説明

製紙用表面サイズ剤、製紙用表面サイズ剤を含有する塗工液ならびにこれらを用いて得られる紙

【課題】 エマルジョン型の製紙用表面サイズ剤のサイズ性能の向上をさせる。
【解決手段】疎水性モノマー(A)を含有するビニルモノマーを、カチオン性水溶性ポリマー(B)および/またはカチオン性界面活性剤(C)の存在下で重合させて得られた重合体分散物(D)に硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸硅酸アルミニウムおよびそれらの重合体などの水溶性アルミニウム系化合物(E)をさらに含有させたエマルジョン型の製紙用表面サイズ剤とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙の製造に用いられる表面サイズ剤、表面サイズ剤を含有する塗工液ならびにこれらを用いて得られた紙に関するものである。
【背景技術】
【0002】
製紙用表面サイズ剤は、紙に塗工することで、サイズ効果(紙の液体吸収性をコントロールし、インクの滲みなどを抑える)を付与することができる薬品であり、紙のステキヒトサイズ度や筆記適性、インクジェット適性、耐水性を向上させることができる。表面サイズ剤としては、スチレン、(メタ)アクリル酸アルキルエステルモノマー等を主成分とする陽イオン性共重合体を乳化分散剤として、疎水性モノマーをラジカル乳化重合させて得られるエマルジョン型の表面サイズ剤などが知られている(特許文献1)。
【0003】
本出願人も、疎水性モノマーとしてスチレン系化合物と炭素数3〜6の炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルとの混合物を用いることを特徴とするサイズ効果に優れたエマルジョン型の製紙用表面サイズ剤(特許文献2)を提案している。しかし、さらなるサイズ性能の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭54−6902号公報
【特許文献2】特開平11−256496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、サイズ性能に優れたエマルジョン型の製紙用表面サイズ剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、エマルジョン型の製紙用表面サイズ剤に水溶性アルミニウム化合物を含有させることにより、そのサイズ性能を向上させることができるという知見を得て、かかる知見に基づき完成したものである。
【0007】
すなわち、本発明は、
疎水性モノマー(A)を含有するビニルモノマーを、カチオン性水溶性ポリマー(B)および/またはカチオン性界面活性剤(C)の存在下で重合して得られた重合体分散物(D)ならびに水溶性アルミニウム系化合物(E)を含有するエマルジョン型製紙用表面サイズ剤;前記エマルジョン型製紙用表面サイズ剤と水溶性高分子を含有し、pHが2〜4である塗工液;前記エマルジョン型製紙用表面サイズ剤または前記塗工液を塗工して得られる紙、に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の製紙用表面サイズ剤は、抄紙された紙表面に塗工することにより、紙に優れたサイズ効果やインクジェット適性などを付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の製紙用表面サイズ剤は、疎水性モノマー(A)(以下、(A)成分という)を含有するビニルモノマーを重合成分として、(B)成分および/または(C)成分の存在下で乳化重合して得られた重合体分散物(D)(以下、(D)成分という)を含有する。(A)成分としては、(D)成分にサイズ性能の発現に必要な疎水性を付与することができるものであれば、公知のものを特に限定することなく使用することができる。(A)成分としては、スチレン類、非イオン性の(メタ)アクリル酸エステル類および(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられ、これらの一種を単独で、または2種以上を併用して使用することができる。
【0010】
スチレン類としては、スチレンおよび/またはスチレン誘導体を使用することができる。スチレン誘導体としては、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルトルエンおよびクロルメチルスチレンなどが挙げられる。
