説明

計量容器

【課題】収容している錠剤等の粒状収容物を、簡単な操作で定量だけ取り出すことができる計量容器を提供する。
【解決手段】錠剤50等の収容物を収容した容器本体12と、容器本体12の一端部に形成された容器開口部14と、容器本体12の内側から容器開口部14に連通し、収容された錠剤50を一列に整列させる導入部26を有する。導入部26の容器開口部14近傍に形成され導入部26の挿通方向に対して交差して突出する固定係止部30と、固定係止部30に対向して突出する可動係止部44と、可動係止部44に設けられこの可動係止部44が所定位置から固定係止部30と離れる方向に移動すると所定位置に戻す力が働くスプリング48を備える。容器開口部14の外側には、容器開口部14に対向する対向物との間に錠剤50が所望の数で収容される大きさを有する収容空間54を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、収容物である錠剤等を収容し、錠剤等を計数して所定の数ずつ取り出す計量容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば錠剤を収容する容器として、収容している錠剤を1個ずつまたは所望の数ずつ計数して取り出すものがあった。このように錠剤を取り出す容器は、例えば以下の特許文献1、2に開示されているものがある。
【0003】
特許文献1に開示されている錠剤容器は、容器本体の口部に蓋体が設けられ、この蓋体は回動自在に枢着され、蓋体には、容器本体に開口する計量室が設けられている。この錠剤容器から収容している錠剤を取り出すときは、蓋体の計量室を容器本体の口部に対向させ、容器本体を傾倒させて容器本体内から計量室内へと1錠の錠剤を移動させる。そして、蓋体を回動させて計量室を外側へ開口し、このとき容器本体の口部は蓋体の後面で閉じられる。次に容器本体を傾けて計量室を下向きにすると、計量室内の1錠の錠剤を自重で落下させて取り出すことができるというものである。
【0004】
特許文献2に開示されている定形内容物の計数取出容器は、ケースに定形内容物を収容する収容室と、各収容室に通じる取出室とが設けられている。取出室には収容室から定形内容物を1個あて導入する小部屋を形成し、これらの小部屋の一面に、拡開弾性変形可能な狭窄口の取出口を設けると共に、他面に、各小部屋内の定形内容物をその取出口へ向けて押し出しする押釦が設けられている。この計数取出容器から収容している錠剤を取り出すときは、ケースを傾け取出室を下にして、錠剤を各小部屋に1個ずつ入れる。そして、各押釦を押すことにより、錠剤が拡開弾性変形可能な狭窄口に押し付けられ、狭窄口が押し開かれて外部へと押し出され、1個ずつ取り出すことができるものである。
【特許文献1】特開2002−104469号公報
【特許文献2】特開平9−202360号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の、特許文献1に開示されている技術の場合、錠剤を取り出すときに蓋体を回動させる操作が必要であり手間がかかるものであり、また錠剤は蓋体の回動の際に自重で落下させるため、床等に落として紛失するおそれがあった。特許文献2に開示されている技術の場合、錠剤を取り出すときに押釦を押す操作が必要であり、力と手間がかかるものであり、また特許文献1と同様に錠剤を落として紛失するおそれがあった。
【0006】
この発明は、上記背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、収容している錠剤等の粒状収容物を簡単な操作で定量だけ取り出すことができる計量容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、丸剤を含む錠剤等の粒状の収容物を収容した容器本体と、前記容器本体の一端部に形成された容器開口部と、前記容器本体の内側から前記容器開口部に連通し収容された前記収容物を一列に整列させる導入部と、前記導入部の前記容器開口部近傍に形成され前記導入部の挿通方向に対して交差して突出する固定係止部と、前記固定係止部に対向して突出する可動係止部と、この可動係止部に設けられこの可動係止部が所定位置から前記固定係止部と離れる方向に移動すると前記所定位置に戻す力が働く弾性体と、前記容器開口部の外側で前記容器開口部に対向する対向物との間に形成され収容された前記収容物が所望の数で収容される大きさを有する収容空間が設けられ、前記固定係止部と前記可動係止部の間隔は、前記可動係止部が前記所定位置にあるときは前記収容物の外径よりも小さく、前記可動係止部を前記弾性体の弾性力に抗して前記固定係止部から離れる方向に移動させると前記収容物の外径よりも広くなり、前記収容物は前記導入部を通過可能となり前記容器開口部から前記収容空間に所望の数が移動する計量容器である。
【0008】
さらに、前記容器開口部には、前記導入部が円筒状に設けられたノズル中栓と、前記ノズル中栓の先端面に開口された前記導入部の取出口と、前記取出口の近傍に形成された前記固定係止部と、前記ノズル中栓に摺動可能に取り付けられた開閉部材と、前記開閉部材に設けられ前記ノズル中栓の前記固定係止部に対向した前記可動係止部が設けられ、前記開閉部材は前記可動係止部が前記固定係止部に対向する所定位置に、前記弾性体により付勢されているものである。
【0009】
また、前記容器開口部には、前記導入部が円筒状に設けられたノズル中栓と、前記ノズル中栓の先端面に開口された前記導入部の取出口と、前記取出口の近傍に形成された前記固定係止部と、前記導入部の前記固定係止部と対向する部分に形成された切欠部と、前記切欠部に移動可能に形成された前記可動係止部と、前記可動係止部に一端部が連結された細長い板状の前記弾性体が設けられ、前記弾性体の前記可動係止部と反対側の端部は、前記導入部の先端部よりも突出して折り返し前記ノズル中栓の一部に取り付けられているものである。
【0010】
また、前記容器本体は上方が開口された内ケースと、前記内ケースを摺動可能に嵌合する外ケースが設けられ、前記外ケースには、前記容器開口部と、前記導入部の片側一方の側壁部となる第一導入部突起が設けられ、前記内ケースには、前記外ケースの前記容器開口部と連通する内ケース開口部と、前記内ケース開口部の一方の端部に形成され前記内ケース開口部の内側に向かって突出する固定係止部と、前記内ケース開口部の反対側の端部に形成され前記弾性体を介して移動可能に形成された前記可動係止部と、前記可動係止部に設けられ前記内ケース開口部の外側に突出する押込部と、前記導入部の他方の側壁部となる第二導入部突起が設けられ、前記内ケースは前記内ケース開口部が前記外ケースの前記容器開口部に一致する方向に摺動し、前記内ケース開口部と前記容器開口部が一致するとき、前記内ケースの前記押込部が前記容器開口部の外側に突出し、前記第一導入部突起と前記第二導入部突起は互いに平行に位置して一対の側壁部となりその間に前記導入部が形成され、前記押込部を前記対向物に押し当てると前記弾性体が撓み前記可動係止部が前記固定係止部から離れ、前記収容物が前記容器開口部から取り出し可能となる計量容器である。
【0011】
さらに、前記内ケースの前記内ケース開口部が前記外ケースの前記容器開口部から所定距離離れたとき、前記第一導入部突起と前記第二導入部突起が互いに連続し、前記内ケース開口部と前記内ケースに収容された前記収容物を区切るものである。
【0012】
また、前記容器本体は上方が開口された内ケースと、前記内ケースを摺動可能に嵌合する外ケースが設けられ、前記外ケースには、前記内ケースの摺動方向に交差して開口され前記内ケースが突没する開口部が設けられ、前記内ケースには、前記外ケースから摺動させて露出し摺動方向に交差して開口する内ケース開口部と、前記内ケース開口部の摺動方向の前記外ケース側の端部に形成され前記内ケース内側に向かって突出する固定係止部と、前記内ケース開口部の他方の端部に形成され前記内ケースの摺動方向に弾性変形する弾性体と、前記弾性体に設けられ前記内ケース開口部の端部から少し離れた位置に設けられ内ケース開口部に対して斜めに交差する側壁部である第一ガイドリブと、前記固定係止部に対向して前記第一ガイドリブに設けられた前記可動係止部と、前記内ケースに設けられ前記内ケースの中心付近に延出し前記内ケースの側面との間で前記第一ガイドリブへ向かう通路部を形成する第二ガイドリブが設けられ、前記外ケースから前記内ケースを突出させた状態で、突出した前記弾性体を前記内ケース内側に押し込むことにより前記弾性体が撓み前記可動係止部と前記固定係止部の間隔が前記収容物の径よりも大きくなり、前記収容物が前記可動係止部と前記固定係止部の間を通過し、前記弾性体の撓みにより前記弾性体の端部が前記固定係止部に接近して前記収容物の径よりも間隔が狭くなり、前記収容物が前記弾性体の端部と前記固定係止部の間に保持され、再び前記弾性体の弾性変形が復元すると、前記固定係止部と前記弾性体の端部との間隔が前記収容物の径よりも大きくなり前記収容物が取り出し可能となる計量容器である。
【0013】
さらに、前記弾性片の前記第一ガイドリブよりも前記内ケース開口部側に設けられ前記収容物を保持する保持板と、前記保持板に当接した前記収容物を支持する整列突起が前記内ケース開口部に設けられたものである。
【0014】
