説明

表示装置

【課題】シースルー機能を備えた表示装置を提供する。また、コントラストの高い表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも表示装置の一方の面から光を射出する複数の発光素子を有する発光領域と、表示装置の他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子を有する領域により、いわゆるシースルー機能を備えた表示装置を得ることが出来る。他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子を有する領域において、外光の透過量を制御して、表示装置のコントラストを高くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透過型の表示装置に関する。特に有機エレクトロルミネセンス素子が適用された透過型の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自発光型の発光装置としてエレクトロルミネッセンス素子(以下、EL素子と記す)を有した発光装置の研究が活発化している。この発光装置は有機EL、又は有機発光ダイオードとも呼ばれている。これらの発光装置は、動画表示に適した速い応答速度、低電圧、低消費電力駆動などの特徴を有しているため、携帯電話や携帯情報端末(PDA)をはじめ、次世代表示装置として大きく注目されている。
【0003】
近年、表示部の全部または一部に光透過性を持たせ表示部の向こう側が視認可能な、いわゆるシースルー機能を持たせた表示装置が脚光を浴びている。このようなシースルー機能を有する表示装置は、車両のフロントガラス、家屋やビルなどの建築物の窓ガラス、店舗のショーウィンドウのガラスやケース、または携帯電話やタブレット端末などの情報端末機器やヘッドマウントディスプレイなどのウェアラブルディスプレイ、または航空機などに用いられるヘッドアップディスプレイなど、様々な用途への応用が期待されている。
【0004】
このようにシースルー機能を備えた表示装置を用いることにより、表示装置の向こう側の対象に関する情報を表示しながら対象を見る、または表示装置に映像を表示して表示装置の向こう側の対象に装飾を施すことができる。さらに、ガラスのように表示装置の向こう側が見えるモードと、表示装置に映像が表示されるモードを適宜切り替えて用いることもできる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−25975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本明細書中では、表示部の全部または一部に光透過性を持たせ、表示部の向こう側が視認可能な表示装置を、シースルー機能を有する表示装置と定義する。例えば、表示領域の全体において表示装置の向こう側が視認可能な表示装置はシースルー機能を有する表示装置の一態様であり、また、表示領域の一部のみにおいて表示装置の向こう側が視認可能な表示装置もシースルー機能を有する表示装置の一態様である。このような、シースルー機能を有する表示装置には、表示装置の向こう側の景色が映像に写り込んで表示装置の映像が見にくくなってしまうという問題があった。観測者とは反対側の背面側から入射する光により、表示装置の映像のコントラストが低下して、視認性が低下するからである。
【0007】
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものである。したがって本発明の一態様は、シースルー機能を有する表示装置において、一方の観察面から表示部の視認性を高めることができる表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ここで、上記課題を解決するため、少なくとも表示装置の一方の面から発光を射出する複数の発光素子を有する発光領域および表示装置の向こう側の光(外光ともいう)に対し透光性を有する非発光領域を備える第1ユニットと、表示装置の他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する領域を備える第2ユニットと、を有し、第1ユニットの透光性非発光領域が、第2ユニットの外光の透過量を制御する領域と重なる表示装置の構成に想到し、課題の解決に至った。
【0009】
すなわち、本発明の一態様の表示装置は、少なくとも一方の面から光を射出する複数の発光素子を有する発光領域および透光性非発光領域を備える第1ユニットと、他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子を有する領域を備える第2ユニットと、を有し、第1ユニットの透光性非発光領域が、第2ユニットの光学素子と重なること特徴とする表示装置である。
【0010】
本発明の一態様の表示装置では、発光素子と透光性非発光領域を有する。そのため、発光領域の表示と共に表示部の向こう側が視認可能な、いわゆるシースルー機能を備えた表示装置を得ることが出来る。
【0011】
また、本発明の一態様の表示装置は、透光性非発光領域と重なるように外光の透過量を制御する光学素子を有する。そのため、外光の透過量を制御する光学素子を備える領域において、外光の透過量を制御すれば、表示装置の表示コントラストを高くすることができる。表示装置の観測者と反対の背面側から入射する、表示コントラストを低下させる光を、光学素子が減少させるからである。
【0012】
また、本発明の一態様の表示装置は、表示装置の他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子が、液晶素子である表示装置である。
【0013】
液晶素子は電極間に電圧を印加するが電極間に電流がほとんど流れないため、消費電力が低い。そのため、表示素子の消費電力を低くすることができる。
【0014】
また、本発明の一態様の表示装置は、第1の偏光板と第2の偏光板が、少なくとも表示装置の一方の面から光を射出する複数の発光素子を有する発光領域および透光性非発光領域を備える基板と、表示装置の他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子を備える基板と、を挟持し、透光性非発光領域が、光学素子と重なり、他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子が、液晶素子であることを特徴とする表示装置である。
【0015】
