説明

記録メディア再生装置及び記録メディア再生用のコンピュータプログラム

本発明は、DVDディスクからタイトルセットデータと制御情報とを読み出して映像や音響を再生する記録メディア再生装置に関する。記録メディア再生装置としてのマルチディスクチェンジャーは、DVDディスクから読み出した制御情報に、本編たるタイトルの映像や音響を再生する前にメニューを表示せよとの命令が含まれる場合、当該メニューから選択可能で再生時間が所定時間以上のタイトルを主タイトルとして選択するタイトル選択部(30)と、主タイトルに対応するタイトルセットデータをDVDディスクから読み出して映像や音響を再生する再生部(200)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)ディスクからタイトルセットデータと制御情報とを読み出してコンテンツを再生する記録メディア再生装置、及びそのような機能を備えたコンピュータに所定の手順を実行させるための記録メディア再生用のコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
ディスク再生装置にはシングルディスクプレーヤとマルチディスクチェンジャーがある。シングルディスクプレーヤはディスクを1枚だけセットでき、そのディスクのみを再生する。マルチディスクチェンジャーは複数枚のディスクをセットでき、それらのディスクを連続して再生することができる。マルチディスクチェンジャーは、セットされた複数枚のディスクについてユーザが予め再生順を指定しておくと、各ディスクの再生が終了する毎に自動的に次のディスクの再生動作を行う。
マルチディスクチェンジャーは、シングルディスクプレーヤのように、ディスクの再生が終了する毎にユーザが手動でディスクの交換をする手間を要しない。従って、マルチディスクチェンジャーは、複数枚のディスクに記録された複数の音楽や映画などを連続して再生したい場合や複数枚のディスクに分割して記録された長編映画などを再生する場合に便利である。
しかし、例えば映画を収録したDVDディスクの場合、一般に映画の本編を構成するコンテンツ(映像や音響等)に加え、特典映像(例えば本編ではカットされたNGシーンなどの映像等)や、宣伝告知映像等といった本編とは別のコンテンツが収録され、最初にこれらのコンテンツの中から再生すべきコンテンツを選択するためのメニューが表示されるようになっているため、マルチディスクチェンジャーで複数枚のDVDディスクを連続再生させるように再生順を指定しても各ディスクの再生当初に必ずメニューが表示され、実質的に連続再生をさせることができないという不都合がある。
例えば1本の映画がDVDディスクAとDVDディスクBに分割して記録され、かつ、各DVDディスクに本編以外の特典映像や宣伝告知映像が記録されている場合、DVDディスクAの本編(前編)を再生した後、次に再生すべきディスクとしてDVDディスクBが自動的に交換されてもDVDディスクBで最初に表示されるメニューにおいて本編(後編)の再生をユーザが選択しなければ、そのメニューが表示されて選択操作待ちの状態になり、DVDディスクAの前編に続いてDVDディスクBの後編を連続再生することはできない。
また、DVDディスクによっては、コンテンツの再生が終了すると自動的にメニューを表示させ、次に再生すべきコンテンツ若しくは再生終了の選択操作待ちになるものもある。マルチディスクチェンジャーにセットされた2枚のDVDディスクA,Bがこの種のもので、両DVDディスクA,Bに分割して映画が記録されている場合は、DVDディスクAに記録された前編の再生が終了しても、ユーザがメニューで再生終了を選択しない限り、DVDディスクBの再生動作に移行せず、この場合もディスクAの前編に続いてディスクBの後編を連続して再生することはできない。
コンテンツの再生終了後にメニューを表示させるタイプの複数枚のDVDディスクを連続再生する際の上記課題に対しては、出願人は、既に解決方法を提案している(日本国特開2001−351312号公報)。この解決方法は、本編(主タイトル)の再生後にメニューが表示されても、タイトル再生時間が所定の基準時間を超えていれば、マルチディスクチェンジャーで本編の再生が終了した判断し、本編再生後にメニュー表示で静止した状態になることなく自動的に次のディスクに交換させるというものである。
しかしながら、この解決方法は、DVDディスクAに記録された前編の再生終了後にDVDディスクBへの交換は自動で行い得るものの、DVDディスクBの再生当初にメニューが表示されると、ユーザがそのメニューに対して後編の再生を選択しない限り、DVDディスクBに記録された後編を連続して再生させることはできない。
従って、日本国特開2001−351312号公報に記載の発明では、コンテンツの再生前にメニューが表示され、再生すべきコンテンツの選択待ちとなるDVDディスクを連続再生させる場合の上述した問題を解決し得るものではない。
この問題は、最初にメニューが表示され、ユーザによる再生すべきコンテンツの選択操作待ちの状態で停止するタイプのDVDディスクをシングルディスクプレーヤで再生させる場合にも生じ得る。すなわち、シングルディスクプレーヤにDVDディスクをローディングした後、直ちに本編を再生してほしい場合にもメニューが表示され、ユーザがそのメニューに対して本編再生の選択をしない限り、本編の再生は開始されない。また、同一のDVDディスクに記録された映画をシングルディスクプレーヤで何回も繰り返して見たい場合も、ユーザは、本編の再生が終了し、メニューが表示される毎に本編再生の選択が強いられ、その選択操作に煩わされることになる。
また、日本国特開2002−74908号公報には、ディスク交換時にメニューを表示することなく、無条件に本編を再生することにより、再生が途中で停止することを防止したDVDオートチェンジャーが提案されている。しかし、この方法は、メニューを表示するというディスク制作者の意図を無視したもの(ナビゲーション違反)となってしまう。すなわち、このようなディスク制作者の意図を無視して、メニューを表示しないDVDオートチェンジャーは許可されていない。
【発明の開示】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、または抑制し得る記録メディア再生装置及びコンピュータをそのような記録メディア再生装置として動作させるためのコンピュータプログラムを提供することをその目的としている。
本発明の第1の側面において提供される記録メディア再生装置は、コンテンツをタイトル別に編集してなるタイトルセットデータと各タイトルの再生時間や再生手順ならびに所望のタイトルをユーザに選択させるためのメニューを含む制御情報とが記録された記録メディアから前記タイトルセットデータと制御情報とを読み出し、当該制御情報に基づいて当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する記録メディア再生装置であって、前記記録メディアから読み出した前記制御情報に基づいて本編たるタイトルのコンテンツを再生する前に複数の選択ボタンの表示を含む前記メニューが表示されたとき、再生時間が所定時間以上の選択ボタンに対応するタイトルを主タイトルとして選択するタイトル選択手段と、前記タイトル選択手段より主タイトルとして選択されたタイトルに対応するタイトルセットデータを前記記録メディアから読み出して当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する再生手段と、を備えたことを特徴としている。
