説明

被検査体のテスト装置

【目的】 テストヘッド部が6軸に渡って位置調整可能なテスト装置を提供する。
【構成】 表面にチップが形成された半導体ウエハのような被検査体Wのテストを行うために、テスト装置本体2と、テストヘッド部12を有するテスト装置において、このテストヘッド部を、X軸位置調整機構36、Y軸位置調整機構44、Z軸位置調整機構26、θX軸位置調整機構46、θY軸位置調整機構40及びθZ軸位置調整機構32に連結する。そして、上記各位置調整機構の一部或いは全部を可動にする。これにより複数の軸方向における位置調整を自動的に行う。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、半導体ウエハ上に多数形成された集積回路の検査を行う被検査体のテスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、半導体デバイスの製造工程にあっては、半導体ウエハ上に形成されたIC、LSI等の電子回路(チップ)等の電気的特性を試験するために、各チップの電極パッドに接触子であるプローブ針を自動的に接触させて、外部のテスタより電気信号を入力して製品の良否を判断するようになっている。この検査を行う従来のテスト装置の一例は、図17及び図18に示されており、テスト装置本体2側には、水平面内のXY方向及び垂直方向であるZ方向へ移動可能になされた載置台4が設けられ、この上面に被検査体として半導体ウエハWが載置される。このテスト装置本体2の上面には、プローブ針6が多数植設されたリング状のプローブカード8と、この上面に接触させて設けたプローブカードインタフェース部10とが着脱可能に固定されている。
【0003】一方、テストヘッド部12はテスト装置本体2の側部にて回動自在に支持されてテスト装置本体2の上面に起倒可能になされている。このテストヘッド部12の下面には、上記プローブカードインタフェース部10に設けた多数のポゴピンと電気的接触を図るための接触リング14が設けられている。そして、テストヘッド部12から引き出された多数の配線よりなる配線束16はテスタ18に接続されており、ここでチップの電気的特性の検査を行うようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、被検査体であるウエハ上のパッド位置が変わるとそれに対応させてプローブカード8や接触リング14等も交換する必要が生じるが、この時、最大300kg程度の重量物であるテストヘッド部12を手動で回動して起立させて交換作業を行う。また、接触リング14やプローブカード8等のメンテナンス時にも同様にテストヘッド部12を回動させて起立させなければならない。このような場合、上述のようにこのテストヘッド部12の起倒はオペレータが手動で行うことから作業効率が余り良好ではないという問題点があった。そこで、バランサを使用した位置調整機構を用いてテストヘッド部の位置調整を行うことも考えられるが、この場合にはバランサを用いることから装置自体が過度に複雑化し、好ましくはない。また、位置合わせは、オペレータが手動で行うことから作業効率が良好でない。
【0005】本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的はテストヘッド部が6軸に渡って位置調整可能な被検査体のテスト装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に規定する第1の発明は、被検査体との間で電気信号の送出を行うプローブカードインタフェースを上面に設けたテスト装置本体と、前記プローブカードインタフェース部に接触離間可能に設けられたテストヘッド部とを有する被検査体のテスト装置において、前記テストヘッド部は、これを水平面内の1方向であるX方向へ位置調整させるX軸位置調整機構と、前記水平面内において前記X方向と直交するY方向へ位置調整させるY軸位置調整機構と、前記水平面に直交するZ方向へ位置調整させるZ軸位置調整機構と、前記X方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθX軸位置調整機構と、前記Y方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθY軸位置調整機構と、前記Z方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθZ軸位置調整機構とに連結され、前記各軸位置調整機構の内、一部または全部の位置調整機構は可動になされるようにしたものである。
【0007】請求項3に規定する第2の発明は、被検査体との間で電気信号の送出を行うプローブカードインタフェースを上面に設けたテスト装置本体と、前記プローブカードインタフェース部に接触離間可能に設けられたテストヘッド部とを有する被検査体のテスト装置において、前記テストヘッド部は、これを水平面内の1方向であるX方向へ位置調整させるX軸位置調整機構と、前記水平面内において前記X方向と直交するY方向へ位置調整させるY軸位置調整機構と、前記水平面に直交するZ方向へ位置調整させるZ軸位置調整機構と、前記X方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθX軸位置調整機構と、前記Y方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθY軸位置調整機構と、前記Z方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθZ軸位置調整機構とに連結され、前記各軸位置調整機構の内、一部または全部の位置調整機構は可動になされていると共に可動になされた前記各位置調整機構にはそれぞれの方向における移動が完了した時に停止位置を保持する停止位置ロック手段が設けられ、前記テスト装置本体の上面とこれに対応する前記テストヘッド部の下面には、嵌合することにより位置決めを行う位置決め手段が形成され、前記位置決め手段が嵌合する直前に前記各停止位置ロック手段の内、少なくとも1つを解除する直前ロック解除手段が設けられるようにしたものである。
【0008】請求項4に規定する第3の発明は、被検査体との間で電気信号の送出を行うプローブカードインタフェースを上面に設けたテスト装置本体と、前記プローブカードインタフェース部に接触離間可能に設けられたテストヘッド部とを有する被検査体のテスト装置において、前記テストヘッド部は、これを水平面内の1方向であるX方向へ位置調整させるX軸位置調整機構と、前記水平面内において前記X方向と直交するY方向へ位置調整させるY軸位置調整機構と、前記水平面に直交するZ方向へ位置調整させるZ軸位置調整機構と、前記X方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθX軸位置調整機構と、前記Y方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθY軸位置調整機構と、前記Z方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθZ軸位置調整機構とに連結され、前記Z軸位置調整機構は、水平に支持されて昇降可能になされると共にθZ軸の旋回中心がその途中に位置された水平アーム部を有し、前記テストヘッド部のメンテナンス時には前記テストヘッド部を前記水平アーム部の他端側に位置させて前記θY軸位置調整機構を駆動するように構成したものである。