また、前記容器開口部には蓋本体が設けられ、前記蓋本体には、容器開口部に嵌合される筒状の取付部と、前記取付部を閉鎖する片持ちの板状の弾性体と、前記弾性体の先端部と前記取付部との間に形成された取出口と、前記弾性体の前記取出口側の先端部に形成され前記容器本体内側に突出するガイド突起と、前記弾性体の先端部に形成され前記容器本体外側に突出する押込部と、前記弾性体の先端部に形成され前記取出口へ突出する可動係止部と、前記取付部の前記取出口の内側に前記可動係止部に対向して突出する固定係止部が設けられ、前記押込部を前記対向物に押し当てると前記弾性体が撓み前記可動係止部が前記固定係止部から離れ、前記可動係止部と前記固定係止部の間隔が前記収容物の径よりも大きくなり、前記収容物が前記可動係止部と前記固定係止部の間を通過し、前記弾性体の撓みにより押込部が前記固定係止部に接近して前記収容物の径よりも間隔が狭くなり、前記収容物が前記押込部と前記固定係止部の間に保持され、再び前記弾性体の弾性変形が復元すると、前記固定係止部と前記押込部との間隔が前記収容物の径よりも大きくなり前記収容物が取り出し可能となる計量容器である。前記蓋本体は、ヒンジ部を介して前記取付部等に連結されたものや、キャップが設けられたものでも良い。
【0015】
またこの発明は、収容物を収容し上方が開口された内ケースと、前記内ケースを摺動可能に嵌合する外ケースが設けられ、前記外ケースには、前記内ケースの一部が突没する挿通孔と、前記挿通孔に形成され前記挿通孔の挿通方向に交差し前記内ケースに対向し前記収容物の厚さよりも低い板体が設けられ、前記内ケースには、前記挿通孔から一部が突出したときに露出する整列部が設けられ、前記整列部は、前記内ケースの底面からほぼ直角に立ち上がる壁部で作られ、前記壁部上端面から前記外ケース内天面までの高さは、前記収容物の厚さよりも大きく形成され、前記内ケースの底面から前記板体の下端面までの高さが前記収容物の厚さより大きく設定され、前記壁部上面から前記板体の下端面までの高さが前記収容物の厚さよりも小さく設定され、前記収容物は前記内ケースの中で前記壁部の上を通過するものであり、前記内ケースを前記外ケースから突出させ前記整列部が露出したとき、前記整列部に所定の数の上記収容物が収容され、前記整列部に乗っていた過剰の収容物は前記外ケースの前記板体に遮られて前記内ケースの中に移動する計量容器である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の計量容器は、収容している錠剤等の収容物を簡単な操作で所定の数ずつ、所望の場所に取り出すことができる。その操作は、計量容器の取出口を対向物に対向させて押し付けるだけで、対向物表面に所定の数ずつ取り出されるので、扱いやすいものである。特に、対向物が手のひらである場合、錠剤が手の中に取り出されるため、落下や紛失を防ぎ安全である。高齢者や障害者にも、簡単で確実に必要な数量や処方された数の錠剤等を正確に取り出して服用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1、図2はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の計量容器は錠剤計量容器10であり、有底の容器本体12を備え、ガラス等で作られている。容器本体12の上端部には、径が小さい円筒状の容器開口部14が一体に形成されている。容器開口部14の外周面には、キャップ等を螺合する雄ネジ16が形成されている。
【0018】
容器開口部14には、合成樹脂で作られたノズル中栓18が嵌合されて取り付けられている。ノズル中栓18には、容器開口部14の内側に嵌合される円筒状の取付部20が設けられ、取付部20の基端部には、容器開口部14の先端部14aに当接するフランジ部22が一周して形成されている。フランジ部22の外周面22aは、容器開口部14の先端面14aの外周面よりも径が小さく設けられている。フランジ部22の外周面22aには、容器開口部14から離れた部分に、外側に僅かに突出する係止突起24が一周して設けられている。また、フランジ部22の、容器開口部14と反対側の端面22bは、後述する導入部26の側方に一周している。
【0019】
容器開口部14には、フランジ部22の容器開口部14と反対側に、取付部20に連続する円筒形の導入部26が設けられている。導入部26は、内側空間が通路28となり、通路28の容器開口部14側は、取付部20を通過して容器開口部14の内側に連通されている。通路28の容器開口部14と反対側は、導入部26の先端面26aに開口されている。通路28には、導入部26の先端面26a近傍で、斜めに通路28内側に突出する固定係止部30が設けられている。通路28は固定係止部30により挿通方向がくの字形に側方へ曲がり、導入部26の側周面26bに一部が開口され、導入部26の先端面26aと導入部26bにわたって開口され、取出口32となる。
【0020】
ノズル中栓18の導入部26の外側には、開閉部材34が導入部26に沿って摺動可能に取り付けられている。開閉部材34には、導入部26を覆う円筒形の側面部36が設けられている。側面部36の挿通方向長さは、容器開口部14の先端面14aからノズル中栓18の導入部26先端面26aまでの長さよりも僅かに長く形成されている。
【0021】
側面部36の内周面の、ノズル中栓18のフランジ部22側には、フランジ部22が嵌合される大径部38が設けられている。大径部38の挿通方向の長さはフランジ部22の長さとほぼ等しく、大径部38の内径はフランジ部22の係止突起24を僅かなゆとりを有して嵌合するものである。大径部38の内周面には、フランジ部22側の端部に、フランジ部22外周面22aを僅かなゆとりを有して嵌合する係止突起40が一周して設けられている。係止突起40は、外周面22aの係止突起24に係止され、開閉部材34がノズル中栓18から抜けることを防いでいる。開閉部材34は、大径部38にノズル中栓18のフランジ部22のほぼ全体が嵌合され容器開口部14先端面14aに当接する位置と、大径部38にフランジ部22の係止突起24側の一部のみが嵌合され開閉部材34が雄ネジ16から離れて係止突起24が開閉部材34の係止突起40に係止される位置の間を、移動可能である。
【0022】
側面部36の内周面の中央部分は、導入部26の側周面26bよりも僅かに内径が大きい小径部42が設けられている。小径部42の、大径部38と反対の端部には、可動係止部44が形成されている。可動係止部44は、側面部36の内側に向かって突出する突起であり、側面部36の内周面を一周して設けられている。可動係止部44の内径は、導入部26の側周面26bを僅かなゆとりを有して嵌合するものであり、導入部26の取出口32付近に対向している。可動係止部44は、開閉部材34が容器開口部14の先端面14aに当接する位置では導入部26の取出口32の、基端側の端部32aに対向し、開閉部材34が導入部26の先端面26a側に移動する位置では取出口32のほぼ中心に位置している。
【0023】
側面部36の内周面の、可動係止部44よりもフランジ部22と反対側は、小径部42よりも僅かに径が大きい円筒状の円筒空間部46が設けられている。円筒空間部46は、開閉部材34の端部に開口されている。
【0024】
側面部36の小径部42と、導入部26の側周面26bとの間に形成された空間には、スプリング48が設けられている。スプリング48は、金属製のコイルバネであり、導入部26を巻き回してセットされ、スプリング48の一端部はノズル中栓18のフランジ部22の端面22bに当接し、他方の端部は開閉部材34の可動係止部44の端面に当接して、開閉部材34を導入部26から突出させる方向へ付勢している。
【0025】
次に、この実施形態の錠剤計量容器10の使用方法について説明する。容器本体12に錠剤50等を入れ、容器本体12の容器開口部14に、ノズル中栓18、開閉部材34、スプリング48を取り付ける。このとき、開閉部材34は、スプリング48に付勢されてノズル中栓18の導入部26先端面26a側へ移動している。この状態では、開閉部材34の可動係止部44は導入部26の取出口32に対向し、可動係止部44、導入部26の固定係止部30との距離は、錠剤50の外径よりも小さく、錠剤50が通過しない閉鎖状態となる。
【0026】
容器本体12から錠剤50を取り出して服用するときは、図1(a)に示すように、閉鎖状態のまま、錠剤計量容器10を倒立させる。これにより、容器本体12内の錠剤50が導入部26の通路28に移動する。次に、対向物52に開閉部材34を押し当てると、図1(b)に示すようにスプリング48が圧縮されて開閉部材34が容器開口部14先端面14aに当接し、可動係止部44が取出口32の端部32aに移動する。これにより可動係止部44と固定係止部30の距離は、錠剤50の外径よりも大きくなり、錠剤50が通過可能な開放状態となり、取出口32から錠剤50が1錠、対向物52と円筒空間部46で囲まれた収容空間54に出る。収容空間54は、錠剤50が1錠しか入らない大きさであり、次の錠剤50は収容空間54に入ることがなく、導入部26の内側に止められている。再び、錠剤計量容器10を対向物52から離すと、図1(c)に示すようにスプリング48が復元して開閉部材34により可動係止部44と固定係止部30の距離が狭くなり、導入部26の通路28に並べられた次の錠剤50は外に出ることがない。対向物52の上に錠剤50が1個取り出される。
