説明

複合構造部材を連結する方法及び装置と、該方法及び装置によって作製された構造部材

【課題】複合スプライス部材の使用を可能にする、例えばストリンガー、スパー、及びフレーム部分等の構造部材を連結する方法及び装置が必要である。また、複合スプライス部材によって相互に連結する複合部分からできた複合構造部材も必要である。
【解決手段】複合構造部材は、第1及び第2複合部分と重なり合う複合スプライス部材によって互いに接合される第1及び第2複合部分を含む。本発明の実施形態は、オートクレーブ内で接着剤を硬化させる必要なしに、局所において比較的大きな複合構造部材の構造接着を行う方法及び装置を提供する。接着ジョイントに局所的に加熱及び加圧する能力によって、複合スプライス部材の使用が可能になり、締め具の必要性を除去できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して複合構造に関し、更に具体的には、接着スプライスを使用して複合部分を互いに連結させる方法及び装置だけでなく、該方法及び装置によって作製された構造部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
比較的長い複合構造部材を製造するために、しばしばスプライスジョイントを使用して複合部分を互いに連結させる。例えば、航空業界においては、金属製スプライス部材及び締め具を使用して、2つ以上の長い複合部分を互いに連結させることにより、比較的長い翼ストリンガー、スパー、フレーム、及び他の複雑な複合形状を形成することができる。しかしながら、金属製スプライス部材は組立てに関わる複数の理由から望ましくないと言える。
【0003】
複合スプライス部材を使用して複合構造部材を連結させることは可能であり得る。しかしながら、市販のオートクレーブが例えば翼ストリンガー、スパー、及びフレーム等の比較的長いパーツの長さを収容できるほど十分に大きくない可能性があるため、長い複合部分の間に複合スプライスジョイントを形成することは、実用的でないと言える。
【0004】
したがって、複合スプライス部材の使用を可能にする、例えばストリンガー、スパー、及びフレーム部分等の構造部材を連結する方法及び装置が必要である。また、複合スプライス部材によって相互に連結される複合部分からできた複合構造部材も必要である。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、オートクレーブ内で接着剤を硬化させる必要なしに、局所において比較的大きな複合構造部材の構造接着を行う方法及び装置を提供する。接着ジョイントに局所的に加熱及び加圧する能力によって、複合スプライス部材の使用が可能になり、締め具の必要性を除去できる。
【0006】
本発明の一実施形態によると、複合構造部材は第1複合部分及び第2複合部分を含む。複合スプライス部材は少なくとも部分的に重なって、第1及び第2部分を互いに接合させる。スプライス部材は、V字形状の断面を有する第1及び第2複合部分の間のジョイントを形成する。複合部分は、限定しないが、C字形状、Z字形状、J字形状、T字形状、I字形状及び帽子形の断面を含む複雑な形状を有することができる。
【0007】
本発明の方法の一実施形態によると、複合構造部材の製造には、第1及び第2複合部分の形成が含まれる。複合スプライス部材が形成され、第1及び第2複合部分の間のスプライスジョイントを形成する。スプライス部材は第1及び第2複合部分に接着される。スプライス部材の接着には、プレス機を使用してジョイントに局所的に熱及び圧力を加えることを含むことができる。接着は、膨張式加圧空気袋を使用して、ジョイントを加熱しながら、プレス機内部でジョイントに圧力をかけることによって行うことができる。
【0008】
別の実施形態によると、複合パーツを硬化する装置は、開いたパーツ挿入位置と閉じたパーツ硬化位置との間で相対的に移動可能な第1プラットフォーム及び第2プラットフォーム;パーツを当接させて圧力をかけることができるツールを備えている。このツールは第1プラットフォームによって支持されている。少なくとも第1空気袋は、パーツをツールに当接させて圧力をかけるために加圧され第2プラットフォームによって支持されるよう構成されている。ツールを加熱するための手段が提供されている。第1及び第2プラットフォームは別々に移動可能である。
【0009】
本発明の更に別の実施形態によると、複合構造部材の複合部分を連結させるための装置が提供されている。本装置は、複合スプライス部材を、2つの細長い複合部分の隣接する端部間のジョイント上に接着させる接着機と、複合部分の端部と端部を合わせた形で支持する、接着機の反対側にあるジグを含む。
【0010】
本方法の更に別の実施形態によると、2つの細長い複合部分の連結は、複合部分を位置合わせした、端部と端部を合わせた形に支持するステップを含む。複合部分の隣接した端部をプレス機内部に挿入する。未硬化のスプライス部材を複合部分の隣接した端部上に配置することによって複合部分の間にジョイントが形成される。プレス機を閉めて、プレス機を使用してジョイントを加熱及び加圧することにより、複合部分の端部にスプライス部材を接着させる。
【0011】
別の実施形態によると、パーツを形成する加熱ツールアセンブリは、パーツをその間で形成することができる第1ツール及び第2ツールを備えている。媒質を加熱するヒーター、加熱された媒質に吹き付けるブロワー、加熱された媒質を第1ツール上で方向付けするための複数のノズル、及びブロワーとノズルの間に係合されたプレナムを含む、第1ツールを加熱する手段が提供されている。
【0012】
実施形態1 第1複合部分と、
第2複合部分と、
少なくとも部分的に重なり合い、第1及び第2複合部分を相互に接合させる複合スプライス部材
を備える、複合構造部材。
実施形態2 第1及び第2複合部分のそれぞれが、
C字形状、
Z字形状、
J字形状、
T字形状、
I字形状、及び
帽子形
から成るグループから選択された形状の断面を有する、実施形態1の複合構造。
【0013】
実施形態3 スプライス部材が、スプライス部材の断面に対して横方向に延びたほぼV字形状の長手部分を含む、実施形態2の複合構造。
実施形態4 第1および第2複合部分が、違う方向に延びて、ある角度をなしており、
複合スプライス部材が、それぞれ重なり合い且つ第1及び第2複合部分に連結された第1及び第2部分を含む、
実施形態1の複合構造。
【0014】
実施形態5 複合スプライス部材が、第1及び第2複合部分の間にほぼV字形状のジョイントを形成する、実施形態1の複合構造。
実施形態6 ほぼV字形状のジョイントが、
複合スプライス部材と第1複合部分との間の第1スカーフジョイントと、
複合スプライス部材と第2複合部分との間の第2スカーフジョイント
を含む、実施形態5の複合構造。
【0015】
実施形態7 第1及び第2複合部分が、航空機の連続スパー、連続梁、連続ストリンガー、又は連続フレームのうちの一つを形成し、
スプライス部材が第1及び第2複合部分に接着されている、
実施形態1の複合構造。
実施形態8 実施形態1の複合構造部材を含む機体を備える航空機。
【0016】
実施形態9 複合構造部材を翼アセンブリ内に挿入組立てし、翼アセンブリが機体の一構造要素を形成するステップを含む、実施形態8の機体を製造する方法。
実施形態10 請求項1による少なくとも一つの複合構造部材で航空機を組み立てるステップを含む、実施形態8の航空機を製造する方法。
【0017】
実施形態11 第1及び第2複合部分が、
スパー、
梁、