【0009】
【作用】第1の発明によれば、テストヘッド部は、X軸位置調整機構と、Y軸位置調整機構と、Z軸位置調整機構と、θX軸位置調整機構と、θY軸位置調整機構と、θZ軸位置調整機構とに連結されて、これらの内の一部または全部の位置調整機構が可動になされているので、上記各位置調整機構を操作することによりテストヘッド部をテスト装置本体上に自動的に位置決めして設置することが可能となり、また、これをテスト装置本体上から離脱させてメンテナンス位置まで自動的に移動させることが可能となる。
【0010】第2の発明によれば、第1の発明のように可動になされた各位置調整機構にはそれぞれ停止位置ロック手段が設けられており、各位置調整機構における移動が完了した時には、これを検知して停止位置ロック手段が駆動してその停止位置が保持される。そして、テストヘッド部が下降してこれとテスト装置本体に設けた位置決め手段が嵌合される直前には直前ロック解除手段が作動して一部或いは全部の停止位置ロック手段を解除することによりテストヘッド部をフローティング状態とする。これにより、位置決め手段によりテストヘッド部は精度良く位置決めされることになる。
【0011】第3の発明によれば、第1の発明のように構成された各軸位置調整機構の内、Z軸位置調整機構は水平に支持されて昇降可能になされた水平アーム部を有し、このθZ軸の旋回中心は水平アーム部の長手方向の途中に設けられている。テストヘッド部のメンテナンス時には、これを水平アーム部の他端側に位置させてθY軸位置調整機構を駆動することによりこれを回転角で例えば120度程度反転させ、メンテナンス作業が行い易いようにその下面を斜め上方に向ける。この場合、テストヘッド部から引き出される配線束はヘッド部の回転により水平アーム部の端部の側方に位置し、これらの干渉を避けることが可能となる。
【0012】
【実施例】以下に、本発明に係る被検査体のテスト装置の一例を添付図面に基づいて詳述する。図1は本発明に係る被検査体のテスト装置を示す斜視図、図2は図1に示すテスト装置のマニュピレータ部を示す斜視図、図3は図2に示すマニュピレータ部を異なる角度から示す斜視図、図4はテストヘッド部とフレーム部との取り付け状態を示す分解斜視図、図5はテストヘッド部とフレーム部との取り付け状態を示す平面図、図6はテストヘッド部へのフレーム取り付け時のY軸及びθX軸の位置調整操作を説明するための説明図、図7はテスト装置本体を除いたテスト装置を示す側面図、図8はZ軸降下停止部材の動作を示す動作説明図、図9はZ軸降下停止部材のスリーブを示す底面図、図10はZ軸降下停止部材に設けたブレーキ手段を示す側面図、図11はテストヘッド部とテスト装置本体に設けた位置決め手段を示す概略側面図、図12は図11に示す位置決め手段の動作を説明するための動作説明図、図13はテスト装置本体に設けたテストヘッド部固定用のクランプ機構を示す側面図、図14はX軸方向の位置決めのロックを行う停止位置ロック手段を示す図、図15は図14に示す停止位置ロック手段の動作を説明するための動作説明図、図16はメンテナンス時のテストヘッド部の動きを説明するための説明図である。
【0013】図示するようにこの被検査体のテスト装置は、略方形状になされたテスト装置本体2と、この上面に接触離間可能に設けられるテストヘッド部12と、このテストヘッド部12の移動及び位置決めを行うマニュピレータ部20とにより主に構成されている。図5においてはテストヘッド部12は実線で記載されているが図1R>1においてはマニュピレータ部20の構造を示すために一点鎖線にて示されている。
【0014】上記テスト装置本体2及びテストヘッド部12は図17及び図18に示す従来装置と同様に構成されており、テスト装置本体2には、図示されないが被処理体である半導体ウエハを載置してX、Y、Z方向へ移動する載置台、プローブ針を有するプローブカード、プローブカードンイタフェース部10がそれぞれ設けられており、このインタフェース部10にテストヘッド部12の下面に設けた接触リング14が接触離間することになる(図17及び図18を参照)。
【0015】このテストヘッド部12内には、各種の検査用回路が密集して収容されていることから、重量が最大300kg程度にもなり、この移動を制御するマニュピレータ部20には高い剛性が要求されることになる。そして、このテストヘッド部12の後方へはテスタ18に接続された多数の配線よりなる配線束16が延びている(図16参照)。テストヘッド部12の接触リング14は、精度良く位置決めされてプローブカードインタフェース部10に接触する必要があることからマニピュレータ部20には各方向における位置調整機能が要求される。
【0016】そこで、本実施例においてはこのマニピュレータ部20により6軸方向への調整が可能となるように各種の位置調整機構が設けられている。この6軸は、水平面内に直交する2方向をX方向とY方向とし、この水平面に直交する垂直方向をZ方向とし、更に上記各軸方向の回りを回転する方向、すなわち上記各軸方向と直交する面内を回転する方向をそれぞれθX方向、θY方向及びθZ方向とする。
【0017】まず、マニピュレータ部20は、マニピュレータ基台22上に起立させた固定支柱24にZ軸位置調整機構26を介して水平支柱28を昇降可能に設け、この水平支柱28の先端にθZ軸位置調整機構32を介してZ軸の回りであるθZ軸方向へ回転可能に回転支柱30を起立させて設け、この回転支柱30の上端に水平アーム部34を固設し、更にこの水平アーム34にX軸位置調整機構36を介してスライド可能にスライドブロック38を設け、このスライドブロック38にθY軸位置調整機構40を介してフレーム部42を取り付けて、全体が構成されている。そして、このフレーム部42に、Y軸位置調整機構44及びθX軸位置調整機構46を介して上記テストヘッド部12が後述するように固定的に取り付けられる(図1及び図4参照)。
【0018】本実施例においては、上述のようにY軸方向及びθX軸方向の位置調整はテストヘッド部12の取り付け時に行われて取り付け後は固定状態となるが、他の4軸方向に対しては可動状態となって必要に応じてヘッド部12の移動が行われることになる。尚、この点に関して設計により任意の軸方向を固定とし、任意の軸方向を可動状態とすることができ、上記したものに限定されるものではない。
