大半を反射し、第2緑色光GL2の大半を透過し、第1赤色光RL1の大半を反射し、第2赤色光RL2の大半を透過するような反射・透過特性を有している。
【0073】
このようなダイクロイックミラー8を介することにより、右目用画像を示す第1の光(第1青色光BL1、第1緑色光GL1、第1赤色光RL1)は、ダイクロイックミラー8で反射して図1に示す右目用導光部11に入射する一方、左目用画像を示す第2の光(第2青色光BL2、第2緑色光GL2、第2赤色光RL2)は、ダイクロイックミラー8を透過して図1に示す左目用導光部12に入射する。
【0074】
図7は、ダイクロイックミラー8を介して分離される色光の発光スペクトルの例を示したグラフであり、図5に対応するグラフである。ヘッドマウントディスプレイ1では、以上のようにして分離することができる第1の光(第1青色光BL1、第1緑色光GL1、第1赤色光RL1)を用いて右目用画像を表示し、第2の光(第2青色光BL2、第2緑色光GL2、第2赤色光RL2)を用いて左目用画像を表示することができる。
【0075】
以上のような構成のヘッドマウントディスプレイ1は、同一の画像形成部2で形成された左目用画像と右目用画像を、それぞれ、左目と右目で別々に観察することができる。したがって、左目用の画像形成部と右目用の画像形成部が別途設けられている構成と比較して、装置の小型化や軽量化を実現することができる。
【0076】
また、本実施形態のヘッドマウントディスプレイでは、光共振構造を用いて第1の光と第2の光とを形成することとしているため、第1の光と第2の光とを分離しやすい。そのため、第1の光を用いて表示する右目用画像と、第2の光を用いて表示する左目用画像と、が混じり合って観察されること(クロストーク)を抑制することができる。したがって、高品質な画像表示を実現することができる。
【0077】
また、以上のような構成の画像形成部2では、第1の光で表現する表示画像と、第2の光で表現する表示画像と、を一つの装置で表示することができる。そのため、ヘッドマウントディスプレイの小型化、軽量化を図ることができる。
【0078】
また、本実施形態では、各色光において右目用画像を形成する第1の光L1は、左目用画像を形成する第2の光L2よりも長波長であることとしたが、これに限らない。例えば、緑色光においては、第1の光(第1緑色光GL1)の方が第2の光(第2緑色光GL2)よりも短波長の光であることとしてもよい。
【0079】
その場合、用いるダイクロイックミラーの反射・透過スペクトルは図8のようになる。図8は、図6に対応するグラフである。
【0080】
すなわち、第1の光(第1緑色光GL1)の方が第2の光(第2緑色光GL2)よりも短波長の光であることとすると、用いるダイクロイックミラーでは、光を反射する波長帯の数と、光を透過する波長帯の数とが、第1青色光BL1と第1緑色光GL1とを反射する波長帯が連続し、第2緑色光GL2と第2赤色光RL2とを透過する波長帯が連続する。したがって、反射・透過スペクトルが簡略化され、用いるダイクロイックミラーを容易に構成することが可能となる。
【0081】
なお、図8では、第1青色光BL1のほうが第2青色光BL2よりも長波長であり、第1緑色光GL1のほうが第2緑色光GL2よりも短波長であり、第1赤色光RL1のほうが第2赤色光RL2よりも長波長であることとしたが、これに限らない。すなわち、第1青色光BL1のほうが第2青色光BL2よりも短波長であり、第1緑色光GL1のほうが第2緑色光GL2よりも長波長であり、第1赤色光RL1のほうが第2赤色光RL2よりも短波長であることとしてもよい。
【0082】
[第2実施形態]
図9〜14は、本発明の第2実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの説明図である。本実施形態においては、第1実施形態のヘッドマウントディスプレイ1と一部共通し、画像形成部の有機EL素子の構成と、波長分離素子が有するダイクロイックミラーの特性とが異なっている。したがって、本実施形態においては、これらの違いについて詳細に説明する。また、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0083】
図9は、本実施形態の画像形成部9の各サブ画素の構成を示す模式図であり、第1実施形態の図3に対応する図である。図では、青色光を射出するサブ画素B1,B2について説明するが、緑色光を射出するサブ画素、赤色光を射出するサブ画素においても、同様の構成を採用する。
【0084】
本実施形態の画像形成部9では、サブ画素B1が有する画素電極211と陰極22との間の離間距離、および、サブ画素B2が有する画素電極212と陰極22との間の離間距離は、同じピーク波長の青色光BLを射出するように、いずれも等しくなっている。
【0085】
同様に、本実施形態の画像形成部9では、緑色光を射出するサブ画素(図2に示すサブ画素G1,G2に対応)においては、画素電極212と陰極22との間の離間距離は、同じピーク波長の緑色光を射出するように設計され、赤色光を射出するサブ画素(図2に示すサブ画素R1,R2に対応)においては、画素電極212と陰極22との間の離間距離は、同じピーク波長の赤色光を射出するように設計されている。
【0086】
画像形成部9では、陰極22の上方に、陰極22を介して外部に射出される光Lが透過するカラーフィルター層29が設けられている。カラーフィルター層29は、サブ画素B1に対応する第1着色層291と、サブ画素B2に対応する第2着色層292と、を有している。
【0087】
第1着色層291は、第1青色光BL1を透過し、第2青色光BL2を吸収する光学特性を有している。そのため、図9に示すように、第1着色層291を介して外部に射出される光は、第1青色光BL1となる。
【0088】
一方、第2着色層292は、第1青色光BL1を吸収し、第2青色光BL2を透過する光学特性を有している。そのため、図9に示すように、第2着色層292を介して外部に射出される光は、第2青色光BL2となる。
【0089】
同様に、本実施形態の画像形成部9では、緑色光を射出するサブ画素(図2に示すサブ画素G1,G2に対応)に対応して、第1緑色光および第2緑色光を形成する着色層が設けられ、赤色光を射出するサブ画素(図2に示すサブ画素R1,R2に対応)に対応して、第1赤色光および第2赤色光を形成する着色層が設けられている。
【0090】
図10〜13は、第2実施形態の画像形成部9における各構成の特性を示すグラフである。
【0091】
図10は、各サブ画素の有機EL素子から射出された色光の発光スペクトルを例示したグラフであり、図10(a)は青色光、図10(b)は緑色光、図10(c)は赤色光について示している。図に示すように、着色層に入射する前には、1つのピークを有する波長分布の色光が射出される。
【0092】
図11〜13は、着色層の光学特性と、着色層を介して射出される色光の発光スペクトルと、を示すグラフである。図11は青色光、図12は緑色光、図13は赤色光をそれぞれ示しており、各図において(a)は第1の光を射出するサブ画素に対応して設けられた着色層の光学特性、(b)は第2の光を射出するサブ画素に対応して設けられた着色層の光学特性、(c)は着色層を介して図10に示す色光が射出される場合の、各色光の発光スペクトルを示す。
【0093】
図に示すように、図10に示す色光は、着色層を介することにより、ピーク波長が異なる第1の光と第2の光とに変換されて画像形成部から射出される。
【0094】
このようにして画像形成部から射出される第1の光(第1青色光BL1、第1緑色光GL1、第1赤色光RL1)、および第2の光(第2青色光BL2、第2緑色光GL2、第2赤色光RL2)は、波長分離素子4(図1参照)により分離される。
【0095】
図14は、波長分離素子4のダイクロイックミラー8を介して分離される色光の発光スペクトルの例を示したグラフであり、図7に対応するグラフである。
【0096】
ヘッドマウントディスプレイ1では、以上のようにして分離することができる第1の光(第1青色光BL1、第1緑色光GL1、第1赤色光RL1)を用いて右目用画像を表示し、第2の光(第2青色光BL2、第2緑色光GL2、第2赤色光RL2)を用いて左目用画像を表示することができる。
【0097】
以上のような構成のヘッドマウントディスプレイであっても、同一の画像形成部9で形成された左目用画像と右目用画像を、それぞれ、左目と右目で別々に観察することができる。したがって、左目用の画像形成部と右目用の画像形成部が別途設けられている構成と比較して、装置の小型化や軽量化を実現することができる。
【0098】
また、本実施形態のヘッドマウントディスプレイでは、カラーフィルター層(着色層)を介することで第1の光と第2の光とを形成することとしているため、高輝度な画像形成部とすることができる。したがって、装置の消費電力の低減や、画質の向上を実現することができる。
【0099】
なお、本実施形態においては、画像形成部の有機EL素子において、まず1つのピークを有する波長分布の色光を形成した後、カラーフィルター層を用いて第1の光と第2の光とに分離することとしたが、カラーフィルター層に入射する前に、第1実施形態と同様に光共振構造を利用して第1の光と第2の光とに分割した上で、さらにカラーフィルター層を介することとしても構わない。このように、第1の光と第2の光とを形成する複数の構成が協働することで、色純度が高くクロストークを抑制した画像表示が可能となる。
【0100】
また、本実施形態においては、カラーフィルター層を設けることとしたが、他にも、第1の光と第2の光との何れか一方を透過し、他方を反射する特性を有する波長分離膜を、各サブ画素に設けることとしてもよい。このような波長分離膜としては、誘電体多層膜を用いて形成する、いわゆるダイクロイックミラーを用いることができる。