【0027】
この実施形態の錠剤計量容器10によれば、簡単な構造と簡単な操作で、確実に錠剤50を1個ずつ、所定の場所に取り出すことができる。錠剤計量容器10の取出口32を対向物52に対向させて押し付けるだけで、対向物52の表面に1錠取り出され、対向物52が手のひらである場合、錠剤50が手の中に1錠取り出され、落下や紛失を防ぎ、安全である。高齢者や障害者にも、簡単で確実に処方された数の錠剤を正確に取り出して服用することができる。また、余分に出しすぎた錠剤を容器本体12に戻すことが無く、衛生的である。
【0028】
次にこの発明の第二実施形態について、図3〜図5を基にして説明する。この実施形態の錠剤計量容器56は、錠剤50が互いに重ならないように薄形に設けられ、合成樹脂製の外ケース58と、外ケース58に摺動可能に嵌合される内ケース60が設けられている。
【0029】
外ケース58は、図5に示すように、一方向に長い矩形の上面62が設けられ、上面62の長い一対の辺には、側面64,66が上面62に対してほぼ直角に連続し、短い辺の一方には、側面68がほぼ直角に連続して設けられている。側面68の反対側の辺は側面が設けられず、組み立ての際に内ケース60が入れられる挿通孔70となる。側面68の、上面62と反対側には、上面62に対してほぼ平行な底面72が設けられている。底面72は、上面62よりも小さく、上面62の長手方向の、側面68に近い約7分の1程度の幅で部分的に設けられている。側面68には、側面66に近い約半分の大きさに容器開口部74が形成されている。側面64,66の、上面62と反対側の端部には、互いに対向する内側面に内ケース60を摺動可能に保持する段部75が、端部に沿って設けられている。
【0030】
外ケース58の、上面62の内側面には、第一導入部突起76が設けられている。第一導入部突起76の位置は、上面62の長手方向の中心よりも僅かに側面68寄りで、幅方向の中心と側面66との間である。第一導入部突起76は、上面62からほぼ直角に外ケース58の内側へ向かって突出する一定厚みの板状であり、上面62からの突出量は、側面64,66よりも僅かに短く底面72に達しない長さである。第一導入部突起76の、上面62に対して平行方向の断面形状は、側面66に開口するへの字形であり、側面66に近い容器開口部74側の端部から上面62の中央に向かう斜めの直線である通路部76aと、通路部76aから側面66に向かって折り返されて上面62の中央に向かって膨出する曲線であるガイド部76bが設けられ、側面66近傍に達している。第一導入部突起76は、内ケース60を外ケース58に組み立てるときに後述する固定係止部92が通過可能なように側面66から所定間隔だけ離間されている。
【0031】
外ケース58の、側面64,66の内側面には、挿通孔70寄りで互いに対向する位置に、係止突起78が各々設けられている。係止突起78は、上面62に対してほぼ直角に長く形成されている。
【0032】
内ケース60は、外ケース58の内側を長手方向に沿って摺動可能に嵌合されるものである。内ケース60には、一方向に長い矩形の底面80が設けられ、底面80の長手方向は上面62の約7分の6程度の大きさであり、外ケース58の底面72と組み合わされて上面62と同じ大きさとなり、底面80の幅は内ケース60の上面62とほぼ同じである。底面80の長い一対の辺には、側面64,66に重ねられる側面82,84が、底面80に対してほぼ直角に連続して設けられている。
【0033】
底面80の、短い辺の一方には、弾性片状の弾性体86が設けられている。弾性体86は、側面82に連続し、側面82に対してほぼ直角に折り曲げられて、底面80の長手方向に交差する長さのほぼ半分の位置まで延出している。弾性体86は、底面80から離間されて自由に弾性変形する。底面80の短い辺の他方には側面88が設けられている。底面80の、各側面を挟んだ反対側は、開口されている。
【0034】
側面84の内ケース開口部90側の端部には、内ケース開口部90の内側に向かって折り曲げられる固定係止部92が設けられている。内ケース開口部90の、側面82側の側縁部に位置する弾性体86の端部には、押込部94が設けられている。押込部94は、弾性体86をほぼ直角に外側へ折り曲げて突出させたような矩形の板体であり、押込部94の板体の角部は曲面で面取りされている。弾性体86の、押込部94と反対側は内ケース60の内側面に延出して可動係止部96が設けられている。可動係止部96の先端は、内ケース開口部90側へL字に折り曲げられている。底面80は、可動係止部96に対向するL字状に透孔が設けられ、可動係止部96が弾性体86の弾性変形に伴って自由に移動する。
【0035】
内ケース60の、底面80の内側面には、第二導入部突起98が設けられている。第二導入部突起98の位置は、底面80の長手方向の中心よりも僅かに弾性体86寄りで、幅方向の中心と側面82との間である。第二導入部突起98は、底面80からほぼ直角に突出する一定厚みの板状であり、底面80からの突出量は、側面82とほぼ同じ長さである。第二導入部突起98の、底面80に対して平行方向の断面形状は、側面82と弾性体86の間の角部に対して面取りする方向に沿って設けられ、この角部に向かって僅かに膨出する曲線である通路部98aと、通路部98aの弾性体86に近い端部から弾性体86に向かって折り曲げられた小突起98bと、通路部98aの反対の端部から側面82に向かって延出し連結される連結部98cが設けられている。
【0036】
内ケース60の、側面82,84の外側面には、複数個所の互いに対向する位置に、係止凹部100が設けられている。係止凹部100は、内ケース60の弾性体86が、外ケース58の側面68に当接するときに側面68の係止突起78に対向する位置と、内ケース60の側面88が外ケース58の挿通孔70に一致するときに係止突起78に対向する位置に設けられている。側面84の内側面には、内ケース60の側面88が外ケース58の挿通孔70に当接するときに第一導入部突起76のガイド部76bに連通する閉鎖用突起102が設けられている。
【0037】
次に、この実施形態の錠剤計量容器56の使用方法について説明する。内ケース60の側面82,84,88と、第二導入部突起98で囲まれた空間が収容部104であり、ここに錠剤50等を入れ、外ケース58の挿通孔70から内ケース60を差し込みながら入れる。このとき、外ケース58は第一導入部突起76と側面66が離間されているため、内ケース60の固定係止部92が通過可能である。内ケース60は、側面88が外ケース58の挿通孔70に一致するときに、外ケース58の係止突起78が係止凹部100に差し込まれ、軽く係止される。このとき、図5(a)に示すように、内ケース60の押込部94は、外ケース58の中に収容されている。内ケース60の第二導入部突起98は、外ケース58の第一導入部突起76に接触し、収容部104を内ケース開口部90から区切り、錠剤50をほこりや湿気から保護している。このとき、閉鎖用突起102は、外ケース58の第一導入部突起76に接触し、第一導入部突起76と側面84の隙間を閉鎖する。
【0038】
収容部104から錠剤50を取り出して服用するときは、図5(b)に示すように、内ケース60を外ケース58に対して摺動させ、内ケース60の弾性体86を外ケース58の側面68に当接させ、容器開口部74と内ケース開口部90を一致させる。内ケース60の押込部94は、外ケース58の容器開口部74から外側に突出している。このとき、内ケース60の側面82,84に設けられた側面88側の係止凹部100に、外ケース58の係止突起78が嵌合され、適度な力で係止される。
【0039】
この状態で、錠剤計量容器56の内側は、図3(a)に示すように、内ケース60の第二導入部突起98が、外ケース58の第一導入部突起76から離れ、第二導入部突起98の通路部98aと第一導入部突起76の通路部76aが互いに平行に位置して一対の側壁部となり、その間に通路106が形成される。通路106は収容部104の端部から外ケース58の容器開口部74へ連続し、通路106の幅は、錠剤50の外径よりも僅かに広く、錠剤50が一列に並べられて通過可能である。第一導入部突起76のガイド部76bは、収容部104側へ膨出する彎曲で形成されているため、収容部104の錠剤50は円滑に通路106へ入る。
【0040】
次に、図3(a)に示すように錠剤計量容器56を倒立させると、収容部104内の錠剤50がガイド部76bにガイドされて通路106に移動する。しかし、内ケース60の内ケース開口部90に可動係止部96が位置し、可動係止部96と固定係止部92の距離は、錠剤50の外径よりも小さく、錠剤50が内ケース開口部90を通過しない閉鎖状態であり、錠剤50は容器開口部74から外へ出ることがない。次に、対向物52に押込部94を押し当てると、図3(b)に示すように弾性体86が内側へ撓み、押込部94と可動係止部96が容器開口部74の内側へ移動する。これにより可動係止部96と固定係止部92の距離は、錠剤50の外径よりも大きくなり、錠剤50が通過可能な開放状態となり、容器開口部74から錠剤50が1錠、対向物52と押込部94、外ケース58で囲まれた収容空間54に出る。再び、錠剤計量容器56を対向物52から離すと、図3(c)に示すように弾性体86が復元して容器開口部74が閉鎖状態となり、通路106に並べられた次の錠剤50が外に出ることがない。対向物52の上に錠剤50が1個取り出される。
