説明

表面実装型電子部品

【課題】 ドラム状コアの下側の鍔の底面に金属板端子を取り付け、ドラム状コアに巻回された巻線の両端を金属板端子に接続したものは、部品点数と作業工数が増大し、製造コストが上昇する。また、ドラム状コアの下側の鍔の底面に電極を印刷して端子を形成し、ドラム状コアに巻回された巻線の両端を端子に接続したものは、電極の材料が高価なため製造コストが上昇する。さらに、ドラム状コアの下鍔を上鍔よりも大きくしてドラム状コアに巻回された巻線の両端を下鍔にからげて端子としたものは同じ大きさのものよりも特性が劣化する。
【解決手段】 ドラム状コアに巻線を巻回してコイルが形成される。ドラム状コアは、巻軸と、巻軸の両端に形成された鍔を備える。巻軸の一方の端に形成された鍔には等間隔に4つの切欠きを形成する。また、巻線は、ドラム状コアの巻軸に巻回され、それぞれ端部をドラム状コアの鍔の2つの切欠き間に巻きつけて端子とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム状コアに巻線を巻回してコイルが形成された表面実装型電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の表面実装型電子部品に、図6に示す様に、巻軸の両端に鍔を形成したドラム状コア61の下側の鍔の底面に金属板端子63A、63Bを取り付け、このドラム状コア61の巻軸に巻線62を巻回し、巻線62の端部62A、62Bをそれぞれ金属板端子63A、63Bに接続したものがある(例えば、特許文献1を参照。)。
【0003】
また、別の従来の表面実装型電子部品に、図7に示す様に、巻軸の両端に鍔を形成したドラム状コア71の下側の鍔の底面に電極73A、73Bを印刷して端子を形成し、このドラム状コア71の巻軸に巻線72を巻回し、巻線72の端部72A、72Bをそれぞれ電極73A、73Bに接続したものがある(例えば、特許文献2を参照。)。
【0004】
しかしながら、図6に示す様な従来の表面実装型電子部品は、ドラム状コアの下側の鍔の底面に金属板端子を取り付ける必要があるため、部品点数と作業工数が増大し、製造コストが上昇するという問題があった。また、図7に示す様な従来の表面実装型電子部品は、ドラム状コアの下側の鍔の底面に、銀等の高価な導電材料を印刷して電極を形成する必要があるため、その分製造コストが上昇する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-332431号公報
【特許文献2】特開2011-14730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
これらの問題を解決するために、図8に示す様に、巻軸の両端に鍔を形成したドラム状コア81の下側の鍔81Bの大きさを上側の鍔81Aよりも大きく形成し、このドラム状コア81の巻軸に巻線82を巻回し、巻線82の端部82A、82Bを下側の鍔81Bの突出した部分にからげ、このドラム状コア81の下側の鍔81Bの突出した部分にからげられた巻線82の端部82A、82Bを端子として用いることが行われている。
しかし、この様な従来の表面実装型電子部品は、ドラム状コアの上側の鍔と下側の鍔の大きさを変える必要があるためにドラム状コアが高価になると共に、巻線の両端をからげる部分の分巻線を巻くスペースが少なくなり、同じ大きさの表面実装型電子部品よりも特性が劣化するという問題があった。
【0007】
