説明

表示装置

【課題】 第1基板11の第2基板12とは反対側に設けられた導電層110に接続された導電膜111と、第2基板12に設けられた電極30との電気的な接続の信頼性を向上する。
【解決手段】 導電膜111及び電極30に接触している導電部材200を備え、導電部材200は、第2基板12との間に導電膜111を挟んで導電膜111と接触している弾性部と、第2基板12との間に電極30を挟んで電極30と接触している弾性部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置に関し、特に、間隔をおいて対向する第1基板と第2基板とを備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電子源が形成されたリアプレートと、蛍光体及び加速電極を含む画像表示部材が形成されたフェースプレートとが対向して真空容器を構成した画像表示装置が開示されている。特許文献1では、加速電極に高電圧を印加するための導入線の周囲に、独立配線が設けられており、独立配線は真空容器から引き出されている。また、フェースプレートの前面にはITO層を有する前面フィルムが貼り付けられている。そして、導電性の接触テープの一端の粘着面が、独立配線の引き出し部に固着され、もう一端の粘着面が前面フィルムと固着された構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−092075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の構成では、接触テープのような導電膜と、独立配線のように容器から引き出された電極との電気的な接続の信頼性が低下し、ITO層のような導電層と、電極との電位規定が確実でない場合があった。そこで本発明は、導電膜と、電極との電気的な接続の信頼性を向上し、長期にわたって安定した表示を行う表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明の表示装置は、絶縁性の第1基板と、前記第1基板と間隔をおいて対向する面を有する絶縁性の第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記第2基板の前記面の端よりも内側の部分にて、前記第2基板に接続された枠体と、を備えた容器と、前記第1基板と前記第2基板と前記枠体とで囲まれた、前記容器の内部に設けられた表示手段と、前記第1基板の前記第2基板とは反対側に設けられた導電層と、前記第2基板の前記面の、前記枠体が接続された部分と前記端との間に設けられ、前記導電層に接続された導電膜と、前記第2基板の前記面の、前記枠体が接続された部分と前記端との間に設けられ、前記容器の前記内部まで延在した電極と、前記導電膜及び前記電極に接触している導電部材と、を備え、前記導電部材は、前記第2基板の前記面との間に前記導電膜を挟み、かつ、前記導電膜と接触している第1の弾性部と、前記第2基板の前記面との間に前記電極を挟み、かつ、前記電極と接触している第2の弾性部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第2基板の同一面上で、導電部材の第1の弾性部が導電膜に接触し、導電部材の第2の弾性部が電極に接触するので、導電膜と電極との電気的な接続の信頼性が向上し、導電膜に接続された導電層と電極との電位規定を好適に行うことができる。そのため、長期にわたって安定した表示を行う表示装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】表示パネルの一例を説明する模式図。
【図2】表示パネルの一例を説明する模式図。
【図3】表示装置の一例を説明する模式図。
【図4】表示装置の一例を説明する模式図。
【図5】導電部材の一例を説明する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
表示装置は、少なくとも容器と表示手段とからなる表示パネルを備えている。表示装置は、更に、映像信号(ビデオ信号)に基づいて表示手段を駆動するための駆動回路や、表示パネルを支持する支持体を備えることができる。通常、支持体は駆動回路を搭載し、駆動回路や支持体は、筐体に収容される。
【0009】
以下、本発明の表示装置の一例を図面を用いて説明する。
ここでは、表示パネルとして、FED用の表示パネル100を例にして、図1を用いて説明する。図1(a)は表示パネル100の一部を切り欠いて示した模式的な斜視図であり、図1(b)は図1(a)の直線A−A’における模式的な断面図である。
【0010】
表示パネル100は、容器10を備えている。容器10は絶縁性の第1基板11と、絶縁性の第2基板12と、第1基板11と第2基板12の間に設けられた枠体13とを備えている。第1基板11と第2基板12は間隔をおいて対向している。第1基板11は、2つの主面として、内面11aと、内面11aの反対側の主面である外面11bとを有している。また、第2基板12は、2つの主面として、内面12aと、内面11aの反対側の主面である外面12bとを有している。そして、内面11aと内面12aとが間隔をおいて対向している。なお、第2基板12の主面以外の面であって、内面12aの端と外面12bの端との間で連続する面を第2基板12の端面12cと呼ぶ。
【0011】
枠体13は、第1基板11と第2基板12の各々と接続している。第1基板11と第2基板12と枠体13で囲まれた領域を容器10の内部9と呼ぶ。なお、容器10の内部9は容器10の内表面を含む領域である。容器10を構成する第1基板11と第2基板12と枠体13の、内部9とは反対側の領域を容器10の外部と呼ぶ。容器10の外部は容器10の外表面を含む領域である。
【0012】
枠体13は、内面12aの一部であって、内面12aの端よりも内側に位置する接続部12dにて、第2基板12と接続されている。内面12aの一部であって、内面12aの端と接続部12dの間の部分を内面12aの外縁部12eと呼ぶ。外縁部12eは、容器10の外部に露出することができる。
【0013】
