説明

記録材処理装置

【課題】中綴じ記録材束を折すじを付した状態で中綴じすることを可能とし、効率良く収容する。
【解決手段】装置筐体13と画像読取部14との間に胴内空間部が形成された画像形成装置11と、前記胴内空間部に収容され、前記画像形成装置11から搬送される記録材Sに折すじを付与する折すじ装置8が設けられた横方向筐体、及び、前記横方向筐体に対して縦方向に延びると共に記録材S束の中央部を綴じる中綴じ装置5が設けられた縦方向筐体を有する記録材後処理装置1と、を備え、前記記録材後処理装置1は、前記画像形成装置11の前記胴内空間部に着脱可能に組み付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録材に画像が形成される画像形成装置に記録材後処理装置を組み込んだ記録材処理装置が開示されている。
この種の記録材処理装置に組み込まれる記録材後処理装置としては、記録材の端部を綴じる端綴じ装置と、記録材の中央部を綴じる中綴じ装置とを含み、端綴じされた記録材束、中綴じされた記録材束を夫々専用の収容受けに収容するようにしたものが既に提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−277036号公報(発明の実施の形態,図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、中綴じ記録材束を折すじを付した状態で中綴じすることを可能とし、効率良く収容することを解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、装置筐体と画像読取部との間に胴内空間部が形成された画像形成装置と、前記胴内空間部に収容され、前記画像形成装置から搬送される記録材に折すじを付与する折すじ装置が設けられた横方向筐体、及び、前記横方向筐体に対して縦方向に延びると共に記録材束の中央部を綴じる中綴じ装置が設けられた縦方向筐体を有する記録材後処理装置と、を備え、前記記録材後処理装置は、前記画像形成装置の前記胴内空間部に着脱可能に組み付けられていることを特徴とする記録材処理装置である。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る記録材処理装置において、前記記録材後処理装置は、前記横方向筐体と前記縦方向筐体とが連結され、前記画像形成装置の前記胴内空間部に組み付けられた状態から離脱するときに、前記横方向筐体及び前記縦方向筐体が一体になって移動することを特徴とする記録材処理装置である。
【0006】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る記録材処理装置において、前記横方向筐体には、記録材束の端部を綴じる端綴じ装置が設けられ、前記縦方向筐体には、前記端綴じ装置で端綴じされた記録材束を収容する綴じ収容受けが設けられ、前記中綴じ装置、及び前記綴じ収容受けが前記縦方向筐体に対して上下方向に移動可能に設けられていることを特徴とする記録材処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によれば、中綴じ記録材束を折すじを付した状態で中綴じすることができ、効率良く収容することができる。
請求項2に係る発明によれば、画像形成装置の胴内空間部に対して横方向筐体及び縦方向筐体を有する記録材後処理装置をまとめて着脱することができる。
請求項3に係る発明によれば、中綴じ処理以外の後処理時に綴じ収容受けの上方空間を広く確保することができ、綴じ収容受けからの記録材束の取り出し作業を容易に行うことができるほか、綴じ収容受け上の記録材束の積載量に応じて綴じ収容受けを効率的に移動させることができ、排出される記録材束の収容性を良好に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明を適用した記録材後処理装置及びこれを用いた記録材処理装置の代表的な実施の形態モデルの概要を示す説明図である。
【図2】(a)は図1に示す実施の形態モデルにおける端綴じモードの処理過程を模式的に示す説明図、(b)は図1に示す実施の形態モデルにおける中綴じモードの処理過程を模式的に示す説明図である。
【図3】(a)は実施の形態1で用いられる記録材処理装置の概要を示す説明図、(b)は記録材処理装置を構成する画像形成装置及び記録材後処理装置の関係を示す説明図である。
【図4】実施の形態1で用いられる画像形成装置の詳細を示す説明図である。
【図5】実施の形態1で用いられる記録材後処理装置の組み付け状態を示す説明図である。
【図6】実施の形態1で示す記録材後処理装置の詳細を示す説明図である。
【図7】(a)は実施の形態1で用いられる孔開け装置の詳細を示す説明図、(b)はその孔開け動作時の状態を示す説明図である。
【図8】(a)は実施の形態1で用いられる折すじ装置の詳細を示す説明図、(b)はその折すじ形成動作時の状態を示す説明図である。
【図9】(a)は実施の形態1で用いられる位置決め収容受け及び端綴じ装置を示す説明図、(b)は(a)中B−B線方向から見た矢視図である。
【図10】(a)(b)は接離自在な搬送ロールの構成例を示す説明図である。
【図11】実施の形態1で用いられる端綴じ装置の配置関係を示す説明図である。
【図12】(a)〜(c)は端綴じ装置の構成並びに動作状態を示す説明図である。
【図13】実施の形態1で用いられる製本用処理装置及び綴じ収容受けの支持構造例を示す説明図である。
【図14】実施の形態1で用いられる製本用処理装置の詳細を示す説明図である。
【図15】図14中XV方向から見た矢視図である。
【図16】実施の形態1で用いられる制御系を示す説明図である。
【図17】図16の制御系における記録材処理制御過程を示すフローチャートである。
【図18】実施の形態1に係る記録材処理装置の端綴じモード時の動作状態の概要を示す説明図である。
【図19】(a)(b)は端綴じモード時における各部での処理内容を示す説明図である。
【図20】実施の形態1に係る記録材処理装置の中綴じモード時の動作状態の概要を示す説明図である。
【図21】(a)(b)は中綴じモード時における各部での処理内容を示す説明図(1)である。
