説明

複数映像の同期表示装置及び同期表示方法

【課題】複数映像をそれぞれ再生、一時停止、コマ送りなどの操作を行うことによって、映像の再生開始位置を簡単に同調させ、以降、複数映像を同期して表示できる複数映像の同期表示装置を提供する。
【解決手段】表示操作部40の操作に従って読取られた第1及び第2の映像データから同期表示すべき第1及び第2の画像PA,PBをそれぞれ選択する第1及び第2の画像選択部21,22と、第1及び第2の画像選択終了に伴い選択された第1及び第2の画像の画像データを取込む同期設定部23と、同期設定部に取込まれた画像データから第1の画像に対する第2の画像の撮影時刻の差分値を演算し記憶する差分値記憶部24と、表示操作部からの同期再生指令に応じて、差分値演算部に記憶された撮影時刻の差分値に基づき、第2の映像データから第1の画像の撮影時刻に最も近い第2の画像を読取るように第2の画像選択部を制御する同期制御部25を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影時刻、フレームレートの異なる複数映像の同期表示装置及び同期表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
異なるカメラで撮影・記録された映像、例えば複数の車載カメラで撮影された全景、拡大映像は、フレームレートが異なり、映像と同時記録される撮影時刻についても、時刻同期されていない場合が多い。このような映像を同期して同時に表示するためには、複数の映像の表示開始位置と映像の再生スピード(フレームレート)の両方を同期して表示する必要がある。
【0003】
特許文献1では、同一時間帯の複数映像を表示することができる画像表示装置が提案されている。特許文献2では、フレームレートの異なる複数映像を、最適なフレームレートに変換して表示できる画像処理装置が提案されている。特許文献3では、フレームレートの異なる複数映像を、時刻を同期させてコマ送り/戻しできる画像表示処理装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005-27337号公報
【特許文献2】特開2007-116418号公報
【特許文献3】特開2008-141608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、従来の装置は、記録された撮影時刻を元にフレームレートの異なる複数映像を表示することはできるが、それぞれの記録された撮影時刻が異なる場合、複数映像の表示開始位置を調整して同期させることができなかった。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑み、複数映像をそれぞれ再生、一時停止、コマ送りなどの操作を行うことによって、映像の再生開始位置を簡単に同調させ、以降、複数映像を同期して表示できる機能を持つ複数映像の同期表示装置及び同期表示方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カメラで撮影・記録された第1及び第2の映像を同期して表示する複数映像の画像表示装置において、入力された第1及び第2の映像データを読取る読取り部と、
前記読取られた第1及び第2の映像データの表示操作を行う表示操作部と、前記表示操作部の操作に従って前記読取られた第1及び第2の映像データから同期表示すべき第1及び第2の画像をそれぞれ選択する第1及び第2の画像選択部と、前記第1及び第2の画像選択終了に伴い前記選択された第1及び第2の画像の画像データを取込む同期設定部と、前記同期設定部に取込まれた画像データから前記第1の画像に対する第2の画像の撮影時刻の差分値を演算し記憶する差分値記憶部と、前記表示操作部からの同期再生指令に応じて、前記差分値記憶部に記憶された撮影時刻の差分値に基づき、前記第2の映像データから前記第1の画像の撮影時刻に最も近い第2の画像を読取るように前記第2の画像選択部を制御する同期制御部と、前記表示操作部からの同期再生指令に応じて、前記同期制御部の動作により前記読取り部で読取られた第1及び第2の映像データを同期して表示する画像表示部を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の複数映像の同期表示装置によれば、複数映像をそれぞれ再生、早送り、巻き戻し、コマ送り、一時停止等の操作を行うことによって、映像の再生開始位置を簡単に同調させ、以降、複数映像を同期して表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に関する利用形態の一例を示す概略説明図である。
【図2】本実施の形態に係る複数映像の同期表示装置の機能ブロック図である。
【図3】本実施の形態に係る同期表示装置の外観を示す説明図である。
【図4】本実施の形態に係る同期表示動作における同期設定フローを示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態に係る同期表示動作における同期再生フローを示すフローチャートである。
【図6】本実施の形態による同期表示動作の一例を示す説明図である。
【図7】本実施の形態による同期表示動作の他の例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る複数映像の同期表示装置及び同期表示方法について好適な実施の形態を説明する。
実施の形態.
