説明

複数の原反からウェブを同時給送可能なウェブ搬送装置

【課題】複数のロール状の原反をセットすることができるウェブ搬送装置を提供する。
【解決手段】本発明は、ロール状の原反10が各々セットされる、中空空間を有する2つの給送軸21と、2つの給送軸21が各々中空のサイドギヤ23接続された差動装置22と、各ロール状の原反10から給送されるウェブ11を共通に狭持して搬送するニップローラ31と、2つの給送軸21の中空空間及び差動装置22の中空のサイドギヤ23を貫いて延びる駆動軸28と、を備え、2つの給送軸28は、同軸に配置されており、差動装置22のピニオンシャフト25が駆動軸28に接続されていて、当該ピニオンシャフト25が駆動軸28の回転によって公転するようになっていることを特徴とするウェブ搬送装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェブ搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6を参照して、従来のウェブ搬送装置を含んだグラビア印刷機について説明する。図6は、従来のグラビア印刷機の構成の一例を示す概略図である。このグラビア印刷機は、図6に示すように、給送部502と、インフィード部503と、印刷部504と、アウトフィード部505と、巻取部506と、により構成されている。そして、ロール状の原反500が、給送部502の給送軸にセットされるようになっている。当該給送軸が駆動されることに伴って、ロール状の原反からウェブ(紙、プラスチックフィルム、金属箔等の印刷対象物)501がインフィード部503に給送される。給送されるウェブ501は、インフィード部503を介して印刷部504へと給送され、当該印刷部504において印刷処理される。その後、アウトフィード部505を介して排送されて、巻取部506によって巻取られる。
【0003】
図7は、従来の印刷機の給送機構部をより詳細に説明するための模式図である。図7の給送機構部は、ロール状の原反500がセットされる給送軸510と、当該給送軸510によってロール状の原反500から給送されるウェブ501を狭持して搬送するニップローラ511と、からなる。ニップローラ511は、回転駆動される駆動ローラ512と、当該駆動ローラ512と対向するように配置されて当該駆動ローラ512との間でウェブ501を押圧するゴムローラ513と、により構成されている。ロール状の原反500が給送軸510にセットされた後、給送軸510の回転によってロール状の原反500からウェブ501が給送される。給送されるウェブ501は、駆動ローラ512とゴムローラ513とによって狭持されながら搬送される。ここで、給送されるウェブ501の張力が、給送軸510の回転速度と駆動ローラ512の回転速度とを調整することによって制御される。
【0004】
更に、図8を参照して、ウェブの張力とロール状の原反の径との関係について説明する。図8は、ロール状の原反の径とウェブの張力との関係を説明するための模式図である。図8に示すように、従来の印刷装置の給送機構部において、相対的に大径である径rを有するロール状の原反と、相対的に小径である径rを有するロール状の原反と、の両方が同一の給送軸510にセットされる場合を考える。この場合、給送軸510の回転によって各原反から給送されるウェブ501a(径rに対応)及びウェブ501b(径rに対応)は、駆動ローラ512とゴムローラ513とによって共通に狭持されながら搬送されていく。ここで、各原反の角速度と給送軸510の角速度ωとは当然に同一であるから、大きい径rの原反から給送されるウェブ501aの給送速度Vの方が、小さい径rの原反から給送されるウェブ501bの給送速度Vより速くなる。そのため、ウェブ501aに弛みが生じて張力が掛からなくなり、ウェブ501aの給送が上手くいかなくなるか、あるいは、ウェブ501bに過大な張力が掛かってウェブ501bが破断してしまう、というおそれがある。
【0005】