本発明は、形状を大きくすることなく、部品点数、作業工数を低減し、製造コストを下げることができる表面実装型電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ドラム状コアに巻線を巻回してコイルが形成された表面実装型電子部品において、ドラム状コアは、巻軸と、巻軸の両端に形成された鍔を備え、巻軸の一方の端に形成された鍔に4つの切欠きを形成し、巻線は、ドラム状コアの巻軸に巻回され、それぞれ端部をドラム状コアの鍔の2つの切欠き間に巻きつけて端子とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の表面実装型電子部品は、ドラム状コアが巻軸と、巻軸の両端に形成された鍔を備え、巻軸の一方の端に形成された鍔に4つの切欠きを形成し、巻線がドラム状コアの巻軸に巻回され、この巻線の端部をドラム状コアの鍔の2つの切欠き間に巻きつけて端子としているので、形状を大きくすることなく、部品点数、作業工数を低減し、製造コストを下げることができると共に、特性が劣化するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の表面実装型電子部品の第1の実施例を示す斜視図である。
【図2】本発明の表面実装型電子部品の第1の実施例のドラム状コアを示す斜視図である。
【図3】本発明の表面実装型電子部品の第2の実施例を示す斜視図である。
【図4】本発明の表面実装型電子部品の第3の実施例を示す斜視図である。
【図5】本発明の表面実装型電子部品の別のドラム状コアを示す斜視図である。
【図6】従来の表面実装型電子部品の斜視図である。
【図7】従来の別の表面実装型電子部品の斜視図である。
【図8】従来のさらに別の表面実装型電子部品の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の表面実装型電子部品は、巻軸と、巻軸の両端に形成された鍔を備え、巻軸の一方の端に形成された下側の鍔に4つの切欠きを形成したドラム状コアが用いられ、このドラム状コアの巻軸に巻線を巻回してコイルが形成される。ドラム状コアの下側の鍔は、上側の鍔から突出しない様に形成される。また、巻線の両端は、ドラム状コアの鍔の2つの切欠き間にそれぞれ巻き付けられて端子として使用される。
【実施例】
【0012】
以下、本発明の表面実装型電子部品の実施例を図1乃至図5を参照して説明する。
図1は本発明の表面実装型電子部品の第1の実施例を示す斜視図、図2は本発明の表面実装型電子部品の第1の実施例のドラム状コアを示す斜視図である。図1、図2において、11はドラム状コア、12は巻線である。
ドラム状コア11は、フェライト等の磁性体を用いて、巻軸11Cと、この巻軸11Cの両端に形成された鍔11Aと鍔11Bを備えた、いわゆる、ドラム状に形成される。このドラム状コア11は、巻軸11Cが実装基板と垂直になる様に用いられる。巻軸11Cの一方の端に形成された上側の鍔11Aと、巻軸11Cの他方の端に形成された下側の鍔11Bは、それぞれ多角形の板状に形成され、下側の鍔11Bの側面が上側の鍔11Aの側面よりも突出しない様に、同じ大きさに形成される。下側の鍔11Bには、その側面に等間隔に4つの切欠きが形成される。このドラム状コア11の巻軸11Cには、巻線12が巻回される。
巻線12は、銅等の導電性を有する線材に絶縁被覆が施されたものが用いられ、中央部分がドラム状コア11の巻軸11Cに巻回され、引き出された一方の端部12Aを絶縁被覆が除去された状態でドラム状コア11の下側の鍔11Bの切欠き11B2と切欠き11B3間に巻き付け、引き出された他方の端部12Bを絶縁被覆が除去された状態でドラム状コア11の下側の鍔11Bの切欠き11B1と図示されていない残りの1つの切欠き間に巻き付ける。この下側の鍔11Bの切欠き11B2と切欠き11B3間に巻き付けられた端部12Aと下側の鍔11Bの切欠き11B1と残りの切欠き間に巻き付けられた端部12Bは、予備半田が施されて端子として用いられる。
【0013】
図3は本発明の表面実装型電子部品の第2の実施例を示す斜視図である。
ドラム状コア31は、巻軸と、この巻軸の両端に形成された鍔31Aと鍔31Bを備える。このドラム状コア31は、巻軸の一方の端に形成された上側の鍔31Aと、巻軸の他方の端に形成された下側の鍔31Bがそれぞれ多角形の板状に形成され、下側の鍔31Bの側面が上側の鍔31Aの側面よりも突出しない様に、上側の鍔31Aと下側の鍔31Bが同じ大きさに形成される。下側の鍔31Bには、その側面に等間隔に4つの切欠きが形成される。このドラム状コア31の巻軸には巻線32が巻回される。
