説明

製本装置及びこれを用いた画像形成システム

【課題】断裁エリア内のシート端縁に接着剤を塗布して背綴じ端面と同様に綴じ合わせ、その後に断裁仕上げすることによって断裁屑紙片の散乱を避ける。
【解決手段】シート束の端面に接着剤を塗布した後に少なくとも小口部を断裁揃えする際に、この小口部の断裁代を演算する断裁量演算手段で設定された断裁エリアに接着剤を塗布した後に小口部を断裁処理する。シート束の端面に接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、シート束の小口部を断裁する断裁手段と、前記接着剤塗布手段と断裁手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段には、前記シート束の小口部の断裁エリアを演算する断裁量演算手段が設けられ、この断裁量演算手段で設定された小口部の断裁エリアに接着剤を塗布した後に小口部を断裁処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像形成装置などで画像形成されたシートを部揃えし、このシート束の背部に接着剤を塗布して綴じ合わせる製本装置に係わり、綴じ合わせたシート束の小口部を断裁揃えする際に屑紙片が散乱することのない断裁機構の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にこの種の製本装置は、プリンタ、印刷機などの画像形成システムの端末装置として、画像形成されたシートをページ順に積重ねて束状に部揃えした後、その端面を糊付けして表紙シートに綴じ合せる自動整本システム、或いは給紙口から供給された印刷シートを部揃えして綴じ合わせる製本装置として広く知られている。
【0003】
そしてこの製本綴じとしては部揃い集積したシート束の背部端面に接着剤を塗布して綴じ合わせる天糊製本と表紙シートでくるみ製本する方法が知られ、さらに綴じ合わせたシート束の3方向又は1方向を断裁揃えする装置も知られている。
【0004】
従来例えば特許文献1には画像形成装置から送られたシートを集積トレイで部揃い集積して、その背部端面に接着剤を塗布し、このシート束を表紙シートでくるみ製本する装置が開示されている。そしてくるみ製本した後に、シート束を断裁ユニットに移送してその3方向を断裁仕上げする装置が提案されている。
【0005】
このような装置では製本処理経路で部揃い集積したシート束を、塗布位置、綴じ位置、断裁位置の順に移送し、その過程で接着剤の塗布処理、綴じ処理、断裁処理を順次実行するように構成されている。この断裁位置にはシート束の姿勢を偏向する束姿勢偏向ユニットと、断裁ユニットが配置されシート束の姿勢を偏向しながら3方向を断裁する。そしてこの断裁ユニットの下方には断裁紙片(屑紙片)を収容する屑ボックスと製本仕上げしたシート束を収容するスタッカが配置され、断裁位置に発生した屑紙片を屑ボックスに収容し、製本シートをスタッカに収容するように構成されている。
【0006】
従来は、例えば特許文献1に開示されているように、シート束にはその背綴じ端面に一様に接着剤を塗布し、次いで表紙シートと綴じ合わせた後にその小口部端面一方向、或いは天部、地部、小口部の三方向を断裁仕上げしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−76119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように部揃い集積したシート束の背部端面に接着剤を塗布して、綴じ合わせた後に、その小口部を断裁揃え(一方向断裁)するか、或いは天部、地部、小口部を断裁揃え(三方向断裁)する装置は広く知られている。
【0009】
この場合、従来は背綴じ端面に一様に接着剤を塗布して綴じ合わせた後に、小口部端面を一方向断裁するか、或いは三方向断裁するか、オペレータが選定するようにしている。このため、小口部を断裁する際に生ずる屑紙片は短冊状にバラバラな状態で屑ボックスに落下収容されることとなる。従って断裁代が少ないとき、紙片に静電気が帯びているとき、或いは装置内に冷却風が流動しているときには紙片屑が屑ボックスに落下しないで散乱することがある。
【0010】
このような紙片屑の散乱は、その一部が製本済シート束内に進入して汚損することがあり、また装置内に散乱すると加熱部(例えば接着剤の加熱溶融部)で燃えて事故を招く恐れがある。
【0011】
そこで本発明者は、シート束に接着剤を塗布する際に、小口部端面縁の断裁代(断裁エリア)の端面に背綴じ部と同様に接着剤を塗布することによって断裁屑は塊となって散乱することなく確実に屑ボックスに収容することが可能であるとの着想に至った。
【0012】
本発明は、製本綴じしたシート束を断裁揃えする際に、その断裁エリア内のシート端縁に接着剤を塗布して背綴じ端面と同様に綴じ合わせ、その後に断裁仕上げすることによって断裁屑紙片が散乱することのない製本装置の提供をその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を達成するため本発明は、シート束の端面に接着剤を塗布した後に少なくとも小口部を断裁揃えする際に、この小口部の断裁代を演算する断裁量演算手段で設定された断裁エリアに接着剤を塗布した後に小口部を断裁処理することを特徴としている。
【0014】
更にその構成を詳述するに、シート束を綴じ合わせて少なくとも小口部(Sk)を断裁揃えする製本装置であって、接着剤塗布位置(Y)、断裁位置(Z)の順にシート束を移送する製本処理経路(P5)と、前記接着剤塗布位置に配置され、シート束の端面に接着剤を塗布する接着剤塗布手段(49)と、前記断裁位置に配置され、シート束の小口部を断裁する断裁手段(G)と、前記接着剤塗布手段と断裁手段を制御する制御手段(80)と、を備え、前記制御手段には、前記シート束の小口部の断裁エリアを演算する断裁量演算手段(86)が設けられ、この断裁量演算手段で設定された小口部の断裁エリア(KAr)に接着剤を塗布した後に小口部を断裁処理する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、この小口部の断裁代を演算する断裁量演算手段で設定された断裁エリアに接着剤を塗布した後に小口部を断裁処理するように構成したものであるから、以下の効果を奏する。