一方、給送軸に1つの幅の広いロール状の原反をセットして、処理工程の中でスリッタ装置等を利用してウェブを分断し、分断された複数のウェブを同時平行的に巻取るようなウェブ搬送装置は知られている(特許文献1)。しかしながら、複数のロール状の原反をセットすることができるウェブ搬送装置は知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公2888704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、複数のロール状の原反をセットすることができるウェブ搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、ロール状の原反が各々セットされる、中空空間を有する2つの給送軸と、前記2つの給送軸が各々中空のサイドギヤに接続された差動装置と、各ロール状の原反から給送されるウェブを共通に狭持して搬送するニップローラと、前記2つの給送軸の中空空間及び前記差動装置の中空のサイドギヤを貫いて延びる駆動軸と、を備え、前記2つの給送軸は、同軸に配置されており、前記差動装置のピニオンシャフトが駆動軸に接続されていて、当該ピニオンシャフトが駆動軸の回転によって公転するようになっていることを特徴とするウェブ搬送装置である。
【0009】
本発明によれば、2つのロール状の原反がセットされる各給送軸の角速度差を許容することができるため、2つのロール状の原反の径に差が存在する場合であっても、各ウェブの張力を好適に制御することができる。このため、2つのロール状の原反からウェブを同時に給送可能な、実用に耐え得るウェブ搬送装置が実現できる。
【0010】
好ましくは、一方の給送軸は、他方の給送軸の中空空間を貫いて延びており、前記差動装置は、前記2つの給送軸に対して同一の側に設けられている。このような形態が採用されるならば、ウェブ搬送装置の全体のサイズをより小さくすることができる。
【0011】
好ましくは、前記ウェブ搬送装置は、更に、印刷部を備える。印刷部においては、各ウェブの張力をより高精度に制御することが要求されるが、本発明によれば十分にその要求に応えることができる。
【0012】
あるいは、好ましくは、前記ウェブ搬送装置は、更に、コーティング部を備える。コーティング部においても、各ウェブの張力をより高精度に制御することが要求されるが、本発明によれば十分にその要求に応えることができる。
【0013】
また、本発明は、ロール状の原反が各々セットされる、中空空間を有する4つの給送軸と、前記4つの給送軸を2つずつ対にして各々中空のサイドギヤに接続された2つの第一差動装置と、前記2つの第一差動装置の間に配置され、中空のサイドギヤに連接された中空軸部材を有する第二差動装置と、各ロール状の原反から給送されるウェブを共通に狭持して搬送するニップローラと、前記4つの給送軸の中空空間、前記2つの第一差動装置の中空のサイドギヤ及び前記第二差動装置の中空のサイドギヤを貫いて延びる駆動軸と、を備え、前記4つの給送軸は、同軸に配置されており、前記2つの第一差動装置の各ピニオンシャフトが、第二差動装置の各サイドギヤに連接された中空軸部材に接続されており、前記第二差動装置のピニオンシャフトが駆動軸に接続されていて、前記第二差動装置の各ピニオンシャフトが駆動軸の回転によって公転するようになっていることを特徴とするウェブ搬送装置である。
【0014】
本発明によれば、4つのロール状の原反がセットされる各給送軸の角速度差を許容することができるため、4つのロール状の原反の径に差が存在する場合であっても、各ウェブの張力を好適に制御することができる。このため、4つのロール状の原反からウェブを同時に給送可能な、実用に耐え得るウェブ搬送装置が実現できる。
【0015】
好ましくは、各第一差動装置により各々対にされた給送軸の一方の給送軸は、各々対にされた給送軸の他方の給送軸の中空空間を貫いて延びており、各第一差動装置は、前記各々対にされた2つの給送軸に対して同一の側に設けられている。このような形態が採用されるならば、ウェブ搬送装置の全体のサイズをより小さくすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、2つのロール状の原反がセットされる各給送軸の角速度差を許容することができるため、2つのロール状の原反の径に差が存在する場合であっても、各ウェブの張力を好適に制御することができる。このため、2つのロール状の原反からウェブを同時に給送可能な、実用に耐え得るウェブ搬送装置が実現できる。
【0017】
あるいは、本発明によれば、4つのロール状の原反がセットされる各給送軸の角速度差を許容することができるため、4つのロール状の原反の径に差が存在する場合であっても、各ウェブの張力を好適に制御することができる。このため、4つのロール状の原反からウェブを同時に給送可能な、実用に耐え得るウェブ搬送装置が実現できる。
【0018】
また、このようなウェブ搬送装置から不要な数の給送軸を間引いた構成とすることによって、4個以下のウェブを同時に給送可能なウェブ搬送装置も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるウェブ搬送装置を示す概略図である。