ストリンガー、及び
フレーム
から成るグループから選択される連続パーツを形成する、実施形態1の複合構造。
実施形態12 連続パーツが、
C字形状、
Z字形状、
J字形状、
T字形状、
I字形状、及び
帽子形
から成るグループから選択された形状の断面を有する、実施形態11の複合構造。
【0018】
実施形態13 第1複合部分を形成し、
第2複合部分を形成し、
複合スプライス部材を形成し、
複合スプライス部材を第1及び第2複合部分に接着して、第1及び第2複合部分の間にスプライスジョイントを形成するステップ
を含む、複合構造部材を作製する方法。
実施形態14 第1複合部分を形成するステップが、複合材料の第1積層体を形成し、第1積層体を硬化させるステップを含み、
第2複合部分を形成するステップが、複合材料の第2積層体を形成し、第2積層体を硬化させるステップを含み、
複合スプライス部材を形成するステップが、複合材料の第3積層体を形成するステップを含み、
スプライス部材を接着するステップが、第3積層体を第1及び第2複合部分の上に置き、第3積層体を硬化させるステップを含む、
実施形態13の方法。
【0019】
実施形態15 スプライス部材を接着するステップが、プレス機を使ってジョイントを局所的に加熱及び加圧するステップを含む、実施形態13の方法。
実施形態16 第1積層体を形成するステップが、第1積層体の縁に沿って第1傾斜部を形成するステップを含み、
第2積層体を形成するステップが、第2積層体の縁に沿って第2傾斜部を形成するステップを含み、
第3積層体を形成するステップが、第3積層体が第1及び第2複合部分上に配置されたときに、第1及び第2傾斜部にそれぞれ重なり合うように第3及び第4傾斜部を形成するステップを含む、
実施形態14の方法。
【0020】
実施形態17 スプライス部材を接着するステップが、
マンドレルを準備し、
マンドレルの上にジョイントを配置し、
ジョイントの上に真空バッグを配置し、
真空バッグを使用してジョイントに圧力をかける
ステップを含む、実施形態13の方法。
実施形態18 スプライス部材を接着するステップが、
加圧空気袋を使用してジョイントを加圧し、
空気袋によってジョイントを加圧しながらジョイントを加熱する
ステップを含む、実施形態13の方法。
【0021】
実施形態19 空気袋を使用して加圧するステップが、プレス機内部で行われる、実施形態18の方法。
実施形態20 実施形態13の方法で作られた複合構造部材。
【0022】
実施形態21 第1及び第2複合部分のそれぞれが、
C字形状、
Z字形状、
J字形状、
T字形状、
I字形状、及び
帽子形
から成るグループから選択された形状の断面を有する、実施形態13の方法によって作製される複合構造部材。
実施形態22 それぞれの複合部分が、
スパー、
梁、
ストリンガー、及び
フレーム
から成るグループから選択されるうちの一つである、実施形態13の方法。
【0023】
実施形態23 開いた位置と閉じた位置の間で相対的に移動可能な第1プラットフォーム及び第2プラットフォームと、
パーツを当接させて圧力をかけることができ、且つ第1プラットフォームによって支持されるツールと、
加圧され、パーツをツールに当接させて圧力をかけるために第2プラットフォームによって支持されるように構成された少なくとも一つの第1空気袋と、
ツールを加熱する手段
を備える、複合パーツを硬化させる装置。
実施形態24 第1及び第2プラットフォームのそれぞれが移動可能である、実施形態23の装置。
【0024】
実施形態25 パーツに向かって、及びパーツから離れるようにほぼ水平の直線運動を行うために、第1プラットフォーム上にツールを取り付ける第1手段と、
パーツに向かって、及びパーツから離れるように直線運動を行うために、第2プラットフォーム上に第1空気袋を取り付ける第2手段
をさらに備える、実施形態23の装置。
実施形態26 第2プラットフォーム上に取り外し可能に取り付けられたフレームを更に備え、
第1空気袋がフレームに取付けられ、フレームに沿って第2プラットフォームから取り外し可能である、
実施形態23の装置。
【0025】
実施形態27 加熱手段が、
ツールを加熱するために第1プラットフォーム上に取り付けられた第1加熱システムと、
パーツを加熱するために第2プラットフォーム上に取り付けられた第2加熱システム
を含む、実施形態23の装置。
実施形態28 第1加熱システムが、
熱源と、
ブロワーと、
加熱された媒質を送るためにブロワーと熱源に係合されたダクトと、
加熱された媒質をツール上に方向付けするためにダクトに係合されたノズル
を備える、実施形態27の装置。
【0026】
実施形態29 ツールを加熱する手段が、空気袋を囲む断熱材を含む、実施形態23の装置。
実施形態30 ダクトが、加熱された媒質をツールから離れるように送る再循環媒質ダクトを含み、
第1加熱システムが、
冷却媒質供給源と、
冷却媒質をツールに選択的に送ってパーツを冷却するために、再循環媒質ダクトと、冷却媒質供給源に係合された弁
をさらに含む、実施形態28の装置。
【0027】
実施形態31 媒質が
空気、及び
オイル
のうちの一つである、実施形態28の装置。
実施形態32 複合スプライス部材を、2つの複合部分の隣接する端部の間のジョイントに接着させる接着機と、
複合部分を端部と端部を合わせた形で支持するための、接着機の反対側にあるジグ
を備える、複合構造部材の細長い複合部分を接合させる装置。
【0028】
実施形態33 接着機が、マンドレルと、接着機内部において複合部分の端部を所望の配置に維持するために、マンドレルを複合部分に接続させる配置ピンを含む、実施形態32の装置。
実施形態34 ジグが、複合部分をその長さに沿って支持し、スプライス部材が複合部分の間のジョイント上に接着されるときに、複合部分を所望の配置に維持するように構成されている、実施形態32の装置。
【0029】
実施形態35 接着機が、
スプライス部材を硬化させるために、ジョイントを加熱する手段と、
硬化中に動かないように複合部分を保持する手段
を備える、実施形態32の装置。
実施形態36 複合部分を保持する手段が、ジョイントをまたがり、複合部分の隣接する端部を相互に締め付けする一対のプレートを含む、実施形態35の装置。
【0030】
実施形態37 複合部分を、整列した、端部と端部を合わせた形に支持し、
複合部分の隣接した端部をプレス機内に挿入し、
未硬化のスプライス部材を複合部分の隣接した端部の上に置くことにより、複合部分間にジョイントを形成し、
プレス機を閉じ、
プレス機を使用してジョイントを局所的に加熱及び加圧することにより、複合部分の端部にスプライス部材を接着させる
ステップを含む、2つの細長い複合部分を連結する方法。
実施形態38 複合部分を支持するステップが、
ジグをプレス機の反対側に位置づけし、
スプライス部材が複合部分の端部に接着されている間に、複合部分をジグ内に保持する
ステップを含む、実施形態37の方法。
【0031】
実施形態39 スプライス部材を接着するステップが、
スプライス部材の上に真空バッグを置き、
真空バッグに真空をかけることによってスプライス部材を加圧する
ステップを含む、実施形態38の方法。
実施形態40 スプライス部材を接着するステップが、
加圧空気袋をプレス機内のスプライス部材と真空バッグ上に位置づけし、
空気袋を加圧することにより、スプライス部材に圧力をかける
ステップを含む、実施形態37の方法。
【0032】
実施形態41 ジョイントを形成するステップが、スプライス部材と複合部分の端部をマンドレル上に置くステップを含み、
