説明

複合装置

【課題】 今後開発されるプリンタボードを使用することができ、これによって製品コストの増加を抑制することができる複合装置を提供する。
【解決手段】 プリンタボードとのI/Fにあらかじめ入出力端子を設けておき、プリンタボードと本体が通信した結果により、上記入出力信号端子の方向を本体側で切り替えて設定する事で、今後開発されるプリンタボードをそのまま使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能等の複数の機能を有する複合装置に関し、その機能を拡張するオプションボードの接続方法に係る。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルコピー機能、ファクシミリ機能に加えて、外部に接続されるコンピュータ用のプリンタとして使用可能なプリンタ機能等の複数の機能が1つの機器内に納められて構成される複合機が増加している。
【0003】
複合装置の形態は、主にベースとなる機能を有する装置があり、その装置にオプションボードによる機能拡張を行うことにより他の機能を使用可能となるように構成されている複合装置が多く使用されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
従来の複合装置とプリンタ機能のオプションボードとの関係を図5に示す。複合装置のプリンタ機能のプリンタボード2と、ベースとなる複合装置1のメインコントローラとの接続インターフェースとして中継IC109、セレクタ121が準備されており、プリンタボード2から、プリンタ制御信号を中継IC109を介して伝送し、画像信号をセレクタ121を介して伝送している。
【0005】
プリンタボード2内のプリンタインターフェース114から中継IC109に対して、プリンタ制御回路3が出力するのと同様の制御信号のコマンドが発行され、そのコマンドがCPUバスを介して中継IC109からCPU108に対して送られる。CPU108は、送られてきた制御信号を解釈して、その内容をメインコントローラ1内のプリンタインターフェース110に転送する。プリンタインターフェース110は、転送されてきた信号をプリンタ制御回路3に転送する。すると、プリンタ制御回路3はプリンタエンジン4の状態に応じて適切な返答信号のステータスをプリンタインターフェース110に返す。プリンタインターフェース110は、その返答信号のステータスをCPU108に返す。CPU108は、受け取ったステータスを判断し、必要に応じてプリンタボード2が解釈可能なステータスに変換し、変換されたステータスを中継IC109に返す。中継IC109は、受け取った返答信号をプリントボード2内のプリンタインターフェース114に返す。
【0006】
そして、印刷時に使用する垂直同期信号、水平同期信号及び画像信号の高速な信号は、プリンタ制御回路3からセレクタ121を介して、プリンタボード2内のプリンタインターフェース114とメインコントローラ1内のプリンタインターフェース110とに結線されている信号線118により伝達される。セレクタ121からどちらのプリンタインターフェースへ信号を伝達するかは、メインコントローラ1内で制御される。
【0007】
コンピュータ120から受信されたPDLデータ(ページ記述言語形式のデータ)は、プリンタコントローラ回路124により解釈されてラスタイメージに展開され、ラスタイメージをプリンタI/F114とセレクタ121を介してプリンタ制御回路3へ転送し、印刷を行っている。
【特許文献1】特開2001−030585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の複合装置においては、プリンタ機能拡張用オプションボードとして、今後開発されるプリンタボードを使用できない場合がある。
【0009】
プリンタ機能拡張用のオプションボードは、エンジン部との各種のステータスのやり取りを信号線を用いて行うが、その信号線の仕様はプリンタ機能拡張用のオプションボードによって異なり、複合機のプリンタエンジンはより多くのステータスを有しており、これから開発されるプリンタ機能拡張用のオプションボードではインターフェースの仕様に追加、変更が行われる事があり、例えばプリンタ機能拡張用のオプションボードに変更された信号線の入出力の極性が異なったり、追加される信号線が入力信号なのか出力信号なのか決定されていない状態でメインボードを開発するので、メインボード側に接続する事ができないためである。
【0010】
従って、上記従来の複合装置のメインコントローラは、プリンタ機能拡張用オプションボードの接続インターフェースにおけるステータスの信号線を修正、追加して新たに開発しなおす必要がある。このことは、同様の機能を有しているにも拘わらず再度ハード設計をしなければならないため、手間がかかり、ひいては製品コストの増大を引き起こすことになる。