【図22】(a)(b)は中綴じモード時における各部での処理内容を示す説明図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
◎実施の形態モデルの概要
先ず、本発明が適用される実施の形態モデルの概要について説明する。
図1は本発明を具現化する実施の形態モデルに係る記録材処理装置の概要を示す。
同図において、記録材処理装置は、記録材Sに画像を形成する画像形成装置11と、この画像形成装置11にて画像形成された記録材Sに後処理を施す記録材後処理装置1とを備えてある。
本実施の形態において、画像形成装置11は装置筐体13内に画像形成部12を内蔵したものであれば、その画像形成方式は電子写真方式を始め、インクジェット方式など適宜選定して差し支えない。また、画像形成装置11としては装置筐体13の上方に空間部を介して画像読取部14を配置した態様に限られるものではなく、画像読取部14のない態様をも含む。
ここで、画像形成装置11の設置空間を有効に利用し、記録材後処理装置1を配設する態様としては、装置筐体13の上部に記録材後処理装置1の後処理装置筐体2を配置し、装置筐体13の設置領域内にて画像形成部12で形成された作像済み記録材Sを記録材後処理装置1に導くようにしたものが挙げられる。特に、画像読取部14を備えた態様にあっては、装置筐体13と画像読取部14との空間部を利用して記録材後処理装置1を組み付けるようにすることが好ましい。
尚、本実施の形態において、記録材Sとは画像を形成し得るものであればよく、用紙は勿論、コート層が設けられた特殊紙、更にはOHPシートなどを広く含む。
【0010】
また、本実施の形態において、記録材後処理装置1としては、記録材Sが搬送される記録材搬送路2a及び記録材Sに搬送力が与えられる搬送部材2bを有する後処理装置筐体2と、この後処理装置筐体2の記録材搬送路2aに沿って搬送される記録材Sを一時的に位置決め収容する位置決め収容受け3と、この位置決め収容受け3に位置決め収容された記録材S束の端部を綴じる端綴じ装置4と、前記位置決め収容受け3の周辺に中綴じ処理可能なセット位置と当該セット位置から退避した退避位置との間で移動可能に設けられ、中綴じ処理可能なセット位置に配置されたときに、前記位置決め収容受け3に位置決め収容された記録材S束を予め決められた中綴じ位置まで移動させた状態で当該記録材S束の中央部を綴じる中綴じ装置5と、前記位置決め収容受け3とは別に後処理装置筐体2に対し上下方向に移動可能に設けられ、前記端綴じ装置4又は前記中綴じ装置5にて綴じられた記録材S束を開いた状態で混在収容する綴じ収容受け6と、前記位置決め収容受け3に収容される記録材S束をまとめて搬送し、前記綴じ収容受け6へ移動させる記録材束搬送部材7と、を備えたものが挙げられる。
ここで、記録材束搬送部材7としては、前記中綴じ装置5が中綴じ処理可能なセット位置に配置されたときには、前記位置決め収容受け3に位置決め収容され且つ前記端綴じ装置4による端綴じ処理がなされていない記録材S束を前記中綴じ位置までまとめて搬送し、前記中綴じ装置5が退避位置に配置されたときには、前記位置決め収容受け3に位置決め収容され且つ前記端綴じ装置4による端綴じ処理がなされた記録材S束をまとめて搬送し、前記綴じ収容受け6へ移動させる第1の記録材束搬送部材と、前記中綴じ装置5の周辺に設けられ、当該中綴じ装置5による中綴じ処理がなされた記録材S束を搬送して前記綴じ収容受け6に移動させる第2の記録材束搬送部材と、を有するものが用いられる。
【0011】
このような技術的手段において、本実施の形態モデルは、中綴じモード時に折すじが付された記録材S束を使用することが好ましいが、折すじが付されない記録材S束に対して中綴じを施す態様をも含む。
また、端綴じ装置4は記録材S束の端部を綴じるものであればよく、一点綴じ、二点綴じなど適宜選定して差し支えない。
更に、中綴じ装置5は記録材S束の中央部を綴じるものであればよく、中綴じ装置5による中綴じ位置を記録材束サイズに応じて可変にしてもよいが、記録材束搬送部材7にて記録材束を移動させる構成を採用することにより中綴じ位置を一義的に設定することが可能である。
更にまた、綴じ収容受け6は、いずれの綴じモードに対しても記録材S束を開いた状態で混在収容することを前提とする。よって、中綴じモード時に二つ折りする態様などは除外される。
【0012】
次に、本実施の形態モデルの好ましい態様としては以下のものが挙げられる。
例えば中綴じ装置5による中綴じをし易くするという観点からは、記録材搬送路2aに沿って搬送される記録材Sに中央部を境として折すじを付す折すじ装置8を備えることが好ましい。
この場合、折すじ装置8の設置場所としては、記録材搬送路2aの位置決め収容受け3の下流側であってもよいが、折すじ装置8の設置空間を有効に確保するという観点からすれば、位置決め収容受け3の上流側に位置する記録材搬送路2aに設置することが好ましい。
また、折すじを付された中綴じ記録材S束は折すじSa(図2参照)の存在により記録材S束中央部が下方に向かって山型状若しくは上方に向かって谷型状に変形することななるが、綴じ収容受け6に収容される中綴じ記録材S束の収容姿勢については前記山型状もし間は谷型状のいずれを選定しても差し支えない。しかしながら、記録材S束中央部が下方に向かって谷型状である場合には、綴じ収容受け6上で記録材S束が不安定になり易いことを考慮すると、記録材S束中央部が上方に向かって山型状になるように中綴じ記録材束を収容する態様が好ましい。
【0013】
また、位置決め収容受け3としては、収容される記録材Sを揃える記録材揃え部材を設けることが好ましいが、記録材Sの位置決め収容性を良好に保つには、前記記録材揃え部材は収容された記録材S束を隣接する二辺に沿って揃えるものが特に好ましい。
更に、各種サイズの記録材Sに対して中綴じを行うには、中綴じ装置5による中綴じ位置を記録材Sのサイズに合わせて設定することが必要である。この場合、中綴じ装置5自体を移動させる方式も想定されるが、装置構成の簡略化という観点からすれば、位置決め収容受け3に位置決めされた記録材S束のサイズに応じて、予め設定された中綴じ装置5による中綴じ位置に記録材S束の中央部が位置するまで記録材S束を搬送した段階で一時停止し、中綴じ装置5による中綴じ動作が終了した段階で中綴じされた記録材S束の搬送動作を再開するという記録材移動方式が好ましい。