枠体13は、典型的には、枠部材23と接着部材24と接着部材25とからなる。第1基板11と枠部材23とが接着部材24により接着され、第2基板12と枠部材23とが接着部材25により接着されている。第2基板12と接着部材25との界面が接続部12dである。なお、枠部材23は省略することもできる。その場合、枠体13は、第1基板11と第2基板12とを接着する接着部材によって構成される。
【0014】
第1基板11の内面11aに関しても、第2基板12と同様に、外縁部を定義することができる。すなわち、内面11aの端と、内面11aと枠体13との接続部の間の部分が内面11aの外縁部である。通常、内面11aの外縁部の幅は、内面12aの外縁部12aの幅よりも狭くされる。その結果、内面12aの一部、具体的には外縁部12eの一部は、第1基板11の内面11aとは対向しない。
【0015】
図1(b)の形態では、第1基板11と枠部材23、および、第2基板12と枠部材23は、それぞれ接着部材24と接着部材25を用いて気密に接着されている。その結果、容器10は、第1基板11と第2基板12との間の空間が枠体13によって気密に接合(封止)された気密容器となっている。さらに、容器10の内部の圧力が大気圧より低い圧力(真空)に保持されており、容器10は真空容器となっている。第2基板12と第1基板11の間には、容器10に作用する大気圧を支持する為、多数の細長い板状のスペーサ14が配置されている。以上が、容器10の概要である。
【0016】
表示パネル100は、後で詳細に説明するが、容器10の内部9に図1(a)の符号15〜22で示される表示手段を備えている。
【0017】
さらに、表示パネル100は、図1に示すように、電極30を備えている。電極30について、図2(a)を用いてより詳細に説明する。図2(a)は、図1の電極30の周辺の、第1基板11を省略した拡大図である。電極30は、その一部30aが外縁部12eに設けられており、その別の一部30bが、容器10の内部9に設けられている、連続した導電性の膜である。つまり、電極30は、外縁部12eから容器10の内部9にまで、枠体13と内面12aとの間を通って、また、内面12aに沿って延在している。電極30は、容器10の外部にて所定電位を付与することによって、容器10の内部9に設けられた部分の電位が規定される。電極30の材料は銅や銀などの金属膜からなり、スパッタ法等の真空成膜や、スクリーン印刷法等の印刷法など、一般的な電極の形成方法を用いて形成される。電極30の厚みは典型的には100μm以下である。なお、本発明において、「金属」とは、単体の金属だけでなく合金を含む。
【0018】
次に、表示装置1000の構成について、図3を用いて説明する。図3(a)は、表示装置1000における表示パネル100の角部の周辺を拡大した斜視図であり、図3(b)は、表示装置1000の分解図である。表示パネル100については、簡略化のために、容器10を構成する第1基板11と第2基板12と枠体13、および、第2基板12に設けられた電極30のみを示している。
【0019】
図3(a),(b)に示すように、表示装置1000は、表示パネル100の前方、つまり、第1基板11の第2基板12とは反対側に設けられた導電層110を備えている。導電層110には、導電膜111が電気的に接続されている。導電膜111は導電層110から離れる方向に延在する。導電膜111は、表示パネル100を構成する第1基板11の外面11bから、第2基板12の内面12aに連続して延在可能であれば、その形状や形成方法は特に限定されない。導電膜111としては、導電テープが好ましいが、導電テープのように細長い形状に限定されることはなく導電シートでも良い。導電膜111の材料としては銅を好ましく用いることができ、銅テープが好適である。なお、導電テープ或いは導電シートは粘着性を有していても良い。導電膜111は、例えば、導電性ペーストを、ディスペンサ等で膜状に塗布し、乾燥することによって形成しても良い。導電膜111の材料によっては、導電層110と導電膜111とが一体であっても良い。
【0020】
図3(a)に示すように、導電膜111は、その一部が第2基板12の内面12aの外縁部12eに配置されている。配置の形態としては、電極30と導電膜111の両方が露出するようにする。言い換えれば、電極30と導電膜111の一方が、他方によって完全に隠れてしまうようには配置しない。図3(a)の例では、導電膜111は電極30の一部の上(Z方向)に重ねられている。導電膜111は、外縁部12e上において、電極30とその一部が重なっていても良いし、全部が重なっていても良い。導電膜111と電極30とが重なる場合には、典型的には、電極30が導電膜111よりも第2基板12側に位置するが、逆でも良い。また、導電膜111と電極30とが重ならずに外縁部12e上に並べられていても良い。
【0021】
表示装置1000は、導電部材200を備えている。導電部材200は、少なくともその表面が導電性を有していれば良く、内部が絶縁性であってもよいが、より高い導電性を得るために金属製であることが好ましい。導電部材200は板厚0.1mm〜1.0mm程度の金属板をプレス加工して作製することができる。導電部材200の厚みを0.5mm未満とすると好ましい。
導電部材200の材料は、例えば、銅、アルミ、銅合金、鉄合金、アルミ合金などの金属材料のうち、ばね性の高いものを用いることが好適である。さらに、導電部材200の表面に、メッキ処理が施されていると、導電性と耐腐食性に優れるので、好適である。
【0022】
導電部材200は、導電膜111と電極30の各々に接触している。導電部材200は表示装置1000に対して着脱が可能であり、図5(a)、図5(b)に、表示装置1000から取り外した導電部材200の外観を示す。図5(a)と図5(b)は、同じ導電部材200を異なる方向から見たときの外観図である。なお、図5(c)に示す導電部材300は、導電性の導電部材の変形例である。
【0023】