【0016】
小口部を断裁仕上げする際には、その断裁エリアの少なくとも一部は接着剤で綴じ処理されているから、屑紙片はその一端面が接着剤で綴じられた塊状に落下し、屑ボックスに収容されることとなる。従って小口部を断裁した際にその屑紙片が短冊状に散乱することがないから、屑紙片が断裁刃の刃受け面に残留することも、静電気の影響で断裁刃に付着して残留することも、冷却風などで装置内を飛散する恐れもない。
【0017】
これと共に、屑紙片は接着剤を含む紙片と、これを含まない紙片とを分別して廃棄する必要もない。更に本発明は、背綴じ端面と小口部端面面に接着剤を塗布する際に、小口部端面面の塗布量を少なくすることによって、接着剤による断裁負荷を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係わる画像形成システムの全体説明図。
【図2】図1のシステムにおける製本装置の製本綴じ処理部の説明図。
【図3】図1のシステムにおける製本装置の断裁仕上げ部の説明図。
【図4】図2の製本装置における束搬送ユニットの説明図。
【図5】図2の製本装置における接着剤塗布ユニットの説明図であり、(a)は塗布ロールの構成を、(b)は塗布動作状態を示す。
【図6】図2の製本装置における断裁量を演算する説明図であり、(a)は断裁状態を(b)乃至(d)はトリミング領域の設定方法を示す。
【図7】図1のシステムにおける制御構成の説明図。
【図8】図2の製本装置における動作状態説明図であり、(a)はシート束を姿勢偏向ユニットに移送する状態を、(b)はシート束の姿勢を偏向する状態を示す。
【図9】図2の製本装置における動作状態説明図であり、(a)はシート束の小口部端面に接着剤を塗布する状態を、(b)は小口部に接着剤を塗布したシート束の姿勢を偏向する状態を示す。
【図10】図2の製本装置における動作状態説明図であり、(a)はシート束の背綴端面に接着剤を塗布する状態を、(b)はシート束を表紙シートと接合する状態を示す。
【図11】図2の製本装置における動作状態説明図であり、(a)はシート束を表紙シートでくるみ製本する状態を、(b)は製本後のシート束を断裁位置に移送する状態を示す。
【図12】図2の製本装置における動作状態説明図であり、(a)はシート束の回転状態を示し、(b)はシート束の小口部を断裁仕上げする状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[画像形成システム]
本発明に係わる画像形成システムを図1に示すが、以下図示の実施形態に基づいて本発明を詳述する。図1に示す画像形成装置Aはコンピュータ、ワードプロセッサ、ネットワークなどに連結され、一連の文書をシート上に印刷して排紙口9から搬出する。この印刷手段としてはレーザ、インクジェット、オフセット印刷などの手段が採用可能である。
【0020】
図示のものは、印刷ドラム(静電ドラム)10と、この印刷ドラム10にシートを供給する給紙カセット2と、印刷ドラム10表面に潜画像を形成するレーザなどの印字ヘッド8と、現像器4と定着器5とから構成されている。給紙カセット2から所定サイズのシートを給紙経路3に給送し、この給紙経路3に印刷ドラム10が配置されている。そしてこのドラム表面に印字ヘッド8で静電潜像を形成し、この潜像に現像器4でトナーインクを付着する。このトナー像をシート上に転写した後、定着器5で定着して排紙口9から排出する。
【0021】
図示6は反転経路で片面に画像印刷されたシートを表裏反転して再び印刷ドラム10に導きシートの裏面側に印刷するデュープレックスパスである。図示11は画像読取装置であり、原稿シートをセットするプラテンと、このプラテンに沿って往復動するスキャニングキャリッジと、このキャリッジで走査した原稿画像を光電変換するCCDなどの光電変換素子で構成されている。
【0022】
また図示12は原稿供給送置であり、原稿シートをセットする給紙トレイと、排紙トレイと、この給紙トレイから上記プラテンを経て排紙トレイに原稿を給送する搬送経路で構成されている。上記画像読取装置11で読み取った原稿データは上記印字ヘッド8のデータ記憶部に転送される。一方、このデータ記憶部はコンピュータ、ワードプロセッサなどの外部機器に接続され、この外部機器から原稿データの供給を受ける。
【0023】
[製本装置]
製本装置Bは、図1に示すように前述の画像形成装置Aの排紙口9に搬出されたシートを部揃え集積してそのシート束(中紙シート)の背綴じ端面に接着剤を塗布して綴じ合わせる(天糊製本)か、或いは綴じ位置に表紙シートを供給して中紙シート束を表紙シートでくるみ製本する。図示の装置はくるみ製本を示し、以下このくるみ製本について本発明を説明する。
【0024】
図1に示す製本装置Bは画像形成装置Aからのシートをページ順に上下に積重ねて束状に部揃いするシート集積部(集積トレイ)22と、このシート集積部22からシート束を製本経路P5に沿って移送するシート束搬送手段30と、製本経路P5の接着剤塗布位置(以下「塗布位置」という)Yに配置され、上記シート束の背綴じ端面Sxに接着剤を塗布する接着剤塗布手段49と、塗布位置Yの下流側に配置された綴じ位置Xに表紙シートを給送セットする表紙給送経路P4と、綴じ位置Xに配置され表紙シートとシート束とを綴じ処理する背折プレス部材65と、背当て部材64と、断裁位置Zに配置され製本綴じされたシート束の周縁を断裁する断裁手段60と、断裁仕上げされたシート束を収納する収納スタッカ71とから構成されている。各構成について以下説明する。
【0025】
[シート集積部の構成]
製本装置Bには装置ハウジング13にシート搬入経路P1が設けられ、この搬入経路P1に順次送られるシートを部揃え集積する集積トレイ22が配置されている。図2に示すように上記集積トレイ22はシート搬入経路P1の排紙口20に段差を形成してその下流側に配置されている。また排紙口20には排紙ローラ21、シートセンサSeが設けられている。
【0026】
この集積トレイ22には整合ローラ24と、シート後端を位置規制する後端規制部材23が配置されている。整合ローラ24は排紙口20から集積トレイ上に進入したシート先端を排紙方向(図2左方向)に移送し、シート後端がトレイ上に進入した後は、逆方向(図2右方向)にシートをスッチバックさせてその後端を後端規制部材23に突き当て整合する。このため整合ローラ24は正逆転可能な駆動モータM2に連結されている。