【0014】
また、中綴じ装置5は固定的に設置されても差し支えないが、綴じ収容受け6から端綴じモード時における端綴じ記録材S束を取り出す際の作業空間を広く確保するという観点からすれば、中綴じ装置5は位置決め収容受け3の上方にて少なくとも上下方向移動可能に設けられ、中綴じ装置5を使用する中綴じモード以外ではセット位置から上方側に離間した退避位置に退避することが好ましい。
更に、綴じ収容受け6での記録材S束の収容性を良好に保つという観点からすれば、綴じ収容受け6としては上下方向移動可能に設けられる態様が好ましい。
本態様において、記録材束搬送部材7にて搬送排出された記録材S束と綴じ収容受け6の記録材収容位置との間は可能な限り接近配置されることが記録材S束の収容位置を安定させる上で好ましい。このような態様を実現するには、例えば綴じ収容受け6に収容された記録材S束の積載量が検知可能な積載量検知部材を備え、積載量検知部材からの検知情報に基づいて綴じ収容受け6を移動するようにすればよい。
【0015】
また、綴じ収容受け6の下降動作としてはその下降量などは適宜選定して差し支えないが、例えば折すじ装置8にて折すじを付した中綴じ処理を行う場合には、中綴じ記録材S束は中央部が山形状又は谷型状になっているため、積載時における高さ方向の増加割合が端綴じ記録材S束に比べて多い。この場合において、中綴じモード時と端綴じモード時とで下降動作時における基準移動量を相違させるように設定し、記録材S束の収容性を良好に保つことが好ましい。
更に、中綴じ装置5及び綴じ収容受け6を可動に構成する態様にあっては、記録材処理装置の設置空間を不必要に広くすることなく、中綴じ装置5及び綴じ収容受け6を可動態様に構築するという観点からすれば、記録材後処理装置1は、後処理装置筐体2の一部に画像形成装置11の装置筐体13の一側高さ方向に沿って延びる案内部材9を設け、この案内部材9に沿って中綴じ装置5及び綴じ収容受け6を移動可能に設けるようにすることが好ましい。
【0016】
このような記録材処理装置において、端綴じモード及び中綴じモードを処理過程を図2(a)(b)に模式的に示す。
−端綴じモード−
端綴じモードは、図2(a)に示すように、位置決め収容受け3にて記録材S束を位置決め収容する位置決め処理と、位置決め収容受け3にて位置決め収容された記録材S束の端部を端綴じ装置(図1参照)による綴じ針10にて端綴じする端綴じ処理と、記録材束搬送部材7(図1参照)にて端綴じされた記録材S束を搬送し、綴じ収容受け6に収容させる記録材束搬送収容処理とを含むものである。
【0017】
−中綴じモード−
中綴じモードは、図2(b)に示すように、折すじ装置8にて記録材Sに折すじSaを付す折すじ処理と、位置決め収容受け3に対し前記折すじSaが付された記録材S束を位置決め収容する位置決め処理と、位置決めされた記録材S束を例えば搬送し、中綴じ装置5(図1参照)の中綴じ位置に記録材S束中央部を位置させ、記録材S束中央部を中綴じ装置5による綴じ針10にて中綴じする中綴じ処理と、記録材束搬送部材7(図1参照)にて中綴じされた記録材S束を搬送し、綴じ収容受け6に収容させる記録材束搬送収容処理とを含むものである。
【0018】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
◎実施の形態1
図3(a)は本発明が適用された記録材処理装置の実施の形態1を示す。
−記録材処理装置の概要−
本実施の形態において、記録材処理装置20は、図3(b)に示すように、記録材に画像を形成する画像形成装置21と、この画像形成装置21に着脱可能に組み付けられ且つ記録済みの記録材に対し所定の後処理が施される記録材後処理装置22とを備えている。尚、記録材後処理装置22は画像形成装置21に対して標準装備されるものであってもよいし、あるいは、ユーザーの要望に応じてオプションとして追加装備されるものであってもよい。
特に、本実施の形態では、画像形成装置21は、図3(b)に示すように、図示外の画像形成部が内蔵された装置筐体30を有し、この装置筐体30の上部の幅方向一側に上方に突出する突出部31を設けると共に、この装置筐体30の突出部31の上方に画像読取装置32を配設し、この画像読取装置32と装置筐体30の突出部31以外の頂部との間に胴内空間部33を確保したものである。尚、画像読取装置32の配設態様としては、例えば装置筐体30とは別途の支持台34上に画像読取装置32を直接置くようにしてもよいし、あるいは、装置筐体30に直接設けるようにしてもよい。また、画像読取装置32は画像読取り面に原稿を自動的に供給する自動原稿供給機構35を備えている。
これに対し、記録材後処理装置22は、図3(b)に示すように、後処理のための記録材が搬送される後処理装置筐体100を有し、この後処理装置筐体100には、画像形成装置21の胴内空間部33に収容される略横方向に延びる横方向筐体101と、この横方向筐体101の長手方向一端側に連結され且つ略縦方向(略鉛直方向)に延びる縦方向筐体102とを備えている。
【0019】
―画像形成装置―
図4は本実施の形態で用いられる画像形成装置の詳細を示す。
同図において、画像形成装置21は、装置筐体30内部に画像形成部40を配設し、この画像形成部40の下部には複数段(本例では四段)の記録材供給装置50(具体的には50a〜50d)を設ける一方、この記録材供給装置50から画像形成部40には略鉛直方向に延びる記録材搬送路51を設けると共に、装置筐体30の突出部31の装置一側方には後処理無しの作像済み記録材Sが排出収容される記録材収容受け52を設けたものである。
ここで、画像形成部40は、例えば電子写真方式を採用したものであって、トナー像を形成保持する感光体ドラム41と、この感光体ドラム41を帯電する帯電ロール等の帯電装置42と、帯電された感光体ドラム41に潜像を形成するレーザー走査装置などの露光装置43と、感光体ドラム41上に形成された静電潜像を現像して可視像化する現像装置44と、感光体ドラム41上のトナー像を記録材供給装置50(50a〜50d)から供給された記録材S上に転写する転写ロール等の転写装置45と、感光体ドラム41上の残留トナーを清掃する清掃装置46とを主要部として備えている。
