説明

表示装置

【課題】奥行き感のある立体的な画像を表示することができる表示装置を提供する。
【解決手段】第1の画像表示パネル2と第1のマイクロレンズアレイ3とからなり、第1の画像光aによる第1の画像を観察方向に結像させる第1の結像手段1と、前記第1の結像手段の光路上に配置され、第1の結像手段1の光路上の光を透過させ、第1の結像手段の光路に対して交差する方向から入射した光を観察方向に反射するハーフミラー11と、第2の画像表示パネル5と第2のマイクロレンズアレイ6とからなり、第1の結像手段の光路に対して交差する方向に配置され、第2の画像光bをハーフミラー11に向けて出射する第2の結像手段4とを備え、第1と第2の結像手段1,4による第1と第2の画像を前記第1の結像手段の光路上で観察側から見て前後にずれた異なる位置に結像させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、立体的な画像を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置として、液晶層を挟んで対向する一対の基板の対向する内面のうち、一方の基板の内面に、予め定めた形状の複数の主セグメント電極と、これらの主セグメント電極の半周の縁部に隣接させてその縁部の輪郭形状に形成された複数の副セグメント電極とを設け、他方の基板の内面に、前記複数の主セグメント電極及び副セグメント電極に対向するコモン電極を設けた液晶表示素子を備え、前記液晶表示素子に、前記主セグメント電極の形状に対応する主表示パターンと、前記副セグメント電極の形状に対応する副表示パターン(主表示パターンの半周に沿う影のような輪郭パターン)とからなる、前記副表示パターンにより厚みを表現した図形、つまり、厚みのある形状物を斜め方向から見たような図形を表示させるようにしたものがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−201755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の表示装置の表示は、奥行き感の無い平面的な表示である。
【0004】
この発明は、奥行き感のある立体的な画像を表示することができる表示装置を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の表示装置は、
第1の画像表示パネルと、前記第1の画像表示パネルから出射した第1の画像光により表示の観察方向の第1の位置に第一の像を結像させる第1のレンズ部材とからなる第1の結像手段と、
前記第1の結像手段の光路上に配置され、前記第1の結像手段の光路上の光を透過させ、前記第1の結像手段の光路に対して交差する方向から入射する光を、前記第1の結像手段の光路と一致する前記観察方向に反射する光合成手段と、
第2の画像表示パネルと、前記第2の画像表示パネルから出射した第2の画像光により第2の画像を結像させる第2のレンズ部材とからなり、前記光合成手段に前記第1の結像手段の光路と交差する方向から前記第2の画像光を入射させ、前記第1の結像手段の光路上の、前記第1の位置とは異なる第2の位置に前記第2の画像表示パネルの第2の画像を結像させる第2の結像手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
この表示装置は、さらに、第3の画像表示パネルと、前記第3の画像表示パネルから出射した第3の画像光による第3の画像を結像させる第3のレンズ部材とからなり、前記第1の結像手段の光路と交差する方向から、前記第3の画像光を入射させ、前記第1の結像手段の光路上の、前記第1及び第2の位置とは異なる第3の位置に前記第3の画像表示パネルの第3の画像を結像させる第3の結像手段を備えているのが好ましい。
【0007】
その場合、前記第3の結像手段は、前記第1の結像手段の光路を挟んで第2の結像手段が配置された側とは反対側に配置され、前記光合成手段は、前記第1の結像手段の光路上の光を透過させ、前記第2の結像手段からの第2の画像光を観察方向に反射し、前記第3の結合手段からの前記第3の画像光を前記観察方向とは反対方向に反射する第1の光学部材と、前記第1の光学部材の前記観察側とは反対側に配置され、前記第1の結像手段の光路上の光を透過させて前記第1の光学部材に入射させ、前記第1の光学部材により前記反対方向に反射された前記第3の画像光を反射して前記第1の光学部材に入射させる第2の光学部材とにより構成するのが望ましい。
【0008】