【0027】
また上記集積トレイ22には図示しないがシートの幅方向姿勢を幅寄せ整合する整合手段が備えられている。この整合手段はシートを片側基準若しくはセンタ基準で幅寄せするように例えば左右一対の整合板をトレイ上に幅方向に移動自在に配置し、少なくともいずれか一方の整合板を駆動モータなどで往復移動させるように構成する。
【0028】
上述の集積トレイ22は装置フレームに固定して装備しても良いが図示のものは図2上下方向に積載位置と搬出位置との間で昇降可能に装置フレームに取り付けてある。そして集積トレイ側に設けたラック歯車28をトレイ昇降モータM4に連結したピニオン27に歯合し、トレイ昇降モータM4の正逆転で集積トレイ22を積載位置(図2実線)と搬出位置(図2破線)との間で昇降移動するようになっている。
【0029】
従って集積トレイ22上に集積されたシートは積載位置から矢印a方向に下降移動し、次いで矢印b方向に移送して後続するシート束搬送手段30に転送するように構成されている。
【0030】
[シート束厚さ検出手段]
上述の集積トレイ22には積載されたシート束の厚さを検出するシート束厚さ検出手段Stが配置されている。この検出手段は図示しないが例えばスライダックセンサで、集積トレイ上のシートを把持するグリッパの位置を検出し、その抵抗値からシート束の厚さを検出する。
【0031】
このようにシート束厚さ検出手段Stは前記集積トレイ22で集積されたシート束の厚さを検出して、後述する(1)接着剤塗布ロールとシート束との塗布ギャップをシート束の厚さに応じて設定する。また(2)表紙シートのセット位置とその送り量をシート束の厚さに応じて調整してシート束が表紙シートのセンタと一致するようにする。また(3)後述する背折プレス手段の待機位置をシート束の厚さに応じて調節する。など後続する処理制御に使用する。
【0032】
上述のシート束厚さ検出手段Stは、例えば排紙口20のシートセンサSeでシート枚数をカウントし、使用するシートの紙厚さ、或いは平均的な紙厚さを乗算することで部揃え集積したシート束の厚さを検出することも可能である。
【0033】
[製本経路]
上述の集積トレイ22の下流側には部揃え集積したシート束を製本処理する製本経路P5が配置されている。図示のものは前述のシート搬入経路P1が装置ハウジング13を水平方向に横断する方向に配置されている関係で、製本経路P5は、装置ハウジング13を鉛直方向に縦断する方向に配置されている。従ってシート搬入経路P1とこれに連なる表紙給送経路P4は水平方向に、製本経路P5は鉛直方向に互いに直交するように交差している。この交差部に綴じ位置Xと、その上流側に塗布位置Yが設定されている。
【0034】
[シート束搬送手段]
上記製本経路P5には、中紙シート束を塗布位置Y、綴じ位置Xに向けて搬送するシート束搬送手段30が設けられている。このシート束搬送手段30は図4に示すユニットで構成されている。このシート束搬送手段30は図1に示すように製本経路P5に配置され、集積トレイ22から略々水平姿勢で受取ったシート束を90度旋廻させて鉛直姿勢に偏向し、次いで下流側の塗布位置Yに移送する。
【0035】
この為、シート束搬送手段30はシート束を把持する一対のグリップ部材33a、33bと、この両グリップ部材33a、33bを備えたユニットフレーム32から構成されている。そしてこのユニットフレーム32は装置フレーム(不図示)に軸31で回転自在に支持され、装置フレーム側に設けた旋回モータM5で軸31に設けた扇形ギア35を回転駆動動することによってユニットフレーム32を図4時計方向と反時計方向(図4矢示方向)に旋回動する。
【0036】
このように装置フレームに回動自在に軸承されたユニットフレーム32にガイドレール(ロッド)36a(図4にその一部を示す)が設けられ、このガイドレール36aに沿って可動フレーム36が上下方向(同図矢印方向)に移動自在に嵌合支持されている。この可動フレーム36にはラック歯車42が設けられ、昇降モータM7のピニオン41と噛合している。従って昇降モータM7の回転で可動フレーム36は図示矢印方向に上下動することとなる。
【0037】
上記可動フレーム36に一対のグリップ部材33a、33bが次のように取り付けられている。固定側のグリップ部材33bはシートを把持する幅サイズで可動フレーム36を構成する左右の側枠に固定され、可動側のグリップ部材33aにはロッド38が設けられ、このロッド38は可動フレーム36に設けた軸受37に嵌合支持されている。そしてロッド38に一体形成されたラック歯車39にグリップモータM6のピニオン40が歯合されている。
【0038】
従って、グリップ部材33a、33bはシート束を把持するグリップ動作を上記グリップモータM6によって実行し、グリップしたシート束を上記旋回モータM5によって水平姿勢から鉛直姿勢に偏向し、次いでこの鉛直姿勢のシート束を上記昇降モータM7によって製本経路P5に沿って下流側の塗布位置Y、とその下流側の綴じ位置Xに移送することとなる。図示Sgはグリップエンドセンサであり、上記可動側のグリップ部材33aに配置されシート束が所定圧力で確実に把持されたか否かを検出する。
【0039】
上記グリップモータM6で可動側のグリップ部材33aを、シート束を把持する方向に移動すると固定側のグリップ部材33bに接近してシート束と係合する。この係合でグリップエンドセンサSgがONし、その信号から所定量グリップモータM6を駆動する。すると可動側のグリップ部材33aはシート束を挟んだ状態で図示しない蓄勢スプリングに蓄力しながら固定側のグリップ部材33bに更に接近して停止する。
【0040】
これによって所定圧力でシート束を把持することが可能となる。この状態で昇降モータM7を駆動するとシート束搬送手段30は図2下方向にシート束を把持した状態で移動し、下流側の塗布位置Y、綴じ位置Xにシート束を移送する。
【0041】
[接着剤塗布手段]
接着剤塗布手段49は、図5(a)に示すように糊などの接着剤を収容する糊容器50と、この容器内に回転自在に取り付けられた塗布ロール51と、容器内の接着剤を加熱する加熱手段50hと、塗布ロール51を回転駆動する駆動モータM8と、上記糊容器50をシート束に沿って往復駆動する駆動モータM9とから構成される。