【0020】
また、記録材供給装置50は記録材Sが堆積収容される容器501を有し、容器501内の記録材Sを分離給送部材502にて一枚ずつ分離しながら供給するようになっている。
更に、記録材搬送路51は、各記録材供給装置50から供給された記録材Sを略鉛直方向に向けて搬送する主搬送路511と、この主搬送路511の下流端から二股に分岐する分岐搬送路512,513と、片面記録済みの記録材に対して両面記録を可能とするように主搬送路511に対して循環するように迂回して接続される迂回搬送路514と、主搬送路511の途中に接続される手差し搬送路515とを備えている。
ここで、主搬送路511のうち画像形成部40の転写部位上流側には記録材Sを一旦位置決めした後に搬送する位置決めロール55が設けられ、主搬送路511のうち画像形成部40の転写部位下流側には定着装置56が配設されている。
また、分岐搬送路512,513の境界部には切替爪57が設けられ、一方の分岐搬送路512は突出部31の胴内空間部33に面した位置まで延び、他方の分岐搬送路513は記録材収容受け52に面した位置まで延びている。そして、各分岐搬送路512,513の下流端付近には排出ロール58,59が設けられている。
尚、符号53は記録材搬送路51に設けられる適宜数の搬送ロール若しくはこれに相当する搬送部材、54は記録材Sを手差しで供給する手差し供給装置である。
【0021】
―記録材後処理装置―
図5は画像形成装置21に組み付けられた記録材後処理装置22の概要を示し、図6は記録材後処理装置22の詳細を示す。
同図において、後処理装置筐体100の横方向筐体101は画像形成装置21の胴内空間部33に挿入配置されており、その先端部が突出部31の胴内空間部33側面に接触するように配置されている。そして、この横方向筐体101には画像形成装置21の一方の分岐搬送路略512に通じた箇所に入口開口を有して横方向に延びる記録材搬送路110が設けられており、この記録材搬送路110につながる縦方向筐体102には横方向に貫通する空間部が確保されている。
更に、本実施の形態では、記録材搬送路110には入口開口から順に複数(例えば四つ)の搬送ロール111〜114が設けられると共に、記録材搬送路110の入口開口付近、第1搬送ロール111と第2搬送ロール112との中間部位、更には第3搬送ロール113と第4搬送ロール114との中間部位に記録材Sが先端又は後端が通過したことを検出する位置検出器121〜123が設けられている。この位置検出器121〜123としてはリミットスイッチ等の機械式検出器や光学式検出器などが使用される。
【0022】
また、本実施の形態において、記録材搬送路110のうち第1位置検出器121の直後には後処理具としての孔開け装置130が配設されており、また、第2搬送ロール112と第3搬送ロール113との間には後処理具としての折すじ装置140が配設されており、更に、記録材搬送路110の第4搬送ロール114の下方には複数の記録材Sを一時的に位置決め収容する位置決め収容受け150が設けられている。
そして更に、後処理装置筐体100の縦方向筐体102には位置決め収容受け150に収容された記録材S束を搬送する第5搬送ロール115が設けられている。
また、第3搬送ロール113と第4搬送ロール114との間の下方には位置決め収容受け150に位置決めされた記録材Sの端部を綴じる後処理具としての端綴じ装置170が配設されている。
また、前記縦方向筐体102の側方には製本用処理装置200が上下動可能に設けられると共に、この製本用処理装置200の下方には端綴じ、中綴じ等の後処理済みの記録材S束を収容する後処理収容受け250が上下動可能に設けられている。
ここで、製本用処理装置200は記録材S束の中央部を綴じる中綴じ装置220が設けられており、この中綴じ装置220の中綴じ位置に対して記録材搬送方向下流側には中綴じされた記録材S束を搬送する第6搬送ロール116が設けられている。
尚、各部の詳細については以下に詳述する。
【0023】
―孔開け装置―
本実施の形態で用いられる孔開け装置130を図7に示す。
図7(a)において、孔開け装置130は、記録材搬送路110を挟んで上側に保持部材131を配設すると共に、記録材搬送路110の下側に受け台138を設け、前記保持部材131には貫通孔132を開設し、この貫通孔132に対して孔開け棒133を出没自在に設けると共に、この孔開け棒133を付勢ばね134にて上方向に付勢し、更に、駆動モータ135からの回転に応じて偏心回転する偏心部材136の偏心軌跡周面を前記孔開け棒133の頂部に押し付け、偏心部材136の回転に応じて孔開け棒133を付勢ばね134に抗して上下動させるようになっている。尚、受け台138には孔開け棒133に対応した受け孔139が設けられている。
本実施の形態では、孔開け装置130による孔開け処理は、例えば第1位置検出器121にて記録材Sの先端位置を検出した時点を基準とし、排出ロール58(図6参照)の回転量を制御することで所定の孔開け位置に到達した時点で排出ロール58及び第一搬送ロール111の駆動を停止し、孔開け棒133による孔開け動作を行わせるものである。そして、孔開け棒133による孔開けが完了した段階で前記排出ロール58及び第1搬送ロール111の駆動を再開することで記録材Sの搬送動作が継続されるようになっている。
【0024】
―折すじ装置―
本実施の形態で用いられる折すじ装置140を図8に示す。
図8(a)において、折すじ装置140は、中綴じモード時に中綴じ処理を行うために記録材Sの搬送方向中央位置に事前折り目を付けるものであり、記録材への事前折り目付けを行うための一対の折りロール141と、この折りロール141の挟持領域に対して記録材搬送路の反対側に設けられ、所定のタイミングでこの挟持領域側に対し進退可能な折り刃142とを備えており、一対の折りロール141及び折り刃142については共通の駆動モータ143にて駆動されるようになっている。
特に、本実施の形態では、折すじ装置140の上下流に位置する第2搬送ロール112、第3搬送ロール113の駆動モータ144,145のうち特に第3搬送ロール113について正逆転制御する方式が採用されている。