非イオン性の(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸(アクリル酸またはメタクリル酸を意味する。以下、(メタ)とは同様の意味で使用する。)と1価の各種アルコールとのエステルであり、1分子中に(メタ)アクリル酸由来の重合性二重結合を1つ有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。なお、非イオン性とは、水性媒体中においてイオン化する官能基を有していないことを意味する。エステルの置換基として炭素数が1〜18程度の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基を例示できる。非イオン性の(メタ)アクリル酸エスエル類の具体例として、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル(n−プロピル、iso−プロピル)、(メタ)アクリル酸ブチル(n−ブチル、iso−ブチル、tert−ブチル)、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル(n−ヘキシル、シクロヘキシル)、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸パルミチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらのうち、より高いサイズ性能を付与する観点から、エステルの置換基の炭素数が3〜8程度のものが好ましく、炭素数が3〜8程度の置換基のなかでも分岐構造を有するものであることがより好ましい。
さらに(A)成分としては、サイズ性能と造膜性との両立の観点からスチレン類と非イオン性の(メタ)アクリル酸エステル類との併用や非イオン性の(メタ)アクリル酸エステル類と(メタ)アクリロニトリルとの併用が好ましい。
【0011】
また、(D)成分の構成モノマーとしては(A)成分を必須モノマーとするが、必要により、他のビニルモノマー成分を含有することもできる。他のビニルモノマーとしては、生成した重合体分散物の安定性を更に向上するために(メタ)アクリルアミドやヒドロキシル基を有する親水性モノマー、ならびに後述する(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル(b2)や(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルアミド(b3)等が挙げられる。他のビニルモノマーの構成比は、特に限定されないが、サイズ性能を確保する観点から、通常、全重合成分に対して10重量%程度以下とすることが好ましい。なお、(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル(b2)および(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルアミド(b3)は、各種無機酸または有機酸を加え、中和塩としたものや、さらには4級化したものを使用してもよい。
【0012】
本発明の製紙用表面サイズ剤に用いるカチオン性水溶性ポリマー(B)(以下、(B)成分という)およびカチオン性界面活性剤(C)(以下、(C)成分という)は、いずれも前記(A)成分等のビニルモノマーを乳化重合させ、安定な重合分散物とするために必要な乳化分散剤である。
【0013】
(B)成分は、ポリマー中にカチオン性官能基を含有する水溶性の合成高分子である。(B)成分としては、例えば、疎水性モノマー(b1)(以下、(b1)成分という)ならびに(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル(b2)(以下、(b2)成分という)および/または(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルアミド(b3)(以下、(b3)成分という)を含有する共重合体の全部または一部が4級化されたものが挙げられる。(b1)成分としては、前記(A)成分と同様のものが挙げられる。これらのうち、サイズ効果の点からスチレン類および/または非イオン性の(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。(b2)成分としては、一般式(1):CH=C(R)COOANR(但し、Rは水素またはメチル基を、Rはメチル基またはエチル基を、Aは炭素数2〜6のアルキレン基を示す)で表わされるモノマーが挙げられ、具体的には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートまたはジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(b3)成分としては、一般式(2):CH2=C(R)CONHANR(但し、Rは水素またはメチル基を、Rはメチル基またはエチル基を、Aは炭素数2〜6のアルキレン基を示す)で表示されるジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられ、具体的には、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。なお、本発明においては、(b2)成分および(b3)成分は、中和塩のモノマーを使用してもよい。これにより、後述する中和プロセスを省略することができる。
【0014】
(B)成分中の上記モノマー比としては安定した乳化分散性と高いサイズ効果を確保する観点から(b1):〔(b2)+(b3)〕=20〜90:80〜10重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜80:60〜20重量%である。
