複層型放熱ユニットを用いたヒートシンク
【課題】ベースプレート上に放熱ユニットが熱的に接続されたヒートシンクにおいて、冷却性能を向上させた複層型放熱ユニットを用いたヒートシンクを提供する。
【解決手段】放熱ユニットを、ベースプレート1に垂直な面内において板状金属部分と開口穴部分とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に形成されてなる第1および第2のフィン層が平行に配置されてなる複層型とし、かつその複層型放熱ユニット60A、60Bを、V字型もしくはそれに準じた配列とし、全体のヒートシンク構成として、入口部から流入した冷却用流体が第1フィン層の開口穴部分に導かれて、少なくともその一部が第1、第2フィン層の間をそれらに沿って移動した後、第2フィン層の開口穴部分から出口部8に導かれる構成とした。
【解決手段】放熱ユニットを、ベースプレート1に垂直な面内において板状金属部分と開口穴部分とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に形成されてなる第1および第2のフィン層が平行に配置されてなる複層型とし、かつその複層型放熱ユニット60A、60Bを、V字型もしくはそれに準じた配列とし、全体のヒートシンク構成として、入口部から流入した冷却用流体が第1フィン層の開口穴部分に導かれて、少なくともその一部が第1、第2フィン層の間をそれらに沿って移動した後、第2フィン層の開口穴部分から出口部8に導かれる構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、CPU、集積回路、半導体素子等の各種電子部品、電子機器、そのほか各種電気機器などの放熱のために使用されるヒートシンクに関するものであり、特に放熱効率に優れ、少ない部品点数で製作が簡単なヒートシンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、CPUや集積回路、半導体素子などの電子部品、電子機器や各種電気機器においては、放熱のためにヒートシンクを設けることが多い。この種のヒートシンクの従来の代表的な例を図22に示す。
【0003】
図22において、CPUや集積回路、半導体素子等の発熱源が熱的に接続されるベースプレート1は、アルミニウムや銅、あるいはそれらの合金等の熱伝導率が高い金属からなるものであり、そのベースプレート1上には、同様に熱伝導率が高い金属からなる長板状の複数の放熱フィン2が平行に立設されて、全体としてヒートシンク3が構成されている。
【0004】
上述のような図22に示す従来の一般的なヒートシンクを実際に使用するにあたっては、冷却用流体として例えば空気を、図22中の矢印Pで示すように一方の端部からベースプレート1の上面に沿いかつその長手方向(板状放熱フィン2の板面に沿う方向)に吹付け、隣り合う放熱フィン2同士の間に空気を流して他方の端部からヒートシンク3外に流出させ、これにより発熱部品からベースプレート1を介して板状放熱フィン2に伝達された熱を大気中に放熱させる。
【0005】
ところでこのような従来の一般的なヒートシンクにおいては、板状放熱フィンの長さ(冷却用空気の風上側から風下側へ向かう方向の長さ)が長かったり、また隣り合う板状放熱フィンの相互間の間隔が小さければ、放熱フィンにおける風上側の部分の表面には冷たい空気が接するものの、放熱フィンの風下側の部分に接する空気は、既に温度上昇してしまっている状態となり、そのため全体として充分な放熱効果が得られないばかりでなく、特にベースプレートにおける放熱フィンの風下側の部分付近に近接して熱的に接続された発熱部品の放熱が充分に行われない、という問題がある。
【0006】
ここで、放熱フィンの相互間の間隔を大きくし、また冷却効率の向上を期待して多量の冷却用空気を高速で流すことも考えられるが、この場合には、所定サイズのヒートシンクに設け得るフィンの枚数が減って放熱部の総面積が少なくなるとともに、隣り合う放熱フィンの間の中央部分を高速で空気が通り抜けるようになるだけであって、熱交換は充分に行なわれない。
【0007】
このように従来の一般的な図22に示すヒートシンクでは、充分な放熱効果が得られず、特に縦深に配置した複数の発熱部品を冷却する場合、とりわけ風下側の発熱部品を効果的に冷却することができなかったのである。
【0008】
このような問題を解決するために、既に特許文献1に示すようなヒートシンクが提案されている。この特許文献1に示されるヒートシンクは、基本的には、多数配設された板状放熱フィンの間を流れる冷却用空気の流速を下げて、温度境界層(すなわち冷却空気流がフィンの間を通過する際に、放熱フィンの表面に接しながら流れることにより熱が伝わって来て温度上昇する空気流の部分と、放熱フィンの表面から離れて熱の影響を受けない空気流の部分との間に形成される境界部分の層)が、隣の板状放熱フィンの境界層と重なり合うようにすることによって、ヒートシンクの板状放熱フィンの表面の温度を、平均的に風下側(ヒートシンク出口側)の温度に近くなるようにすることができる、という考え方に基いてなされたものである。
【0009】
このような特許文献1の発明のヒートシンクの構造のいくつかの例を図16〜図21に示す。なお、特許文献1の発明では複数の板状フィン2が縦方向に所定の間隔で配置されているものを称して「フィン部」と呼んでいるが、ここでは、それを1つの「放熱ユニット」と考える。
【0010】
これらのうち、図21の例について説明する。この例では、少なくとも一つの発熱部品が熱的に接続されるベースプレート1の上に、複数の板状フィン2が縦方向(入口部5の側から出口部8の側に向かう方向)に所定の間隔で配置されて1つの放熱ユニット4(注:特許文献1では、これは「フィン部」と称されている。)が形成され、そして、2個のこれらの放熱ユニットずつでV字型(注:特許文献1ではこの配置は「ハの字型」と称されているが、先端部が互いに接するように配置されるところから、「V字型」と称する方が適切であるので、ここでは、「V字型」と表現する)が形成されている。すなわち、冷却用空気の流れPの方向に入口部5の側から出口部8の側に向かって前記2個の放熱ユニット4の相互の間隔が漸次狭くなるように配置され、かつこれらの2個の放熱ユニット4が前記出口部8側における放熱ユニット端部で互いに接するように配置されている。
【0011】
このような配置では、冷却用空気の流れが横方向(前記入口部から前記出口部に向かう方向に垂直な方向)に誘導されて、各放熱ユニット4内で縦方向に所定の間隔で配置されている板状フィン2の間を通過して流れるようになる。
【0012】
図21に示すように、1対の放熱ユニット4からなるV字型配置を前記ベースプレート1の板面と平行な面内において横方向に間断なく連続的に配置することにより、多数のV字型配置の内側に冷却用空気の流れを誘導することができる。
【0013】
上述のような特許文献1の提案の発明によれば、同一包絡体積で冷却能力が高く、風上風下方向で概ね温度差を生じることなく(すなわち風下でもフィンに冷たい空気が接する)放熱効率に優れたヒートシンクを得ることができる。特に放熱フィンが配置されるベースプレートが長いヒートシンクの場合、放熱効率が顕著に優れているヒートシンクが得られる。
【0014】
また、特許文献1とは別の方法で冷却能力を向上させるものとして、特許文献2に示すようなヒートシンクが提案されている。特許文献2の提案では、複数の直線フィンを備えたヒートシンクに発熱体を配したヒートシンク冷却装置において、直線フィンの流入側の上流に、直線フィンの長手方向に対し斜めに別のフィンを配したものである。これにより、別のフィンから流出する流体は直線フィンに斜めに流入し、直線フィンの各々のフィン負圧面側で空気層の剥離が生じて、フィン表面の熱伝達率が増加し、冷却能力を向上させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−205421号公報
【特許文献2】特開2004−281484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述した通り、特許文献1で提案されているヒートシンクは冷却性能に優れるものであるが、しかしながら特許文献1のヒートシンクでは、例えば図16〜図21から分かるように放熱ユニット自体がかなりの厚さを有している。その結果、このヒートシンクでは、その入口部から放熱ユニットに到るまでの冷却用流体の通路(図21の例で言えば、V字型配置の手前側でV字型に挟まれた空間のことを指す)、および放熱ユニットを出てからヒートシンクの出口部に到るまでの冷却用流体通路(図21の例で言えば、V字型配置の向こう側でV字型に挟まれた空間のことを指す)が、その放熱ユニット自体の厚さ分だけ狭くなってしまい、そのため冷却用流体が流れにくくなり、圧損も大きくなって、必ずしも充分な冷却効率が得られなくなるおそれがある。後述するように、この問題は、図21に示されるV字型配置においてV字型を構成する2つの放熱ユニットがなす角度θが小さくなるほど、顕著となる。
【0017】
このような問題を解決するためには、放熱ユニット自体の厚さをできるだけ薄くすることが望まれるが、従来はこの点については特に検討がなされていなかったのが実情である。
【0018】
この発明は以上の事情を背景としてなされたものであって、冷却性能を大きく低下させることなく放熱ユニット自体の厚さを薄くすることを可能にし、これにより圧損を小さくして冷却効率をより一層向上させ得るようにしたヒートシンクを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、前記課題を解決するための手段について種々検討を進めた。
【0020】
まず、特許文献1で提案されている図21に示したような1対の放熱ユニットがV字型(特許文献1では「ハの字型」と称されているが、前述のようにここでは「V字型」と称する)に配置されたヒートシンクにおいて、V字型のフィン配列の開き角度、すなわちV字型を構成する2つの放熱ユニットがなす角度θがヒートシンクの冷却効率に対して及ぼす影響について考察すれば、次の通りである。
【0021】
V字型のフィン配列においては、図21から容易に理解できるように、開き角度θを小さくするほど、ベースプレートの一定の幅(入口部5の側から出口部8の側に向かう方向に垂直な方向を幅方向というものとする)の上に設けることのできる放熱ユニットの数を、より多くすることができる。ヒートシンクの冷却効率を高めるためには、もちろん所定範囲の空間の中にできるだけ多数のフィンを存在させることが好ましい。
【0022】
しかしながら、開き角度θを小さくした場合には、両側の放熱ユニット4に挟まれた領域(すなわち入口部5から放熱ユニット4に到るまでの冷却用流体の通路、および放熱ユニット4を通過した後に放熱ユニット4から出口部8に向かう冷却用流体の通路に相当する領域)は狭くなってしまう。
【0023】
ヒートシンクの冷却効率を上げるためには、ベースプレートの一定の幅の中にできるだけ多数の放熱ユニットを存在させ得るように開き角度θを小さくすることが好ましいが、その一方で、開き角度θを過度に小さくすることによって冷却用流体の通路が狭くなり過ぎてしまっては、逆に冷却効率は低下してしまう。
【0024】
そこで、開き角度θを小さくしても冷却用空気の通路をより広く確保することが可能となるような方策が求められる。そのためには、放熱ユニット自体の“厚さ”を薄くすれば良いと考えられる。すなわち、例えば図21に示したV字型のフィン配列において冷却効率の良いヒートシンクを実現するためには、V字型のなす角度θを小さくすると同時に、放熱ユニット自体の“厚さ”を薄くすることが望まれる。
【0025】
ここで、放熱ユニットがV字型に配置される図21に示すようなヒートシンクの場合、放熱ユニット4のフィン列面(各板状フィン2が並んでいる面)に対して、各板状フィン2の板面がなす角度α(図23参照)を小さくするほど、放熱ユニットの“厚さ”(図23に“t”として示す)は薄くなる。
【0026】
そこで放熱ユニット4の厚さを薄くする極限として、角度αを0°にする実験を行なった(図1参照)。但し板状フィン2同士が連接して、全体が1枚の板状になってしまっては、冷却用流体は放熱ユニット4を通り抜けることができず、閉塞状態となってしまうことから、板状フィン2同士の間隔を空けるようにした。すなわち、ベースプレート1に垂直な面内において板状金属(フィン)部分21と開口穴部分22とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に配置されるような、いわば“フィン層”を形成した。