つまり、例えば図6に示す第2位置検出器122による記録材Sの先端位置を基準とし、第2搬送ロール112、第3搬送ロール113を所定量移動させ、図8(b)に示すように、一対の折りロール141の挟持領域に対応した部位に記録材Sが到達した時点で第3搬送ロール113を逆転回転させた状態で、駆動モータ143にて折りロール141を回動させると共に、折りロール141の挟持領域に折り刃142を進出移動させ、記録材Sの中央部に折すじSaを付した後、駆動モータ143を逆転回転させることで折りロール141を逆転させると共に、折り刃142を元に戻し、第2、第3搬送ロール112、113にて折すじSaが付された記録材Sを順次搬送するようにしたものである。
尚、本実施の形態では、折りロール141は記録材搬送路から少し離間した位置に設けられているため、折り目付けを行わない場合の記録材の搬送にこの折りロール141が支障を及ぼすことがないようになっている。
【0025】
―位置決め収容受け―
本実施の形態で用いられる位置決め収容受け150を図9に示す。
図9(a)において、位置決め収容受け150は、記録材搬送路110の第4搬送ロール114から排出された記録材Sが自然落下可能な程度に記録材Sの排出方向と逆側を下方して傾斜配置されており、その下端部に位置決め部としての位置決め壁151を形成すると共に、この位置決め壁151に隣接した側縁にも位置決め部としての側縁位置決め壁152を形成したものである。
また、位置決め収容受け150の位置決め壁151近傍には複数(本例では三つ)の回転揃え部材153が設けられると共に、側縁位置決め壁152に対向した部位には記録材Sを押し付ける押し揃え部材156が設けられる。
本実施の形態において、回転揃え部材153は回転軸154の周囲に複数の弾性羽根155を径方向に配置したものであり、回転動作時に弾性羽根155を弾性変形させながら位置決め収容受け150に置かれた記録材Sを位置決め壁151に向けて揃えるものである。
また、押し揃え部材156は、記録材Sのサイズに応じて図示外の駆動機構にて所定位置に移動配置され、付勢ばね157にて付勢される押し板158にて側縁位置決め壁152側に記録材Sを押し付けるものである。
【0026】
―第5搬送ロール―
また、本実施の形態で用いられる第5搬送ロール115の支持構造を図10に示す。
図10(a)(b)において、第5搬送ロール115の支持構造は、位置が固定された支持軸に回転駆動される駆動ロール161と、この駆動ロール161に対して接離自在で且つ駆動ロール161との間で記録材S束を挟持する際に駆動ロール161に対して従動回転する接離ロール162とを備えている。
このとき、接離ロール162には接離機構163が設けられている。この接離機構163としては、例えば駆動アクチュエータ164の直線移動する作動棒165に一端が連結れた連結部材166を回転軸167を中心に回転自在に設け、この連結部材166の回転軸167の回転移動に伴って回転する腕部材168にて前記接離ロール162を駆動ロール161から離間する方向に移動させる方式が採用されている。尚、接離ロール162は図示外の付勢ばねにて駆動ロール161側に所定の押し付け力にて付勢されている。
【0027】
このような位置決め収容受け150及び第5搬送ロール115にあっては、例えば位置決め収容受け150に記録材Sが収容される過程においては、図9(a)に示すように、第5搬送ロール115の接離ロール162が駆動ロール161から離間配置されており、第4搬送ロール114から排出された記録材Sは、Pに示すように移動した後、記録材Sの後端が第4搬送ロール114から離れた時点で落下し、位置決め収容受け150に沿ってPに示す方向に移動していき、回転揃え部材153及び押し揃え部材156にて位置決め収容受け150に位置決め収容される。
この後、後述する端綴じ装置170にて端綴じ処理が行われると、第5搬送ロール115が記録材Sを挟持搬送し、端綴じ済みの記録材S束は、Pの方向に向かって搬送される。
【0028】
―端綴じ装置―
本実施の形態で用いられる端綴じ装置170の詳細を図11,図12に示す。
本実施の形態において、端綴じ装置170は、図11に示すように、記録材Sの一角部を綴じるコーナ用端綴じ装置170aと、主として記録材Sの一側縁部を綴じる側縁用端綴じ装置170bとを備えており、これらの端綴じ装置170(170a,170b)は案内軌道171に沿って移動可能に設けられ、駆動機構175(例えば駆動ベルトに追従して移動する機構などを使用)にて適宜位置まで移動するようになっている。尚、本実施の形態では、案内軌道171は記録材Sの一角部に対応した部位に円弧状の湾曲軌道部172と記録材Sの一側縁に沿って直線軌道部173とを有している。
特に、本実施の形態では、コーナ用端綴じ装置170aは初期位置として湾曲軌道部172に対応して配置されており、側縁用端綴じ装置170bは初期位置として直線軌道部173のうち湾曲軌道部172から離間した部位に配置されている。
そして、例えば記録材Sの一側縁を二箇所で綴じる端綴じ二箇所モードの場合には、記録材Sのサイズに合わせた位置に側縁用端綴じ装置170bを順次移動させて二箇所に端綴じするようにしてもよいし、あるいは、コーナ用端綴じ装置170aと側縁用端綴じ装置170bとを共に用いて二箇所に端綴じするようにしてもよく、適宜設計変更して差し支えない。
【0029】
また、端綴じ装置170の構成例を図12を用いて示す。
本実施の形態において、端綴じ装置170は、位置決め収容受け150の位置決め壁151側の図示外の切欠に対応した箇所に移動可能に配置される。
この端綴じ装置170の基本構成は、図12(a)に示すように、支持台としての下容器181に可動腕182の基端を回動軸183にて回転可能に支持し、上記可動腕182にはこの可動腕182と同軸に且つ図示外の付勢ばねにて可動腕182側に付勢される上容器184を設け、この上容器184内に綴じ針収納部185を設けると共に、上記可動腕182の先端には綴じ針190打ち込み用の打ち込み機構186を設け、駆動モータ187の駆動力を駆動伝達機構188(例えばベルト、偏心部材などを使用)を介して可動腕182に伝達することにより、端綴じ動作時に、可動腕182を下方に移動させ、図12(b)(c)に示すように、下容器181と上容器184との間に記録材S束を挟持した状態で、可動腕182と共に降下する打ち込み機構186にて綴じ針190を記録材S束の端部に打ち込むようにしたものである。尚、符号191は支持台としての下容器181の記録材S側の先端部に設けられた記録材有無検出器であり、例えば反射型の光学素子を用いて構成されている。