また、この表示装置において、前記各画像光投射手段のレンズ部材は、複数のマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
この発明の表示装置は、第1の画像表示パネルとレンズ部材とからなる第1の結像手段と、前記第1の結像手段の光路上に配置され、前記第1の結像手段の光路上の光を透過させ、前記第1の結像手段の光路に対して交差する方向から入射する光を、前記第1の結像手段の光路と一致する前記観察方向に反射する光合成手段と、第2の画像表示パネルと第2のレンズ部材とからなり、前記光合成手段に前記第1の結像手段の光路と交差する方向から前記第2の画像光を入射させ、前記第1の結像手段の光路上の、前記第1の位置とは異なる第2の位置に前記第2の画像表示パネルの第2の画像を結像させる第2の結像手段とを備えているため、前記第1の画像光の結像位置に結像した第1の実像と、前記第2の画像光の結像位置に結像した第2の実像とが重なって見える、奥行き感のある立体的な画像を表示することができる。
【0010】
この表示装置は、さらに、第3の画像表示パネルと、前記第3の画像表示パネルから出射した第3の画像光による第3の画像を結像させる第3のレンズ部材とからなり、前記第1の結像手段の光路と交差する方向から、前記第3の画像光を入射させ、前記第1の結像手段の光路上の、前記第1及び第2の位置とは異なる第3の位置に前記第3の画像表示パネルの第3の画像を結像させる第3の結像手段を備のが好ましく、このようにすることにより、前記第1の画像光の結像位置に結像した第1の実像と、前記第2の画像光の結像位置に結像した第2の実像と、前記第3の画像光の結像位置に結像した第3の実像とが重なって見える、さらに奥行き感のある立体的な画像を表示することができる。
【0011】
その場合、前記第3の結像手段は、前記第1の結像手段の光路を挟んで第2の結像手段が配置された側とは反対側に配置され、前記光合成手段は、前記第1の結像手段の光路上の光を透過させ、前記第2の結像手段からの第2の画像光を観察方向に反射し、前記第3の結合手段からの前記第3の画像光を前記観察方向とは反対方向に反射する第1の光学部材と、前記第1の光学部材の前記観察側とは反対側に配置され、前記第1の結像手段の光路上の光を透過させて前記第1の光学部材に入射させ、前記第1の光学部材により前記反対方向に反射された前記第3の画像光を反射して前記第1の光学部材に入射させる第2の光学部材とにより構成するのが望ましく、このようにすることにより、前記第1、第2、第3の画像光投射手段を集中的に配置し、表示装置を小型化することができる。
【0012】
また、この表示装置において、前記各画像光投射手段のレンズ部材は、複数のマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイが好ましく、このようにすることにより、前記レンズ部材の配置スペースを小さくし、表示装置を小型化することができるとともに、各画像表示パネルから出射した画像光を均等に投射し、高品質の立体的な画像を表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
図1及び図2はこの発明の第1の実施例を示しており、図1は表示装置の斜視図、図2は前記表示装置の各画像光投射手段からの投射光線図である。
【0014】
この表示装置は、図1及び図2のように、第1の画像光aを出射し、その第1の画像光aにより表示の観察方向に第1の画像を結像する第1の結像手段1と、前記第1の結像手段1の光路上に配置され、前記第1の結像手段1の光路上の光を透過させ、前記第1の結像手段の光路対して交差する方向から入射した光を前記観察方向に反射する光合成手段10と、前記第1の結像手段の光路に対して直交する方向に配置され、第2の画像光bを前記光合成手段10に向けて出射する第2の結像手段4とを備えている。
【0015】
前記第1の結像手段1は、第1の画像表示パネル2と、前記第1の画像表示パネル2の光出射側に設けられ、前記第1の画像表示パネル2から出射した第1の画像光aにより第1の画像を結像する第1のレンズ部材3とからなっており、前記第1の画像光aの出射方向を前記観察方向に向けて配置されている。
【0016】
また、前記第2の結像手段4は、第2の画像表示パネル5と、前記第2の画像表示パネル5の光出射側に設けられ、前記第2の画像表示パネル5から出射した第2の画像光bにより第2の画像を結像させる第2のレンズ部材6とからなっており、前記第1の結像手段の光路と直交する方向に、前記第2の画像光bの出射方向を前記光合成手段10に向け、且つ前記第2の画像光bの中心線Oを前記第1の画像光aの中心線Oに対して実質的に直交させて配置されている。