【0027】
このような配置で冷却性能を調べたが、期待する程の良い結果は得られなかった。その原因は、これでは放熱ユニットの所定範囲の空間の中に存在することができる板状フィンの数が少なくなり過ぎ、それに伴ない冷却に寄与するフィンの合計表面積があまりに少なくなってしまうことにあると考えられる。
【0028】
そこで、上述の図1に示される各フィン層(これらを第1のフィン層F1とする)の後方に、上記各フィン層F1に対して所定の間隔を保ってそれと平行にもう一つの同様な各フィン層(これらを第2のフィン層F2とする)を配置することにより、放熱ユニットの所定範囲の空間の中に存在する板状フィンの数を増すことを試みた(図2参照)。このように配置すれば、フィン層F1のみの場合に比べて、第2のフィン層F2の厚さ自体および第1のフィン層F1と第2のフィン層F2との間の空隙分だけ放熱ユニット全体の厚さが増加することにはなるが、例えば図21や図19に示されるような配置において板状フィン列が占める厚さほどには至らない。所定の間隔を保ってそれと平行に配置された2つのフィン層からなるこのような配置の放熱ユニットを、ここで“複層型放熱ユニット”と称することにする。
【0029】
すなわち、この明細書で言う複層型放熱ユニットとは、図2に示すようにベースプレートに垂直な面内において板状金属部分61と開口穴部分62とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に配置されてなる第1のフィン層F1と、その第1のフィン層F1に対して所定の間隔を保ってそれに平行に配置される第2の同様なフィン層F2(この第2のフィン層F2の板状金属部分を符号63、開口穴部分を符号64でそれぞれ示す)とから構成されるものである。
【0030】
このような配置構成では、ヒートシンクの入口部(図2でいえば下側)から流入して来た冷却用流体は、まず第1フィン層F1のフィン板(板状金属部分61)の板面と接触してその熱を奪いながら開口穴部分62に至り、続いてその開口穴部分62を通り抜けて第1フィン層F1と第2フィン層F2との間に至り、そしてそれらのフィン層に沿って移動する間に、第1フィン層F1のフィン板(板状金属部分61)の板面および第2フィン層F2のフィン板(板状金属部分63)の板面に接触して、その熱を奪いながら第2フィン層の開口穴部分64に至り、そしてその開口穴部分64を通り抜けてヒートシンクの出口部(図2でいえば上側)に向かうことになる。このとき、第1フィン層F1と第2フィン層F2の間に流れ込んだ冷却用流体は、第1フィン層F1の板状金属部分61の板面と第2フィン層F2の板状金属部分63の板面との間に挟まれて蛇行しながらそれらの間をうねりつつ、それらの板面に沿って移動する動きが生じ、そのため冷却用流体とフィン板面との接触機会が多くなって放熱プロセスが効果的に進行するのである。
【0031】
ここで、第1フィン層F1は、その板面が、冷却用流体の入口部からの流入方向に対して斜めに(圧力の“ポテンシャル”面を考えたときには、あたかもそれに立ちはだかるかの如くであるので、むしろ「垂直に」)位置していることから、冷却用流体は第1フィン層F1の板面に対して強く押し付けられるところとなり、冷却用流体から第1フィン層F1への熱伝達率が増加して冷却性能が向上することが期待される。また、前記特許文献2(特に[0021]欄)で説明されているところと同様に、各々のフィン負圧面側で空気層の剥離が生じて、フィン表面の熱伝達率が増加し、冷却能力を向上させることになる。
【0032】
ところで、複層型放熱ユニット各フィン層に交互に周期的に配置される板状金属部分61または63と開口穴部分62または64とが、お互いに相補し合うように配置される場合には、これらの第1フィン層F1および第2フィン層F2を、共通する一枚の金属板から作成することができる。その具体的構成については後に改めて詳細に説明するが、その代表的な例を図3〜図5に示し、その概略を次に説明する。
【0033】
すなわち、図3〜図5に示すように、一枚の金属板51から、上下の縁部53、55を残したほかは連続して並列する多数の帯状ゾーン57(図5参照)を形成するべく切り込まれた多数の上下方向切れ目59(図5参照)を境にして、それらの帯状ゾーン57が板面の両側に向けて交互に押し出すまたは引き込むように折り曲げ成形されることにより、押し出し帯状ゾーンの全体および引込み帯状ゾーンの全体が各々前記第1のフィン層F1および第2のフィン層F2をなすように構成されるようにすることができる。このようにすれば、一枚の金属板からの切り込みおよび折り曲げ成形のみで複層型放熱ユニットの第1のフィン層F1と第2のフィン層F2とを同時に形成することができるため、製造が極めて容易となる。
【0034】
ここで、複層型放熱ユニットをV字型に配置して構成したヒートシンクについて、そのV字型を構成する2つの複層型放熱ユニットがなす角度、すなわち開き角度θ(図21、図23参照)の影響について改めて考察する。開き角度θを小さくするほど、ベースプレート上の一定の幅に設けることのできる複層型放熱ユニットの数は、より多くすることができる。ヒートシンクの冷却効率を高めるためには、既に述べたように一定の範囲の空間の中にできるだけ多数の複層型放熱ユニットを存在させることが望ましいことはもちろんである。
【0035】
しかしながら、開き角度θを小さくした場合には、前述した通り、両側の複層型放熱ユニットに挟まれた領域(入口部から複層型放熱ユニットに至るまで、または複層型放熱ユニットを通過した後に複層型放熱ユニットから出口部に向かう冷却用流体の通路に相当する領域)は、狭くなってしまう。
【0036】
このように開き角度θに関しては相反する二つの側面が有り、ヒートシンクの冷却効率を上げるためには、ベースプレート上の一定の幅のうちにできるだけ多数の複層型放熱ユニットを存在させ得るように開き角度θを小さくすることが好ましいのであるが、その一方で、開き角度θを小さくすることにより冷却用流体の通路が狭くなり過ぎてしまっては逆に冷却効率は低下してしまうという問題が生じる。
【0037】
例えば、V字型を構成する二個の複層型放熱ユニットのなす開き角度θを20°以内にすることにより、ベースプレート上の一定の幅のうちにかなりの多数の複層型放熱ユニットを設けることができるのであるが、開き角度θを10°以内にすれば、その数は増してベースプレート上の一定の幅のうちに設けることができる複層型放熱ユニットの数は、開き角度θが20°である場合のほぼ2倍以上に増すことができる。さらに開き角度θを5°以内にすることにより、ベースプレート上の一定の幅のうちに設けることができる複層型放熱ユニットの数は、開き角度θが10°である場合の更に2倍以上に増すことができる。
【0038】
一方、冷却用流体の通路に関しては、放熱ユニットを図2に示したような第1フィン層F1および第2フィン層F2からなる複層型放熱ユニットとすることにより、放熱ユニット自体の厚さを薄くすることができるから、このようなV字型配列構造としても、より高い冷却効率を確保することが可能となるのである。そこでこの発明では、放熱ユニットを第1フィン層F1および第2フィン層F2からなる複層型放熱ユニットとすると同時に、V字型配列構造もしくはそれに準じた構造を適用することとした。
【0039】
なお本願は、本願出願人による特願2010−88244を原出願とする分割出願であり、基本的には、原出願の出願当初の特許請求の範囲の請求項4、5、9、10に係る発明を分割したものである。具体的には、この発明は次の通りである。
【0040】
すなわち請求項1の発明は、
発熱部品が熱的に接続されるベースプレート上に、冷却用流体への伝熱を行なうための放熱ユニットが前記ベースプレートと熱的に接続される状態で設けられてなるヒートシンクにおいて、
冷却用流体が流入する入口部と、冷却用流体が流出する出口部とを有し、
かつ前記放熱ユニットは、それぞれベースプレートに垂直な面内において板状金属部分と開口穴部分とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に形成されてなる第1のフィン層および第2のフィン層が、それらの層間に相互に所定の間隔を保って平行に配置された複層型放熱ユニットによって構成され、しかもその複層型放熱ユニットが2個のものが設けられており、
ヒートシンクにおける冷却用流体の流れを誘導するための構成として、前記2個の複層型放熱ユニットの相互の間隔が前記入口部側から前記出口部側に向かって漸次狭くなるように配置されかつこれらの2個の複層型放熱ユニットが前記出口部側における複層型放熱ユニット端部で互いに接するように(したがっていわゆるV字型配列となるように)配置されており、
しかも前記複層型放熱ユニットのそれぞれにおいては、前記入口部の方向からヒートシンク内に流入した冷却用流体が、前記入口部の方向から複層型放熱ユニットの第1のフィン層の開口穴部分に導かれて、その開口穴部分を通り抜けた冷却用流体の少なくとも一部が、第1のフィン層と第2のフィン層との間を、前記入口部の方向から前記出口部の方向に向かい、前記板状金属部分の板面に沿って移動した後、第2のフィン層の開口穴部分から前記出口部の方向に導かれるように、冷却用流体の流れを誘導する構成とされていることを特徴とするものである。
【0041】
また請求項2の発明は、
請求項1に記載の複層型放熱ユニットを用いたヒートシンクにおいて、
前記2個の複層型放熱ユニットの配置が、前記ベースプレートの板面と平行な面内において前記入口部から前記出口部に向かう方向に垂直な方向に複数回繰り返されて間断なく接続されていることを特徴とするものである。
【0042】
さらに請求項3の発明は、請求項1で規定しているいわゆるV字型の配列に準じた配列構造を規定している。
すなわち請求項3の発明は、
発熱部品が熱的に接続されるベースプレート上に、冷却用流体への伝熱を行なうための放熱ユニットが前記ベースプレートと熱的に接続される状態で設けられてなるヒートシンクにおいて、
冷却用流体が流入する入口部と、冷却用流体が流出する出口部とを有し、
かつ前記放熱ユニットは、それぞれベースプレートに垂直な面内において板状金属部分と開口穴部分とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に形成されてなる第1のフィン層および第2のフィン層が、それらの層間に相互に所定の間隔を保って平行に配置された複層型放熱ユニットによって構成され、
ヒートシンクにおける冷却用流体の流れを誘導するための構成として、その複層型放熱ユニットと組み合わせて第1の側壁板および第2の側壁板が用いられており、そのうち第1の側壁板は、前記複層型放熱ユニットの第1のフィン層の側の空間において前記入口部および前記第1のフィン層の開口穴を除くほかは冷却用流体の流出および冷却用流体以外の流体の流入を防止するように、しかも第1のフィン層と第1の側壁板との間隔が前記入口部側から前記出口部側に向かって漸次狭くなって出口部側における放熱ユニット端部で両者が実質的に接するように配設され、また第2の側壁板は、前記複層型放熱ユニットの第2のフィン層の側の空間において前記第2のフィン層の開口穴および前記出口部を除くほかは冷却用流体の流出および冷却用流体以外の流体の流入を防止するように、しかも第2のフィン層と第2の側壁板との間隔が前記出口部側から前記入口部側に向かって漸次狭くなって入口部側における放熱ユニット端部で両者が実質的に接するように配設され、
しかも前記複層型放熱ユニットのそれぞれにおいては、前記入口部の方向からヒートシンク内に流入した冷却用流体が、前記入口部の方向から複層型放熱ユニットの第1のフィン層の開口穴部分に導かれて、その開口穴部分を通り抜けた冷却用流体の少なくとも一部が、第1のフィン層と第2のフィン層との間を、前記入口部の方向から前記出口部の方向に向かい、前記板状金属部分の板面に沿って移動した後、第2のフィン層の開口穴部分から前記出口部の方向に導かれるように、冷却用流体の流れを誘導する構成とされていることを特徴とするものである。
【0043】
また請求項4の発明は、