ジョイントを加熱するステップが、高温の媒質をマンドレル上に方向付けするステップを含む、
実施形態37の方法。
実施形態42 ジョイントを加熱するステップが、
マンドレル上に方向付けされた媒質を再循環させ、
媒質が再循環している間に媒質を加熱する
ステップを含む、実施形態41の方法。
【0033】
実施形態43 複合部分が、
床梁、
スパー、
フレーム、並びに、
ストリンガー
のうちの一つを形成する、実施形態37の方法。
実施形態44 その間でパーツを形成することができる第1ツール及び第2ツールと、
第1ツールを加熱する手段であって、
媒質を加熱するためのヒーターと、
加熱された媒質を吹き付けるブロワーと、
加熱された媒質を第1ツール上に方向付けするための複数のノズルと、
ブロワー及びノズルの間に係合されたプレナム
を備える手段
を備える、パーツを形成するための加熱されたツールアセンブリ。
【0034】
実施形態45 プレナムが、媒質流入口と、第1ツール上の異なった区域に媒質を方向付けするように空間的に構成された複数の媒質流出口を有するマニホルドを備える、実施形態44の加熱されたツールアセンブリ。
実施形態46 各ノズルが、加熱された媒質がこれを通って第1ツール上に流れることができる穿孔要素を備える、実施形態44の加熱されたツールアセンブリ。
【0035】
実施形態47 第1ツールがほぼ空洞の側面を有するマンドレルであり、
ノズルが、マンドレルの空洞の側面内に延びている、
実施形態44の加熱されたツールアセンブリ。
実施形態48 第2ツールが、
パーツを形成するためのツール表面と、
ツール表面から熱が逃げるのを抑えるための断熱材
を備える、実施形態44の加熱されたツールアセンブリ。
【0036】
実施形態49 第1硬化複合スパー部分を形成し、
第2硬化複合スパー部分を形成し、
第1及び第2スパー部分を、整列した、端部と端部を合わせた形に保持し、
未硬化の複合スプライス部材を、整列したスパー部分の端部間のジョイント上に挿入し、整列したスパー部分の端部とスプライス部材をプレス機内に挿入し、
スプライス部材の上に真空バッグを置き、
プレス機を閉じ、
真空バッグに真空をかけ、
加圧空気袋を使用してスプライス部材を加圧して、スプライス部材をツールに当接して押し付け、
ツールとスプライス部材を加熱してスプライス部材を硬化させ、
スプライス部材が硬化された後でプレス機を開け、
プレス機から連続翼スパーを取り出す
ステップを含む、複合部分を接合して連続翼スパーを作製する方法。
実施形態50 第1硬化複合ストリンガー部分を形成し、
第2硬化複合ストリンガー部分を形成し、
第1及び第2ストリンガー部分を、整列した、端部と端部を合わせた形に保持し、
未硬化の複合スプライス部材を、整列したストリンガー部分の端部間のジョイント上に挿入し、
整列したストリンガー部分の端部とスプライス部材をプレス機内に挿入し、
スプライス部材の上に真空バッグを置き、
プレス機を閉じ、
真空バッグに真空をかけ、
加圧空気袋を使用してスプライス部材を加圧して、スプライス部材をツールに当接して押し付け、
ツールとスプライス部材を加熱してスプライス部材を硬化させ、
スプライス部材が硬化された後でプレス機を開け、
プレス機から連続複合ストリンガーを取り出す
ステップを含む、複合部分を接合して連続複合ストリンガーを作製する方法。
【0037】
実施形態51 ツールタワーと、
ツールと、
ツールをツールタワー上に取り外し可能に取り付ける手段と、
ツールを加熱及び冷却するためのツールタワー上のモジュール式加熱及び冷却システムと、
加圧タワーと、
加圧タワー上の加圧空気袋と、
加圧空気袋を加圧して、フレーム部分の端部間のスプライスジョイントに圧力を印加する手段と、
相互に向かう及び相互から離れる動きを行うために、ツールタワーと加圧タワーを取り付ける手段と、
接合作業中にツールタワーと加圧タワーを互いに固定する固定システムと、
フレーム部分を、整列した、端部と端部を合わせた形に支持し、スプライスジョイントをツールと加圧空気袋の間に保持するジグ
を備える、複合フレーム部分を接合させて連続複合フレームを形成する装置。
【0038】
本発明の実施形態により、金属製スプライスプレートの必要性を除去し、接着されたジョイントをオートクレーブ内部で硬化させる必要のない、2つの複合部分間に構造的接着を形成する方法及び装置の必要が満たされる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は複合部分を連結して連続構造部材を形成する装置の広範のブロック図である。
【図2】図2は図1に示す2つの複合部分間のスプライスジョイントの正面図である。
【図3】図3は図2の線3−3に沿って切り取った断面図である。
【図4】図4は図2の線4−4に沿って切り取った断面図である。
【図5】図5は他のタイプの構造部材の形状を示す断面図である。
【図6】図6は他のタイプの構造部材の形状を示す断面図である。
【図7】図7は他のタイプの構造部材の形状を示す断面図である。
【図8】図8は他のタイプの構造部材の形状を示す断面図である。
【図9】図9は他のタイプの構造部材の形状を示す断面図である。
【図10】図10は図3において「B」で指定される領域の断面図である。
【図11】図11は複合部分を構造的に接着する方法を示す簡略化したフロー図である。
【図12】図12は複合部分を構造的に接着する装置において使用される制御システムを示すブロック図である。
【図13】図13は複合部分を構造的に接着する装置の機能ブロック図である。
【図14】図14は開いた位置にある接着機のブロック図である。
【図15】図15は図14に示す接着機の斜視図である。
【図16】図16は閉じた位置にある接着機を示す別のブロック図である。
【図17】図17は加圧空気袋のブロック図である。
【図18】図18は接着機への真空バッグとスプライス部材の取り付けを示すブロック図である。
【図19】図19は硬化プロセス中に複合部分を保持するのに使用される一対のホールドダウンプレートを示すブロック図である。
【図20】図20はマンドレルと空気袋を加熱するのに使用される加熱システムを示すブロック概略図である。
【図21】図21は接着機の一部を形成する制御システムの構成要素を示すブロック図である。
【図22】図22はツールタワーの代替形態を示す図であり、モジュール式の加熱/冷却システムを図示している。
【図23】図23は図22に示すモジュール式加熱/冷却システムの追加の構成要素を示すブロック図である。
【図24】図24はマンドレルアセンブリとモジュール式加熱及び冷却システムの間の接続部を示すブロック図である。
【図25】図25はモジュール式加熱及び冷却システムの一部を形成する誘導弁のブロック図であり、ここで弁は加熱モードに切り替えられている。
【図26】図26は図25と同様のブロック図であるが、弁が冷却モードに切り替えられた状態を示している。
【図27】図27はマンドレルアセンブリの構成要素を示すブロック図である。
【図28】図28はマンドレルアセンブリの追加の構成要素を示す別のブロック図である。
【図29】図29はスパー部分の指標として役立つマンドレルの詳細を示すブロック図である。
【図30】図30はマンドレル運搬装置のブロック図である。
【図31】図31はマンドレルアセンブリの構成要素とマンドレル基部との関係を示すブロック図である。
【図32】図32は空気袋とシュラウドアセンブリのブロック図である。
【図33】図33は取り外し可能な空気袋及びフレームを示すブロック図である。