【0017】
前記第1の結像手段1の画像表示パネル2と、前記第2の結像手段4の画像表示パネル5は、実質的に同じ画面サイズの表示パネルであり、例えばEL(エレクトロルミネッセンス)表示パネル等の自発光型表示パネルからなっている。
【0018】
前記第1と第2の結像手段1,4の画像表示パネル2,5は、図示しない表示駆動手段により、両方の画像表示パネル2,5の各画素に同じ画像データに応じた駆動信号を印加され、同じ画像を同時に表示する。
【0019】
また、前記第1の結像手段1のレンズ部材3と、前記第2の結像手段4のレンズ部材6は、前記画像表示パネル2,5の画面2a,5aに対応する面積を有し、その全域に、両凸レンズ状の複数のマイクロレンズ3a,6aを密に並べて蝿の目状に配列したマイクロレンズアレイからなっている。以下、これらのレンズ部材3,6をマイクロレンズアレイという。
【0020】
前記第1と第2の結像手段1,4のマイクロレンズアレイ3,6は、同じ焦点距離を有する同一規格のものであり、前記第1及び第2の画像表示パネル2,5に対して、これらの画像表示パネル2,5から同じ距離をとった位置に配置されている。
【0021】
前記光合成手段10はハーフミラー11からなっており、前記第1の画像光aの中心線Oと前記第2の画像光bの中心線Oとが交差する位置に、前記第1と第2の画像光a,bの両方の中心線O,Oに対して実質的に45°の角度で傾けて配置されている。
【0022】
このハーフミラー11は、前記第1の結像手段1の光路上の光、つまり前記第1の結像手段1から出射された第1の画像光aを、図2に矢線で示したように予め定めた透過率で透過させ、前記第1の結像手段の光路に対して交差する方向から入射した光、つまり前記第2の結像手段4から投射された第2の画像光bを、図2に破矢線で示したように予め定めた反射率で前記観察方向に反射する。
【0023】
そして、前記第1と第2の結像手段1,4は、前記第1の結像手段1から出射され、前記ハーフミラー11を透過した第1の画像光aによる第1の画像の結像位置と、前記第2の結像手段4から出射され、前記ハーフミラー11により前記観察方向に反射された前記第2の画像光bによる第2の画像の結像位置とが、前記第1の結像手段光路上で異なるように配置されている。
【0024】
なお、上述したように、前記第1の結像手段1のマイクロレンズアレイ3と、前記第2の結像手段4のマイクロレンズアレイ6は、同じ焦点距離を有しているため、前記第1の結像手段1のマイクロレンズアレイ3から前記第1の画像の結像位置までの距離と、前記第2の結像手段4のマイクロレンズアレイ6から前記第2の画像の結像位置までの距離(ハーフミラー11を介した屈折距離)は同じである。
【0025】
そのため、この実施例では、前記第1の結像手段1と第2の結像手段4とを、それぞれのマイクロレンズアレイ3,6から前記ハーフミラー11までの距離を互いに異ならせて配置し、前記第1の結像手段1から出射され、前記ハーフミラー11を透過した第1の画像光aによる第1の画像と、前記第2の結像手段4から出射され、前記ハーフミラー11により前記観察方向に反射された前記第2の画像光bによる第2の画像とを、前記第1の結像手段の光路上で観察側からみて前後に異なる位置に結像させるようにしている。
【0026】
この表示装置は、第1の画像表示パネル2と第1のマイクロレンズアレイ3とからなり、第1の画像光aの出射方向を表示の観察方向に向けて配置された第1の結像手段1と、前記第1の結像手段の光路上に配置され、前記第1の結像手段1の光路上の光を透過させ、前記第1の結像手段の光路に対して交差する方向から入射した光を前記観察方向に反射するハーフミラー11と、第2の画像表示パネル5と第2のマイクロレンズアレイ6とからなり、前記第1の結像手段と交差する方向に配置され、前記第2の画像光bを前記ハーフミラー11に向けて出射する第2の結像手段4とを備え、前記第1と第2の結像手段1,4を、前記第1の結像手段1から出射され、前記ハーフミラー11を透過した第1の画像光aによる第1の画像の結像位置と、前記第2の結像手段4から出射され、前記ハーフミラー11により前記観察方向に反射された前記第2の画像光bによる第2の画像の結像位置とを、前記第1の結像手段の光路で前後に異ならしているため、図2に示したように、前記第1の結像手段1から出射された第1の画像光aによる第1の画像Aと、前記第2の結像手段4から出射された第2の画像光bによる第2の画像Bとを、前記第1の結像手段の光路で前後にずらした位置に結像することができる。