前記複層型放熱ユニットと第1および第2の側壁板との組み合わせの二つ以上が、前記ベースプレートの板面と平行な面内において前記入口部から前記出口部に向かう方向に垂直な方向に複数回繰り返されており、しかも隣り合う二つの組み合わせの相互間では、一方の組み合わせの第2の側壁板と他方の組み合わせの第1の側壁板とが一体の側壁板として共用されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0044】
この発明のヒートシンクにおいては、複層型放熱ユニットを用いることにより、冷却効率を大きく損なうことなく複層型放熱ユニット自体の厚みを薄くすることができ、そのため、所定の幅を有するベースプレート上に、V字型もしくはそれに準じた配列で、より多数の複層型放熱ユニットを存在させ得るので放熱金属板(フィン)の総面積を増すことができることとなり、冷却効率を向上させることができる。
【0045】
また、複層型放熱ユニット自体の厚みが薄いことから、所定の幅を有するベースプレート上の空間に占める冷却用流体の通路、すなわちヒートシンク入口部から放熱ユニットに至るまでの冷却用流体の通路、および放熱ユニットを通過した後にその放熱ユニットからヒートシンク出口部に向かう冷却用流体の通路を、より広く確保することが可能となり、ヒートシンクの全体的な冷却効率を向上させることができ、また同時に冷却用流体に対する圧力損失を、より小さくすることができ、このことも冷却効率の向上に寄与している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、この発明の前提となる考え方を説明するための、放熱ユニットの模式的な平面図である。
【図2】図2は、この発明の原理的な考え方を説明するための、放熱ユニットの模式的な平面図である。
【図3】図3は、この発明のヒートシンクに使用される複層型放熱ユニットの一例を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3に示す複層型放熱ユニットの平面断面図で、図3のa−a面で切断して示すものである。
【図5】図5は、図3に示す複層型放熱ユニットを切り起こし加工する前の一枚の金属板の帯状ゾーンを示す図である。
【図6】図6は、この発明の第1の実施例のヒートシンクを示す略解的な斜視図である。
【図7】図7は、図6に示すヒートシンクの略解的な平面図である。
【図8】図8は、この発明のヒートシンクの作用、特に冷却用流体の流れについて行なった実験を説明するための図で、その(A)は実験に用いたヒートシンクの全体構成を示す略解的な平面断面図、(B)は(A)の上流側の一部Bを拡大して示す略解的な平面断面図、(C)は(A)の下流側の一部Cを拡大して示す略解的な平面断面図である。
【図9】図9は、この発明のヒートシンクに使用される複層型放熱ユニットの他の例を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す複層型放熱ユニットの平面断面図で、図9のb−b面で切断して示すものである。
【図11】図11は、この発明のヒートシンクに使用する複層型放熱ユニットのさらに他の例を、分解状態で示す斜視図である。
【図12】図12は、この発明の第2の実施例のヒートシンクを示す略解的な斜視図である。
【図13】図13は、この発明の第3の実施例のヒートシンクを示す略解的な斜視図である。
【図14】図14は、図13に示すヒートシンクの略解的な平面断面図である。
【図15】図15は、この発明の第4の実施例のヒートシンクを示す略解的な斜視図である。
【図16】図16は、従来提案されている熱交換器の第1の構造例を示す模式的な一部切欠斜視図である。
【図17】図17は、図16に示される熱交換器の模式的な平面図である。
【図18】図18は、従来提案されている熱交換器の第2の構造例を示す模式的な平面図である。
【図19】図19は、従来提案されている熱交換器の第3の構造例を示す模式的な平面図である。
【図20】図20は、従来提案されている熱交換器の第4の構造例を示す模式的な斜視図である。
【図21】図21は、従来提案されている熱交換器の第5の構造例を示す模式的な斜視図である。
【図22】図22は、従来の一般的な熱交換器の代表的な例を示す模式的な斜視図である。
【図23】図23は、従来提案されているヒートシンクにおける板状フィンの角度に関して説明するための模式的な平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下にこの発明の各実施例について、図面を参照して説明する。
【0048】
図6および図7は、請求項1の発明に対応する第1の実施例のヒートシンクを示すものである。
【0049】
図6、図7において、ベースプレート1は、図示しない半導体素子、集積回路、CPU等の発熱部品が裏面側に熱的に接続されるものであり、アルミニウム、銅、あるいはそれらの合金などの熱伝導性が良好な材料によって、例えば方形厚板状に作られており、これらのベースプレート1の表側には、一対の複層型放熱ユニット60A、60Bが、V字型をなすように立設されている。これらの複層型放熱ユニット60A、60Bは、既に述べたようにいずれも二つのフィン層、すなわち第1のフィン層F1および第2のフィン層F2からなるものであり、各フィン層F1、F2は、いずれも複数の板状金属部分(すなわちフィン板部分)61と複数の開口穴部分(すなわちスリット部分)63とが、板状金属部分の板面と平行な方向を周期方向として交互に周期的に配列されるように構成されている。そして、これらの第1、第2のフィン層F1、F2が所定間隔を置いて平行に配列されて、一つの複層型放熱ユニット60A(もしくは60B)を構成している。そして、このようにそれぞれ二つのフィン層F1、F2からなる二つの複層型放熱ユニット60A、60Bは、前記板状金属部分(フィン板部分)61の板面がベースプレート1に垂直な面となり、かつその複数の板状部分61のなす面がV字型をなすようにベースプレート1上に立設されているのである。なおこのように二つの複層型放熱ユニット60A、60Bをベースプレート1上に配置する場合、そのV字型の開いた側がヒートシンクの入口部5、V字型の閉じた側がヒートシンクの出口部8とされるのが通常である。
【0050】
前述のように構成された複層型放熱ユニット60A(もしくは60B)においては、ベースプレート1上の一方の側の入口部5から流入してきた冷却用流体は、先ず第1フィン層F1のフィン板(板状金属部分)61の板面に接触してその熱を奪いながら開口穴部分62に至り(図2参照)、そしてそれらの第1のフィン層F1と第2のフィン層F2との間の空間を、これらのフィン層F1、F2に沿って、すなわち板状金属板部分61および63の板面に沿って移動する間に、第1フィン層F1の板状金属部分61および第2フィン層F2の板状金属板部分63に接触して、その熱を奪いながら第2フィン層F2の開口穴部分64に至り、そしてその開口穴部分64を通り抜けて、出口部8に向かうことになる。
【0051】
このとき、第1フィン層F1と第2フィン層F2との間に至った冷却用流体は、第1フィン層F1と第2フィン層F2の間を蛇行しつつ幾度もそれらの間をうねりながらそれらに沿って移動する動きも加わり、これにより冷却用流体とフィン板との接触機会が多くなり、放熱プロセスが効果的に進行する。この様子を、冷却用流体が空気である場合についてコンピュータシミュレーションにより確認した結果を、図8の(A)〜(C)を参照して説明する。
【0052】
図8において、(A)はV字型に配列された一対の複層型放熱ユニット(それぞれ第1フィン層F1および第2フィン層F2からなるもの)60A、60Bの複数組を、それぞれのV字型の開き側の端部が接するようにベースプレート1上に配置したヒートシンクの構成(この構成については、詳細には後に改めて図12を参照して説明する)を示すものであり、このヒートシンクの右側を入口部5、左側を出口部8として、入口部5の側から冷却用流体として空気を流し込むコンピュータシミュレーションを行なった。このときの図8(A)における鎖線Bで囲んだ一つの複層型放熱ユニット60Bについて、空気の流れを調べて概略的に表現した結果を図8の(B)、(C)に示す。ここで、図8(B)は、図8(A)の鎖線Bで囲った部分、すなわち複層型放熱ユニット60Bにおける風上側の部分を拡大して示し、図8(C)は、図8(A)の鎖線Cで囲った部分、すなわち複層型放熱ユニット60Bにおける風下側の部分を拡大して示し、また空気の流れを太線矢印で示す。
【0053】
図8(B)、図8(C)に示すように、風上側の部分B、風下側の部分Cのいずれにおいても、空気は第1フィン層F1と第2フィン層F2との間を、それらの板面に沿いながらうねるように流れていることが確認された。
【0054】
なお、複層型放熱ユニットを構成する第1フィン層F1および第2フィン層F2は、後に改めて説明するようにそれぞれ別の金属板から作成(すなわち二枚の金属板のうちの一方から第1フィン層F1を、他方から第2フィン層F2を形成)しても良いが、図3〜図5に示すように、一枚の金属板51から同時に第1フィン層F1、第2フィン層F2を形成することが望ましい。
【0055】
すなわち、複層型放熱ユニット60A(60B)の第1フィン層F1および第2フィン層F2として交互に周期的に形成される板状金属部分61または63と開口穴部分62または64とが互いに相補しあうように配置される場合においては、複層型放熱ユニット60A(60B)の第1フィン層F1および第2フィン層F2を、それらが全体として連続する一枚の金属板51の板面から切起したものとすることができる。具体的には、図3〜図5に示すように、一枚の金属板51に、上下の縁部53、55を残して上下方向に沿う多数の切れ目59(図5参照)を所定間隔を置いて平行に形成することにより、各切れ目59の間に平行に帯状ゾーン57(図5参照)を形成し、かつその多数の帯状ゾーン57を、交互に板面の反対側に押し出し状に切起して、板面の一方の側に切起された複数の帯状ゾーン57がそれぞれ第1フィン層F1の板状金属部分61を構成するとともに、板面の他方の側に切起された複数の帯状ゾーン57が、それぞれ第2フィン層F2の板状金属部分63を構成するようにすることができる。言い換えれば、この複層型放熱ユニット60A(60B)においては、第1フィン層F1の板状金属部分61と第2フィン層F2の板状金属部分61、63が、一枚の金属板51の縁部53、55を共通部分として、その一枚の金属板51の板面を切起す(押し出す)ことによって作成されていることになる。
【0056】
このように複層型放熱ユニット60A(60B)を作る場合には、一枚の金属板の板面からの切起し(押し出し)によって第1、第2のフィン層F1、F2を同時に作成することができるため、製造が容易となり、またヒートシンクの組立てのための作業においても、第1、第2のフィン層F1、F2を個別にベースプレート上に取付ける必要がなく、組立作業も容易となる。
【0057】
ここで、図3〜図5に示す例では、一枚の金属板51の板面の両側に押し出し状に切起すことによって第1、第2のフィン層F1、F2の各板状金属部分61、63が元板の両面側(金属板51の縁部53、55を含む面に対しての両面側)に出張るようにしているが、場合によっては、一枚の金属板51の片面側のみにその板面を押し出し状に切起すことによっても、前記同様に一枚の金属板51から第1、第2のフィン層F1、F2を有する複層型放熱ユニットを作成することができる。その場合の例を図9、図10に示す。
【0058】
すなわち図9、図10に示す複層型放熱ユニットにおいては、一枚の金属板51に、上下の縁部53、55を残して上下方向に沿う多数の切れ目59を所定間隔を置いて平行に形成することにより、各切れ目59の間に平行に帯状ゾーンを形成し、その多数の帯状ゾーンを、一つ置きに板面の一方の側に押し出し状に切起して、その板面の一方の側に切起された複数の帯状ゾーンによって第1フィン層F1の板状金属部分61を構成し、かつ板面から押し出し状に切起されずに残った複数の帯状ゾーン(すなわち上下の縁部53、55と同一面状に位置する帯状ゾーン)によって、第2フィン層F2の板状金属部分63を構成している。
【0059】
このような図9、図10に示される複層型放熱ユニットも、図3〜図5に示す複層型放熱ユニットと同様に、一枚の金属板51から第1、第2のフィン層F1、F2を有するものを同時に作成することができるため、製造が容易となり、またヒートシンクの組立作業も容易となる。
【0060】