【0030】
―製本用処理装置―
図13は製本用処理装置200の支持構造を示す。
同図において、製本用処理装置200の支持構造は、後処理装置筐体100の縦方向筐体102の記録材搬送方向に直交する前後方向両側に案内レール201を設け、この案内レール201に沿って上下方向に移動可能な可動支持板202を設け、この可動支持板202に対して製本用処理筐体210を固定支持する一方、前記可動支持板202には例えば駆動モータ205にて駆動される駆動ギア206に噛合う図示外のギア歯を形成し、駆動ギア206の回転に応じて可動支持板202を上下動させるようになっている。
尚、この支持構造は実施の形態で示した態様に限定されるものではなく、上下動自在であれば適宜選定して差し支えない。
【0031】
図14は実施の形態で用いられる製本用処理装置200の詳細を示す。
同図において、製本用処理装置200の製本用処理筐体210は、記録材搬送路211を上下で区画する上側区画部材212と下側区画部材213とを備えている。
本実施の形態において、下側区画部材213は、上側区画部材212に比べて縦方向筐体102からの突出寸法が短く設定されており、下側区画部材213が存在しない上側区画部材212の下方部分は後処理収容受け250への記録材S束の排出開口214として開口している。
そして、本実施の形態では、下側区画部材213の下方には可動区画部材240が設けられている。この可動区画部材240は、例えば一部に駆動ギア241に噛合う図示外のギア歯を形成し、駆動ギア241の回転に応じて下側区画部材213の区画面に略沿って適宜延長するように移動するものである。
これは、記録材Sのサイズが大きい場合に可動区画部材240にて記録材Sを支持し、中綴じ装置220による中綴じ処理を可能にするものであり、可動区画部材240は記録材Sのサイズに応じて適宜移動するようになっている。
更に、この製本用処理筐体210には中綴じ装置220及び第6搬送ロール116が組み込まれている。
【0032】
―中綴じ装置―
本実施の形態において、中綴じ装置220は、図14及び図15に示すように、記録材Sの搬送方向に直交する方向(幅方向)に対して一対固定的に設けられており、上側区画部材212に設置される中綴じ装置本体221と、下側区画部材213の一部に記録材S束の搬送に支障のないように設けられる対向部材230とで構成されている。
本例において、中綴じ装置本体221は、上側区画部材212に固定設置される支持台222を有し、この支持台222に対し揺動自在な可動綴じ部223を設け、上側区画部材212の一部に開設した打ち込み開口224を介して記録材搬送路211中の記録材S束に綴じ針を打ち込むものである。尚、可動綴じ部223は綴じ針を打ち込む機能を具備したものであり、端綴じ装置170の基本的構成と略同様である。
また、上記対向部材230は硬質材料からなるものであり、可動綴じ部223の中綴じ位置に対応して配置されている。
更に、本実施の形態では、一対の中綴じ装置220は固定的に設けられているが、例えば記録材Sのサイズに応じて中綴じ位置を可変設定するという要請がある場合には、一対の中綴じ装置220を記録材Sの幅方向に沿って移動させるように可動機構を介して支持するようにしても差し支えない。
【0033】
―第6搬送ロール―
第6搬送ロール116は、第5搬送ロール115と同様に、下側に駆動ロール161を有すると共に、上側に接離ロール162を有している。
尚、この第6搬送ロール116の接離機構(図示せず)は第5搬送ロール115の接離機構163と略同様であり(図9参照)、駆動ロール161は駆動モータ261からの駆動力を駆動伝達機構262を介して支持軸263に伝達するものであり、一方、接離ロール162は図示外の付勢ばねにて駆動ロール161側に付勢されている。
本実施の形態では、第6搬送ロール116は一対の中綴じ装置220の間に設けられており、上側区画部材212のロール開口225を介して両者が対向配置されている。
特に、本実施の形態では、第6搬送ロール116は、第5搬送ロール115によって記録材S束を挟持搬送している場合には、駆動ロール161と接離ロール162とを離間配置しており、一方、中綴じ装置220による中綴じ処理が終了した場合には、第6搬送ロール116は、駆動ロール161と接離ロール162とで記録材S束を挟持搬送するようになっている。
【0034】
―後処理収容受け―
図13に後処理収容受け250の支持構造を示す。
後処理収容受け250の支持構造は、後処理装置筐体100の縦方向筐体102の記録材搬送方向に直交する前後方向両側に案内レール251を設け、この案内レール251に沿って上下方向に移動可能な可動支持板252を設ける一方、前記案内レール251に沿って上下方向に駆動ベルト253を一対の張架ロール254,255間に掛け渡し、この駆動ベルト253の一部に駆動ベルト253と共に移動する可動結合部材256を固定し、前記可動支持板252に当該可動結合部材256を連結し、例えば一方の張架ロール254を駆動モータ257にて駆動可能な駆動ロールとして駆動ベルト253を移動させるようにしたものである。
本態様にあっては、駆動ロールとしての張架ロール254を適宜回転させることにより、駆動ベルト253を適量にて上下動させることが可能である。
尚、これらの支持構造は実施の形態で示した態様に限定されるものではなく、上下動自在であれば適宜選定して差し支えない。
また、後処理収容受け250は記録材Sの積載量に応じて上下動するものであるが、図5に示すように、後処理装置筐体100の縦方向筐体102の一部には記録材Sの積載量を検出する積載量検出器270が設けられている。
この積載量検出器270としては適宜選定して差し支えないが、例えば縦方向筐体102の記録材Sの幅方向両側に光学式発光素子と光学式受光素子とを対向配置したものが用いられる。
この積載量検出器270は、第5搬送ロール115から排出される記録材S位置に対して少し下方の位置に設定されており、後処理収容受け250に収容される記録材Sのうち最上位置にある記録材Sの下端部位置を検出するようになっている。
