説明

記録装置、液体噴射装置および動力伝達切り替え方法

【課題】 記録装置において、ユーザの指示に対して被駆動装置の動作のレスポンスを向上させ、ユーザに安心感を与えることができる記録装置を提供すること。
【解決手段】 記録装置100において、記録部ギャップ調整装置300が自動でPG切り替え調整する際、第1駆動手段(910)は、低速モードで駆動し、ユーザの指示により、第1被駆動装置(200)を動作させる際、前記第1駆動手段(910)は、高速モードで駆動し前記記録部ギャップ調整装置300を動作させ、動力伝達切り替え装置400の前記第1被駆動装置(200)への動力伝達を接続状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体に対してインクを吐出して記録を実行する記録部と、記録時における被記録媒体と前記記録部との隙間を第1駆動手段の動力によって自動で切り替え調整をする記録部ギャップ調整装置と、該記録部ギャップ調整装置によって動力伝達切り替え装置の動力伝達が切り替えられ動作する第1被駆動装置と、を備えた記録装置、液体噴射装置および前記記録装置における動力伝達切り替え方法に関する。
【0002】
ここで、液体噴射装置とは、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッドから記録紙等の被記録材へインクを噴射して被記録材への記録を実行するインクジェット式記録装置、複写機及びファクシミリ等の記録装置に限らず、インクに代えて特定の用途に対応する液体を前述した記録ヘッドに相当する液体噴射ヘッドから、被記録材に相当する被噴射材に噴射して、液体を被噴射材に付着させる装置を含む意味で用いる。また、液体噴射ヘッドとしては、前述した記録ヘッド以外に、液晶ディスプレイ等のカラーフィルタ製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイや面発光ディスプレイ(FED)等の電極形成に用いられる電極材(導電ペースト)噴射ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド、精密ピペットとしての試料を噴射する試料噴射ヘッド等が挙げられる。
【0003】
尚、本願明細書において、「第1の媒体」とは、一例として「非剛性媒体」をいい、「第2の媒体」とは、一例として「剛性媒体」をいう。
ここで、「非剛性媒体」とは、用紙、OHPシート等の可撓性を有した媒体をいう。また、「剛性媒体」とは、CD−Rを取り付けた専用CD−Rトレイ等の殆ど可撓性を有さない媒体をいう。
【背景技術】
【0004】
従来では、特許文献1に示す如く、記録装置の外部から視認することができる排紙トレイは、専用のモータの駆動力によって上下方向へ移動するように設けられていた。具体的には、操作ボタンを押すことにより、専用のモータが駆動し排紙トレイを、通常の用紙を排出する際、下方において用紙を載置する第一の位置、およびCD−Rのラベル面を記録する際、第一の位置より上方においてCD−Rを保持したCD−Rトレイを案内する第二の位置へ移動するように設けられていた。
【0005】
ところが、専用のモータを設けたのでは、コストがかかるだけでなく、小型化を妨げ、重量が重くなる虞がある。
そこで、他の機構の動力源を、動力伝達切り替え装置を介して外部から視認することができる被駆動装置としての排出スタッカ昇降装置に用いることが考えられる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−212906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記動力伝達切り替え装置の切り替えが、記録装置内部の別の装置の動作によって実行されるように構成されていた場合、ユーザが被駆動装置の動作を指示したときから、前記動力伝達切り替え装置の切り替えが実行され被駆動装置が動作するまでの間、所謂、タイムラグが生じる。このとき、ユーザは記録装置内部を視認することができないので、ユーザにレスポンスがよくないと思われる虞、あるいは、前記被駆動装置が動作するまでの間においてユーザを不安にさせる虞が生じる。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、記録装置内部の別の装置の動作がトリガーとなって、動力伝達切り替え装置の切り替えを実行し、外部から視認することができる被駆動装置を動作させるように構成されている記録装置において、ユーザの指示に対して被駆動装置の動作のレスポンスを向上させ、ユーザに安心感を与えることができる記録装置および液体噴射装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、被記録媒体に対してインクを吐出して記録を実行する記録部と、記録時における被記録媒体と前記記録部との隙間を第1駆動手段の動力によって自動で切り替え調整をする記録部ギャップ調整装置と、該記録部ギャップ調整装置によって動力伝達切り替え装置の動力伝達が切り替えられ動作する第1被駆動装置と、を備えた記録装置であって、前記第1駆動手段は、少なくとも低速で駆動する低速モードおよび高速で駆動する高速モードで、前記記録部ギャップ調整装置の前記調整をし、前記隙間を記録部ギャップ調整装置が自動で切り替え調整をする際、前記第1駆動手段は、低速モードで駆動し、ユーザの指示により、前記第1被駆動装置を動作させる際、前記第1駆動手段は、高速モードで駆動し前記記録部ギャップ調整装置を動作させ、前記動力伝達切り替え装置の前記第1被駆動装置への動力伝達を接続状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の第1の態様によれば、前記隙間を記録部ギャップ調整装置が自動で切り替え調整をする際、前記第1駆動手段は、低速モードで駆動し、ユーザの指示により、前記第1被駆動装置を動作させる際、前記第1駆動手段は、高速モードで駆動し前記記録部ギャップ調整装置を動作させ、前記動力伝達切り替え装置の前記第1被駆動装置への動力伝達を接続状態に切り替えるように構成されている。従って、ユーザが指示してから前記第1被駆動装置が動作するまでの時間を短くすることができる。即ち、記録部ギャップ調整装置をトリガーとして前記第1被駆動装置が動作する構成において、前記第1被駆動装置のレスポンスを良くし、ユーザの待ち時間を短縮することができる。
また、前記第1被駆動装置のレスポンスがワンテンポ遅れた場合であっても、前記第1駆動手段のレスポンスの良さが強調され、前記第1駆動手段のレスポンスの良さを、記録装置全体としてのレスポンスの良さとして、ユーザに体感してもらうことができる。その結果、ユーザに安心感を与えることができる。
さらに、前記隙間を記録部ギャップ調整装置が自動で切り替え調整をする際、前記第1駆動手段は、低速モードで駆動する。従って、静粛性を高めることができる。
【0011】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記第1被駆動装置を動作させた際、前記第1駆動手段は、高速モードで駆動し前記記録部ギャップ調整装置を動作させ、前記動力伝達切り替え装置の前記第1被駆動装置への動力伝達を切断状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様と同様の作用効果に加え、前記第1被駆動装置を動作させた際、前記第1駆動手段は、高速モードで駆動し前記記録部ギャップ調整装置を動作させ、前記動力伝達切り替え装置の前記第1被駆動装置への動力伝達を切断状態に切り替えるように構成されている。従って、次の動作ステップがある場合、該ステップに早く移行することができる。
また、該ステップの開始レスポンスがワンテンポ遅れた場合であっても、前記第1駆動手段が高速モードで駆動し積極的に動作音を記録装置内部で発生させ、該第1駆動手段のレスポンスの良さを強調することができる。従って、ユーザは、何ら不快に感じることがない。
【0013】
本発明の第3の態様は、第1または第2の態様において、前記記録部ギャップ調整装置の動作は、記録装置の内部で実行され、前記第1被駆動装置の動作は、記録装置の外部から視認することができるように構成されていることを特徴とする。
本発明の第3の態様によれば、第1または第2の態様と同様の作用効果に加え、前記記録部ギャップ調整装置の動作は、記録装置の内部で実行され、前記第1被駆動装置の動作は、記録装置の外部から視認することができるように構成されている。即ち、ユーザは前記第1被駆動装置の動作の開始を視認することができるように構成されている。従って、前記第1被駆動装置のレスポンスがワンテンポ遅れたと、ユーザに思われる虞がある。係る場合に前記高速モードは有効である。
【0014】
本発明の第4の態様は、第1から第3のいずれか一の態様において、前記記録装置は、第2駆動手段によって駆動する第2被駆動装置を備え、該第2被駆動装置は、前記第2駆動手段と動力伝達が常時接続され、前記第1被駆動装置は、前記第2駆動手段の動力によって駆動し、前記動力伝達切り替え装置によって動力伝達状態が切り替えられるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
本発明の第4の態様によれば、第1から第3のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記第2被駆動装置は、前記第2駆動手段と動力伝達が常時接続され、前記第1被駆動装置は、前記第2駆動手段の動力によって駆動し、前記動力伝達切り替え装置によって動力伝達状態が切り替えられるように構成されている。即ち、前記第2駆動手段の前記第1被駆動装置への動力伝達の切り替えは、前記第1駆動手段によって駆動する前記記録部ギャップ調整装置のみが実行することができるように構成されている。係る場合、前記第1被駆動装置のレスポンスがワンテンポ遅れる虞があるので、前記高速モードは非常に有効である。
【0016】
本発明の第5の態様は、第1から第4のいずれか一の態様において、前記第1被駆動装置は、排出スタッカ昇降装置であり、該排出スタッカ昇降装置は、記録された被記録媒体である第1の媒体を載置する第1の位置、および第1の媒体と被記録媒体である第2の媒体とを記録部へ案内し、かつ、記録された第1の媒体と第2の媒体とを受け止める第2の位置へ移動する第1排出スタッカを備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明の第5の態様によれば、第1から第4のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記第1被駆動装置は、排出スタッカ昇降装置であり、該排出スタッカ昇降装置は、記録された被記録媒体である第1の媒体を載置する第1の位置、および第1の媒体と被記録媒体である第2の媒体とを記録部へ案内し、かつ、記録された第1の媒体と第2の媒体とを受け止める第2の位置へ移動する第1排出スタッカを備えている。即ち、第1排出スタッカが移動するように設けられ、該移動は記録装置外部から視認することができるように設けられている。係る場合に、前記高速モードは有効である。