【0011】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、今後開発されるプリンタ機能拡張用のオプションボードを使用することができ、これによって製品コストの増加を抑制することができる複合装置、並びにその制御を行う記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の複合装置は、機能を拡張するオプションボードと接続可能であり、印刷機能を含む複合装置であって、装置の全体的な制御を行う制御手段と、前記制御手段と前記オプションボードとの間に設けられ、前記オプションボードから前記装置の全体的な制御を行う制御手段のために送られる信号の一部を中継する中継手段とを備え、
前記中継手段にて前記印刷制御手段のために送られるべき信号の一部の入出力の極性を設定するように構成し、前記オプションボードを装着可能とすることを特徴とする。
【0013】
請求項2の複合装置は、機能を拡張するオプションボードと接続可能であり、印刷機能を含む複合装置であって、装置の全体的な制御を行う制御手段と、前記制御手段と前記オプションボードとの間に設けられ、前記オプションボードから前記装置の全体的な制御を行う制御手段のために送られる信号の一部を中継する中継手段とを備え、
前記中継手段にて前記印刷制御手段のために送られるべき信号の一部の入出力の極性を設定するように構成し、前記オプションボードを電源を入れたまま着脱可能(活線抜挿可能)とすることを特徴とする。
【0014】
請求項3の複合装置は、外部のコンピュータからの印刷データを受信して画像データを生成するためのプリンタボードと接続可能であり、印刷機能を含む複合装置であって、装置の全体的な制御を行う制御手段と、前記外部のコンピュータから前記プリンタボードを介して送られてくる画像データ、または前記制御手段から送られてくる画像データを印刷出力する印刷手段を制御する印刷制御手段と、前記制御手段と前記プリンタボードとの間に設けられ、前記プリンタボードから前記印刷制御手段のために送られるべき信号の一部を中継する中継手段とを備え、
前記中継手段にて前記印刷制御手段のために送られるべき信号の一部の入出力の極性を設定するように構成し、装着可能または前記プリンタボードを電源を入れたまま着脱可能(活線抜挿可能)とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、プリンタボードとのI/Fにあらかじめ入出力端子を設けておき、プリンタボードと本体が通信した結果により、上記入出力信号端子の方向を本体側で切り替えて設定するようにしたので、外部のコンピュータから送られてくる画像データを複合装置において印刷出力する場合に、今後開発されるプリンタボードをそのまま使用することができ、従って、製品コストの増加を抑制することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
【実施例】
【0017】
図1は、本実施形態に係る複合機の概略構成を示すブロック図である。本実施形態では、プリンタとしてレーザビームプリンタ(LBP)を搭載した複合機であって、デジタルコピー機能とファクシミリ機能がベースとなってプリンタ機能をオプションとし、後からプリンタオプションボードを追加することにより構成される複合機を一例として説明する。
【0018】
図1に示す複合機は、複合機全体の制御を行うメインコントローラ1と、外部のコンピュータ120に接続されるプリンタボード2と、LBP内に設けられておりプリント処理を実行するプリンタエンジン4と、複合機のメインコントローラ1からの指示に基づいてプリンタエンジン4を制御するプリンタ制御回路3とから主に構成されている。複合機内の各ブロックは、メインコントローラ1内に設けられるセレクタ121を中心として、電気信号線118により互いに接続されており、各ブロック間におけるデータの伝送が可能である。
【0019】
メインコントローラ1は、上述したセレクタ121の他、操作パネル101のインターフェースである操作パネルインターフェース104と、複合機内に設けられている各種センサ102のインターフェースであるセンサインターフェース105と、読取ユニット103のインターフェースである読取ユニットインターフェース106と、読取ユニット103により読み取られた画像データやコンピュータ120から送られてきた画像データの処理を行う画像処理IC107と、公衆電話網に接続されるNCU126を制御するモデム112と、モデム112を介して送受信されるデータの符号化または複合化を行う符号化複合化IC113と、後述するプリンタボード2とCPU108との中継を行う中継ICと、CPU108のワークエリア等として使用されるRAM122と、CPU108により実行される各種制御プログラムを格納するROM111と、プリンタ制御回路3とのインターフェースを行うプリンタインターフェース110とを有している。上記各インターフェース104〜106及び110、画像処理IC107、モデム112、中継IC109、RAM122、ROM111、符号化複合化IC113は、CPUバスによりCPU108に接続され、その動作を制御される。