【図2】図1のウェブ搬送装置の要部を示す概略図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態におけるウェブ搬送装置の要部を示す概略図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態におけるウェブ搬送装置の要部を示す概略図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態における第一差動装置の他の構成例を示す。
【図6】従来のグラビア印刷機の構成の一例を示す概略図である。
【図7】従来の印刷機の給送機構を説明するための模式図である。
【図8】ロール状の原反の径とウェブの張力との関係を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の第1の実施の形態におけるウェブ搬送装置を示す概略図である。本実施の形態のウェブ搬送装置は、図1に示すように、給送部20と、インフィード部30と、印刷部40と、アウトフィード部50と、巻取部60と、により構成されている。そして、ロール状の原反10が、給送部20の給送軸にセットされるようになっている。当該給送軸が駆動されることに伴って、ロール状の原反からウェブ11がインフィード部30に給送される。給送されるウェブ11は、インフィード部30を介して印刷部40へと給送され、当該印刷部40において印刷処理される。その後、アウトフィード部50を介して排送されて、巻取部60によって巻取られる。
【0022】
図2は、図1のウェブ搬送装置の要部を示す概略図である。本実施の形態におけるウェブ搬送装置は、ロール状の原反10a及び10bが各々セットされる、中空空間を有する2つの給送軸21a及び21bと、2つの給送軸21a及び21bを互いに接続する差動装置22と、差動装置22を介して各給送軸21a及び21bを回転させる駆動軸28と、からなる。また、ウェブ搬送装置は、各ロール状の原反10a及び10bから給送されるウェブ11a及び11bを共通に狭持して搬送するニップローラ31を備えている。
【0023】
各給送軸21a及び21bには、種々の幅を有するロール状の原反10がセットできるようになっている。2つの給送軸21a及び21bは、同軸に配置されており、それぞれ差動装置22の中空のサイドギヤ23a及び23bに接続されている。これにより、各サイドギヤ23a及び23bと、各給送軸21a及び21bと、各原反10a及び10bとは、それぞれ一体に回転することができるようになっている。
【0024】
ニップローラ31は、回転駆動される駆動ローラ32と、当該駆動ローラ32と対向するように配置されて当該駆動ローラ32との間でウェブ11を押圧するゴムローラ33と、により構成されている。駆動ローラ32とゴムローラ33は、ウェブ11の搬送方向に対して直角かつ水平に回転可能に支持されている。更に、駆動ローラ32は、モータにより回転駆動される。
【0025】
差動装置22は、各給送軸21a及び21bにそれぞれ接続される各サイドギヤ23a及び23bと、各サイドギヤ23a及び23bの回転軸と直交する回転軸を有し各サイドギヤに噛合する一対のピニオンギヤ24と、一対のピニオンギヤ24を回転可能に軸支するピニオンシャフト25と、を備えている。
【0026】
図2の例では、サイドギヤ23a及び23bと一対のピニオンギヤ24とは、かさ歯車として構成されており、サイドギヤ23a及び23bは、一対のピニオンギヤ24に直交して噛み合っている。このような構成により、一対のピニオンギヤ24は、サイドギヤ23aとサイドギヤ23bとの間の回転速度差(角速度差)を吸収するようになっている。
【0027】
駆動軸28は、2つの給送軸21a及び21bの中空空間及び差動装置22の中空のサイドギヤ23a及び23bを貫いて延びている。そして、駆動軸28は、ピニオンシャフト25と、互いの軸線が直交するように接続されている。駆動軸28の初期回転速度は、ウェブ11へ微張力をかけるために、ニップローラ31(駆動ローラ32)の回転速度に対して給送軸21の回転速度が相対的に遅くなるように決定される。
【0028】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について図2を参照しながら説明する。
【0029】