好ましくは、前記タイトル選択手段は、各選択ボタンに対応するコマンドの内容を確認するコマンド確認手段と、前記コマンド確認手段によりコマンドの内容がタイトルの再生であると確認されたとき、その選択ボタンに対応するタイトルの再生時間を確認する再生時間確認手段と、前記再生時間確認手段により確認された再生時間が前記所定時間以上であるか否かを判別する判別手段とで構成するとよい。
好ましくは、前記メニューは、前記記録メディアに複数種類用意されており、前記タイトル選択手段は、一のメニューから前記主タイトルを選択できない場合、さらに他のメニューに移行して主タイトルの選択動作を実行するとよい。
好ましくは、前記タイトル選択手段により前記メニューから前記主タイトルを選択できない場合、当該メニューから選択可能で再生時間が所定時間未満のタイトルを複数回にわたり選択する第2のタイトル選択手段を更に備え、前記再生手段は、前記第2のタイトル選択手段により前記タイトルが選択される毎に当該タイトルに対応するタイトルセットデータを前記記録メディアから読み出し、当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する動作を前記所定時間を経過するまで繰り返すようにするとよい。
好ましくは、複数の前記記録メディアを交換可能に保持する交換保持手段と、前記交換保持手段に保持された1の記録メディアに対して前記タイトル選択手段及び前記再生手段による主タイトルの再生動作が終了すると、記録メディアを他の記録メディアに交換し、当該他の記録メディアに対して前記タイトル選択手段及び前記再生手段による主タイトルの再生動作を行わせる再生制御手段とを更に備えるとよい。
好ましくは、同一の記録メディアに対して前記タイトル選択手段及び前記再生手段による主タイトルの再生動作が終了すると、再度前記タイトル選択手段及び前記再生手段による主タイトルの再生動作を行わせる再生制御手段を備えるとよい。
本発明の第2の側面において提供される記録メディア再生装置は、コンテンツをタイトル別に編集してなるタイトルセットデータと各タイトルの再生手順や所望のタイトルをユーザに選択させるためのメニューを含む制御情報とが記録された記録メディアから前記タイトルセットデータと制御情報とを読み出し、当該制御情報に基づいて当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する記録メディア再生装置であって、前記記録メディアから読み出した前記制御情報に基づいて本編たるタイトルのコンテンツを再生する前に複数の選択ボタンの表示を含む前記メニューが表示されたとき、当該メニューの選択内容を確定するための信号を発生させる信号生成手段と、前記信号により前記メニューに表示された所定の選択ボタンの選択が確定されると、当該選択ボタンのタイトルに対応するタイトルセットデータを前記記録メディアから読み出して当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する再生手段と、を備えたことを特徴とする。
好ましくは、前記信号生成手段は、前記メニューの表示から所定時間経過後に、前記信号を発生させるとよい。
好ましくは、前記信号生成手段は、前記記録メディアの読み出しを開始してからの経過時間が所定時間以上になるまでは、前記再生手段によるタイトルのコンテンツの再生の終了後に前記メニューが表示されたときにも当該メニューの選択内容を確定するための信号を発生させるとよい。
前記メニューは、前記記録メディアに複数種類用意されており、前記信号生成手段は、前記記録メディアの読出しを開始してからの経過時間が所定時間以上になるまでは、メニューが表示される毎に前記信号を発生させるとよい。
好ましくは、複数の前記記録メディアを交換可能に保持する交換保持手段と、前記交換保持手段に保持された1の記録メディアに対して、前記信号生成手段及び前記再生手段によるタイトルの再生動作が終了すると、記録メディアを他の記録メディアに交換し、当該他の記録メディアに対して前記信号生成手段及び前記再生手段によるタイトルの再生動作を行わせる再生制御手段とを更に備えるとよい。
好ましくは、同一の記録メディアに対して前記信号生成手段及び前記再生手段によるタイトルの再生動作が終了すると、再度前記信号生成手段及び前記再生手段によるタイトルの再生動作を行わせる再生制御手段を備えるとよい。
本発明の第3の側面において提供される、記録メディア再生用のコンピュータプログラムは、コンピュータを、コンテンツをタイトル別に編集してなるタイトルセットデータと各タイトルの再生時間や再生手順ならびに所望のタイトルをユーザに選択させるためのメニューを含む制御情報とが記録された記録メディアから前記タイトルセットデータと制御情報とを読み出し、当該制御情報に基づいて当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する記録メディア再生装置として機能させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、前記記録メディアから読み出した前記制御情報に基づいて本編たるタイトルのコンテンツを再生する前に複数の選択ボタンの表示を含む前記メニューが表示されたとき、再生時間が所定時間以上の選択ボタンに対応するタイトルを主タイトルとして選択するタイトル選択手段と、前記タイトル選択手段より主タイトルとして選択されたタイトルに対応するタイトルセットデータを前記記録メディアから読み出して当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する再生手段として機能させることを特徴とする。
本発明の第4の側面において提供される、記録メディア再生用のコンピュータプログラムは、コンピュータを、コンテンツをタイトル別に編集してなるタイトルセットデータと各タイトルの再生手順や所望のタイトルをユーザに選択させるためのメニューを含む制御情報とが記録された記録メディアから前記タイトルセットデータと制御情報とを読み出し、当該制御情報に基づいて当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する記録メディア再生装置として機能させるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータを、前記記録メディアから読み出した前記制御情報に基づいて本編たるタイトルのコンテンツを再生する前に複数の選択ボタンの表示を含む前記メニューが表示されたとき、当該メニューの選択内容を確定するための信号を発生させる信号生成手段と、前記信号により前記メニューに表示された所定の選択ボタンの選択が確定されると、当該選択ボタンのタイトルに対応するタイトルセットデータを前記記録メディアから読み出して当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する再生手段として機能させることを特徴とする。
本発明によれば、ローディング後に本編再生前にメニューが表示される記録メディアであってもメニューの表示で停止することがなく、ユーザは本編再生の選択動作をすることなく直ちに本編の内容を鑑賞することができる。