【0041】
使用しないときは、図4に示すように、内ケース60を外ケース58の内側へ摺動させて、押込部94を収納し、押込部94が不用意に押されて錠剤50が出ることを防ぐ。このとき収容部104は、第二導入部突起98、第一導入部突起76、閉鎖用突起102が連続することにより閉鎖され、容器開口部74,内ケース開口部90から区切られる。
【0042】
この実施形態の錠剤計量容器56は、簡単な構造と簡単な操作で、確実に錠剤50を1個ずつ、所定の場所に取り出すことができる。錠剤計量容器56の外ケース58は薄い箱体であるため、携帯に便利である。押込部94は外ケース58内に収容されているため、携帯している途中で不用意に開放状態にならず、安全である。不使用時には、収容部104は第二導入部突起98、第一導入部突起76、閉鎖用突起102が連続して閉鎖されるため、ホコリや湿気の侵入を防ぎ、錠剤50が汚れたり変質することを防ぐ。
【0043】
次にこの発明の第三実施形態について、図6、図7を基にして説明する。この実施形態の錠剤計量容器150は、有底の容器本体12を備え、ガラスやプラスチックで作られている。容器本体12の上端部には、径が小さい円筒状の容器開口部14が一体に形成されている。容器開口部14の外周面には、キャップ等を螺合する雄ネジ16が形成されている。
【0044】
容器開口部14には、合成樹脂で作られたノズル中栓152が嵌合されて取り付けられている。ノズル中栓152には、容器開口部14の先端面14aに当接するフランジ部154が設けられ、フランジ部154の内周面には容器開口部14の内側に嵌合される円筒状の取付部156が設けられている。取付部156のフランジ部154と反対の先端部分には、フランジ部154よりも外側に突出する導入部158が連続して設けられている。導入部158は、取付部156と連続する基端部158aの径よりも、基端部158aと反対側の先端部158bの径が小さい円錐状の筒体である。先端部158bは、フランジ部154よりも容器開口部14の外側に突出している。先端部158bは、円形の取出口160が開口されている。
【0045】
導入部158の内周面には、取出口160を細くする固定係止部162が設けられている。固定係止部162は、取出口160の接線方向に面する板状部162aと、板状部162aの基端部158a側の端部に連続し導入部158の内周面に向かって折り曲げられた傾斜部162bが設けられている。固定係止部162の導入部158先端部158b側の端部は、先端部158bより少し内側に引き込んで位置している。導入部158には、固定係止部162と反対側の容器本体12側に、溝状の切欠部164が設けられている。切欠部164は、基端部158aから先端部158bに連続して錠剤の厚みよりも小さい一定幅で形成されている。
【0046】
導入部158の切欠部164の内側には、弾性体166が設けられている。弾性体166は切欠部164の内側に沿って僅かなゆとりを有して形成される細長い板状であり、弾性体166の一方の端部は固定係止部162の傾斜部162b付近に対向する位置に達し、後述する可動係止部168が一体に設けられている。弾性体166の、可動係止部168と反対側の端部は、切欠部164の内側に沿って導入部158の先端部158bに達し、導入部158bから少し突出して導入部158から離れ、外側に彎曲しながら折り返されてフランジ部154に連続している。
【0047】
弾性体166に設けられた可動係止部168は、導入部158の挿通方向に平行で固定係止部162の板状部162aに対して平行な板状である。可動係止部168の導入部158基端部158a側の側縁部には、突起170が直角に導入部158内側へ突出して設けられている。可動係止部168の導入部158先端部158b側の側縁部に、弾性体166が連結されている。可動係止部168の、固定係止部162と反対側の裏面には、可動係止部168と弾性体166に対してほぼ直角に封止板172が設けられている。
【0048】
切欠部164の、可動係止部168付近には、切欠部164の幅が細くなる段部165が設けられている。可動係止部168が、弾性体166の弾性変形により切欠部164内側へ移動したとき、可動係止部168裏面が段部165に当接し、弾性体166がそれ以上弾性変形しないように抑えられる。
【0049】
次に、この実施形態の錠剤計量容器150の使用方法について説明する。容器本体12に扁平な錠剤174等を入れ、容器本体12の容器開口部14に、ノズル中栓152を取り付ける。この状態では、可動係止部168は切欠部164よりも導入部158中心側に位置し、固定係止部162に対向し、可動係止部168と固定係止部162との距離は錠剤174の厚みよりも小さく、錠剤174が通過しない閉鎖状態である。
【0050】
容器本体12から錠剤174を取り出して服用するときは、図6(a)に示すように、閉鎖状態のまま、錠剤計量容器150を倒立させる。これにより、容器本体12内の錠剤174が導入部158内に移動する。錠剤174は扁平な円形であるため、固定係止部162板状部162aに対して平行に一定の向きに整列する。次に、対向物176に弾性体166の導入部158から突出した部分を押し当てると、図6(b)に示すように弾性体166が弾性変形して可動係止部168が導入部158の基端部158a側へ移動する。これにより可動係止部168と固定係止部162との距離は錠剤174の厚みより大きくなり、錠剤174が通過可能な開放状態となり、取出口160から錠剤174が1個、対向物176と取出口160で囲まれた収容空間178に出る。収容空間178は、錠剤174が1個しか入らない大きさであり、次の錠剤174は収容空間178に入ることがなく、導入部158の内側に止められている。再び、錠剤計量容器150を対向物176から離すと、図6(c)に示すように弾性体166が復元して閉鎖状態となり、導入部158に並べられた次の錠剤174は外に出ることがない。対向物176の上に、錠剤174が1個取り出される。
【0051】
この実施形態の錠剤計量容器150によれば、簡単な構造と簡単な操作で、確実に扁平な錠剤174を1個ずつ、所定の場所に取り出すことができる。ノズル中栓152は、一体成形で作ることができ、組立工程が簡単で生産効率が向上する。ノズル中栓152の導入部158は、固定係止部162により内側の断面形状が扁平に形成されているため、扁平な錠剤174の向きを一定にし、確実に固定係止部162と可動係止部168に保持することができる。導入部158は取出口160に近づくにつれて細くなるロート状であり、錠剤174を一列に並べて正確に1個ずつ取り出すことができる。
【0052】
次にこの発明の第四実施形態について、図8、図9を基にして説明する。この実施形態の錠剤計量容器179は、有底の容器本体12を備え、ガラスやプラスチックで作られている。容器本体12の上端部には、径が小さい円筒状の容器開口部14が一体に形成されている。容器開口部14の外周面には、キャップ等を螺合する雄ネジ16が形成されている。
【0053】
容器開口部14には、合成樹脂で作られたノズル中栓180が嵌合されて取り付けられている。ノズル中栓180には、容器開口部14の先端面14aに当接するフランジ部182が設けられ、フランジ部182の内周面には容器開口部14の内側に嵌合される取付部184が設けられている。取付部184のフランジ部182と反対の先端部分には、フランジ部182とほぼ同じ高さの導入部186が連続して設けられている。導入部186は、取付部184と連続する基端部186aの径よりも、基端部186aと反対側の先端部186bの径が小さい楕円形の円錐状の筒体である。先端部186bは、楕円形の取出口188が開口されている。
【0054】
導入部186の内周面には、取出口188の少し内側で取出口188の長径方向の空間を少し狭くする固定係止部190が設けられている。固定係止部190は取出口188の挿通方向に交差する板状であり、固定係止部190の側縁部は取出口188の接線方向に沿う直線である。
【0055】
導入部186には、固定係止部190と反対側に、溝状の切欠部192が設けられている。切欠部192は、基端部186aから先端部186bに連続して錠剤の厚みよりも小さい一定幅で形成されている。
【0056】
切欠部192の内側には、弾性体194が設けられている。弾性体194は切欠部192の内側に沿って僅かなゆとりを有して形成される細長い板状であり、弾性体194の一方の端部は固定係止部190よりわずかに基端部186aに近い位置に達し、後述する可動係止部196が一体に設けられている。弾性体194の、可動係止部196と反対側の端部は、切欠部192の内側に沿って導入部186の先端部186bに達し、導入部186から少し突出して導入部186から離れ、外側に彎曲しながら折り返されてフランジ部182に連続している。弾性体194の、取出口188から突出している面に、滑り止めの凹凸を設けてもよい。
【0057】
可動係止部196は、弾性体194に対してほぼ直角に導入部186内側へ突出して設けられている。切欠部192の、可動係止部196付近には切欠部192の幅が細くなる段部197が設けられている。段部197が、弾性体194の弾性変形により切欠部192内側へ移動したとき、可動係止部196の側縁部が段部197に当接し、弾性体194がそれ以上弾性変形しないように抑えられる。