一方の偏光板が、観察者と発光領域の光射出面の間に存在する。そのため、当該射出面から入射した外光の反射を防止するので、表示装置の表示コントラストを高くすることができる。
【0016】
また、本発明の一態様の表示装置は、発光素子が少なくとも一方の面から光を射出するEL素子であることを特徴とする表示装置である。
【0017】
EL素子は自発光の発光素子であるので、表示コントラストの高い表示装置を得ることが出来る。また、EL素子を構成している発光層を変えることにより、所望の発光色を呈する表示装置を得ることが出来る。
【0018】
また、赤色の発光を呈する発光層を備えるEL素子、緑色の発光を呈する発光層を備えるEL素子、青色の発光を呈する発光層を備えるEL素子を一画素として、発光領域に画素を複数個形成することにより、表示装置はカラー表示を行うことができる。また、複数の発光素子を白色の発光を呈する同一の発光層で形成して、当該発光素子からの白色発光をカラーフィルターにより分光して、カラー表示を行うこともできる。この場合、カラーフィルターは、EL素子が形成されている基板、または、対向基板に形成してもよい。
【0019】
また、本発明の一態様の表示装置は、表示装置の他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子が、ブルー相を示す液晶材料を有する液晶素子であることを特徴とする表示装置である。
【0020】
一般的にEL素子は発光の応答速度がTN(Twisted Nematic)型液晶素子、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)型液晶素子及びIPS(In−Plane Switching)型液晶素子より速い。また、ブルー相を示す液晶(ブルー相液晶)を用いるモードは、高速で応答することができる液晶モードである。そのため、外光の透過量を制御する複数の光学素子に、応答速度の速いブルー相液晶を用いた液晶素子を用いれば、発光の応答速度の速いEL素子の表示に光の透過量を制御する光学素子が追随することができる。よって、表示装置の向こう側の景色が見えた状態で、動画部分は表示コントラストを高くすることができる。
【0021】
また、本発明の一態様の表示装置は、表示装置の他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子が、MEMSを用いたシャッターであることを特徴とする表示装置である。
【0022】
光学素子にMEMSを用いたシャッターを適用すると、表示装置の観測者と反対の背面側から入射する、表示コントラストを低下させる光を、より減少させることができるため、表示装置の表示コントラストを高くすることができる。物理的に外光の透過量を制御するMEMSを用いたシャッターは、明状態と暗状態の明るさの比を高くすることができるからである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様は、シースルー機能を備えた表示装置を提供することができる。また、本発明の一態様によれば、シースルー機能を備えた表示装置において、コントラストの高い表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一態様の表示装置を説明する図。
【図2】本発明の一態様の表示装置を説明する図。
【図3】本発明の一態様の表示装置を説明する断面図。
【図4】本発明の一態様の表示装置の表示方法を説明する図。
【図5】本発明の一態様の表示装置の表示方法を説明する図。
【図6】本発明の一態様の発光素子を説明する断面図。
【図7】本発明の一態様の光学素子を説明する断面図と液晶の応答速度を説明する図。
【図8】本発明の一態様の表示装置を説明する図。
【図9】本発明の一態様の表示装置を説明する図。
【図10】本発明の一態様の光学素子を説明する図。
【図11】本発明の一態様のマトリクス状に設けられたシャッターを説明する図。
【図12】本発明の一態様のシャッターを説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0026】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0027】
(実施の形態1)
<表示装置の構成>
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成例について、図1から図3を用いて説明する。
【0028】
図1(A)は、本発明の一態様の表示装置300の構成を、模式的に示した上面図である。図1(B)は、本発明の一態様の表示装置300の構成を模式的に示した斜投影図である。表示装置300は、少なくとも表示装置の一方の面から光を射出する複数の発光素子100を備える発光領域701aおよび透光性非発光領域701bを備える第1ユニット11と、表示装置の他方の面から一方の面に透過する外光の透過量を制御する複数の光学素子500を備える領域(以下、外光調整領域702とよぶ)を有する第2ユニット12と、を有し、第1ユニット11の透光性非発光領域701bが、第2ユニット12の光学素子500と重なること特徴とする表示装置である。発光素子100と、光学素子500の一対を、画素301と呼ぶことにする。画素301の詳細は後述する。透光性非発光領域701bとは、可視光を透過する領域である。
【0029】
第1ユニット11の発光素子100は、発光状態と非発光状態を切り替えることができる。第2ユニット12の光学素子500は、背面から入射する光の透過量を調整することができる。当該表示装置は、第1ユニット11の透光性非発光領域701bが、第2ユニット12の光学素子500と重なっている。そのため、発光領域の表示と共に表示部の向こう側が視認可能な、いわゆるシースルー機能を備えた表示装置となる。また、透光性非発光領域701bと重なるように外光の透過量を制御する光学素子500を有する。そのため、外光の透過量を制御する光学素子500を備える領域において、外光の透過量を制御すれば、表示装置の表示コントラストを高くすることができる。表示装置の観測者と反対の背面側から入射する、表示コントラストを低下させる光を、光学素子が減少させるからである。
【0030】
図2(A)、図2(B)は、本発明の一態様の表示装置の構成を模式的に示した斜投影図である。図2(A)に示すように、第2ユニット12の外光調整領域702を、発光素子100が複数含むように分割して形成してもよい。また、図2(B)に示すように、第2ユニット12の外光調整領域702は、第1ユニット11の発光領域すべてと重なるように形成してもよい。
【0031】
図3は、本発明の一態様である表示装置の画素301の断面図である。