駆動軸28が回転駆動されると、駆動軸28に接続された差動装置22のピニオンシャフト25が回転する。このピニオンシャフト25の回転は、一対のピニオンギヤ24から各サイドギヤ23a及び23bを介して各給送軸21a及び21bへと等しく伝わり、各給送軸21a及び21bが等しい角速度で回転し始める(この回転は「差動装置の公転」と呼ばれる)。これにより、各給送軸21a及び21bから、各ウェブ11a及び11bが給送され始める。給送されるウェブ11a及び11bは、駆動ローラ32とゴムローラ33とによって共通に狭持されながら搬送されていく。
【0030】
ここで、ロール状の原反10aの径rとロール状の原反10bの径rとが異なる場合を考える(相対的に大径である径rを有するロール状の原反を10a、相対的に小径である径rを有するロール状の原反を10bとする)。この場合、各給送軸21a及び21bが等速で回転し続けるならば、径rの大きい原反10aから給送されるウェブ11aの給送速度Vの方が、径rの小さい原反10bから給送されるウェブ11bの給送速度Vより速くなる。すると、ウェブ11aは給送過剰のために張力が弱くなる一方で、ウェブ11bは給送不足のため張力が強くなる。ウェブ11bに作用するこの強い張力は、ウェブ11bを引張って、給送軸21bを速く回転させようとする。給送軸21bの回転速度が少しでも速くなると、サイドギヤ23bの回転速度とサイドギヤ23aの回転速度との間に速度差が生じることとなり、一対のピニオンギヤ24がサイドギヤ23bによって回転して、サイドギヤ23aの回転速度、すなわち給送軸21aの回転速度、の方が遅くなるような作用が生じる(この回転は「差動装置の自転」と呼ばれる)。この結果、ウェブ11bの張力過剰が抑えられると共に、ウェブ11aの給送過剰が抑えられウェブ11aの必要な張力が維持されるようになる。
【0031】
以上のように、本実施の形態によれば、2つのロール状の原反10a及び10bがセットされる各給送軸21a及び21bの角速度差を許容することができるため、2つのロール状の原反10a及び10bの径に差が存在する場合であっても、各ウェブ11a及び11bの張力を好適に制御することができる。このため、2つのロール状の原反10a及び10bからウェブ11a及び11bを同時に給送可能な、実用に耐え得るウェブ搬送装置が実現できる。
【0032】
次に、図3を参照して、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0033】
図3は、本発明の第2の実施の形態におけるウェブ搬送装置の要部を示す概略図である。図3において、ウェブ搬送装置は、給送軸21aとサイドギヤ23aとを接続するサイドギヤマウント26を備えており、給送軸21bが、中空軸21aを貫いて延びている。また、このような構成により、差動装置22’は、2つの給送軸21a及び21bに対して同一の側に設けられている。その他の構成は、第1の実施の形態と略同様である。図3において、図2に示す第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0034】
各給送軸21a及び21bは、同軸に配置されており、種々の幅からなるロール状の原反10がセットできるようになっている。更に、給送軸21aは、サイドギヤマウント26を介してサイドギヤ23aに接続されている。給送軸21bは、給送軸21aの内部を貫いて延びてサイドギヤ23bに接続されている。
【0035】
サイドギヤマウント26は、一端において給送軸21aに接続され、差動装置22’の外縁を周り込んで、他端においてサイドギヤ23aに接続されている。また、サイドギヤマウント26は、サイドギヤ23aの回転を給送軸21aへ伝達することができる。
【0036】
このような構成により、原反10a及び10bを隣接してセットすることができるため、ウェブの搬送に必要とされる幅を狭くすることができる。すなわち、ウェブ搬送装置の全体の幅(サイズ)を小さくすることができる。
【0037】
このような構成からなる本実施の形態の作用は、給送軸21aの回転とサイドギヤ23aの回転とがサイドギヤマウント26を介して回転する点が異なるのみで、その他の作用は、第1の実施の形態と略同様である。そのため、詳細な説明は省略する。
【0038】
以上のように、本実施の形態によれば、2つのロール状の原反がセットされる各給送軸の角速度差を許容することにより、2つのロール状の原反に微差が存在する場合であっても、ウェブ間の張力差を軽減することができる。このため、2つのロール状の原反からウェブを同時に給送可能な、実用に耐え得るウェブ搬送装置が実現できる。
【0039】