本実施の形態として、図1に示すように、例えば、自動車に搭載された2台のカメラ201,301で撮影した全景映像と拡大映像をそれぞれ記録装置202,302に記録したものを、例えばSDカード等のメモリカード203,303にそれぞれ記録した後、同一の画像表示装置100で読取りそれらの全景映像と拡大映像を同期して表示させる場合について説明する。
【0011】
図2は本実施の形態における複数映像の同期表示装置100を示す概略構成図で、2台のカメラで撮影されメモリカード203,303に記録された2つの映像データVA,VBを読取る読取り部10と、読取られた2つの映像データを画像として同期表示し得るように処理する画像処理部20と、この画像処理部20の出力により2つの映像データに含まれる画像PA,PBを2つの表示面A、Bに並べて同時に表示する画像表示部30と、この画像表示部30に表示すべき画像の表示操作(再生、早送り、巻き戻し、コマ送り、一時停止など)を行う表示操作部40とから構成される。
【0012】
画像処理部20は、読取り部10で読取られた2つの映像データVA,VBのうち、表示操作部40の操作に従って同期表示すべき第1及び第2の画像PA,PBをそれぞれ選択する第1及び第2の画像選択部21,22と、第1及び第2の画像PA,PBの選択終了に伴い選択されたそれらの画像データを取込む同期設定部23と、同期設定部23に取込まれた画像データから第1の画像PAに対する第2の画像PBの撮影時刻の差分値を演算し記憶する差分値記憶部24と、表示操作部40からの同期再生指令に応じて、差分値記憶部24に記憶された撮影時刻の差分値に基づき、第2の映像データVBから第1の画像PAの撮影時刻に最も近い撮影時刻を有する第2の画像PBを読取るように第2の画像選択部22を制御する同期制御部25と、同期再生時に第1の画像PAを含む映像データVAの最初の撮影時刻をセットされ、表示操作部40の操作内容に従ってカウント値を進める表示時刻カウンタを備えている。
【0013】
図3は、本実施の形態に係る同期表示装置100の外観を示すもので、画像表示部30の表示面Aには全景画像、表示面Bには拡大画像が表示され、表示操作部40には押しボタン等の同期設定指示手段41が設けられている。
【0014】
次に、本実施の形態に係る同期表示装置100の動作を、図4及び図5により説明する。
図4は、同期表示動作における同期設定フローを示すフローチャートで、まず、画像表示部30の表示面Aに、再生、早送り、巻き戻し、コマ送り、一時停止等の操作により同期表示すべき第1の画像PAを選択し、一時停止させる(ステップS1〜S3)。
次に、画像表示部30の表示面Bに、再生、早送り、巻き戻し、コマ送り、一時停止等の操作により同期表示すべき第2の画像PBを選択し、一時停止させる(ステップS4〜S6)。
そして、画像表示部30の表示面A,Bにそれぞれ同期表示すべき画像が表示された段階で、表示操作部40に設けられた同期設定指示手段41を操作することにより、画像処理部20の同期設定部23において同期設定を実行し、そのときの2つの画像データを取込む(ステップS7)。
更に、次のステップS8において同期設定部23に取込まれた2つの画像データに基づき、第1の画像PAに対する第2の画像PBの撮影時刻の差分値を演算し差分値記憶部24に記憶する。
【0015】
図5は、同期表示動作における同期再生フローを示すフローチャートで、表示操作部40からの同期再生指令により、第1の画像PAを含む映像データから最初の撮影時刻を表示時刻カウンタ26にセットする(ステップS11)。
次に表示操作部40で操作した内容、例えば再生、早送り、巻き戻し、コマ送り、一時停止等に従って表示時刻カウンタ26を進める(ステップS12)。次のステップS13において表示時刻カウンタ26の値に最も近い撮影時刻を有する画像PAを読取る。
更に、表示時刻カウンタ26の値とステップS8で記憶された撮影時刻の差分値とを加算した値に最も近い撮影時刻を有する画像PBを読取る。
そして、読取った画像PA,PBを図3に示すように画像表示部30の2つ表示面A,Bに同時に表示する。
【0016】
図6,7は、本実施の形態による同期表示動作の異なる例を示す説明図である。
図6は、15:30:0から0.1秒ごとに撮影された画像フレームを有する映像VAと、時計が0.5秒ずれたカメラで同時に0.1秒ごとに撮影された拡大映像を撮影した映像VBを対象に、表示時刻カウンタの値15:30:0に映像VBの撮影時刻の差分値0.5秒を加算して同期表示する場合を示している。
図6(a)は映像VAと映像VBに含まれる画像フレームをそれらの撮影時刻と共に示す模式図、同図(b)は映像VAと映像VBに含まれる画像フレームの撮影時刻のずれ(0.5秒の差分)を示す模式図、同図(c)は撮影時刻のずれを調整して映像VAと映像VBに含まれる画像フレームを同期表示した場合の模式図である。
【0017】
また、図7は、15:30:0から10枚/秒のフレームレートで撮影された映像VAと、時計が0.4秒ずれたカメラで同時に5枚/秒のフレームレートで撮影された拡大映像を撮影した映像VBを対象に、表示時刻カウンタ26の値15:30:0に映像VBの撮影時刻の差分値0.4秒を加算して同期表示する場合を示している。
図7(a)は映像VAと映像VBに含まれる画像フレームをそれらの撮影時刻と共に示す模式図、同図(b)は映像VAと映像VBに含まれる画像フレームの撮影時刻のずれ(0.4秒の差分)を示す模式図、同図(c)は撮影時刻のずれを調整してフレームレートの異なる映像VAと映像VBに含まれる画像フレームを同期表示した場合の模式図である。