【0101】
また、本実施形態では、画像形成部9がトップエミッション型の有機EL装置であることとして説明したが、ボトムエミッション型の有機EL装置であることとすることもできる。
【0102】
また、本実施形態では、画像形成部9が光共振器構造を有することとしたが、光共振器構造を有さず、着色層により第1の光と第2の光とを形成することとしても構わない。
【0103】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態においては、図2に示す画素に含まれる、同色のサブ画素(サブ画素B1とサブ画素B2、サブ画素G1とサブ画素G2、サブ画素R1とサブ画素R2)をそれぞれ1組として考え、一組のサブ画素(サブ画素組)を駆動させる回路構成について示す。
【0104】
図15は、本実施形態における画像形成部のサブ画素の構成を示す回路図である。本実施形態において各色用のサブ画素組は、各サブ画素への信号のスイッチングを行うトランジスターや配線が共通化された構成である。ここでは、赤用のサブ画素組(サブ画素R1とサブ画素R2)を例に挙げて、サブ画素組の構成を説明する。
【0105】
図15に示す画像形成部は、X方向に延びて互いに平行な複数の走査線30と、走査線30に交差して延びる複数のデータ線31を含む。走査線30とデータ線31とに囲まれる各領域は、1つのサブ画素組に相当する領域である。また、画像形成部は、X方向に並ぶサブ画素組の行ごとに設けられた第1電源線32、第2電源線33、及び第3電源線34を含む。第1ないし第3電源線は、例えば、走査線30と平行に設けられる。
【0106】
赤用のサブ画素組(サブ画素R1とサブ画素R2)は、選択トランジスター35、駆動トランジスター36、第1有機EL素子37、第2有機EL素子38、及び容量39を含む。第1有機EL素子37から発せられた光は、サブ画素R1から射出される。第2有機EL素子38から発せられた光は、サブ画素R2から射出される。
【0107】
第1有機EL素子37は、共通電極40を陽極とし、第1対向電極41を陰極として構成される。第2有機EL素子38は、共通電極40を陽極とし、第2対向電極42を陰極として構成される。第1有機EL素子37と第2有機EL素子38は、陽極と陰極との間に閾値(以下、発光閾値という)以上の電圧が印加されると、有機発光層に陽極から陰極への向きに電流が流れ、この電流の値に応じた光量の光を発光する。なお、第1有機EL素子37と第2有機EL素子38は、共通電極40を陰極とし、第1対向電極41および第2対向電極42を陽極として構成されていてもよい。
【0108】
選択トランジスター35のゲートは、走査線30と電気的されている。選択トランジスター35のソースとドレインのうち一方はデータ線31と電気的に接続され、選択トランジスター35のソースとドレインのうち他方は駆動トランジスター36のゲートと電気的に接続されている。選択トランジスター35がオフ状態であると、データ線31を介して駆動トランジスター36のゲートに電圧を印加することが実質的に不能である。走査線30に選択信号が供給されて選択トランジスター35がオン状態になると、データ線31を介して駆動トランジスター36のゲートに電圧を印加可能になる。
【0109】
駆動トランジスター36のソースとドレインのうち一方は第1電源線32と電気的に接続されている。駆動トランジスター36のソースとドレインのうち他方は共通電極40、すなわち、第1有機EL素子37と第2有機EL素子38のそれぞれの一方の電極と電気的に接続されている。第1有機EL素子37の他方の電極である第1対向電極41は、第2電源線33と電気的に接続されている。第1有機EL素子37の他方の電極である第2対向電極42は、第3電源線34と電気的に接続されている。
【0110】
容量39の一方の電極は、選択トランジスター35のゲートと電気的に接続されている。容量39の他方の電極は、第1電源線32と電気的に接続されている。容量39は、データ線31及び選択トランジスター35を介して駆動トランジスター36のゲートに信号(電圧)が印加されたときに充電され、この信号を所定の期間にわたって保持することができる。
【0111】
データ線31及び選択トランジスター35を介して駆動トランジスター36のゲートに電圧が印加されると、共通電極40には、第1電源線32を介して、第1電位が印加される。第1対向電極41には、第2電源線33を介して、第2電位又は第3電位が印加される。第2電位は、第1電位よりも低電位であり、第1電位との差分が発光閾値以上に設定されている。第3電位は、第1電位よりも低電位かつ第2電位よりも高電位であって、第1電池との差分が発光閾値未満に設定されている。すなわち、共通電極40に第1電位が印加されている状態で、第1対向電極41に第2電位が印加されていると第1有機EL素子37は発光可能であり、第1対向電極41に第3電池が印加されていると第1有機EL素子37は発光不能である。
【0112】
第1対向電極41に第2電位が印加されて第1有機EL素子37が発光可能な期間に、第2対向電極42には、第3電源線34を介して第3電位が印加され、第2有機EL素子38が発光不能になる。また、第1対向電極41に第3電位が印加されて第1有機EL素子37が発光不能な期間に、第2対向電極42には、第3電源線34を介して第2電位が印加され、第2有機EL素子38が発光可能になる。
【0113】
以上のような構成のヘッドマウントディスプレイは、同一の画像形成部で形成された左目用画像と右目用画像を、それぞれ、左目と右目で別々に観察することができ、装置の小型化や軽量化を実現することができる。
【0114】
また、第1有機EL素子37が発光可能な期間と第2有機EL素子が発光可能な期間が重複しないので、右目用画像を示す第1の光L1と左目用画像を示す第2の光L2が時間順次で択一的に画像形成部から射出されることになる。したがって、波長分離素子4の波長分離機能が完全でない場合でも、右目用画像と左目用画像とが混じり合って観察されることが抑制される。
【0115】
また、第1有機EL素子37と第2有機EL素子38で、選択トランジスター35及び駆動トランジスター36が共通化されているので、画像形成部の構成が複雑になることを避けることができる。
【0116】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0117】
1…ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着型表示装置)、2,9…画像形成部(表示装置)、4…波長分離素子(波長分離光学系)、5…導光部、21…画素電極(一対の電極、反射面)、22…陰極(一対の電極、半透過半反射面)、23…発光部(発光層)、291…第1着色層、292…第2着色層、B1…サブ画素(第1のサブ発光素子、第1発光素子)、G1…サブ画素(第1のサブ発光素子、第2発光素子)、R1…サブ画素(第1のサブ発光素子、第3発光素子)、B2…サブ画素(第2のサブ発光素子、第1発光素子)、G2…サブ画素(第2のサブ発光素子、第2発光素子)、R2…サブ画素(第2のサブ発光素子、第3発光素子)、L1…第1の光、L2…第2の光、
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置および頭部装着型表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着型表示装置、Head Mounted Display。以下、HMDと称する)が普及している。一般に、HMDとしては左右一対の画像表示装置に表示された画像を観察者に両眼で観察させる両眼式のHMDが採用されている(例えば、特許文献1参照)。このような両眼式のHMDを観察者が装着した場合、観察者は左右のそれぞれの表示画像を重ねて1つの画像として観察する。
【0003】
しかし、特許文献1に記載されたHMDでは、左右一対の画像表示装置を備えることから、画像表示装置に付随する回路などの構成も左右一対必要となり、装置全体が大型になりやすい。
【0004】
そこで、1つの画像表示装置を用い、表示される画像をハーフミラーで右目用画像と左目用画像とに分割して用いる構成のHMDが提案されている(例えば、特許文献2参照)。このようなHMDでは、左右一対の画像表示装置を有するHMDよりも装置構成が簡略化されるため、装置全体の小型化、軽量化を図ることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−277818号公報
【特許文献2】特開平8−211326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで近年、表示画像を立体的に表現する技術が開発、実用化されてきている。このような技術として、例えば、人間の両眼にそれぞれ対応して両眼視差の分だけずらして作成された左目用画像と右目用画像とを、観察者が左目および右目にてそれぞれ観察する視差利用の方式を挙げることができる。
【0007】
HMDを用いて立体表示を行うことを想定すると、左右一対の画像表示装置を備えるものでは、それぞれ独立に左目用画像と右目用画像とを表示することができるため、容易に実現することができる。一方で、装置の小型化、軽量化を図るために1つの画像表示装置を用いた、上述の特許文献2のような構成のHMDでは、1つの画像表示装置で表示される画像をハーフミラーで分割するため、左右に同じ画像を表示することとなり、立体表示が実現できなかった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、装置の小型化、軽量化を図るとともに、立体表示を行うことが可能な頭部装着型表示装置を提供することを目的とする。また、このような頭部装着型表示装置に好適に用いられ、装置全体の小型化に資する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の頭部装着型表示装置は、複数の発光素子を有し、右目用画像を示す第1の光と、前記第1の光と同じ色で且つピーク波長が異なり、左目用画像を示す第2の光と、を射出する表示装置と、前記第1の光と前記第2の光とのうち、いずれか一方を透過し他方を反射する波長分離光学系と、前記波長分離光学系を介した前記第1の光を観察者の右目へ導き、前記波長分離光学系を介した前記第2の光を前記観察者の左目へ導く導光部と、を備える。