【0058】
次に、この実施形態の錠剤計量容器179の使用方法について説明する。容器本体12に扁平な錠剤174等を入れ、容器本体12の容器開口部14に、ノズル中栓180を取り付ける。この状態では、可動係止部196は、固定係止部190に対向し、可動係止部196と固定係止部190との距離は錠剤174の直径よりも小さく、錠剤174が通過しない閉鎖状態となる。
【0059】
容器本体12から錠剤174を取り出して服用するときは、図8(a)に示すように、閉鎖状態のまま、錠剤計量容器179を倒立させる。これにより、容器本体12内の錠剤174が導入部186内に移動する。錠剤174は扁平な円形であるため、導入部186の断面形状に沿って、一定の向きに整列する。次に、対向物176に弾性体194の導入部186から突出した部分を押し当てると、図8(b)に示すように、弾性体194が弾性変形して可動係止部196が導入部186の基端部186a側へ移動する。これにより可動係止部196と固定係止部190との距離は錠剤174の直径より大きくなり、錠剤174が通過可能な開放状態となり、取出口188から錠剤174が1個、対向物176と取出口188で囲まれた収容空間198に出る。収容空間198は、錠剤174が1個しか入らない大きさであり、次の錠剤174は収容空間198に入ることがなく、導入部186の内側に止められている。再び、錠剤計量容器179を対向物176から離すと、図8(c)に示すように弾性体194が復元して閉鎖状態となり、導入部186に並べられた次の錠剤174は外に出ることがない。対向物176の上に、錠剤174が1個取り出される。
【0060】
この実施形態の錠剤計量容器179によれば、簡単な構造と簡単な操作で、確実に扁平な錠剤174を1個ずつ、所定の場所に取り出すことができる。ノズル中栓180は、一体成形で作ることができ、組立工程が簡単で生産効率が良好である。また、容器開口部14からの突起物が小さいためコンパクトである。導入部186の内側の断面形状は楕円に成形されているため、扁平な錠剤174の向きを一定にし、確実に固定係止部190と可動係止部196に保持することができる。導入部186は取出口188に近づくにつれて細くなるロート状であり、錠剤174を一列に並べて正確に1個ずつ取り出すことができる。
【0061】
次にこの発明の第五実施形態について、図10、図11を基にして説明する。この実施形態の錠剤計量容器200は、錠剤174が互いに重ならないように薄形に設けられ、合成樹脂製の外ケース202と、外ケース202に摺動可能に嵌合される内ケース204が設けられている。
【0062】
外ケース202は、一方向に長い矩形の図示しない上面が設けられ、上面の長い一対の辺には、側面206,208が上面に対してほぼ直角に連続して設けられている。上面の、側面206,208を挟んだ反対側には、底面が設けられている。底面は、上面の約7分の1程度の大きさで設けられ、上面の長手方向の短い辺の一方に近い部分に設けられている。上面の長手方向の短い辺の一方には、上面と底面と、側面206,208で囲まれて開口部210が設けられている。短い辺の反対側は、組み立ての際に内ケース204が入れられる挿通孔212となる。側面206,208の、上面と反対側の端部には、互いに対向する内側面に内ケース204を摺動可能に保持する段部214が、端部に沿って設けられている。外ケース202の、側面206,208の内側面には、挿通孔212寄りで互いに対向する位置に、係止突起215が各々設けられている。係止突起215は、上面に対してほぼ直角に長く形成されている。
【0063】
内ケース204は、外ケース202の内側を長手方向に沿って摺動可能に嵌合されるものである。内ケース204には、一方向に長い矩形の底面216が設けられ、底面216は外ケース202の上面とほぼ同じ大きさである。底面216の長い一対の辺には、側面206,208に重ねられる側面218,220が、底面216に対してほぼ直角に連続して設けられている。底面216の、短い辺の一方には、側面221が設けられている。
【0064】
内ケース204の底面216の、側面221と反対側には、弾性片状の弾性体222が設けられている。弾性体222は、側面218に連続し、側面218に対してほぼ直角に折り曲げられて、底面216の長手方向にほぼ直角に交差して側面220の延長線上付近に達している。なお、側面220と弾性体222の間には、後述する内ケース開口部239が設けられている。弾性体222は、底面216から離間されて自由に弾性変形する。弾性体222の、側面218から遠い約半分には、底面216と面一に位置する矩形の保持板224が、底面216側へ突出して一体に形成されている。なお、底面216には保持板224が所定間隔開けて嵌合される切欠部226が形成されている。保持板224は、弾性体222の弾性変形に伴って切欠部226の内側を移動する。
【0065】
弾性体222の、内ケース204内側の面には、保持板224の内側面に沿って、第一ガイドリブ228が設けられている。第一ガイドリブ228は、保持板224からほぼ直角に突出する一定厚みの板状の側壁部であり、弾性体222の、側面218と反対側の端部222aから少し離れた位置から底面216の中央に向かって、弾性体222に対して斜めに延出して形成されている。第一ガイドリブ228は、保持板224より長く形成され、第一ガイドリブ228の先端部は保持板224から出て切欠部226に突出し、固定係止部238に対向する位置に達している。第一ガイドリブ228の先端部には、固定係止部238に向かって突出する可動係止部230が設けられている。弾性体222の、保持板224と反対側の側縁部には、保持板224より小さくて保持板224に平行な整列突起232が設けられている。弾性体222、第一ガイドリブ228、保持板224、整列突起232で囲まれた空間を収容空間233とする。
【0066】
内ケース204の、底面216の内側面には、仕切部234が設けられている。仕切部234は、底面216からほぼ直角に突出する一定厚みの板状の側壁部であり、内ケース204の側面218の、中心よりも僅かに弾性体222寄りの位置から、可動係止部230に向かい、可動係止部230近傍で反対側の側面220に平行に可動係止部230から離れる方向へ折り曲げられて形成されている。仕切部234は側面220の中心付近に達している。仕切部234の角部には、収容する錠剤174を、円滑にガイドする小突起234aが設けられている。小突起234aから側面220と平行に、錠剤174の幅よりも広い間隔を空けて第二ガイドリブ237が、底面216から突出して設けられている。側面220と第二ガイドリブ237の間は、錠剤174を整列させる通路部244となる。通路部244は内ケース204の中心付近から内ケース開口部239へ連続し、通路部244の幅は、錠剤174の外径よりも僅かに広く、錠剤174が一列に並べられて通過可能である。
【0067】
側面218と、弾性体222、第一ガイドリブ228、仕切部234で囲まれた空間は、乾燥剤235を入れる空間であり、乾燥剤235を支持する乾燥剤用突起236が設けられている。
【0068】
内ケース204の側面220は、底面216の切欠部226に端部222aが位置し、側面220の端部には、切欠部226に向かって折り曲げられる固定係止部238が設けられている。さらに、側面220と弾性体222との間には、内ケース開口部239が設けられている。
【0069】
内ケース204の、側面218,220の外側面には、複数個所の互いに対向する位置に、係止凹部240が設けられている。係止凹部240は、内ケース204の弾性体222が外ケース202の開口部210に一致するときに側面206,208の係止突起215に対向する位置と、内ケース204の固定係止部238が開口部210に一致する位置の2箇所で、側面206,208の係止突起が対向する部分に設けられている。
【0070】
次に、この実施形態の錠剤計量容器200の使用方法について説明する。内ケース204の側面218,220,221と、仕切部234、第二ガイドリブ237、で囲まれた空間が収容部242であり、ここに錠剤174等を入れ、外ケース202の挿通孔212から内ケース204を差し込みながら入れる。内ケース204は、弾性体222が外ケース202の開口部210に一致する際に、外ケース202の係止突起215が固定係止部238に差し込まれ、適度な力で係止される。このとき、図11に示すように、内ケース204の内ケース開口部239は外ケース202の側面220で閉鎖され、切欠部226は底面で閉鎖され、外気と遮断して錠剤174をほこりや湿気から保護している。
【0071】
錠剤計量容器200から錠剤174を取り出して服用するときは、図10(a)に示すように、内ケース204を外ケース202に対して摺動させ、内ケース204の弾性体222を外ケース202の開口部210から外側へ移動させ、内ケース204の内ケース開口部239を外ケース202の側面220から露出させる。このとき、外ケース202の係止突起215が側面218,220の係止凹部240に差し込まれ、適度な力で係止される。
【0072】