【0042】
そしてその塗布動作は図5(b)にその概念図を示すが、シート束の背綴じ端面Sxに対し糊容器50は短い長さ(寸法)に形成してあり、これに内蔵した塗布ロール51と伴にシート束の背綴じ端面Sxに沿って移動するように装置フレームのガイドレール52に支持されている。そしてこの糊容器50は装置フレームに取り付けられたタイミングベルト53に連結され、このタイミングベルト53には駆動モータM9が連結してある。
【0043】
上述のように糊容器自体がシート束に沿って移動する構成を示したが、これは糊容器50をシート束の長さより長いトレイ形状に構成し、塗布ロール51のみが同図左右方向に移動するようにしても良い。尚図示の塗布ロール51は耐熱性の多孔質材で構成され、糊を含侵してロール周囲に糊の層が盛り上がるように構成されている。
【0044】
そこで糊容器50は図5(b)に示すようにホームポジションHPと、シート束に沿って復動作を開始するリターン位置RPとの間で前記駆動モータM9によって往復動する。そして各位置は同図に示す位置関係に設定され、リターン位置RPはシート幅のサイズ情報によって設定される。
【0045】
また、装置電源投入時(イニシャル時)にはホームポジションHPに設定され、先行する例えば前記シート束搬送手段30のグリップエンドセンサSgのシートグリップ信号から所定時間後(シート束が塗布位置に到達する見込み時間)にホームポジションHPからリターン位置RPに向けて移動する。この移動と同時に塗布ロール51は駆動モータM8で回転を開始する。
【0046】
上記駆動モータM9の回転で、糊容器50はガイドレール52に沿って図5(b)右側から左側に移動を開始する。そして塗布ロール表面と背綴じ端面Sxとの間に所定のギャップを形成して接着剤を塗布する。この塗布ギャップを変更することによってシートに塗布する接着剤の塗布量を調整する。このギャップGaは前述のシート束搬送手段30の昇降モータM7の送り量で調整する。
【0047】
このシート束の送り量による塗布量調整は前述のシート束厚さ検出手段Stからの束厚さ情報に基づいて束厚さが厚いときにはギャップを大きくして塗布量を多く設定し、束厚さが薄いときにはギャップを小さくして塗布量を少なく設定している。このように前記シート束搬送手段30の昇降モータM7の制御でシート束の送り量を大小調整する方法の他、上記塗布ロール51の高さ位置を上下調整するロール位置調整手段を設けても良い。また駆動モータM9は待避指示信号でシート束に接着剤を塗布する作動位置から距離を隔てて待避した待避位置(不図示)に移動し、この位置に配置された接着剤タンクから接着剤の補給を受けるようになっている。
【0048】
[インサータ装置]
次に上記接着剤塗布手段49で糊付けされたシート束は表紙シートと綴合わせることとなるが、この表紙シートの給送について説明する。図1に示すように画像形成装置Aの排紙口9には順次画像形成済みのシートが搬出され、通常はこの排紙口9に収納スタッカ71が準備される。
【0049】
この排紙口9に後述する製本装置Bとしてのシート搬入経路P1が連結され、このシート搬入経路P1にインサータ装置Jが取り付けられる。インサータ装置Jはシートをスタックする1段若しくは複数段、図示のものは2段のスタックトレイ16と、このスタックトレイ16上のシートを1枚ずつ分離するピックアップ手段17と、このピックアップ手段17からのシートをシート搬入経路P1に案内する給紙経路P2とから構成される。
【0050】
そしてスタックトレイ16上にセットされたシートは画像形成装置Aの排紙口9から順次搬出されるシートの間にシート搬入経路P1に供給される。つまり画像形成装置Aから一連のシートが画像形成されて搬出された後、この最終シートの後にスタックトレイ16からシートが供給される。
【0051】
従ってスタックトレイ16には表紙シートとして厚紙或いはコーティング紙などの特殊シートが準備され、後述する製本装置Bからの制御信号でスタックトレイ16上のシートはシート搬入経路P1に搬入される。またスタックトレイ16を2段設けたのは、種類の異なる表紙シートを予めスタッカに準備出来るようにしたものであり、選択された1つのスタッカから表紙シートが供給される。
【0052】
[表紙給送経路]
シート搬入経路P1にはインサータ装置Jの給紙経路P2が連結され、この給紙経路P2からの表紙シートは経路切換フラッパ15を介して表紙給送経路P4に導かれるようになっている。この表紙給送経路P4は前述の製本経路P5と直交するように交わり、交差部(以下綴じ位置Xという)で製本経路P5からのシート束と表紙シートとを逆T状に接合して綴じ合わせるようになっている。
【0053】
上記表紙給送経路P4は上下に所定間隔で対向する上部搬送ガイド63a、63bと下部搬送ガイド65gで構成され、上部搬送ガイド63a、63bは製本経路P5との交差部(綴じ位置X)を境に右側の第1上部搬送ガイド63aと左側の第2上部搬送ガイド63bに区割され左右の搬送ガイド63a、63bが個別に開閉動するようになっている。
【0054】
そして上記表紙給送経路P4には、表紙シートを搬送方向と搬送直交方向でそれぞれ位置合わせするレジスト手段55と、このレジスト手段55で位置合わせした表紙シートを綴じ位置Xに移送する表紙シート給送手段Fが配置されている。この表紙シート給送手段Fは表紙給送経路P4に配置された搬送ローラ対で構成され、下部搬送ガイド65gに取り付けられた駆動ローラ65rと上部搬送ガイド63a、63bに取り付けられた従動ローラ63cとから構成されている。
【0055】
駆動ローラ65rには駆動モータM10が連結してある。一方上部搬送ガイド63a、63bと従動ローラ63cとは、駆動ローラ65rに圧接する位置と上方に浮上して離間する位置との間で移動可能にカムレバーなどで装置フレームに取り付けられている。
【0056】
従って、上部搬送ガイド63a、63bと従動ローラ63cとは図示しないカムレバーの駆動モータによって表紙給送経路中の表紙シートと圧接してこれを図2左側に移送する作動位置と、表紙シートから離間して浮上した退避位置との間で移動可能に構成されている。このように表紙シートは表紙給送経路P4と前記製本経路P5との交点である綴じ位置Xに搬送され所定位置にセットされる。