なお図3〜図5に示す複層型放熱ユニット、および図9、図10に示す複層型放熱ユニットは、いずれも一枚の金属板から第1、第2のフィン層F1、F2を有するものを作成する場合について説明したが、製造の容易さ等を犠牲にすれば、第1フィン層F1、第2フィン層F2を、それぞれ別の金属板から作成しても良いことはもちろんである。すなわち、例えば図11に示すように、第1の金属板51Aに、複数の板状金属部分61と複数の開口穴部分62とを交互に形成し、同時に第2の金属板51Bに複数の板状金属部分63と複数の開口穴部分64とを交互に形成し、これらの第1、第2の金属板51A、51Bの縁部を、ろう付け等の適宜の手段によって接合して、第1の金属板51Aを第1フィン層F1としかつ第2の金属板51Bを第2フィン層F2とする複層型放熱ユニットを作成しても良い。
【0061】
以下に、さらにこの発明のヒートシンクを具体化した実施例について、図12〜図15を参照して説明する。
【0062】
先ず、図12は、請求項1、請求項2の発明に対応するヒートシンクを示すものであり、請求項1に記載された複層型放熱ユニット(図6、図7参照)の配置、すなわち一対の複層型放熱ユニット60A,60BのV字型配置を、ベースプレート1の板面と平行な面内において前記入口部5から前記出口部8に向かう方向に垂直な方向に複数回繰り返して間断なく接続した構成を示す。このような構成によれば、制約された一定の空間の中に、多数の複層型放熱ユニットを効率的に設けることができる。
【0063】
さらに図13、図14には、この発明のヒートシンクの別の例、すなわち請求項3の発明に対応する例を示す。
【0064】
この図13、図14の例では、ベースプレート1上に、1枚の前記と同様な複層型放熱ユニット60Aが、入口部5から出口部8に向かう方向と平行に立設されており、その複層型放熱ユニット60Aの両面側に、2枚の側壁板、すなわち第1の側壁板71Dおよび第2の側壁板71Eが、それぞれ複層型放熱ユニット60Aに対しV字型をなすように配置されている。すなわち、複層型放熱ユニット60Aの第1フィン層F1の側の空間では、第1フィン層F1と第1の側壁板71Dとの間隔が、入口部5の側から出口部8の側に向かって漸次狭くなって出口部8の側における放熱ユニット端部で両者が実質的に接するように構成されるとともに、複層型放熱ユニット60Aの第2のフィン層F2の側の空間では、第2フィン層F2と第2の側壁板71Eとの間隔が、出口部8の側から入口部5の側に向かって漸次狭くなって入口部5の側における放熱ユニット端部で両者が実質的に接するように構成されている
【0065】
さらに図15には、図13、図14に示した複層型放熱ユニットの配置構成、すなわち複層型放熱ユニット60Aと第1の側壁板71Dおよび第2の側壁板71Eとの組み合わせを、ベースプレート1上において入口部5から出口部8に向かう方向に対して垂直な方向に複数回繰返したヒートシンク、すなわち請求項4の発明に対応するヒートシンクの一つの例を示す。
【0066】
すなわち図15に示すヒートシンクは、入口部5から出口部8に向かう方向に垂直な方向に多数の複層型放熱ユニット60Aを所定間隔を置いて並列状に配置して、隣接する複層型放熱ユニット同士に挟まれた空間をV字型の冷却用流体の通路としたものであって、複層型放熱ユニットの両側および隣り合う複層型放熱ユニットの間の側壁板71D〜71Gによって、冷却用流体の通路が、両端側の複層型放熱ユニットの入口部側、出口部側、および中間の複層型放熱ユニットの間に形成されている。この場合も、各側壁板71D、71Eにより、冷却用流体通路の開口方向が入口部5の側と出口部8の側とで交互に切り替わるように構成されている。なお、この場合、図15から明らかなように、隣り合う隣り合う二つの組み合わせの相互間では、一方の組み合わせの第2の側壁板と他方の組み合わせの第1の側壁板71Dとが、一体の側壁板として共用されていることになる。
【0067】
以上、各実施例について説明したが、この発明のヒートシンクやそれに使用される複層型放熱ユニットの詳細な形状、寸法あるいは製造方法等は特に限られるものではなく、要は、放熱ユニットとしては、それぞれベースプレートに垂直な面内において板状金属部分と開口穴部分とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に形成されてなる第1のフィン層および第2のフィン層が、それらの層間に相互に所定の間隔を保って平行に配置されてなるものを用い、しかも2個の複層型放熱ユニットが、請求項1で規定するようなV字型配列とされるか、もしくは請求項3で規定するような、1個の複層型放熱ユニットと2枚の側壁板とを組み合わせた、V字型に準じた配列とし、さらに、ヒートシンク全体として、前記入口部の方向からヒートシンク内に流入した冷却用流体が、前記入口部の方向から複層型放熱ユニットの第1のフィン層の開口穴部分に導かれて、その開口穴部分を通り抜けた冷却用流体の少なくとも一部が、第1のフィン層と第2のフィン層との間を、入口部の方向から出口部の方向に向かい、前記板状金属部分の板面に沿って移動した後、第2のフィン層の開口穴部分から前記出口部の方向に導かれるように、冷却用流体の流れを誘導し得る構成とされていれば良い。
【0068】
なおこのようなヒートシンクを半導体素子等の電子部品や電気部品などの放熱に使用するにあたっては、例えばくし形ヒートシンクなどの従来からあるヒートシンクの放熱フィンの場合と同様に、複層型放熱ユニットの部分に空気やLLC(ロングライフクーラント)等の冷却用流体を確実に流してやる必要があることは言うまでもない。そのためには、重力で空気を流す自然空冷の場合を除き、空気等の冷却用流体を強制的に複層型放熱ユニットに流すためのファンやポンプなどの冷却用流体の駆動源が冷却用流体の流れの上流もしくは下流に配置されるのが通常である。
【0069】
そして、複層型放熱ユニットを有するヒートシンクの部分に確実に冷却用流体が流れるようにするために、ヒートシンクの外部における冷却用流体の流れる経路がダクト等によって仕切られていることが好ましい。ファンやポンプが冷却用流体の流れの上流に配置される場合には、冷却用流体が経路外に漏れ出すことのないように、またファンやポンプが冷却用流体の流れの下流に配置される場合には、冷却用流体以外の流体が経路外から混入したりすることのないように形成されていることが好ましい。それらのダクト等が配置される場所としては、ヒートシンクの上流側のみ、下流側のみ、上流と下流の両方、のいずれでもかまわない。
【0070】
また複層型放熱ユニットを有するヒートシンクの部分についても同様に、その複層型放熱ユニットを有するヒートシンクを囲うようにダクト等が配置されているのが好ましい。その場合、少なくとも複層型放熱ユニットの上方の開放部分が覆われている必要があり、またその具体的構造として、その覆いが複層型放熱ユニットの上端と接合されて一体になっている構造でもかまわない。またその覆いは、ヒートシンクの上流側のみ、下流側のみ、上流と下流の両方、のいずれかに配置するダクト等と別部品であっても、一体であってもかまわない。
【0071】
なお一般に放熱フィンの部分(この発明の場合は複層型放熱ユニットの部分)に確実に冷却用流体が流れるようにすること自体は、特にこの発明のヒートシンクに限って必要な事柄ではなく、従来からあるヒートシンクにも当てはまるものである。
【符号の説明】
【0072】
1 ベースプレート
5 入口部
8 出口部
60A、60B 複層型放熱ユニット
61、63 板状金属部分
62、64 開口穴部分
71D 第1の側壁板
71E 第2の側壁板
F1 第1のフィン層
F2 第2のフィン層
【技術分野】
【0001】
この発明は、CPU、集積回路、半導体素子等の各種電子部品、電子機器、そのほか各種電気機器などの放熱のために使用されるヒートシンクに関するものであり、特に放熱効率に優れ、少ない部品点数で製作が簡単なヒートシンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
よく知られているように、CPUや集積回路、半導体素子などの電子部品、電子機器や各種電気機器においては、放熱のためにヒートシンクを設けることが多い。この種のヒートシンクの従来の代表的な例を図22に示す。
【0003】
図22において、CPUや集積回路、半導体素子等の発熱源が熱的に接続されるベースプレート1は、アルミニウムや銅、あるいはそれらの合金等の熱伝導率が高い金属からなるものであり、そのベースプレート1上には、同様に熱伝導率が高い金属からなる長板状の複数の放熱フィン2が平行に立設されて、全体としてヒートシンク3が構成されている。
【0004】
上述のような図22に示す従来の一般的なヒートシンクを実際に使用するにあたっては、冷却用流体として例えば空気を、図22中の矢印Pで示すように一方の端部からベースプレート1の上面に沿いかつその長手方向(板状放熱フィン2の板面に沿う方向)に吹付け、隣り合う放熱フィン2同士の間に空気を流して他方の端部からヒートシンク3外に流出させ、これにより発熱部品からベースプレート1を介して板状放熱フィン2に伝達された熱を大気中に放熱させる。
【0005】
ところでこのような従来の一般的なヒートシンクにおいては、板状放熱フィンの長さ(冷却用空気の風上側から風下側へ向かう方向の長さ)が長かったり、また隣り合う板状放熱フィンの相互間の間隔が小さければ、放熱フィンにおける風上側の部分の表面には冷たい空気が接するものの、放熱フィンの風下側の部分に接する空気は、既に温度上昇してしまっている状態となり、そのため全体として充分な放熱効果が得られないばかりでなく、特にベースプレートにおける放熱フィンの風下側の部分付近に近接して熱的に接続された発熱部品の放熱が充分に行われない、という問題がある。
【0006】
ここで、放熱フィンの相互間の間隔を大きくし、また冷却効率の向上を期待して多量の冷却用空気を高速で流すことも考えられるが、この場合には、所定サイズのヒートシンクに設け得るフィンの枚数が減って放熱部の総面積が少なくなるとともに、隣り合う放熱フィンの間の中央部分を高速で空気が通り抜けるようになるだけであって、熱交換は充分に行なわれない。
【0007】
このように従来の一般的な図22に示すヒートシンクでは、充分な放熱効果が得られず、特に縦深に配置した複数の発熱部品を冷却する場合、とりわけ風下側の発熱部品を効果的に冷却することができなかったのである。
【0008】
このような問題を解決するために、既に特許文献1に示すようなヒートシンクが提案されている。この特許文献1に示されるヒートシンクは、基本的には、多数配設された板状放熱フィンの間を流れる冷却用空気の流速を下げて、温度境界層(すなわち冷却空気流がフィンの間を通過する際に、放熱フィンの表面に接しながら流れることにより熱が伝わって来て温度上昇する空気流の部分と、放熱フィンの表面から離れて熱の影響を受けない空気流の部分との間に形成される境界部分の層)が、隣の板状放熱フィンの境界層と重なり合うようにすることによって、ヒートシンクの板状放熱フィンの表面の温度を、平均的に風下側(ヒートシンク出口側)の温度に近くなるようにすることができる、という考え方に基いてなされたものである。
【0009】
このような特許文献1の発明のヒートシンクの構造のいくつかの例を図16〜図21に示す。なお、特許文献1の発明では複数の板状フィン2が縦方向に所定の間隔で配置されているものを称して「フィン部」と呼んでいるが、ここでは、それを1つの「放熱ユニット」と考える。
【0010】
これらのうち、図21の例について説明する。この例では、少なくとも一つの発熱部品が熱的に接続されるベースプレート1の上に、複数の板状フィン2が縦方向(入口部5の側から出口部8の側に向かう方向)に所定の間隔で配置されて1つの放熱ユニット4(注:特許文献1では、これは「フィン部」と称されている。)が形成され、そして、2個のこれらの放熱ユニットずつでV字型(注:特許文献1ではこの配置は「ハの字型」と称されているが、先端部が互いに接するように配置されるところから、「V字型」と称する方が適切であるので、ここでは、「V字型」と表現する)が形成されている。すなわち、冷却用空気の流れPの方向に入口部5の側から出口部8の側に向かって前記2個の放熱ユニット4の相互の間隔が漸次狭くなるように配置され、かつこれらの2個の放熱ユニット4が前記出口部8側における放熱ユニット端部で互いに接するように配置されている。
【0011】