【0020】
CPU108は、操作パネルインターフェース104を定期的に監視しており、操作パネル101が操作されると、操作パネルインターフェース104からCPU108へ押下されたキーに関する情報等が伝達される。ユーザは、操作パネル101を操作することにより、例えばコピー機能やファクシミリ機能を使用した動作の指示や、各種動作モードの設定などを行うことができる。
【0021】
プリンタボード2は、プリンタボードI/F130を介してメインコントローラ1と接続され、プリンタボード2は、中継IC109とのインターフェースを行うプリンタインターフェース114と、コンピュータ120とのインターフェースを行うコンピュータインターフェース125と、プリンタの統括的な制御を行うプリンタコントローラ回路124と、プリンタ操作パネル123のインターフェースを行うプリンタ操作パネルインターフェース115とから主に構成されている。
【0022】
プリンタコントローラ回路124はプリンタ操作パネルインターフェース115を定期的に監視しており、プリンタ操作パネル123が操作されると、プリンタ操作パネルインターフェース123によりプリンタコントローラ回路124へ押下キー情報が伝達される。プリンタ操作パネル123を操作することによって、プリンタ機能の各種動作モードの設定を行うことができる。各種動作モードの設定とは、例えばオンラインモードとオフラインモードとの切り替え、記録紙サイズの設定、記録紙給紙口の設定等をいう。また、プリンタ操作パネル123には、各種のステータスなどが表示される。
【0023】
外部のコンピュータ120との接続インターフェースは、パラレルポート、シリアルポートもしくは10base−T、10base2、100base−TXなどのネットワーク等を利用することができる。コンピュータ120とプリンタボード2内のコンピュータインターフェース125との間のデータ転送については、本発明の主旨ではないので、ここではその説明を省略する。
【0024】
プリンタエンジン4は、プリンタ制御回路3から受け取ったビデオ信号に基づいてプリンタ処理を実行する。すなわち、プリンタエンジン4は、記録材に画像を記録し、記録材を排紙部4−1、4−2、4−3のいずれかに排紙する。複合機1は、3つの排紙部(4−1、4−2、4−3)を有しており、NCU126からのファクシミリプリント、読み取りユニット103からのコピープリント、プリンタボード2からのリモートプリントのそれぞれのジョブにより排紙部を選択して印刷排紙できる。この設定は、操作パネル101から行える。
【0025】
操作パネル101からの指示により、排紙部4−1をファクシミリプリント、排紙部4−2をコピープリント、排紙部4−3をリモートプリント用に割り当てる「指定設定」が可能である。また、操作パネル101からの指示により、すべての排紙部4−1〜4−3を共用し、どのジョブでもそれぞれの排紙部を指定できる「共有設定」も可能である。設定された内容はRAM122に格納される。また、排紙部はそれぞれ記録媒体の満載を検知するための満載検知機能を有している。
【0026】
また、プリンタエンジン4は、印刷処理の各種のステータスをプリンタ制御回路3を介してCPU108に通知する。
【0027】
上記構成からなる複合機において、外部に接続されるコンピュータ120から印字データの転送が行われると、その印字データはプリンタボード2内のバッファ(不図示)に蓄積される。なお、その印字データはページ記述言語で構成されているものとする。蓄積された印字データは、プリンタコントローラ回路124においてプリンタ出力に適したデータ形式であるラスタイメージに展開され、バッファに格納される。展開処理の後、印字可能となると印字処理が開始される。
【0028】
以下、プリンタとして600×600dpi(dot per inch)の解像度で2値データを取り扱うLBPを一例として説明する。2値プリンタでは、画像を多数のドットに分解し、1つ1つのドットを打つ(印字する)場合にはその画素の値を「1」、ドットを打たない場合にはその画素を「0」として処理する。展開された画像データは、プリンタ制御回路3へ転送され、プリンタ制御回路3によりプリンタエンジン4の各種モータの制御とともに現像処理、定着処理及びレーザビーム制御が行われ、記録紙上に所望の画像が形成される。
【0029】