【0019】まず、Z軸位置調整機構26について説明すると、図3、図7及び図8乃至図9に示すように起立された固定支柱24の側面には垂直方向に延びる一対のZ軸ガイドレール48を介してスライドフレーム50がZ軸にスライド可能に設けられ、このフレーム50に上記水平支柱28の基端部が固定される。このスライドフレーム50の下方において、上記固定支柱24とこれと対向する位置に設けた側板52との間には水平基台54が掛け渡されている。この水平基台54と上記スライドフレーム50の底板50Aとの間には、底板50Aを貫通してボールネジ56が垂直方向に設けられると共にその下端部は水平基台54にベアリング等を介して回転可能に支持され、上端部は回転可能に支持されたL字状アングル58を介して固定支柱24に保持されている。
【0020】そして、ボールネジ56の下端に設けたプーリ60には、水平基台54に設けたZ軸の駆動源としてのZ軸モータ62のプーリ64との間でベルト66が掛け渡されており、このボールネジ56を制御部68からの指令により正逆回転し得るように構成されている。上記ボールネジ56はこの回転に応じて上下動するスリーブ70を介してスライドフレームの底板50Aと接触しており、このスリーブ70の上下動に応じてスライドフレーム50全体は上下方向に移動することになる。そして、このスリーブ70は底板50Aのボールネジ孔に遊嵌状態で装着されており、図8(A)に示すように上昇時にはスリーブ70のフランジ70Aによりフレームの底板50Aの動きを規制するが、図8(B)に示すように下降時には途中までは底板50Aの動きを規制するが、それ以降はスリーブ70のみが単独で移動し得るようになっている。
【0021】そして、この底板50Aには、下方に向けて棒状のZ軸降下停止部材72が取り付け固定されると共にその下端には例えば合成ゴム等よりなるクッション部材74が設けられており、それ以降のスライドフレーム50、すなわちテストヘッド部12の降下を停止してZ軸方向の位置決めを行い得るように構成されている。すなわちZ軸下方向の移動は、この停止部材72によりメカニカル的に停止されることになる。この停止部材72の長さは、テストヘッド部12の下面がテスト装置本体2の上面に略接する時の位置を決定する長さに設定されており、スライドフレーム50の降下が上記停止部材72により停止された後に慣性によりZ軸モータ62が僅かに回転したとしても図8(B)に示すようにスリーブ70のみが降下するようになっている。
【0022】また、このスリーブ70の側部には底板50Aから突出させたスリーブ回転止め76が設けられており、この側面にスリーブの円形フランジ70Aの一部を直線状に切り欠いた切り欠き部78を当接させることによりスリーブ70の回転を規制しつつこの上下方向の移動を許容するようになっている。上記スリーブ回転止め76の上下方向の途中にはスリーブ70が降下した時にこれを検知する近接センサ80が設けられており、このセンサ80がスリーブ70の降下を検知した時に制御部68はZ軸モータ62の駆動を停止するようになっている。
【0023】また、上記Z軸モータ62及びボールネジ56には、このZ軸モータ62に供給する駆動エネルギが何らかの理由で停止された時にその時の停止位置を保持するためのブレーキ手段、例えば電磁力によって操作される電磁ブレーキ82、84が設けられており、重量物であるテストヘッド部12が落下しないように安全設計が施されている。
【0024】次に、θZ軸位置調整機構32について説明すると、図3にも示すように上下方向へ移動する水平支柱28の先端部にはθZベアリング86を介して回転支柱30がθZ方向へ回転可能に支持されており、この回転支柱30は水平支柱28内に設けたθZ軸エアシリンダ88に例えば図示しないクランク機構を介して接続され、例えば90度だけ回転可能になされている(図16R>6参照)。
【0025】また、上記水平支柱28には、これと一体的に回転するθZロックプレート90が取り付けられると共にこのプレート90の停止位置に対応する水平支柱28側にはプレート90と衝突してショックを吸収する弾発部材を有するθZショックアブソーバ92が設けられている。
【0026】次に、X軸位置調整機構36について説明する。上記回転支柱30の上端に固定された水平アーム部34は断面略矩形状に成形され、その一側面には一対のX軸ガイドレール94が、反対側の面には1本のX軸ガイドレール96が長さ方向に沿ってそれぞれ設けられている。この一対のX軸ガイドレール94には、これらの間をを掛け渡すようにして第1のスライドブロック38がスライド可能に設けられ、他方、1本のX軸ガイドレール96にはこれに沿ってスライド可能になされた第2のスライドブロック100が設けられており、これら2つのブロック38、100間にはこれらを連結するためのジョイントプレート102が掛け渡されている(図1R>1及び図2参照)。また、水平アーム部34の旋回中心O1である回転支柱30の取り付け位置は、水平アーム部34の端部よりも少なくとも上記スライドブロック38、100の長さに相当する距離だけ離間させた位置に設定されており、後述するようにテストヘッド部12のメンテナンス時にこれをθY軸方向へ例えば120度程度回転させても回転支柱30と後述するブリッジプレート104とが干渉しないようになっている。また、水平アーム部34の下面の一側には、その長手方向に沿ってラック106が形成されると共に第1のスライドブロック38にはX軸駆動源としてのX軸モータ108が固定され、このモータ108の回転軸に取り付けたピニオンギア110を上記ラック106に歯合させることによりスライドブロック38、100をX軸方向へ移動するようになっている。
【0027】上記水平アーム部34及び第1のスライドブロック38には、このX軸方向における位置決めを行うためのX軸停止位置ロック手段112が設けられる。具体的には、図2及び図14乃至図15にも示すようにこのX軸停止位置ロック手段112は、水平アーム部34の側面の両端にそれぞれ設けられた一対のX軸ロックプレート114A、114Bと第1のスライドブロック38に設けたX軸ロックピン116とにより主に構成されている。各ロックプレート114A、114Bは、X軸方向への移動が完了して位置決めすべき位置にそれぞれ取り付け固定され、各プレート114A、114Bの位置決め穴118はテーパがつけられて円錐凹部状に形成されており、これに嵌合することになるロックピン116の先端は上記位置決め穴118のテーパ面と密接するように同様にテーパ状の円錐凸部状に成形されている。このX軸ロックピン116は、制御部68により制御されるX軸エアシリンダ120に連結されて出没可能になされている。