【0015】
なお、(B)成分としては、共重合体に疎水性を付与する(b1)成分と第3級アミノ基由来のカチオン性を付与する(b2)成分または(b3)成分のいずれかのみを共重合させて得られるものであっても、(b2)成分と(b3)成分を併用して共重合させて得られるものであってもよい。
また、本発明の目的を損なわない範囲で、(b1)〜(b3)成分と共重合可能な他のビニルモノマー成分を併用することもできる。他のビニルモノマー成分としては、上記(D)成分の調製の際に用いる他のビニルモノマーと同様のものや(メタ)アクリル酸などを挙げることができる。
【0016】
(b1)〜(b3)成分等の共重合反応は、適当な重合開始剤の存在下で、バルク重合、溶液重合等の各種公知の方法を適宜採用することができる。溶液重合を採用する場合には、溶媒としてベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類、n−プロピルアルコール、iso−プロピルアルコールなどのアルコール類等を使用することができる。重合開始剤の種類についても特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス−2,4−メチルバレロニトリルなどのアゾ化合物、また過酸化ベンゾイル、クメンハイドロパーオキシド、tert−ブチルハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイドなどの有機過酸化物、その他レドックス触媒系のものをいずれも使用することができる。また、重合に際しては、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン類、第2級アルコール類等の連鎖移動剤を用いることもできる。重合反応の条件としては、通常、反応温度70〜140℃程度、反応時間1〜10時間程度で行えばよい。
【0017】
こうして得られた(B)成分は、通常、重量平均分子量(ゲルパーメーションクロマトグラフ法によるポリスチレン換算値)が5000〜40000程度である。本発明においては、(B)成分は、水および塩酸、硫酸などの無機酸またはギ酸、酢酸、プロピオン酸などの有機酸を加えて中和塩のかたちで得る。(B)成分としては、共重合体中の(b2)成分および/または(b3)成分に由来する第3級アミノ基の全部または一部を4級化させることが好ましい。4級化は、共重合体のカチオン性を高め、安定なエマルジョンの形成とサイズ性能を向上させる。4級化の程度としては(B)成分の共重合体中に存在する(b2)成分および/または(b3)成分のアミノ基の少なくとも10モル%程度が好ましく、50〜100モル%程度であることがより好ましい。4級化に用いられる4級化剤としては公知のものを使用できる。代表的なものとしては塩化ベンジル、塩化メチル、硫酸ジメチル、グリシドール、エチレンクロルヒドリン、アリルクロライド、スチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはエピクロルヒドリンなどが挙げられる。4級化は、通常50〜90℃で1〜4時間保温することにより行えばよい。
【0018】
なお、(B)成分の製造方法としては、モノマー成分である(b2)成分および/または(b3)成分を予め4級化したモノマー成分を使用して共重合してもよい。この場合におけるモノマー成分の4級化の条件や共重合反応の条件は、前記と同様に行えばよい。
【0019】
また、(B)成分としては、スチレン−マレイン酸イミド樹脂(例えば、サートマージャパン社製SMAイミド樹脂(登録商標)として入手できる。)、ポリアミノポリアミド−エピクロルヒドリン樹脂、カチオン基含有(メタ)アクリルアミド系ポリマー、カチオン化澱粉なども使用することができる。
【0020】
(C)成分としては、4級アンモニウム基などのカチオン性官能基を有する低分子の界面活性剤であれば、特に限定することなく公知のものを使用することができるが、好ましくは、分子量が150〜1000である。(C)成分としては、例えば、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等が挙げられる。これらは、第一工業製薬株式会社製のカチオーゲンH、カチオーゲンL、花王株式会社製のコータミン24P、コータミン86Pコンク、コータミン60W、コータミン86Wとして入手できる。
【0021】
本発明の製紙用表面サイズ剤に用いる(D)成分は、前記(A)成分を含有するビニルモノマーを重合成分とし、乳化分散剤として(B)成分および/または(C)成分を含有する水性媒体中で、適当な重合開始剤の存在下に乳化重合させることにより製造することができる。
【0022】
乳化重合に使用する重合開始剤としては、特に限定されず公知のものを使用すればよい。重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩や水溶性アゾ化合物、その他レドックス触媒系のものなどのいずれを使用してもよい。また、重合に際しては、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン類、第2アルコール類等の連鎖移動剤を用いることもできる。乳化重合は、通常70〜100℃程度、反応時間は1〜10時間程度で行う。