【0018】
なお、上記の説明では、入力される映像データとして、メモリカードに記録された2つの映像データを対象としたが、この代わりにネットワーク接続したカメラ映像データを直接入力できるようにすれば、蓄積された過去の映像だけでなく、リアルタイムで複数の映像を同期表示することができる。
【0019】
また、複数映像を同期して表示した映像を記録する記録部、例えばハードディスクやメモリカードに記録する記録部を付加すれば、同期表示した映像を、そのまま記録でき、次回から同期設定作業を行う必要がなくなる。
【0020】
以上のように本発明の複数映像の同期表示装置及び同期表示方法によれば、複数映像をそれぞれ再生、早送り、巻き戻し、コマ送り、一時停止等の操作を行うことによって、映像の再生開始位置を簡単に同調させ、以降、複数映像を同期して表示できる。
【符号の説明】
【0021】
201,301 カメラ
202,302 記録装置
203,303 メモリカード
100 同期表示装置
10 読取り部
20 画像処理部
21,22 画像選択部
23 同期設定部
24 差分値記憶部
25 同期制御部
26 表示時刻カウンタ
30 画像表示部
40 表示操作部
41 同期設定指示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラで撮影・記録された第1及び第2の映像を同期して表示する複数映像の画像表示装置において、
入力された第1及び第2の映像データを読取る読取り部と、
前記読取られた第1及び第2の映像データの表示操作を行う表示操作部と、
前記表示操作部の操作に従って前記読取られた第1及び第2の映像データから同期表示すべき第1及び第2の画像をそれぞれ選択する第1及び第2の画像選択部と、
前記第1及び第2の画像選択終了に伴い前記選択された第1及び第2の画像の画像データを取込む同期設定部と、
前記同期設定部に取込まれた画像データから前記第1の画像に対する第2の画像の撮影時刻の差分値を演算し記憶する差分値記憶部と、
前記表示操作部からの同期再生指令に応じて、前記差分値記憶部に記憶された撮影時刻の差分値に基づき、前記第2の映像データから前記第1の画像の撮影時刻に最も近い第2の画像を読取るように前記第2の画像選択部を制御する同期制御部と、
前記表示操作部からの同期再生指令に応じて、前記同期制御部の動作により前記読取り部で読取られた第1及び第2の映像データを同期して表示する画像表示部を
備えたことを特徴とする複数映像の同期表示装置。
【請求項2】
前記表示操作部からの同期再生指令に応じて、前記第1の画像を含む第1の映像データの最初の撮影時刻がセットされ、前記表示操作部の操作内容に従ってカウント値を進める表示時刻カウンタを備え、前記同期制御部は前記表示時刻カウンタの値と前記撮影時刻の差分値とを加算した値に最も近い撮影時刻を有する第2の画像を読取るように前記第2の画像選択部を制御することを特徴とする請求項1記載の複数映像の同期表示装置。
【請求項3】
前記同期設定部は、前記表示操作部に設けられた同期設定指示手段の操作に応じて、前記第1及び第2の画像の画像データを取込むことを特徴とする請求項1または2記載の複数映像の同期表示装置。
【請求項4】
前記読取り部が読取る第1及び第2の映像データは、メモリカード、ハードディスクに記録された映像データ、またはネットワーク接続したカメラ映像データであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載された複数映像の同期表示装置。
【請求項5】
カメラで撮影・記録された第1及び第2の映像を同期して同時に表示する複数映像の画像表示方法において、
入力された第1及び第2の映像データを読取る第1のステップと、
前記読取られた第1及び第2の映像データを再生表示し、前記第1及び第2の映像のうちから同期表示すべき第1及び第2の画像をそれぞれ選択する第2のステップと、
前記第1及び第2の画像の選択終了に伴い前記選択された第1及び第2の画像の画像データを取込む第3のステップと、
前記取込まれた画像データから前記第1の画像に対する第2の画像の撮影時刻の差分値を演算し記憶する第4のステップと、
同期再生指令に応じて、前記撮影時刻の差分値に基づき、前記第2の映像データから前記第1の画像の撮影時刻に最も近い第2画像を読取り、前記第1及び第2の映像データを同期して表示する第5のステップを含む
ことを特徴とする複数映像の画像表示方法。
【請求項6】
前記第5のステップは、前記同期再生指令に応じて、前記第1の画像を含む第1の映像データの最初の撮影時刻がセットされ、前記表示操作部の操作内容に従ってカウント値を進める表示時刻カウンタの値と、前記撮影時刻の差分値とを加算した値に最も近い撮影時刻を有する第2の画像を読取るステップを含むことを特徴とする請求項5記載の複数映像の同期表示方法。

【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−129853(P2012−129853A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280428(P2010−280428)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】