ここで、プリンタボード2のプリンタI/F114の各ピンの構成について図3を用いて説明する。プリンタボード2のプリンタI/F114は、例えば30ピンから構成されている。電圧やアースの説明は省略する。P10は、プリントビデオ信号であり、シリアルに出力される。P12はコマンドクロックであり、コマンドが出力されるタイミングを示すクロックを出力する。P13はコマンド信号であり、シリアル8ビットからなるコマンドを出力する。P15はコントローラパワーレディー信号であり、プリンタボード2の電源が供給されていることを示す。P16は、プリフィード信号であり、用紙を先行給紙させる信号である。P17は、プリント信号であり、中継IC側から出す信号であり、プリント許可を示す信号である。P18は、コマンドビジー信号であり、中継IC側から出す信号であり、このピンがHレベルのときはビジーであるためコマンドの送受信ができない状態を示す。P20は、ステータス信号であり、シリアル8ビットのステータスを出力する。P21は、ステータスビジー信号であり、中継IC側から出す信号であり、このピンがHレベルのときはビジーであるためステータスの送受信ができない状態を示す。P22は、垂直同期信号であり、画像信号の記録タイミングを示す信号である。P23は、レディー信号であり、P24はプリンタパワーレディー信号である。P25は、水平同期信号であり、画像の記録タイミングを示す信号である。P11,14,26はアースである。P27からP30は拡張用であり、メインコントローラ側では中継IC109の入出力兼用のポートを接続する。
【0030】
プリンタボード2のプリンタI/F114は、このようなピン構成となっている。ここで高速信号は、P10の画像信号、P22の垂直同期信号、P25の水平同期信号であり、残りは低速可能な信号である。
【0031】
複合機のメインコントローラ1は、プリンタボード2からのプリントジョブを高速に印刷させるために、メインコントローラ1のCPUバスを介さずに画像信号をプリンタエンジンに直結させている。このように構成することにより、高速な印刷が可能となる。また、コピージョブやFAXジョブと競合しないように、複合機のメインコントローラがプリンタエンジンへのアクセス制御を行っており、そのため、プリンタボード2からの制御信号は、このCPUバスを介してメインコントローラ1が受け取っている。
【0032】
ここで、本発明で重要となる、プリンタボード2内のプリンタインターフェース114とメインコントローラ1の中継IC109との間における制御信号の入出力の極性設定について、図2の処理手順を示すフローチャートを用いて説明する。
【0033】
まず、プリンタボード2のリセットが解除(S101)された後に、プリンタボード2内のプリンタインターフェース114から中継IC109に対して、プリンタ制御回路3が出力するのと同様の制御信号と同じ形式で設定コマンドが発行(S102)され、その設定コマンドがCPUバスを介して中継IC109からCPU108に対して送られる。CPU108は、送られてきた設定コマンドを解釈して、その内容を用いてP27からP30と接続される中継IC109の入出力ポートを入出力設定手段を用いて、入力または出力に切り替える(S103)。入出力設定手段としては、図4に示すような双方向バッファ等を用いる。切り替えた後、CPU108は、入出力ポートを入力または出力に切り替えた結果をステータスとして中継IC109に返す。中継IC109は、受け取った返答信号をプリントボード2内のプリンタインターフェース114に返す(S104)。
【0034】
このような経路を通って返送されてきた、制御コマンドに対する返答信号のステータスを受け取ると、プリンタボード2は、P27からP30を追加、変更した制御信号として使用することができる。
【0035】
本例では、新規に開発されたプリンタボードでは省電力モードを実施する際に使用するプリンタボードスリープ信号、メインボードスリープ信号が追加されたとする。P27をプリンタボードが出力するプリンタボードスリープ信号(以後PSLEEP信号と呼ぶ)として使用し、P28をメインボード側が出力するメインボードスリープ信号(MSLEEP信号と呼ぶ)として使用する場合を例にとる。プリンタボードスリープ信号とは、プリンタボードに印刷データが無く省電力モードに移行していることを示す信号で、Lが省電力モード、Hが起動している事を表す。メインボードスリープ信号とはメインボード側に印刷データが無く省電力モードに移行していることを示す信号で、Lが省電力モード、Hが起動している事を表す。
【0036】
設定を行う前は、P27からP30の極性は入力である。そこで、P27はメインボード側にとっては入力なので、入力に設定する。P28はメインボード側にとっては出力なので、出力に設定する。他のP29からP30は未使用なので、プリンタボード側の指示に従い入力もしくは出力のいずれかに設定する。
【0037】
PSLEEP信号が中継IC109に取りこまれると、そのPSLEEP信号がHかLかをみることによりプリンタボード2が省電力モードに移行しているか否かが判別される。
【0038】
MSLEEP信号がプリンタボード2内のプリンタインターフェース114により取りこまれると、そのMSLEEP信号がHかLかをみることによりメインコントローラ1が省電力モードに移行しているか否かが判別される。