このような配置では、冷却用空気の流れが横方向(前記入口部から前記出口部に向かう方向に垂直な方向)に誘導されて、各放熱ユニット4内で縦方向に所定の間隔で配置されている板状フィン2の間を通過して流れるようになる。
【0012】
図21に示すように、1対の放熱ユニット4からなるV字型配置を前記ベースプレート1の板面と平行な面内において横方向に間断なく連続的に配置することにより、多数のV字型配置の内側に冷却用空気の流れを誘導することができる。
【0013】
上述のような特許文献1の提案の発明によれば、同一包絡体積で冷却能力が高く、風上風下方向で概ね温度差を生じることなく(すなわち風下でもフィンに冷たい空気が接する)放熱効率に優れたヒートシンクを得ることができる。特に放熱フィンが配置されるベースプレートが長いヒートシンクの場合、放熱効率が顕著に優れているヒートシンクが得られる。
【0014】
また、特許文献1とは別の方法で冷却能力を向上させるものとして、特許文献2に示すようなヒートシンクが提案されている。特許文献2の提案では、複数の直線フィンを備えたヒートシンクに発熱体を配したヒートシンク冷却装置において、直線フィンの流入側の上流に、直線フィンの長手方向に対し斜めに別のフィンを配したものである。これにより、別のフィンから流出する流体は直線フィンに斜めに流入し、直線フィンの各々のフィン負圧面側で空気層の剥離が生じて、フィン表面の熱伝達率が増加し、冷却能力を向上させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2008−205421号公報
【特許文献2】特開2004−281484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
前述した通り、特許文献1で提案されているヒートシンクは冷却性能に優れるものであるが、しかしながら特許文献1のヒートシンクでは、例えば図16〜図21から分かるように放熱ユニット自体がかなりの厚さを有している。その結果、このヒートシンクでは、その入口部から放熱ユニットに到るまでの冷却用流体の通路(図21の例で言えば、V字型配置の手前側でV字型に挟まれた空間のことを指す)、および放熱ユニットを出てからヒートシンクの出口部に到るまでの冷却用流体通路(図21の例で言えば、V字型配置の向こう側でV字型に挟まれた空間のことを指す)が、その放熱ユニット自体の厚さ分だけ狭くなってしまい、そのため冷却用流体が流れにくくなり、圧損も大きくなって、必ずしも充分な冷却効率が得られなくなるおそれがある。後述するように、この問題は、図21に示されるV字型配置においてV字型を構成する2つの放熱ユニットがなす角度θが小さくなるほど、顕著となる。
【0017】
このような問題を解決するためには、放熱ユニット自体の厚さをできるだけ薄くすることが望まれるが、従来はこの点については特に検討がなされていなかったのが実情である。
【0018】
この発明は以上の事情を背景としてなされたものであって、冷却性能を大きく低下させることなく放熱ユニット自体の厚さを薄くすることを可能にし、これにより圧損を小さくして冷却効率をより一層向上させ得るようにしたヒートシンクを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、前記課題を解決するための手段について種々検討を進めた。
【0020】
まず、特許文献1で提案されている図21に示したような1対の放熱ユニットがV字型(特許文献1では「ハの字型」と称されているが、前述のようにここでは「V字型」と称する)に配置されたヒートシンクにおいて、V字型のフィン配列の開き角度、すなわちV字型を構成する2つの放熱ユニットがなす角度θがヒートシンクの冷却効率に対して及ぼす影響について考察すれば、次の通りである。
【0021】
V字型のフィン配列においては、図21から容易に理解できるように、開き角度θを小さくするほど、ベースプレートの一定の幅(入口部5の側から出口部8の側に向かう方向に垂直な方向を幅方向というものとする)の上に設けることのできる放熱ユニットの数を、より多くすることができる。ヒートシンクの冷却効率を高めるためには、もちろん所定範囲の空間の中にできるだけ多数のフィンを存在させることが好ましい。
【0022】
しかしながら、開き角度θを小さくした場合には、両側の放熱ユニット4に挟まれた領域(すなわち入口部5から放熱ユニット4に到るまでの冷却用流体の通路、および放熱ユニット4を通過した後に放熱ユニット4から出口部8に向かう冷却用流体の通路に相当する領域)は狭くなってしまう。
【0023】
ヒートシンクの冷却効率を上げるためには、ベースプレートの一定の幅の中にできるだけ多数の放熱ユニットを存在させ得るように開き角度θを小さくすることが好ましいが、その一方で、開き角度θを過度に小さくすることによって冷却用流体の通路が狭くなり過ぎてしまっては、逆に冷却効率は低下してしまう。
【0024】
そこで、開き角度θを小さくしても冷却用空気の通路をより広く確保することが可能となるような方策が求められる。そのためには、放熱ユニット自体の“厚さ”を薄くすれば良いと考えられる。すなわち、例えば図21に示したV字型のフィン配列において冷却効率の良いヒートシンクを実現するためには、V字型のなす角度θを小さくすると同時に、放熱ユニット自体の“厚さ”を薄くすることが望まれる。
【0025】
ここで、放熱ユニットがV字型に配置される図21に示すようなヒートシンクの場合、放熱ユニット4のフィン列面(各板状フィン2が並んでいる面)に対して、各板状フィン2の板面がなす角度α(図23参照)を小さくするほど、放熱ユニットの“厚さ”(図23に“t”として示す)は薄くなる。
【0026】
そこで放熱ユニット4の厚さを薄くする極限として、角度αを0°にする実験を行なった(図1参照)。但し板状フィン2同士が連接して、全体が1枚の板状になってしまっては、冷却用流体は放熱ユニット4を通り抜けることができず、閉塞状態となってしまうことから、板状フィン2同士の間隔を空けるようにした。すなわち、ベースプレート1に垂直な面内において板状金属(フィン)部分21と開口穴部分22とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に配置されるような、いわば“フィン層”を形成した。
【0027】
このような配置で冷却性能を調べたが、期待する程の良い結果は得られなかった。その原因は、これでは放熱ユニットの所定範囲の空間の中に存在することができる板状フィンの数が少なくなり過ぎ、それに伴ない冷却に寄与するフィンの合計表面積があまりに少なくなってしまうことにあると考えられる。
【0028】
そこで、上述の図1に示される各フィン層(これらを第1のフィン層F1とする)の後方に、上記各フィン層F1に対して所定の間隔を保ってそれと平行にもう一つの同様な各フィン層(これらを第2のフィン層F2とする)を配置することにより、放熱ユニットの所定範囲の空間の中に存在する板状フィンの数を増すことを試みた(図2参照)。このように配置すれば、フィン層F1のみの場合に比べて、第2のフィン層F2の厚さ自体および第1のフィン層F1と第2のフィン層F2との間の空隙分だけ放熱ユニット全体の厚さが増加することにはなるが、例えば図21や図19に示されるような配置において板状フィン列が占める厚さほどには至らない。所定の間隔を保ってそれと平行に配置された2つのフィン層からなるこのような配置の放熱ユニットを、ここで“複層型放熱ユニット”と称することにする。
【0029】
すなわち、この明細書で言う複層型放熱ユニットとは、図2に示すようにベースプレートに垂直な面内において板状金属部分61と開口穴部分62とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に配置されてなる第1のフィン層F1と、その第1のフィン層F1に対して所定の間隔を保ってそれに平行に配置される第2の同様なフィン層F2(この第2のフィン層F2の板状金属部分を符号63、開口穴部分を符号64でそれぞれ示す)とから構成されるものである。
【0030】
このような配置構成では、ヒートシンクの入口部(図2でいえば下側)から流入して来た冷却用流体は、まず第1フィン層F1のフィン板(板状金属部分61)の板面と接触してその熱を奪いながら開口穴部分62に至り、続いてその開口穴部分62を通り抜けて第1フィン層F1と第2フィン層F2との間に至り、そしてそれらのフィン層に沿って移動する間に、第1フィン層F1のフィン板(板状金属部分61)の板面および第2フィン層F2のフィン板(板状金属部分63)の板面に接触して、その熱を奪いながら第2フィン層の開口穴部分64に至り、そしてその開口穴部分64を通り抜けてヒートシンクの出口部(図2でいえば上側)に向かうことになる。このとき、第1フィン層F1と第2フィン層F2の間に流れ込んだ冷却用流体は、第1フィン層F1の板状金属部分61の板面と第2フィン層F2の板状金属部分63の板面との間に挟まれて蛇行しながらそれらの間をうねりつつ、それらの板面に沿って移動する動きが生じ、そのため冷却用流体とフィン板面との接触機会が多くなって放熱プロセスが効果的に進行するのである。
【0031】
ここで、第1フィン層F1は、その板面が、冷却用流体の入口部からの流入方向に対して斜めに(圧力の“ポテンシャル”面を考えたときには、あたかもそれに立ちはだかるかの如くであるので、むしろ「垂直に」)位置していることから、冷却用流体は第1フィン層F1の板面に対して強く押し付けられるところとなり、冷却用流体から第1フィン層F1への熱伝達率が増加して冷却性能が向上することが期待される。また、前記特許文献2(特に[0021]欄)で説明されているところと同様に、各々のフィン負圧面側で空気層の剥離が生じて、フィン表面の熱伝達率が増加し、冷却能力を向上させることになる。
【0032】
ところで、複層型放熱ユニット各フィン層に交互に周期的に配置される板状金属部分61または63と開口穴部分62または64とが、お互いに相補し合うように配置される場合には、これらの第1フィン層F1および第2フィン層F2を、共通する一枚の金属板から作成することができる。その具体的構成については後に改めて詳細に説明するが、その代表的な例を図3〜図5に示し、その概略を次に説明する。
【0033】
すなわち、図3〜図5に示すように、一枚の金属板51から、上下の縁部53、55を残したほかは連続して並列する多数の帯状ゾーン57(図5参照)を形成するべく切り込まれた多数の上下方向切れ目59(図5参照)を境にして、それらの帯状ゾーン57が板面の両側に向けて交互に押し出すまたは引き込むように折り曲げ成形されることにより、押し出し帯状ゾーンの全体および引込み帯状ゾーンの全体が各々前記第1のフィン層F1および第2のフィン層F2をなすように構成されるようにすることができる。このようにすれば、一枚の金属板からの切り込みおよび折り曲げ成形のみで複層型放熱ユニットの第1のフィン層F1と第2のフィン層F2とを同時に形成することができるため、製造が極めて容易となる。
【0034】
ここで、複層型放熱ユニットをV字型に配置して構成したヒートシンクについて、そのV字型を構成する2つの複層型放熱ユニットがなす角度、すなわち開き角度θ(図21、図23参照)の影響について改めて考察する。開き角度θを小さくするほど、ベースプレート上の一定の幅に設けることのできる複層型放熱ユニットの数は、より多くすることができる。ヒートシンクの冷却効率を高めるためには、既に述べたように一定の範囲の空間の中にできるだけ多数の複層型放熱ユニットを存在させることが望ましいことはもちろんである。
【0035】
しかしながら、開き角度θを小さくした場合には、前述した通り、両側の複層型放熱ユニットに挟まれた領域(入口部から複層型放熱ユニットに至るまで、または複層型放熱ユニットを通過した後に複層型放熱ユニットから出口部に向かう冷却用流体の通路に相当する領域)は、狭くなってしまう。
【0036】
このように開き角度θに関しては相反する二つの側面が有り、ヒートシンクの冷却効率を上げるためには、ベースプレート上の一定の幅のうちにできるだけ多数の複層型放熱ユニットを存在させ得るように開き角度θを小さくすることが好ましいのであるが、その一方で、開き角度θを小さくすることにより冷却用流体の通路が狭くなり過ぎてしまっては逆に冷却効率は低下してしまうという問題が生じる。
【0037】