図5(a)、(b)に示すように、導電部材200は弾性部210(第1の弾性部)と弾性部220(第2の弾性部)と弾性部230(第3の弾性部)とを有している。また、導電部材200は、支持部240と対向部250と固定部260を有している。弾性部(210、220、230)は、それぞれが支持部240に接続されており、支持部240によって支持されている。対向部250は、支持部240の、弾性部210と弾性部220が接続された箇所とは反対側から延長している。その結果、対向部250は、弾性部210と弾性部220とに対向している。対向部250からは、支持部240とは反対側に、固定部260が延長している。固定部260には、ネジ締結用穴261が設けられている。図5(a)、(b)に示した形態では、弾性部210と弾性部220とはそれぞれ片持ち梁(カンチレバー)構造を有しており、可撓性を有している。そして、弾性部210と弾性部220との間には、切り込み215が設けられている。したがって、切り込み215が弾性部210と弾性部220とが連動して変形することを抑制し、独立して変形することを可能にしている。詳細は後述するが、弾性部230も片持ち梁構造を有しており、弾性部210と弾性部220が変形可能な方向とは異なる方向に変形が可能となっている。弾性部230は省略することもできるが、枠体13を構成する枠部材23が導電性を有する場合には設けておく。
【0024】
図5(a)、(b)の例では、弾性部210は、各々が、梁部211と先端部212とからなる、短冊型の2つの弾性部で構成されている。先端部212は梁部211に対して屈曲しており、その結果、弾性部210は突起を有している。言い換えれば、弾性部210の屈曲部が突起を形成している。さらに、導電部材200の作製方法によっては、弾性部210の屈曲部の周辺にバリが生じ、微小な突起を有する場合もある。また、図5(a)、(b)の例では、弾性部220は、各々が、梁部221と先端部222からなる短冊型の3つの弾性部で構成されている。先端部222は梁部221に対して屈曲しており、その結果、弾性部220は突起を有している。言い換えれば、弾性部210の屈曲部が突起を形成している。さらに、導電部材200の作製方法によっては、弾性部220の屈曲部の周辺にバリが生じ、微小な突起を有する場合もある。短冊型の弾性部の間には、弾性部210と弾性部220との間と同様に、切り込み215が設けられている。弾性部210と弾性部220の各々が、少なくとも1つずつ短冊型の弾性部を有していれば良いが、短冊型の弾性部の数は多いほうが好ましい。
【0025】
図5(c)に示すように、導電部材200の変形例である導電部材300は、弾性部310(第1の弾性部)と弾性部320(第2の弾性部)と弾性部330(第3の弾性部)を有している。また、導電部材300は、支持部340と対向部350と固定部360を有している。弾性部310と弾性部320と弾性部330は、それぞれが支持部340に接続されており、支持部340によって支持されている。対向部350は、支持部340の、弾性部310と弾性部320が接続された箇所とは反対側から延長している。その結果、対向部350は、弾性部310と弾性部320とに対向している。固定部360は、対向部350とは別に、支持部340の、弾性部310と弾性部320が接続された箇所とは反対側から延長している。固定部360には、ネジ締結用穴361が設けられている。導電部材300の例では、弾性部310と弾性部320とはそれぞれ片持ち梁(カンチレバー)構造を有しており、可撓性を有している。そして、弾性部310と弾性部320との間には、開口315が設けられている。したがって、開口315が弾性部310と弾性部320とが連動して変形することを抑制し、独立して変形することを可能にしている。変位量は公差バラツキを考慮すると0.1〜1.0mmに設定される。
【0026】
詳細は後述するが、弾性部330も片持ち梁構造を有しており、弾性部310と弾性部320が変形可能な方向とは異なる方向に変形が可能となっている。弾性部330は省略することもできるが、枠体13を構成する枠部材23が導電性を有する場合には設けておくことが好ましい。
【0027】
図5(c)の形態では、弾性部310は、梁部311を有する、1つの弾性部で構成されている。弾性部320は各々が梁部321を有する、2つの弾性部で構成されている。先端部312は梁部311と梁部321とを連結している。先端部312は梁部311及び梁部321に対して屈曲しており、その結果、弾性部310、弾性部320は突起を有している。言い換えれば、弾性部310、320の屈曲部が突起を形成している。開口315は、梁部311と梁部312との間及び先端部312に渡って設けられていることで、突起が独立して変位できることを容易にしている。さらに、導電部材300の作製方法によっては、弾性部310、320の屈曲部の周辺にバリが生じ、微小な突起を有する場合もある。この形態によれば、導電部材300は導電部材200に比べて、各々の弾性部が独立して変形しにくいが、弾性部310、320の弾性力を増すことが可能である。また、先端部312に凹凸が生じないことから、表示パネル100への取り付けも容易である。
【0028】
以下、導電部材200の取り付け構造について説明を行うが、導電部材300において導電部材200と同じ名称をつけた部分に関しては、同様の機能を有しているので、導電部材300の説明は省略する。
【0029】
図4(a)、(b)に、図3(a)に示した表示装置1000の、Z−Y断面図を示す。図4(a)と図4(b)とでは、図3(a)におけるX方向の位置が異なる。図4(a)のZ−Y断面図は、その面内に弾性部210を含み、図2(a)において1点鎖線B−B’で示した部分を含む断面図である。また、図4(b)のZ−Y断面図は、その面内に弾性部220を含み、図2(a)において2点鎖線C−C’で示した部分を含む断面図である。
【0030】
図4(a)に示すように、弾性部210は第2基板12との間に導電膜111を挟んで、導電膜111と接触(当接)している。より詳細には、弾性部210はその弾性力によって、導電膜111から第2基板12に向かう方向に、導電膜111に押し付けられている。これにより、弾性部210と導電膜111は機械的に固定された状態で接触しているため、電気的な接続(導通)が得られている。詳細には、弾性部210の突起が導電膜111と接触している。弾性部210の屈曲部の周辺の微小な突起が導電膜111と接触する場合もある。微小な突起が導電膜111と接触すると、導電部材200と導電膜111とがより安定に接続できるので好ましい。