【図34】図34は双数の加圧空気袋のブロック図である。
【図35】図35は複合部分に圧力をかけるための加圧空気袋を示すブロック図である。
【図36】図36は硬化中に複合部分を適所に保持するのに役立つフレームの代替形態を示すブロック図である。
【図37】図37はツールプラットフォームと関連する移動可能な加圧シュラウドカートを示すブロック図である。
【図38】図38は引き込み位置にあるツールプラットフォームを示すブロック図である。
【図39】図39は図38と同様の図であるが、前方位置に移動したツールプラットフォームと、マンドレル運搬装置の取り外し準備のために加熱/冷却システムとの接続を解除したマンドレルアセンブリを示している。
【図40】図40は航空機製造及び点検手順のフロー図である。
【図41】図41は航空機のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、たとえば複合部分104a、104b、104c等の細長い複合部分を連結して、例えばこれらに限定しないが、ストリンガー、スパー、またはフレーム等の連続構造部材104を形成するのに使用できる通常の製造セル208を示している。少なくとも第1複合部分104(a)及び第2複合部分104(b)は、スプライスジョイント110を形成する構造接着を使用して、端部と端部を合わせた形で連結される。複合部分104〜104cは複数の整列した接着アセンブリジグ184によって支持することができる。接着アセンブリジグ184は整列した形で複合部分104a〜104cを支持すると同時に、接着ステーション210、212にそれぞれ位置する接着機186の中へ、複合部分104a〜104cをその縦軸265に沿って引き込むことを可能にする。接着ステーション210、212は、スプライスジョイント110が接着される構造部材104の長さに沿って位置している。
【0041】
図2〜4を参照すると、本発明の実施形態によれば、構造部材104は例えば複合部分104a、104b、及び104c等の複数の複数部分を、端部と端部を合わせた形でスプライスジョイント110を使って連結することにより形成することができる。図3は、ある特定の構造部材104の上面図であり、ここでは、第1及び第2複合部分104a、104bがそれぞれたがいにスプライスジョイント110において連結され「ねじれ」を形成するか、または「A」を表す角度を形成している。各複合部分104a〜104cは、任意のさまざまな断面形状を有する硬化した複合積層体を含むことができるが、下に説明するように、実施形態を示すのに選択された複合部分104a〜104cは図4に示すようなC字形状の断面を有している。
【0042】
ここで注記すべきは、図面において特定の構造部材104を図示しているが、本発明の実施形態は、複合スプライスジョイント110を使用して複合部分をたがいに接着させることにより任意の幅広い種類の細長い構造部材を形成するのに採用することができる。例えば、これらに限定しないが、本発明の実施形態は複合部分、特に細長い部分を接合して、例えば、複合床梁、フレーム、ストリンガーを形成するのに使用することができる。さらに、構造部材は、限定しないが、図5に示すZ字形状、図6に示すT字形状、図7に示すJ字形状、図8に示す帽子形状、又は図9に示すI形状を含む任意の幅広い範囲の断面形状を有することができる。
【0043】
ここで図2と3を参照すると、隣接する第1及び第2複合部分104a、104bを、複合部分104a、104bの断面形状に対応する、ほぼC字形状の断面を有する、図4から良くわかる複合スプライス部材112を使用して互いに接着させることができる。スプライス部材112は、ウェブ112cによって接続された最上部及び最下部フランジ112a、112bを含む。このスプライス部材は図示した実施例において一体型の構造体として示されているが、スプライス部材112はある応用形態では2つ以上の部分または区画を含むことができる。複合部分104a、104bは非常に小さい角度「A」(図3)を形成し、このスプライス部材112は図2に示すように2つの隣接する部分114を含み、これら2つの隣接する部分114によって、角度「A」とほぼ等しい角度が形成される。図9から良く分かるように、スプライス部材112は、隣接する複合部分104a、104bとともに、重なり合ったスカーフ型ジョイント110を形成している。しかしながらここで注記すべきことは、スカーフジョイントが図示されているが、他のタイプのジョイントを使用して、例えば限定しないが、ラップジョイント、ステップラップジョイント、テーブルスプライスジョイント等を含むスプライスジョイント112を形成することができる。
【0044】
ここで図10を参照すると、複合部分104a、104bはそれぞれ、例えばカーボン繊維エポキシ樹脂等の繊維強化ポリマー樹脂の複数の積層体(図示せず)を含むことができ、これら積層体の外端部117は、テーパー型又は傾斜した形状を形成する層が減少する部分(図示せず)を含んでいる。同様に、スプライス部材112は、複合部分104a、104bの積層体に合わせてそれぞれ配置することができる、繊維強化ポリマー樹脂の複数の積層体(図示せず)で形成することができる。スプライス部材112は、ほぼV字形状の断面を有し、この断面により、重なり合った、複合部分104a、104bの外側の隣接する端部上の対応するテーパー型縁部117に接着された、傾いた又は傾斜した表面116を画定して、スプライスジョイント110を形成する。前述したように、スプライスジョイント110を図示したが、応用形態により他のスプライス構成も可能であり得る。
【0045】
ここで、複合部分104a〜104cを構造的に接着する方法のステップをおおまかに図示する図11に注目する。ステップ126で開始し、複合部分104a〜104cを適切なツール(図示せず)上に積層し、通常オートクレーブ(図示せず)内で加熱及び加圧することによって、ステップ128において個別に硬化する。次にステップ130において、接着機186(図1)を開けて例えば第1及び第2複合部分104a、104b等の2つの隣接する複合部分の端部を受ける準備をする。
【0046】
ステップ132において、第1及び第2複合部分104a、104bを接着アセンブリジグ184(BAJ)(図1参照)の中に取り付けて、相対的に配置される。次にステップ134において、複合部分104a、104bの端部を接着機186の中に引き込む。ステップ124においてスプライス部材112をツール(図示せず)上に積層して形成した後に、スプライス部材112はステップ138で示すように、スプライスジョイント110の複合部分104a、104b上に配置及び設置される。
【0047】
ステップ140において、真空バッグをスプライス部材112を含むスプライス領域上に設置して、次にステップ142において、接着機186を閉じることができる。未完成(未硬化)のスプライス部材112を次に、ステップ144に示す一連のステップによって複合部分104a、104bの端部に接着する。ステップ146で開始して、真空バッグに真空をかけて、スプライス部材112の積層体を部分的に強化する。次にステップ148において、バッグ型の加圧空気袋(後に説明する)を加圧して、スプライス部材112と複合部分104a、104bをマンドレル194(図13)に当接させて圧力をかけることにより、スプライス部材112の積層体をさらに強化する。
【0048】