【0032】
図3に示される画素301は、透光性を有する第1の支持体601と、第1の支持体601に設けられた発光素子100と、第1の支持体601に対向して設けられた透光性を有する第2の支持体602と、第1の支持体601と第3の支持体603の間に光学素子500とを有する。発光素子100が設けられていない透光性非発光領域に重なるように、光学素子500を設ける。
【0033】
第1の支持体601、第2の支持体602および第3の支持体603は、透光性を有する基板を用いることができる。例えば、ガラス基板、セラミックス基板などを用いることができる。また、第1の支持体601、第2の支持体602および第3の支持体603として、プラスチック基板などの、透光性と可撓性を有する基板を用いることができる。
【0034】
発光素子100の構成は、実施の形態2で詳細を説明する。また、光学素子500の構成は実施の形態4で詳細を説明する。
【0035】
<発光素子の駆動について>
発光領域701aにおける発光素子は、パッシブマトリクス型としてもよいし、TFTなどのトランジスタによって発光素子の駆動が制御されるアクティブマトリクス型としてもよい。
【0036】
また、発光領域701aにおける発光素子をアクティブマトリクス型とする場合、トランジスタの構造は特に限定されない。例えばスタガ型のトランジスタとしてもよいし、逆スタガ型のトランジスタとしてもよい。また、トップゲート型又はボトムゲート型のトランジスタのいずれのトランジスタ構造としてもよい。また、トランジスタに用いる半導体材料としては、例えばシリコンやゲルマニウムなどの半導体材料を用いても良いし、インジウム、ガリウム、及び亜鉛のうち少なくともひとつを含む酸化物半導体材料を用いても良い。また、トランジスタに用いる半導体の結晶性についても特に限定されず、非結晶半導体、または結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、または一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いても良い。結晶性を有する半導体を用いるとトランジスタ特性の劣化が抑制されるため好ましい。
【0037】
<表示についての説明>
次に、本発明の一態様の表示装置を用いた表示について、図4と図5を用いて説明する。ここでは、発光素子100と、光学素子500とが隣接している場合について説明する。
【0038】
図4(A)から図4(D)は、以下に説明する表示モードにおける表示装置の断面図である。図5は、画素301を9個用いた表示装置の上面図である。画素301とは、発光素子100と、光学素子500の一対を示す。
【0039】
図4(A)は、発光素子100を発光させ、光学素子500が観察面の背面から入射する外光600の透過量を減じた表示モード(Aモード)を示している。ここでAモードの表示状態の画素を、画素301aとする。図4(B)は発光素子100を発光させ、光学素子500が観察面の背面から入射する外光600を透過させた表示モード(Bモード)を示している。ここでBモードの表示状態の画素を、画素301bとする。図4(C)は発光素子100を発光させず、光学素子500が観察面の背面から入射する外光600の透過量を減じた表示モード(Cモード)を示している。ここでCモードの表示状態の画素を、画素301cとする。図4(D)は発光素子100を発光させず、光学素子500が観察面の背面から入射する外光600を透過させた表示モード(Dモード)を示している。ここでDモードの表示状態の画素を、画素301dとする。なお、図4では発光素子からの発光を発光888と表記している。
【0040】
図5は、画素301を9個用いた場合の表示装置の上面図である。図5により、本発明の一態様の表示装置の表示を説明する。ここで、画素301は、図4で説明したいずれかの表示モードを表示する。図5の画素301は、右側が発光素子100、左側は光学素子500を有する。
【0041】
図5(A)は、中心の画素を発光させ、光学素子で背面からの外光を減少させている(Aモード)。その他の画素は発光せず、背面からの外光も取り込まれている(Dモード)。そのため、中心画素の表示コントラストは高く、周辺の画素領域は背面を見ることができる。
【0042】
図5(B)は、中心の画素を発光させ、光学素子で背面からの外光を減少させている(Aモード)。その他の画素は発光させず、背面からの外光を減じている(Cモード)。そのため、この表示では、発光させた中心画素の表示コントラストを高くすることができる。
【0043】
図5(C)は、9個の画素すべてを発光させず、背面からの外光も取り込まれている(Dモード)。そのため、この表示では背面を見ることができる。
【0044】
図5(D)は、9個の画素すべてを発光させ、光学素子で背面からの外光を減少させている(Aモード)。そのため、発光のみを見ることができる。
【0045】
上記の表示を、複数の画素を有する表示装置に適用することにより、表示画面全体で背面を見るができる表示状態や、一部の領域にコントラストの高い表示状態にすることができる。
【0046】
(実施の形態2)
<発光素子>
本実施の形態に用いることができる発光素子の一態様について、図6(A)を用いて説明する。
【0047】
本実施の形態において、発光素子100は、第1の電極101と、透光性導電層103と、EL層200と、第2の電極102とから構成されている。透光性導電層103は、第1の電極101と接している。なお、本実施の形態では、第1の電極101と透光性導電層103は、陽極として機能し、第2の電極102は陰極として機能するものとして、以下、説明をする。つまり、第1の電極101の方が第2の電極102よりも電位が高くなるように、第1の電極101と第2の電極102に電圧を印加したときに、発光が得られるものとして、以下説明をする。
【0048】
なお、本実施の形態では、発光素子100を第1の支持体601上に形成し、第2の支持体602側に発光させる、いわゆるトップエミッション方式である。しかし、この方式にとらわれることなく、第2の支持体602上に発光素子100を形成し、第2の支持体602側に発光させるいわゆるボトムエミッション方式、さらに、第2の支持体602側と第1の支持体601側に、発光を射出させる両面射出方式でもよい。
【0049】
<第1の電極>
第1の電極101は、陽極として機能する電極である。第1の電極101の膜厚は、50nmから300nmが好ましい。第1の電極101は可視光領域全体にわたって反射率が高い電極を用いることが好ましい。なぜなら、光取り出し効率の高い発光素子を得ることが出来るからである。
【0050】