【0018】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、前記第1の位置における前記第1排出スタッカの搬送方向下流側には、該第1排出スタッカと共に第1の媒体を載置する第2排出スタッカが配設され、前記第1排出スタッカは、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する際、先ず、該第1排出スタッカの搬送方向下流側の位置を、前記第2排出スタッカの搬送方向上流側より高い位置まで上昇させて、該第1排出スタッカの姿勢を傾かせ、次に、姿勢が傾いた該第1排出スタッカを、記録時の搬送方向下流側へ移動させ、その後、該第1排出スタッカの搬送方向上流側を、該第1排出スタッカに設けられ、第1の媒体と第2の媒体とを案内する媒体案内面の姿勢が、主走査方向および搬送方向に対して、平行になるように上昇させるように構成されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の第6の態様によれば、第5の態様と同様の作用効果に加え、前記第1の位置における前記第1排出スタッカの搬送方向下流側には、該第1排出スタッカと共に第1の媒体を載置する第2排出スタッカが配設され、前記第1排出スタッカは上記のように移動するように構成されている。従って、前記第1の位置で第1排出スタッカの上流側を上昇させることができない場合等、空間が限られている場合に有効である。
【0020】
また、前記第1排出スタッカが搬送方向下流側へ移動する際、該第1排出スタッカの搬送方向下流端を、搬送方向において、前記第2排出スタッカの搬送方向上流端から下流端までの範囲で移動させることが可能である。係る場合、搬送方向に限られた場所、例えば部屋内であっても、前記第1排出スタッカが他のものと当接・規制されないので、該第1排出スタッカは、確実に前記第1の位置から前記第2の位置まで移動することができる。
さらに、排出用スタッカ全体でなく、第1排出スタッカのみを移動させるので、排出用スタッカ全体を移動させた場合と比較して、移動させる部材の重量が軽い。従って、前記第2駆動手段によって第1排出スタッカが移動するように構成されている場合は、その分だけ前記第2駆動手段を小型化することができる。
【0021】
本発明の第7の態様は、第5または第6の態様において、前記第2被駆動装置は、排出スタッカ昇降装置の基体部側に設けられ、第1の媒体および第2の媒体を搬送方向へ移動させる排出用駆動ローラであり、前記第1排出スタッカの前記第1の位置と前記第2の位置との間の移動は、前記排出用駆動ローラを駆動させる前記第2駆動手段の駆動力を利用して行うように構成されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の第7の態様によれば、第5または第6の態様と同様の作用効果に加え、前記第1排出スタッカの前記第1の位置と前記第2の位置との間の移動は、前記排出用駆動ローラを駆動させる前記第2駆動手段の駆動力を利用して行うように構成されている。即ち、前記記録部ギャップ調整装置の動力源と、前記第1被駆動装置としての排出スタッカ昇降装置の動力源とは別個独立に設けられている。そして、該排出スタッカ昇降装置の動力源は、前記排出用駆動ローラを駆動させる動力源である第2駆動手段を、前記動力伝達切り替え装置を介して利用している。係る場合に前記高速モードは有効である。
【0023】
本発明の第8の態様は、第5から第7のいずれか一の態様において、前記第2排出スタッカは、第1の媒体および第2の媒体が排出される載置開口部を開閉するように設けられていることを特徴とする。
本発明の第8の態様によれば、第5から第7のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記第2排出スタッカは、第1の媒体および第2の媒体が排出される載置開口部を開閉するように設けられている。即ち、前記第2排出スタッカは、第1の媒体を載置する排出スタッカとしてだけでなく、カバー蓋を兼ねるように設けられている。従って、前記第2排出スタッカが開いた状態では、記録装置の外部から前記第1排出スタッカの移動を視認することができる。
【0024】
本発明の第9の態様は、第1から第8のいずれか一の態様において、前記ユーザの指示は、前記記録装置に設けられた操作パネル部において入力されるように構成されていることを特徴とする。
本発明の第9の態様によれば、第1から第8のいずれか一の態様と同様の作用効果に加え、前記ユーザの指示は、前記記録装置に設けられた操作パネル部において入力されるように構成されている。即ち、ユーザは、パソコン等を介して記録装置に設けられた前記第1被駆動装置を遠隔操作するのではなく、記録装置に対して直接指示する。従って、ユーザは、自己の指示に対する記録装置のレスポンスの善し悪しを体感することができる。係る場合に前記高速モードは有効である。
【0025】
本発明の第10の態様は、被液体噴射媒体に対して液体を噴射して液体噴射を実行する液体噴射部と、液体噴射時における被液体噴射媒体と前記液体噴射部との隙間を第1駆動手段の動力によって自動で切り替え調整をする液体噴射部ギャップ調整装置と、該液体噴射部ギャップ調整装置によって動力伝達切り替え装置の動力伝達が切り替えられ動作する第1被駆動装置と、を備えた液体噴射装置であって、前記第1駆動手段は、少なくとも低速で駆動する低速モードおよび高速で駆動する高速モードで、前記液体噴射部ギャップ調整装置を前記調整し、前記隙間を液体噴射部ギャップ調整装置が自動で切り替え調整をする際、前記第1駆動手段は、低速モードで駆動し、ユーザの指示により、前記第1被駆動装置を動作させる際、前記第1駆動手段は、高速モードで駆動し前記液体噴射部ギャップ調整装置を動作させ、前記動力伝達切り替え装置の前記第1被駆動装置への動力伝達を接続状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする。
【0026】
本発明の第11の態様は、被記録媒体に対してインクを吐出して記録を実行する記録部と、記録時における被記録媒体と前記記録部との隙間を第1駆動手段の動力によって自動で切り替え調整をする記録部ギャップ調整装置と、該記録部ギャップ調整装置によって動力伝達切り替え装置の動力伝達が切り替えられ動作する第1被駆動装置と、を備えた記録装置における動力伝達切り替え方法であって、前記第1駆動手段は、制御部によって、少なくとも低速で駆動する低速モードおよび高速で駆動する高速モードで、前記記録部ギャップ調整装置の前記調整をすることが可能に構成され、前記隙間を記録部ギャップ調整装置が自動で切り替え調整をする際、前記制御部は、前記第1駆動手段を、低速モードで駆動させ、ユーザの指示により、前記第1被駆動装置を動作させる際、前記制御部は、前記第1駆動手段を、高速モードで駆動させ前記記録部ギャップ調整装置を動作させ、前記動力伝達切り替え装置の前記第1被駆動装置への動力伝達を接続状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする。
本発明の第11の態様によれば、第1の態様と同様の作用効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本願発明に係る排出スタッカ昇降装置及び該排出スタッカ昇降装置を適用した液体噴射装置の一例である記録装置について説明する。最初に本願発明の液体噴射装置、そしてその一例である記録装置を実施するための最良の形態としてインクジェットプリンタ100を採り上げて、その全体構成の概略を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1はインクジェットプリンタの外観を示す斜視図、図2はハウジングを取り外してインクジェットプリンタの内部構造を示す斜視図である。また図3はインクジェットプリンタの内部構造の概略を示す側断面図である。
【0029】
尚、ここで説明するインクジェットプリンタ100は、図1に示すように液体噴射装置本体、そして記録装置本体の一例であるプリンタ本体3の上方にスキャナ装置4を備えている。プリンタ本体3の前面パネル6の中央に液晶モニタ画面7、その左右に操作ボタン8を備えている。前面パネル6の下方中央部には、デジタルカメラで撮影した写真データが収録されたメモリカード等を挿入するためのメモリカード挿入部9が設けられている。また、このタイプのインクジェットプリンタ100は、パーソナルコンピュータを使用しないでダイレクトに記録が実行でき、コピー機としても使用できる複合機能を有する比較的コンパクトなタイプのインクジェットプリンタである。
【0030】
また、プリンタ本体3の前面下部には前後方向に着脱自在に給送用カセット30が設けられている。また、該給送用カセット30の上部には図1中、実線で示すように未使用状態ではプリンタ本体3の前面カバーの一部としても機能する排出用スタッカ50が設けられている。尚、該排出用スタッカ50は、図1中、仮想線で示すように使用状態では手前に拡開されて、載置面51を上方に向けた姿勢で使用される。また、液晶モニタ画面7と操作ボタン8の一部及びメモリカード挿入部9は、パーソナルコンピュータに接続しないでダイレクトに記録を実行する場合に使用される部位である。即ち、メモリカード挿入部9に図示しないメモリカードを挿入し、液晶モニタ画面7を見ながら操作ボタン8を操作することによって好みの写真を簡単に家庭に居ながら何枚でも高品質にプリントすることができるようになっている。
【0031】
また、プリンタ本体3の背面側の上部には、自動的に被液体噴射材の一例である被記録材P(以下単に用紙Pともいう)を連続して給送することのできる自動給送装置2が設けられている。自動給送装置2は、用紙Pを複数枚積畳し得る給送用トレイ5と、給送用トレイ5上の用紙Pを給送用ローラ14に向けて押上げるホッパ16と、ホッパ16との挟圧送り作用によって給送用トレイ5上の上位の用紙Pをピックアップする給送用ローラ14と、最上位の用紙Pのみが給送されるように重送された後続の用紙Pを最上位の用紙Pから分離する分離作用部の一例である図示しないリタードローラないし分離パッド等と、分離された後続の用紙Pを給送用トレイ5上に戻す図示しない戻しレバー等とを備えている。
【0032】