この時点で、ステップ150において熱サイクルが開始され、この熱サイクルでは、複合部分104a、104bとスプライス部材112が局所的に加熱されて未硬化のスプライス部材112を硬化させることにより、スプライス部材112を複合部分104a、104bに接着してスプライスジョイント110を形成する。最後にステップ152において、スプライス部材112を冷却し、次にステップ154において接着機186を開けることができる。ステップ156では、真空バッグを取り外して次にステップ158に示すように、必要に応じてスプライス部材112を調整する。こうして得られた接着されたスプライスジョイント110の非破壊検査(NDI)をステップ160において行うことができ、次に構造部材104を接着アセンブリジグ184から取り外すことができる。応用形態によっては、完成した構造部材104をステップ164においてを塗装し密閉することができる。ここで注記すべきことは、ステップ158〜164を任意の所望の順番に実施することが可能であることである。
【0049】
図11に関連して上述した方法の実施形態においては、複合部分104(a)、104(b)は、未硬化のスプライス部材112がスプライスジョイント110に適用される前に硬化される。しかしながら他の実施形態においては、複合部分104(a)、104(b)の一部のみを、未硬化のスプライス部材112がスプライスジョイント110に適用される前に硬化することが可能である。例えば、図2に示すように、スプライス部材112全域にわたる複合部分104(a)、104(b)の一部115は、スプライス部材212がジョイント110に適用される際に、未硬化のまたは部分的に硬化された(「段階的な」)状態にあり、その一方で複合部分104(a)、104(b)の残りの領域が硬化された状態であってよい。この代替実施形態では、複合部分104(a)、104(b)の未硬化部分115を、未硬化のスプライス部材112と同時に硬化させることができる。
【0050】
図12は、接着機186の制御システムの構成要素をおおまかに示している。プログラム可能な論理コントローラ(PLC)又はパーソナルコンピュータ(PC)を備えることができるコントローラ166は、さまざまなソフトウェアプログラム178を使用して、予めプログラムされたやり方で制御機能を自動的に実施することができる。オペレータ制御及び表示180により、オペレータがソフトウェアプログラム178にアクセスしてコントローラ166とのインターフェースを形成することが可能になり、プロセス情報の設定及び表示の調節ができるようになる。ある場合には、コントローラ166を接着アセンブリジグ184(図1)に係合させて、長い複合部分104a、104bの位置を互いに相対的に感知する又は制御することが可能である。
【0051】
コントローラ166は、加熱/冷却システム192、196、空気袋による加圧174、及び真空バッグ176を含む、接着機186上のさまざまな構成要素及びシステムを制御することができる。接着機186は、後に説明する多種多様のセンサ182を備えることができ、このセンサ182により、例えば温度及び圧力等の信号がコントローラ166に送られる。
【0052】
図13は、第1のツールプラットフォーム188と第2の圧力プラットフォーム190を概して備える接着機186の機能ブロック図である。プラットフォーム188、190は、誘導部位204によって滑動又は回転運動を行うために共通基部202上に取り付けることができ、プラットフォーム188、190は互いに向かって及び離れるように直線水平運動を行う。後述するように、プラットフォーム188、190は図13に示す開いた位置から閉じた位置(図16及び21)まで移動することができ、この位置において、スプライス部材112及び組み立てられた複合部分104a、104bの端部を含むスプライス領域を接着アセンブリジグ184で支持しながら、熱及び圧力が局所的に印加される。この局所的に加えられた熱および圧力によりスプライス部材112が複合部分104a、104bに構造的に接着されて接着スプライスジョイント110が形成される。プラットフォーム188、190を引き寄せ及びロック手段206を使用してプラットフォームの閉鎖位置に引き寄せてロックすることができる。ツールプラットフォーム188は、センサ182、加熱/冷却システム192及びマンドレル194を含むことができる。同様に、加圧プラットフォーム190は、センサ182、加熱/冷却システム196、加圧空気袋198及び、真空バッグ処理及び空気袋198の加圧に使用されるポンプ200を含むことができる。
【0053】
ここで、接着機186の更なる詳細を図示する図13〜15に注目する。接着機186は大まかに、ツールタワー235と加圧タワー245を含み、ツールタワー235と加圧タワー245の間に、組み立てられたスプライス部材112と複合部分104a、104bを構造的に接着して接着スプライスジョイント110を形成することができる。ツールタワー235は、任意の好適な手段によって基部202上において直線の水平運動を行うために取り付けられたツールプラットフォーム188を含んでいる。図示した実施例においては、プラットフォーム188は走路220によって誘導される脚部204を含む。マンドレル194を含むことができるツールは、次にプラテン板214に固定されるマンドレル基部215の上に取り付けられる。プラテン板214はツールプラットフォーム188上に支持される。マンドレル基部215はロックレバー225の一連の手段によってプラテン板214から開放可能であることにより、マンドレル194を簡単に取り外す及び/または交換することが可能になる。
【0054】
加圧タワー245は加圧プラットフォーム190を含み、加圧プラットフォーム245もまた、走路220と係合する脚部204を有している。膨張可能な加圧空気袋198は、シュラウド224に固定されるフレーム199に保持される。シュラウド224はそして、加圧プラットフォーム190上に取り付けられたプラテン板222に固定される。加熱/冷却システム192、196はそれぞれ、マンドレル194を加熱及び冷却するために移動するプラットフォーム188、190上、および加圧空気袋198を囲む領域に取り付けられている。外部被覆226、228を使用して、ツール及び加圧タワー235、245それぞれの構成要素を保護的に囲むことができる。電動のまたは他の形態のモータ(図示せず)を使用して、プラットフォーム188、190を駆動して図13及び14に示すように開いた、パーツ挿入/取出し位置と、図16に示すように閉じた、パーツ硬化位置の間を走路220に沿って移動させることができる。引棒221(図14)をタワー235、245の間に接続して、プラットフォーム188、190を最終的な閉鎖位置に引くのに使用することができる。ロックアーム218を使用してプラットフォーム188、190をその閉鎖位置にともにロックすることができる。
【0055】
特に図17を参照すると、加圧空気袋198はマンドレル194の形状と同じ、ほぼC字形状である断面を有することができる。空気袋198は、たとえば限定しないがシリコンゴム等の特定の応用形態での熱及び圧力に耐えることができる任意の好適な材料でできていてよい。流体調整具232により、気体または液体であってよい加圧された流体の空気袋198への流出入が可能になる。
【0056】