【0035】
―制御系―
図16は本実施の形態で用いられる記録材処理装置の制御系を示す。
同図において、画像形成装置21は、記録材Sのサイズ、部数、孔開け処理の有無、綴じモードの有無などを操作する操作部300と、この操作部300からの情報に基づいて各動作対象物(モータ・検出器等)320を制御する制御装置310とを備えている。
また、記録材後処理装置22は、画像形成装置21の制御装置310との間で相互にやりとりする制御装置330を有し、この制御装置330にて各動作対象物(モータ・検出器等)340を制御することに加えて、各後処理具としての孔開け装置130、折すじ装置140、位置決め収容受け150での記録材位置決め処理、端綴じ装置170、中綴じ装置220、後処理収容受け250などを制御するものである。
また、後処理収容受け250の移動制御に当たっては、積載量検出器270の検出情報に基づいて後処理収容受け250が予め決められた基準移動量(本実施の形態では、中綴じモード時の基準移動量>端綴じモード時の基準移動量)にて下降するようになっている。
【0036】
―記録材処理装置の作動―
次に、本実施の形態で用いられる記録材処理装置の作動について説明する。
本実施の形態において、画像形成装置21の制御装置310及び記録材後処理装置22の制御装置330は、図17に示すように、後処理の有無について判断し、後処理が端綴じモードか、中綴じモードか、それ以外かを判断し、後処理のない場合には通常モードを実行し、また、後処理のモードに応じて、端綴じモード、中綴じモード、あるいは、その他のモード(例えば孔開けモード等)を実行する。
【0037】
―通常モード―
今、記録材処理装置が通常モードで実行されている場合について説明すると、記録材供給装置50(50a〜50d)から供給された記録材Sに画像形成部40により画像が形成されると、作像済みの記録材Sは定着装置56を経て主搬送路511から分岐搬送路513を介して記録材収容受け52に排出収容される。
尚、本実施の形態では、画像形成装置21の装置筐体30の側部に記録材収容受け52を設けているが、例えば記録材後処理装置22の後処理装置筐体100の横方向筐体101の上部に記録材Sの収容空間を確保できるような場合には、横方向筐体101の上部に通常モードの記録材Sを収容するための記録材収容部を設け、こちらの通常モードの記録材Sを収容するようにしてもよい。
【0038】
―端綴じモード―
記録材処理装置が端綴じモード(本例では孔開け無しを例にする)で実行されている場合について説明すると、以下のようである(図18,図19参照)。
製本用処理装置200は、図18に示すように、初期位置においては上方に退避しているため、位置決め収容受け150から排出される記録材S束は製本用処理装置200を介さずに後処理収容受け250に排出される位置関係に設定される。
この状態において、画像形成装置21にて作像された記録材Sは主搬送路511から分岐搬送路512を介して排出ロール58にて記録材後処理装置22へと導かれる。
そして、記録材後処理装置22に導かれた記録材Sは第1搬送ロール111にて搬送され、第2搬送ロール112〜第4搬送ロール114へと順次搬送され、図19(a)に示すように、位置決め収容受け150に排出される。
【0039】
このとき、第5搬送ロール115は離間配置されているため、記録材Sが第5搬送ロール115に邪魔されて位置決め収容受け250への排出動作に支障をきたすことはない。
しかる後、この位置決め収容受け150では、回転揃え部材153、及び、押し揃え部材156にて記録材Sが隣接する二方向にて位置決め収容される。
上記動作を所定枚数繰り返し、所定枚数の記録材S束が位置決め収容受け150に揃えられると、端綴じ装置170は、位置決め収容受け150に位置決め収容された記録材S束の端部(記録材S束の一角部を一箇所又は一側縁部を二箇所)を綴じる。
そして、端綴じ装置170の端綴じ処理が終了すると、図19(b)に示すように、第5搬送ロール115は位置決め収容受け150内の端綴じ済み記録材S束を挟持して搬送し、後処理収容受け250に排出する。
この状態において、積載量検出器270が収容された記録材S束を検出しない条件下では後処理収容受け250はそのままの位置に配置されるのに対し、前記積載量検出器270が収容された記録材S束を検出した条件下では後処理収容受け250は下降し、次に排出される記録材S束の収容空間を確保する。
【0040】
特に、本実施の形態にあっては、製本用処理装置200は、端綴じモード時には初期位置に退避しているため、後処理収容受け250の上方空間部が広くなり、後処理収容受け250から端綴じ済記録材S束を取出し易い点で好ましい。
また、本例の端綴じモードでは、孔開け装置130による孔開け処理を行っていないが、孔開け有りの端綴じモードの場合には、孔開け装置130による孔開け処理を更に付加するようにすればよい。
尚、本実施の形態では、製本用処理装置200が端綴じモード時に初期位置に退避する態様を採用しているが、これに限られるものではなく、製本用処理装置200を中綴じモード時の位置に固定的に設けるようにしても差し支えない。この場合には、中綴じ装置220による中綴じ処理を行うことなく、第5搬送ロール115にて端綴じ記録材S束を挟持搬送した後に第6搬送ロール116に受け渡した上で後処理収容受け250に排出するようにすればよい。
【0041】
―中綴じモード―
記録材処理装置が中綴じモードを実行する場合について説明すると、以下のようである(図20〜図22参照)。
今、図20に示すように、中綴じモードが選択されると、製本用処理装置200は仮想線で示す初期位置から中綴じ処理可能なセット位置まで下降する。
この状態において、画像形成装置21にて作像済みの記録材Sは記録材後処理装置22に導かれ、記録材搬送路110に沿って第1搬送ロール111〜第4搬送ロール114により搬送されていく。
このとき、記録材Sの搬送位置は記録材搬送路110中の位置検出器121〜123にて検出可能であるが、記録材Sの先端位置合わせをより正確に行う上で、記録材搬送路110のうち第2搬送ロール112の直前位置に開閉可能な位置合わせ部材(図示せず)を設けるようにすることが好ましい。この場合、位置合わせ部材にて記録材Sの先端を一旦塞き止め、記録材Sの先端側に膨らみ(ループ)が形成された時点で位置合わせ部材を開放する。