次に、用紙Pの搬送経路に従ってインクジェットプリンタ100の内部構造の概略を説明する。給送用トレイ5は、最も搬送方向上流側に設けられおり、複数枚の用紙Pを積畳する被液体噴射材積畳部の一例である。また、給送用トレイ5には用紙Pの側端縁(エッジ)に当接し、用紙Pの搬送方向となる副走査方向Yへの円滑な搬送を案内するエッジガイド15が設けられている。給送用トレイ5上の用紙Pは、給送用ローラ14の回転軸17の回転に伴って、ホッパ16が所定のタイミングで上昇し、給送用ローラ14に向けて押し上げられる。そして、用紙Pは、給送用ローラ14の回転に伴って最上面に位置する用紙Pから順番に給送用ローラ14近傍に設けられる分離作用部である図示しないリタードローラ等の分離力を受けて単位数ずつピックアップされて搬送方向下流に向けて給送される。
【0033】
給送用ローラ14の下流には、用紙Pの通過を検出する被液体噴射材検出手段の一例である図示しない被記録材検出手段(以下単に検出レバーという)が設けられている。検出レバーの下流には、搬送用駆動ローラ19aと搬送用従動ローラ19bとによって構成される搬送用ローラ19が設けられている。このうち搬送用従動ローラ19bは、ローラホルダ18の下流端部において軸支され、当該ローラホルダ18は、図示しないねじりコイルバネによって搬送用従動ローラ19bが常に搬送用駆動ローラ19aに圧接したニップ状態になるように回動付勢されている。
【0034】
そして、搬送用ローラ19によって挟圧された状態で搬送される用紙Pは、記録ポジション26に導かれ、記録ポジション26には用紙Pに記録を実行する液体噴射実行手段の一例である記録実行手段の主たる構成要素としてキャリッジ10が設けられている。該キャリッジ10は、主走査方向Xに往復移動可能にキャリッジガイド軸12に軸支され、無端ベルト11によって往復移動されるようになっている。そして、キャリッジ10の下面には、用紙P等に液体の一例であるインクを吐出(噴射)して記録を実行する液体噴射ヘッドの一例である記録ヘッド13が搭載されている。また、キャリッジ10には液体カートリッジの一例であるインクカートリッジCが挿着されている。
【0035】
記録ヘッド13の下方には、記録ヘッド13と対向して該記録ヘッド13のヘッド面と用紙P等との間のギャップPGを規定するプラテン28が設けられている。そして、記録ヘッド13とプラテン28との間において、用紙P等を主走査方向Xと直交する副走査方向Yに所定の搬送量で搬送する動作と、記録ヘッド13を主走査方向Xに一往復させる間に記録ヘッド13から用紙P等にインクを噴射する動作とを相互に繰り返すことによって、用紙P等の記録面のほぼ全面に亘って所望の記録が実行される。尚、上記ギャップPGは、高精度の記録を実行する上で極めて重要な要素となっており、用紙Pの厚さの変化等に応じて適宜調節されるようになっている。
【0036】
記録ヘッド13の下流には排出用駆動ローラ20aと、複数の第1排出用従動ローラ20b、20b、……とによって構成される被液体噴射材排出手段の一例である排出用ローラ20が設けられている。また第1排出用従動ローラ20b、20b、……近傍の搬送方向上流には、複数の排出用補助従動ローラ22、22、……が設けられている。そして、排出用ローラ20によって排出された用紙Pは、更に搬送方向下流に位置する被液体噴射材受け部の一例である上記の排出用スタッカ50上の載置面51に排出されるようになっている。
【0037】
第1排出用従動ローラ20b、20b、……と排出用補助従動ローラ22、22、……は、その外周に複数の歯を有する歯付きローラであり、それぞれを保持するローラホルダによって自由回転可能に軸支されている。また、上記搬送用従動ローラ19bは、搬送用駆動ローラ19aよりその軸芯位置が幾分搬送方向下流側に位置するように配設されており、上記第1排出用従動ローラ20b、20b、……は排出用駆動ローラ20aより軸芯位置が幾分搬送方向上流側に位置するように配設されている。このような配設態様をとることによって、用紙Pは搬送用ローラ19と排出用ローラ20との間において僅かに下に凸となる「逆ぞり」と呼ばれている湾曲状態が形成される。これにより、記録ヘッド13に対向する位置にある用紙Pは、プラテン28に押し付けられ、用紙Pの浮き上がりが防止されて正常に記録が実行されるようになっている。
【0038】
[実施例]
次に、このようなインクジェットプリンタ100に対して設けられる本発明の排出スタッカ昇降装置について図面に基づいて具体的に説明する。
図4〜図6に示すのは、本発明の排出スタッカ昇降装置を示す正面斜視図である。このうち、図4は用紙記録モードにおける第1排出スタッカが第1の位置にある状態であり、図5はCD−R記録モードにおける第1排出スタッカが第2の位置にある状態である。そして、図6は、図5においてCD−Rトレイをセットした状態である。
【0039】
図4〜図6に示す如く、記録装置100の用紙等を排出する排出部120には、排出スタッカ昇降装置200が設けられており、排出スタッカ昇降装置200は、用紙Pを記録する用紙記録モードと、CD−Rのラベルを記録するCD−R記録モードとを備えている。記録モードの切り替えは、ユーザが、操作ボタン8を操作することによって切り替わるように設けられている。そして、記録モードが切り替わると、排出用駆動ローラ20aの動力源の送り用モータ920によって、排出スタッカ昇降装置200に設けられた第1排出スタッカ500が第1の位置および第2の位置へ移動するように構成されている。第1排出スタッカ500の移動については、後に詳しく説明するとして、先ず、第1の位置および第2の位置について説明する。
尚、記録モードの切り替えは、記録情報データが、制御部900へ送られた時点で、制御部900が判断して、記録モードの切り替えを行うように設けてもよい。
また、図4〜図6において、図中X方向右側が1桁側であり、左側が80桁側である。
【0040】
図4に示す如く、排出用スタッカ50は、副走査方向Yである搬送方向上流側の第1排出スタッカ500と、下流側の第2排出スタッカ600とを備えている。そして、第2排出スタッカ600が、記録装置100の前面に設けられた載置開口部260を開閉するように構成されており、図4に示す状態は開いた状態である。用紙記録モードにおいて、記録された用紙Pが排出用ローラ20によって排出されると、用紙Pは、載置面51としての第1排出スタッカ500の第1載置部510および第2排出スタッカ600の第2載置部610の上面に載置される。このとき、第1排出スタッカ500の搬送方向下流端が、第2排出スタッカ600の上流端より高くなるように構成されている。従って、用紙Pの先端部、即ち、搬送方向下流端が、第1排出スタッカ500と第2排出スタッカ600との間の間隙に引っ掛かる不具合、所謂、用紙ジャムが生じる虞がない。
【0041】
図5に示す如く、CD−R記録モードでは、第1排出スタッカ500が、搬送方向下流側である第2排出スタッカ600の上方まで移動する。この位置が第1排出スタッカ500の第2の位置である。第1排出スタッカ500は、第1載置部510の搬送方向下流側にCD−Rトレイ案内開口部522と、CD−Rトレイ案内開口部内の下面であってCD−RトレイQ(図6参照)を搬送方向(Y)へ案内するCD−Rトレイ案内面523とを備えている。第2の位置では、CD−Rトレイ案内面523が、搬送方向(Y)および主走査方向Xに対して平行であり、かつ、排出用駆動ローラ20aおよびプラテン28の上部の位置と同じ高さとなるように設けられている。
【0042】
図6に示す如く、CD−R記録モードに切り替えられると、第1排出スタッカ500は第2の位置へ移動する。そして、ユーザは、ラベルに記録するCD−Rを専用のCD−RトレイQに取り付け、該CD−RトレイQを第1排出スタッカ500のCD−Rトレイ案内開口部522へ挿入しセットする。セットされると、CD−RトレイQは、排出用駆動ローラ20aおよび後述する第2排出用従動ローラ503、503(図10〜図22参照)によって挟持される。その後、排出用駆動ローラ20aの逆転駆動によって、搬送方向上流側へ送られる。そして、CD−RトレイQに取り付けられたCD−Rの搬送方向下流端が、記録ヘッド13と対向する位置、所謂、記録開始ポジションで停止する。このとき、CD−RトレイQの上流側は、搬送用従動ローラ19aがCD−Rのラベル面と当接してCD−Rに記憶されたデータが破損されるのを防止するため、搬送用ローラ19に挟持されないように設けられている。
尚、排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503は、CD−Rを直接挟持するのではなく、CD−Rトレイ本体(Q)の主走査方向両側近傍を挟持するように2つ設けられている。従って、CD−Rに記憶されたデータ情報を破損する虞がない。また、CD−Rトレイの搬送精度を向上させるために、排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503だけでなく、搬送用ローラ19もCD−Rトレイを挟持して搬送するように構成してもよいのは勿論である。
【0043】
その後、排出用駆動ローラ20aを正転駆動させて、CD−RトレイQを搬送方向下流側へ移動させながら記録ヘッド13を主走査方向Xへ走査させCD−Rのラベルに対して記録を実行する。そして、記録が終了すると、排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503が協働して、CD−RトレイQを搬送方向下流側へ排出する。このとき、CD−RトレイQの搬送方向上流端が、排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503のニップから外れるので、CD−RトレイQは、再び図6に示す如くCD−Rトレイ案内開口部522からCD−RトレイQの一部が突出した位置よりもさらに突出した位置で停止する。
【0044】
CD−R記録モードでは、CD−Rトレイ案内開口部522を備えた第1排出スタッカ500が、搬送方向下流側へ移動するので、ユーザは、CD−RトレイQを容易にセットすることができる。また、記録後において、ユーザは、CD−RトレイQを容易に取り出すことができる。このとき、CD−RトレイQの一部が、CD−Rトレイ案内開口部522より突出しているので、一層容易にCD−RトレイQを取り出すことができる。
また、第1排出スタッカ500が、搬送方向下流側へ移動するので、CD−RトレイQの重心を支持することの可能である。従って、CD−RトレイQの姿勢を安定させることができる。
【0045】
[PG切り替えおよび記録モード切り替えについて]
図7〜図9に示すのは、本発明に係る排出スタッカ昇降装置への動力伝達を示す概略側面図である。このうち、図7は動力が切断された状態である。そして、図8は排出用駆動ローラの逆転状態で動力が伝達されている状態であり、図9は排出用駆動ローラの正転状態で動力が伝達されている状態である。