【0057】
この綴じ位置Xの上部搬送ガイド63a、63bは開閉ガイド板で構成され、製本経路P5を遮り、表紙シートの上部を案内する位置と、この製本経路P5から退避した退避位置との間で移動自在に構成されている。そしてこの第2上部搬送ガイド63bは表紙シートを案内した後は、製本経路P5を開放するように上方に退避する。
【0058】
[表紙綴じ機構]
上記綴じ位置Xには、表紙綴じ手段Hが設けられ、製本経路P5からのシート束と表紙給送経路P4からの表紙シートとが逆T字状に接合され背折り処理される。まず製本経路P5ではシート束搬送手段30に把持されたシート束に接着剤塗布手段49でシート束の背綴じ端面Sxに糊付けされ、糊容器50は経路外のホームポジションHPに退避する。そしてシート束搬送手段30はシート束を塗布位置Yから綴じ位置Xに製本経路P5に沿って移送する。これと同時に表紙給送経路P4では綴じ位置Xに表紙シートが給送され静止セットされている。
【0059】
そこで上記表紙綴じ手段Hは図3に示すような背当て部材64と背折プレス部材65で構成される。上記背当て部材64は製本経路P5に進入したバックアップ位置と経路外に退避した退避位置との間で進退自在に設けられている。そして背当て部材64はバックアップ位置では表紙給送経路P4に静止セットしている表紙シートをバックアップ支持し、製本経路P5から前記シート束搬送手段30で移送されるシート束と表紙シートとを逆T字状に接合する。
【0060】
また背当て部材64は退避位置では製本経路P5を開放し、この製本経路P5から背当て部材64が退避することによって下流側に位置する折ロール70に向けて前記シート束搬送手段30がシート束を搬出することが可能となる。
【0061】
従って背当て部材64は製本経路P5を直交方向に横切るように移動自在に装置フレームに支持され、図示しない駆動手段(電磁ソレノイド、モータなど)に連結されている。特に図示の背当て部材64は熱伝導率が高く放熱効果の大きい金属板で形成してあり、シート束に塗布した接着剤(図示のものは熱溶融性接着剤)を冷却するようになっている。このように背当て部材64でバックアップ支持された状態で表紙シートとシート束が逆T字状に接合され、この状態で表紙シートの背部を折り曲げる背折プレス部材65が上記背当て部材64の上流側(上方)に配置されている。
【0062】
背折プレス部材65は図3に示すように綴じ位置Xに配置され、左右一対のプレス部材65a、65bと、このプレス部材65a、65bを背折位置と待機位置の間で往復動するシフト手段66と、このシフト手段66を制御する制御手段(後述の制御CPU)80とで構成されている。
【0063】
上記右プレス部材65aと左プレス部材65bとは装置フレーム(図示せず)に摺動自在に支持され、その先端部にプレス片65pが設けられている。この左右のプレス片で表紙シートの背部を折り曲げる。この為左右プレス部材65a、65bにはラック歯車66aが一体に設けられ、このラック歯車66aにシフトモータM3aとM3bに連結されたピニオン66bが歯合されている。このシフトモータM3a、M3bはステッピングモータで構成されている。
【0064】
[束姿勢偏向手段の構成]
上記折ロール70の下流側に位置する断裁位置Zにはシート束の天地方向を偏向する束姿勢偏向手段67と、シート束の周縁を断裁する断裁手段60が配置してある。上記束姿勢偏向手段67は綴じ位置Xから表装されたシート束を所定方向(姿勢)に偏向して下流側の断裁手段60又は収納スタッカ71に給送する。また断裁手段60はシート束の周縁を切り揃える。
【0065】
このため束姿勢偏向手段67は前記折ロール70から送られたシート束を把持して回転する回転テーブル67a、67bを備える。図3に示すようにこの回転テーブル67a、67bは装置フレームに昇降自在に取り付けられたユニットフレーム67fに設けられている。このユニットフレーム67fに製本経路P5を挟んで一対の回転テーブル67a、67bがそれぞれ回転自在に軸受支持され、一方の可動回転テーブル67aはシート束厚さ方向(製本経路P5に対して直交する方向)に移動自在に支持されている。
【0066】
そして各回転テーブル67a、67bには製本経路内でシート束を姿勢偏向するように旋回モータMt1、Mt2が設けられている。また可動側の回転テーブル67aには図3左右方向に移動するグリップモータMGが装備されている。
【0067】
従って製本経路内に導かれたシート束は、左右一対の回転テーブル67a、67bでグリップ把持され旋回モータMt1、Mt2によってシート束の姿勢方向を偏向する。例えば背部を下側に搬入されたシート束を180度旋回して小口部を下側に下流側の排紙ローラ72に送る。またシート束を順次90度ずつ回転して下流側の断裁位置Zに天部・地部・小口部をそれぞれ下側に偏向させシート束の周縁3方向を断裁するトリミングカットが可能となる。
【0068】
なお、上記可動側の回転テーブル67aにはグリップセンサ(図示せず)が設けられ、左右の回転テーブル67a、67b間にシート束が確実にグリップされたのを検知し、この検知後回転テーブル67a、67bを旋回駆動するように構成されている。そして上記ユニットフレーム67fは昇降モータMAによってシート束を製本経路P5に沿って上下昇降させることが出来るようになっている。
【0069】
これは後述するように排紙ローラ72に移送するシート束を所定量オフセットするジョグ機構を構成し、同時にシート束周縁を断裁する際には、断裁位置Zにシート束を搬送セットし、その送り量で断裁位置Zにおける断裁幅を設定するためである。
【0070】
[断裁手段の構成]
上記束姿勢偏向手段67の下流側には断裁手段60が配置されている。この断裁手段60は図3に示すようにシート束の断裁縁を刃受け部材60aに押圧支持する断裁縁プレス部材60bと、断裁刃ユニット60cで構成されている。上記断裁縁プレスユニット60bは製本経路P5に配置した刃受け部材60aと対向する位置に配置され、図示しない駆動手段によってシート束と直交する方向に移動する加圧部材から構成されている。
【0071】
上記断裁刃ユニット60cは平刃状の切断刃と、これを駆動するカッタモータMCとから構成されている。このような構成の断裁手段60により、冊子状に製本処理されたシート束(以下「製本シート」という)の背部を除く周縁を所定量裁断して切り揃える。