第1の電極101は、銅、金、パラジウム、ネオジム、サマリウム、スズ、インジウム、ビスマス等の添加を行った銀合金を使用することが好ましい。なぜならば、反射率が高く、熱処理を行っても化学的、物理的に安定だからである。
【0051】
第1の電極101は、スパッタリング法、またはスクリーン印刷法で形成することができる。
【0052】
<透光性導電層>
透光性導電層103は、第1の電極101上に接して設けられる。透光性導電層103は、光学的距離を調整する機能を有する。透光性導電層103を調整することにより、所望の波長領域の光取り出しを極大にすることができる。
【0053】
透光性導電層103の材料としては、酸化チタン、酸化タンタル、酸化スズ、酸化インジウム、酸化インジウム酸化スズ混合酸化物、酸化インジウム酸化亜鉛混合酸化物、酸化亜鉛混合酸化物等の金属酸化物の何れかの材料を用いることができる。とくに透光性導電層103の材料としてチタンを含む層が好ましく、代表的には酸化チタンが好ましい。酸化チタンは、化学的に安定であり、形成が容易だからである。
【0054】
透光性導電層103は、スパッタリング法、分子線エピタキシー(Moleculer Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(Pulse Laser Deposition)法、原子層堆積(Atomic Layer Deposition)法等を適宜用いて形成することができる。また、透光性導電層103は、スパッタリングターゲット表面に対し、概略垂直に複数の基板表面がセットされた状態で成膜を行うスパッタ装置、いわゆるCPスパッタ装置(Columner Plasma Sputtering system)を用いても形成することができる。
【0055】
また、第1の電極101上にチタンを形成したのち、チタンを酸化させて、酸化チタンを形成することもできる。たとえば、第1の電極101上にスパッタリング法でチタンを膜厚6nm成膜し、大気雰囲気下、300℃で1時間の熱処理を行えば、第1の電極101上に酸化チタンを形成することができる。上記の方法を用いると、薄膜の酸化チタンを基板に均一に形成することができる。
【0056】
<第2の電極>
第2の電極102は、EL層200に電子を注入できる電極で、かつ、透光性を有する電極であればよい。EL層に電子を注入し、EL層からの発光を第2の電極102から外部に取り出すためである。第2の電極102の材料として、金属または導電性金属酸化物を用いることができる。金属としては、銀とマグネシウムの合金もしくはアルミニウムを用いることができる。導電性金属酸化物としては、酸化インジウム酸化スズ混合酸化物、酸化インジウム酸化亜鉛混合酸化物、それらの金属酸化物材料にシリコンもしくは酸化シリコンを含ませたもの用いることができる。金属を用いた場合は、透光性を有するように膜厚は1nm以上10nm以下が好ましい。また、第2の電極102の電子注入性を改善するため、リチウムやセシウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、またはマグネシウムを含む電子注入層を、第2の電極102とEL層200の間に設けることが好ましい。
【0057】
第2の電極102に金属を用いる場合、第2の電極102は、真空蒸着法、スパッタリング法等を適宜用いて形成することができる。
【0058】
第2の電極102に導電性金属酸化物を用いる場合、第2の電極102は、スパッタリング法を用いて形成することができる。導電性金属酸化物は、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で成膜することができる。
【0059】
また、導電性金属酸化物は、酸素濃度が低減されたアルゴンを含む雰囲気下で成膜した第1の導電性金属酸化物と、アルゴン及び酸素を含む雰囲気下で成膜した第2の導電性金属酸化物との積層膜とすることが好ましい。なぜならば、EL層200への成膜ダメージを低減させることができるためである。ここで第1の導電性金属酸化物を成膜する際のアルゴンガスの純度が高いことが好ましく、例えば露点が−70℃以下、好ましくは−100℃以下のアルゴンガスを用いることが好ましい。
【0060】
<EL層について>
EL層200に適用可能なEL層について、図6(B)を用いて説明する。本実施の形態2で示すEL層200は、正孔注入層211、正孔輸送層212、発光層213、電子輸送層214等を有している。正孔注入層211は、正孔注入性の高い物質を含む層である。また、正孔輸送層212とは正孔輸送性の高い物質を含む層である。また、発光層213は、発光材料を含む層である。また、電子輸送層214は電子輸送性の高い物質を含む層である。
【0061】
EL層200は単層構造で構成されることも可能であるが、通常積層構造から構成される。例えば、正孔注入層211、正孔輸送層212、発光層213、電子輸送層214等を適宜組み合わせて構成することができる。図6(B)においては、EL層200として、正孔注入層211、正孔輸送層212、発光層213、電子輸送層214が順に積層された構造を示している。
【0062】
発光層213に接する正孔輸送層212や電子輸送層214、特に発光層213における発光領域に近い方に接するキャリア(電子または正孔)輸送層は、発光層213で生成した励起子からのエネルギー移動を抑制するため、発光層を構成する発光材料、または発光層に含まれる発光中心物質よりも大きなエネルギーギャップを有する物質で構成することが好ましい。
【0063】
正孔注入層211は、正孔注入性の高い物質を含み、透光性導電層103から正孔輸送層212へ正孔の注入を補助する機能を有する。正孔注入層211には、透光性導電層103と正孔輸送層212との間のイオン化ポテンシャルの差を緩和し、正孔が注入され易くなるものを選ぶ。具体的には、正孔注入層211は、イオン化ポテンシャルを正孔輸送層212よりも小さく、透光性導電層103よりも大きいものとするか、正孔輸送層212と透光性導電層103との間に1〜2nmの薄膜として設けたときにエネルギーバンドを曲げるものを用いて形成することが好ましい。正孔注入性の高い物質には、銅フタロシアニン(CuPc)等のフタロシアニン系の化合物がある。
【0064】
正孔輸送層212は、正孔輸送性の高い物質を含む。正孔輸送性の高い物質とは、正孔の移動度が電子のそれよりも高いものを指し、電子の移動度に対する正孔の移動度の比(=正孔移動度/電子移動度)が100よりも大きいものを利用するのが好ましい。また、正孔輸送層212の正孔移動度は、1×10−6cm/Vs以上とするのが好ましい。具体的には、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(略称:NPB)、フタロシアニン(略称:HPc)、銅フタロシアニン(略称:CuPc)を利用できる。また、正孔輸送層212は、単層構造または、積層構造としてもよい。