【0046】
図7に示す如く、記録装置100には、記録部110に設けられた記録ヘッド13とプラテン28との間隔を用紙等の厚みによって調整することができる記録部ギャップ調整装置300、CD−Rのラベルを記録する際にCD−RトレイQを案内および受け止めをするために、第1排出スタッカ500を移動させる排出スタッカ昇降装置200、および排出用駆動ローラ20aの動力が排出スタッカ昇降装置200へ伝達するのを切り替える動力伝達切り替え装置400を備えている。
【0047】
このうち、記録部ギャップ調整装置300は、APGモータ910(図27参照)によって回動するカム軸302と、カム軸302の回動支点に対して偏心するように設けられたキャリッジガイド軸12と、カム軸302に設けられたPG調整カム部301と、図示しないねじりコイルばねによって常にPG調整カム部301を付勢するレバー部材304とを備えている。
また、排出スタッカ昇降装置200は、基体部220と、動力伝達切り替え装置400から伝達された動力を第1排出スタッカ500へ伝達する動力伝達手段210と、第1の位置と第2の位置との間を移動する第1排出スタッカ500とを備えている。
【0048】
またさらに、動力伝達切り替え装置400は、送り用モータ920によって回動する排出用駆動ローラ20aと同軸に設けられ、一体に回動する太陽ギア426と、太陽ギア426と外接する第1遊星ギア423および第2遊星ギア424と、第1遊星ギア423および第2遊星ギア424を保持すると共に太陽ギア426の回動支点軸425を支点に回動自在に揺動する遊星ギアホルダ部420と、第1遊星ギア423および第2遊星ギア424の動力を受ける第1ギア211と、遊星ギアホルダ部420の姿勢を規制するロックレバー410とを備えている。
ここで、送り用モータ920は、搬送用駆動ローラ19aおよび給送用ローラ14をも回動させるように構成されている。
【0049】
記録ヘッド13は、キャリッジガイド軸12によって主走査方向Xへ移動するキャリッジ10に設けられている。用紙Pの厚みの変更、あるいは用紙Pを記録する用紙記録モードからCD−Rのラベル面を記録するCD−R記録モードへ変更があると、APGモータ910によってカム軸302が回動する。このとき、キャリッジガイド軸12は、カム軸302に対して偏心している。従って、記録部ギャップ調整装置300は、カム軸302の回動によって、記録ヘッド13とプラテン28との間隔である、所謂、プラテンギャップあるいはペーパーギャップ(以下、PGとする)を調整することができる。
【0050】
また、カム軸302には、PG調整カム部301が設けられている。そして、図示しないねじりコイルばねによって、レバー軸305を支点に図中時計方向へ付勢されたレバー部材304のレバー当接部303が、PG調整カム部301と当接・押圧するように設けられている。このとき、PG調整は、PG調整カム部301の弧部301aがレバー当接部303と当接する範囲内で、カム軸302を回動させて実行されるように構成されている。そして、用紙記録モードおよびCD−R記録モードの切り替えを行う際に、PG調整カム部301の弦部301bがレバー当接部303に対向するように、カム軸302を回動させて、後述する動力伝達切り替え装置400の切り替えを行うように構成されている。
【0051】
レバー部材304のレバー当接部303が設けられた側に対して反対側は、基体部220に設けられたバーガイド431によって水平方向へ往復移動するスライドバー430の一端と回動自在に連結されている。一方、スライドバー430の他端は、ロックレバー410の一端と回動自在に連結されている。
【0052】
前述したように、太陽ギア426は、排出用駆動ローラ20aの回動によって、回動するように設けられている。そして、太陽ギア426の回動によって、第1遊星ギア423および第2遊星ギア424を保持した遊星ギアホルダ部420は、太陽ギア426の回動方向と同じ方向へ回動しようとするが、ロックレバー410によって、姿勢が規制されている。即ち、遊星ギアホルダ部420の規制状態である。そして、第1遊星ギア423および第2遊星ギア424のいずれもが、第1ギア211と離間した状態となる。従って、太陽ギア426の動力は、第1ギア211へ伝達されない。
【0053】
ここで、遊星ギアホルダ部420は、遊星ギアホルダ部420と回動支点軸425との間に生じる摩擦抵抗によって、太陽ギア426と同じ方向へ回動するように構成してもよい。また、第1遊星ギア423および第2遊星ギア424と、遊星ギアホルダ部420との間に生じる摩擦抵抗によって、太陽ギア426と同じ方向へ回動するように構成してもよい。
【0054】
[用紙記録モードからCD−R記録モードへの切り替え]
図8に示す如く、カム軸302が時計方向へ回動して、弦部301bがレバー当接部303と対向すると、レバー部材304が時計方向へ回動する。そして、スライドバー430が図中左側へ移動する。さらに、スライドバー430の左側への移動に伴って、ロックレバー410が移動するので、遊星ギアホルダ部420は、ロックレバー410の規制から解除される。即ち、遊星ギアホルダ部420の解除状態である。従って、遊星ギアホルダ部420には、太陽ギア426の回動方向へ回動する力が発生する。このとき、排出用駆動ローラ20aは、用紙Pを上流側へ移動させることができる逆転方向である図中反時計方向へ回動している。そして、太陽ギア426は、排出用駆動ローラ20aと同じ方向へ回動するように設けられている。従って、遊星ギアホルダ部420は、太陽ギア426の回動支点軸425を支点に反時計方向へ回動して、第2遊星ギア424が第1ギア211と当接する。即ち、太陽ギア426の動力が、第2遊星ギア424を介して第1ギア211へ伝達される。このとき、第2遊星ギア424は時計方向へ回動しながら第1ギア211と当接するので、第1ギア211は反時計方向へ回動する。
【0055】
排出スタッカ昇降装置200の動力伝達手段210は、第1ギア211、第1ギア211と外接する第2ギア212、第2ギア212と外接する第3ギア213、第3ギア213と一体に設けられた第4ギア214、第4ギア214と外接する第5ギア215、第5ギア215と外接する第6ギア216、第6ギア216と一体に設けられた第7ギア217、第7ギア217と外接する第8ギア218、第8ギア218と一体に設けられたピニオン219、およびピニオン219の動力を受けるラック227を備えている。
【0056】
尚、第5ギア215、第6ギア216、第7ギア217、第8ギア218、ピニオン219およびラック227は、搬送方向(Y)に対して幅方向、即ち、主走査方向左右両側に一対設けられている。そして、左右一対の第5ギア215は、動力伝達シャフト270によって同期回転するように設けられている。従って、それぞれ一対に設けられた第6ギア216、第7ギア217、第8ギア218、ピニオン219およびラック227は同期回転することができる。左右両側において同期回転するので、以下の説明では、片側のみについて説明するとして他方の説明は省略する。
【0057】
第1ギア211が反時計方向へ回動すると、動力が第2ギア212へ伝達され第2ギア212は時計方向へ回動する。そして、第2ギア212の動力が第3ギア213へ伝達され、第3ギア213は反時計方向へ回動する。第4ギア214は、第3ギア213と一体に設けられているので、第3ギア213と一体に反時計方向へ回動する。第4ギア214の動力が第5ギア215へ伝達され、第5ギア215は時計方向へ回動する。第5ギア215の動力が第6ギア216へ伝達され、第6ギア216は反時計方向へ回動する。第7ギア217は、第6ギア216と一体に設けられているので、第6ギア216と一体に反時計方向へ回動する。第7ギア217の動力が第8ギア218へ伝達され、第8ギア218は時計方向へ回動する。ピニオン219は第8ギア218と一体に設けられているので、第8ギア218と一体に時計方向へ回動する。
【0058】
ピニオン219が時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ側に設けられたラック227を介して、ピニオン219は、第1排出スタッカ500を第1の位置から第2の位置へ移動させるように設けられている。そして、第1排出スタッカ500が第2の位置まで移動し終わると、弧部301aとレバー当接部303とが当接する範囲まで、カム軸302が反時計方向へ回動して、レバー部材304を図7に示す状態まで反時計方向へ回動させる。このとき、カム軸302は、PGがCD−R記録モードになるように回動する。
【0059】
[CD−R記録モードから用紙記録モードへの切り替え]
一方、CD−R記録モードから用紙記録モードへ切り替える際、図7に示す状態からカム軸302が時計方向へ回動して、レバー部材304を図9に示す位置まで時計方向へ回動させる。そして、前述したように、遊星ギアホルダ部420をロックレバー410の規制から解除する。
このとき、図9に示す如く、排出用駆動ローラ20aは、用紙Pを下流側へ移動させることができる正転方向である図中時計方向へ回動している。従って、前述したように太陽ギア426も排出用駆動ローラ20aと同じ方向である時計方向へ回動する。そして、前述したように太陽ギア426は、遊星ギアホルダ部420を時計方向へ回動させる。
【0060】
遊星ギアホルダ部420が時計方向へ回動して、第1遊星ギア423が、第1ギア211と外接する。従って、太陽ギア426の動力が第1遊星ギア423を介して第1ギア211へ伝達される。このとき、太陽ギア426は時計方向へ回動するので、第1遊星ギア423は反時計方向へ回動し、第1ギア211は時計方向へ回動する。第1ギア211の回動に伴って、動力伝達方向上流側から下流側へ向かって、第2ギア212は反時計方向、第3ギア213および第4ギア214は時計方向、第5ギア215は反時計方向、第6ギア216および第7ギア217は時計方向、第8ギア218およびピニオン219は反時計方向へ回動する。
【0061】
ピニオン219が反時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ側に設けられたラック227を介して、ピニオン219は、第1排出スタッカ500を後述する第2の位置から第1の位置へ移動させるように設けられている。そして、第1排出スタッカ500が第1の位置まで移動し終わると、弧部301aとレバー当接部303とが当接する範囲まで、カム軸302が反時計方向へ回動して、レバー部材304を図7に示す状態まで反時計方向へ回動させる。このとき、カム軸302は、PGが用紙記録モードになるように回動する。
【0062】