【0027】
そして、この実施例では、前記第1と第2の結像手段1,4の画像表示パネル2,5に同じ画像を表示させ、結像位置が前後に異なる実質的に同じ前記第1の画像Aと第2の画像Bを観察することにより、、奥行き感のある立体的な画像を表示することができる。
【0028】
この表示装置において、画像表示パネルの画面全体に画像を表示させ、他方の画像表示パネルの画面の予め定めた部分に前記一方の画像表示パネルの対応する部分の表示と同じパターンの画像を表示させ、この他方の表示パネルの画面の他の部分を無表示(白)にすることにより、前記予め定めた部分に奥行き感をもたせた立体的な画像を表示することができる。
【0029】
また、この表示装置は、前記各結像手段1,4のレンズ部材を、複数のマイクロレンズ3a,6aを配列したマイクロレンズアレイ3,6としているため、前記レンズ部材に厚型の大口径レンズを用いる場合に比べて、前記レンズ部材の配置スペースを小さくし、表示装置を小型化することができる。
【0030】
しかも、前記マイクロレンズアレイ3,6は、サーキュラフレネルレンズのように投射光に同心円上の縞模様を生じさせることが無いため、各画像表示パネル2,5から出射した画像光をむら無く投射し、高品質の立体的な画像を表示することができる。
【0031】
なお、上記第1の実施例では、前記第1の結像手段1から出射された第1の画像光aと前記第2の結像手段4から投射された第2の画像光bとを1つの光路に一致させて合成する光合成手段10をハーフミラー11により構成しているが、前記光合成手段10は、互いに直交する2つの方向に透過軸と反射軸とをもち、入射光の互いに直交する2つの直線偏光成分のうち、前記透過軸に平行な直線偏光成分を透過させ、前記反射軸に平行な直線偏光成分を反射する反射偏光板により構成してもよい。
【0032】
また、上記第1の実施例では、前記第1と第2の結像手段1,4の画像表示パネル2,3を、EL表示パネル等の自発光型表示パネルとしているが、前記画像表示パネル2,3を液晶表示パネルとし、その背後に前記液晶表示パネルに向けて照明光を照射する面光源を配置してもよい。
【0033】
なお、前記画像表示パネル2,3を液晶表示パネルとし、前記光合成手段10を前記反射偏光板により構成する場合は、第1の結像手段1の液晶表示パネルの出射側偏光板の透過軸を、前記反射偏光板の透過軸と平行にし、第2の結像手段4の液晶表示パネルの出射側偏光板の透過軸を、前記反射偏光板の反射軸と平行にするのが好ましく、このようにすることにより、前記第1の結像手段1及び第2の結像手段4から投射された第1及び第2の画像光a,bを、前記反射偏光板により効率良く透過及び反射させてそれぞれの結像位置に結像させ、明るい立体的画像を表示することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図3はこの発明の第2の実施例を示す表示装置の各結像手段からの投射光線図である。
【0035】
この実施例の表示装置は、上述した第1の実施例の表示装置において、さらに第3の結像手段7を備え、前記第1の結像手段1の光路上に、前記第2の結像手段4から出射された第2の画像光bと、前記第3の結像手段7から出射された第3の画像光cとの出射方向を一致させて合成するための光合成手段10aを配置したものである。
【0036】
前記第3の結像手段7は、第3の画像表示パネル8と、前記第3の画像表示パネル8の光出射側に設けられ、前記第3の画像表示パネル8から出射した第3の画像光cを図に破矢線で示したように出射する第3のレンズ部材9とからなっており、前記第1の結像手段1の光路と交差する方向の、前記第1の結像手段1と前記第2の結像手段4との間に位置させて、前記第3の画像光cの出射方向を前記光合成手段10aに向け、且つ前記第3の画像光cの中心線Oを前記第1の画像光aの中心線Oに対して実質的に直交させて配置されている。
【0037】
なお、前記第3の画像表示パネル8は、前記第1及び第2の結像手段1,4の画像表示パネル2,5と同じEL表示パネル等の自発光型表示パネルからなっており、前記第1と第2の結像手段1,4の画像表示パネル2,5の表示画像と同じ画像を同時に表示する。
【0038】
また、前記第3のレンズ部材9は、前記第1及び第2の結像手段1,4のレンズ部材であるマイクロレンズアレイ3,6と同一規格のマイクロレンズアレイからなっている。
【0039】