【0028】また、両X軸ロックプレート114A、114Bには、第1のスライドブロック38が所定の位置に到達したことを検知するための例えばX軸光センサ122A、122Bがそれぞれ設けられており、上記X軸エアシリンダ120の両側に設けたシャッタ部材124A、124Bがそれぞれの光センサ122A、122B内に侵入して光路を遮断するとその遮断信号が上記制御部68へ入力され、これを受けた制御部68はX軸ロックピン116を出すようにX軸エアシリンダ120を駆動することになる。これによりスライドブロックのX軸方向の位置決めが行われつつこの停止位置を保持することが可能となる。上記X軸ロックプレートの内、ブロックの停止位置を変更させる必要のある側のプレート、例えばX軸ロックプレート114Bの取り付け部には図示されない長孔が設けられており、この取り付け位置をX軸方向に沿って長孔の長さの範囲内で調整し得るようになっている。
【0029】また、上記制御部68には、後述するようにテストヘッド部12がテスト装置本体2の上面に接して位置決めされる直前に上記X軸位置決め手段112のロックを解除する直前ロック解除手段としてZ軸近接センサ126が接続されており(図12参照)、テストヘッド部12の接近を検知した時にX軸ロックピン116のロックを外すようになっている。
【0030】また、上記各X軸ロックプレート114A、114Bには、スライドブロック38、100の停止時における衝撃を吸収するためのX軸ショックアブソーバ128設けられている(図3参照)。上述したような停止位置ロック手段112は、他の可動状態になされた位置調整機構、例えばθZ軸位置調整機構32のθZ軸ロックプレート90(図3参照)等や後述するθY軸位置調整機構40にも同様に設けられ、各軸における移動が完了した時にその停止位置を保持するようになっている。
【0031】次に、θY軸位置調整機構40について説明する。上記第1のスライドブロック38には、図1乃至図3に示すようにθY軸駆動源としてのθY軸モータ135が取り付けられており、このモータ135の回転軸はθY軸ベアリング136(図3参照)を介して、フレーム部42のコ字状の外側フレーム138に多数のネジ140により固定されており、これをθY軸の回りに例えば180度旋回し得るようになっている。この外側フレーム138の外側面すなわち第1のスライドブロック38に対向する面には、前述のようにθY軸停止位置ロック手段の一部を構成するθY軸ロックプレート(図示せず)が設けられると共にこれに対向させて第1のスライドブロック38にはθY軸ロックピン142を有するθY軸エアシリンダ144が固設されている。
【0032】また、この外側フレーム138の中央部には、ジョイントバー146を介して水平方向に延びるブリッジプレート104が固設されており、このプレート104は上記水平アーム部34と干渉しないようにこれを跨いでこの上面に配線束16を支持するようになっている。また、このブリッジプレート104には上記配線束16を保持するための止め具134が設けられている。
【0033】次に、Y軸位置調整機構44及びθX軸位置調整機構46について説明する。上記フレーム部42は、上述のようなコ字状の外側フレーム138と、この先端側に設けられる2枚の内側フレーム138とにより構成され、上記外側フレーム138の両先端にテストヘッド部12の側面を固定する時にY軸及びθX軸方向の位置調整が行われることになる(図5参照)。図4に示すようにテストヘッド部12の側面に、内側フレーム148、外側フレーム138及び正方形状のワッシャ150を順次積ねて位置調整しつつ最後に6個のネジ152によりこれらを固定するものである。
【0034】まず、内側フレーム148には、Y軸方向に延びる内側長孔154とこの周辺に配列された6個の内側ネジ孔156がそれぞれ形成されている。上記内側長孔154には、端部に円形フランジ158を設けた取り付けシャフト160がθX軸調整ベアリング162を介して挿通されている。この場合、シャフト160は十分に長く設定されてその先端には締付けナット163と螺合するようにネジ切りが形成されていると共に上記ベアリング162の厚みは内側フレーム148の厚みと等しいか或いはこれよりも小さく設定され、ベアリング162は内側長孔154内をY軸方向、すなわち水平方向へ移動し得るように構成されている。
【0035】また、外側フレーム138には、上記内側長孔154に対応する部分においてシャフト挿通孔164が形成されると共に上記6つの内側ネジ孔156に対応する部分においてそれぞれY軸方向に延びる外側長孔168が形成されている。図6にも示すようにこれら外側長孔168の長さL1はY軸方向の位置調整ができるように十分な長さに設定されると共にその幅L2もこれに挿通されるネジ152の直径よりも数倍大きく設定されており、シャフト挿通孔164を中心として所定の角度α、例えば10度の範囲内でθX方向へ回転し得るように構成されている。
【0036】更に、ワッシャには、上記シャフト挿通孔164に対応する部分においてY軸方向に延びるワッシャ長孔170が形成されると共にその周辺部には、上記内側ネジ孔156に対応する部分において6個のワッシャネジ孔172が形成されている。上記ワッシャ長孔170の長さはY軸方向の調整が可能なように十分長く形成されているが、その幅は取り付けシャフト160の直径よりも僅かに大きくなされているだけであり、これを略内接状態で挿通するようになっている。
【0037】従って、取り付けシャフト160にθX軸調整ベアリング162を嵌装した状態でテストヘッド部12の側面とワッシャ150との間に内側フレーム148及び外側フレーム138を重ね合わせて6個のネジ152により仮止めし、この状態で外側フレーム138とテストヘッド部12のY軸方向及びθX軸方向の相対位置を調整し、更にネジ152及び締付けナット163を締め付けることにより外側フレーム138とテストヘッド部12を上記2軸の位置調整をした状態で固定することができる。
【0038】ここでθX軸方向の微調整を行う場合には、テストヘッド部12をθX方向に回転しなければならない場合も生ずるが、シャフト160にはベアリング162が介在されているので、これを容易に回転することができ、θX軸方向の微調整を容易に行うことができる。
【0039】以上のようにしてテストヘッド部12に対して6軸の位置調整を行うことが可能となる。上述した6軸の各位置決め乃至位置調整機構の精度は、実際にはある程度粗く、粗調整としての機能を有すが、最終的にテストヘッド部12をテスト装置本体2上にセットする時には、微調整された位置決めを行わなければならない。
【0040】そのために、図11及び図12にも示すようにテスト装置本体2の上面とこれに対応するフレーム部42の下面には嵌合により位置決めを行う位置決め手段174が設けられる。具体的にはこの位置決め手段174は、同様に構成されたものが対向面に少なくとも2カ所設けられており、テスト装置本体2の上面に形成された棒状の嵌合凸部176と上記フレーム部42の下面に設けられて上記嵌合凸部176と密接して嵌合する嵌合凹部178とにより構成されている。そして、上記嵌合凸部176は、ねじ切りされてこれに2つの高さ調整ナット180が螺合されており、この上面にて嵌合凹部178の下面を受けるようになっている。従って、この位置決め手段174によりテストヘッド部12のX、Y軸方向の位置調整のみならず、θX軸、θY軸方向の位置微調整も行うことが可能となる。