【0023】
(A)成分と、(B)成分および/または(C)成分の使用比率は、(A)成分の疎水性によるサイズ効果と(B)成分および(C)成分が有する乳化分散性のバランスを考慮して適宜決定すればよいが、通常、重量比率(固形分換算)で(A):〔(B)+(C)〕=通常1:4〜4:1程度、好ましくは1:3〜3:1である。
【0024】
こうして得られた(D)成分は、通常、平均粒子径40〜240nm、好ましくは50〜200nmの微濁から白濁状の液体であり、pH4〜6、好ましくは4.5〜5.5の共重合体が水性媒体中に分散した分散物である。
【0025】
本発明の製紙用表面サイズ剤は、(D)成分とさらに水溶性アルミニウム系化合物(以下、(E)成分という)を含有することを特徴とするものである。
紙の製造において、水溶性アルミニウム化合物は内部添加法(紙が抄かれる前の紙料分散液に添加する方法)により表面サイズ剤が塗工される前の原紙に使用されるのが一般的である。本発明の(D)成分と水溶性アルミニウム化合物が同時に含有された表面サイズ剤を塗工した場合、定かではないがカチオン性同士のイオン反発により(D)成分中の疎水性成分の紙表面上での配向が制御され良好なサイズ効果が発現したと推定され、あらかじめ、(E)成分が紙中へ内部添加された場合からは全く予想もできない優れた効果が発現する。
【0026】
(E)成分としては、各種公知のものを使用できるが、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸珪酸アルミニウムを使用するのが好ましい。また、これらの例示したアルミニウム化合物は、単量体であっても重合体であってもよい。これらのなかでも、コスト面から硫酸アルミニウムが特に好ましい。
【0027】
本発明の製紙用表面サイズ剤に含まれる(D)成分と(E)成分の混合比率は、特に限定されないが、サイズ性能の観点から、固形分換算で、通常(D)/(E)=20/80〜80/20重量%の範囲とすることが好ましい。特に、(D)/(E)=40/60〜70/30重量%の範囲が好ましい。
【0028】
本発明の製紙用表面サイズ剤の製造は、(D)成分と(E)成分を適宜混合して行えばよいが、水性媒体に分散した(D)成分に、必要に応じ、無機酸、有機酸あるいは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリを添加し、(E)成分を混合し溶解させて、最終的にpHを2〜6の範囲のものとすることが好ましく、2〜4の範囲がより好ましい。また、必要に応じてキレート剤、防滑剤、滑剤、消泡剤等各種の添加剤を混合してもよい。
【0029】
こうして得られた製紙用表面サイズ剤は、そのまま単独で塗工に供することもできるが、水溶性高分子、消泡剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、増粘剤、pH調整剤、酸化防止剤、増膜助剤、顔料、染料と混合した塗工液として使用することもできる。水溶性高分子としては、酸化澱粉、リン酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、両性澱粉などの澱粉類、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース類、アクリルアミド系ポリマー、ポリビニルアルコール等が挙げられる。これらのなかでは、サイズ効果の観点からアニオン価が0.03meq/g(不揮発分1g当たりのミリ当量)以上の水溶性高分子が好ましい。アニオン価が0.03meq/g以上の水溶性高分子としては、酸化澱粉が最も好ましい。酸化澱粉とは、次亜塩素酸、過硫酸塩、過ヨウ素酸を用いて処理されたものである。塗工液のpHは、サイズ効果の観点から2〜6の範囲とすることが好ましく、2〜4とすることがより好ましい。
【0030】
本発明の製紙用表面サイズ剤およびこれを含有する表面サイズ剤塗工液が適用できる紙としては、板紙、新聞巻取紙、筆記用紙、壁紙、PPC用紙、インクジェット用紙、印刷用紙や、ライナーや中芯等の板紙等の各種のものが挙げられる。紙表面への塗工方法としては、公知の方式を採用できる。塗工方法としては、たとえば、含浸法、バーコーター法、カレンダー法、スプレー法、二本ロールサイズプレス等の方式、ゲートロールサイズプレス、シムサイズプレス等のフィルム転写方式等が挙げられる。また、製紙用表面塗工剤の塗工量は通常は0.01〜2g/m(固形分)程度、好ましくは0.04〜1g/mである。
【実施例】
【0031】
以下に実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら各例に限定されるものではない。なお、各例中、部および%は特記しない限りすべて重量基準である。
【0032】
カチオン性水溶性ポリマー(B)の合成
(合成例1)