本発明のその他の特徴及び利点については、以下に行う発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明の第1実施例に係る記録メディア再生装置を示すシステム構成図である。
図2は、DVDディスクのフォーマット構成図である。
図3は、マルチディスクチェンジャーの機能ブロック図である。
図4は、連続再生モードでの処理手順を示すフローチャートである。
図5は、メニューの表示例を示す図である。
図6は、メニューの表示例を示す図である。
図7は、第2実施例に係るマルチディスクチェンジャーの機能ブロック図である。
図8は、第2実施例に係るマルチディスクチェンジャーの連続再生モードでの処理手順を示すフローチャートである。
図9は、第3実施例に係るシングルディスクプレーヤの単純な再生モードでの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しつつ具体的に説明する。
図1は、本発明の第1実施例に係る記録メディア再生装置を示すシステム構成図である。記録メディア再生装置は、複数枚のディスクをセットすることができ、セットされた複数枚のディスクを自動的に交換して再生をすることができるマルチディスクチェンジャー1からなる。マルチディスクチェンジャー1には、映像や音響を出力可能なテレビジョン装置2がケーブル4を介して接続される。マルチディスクチェンジャー1には種々の動作指令を入力するためのリモコン3が付属している。ユーザは、本体の操作パネルだけでなく、リモコン3を用いてマルチディスクチェンジャー1の種々の動作指令を入力することができる。
なお、本実施例で言う「再生」とは、ディスクから読み出したディジタル信号に基づいて映像(ビデオ)信号や音響(オーディオ)信号をテレビジョン装置2に供給するまでのマルチディスクチェンジャー1の動作を意味する。マルチディスクチェンジャー1は、DVDディスク専用ではなく、ビデオCDやCD−DAについても再生可能であるが、本実施例では便宜上、DVDディスクのみを再生する場合について説明する。
図2は、DVDディスクのフォーマット構成図である。DVDディスク100の記録領域は、リードインエリア(Lead in Area)110、ボリューム&ファイルストラクチャ(volume & File Structure)111、DVDビデオゾーン(DVD Video Zone)112、DVDアザーゾーン(DVD Other Zone)113、リードアウトエリア(Lead out Area)114からなる。
リードインエリア110には、最初に読み出すべきデータのスタート位置が記録されている。ボリューム&ファイルストラクチャ111には、UDF(Universal Disk Format)に関する情報が記録されている。DVDビデオゾーン112には、VMG(Video Manager)120と複数のVTS(Video Title Set)121…が記録されている。DVDアザーゾーン113には、DVDビデオゾーン112以外のデータが記録されている。リードアウトエリア114には、DVDディスク100へのアクセス終了を示す情報が記録されている。
VMG120は、VMGI(Video Manager Information)130、VMGM_VOBS(Video Object Set for VMG Menu)131、バックアップ用のVMGI(BUP)132からなる。VTS121は、VTSI(Video Title Set Information)135、VTSM_VOBS(Video Object Set for the VTS Menu)136、VTSTT_VOBS(Video Object Set for Titles in a VTS)137、及びバックアップ用のVTSI(BUP)138からなる。
VMGI130は、DVDビデオゾーン112全体についての制御情報からなる。VMGI130に含まれる情報としては、DVDディスク100全体に関する各種情報や、DVDディスク100全体に対するメニューについての再生手順がある。また、VMGI130には、DVDディスク100からデータを読み始める際に実行すべきコマンド等が含まれる。VMGI(BUP)132は、上記VMGI130と完全に同一の内容からなる。
VMGM_VOBS131は、上記DVDディスク100全体に対するメニューの映像データ及び音声データ、また、そのメニュー内のボタンに関する制御情報等で構成される。
VTSI135は、当該VTSI135が含まれるVTS121内のタイトルの再生に関する制御情報からなる。VTSI135には、後述するCell150…についての再生手順や各Cell150…の再生時間に関する情報が含まれる。また、VTSI135には、Cell150を再生する前に実行すべきプリコマンドや、最後のCell150の再生後に実行すべきポストコマンドが含まれる。VTSI135には、当該VTSI135とともにVTS121内に含まれるタイトルの情報及び当該タイトル選択用のメニューに関する情報が含まれている。VTSI(BUP)138は、上記VTSI135と完全に同一の内容からなる。
VTSM_VOBS136は、VTS121内に含まれるタイトルに関する各種選択用のメニューの映像データ及び音声データ、また、そのメニュー内のボタンに関する制御情報等で構成される。
VTSTT_VOBS137は、タイトルとして再生される映像及び音響データ、さらには字幕データ等からなる。タイトルは、一つ以上のCell150で構成されており、これらCell150の再生手順がVTSI135に記述されている。さらに、複数のCell150…によりVOBファイル140が構成されている。
図3は、マルチディスクチェンジャー1の機能ブロック図である。マルチディスクチェンジャー1は、システム制御部10、ディスク交換保持部11、回転駆動部12、ピックアップ部20、信号処理回路21、オーディオデコーダ22とそのDAコンバータ23、ビデオデコーダ24、NTSC/PALエンコーダ25とそのDAコンバータ26、タイトル選択部30、操作部40、表示部41、及びリモコン信号受信部42を有して構成される。
システム制御部10には、ディスク交換保持部11、回転駆動部12、ピックアップ部20、信号処理回路21、タイトル選択部30、操作部40、表示部41、及びリモコン信号受信部42が接続される。ピックアップ部20の出力端は、信号処理回路21の入力端に接続される。信号処理回路21は、オーディオデコーダ22及びDAコンバータ23を経て図外のテレビジョン装置2にオーディオ信号を送るためのオーディオ出力ラインと、ビデオデコーダ24、NTSC/PALエンコーダ25、及びDAコンバータ26を経てテレビジョン装置2にビデオ信号を送るためのビデオ出力ラインに通じる。なお、タイトル選択部30は、システム制御部10の一機能であるが、本発明の要部をなすためシステム制御部10とは切り離したかたちで示す。
システム制御部10は、マイクロコンピュータからなり、マルチディスクチェンジャー1全体の動作を制御する。マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM等からなり、ROMには、CPUに所定の手順を実行させるためのプログラムが格納されている。
ディスク交換保持部11は、複数枚のDVDディスク100…をセット可能なターンテーブルやテーブル回転用のモータ等からなる。このディスク交換保持部11は、システム制御部10の指令に応じてピックアップ部20上のDVDディスク100を交換する。