さらに、前記光合成手段10aは、前記第1の結像手段1の光路上の光を透過させ、前記第2の結像手段4から出射された第2の画像光bを表示の観察方向に反射する第1の光学部材12と、前記第1の光学部材12の前記第1の結像手段1の側に配置され、前記第1の結像手段1から出射された第1の画像光aを透過させ、前記第3の結像手段7から出射された第3の画像光cを前記観察方向に反射する第2の光学部材13とからなっている。
【0040】
この光合成手段10aの第1と第2の光学部材12,13はそれぞれハーフミラーからなっており、第1のハーフミラー12は、前記第1の画像光aの中心線Oと前記第2の画像光bの中心線Oとが交差する位置に、前記第1と第2の画像光a,bの両方の中心線O,Oに対して実質的に45°の角度で傾けて配置され、第2のハーフミラー13は、前記第1の画像光aの中心線Oと前記第3の画像光cの中心線Oとが交差する位置に、前記第1と第3の画像光a,cの両方の中心線O,Oに対して実質的に45°の角度で傾けて配置されている。
【0041】
そして、前記第1の結像手段1と第2の結像手段4は、それぞれのマイクロレンズアレイ3,6から前記第1のハーフミラー12までの距離を互いに異ならせて配置され、前記第3の結像手段7は、そのマイクロレンズアレイ9から前記第2のハーフミラー13までの距離を、前記第1の結像手段1のマイクロレンズアレイ3から前記第2のハーフミラー13までの距離と、前記第2の結像手段2のマイクロレンズアレイ6から前記第1のハーフミラー12までの距離に前記第1と第2のハーフミラー12,13間の距離を加えた長さの両方に対して異ならせて配置されている。
【0042】
すなわち、前記第1と第2と第3の結像手段1,4,7は、前記第1の結像手段1から観察方向に出射され、前記光合成手段10aの第2のハーフミラー13と第1のハーフミラー12とを順に透過した第1の画像光aと、前記第2の結像手段4から出射され、前記第1のハーフミラー12により前記観察方向に反射された第2の画像光bと、前記第3の結像手段7から出射され、前記第2のハーフミラー13により前記観察方向に反射されて前記第1のハーフミラー12を透過した第3の画像光cとによるそれぞれの第1、第2、第3の画像を、前記第1の結像手段の光路でそれぞれ前後にずれた3つの位置に結像させるように配置されている。
【0043】
この表示装置は、上記第1の実施例の表示装置において、さらに第3の結像手段7を備え、前記第3の結像手段7を、この第3の結像手段7から出射され、前記光合成手段10aの第2のハーフミラー13により観察方向に反射された第3の画像光cによる第3の画像の結像位置を、前記第1の結像手段1から観察方向に出射され、前記光合成手段10aの第2と第1のハーフミラー13,12を透過した第1の画像光aによる第1の画像の結像位置、及び前記第2の結像手段4から出射され、前記光合成手段10aの第1のハーフミラー12により前記観察方向に反射された第2の画像光bによる第2の画像の結像位置に対して、前記第1の結像手段の光路上で、前後に異なった位置に見えるため、さらに奥行き感のある立体的な画像を表示することができる。
【0044】
なお、この実施例では、前記光合成手段10aの第1と第2の光学部材12,13をハーフミラーとしているが、これらの光学部材12,13一方または両方を反射偏光板としてもよく、両方の光学部材12,13を反射偏光板とする場合は、これらの反射偏光板を、それぞれの透過軸を互いに平行にして配置すればよい。
【0045】
また、この実施例の表示装置において、前記第1、第2及び第3の結像手段1,4,7の画像表示パネル2,3,8は、EL表示パネル等の自発光型表示パネルに限らず、液晶表示パネルでもよい。
【0046】
(第3の実施形態)
図4及び図5はこの発明の第2の実施例を示しており、図4は表示装置の斜視図、図5は前記表示装置の各結像手段からの投射光線図である。
【0047】
この実施例の表示装置は、上記第2の実施例の表示装置において、第3の結像手段7を、第1の結像手段1の光路を挟んで第2の結像手段4の配置側とは反対側に配置し、光合成手段10bを、前記第1の結像手段1の光路上の光を透過させ、前記第2の結像手段4から出射された第2の画像光bを観察方向に反射し、前記第3の結像手段7から投射された第3の画像光cを前記観察方向とは反対方向に反射する第1の光学部材14と、前記第1の光学部材14の前記第1の結像手段1に対向する側に配置され、前記第1の結像手段1から投射された第1の画像光aを透過させて前記第1の光学部材14に入射させ、前記第1の光学部材14により前記反対方向に反射された前記第3の画像光cを反射して前記第1の光学部材14に入射させる第2の光学部材15とにより構成したものであり、他の構成は第2の実施例の表示装置と同じである。