接着作業準備のために、接着機186の準備及び閉鎖のステップを示す図17をここで注目する。最初にスプライス部材112を、前述した接着アセンブリジグ184によって工学的に規定された空間に保持される複合部分104a、104bの間のジョイント110上に置く。次に、接着機186を開けたまま、スプライス部材112上で真空バッグ234を設置する。スプライス部材112と真空バッグ234の両方は、ジョイント110の両側の積層体(図示せず)を含むことができる複合部分104a、104bの厚さいっぱいに延在している。スプライス部材112及び真空バッグ234が設置された状態で、プラットフォーム188、190を相互に向けて移動させることにより接着機186を閉じる。前述したように、必要に応じて引棒221(図14)を使用して、ロックアーム218(図15)を回転させてマンドレル194の位置を加圧空気袋のシュラウド224に相対的にロックすることができるまで、プラットフォーム188、190を一緒に引くことができる。
【0057】
ここで図19を参照すると、複合部分104a、104bが局所的に加熱される硬化プロセス中に、複合部分104a、104bをその縦軸265に沿って移動させることが可能である。最終的な組立要件を満たすために、スプライスジョイント110の全長に及び、複合部分104a、104bの隣接する端部を互いに固定する、一対のホールドダウンプレート236を使用して複合部分104a、104bを保持することによって、この動きを実質的に減らすことができる。ホールドダウンプレート236を、複合部分104a、104bの最上部および最下部上の摩擦性の過剰な縁部(図示せず)に、スプライスジョイント110と重なり合い、複合部分104a、104bを堅く接続させるように固定することができる。
【0058】
ここで、加熱/冷却システム192、196(図14)の更なる詳細を示す図20に注目し、この加熱/冷却システム192、196は、スプライスジョイント110の領域をスプライス部材112が硬化するのに十分な温度に加熱するのに使用され、そして次に硬化後のスプライス部材112が冷却される。ツールタワー235の側部において、加熱要素216により媒質が加熱され、この媒質は供給ダクト238を通ってマニホルド240まで送られ、マニホルド240により加熱された媒質が分配ダクト242に送られる。分配ダクト242から加熱された媒質がノズル244に供給され、ノズル244により片側が空洞になっているマンドレル194の内面に加熱された媒質が送られる。本明細書に使用されるように、「媒質」及び「加熱された媒質」は、限定しないが、空気及び他の気体だけでなく、オイルを含む流体を含むさまざまな流動性媒質を意味している。たとえば限定しないが、誘導加熱等の他の形態の加熱方法も利用可能である。
【0059】
加圧タワー245の片側において、加熱要素230により媒質が加熱され、加熱された媒質は供給ダクト246を通ってマニホルド248まで送られ、マニホルド248は高温の媒体を分配ダクト250に送る。分配ダクト250から高温の媒質がノズル252に送られ、ノズル252により加圧空気袋198を囲む領域と、スプライス部材112の外側モールドライン(OML)に媒質が送られる。
【0060】
図21は、加熱/冷却システム192、196の追加の構成要素だけでなく、例えば真空バッグ制御機器274及び空気袋圧力制御機器282等の他のシステムを図示している。周囲媒質は加熱要素216を通って引き込まれ、マニホルド240によってノズル244に分配されてマンドレル194を加熱する。加熱要素216は、一つには、真空バッグ圧力センサ295、マンドレルヒータ媒質温度センサ277、マンドレル経過温度センサ262、及びマンドレル制御温度264から受信したデータに基づいて加熱制御機器272によって制御される。真空バッグ234(図18)内部の真空は真空バッグ制御機器274によって制御される。
【0061】
圧力タワー245の側では、周囲媒質は加熱要素230を通って高温媒質マニホルド248まで引き入れられ、高温媒質マニホルド248によって高温媒質がノズル244に分配される。加圧空気袋198に加えられる圧力は、加熱制御機器276に圧力データを送る圧力センサ297を備える圧力制御機器282によって制御される。ヒータ230を通って流れる媒質はさらに、圧力制御温度センサ266と圧力ヒータ温度センサ301によって測定されるデータに基づいて、制御機器276によって制御することができる。
【0062】
ここで、ツールタワー235の代替実施形態を図示する図22に注目する。この実施例では、内蔵式のモジュール型加熱/冷却システム284が移動するプラットフォーム288上のレール(図示せず)によって支持されている。プラットフォーム288は持ち運び可能な基部290の上で直線的に動かすことができる。マンドレル194は、マンドレル運搬装置286の上に取り外し可能に支持されるマンドレル基部342に固定されている。マンドレル運搬装置286はプラットフォーム288の最上部に位置する支持材357上に取り外し可能に取り付けられている。このため、マンドレル運搬装置286はプラットフォーム288から簡単に取り外すことができ、マンドレル194はマンドレル基部342とともにマンドレル運搬装置286から取り外すことができる。加熱/冷却システム284は、後に説明する媒質供給及び戻りダクト(図22には図示せず)を備え、このダクトは開放可能な接続部327によってマンドレル194に開放可能に係合されている。
【0063】
図22〜25に加熱/冷却システム284のさらなる詳細を示す。ブロワー駆動モーター325によりブロワー294が駆動し、媒質を加熱要素216を通して送り出し、媒質はダクト296を通って一対の高温媒質供給ダクト314、316へ送られる。高温媒質供給ダクト314、316はそれぞれ、マンドレル基部342の後部を通って、流入口接続部326、328(図25)に係合される。流入口接続部326、328を通って供給された高温媒質は、下記のさらなる詳細において後に説明するノズルプレナムアセンブリ300(図24)まで送ることが可能である。ノズルプレナムアセンブリ300から戻ってきた媒質は、再循環媒質流入口接続部330を通り、再循環ダクト318を通って誘導弁322へ送られる。
【0064】
図24は、ノズルプレナムアセンブリ300をさらに詳細に示す図である。ノズルプレナムアセンブリ300はマンドレル194の後部に固定される。プレナムフレーム334には、箱形の穴のあいたノズル338が取り付けられている。穴のあいたノズル338は、部分的な隔壁194aによって画定されるマンドレル194の区画又は区域339の中に延びている。各ノズル338は締め具(図示せず)でプレナムフレーム334に固定されている。媒質流入口接続部326、328は、プレナムフレーム334に固定されたプレート331に固定されている。再循環媒質接続部330は開口部(図示せず)を含むことができるプレート336に取り付けられており、接続部326、328はこの開口部を通って延びている。流入口接続部326、328に流入してくる媒質はノズル338を通り、ノズルからマンドレル94の内面上にほぼ均一に送られる。再循環媒質は、接続部330及び327を通って誘導弁322(図23)に戻る。
【0065】
図25〜26を参照すると、誘導弁322は一対のヒンジで連結した弁部材378、380を備え、弁部材はそれぞれアーム374及び376によって制御されている。低温媒質流入口372を選択的に開けて、低温媒質を弁322へ流すことができる。図26に示す状況では、弁380が閉じ、弁378が開いて再循環媒質が流入口324を通って流入し流出口370を通って流出することが可能になり、これにより、熱サイクルにおいて再循環が起こる。弁部材380は熱サイクル中に低温媒質流入口372を閉鎖する。
【0066】