[第1排出スタッカの第1の位置から第2の位置への移動]
続いて、第1排出スタッカ500の第1の位置から第2の位置への移動について説明する。
ここで、第1の位置とは、用紙記録モードにおいて、記録されて排出用駆動ローラ20aによって排出された用紙Pを受け止めることができる位置であって、用紙Pを載置するため、排出用駆動ローラ20aより下方の位置をいう。
一方、第2の位置とは、CD−R記録モードにおいて、記録前のCD−Rを保持したCD−RトレイQを排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503からなる排出用ローラ対へ案内し、かつ、排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503からなる排出用ローラ対によって排出された記録後のCD−Rを保持したCD−RトレイQを受け止めることができる位置であって、第1排出スタッカ500のCD−Rトレイ案内面523が、排出用駆動ローラ20aの上端と略同じ高さとなる位置をいう。
【0063】
図10〜図22に示すのは、本発明に係る排出スタッカ昇降装置の第1排出スタッカの移動を示す側面図である。このうち、図10は第1排出スタッカの第1の位置であり、図11〜図21は第1の位置から第2の位置への移動中であり、図22は第2の位置である。
図10に示す如く、排出スタッカ昇降装置200は、第1の位置と第2の位置との間を移動する第1排出スタッカ500、第1排出スタッカ500の搬送方向下流側に配設された第2排出スタッカ600、基体部側に設けられた排出用駆動ローラ20a、排出用駆動ローラ20aと協働して用紙Pを排出方向へ排出する第1排出用従動ローラ20b、20b、……を備えた排出フレーム部800、排出フレーム部800と第1排出スタッカ500とを連結する連結アーム部700、および排出用駆動ローラ20aの動力を第1排出スタッカ500へ伝達する動力伝達手段210を備えている。
【0064】
基体部220の搬送方向向かって右側、即ち、主走査方向80桁側には、第1排出スタッカ500の移動を案内する第1溝部221が設けられている。また、基体部220の主走査方向1桁側には、第1排出スタッカ500の移動を案内する第2溝部222が設けられている。さらに、基体部220の主走査方向両側には、排出フレーム部800の移動を案内する一対の第4溝部224、224および第5溝部225、225が設けられている。また、基体部220の主走査方向1桁側の上方には、移動中の第1排出スタッカ500の姿勢を規制する姿勢規制部228が設けられている。
【0065】
第1排出スタッカ500は、第1の位置において上面に排出された用紙Pが載置される第1載置部510と、第1載置部内部であって第2の位置において記録前にCD−RトレイQを排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503からなる排出用ローラ対へ案内し、記録後にCD−RトレイQを受け止めるCD−Rトレイ案内開口部522と、基体部220の第1溝部221に係合・案内される第1突部501と、基体部220の第2溝部222に係合・案内される第2突部504と、第1載置部510より搬送方向上流側に設けられ、図示しないばねによって付勢されながら揺動軸502を支点に揺動し、排出用駆動ローラ20aと協働してCD−RトレイQを搬送方向(Y)へ移動する第2排出用従動ローラ503、503と、基体部220の姿勢規制部228と当接する当接面520および当接突部521とを備えている。
また、第1排出スタッカ500は、主走査方向両側に一対設けられた第6溝部226、226と、主走査方向両側に連結アーム部700と係合する一対の第3溝部223、223とを備えている。そして、一対の第6溝部226、226の一面にはラック227、227が設けられ、前述した一対のピニオン219、219と噛み合うように構成されている。
【0066】
第2排出スタッカ600は、カバー軸601を支点に回動し、第1の位置の第1排出スタッカ500と協働して排出された用紙Pを載置する第2載置部610を備えている。第2排出スタッカ600は、記録を実行しない状態では、カバー軸601を支点に回動し載置開口部260を閉じるように設けられている。言い換えると、第2排出スタッカ600は、カバーケースを兼ねるように設けられている。第2排出スタッカ600が開いた状態では、基体部220に設けられたカバー規制部250によって、第2排出スタッカ600の姿勢が規制されるように構成されている。
【0067】
排出フレーム部800は、基体部220の一対の第4溝部224、224に係合・案内される一対の第4突部801、801と、基体部220の一対の第5溝部225、225に係合・案内される一対の第5突部802、802と、図示しないばねに付勢されながら基体部側の排出用駆動ローラ20aと外接する第1排出用従動ローラ20b、20b、……とを備えている。また、排出フレーム部800は、図示しないねじりコイルばねによって、常に搬送方向上流側へ付勢されている。
連結アーム部700は、一端に第1排出スタッカ500の一対の第3溝部223、223に係合・案内される一対の第3突部701、701を備え、他端は排出フレーム部800における第4突部801が設けられた搬送方向下流側と回動自在に連結するように設けられている。
【0068】
第1の位置では、第1排出スタッカ500の搬送方向下流端の位置が、第2排出スタッカ600の搬送方向上流端の位置より、高くなるように設けられている。従って、用紙記録モードにおいて、排出用ローラから排出された用紙Pの先端部が、第1排出スタッカ500の第1載置部510と第2排出スタッカ600の第2載置部610との段差に引っ掛かる虞がない。
【0069】
尚、第1の位置が、所謂、第1排出スタッカ500のホームポジションであり、基体部220にもうけられたホームポジション検出器230が第1排出スタッカ500と当接して検出するように構成されている。そして、第1排出スタッカ500が第1の位置から第2の位置へ移動する際の送り用モータ920の駆動量は、第1排出スタッカ500がホームポジション検出器230から離間してから所定のステップ数で停止するように制御されている。一方、第1排出スタッカ500が第2の位置から第1の位置へ移動する際の送り用モータ920の駆動量は、第1排出スタッカ500がホームポジション検出器230と当接して停止するように制御されている。
また、以下の説明において、主走査方向に一対設けられた第3突部、第4突部、第5突部、第3溝部、第4溝部および第5溝部については、左右同じ形状であり同期するので、片側のみについて説明するとして、他方側の説明は省略する。
【0070】
図11に示す如く、図10に示す状態からピニオン219が時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500のラック227に動力が伝達される。このとき、ピニオン219の位置は基体部側に固定されているので、ピニオン219は、ラック227が設けられた第6溝部226を下方へ進むようにして、第1排出スタッカ500を上方へ移動させようとする。即ち、第1排出スタッカ500には、上方へ移動しようとする力が作用する。そして、第1排出スタッカ500は、搬送方向上流側の第1突部501を支点に、搬送方向下流端が上昇するように傾く。このとき、第1排出スタッカ500の第2突部504は、基体部220の第2溝部内を僅かに上方へ移動する。
また、第1排出スタッカ500の下流端が上昇すると、ホームポジション検出器230から離間するので、送り用モータ920のステップ数のカウントが開始される。
【0071】
図12に示す如く、図11に示す状態からさらにピニオン219が時計方向へ回動すると、ピニオン219は、ラック227を介して、さらに第1排出スタッカ500を上方へ移動させようとする。従って、第1排出スタッカ500は、第1突部501を支点に、搬送方向下流端がさらに上昇するように傾く。そして、第1排出スタッカ500の搬送方向下流端の下端が、第2排出スタッカ600の搬送方向上流端の上端より高い位置となる。
【0072】
図13に示す如く、図12に示す状態からさらにピニオン219が時計方向へ回動すると、ピニオン219は、第6溝部226に沿って搬送方向上流側へ移動しようとする。即ち、ピニオン219は、ラック227を介して、第1排出スタッカ500を搬送方向下流側へ移動させようとする。従って、第1排出スタッカ500は、第1突部501と第1溝部221との係合によって案内されると共に、第2突部504と第2溝部222との係合によって案内されながら、搬送方向下流側へ移動する。このとき、第1排出スタッカ500の傾き、即ち、姿勢は、第1突部501と第1溝部221との係合、および第2突部504と第2溝部222との係合によって規制されるので、下流端が上昇した姿勢のままである。従って、第1排出スタッカ500は、第1排出スタッカ500の搬送方向下流端の位置が第2排出スタッカ600の上流端の上方となるように、搬送方向下流側へ移動することができる。
【0073】
図14に示す如く、図13に示す状態からさらにピニオン219が時計方向へ回動すると、ピニオン219は、ラック227を介して、さらに第1排出スタッカ500を搬送方向下流側へ移動させようとする。従って、第1排出スタッカ500は、第1突部501と第1溝部221との係合によって案内されると共に、第2突部504と第2溝部222との係合によって案内されながら、さらに搬送方向下流側へ移動する。このとき、連結アーム部700の第3突部701は、第1排出スタッカ500の第3溝部223を搬送方向上流側へ移動して、第3溝部223の上流端と度当たる。
【0074】
図15に示す如く、図14に示す状態からさらにピニオン219が時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、さらに搬送方向下流側へ移動する。このとき、連結アーム部700の第3突部701が、第1排出スタッカ500の第3溝部223の搬送方向上流端と度当たっているので、第1排出スタッカ500は、連結アーム部700を介して、前述したねじりコイルばねの付勢力に抗して排出フレーム部800を搬送方向下流側へ移動させる。
このとき、排出フレーム部800は、第4突部801と第4溝部224との係合、および第5突部802と第5溝部225との係合によって案内され搬送方向下流側、かつ、上方へ移動する。そして、排出フレーム部800の移動に伴って、排出フレーム部800に設けられた第1排出用従動ローラ20b、20b、……は、排出用駆動ローラ20aから離間する。
尚、排出フレーム部800の移動に伴って、排出用補助従動ローラ22、22、……(図3参照)も第1排出用従動ローラ20b、20b、……を同じ方向へ移動するように構成されている。
【0075】