【0065】
電子輸送層214は、電子輸送性の高い物質を含む。電子輸送性の高い物質とは、電子の移動度が正孔のそれよりも高いものを指し、正孔の移動度に対する電子の移動度の比(=電子移動度/正孔移動度)が100よりも大きいものを利用するのが好ましい。また、電子輸送層214の電子移動度は、1×10−6cm/Vs以上とするのが好ましい。具体的には、キノリン骨格を有する金属錯体、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体、オキサゾール系配位子を有する金属錯体、チアゾール系配位子を有する金属錯体を利用できる。キノリン骨格を有する金属錯体の具体例としては、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(略称:Alq)が挙げられる。また、ベンゾキノリン骨格を有する金属錯体の具体例としては、ビス(10−ヒドロキシベンゾ[h]キノリナト)ベリリウム(略称:BeBq)が挙げられる。また、オキサゾール系配位子を有する金属錯体の具体例としては、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンズオキサゾラト]亜鉛(略称:Zn(BOX))が挙げられる。また、チアゾール系配位子を有する金属錯体の具体例としては、ビス[2−(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾチアゾラト]亜鉛(略称:Zn(BTZ))が挙げられる。また、金属錯体以外にも、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(略称:PBD)、バソフェナントロリン(略称:BPhen)も用いることができる。具体例を挙げた上述の物質は、主に10−6cm/Vs以上の電子移動度を有する物質である。なお、正孔よりも電子の輸送性の高い物質であれば、これら以外の物質を電子輸送層214として用いてもよい。また、電子輸送層214は、単層構造、または積層構造としてもよい。
【0066】
また、発光層213と電子輸送層214との間に電子キャリアの移動を制御する層を設けてもよい。電子キャリアの移動を制御する層は、上述したような電子輸送性の高い材料に対して、電子トラップ性の高い物質を少量添加した層である。電子キャリアの移動を制御する層を設けることにより、電子キャリアの移動を抑制し、キャリアバランスを調節することが可能となる。このような構成は、発光層を電子が突き抜けてしまうことにより発生する問題(例えば素子寿命の低下)の抑制に大きな効果を発揮する。
【0067】
また、電子輸送層214と第2の電極102との間に、第2の電極102に接して電子注入層を設けてもよい。電子注入層としては、電子輸送性を有する物質からなる層中に、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属、またはアルカリ金属のハロゲン化物もしくはアルカリ土類金属のハロゲン化物を含有させたものを用いればよい。アルカリ金属、アルカリ土類金属としては、リチウム、マグネシウム、セシウム、カルシウムを用いることができる。アルカリ金属のハロゲン化物、アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、フッ化リチウム、フッ化セシウム、フッ化カルシウムを用いることができる。具体例としては、Alq中にマグネシウムを含有させたものを用いることができる。電子注入層を設けることにより、第2の電極102からの電子注入を効率良く行うことができる。
【0068】
また、EL層200は、乾式法、湿式法を問わず、種々の方法を用いて形成できる。例えば、真空蒸着法、インクジェット法、またはスピンコート法を用いることができる。また、EL層200を積層構造とする場合、各層毎に異なる方法を用いて形成してもよいし、各層全てを同一の方法で形成してもよい。
【0069】
<カラー化>
赤色の発光を呈する発光層を備えるEL素子、緑色の発光を呈する発光層を備えるEL素子、青色の発光を呈する発光層を備えるEL素子を一画素として、発光領域に画素を複数個形成することにより、表示装置はカラー表示を行うことができる。
【0070】
複数の発光素子を白色の発光を呈する同一の発光層で形成して、当該発光素子からの白色発光をカラーフィルターにより分光して、カラー表示を行うこともできる。この場合、カラーフィルターは、EL素子が形成されている第1の支持体601、または、第2の支持体602に形成してもよい。
【0071】
(実施の形態3)
本実施の形態は、実施の形態2で示したEL層200の代わりに用いることが出来るタンデム型のEL層400について、図6(C)を用いて説明する。
【0072】
タンデム型のEL層400とは、複数の発光ユニットを積層した構成を有するEL層(以下、「タンデム型のEL層」という)である。
【0073】
EL層400は、第1の発光ユニット411と第2の発光ユニット412を有する。第1の発光ユニット411と第2の発光ユニット412は同じ構成であっても異なる構成であってもよく、各ユニットの構成は、それぞれ実施の形態2に示したものと同様なものを適用することができる。
【0074】
第1の発光ユニット411と第2の発光ユニット412との間には、電荷発生層413が設けられている。電荷発生層413は、第1の電極101と第2の電極102に電圧を印加したときに、一方の側の発光ユニットに電子を注入し、他方の側の発光ユニットに正孔を注入する機能を有する。有機化合物と金属酸化物の複合材料は、キャリア注入性、キャリア輸送性に優れているため、低電圧駆動、低電流駆動を可能にする。
【0075】
正孔輸送性の有機化合物には、正孔移動度が10−6cm/Vs以上であるものを用いることが好ましい。具体的には、芳香族アミン誘導体、カルバゾール誘導体、芳香族炭化水素誘導体、またはそれらの誘導体を有するデンドリマー、オリゴマー、ポリマーなどを利用できる。また、それらと混合する金属酸化物には、元素周期表における第4族ないし第8族に属する金属の酸化物を用いればよく、具体的には、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化レニウムが挙げられる。これらの金属酸化物は電子受容性が高いため、好ましい。特に、酸化モリブデンは大気中でも安定であり、吸湿性が低く、且つ扱いやすいため、特に好ましい。