図26は、冷却サイクル中に、低温媒質がマンドレル194に送られるときに、誘導弁322の状態を示す図である。弁378は第2閉鎖位置に移動し、ここで流入口324を通って受け入れた再循環媒質を媒質排出口375を通して誘導する。弁部材380はまた開放位置に移動することによって、低温媒質が流入口372を通って流入し、流出口370を通ってマンドレル194に送られることが可能になる。
【0067】
ここで、マンドレル194と、マンドレル基部342のマンドレル運搬装置286への取付けの詳細をより良く示す図26〜30に注目する。マンドレル運搬装置286のピン351(図30)は、マンドレル基部342に固定されたブラケット346に固定されたソケット348(図27及び28)内部に収容される。マンドレル基部342の後ろ側の位置制限ピン363により、マンドレル基部342とマンドレル運搬装置286の間に第3接触ポイントが設けられる。位置づけピン363は、マンドレル運搬装置286の停止部367(図30)に係合する。ソケット348とピン351の間に形成されたボールジョイント接続部により、マンドレル194とマンドレル基部342が図30に示すY及びZ軸に沿って拡大することができると同時に、制限ピン363により、X軸に沿った上記動きが抑えられる。マンドレル基部342はたわみを最小限に抑えるように設計されており、マンドレル194を通して圧力システムの力に反応する。図29に示すように、マンドレル194は、それぞれ保持ピン350が装着されたエンドブラケット352を含むことができる。保持ピン350は、複合部分104a、104bを接着プロセス中に整列した状態に維持するために、複合部分104a、104bの開口部(図示せず)内部に収容される。
【0068】
図31を参照すると、マンドレル194は締め具(図示せず)を使ってマンドレル基部342に固定されている。断熱シート358は、間隔をおいて配置された熱障壁364とともに、マンドレル194をマンドレル基部342から防護するために、マンドレル194とマンドレル基部342の間に挟まれている。
【0069】
図31は、硬化プロセス中にスプライスジョイント110(図10)の領域で熱を保持しやすくする機能を持つ空気袋198を囲む断熱材366の使用を示す図である。この実施形態においては、スプライス部材112(図10)の硬化に要する熱は、図23に関連して前述した加熱システム284を使用してツール側(図15のツールタワー235)からのみ供給することができる。ある応用形態においては、任意のヒータ要素(図示せず)を空気袋198とこれを囲む断熱材366の間に設置することが必要又は望ましい場合がある。
【0070】
ここで図33を参照すると、取り外し可能な空気袋アセンブリ382は膨張可能な空気袋198を含んでいる。空気袋198の縁部を、半柔軟性材料でできていてよい半剛性フレーム199に固定することができる。空気袋フレーム199は、一連の保持器386によって空気袋シュラウド224の中に開放可能に保持されており、この保持器はフレーム199をスナップ式に保持しているため、空気袋アセンブリ382を簡単に取り外す及び/又は交換することができる。
【0071】
空気袋198は単一の空気袋であってよく、又は図33及び34に示す種類の重複した二重空気袋を含むことができる。空気袋フレーム保持器386は空気袋シュラウド224に固定され、ほぼ円形の断面を有することができる。空気袋フレーム199は、例えば強化シリコン等の半剛性材料でできていてよく、保持器386をスナップ式に受けるその外周に沿って円形の溝(図示せず)を含むことができる。第1空気袋198が漏れた時の予備のために、第2の膨張可能な内側空気袋398を、第1の外側空気袋198の内部に配置することができる。図35は、マンドレル194から発生する熱を保持するための断熱材366の使用を示す図であり、マンドレル194では、接着機186のツール側のみで熱が供給される。
【0072】
ここで、図19に関連して前述したホールドダウンプレート236を使用する必要をなくすことができる、空気袋フレーム199の代替実施形態を示す図36に注目する。加圧空気袋198は、断熱材366とともにシュラウド224に支持された空気袋フレーム199に取り付けられている。空気袋198は、空気袋198とマンドレル194との間に拘束された複合部分104aに当接して位置している。フレーム199は、複合部分104aに重なり、これに当接して位置する部分394を含む剛性フランジ355を有している。フランジ355により固定がしやすくなり、複合部分104aに対して十分な力を加えて複合部分104aが動かないように押さえつけることが可能になり、ホールドダウンプレート236の必要性が除去される。
【0073】
ここで、マンドレル194に相対的にシュラウド224を位置づけするためのシュラウドカート388の使用を図示する図37を注目する。シュラウドカート388は作業箇所に手動で配置する。作業する高さまで持ち上げた後に、シュラウドカートをマンドレル194に向かって移動させる。カート388はローラ(図示せず)に取り付けられた持ち運び可能な基部390と、アクチュエータピストン391によって駆動されるリフト機構388を備えている。リフト機構388は、シュラウド224を所望の高さまで持ち上げるのに使用することができ、その一方で持ち運び可能な基部390を、接着作業の準備のために、図37に示す位置にシュラウド224を移動するのに使用することができる。リフト機構388は、複合部分104a、104b又はマンドレル194に負荷を加えることなく、シュラウドの位置に微妙に調節可能なように柔軟であってよい。シュラウド224及びプラットフォーム288上の位置決めデバイス392a、392bは、シュラウドがその閉鎖位置に移動したときに、シュラウド224及びマンドレル194が確実に互いに整列した関係にあることができるようにするためである。
【0074】
図38及び39は、マンドレルアセンブリと加熱システム284のモジュール性を示す図である。図38に示すように、プラットフォーム288は引き込み位置にあり、マンドレル194は加熱システム284に係合されている。マンドレル194を取り外す及び/又は交換するには、図39に示すように、プラットフォーム288を基部290上の前方位置に移動する。その後、加熱システム284を開放可能な接続部327を使用してマンドレル194との接続から解除することができる。
【0075】
本発明の実施形態は、様々な可能性のある応用形態、特に例えば航空宇宙、海洋、及び自動車への応用形態を含む運送業において使用することができる。したがって、ここで図40及び41を参照すると、本発明の実施形態は図40に示すような航空機の製造及び就航方法400及び図41に示すような航空機402において、使用可能である。試作段階においては、例示の方法400は航空機402の仕様及び設計404と、材料調達406を含むことができる。製造段階においては、航空機402の部品及びサブアセンブリの製造408と、システム統合410がおこなわれる。そのあとに、航空機402は、検査及び納入412を経て就航414される。顧客によって就航されている間、航空機212には所定の保守及び点検416(変更、再構成、改装も含むことができる)が予定される。
【0076】
本方法400の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客等)によって行う又は実施することができる。この説明のために、システムインテグレータは限定しないが、任意の数の航空機メーカー、及び主要システムの下請け業者を含むことができ;第三者は限定しないが、任意の数の供給メーカー、下請け業者、及びサプライヤを含むことができ;オペレータは、航空会社、リース会社、軍部、サービス組織等であってよい。