【0041】また、上記嵌合凸部176の上端部は円錐状に成形されると共にこれを受け入れる嵌合凹部178の先端部も円錐状に拡開されており、これらが接触することによりテストヘッド部12の接近時に位置補正も行い得るようになっている。このようなテストヘッド部12の位置補正をする場合、各軸位置調整機構においてそれぞれの停止位置ロック手段が作動して停止位置がロックされていることから上記嵌合凸部176と嵌合凹部178が嵌合する直前に上記ロック状態を解除しなければならない。そのために、テスト装置本体2の上面には、テストヘッド部12の接近を検知するために直前ロック解除手段として前述したようにZ軸近接センサ126が設けられており、このセンサ126の検知信号は制御部68へ送出されるようになっている。この検知信号を受けた制御部68は、ロック解除信号を前記X軸、θZ軸及びθY軸の各停止位置ロック手段の内、少なくとも1つのロック手段に向けて出力し、ロック状態を解除することによりテストヘッド部12をフローティング状態にするようになっている。このZ軸近接センサ126は、嵌合凸部176の先端が嵌合凹部178の先端に僅かに入った状態の時にテストヘッド部12の接近を検知するように設定するのが良く、本実施例にあってはその距離L3は例えば25mm程度に設定されている。尚、嵌合凸部176、嵌合凹部178及びZ軸近接センサ126の取り付け位置は、それぞれ上下逆に設けてもよいのは勿論であり、また、Z軸近接センサ126は、オペレータの接近による誤動作を防止するためにオペレータが通常操作時には近づくことのない場所に設けるのが好ましい。
【0042】また、図13に示すようにテスト装置本体2の上面側部であって嵌合凸部176の位置と反対側には、最終的に位置決めされたテストヘッド部12の浮き上がりを防止するために、例えば起倒自在になされたクランプ機構182が設けられており、テストヘッド部12の側部に設けたL字アングル184に手動または自動でこれを係合させ得るようになっている。このクランプ機構の取り付け台185はテストヘッド部12の側部を保持するようになっている。
【0043】また、図1に示すように上記フレーム部42の2枚の内側フレーム148の先端間には、オペレータが把持するための操作取手186が掛け渡されており、この操作取手186には、前記停止位置ロック手段の内、一部または全部のロックを必要に応じて手動で解除するためにロック状態解除手段としてθY軸ロック解除ボタン188が設けられる。本実施例にあってはθY軸のロックのみを解除する場合について記したが、他の軸におけるロック状態も解除できるようにしてもよい。
【0044】このボタン188を操作することにより、θY軸停止位置ロック手段のθY軸エアシリンダ144(図3参照)は、これに連結される図示しないエア圧力強弱2系統のエア源の内、エア圧力弱系統に切り換えられ、これによりロックピン142の付勢力が弱まって手動によりテストヘッド部12をθY軸方向へ回転し得るようになる。尚、このロック解除ボタン188が作動し得るのは、図16(C)に示すように水平アーム部34が90度完全に旋回してテスト装置本体の領域外に出ることを条件としており、これとテスト装置本体2との衝突を防止している。
【0045】このように構成されたマニュピレータ部20のZ軸位置調整機構26の部分は、図2及び図3に示すように側部がトップカバー190及びフロントカバー192により被われており、また、マニュピレータ基台22から起立された側板52には複数のボルト孔194(図3参照)が形成され、ボルトによりこの側板52をテスト装置本体2へ締付け固定することにより、マニュピレータ部20の転倒を防止している。尚、図中196は装置全体の動作状況等を表示するためのモニタである。
【0046】次に、以上のように構成された本実施例の動作について説明する。本実施例においては、前述のようにY軸及びθX軸方向におけるテストヘッド部12の位置調整は、装置組み立て時に行われて固定され、他の4軸方向、すなわちX軸、Z軸、θY軸及びθZ軸方向は可動になされて、それぞれの軸位置調整機構により位置決めされることになる。
【0047】まず、外側フレーム138と内側フレーム148よりなるフレーム部42に重量物であるテストヘッド部12を取り付け固定する場合について説明する。まず、図4にも示すようにテストヘッド部12の側部に内側フレーム148と外側フレーム138とワッシャ150を配置し、θX軸調整ベアリング162を挿通させた取り付けシャフト160を、内側フレーム148の内側長孔154、外側フレーム138のシャフト挿通孔164及びワッシャ150のワッシャ長孔170に挿通させて締め付けナット163により緩く締め付けると共に6個のネジ152をワッシャネジ孔172、外側フレーム138の長孔168及び内側フレーム148のネジ孔156に挿通させ、それぞれをテストヘッド部側面に同様に緩く締め付け、仮止めする。このようにフレーム部42を取り付けたならば、これを第1のスライドブロック38に設けたθY軸位置調整機構40にネジ140(図2参照)により取り付ける。
【0048】次に、テストヘッド部12をテスト装置本体2上に移動させる(図15参照)。このような状態で、フレーム部42に設けた、Y軸位置調整機構44、θX軸位置調整機構46及びθY軸位置調整機構40を用いて、Y軸、θX軸及びθY軸方向の位置決めを行う。具体的には、取り付けシャフト160を中心として内側フレーム148及びワッシャ150はそれぞれの長孔154、170の長さ範囲内でY軸方向へ位置調整することができる。また外側フレーム140は、図6に示すようにシャフト160を中心としてθX軸方向へ角度α、例えば最大10度の範囲内で位置調整することができる。またθY軸調整機構40はθY軸ロックピン142を解除することにより、θY軸方向の位置調整ができる。従って、フレーム部42の下面に設けられた位置決め手段174の嵌合凹部178とテスト装置本体2の上面に設けられた嵌合凸部176とを嵌合させるように、Y軸位置を調整することにより、精度の高い位置決めができる。
【0049】この時、テストヘッド部12のθX軸方向及びθY軸方向の位置調整は、嵌合凸部176に螺合した高さ調整ナット180及びクランプ機構取付台185の高さを調整することにより行われる。このようにして上記3軸の位置調整を行ったならば、締付ナット163及び各ネジ152を強固に締め付けてフレーム部42とテストヘッド部12を固定する。
【0050】次に、水平アーム部34に沿って移動するX軸方向の位置調整について図14及び図15も参照して説明する。まず、X軸位置調整機構36のX軸モータ108を駆動することにより、テストヘッド部12を片持ち支持する第1及び第2のスライドブロック38、100は、X軸ガイドレール94、96に沿って水平アーム部34上を走行移動することになる。