【0010】
この構成によれば、第1の光で表現する右目用画像と、第2の光で表現する左目用画像と、を一つの表示装置で表示しつつ、波長分離光学系で良好に分離して異なる方向に導くことができる。そのため、装置の小型化、軽量化を図りながら、良好に立体表示を実現する頭部装着型表示装置とすることができる。
【0011】
本発明においては、前記発光素子は、前記第1の光を射出する第1のサブ発光素子と、前記第2の光を射出する第2のサブ発光素子と、を有し、前記第1のサブ発光素子および前記第2のサブ発光素子は、それぞれ、一対の電極に挟持された発光層と、前記一対の電極のうち一方側に設けられた反射面と、他方側に設けられた半透過半反射面と、を有し、前記反射面と前記半透過半反射面との間で光共振器を形成しており、前記第1のサブ発光素子は、前記第2のサブ発光素子とは異なる共振長に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、第1の光および第2の光のそれぞれについて、波長帯の幅(例えば半値幅)を狭くすることができる。そのため、第1の光の波長帯と第2の光の波長帯との重なり部分が少なくなり、または無くなることから、波長分離光学系における分離が容易となり、いわゆるクロストークが抑制された良好な画像表示が可能となる。
【0012】
本発明においては、前記第1のサブ発光素子の共振長が、前記第1の光の中心波長に設定され、前記第2のサブ発光素子の共振長が、前記第2の光の中心波長に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、第1のサブ発光素子および第2のサブ発光素子の共振波長が、第1の光および第2の光となるため、色純度が高く高品質な画像表示が可能となる。
【0013】
本発明においては、前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第1の光を透過する第1着色層と、光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第2の光を透過する第2着色層と、を有することが望ましい。
この構成によれば、所望の吸収特性を有する着色層を用いることで、第1の光と第2の光を射出する発光素子を容易に形成することができる。
【0014】
本発明においては、前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第1の光を透過する第1波長分離膜と、光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第2の光を透過する第2波長分離膜と、を有することが望ましい。
この構成によれば、所望の反射透過特性を有する波長分離膜を用いることで、第1の光と第2の光を射出する発光素子を容易に形成することができる。
【0015】
本発明においては、前記複数の発光素子は、青色光を射出する第1発光素子と、緑色光を射出する第2発光素子と、赤色光を射出する第3発光素子と、を含むことが望ましい。
この構成によれば、フルカラー表示が可能となる。
【0016】
本発明においては、前記青色光に係る前記第1の色光のピーク波長は、前記青色光に係る前記第2の色光のピーク波長よりも長波長であり、前記緑色光に係る前記第1の色光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第2の色光のピーク波長よりも短波長であり、前記波長分離光学系は、前記青色光に係る前記第1の色光のピーク波長と、前記緑色光に係る前記第1の色光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を透過させることが望ましい。
この構成によれば、波長分離光学系の構成を簡略化することができる。
【0017】
本発明においては、前記緑色光に係る前記第2の色光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第1の色光のピーク波長よりも長波長であり、前記赤色光に係る前記第2の色光のピーク波長は、前記赤色光に係る前記第1の色光のピーク波長よりも短波長であり、前記分離光学系は、前記緑色光に係る前記第2の色光のピーク波長と、前記赤色光に係る前記第2の色光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を反射することが望ましい。
この構成によれば、波長分離光学系の構成を簡略化することができる。
【0018】
また、本発明においては、前記青色光に係る前記第2の色光のピーク波長は、前記青色光に係る前記第1の色光のピーク波長よりも長波長であり、前記緑色光に係る前記第2の色光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第1の色光のピーク波長よりも短波長であり、前記分離光学系は、前記青色光に係る前記第2の色光のピーク波長と、前記緑色光に係る前記第2の色光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を反射することとしてもよい。
この構成によれば、波長分離光学系の構成を簡略化することができる。
【0019】
本発明においては、前記緑色光に係る前記第1の色光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第2の色光のピーク波長よりも長波長であり、前記赤色光に係る前記第1の色光のピーク波長は、前記赤色光に係る前記第2の色光のピーク波長よりも短波長であり、前記分離光学系は、前記緑色光に係る前記第1の色光のピーク波長と、前記赤色光に係る前記第1の色光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を透過させることとしてもよい。
この構成によれば、波長分離光学系の構成を簡略化することができる。
【0020】
また、本発明における表示装置は、陽極と、該陽極に対向する陰極と、前記陽極と前記陰極との間に挟持された発光層と、を有する複数の発光素子を備え、前記発光素子は、第1の光を射出する第1のサブ発光素子と、前記第1の光と同じ色で且つピーク波長が異なる第2の光を射出する第2のサブ発光素子と、を有する。
この構成によれば、第1の光で表現する表示画像と、第2の光で表現する表示画像と、を一つの表示装置で表示することができる。そのため、本表示装置を頭部装着型表示装置に適用した場合に、装置全体の小型化、軽量化を図ることができる。
【0021】
本発明においては、前記発光素子は、前記陽極側に設けられた反射面と、前記陰極側に設けられた半透過半反射面と、の間で形成された光共振器構造を有し、前記第1のサブ発光素子は、前記第2のサブ発光素子とは異なる共振長を有することが望ましい。
この構成によれば、第1の光および第2の光のそれぞれについて、波長帯の幅(例えば半値幅)を狭くすることができる。そのため、本表示装置を頭部装着型表示装置に適用した場合に、クロストークが抑制された良好な画像表示を容易に可能とすることができる。
【0022】
本発明においては、前記第1のサブ発光素子の共振長が、前記第1の光の中心波長に設定され、前記第2のサブ発光素子の共振長が、前記第2の光の中心波長に設定されていることが望ましい。
この構成によれば、第1のサブ発光素子および第2のサブ発光素子の共振波長が、第1の光および第2の光となるため、色純度が高い混品質な画像表示が可能となる。
【0023】
本発明においては、前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第1の光を透過する第1着色層と、光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第2の光を透過する第2着色層と、を有することが望ましい。
この構成によれば、所望の吸収特性を有する着色層を用いることで、第1の光と第2の光を射出する発光素子を容易に形成することができる。
【0024】
本発明においては、前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第1の光を透過する第1波長分離膜と、光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第2の光を透過する第2波長分離膜と、を有することが望ましい。
この構成によれば、所望の反射透過特性を有する波長分離膜を用いることで、第1の光と第2の光を射出する発光素子を容易に形成することができる。
【0025】
本発明においては、前記複数の発光素子は、青色光を射出する第1発光素子と、緑色光を射出する第2発光素子と、赤色光を射出する第3発光素子と、を含むことが望ましい。
この構成によれば、フルカラー表示が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態の頭部装着型表示装置を示す図である。
【図2】画像形成部の画素を示す平面図である。
【図3】画像形成部の各サブ画素の構成を示す模式図である。
【図4】発光部から射出される光の発光スペクトルである。