次に錠剤計量容器200を通路部244が下にくるように倒立させる。すると、収容部242内の錠剤174が通路部244に移動する。しかし、内ケース204の内ケース開口部239には、固定係止部238に対向して可動係止部230が位置し、固定係止部238と可動係止部230の距離は、錠剤174の外径よりも小さく、錠剤174が内ケース開口部239を通過しない閉鎖状態であり、外へ出ることがない。次に、対向物176に弾性体222の内ケース開口部239側の端部222aを押し当てると、図10(b)に示すように弾性体222が内側へ撓み、第一ガイドリブ228が通路部244の外側へ移動する。これにより可動係止部230と固定係止部238の距離は、錠剤174の外径よりも大きくなり、錠剤174が通過可能な開放状態となる。通路部244から錠剤174が1個、弾性体222の内側の収容空間233に取り出されるが、弾性体222が内側へ撓んだ状態では、固定係止部238と、弾性体222の端部222aの距離は、錠剤174の外径よりも小さく、外へ出ることがなく、収容空間233内に保持される。そして、再び、錠剤計量容器200を対向物176から離すと、図10(c)に示すように弾性体222が復元し、固定係止部238と可動係止部230の距離が小さくなり、通路部244に並べられた次の錠剤174が外に出ることがない。しかし、弾性体222が復元することにより弾性体222の端部222aと固定係止部238の距離が錠剤174の外径より大きくなり、収容空間233に保持されていた錠剤174の1個が、対向物176の上に取り出される。そして、弾性体222が復元することにより可動係止部230と固定係止部238が閉鎖状態となり、通路部244に並べられた次の錠剤174は外に出ることがない。
【0073】
使用しないときは、内ケース204を外ケース202の内側へ摺動させて収容する。再び内ケース204の切欠部226は外ケース202の底面で閉鎖され、内ケース開口部239は側面208で閉鎖され、外気と遮断される。
【0074】
この実施形態の錠剤計量容器200は、簡単な構造と簡単な操作で、確実に錠剤174を1個ずつ、所定の場所に取り出すことができる。弾性体222は、切欠部226があるため底面216から独立して自由に弾性変形可能であり、弾性体222が内側に撓むときは弾性体222の保持板224が切欠部226の端縁部に当接し、必要以上に撓むことがなく安全である。輸送や保存等の場合は、内ケース204を外ケース202の内側に収容するため、錠剤174を湿気やほこりの侵入から防ぐことができる。可動係止部230付近から、錠剤174の直径よりも少し広い幅で側面220に沿って第二ガイドリブ237を延出することにより、錠剤174が詰まることなく必要量の錠剤174を通路部244に案内することができる。
【0075】
また、収容空間233に錠剤174が移動したとき、弾性体222は固定係止部238側に弾性変形して錠剤174が保持されるため、弾性体222の押圧を解除して弾性変形を復元させるまで錠剤174は内ケース開口部239から出ることがない。このため錠剤174は一旦保持され、不用意に落下することを防ぐことができる。対向物176が無くても、指で弾性体222を弾性変形させて錠剤174を1個取り出すことができる。錠剤174が収容空間233に移動したあと、収容空間233で錠剤174が内ケース開口部239と反対側、つまり弾性体222側へ寄ると次の錠剤174で遮られて内ケース開口部239に移動できなくなるが、第一ガイドリブ228により錠剤174が内ケース開口部239向かうように案内し、円滑に取り出すことができる。収容空間233に移動した錠剤174は、弾性体222に沿って倒れると次の錠剤174まで収容空間233に入り込んでしまうが、整列突起232によって倒れないように保持され、円滑に1個ずつ取り出すことができる。
【0076】
次にこの発明の第六実施形態について、図12、図13を基にして説明する。この実施形態の錠剤計量容器246は、有底筒状の容器本体248が設けられ、容器本体248は合成樹脂製であり錠剤174が互いに重ならないように薄形の四角筒状に形成されている。
【0077】
容器本体248の容器開口部250には、合成樹脂で作られた蓋本体252が嵌合されて取り付けられている。蓋本体252には、容器開口部250の内側に嵌合される四角筒状の取付部254が設けられている。取付部254の挿通方向の途中には、取付部254の外側面に、容器開口部250の端面に当接するフランジ部256が一周して設けられている。
【0078】
フランジ部256に対向する位置の取付部254の内周面には、容器本体248の小さい側面の一方に隣接する位置に、弾性体258が設けられている。弾性体258は、容器本体248を略水平に横断する片持ちの板状に形成され、弾性体258の先端部は、容器開口部250の中間付近に達している。弾性体258の先端と容器開口部250の他方の端部までの空間は取出口259となる。
【0079】
弾性体258の先端部には、容器本体12の内側に延出するガイド突起260が設けられている。ガイド突起260と容器本体248の側面との間に、通路261が設けられる。通路261は、容器本体248の内側から取出口259まで連続し、通路261の幅は、錠剤174の外経よりも僅かに広く、錠剤174が一列に並べられて通過可能である。弾性体258の先端部には、ガイド突起260と反対側に、容器本体12の外側に延出する押込部262が設けられている。ガイド突起260と押込部262の境界部分、つまり弾性体258の先端部に一致する部分には、取出口259に向かって突出する可動係止部264が設けられている。
【0080】
取出口259の、取付部254の内周面には、可動係止部264に向かって突出する固定係止部266が設けられている。可動係止部264の先端は、可動係止部264に向かう方向よりもやや外側に向いて傾斜している。取付部254の外周面には、後述するキャップ270を係止する段部268が一周して設けられている。また、取付部254の、押込部262と固定係止部266、可動係止部264で囲まれた空間を収容空間269とする。
【0081】
取付部254の、フランジ部256の端部には、弾性体258近傍に、ヒンジ部272を介してキャップ270が設けられている。キャップ270は、取付部254の、フランジ部256よりも外側に突出した部分を覆う箱体に形成され、キャップ270の天面270aと、ヒンジ部272が設けられている側面270bの角部は、面取りする方向に傾斜面274が設けられている。傾斜面274の、ヒンジ部272側の端部には、係止突起276が斜め下方に突出して設けられている。キャップ270の内周面には、取付部254の段部268に係止される溝部280が設けられている。キャップ270のヒンジ部272と反対側の側面には、キャップ270を開けるときに使用する持ち手282が一体に設けられている。キャップ270は、例えばヒンジ部272が設けられず、取付部254と別体の着脱式でもよい。
【0082】
また、フランジ部256のヒンジ部272側には、容器本体248の下方に突出する被係止突起278が設けられている。
【0083】
次に、この実施形態の錠剤計量容器246の使用方法について説明する。容器本体248に扁平な錠剤174等を入れ、容器本体248の容器開口部250に、蓋本体252を取り付ける。この状態では、可動係止部264は固定係止部266に対向し、可動係止部264と固定係止部266との距離は錠剤174の直径よりも小さく、錠剤174が通過しない閉鎖状態となる。
【0084】
容器本体248から錠剤174を取り出して服用するときは、容器本体248からキャップ270を開け、傾斜面274を容器本体248の外側面に重ねて、係止突起276を容器本体248の被係止突起278に係止する。これにより、キャップ270が容器本体248に対して開いた状態で保持される。そして、図12(a)に示すように、錠剤計量容器246を通路261が下にくるように倒立させる。すると、容器本体248内の錠剤174が通路261内に移動する。しかし、蓋本体252の取出口259には、固定係止部266に対向して可動係止部264が位置し、固定係止部266と可動係止部264の距離は、錠剤174の外径よりも小さく、錠剤174が取出口259を通過しない閉鎖状態であり、外へ出ることがない。次に、対向物176に押込部262を押し当てると、図12(b)に示すように弾性体258が内側へ撓み、可動係止部264は、固定係止部266から離れて容器本体248の内側へ移動する。これにより、可動係止部264と固定係止部266の距離は、錠剤174の外径よりも大きくなり、錠剤174が通過可能な開放状態となる。通路261から錠剤174が1個、収容空間269に取り出されるが、弾性体258が内側へ撓んだ状態では、押込部262が固定係止部266に近づき、押込部262と固定係止部266の距離は、錠剤174の外径よりも小さく、外へ出ることがなく、収容空間269内に保持される。再び、錠剤計量容器246を対向物176から離すと、図12(c)に示すように、弾性体258が復元し、押込部262と固定係止部266の距離が錠剤174の外径より大きくなり、押込部262と固定係止部266に保持されていた錠剤174の1個が、対向物176の上に取り出される。そして、弾性体258が復元することにより可動係止部264と固定係止部266が閉鎖状態となり、通路261に並べられた次の錠剤174は外に出ることがない。
【0085】
使用しないときは、図13に示すようにキャップ270を取付部254の外側に被せ、キャップ270の溝部280を取付部254の段部268に係止し、外気と遮断し密閉する。