【0051】ここで、第1のスライドブロック38が水平アーム部34の両端に設けたX軸停止位置ロック手段112の一方のX軸ロックプレート、例えばプレート114Aに接近するとこれに設けたシャッタ部材114AがX軸光センサ122Aに侵入してブロック38の接近を検知する(図15(A))。すると、制御部68はX軸エアシリンダ120を駆動することによりX軸ロックピン116を突出させてこれをX軸ロックプレート114Aの位置決め穴118に嵌合させる(図15(B))。
【0052】これにより、第1のスライドブロック38は水平レール部の所定の位置に固定されてロックされ、位置決めされることになる。この場合、X軸ロックピン116の先端は、円錐形状に成形されているので位置ズレが僅かに生じていてもその位置ズレが補正されてロックされることになる。このような動作は、他方のX軸ロックプレート114B側においても同様に行われ、第1及び第2のスライドブロック38、100は、水平アーム部34の略両端において停止することになる。また、このX軸方向への移動の時には、テストヘッド部12から延びる配線束16は、ブリッジプレート104上にて止め具134により支持固定されているので水平アーム部34と干渉することなく移動することになる。
【0053】次に、固定支柱24に沿って移動するZ軸方向の位置調整について図7乃至図10も参照して説明する。まず、Z軸位置調整機構26のZ軸モータ62を駆動することによりスライドフレーム50を支持するボールネジ56を回転させ、これによりスライドフレーム50を昇降させる。例えば、降下時を例にとって説明すると、ボールネジ56が回転するとこれに螺合されているスリーブ70が降下するのでスライドフレーム50もZ軸ガイドレール48に沿って降下する。そして、スライドフレームの底板50Aに設けたZ軸降下停止部材72の下端が図8(A)に示すように水平基台54に到達するとスライドフレーム50の降下が停止されてテストヘッド部12のZ軸方向の下端の位置決めが行われる。フレーム50の降下が停止してもZ軸モータ62は回転し続けるのでスライドフレームの底板50Aに遊嵌されているスリーブ70のみが更に降下し、この降下はスリーブ回転止め76に設けた近接センサ80により検出される。すると制御部68はZ軸モータ62に指令を出してこの回転を停止させることになる。上述のようにスリーブ70はフレーム底板50Aに遊嵌されているのでスライドフレーム50に荷重がかかることがない。
【0054】また、Z軸下降停止部材72は、Z軸方向に位置調整が可能であり、このZ軸下降停止部材72の位置調整を行うことにより、テストヘッドのZ軸方向位置の調整が可能となる。また、テストヘッド部12を上昇させるためには、上記した方向と反対方向にZ軸モータ62を回転することによりスライドフレーム50を上昇させる。すなわち、Z軸モータ62を逆転させると図8R>8(B)においてスリーブ70のみが上昇し、そして、このフランジ70Aがスライドフレームの底板50Aと当接すると(図8(A))、スライドフレーム50の上昇が開始され、所定の位置まで上昇されることになる。これによりZ軸方向における位置決めが行われることになる。
【0055】ところで、スライドフレーム50に加わるテストヘッド部12の荷重は最大300kg程度にもなるために、フレーム昇降途中において何らかの理由でZ軸モータ62への給電が停止してしまった場合には、スライドフレーム50がヘッド部12の自重で一気に落下する危険性が生ずる。しかしながら、本実施例にあっては、Z軸モータ62及びボールネジ56にブレーキ手段としてそれぞれ電磁ブレーキ82、84が設けられており、例えば停電時にはその位置でモータの回転軸やボールネジ56の回転軸が保持されてしまい、スライドフレーム50すなわちテストヘッド部12の落下を防止することができる。
【0056】次に、θZ軸方向の位置調整機構について図1乃至図3を参照して説明する。この操作は、水平アーム部34を回転支柱30の旋回中心O1を中心として例えば90度だけ旋回させるものであり、そのためには、θZ軸位置調整機構32のθZ軸エアシリンダ88を駆動することにより、図示しないクランク機構を介して回転支柱30を回転させこれによりテストヘッド部12を回転支柱30の回りに90度旋回させ(図16参照)、θZ方向の位置調整を行う。
【0057】次に、θY軸方向の位置調整について説明する。まず、第1のスライドブロック38に設けたθY軸位置調整機構40のθY軸モータ135を駆動するとこの回転軸に連結されたフレーム部42がθY方向に所定の角度、例えば180度旋回するので、これに固定されたテストヘッド部12も一体的に旋回することになり、θY方向の位置決めが行われることになる。この時、θY軸ロックピン142の作用によりθY方向におけるテストヘッド部12の停止位置がロックされることになる。
【0058】以上のように6軸の位置調整機構により各軸方向の位置決めが行われることになる。尚、可動状態になされている位置調整機構は、誤動作防止のために同時に2以上の位置調整機構が動作しないようにプログラムされている。以上のような位置調整機構を組み合わせて動作させてテストヘッド部12を移動させるのであるが、これをテスト装置本体2の上面に接触させる場合について図11及び図12も参照して説明すると、テスト装置本体2の上方に位置させたテストヘッド部12を、Z軸位置調整機構を駆動して次第に降下させる。この時点ではテストヘッド部12のX軸、θY軸及びθZ軸方向における位置調整はある程度、粗いものとなっている。
【0059】更に、テストヘッド部12が降下して、テスト装置本体2の上面に設けた位置決め手段174の嵌合凸部176の先端が、テストヘッド部12の下面に設けた嵌合凹部178の先端開口部に入る程度まで両者が接近すると、Z軸近接センサ126がテストヘッド部12の接近を検知し、これにより制御部68は、ロック解除信号を停止位置ロック手段が作動している箇所の全部または一部、例えば図15(C)に示すようにX軸停止位置ロック手段112に送出し、ロック状態を解除してテストヘッド部12をフローティング状態とする。この場合、ロック解除状態は、他のロック手段においても同様であるが、X軸ロックピン116を縮退させるのではなく、ロックピン116の突出させているX軸エアシリンダ120のエア圧力を弱いエア圧力に切り替えるようにするものであり図15(C)に示すようにこれにより僅かな反発力でロックピン116が没するようにする。