【図5】各サブ画素から射出される色光の発光スペクトルである。
【図6】本実施形態のダイクロイックミラーの反射・透過スペクトルである。
【図7】波長分離素子を介して分離される色光の発光スペクトルである。
【図8】本実施形態のダイクロイックミラー8の反射・透過スペクトルである。
【図9】本実施形態の画像形成部9の各サブ画素の構成を示す模式図である。
【図10】各サブ画素の有機EL素子から射出された色光の発光スペクトルである。
【図11】着色層を介して射出される色光の光学特性について示すグラフである。
【図12】着色層を介して射出される色光の光学特性について示すグラフである。
【図13】着色層を介して射出される色光の光学特性について示すグラフである。
【図14】波長分離素子を介して分離される色光の発光スペクトルである。
【図15】本実施形態における画像形成部のサブ画素の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
[第1実施形態]
以下、図1〜図8を参照しながら、本発明の第1実施形態に係る表示装置および頭部装着型表示装置(ヘッドマウントディスプレイ)について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0028】
図1は、本実施形態のヘッドマウントディスプレイ(頭部装着型表示装置)1を示す図である。図1に示すヘッドマウントディスプレイ1は、互いに異なる左目用画像と右目用画像を、観察者の左目と右目に分けて表示することができる。上記の左目用画像及び右目用画像は、例えば両目の視差を考慮した画像であり、観察者は、3D画像を観察することができる。
【0029】
なお、ヘッドマウントディスプレイ1は、上記のように互いに異なる左目用画像と右目用画像を表示するモードの他に、左目に左目用画像を表示し、かつ右目に左目用画像と同じ右目用画像を表示するモードを有しており、通常の画像を表示することもできる。
【0030】
ヘッドマウントディスプレイ1は、右目用画像を示す第1の光L1と左目用画像を示す第2の光L2とを射出する画像形成部(表示装置)2と、画像形成部2から射出された第1の光L1及び第2の光L2が入射する位置に配置された結像部3と、結像部3を通った第1の光L1及び第2の光L2が入射する位置に配置され、第1の光L1と第2の光L2とを分離する波長分離素子(波長分離光学系)4と、波長分離素子4を介した光を観察者の左目および右目へ導く導光部5と、画像形成部2を駆動する駆動部6を備える。
【0031】
画像形成部2は、有機エレクトロルミネッセンス装置(有機EL装置)である。画像形成部2が射出する第1の光L1と第2の光L2とは、同色で且つ波長が異なる光である。画像形成部2では、これら異なる波長の光を用いて右目用画像と左目用画像とを形成する。画像形成部2の構成については、後に詳述する。
【0032】
駆動部6は、ヘッドマウントディスプレイ1の外部のDVDプレイヤーやPC、携帯情報端末等の信号源から画像データを有線又は無線により受信し、画像形成部2に画像信号を供給する。
【0033】
結像部3は、導光部5を経由した第1の光L1が観察者の右目で結像し、導光部5を経由した第2の光L2が観察者の左目で結像するように、画像形成部2から射出された光L1,L2を屈折させる。結像部3は、複数のレンズ等によって構成される。
【0034】
上記のように、ヘッドマウントディスプレイ1を装着した観察者の両目の位置に対する画像形成部2の相対位置は、フレームの形状や寸法等により定まる。結像部3は、画像形成部2から射出された光が観察者の左目あるいは右目で結像するように、観察者の両目と画像形成部2の相対位置に基づいて、適宜設計可能である。なお、結像部3は、観察者によってピンボケが認識されない程度の許容範囲をもって、画像形成部2から射出された光を結像させればよい。
【0035】
波長分離素子4は、光透過性の材料で形成された、断面がほぼ直角二等辺三角形の柱状のプリズム7と、プリズム7の断面形状において斜辺を形成する面(以下、斜面と称する)に設けられたダイクロイックミラー8とを有している。図に示す波長分離素子4では、さらにもう一つプリズム7を用い、2つのプリズム7の斜面同士を貼り合わせた直方体状の外形を呈している。ダイクロイックミラー8は、結像部3の光軸に対して略45°の角度をなして傾斜している。
【0036】
ダイクロイックミラー8は、第1の光L1と第2の光L2との波長の違いに基づいて、一方を反射し、他方を透過させることにより、両者を分離する。図では、第1の光L1がダイクロイックミラー8で反射され、第2の光L2がダイクロイックミラー8を透過することとして示している。波長分離素子4では、このようにして第1の光L1と第2の光L2とを分離する。
【0037】
導光部5は、波長分離素子4で反射した第1の光L1を観察者の右目へ導く右目用導光部11と、波長分離素子4を透過した第2の光L2を観察者の左目へ導く左目用導光部12と、を有している。
【0038】
右目用導光部11は、ダイクロイックミラー8で反射した第1の光L1が入射する位置に配置されたレンズ13Rと、レンズ13Rを通った光が入射する位置に配置されたミラー14Rと、を含む。
【0039】
また、左目用導光部12は、ダイクロイックミラー8を透過した第2の光L2が入射する位置に配置されたプリズム15と、プリズム15で反射した第2の光L2が入射する位置に配置されたレンズ13Lと、レンズ13Lを通った第2の光L2が入射する位置に配置されたミラー14Lと、を含んでいる。
【0040】
プリズム15は、断面形状がほぼ直角二等辺三角形の柱状であり、互いに直交する2辺の片方を含んだ面が波長分離素子4の外面と接触するように、配置されている。上記の外面は、画像形成部2から射出されてダイクロイックミラー8を透過した第2の光L2が射出される面である。
【0041】
プリズム15は、ガラス等の誘電体からなり、例えば波長分離素子4のプリズム7と屈折率がほぼ同じである。すなわち、プリズム7とプリズム15は、光学的にほぼ連続しており、プリズム7とプリズム15の間の界面での光の屈折や反射等が抑制されている。
【0042】
プリズム15の斜面16は、波長分離素子4のダイクロイックミラー8と直交しており、ダイクロイックミラー8を透過した光の進行方向に対して略45°の角度をなして傾斜している。ダイクロイックミラー8を透過した光は、斜面16が全反射条件を満たすことによって、斜面16で反射する。
【0043】
レンズ13Rおよびレンズ13Lは、第1の光L1の結像面(右目)とダイクロイックミラー8との間の光路長と、第2の光L2の結像面(左目)とダイクロイックミラー8との間の光路長と、の違いによる焦点のずれを補正するように設けられている。焦点のずれを補正する必要がなければ、これらは省略することも可能である。
【0044】
ミラー14Rは、レンズ13Rを通った光を観察者の右目に向けて反射するように、配置されている。また、ミラー14Lは、レンズ13Lを通った光を観察者の左目に向けて反射するように、配置されている。
【0045】
上記のヘッドマウントディスプレイ1の各部は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ1の一部を構成する不図示のメガネ状のフレームに取り付けられている。観察者がこのフレームを装着すると、観察者の左目あるいは右目と、ヘッドマウントディスプレイ1の各部との相対位置が固定される。
本実施形態のヘッドマウントディスプレイ1の概略構成は、以上のようになっている。
【0046】
次に、画像形成部2の構成と、波長分離素子4の機能と、を説明し、ヘッドマウントディスプレイ1を用いた画像表示について詳細に説明する。
【0047】
図2は、画像形成部2の画素を示す平面図である。図では、画像形成部2が赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色の色光を射出し、フルカラー表示が可能な有機EL装置であることとして示している。
【0048】
図に示すように、画素Pは、青色光を発する青用の2つのサブ画素(第1のサブ発光素子、第1発光素子)B1,サブ画素(第2のサブ発光素子、第1発光素子)B2と、緑色光を発する緑用の2つのサブ画素(第1のサブ発光素子、第1発光素子)G1,サブ画素(第2のサブ発光素子、第1発光素子)G2と、赤色光を発する赤用の2つのサブ画素(第1のサブ発光素子、第1発光素子)R1,サブ画素(第2のサブ発光素子、第1発光素子)R2で構成されている。これらのうち、サブ画素R1,G1,B1からは、第1の光L1が射出されて右目用画像を形成し、サブ画素R2,G2,B2からは、第2の光L2が射出されて左目用画像を形成する。
【0049】
すなわち、サブ画素R1からは、第1の光である第1赤色光RL1が射出され、サブ画素R2からは、第2の光である第2赤色光RL2が射出される。同様に、サブ画素G1からは、第1の光である第1緑色光GL1が射出され、サブ画素G2からは、第2の光である第2緑色光GL2が射出される。また、サブ画素B1からは、第1の光である第1青色光BL1が射出され、サブ画素B2からは、第2の光である第2青色光BL2が射出される。本実施形態では、第1の光のほうが第2の光よりも長波長の光であることとして、以下の説明を行う。
【0050】
図では、各サブ画素が行列方向に配列されており、一方向(行方向)には、発する色が異なるサブ画素が、赤用サブ画素、緑用サブ画素、青用サブ画素の順に繰り返し設けられている。更に、第1の光L1を射出するサブ画素R1,G1,B1、および第2の光L2を射出するサブ画素R2,G2,B2が、それぞれ同じ配列軸に沿って設けられている。
【0051】