【0031】
図4(b)に示すように、弾性部220は第2基板12との間に電極30を挟んで、電極30と接触(当接)している。より詳細には、弾性部220はその弾性力によって、電極30から第2基板12に向かう方向に、電極30に押し付けられている。これにより、弾性部220と電極30は機械的に固定された状態で接触しているため、電気的な接続(導通)が得られている。詳細には、弾性部220の突起が電極30と接触している。弾性部220の屈曲部の周辺の微小な突起が電極30と接触する場合もある。微小な突起が電極30と接触すると、導電部材200と電極30とがより安定に接続できるので好ましい。
【0032】
前述したように、導電部材200の弾性部210と弾性部220は、各々が独立して変形が可能である。そのため同一面(内面12a)の外縁部12eに設けられた複数の導電膜(導電膜111及び電極30)との両方に、導電部材200が安定して接触(当接)することができる。特に、導電膜111と電極30の表面の、内面12aからの高さが異なる場合には、本発明による効果が顕著になる。例えば、図4(a)に示すように、導電膜111と電極30とが重ねられる場合には、導電膜111の表面の内面12aからの高さが、電極30の表面の内面12aからの高さと異なる。導電膜111と電極30とが並べられる場合であっても、導電膜111と電極30との厚みが異なれば、導電膜111と電極30の表面の、内面12aからの高さが異なる。弾性部210と弾性部220とが独立して変形が可能であるために、それぞれが接触する導電膜の表面の、内面12aからの高さによらず、好適に接触して電気的な接続を得ることができる。
【0033】
これに対して、弾性部210と弾性部220とが独立して変形しない場合には、導電膜111と電極30の一方との接触が得られたとしても、他方との接触が得られない、或いは導通が十分でない可能性が生じる。
【0034】
弾性部210と弾性部220の構成は片持ち梁構造に限定されるものではない。例えば、導電部材200の、導電膜111と電極30との接触部に導電性のゴムを設けても良い。導電性のゴムは、導電膜111と電極30との接触部の各々で一体の部材を用いて連続して設けられても良いが、別体の部材を用いて不連続に設けることが好ましい。また、片持ち梁構造の変わりに、コイルバネを用いても良い。しかしながら、導電性のゴムは一般的な金属材料よりも抵抗率が高いために、より良好な導通を得るには、接触部には金属材料を用いることが好ましい。さらに、導電部材200の製造をプレス加工を用いて容易にする観点から、片持ち梁構造を用いることが好ましい。
【0035】
導電部材200は本発明の効果を奏す範囲内で、少なくとも弾性部210と弾性部220を有していれば、他の部分については省略或いは変形が可能である。
【0036】
導電部材200は所定電位に規定される。これにより、電極30と導電膜111と導電層110が、導電部材200を介して略同一の所定電位に規定することができる。所定電位は接地電位であることが望ましい。導電部材200は、表示パネル100自体、或いは、表示装置1000が備える支持体や筐体(不図示)に固定することにより、導電膜111と電極30との弾性的な接触を得ることができる。さらに、接地電位に規定することも容易になる。導電部材200の固定に関して、好ましい形態を説明する。図3(a)、(b)に示すように、表示装置1000は、表示パネル100の後方、つまり第2基板12の第1基板11とは反対側に導電性の支持体120を備えている。支持体120は、表示パネル100を表示パネル100の後方から支持する、1つ以上の部材の集合体である。図4に示す形態では、支持体120は、その一部である接着部材121が表示パネル100の第2基板12の外面12bに接着されて、表示パネル100を支持している。さらに支持体120は、電気回路基板を搭載することもできる。
【0037】
導電部材200の弾性部210、220と対向部250との間に位置する支持部240は第2基板12の端面12cに対向している。導電部材200を表示パネル100に装着する際に、支持部240を端面12cに突き当てることにより、弾性部210と導電膜111との接触位置および弾性部220と電極30との接触位置の位置決めを行うことができる。しかし、第2基板12の大きさや電極30、導電膜111の位置ズレ誤差に適応して、より高精度に接触位置の位置決めを行うには、支持部240と端面12cとの間に隙間を設けて、位置の微調整行うことが好ましい。
【0038】
支持体120はその一部である周辺部122が、外縁部12eの、第2基板12を介して反対側(後方)に位置しており、導電部材200の対向部250が支持体120の周辺部122に接触(当接)している。より詳細には、対向部250が、周辺部122に押し付けられて接触している。この結果、対向部250が、支持体120に固定され、弾性部210と導電膜111との接触、及び弾性部220と電極30との接触の支点となっている。そのため、弾性部210と導電膜111、及び、弾性部220と電極30との接触圧力を、高くすることができる。図4(a)では、導電膜111は第2基板12の端面12cに対向する位置までしか延在していないが、導電膜111を、更に支持体120の周辺部122と導電部材200の対向部250との間にまで延在させることもできる。そして、周辺部122と対向部250とで導電膜111を挟むようにしても良い。このようにすれば、導電膜111と導電部材200との接触箇所を増やして、より確実な導通が得られる。
【0039】
支持体120が、外縁部12eの第2基板12を介して反対側(後方)に位置していない場合、つまり図4(a)で周辺部122がない場合でも、対向部250が、第2基板12に押し付けられて接触すると好ましい。このようにすれば、弾性部210、220の支点としての同様の効果を得ることができる。また、導電膜111を第2基板12の外面12b側にまで延在させて、対向部250と第2基板12とで導電膜111を挟むようにすれば、接触箇所を増やすことができる。