【0076】
本実施の形態では、2つの発光ユニットを有する発光素子について説明したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。すなわち、タンデム型の発光素子は、3つ以上の発光ユニットを有していてもよい。この場合も、各発光ユニットの間には電荷発生層を設ける。例えば、第1ユニットと、それよりも長波長の発光(例えば、赤色の発光)を呈する第1の発光材料を用いて作製される第2ユニットと、第1ユニットよりも長波長、かつ第1の発光材料よりも短波長の発光(例えば、緑色の発光)を呈する第2の発光材料を用いて作製される第3ユニットとを有する発光素子を構成してもよい。これらの発光素子を用いることにより、白色の発光装置を得ることができる。
【0077】
また、電荷発生層413は、単層構造でもよいし、積層構造でもよい。例えば、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、電子供与性物質の中から選ばれた一の化合物、及び電子輸送性の高い化合物を含む層とを積層した構造としてもよいし、有機化合物と金属酸化物の複合材料を含む層と、透明導電層とを積層した構造としてもよい。
【0078】
本実施の形態に係るタンデム型のEL層400を用いた発光素子は、一対の電極間に複数の発光ユニットを電荷発生層で仕切って配置するため、電流密度を低く保ったまま高輝度の発光を可能にする。電流密度を低くできるため、高輝度でも長寿命な発光素子とすることができる。
【0079】
以上、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0080】
(実施の形態4)
<光学素子>
本実施の形態では、本発明に用いることができる光学素子の一態様について、図7(A)を用いて説明する。
【0081】
本実施の形態において、光学素子500aは、第4の支持体604と、第3の電極503と、液晶層555と、第4の電極504と、第5の支持体605と、で構成されている。
【0082】
第4の支持体604および第5の支持体605は、透光性を有する基板を用いることができる。例えば、ガラス基板、セラミックス基板などを用いることができる。
【0083】
なお、図示していないが、第4の支持体604および第5の支持体605には、偏光板、反射防止膜などの光学フィルムなどが適宜設けられている。状況に応じては、偏光板及び位相差板による円偏光を用いてもよい。
【0084】
液晶層555は、ブルー相を示す液晶材料を用いることが好ましい。なお、液晶材料とは、液晶層に用いる液晶を含む混合物をさす。
【0085】
液晶の応答速度について図7(B)、(C)を用いて説明する。図7(B)、(C)は、最大透過率を100%として規格化した規格化透過率と時間の図である。図7(B)はブルー相を示す液晶を用いた場合、図7(C)は垂直配向(VA)モードの液晶を用いた場合である。図7(B)に示すように、ブルー相を示す液晶(ブルー相液晶)を用いることで、立ち上がり時間901(規格化透過率10%から規格化透過率90%に達するまでに要する時間)及び、立ち下がり時間902(規格化透過率90%から規格化透過率10%に達するまでに要する時間)を、従来例である垂直配向(VA)モードの液晶の立ち上がり時間903および立ち下がり時間904より短くすることができる。具体的には、ブルー相を示す液晶の立ち上がり時間は、200マイクロ秒以下とすることができる。一方、垂直配向(VA)モードの液晶の立ち上がり時間は、ブルー相を示す液晶よりも長く、1〜2ミリ秒を要する。
【0086】
ブルー相液晶を用いるモードは、高速で応答することができる液晶モードである。そのため、外光の透過量を制御する複数の光学素子に、応答速度の速いブルー相液晶を用いた液晶素子を用いれば、発光の応答速度の速いEL素子の表示に光の透過量を制御する光学素子が追随することができる。よって、表示装置の向こう側の景色が見えた状態で、動画部分は表示コントラストを高くすることができる。
【0087】
(実施の形態5)
<表示装置の構成>
本実施の形態では、本発明の一態様の表示装置の構成例について、図8から図9を用いて説明する。
【0088】
図8(A)は、本発明の一態様の表示装置310の構成を、模式的に示した斜投影図である。図8(B)は、本発明の一態様の表示装置の画素302の断面図である。図8(B)に示される画素302の構成について説明する。図8(B)に示される画素302は、透光性を有する第1の支持体601と、第1の支持体601に設けられた発光素子100と、第1の支持体601に対向して設けられた透光性を有する第2の支持体602と、光学素子500と、第3の支持体603を有する。第1の偏光板501と第2の偏光板502が、発光素子100と光学素子500aと、を挟持している。
【0089】
第1の支持体601および第2の支持体602は、透光性を有する基板を用いることができる。例えば、ガラス基板、セラミックス基板などを用いることができる。また、第1の支持体601および第2の支持体602として、プラスチック基板などの、透光性と可撓性を有する基板を用いることができる。
【0090】
発光素子100の構成は、実施の形態2を参酌することができる。
【0091】
光学素子500aの構成は実施の形態4を参酌することができる。
【0092】
第1の偏光板501と第2の偏光板502が、発光素子100と光学素子500と、を挟持し、第1の偏光板501が、観察者と発光領域の光射出面の間に存在する。そのため、当該射出面から入射した外光の反射を防止するので、表示装置の表示コントラストを高くすることができる。
【0093】
図9(A)、図9(B)は、本発明の一態様の表示装置の構成を模式的に示した斜投影図である。図9(A)に示すように、光学素子500は領域で分割して形成してもよい。また、図9(B)に示すように、光学素子500は、発光領域すべてと重なるように形成してもよい。
【0094】
(実施の形態6)
<光学素子>
本実施の形態では、光学素子として用いることができるMEMSを用いたシャッターについて、図10を用いて説明する。
【0095】
光学素子500bは、第6の支持体606と第7の支持体607の間に、MEMS構造体部1106aと、MEMS駆動素子部1106bを有する。
【0096】
MEMS構造体部1106aは、3次元的な立体構造を有し、且つ一部が可動する微小構造体であるシャッター1110を複数個有する。シャッター1110は開口部1110cが設けられた遮光層1110aと、開口部1110cを遮光することができる可動遮光層1110bとを有する。