また、当該行方向に交差する方向(列方向)には、同色のサブ画素が配列し、第1の光L1を射出するサブ画素と、第2の光L2を射出するサブ画素とが交互に設けられている。
【0052】
なお、図2に示した画素の配列は一例であり、他の配列であってもよい。例えば、列方向のサブ画素の配列は図2と同様とした上で、行方向に、サブ画素R1,G2,B1,R2…のように、第1の光L1を射出するサブ画素と第2の光L2を射出するサブ画素とを交互に配列することとしてもよい。この場合、第1の光L1を射出するサブ画素R1,G1,B1、および第2の光L2を射出するサブ画素R2,G2,B2が、それぞれ千鳥配置となり、表示画像の画質が向上する。
【0053】
このような各サブ画素は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子)で形成されており、有機EL素子の構成を適宜変更することで、上述した各色光を射出する画像形成部2を構成している。
【0054】
図3は、画像形成部2の各サブ画素の構成を示す模式図である。図に示すように、画像形成部2のサブ画素は、不図示の駆動素子等が形成された基板20と、基板20に形成され光透過性を有する画素電極(一対の電極、反射面)21と、画素電極21に対向して設けられた陰極(一対の電極、半透過半反射面)22と、画素電極21および陰極22に挟持された発光部(発光層)23と、を有している。画素電極21と発光部23と陰極22とが、協働して有機EL素子(発光素子)を形成している。本実施形態の陰極22は、後述するように複数層で構成されている。
【0055】
また、画素電極21と陰極22との間には、発光部23の他に、正孔注入層24、正孔輸送層25,キャリア輸送層26、電子注入層27が形成されている。
【0056】
本実施形態の画像形成部2に採用される有機EL装置では、発光部23で生じる光Lが、陰極22を介して外部へ射出されるトップエミッション方式を採用している。以下、各構成要素について順に説明する。
【0057】
基板20を構成する基板本体は、光透過性を備える透明基板、及び光透過性を備えない不透明基板のいずれも用いることができる。このような基板としては、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)を用いることができる。また、これら材料を積層または混合して形成された複合材料を用いることもできる。
【0058】
基板20の上には、画素電極21が形成されている。画素電極21は、基板20側に形成された光反射性の第1層と、第1層上に積層して設けられた光透過性を有する第2層と、を有している。第1層の形成材料としては、例えばアルミニウムが挙げられ、第2層の形成材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)等の金属酸化物を挙げることができる。
【0059】
画素電極21の上には、画素電極21からの正孔の注入を容易にする電荷移動層としての正孔注入層24が形成され、正孔注入層24の上には、正孔輸送層25が形成されている。
【0060】
正孔輸送層25の上には、発光部23が形成されている。発光部23は、正孔輸送層25の側から順に、赤色光を射出する赤色発光層23R、キャリア輸送層26、青色光を射出する青色発光層23B、緑色光を射出する緑色発光層23Gが積層して形成されている。発光部23の各発光層は、それぞれから射出される赤色光、青色光、緑色光が混色して、白色光となるように設計されている。
【0061】
さらに、発光部23の上には、陰極22からの電子の注入を容易にする電子注入層27が形成されている。これら、画素電極21と陰極22との間に形成された各層の形成材料としては、通常知られた材料を用いる事ができる。
【0062】
電子注入層27の上には、陰極22が形成されている。陰極22は、Mg(マグネシウム)とAg(銀)との共蒸着により形成した共蒸着層を用いて形成されている。
【0063】
このような陰極22は、MgとAgとの共蒸着比、および膜厚を制御することにより、半透過半反射性を有する。その結果、画素電極21と陰極22とは、発光部23から射出された光を共振させる光共振構造を構成し、画素電極21と陰極22との間の光学的距離に対応した共振波長の条件を満たす光のみが増幅され、陰極22側から特定のピーク波長の色光が取り出される構成となっている。
【0064】
このような構成の画像形成部2では、例えば、画素電極21を構成する光透過性の第2層の膜厚を変更し、画素電極21と陰極22との離間距離を変更することで、サブ画素毎に共振波長を変更し、各サブ画素から射出される光の波長を制御することができる。
【0065】
陰極22の上には、不図示のSiOxNyなどの無機膜を形成し、更に無機膜の上にはエポキシ樹脂を介してガラス基板を貼り合わせる、所謂、固体封止構造を備えるものとするとよい。
【0066】
図4は、発光部23から射出される光の発光スペクトルの例を示したグラフであり、図5は、各サブ画素から射出される色光の発光スペクトルの例を示したグラフである。図5(a)は、サブ画素B1,B2から射出される第1青色光BL1,第2青色光BL2について示したグラフであり、図5(b)は、サブ画素G1,G2から射出される第1緑色光GL1,第2緑色光GL2について示したグラフであり、図5(c)は、サブ画素R1,R2から射出される第1赤色光RL1,第2赤色光RL2について示したグラフである。各グラフにおいては、横軸は波長、縦軸は光の強度を示す。
【0067】
図4に示すように、発光部23から射出される光は、赤色光、青色光、緑色光が混色することで、白色光となる。
【0068】
一方、各サブ画素を構成する有機EL素子において、画素電極21と陰極22との離間距離を変更することにより、図5に示すように、種々の波長の色光を射出させることができる。例えば、青色光を射出するサブ画素B1,B2では、図5(a)に示す各光のピーク波長が、それぞれ第1青色光BL1,第2青色光BL2の波長帯の中心波長となるように、光共振器構造が設定されている。緑色光を射出するサブ画素、および赤色光を射出するサブ画素においても、同様に、各光のピーク波長がそれぞれの色光の中心波長となっている。
【0069】
すなわち、上述のような構成の画像形成部2では、波長の異なる色光を用いて好適に第1の光L1(右目用画像)と第2の光L2(左目用画像)とを射出することができる。
【0070】
このようにして射出された第1の光L1と第2の光L2は、波長分離素子4のダイクロイックミラー8によって分離される。
【0071】
図6は、本実施形態のダイクロイックミラー8の反射・透過スペクトルを示すグラフであり、横軸は波長、縦軸は各波長における反射率を示している。
【0072】
図に示すようにダイクロイックミラー8は、第1青色光BL1の大半を反射し、第2青色光BL2の大半を透過するような反射・透過特性を有している。同様に、ダイクロイックミラー8は、第1緑色光GL1の大半を反射し、第2緑色光GL2の大半を透過し、第1赤色光RL1の大半を反射し、第2赤色光RL2の大半を透過するような反射・透過特性を有している。
【0073】
このようなダイクロイックミラー8を介することにより、右目用画像を示す第1の光(第1青色光BL1、第1緑色光GL1、第1赤色光RL1)は、ダイクロイックミラー8で反射して図1に示す右目用導光部11に入射する一方、左目用画像を示す第2の光(第2青色光BL2、第2緑色光GL2、第2赤色光RL2)は、ダイクロイックミラー8を透過して図1に示す左目用導光部12に入射する。
【0074】
図7は、ダイクロイックミラー8を介して分離される色光の発光スペクトルの例を示したグラフであり、図5に対応するグラフである。ヘッドマウントディスプレイ1では、以上のようにして分離することができる第1の光(第1青色光BL1、第1緑色光GL1、第1赤色光RL1)を用いて右目用画像を表示し、第2の光(第2青色光BL2、第2緑色光GL2、第2赤色光RL2)を用いて左目用画像を表示することができる。
【0075】
以上のような構成のヘッドマウントディスプレイ1は、同一の画像形成部2で形成された左目用画像と右目用画像を、それぞれ、左目と右目で別々に観察することができる。したがって、左目用の画像形成部と右目用の画像形成部が別途設けられている構成と比較して、装置の小型化や軽量化を実現することができる。
【0076】
また、本実施形態のヘッドマウントディスプレイでは、光共振構造を用いて第1の光と第2の光とを形成することとしているため、第1の光と第2の光とを分離しやすい。そのため、第1の光を用いて表示する右目用画像と、第2の光を用いて表示する左目用画像と、が混じり合って観察されること(クロストーク)を抑制することができる。したがって、高品質な画像表示を実現することができる。
【0077】
また、以上のような構成の画像形成部2では、第1の光で表現する表示画像と、第2の光で表現する表示画像と、を一つの装置で表示することができる。そのため、ヘッドマウントディスプレイの小型化、軽量化を図ることができる。
【0078】
また、本実施形態では、各色光において右目用画像を形成する第1の光L1は、左目用画像を形成する第2の光L2よりも長波長であることとしたが、これに限らない。例えば、緑色光においては、第1の光(第1緑色光GL1)の方が第2の光(第2緑色光GL2)よりも短波長の光であることとしてもよい。
【0079】
その場合、用いるダイクロイックミラーの反射・透過スペクトルは図8のようになる。図8は、図6に対応するグラフである。
【0080】
すなわち、第1の光(第1緑色光GL1)の方が第2の光(第2緑色光GL2)よりも短波長の光であることとすると、用いるダイクロイックミラーでは、光を反射する波長帯の数と、光を透過する波長帯の数とが、第1青色光BL1と第1緑色光GL1とを反射する波長帯が連続し、第2緑色光GL2と第2赤色光RL2とを透過する波長帯が連続する。したがって、反射・透過スペクトルが簡略化され、用いるダイクロイックミラーを容易に構成することが可能となる。