【0040】
導電部材200の固定部260は、ネジ123によってネジ止めされて支持体120に固定されている。対向部250が支持体120に接触している場合には、対向部250が支点となり得るが、対向部250が支持体120に接触していない場合には、固定部260が支点となり得る。そのため、対向部250が支持体120に接触していない場合には、固定部260は十分な剛性を有する必要がある。固定部260と支持体120との固定は、ネジ止めに限定されるものではなく、嵌合や接着等の方法により行うこともできる。
【0041】
支持体120は導電性を有することが好ましい。支持体120が導電性を有することにより、支持体120と、対向部250及び/又は固定部260との接触により、導電性の支持体120と導電性の導電部材200とを等電位にすることができる。固定に用いるネジ123や接着剤が導電性を有することにより、良好な導通を得ることができる。通常、電気回路の接地端子は支持体120に接続されることが多いため、導電部材200に接地電位を付与するのが容易になる。
【0042】
図4(b)に示すように、電極30を保護する保護膜31を、電極30を覆うように設けることが好ましい。保護膜31は、導電部材200を装着する際に電極30が損傷することを抑制することができる。また、表示パネル100の製造工程、或いは、経年変化による酸化等で電極30が劣化(腐食)することを抑制することができる。損傷や劣化は、電極30の抵抗値の上昇を招く可能性がある。保護膜31は、電極30の材料とは異なる材料からなる膜であり、保護膜31は電極30の化学的な変化を促進する材料でなければ特に限定されない。二酸化ケイ素等の絶縁性の膜であってもよいが、より確実に電極30と導電部材200との導通を取るために、導電性の膜であることが好ましい。しかし、導電部材200は、電極30と接触しているために、保護膜31の抵抗率は、電極30よりも高くても良い。特に、窒化タンタル(TaN)膜を好ましく用いることができる。
【0043】
電極30の上に保護膜31の材料を成膜した後に、電極30と保護膜31とを、第2基板12で挟むように導電部材200を取り付けて、弾性部210、220の突起を第2基板12に向かって、保護膜31に押し付ける。これにより、弾性部220の突起が保護膜31を貫通して電極30に接触する。突起の周辺に微小な突起を設けておけば、微小な突起が保護膜31を貫通して、より確実に電極30と接触させることができる。貫通させるために必要な圧力は、保護膜31の厚みに応じて、幅、加圧する変位量を変更し、加圧力を調整する事により対応する事が可能である。例えば、保護膜31が厚み100nmのTaN膜の場合には、0.2N以上の圧力が必要となる。他の形態としては、電極30の上に保護膜31の材料を成膜した後に、電極30が導電部材200と接触する部分を選択的に除去することで、導電部材200と電極30とのを確保することができる。
【0044】
次に、弾性部230について説明する。弾性部230は片持ち梁構造を有しており、支持部240に接続されている。弾性部230は、導電性の枠部材23に接触させる。詳細には、弾性部230は、その弾性力によって、枠部材23から容器10の内部9に向かう方向に枠部材23に押し付けられている。このとき、弾性部230の一部は、第1基板11と第2基板12の各々の外縁部の間に位置するが、弾性部230は、第1基板11と第2基板12とに接触しないように設けられる。枠部材23は、容器10の内部9を囲む形状であるので、枠部材23が導電性を有することにより、容器10の周囲の電位を導電部材200によって規定することができる。このように、弾性部230によって、電極30と導電膜111と導電層110と導電性の枠部材23を、導電部材200を介して略同一の所定電位に規定することができる。
【0045】
更に安定した接触形態として、弾性部210、220と電極30とが導電膜111とがより確実に固定される様に、弾性部210と導電膜111、弾性部220と電極30とを覆うように導電性接着剤を塗布してもよい。導電性接着剤はエポキシ系の接着剤を使用することができる。
【0046】
次に、FED型の表示パネル100及び表示装置1000について、図1、図2を用いて、詳細に説明する。
【0047】
第1基板11と第2基板12は矩形状のガラス板を用いることができる。第1基板11および第2基板12の厚みは、0.5mm〜3mmであり、好ましくは2mm以下である。第1基板11と第2基板12との間隔は、200μm以上3mm以下が好ましく、より実用的な範囲としては、1mm以上2mm以下である。枠部材23は、例えば、ガラスや金属で構成することができる。導電性の枠部材23を用いる場合には、金属を用いることが好ましいが、少なくとも表面が導電性を有していればよく、ガラスなどの絶縁性の枠部材の表面の略全体に導電性の被覆を形成しても良い。導電性の枠部材23としては、例えば、アルミニウムや鉄合金を用いる。金属を用いる場合にも、低抵抗化や酸化抑制のために、金メッキ、銀メッキなどの処理を施すと良い。
【0048】
接着部材24、25としては、低融点ガラスや低融点金属を用いることができる。容器10をFPD用に用いる場合には、その内部9の圧力を10−4Pa以下に保持した真空容器とする。そのため、接着部材24、25は、第1基板11と枠部材23との間、第2基板12と枠部材23との間を気密に接合する(封着する)ように設けられる。スペーサ14は細長いガラスの板やセラミックスの板から構成することができる。また、必要に応じて、スペーサ14の表面に、高抵抗膜を設けたり、凹凸を設けたりする場合もある。スペーサのZ方向における高さは、第1基板11と第2基板12との間隔に応じて決定される。スペーサ14は典型的に複数設けられ、その間隔は、1mm〜50mmとすることができる。
【0049】