巻線32は、銅等の導電性を有する線材に絶縁被覆が施されたものが用いられ、中央部分がドラム状コア31の巻軸に巻回され、引き出された一方の端部32Aがドラム状コア31の下側の鍔31Bの切欠き31B2と切欠き31B3間に複数回巻回され、引き出された他方の端部32Bがドラム状コア31の下側の鍔31Bの切欠き31B1と図示されていない残りの1つの切欠き間に巻回される。この下側の鍔31Bの切欠き31B2と切欠き31B3間に巻回された端部32Aと下側の鍔31Bの切欠き31B1と残りの切欠き間に巻回された端部32Bは、予備半田の際の熱により絶縁被覆が除去されると共に、予備半田が施こされ、端子として用いられる。
【0014】
図4は本発明の表面実装型電子部品の第3の実施例を示す斜視図である。
ドラム状コア41は、巻軸と、この巻軸の両端に形成された鍔41Aと鍔41Bを備える。このドラム状コア41は、下側の鍔41Bの側面が上側の鍔41Aの側面よりも突出しない様に、上側の鍔41Aと下側の鍔41Bが同じ大きさに形成される。下側の鍔41Bには、その側面に等間隔に4つの切欠きが形成される。このドラム状コア41の巻軸には巻線42が巻回される。
巻線42は、銅等の導電性を有する線材に絶縁被覆が施されたものが用いられ、中央部分がドラム状コア41の巻軸に巻回され、引き出された一方の端部42Aが偏平に押し潰されると共に絶縁被覆が除去された状態でドラム状コア41の下側の鍔41Bの切欠き41B2と切欠き41B3間に巻き付けられ、引き出された他方の端部42Bが偏平に押し潰されると共に絶縁被覆が除去された状態でドラム状コア41の下側の鍔41Bの切欠き41B1と図示されていない残りの1つの切欠き間に巻き付けられる。この下側の鍔41Bの切欠き41B2と切欠き41B3間に巻回された端部42Aと下側の鍔41Bの切欠き41B1と残りの切欠き間に巻回された端部42Bは、予備半田が施こされ、端子として用いられる。
【0015】
以上、本発明の表面実装型電子部品の実施例を述べたが、本発明はこの実施例に限られるものではない。例えば、ドラム状コアは、図5に示す様に、巻軸51Cの両端に円板状の鍔51Aと鍔51Bを形成し、下側の鍔51Bの側面が上側の鍔51Aの側面よりも突出しない様に同じ大きさに形成され、下側の鍔51Bの側面に等間隔に4つの切欠き51B1、51B2、51B3を形成したものを用いてもよい。また、第1の実施例と第3の実施例において、ドラム状コアの下側の鍔の2つの切欠き間にそれぞれ巻き付けられた巻線の両端部はさらに接着剤を用いてより強固に固定されてもよい。
【符号の説明】
【0016】
11 ドラム状コア
12 巻線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラム状コアに巻線を巻回してコイルが形成された表面実装型電子部品において、
該ドラム状コアは、巻軸と、該巻軸の両端に形成された鍔を備え、該巻軸の一方の端に形成された鍔に4つの切欠きを形成し、
該巻線は、該ドラム状コアの巻軸に巻回され、それぞれ端部を該ドラム状コアの鍔の2つの切欠き間に巻きつけて端子としたことを特徴とする表面実装型電子部品。
【請求項2】
前記巻線のそれぞれの端部が前記ドラム状コアの鍔の2つの切欠き間に複数回巻回された請求項1に記載の表面実装型電子部品。
【請求項3】
前記巻線のそれぞれの端部は平面部分が形成された請求項1又は請求項2に記載の表面実装型電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−12638(P2013−12638A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145303(P2011−145303)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000003089)東光株式会社 (243)
【Fターム(参考)】