【0081】
なお、図8では、第1青色光BL1のほうが第2青色光BL2よりも長波長であり、第1緑色光GL1のほうが第2緑色光GL2よりも短波長であり、第1赤色光RL1のほうが第2赤色光RL2よりも長波長であることとしたが、これに限らない。すなわち、第1青色光BL1のほうが第2青色光BL2よりも短波長であり、第1緑色光GL1のほうが第2緑色光GL2よりも長波長であり、第1赤色光RL1のほうが第2赤色光RL2よりも短波長であることとしてもよい。
【0082】
[第2実施形態]
図9〜14は、本発明の第2実施形態に係るヘッドマウントディスプレイの説明図である。本実施形態においては、第1実施形態のヘッドマウントディスプレイ1と一部共通し、画像形成部の有機EL素子の構成と、波長分離素子が有するダイクロイックミラーの特性とが異なっている。したがって、本実施形態においては、これらの違いについて詳細に説明する。また、本実施形態において第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0083】
図9は、本実施形態の画像形成部9の各サブ画素の構成を示す模式図であり、第1実施形態の図3に対応する図である。図では、青色光を射出するサブ画素B1,B2について説明するが、緑色光を射出するサブ画素、赤色光を射出するサブ画素においても、同様の構成を採用する。
【0084】
本実施形態の画像形成部9では、サブ画素B1が有する画素電極211と陰極22との間の離間距離、および、サブ画素B2が有する画素電極212と陰極22との間の離間距離は、同じピーク波長の青色光BLを射出するように、いずれも等しくなっている。
【0085】
同様に、本実施形態の画像形成部9では、緑色光を射出するサブ画素(図2に示すサブ画素G1,G2に対応)においては、画素電極212と陰極22との間の離間距離は、同じピーク波長の緑色光を射出するように設計され、赤色光を射出するサブ画素(図2に示すサブ画素R1,R2に対応)においては、画素電極212と陰極22との間の離間距離は、同じピーク波長の赤色光を射出するように設計されている。
【0086】
画像形成部9では、陰極22の上方に、陰極22を介して外部に射出される光Lが透過するカラーフィルター層29が設けられている。カラーフィルター層29は、サブ画素B1に対応する第1着色層291と、サブ画素B2に対応する第2着色層292と、を有している。
【0087】
第1着色層291は、第1青色光BL1を透過し、第2青色光BL2を吸収する光学特性を有している。そのため、図9に示すように、第1着色層291を介して外部に射出される光は、第1青色光BL1となる。
【0088】
一方、第2着色層292は、第1青色光BL1を吸収し、第2青色光BL2を透過する光学特性を有している。そのため、図9に示すように、第2着色層292を介して外部に射出される光は、第2青色光BL2となる。
【0089】
同様に、本実施形態の画像形成部9では、緑色光を射出するサブ画素(図2に示すサブ画素G1,G2に対応)に対応して、第1緑色光および第2緑色光を形成する着色層が設けられ、赤色光を射出するサブ画素(図2に示すサブ画素R1,R2に対応)に対応して、第1赤色光および第2赤色光を形成する着色層が設けられている。
【0090】
図10〜13は、第2実施形態の画像形成部9における各構成の特性を示すグラフである。
【0091】
図10は、各サブ画素の有機EL素子から射出された色光の発光スペクトルを例示したグラフであり、図10(a)は青色光、図10(b)は緑色光、図10(c)は赤色光について示している。図に示すように、着色層に入射する前には、1つのピークを有する波長分布の色光が射出される。
【0092】
図11〜13は、着色層の光学特性と、着色層を介して射出される色光の発光スペクトルと、を示すグラフである。図11は青色光、図12は緑色光、図13は赤色光をそれぞれ示しており、各図において(a)は第1の光を射出するサブ画素に対応して設けられた着色層の光学特性、(b)は第2の光を射出するサブ画素に対応して設けられた着色層の光学特性、(c)は着色層を介して図10に示す色光が射出される場合の、各色光の発光スペクトルを示す。
【0093】
図に示すように、図10に示す色光は、着色層を介することにより、ピーク波長が異なる第1の光と第2の光とに変換されて画像形成部から射出される。
【0094】
このようにして画像形成部から射出される第1の光(第1青色光BL1、第1緑色光GL1、第1赤色光RL1)、および第2の光(第2青色光BL2、第2緑色光GL2、第2赤色光RL2)は、波長分離素子4(図1参照)により分離される。
【0095】
図14は、波長分離素子4のダイクロイックミラー8を介して分離される色光の発光スペクトルの例を示したグラフであり、図7に対応するグラフである。
【0096】
ヘッドマウントディスプレイ1では、以上のようにして分離することができる第1の光(第1青色光BL1、第1緑色光GL1、第1赤色光RL1)を用いて右目用画像を表示し、第2の光(第2青色光BL2、第2緑色光GL2、第2赤色光RL2)を用いて左目用画像を表示することができる。
【0097】
以上のような構成のヘッドマウントディスプレイであっても、同一の画像形成部9で形成された左目用画像と右目用画像を、それぞれ、左目と右目で別々に観察することができる。したがって、左目用の画像形成部と右目用の画像形成部が別途設けられている構成と比較して、装置の小型化や軽量化を実現することができる。
【0098】
また、本実施形態のヘッドマウントディスプレイでは、カラーフィルター層(着色層)を介することで第1の光と第2の光とを形成することとしているため、高輝度な画像形成部とすることができる。したがって、装置の消費電力の低減や、画質の向上を実現することができる。
【0099】
なお、本実施形態においては、画像形成部の有機EL素子において、まず1つのピークを有する波長分布の色光を形成した後、カラーフィルター層を用いて第1の光と第2の光とに分離することとしたが、カラーフィルター層に入射する前に、第1実施形態と同様に光共振構造を利用して第1の光と第2の光とに分割した上で、さらにカラーフィルター層を介することとしても構わない。このように、第1の光と第2の光とを形成する複数の構成が協働することで、色純度が高くクロストークを抑制した画像表示が可能となる。
【0100】
また、本実施形態においては、カラーフィルター層を設けることとしたが、他にも、第1の光と第2の光との何れか一方を透過し、他方を反射する特性を有する波長分離膜を、各サブ画素に設けることとしてもよい。このような波長分離膜としては、誘電体多層膜を用いて形成する、いわゆるダイクロイックミラーを用いることができる。
【0101】
また、本実施形態では、画像形成部9がトップエミッション型の有機EL装置であることとして説明したが、ボトムエミッション型の有機EL装置であることとすることもできる。
【0102】
また、本実施形態では、画像形成部9が光共振器構造を有することとしたが、光共振器構造を有さず、着色層により第1の光と第2の光とを形成することとしても構わない。
【0103】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態においては、図2に示す画素に含まれる、同色のサブ画素(サブ画素B1とサブ画素B2、サブ画素G1とサブ画素G2、サブ画素R1とサブ画素R2)をそれぞれ1組として考え、一組のサブ画素(サブ画素組)を駆動させる回路構成について示す。
【0104】
図15は、本実施形態における画像形成部のサブ画素の構成を示す回路図である。本実施形態において各色用のサブ画素組は、各サブ画素への信号のスイッチングを行うトランジスターや配線が共通化された構成である。ここでは、赤用のサブ画素組(サブ画素R1とサブ画素R2)を例に挙げて、サブ画素組の構成を説明する。
【0105】
図15に示す画像形成部は、X方向に延びて互いに平行な複数の走査線30と、走査線30に交差して延びる複数のデータ線31を含む。走査線30とデータ線31とに囲まれる各領域は、1つのサブ画素組に相当する領域である。また、画像形成部は、X方向に並ぶサブ画素組の行ごとに設けられた第1電源線32、第2電源線33、及び第3電源線34を含む。第1ないし第3電源線は、例えば、走査線30と平行に設けられる。
【0106】
赤用のサブ画素組(サブ画素R1とサブ画素R2)は、選択トランジスター35、駆動トランジスター36、第1有機EL素子37、第2有機EL素子38、及び容量39を含む。第1有機EL素子37から発せられた光は、サブ画素R1から射出される。第2有機EL素子38から発せられた光は、サブ画素R2から射出される。
【0107】
第1有機EL素子37は、共通電極40を陽極とし、第1対向電極41を陰極として構成される。第2有機EL素子38は、共通電極40を陽極とし、第2対向電極42を陰極として構成される。第1有機EL素子37と第2有機EL素子38は、陽極と陰極との間に閾値(以下、発光閾値という)以上の電圧が印加されると、有機発光層に陽極から陰極への向きに電流が流れ、この電流の値に応じた光量の光を発光する。なお、第1有機EL素子37と第2有機EL素子38は、共通電極40を陰極とし、第1対向電極41および第2対向電極42を陽極として構成されていてもよい。
【0108】
選択トランジスター35のゲートは、走査線30と電気的されている。選択トランジスター35のソースとドレインのうち一方はデータ線31と電気的に接続され、選択トランジスター35のソースとドレインのうち他方は駆動トランジスター36のゲートと電気的に接続されている。選択トランジスター35がオフ状態であると、データ線31を介して駆動トランジスター36のゲートに電圧を印加することが実質的に不能である。走査線30に選択信号が供給されて選択トランジスター35がオン状態になると、データ線31を介して駆動トランジスター36のゲートに電圧を印加可能になる。