撹拌機、冷却管、滴下ロート、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、スチレン70部、ジメチルアミノエチルメタクリレート30部、イソプロピルアルコール42.9部、および2,2′−アゾビスイソブチロニトリル2.5部を仕込み、窒素気流下に撹拌しながら80〜85℃で5時間重合反応を行った。ついで、酢酸11.5部と水300部とを加えた。しかるのち、得られた共重合体にエピクロルヒドリン17.7部を加えて80℃で2時間保温し共重合体を4級化してカチオン性共重合化合物とした後、さらに所定量の水を加えて固形分濃度を20%に調整し、カチオン性水溶性ポリマー(B1)を得た。得られたカチオン性水溶性ポリマー(B1)の25℃の粘度、pHを表1に示す。
なお、25℃の粘度は、225mlのマヨネーズ瓶にサンプルを入れ、25℃でB型粘度計を使用して、測定した(以下の例も同様である。)。
【0033】
(合成例2〜8)
合成例1において、合成に用いたモノマーの種類と使用量、4級化に用いたエピクロルヒドリンの使用量を表1に示すように変化させた他は、合成例1と同様にして反応を行ない固形分濃度20%の各種のカチオン性水溶性ポリマー(B2〜B8)を得た。得られたカチオン性水溶性ポリマー(B2〜B8)の25℃の粘度、pHを表1に示す。
【0034】
【表1】


表中の記号は以下のとおりである。
DMA:ジメチルアミノエチルメタクリレート、DMAA:ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、BA:ブチルアクリレート、MMA:メチルメタクリレート、ECH:エピクロルヒドリン
【0035】
(比較合成例1)アニオン性水溶性ポリマー(B´1)の合成
撹拌器、還流冷却管、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、窒素を導入しながら水100部及びイソプロピルアルコール75部を加え、撹拌しながら加熱し温度を80℃まで上昇させた。これにスチレン40部、アクリル酸ブチル20部及びアクリル酸40部を混合した単量体混合液と、過硫酸カリウム5部を水120部に溶解した重合開始剤溶液を3時間で全量滴下させた後に2時間熟成させ反応を完結させた。その後、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後28%アンモニア水溶液35.4部(アクリル酸に対して105モル%)を加え水で希釈し固形分濃度を20%に調整し、アニオン性水溶性ポリマー(B´1)を得た。得られたアニオン性水溶性ポリマー(B´1)の25℃の粘度、pHを表2に示す。
【0036】
(比較合成例2)アニオン性水溶性ポリマー(B´2)の合成
比較合成例1と同様のフラスコに、窒素を導入しながら無水マレイン酸48.5部及びトルエン100部を加え、撹拌しながら加熱し温度を105℃まで上昇させた。これにスチレン51.5部と、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート2部とトルエン50部を混合した重合開始剤溶液を2時間で全量滴下させた後に4時間熟成させ反応を完結させた。その後、トルエンを留去し、冷却後28%アンモニア水溶液63.1部を加え水に溶解し固形分濃度を20%に調整し、アニオン性水溶性ポリマー(B´2)を得た。得られたアニオン性水溶性ポリマー(B´2)の25℃の粘度およびpHを表2に示す。
【0037】
【表2】

表中の記号は以下のとおりである。
BA:ブチルアクリレート、AA:アクリル酸、MAn:無水マレイン酸
【0038】
製紙用表面サイズ剤の製造
(実施例1)
撹拌機、冷却管、滴下ロート、窒素導入管および温度計を備えたフラスコに、合成例1で得られたカチオン性水溶性ポリマー(B1)125部、疎水性モノマー(A)としてスチレン50部、イソブチルアクリレート50部、カチオン性界面活性剤(C)として花王株式会社製コータミン24P 11.1部(固形分として3部)および水340部を加え、2,2’−アゾビス−2−アミジノプロパン−塩酸塩2.5部を加えて反応温度70℃にて5時間重合反応を行った。しかるのち、所定量の水を加えて固形分を20%に調整し、白濁溶液を得た。この白濁溶液100gに対し、硫酸アルミニウムの20%水溶液100gを混合し、固形分濃度20%のエマルジョン型製紙用表面サイズ剤を得た。得られた製紙用表面サイズ剤の25℃の粘度、pH、平均粒子径を表3に示す。
【0039】
(実施例2〜実施例19)
実施例1において、重合体分散物(D)の構成モノマー成分、カチオン性水溶性ポリマー(B)、界面活性剤(C)および水溶性アルミニウム系化合物(E)の種類と使用量を表3に示すように変化させた他は、実施例1と同様にして反応を行ない、固形分濃度20%の各種の製紙用表面サイズ剤を得た。得られたエマルジョン型製紙用表面サイズ剤の25℃の粘度、pH、平均粒子径を表3に示す。
【0040】
(比較例1)
アルミ化合物(E)を混合しなかったこと以外は実施例と同様にして、固形分濃度20%の各種の製紙用表面サイズ剤を得た。得られた製紙用表面サイズ剤の25℃の粘度、pH、平均粒子径を表3に示す。
【0041】