【0086】
この実施形態の錠剤計量容器246は、簡単な構造と簡単な操作で、確実に錠剤174を1個ずつ、所定の場所に取り出すことができる。錠剤174は収容空間269で一旦保持されるため、不用意に落下することを防ぐことができる。押込部262の押圧を解除して弾性体258の弾性変形を復元させるまで錠剤174は取出口259から出ることがないため、対向物176がなくても1個ずつ取り出すことができる。使用しないときは、キャップ270を取付部254に閉じて密閉することができ、湿気やほこりの侵入を防ぐことができる。錠剤174を取り出すときに、押込部262を押して弾性体258を弾性変形させると、弾性体258と一体のガイド突起260が揺動し、容器本体248内の錠剤174が動かされてひっかかりを防止し、錠剤174を円滑に通路261の中へ誘導することができる。
【0087】
次にこの発明の第七実施形態について、図14、図15を基にして説明する。この実施形態の錠剤計量容器108は、合成樹脂製の外ケース110と、外ケース110に摺動可能に嵌合される内ケース112が設けられている。
【0088】
外ケース110は、一方向に長い矩形の上面114が設けられ、上面114の長い一対の辺は側面116,118が上面114に対してほぼ直角に連続し、短い辺の一方には、側面120がほぼ直角に連続して設けられている。側面116,118,120の上面114からその反対側の端縁までの高さは、錠剤計量容器108に収容される球状の錠剤142の直径の2倍よりもやや短く設けられている。側面120の反対側の辺は、側面が設けられず、内ケース112の一部が突没する挿通孔122となる。側面116,118の、上面114と反対側の端部には、互いに対向する内側面に内ケース112を摺動可能に保持する段部124が、端部に沿って設けられている。
【0089】
外ケース110の、側面116,118の内側面には、互いに対向する位置に、係止突起126が各々設けられている。係止突起126は、上面114に対してほぼ直角に長く形成されている。外ケース110の上面114の、挿通孔122の周縁部の少し内側には、板体127が設けられている。板体127は、上面114に対してほぼ直角に外ケース110の内側へ突出し、挿通孔122の周縁部のほぼ全長にわたって設けられ、突出量は錠剤142の直径よりも少し小さく設定されている。
【0090】
内ケース112は、外ケース110の内側を長手方向に沿って摺動可能に嵌合されるものである。内ケース112には、一方向に長い矩形の底面128が設けられ、底面128の長手方向は上面114とほぼ同じ大きさである。底面128の長い一対の辺には、側面116,118に重ねられる側面130,132が底面128に対してほぼ直角に連続して設けられ、短い一対の辺には、側面120に重ねられる側面134と、挿通孔122に露出する側面136が、底面128に対してほぼ直角に連続している。
【0091】
内ケース112の、底面128の内側面には、側面136に連続する整列部138が設けられている。整列部138は、底面128からほぼ直角に立ち上がる壁部140で囲まれて作られている。壁部140は、側面136に対して平行な平行壁部140aと、側面136に対して略直角で平行壁部140aに連続し互いに等間隔で平行な5個の直角壁部140bが設けられ、側面136に対して略直角な4列の溝状の整列部138が形成されている。整列部138の幅は、収容される錠剤142の直径よりも僅かに広く設定され、錠剤142が一列に並べられるものであり、整列部138の長さは、錠剤142が4個並べられるものである。つまり整列部138には、4個の錠剤142が4列に並べられて、16個収容される。壁部140の高さは、錠剤142の直径よりも低く設けられている。壁部140の上面から外ケース110の上面までの高さが、錠剤140の直径よりも大きく設定されているため、錠剤142は内ケース112の中で壁部140の上を通過する。なお、整列部138の列の向きは、側面136に対して平行でもよい。
【0092】
内ケース112の、側面130,132の外側面には、複数個所の互いに対向する位置に、係止凹部144が設けられている。係止凹部144は、内ケース112の側面136が外ケース110の挿通孔122に位置して閉鎖するときに外ケース110の係止突起126に対向する位置と、内ケース112の壁部140の、平行壁部140aが外ケース110の板体127に対向する位置に引き出されたときに外ケース110の係止突起126に対向する位置に設けられている。
【0093】
次に、この実施形態の錠剤計量容器108の使用方法について説明する。内ケース112の、側面130,132,134と、平行壁部140aで囲まれた空間が収容部146であり、ここに球状の錠剤142を入れ、外ケース110の挿通孔122から内ケース112を差し込みながら入れる。内ケース112は、側面136が外ケース110の挿通孔122に一致するときに、外ケース110の係止突起126が係止凹部144に差し込まれ、軽く係止される。このとき、外ケース110の挿通孔122は内ケース112の側面136に閉鎖され、錠剤142が通過しない閉鎖状態である。
【0094】
錠剤計量容器108から錠剤142を取り出して服用するときは、図6(a)に示すように、錠剤計量容器108を整列部138が下にくるように倒立させる。すると、錠剤142が壁部140を乗り越えて整列部138の中に入る。このとき錠剤142は、整列部138の中と、整列部138と上面114の間の空間に、整列部138の所定量より過剰に重なることがある。次に、内ケース112を外ケース110に対して摺動させ、挿通孔122から突出させる。内ケース112は、平行壁部140aが外ケース110の挿通孔122に形成されている板体127に対向する位置で係止され、図6(b)に示すように開放状態となる。このとき、整列部138と上面114の間の空間に位置していた過剰の錠剤142は、外ケース110の板体127が移動するとき板体127に押されて壁部140を越えて収容部146や、空いていた整列部138に移動する。整列部138内の錠剤142は板体127に接触せず、移動することがない。このため整列部138には、錠剤142が正確に16個残る。次に、錠剤計量容器108を傾けて整列部138の錠剤142を手のひらや容器に落下させて取り出す。収容部146内の錠剤142は、板体127と平行壁部140aでさえぎられて外へ出ることがない。
なお、整列部138の大きさは、整列させる錠剤142の数に合わせて変更し、任意の数の錠剤142を取り出すものにすることができる。
【0095】
この実施形態の錠剤計量容器108は、簡単な構造と簡単な操作で、確実に錠剤142を16個ずつ、所定の場所に取り出すことができる。整列部138は、直角壁部140bにより平行な列に区切られているため、錠剤142を確実に整列させることができ、列の蛇行による計数の不足を防止できる。錠剤142を数える手間を省略することができ手間がかからず、また落下や紛失を防ぎ安全である。高齢者や障害者にも、簡単に処方された数の錠剤142を服用することができる。
【0096】
なお、この発明の錠剤計量容器は、上記各実施形態に限定されるものではなく、収容部の形態は、瓶でもケースでもよく、収容部の形状に合わせて、導入部や固定係止部、可動係止部の形状を、適宜変更することができる。対向物との間の収容空間の大きさを広くすると、1回毎に取り出す錠剤の数を2個または3個に増やすことができる。整列部の形状や整列させる錠剤の数も適宜変更可能である。さらに、収容する収容物は、錠剤等の薬剤の他に、菓子等自由にいろいろな粒状物の製品に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】この発明の第一実施形態の計量容器の閉鎖状態を示す縦断面図(a)と開放状態を示す縦断面図(b)、錠剤を取り出した後の状態を示す縦断面図(c)である。
【図2】この発明の第一実施形態の計量容器の斜視図である。
【図3】この発明の第二実施形態の計量容器の閉鎖状態を示す縦断面図(a)と開放状態を示す縦断面図(b)、錠剤を取り出した後の状態を示す縦断面図(c)である。
【図4】この実施形態の計量容器の縦断面図である。
【図5】この実施形態の計量容器の押込部が外ケースに収容されている状態を示す斜視図(a)と、押込部が外ケースから突出している状態を示す斜視図(b)である。
【図6】この発明の第三実施形態の計量容器の閉鎖状態を示す縦断面図(a)と開放状態を示す縦断面図(b)、錠剤を取り出した後の状態を示す縦断面図(c)である。
【図7】この発明の第三実施形態の計量容器の斜視図である。
【図8】この発明の第四実施形態の計量容器の閉鎖状態を示す縦断面図(a)と開放状態を示す縦断面図(b)、錠剤を取り出した後の状態を示す縦断面図(c)である。
【図9】この発明の第四実施形態の計量容器の斜視図である。
【図10】この発明の第五実施形態の計量容器の閉鎖状態を示す縦断面図(a)と開放状態を示す縦断面図(b)、錠剤を取り出した後の状態を示す縦断面図(c)である。
【図11】この発明の第五実施形態の計量容器の内ケース収納状態の縦断面図である。
【図12】この発明の第六実施形態の計量容器の閉鎖状態を示す縦断面図(a)と開放状態を示す縦断面図(b)、錠剤を取り出した後の状態を示す縦断面図(c)である。
【図13】この発明の第六実施形態の計量容器のキャップを閉じた状態の縦断面図である。