【0060】このようにテストヘッド部12をフローティング状態にしたまま更にテストヘッド部12を降下させると図12(B)に示すように嵌合凸部176と嵌合凹部178は密接に嵌合される。この時、テストヘッド部12のX、θZ軸方向の位置ズレ誤差が補正されると同時に嵌合凸部176に設けた高さ調整ナット180の作用によりθY軸方向の位置も決定されることになり、テストヘッド部12の接触リングとテスト装置本体2のプローブカードインタフェース部10(図17及び図18R>8参照)が精度良く位置合わせされることになる。この時、テストヘッド部12の浮き上がり等を防止するために図13に示すように手動または自動によりクランプ機構182でヘッド部12の端部を固定する。
【0061】また、テストヘッド部12やプローブカードのメンテナンスを行う場合には、図16(A)に示すようにテストヘッド部12がテスト装置本体2の上方に位置している状態から図16(B)に示すようにX軸位置調整機構を駆動してテストヘッド部12を水平アーム部34に沿って移動させ、これを旋回中心O1を越えて反対側の他端に位置させる。
【0062】次に、図16(C)に示すように旋回中心O1を中心として水平アーム部34を90度旋回させ、更に図16(D)に示すようにθY軸位置調整機構を駆動することによりテストヘッド部12を例えば120度程度反転させて接触リング14を略上方に向けてメンテナンス操作を行い易いようにする。この場合、テストヘッド部12からの配線束16は、水平アーム部34の端部よりも外側に位置するのでこれらが干渉することを防止できる。また、このようにテストヘッド部12を旋回中心O1側に移動させて水平アーム部を90度旋回するようにしたので、このテストヘッド部12を旋回中心O1側に移動させないで水平アーム部を90度旋回する場合と比較してテスタ18までの配線束16の長さを、例えば1.5m程短くすることができ、その分、高周波の検査信号の遅延時間を短くすることができるので、更に周波数の高い検査信号を用いることができ、検査効率を向上させることができる。
【0063】また更に、水平アーム部34の旋回に伴って振られる配線束16の振られ量も少なくなり、断線等の事故も減少させることができる。また、テストヘッド部12を120度反転させる場合に、θY軸位置調整機構を駆動したが、これを用いずに操作取手186に設けたθY軸解除ボタン188をオペレータが操作することによりθY軸停止位置ロック手段を前述と同様に解除し、これを手動で120度回転するようにしてもよい。このように本実施例によれば構造を過度に複雑化させることなくテストヘッド部に対して6軸の位置調整を手動或いは自動で行うことができるので装置全体の操作性を大幅に向上させることができる。
【0064】また、前述のように水平アーム部34に水平に支持させたテストヘッド部12をそのままの状態で昇降させてテスト装置本体に接近させるようにしたので、この上面にテストヘッド部12を水平に維持した状態で接触させることができ、従って、図17及び図18に示す従来装置のようにテストヘッド部を起倒させる場合と比較して、接触リングの接圧を面内に渡って均一化させることができる。尚、上記実施例にあっては、被検査体として半導体ウエハを用いた場合について説明したが、これに限定されず、例えば液晶基板等の検査装置にも適用し得るのは勿論である。
【0065】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の被検査体のテスト装置によれば次のように優れた作用効果を発揮することができる。第1の発明によれば、バランサを用いることなく6軸方向に位置調整可能な機構を設けるようにしたのでテストヘッド部の位置決めを自動で行うことができる。従って、装置全体の操作性を大幅に向上させることができる。第2の発明によれば、テスト装置本体とテストヘッド部の正確な位置決めを行う位置決め手段が嵌合する直前に、他の可動位置調整機構の停止位置ロック手段のロック状態を解除するようにしたのでテストヘッド部をフローティング状態にし、その後、位置決め手段を嵌合するようにしたので精度の良い位置決めを行うことができる。第3の発明によれば、水平アーム部の旋回中心をこの途中に位置させることにより、テストヘッド部のメンテナンス時には旋回中心を越えてテストヘッド部を水平アーム部の他端に位置させてこの状態でテストヘッド部を反転させてメンテナンスを行うことができる。従って、ヘッド部反転時にテストヘッド部からの配線束が水平アーム部の端部の外側に位置し、これが水平アーム部と干渉することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る被検査体のテスト装置を示す斜視図である。
【図2】図1に示すテスト装置のマニュピレータ部を示す斜視図である。
【図3】図2に示すマニュピレータ部を異なる角度から示す斜視図である。
【図4】テストヘッド部とフレーム部との取り付け状態を示す分解斜視図である。
【図5】テストヘッド部とフレーム部との取り付け状態を示す平面図である。
【図6】テストヘッド部へのフレーム取り付け時のY軸及びθX軸の位置調整操作を説明するための説明図である。
【図7】テスト装置本体を除いたテスト装置を示す側面図である。
【図8】Z軸降下停止部材の動作を示す動作説明図である。
【図9】Z軸降下停止部材のスリーブを示す底面図である。
【図10】Z軸降下停止部材に設けたブレーキ手段を示す側面図である。
【図11】テストヘッド部とテスト装置本体に設けた位置決め手段を示す概略側面図である。
【図12】図11に示す位置決め手段の動作を説明するための動作説明図である。
【図13】テスト装置本体に設けたテストヘッド部固定用のクランプ機構を示す側面図である。
【図14】X軸方向の位置決めのロックを行う停止位置ロック手段を示す図である。
【図15】図14に示す停止位置ロック手段の動作を説明するための動作説明図である。
【図16】メンテナンス時のテストヘッド部の動きを説明するための説明図である。
【図17】従来の被検査体のテスト装置を示す斜視図である。
【図18】図17に示すテスト装置の側面図である。
【符号の説明】
2 テスト装置本体
8 プローブカード
10 プローブカードインタフェース部
12 テストヘッド部
14 接触リング
16 配線束
18 テスタ
20 マニュピレータ部
22 マニュピレータ基台
24 固定支柱
26 Z軸位置調整機構
28 水平支柱
30 回転支柱
32 θZ軸位置調整機構
34 水平アーム部
36 X軸位置調整機構
38 スライドブロック
40 θY軸位置調整機構
42 フレーム部
44 Y軸位置調整機構
46 θX軸位置調整機構
48 Z軸ガイドレール
50 スライドフレーム
52 側板
54 水平基台
56 ボールネジ
58 L字アングル
60、64 プーリ
62 Z軸モータ(Z軸駆動源)
66 ベルト
68 制御部
70 スリーブ
72 Z軸降下停止部材
76 スリーブ回転止め
78 スリーブ切欠部
80 近接センサ
82、84 電磁ブレーキ(ブレーキ手段)
86 θZベアリング
88 θZ軸エアシリンダ(θZ軸駆動源)
90 θZロックプレート
92 θZショックアブソーバ
94、96 X軸ガイドレール