例えば、V字型を構成する二個の複層型放熱ユニットのなす開き角度θを20°以内にすることにより、ベースプレート上の一定の幅のうちにかなりの多数の複層型放熱ユニットを設けることができるのであるが、開き角度θを10°以内にすれば、その数は増してベースプレート上の一定の幅のうちに設けることができる複層型放熱ユニットの数は、開き角度θが20°である場合のほぼ2倍以上に増すことができる。さらに開き角度θを5°以内にすることにより、ベースプレート上の一定の幅のうちに設けることができる複層型放熱ユニットの数は、開き角度θが10°である場合の更に2倍以上に増すことができる。
【0038】
一方、冷却用流体の通路に関しては、放熱ユニットを図2に示したような第1フィン層F1および第2フィン層F2からなる複層型放熱ユニットとすることにより、放熱ユニット自体の厚さを薄くすることができるから、このようなV字型配列構造としても、より高い冷却効率を確保することが可能となるのである。そこでこの発明では、放熱ユニットを第1フィン層F1および第2フィン層F2からなる複層型放熱ユニットとすると同時に、V字型配列構造もしくはそれに準じた構造を適用することとした。
【0039】
なお本願は、本願出願人による特願2010−88244を原出願とする分割出願であり、基本的には、原出願の出願当初の特許請求の範囲の請求項4、5、9、10に係る発明を分割したものである。具体的には、この発明は次の通りである。
【0040】
すなわち請求項1の発明は、
発熱部品が熱的に接続されるベースプレート上に、冷却用流体への伝熱を行なうための放熱ユニットが前記ベースプレートと熱的に接続される状態で設けられてなるヒートシンクにおいて、
冷却用流体が流入する入口部と、冷却用流体が流出する出口部とを有し、
かつ前記放熱ユニットは、それぞれベースプレートに垂直な面内において板状金属部分と開口穴部分とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に形成されてなる第1のフィン層および第2のフィン層が、それらの層間に相互に所定の間隔を保って平行に配置された複層型放熱ユニットによって構成され、しかもその複層型放熱ユニットが2個のものが設けられており、
ヒートシンクにおける冷却用流体の流れを誘導するための構成として、前記2個の複層型放熱ユニットの相互の間隔が前記入口部側から前記出口部側に向かって漸次狭くなるように配置されかつこれらの2個の複層型放熱ユニットが前記出口部側における複層型放熱ユニット端部で互いに接するように(したがっていわゆるV字型配列となるように)配置されており、
しかも前記複層型放熱ユニットのそれぞれにおいては、前記入口部の方向からヒートシンク内に流入した冷却用流体が、前記入口部の方向から複層型放熱ユニットの第1のフィン層の開口穴部分に導かれて、その開口穴部分を通り抜けた冷却用流体の少なくとも一部が、第1のフィン層と第2のフィン層との間を、前記入口部の方向から前記出口部の方向に向かい、前記板状金属部分の板面に沿って移動した後、第2のフィン層の開口穴部分から前記出口部の方向に導かれるように、冷却用流体の流れを誘導する構成とされていることを特徴とするものである。
【0041】
また請求項2の発明は、
請求項1に記載の複層型放熱ユニットを用いたヒートシンクにおいて、
前記2個の複層型放熱ユニットの配置が、前記ベースプレートの板面と平行な面内において前記入口部から前記出口部に向かう方向に垂直な方向に複数回繰り返されて間断なく接続されていることを特徴とするものである。
【0042】
さらに請求項3の発明は、請求項1で規定しているいわゆるV字型の配列に準じた配列構造を規定している。
すなわち請求項3の発明は、
発熱部品が熱的に接続されるベースプレート上に、冷却用流体への伝熱を行なうための放熱ユニットが前記ベースプレートと熱的に接続される状態で設けられてなるヒートシンクにおいて、
冷却用流体が流入する入口部と、冷却用流体が流出する出口部とを有し、
かつ前記放熱ユニットは、それぞれベースプレートに垂直な面内において板状金属部分と開口穴部分とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に形成されてなる第1のフィン層および第2のフィン層が、それらの層間に相互に所定の間隔を保って平行に配置された複層型放熱ユニットによって構成され、
ヒートシンクにおける冷却用流体の流れを誘導するための構成として、その複層型放熱ユニットと組み合わせて第1の側壁板および第2の側壁板が用いられており、そのうち第1の側壁板は、前記複層型放熱ユニットの第1のフィン層の側の空間において前記入口部および前記第1のフィン層の開口穴を除くほかは冷却用流体の流出および冷却用流体以外の流体の流入を防止するように、しかも第1のフィン層と第1の側壁板との間隔が前記入口部側から前記出口部側に向かって漸次狭くなって出口部側における放熱ユニット端部で両者が実質的に接するように配設され、また第2の側壁板は、前記複層型放熱ユニットの第2のフィン層の側の空間において前記第2のフィン層の開口穴および前記出口部を除くほかは冷却用流体の流出および冷却用流体以外の流体の流入を防止するように、しかも第2のフィン層と第2の側壁板との間隔が前記出口部側から前記入口部側に向かって漸次狭くなって入口部側における放熱ユニット端部で両者が実質的に接するように配設され、
しかも前記複層型放熱ユニットのそれぞれにおいては、前記入口部の方向からヒートシンク内に流入した冷却用流体が、前記入口部の方向から複層型放熱ユニットの第1のフィン層の開口穴部分に導かれて、その開口穴部分を通り抜けた冷却用流体の少なくとも一部が、第1のフィン層と第2のフィン層との間を、前記入口部の方向から前記出口部の方向に向かい、前記板状金属部分の板面に沿って移動した後、第2のフィン層の開口穴部分から前記出口部の方向に導かれるように、冷却用流体の流れを誘導する構成とされていることを特徴とするものである。
【0043】
また請求項4の発明は、
前記複層型放熱ユニットと第1および第2の側壁板との組み合わせの二つ以上が、前記ベースプレートの板面と平行な面内において前記入口部から前記出口部に向かう方向に垂直な方向に複数回繰り返されており、しかも隣り合う二つの組み合わせの相互間では、一方の組み合わせの第2の側壁板と他方の組み合わせの第1の側壁板とが一体の側壁板として共用されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0044】
この発明のヒートシンクにおいては、複層型放熱ユニットを用いることにより、冷却効率を大きく損なうことなく複層型放熱ユニット自体の厚みを薄くすることができ、そのため、所定の幅を有するベースプレート上に、V字型もしくはそれに準じた配列で、より多数の複層型放熱ユニットを存在させ得るので放熱金属板(フィン)の総面積を増すことができることとなり、冷却効率を向上させることができる。
【0045】
また、複層型放熱ユニット自体の厚みが薄いことから、所定の幅を有するベースプレート上の空間に占める冷却用流体の通路、すなわちヒートシンク入口部から放熱ユニットに至るまでの冷却用流体の通路、および放熱ユニットを通過した後にその放熱ユニットからヒートシンク出口部に向かう冷却用流体の通路を、より広く確保することが可能となり、ヒートシンクの全体的な冷却効率を向上させることができ、また同時に冷却用流体に対する圧力損失を、より小さくすることができ、このことも冷却効率の向上に寄与している。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、この発明の前提となる考え方を説明するための、放熱ユニットの模式的な平面図である。
【図2】図2は、この発明の原理的な考え方を説明するための、放熱ユニットの模式的な平面図である。
【図3】図3は、この発明のヒートシンクに使用される複層型放熱ユニットの一例を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3に示す複層型放熱ユニットの平面断面図で、図3のa−a面で切断して示すものである。
【図5】図5は、図3に示す複層型放熱ユニットを切り起こし加工する前の一枚の金属板の帯状ゾーンを示す図である。
【図6】図6は、この発明の第1の実施例のヒートシンクを示す略解的な斜視図である。
【図7】図7は、図6に示すヒートシンクの略解的な平面図である。
【図8】図8は、この発明のヒートシンクの作用、特に冷却用流体の流れについて行なった実験を説明するための図で、その(A)は実験に用いたヒートシンクの全体構成を示す略解的な平面断面図、(B)は(A)の上流側の一部Bを拡大して示す略解的な平面断面図、(C)は(A)の下流側の一部Cを拡大して示す略解的な平面断面図である。
【図9】図9は、この発明のヒートシンクに使用される複層型放熱ユニットの他の例を示す斜視図である。
【図10】図10は、図9に示す複層型放熱ユニットの平面断面図で、図9のb−b面で切断して示すものである。
【図11】図11は、この発明のヒートシンクに使用する複層型放熱ユニットのさらに他の例を、分解状態で示す斜視図である。
【図12】図12は、この発明の第2の実施例のヒートシンクを示す略解的な斜視図である。
【図13】図13は、この発明の第3の実施例のヒートシンクを示す略解的な斜視図である。
【図14】図14は、図13に示すヒートシンクの略解的な平面断面図である。
【図15】図15は、この発明の第4の実施例のヒートシンクを示す略解的な斜視図である。
【図16】図16は、従来提案されている熱交換器の第1の構造例を示す模式的な一部切欠斜視図である。
【図17】図17は、図16に示される熱交換器の模式的な平面図である。
【図18】図18は、従来提案されている熱交換器の第2の構造例を示す模式的な平面図である。
【図19】図19は、従来提案されている熱交換器の第3の構造例を示す模式的な平面図である。
【図20】図20は、従来提案されている熱交換器の第4の構造例を示す模式的な斜視図である。
【図21】図21は、従来提案されている熱交換器の第5の構造例を示す模式的な斜視図である。
【図22】図22は、従来の一般的な熱交換器の代表的な例を示す模式的な斜視図である。
【図23】図23は、従来提案されているヒートシンクにおける板状フィンの角度に関して説明するための模式的な平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下にこの発明の各実施例について、図面を参照して説明する。
【0048】
図6および図7は、請求項1の発明に対応する第1の実施例のヒートシンクを示すものである。
【0049】
図6、図7において、ベースプレート1は、図示しない半導体素子、集積回路、CPU等の発熱部品が裏面側に熱的に接続されるものであり、アルミニウム、銅、あるいはそれらの合金などの熱伝導性が良好な材料によって、例えば方形厚板状に作られており、これらのベースプレート1の表側には、一対の複層型放熱ユニット60A、60Bが、V字型をなすように立設されている。これらの複層型放熱ユニット60A、60Bは、既に述べたようにいずれも二つのフィン層、すなわち第1のフィン層F1および第2のフィン層F2からなるものであり、各フィン層F1、F2は、いずれも複数の板状金属部分(すなわちフィン板部分)61と複数の開口穴部分(すなわちスリット部分)63とが、板状金属部分の板面と平行な方向を周期方向として交互に周期的に配列されるように構成されている。そして、これらの第1、第2のフィン層F1、F2が所定間隔を置いて平行に配列されて、一つの複層型放熱ユニット60A(もしくは60B)を構成している。そして、このようにそれぞれ二つのフィン層F1、F2からなる二つの複層型放熱ユニット60A、60Bは、前記板状金属部分(フィン板部分)61の板面がベースプレート1に垂直な面となり、かつその複数の板状部分61のなす面がV字型をなすようにベースプレート1上に立設されているのである。なおこのように二つの複層型放熱ユニット60A、60Bをベースプレート1上に配置する場合、そのV字型の開いた側がヒートシンクの入口部5、V字型の閉じた側がヒートシンクの出口部8とされるのが通常である。
【0050】