次に、図4を参照して、本発明の第3の実施の形態について説明する。図4は、本発明の第3の実施の形態におけるウェブ搬送装置の要部を示す概略図である。図4において、ウェブ搬送装置は、ロール状の原反10a、10b、10c及び10dが各々セットされる、中空空間を有する4つの給送軸21a、21b、21c及び21dと、給送軸21aと21b及び給送軸21cと21dをそれぞれ対に接続する第一差動装置22a及び22bと、第一差動装置22aと第一差動装置22bとの間に配置された第二差動装置22cと、第二差動装置22cと第一差動装置22aと第一差動装置22bとを介して4つの給送軸21a、21b、21c及び21dを回転させる駆動軸28と、からなる。また、ウェブ搬送装置は、各ロール状の原反10a、10b、10c及び10dから給送されるウェブ11a、11b、11c及び11dを共通に狭持して搬送するニップローラ31を備えている。
【0040】
図4において、図2に示す第1の実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0041】
第一差動装置22a及び第一差動装置22bは、各ピニオンシャフト25が第二差動装置22cの中空の各サイドギヤ23a”及び23b”に各中空軸部材27を介して接続されている点が異なるのみで、その他の構成は、第1の実施形態における差動装置22と略同様である。一方、第二差動装置22cは、中空の各サイドギヤ23a”及び23b”が各中空軸部材27を介して第一差動装置の各ピニオンシャフト25に接続されている点が異なるのみで、その他の構成は、第1の実施形態における差動装置22と略同様である。
【0042】
各中空軸部材27は、一端においてそれぞれ第二差動装置22cのサイドギヤ23a”及び23b”に接続され、それぞれ中空軸21b及び21cの中空空間を通って、他端において第一差動装置22a及び22bのピニオンシャフト25に接続されている。また、第二差動装置22cの各サイドギヤ23a”及び23b”の回転が各中空軸部材27を介して第一差動装置22a及び22bの各ピニオンシャフト25に伝わり、第一差動装置22a及び22bとが略等しい角速度で公転するようになっている。
【0043】
駆動軸28は、4つの給送軸21a、21b、21c及び21dの中空空間、2つの第一差動装置22a及び22bの中空のサイドギヤ23a及び23b、及び、第二差動装置22cの中空のサイドギヤ23a”及び23b”を貫いて延びている。そして、駆動軸28は、第二差動装置22cのピニオンシャフト25”と、互いの軸線が直交するように接続されている。
【0044】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について図4を参照しながら説明する。
【0045】
駆動軸28が回転駆動されると、ピニオンシャフト25”を介して第二差動装置22cが公転する。これにより、各サイドギヤ23a”及び23b”の回転が各中空軸部材27を介して第一差動装置22a及び22bの各ピニオンシャフト25に伝わり、第一差動装置22a及び22bとが略等しい角速度で公転し始める。
【0046】
ここで、ウェブ11aの張力とウェブ11bの張力とが異なる場合を考える。この場合、第一差動装置22aの作用により(差動装置が自転する)、ウェブ11aの給送に必要な張力とウェブ11bの給送に必要な張力とが維持されるようになる。また、ウェブ11cの張力とウェブ11dの張力とが異なる場合も同様に、第一差動装置22bの作用により(差動装置が自転する)、ウェブ11cの給送に必要な張力とウェブ11dの給送に必要な張力とが、それぞれ維持されるようになる。更に、第一差動装置22aにより維持されたウェブ11a及びウェブ11bの給送に必要な張力と、第一差動装置22bにより維持されたウェブ11c及びウェブ11dの給送に必要な張力と、が異なる場合、第二差動装置22cの作用により、ウェブ11a及びウェブ11bの給送に必要な張力とウェブ11c及びウェブ11dの給送に必要な張力とが、それぞれ維持されるようになる。すなわち、4つのウェブ11aと11bと11cと11dとの給送に必要な張力が、適切に維持されることとなる。
【0047】
本実施の形態によれば、4つのロール状の原反10a、10b、10c及び10dがセットされる各給送軸21a、21b、21c及び21dの角速度差を許容することができるため、4つのロール状の原反10a、10b、10c及び10dの径に差が存在する場合であっても、各ウェブ11a、11b、11c及び11dの張力を好適に制御することができる。このため、4つのロール状の原反10a、10b、10c及び10dからウェブ11a、11b、11c及び11dを同時に給送可能な、実用に耐え得るウェブ搬送装置が実現できる。
【0048】