【0039】
もし、プリンタボード2が省電力モードに入っていて、印刷データがコンピュータ120より入力されれば、印刷のためプリンタボード2は省電力モードを解除して回復動作を行い起動した後、PSLEEP信号をLからHにして、メインコントローラ1に知らせる。
【0040】
すると、メインコントローラ1は省電力モードを解除して回復動作を行い起動した後、MSLEEP信号をLからHにして、プリンタボード2に知らせる。
ここで、省電力モードへの移行ではプリンタのヒーターへの電力の遮断や使用しない部分への電力の遮断やクロックの停止を行い、回復動作では電力の供給やクロックの発生を行う。
【0041】
そのようにメインコントローラ1とプリンタボード2が起動した後印刷を行う。
【0042】
プリンタボードからの印刷動作について説明する。プリンタボード2内のプリンタインターフェース114からのPRNT信号を中継IC109へ発行する。中継IC109がPRNT信号を受け取ると、CPUバスを介してCPU108へその旨が通知され、プリンタインターフェース110及び信号線119を介してCPU108からセレクタ121に対して制御信号が送られて、セレクタ121がプリンタボード側へ切り替えられる。なお、セレクタ121は、通常はメインコントローラ1内のプリンタインターフェース110から画像データを受け取って、その信号をプリンタ制御回路3へ送るように、信号の経路を設定している。
【0043】
そして、プリンタボード2内のプリンタインターフェース114からのPRNT信号が中継IC109を経由してプリンタ制御回路3へ伝達されると、プリンタ制御回路3は定着器の温度調節が完了した後、記録紙を給送され、印字処理が開始される。
【0044】
垂直同期信号がプリンタ制御回路3からセレクタ121を介してプリンタボード2内のプリンタインターフェース114へ伝達されると、プリンタボード2では垂直マージンの計時が開始される。垂直同期信号が伝達されるたびに、垂直マージンの計時が「1」進められ、所定値までカウントされると、垂直マージンの計時が終了される。そして、次の水平同期信号が伝達されると内部のクロックで所定時間の計時が行われ、水平マージンの空白が空けられる。水平マージン分の空白が空いた後、画像信号の転送が開始される。画像信号は画素が黒の場合はハイレベル(以下「H」という)、白の場合はローレベル(以下「L」という)で表される。本実施形態では、Hは+3.3V、Lは0Vの信号とする。プリンタ制御回路3は、画像信号に従って、レーザビームのオン・オフ制御を行い、同時に現像、定着、帯電、記録紙排紙などの制御を行う。1ライン分の画像信号を転送した後は、次の水平同期信号まで待機状態とされる。上記動作は、1頁分の印字処理が終了するまで継続される。
【0045】
1頁分の全ラインの画像信号の転送が終了すると、次ページの印字データがあるか否かが判別され、次ページの印字データがある場合は再度PRNT信号が送出され、次ページの印字処理が開始される。
【0046】
次ページの印字がない場合は、プリンタの動作を終了する処理が行われ、印字処理が終了される。印字処理終了後、CPU108からプリンタインターフェース110を介してセレクタ121へ送られるセレクタ制御信号により、セレクタ121はメインコントローラ1側に復帰される。
【0047】
なお、デジタルコピーやファクシミリ印字を行う場合はメインコントローラ1内のプリンタインターフェース110及びプリンタ制御回路3は、直接制御信号の受け渡しを行うことができる。例えば、デジタルコピーの場合、読取ユニット103において読み取られた原稿上の画像データは、読取ユニットインターフェース106を介して画像処理IC107に送られて画像処理が施された後、一旦RAM122に蓄積される。その後、メインコントローラ1内のプリンタインターフェース110とプリンタ制御回路3との間で制御信号の受け渡しが行われた後、蓄積された画像データがプリンタ制御回路3へ転送され、印字処理が開始される。また、ファクシミリ印字の場合、NCU(Network Control Unit)126を介して電話網から転送されてきた信号はモデム112により受信され、RAM122に一旦蓄積される。その後メインコントローラ内のプリンタインターフェース110とプリンタ制御回路3との間で制御信号の受け渡しが行われ、ファクシミリ符号化データが符号化複合化IC113によって2値画像データに変換された後、プリンタ制御回路3へ転送され、印字処理が開始される。
【0048】
また、プリンタエンジン4がプリンタ制御回路3を介してCPU108に排紙部4−3が満載であることを通知してきた場合には、CPU108はRAM122に設定されている値を見て、排紙部の設定を判断する。「共有設定」が設定されている場合は、CPU108はそのステータスを「排紙部4−1:空き、排紙部4−2:空き、排紙部4−3:満載」と通知する。プリンタボード2から排紙部切り替えの指示がなされた場合は、CPU108は、排紙部の切り替えをプリンタ制御回路3に通知する。一方、「指定設定」が設定されている場合は、CPU108はプリンタ制御回路3からのステータスを「排紙部4−3:満載」と変換して、プリンタボード2に通知し、プリンタボード2には1つの排紙部しかないように見せる。