図1(b)に示すように、容器10の内部9において、第1基板11の内面11aには、表示層18と、表示層18に積層されたアノード電極19が設けられている。表示層18は少なくとも発光体からなる発光層17を有している。発光層17は、図2(b)で示すように、RGBの各色に発光する発光体がマトリックス状に配列されている。発光体としては、通常、蛍光体が用いられ、発光層17は多数の蛍光体粒子で構成される。発光層17の各々の間には、典型的には黒色の材料で構成されてなるブラックマトリックスと呼ばれる遮光層15が設けられる。
【0050】
表示層18は発光層17と第1基板11との間にカラーフィルター層16を有することもできる。アノード電極19はZ方向において発光層17と重ねられている。アノード電極19は、典型的にはアルミニウム等の金属材料で構成されてなるメタルバックを採用できる。アノード電極19としてメタルバックの代わりにITO膜などの透明導電膜を用いる場合には、透明導電膜は発光層17と第1基板11との間に設けることもできる。
【0051】
容器10の内部9において、第2基板12の内面12aには多数の電子放出素子20がマトリックス状に配列されている。電子放出素子20としては、電界放出型の電子放出素子を用いることができる。電界放出型の電子放出素子としては、表面伝導型(SCE型)、Spindt型、CNT型、MIM型、MIS型、BSD型等が挙げられる。マトリックス状に配列された多数の電子放出素子20の各々には行配線21と列配線22が接続されおり、多数の行配線21と多数の列配線22とでマトリックス配線を構成している。複数の行配線21と複数の列配線22は、その一部が容器10の内部9に位置しており、その別の一部が、第2基板12と枠体13の間を通って、容器10の外部に引き出されている。容器10の外部に引き出された行配線21と列配線22は、内面12aの外縁部12eに設けられている。
【0052】
容器10の外部に引き出された行配線21及び列配線22は、フレキシブルケーブル等のフレキシブルプリンテッドサーキット(FPC)などを介して、不図示の駆動回路と接続される。行配線21と列配線22を容器10の外部に引き出して、配線にFPCを接続することを容易にせしめるために、典型的には、第2基板12の内面12aの外縁部12aの幅を、第1基板11の内面11aの外縁部の幅よりも広くする。
【0053】
行配線21と列配線22との間に駆動回路から駆動電圧を印加することにより、電子放出素子20から電子を放出させる。同時に、アノード電極19に数kV〜数10kVのアノード電位を付与することにより、アノード電極19と電子放出素子20との間に加速電圧が生じる。加速電圧により加速された電子は、発光体を励起発光させるのに十分なエネルギーを持って発光層17に衝突する。これにより、電子放出素子20に対向する位置の発光層17が発光(カソードルミネッセンス)してフルカラー表示を行うことができる。
【0054】
表示装置1000は、必要に応じて、テレビジョン信号等の情報信号を放送や通信によって受信する受信回路や、情報信号を映像信号に変換する情報処理回路、映像信号を表示パネルの特性に合わせて所定の処理を加える映像処理回路を備えることができる。
【0055】
アノード電位のアノード電極19への付与方法は特に限定されないが、第2基板12に設けられた貫通穴28を介して、容器10の内部9にてアノード電極19と電気的に接続されるアノード端子29を用いると好適である。なお、貫通穴28とアノード端子29の間は、封止されている。その結果、アノード端子29は第2基板12を貫通している。アノード端子29には容器10の外部で、数kV〜数10kVのアノード電位を出力する電源(不図示)に接続される。アノード端子29は、アノード電極19にアノード電位を付与して、表示を行うための表示手段の一部を構成する。
【0056】
電極30の一例について説明する。上述したように、電極30は導電膜であり、容器10の外部にて所定電位を付与することによって、容器10の内部9に設けられた部分及び、その周囲の電位を規定する機能を有している。アノード端子29が第2基板12を貫通する場合には、アノード端子29に付与された高い電位(アノード電位)によって、アノード端子29の周囲に電位分布が生じる。このような電位分布は、電子ビームの軌道に影響を及ぼす場合がある。また、アノード端子29と配線(行配線21、列配線22)や、アノード端子29と枠体13との間で放電が生じる可能性がある。
【0057】
そこで、電極30を、容器10の内部9にて、アノード端子29から離れ、かつ、アノード端子29の近傍に設けることで、アノード端子29の近傍の電位分布を制御することができる。図2(a)に示すように、電極30は、アノード端子29を囲むように設けることが好ましい。アノード端子29と電極30との間で放電が生じた際に、放電電流を容器10の外部に逃がすために、電極30は、アノード端子29を切れ目なく囲む、リング形状とすることが好ましい。
【0058】
表示パネル100を構成する第1基板11及び第2基板12はその外形が矩形である。そして、行配線21及び列配線22は第2基板12の4辺に向かって引き出される。そのため、電極30は第2基板12の隅部に設けられることが好ましい。表示パネル100が大型になると、導電層110も大面積化する必要があるために、導電層110に接続される導電膜111は導電層110の複数の隅部、好ましくは4つの隅部にて、導電層110と接続することが好ましい。したがって、複数の導電部材200を用いて、第2基板12の複数の隅部にて、導電部材200と導電膜111との導通をとることが好ましい。このとき電極30も第2基板12の複数の隅部、好ましくは4つの隅部に設けて、複数の導電部材200の各々が、複数の隅部にて導電膜111と電極30に接触すること形態とすることもできる。隅部ではその形状から電位分布が特異的になるため、内部9の複数の隅部の周辺の電位分布を制御することで、より信頼性が向上する。なお、上記したアノード端子29は1つでよいために、複数の隅部のうち、アノード端子29を囲むように設けられた電極30以外の電極は、アノード端子29を囲まない。3つの隅部に位置する電極30の、内部9に位置する部分30aは任意の形状にすることができる。
【0059】