【0097】
シャッター1110はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を用いて形成することができる。
【0098】
MEMS駆動素子部1106bは、アクチュエータを介して、可動遮光層1110bを駆動させるトランジスタを複数個有する。当該トランジスタは透光性を有する材料で形成されることが好ましい。光学素子500aの開口率を高めるためである。
【0099】
遮光層1110aと可動遮光層1110bは、遮光性を有する材料を用いる。例えば、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、銅、タングステン、タンタル、ネオジム、アルミニウム、シリコンなどの金属、合金または酸化物などを用いることができる。
【0100】
シャッター1110の構造例の詳細については後の実施の形態7に記載する。
【0101】
シャッター1110は、開口部1110cを透過する光を、可動遮光層1110bで調整することができる。遮光する場合、可動遮光層1110bを開口部1110cと重畳させる。光を通過させる場合、可動遮光層1110bを開口部1110cと重畳させないように移動させる。図11に示す平面図にマトリクス状に設けられたシャッター1110の例を示す。
【0102】
図11(A−1)および図11(A−2)に示すシャッター1110は、遮光層1110aの各開口部1110cに一つずつ行方向にスライドできる可動遮光層1110bを設ける。
【0103】
図11(A−1)はシャッター1110が閉まっている状態を示し、図11(A−2)は一部のシャッター1110が開き、残りのシャッター1110が閉まっている状態を示す。図11(A−1)および図11(A−2)のように各開口部1110cに可動遮光層1110bを設けることにより、開口部1110cごとにシャッター1110の開閉を設定することができる。なお、図11(A−2)では、一部のシャッター1110を開くようにしたが、もちろん全てのシャッター1110を開いてもよい。
【0104】
また、図11(A−1)および図11(A−2)では、可動遮光層1110bおよび開口部1110cの形状を矩形状としたがこれに限られることなく、円形、楕円形、多角形等にしてもよい。
【0105】
また、可動遮光層1110bおよび開口部1110cをスリット状に形成しても良い。図11(A−1)および図11(A−2)に示すシャッター1110の可動遮光層1110bおよび開口部1110cをスリット状にしたものを図11(B−1)および図11(B−2)に示す。ここで、可動遮光層1110bの可動領域は開口部1110cにおける可動遮光層1110bのスライド方向(行方向)の幅に応じて設定される。よって、図11(B−1)および図11(B−2)に示すように、開口部1110cの行方向の幅を狭くすることにより、可動遮光層1110bの可動領域を狭く設定することができる。これにより、シャッター1110一つあたりの占有面積を狭くすることができるので、MEMS構造体部1106aの開口率を高めることができる。
【0106】
また、一つの可動遮光層1110bで、可動遮光層1110bのスライド方向に垂直な方向(列方向)に並んだ複数の開口部1110cを遮光できるようにしてもよい。図11(A−1)および図11(A−2)に示すシャッター1110の可動遮光層1110bを列方向に伸長したものを図11(C−1)および図11(C−2)に示す。
【0107】
また、一つの可動遮光層1110bで、可動遮光層1110bのスライド方向(行方向)に並んだ複数の開口部1110cを遮光できるようにしてもよい。図11(A−1)および図11(A−2)に示すシャッター1110の可動遮光層1110bを行方向に伸長したものを図11(D−1)および図11(D−2)に示す。
【0108】
なお、図11に示す可動遮光層1110bおよび開口部1110cの形状などは互いに適宜組み合わせて用いることができる。
【0109】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態6で説明したシャッター1110の構造の一態様について図12を用いて説明する。
【0110】
図12は、シャッター1300の斜視図である。シャッター1300は、アクチュエータ1311に結合された可動遮光層1302を有する。アクチュエータ1311は開口部1304を有する遮光層(図面が煩雑となるため図示せず)上に設けられており、2つの柔軟性を有するアクチュエータ1315を有する。可動遮光層1302の一方の辺は、アクチュエータ1315に接続されている。アクチュエータ1315は、可動遮光層1302を、開口部1304を有する遮光層表面に平行な横方向に移動させる機能を有する。なお、シャッター1300は実施の形態6に示すシャッター1110に対応し、開口部1304を有する遮光層は先の実施の形態に示す遮光層1110aに対応し、開口部1304は実施の形態6に示す開口部1110cに対応し、可動遮光層1302は実施の形態6に示す可動遮光層1110bに対応する。
【0111】
アクチュエータ1315は、可動遮光層1302及び構造体1319に接続する可動電極1321と、構造体1323に接続する可動電極1325とを有する。可動電極1325は、可動電極1321に隣接しており、可動電極1325の一端は構造体1323に接続し、他端は自由に動くことができる。また、可動電極1325の自由に動くことが可能な端部は、可動電極1321及び構造体1319の接続部で最も近くなるように、湾曲している。
【0112】
可動遮光層1302の他方の辺は、アクチュエータ1311によって及ぼされた力に対向する復元力を有するスプリング1317に接続されている。スプリング1317は構造体1327に接続されている。
【0113】
構造体1319、構造体1323、構造体1327は、開口部1304を有する遮光層の表面の近傍において、可動遮光層1302、アクチュエータ1315、及びスプリング1317を、浮遊させる機械的支持体として機能する。
【0114】
可動遮光層1302の下方には、遮光層で囲まれる開口部1304が設けられる。
【0115】
シャッター1300に含まれる構造体1323は、図示しないトランジスタと接続する。当該トランジスタは、先の実施の形態においてMEMS駆動素子部1106bに設けられていた、可動遮光層を駆動するためのトランジスタである。これにより、構造体1323に接続される可動電極1325に、トランジスタを介して任意の電圧を印加することができる。また、構造体1319、構造体1327は、それぞれ接地電極(GND)と接続する。このため、構造体1319に接続する可動電極1321及び構造体1327に接続するスプリング1317の電位は、GNDとなっている。なお、構造体1319、構造体1327は、任意の電圧を印加できる共通電極に電気的に接続されてもよい。