100 スライドブロック
102 ジョイントプレート
104 ブリッジプレート
106 ラック
108 X軸モータ(X軸駆動源)
110 ピニオンギヤ
112 X軸停止位置ロック手段
114 X軸ロックプレート
116 X軸ロックピン
118 X軸位置決め穴
120 X軸エアシリンダ
122 X軸光センサ
124 X軸シャッタ
126 Z軸近接センサ(直前ロック解除手段)
128 X軸ショックアブソーバ
134 配線束止め具
135 θY軸モータ(θY軸駆動源)
136 θY軸ベアリング
138 外側フレーム
140 連結ネジ
142 θY軸ロックピン
144 θY軸エアシリンダ
146 ジョイントバー
148 内側フレーム
150 ワッシャ
152 フレーム固定ネジ
154 Y軸長穴
156 内側ネジ孔
158 フランジ
160 シャフト
162 θX軸ベアリング
163 ナット
164 シャフト挿入孔
168 外側ネジ孔
170 ワッシャ長穴
172 ワッシャネジ孔
174 位置決め手段
176 嵌合凸部
178 嵌合凹部
182 クランプ機構
184 L字アングル
185 クランプ機構取付台
186 操作取手
188 θY軸ロック解除ボタン(ロック状態解除手段)
190 トップカバー
192 フロントカバー
194 ボルト孔
196 シャッタ
O1 旋回中心
W 半導体ウエハ(被検査体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検査体との間で電気信号の送出を行うプローブカードインタフェースを上面に設けたテスト装置本体と、前記プローブカードインタフェース部に接触離間可能に設けられたテストヘッド部とを有する被検査体のテスト装置において、前記テストヘッド部は、これを水平面内の1方向であるX方向へ位置調整させるX軸位置調整機構と、前記水平面内において前記X方向と直交するY方向へ位置調整させるY軸位置調整機構と、前記水平面に直交するZ方向へ位置調整させるZ軸位置調整機構と、前記X方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθX軸位置調整機構と、前記Y方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθY軸位置調整機構と、前記Z方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθZ軸位置調整機構とに連結され、前記各軸位置調整機構の内、一部または全部の位置調整機構は可動になされていることを特徴とする被検査体のテスト装置。
【請求項2】 前記Z軸位置調整機構は、水平に支持されて昇降可能になされた水平アーム部を有し、前記テストヘッド部を水平状態に維持した状態で昇降するように構成したことを特徴とする請求項1記載の被検査体のテスト装置。
【請求項3】 被検査体との間で電気信号の送出を行うプローブカードインタフェースを上面に設けたテスト装置本体と、前記プローブカードインタフェース部に接触離間可能に設けられたテストヘッド部とを有する被検査体のテスト装置において、前記テストヘッド部は、これを水平面内の1方向であるX方向へ位置調整させるX軸位置調整機構と、前記水平面内において前記X方向と直交するY方向へ位置調整させるY軸位置調整機構と、前記水平面に直交するZ方向へ位置調整させるZ軸位置調整機構と、前記X方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθX軸位置調整機構と、前記Y方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθY軸位置調整機構と、前記Z方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθZ軸位置調整機構とに連結され、前記各軸位置調整機構の内、一部または全部の位置調整機構は可動になされていると共に可動になされた前記各位置調整機構にはそれぞれの方向における移動が完了した時に停止位置を保持する停止位置ロック手段が設けられ、前記テスト装置本体の上面とこれに対応する前記テストヘッド部の下面には、嵌合することにより位置決めを行う位置決め手段が形成され、前記位置決め手段が嵌合する直前に前記各停止位置ロック手段の内、少なくとも1つを解除する直前ロック解除手段が設けられたことを特徴とする被検査体のテスト装置。
【請求項4】 被検査体との間で電気信号の送出を行うプローブカードインタフェースを上面に設けたテスト装置本体と、前記プローブカードインタフェース部に接触離間可能に設けられたテストヘッド部とを有する被検査体のテスト装置において、前記テストヘッド部は、これを水平面内の1方向であるX方向へ位置調整させるX軸位置調整機構と、前記水平面内において前記X方向と直交するY方向へ位置調整させるY軸位置調整機構と、前記水平面に直交するZ方向へ位置調整させるZ軸位置調整機構と、前記X方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθX軸位置調整機構と、前記Y方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθY軸位置調整機構と、前記Z方向に直交する面内における回転方向へ位置調整させるθZ軸位置調整機構とに連結され、前記Z軸位置調整機構は、水平に支持されて昇降可能になされると共にθZ軸の旋回中心がその途中に位置された水平アーム部を有し、前記テストヘッド部のメンテナンス時には前記テストヘッド部を前記水平アーム部の他端側に位置させて前記θY軸位置調整機構を駆動するように構成したことを特徴とする被検査体のテスト装置。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図3】
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【図4】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図18】
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【図7】
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【図12】
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【図17】
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【図15】
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【図16】
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