【0077】
図41に示すように、例示の方法400で製造された航空機402は、複数のシステム420と内装422を有する機体418を備えることができる。高レベルシステム420の例は、一以上の推進システム424、電気システム426、油圧システム428、及び環境システム430が挙げられる。任意の数の他のシステムを含むことが可能である。航空宇宙での実施例を示したが、本発明の原理は例えば海洋及び自動車産業等の他の産業分野に応用することが可能である。
【0078】
本明細書に具現化されたシステム及び方法は、任意の一以上の製造及び保守方法400の段階において採用することができる。例えば、製造プロセス408に対応する部品又はサブアセンブリは、航空機402が就航している間に製造される部品又はサブアセンブリと同じ方法で加工又は製造することができる。また、一以上の装置の実施形態、方法の実施形態、又はこれらの組み合わせを、例えば、実質的に組立てしやすくする、又は航空機402にかかる費用を削減することによって、製造段階408及び410において用いることが可能である。同様に、一以上の装置の実施形態、方法の実施形態、またはこれらの組み合わせを、航空機402が就航している間に、例えば限定しないが、保守及び点検416に用いることができる。
【0079】
本発明の実施形態を特定の実例となる実施形態に関連させて説明してきたが、当然ながら特定の実施形態は説明のためであり、限定するものではなく、当業者が他の変形例を発想することが可能である。
【符号の説明】
【0080】
104a 複合部分
104b 複合部分
110 ジョイント
112 スプライス部材
166 コントローラ
182 センサ
184 接着アセンブリジグ
188 プラットフォーム
190 プラットフォーム
192 加熱/冷却システム
194 マンドレル
196 加熱/冷却システム
198 加圧空気袋
199 フレーム
200 ポンプ
202 基部
206 引き寄せロック手段
216 ヒーター
218 ロック
220 走路
221 引棒
224 空気袋シュラウド
226 シュラウド
228 シュラウド
230 ヒーター
234 真空バッグ
236 ホールドダウンプレート
284 加熱/冷却システム
286 マンドレル運搬装置
288 プラットフォーム
290 持ち運び可能な基部
294 ブロワー
296 ダクト
316 供給ダクト
318 再循環ダクト
322 誘導弁
325 駆動モーター
327 コネクタ
342 マンドレル基部
352 ブラケット
355 フランジ
358 断熱シート
364 熱障壁
366 断熱材
388 リフター
390 基部
391 ピストン
398 内側の空気袋
402 航空機
404 仕様及び設計
406 材料調達
408 部品及びサブアセンブリの製造
410 システム統合
412 検査及び納入
414 就航
416 保守及び点検
418 機体
420 系統
422 内装
424 推進
426 電気
428 油圧
430 環境

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1複合部分;
第2複合部分;及び
第1及び第2複合部分と少なくとも部分的に重なり、第1及び第2複合部分を互いに接合させる複合スプライス部材
を備える、複合構造部材。
【請求項2】
第1及び第2複合部分がそれぞれ
C字形状、
Z字形状、
J字形状、
T字形状、
I字形状、及び
帽子形
からなるグループから選択される断面を有する、請求項1に記載の複合構造。
【請求項3】
前記スプライス部材が、スプライス部材の断面に対して横方向に延びるほぼV字形状の縦断面を含む、請求項2に記載の複合構造。
【請求項4】
第1及び第2複合部分が異なる方向に延びて角度を形成しており、
複合スプライス部材が、第1及び第2複合部分とそれぞれ重なり、且つ第1及び第2複合部分に連結する第1及び第2部分を含む、
請求項1に記載の複合構造。
【請求項5】
複合スプライス部材が、第1及び第2複合部分の間にほぼV字形状のジョイントを形成する、請求項1に記載の複合構造。
【請求項6】
ほぼV字形状のジョイントが、
複合スプライス部材及び第1複合部分の間の第1スカーフジョイント、及び、
複合スプライス部材及び第2複合部分の間の第2スカーフジョイント
を含む、請求項5に記載の複合構造。
【請求項7】
第1及び第2複合部分が、航空機の連続スパー、連続梁、連続ストリンガー、及び連続フレームの一つを形成し、
スプライス部材が第1及び第2複合部分に接着されている、
請求項1に記載の複合構造。
【請求項8】
第1複合部分を形成するステップ、
第2複合部分を形成するステップ、
複合スプライス部材を形成するステップ、及び
複合スプライス部材を第1及び第2複合部分に接着して、第1及び第2複合部分の間にスプライスジョイントを形成するステップ
を含む、複合構造部材の製造方法。
【請求項9】
第1複合部分を形成するステップが、複合材料の第1積層体を形成するステップ、及び第1積層体を硬化するステップを含み、
第2複合部分を形成するステップが、複合材料の第2積層体を形成するステップ、及び第2積層体を硬化するステップを含み、
複合スプライス部材を形成するステップが、複合材料の第3積層体を形成するステップを含み、
スプライス部材を接着するステップが、第1及び第2複合部分に第3積層体を配置し、第3積層体を硬化するステップを含む、
請求項8の方法。
【請求項10】
スプライス部材を接着するステップが、ジョイントを局所的に加熱及び加圧するのにプレス機を使用するステップを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
第1積層体を形成するステップが、第1積層体の縁部に沿って第1傾斜部を形成するステップを含み、
第2積層体を形成するステップが、第2積層体の縁部に沿って第2傾斜部を形成するステップを含み、
第3積層体を形成するステップが、第3積層体を第1及び第2複合部分の上に配置したときに、第1及び第2傾斜部とそれぞれ重なる第3及び第4傾斜部を形成するステップを含む、
請求項9に記載の方法。
【請求項12】
スプライス部材を接着するステップが、
マンドレルを提供するステップ、
マンドレル上にジョイントを配置するステップ、
ジョイント上に真空バッグを配置するするステップ、及び
前記真空バッグを使ってジョイントに圧力を加えるステップ
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
スプライス部材を接着するステップが、
加圧空気袋を使用して、ジョイントに圧力を加えるステップ、及び
前記空気袋によってジョイントに圧力が加えられている間にジョイントを加熱するステップ
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
空気袋を使用して圧力を加えるステップが、プレス機内部で実施される、請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2010−150911(P2010−150911A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−259370(P2009−259370)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】