【0048】
この表示装置において、前記第3の結像手段7は、前記第1の結像手段の光路を挟んで前記第2の結像手段4の配置側とは反対側に、前記第3の画像光cの中心線Oを、前記第2の画像光bの中心線Oに一致させて配置されている。
【0049】
前記光合成手段10bの第1の光学部材14はハーフミラーからなっており、前記第1の画像光aの中心線Oと前記第2の画像光bの中心線Oとが交差する位置に、前記第1と第2の画像光a,bの両方の中心線O,Oに対して実質的に45°の角度で傾けて配置されている。
【0050】
また、前記光合成手段10bの第2の光学部材15は、互いに直交する2つの方向に透過軸15aと反射軸15bとをもった反射偏光板からなっており、前記ハーフミラー14の前記第1の結像手段1に対向する側に、前記第1の画像光aの中心線Oに対して垂直に配置されている。
【0051】
この反射偏光板15は、前記第1の結像手段1から投射された第1の画像光aのうち、前記透過軸15aに平行な直線偏光成分の光を透過させて前記ハーフミラー14に入射させ、前記ハーフミラー14により前記観察方向とは反対方向に反射された前記第3の画像光cのうち、前記反射軸15bに平行な直線偏光成分の光を前記観察方向に反射して前記ハーフミラー14に入射させる。
【0052】
さらに、この表示装置は、前記第1、第2及び第3の結像手段1,4,7の画像表示パネル2,5、8を、EL表示パネル等の自発光型表示パネルとしたものであり、この実施例では、前記第3の結像手段7の画像表示パネル8またはマイクロレンズアレイ9の出射側(図ではマイクロレンズアレイ9の出射側)に、前記ハーフミラー14により観察方向とは反対方向に反射されて前記反射偏光板15に入射する屈折光路を直線光路に展開したときの前記反射偏光板15の反射軸15bの向きと実質的に平行な直線偏光からなる第3の画像光cを投射するための偏光素子16を備えさせている。
【0053】
この偏光素子16は、互いに直交する2つの方向に透過軸と吸収軸とをもった偏光板、あるいは、互いに直交する2つの方向に透過軸と反射軸とをもった反射偏光板であり、その透過軸16aを、前記第3の画像光cの屈折光路を直線光路に展開したときの前記反射偏光板15の反射軸15bの向きと平行にして、前記第3の画像光cの中心線Oに対して垂直に配置されている。
【0054】
そして、前記第1と第2と第3の結像手段1,4,7は、前記第1の結像手段1から観察方向に出射され、前記光合成手段10bの反射偏光板15とハーフミラー14とを順に透過した第1の画像光aと、前記第2の結像手段4から出射され、前記ハーフミラー14により前記観察方向に反射された第2の画像光bと、前記第3の結像手段7から出射され、前記ハーフミラー14により観察方向とは反対方向に反射され、さらに前記反射偏光板15により前記観察方向に反射されて前記ハーフミラー14を順に透過した第3の画像光cとによる第1、第2、第3の画像を、前記第1の結像手段の光路上で前後にずれた3つの位置にそれぞれ結像させるように配置されている。
【0055】
したがって、この表示装置は、前記第1の結像手段の結像位置に結像した前記第1の画像Aと、前記第2の結像手段4の結像位置に結像した第2の画像Bと、前記第3の結像手段7の結像位置に結像した第3の画像Cとを観察することによって、さらに奥行き感のある立体的な画像を表示することができる。
【0056】
そして、この表示装置は、前記第3の結像手段7を、前記第1の結像手段の光路を挟んで前記第2の結像手段4の配置側とは反対側に配置し、前記光合成手段10bを、前記第1の結像手段1の光路上の光を透過させ、前記第2の結像手段4から出射された第2の画像光bを観察方向に反射し、前記第3の結像手段7から出射された第3の画像光cを前記観察方向とは反対方向に反射するハーフミラー14と、前記ハーフミラー14の第1の結像手段1に対向する側に配置され、前記第1の結像手段1から出射された第1の画像光aを透過させて前記ハーフミラー14に入射させ、前記ハーフミラー14により前記反対方向に反射された第3の画像光cを反射して前記ハーフミラー14に入射させる反射偏光板15とにより構成しているため、前記第1、第2、第3の結像手段1,2,7を集中的に配置し、表示装置を小型化することができる。
【0057】
なお、この実施例では、前記第3の結像手段7の出射側に、前記ハーフミラー14により反射されて前記反射偏光板15に入射する屈折光路を直線光路に展開したときの前記反射偏光板15の反射軸15bの向きと実質的に平行な直線偏光からなる第3の画像光cを出射するための偏光素子16を備えさせているが、この偏光素子16は省略してもよい。