回転駆動部12は、ディスク回転用のスピンドルモータやその駆動回路等からなり、システム制御部10の指令に応じてピックアップ部20上のDVDディスク100を回転させる。
ピックアップ部20は、DVDディスク100から信号を読み出すための光学部品やサーボ機構等からなり、システム制御部10の指令に応じてDVDディスク100から読み出した信号を信号処理回路21に出力する。
信号処理回路21は、DVDディスク100から読み出した信号を復調し、誤り訂正し、さらにはオーディオデータ、ビデオデータに分離してそれぞれ対応する出力先にそれらを送出する。また、信号処理回路21は、DVDディスク100から読み出した制御情報(VMGI130あるいはVTSI135)をシステム制御部10に伝える。
オーディオデコーダ22は、信号処理回路21から送られてきたオーディオデータを復元する。復元後のオーディオデータは、さらにDAコンバータ23でアナログのオーディオ信号に変換されてテレビジョン装置2へと出力される。これにより、テレビジョン装置2のスピーカから音響が出力される。
ビデオデコーダ24は、信号処理回路21から送られてきたビデオデータを復元する。復元後のビデオデータは、NTSC/PALエンコーダ25でNTSCあるいはPAL形式のデータにエンコードされ、さらにDAコンバータ26でアナログのビデオ信号に変換されてテレビジョン装置2へと出力される。これにより、テレビジョン装置2の画面に映像が出力される。
上記のシステム制御部10、ピックアップ部20、信号処理回路21、オーディオデコーダ22、DAコンバータ23、ビデオデコーダ24、NTSC/PALエンコーダ25、及びDAコンバータ26は、DVDディスク100からオーディオデータやビデオデータを読み出して元のオーディオ信号やビデオ信号を再生する再生部200を構成する。
タイトル選択部30は、後述する連続再生モードがユーザにより選択されている場合、信号処理回路21からシステム制御部10へと制御情報が送られてくると、その制御情報の内容を分析する。そして、その制御情報に基づいて表示されるメニュー内のボタンのうち、再生時間が例えば30分以上あるいは1時間以上のタイトル(以下、「主タイトル」と呼ぶ。)に係るボタンを探し出す。そのボタンがあると、それに対応するボタンコマンドを選択して自動的に実行する。これにより、通常のDVDディスク100では、本編再生前にメニューが表示されても自動的に本編に該当する主タイトルが再生される。
操作部40は、例えば再生開始/再生停止等の操作キーや各種選択用の操作キー(確定入力用の「Enter」キーを含む)等からなり、各キーの操作信号をシステム制御部10に伝える。また、操作部40には、複数枚のDVDディスク100を順次交換しながら連続再生する連続再生モードをユーザが選択するための連続再生選択キーも設けられており、この連続再生選択キーをオンにすることでシステム制御部10が連続再生モードに応じた制御を行う。
表示部41は、DVDディスク100の再生状態を表示するものであり、システム制御部10により制御される。
リモコン信号受信部42は、リモコン3からの操作信号を無線で受信するものである。特に図示しないが、リモコン3にも、各種の操作キーや連続再生選択キーが設けられており、リモコン3から各キーの操作信号をリモコン信号受信部42が受信すると、その操作信号がシステム制御部10に伝えられる。
次に、マルチディスクチェンジャー1の動作について説明する。
図4は、連続再生モードでの処理手順を示すフローチャートである。図5及び図6は、メニューの表示例を示す図である。ユーザが複数枚のDVDディスク100…をディスク交換保持部11にセットした後、連続再生モードを選択して再生を開始させると、ピックアップ部20は、そのうちの1枚のDVDディスク100から信号を読み出し始める(ステップS1)。最初の信号としては、VMGI130が読み出され、このVMGI130が信号処理回路21を経てシステム制御部10に送られる。このような動作は、一般に「ローディング」と呼ばれる。
システム制御部10は、VMGI130の内容に基づき、最初にタイトルを再生するのか、メニューを表示させるのか、あるいはそれらのどちらも行わずに停止状態とするのかを判断する(ステップS2,ステップS3)。
最初にメニューを表示させる場合(ステップS2:NO,ステップS3:YES)、システム制御部10は、ピックアップ部20及び信号処理回路21を通じてメニューに関する映像データ及び音声データであるVMGM_VOBS131もしくはVTSM_VOBS136をDVDディスク100から読み出す。
メニューの映像データ及び音声データに基づく信号がテレビジョン装置2に出力されると、テレビジョン装置2の画面には、図5に示すように、メニューが表示される。メニューが表示されてボタン表示状態になると、そのメニュー内のボタンを選択する等といった入力操作が可能な状態となり(ステップS4:YES)、システム制御部10は、さらにメニューのボタンに関する情報を参照して、そのメニュー内の第1選択ボタンに対応するボタンコマンドの内容を確認する(ステップS5)。
ここでいう「第1選択ボタン」とは、メニューで最初に選択し得るボタンを意味する。図5に示すメニューでは、「本編」を選択するボタンB1、「予告編」を選択するボタンB2、「NGシーン」を選択するボタンB3、「再生の終了」を選択するボタンB4を表示内容とするが、それらのうち反転表示された「本編」を選択するボタンB1が「第1選択ボタン」に相当する。
第1選択ボタンに対応するボタンコマンドがタイトルの再生を実行するジャンプコマンドである場合(ステップS6:YES)、システム制御部10は、VMGI130及びタイトルの含まれるVTSI135を参照してそのジャンプコマンドに対応するタイトルの再生時間を確認する(ステップS7)。
ジャンプコマンドに対応するタイトルの再生時間が所定時間以上の場合(ステップS8:YES)、システム制御部10は、そのタイトルを主タイトルとしてDVDディスク100から読み出し、信号処理回路21等を通じて主タイトルを再生させる(ステップS9)。ここで、あらかじめ定められている所定時間は、例えば30分あるいは1時間といった時間長からなる。そのため、例えば映画が収録されたDVDディスク100の場合、主タイトルとしては、映画の本編を構成するタイトルが読み出される。
主タイトルに係るタイトルを再生すると、そのタイトルが含まれるVTS121内のVTSI135に基づいてVTSTT_VOBS137が信号処理回路21で処理され、オーディオ信号及びビデオ信号がテレビジョン装置2に出力される。つまり、テレビジョン装置2のスピーカからは、主タイトルに係る音響が出力され、それと同時にテレビジョン装置2の画面には、主タイトルに係る映像が映し出される。
主タイトルを再生し終わると、システム制御部10は、VTSI135に含まれるポストコマンドを参照し、メニューを表示させるのか否かを判断する(ステップS10)。
メニューを表示させる場合(ステップS10:YES)、システム制御部10は、再びVMGM_VOBS131もしくはVTSM_VOBS136をDVDディスク100から読み出し、メニューを一時的に表示させてすぐにその表示を終了させる(ステップS11)。
その後、システム制御部10は、DVDディスク100の回転を停止させてディスク交換保持部11にDVDディスク100を交換させる(ステップS12)。そうした後、システム制御部10は、再びステップS1に戻って交換後のDVDディスク100に対して一連の処理を繰り返し行う。