本実施の形態では、図4に示すように、第一差動装置22a及び22bとして、第一の実施の形態における差動装置22を適用する例を示したが、本発明はこのような例に限定されない。図5に、本発明の第3の実施の形態における第一差動装置の他の構成例を示す。図5に示す例では、第一差動装置22a’及び22b’として、第二の実施の形態における差動装置22’を適用するようになっている。
【0049】
このような構成により、原反10aと10b及び10cと10dをそれぞれ隣接してセットすることができるため、ウェブの搬送に必要とされる幅を狭くすることができる。すなわち、ウェブ搬送装置の全体の幅(サイズ)を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0050】
10、10a、10b、10c、10d ロール状の原反
11、11a、11b、11c、11d ウェブ
20 給送部
21、21a、21b、21c、21d 給送軸
22、22’、22a、22b、22’a、22’b 差動装置(第一差動装置)
22c、 第二差動装置
23、23a、23b、23a”、23b” サイドギヤ
24、24” ピニオンギヤ
25、25” ピニオンシャフト
26 サイドギヤマウント
27 中空軸部材
28 駆動軸
30 インフィード部
31 ニップローラ
32 駆動ローラ
33 ゴムローラ
40 印刷部
50 アウトフィード部
60 巻取部
500、 ロール状の原反
501、501a、501b ウェブ
502 給送部
503 インフィード部
504 印刷部
505 アウトフィード部
506 巻取部
510 給送軸
511 ニップローラ
512 駆動ローラ
513 ゴムローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の原反が各々セットされる、中空空間を有する2つの給送軸と、
前記2つの給送軸が各々中空のサイドギヤに接続された差動装置と、
各ロール状の原反から給送されるウェブを共通に狭持して搬送するニップローラと、
前記2つの給送軸の中空空間及び前記差動装置の中空のサイドギヤを貫いて延びる駆動軸と、
を備え、
前記2つの給送軸は、同軸に配置されており、
前記差動装置のピニオンシャフトが駆動軸に接続されていて、当該ピニオンシャフトが駆動軸の回転によって公転するようになっている
ことを特徴とするウェブ搬送装置。
【請求項2】
一方の給送軸は、他方の給送軸の中空空間を貫いて延びており、
前記差動装置は、前記2つの給送軸に対して同一の側に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のウェブ搬送装置。
【請求項3】
前記ウェブ搬送装置は、更に、印刷部を備えている
ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のウェブ搬送装置。
【請求項4】
前記ウェブ搬送装置は、更に、コーティング部を備えている
ことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のウェブ搬送装置。
【請求項5】
ロール状の原反が各々セットされる、中空空間を有する4つの給送軸と、
前記4つの給送軸を2つずつ対にして各々中空のサイドギヤに接続された2つの第一差動装置と、
前記2つの第一差動装置の間に配置され、中空のサイドギヤに連接された中空軸部材を有する第二差動装置と、
各ロール状の原反から給送されるウェブを共通に狭持して搬送するニップローラと、
前記4つの給送軸の中空空間、前記2つの第一差動装置の中空のサイドギヤ及び前記第二差動装置の中空のサイドギヤを貫いて延びる駆動軸と、
を備え、
前記4つの給送軸は、同軸に配置されており、
前記2つの第一差動装置の各ピニオンシャフトが、第二差動装置の各サイドギヤに連接された中空軸部材に接続されており、
前記第二差動装置のピニオンシャフトが駆動軸に接続されていて、前記第二差動装置の各ピニオンシャフトが駆動軸の回転によって公転するようになっている
ことを特徴とするウェブ搬送装置。
【請求項6】
各第一差動装置により各々対にされた給送軸の一方の給送軸は、各々対にされた給送軸の他方の給送軸の中空空間を貫いて延びており、
各第一差動装置は、前記各々対にされた2つの給送軸に対して同一の側に設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載のウェブ搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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