【0072】
この製本シートの断裁揃えは図6(d)に示すように製本シートの天部を断裁量Lctで断裁し、次いで回転テーブル67a、67bを180度回転して地部を断裁量Lcc断裁する。この断裁量Lct、Lccは、例えばLct=Lcc=[[(中紙シートサイズ)−(仕上げサイズ)]÷2]で算出する。次に回転テーブル67a、67bを90度回転して小口部を断裁量Lckで断裁する。この断裁量Lckは、例えばLck=(中紙シートサイズ)−(仕上げサイズ)で算出する。
【0073】
一方、表紙シートの断裁量を上述と同様に算出する。このとき小口部の断裁量Lckは、例えばLck=[{(表紙シートサイズ)−(束厚さ)}÷2−(仕上げサイズ)]で算出する。そして表紙シートの断裁量と、中紙シートの断裁量をそれぞれ算出し、いずれか大きい長さを断裁量に設定して断裁処理を実行する。このように後述する断裁量演算手段86が構成されている。
【0074】
[後処理装置の構成]
上述の製本装置Bには後処理装置Cが配置され、この後処理装置Cは前記表紙給送経路P4に連なる後処理経路P6が設けられ、この後処理経路P6にステープルユニット、パンチユニット、スタンプユニットなどの後処理機器が配置され、画像形成装置Aからの印刷シートを、表紙給送経路P4を介して受け取り、この印刷シートにステープル処理、パンチ処理、捺印処理を施し排紙トレイ29に搬出する。また、このような後処理を施すことのない画像形成装置Aからのシートを排紙トレイ29に収納するようになっている。
【0075】
[本発明の主要構成]
上述のような製本装置Bの構成において、接着剤塗布手段49と、断裁手段60を制御する制御手段80を次のように構成することを特徴とする。前述したように製本経路P5に配置された集積トレイ22で画像形成装置Aから送られたシートを部揃え集積する。そして画像形成装置Aからのジョブ終了信号で集積トレイ上のシート束をシート束搬送手段30に引き渡す。
【0076】
そして制御手段80は、シート束搬送手段30でシート束を水平姿勢から垂直姿勢に姿勢偏向し、塗布位置Yを通過してその下流側に配置されている断裁位置Zにシート束を移送する。そして制御手段80は束姿勢偏向手段67でシート束の姿勢を偏向する。この姿勢偏向は180度旋回させてシート束の小口部端面Skが塗布ロール51に対向するようにシート束の姿勢を偏向する。
【0077】
図8(a)はシート束搬送手段30でシート束を断裁位置Zに移送する状態を、同(b)は束姿勢偏向手段67でシート束を小口部端面Skが下方に位置するように姿勢偏向する状態を示す。
【0078】
次に制御手段80は、この姿勢偏向したシート束を断裁位置Zから塗布位置Yに製本経路P5に沿って後退移送する。そして塗布位置Yでシート束の小口部端面Skが塗布ロール51と対向するように位置させ、この端面に接着剤を塗布する。図9(a)はシート束の小口部端面Skに接着剤を塗布する状態を示す。
【0079】
次に制御手段80は塗布位置Yからシート束を断裁位置Zに移送し、束姿勢偏向手段67でシート束の姿勢を180度旋回させて接着剤を塗布した小口部端面Skが上方に、背綴じ端面Sxが下方に位置させる。そこで制御手段80はシート束搬送手段30でシート束を断裁位置Zから塗布位置Yに後退移動させる。図9(b)はシート束を断裁位置Zで180度旋回させて背綴じ端面Sxが下方に位置するように偏向する状態を示す。
【0080】
そして制御手段80は、表紙給送経路P4から表紙シートを綴じ位置Xに給送セットし、そのセット後にシート束の背綴じ端面Sxに接着剤を塗布する(図10(a)の状態)。この接着剤の塗布量は例えば前述のシート束厚さ検出手段Stからの検出結果に基づいて塗布量を束厚さに比例して増減する。この接着剤の塗布量調整は、シート束搬送手段30で塗布ロール51とシート端面とのギャップを調整することによっておこなう。
【0081】
そして制御手段80は背綴じ端面Sxに接着剤を塗布するのと前後して表紙給送経路P4から表紙シートを綴じ位置Xに給送セットする。そして背綴じ端面Sxに接着剤を塗布したシート束を図10(b)に示すように表紙シートに逆T字状に接合する。その後背折プレス部材65で表紙シートを背折りプレス(図11(a)の状態)し、この製本後のシート束を断裁位置Zに向けて移送する(図11(b)の状態)。断裁位置Zでは図12(b)に示すように製本後のシート束の3方向(天部、地部、小口部)を順次断裁する。
【0082】
このようにシート束の小口部端面Sk、次いで背綴じ端面Sxに接着剤を塗布する際に、本発明は、背綴じ端面Sxの塗布量と比較して小口部端面Skの塗布量を少なくすることを特徴としている。
【0083】
図示の実施形態では、小口部端面Skに全長に亘って一様に接着剤を塗布し、小口部端面Skの塗布量を少なくしているが小口部端面の一部に間欠的に塗布することも可能である。例えば小口部端面Skには必ずしも全長に一様に接着剤を塗布する必然性はなく、両コーナ部の一方のみに接着剤を塗布しても、点線を描くように間欠的に塗布しても良い。図6(b)には小口部端面Skに点線状に間欠的に接着剤を塗布する場合を示す。そして前記接着剤塗布手段49でシート束の背綴じ端面Sxに接着剤を塗布する際に、天部又は地部の断裁エリアには接着剤を塗布しないように制御する。
【0084】
これと同様に、背綴じ端面Sxに接着剤を塗布する際に、塗布ロール51を複数回往復動させて接着剤を塗布し、小口部端面Skも同様に複数回に亘って積層状に接着剤を塗布する。このとき背綴じ端面Sxの重ね塗り回数よりも小口部端面Skの重ね塗り回数を少なく設定することによって塗布量を調整しても良い。
【0085】
更に本発明は、前述の断裁量演算手段86で小口部の断裁エリアKArを設定し、この断裁エリアのシート端面に接着剤を塗布する。つまり上述のものは、小口部端面Skに接着剤を塗布する場合を示したが、断裁エリアKArであれば小口部端面に限らず天部端面であっても地部端面であっても良い。
【0086】
[制御構成]
次に上述の制御手段80の全体構成について図7のブロック図に従って説明する。図1に示すような画像形成装置Aと製本装置Bとを連結したシステムでは、例えば画像形成装置Aの制御部75にコントロールパネル76と、モード設定手段77を設ける。そして画像形成装置Aの制御部(制御CPU)75はコントロールパネル76で設定された例えば「印刷処理モード」「製本処理モード」に従って製本装置Bの製本動作を実行する。