【0109】
駆動トランジスター36のソースとドレインのうち一方は第1電源線32と電気的に接続されている。駆動トランジスター36のソースとドレインのうち他方は共通電極40、すなわち、第1有機EL素子37と第2有機EL素子38のそれぞれの一方の電極と電気的に接続されている。第1有機EL素子37の他方の電極である第1対向電極41は、第2電源線33と電気的に接続されている。第1有機EL素子37の他方の電極である第2対向電極42は、第3電源線34と電気的に接続されている。
【0110】
容量39の一方の電極は、選択トランジスター35のゲートと電気的に接続されている。容量39の他方の電極は、第1電源線32と電気的に接続されている。容量39は、データ線31及び選択トランジスター35を介して駆動トランジスター36のゲートに信号(電圧)が印加されたときに充電され、この信号を所定の期間にわたって保持することができる。
【0111】
データ線31及び選択トランジスター35を介して駆動トランジスター36のゲートに電圧が印加されると、共通電極40には、第1電源線32を介して、第1電位が印加される。第1対向電極41には、第2電源線33を介して、第2電位又は第3電位が印加される。第2電位は、第1電位よりも低電位であり、第1電位との差分が発光閾値以上に設定されている。第3電位は、第1電位よりも低電位かつ第2電位よりも高電位であって、第1電池との差分が発光閾値未満に設定されている。すなわち、共通電極40に第1電位が印加されている状態で、第1対向電極41に第2電位が印加されていると第1有機EL素子37は発光可能であり、第1対向電極41に第3電池が印加されていると第1有機EL素子37は発光不能である。
【0112】
第1対向電極41に第2電位が印加されて第1有機EL素子37が発光可能な期間に、第2対向電極42には、第3電源線34を介して第3電位が印加され、第2有機EL素子38が発光不能になる。また、第1対向電極41に第3電位が印加されて第1有機EL素子37が発光不能な期間に、第2対向電極42には、第3電源線34を介して第2電位が印加され、第2有機EL素子38が発光可能になる。
【0113】
以上のような構成のヘッドマウントディスプレイは、同一の画像形成部で形成された左目用画像と右目用画像を、それぞれ、左目と右目で別々に観察することができ、装置の小型化や軽量化を実現することができる。
【0114】
また、第1有機EL素子37が発光可能な期間と第2有機EL素子が発光可能な期間が重複しないので、右目用画像を示す第1の光L1と左目用画像を示す第2の光L2が時間順次で択一的に画像形成部から射出されることになる。したがって、波長分離素子4の波長分離機能が完全でない場合でも、右目用画像と左目用画像とが混じり合って観察されることが抑制される。
【0115】
また、第1有機EL素子37と第2有機EL素子38で、選択トランジスター35及び駆動トランジスター36が共通化されているので、画像形成部の構成が複雑になることを避けることができる。
【0116】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0117】
1…ヘッドマウントディスプレイ(頭部装着型表示装置)、2,9…画像形成部(表示装置)、4…波長分離素子(波長分離光学系)、5…導光部、21…画素電極(一対の電極、反射面)、22…陰極(一対の電極、半透過半反射面)、23…発光部(発光層)、291…第1着色層、292…第2着色層、B1…サブ画素(第1のサブ発光素子、第1発光素子)、G1…サブ画素(第1のサブ発光素子、第2発光素子)、R1…サブ画素(第1のサブ発光素子、第3発光素子)、B2…サブ画素(第2のサブ発光素子、第1発光素子)、G2…サブ画素(第2のサブ発光素子、第2発光素子)、R2…サブ画素(第2のサブ発光素子、第3発光素子)、L1…第1の光、L2…第2の光、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子を有し、右目用画像を示す第1の光と、前記第1の光と同じ色で且つピーク波長が異なり、左目用画像を示す第2の光と、を射出する表示装置と、
前記第1の光と前記第2の光とのうち、いずれか一方を透過し他方を反射する波長分離光学系と、
前記波長分離光学系を介した前記第1の光を観察者の右目へ導き、前記波長分離光学系を介した前記第2の光を前記観察者の左目へ導く導光部と、を備える頭部装着型表示装置。
【請求項2】
前記発光素子は、前記第1の光を射出する第1のサブ発光素子と、前記第2の光を射出する第2のサブ発光素子と、を有し、
前記第1のサブ発光素子および前記第2のサブ発光素子は、それぞれ、一対の電極に挟持された発光層と、前記一対の電極のうち一方側に設けられた反射面と、他方側に設けられた半透過半反射面と、を有し、前記反射面と前記半透過半反射面との間で光共振器を形成しており、
前記第1のサブ発光素子は、前記第2のサブ発光素子とは異なる共振長に設定されている請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項3】
前記第1のサブ発光素子の共振長が、前記第1の光の中心波長に設定され、
前記第2のサブ発光素子の共振長が、前記第2の光の中心波長に設定されている請求項2に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項4】
前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第1の光を透過する第1着色層と、
光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第2の光を透過する第2着色層と、を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項5】
前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第1の光を透過する第1波長分離膜と、
光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第2の光を透過する第2波長分離膜と、を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子は、青色光を射出する第1発光素子と、緑色光を射出する第2発光素子と、赤色光を射出する第3発光素子と、を含む請求項1から5のいずれか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項7】
前記青色光に係る前記第1の光のピーク波長は、前記青色光に係る前記第2の光のピーク波長よりも長波長であり、
前記緑色光に係る前記第1の光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第2の光のピーク波長よりも短波長であり、
前記波長分離光学系は、前記青色光に係る前記第1の光のピーク波長と、前記緑色光に係る前記第1の光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を透過させる請求項6に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項8】
前記緑色光に係る前記第2の光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第1の光のピーク波長よりも長波長であり、
前記赤色光に係る前記第2の光のピーク波長は、前記赤色光に係る前記第1の光のピーク波長よりも短波長であり、
前記波長分離光学系は、前記緑色光に係る前記第2の光のピーク波長と、前記赤色光に係る前記第2の光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を反射する請求項6または7に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項9】
前記青色光に係る前記第2の光のピーク波長は、前記青色光に係る前記第1の光のピーク波長よりも長波長であり、
前記緑色光に係る前記第2の光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第1の光のピーク波長よりも短波長であり、
前記波長分離光学系は、前記青色光に係る前記第2の光のピーク波長と、前記緑色光に係る前記第2の光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を反射する請求項6に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項10】
前記緑色光に係る前記第1の光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第2の光のピーク波長よりも長波長であり、
前記赤色光に係る前記第1の光のピーク波長は、前記赤色光に係る前記第2の光のピーク波長よりも短波長であり、
前記波長分離光学系は、前記緑色光に係る前記第1の光のピーク波長と、前記赤色光に係る前記第1の光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を透過させる請求項6または7に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項11】
陽極と、該陽極に対向する陰極と、前記陽極と前記陰極との間に挟持された発光層と、を有する複数の発光素子を備え、