ステップS10において、メニューを表示させることなく停止状態とする場合(ステップS10:NO)、システム制御部10は、ステップS11をスキップしてステップS12に進む。
ステップS8において、ジャンプコマンドに対応するタイトルの再生時間が所定時間以上もなく(ステップS8:NO)、メニュー内の全ての選択ボタンに対応するボタンコマンドの内容を確認済みとした場合(ステップS13:YES)、システム制御部10は、第1選択ボタンに対応するボタンコマンドを実行し(ステップS14)、ステップS3に戻る。そうした場合、第1選択ボタンに対応するボタンコマンドに基づくデータがDVDディスク100から読み出される。これにより、テレビジョン装置2の画面には、図5に示すメニューとは異なる図6に示すメニューが表示される。もしくは、タイトルが再生される。
ステップS13において、全てのボタンコマンドの内容を確認済みでない場合(ステップS13:NO)、システム制御部10は、メニュー内の第1選択ボタンの次にある選択ボタンに対応するボタンコマンドの内容を確認し(ステップS15)、ステップS6に進む。これは、DVDディスク100の編集内容によっては主タイトルが第2以降の選択ボタンに割り当てられていることもあるからである。
ステップS6において、第1選択ボタンに対応するボタンコマンドがタイトルの再生を実行するジャンプコマンドではなく、さらにメニューの表示を実行するといったコマンドの場合(ステップS6:NO)、システム制御部10は、第1選択ボタンを無視して次の選択ボタンに対応するボタンコマンドの内容を確認すべくステップS13に進む。
ステップS4において、入力操作が可能な状態になるまでは(ステップS4:NO)、システム制御部10は、次のステップS5に進まない。つまり、メニューが一時的に表示された上で連続再生が行われる。
ステップS2,ステップS3において、最初にメニューを表示させることなく、停止状態の場合(ステップS2:YES)、あるいはタイトルの再生を行う場合(ステップS3:NO)、システム制御部10は、最初に再生すべきタイトルをDVDディスク100から読み出し、信号処理回路21等を通じてそのタイトルを自動的に再生させる(ステップS16)。
また、ステップS3:YESを経て1回あるいは2回以上メニューを表示させた後、最終的にステップS14で第1選択ボタンに対応するボタンコマンドを実行すると、そのボタンコマンドに基づき所定時間未満の再生時間からなるタイトルがDVDディスク100から読み出されることもあるが、このような場合もシステム制御部10は、所定時間未満のタイトルを自動的に再生させる(ステップS16)。
ステップS16を経てタイトルの再生中、システム制御部10は、その再生開始から実際に経過した再生時間をカウントしている(ステップS17)。
タイトルの再生が終了すると、実際の再生時間が所定時間以上であるか否かを判断する(S18)。タイトルの再生が終了した際に、実際の再生時間が所定時間未満である(実際の再生時間が所定時間以上になる前にタイトルの再生が終わる)と(ステップS18:NO)、システム制御部10は、再びステップS3に戻る。
一方、タイトルの再生が終了した際に、実際の再生時間が所定時間以上であると(ステップS18:YES)、システム制御部10は、ステップS12に進んでDVDディスク100を交換させる。ここでいう所定時間も、例えば30分あるいは1時間といった時間長からなる。つまり、最初にメニューが表示されることなくタイトルの再生がすぐに行われる場合、あるいは最初に表示されたメニューからは再生時間が所定時間未満のタイトルしか選択できない場合でも、実際の再生時間が所定時間以上になるまで1または2以上のタイトルが再生される。
なお、メニューで所定時間未満のタイトルしか選択できず(ステップS14)、かつ、所定時間になるまで2以上のタイトルを再生する場合(ステップS18:NOを経てステップS14)、2回目に再生するタイトルは、1回目に再生したタイトルとは異なるようにしても良い。すなわち、第1選択ボタンの次にある第2選択ボタンを選択するようにしても良い。
従って、上記第1実施例に係るマルチディスクチェンジャー1によれば、例えば映画の本編再生に先立って最初にメニューを表示させるDVDディスク100でも、連続再生モード時にメニューの表示で止まったままになることなく、ユーザが何ら操作せずともメニューの表示から本編に相当する主タイトルの再生に自動的に移行するので、複数枚のDVDディスク100を自動的に交換しながら繰り返し連続再生することができる。
すなわち、日本国特開2003−74908号公報では、例えば主タイトルが最初のVSTに存在しない場合、主タイトルを探す方法が記載されていないので、主タイトルを確実に再生できるとは限らないが、本実施形態では、タイトルの再生時間を確認して主タイトルか否かを判断しているので、確実に主タイトルを自動的に再生することができる。
また、あるメニューでは本編を選択できずに他のメニューから本編を選択し得るように編集されたDVDディスク100でも、図4に示すフローチャートでステップS3からステップS14を経て再びステップS3に戻るといった一連の動作を繰り返すことで本編に相当する主タイトルを探し出すことができ、その主タイトルの再生を自動的に行うことができる。
また、比較的再生時間の短い複数のタイトル(シーン)しか収録されていないDVDディスク100でも、それらのタイトルを自動的に再生した上で、タイトルの再生を終了した際に、実際の再生時間が所定時間以上であるとそのDVDディスク100を自動的に交換するので、連続再生モード中にユーザが何らかの操作を行うことなく繰り返し連続再生することができる。
もちろん、最初にメニューを表示させずに本編を再生させるDVDディスク100にも対応することができ、そのような本編に係るタイトルを自動的に再生した上で実際の再生時間が所定時間以上になるとそのDVDディスク100を自動的に交換することができる。
次に、本発明の第2実施例について説明する。
図7は、本発明の第2実施例に係るマルチディスクチェンジャーの機能ブロック図である。なお、第2実施例に係るマルチディスクチェンジャーは、第1実施例に係るマルチディスクチェンジャー1と略同様の構成からなるため、同じ機能ブロックについては同一符号を付してその説明を省略する。
第2実施例に係るマルチディスクチェンジャーは、第1実施例に係るマルチディスクチェンジャー1のタイトル選択部30に代えて信号生成部50を有する。
信号生成部50は、システム制御部10とは別体とされ、「Enter」キーを押した場合に生じる信号と同じ入力信号を自動的に発生させてシステム制御部10に入力する。具体的には、連続再生モードがユーザにより選択されている場合、DVDディスク100から信号を読み出し始めて最初にメニューを表示することがシステム制御部10から信号生成部50に伝えられると、信号生成部50は、例えば30秒経過後に「Enter」キー入力信号を自動的に発生させてシステム制御部10に入力する。メニューの表示を始めてから30秒が経過すると、システム制御部10は、何らかの入力操作を受付可能な状態となり、そうした状態で信号生成部50から「Enter」キー入力信号を受けると、それに応じた制御を行う。