(比較例2)
重合体分散物(D)の構成モノマー成分の重合を行わず、合成例1で得られたカチオン性水溶性ポリマー(B)100gに硫酸アルミニウム20%水溶液を混合して固形分濃度20%の非エマルジョン型の水溶性製紙用表面サイズ剤を得た。凝集が発生したため25℃の粘度とpHを測定することができなかった。
【0042】
また、(B)成分に代えて比較合成例1および2で合成したアニオン性ポリマー(B´)成分を用いて、以下に記載するアニオン性エマルジョン型製紙用表面サイズ剤の調製を試みたが、水溶性アルミニウム系化合物(E)を混合すると凝集が生じて重合分散物とすることができず、25℃の粘度とpH測定を行うことはできなかった。
【0043】
(比較例3)
実施例1と同様のフラスコに、窒素を導入しながらアニオン性ポリマー(B´1)の水溶液500部(固形分として100部)、スチレン40部、アクリル酸ブチル50部、及び水200部を混合した単量体乳化液を加え、撹拌しながら加熱し温度を45℃まで上昇させた。これに2、2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(和光純薬工業(株)社製 商品名V50)0.3部を水20部に溶解した重合開始剤水溶液を添加し、加熱及び発熱により温度を80℃まで上昇させ、その後、温度を80℃に保ち4時間熟成させ反応を完結させた。冷却後、水で希釈し固形分含有量が20%になるように調整し、25℃の粘度が400Pa・s、pH7.9の白濁溶液を得た。この白濁溶液100gに対し、硫酸アルミニウムの20%水溶液100gを混合したが、凝集物が多量発生し重合分散体は得られなかった。
【0044】
(比較例4)
比較例3において、アニオン性ポリマー(B´1)をアニオン性ポリマー(B´2)に変えた以外は、比較例3と同様にして固形分含有量が20%、25℃の粘度が120Pa・s、pH8.0の白濁溶液を得た。このエマルジョン100gに対し、硫酸アルミニウムの20%水溶液100gを混合したが、凝集物が多量発生し重合分散体は得られなかった。
【0045】
【表3】

表中の記号は以下のとおりである。
BA:ブチルアクリレート、IBA:イソブチルアクリレート、2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート、AN:アクリロニトリル、HEMA:ヒドロキシエチルメタクリレート、コータミン24P:花王株式会社製「コータミン24P」(ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド27%溶液)*1:使用量(%)は、重合体分散物(D)、すなわち共重合体、(B)成分および(C)成分の合計量に対する重量比(固形分換算)である。*2:使用量(%)は、重合体分散物(D)と水溶性アルミニウム系化合物(E)の合計量に対する重量比(固形分換算)である。
【0046】
(製紙用表面サイズ剤の性能試験)
上記実施例1〜19ならびに比較例1の各製紙用表面サイズ剤を用いて塗工液を調製し、以下の方法に従い中性上質原紙、酸性上質原紙および板紙に塗工して、それらの性能を試験した。結果を表4〜6に示す。なお、比較例2〜4は凝集が起こっていたために、性能試験を行わなかった。
【0047】
(塗工液の調液)
[塗工液1〜19および比較塗工液1]
塗工液1は、酸化デンプン(王子エースA 王子コーンスターチ株式会社製)を固形分濃度15%で糊化を行い、これを用いて固形分濃度で酸化デンプン5%、製紙用表面サイズ剤1を0.2%を含有する塗工液を調製し、性能試験に供した。塗工液2〜19および比較塗工液1も、それぞれの塗工液番号(比較塗工液番号)に対応する実施例番号(比較例番号)の製紙用表面サイズ剤を使用したこと以外は、塗工液1と同様にして、それぞれ調製した塗工液である。
【0048】
[塗工液20〜22]
塗工液20〜22は、いずれも、塗工液2の製紙用表面サイズ剤を使用した。塗工液20は、塗工液2に、さらに、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを5.9に調整した塗工液である。評価例21は、澱粉の種類をAPS変性澱粉(ファラジムT 松谷化学工業株式会社製を固形分濃度15%濃度にて適当量の過硫酸アンモニウム(APS)にて糊化変性処理した後、pHを6.0に調整した澱粉、以下、APS変性澱粉とは同様のものである。)に変更したこと以外は、塗工液2と同様にして調製した塗工液である。塗工液3は、澱粉の種類をカチオン化澱粉(王子エースK 王子コーンスターチ株式会社製、以下、カチオン化澱粉とは同様のものである。)に変更したこと以外は、評価例2と同様にして調製した塗工液である。
【0049】
[塗工液23〜25]
塗工液23〜25は、いずれも、塗工液18の製紙用表面サイズ剤を使用した。塗工液23は、塗工液18に、さらに、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを6.0に調整した塗工液である。塗工液24は、澱粉の種類をAPS変性澱粉に変更したこと以外は、塗工液18と同様にして調製した塗工液である。塗工液25は、澱粉の種類をカチオン化澱粉に変更したこと以外は、塗工液18と同様にして調製した塗工液である。