前述のように構成された複層型放熱ユニット60A(もしくは60B)においては、ベースプレート1上の一方の側の入口部5から流入してきた冷却用流体は、先ず第1フィン層F1のフィン板(板状金属部分)61の板面に接触してその熱を奪いながら開口穴部分62に至り(図2参照)、そしてそれらの第1のフィン層F1と第2のフィン層F2との間の空間を、これらのフィン層F1、F2に沿って、すなわち板状金属板部分61および63の板面に沿って移動する間に、第1フィン層F1の板状金属部分61および第2フィン層F2の板状金属板部分63に接触して、その熱を奪いながら第2フィン層F2の開口穴部分64に至り、そしてその開口穴部分64を通り抜けて、出口部8に向かうことになる。
【0051】
このとき、第1フィン層F1と第2フィン層F2との間に至った冷却用流体は、第1フィン層F1と第2フィン層F2の間を蛇行しつつ幾度もそれらの間をうねりながらそれらに沿って移動する動きも加わり、これにより冷却用流体とフィン板との接触機会が多くなり、放熱プロセスが効果的に進行する。この様子を、冷却用流体が空気である場合についてコンピュータシミュレーションにより確認した結果を、図8の(A)〜(C)を参照して説明する。
【0052】
図8において、(A)はV字型に配列された一対の複層型放熱ユニット(それぞれ第1フィン層F1および第2フィン層F2からなるもの)60A、60Bの複数組を、それぞれのV字型の開き側の端部が接するようにベースプレート1上に配置したヒートシンクの構成(この構成については、詳細には後に改めて図12を参照して説明する)を示すものであり、このヒートシンクの右側を入口部5、左側を出口部8として、入口部5の側から冷却用流体として空気を流し込むコンピュータシミュレーションを行なった。このときの図8(A)における鎖線Bで囲んだ一つの複層型放熱ユニット60Bについて、空気の流れを調べて概略的に表現した結果を図8の(B)、(C)に示す。ここで、図8(B)は、図8(A)の鎖線Bで囲った部分、すなわち複層型放熱ユニット60Bにおける風上側の部分を拡大して示し、図8(C)は、図8(A)の鎖線Cで囲った部分、すなわち複層型放熱ユニット60Bにおける風下側の部分を拡大して示し、また空気の流れを太線矢印で示す。
【0053】
図8(B)、図8(C)に示すように、風上側の部分B、風下側の部分Cのいずれにおいても、空気は第1フィン層F1と第2フィン層F2との間を、それらの板面に沿いながらうねるように流れていることが確認された。
【0054】
なお、複層型放熱ユニットを構成する第1フィン層F1および第2フィン層F2は、後に改めて説明するようにそれぞれ別の金属板から作成(すなわち二枚の金属板のうちの一方から第1フィン層F1を、他方から第2フィン層F2を形成)しても良いが、図3〜図5に示すように、一枚の金属板51から同時に第1フィン層F1、第2フィン層F2を形成することが望ましい。
【0055】
すなわち、複層型放熱ユニット60A(60B)の第1フィン層F1および第2フィン層F2として交互に周期的に形成される板状金属部分61または63と開口穴部分62または64とが互いに相補しあうように配置される場合においては、複層型放熱ユニット60A(60B)の第1フィン層F1および第2フィン層F2を、それらが全体として連続する一枚の金属板51の板面から切起したものとすることができる。具体的には、図3〜図5に示すように、一枚の金属板51に、上下の縁部53、55を残して上下方向に沿う多数の切れ目59(図5参照)を所定間隔を置いて平行に形成することにより、各切れ目59の間に平行に帯状ゾーン57(図5参照)を形成し、かつその多数の帯状ゾーン57を、交互に板面の反対側に押し出し状に切起して、板面の一方の側に切起された複数の帯状ゾーン57がそれぞれ第1フィン層F1の板状金属部分61を構成するとともに、板面の他方の側に切起された複数の帯状ゾーン57が、それぞれ第2フィン層F2の板状金属部分63を構成するようにすることができる。言い換えれば、この複層型放熱ユニット60A(60B)においては、第1フィン層F1の板状金属部分61と第2フィン層F2の板状金属部分61、63が、一枚の金属板51の縁部53、55を共通部分として、その一枚の金属板51の板面を切起す(押し出す)ことによって作成されていることになる。
【0056】
このように複層型放熱ユニット60A(60B)を作る場合には、一枚の金属板の板面からの切起し(押し出し)によって第1、第2のフィン層F1、F2を同時に作成することができるため、製造が容易となり、またヒートシンクの組立てのための作業においても、第1、第2のフィン層F1、F2を個別にベースプレート上に取付ける必要がなく、組立作業も容易となる。
【0057】
ここで、図3〜図5に示す例では、一枚の金属板51の板面の両側に押し出し状に切起すことによって第1、第2のフィン層F1、F2の各板状金属部分61、63が元板の両面側(金属板51の縁部53、55を含む面に対しての両面側)に出張るようにしているが、場合によっては、一枚の金属板51の片面側のみにその板面を押し出し状に切起すことによっても、前記同様に一枚の金属板51から第1、第2のフィン層F1、F2を有する複層型放熱ユニットを作成することができる。その場合の例を図9、図10に示す。
【0058】
すなわち図9、図10に示す複層型放熱ユニットにおいては、一枚の金属板51に、上下の縁部53、55を残して上下方向に沿う多数の切れ目59を所定間隔を置いて平行に形成することにより、各切れ目59の間に平行に帯状ゾーンを形成し、その多数の帯状ゾーンを、一つ置きに板面の一方の側に押し出し状に切起して、その板面の一方の側に切起された複数の帯状ゾーンによって第1フィン層F1の板状金属部分61を構成し、かつ板面から押し出し状に切起されずに残った複数の帯状ゾーン(すなわち上下の縁部53、55と同一面状に位置する帯状ゾーン)によって、第2フィン層F2の板状金属部分63を構成している。
【0059】
このような図9、図10に示される複層型放熱ユニットも、図3〜図5に示す複層型放熱ユニットと同様に、一枚の金属板51から第1、第2のフィン層F1、F2を有するものを同時に作成することができるため、製造が容易となり、またヒートシンクの組立作業も容易となる。
【0060】
なお図3〜図5に示す複層型放熱ユニット、および図9、図10に示す複層型放熱ユニットは、いずれも一枚の金属板から第1、第2のフィン層F1、F2を有するものを作成する場合について説明したが、製造の容易さ等を犠牲にすれば、第1フィン層F1、第2フィン層F2を、それぞれ別の金属板から作成しても良いことはもちろんである。すなわち、例えば図11に示すように、第1の金属板51Aに、複数の板状金属部分61と複数の開口穴部分62とを交互に形成し、同時に第2の金属板51Bに複数の板状金属部分63と複数の開口穴部分64とを交互に形成し、これらの第1、第2の金属板51A、51Bの縁部を、ろう付け等の適宜の手段によって接合して、第1の金属板51Aを第1フィン層F1としかつ第2の金属板51Bを第2フィン層F2とする複層型放熱ユニットを作成しても良い。
【0061】
以下に、さらにこの発明のヒートシンクを具体化した実施例について、図12〜図15を参照して説明する。
【0062】
先ず、図12は、請求項1、請求項2の発明に対応するヒートシンクを示すものであり、請求項1に記載された複層型放熱ユニット(図6、図7参照)の配置、すなわち一対の複層型放熱ユニット60A,60BのV字型配置を、ベースプレート1の板面と平行な面内において前記入口部5から前記出口部8に向かう方向に垂直な方向に複数回繰り返して間断なく接続した構成を示す。このような構成によれば、制約された一定の空間の中に、多数の複層型放熱ユニットを効率的に設けることができる。
【0063】
さらに図13、図14には、この発明のヒートシンクの別の例、すなわち請求項3の発明に対応する例を示す。
【0064】
この図13、図14の例では、ベースプレート1上に、1枚の前記と同様な複層型放熱ユニット60Aが、入口部5から出口部8に向かう方向と平行に立設されており、その複層型放熱ユニット60Aの両面側に、2枚の側壁板、すなわち第1の側壁板71Dおよび第2の側壁板71Eが、それぞれ複層型放熱ユニット60Aに対しV字型をなすように配置されている。すなわち、複層型放熱ユニット60Aの第1フィン層F1の側の空間では、第1フィン層F1と第1の側壁板71Dとの間隔が、入口部5の側から出口部8の側に向かって漸次狭くなって出口部8の側における放熱ユニット端部で両者が実質的に接するように構成されるとともに、複層型放熱ユニット60Aの第2のフィン層F2の側の空間では、第2フィン層F2と第2の側壁板71Eとの間隔が、出口部8の側から入口部5の側に向かって漸次狭くなって入口部5の側における放熱ユニット端部で両者が実質的に接するように構成されている
【0065】
さらに図15には、図13、図14に示した複層型放熱ユニットの配置構成、すなわち複層型放熱ユニット60Aと第1の側壁板71Dおよび第2の側壁板71Eとの組み合わせを、ベースプレート1上において入口部5から出口部8に向かう方向に対して垂直な方向に複数回繰返したヒートシンク、すなわち請求項4の発明に対応するヒートシンクの一つの例を示す。
【0066】
すなわち図15に示すヒートシンクは、入口部5から出口部8に向かう方向に垂直な方向に多数の複層型放熱ユニット60Aを所定間隔を置いて並列状に配置して、隣接する複層型放熱ユニット同士に挟まれた空間をV字型の冷却用流体の通路としたものであって、複層型放熱ユニットの両側および隣り合う複層型放熱ユニットの間の側壁板71D〜71Gによって、冷却用流体の通路が、両端側の複層型放熱ユニットの入口部側、出口部側、および中間の複層型放熱ユニットの間に形成されている。この場合も、各側壁板71D、71Eにより、冷却用流体通路の開口方向が入口部5の側と出口部8の側とで交互に切り替わるように構成されている。なお、この場合、図15から明らかなように、隣り合う隣り合う二つの組み合わせの相互間では、一方の組み合わせの第2の側壁板と他方の組み合わせの第1の側壁板71Dとが、一体の側壁板として共用されていることになる。
【0067】
以上、各実施例について説明したが、この発明のヒートシンクやそれに使用される複層型放熱ユニットの詳細な形状、寸法あるいは製造方法等は特に限られるものではなく、要は、放熱ユニットとしては、それぞれベースプレートに垂直な面内において板状金属部分と開口穴部分とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に形成されてなる第1のフィン層および第2のフィン層が、それらの層間に相互に所定の間隔を保って平行に配置されてなるものを用い、しかも2個の複層型放熱ユニットが、請求項1で規定するようなV字型配列とされるか、もしくは請求項3で規定するような、1個の複層型放熱ユニットと2枚の側壁板とを組み合わせた、V字型に準じた配列とし、さらに、ヒートシンク全体として、前記入口部の方向からヒートシンク内に流入した冷却用流体が、前記入口部の方向から複層型放熱ユニットの第1のフィン層の開口穴部分に導かれて、その開口穴部分を通り抜けた冷却用流体の少なくとも一部が、第1のフィン層と第2のフィン層との間を、入口部の方向から出口部の方向に向かい、前記板状金属部分の板面に沿って移動した後、第2のフィン層の開口穴部分から前記出口部の方向に導かれるように、冷却用流体の流れを誘導し得る構成とされていれば良い。
【0068】
なおこのようなヒートシンクを半導体素子等の電子部品や電気部品などの放熱に使用するにあたっては、例えばくし形ヒートシンクなどの従来からあるヒートシンクの放熱フィンの場合と同様に、複層型放熱ユニットの部分に空気やLLC(ロングライフクーラント)等の冷却用流体を確実に流してやる必要があることは言うまでもない。そのためには、重力で空気を流す自然空冷の場合を除き、空気等の冷却用流体を強制的に複層型放熱ユニットに流すためのファンやポンプなどの冷却用流体の駆動源が冷却用流体の流れの上流もしくは下流に配置されるのが通常である。
【0069】
そして、複層型放熱ユニットを有するヒートシンクの部分に確実に冷却用流体が流れるようにするために、ヒートシンクの外部における冷却用流体の流れる経路がダクト等によって仕切られていることが好ましい。ファンやポンプが冷却用流体の流れの上流に配置される場合には、冷却用流体が経路外に漏れ出すことのないように、またファンやポンプが冷却用流体の流れの下流に配置される場合には、冷却用流体以外の流体が経路外から混入したりすることのないように形成されていることが好ましい。それらのダクト等が配置される場所としては、ヒートシンクの上流側のみ、下流側のみ、上流と下流の両方、のいずれでもかまわない。