例えば、先の図5に示すようなメニューが表示された状態にあって、そのメニュー内の第1選択ボタン(「本編」を選択するボタンB1)に反転表示されている場合、システム制御部10は、信号生成部50からの「Enter」キー入力信号に応じて第1選択ボタンに対応するボタンコマンドを実行する。つまり、本編の再生が自動的に行われる。
次に、第2実施例に係るマルチディスクチェンジャーの動作について説明する。
図8は、第2実施例による連続再生モードでの処理手順を示すフローチャートである。複数枚のDVDディスク100…をディスク交換保持部11にセットした後、連続再生モードを選択して再生を開始させると、そのうちの1枚のDVDディスク100からピックアップ部20が信号を読み出し始める(ステップS51)。最初の信号としては、VMGI130が読み出され、このVMGI130が信号処理回路21を経てシステム制御部10に送られる。
そして、システム制御部10は、VMGI130の内容に基づき最初にメニューを表示させるのか否かを判断する(ステップS52)。最初にメニューを表示させる場合(ステップS52:YES)、システム制御部10は、ピックアップ部20及び信号処理回路21を通じてメニューに関する映像データ及び音声データであるVMGM_VOBS131もしくはVTSM_VOBS136をDVDディスク100から読み出す。
以上のようにしてメニューが表示されるのに伴い、システム制御部10は、DVDディスク100から信号の読み出しを開始(ローディング開始)してからの経過時間が例えば10分以上か否かを判断する(ステップS53)。
10分以上経過していない場合(ステップS53:NO)、さらにシステム制御部10は、メニューの表示を開始した時点から例えば30秒以上経過した状態か否かを判断する(ステップS54)。
メニューの表示開始から30秒以上経過した場合(ステップS54:YES)、信号生成部50は、「Enter」キー入力信号を発生させてシステム制御部10に入力する(ステップS55)。一方、メニューの表示開始から30秒以上経過するまでは(ステップS54:NO)、「Enter」キー入力信号の入力待ちの状態になる。つまり、メニューの表示開始から30秒以上が経過すれば、「Enter」キー入力信号を受け付け可能な状態となり、システム制御部10は、この「Enter」キー入力信号に応じて、メニュー内の第1選択ボタンに対応するボタンコマンドを実行する。
通常、「第1選択ボタン」は、先の図5に示すように「本編」を選択するボタンB1であるが、「第1選択ボタン」がさらに図6に示すようなメニューの表示に移行するためのボタンであることもある。そのため、システム制御部10は、再びステップS52に戻ってさらにメニューを表示させるのか否か判断する。なお、ここでいう「第1選択ボタン」とは、最初から反転表示された状態のボタンを意味する。
「第1選択ボタン」に対応するボタンコマンドが「メニューを表示せよ」との内容からなる場合(ステップS52:YES)、システム制御部10は、再びステップS53以降の一連の処理を繰り返し実行する。一方、「第1選択ボタン」に対応するボタンコマンドが「メニューを表示せよ」との内容ではなく(ステップS52:NO)、「タイトルを再生せよ」とのジャンプコマンドである場合(ステップS56:YES)、システム制御部10は、そのタイトルをDVDディスク100から読み出し、信号処理回路21等を通じてタイトルを再生させる(ステップS57)。
これにより、例えば映画を収録した通常のDVDディスク100では、映画の本編を構成するタイトルが読み出されて再生され、テレビジョン装置2のスピーカからは、本編に係る音響が出力されるとともに、テレビジョン装置2の画面には、本編に係る映像が映し出される。なお、最初にメニューが表示されず(ステップS52:NO)、ローディング直後に「タイトルを再生せよ」とのコマンドがある場合にも(ステップS56:YES)、上記と同様の手順で本編等に係るタイトルが再生される。
一方、タイトルの再生終了後のステップS52において、「第1選択ボタン」に対応するボタンコマンドが再び「メニューを表示せよ」との内容からなる場合(ステップS52:YES)、通常はローディング開始からの経過時間が10分以上経過しているため(ステップS53:YES)、システム制御部10は、DVDディスク100の回転等といった再生のための動作を停止させるとともに(ステップS58)、ディスク交換保持部11にDVDディスク100の交換を指示する(ステップS59)。
なお、再生時間の短いシーン等では、ローディング開始からの経過時間が10分以上にもならないうちに再生が終わって再びメニューが表示されるので、ステップS53:NO以降の一連の処理が繰り返し実行される。この場合、ステップS55において「Enter」キー入力信号を入力する際に第1選択ボタンを選択しても良く、第1選択ボタンとは異なる第2選択ボタンを選択しても良い。第1選択ボタンを選択した場合には、同じタイトルが繰り返し再生され、第2選択ボタンを選択した場合には、別のタイトルが自動的に再生される。すなわち、所定時間になるまで複数のタイトルを再生することができる。
また、ステップS52において、「第1選択ボタン」に対応するボタンコマンドが「メニューを表示せよ」との内容からなり(ステップS52:YES)、ステップS52〜S55の一連の処理を繰り返すことでローディング開始からの経過時間が例えば10分以上になる場合にも(ステップS53:YES)、システム制御部10は、DVDディスク100の回転等といった再生のための動作を停止させるとともに(ステップS58)、ディスク交換保持部11にDVDディスク100の交換を指示する(ステップS59)。つまり、「Enter」キー入力信号を何度入力してもメニューしか表示されない場合には、次のDVDディスク100に交換される。こうしてDVDディスク100を交換させた後、システム制御部10は、再びステップS51に戻って交換後のDVDディスク100に対して一連の処理を繰り返し行う。
ステップS52において、メニューの表示ではなく(ステップS52:NO)、さらにタイトルの再生も指示されずに停止状態になる場合(ステップS56:NO)、システム制御部10は、ステップS59に進む。つまり、ローディング直後に停止してしまう場合にも、次のDVDディスク100に交換される。
従って、第2実施例に係るマルチディスクチェンジャーによれば、連続再生モードで本編再生前等にメニューが表示されると、自動的に「Enter」キー入力信号が発生することで第1選択ボタンの選択が確定され、それに応じてほとんどの場合に本編に係るタイトルの映像や音響が再生されるので、複数枚のDVDディスク100を自動的に交換しながら繰り返し連続再生することができる。
また、本編の再生後に再びメニューが表示される場合でも(ステップS52:NO、ステップS56:YES、ステップS57を経てステップS52:YESの場合)、ステップS53でローディング開始からの経過時間が所定の基準時間(例えば10分)以上であれば、次のDVDディスク100に自動的に交換され、本編の再生後にメニューの表示で止まった状態になることはない。
次に、本発明の第3実施例について説明する。
第3実施例は、シングルディスクプレーヤに係るものである。なお、シングルディスクプレーヤは、ディスク交換保持部11を有さないこと以外、図7に示す機能ブロックと同様の構成からなるため、その図示説明を省略する。
図9は、シングルディスクプレーヤの単純な再生モードでの処理手順を示すフローチャートである。なお、ここで言う単純な再生モードとは、例えば単に一つのDVDディスク100に記録された映画の本編を一度だけ再生するようなモードを意味する。