[比較塗工液2〜4]
比較塗工液2は、いずれも比較塗工液1の製紙用表面サイズ剤を使用した。比較塗工液2は、比較評価例1で得られた塗工液に、さらに、10%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを5.8に調整した塗工液である。比較評価例3は、澱粉の種類をAPS変性澱粉に変更したこと以外は、比較評価例1と同様にして調製した塗工液である。比較評価例4は、澱粉の種類をカチオン化澱粉に変更したこと以外は、評価例2と同様にして調製した塗工液である。
【0050】
(ステキヒトサイズ度)
JIS P−8122に準拠して、ステキヒトサイズ度(秒)を測定した。数値が大きいほど良好なサイズ度を表す。
【0051】
(インクジェット適性評価(フェザリング試験))
フェザリングの評価は、前記サイズ処理をした塗工紙に、キャノン(株)製インクジェットプリンターPIXUS iP4200を用いてモノクロで直交する線幅一定の直線を印字し、目視にて直線の外縁のにじみを目視評価することで行った。フェザリングの全くないものを6とし、インクがにじんでしまって線が全体的に太くなるものを1とした。
【0052】
(インクジェット適性評価(印字濃度試験))
インクジェット適性の評価は前記サイズ処理をした各印刷用紙に、キヤノン(株)製インクジェットプリンターPIXUS iP4200を用いてモノクロでベタ印刷した。次いで、反射濃度計(商品名「グレタグD186」、グレタグマクベス株)製)を用いて得られた印刷部位の濃度測定を行った。数値が大きいほど印字濃度が高いことを示す。
【0053】
(ペン書きサイズ度)
ペン書きサイズ度の評価は、J.Tappi No.12に準拠してペン書きサイズ度を測定した。インキにじみの全くないものを6とし、インクがにじんでしまって線が全体的に太くなるものを1とした。数値が大きいほど良好なサイズ度を表す。
【0054】
(吸水度試験〔コッブ法〕)
JIS P−8140に準拠して、コッブ値(g/m)を測定した。水との接触時間は2分間とし、数値が小さいほど良好なサイズ度を表す。
【0055】
(平均粒子径)
光散乱式粒径測定システム(商品名「PAR−III」、大塚電子(株)製)により測定した。
【0056】
(カチオン価及びアニオン価測定方法)
カチオン価はコロイド滴定により定量した。すなわち、糊化後の澱粉液を適当量採取しイオン交換水にて希釈し塩酸にてpH2.0とした後、トルイジンブルーを指示薬として1/400規定(N)のポリビニル硫酸カリウム溶液にて滴定し算出した。また、アニオン価もコロイド滴定により定量した。すなわち、糊化後の澱粉液を適当量採取しイオン交換水にて希釈し1/400規定(N)のポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド溶液を加えpH10以上としてトルイジンブルーを指示薬とし、1/400規定(N)のポリビニル硫酸カリウム溶液にて逆滴定し算出した。
【0057】
(pH)
ガラス電極pHメーター(HORIBA株式会社製)を用い、塗工液の温度を40℃に調整して測定した。
【0058】
(中性上質紙での評価)
下記配合のスラリーを用いて坪量70g/m2の中性紙をpH7.2で抄造した。
スラリーの配合:L−BKP(360mlCSF)65部、N−BKP(420mlCSF)35 部、炭酸カルシウム(タマパール121 奥多摩工業株式会社製)10部、中性ロジンサイズ剤(サイズパインNT−78 荒川化学工業株式会社製)0.2部、硫酸アルミニウム1部、カチオン化デンプン(Cato 3210 日本NSC社製)1部、歩留まり向上剤(ポリテンション1000 荒川化学工業株式会社製)0.03部
得られた原紙に、各塗工液をラボサイズプレス塗工機を用いて塗工した後、105℃の回転式ドラムドライヤーに1分間通して乾燥させて塗工紙を得、それらのステキヒトサイズ度、インクジェット適性(フェザリング特性)を測定した。結果を表4に示す。
【0059】
【表4】

【0060】
(酸性上質紙での評価)
下記配合のスラリーを用いて坪量80g/m2の中性紙をpH4.7で抄造した。
スラリーの配合:L−BKP(350mlCSF)60部、N−BKP(400mlCSF)40 部、タルク(イライト 日本タルク株式会社製)20部、ロジンエマルジョンサイズ剤(サイズパインN−773 荒川化学工業株式会社製)0.2部、硫酸アルミニウム2.5部、歩留まり向上剤(ポリテンション1000 荒川化学工業株式会社製)0.03部
得られた原紙に、各塗工液をラボサイズプレス塗工機を用いて塗工した後、105℃の回転式ドラムドライヤーに1分間通して乾燥させて塗工紙を得、それらのステキヒトサイズ度、ペン書きサイズ度を測定した。結果を表5に示す。
【表5】



【0061】
(板紙での評価)
原紙として坪量160g/m2の板紙原紙を使用した。
原紙に、調整した塗工液をラボサイズプレス塗工機を用いて塗工した後、105℃の回転式ドラムドライヤーに1分間通して乾燥させて塗工紙を得、それらの吸水度(コッブ法)を測定した。結果を表6に示す。