【図14】この発明の第七実施形態の計量容器の閉鎖状態を示す縦断面図(a)と開放状態を示す縦断面図(b)である。
【図15】この発明の第七実施形態の計量容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0098】
10 錠剤計量容器
12 容器本体
14 容器開口部
18 ノズル中栓
26 導入部
30 固定係止部
32 取出口
34 開閉部材
44 可動係止部
48 スプリング
50 錠剤
52 対向物
54 収容空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状の収容物を収容した容器本体と、前記容器本体の一端部に形成された容器開口部と、前記容器本体の内側から前記容器開口部に連通し収容された前記収容物を一列に整列させる導入部と、前記導入部の前記容器開口部近傍に形成され前記導入部の挿通方向に対して交差して突出する固定係止部と、前記固定係止部に対向して突出する可動係止部と、この可動係止部に設けられこの可動係止部が所定位置から前記固定係止部と離れる方向に移動すると前記所定位置に戻す力が働く弾性体と、前記容器開口部の外側で前記容器開口部に対向する対向物との間に形成され収容された前記収容物が所望の数で収容される大きさを有する収容空間が設けられ、前記固定係止部と前記可動係止部の間隔は、前記可動係止部が前記所定位置にあるときは前記収容物の外径よりも小さく、前記可動係止部を前記弾性体の弾性力に抗して前記固定係止部から離れる方向に移動させると前記収容物の外径よりも広くなり、前記収容物は前記導入部を通過可能となり前記容器開口部から前記収容空間に所望の数が移動することを特徴とする計量容器。
【請求項2】
前記容器開口部には、前記導入部が円筒状に設けられたノズル中栓と、前記ノズル中栓の先端面に開口された前記導入部の取出口と、前記取出口の近傍に形成された前記固定係止部と、前記ノズル中栓に摺動可能に取り付けられた開閉部材と、前記開閉部材に設けられ前記ノズル中栓の前記固定係止部に対向した前記可動係止部が設けられ、前記開閉部材は前記可動係止部が前記固定係止部に対向する所定位置に、前記弾性体により付勢されていることを特徴とする請求項1記載の計量容器。
【請求項3】
前記容器開口部には、前記導入部が円筒状に設けられたノズル中栓と、前記ノズル中栓の先端面に開口された前記導入部の取出口と、前記取出口の近傍に形成された前記固定係止部と、前記導入部の前記固定係止部と対向する部分に形成された切欠部と、前記切欠部に移動可能に形成された前記可動係止部と、前記可動係止部に一端部が連結された細長い板状の前記弾性体が設けられ、前記弾性体の前記可動係止部と反対側の端部は、前記導入部の先端部よりも突出して折り返し前記ノズル中栓の一部に取り付けられていることを特徴とする請求項1記載の計量容器。
【請求項4】
前記容器本体は上方が開口された内ケースと、前記内ケースを摺動可能に嵌合する外ケースが設けられ、前記外ケースには、前記容器開口部と、前記導入部の片側一方の側壁部となる第一導入部突起が設けられ、前記内ケースには、前記外ケースの前記容器開口部と連通する内ケース開口部と、前記内ケース開口部の一方の端部に形成され前記内ケース開口部の内側に向かって突出する固定係止部と、前記内ケース開口部の反対側の端部に形成され前記弾性体を介して移動可能に形成された前記可動係止部と、前記可動係止部に設けられ前記内ケース開口部の外側に突出する押込部と、前記導入部の他方の側壁部となる第二導入部突起が設けられ、前記内ケースは前記内ケース開口部が前記外ケースの前記容器開口部に一致する方向に摺動し、前記内ケース開口部と前記容器開口部が一致するとき、前記内ケースの前記押込部が前記容器開口部の外側に突出し、前記第一導入部突起と前記第二導入部突起は互いに平行に位置して一対の側壁部となりその間に前記導入部が形成され、前記押込部を前記対向物に押し当てると前記弾性体が撓み前記可動係止部が前記固定係止部から離れ、前記収容物が前記容器開口部から取り出し可能となることを特徴とする請求項1記載の計量容器。
【請求項5】
前記内ケースの前記内ケース開口部が前記外ケースの前記容器開口部から所定距離離れたとき、前記第一導入部突起と前記第二導入部突起が互いに連続し、前記内ケース開口部と前記内ケースに収容された前記収容物を区切ることを特徴とする請求項3記載の計量容器。
【請求項6】
前記容器本体は上方が開口された内ケースと、前記内ケースを摺動可能に嵌合する外ケースが設けられ、前記外ケースには、前記内ケースの摺動方向に交差して開口され前記内ケースが突没する開口部が設けられ、前記内ケースには、前記外ケースから摺動させて露出し摺動方向に交差して開口する内ケース開口部と、前記内ケース開口部の摺動方向の前記外ケース側の端部に形成され前記内ケース内側に向かって突出する固定係止部と、前記内ケース開口部の他方の端部に形成され前記内ケースの摺動方向に弾性変形する弾性体と、前記弾性体に設けられ前記内ケース開口部の端部から少し離れた位置に設けられ内ケース開口部に対して斜めに交差する側壁部である第一ガイドリブと、前記固定係止部に対向して前記第一ガイドリブに設けられた前記可動係止部と、前記内ケースに設けられ前記内ケースの中心付近に延出し前記内ケースの側面との間で前記第一ガイドリブへ向かう通路部を形成する第二ガイドリブが設けられ、前記外ケースから前記内ケースを突出させた状態で、突出した前記弾性体を前記内ケース内側に押し込むことにより前記弾性体が撓み前記可動係止部と前記固定係止部の間隔が前記収容物の径よりも大きくなり、前記収容物が前記可動係止部と前記固定係止部の間を通過し、前記弾性体の撓みにより前記弾性体の端部が前記固定係止部に接近して前記収容物の径よりも間隔が狭くなり、前記収容物が前記弾性体の端部と前記固定係止部の間に保持され、再び前記弾性体の弾性変形が復元すると、前記固定係止部と前記弾性体の端部との間隔が前記収容物の径よりも大きくなり前記収容物が取り出し可能となることを特徴とする請求項1記載の計量容器。
【請求項7】
前記弾性片の前記第一ガイドリブよりも前記内ケース開口部側に設けられ前記収容物を保持する保持板と、前記保持板に当接した前記収容物を支持する整列突起が前記内ケース開口部に設けられたことを特徴とする請求項6記載の計量容器。
【請求項8】
前記容器開口部には蓋本体が設けられ、前記蓋本体には、容器開口部に嵌合される筒状の取付部と、前記取付部を閉鎖する片持ちの板状の弾性体と、前記弾性体の先端部と前記取付部との間に形成された取出口と、前記弾性体の前記取出口側の先端部に形成され前記容器本体内側に突出するガイド突起と、前記弾性体の先端部に形成され前記容器本体外側に突出する押込部と、前記弾性体の先端部に形成され前記取出口へ突出する可動係止部と、前記取付部の前記取出口の内側に前記可動係止部に対向して突出する固定係止部が設けられ、前記押込部を前記対向物に押し当てると前記弾性体が撓み前記可動係止部が前記固定係止部から離れ、前記可動係止部と前記固定係止部の間隔が前記収容物の径よりも大きくなり、前記収容物が前記可動係止部と前記固定係止部の間を通過し、前記弾性体の撓みにより押込部が前記固定係止部に接近して前記収容物の径よりも間隔が狭くなり、前記収容物が前記押込部と前記固定係止部の間に保持され、再び前記弾性体の弾性変形が復元すると、前記固定係止部と前記押込部との間隔が前記収容物の径よりも大きくなり前記収容物が取り出し可能となることを特徴とする請求項1記載の計量容器。
【請求項9】
収容物を収容し上方が開口された内ケースと、前記内ケースを摺動可能に嵌合する外ケースが設けられ、前記外ケースには、前記内ケースの一部が突没する挿通孔と、前記挿通孔に形成され前記挿通孔の挿通方向に交差し前記内ケースに対向し前記収容物の厚さよりも低い板体が設けられ、前記内ケースには、前記挿通孔から一部が突出したときに露出する整列部が設けられ、前記整列部は、前記内ケースの底面からほぼ直角に立ち上がる壁部で作られ、前記壁部上端面から前記外ケース内天面までの高さは、前記収容物の厚さよりも大きく形成され、前記内ケースの底面から前記板体の下端面までの高さが前記収容物の厚さより大きく設定され、前記壁部上面から前記板体の下端面までの高さが前記収容物の厚さよりも小さく設定され、前記収容物は前記内ケースの中で前記壁部の上を通過するものであり、前記内ケースを前記外ケースから突出させ前記整列部が露出したとき、前記整列部に所定の数の上記収容物が収容され、前記整列部に乗っていた過剰の収容物は前記外ケースの前記板体に遮られて前記内ケースの中に移動することを特徴とする計量容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−102064(P2009−102064A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332746(P2007−332746)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【特許番号】特許第4247293号(P4247293)
【特許公報発行日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000104526)キタノ製作株式会社 (20)
【Fターム(参考)】