図4の形態では、導電層110は接着層112によって第1基板11の外面11bに固着されている。ここで示す例では、導電層110の前方(接着層112とは反対側)には絶縁性の保護層113が設けられているが、保護層113は省略することもできる。導電層110は第1基板11の外面11bの帯電を抑制することができる。あるいは、表示パネル100の前方に設けられた導電層110は、電磁波を遮蔽することができる。導電層110の機能は特に限定されないが、帯電を抑制する効果を得る上では、導電層110にはそれほど高い導電性は必要でなく、導電層110のシート抵抗は10〜10Ω/□程度であってもよい。なお、表示パネル100の前方に設けられる導電層110及び接着層112、保護層113は表示パネル100の表示画像を認識できるように、十分な光透過性を有するようにする。光透過性を有する導電層110としては、例えばITOやATOのような透明導電性材料を用いることができる。接着層112と導電層110と保護層113の厚みの合計は0.2〜0.4mm程度が好ましい。接着層112を省略して、第1基板11の外面11bに導電層110を直接形成することもできる。また、導電層110を第1基板11との間に隙間を設けて配置しても良い。例えば、表示パネル100の前方に、導電層110が設けられた透明板(不図示)を第1基板11から離して設けて、導電膜111を透明板の導電層110に接続する。
【0060】
以上、表示手段として電子放出素子を備え、カソードルミネッセンスを利用したFEDを例にあげて説明してきたが、カソードルミネッセンス以外を利用した表示手段であってもよい。例えば有機EL素子を備え、エレクトロルミネッセンスを利用した有機ELディスプレイであってもよいし、ガス放電素子を備え、フォトルミネッセンスを利用したPDPであってもよい。液晶素子を備えるLCDであっても良い。しかしながら、FEDは、高電圧(アノード電位)を扱う点、電子ビームを扱う点で電位分布の影響が大きいため、本発明を採用した場合の効果が大きい。
【実施例】
【0061】
以下、具体的な実施例について説明する。
【0062】
(実施例1)
容器10は第1基板11、第2基板12、枠部材23が囲むように構成する。容器10の詳細は、基本的に、図1を用いて説明したものと同じである。枠体13の対角を55インチとした。第1基板11と第2基板12の厚みは1.8mmとし、第1基板11と第2基板12との間隔を1.6mmとした。
【0063】
第2基板12は、容器10の内部9に延在する電極30が設けられている。電極30は材料が銅からなり、厚みは3μm程度である。電極30を覆うように、TaNからなる保護膜31を膜厚100nmで形成した。また電子放出素子20として表面伝導型電子放出素子を用いた。電子放出素子20は、銀粒子を含有する導電性ペーストを焼成して形成した行配線21と列配線22のそれぞれに接続している。
【0064】
扁平で矩形状の容器10は真空中で封着され、その内部9は1.0×10−5Paに保たれている。枠部材23は鉄合金に金メッキ処理を施したものからなり、接着部材24、25としてインジウムを用いた。第1基板11と第2基板12との接合は、真空チャンバー内で、接着部材24、25を局所的に加熱しながら、第2基板12を第1基板11側に押し付けることによって行った。そして、複数の細長い板状のスペーサ14は、扁平で矩形状の容器10の長手方向と同じ方向に長手方向を有する。複数の細長い板状のスペーサ14は、容器10の長手方向と直交する方向である短手方向に、15mmの間隔を置いて、配置されている。スペーサ14はガラスからなり、その厚みは200μmとした。スペーサ14は行配線21上に設け、その長手方向の両端部を第2基板12に無機接着剤(東亞合成製のアロンセラミックD)によって固定した。
【0065】
表示パネル100の第1基板11の外面11bに帯電抑制フィルムを貼り付ける。帯電抑制フィルムは、樹脂からなる保護層113と、保護層113上に設けられたATOからなる導電層110、導電層110の上に設けられた接着層からなる。
【0066】
帯電防止フィルムの隅部と第1基板11の隅部との間に、導電膜111として、厚み100μmの銅テープを挟んで、接着層112を第1基板11の外面12bに貼り付ける。
【0067】
支持体120を表示パネル100に接着した。支持体120の、固定部260が固定される箇所は板厚0.8mmの電気亜鉛めっき鋼板である。第2基板12の外面12bに固着される支持体120は接地電位に規定する。
【0068】
導電部材200は、厚み0.2mmのりん青銅の板金をプレス加工して、図5(a)、(b)に示す形状に加工した後、ニッケルめっき処理を施して作製した。
【0069】
導電部材200は、5本の短冊型の片持ち梁を有した枝分かれ形状であり、弾性部210、220の各々の梁部211、221の幅が1.5mmであり、長さが5mmである。加圧により変位する量は設計値で0.5mmとしたが、変位する量は公差バラツキを考慮すると0.1〜1.0mmである。これにより、片持ち梁1本あたりの加圧力は設計値で1.2Nであり、0.2N以上の加圧力が得られる。
【0070】
弾性部230は幅1.2mmとし、支持部240から枠部材23との接触箇所までの長さは20mmとした。加圧により変位する量は設計上2mmとしたが、変位する量は公差バラツキを考慮すると0.6〜3.4mmである。これにより、0.1N〜0.5N程度の加圧力が得られる。
【0071】
導電部材200を、第2基板12と支持体120とを挟み込むように、装着した。これにより、導電膜111と弾性部210とが接触し、電極30と弾性部220とが接触する。また、枠部材23と弾性部230とが接触する。弾性部210、20、230は共に片持ち梁構造を有しているので、導電膜111、電極30、枠部材23に押し付けられる。電極30上にある保護膜31は厚み100nmとした為、0.2N以上で保護膜31に押し付けられることで、導電部材200は保護膜31を貫通し、電極30と接触する。
【0072】
導電部材200はネジ締結用穴261を備え、その部位でネジ123によって支持体120に固定し、支持体120と導通する事となる。これにより、表示パネル100が例えば振動や温度変化など、外部環境の変化が生じたとしても、導電部材200と導電膜111、電極30、枠部材23との接触が解除されることがなく、確実に等電位(接地電位)にすることができる。