シングルディスクプレーヤで再生を始めると、1枚のDVDディスク100からピックアップ部20が信号を読み出し始める(ステップS71)。このときも、最初の信号としては、VMGI130が読み出され、このVMGI130が信号処理回路21を経てシステム制御部10に送られる。
そして、システム制御部10は、VMGI130の内容に基づき最初にメニューを表示させるのか否かを判断する(ステップS72)。最初にメニューを表示させる場合(ステップS72:YES)、システム制御部10は、ピックアップ部20及び信号処理回路21を通じてメニューに関する映像データ及び音声データであるVMGM_VOBS131もしくはVTSM_VOBS136をDVDディスク100から読み出す。
以上のようにしてメニューが表示されると、システム制御部10は、メニューの表示を開始した時点から例えば30秒以上経過した状態か否かを判断する(ステップS73)。
メニューの表示開始から30秒以上経過した場合(ステップS73:YES)、信号生成部50は、「Enter」キー入力信号を発生させてシステム制御部10に入力する(ステップS74)。一方、メニューの表示開始から30秒以上経過するまでは(ステップS73:NO)、「Enter」キー入力信号の入力待ちの状態になる。つまり、メニューの表示開始から30秒以上が経過すれば、先述した第2実施例と同様に「Enter」キー入力信号を受け付け可能な状態となり、この「Enter」キー入力信号に応じてシステム制御部10は、メニュー内の第1選択ボタンに対応するボタンコマンドを実行する。その後、システム制御部10は、再びステップS72に戻ってさらにメニューを表示させるのか否かを判断する。
「第1選択ボタン」に対応するボタンコマンドが「メニューを表示せよ」との内容からなる場合(ステップS72:YES)、システム制御部10は、再びステップS73以降の一連の処理を繰り返し実行する。一方、「第1選択ボタン」に対応するボタンコマンドが「タイトルを再生せよ」とのジャンプコマンドである場合(ステップS72:NO,ステップS75:YES)、図8の場合と同様にしてタイトルが再生される。
なお、最初にメニューが表示されず(ステップS72:NO)、ローディング直後に「タイトルを再生せよ」とのコマンドがある場合にも(ステップS75:YES)、上記と同様の手順で本編等に係るタイトルが再生される。タイトルの再生が終わると、システム制御部10は、全体の動作を停止させてこの再生処理を終える。
なお、メニューの表示ではなく(ステップS72:NO)、さらにタイトルの再生も指示されずに停止状態になる場合(ステップS75:NO)、システム制御部10は、そのまま再生処理を終える。
従って、シングルディスクプレーヤで単に1枚のDVDディスク100に記録された映画の本編を1回再生するだけの場合、その本編の再生前にメニューが表示されても、自動的に本編が選択された後に再生されるので、メニューが表示された時点で本編を選択するための操作をユーザが特に行う必要はなく、ユーザによる操作の手間を無くすことができる。
なお、本発明は、上記の各実施例に限定されるものではない。
上記のマルチディスクチェンジャーにおける各実施例は、複数枚のDVDディスク100を自動的に交換しながら連続再生を行うのに適した例であるが、同じ1枚のDVDディスク100を繰り返し用いて連続再生を行うようにしても良い。もちろん、そのような連続再生をシングルディスクプレーヤで行うようにしても良い。そうした場合、図4に示すフローチャートでは、ステップS12の処理を行うことなくステップS11を経てステップS1に戻れば良い。また、図8に示すフローチャートでは、ステップS59の処理を行うことなくステップS51に戻れば良い。
また、シングルディスクプレーヤでは、単純に1回再生する場合でも図9に示すような手順とすることで自動的に再生できるが、シングルディスクプレーヤで単純に1回再生する場合の他の例としては、図4に示すフローチャートでステップS12の処理を行うことなく、そのまま再生処理を終えるような手順としても良い。このようにしても、ユーザによる操作の手間を無くすという同様の効果を得ることができる。
さらに、シングルディスクプレーヤの場合、第1選択ボタンを選択してタイトルを再生した後、メニュー画面に戻り、第1選択ボタンとは異なる第2選択ボタンを選択し、別のタイトルを再生するようにしても良い。こうすることにより、1枚のディスクに複数のタイトルがある場合でも、これら複数のタイトルを連続的に自動で再生することができる。例えば、図9において、ステップS76の終了後にステップS72に戻り、ステップS74において第2選択ボタンを選択すれば良い。
シングルディスクプレーヤとしては、ディスク交換保持部11に代えて単に1枚のDVDディスク100を保持するための機構があれば良い。
また、記録メディア再生装置としては、例えばDVDディスクドライブを搭載したパーソナルコンピュータや、DVDディスクドライブ内蔵のテレビゲーム機でも良い。さらには、モニタと一体化されたDVDプレーヤ等でも良い。
上記の各実施例では、主として映画等の映像と音響が収録されたDVDディスク100に対応する例を示したが、音楽等の音響を主として収録したDVDオーディオディスクにも対応することができる。
もちろん、記録メディアとしては、DVDディスクに限らず、例えばBlue−rayディスク等でも良い。
以上のように、本発明に係る記録メディア再生装置は、メニューを表示することより、ディスク制作者の意図を無視することなく(ナビゲーション違反ではなく)、かつ、自動的に本編を再生することができる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツをタイトル別に編集してなるタイトルセットデータと各タイトルの再生時間や再生手順ならびに所望のタイトルをユーザに選択させるためのメニューを含む制御情報とが記録された記録メディアから前記タイトルセットデータと制御情報とを読み出し、当該制御情報に基づいて当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する記録メディア再生装置であって、
前記記録メディアから読み出した前記制御情報に基づいて本編たるタイトルのコンテンツを再生する前に複数の選択ボタンの表示を含む前記メニューが表示されたとき、再生時間が所定時間以上の選択ボタンに対応するタイトルを主タイトルとして選択するタイトル選択手段と、
前記タイトル選択手段より主タイトルとして選択されたタイトルに対応するタイトルセットデータを前記記録メディアから読み出して当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する再生手段と、
を備えたことを特徴とする、記録メディア再生装置。
【請求項2】
前記タイトル選択手段は、各選択ボタンに対応するコマンドの内容を確認するコマンド確認手段と、前記コマンド確認手段によりコマンドの内容がタイトルの再生であると確認されたとき、その選択ボタンに対応するタイトルの再生時間を確認する再生時間確認手段と、前記再生時間確認手段により確認された再生時間が前記所定時間以上であるか否かを判別する判別手段からなる、請求項1に記載の記録メディア再生装置。
【請求項3】