さらに、前述したねじりコイルばねの付勢力によって、連結アーム部700の第3突部701が第1排出スタッカ500の第3溝部223の上流端を上流側へ引っ張るように力が作用する。従って、第1排出スタッカ500には、ラック227におけるピニオン219と噛み合っている箇所を支点として反時計方向へ回動しようとする力が発生する。そして、該反時計方向へ回動しようとする力によって、該支点を基準に第3突部701と反対側に位置する第1突部501および第2突部504が、それぞれ第1溝部221および第2溝部222の下側面に押圧される。従って、移動中において、第1排出スタッカ500の姿勢を、より一層安定させることができる。
【0076】
図16に示す如く、図15に示す状態からさらにピニオン219が時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、さらに搬送方向下流側へ移動する。そして、第1排出スタッカ500が搬送方向下流側へ移動すると共に、第1排出スタッカ500は、前述したねじりコイルばねの付勢力に抗して、連結アーム部700を介して排出フレーム部800を、さらに搬送方向下流側へ移動させる。
【0077】
図17に示す如く、図16に示す状態からさらにピニオン219が時計方向へ回動すると、ピニオン219は、第6溝部226に沿って下方へ移動しようとする。即ち、ピニオン219は、ラック227を介して、第1排出スタッカ500を上方へ移動させようとする。このとき、前述したねじりコイルばねの付勢力によって、第1排出スタッカ500には、ラック227におけるピニオン219と噛み合っている箇所を支点として反時計方向へ回動しようとする力が発生している。従って、ピニオン219が時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、第1突部501を支点に第1排出スタッカ500の下流端がさらに上昇するように傾く。そして、第1排出スタッカ500の搬送方向下流側の上方に設けられた当接面520が、基体部220の姿勢規制部228と当接する。
【0078】
当接面520が姿勢規制部228と当接した状態では、前述したねじりコイルばねの付勢力が作用する箇所である第3突部701と第3溝部223とが当接する箇所が、ラック227におけるピニオン219と噛み合っている箇所と、当接面520における姿勢規制部228と当接している箇所との間に位置する。従って、前述したねじりコイルばねの付勢力によって、第1排出スタッカ500がラック227におけるピニオン219と噛み合っている箇所を支点として反時計方向へ回動するのを、姿勢規制部228が、当接面520と当接することによって規制することができる。
【0079】
さらにピニオン219が時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500の搬送方向下流側が姿勢規制部228によって上方への移動が規制されるので、第1排出スタッカ500は、搬送方向下流側を支点に上流側を上方へ持ち上げるように移動する。このとき、当接面520が姿勢規制部228と当接すると同時に、第1排出スタッカ500がラック227におけるピニオン219と噛み合っている箇所を支点として反時計方向へ回動することが規制されるので、第1突部501および第2突部504がそれぞれ第1溝部221および第2溝部222の下側面に押圧される状態から解放される。従って、ピニオン219が時計方向へ回動すると共に、第1突部501および第2突部504は、それぞれ第1溝部221および第2溝部222に沿って上方へ移動する。
また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800は搬送方向下流側へ移動する。
【0080】
図18に示す如く、図17に示す状態からさらにピニオン219が時計方向へ回動すると、ピニオン219は、ラック227を介して、さらに第1排出スタッカ500を上方へ移動させようとする。従って、第1排出スタッカ500は、搬送方向下流側を支点に、搬送方向上流端がさらに上昇するように移動する。即ち、第1排出スタッカ500のCD−Rトレイ案内面523の搬送方向(Y)に対する傾きが、小さくなるように移動する。このとき、第2突部504および第2溝部222は、前述したねじりコイルばねの付勢力によって、ピニオン219からラック227が離間しようとするのを防止するために、前述したねじりコイルばねの付勢力が第1排出スタッカ500に作用する間、常に、ピニオン219を基準にラック227と反対側に第2突部504が位置するように設けられている。
また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800は搬送方向下流側へ移動する。
【0081】
図19に示す如く、図18に示す状態からさらにピニオン219が時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、搬送方向下流側を支点に、搬送方向上流端がさらに上昇するように移動する。このとき、基体部220の姿勢規制部228は、第1排出スタッカ500の当接面520に設けられた当接突部521と当接する。当接突部521は、第1排出スタッカ500を移動させて第1排出スタッカ500のCD−Rトレイ案内面523の姿勢を搬送方向(Y)に対して平行にする際、常に、姿勢規制部228と第1排出スタッカ500とが接触することができるように設けられている。
また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800は搬送方向下流側へ移動する。
【0082】
図20に示す如く、図19に示す状態からさらにピニオン219が時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、搬送方向下流側を支点に、搬送方向上流端がさらに上昇するように移動する。このとき、第1排出スタッカ500の搬送方向上流側に設けられた第2排出用従動ローラ503、503は、基体部側の排出用駆動ローラ20aの搬送方向下流側近傍の位置まで移動する。
また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800は搬送方向下流側へ移動する。
【0083】
図21に示す如く、図20に示す状態からさらにピニオン219が時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、搬送方向下流側を支点に、搬送方向上流端がさらに上昇するように移動する。このとき、第1排出スタッカ500の搬送方向上流側に設けられた第2排出用従動ローラ503、503は、基体部側の排出用駆動ローラ20aより高い位置であって、第2排出用従動ローラ503、503の下部が排出用駆動ローラ20aの上部と略同じ高さとなる位置まで移動する。このとき、第1排出スタッカ500の傾き、即ち、姿勢は、第1排出スタッカ500のCD−Rトレイ案内面523が搬送方向(Y)に対して平行となるような姿勢である。
ここで、「平行」とは、CD−RトレイQを記録部110へ案内することおよび記録されたCD−RトレイQを受け止めることができる程度に、主走査方向Xおよび搬送方向(Y)に対して、略平行であることをいう。
また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800は、前述したねじりコイルばねの付勢力を受けて、搬送方向上流側へ移動する。
【0084】
図22に示す如く、図21に示す状態からさらにピニオン219が時計方向へ回動すると、ピニオン219は、第6溝部226に沿って搬送方向下流側へ移動しようとする。即ち、ピニオン219は、ラック227を介して、前述したねじりコイルばねの付勢力と協働して、第1排出スタッカ500を搬送方向上流側へ移動させようとする。従って、第1排出スタッカ500は、第1突部501と第1溝部221との係合によって案内されると共に、第2突部504と第2溝部222との係合によって案内されながら、搬送方向上流側へ移動する。即ち、第1排出スタッカ500の姿勢は、第1突部501と第1溝部221との係合、および第2突部504と第2溝部222との係合によって規制されている。従って、CD−Rトレイ案内面523が搬送方向(Y)に対して平行となる姿勢のまま、搬送方向上流側へ平行移動する。
また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800は、前述したねじりコイルばねの付勢力を受けて、搬送方向上流側へ移動する。
【0085】
ここで、第1排出スタッカ500の姿勢は既に得たい姿勢を得ているので、第1排出スタッカ500の当接突部521は、基体部220の姿勢規制部228から離間する。即ち、第1排出スタッカ500が平行移動する際は、姿勢規制部228が第1排出スタッカ500に対して何ら作用しないように設けられている。従って、姿勢規制部228との間に摩擦抵抗が生じることにより、第1排出スタッカ500の姿勢が不安定になる虞がない。
また、前述したねじりコイルばねの付勢力によって、第1排出スタッカ500がラック227におけるピニオン219と噛み合っている箇所を支点として、第1排出スタッカ500が反時計方向へ回動する力が作用するが、第1排出スタッカ500の第1突部501が基体部220の第1溝部221の下部に押圧されているので、第1排出スタッカ500は、姿勢を精度良く保持することができる。
そして、第1排出スタッカ500の第2排出用従動ローラ503、503の下部が、基体部側の排出用駆動ローラ20aの上部と当接する位置で、ピニオン219の停止に伴って第1排出スタッカ500は停止する。図22に示す第1排出スタッカ500の停止位置が、CD−R記録モード時に第1排出スタッカ500がとる第2の位置である。このとき、第2排出用従動ローラ503、503は、図示しないばねの付勢力によって排出用駆動ローラ側へ揺動するように付勢されている。従って、CD−R記録モードにおいて、第2排出用従動ローラ503、503は、排出用駆動ローラ20aと協働してCD−RトレイQを挟持し、搬送方向上流および下流へCD−RトレイQを移動させることができる。
【0086】
尚、ピニオン219が停止するタイミングは、前述したように第1排出スタッカ500がホームポジション検出器230から離間したときから、所定のステップ数だけ送り用モータ920を、排出用駆動ローラ20aが逆転する方向へ駆動させた後に停止させるように設けられている。従って、第1排出スタッカ500の第2の位置を精度良く決めることができる。
【0087】