【0058】
また、この実施例では、前記光合成手段10bの第1の光学部材14をハーフミラーとし、第2の光学部材15を反射偏光板としているが、それと逆に、前記第1の光学部材14を反射偏光板とし、第2の光学部材15をハーフミラーとしてもよい。
【0059】
さらに、前記光合成手段10bの第1と第2の光学部材14,15は、その両方をハーフミラーとしても、両方を反射偏光板としてもよく、両方の光学部材14,15を反射偏光板とする場合は、これらの反射偏光板を、それぞれの透過軸を互いに平行にして配置すればよい。
【0060】
また、この実施例の表示装置において、前記第1、第2及び第3の結像手段1,4,7の画像表示パネル2,3,8は、EL表示パネル等の自発光型表示パネルに限らず、液晶表示パネルでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明の第1の実施例を示す表示装置の斜視図。
【図2】第1の実施例の表示装置の各結像手段からの投射光線図。
【図3】この発明の第2の実施例を示す表示装置の各結像手段からの投射光線図。
【図4】この発明の第3の実施例を示す表示装置の斜視図。
【図5】第3の実施例の表示装置の各結像手段からの投射光線図。
【符号の説明】
【0062】
1,4,7…結像手段、2,5,8…画像表示パネル、3,6,9…マイクロレンズアレイ(レンズ部材)、10,10a,10b…光合成手段、11,12,13,14…ハーフミラー(光学部材),15…反射偏光板(光学部材)、15a…透過軸、15b…反射軸、16…偏光素子、16a…透過軸、a…第1の画像光、b…第2の画像光、c…第3の画像光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像表示パネルと、前記第1の画像表示パネルから出射した第1の画像光により表示の観察方向の第1の位置に第一の像を結像させる第1のレンズ部材とからなる第1の結像手段と、
前記第1の結像手段の光路上に配置され、前記第1の結像手段の光路上の光を透過させ、前記第1の結像手段の光路に対して交差する方向から入射する光を、前記第1の結像手段の光路と一致する前記観察方向に反射する光合成手段と、
第2の画像表示パネルと、前記第2の画像表示パネルから出射した第2の画像光により第2の画像を結像させる第2のレンズ部材とからなり、前記光合成手段に前記第1の結像手段の光路と交差する方向から前記第2の画像光を入射させ、前記第1の結像手段の光路上の、前記第1の位置とは異なる第2の位置に前記第2の画像表示パネルの第2の画像を結像させる第2の結像手段とを備えることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
さらに、第3の画像表示パネルと、前記第3の画像表示パネルから出射した第3の画像光による第3の画像を結像させる第3のレンズ部材とからなり、第1の結像手段の光路と交差する方向から、前記第3の画像光を入射させ、前記第1の結像手段の光路上の、前記第1及び第2の位置とは異なる第3の位置に前記第3の画像表示パネルの第3の画像を結像させる第3の結像手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
第3の結像手段は、第1の結像手段の光路を挟んで第2の結像手段が配置された側とは反対側に配置され、
光合成手段は、第1の結像手段の光路上の光を透過させ、第2の結像手段からの第2の画像光を観察方向に反射し、前記第3の結合手段からの前記第3の画像光を前記観察方向とは反対方向に反射する第1の光学部材と、前記第1の光学部材の前記観察側とは反対側に配置され、前記第1の結像手段の光路上の光を透過させて前記第1の光学部材に入射させ、前記第1の光学部材により前記反対方向に反射された前記第3の画像光を反射して前記第1の光学部材に入射させる第2の光学部材とからなることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
各画像光投射手段のレンズ部材は、複数のマイクロレンズを配列したマイクロレンズアレイからなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−264448(P2007−264448A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−91625(P2006−91625)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】