【0062】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
疎水性モノマー(A)を含有するビニルモノマーを、カチオン性水溶性ポリマー(B)および/またはカチオン性界面活性剤(C)の存在下で重合して得られた重合体分散物(D)ならびに水溶性アルミニウム系化合物(E)を含有するエマルジョン型製紙用表面サイズ剤。
【請求項2】
疎水性モノマー(A)がスチレン類、非イオン性の(メタ)アクリル酸エステル類および(メタ)アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項3】
カチオン性水溶性ポリマー(B)が、疎水性モノマー(b1)ならびに(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル(b2)および/または(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルアミド(b3)を(b1):〔(b2)+(b3)〕=20〜90:80〜10重量%の比率で含有し、かつ前記(b2)および(b3)に由来するアミノ基の全部または一部が4級化されている構造を有する共重合体である請求項1または2に記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項4】
疎水性モノマー(b1)がスチレン類および/または非イオン性の(メタ)アクリル酸エステル類である請求項1〜3のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項5】
(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル(b2)および/または(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルアミド(b3)に由来するアミノ基の少なくとも10モル%が4級化されている請求項1〜4のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項6】
(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル(b2)および/または(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルアミド(b3)に由来するアミノ基が塩化ベンジル、塩化メチル、硫酸ジメチル、グリシドールおよびエピクロロヒドリンからなる群より選ばれる少なくとも一種を用いて4級化されたものである請求項5に記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項7】
カチオン性界面活性剤(C)の分子量が150〜1000以下である請求項1〜6のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項8】
水溶性アルミニウム系化合物(E)が、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、塩基性硫酸アルミニウム、塩基性塩化アルミニウム、硫酸硅酸アルミニウムおよびそれらの重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜7のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項9】
重合体分散物(D)と水溶性アルミニウム系化合物(E)の混合比率(固形物換算)が、(D)/(E)=20/80〜80/20重量%である請求項1〜8のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項10】
疎水性モノマー(A)とカチオン性水溶性ポリマー(B)および/またはカチオン性界面活性剤(C)との使用比率(固形物換算)が重量比で、(A):〔(B)+(C)〕=1:4〜4:1である請求項1〜9のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤と水溶性高分子を含有し、pHが2〜4である塗工液。
【請求項12】
水溶性高分子のアニオン価が0.03meq/g以上である請求項11記載の塗工液。
【請求項13】
水溶性高分子が、酸化澱粉である請求項11または12記載の塗工液。
【請求項14】
請求項1〜10のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤または請求項11〜13のいずれかに記載の塗工液を塗工して得られる紙。


【公開番号】特開2010−196237(P2010−196237A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296639(P2009−296639)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000168414)荒川化学工業株式会社 (301)
【Fターム(参考)】