以上より、排出スタッカ昇降装置200は、第2排出スタッカ600と当接することなく、先に第1排出スタッカ500の下流側を、排出スタッカ昇降装置200の上方、かつ、下流側へ引き出すように移動させ、次に第1排出スタッカ500の上流側を、排出スタッカ昇降装置200の上方へ引き上げるに移動させることができる。即ち、排出スタッカ昇降装置200は、第1の位置から第2の位置へ移動する際、第1排出スタッカ500の第1載置部510および第2排出スタッカ600の第2載置部610の上方の空間が、例えば、バーガイド431等によって制限を受ける場合であっても、第1排出スタッカ500を移動させることができる。
【0088】
[第1排出スタッカの第2の位置から第1の位置への移動]
CD−R記録モードから用紙記録モードへ切り替えると、前述したように図7に示す動力伝達切り替え装置400によって動力伝達が切断された状態から、図9に示す動力伝達が接続された状態となる。このとき、排出用駆動ローラ20aが正転駆動、即ち、太陽ギア426が時計方向へ回動する。そして、太陽ギア426の動力が、動力伝達手段210によってピニオン219まで伝達される。従って、ピニオン219は反時計方向へ回動する。
【0089】
図22に示す状態からピニオン219が反時計方向へ回動すると、ピニオン219は、第6溝部226に沿って搬送方向上流側へ移動しようとする。即ち、ピニオン219は、ラック227を介して、前述したねじりコイルばねの付勢力に抗して、第1排出スタッカ500を搬送方向下流側へ移動させようとする。従って、第1排出スタッカ500は、第1突部501と第1溝部221との係合によって案内されると共に、第2突部504と第2溝部222との係合によって案内されながら、搬送方向下流側へ移動する。このとき、第1排出スタッカ500は、CD−Rトレイ案内面523が搬送方向(Y)に対して平行となる姿勢のまま、搬送方向下流側へ平行移動する。
また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800は搬送方向下流側へ移動する。
【0090】
図21に示す如く、図22に示す状態からピニオン219が反時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、前述したねじりコイルばねの付勢力に抗して、搬送方向下流側へ移動する。このとき、第1排出スタッカ500の第2排出用従動ローラ503、503は、基体部側の排出用駆動ローラ20aから離間する。また、第1排出スタッカ500の当接突部521が、離間していた基体部220の姿勢規制部228と当接する。そして、第1排出スタッカ500の第1突部501が、第1溝部221に形状によって第1溝部221の下面から離間する。従って、前述したねじりコイルばねの付勢力によって、第1排出スタッカ500がラック227におけるピニオン219と噛み合っている箇所を支点として、第1排出スタッカ500が反時計方向へ回動する力が作用する。このとき、第1排出スタッカ500の姿勢は、姿勢規制部228が当接突部521と当接することによって、規制されている。
【0091】
図20に示す如く、図21に示す状態からさらにピニオン219が反時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、搬送方向下流側を支点に、搬送方向上流端が下降するように移動する。このとき、第1排出スタッカ500の搬送方向上流側に設けられた第2排出用従動ローラ503、503は、基体部側の排出用駆動ローラ20aの搬送方向下流側近傍の位置まで移動する。
また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800は搬送方向上流側へ移動する。
【0092】
図19に示す如く、図20に示す状態からさらにピニオン219が反時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、搬送方向下流側を支点に、搬送方向上流端がさらに下降するように移動する。このとき、第1排出スタッカ500の第2排出用従動ローラ503、503の位置は、基体部側の排出用駆動ローラ20aの位置より低くなる。
また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800は搬送方向上流側へ移動する。
【0093】
図18に示す如く、図19に示す状態からさらにピニオン219が反時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、搬送方向下流側を支点に、搬送方向上流端がさらに下降するように移動する。このとき、基体部220の姿勢規制部228は、第1排出スタッカ500の当接突部521から離間し当接面520と当接することによって、第1排出スタッカ500の姿勢を規制している。
また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800は搬送方向上流側へ移動する。
【0094】
図17に示す如く、図18に示す状態からさらにピニオン219が反時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、搬送方向下流側を支点に、搬送方向上流端がさらに下降するように移動する。また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800は搬送方向上流側へ移動する。
【0095】
図16に示す如く、図17に示す状態からさらにピニオン219が反時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、搬送方向下流側を支点に、搬送方向上流端がさらに下降するように移動する。このとき、第1排出スタッカ500の搬送方向上流側の第1突部501が、基体部220の第1溝部221の下面と度当たる。そして、ピニオン219の回動に伴って、前述したねじりコイルばねの付勢力による第1排出スタッカ500が反時計方向へ回動する力に抗して、第1排出スタッカ500は、第1突部501と第1溝部221との当接した箇所を支点に、時計方向へ回動して第1排出スタッカ500の搬送方向下流側が下降するように移動する。従って、第1排出スタッカ500の当接面520は、基体部220の姿勢規制部228から離間する。このとき、第1排出スタッカ500の姿勢は、前述した第1排出スタッカ500が反時計方向へ回動しようとする力により、第1突部501が、基体部220の第1溝部221の下面と度当たることで規制されている。
また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800は搬送方向上流側へ移動する。
【0096】
図15に示す如く、図16に示す状態からさらにピニオン219が反時計方向へ回動すると、ピニオン219は、第6溝部226に沿って搬送方向下流側へ移動しようとする。即ち、ピニオン219は、ラック227を介して、前述したねじりコイルばねの付勢力と協働して、第1排出スタッカ500を搬送方向上流側へ移動させようとする。従って、第1排出スタッカ500は、第1突部501と第1溝部221との係合によって案内されると共に、第2突部504と第2溝部222との係合によって案内されながら、搬送方向上流側へ移動する。このとき、第1排出スタッカ500の姿勢は、第1突部501と第1溝部221との係合、および第2突部504と第2溝部222との係合によって規制されている。即ち、第1排出スタッカ500は、搬送方向上流側が下がり、下流側が上がっている姿勢のまま、上流側へ平行移動する。
また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、第4突部801と第4溝部224との係合、および第5突部802と第5溝部225との係合によって案内され搬送方向上流側、かつ、下方へ移動する。
【0097】
図14に示す如く、図15に示す状態からさらにピニオン219が反時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、第1突部501と第1溝部221との係合、および第2突部504と第2溝部222との係合によって案内されながら、搬送方向上流側が下がり、下流側が上がっている姿勢のまま、上流側へ平行移動する。また、第1排出スタッカ500の移動に伴って、排出フレーム部800が移動し、排出フレーム部800の第1排出用従動ローラ20b、20b、……の下部が、基体部側の排出用駆動ローラ20aの上部と当接する。このとき、排出フレーム部800の第4突部801および第5突部802が、それぞれ基体部220の第4溝部224および第5溝部225の搬送方向上流端に度当たり、排出フレーム部800が停止する。
また、第4突部801および第5突部802が、それぞれ基体部220の第4溝部224および第5溝部225の搬送方向上流端に度当たることによって、前述したねじりコイルばねの付勢力が、第1排出スタッカ500まで及ばない。
【0098】
図13に示す如く、図14に示す状態からさらにピニオン219が反時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、搬送方向上流側へ平行移動する。このとき、排出フレーム部800は、前述したねじりコイルばねの付勢力によって、停止状態で保持されている。従って、連結アーム部700の第3突部701は、第1排出スタッカ500の第3溝部223の搬送方向上流端から離間して下流側へ移動する。
ここで、第1排出スタッカ500は、第1排出スタッカ500の搬送方向下流端が、第2排出スタッカ600の上流端より上流側に位置するまで、搬送方向上流側への平行移動するように設けられている。
【0099】
図12に示す如く、図13に示す状態からさらにピニオン219が反時計方向へ回動すると、ピニオン219は、第6溝部226に沿って上方へ移動しようとする。即ち、ピニオン219は、ラック227を介して、第1排出スタッカ500を下方へ移動させようとする。従って、第1排出スタッカ500は、第1突部501を支点に、搬送方向下流端が下降して上流端と下流端との高低差が小さくなるように、時計方向へ回動する。
【0100】
図11に示す如く、図12に示す状態からさらにピニオン219が反時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、第1突部501を支点に、搬送方向下流端が下降して上流端と下流端との高低差がさらに小さくなるように、時計方向へ回動する。
図10に示す如く、図11に示す状態からさらにピニオン219が反時計方向へ回動すると、第1排出スタッカ500は、第1突部501を支点に、搬送方向下流端が下降して上流端と下流端との高低差がさらに小さくなるように、時計方向へ回動する。このとき、第1排出スタッカ500が、ホームポジション検出器230に当接する。そして、ホームポジション検出器230が第1排出スタッカ500を検出して送り用モータ920の駆動を停止してピニオン219の回動を停止する。従って、第1排出スタッカ500は、第1の位置に精度良く位置決めされる。