【0116】
可動電極1325に電圧が印加されると、可動電極1325と可動電極1321との間の電位差により、可動電極1321及び可動電極1325が電気的に引き寄せあう。この結果、可動電極1321に接続する可動遮光層1302が、構造体1323の方へ引きよせられ、構造体1323の方へ横方向に移動する。可動電極1321はスプリングとして働くため、可動電極1321と可動電極1325との間の電位差が除去されると、可動電極1321は、可動電極1321に蓄積された応力を解放しながら、可動遮光層1302をその初期位置に押し戻す。なお、可動電極1321が可動電極1325に引き寄せられている状態で、開口部1304が可動遮光層1302に塞がれるように設定してもよいし、逆に開口部1304上に可動遮光層1302が重ならないように設定してもよい。
【0117】
シャッター1300の作製方法について、以下に説明する。開口部1304を有する遮光層上にフォトリソグラフィ工程により所定の形状を有する犠牲層を形成する。犠牲層としては、ポリイミド、アクリル等の有機樹脂、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン等の無機絶縁膜等で形成することができる。
【0118】
次に、犠牲層上に印刷法、スパッタリング法、蒸着法等により遮光性を有する材料を形成した後、選択的にエッチングをしてシャッター1300を形成する。遮光性を有する材料としては例えば、クロム、モリブデン、ニッケル、チタン、銅、タングステン、タンタル、ネオジム、アルミニウム、シリコンなどの金属、合金または酸化物などを用いることができる。または、インクジェット法によりシャッター1300を形成する。シャッター1300は、厚さ100nm以上5μm以下で形成することが好ましい。
【0119】
次に、犠牲層を除去することで、空間において可動可能なシャッター1300を形成することができる。
【0120】
以上のような構成のシャッター状の遮光手段を、先の実施の形態に示す、透光性を有する支持体に設けられた発光素子を有する第1の表示部と、透光性を有する支持体に設けられた光散乱性の液晶層を有する第2表示部との間に設けることにより、容易に用途や状況に応じた多様な表示モードを可能とする表示装置を提供することができる。
【0121】
以上、本実施の形態に示す構成などは、他の実施の形態に示す構成などと適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0122】
11 第1ユニット
12 第2ユニット
100 発光素子
101 第1の電極
102 第2の電極
103 透光性導電層
200 EL層
211 正孔注入層
212 正孔輸送層
213 発光層
214 電子輸送層
300 表示装置
301 画素
301a 画素
301b 画素
301c 画素
301d 画素
302 画素
310 表示装置
400 EL層
411 第1の発光ユニット
412 第2の発光ユニット
413 電荷発生層
500 光学素子
500a 光学素子
500b 光学素子
501 第1の偏光板
502 第2の偏光板
503 第3の電極
504 第4の電極
555 液晶層
600 外光
601 第1の支持体
602 第2の支持体
603 第3の支持体
604 第4の支持体
605 第5の支持体
606 第6の支持体
607 第7の支持体
701a 発光領域
701b 透光性非発光領域
702 外光調整領域
888 発光
901 立ち上がり時間
902 立ち下がり時間
903 立ち上がり時間
904 立ち下がり時間
1106a MEMS構造体部
1106b MEMS駆動素子部
1110 シャッター
1110a 遮光層
1110b 可動遮光層
1110c 開口部
1300 シャッター
1302 可動遮光層
1304 開口部
1311 アクチュエータ
1315 アクチュエータ
1317 スプリング
1319 構造体
1321 可動電極
1323 構造体
1325 可動電極
1327 構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面から光を射出する複数の発光素子を有する発光領域および透光性非発光領域を備える第1ユニットと、
他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子を有する領域を備える第2ユニットと、を有し、
前記第1ユニットの前記透光性非発光領域が、前記第2ユニットの前記光学素子と重なること特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子が、液晶素子であることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
第1の偏光板と第2の偏光板が、
少なくとも表示装置の一方の面から光を射出する複数の発光素子を有する発光領域および透光性非発光領域を備える基板と、表示装置の他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子を備える基板と、を挟持し、
前記透光性非発光領域が、前記光学素子と重なり、
前記他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子が、液晶素子であることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
前記発光素子が少なくとも一方の面から光を射出するEL素子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記液晶素子が、ブルー相を示す液晶材料を有する液晶素子であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記他方の面から一方の面に外光の透過量を制御する複数の光学素子が、MEMSを用いたシャッターであることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−109056(P2013−109056A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252378(P2011−252378)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】