【0070】
また複層型放熱ユニットを有するヒートシンクの部分についても同様に、その複層型放熱ユニットを有するヒートシンクを囲うようにダクト等が配置されているのが好ましい。その場合、少なくとも複層型放熱ユニットの上方の開放部分が覆われている必要があり、またその具体的構造として、その覆いが複層型放熱ユニットの上端と接合されて一体になっている構造でもかまわない。またその覆いは、ヒートシンクの上流側のみ、下流側のみ、上流と下流の両方、のいずれかに配置するダクト等と別部品であっても、一体であってもかまわない。
【0071】
なお一般に放熱フィンの部分(この発明の場合は複層型放熱ユニットの部分)に確実に冷却用流体が流れるようにすること自体は、特にこの発明のヒートシンクに限って必要な事柄ではなく、従来からあるヒートシンクにも当てはまるものである。
【符号の説明】
【0072】
1 ベースプレート
5 入口部
8 出口部
60A、60B 複層型放熱ユニット
61、63 板状金属部分
62、64 開口穴部分
71D 第1の側壁板
71E 第2の側壁板
F1 第1のフィン層
F2 第2のフィン層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部品が熱的に接続されるベースプレート上に、冷却用流体への伝熱を行なうための放熱ユニットが前記ベースプレートと熱的に接続される状態で設けられてなるヒートシンクにおいて、
冷却用流体が流入する入口部と、冷却用流体が流出する出口部とを有し、
かつ前記放熱ユニットは、それぞれベースプレートに垂直な面内において板状金属部分と開口穴部分とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に形成されてなる第1のフィン層および第2のフィン層が、それらの層間に相互に所定の間隔を保って平行に配置された複層型放熱ユニットによって構成され、しかもその複層型放熱ユニットが2個のものが設けられており、
ヒートシンクにおける冷却用流体の流れを誘導するための構成として、前記2個の複層型放熱ユニットの相互の間隔が前記入口部側から前記出口部側に向かって漸次狭くなるように配置されかつこれらの2個の複層型放熱ユニットが前記出口部側における複層型放熱ユニット端部で互いに接するように(したがっていわゆるV字型配列となるように)配置されており、
しかも前記複層型放熱ユニットのそれぞれにおいては、前記入口部の方向からヒートシンク内に流入した冷却用流体が、前記入口部の方向から複層型放熱ユニットの第1のフィン層の開口穴部分に導かれて、その開口穴部分を通り抜けた冷却用流体の少なくとも一部が、第1のフィン層と第2のフィン層との間を、前記入口部の方向から前記出口部の方向に向かい、前記板状金属部分の板面に沿って移動した後、第2のフィン層の開口穴部分から前記出口部の方向に導かれるように、冷却用流体の流れを誘導する構成とされていることを特徴とする、複層型放熱ユニットを用いたヒートシンク。
【請求項2】
請求項1に記載の複層型放熱ユニットを用いたヒートシンクにおいて、
前記2個の複層型放熱ユニットの配置が、前記ベースプレートの板面と平行な面内において前記入口部から前記出口部に向かう方向に垂直な方向に複数回繰り返されて間断なく接続されていることを特徴とする、複層型放熱ユニットを備えたヒートシンク。
【請求項3】
発熱部品が熱的に接続されるベースプレート上に、冷却用流体への伝熱を行なうための放熱ユニットが前記ベースプレートと熱的に接続される状態で設けられてなるヒートシンクにおいて、
冷却用流体が流入する入口部と、冷却用流体が流出する出口部とを有し、
かつ前記放熱ユニットは、それぞれベースプレートに垂直な面内において板状金属部分と開口穴部分とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に形成されてなる第1のフィン層および第2のフィン層が、それらの層間に相互に所定の間隔を保って平行に配置された複層型放熱ユニットによって構成され、
ヒートシンクにおける冷却用流体の流れを誘導するための構成として、その複層型放熱ユニットと組み合わせて第1の側壁板および第2の側壁板が用いられており、そのうち第1の側壁板は、前記複層型放熱ユニットの第1のフィン層の側の空間において前記入口部および前記第1のフィン層の開口穴を除くほかは冷却用流体の流出および冷却用流体以外の流体の流入を防止するように、しかも第1のフィン層と第1の側壁板との間隔が前記入口部側から前記出口部側に向かって漸次狭くなって出口部側における放熱ユニット端部で両者が実質的に接するように配設され、また第2の側壁板は、前記複層型放熱ユニットの第2のフィン層の側の空間において前記第2のフィン層の開口穴および前記出口部を除くほかは冷却用流体の流出および冷却用流体以外の流体の流入を防止するように、しかも第2のフィン層と第2の側壁板との間隔が前記出口部側から前記入口部側に向かって漸次狭くなって入口部側における放熱ユニット端部で両者が実質的に接するように配設され、
しかも前記複層型放熱ユニットのそれぞれにおいては、前記入口部の方向からヒートシンク内に流入した冷却用流体が、前記入口部の方向から複層型放熱ユニットの第1のフィン層の開口穴部分に導かれて、その開口穴部分を通り抜けた冷却用流体の少なくとも一部が、第1のフィン層と第2のフィン層との間を、前記入口部の方向から前記出口部の方向に向かい、前記板状金属部分の板面に沿って移動した後、第2のフィン層の開口穴部分から前記出口部の方向に導かれるように、冷却用流体の流れを誘導する構成とされていることを特徴とする、複層型放熱ユニットを用いたヒートシンク。
【請求項4】
請求項3に記載の複層型放熱ユニットを用いたヒートシンクにおいて、
前記複層型放熱ユニットと第1および第2の側壁板との組み合わせの二つ以上が、前記ベースプレートの板面と平行な面内において前記入口部から前記出口部に向かう方向に垂直な方向に複数回繰り返されており、しかも隣り合う二つの組み合わせの相互間では、一方の組み合わせの第2の側壁板と他方の組み合わせの第1の側壁板とが一体の側壁板として共用されていることを特徴とする、複層型放熱ユニットを用いたヒートシンク。
【請求項1】
発熱部品が熱的に接続されるベースプレート上に、冷却用流体への伝熱を行なうための放熱ユニットが前記ベースプレートと熱的に接続される状態で設けられてなるヒートシンクにおいて、
冷却用流体が流入する入口部と、冷却用流体が流出する出口部とを有し、
かつ前記放熱ユニットは、それぞれベースプレートに垂直な面内において板状金属部分と開口穴部分とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に形成されてなる第1のフィン層および第2のフィン層が、それらの層間に相互に所定の間隔を保って平行に配置された複層型放熱ユニットによって構成され、しかもその複層型放熱ユニットが2個のものが設けられており、
ヒートシンクにおける冷却用流体の流れを誘導するための構成として、前記2個の複層型放熱ユニットの相互の間隔が前記入口部側から前記出口部側に向かって漸次狭くなるように配置されかつこれらの2個の複層型放熱ユニットが前記出口部側における複層型放熱ユニット端部で互いに接するように(したがっていわゆるV字型配列となるように)配置されており、
しかも前記複層型放熱ユニットのそれぞれにおいては、前記入口部の方向からヒートシンク内に流入した冷却用流体が、前記入口部の方向から複層型放熱ユニットの第1のフィン層の開口穴部分に導かれて、その開口穴部分を通り抜けた冷却用流体の少なくとも一部が、第1のフィン層と第2のフィン層との間を、前記入口部の方向から前記出口部の方向に向かい、前記板状金属部分の板面に沿って移動した後、第2のフィン層の開口穴部分から前記出口部の方向に導かれるように、冷却用流体の流れを誘導する構成とされていることを特徴とする、複層型放熱ユニットを用いたヒートシンク。
【請求項2】
請求項1に記載の複層型放熱ユニットを用いたヒートシンクにおいて、
前記2個の複層型放熱ユニットの配置が、前記ベースプレートの板面と平行な面内において前記入口部から前記出口部に向かう方向に垂直な方向に複数回繰り返されて間断なく接続されていることを特徴とする、複層型放熱ユニットを備えたヒートシンク。
【請求項3】
発熱部品が熱的に接続されるベースプレート上に、冷却用流体への伝熱を行なうための放熱ユニットが前記ベースプレートと熱的に接続される状態で設けられてなるヒートシンクにおいて、
冷却用流体が流入する入口部と、冷却用流体が流出する出口部とを有し、
かつ前記放熱ユニットは、それぞれベースプレートに垂直な面内において板状金属部分と開口穴部分とがベースプレートに平行な方向を周期方向として交互に周期的に形成されてなる第1のフィン層および第2のフィン層が、それらの層間に相互に所定の間隔を保って平行に配置された複層型放熱ユニットによって構成され、
ヒートシンクにおける冷却用流体の流れを誘導するための構成として、その複層型放熱ユニットと組み合わせて第1の側壁板および第2の側壁板が用いられており、そのうち第1の側壁板は、前記複層型放熱ユニットの第1のフィン層の側の空間において前記入口部および前記第1のフィン層の開口穴を除くほかは冷却用流体の流出および冷却用流体以外の流体の流入を防止するように、しかも第1のフィン層と第1の側壁板との間隔が前記入口部側から前記出口部側に向かって漸次狭くなって出口部側における放熱ユニット端部で両者が実質的に接するように配設され、また第2の側壁板は、前記複層型放熱ユニットの第2のフィン層の側の空間において前記第2のフィン層の開口穴および前記出口部を除くほかは冷却用流体の流出および冷却用流体以外の流体の流入を防止するように、しかも第2のフィン層と第2の側壁板との間隔が前記出口部側から前記入口部側に向かって漸次狭くなって入口部側における放熱ユニット端部で両者が実質的に接するように配設され、
しかも前記複層型放熱ユニットのそれぞれにおいては、前記入口部の方向からヒートシンク内に流入した冷却用流体が、前記入口部の方向から複層型放熱ユニットの第1のフィン層の開口穴部分に導かれて、その開口穴部分を通り抜けた冷却用流体の少なくとも一部が、第1のフィン層と第2のフィン層との間を、前記入口部の方向から前記出口部の方向に向かい、前記板状金属部分の板面に沿って移動した後、第2のフィン層の開口穴部分から前記出口部の方向に導かれるように、冷却用流体の流れを誘導する構成とされていることを特徴とする、複層型放熱ユニットを用いたヒートシンク。
【請求項4】
請求項3に記載の複層型放熱ユニットを用いたヒートシンクにおいて、
前記複層型放熱ユニットと第1および第2の側壁板との組み合わせの二つ以上が、前記ベースプレートの板面と平行な面内において前記入口部から前記出口部に向かう方向に垂直な方向に複数回繰り返されており、しかも隣り合う二つの組み合わせの相互間では、一方の組み合わせの第2の側壁板と他方の組み合わせの第1の側壁板とが一体の側壁板として共用されていることを特徴とする、複層型放熱ユニットを用いたヒートシンク。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2011−222996(P2011−222996A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82816(P2011−82816)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【分割の表示】特願2010−88244(P2010−88244)の分割
【原出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000107538)古河スカイ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【分割の表示】特願2010−88244(P2010−88244)の分割
【原出願日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(000107538)古河スカイ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】
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