前記発光素子は、第1の光を射出する第1のサブ発光素子と、前記第1の光と同じ色で且つピーク波長が異なる第2の光を射出する第2のサブ発光素子と、を有する表示装置。
【請求項12】
前記発光素子は、前記陽極側に設けられた反射面と、前記陰極側に設けられた半透過半反射面と、の間で形成された光共振器構造を有し、
前記第1のサブ発光素子は、前記第2のサブ発光素子とは異なる共振長を有する請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1のサブ発光素子の共振長が、前記第1の光の中心波長に設定され、
前記第2のサブ発光素子の共振長が、前記第2の光の中心波長に設定されている請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第1の光を透過する第1着色層と、
光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第2の光を透過する第2着色層と、を有する請求項11から13のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第1の光を透過する第1波長分離膜と、
光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第2の光を透過する第2波長分離膜と、を有する請求項11から13のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項16】
前記複数の発光素子は、青色光を射出する第1発光素子と、緑色光を射出する第2発光素子と、赤色光を射出する第3発光素子と、を含む請求項11から15のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項1】
複数の発光素子を有し、右目用画像を示す第1の光と、前記第1の光と同じ色で且つピーク波長が異なり、左目用画像を示す第2の光と、を射出する表示装置と、
前記第1の光と前記第2の光とのうち、いずれか一方を透過し他方を反射する波長分離光学系と、
前記波長分離光学系を介した前記第1の光を観察者の右目へ導き、前記波長分離光学系を介した前記第2の光を前記観察者の左目へ導く導光部と、を備える頭部装着型表示装置。
【請求項2】
前記発光素子は、前記第1の光を射出する第1のサブ発光素子と、前記第2の光を射出する第2のサブ発光素子と、を有し、
前記第1のサブ発光素子および前記第2のサブ発光素子は、それぞれ、一対の電極に挟持された発光層と、前記一対の電極のうち一方側に設けられた反射面と、他方側に設けられた半透過半反射面と、を有し、前記反射面と前記半透過半反射面との間で光共振器を形成しており、
前記第1のサブ発光素子は、前記第2のサブ発光素子とは異なる共振長に設定されている請求項1に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項3】
前記第1のサブ発光素子の共振長が、前記第1の光の中心波長に設定され、
前記第2のサブ発光素子の共振長が、前記第2の光の中心波長に設定されている請求項2に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項4】
前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第1の光を透過する第1着色層と、
光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第2の光を透過する第2着色層と、を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項5】
前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第1の光を透過する第1波長分離膜と、
光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第2の光を透過する第2波長分離膜と、を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項6】
前記複数の発光素子は、青色光を射出する第1発光素子と、緑色光を射出する第2発光素子と、赤色光を射出する第3発光素子と、を含む請求項1から5のいずれか1項に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項7】
前記青色光に係る前記第1の光のピーク波長は、前記青色光に係る前記第2の光のピーク波長よりも長波長であり、
前記緑色光に係る前記第1の光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第2の光のピーク波長よりも短波長であり、
前記波長分離光学系は、前記青色光に係る前記第1の光のピーク波長と、前記緑色光に係る前記第1の光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を透過させる請求項6に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項8】
前記緑色光に係る前記第2の光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第1の光のピーク波長よりも長波長であり、
前記赤色光に係る前記第2の光のピーク波長は、前記赤色光に係る前記第1の光のピーク波長よりも短波長であり、
前記波長分離光学系は、前記緑色光に係る前記第2の光のピーク波長と、前記赤色光に係る前記第2の光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を反射する請求項6または7に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項9】
前記青色光に係る前記第2の光のピーク波長は、前記青色光に係る前記第1の光のピーク波長よりも長波長であり、
前記緑色光に係る前記第2の光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第1の光のピーク波長よりも短波長であり、
前記波長分離光学系は、前記青色光に係る前記第2の光のピーク波長と、前記緑色光に係る前記第2の光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を反射する請求項6に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項10】
前記緑色光に係る前記第1の光のピーク波長は、前記緑色光に係る前記第2の光のピーク波長よりも長波長であり、
前記赤色光に係る前記第1の光のピーク波長は、前記赤色光に係る前記第2の光のピーク波長よりも短波長であり、
前記波長分離光学系は、前記緑色光に係る前記第1の光のピーク波長と、前記赤色光に係る前記第1の光とのピーク波長と、を含む連続したピーク波長の光を透過させる請求項6または7に記載の頭部装着型表示装置。
【請求項11】
陽極と、該陽極に対向する陰極と、前記陽極と前記陰極との間に挟持された発光層と、を有する複数の発光素子を備え、
前記発光素子は、第1の光を射出する第1のサブ発光素子と、前記第1の光と同じ色で且つピーク波長が異なる第2の光を射出する第2のサブ発光素子と、を有する表示装置。
【請求項12】
前記発光素子は、前記陽極側に設けられた反射面と、前記陰極側に設けられた半透過半反射面と、の間で形成された光共振器構造を有し、
前記第1のサブ発光素子は、前記第2のサブ発光素子とは異なる共振長を有する請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
前記第1のサブ発光素子の共振長が、前記第1の光の中心波長に設定され、
前記第2のサブ発光素子の共振長が、前記第2の光の中心波長に設定されている請求項12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第1の光を透過する第1着色層と、
光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を吸収し前記第2の光を透過する第2着色層と、を有する請求項11から13のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項15】
前記発光素子は、光の取り出し方向において、前記第1のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第1の光を透過する第1波長分離膜と、
光の取り出し方向において、前記第2のサブ発光素子と対向して設けられ、前記光の一部を反射し前記第2の光を透過する第2波長分離膜と、を有する請求項11から13のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項16】
前記複数の発光素子は、青色光を射出する第1発光素子と、緑色光を射出する第2発光素子と、赤色光を射出する第3発光素子と、を含む請求項11から15のいずれか1項に記載の表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−15695(P2013−15695A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148899(P2011−148899)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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