【0073】
上述した構成により、支持体120と各接触部位の間で低抵抗であるか確認した。確認の結果、各々は0.1Ω以下であり、低抵抗を示した。また、表示パネルを駆動させた結果、異常放電現象は確認されなかった。更には、加速評価として、環境状態において低温、高温を繰り返す温度サイクル試験を実施した後も異常放電現象は確認されなかった。本構成で接触不良は無いと判断できた。
【0074】
(実施例2)
本実施例では、実施例1で用いた導電部材200を、図5(c)に示す導電部材300に代えた点で異なるだけであり、表示装置の説明は省略する。
【0075】
導電部材300は、厚み0.2mmのりん青銅の板金をプレス加工して、図5(c)に示す形状に加工した後、ニッケルめっき処理を施して作製した。
弾性部310、320の各々の梁部311、321の幅が1.5mmであり、長さが5mmである。加圧により変位する量は設計値で0.6mmとしたが、変位する量は公差バラツキを考慮すると0.3〜1.1mmである。これにより、片持ち梁1本あたりの加圧力は設計値で2.5Nであり、1.2N以上の加圧力が得られる。
【0076】
電極30上にある保護膜31は厚み100nmとした為、0.2N以上で保護膜31に押し付けられることで、導電部材200は保護膜31を貫通し、電極30と接触する。また、1.2N以上の加圧力が得られるために、電極30と導電膜111との高低差にかからず、確実な接触が得られる。
【0077】
弾性部230は幅1.2mmとし、支持部240から枠部材23との接触箇所までの長さは12mmとした。加圧により変位する量は設計上3.2mmとしたが、変位する量は公差バラツキを考慮すると1.6〜4.8mmである。これにより、0.8N〜3.1N程度の加圧力が得られる。
【0078】
本実施例においても支持体120と各接触部位の間で低抵抗であるかを確認し、結果、各々は0.1Ω以下であり、低抵抗を示した。更には、加速評価として、環境状態において低温、高温を繰り返す温度サイクル試験を実施した後も異常放電現象は確認されなかった。本構成で接触不良は無いと判断できた。
【0079】
以上説明したように、本発明によれば、導電層と電極とを確実に、かつ、簡単に等電位に規定することができる。そのため、長期にわたって、安定した表示を行う表示装置が得られる。
【符号の説明】
【0080】
10 容器
11 第1基板
12 第2基板
13 枠体
30 電極
110 導電層
111 導電膜
120 支持体
200 導電部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性の第1基板と、前記第1基板と間隔をおいて対向する面を有する絶縁性の第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に設けられ、前記第2基板の前記面の端よりも内側の部分にて、前記第2基板に接続された枠体と、を備えた容器と、
前記第1基板と前記第2基板と前記枠体とで囲まれた、前記容器の内部に設けられた表示手段と、
前記第1基板の前記第2基板とは反対側に設けられた導電層と、
前記第2基板の前記面の、前記枠体が接続された部分と前記端との間に設けられ、前記導電層に接続された導電膜と、
前記第2基板の前記面の、前記枠体が接続された部分と前記端との間に設けられ、前記容器の前記内部まで延在した電極と、
前記導電膜及び前記電極に接触している導電部材と、を備え、
前記導電部材は、前記第2基板の前記面との間に前記導電膜を挟み、かつ、前記導電膜と接触している第1の弾性部と、前記第2基板の前記面との間に前記電極を挟み、かつ、前記電極と接触している第2の弾性部とを有することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記第1の弾性部と前記第2の弾性部はそれぞれが片持ち梁構造を有し、前記第1の弾性部と前記第2の弾性部との間には、切り込み又は開口が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第2の弾性部は前記電極と接触する突起を有しており、前記電極は、前記電極の材料とは異なる材料からなる保護膜で覆われていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記枠体は、導電性の枠部材を有しており、前記導電部材は片持ち梁構造を有する第3の弾性部を有しており、前記第3の弾性部は前記枠部材と接触していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2基板の前記第1基板とは反対側に、前記容器を支持する導電性の支持体が設けられており、前記導電部材は、前記支持体に固定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示手段は、
前記第2基板の前記面に設けられた電子放出素子と、前記電子放出素子と電気的に接続され、前記第2基板の前記面の、前記枠体が接続された部分と前記端との間に引き出された配線と、
前記第1基板の、前記第2基板の前記面に対向する面に設けられた、発光層及びアノード電極と、
前記第2基板を貫通し、前記容器の前記内部にて前記アノード電極に接続されたアノード端子と、を備え、
前記電極は、前記容器の内部において、前記アノード端子から離れて、かつ、前記アノード端子を囲むように設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記導電部材は、所定電位に規定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−129487(P2011−129487A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289731(P2009−289731)
【出願日】平成21年12月21日(2009.12.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】