前記メニューは、前記記録メディアに複数種類用意されており、前記タイトル選択手段は、一のメニューから前記主タイトルを選択できない場合、さらに他のメニューに移行して主タイトルの選択動作を実行する、請求項1または2に記載の記録メディア再生装置。
【請求項4】
前記タイトル選択手段により前記メニューから前記主タイトルを選択できない場合、当該メニューから選択可能で再生時間が所定時間未満のタイトルを複数回にわたり選択する第2のタイトル選択手段を更に備え、前記再生手段は、前記第2のタイトル選択手段により前記タイトルが選択される毎に当該タイトルに対応するタイトルセットデータを前記記録メディアから読み出し、当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する動作を前記所定時間を経過するまで繰り返すことを特徴とする、請求項1または2に記載の記録メディア再生装置。
【請求項5】
複数の前記記録メディアを交換可能に保持する交換保持手段と、前記交換保持手段に保持された1の記録メディアに対して前記タイトル選択手段及び前記再生手段による主タイトルの再生動作が終了すると、記録メディアを他の記録メディアに交換し、当該他の記録メディアに対して前記タイトル選択手段及び前記再生手段による主タイトルの再生動作を行わせる再生制御手段とを更に備えたことを特徴とする、請求項1または2に記載の記録メディア再生装置。
【請求項6】
同一の記録メディアに対して前記タイトル選択手段及び前記再生手段による主タイトルの再生動作が終了すると、再度前記タイトル選択手段及び前記再生手段による主タイトルの再生動作を行わせる再生制御手段を備えたことを特徴とする、請求項1または2に記載の記録メディア再生装置。
【請求項7】
コンテンツをタイトル別に編集してなるタイトルセットデータと各タイトルの再生手順や所望のタイトルをユーザに選択させるためのメニューを含む制御情報とが記録された記録メディアから前記タイトルセットデータと制御情報とを読み出し、当該制御情報に基づいて当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する記録メディア再生装置であって、
前記記録メディアから読み出した前記制御情報に基づいて本編たるタイトルのコンテンツを再生する前に複数の選択ボタンの表示を含む前記メニューが表示されたとき、当該メニューの選択内容を確定するための信号を発生させる信号生成手段と、
前記信号により前記メニューに表示された所定の選択ボタンの選択が確定されると、当該選択ボタンのタイトルに対応するタイトルセットデータを前記記録メディアから読み出して当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する再生手段と、
を備えたことを特徴とする、記録メディア再生装置。
【請求項8】
前記信号生成手段は、前記メニューの表示から所定時間経過後に、前記信号を発生させる、請求項7に記載の記録メディア再生装置。
【請求項9】
前記信号生成手段は、前記記録メディアの読み出しを開始してからの経過時間が所定時間以上になるまでは、前記再生手段によるタイトルのコンテンツの再生の終了後に前記メニューが表示されたときにも当該メニューの選択内容を確定するための信号を発生させる、請求項7または8に記載の記録メディア再生装置。
【請求項10】
前記メニューは、前記記録メディアに複数種類用意されており、前記信号生成手段は、前記記録メディアの読出しを開始してからの経過時間が所定時間以上になるまでは、メニューが表示される毎に前記信号を発生させる、請求項7に記載の記録メディア再生装置。
【請求項11】
複数の前記記録メディアを交換可能に保持する交換保持手段と、前記交換保持手段に保持された1の記録メディアに対して、前記信号生成手段及び前記再生手段によるタイトルの再生動作が終了すると、記録メディアを他の記録メディアに交換し、当該他の記録メディアに対して前記信号生成手段及び前記再生手段によるタイトルの再生動作を行わせる再生制御手段とを更に備えたことを特徴とする、請求項7または8に記載の記録メディア再生装置。
【請求項12】
同一の記録メディアに対して前記信号生成手段及び前記再生手段によるタイトルの再生動作が終了すると、再度前記信号生成手段及び前記再生手段によるタイトルの再生動作を行わせる再生制御手段を備えたことを特徴とする、請求項7または8に記載の記録メディア再生装置。
【請求項13】
コンピュータを、コンテンツをタイトル別に編集してなるタイトルセットデータと各タイトルの再生時間や再生手順ならびに所望のタイトルをユーザに選択させるためのメニューを含む制御情報とが記録された記録メディアから前記タイトルセットデータと制御情報とを読み出し、当該制御情報に基づいて当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する記録メディア再生装置として機能させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記記録メディアから読み出した前記制御情報に基づいて本編たるタイトルのコンテンツを再生する前に複数の選択ボタンの表示を含む前記メニューが表示されたとき、再生時間が所定時間以上の選択ボタンに対応するタイトルを主タイトルとして選択するタイトル選択手段と、
前記タイトル選択手段より主タイトルとして選択されたタイトルに対応するタイトルセットデータを前記記録メディアから読み出して当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する再生手段と、
して機能させることを特徴とする、記録メディア再生用のコンピュータプログラム。
【請求項14】
コンピュータを、コンテンツをタイトル別に編集してなるタイトルセットデータと各タイトルの再生手順や所望のタイトルをユーザに選択させるためのメニューを含む制御情報とが記録された記録メディアから前記タイトルセットデータと制御情報とを読み出し、当該制御情報に基づいて当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する記録メディア再生装置として機能させるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記記録メディアから読み出した前記制御情報に基づいて本編たるタイトルのコンテンツを再生する前に複数の選択ボタンの表示を含む前記メニューが表示されたとき、当該メニューの選択内容を確定するための信号を発生させる信号生成手段と、
前記信号により前記メニューに表示された所定の選択ボタンの選択が確定されると、当該選択ボタンのタイトルに対応するタイトルセットデータを前記記録メディアから読み出して当該タイトルセットデータに含まれるコンテンツを再生する再生手段と、
して機能させることを特徴とする、記録メディア再生用のコンピュータプログラム。

【国際公開番号】WO2004/093079
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【発行日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−505347(P2005−505347)
【国際出願番号】PCT/JP2004/003877
【国際出願日】平成16年3月22日(2004.3.22)
【出願人】(000000273)オンキヨー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】