【0087】
印刷処理モードでは製本装置Bは経路切換フラッパ15でシート搬入経路P1に搬入された印刷シートを図2に示す表紙給送経路P4及び後処理経路P6から後処理装置Cに搬送し、この後処理装置Cに設けられた排紙トレイ29に収納する。従って印刷シートは製本装置Bを通過するのみである。
【0088】
また製本処理モードが選択されると製本装置Bはシート搬入経路P1から中紙搬送経路P3に印刷シートを導き、シート集積処理、接着剤塗布処理、表紙シート綴合せ処理を経て収納スタッカ71に製本済みシートを収納する。
【0089】
このように製本モードが選択されると画像形成装置Aの制御CPU75は製本モードの指示信号と、これと同時に印刷シートのサイズ情報を製本装置Bに伝達する。このとき入力手段78から表紙シートの坪量などの厚さ情報と、材質例えば剛い紙質であるか柔らかい紙質であるかなどの材質情報を入力し、製本装置Bの制御手段(制御CPU)80に伝達する。これと共に部数情報例えばnページの印刷処理の時、最後のnページの印刷が終了したときジョブ終了信号を製本装置Bの制御手段(制御CPU)80に転送する。
【0090】
そこで制御手段(制御CPU;以下同様)80は、製本綴じ制御部80Aと、断裁仕上制御部82とで構成されている。この制御CPU80にはシート搬入経路P1の搬送ローラの駆動モータ(図示せず)と中紙搬送経路P3の排紙ローラ21の駆動モータM1と、表紙給送経路P4の駆動ローラ65rの駆動モータM10など搬送系ドライバ回路が接続されている。
【0091】
同様に前記集積トレイ22を昇降するトレイ昇降モータM4、シート束搬送手段30のグリップモータM6及び昇降モータM7の駆動回路に接続されている。また、前記塗布ロール51の駆動モータM8と糊容器を往復動する駆動モータM9及び背折プレス部材65のシフトモータM3a、M3bも制御CPU80に接続されている。
【0092】
特にこのシフトモータM3a、M3bはステッピングモータで、その電源パルス発生器にパルス電源のデューティ及び駆動開始タイミング及び駆動終了タイミングなどのコマンド各信号を制御CPU80から発するように結線されている。
【0093】
一方制御CPU80には前記シート束厚さ検出手段Stからの検出信号、前記グリップエンドセンサSg、背折プレス部材65のホームポジションセンサ(不図示)の検出信号並びに前記経路P1〜P5に配置したセンサの検出信号が伝達されるように結線されている。
【0094】
そして制御CPU80には、前記集積トレイ22に中紙シートを集積する動作、前記シート束搬送手段30でシート束を上記集積トレイ22から塗布位置Y及び綴じ位置Xに移送する動作、塗布位置Yで接着剤を塗布する動作、綴じ位置Xでシート束と表紙シートとを接合する動作、接合後に表紙シートを折り曲げる背折りプレス動作、背折り後のシート束を搬出する動作をそれぞれ実行する制御プログラムの記憶手段(ROM)84を備えている。
【0095】
これと同時に制御CPU80には前記背折プレス部材65を駆動するシフトモータM3a、M3bの速度情報、起動タイミング(タイマーテーブル)などの制御データの記憶手段(RAM)85と下記の断裁量演算手段86を備えている。
【0096】
[断裁量演算手段の構成]
そこで断裁量演算手段86について説明すると、上記「断裁量演算手段86」は、制御CPU80内に構成され、製本綴じ処理した後のシート束の周縁を断裁する断裁量を算出する。この為、断裁量演算手段86は画像形成装置Aでモード設定された折仕様情報とシートサイズ情報を画像形成装置Aの制御部75から受信する。
【0097】
これを図6に基づいて説明すると、断裁量演算手段86は折り処理しない中紙シートのサイズ情報と表紙シートのサイズ情報を画像形成装置Aの制御部75から受信する。一方この断裁量演算手段86には「製本仕上げサイズ」情報が画像形成装置Aから転送され、この仕上げサイズは例えばJIS規格A5などオペレータが選定するサイズ情報であるか、或いは予め設定されたトリミングカット量「αmm(例えば5mmなどオペレータが指定する構成であっても良い)」であるか、いずれかの断裁条件が指定される。
【0098】
そこで断裁量演算手段86は上記断裁条件に従ってこれらの情報から、(1)中紙シートの断裁量(長さ;以下同様)Lct、Lcc、Lckを算出する。この算出方法は「仕上げサイズ」が指定された場合については前述した通りである。(2)次に断裁量演算手段86は表紙シートの断裁量(天部)、(地部)、(小口部)を算出する。この場合には中紙シートの束厚さを加味する。
【0099】
次に断裁量演算手段86は中紙シートの断裁量と表紙シートの断裁量を天部・地部・小口部の各辺について比較し、中紙と表紙のいずれか長い方を実際の断裁量に設定する。
【0100】
なお、このような断裁量の算出はシステムの構成に応じて異なる。例えば画像形成装置Aで指定されたサイズのシートが準備されていないときに指定サイズより大きいシートに印刷して製本処理後に余剰空白部を断裁する場合には「仕上げサイズ」をオペレータが指定する必要がある。
【0101】
[断裁仕上制御部]
上述の制御CPU80には断裁仕上制御部82が設けられ、この制御部82は、前記断裁量演算手段86で設定された小口部の断裁エリアKArに接着剤を塗布するか否か選択可能に構成されている。このため制御手段80は画像形成装置Aの制御部75から断裁仕上げモードが設定され、このモード設定で小口部断裁が指定(3方向断裁か、小口部1方向断裁)されると、小口部に接着剤を塗布するか否か判断する。この判断は、断裁エリアの面積が大きいとき、又は中紙シートの坪量が予め設定された所定値よりおおきいか否かを判断し、この設定値以下のとき接着剤を塗布するように構成されている。
【0102】
この設定値は、断裁量演算手段86で小口部の断裁面積が所定値より大きいときには断裁による屑紙片が装置内に飛散する恐れがない。このようなときには小口部の断裁エリアKArに接着剤を塗布しないように、予め基準とする断裁面積をRAM85に記憶しておく。この小口部の断裁面積と同様に、その面積が所定値以下であっても中紙シートの坪量が大きい(厚紙シート)ときには断裁による屑紙片が装置内に飛散する恐れがない。そこで予め基準とするシートの坪量をRAM85に記憶しておく。