【0049】
以上説明したように、プリンタボードとのI/Fにあらかじめ入出力端子を設けておき、プリンタボードと本体が通信した結果により、上記入出力信号端子の方向を本体側で切り替えて設定するようにしたので、外部のコンピュータから送られてくる画像データを複合装置において印刷出力する場合に、今後開発されるプリンタボードをそのまま使用することができ、従って、製品コストの増加を抑制することができる。
【0050】
なお、本実施形態を適用されるプリンタは、レーザビームプリンタ及びインクジェットプリンタに限られるものではなく、他のプリント方式のプリンタでもよいことは言うまでもない。
【0051】
また、本発明の機能が実行されるのであれば、複合機は単体の機器であっても、複数の機器から成るシステムであっても、LAN等のネットワークを介して処理が行われるシステムであってもよいことは言うまでもない。
【0052】
また、上述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムコードを記録した記憶媒体を複合機または複合システムに供給し、その複合機または複合システムのコンピュータ(またはCPU,MPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0053】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0054】
プログラムコードを供給する為の記憶媒体としては、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0055】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づいて、コンピュータ上で稼動しているOS等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0056】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づいて、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合機の構成を示すブロック図である。
【図2】中継IC109の入出力ポートを入力または出力に切り替える場合に実行される処理手順を示すフローチャートである。
【図3】プリンタI/Fの各ピンについて説明する図である。
【図4】中継IC109のP27からP30に内蔵される入出力ポートを示す図である。
【図5】従来の複合機とプリンタ機能のオプションボードとの関係を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0058】
1 メインコントローラ(制御手段)
2 プリンタボード
3 プリンタ制御回路(印刷制御手段)
4 プリンタエンジン(印刷手段)
109 中継IC(中継手段)
120 コンピュータ
121 セレクタ(切替手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能を拡張するオプションボードと接続可能である印刷機能を含む複合装置であって、
装置の全体的な制御を行うボードを制御する制御手段と、
オプションボードを制御する制御手段と、
装置の全体的な制御を行うボードとオプションボードとの間に設けられ、装置の全体的な制御を行うボードとオプションボードとで通信を行う手段と、装置の全体的な制御を行うボードとオプションボードとの間の信号の一部の入出力方向を装置の全体的な制御を行うボード側で切り替えて設定する手段を備え、
装置の全体的な制御を行うボードとオプションボードとで通信を行った結果にもとづき、装置の全体的な制御を行うボードとオプションボードとの間の信号の一部の入出力方向を装置の全体的な制御を行うボード側で切り替えて設定することを特徴とする複合装置。
【請求項2】
前記機能を拡張するオプションボードは、活線抜挿可能であることを特徴とする請求項1に記載の複合装置。
【請求項3】
前記機能を拡張するオプションボードはプリンタ機能を拡張することを特徴とする請求項1または2に記載の複合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−116903(P2006−116903A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309653(P2004−309653)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】