開放した記録材Sの先端直後に第2搬送ロール112があり、記録材Sの先端が第2搬送ロール112の軸方向と平行に揃った状態で記録材Sが第2搬送ロール112に突入して挟持搬送される。
【0042】
この後、記録材Sの後端が第1位置検出器(入口位置検出器)121を通過すると、記録材後処理装置22の制御装置330は所定パルス計数後に各搬送ロール112,113の駆動モータ144,145(図8参照)を停止させ、搬送方向の記録材S中央部に対応して折すじ装置140がくる位置で記録材Sを一旦停止させる。
記録材S一旦停止後に、図8及び図21(a)に示すように、記録材S中央部に折すじ装置140による折すじSaを形成する。
しかる後、折すじSaの付された記録材Sは第2搬送ロール112〜第4搬送ロール114によって順次搬送されていき、位置決め収容受け150に排出される(図21(b)参照)。
【0043】
この位置決め収容受け150では、回転揃え部材153、及び、押し揃え部材156にて記録材Sが隣接する二方向にて位置決め収容される。
上記動作を所定枚数繰り返し、所定枚数の記録材S束が揃った状態で、第5搬送ロール115が位置決め収容受け150にて位置決め収容された記録材S束を挟持した後、記録材Sのサイズに応じて所定量m、具体的には中綴じ装置220による中綴じ位置が記録材S束中央部となる位置まで搬送する(図22(a)参照)。
この後、中綴じ装置220による中綴じ処理が行われ、しかる後、第6搬送ロール116が中綴じ済みの記録材S束を挟持して搬送し、後処理収容受け250に排出する(図22(b)参照)。尚、第6搬送ロール116にて記録材S束が挟持搬送された場合には、記録材S束の搬送性を良好に保つ上で第5搬送ロール115は離間配置されている。
この状態において、積載量検出器270が収容された記録材S束を検出しない条件下では後処理収容受け250はそのままの位置に配置されるのに対し、前記積載量検出器270が収容された記録材S束を検出した条件下では後処理収容受け250は下降し、次に排出される記録材S束の収容空間を確保する。
【0044】
―端綴じモードと中綴じモードとの混在―
端綴じモードと中綴じモードとが混在して行われると、図18又は図20に示すように、夫々のモードによる記録材S束が混在した状態で後処理収容受け250に収容される。
このとき、中綴じモードによる中綴じ済み記録材S束は折すじ処理及び中綴じ処理されているため、本実施の形態では、記録材S束中央部が上方に向かって山型状になるように浮き上がる。
このため、後処理収容受け250に収容される端綴じ済み記録材S束と中綴じ済み記録材S束とはその収容状態にて区別化でき、混在収容されたとしても容易に区別化される。
【0045】
また、本実施の形態では、積載量検出器270は記録材S束の下端部側に配置されていることから、記録材S束の中央部の位置を直接的に検出することはできない。
そこで、本実施の形態にあっては、前ジョブが中綴じモードの場合、記録材S束の枚数、記録材Sのサイズ、記録材Sの種類によって変化するが、積載量検出器270により記録材S束を検出した際の後処理収容受け250を下降動作させる基準移動量は、端綴じモードの基準移動量<中綴じモードの基準移動量となるように設定されている。
このため、中綴じモード時には後処理収容受け250の下降動作時の基準移動量が大きくなり、その分、中綴じモード時の中央部が浮き上がった記録材S束は有効に収容される。
更に、後処理収容受け250の下降動作時の基準移動量については、既に収容されている記録材S束の枚数、サイズ、種類を考慮し、既に収容されている記録材S束が多い場合の基準移動量<既に収容されている記録材S束が少ない場合の基準移動量となるように設定するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
1…記録材後処理装置,2…後処理装置筐体,2a…記録材搬送路,2b…搬送部材,3…位置決め収容受け,4…端綴じ装置,5…中綴じ装置,6…綴じ収容受け,7…記録材束搬送部材,8…折すじ装置,9…案内部材,10…綴じ針,11…画像形成装置,12…画像形成部,13…装置筐体,14…画像読取部,S…記録材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置筐体と画像読取部との間に胴内空間部が形成された画像形成装置と、
前記胴内空間部に収容され、前記画像形成装置から搬送される記録材に折すじを付与する折すじ装置が設けられた横方向筐体、及び、前記横方向筐体に対して縦方向に延びると共に記録材束の中央部を綴じる中綴じ装置が設けられた縦方向筐体を有する記録材後処理装置と、を備え、
前記記録材後処理装置は、前記画像形成装置の前記胴内空間部に着脱可能に組み付けられていることを特徴とする記録材処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の記録材処理装置において、
前記記録材後処理装置は、前記横方向筐体と前記縦方向筐体とが連結され、前記画像形成装置の前記胴内空間部に組み付けられた状態から離脱するときに、前記横方向筐体及び前記縦方向筐体が一体になって移動することを特徴とする記録材処理装置。
【請求項3】
請求項1記載の記録材処理装置において、
前記横方向筐体には、記録材束の端部を綴じる端綴じ装置が設けられ、
前記縦方向筐体には、前記端綴じ装置で端綴じされた記録材束を収容する綴じ収容受けが設けられ、
前記中綴じ装置、及び前記綴じ収容受けが前記縦方向筐体に対して上下方向に移動可能に設けられていることを特徴とする記録材処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−128462(P2012−128462A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−84377(P2012−84377)
【出願日】平成24年4月2日(2012.4.2)
【分割の表示】特願2006−352808(P2006−352808)の分割
【原出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】