【0103】
そして断裁仕上制御部82は、仕上げモードの指示信号と同時に画像形成装置Aから中紙シートの坪量情報を取得し、このデータに従って断裁量演算手段86で算出した小口部の断裁面積とRAM85から読み出した所定値(基準値)とを比較して小口部に接着剤を塗布するか否かを判断するように構成されている。
【0104】
尚本発明にあってシート束の小口部に接着剤を塗布する際に、集積トレイ22からシート束を断裁位置Zに搬送して、束姿勢変更手段67で小口部を姿勢変更した後に接着剤塗布位置にスイッチバック搬送する形態を図示したが、集積トレイ22からシート束を接着剤塗布位置Yに移送する途中でシート束を姿勢変更しても良い。この場合には例えば前述のシート束搬送手段30でシート束を回転させて小口部が下側に位置するように構成すれば良い。
【符号の説明】
【0105】
A 画像形成装置
B 製本装置
C 後処理装置
P4 表紙給送経路
P5 製本経路
X 綴じ位置
Y 塗布位置
Z 断裁位置
22 シート集積部(集積トレイ)
30 シート束搬送手段
49 接着剤塗布手段
50 糊容器
51 塗布ロール
60 断裁手段
64 背当て部材
65 背折プレス部材
65a 右プレス部材
65b 左プレス部材
67 束姿勢偏向手段
67a 回転テーブル(可動)
67b 回転テーブル
71 収納スタッカ
75 制御部
76 コントロールパネル
77 モード設定手段
78 入力手段
80 制御手段(制御CPU)
81 製本綴じ制御部
82 断裁仕上制御部
84 ROM
85 RAM
86 断裁量演算手段
KAr 小口部の断裁エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート束を綴じ合わせて少なくとも小口部を断裁揃えする製本装置であって、
接着剤塗布位置、断裁位置の順にシート束を移送する製本処理経路と、
前記接着剤塗布位置に配置され、シート束の端面に接着剤を塗布する接着剤塗布手段と、
前記断裁位置に配置され、シート束の小口部を断裁する断裁手段と、
前記接着剤塗布手段と断裁手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段には、
前記シート束の小口部の断裁エリアを演算する断裁量演算手段が設けられ、
この断裁量演算手段で設定された小口部の断裁エリアに接着剤を塗布した後に小口部を断裁処理することを特徴とする製本装置。
【請求項2】
前記製本処理経路には、シート束の姿勢を偏向する束姿勢偏向手段7が配置され、
前記制御手段は、前記束姿勢偏向手段でシート束の姿勢を偏向して小口部の断裁エリアに接着剤を塗布することを特徴とする請求項1に記載の製本装置。
【請求項3】
前記制御手段は、シート束の背綴じ端面と小口部端面に接着剤を塗布するように構成され、
この制御手段は、背綴じ端面に塗布する接着剤量に比べて小口部端面に塗布する接着剤量が少なくなるように前記接着剤塗布手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の製本装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記小口部の断裁エリアに接着剤を塗布する際に、
この断裁エリアの小口部端面、天部端面、地部端面のいずれかに接着剤を塗布することを特徴とする請求項1に記載の製本装置。
【請求項5】
前記制御手段は、シート束の背綴じ端面と小口部端面に接着剤を塗布するように構成され、
この制御手段は、背綴じ端面と小口部端面にそれぞれ複数回重ねて接着剤を塗布するように構成され、
このときの小口部端面の塗布回数は、背綴じ端面の塗布回数より少ないことを特徴とする請求項1に記載の製本装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記小口部の断裁エリアに接着剤を塗布する際に、
この断裁エリアの小口部端面に部分的に複数個所に接着剤を塗布することを特徴とする請求項1に記載の製本装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記断裁量演算手段で設定された小口部の断裁エリアに接着剤を塗布するか否か選択可能に構成されていると共に、
この小口部の断裁エリアの面積又は体積に応じて接着剤を塗布するか否か選定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の製本装置。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記断裁量演算手段で設定された小口部の断裁エリアに接着剤を塗布するか否か選択可能に構成されていると共に、
シート束を構成するシートの坪量に応じて接着剤を塗布するか否か選定するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の製本装置。
【請求項9】
前記制御手段は、
前記断裁手段を、シート束の小口部と共に天部と地部の少なくとも一方を断裁するように制御し、
前記接着剤塗布手段でシート束の背綴じ端面に接着剤を塗布する際に、天部又は地部の断裁エリアには接着剤を塗布しないように前記接着剤塗布手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の製本装置。
【請求項10】
順次シート上に画像形成する画像形成装置と、
上記画像形成手段からのシートを部揃え集積して製本綴じする製本装置と、
から構成され、
上記製本装置は請求項1乃至9のいずれか1項に記載の構成を備えていることを特徴とする画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−131497(P2011−131497A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293107(P2009−293107)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000231589)ニスカ株式会社 (568)
【Fターム(参考)】