【0101】
以上より、排出スタッカ昇降装置200は、第2排出スタッカ600と当接することなく、先に第1排出スタッカ500の上流側を、排出スタッカ昇降装置200の下方、かつ、上流側へ押し込むように移動させ、次に第1排出スタッカ500の下流側を、排出スタッカ昇降装置200の下方へ押し込むように移動させることができる。即ち、排出スタッカ昇降装置200は、第2の位置から第1の位置へ移動する際、第1排出スタッカ500の第1載置部510および第2排出スタッカ600の第2載置部610の上方の空間が、例えば、バーガイド431等によって制限を受ける場合であっても、第1排出スタッカ500を移動させることができる。
【0102】
また、第1排出スタッカ500が第2の位置から第1の位置へ移動する際、排出用駆動ローラ20aは正転駆動する。正転駆動とは、図10〜図22中、時計方向への回動をいう。従って、CD−RトレイQが排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503に挟持された状態、即ち、記録後に正常に排出されなかった場合であっても、排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503が協働してCD−RトレイQを搬送方向下流側へ移動することができる。そして、CD−RトレイQが、排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503にニップされていない状態となる。その結果、CD−RトレイQが排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503にニップされた状態で、第1排出スタッカ500が第1の位置へ移動することによって、CD−RトレイQが破損される虞がない。さらに、第1排出スタッカ500が第2の位置から第1の位置へ移動する際、排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503が、CD−RトレイQを巻き込む虞がない。ユーザが、CD−RトレイQを、第1排出スタッカ500のCD−Rトレイ案内開口部内に放置してしまった場合に有効である。
【0103】
さらに、排出用スタッカ50全体でなく、第1排出スタッカ500のみを移動させるので、排出用スタッカ50全体を移動させた場合と比較して、移動させる部材の重量が軽い。従って、その分だけ動力源を小型化することができる。
【0104】
[第2排出スタッカの開閉について]
図23〜図25に示すのは、本発明に係る第2排出スタッカの開閉を示す側面図である。このうち、図23は第2排出スタッカが閉まっている状態であり、図24は開く途中の状態であり、図25は開いた状態である。
【0105】
図23に示す如く、電源がオフ状態では、第1排出スタッカ500は、第1の位置に位置するように設けられ、第2排出スタッカ600は、載置開口部260を閉じた状態である。第2排出スタッカ600は、ばね力を伴うロックレバー(図示せず)によって、閉じた状態を保持することができるように構成されている。そして、電源をオンに切り替えてCD−R記録モードが選択されると、前述したように第1排出スタッカ500が、第1の位置から第2の位置へ移動する。
【0106】
図24に示す如く、第1排出スタッカ500が第1の位置から第2の位置へ移動する際、第1排出スタッカ500は、上方へ移動した後に搬送方向下流側へ移動する。このとき、第1排出スタッカ500の搬送方向下流端が、第2排出スタッカ600のカバー軸601より先端側の第2載置部610と当接・押圧する。従って、第2排出スタッカ600は、カバー軸601を支点に図中時計方向へ回動する。
【0107】
図25に示す如く、第2排出スタッカ600が、第1排出スタッカ500に押されてある程度時計方向へ回動すると、第2排出スタッカ600は、自重および自重に抗する図示しないダンパによってゆっくり回動し続ける。そして、第2排出スタッカ600は、基体部220のカバー規制部250と当接して停止する。即ち、CD−R記録モードが選択されると、第2排出スタッカ600は、閉まった状態であっても自動的に開いた状態となる。
以上より、CD−R記録モードが選択された場合、ユーザは、CD−RトレイQを第1排出スタッカ500のCD−Rトレイ案内開口部522にセットするために、閉まった状態の第2排出スタッカ600を手動で開ける必要がない。
尚、ユーザが、手動で第2排出スタッカを開閉することができるのは勿論である。
【0108】
[CD−R記録モード]
図26に示すのは、本発明に係る第1排出スタッカの第2の位置を示す概略側面図である。また、図26は図6に示す状態の概略側面図でもある。
図26に示す如く、第1排出スタッカ500が第2の位置にあるとき、CD−RトレイQを、CD−Rトレイ案内開口部522からCD−Rトレイ案内面523に沿って挿入する。そして、図6に示すセット位置にセットすると、図26に示すように、CD−RトレイQの搬送方向上流端が、排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503によって挟持された状態となる。
【0109】
その後、排出用駆動ローラ20aの逆転駆動によって、搬送方向上流側へ送られる。そして、CD−RトレイQに取り付けられたCD−Rの搬送方向下流端が、記録ヘッド13と対向する位置、所謂、記録開始ポジションで停止する。その後、排出用駆動ローラ20aを正転駆動させて、CD−RトレイQを搬送方向下流側へ移動させながら記録ヘッド13を主走査方向Xへ走査させCD−Rのラベルに対して記録を実行する。そして、記録が終了すると、排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503が協働して、CD−RトレイQを搬送方向下流側へ排出する。このとき、CD−RトレイQの搬送方向上流端が、排出用駆動ローラ20aおよび第2排出用従動ローラ503、503のニップから外れるので、CD−RトレイQは、図6に示す如くCD−Rトレイ案内開口部522からCD−RトレイQの一部が突出した位置よりもさらに突出した位置で停止する。
尚、CD−Rトレイに換えて用紙を第1排出スタッカのCD−Rトレイ案内開口部に所謂、手差しセットしてもよいのは勿論である。
【0110】
[記録部ギャップ調整装置]
続いて、記録部ギャップ調整装置について説明する。
図27に示すのは、本発明に係る記録部ギャップ調整装置を示す斜視図である。また、図28に示すのは、本発明に係る記録部ギャップ調整装置の動力伝達を示す概略側面図である。
図27および図28に示す如く、記録部ギャップ調整装置300は、第1駆動手段としてのAPG(オートプラテンギャップまたはオートペーパーギャップ)モータ910を備えている。APGモータ910の駆動力は、APGモータ910に取り付けられたピニオンギアから、第1伝達歯車307、第2伝達歯車308、ポンプ部309、振子歯車310、APG減速輪列311を介しPG調整カム部301へ伝達される。基体部220に設けられたカム受け部312に支持されてPG調整カム部301が回動すると、前述したようにPG調整カム部301に対して偏心して設けられたキャリッジガイド軸12が、上下方向に移動するように設けられている。
【0111】
また、前述したようにPG調整カム部301が回動すると、レバー部材304、スライドバー430を介してロックレバー410が移動し、動力伝達切り替え装置400の動力伝達の接続・切断の切り替えが行われるように構成されている。即ち、記録部ギャップ調整装置300によって、排出スタッカ昇降装置200の第1排出スタッカ500を第1の位置および第2の位置へ移動させる動力の伝達状態の接続・切断の切り替えが行われるように構成されている。
尚、図28においてポンプ部309の歯車が反時計方向へ回転すると、キャップ部の内部を吸引し負圧にするように構成されている。
【0112】
図29に示すのは、記録部ギャップ調整装置および動力伝達切り替え装置のタイミングチャートである。縦軸において、PG調整カム部についてはPGを、動力伝達切り替え装置については遊星ギアホルダ部の状態、即ち、動力伝達の状態を、Flag
Wheelについてはセンサ検出の有無を表す。一方、横軸は、PG調整カム部の0°〜360°までの回転を表す。
尚、Flag Wheel(図示しない)は、PG調整カム部の回転に従って回動するように設けられている。
【0113】
先ず、PG調整カム部301が、0°の位置の状態では、PGは1.2mm、遊星ギアホルダ部420は規制状態、即ち、動力伝達は切断状態、Flag Wheelは検出されていない状態である。
そして、PG調整カム部301が、0°の位置から所定の方向へ7.5°回転すると、センサ(図示せず)がFlag Wheel(図示せず)を検出する。ここで、センサは、一定の幅としてPG調整カム部301がさらに20°回転する間ONになるように設けられている。言い換えると、制御部900によって「PG−(小)」が選択された場合、前記20°の範囲内でPG調整カム部301が停止するように設けられている。
【0114】
さらに30°回転する間、センサはOFFになり、その間にPGは1.7mmに変化する。さらに19°回転する間、センサはONになる。この状態が、「PGtyp(標準)」である。
さらに32°回転する間、センサはOFFになり、その間にPGは2.35mmに変化する。さらに19°回転する間、センサはONになる。この状態が、「PG+(大)」である。
【0115】
そして、さらに63°回転する間、センサはOFFになり、その間にPGは4.2mmに変化する。また、遊星ギアホルダ部420は解除状態、即ち、動力伝達は接続状態になる。さらに10°回転する間、センサはONになる。この状態が、「CDR」状態である。即ち、排出用駆動ローラ20aの動力源の送り用モータ920が、動力伝達切り替え装置400を介して、排出スタッカ昇降装置200の第1排出スタッカ500を第1の位置および第2の位置へ移動させる際のモードである。
【0116】
さらに59°回転する間、センサはOFFになり、その間に遊星ギアホルダ部420は規制状態、即ち、動力伝達は切断状態になる。さらに15°回転する間、センサはONになる。この状態が、「PG++(CDR記録モード)」である。さらに85.5°回転するとセンサはOFFになり再び0°(360°)の状態へ戻る。
尚、図29中、括弧書きで示す角度は、Flag Wheelの回転角度である。PF調整カム部が揺動運動するため、Flag
WheelとPG調整カム部301との回転角度に僅かな差が生じる。
【0117】
図30および図31に示すのは、記録部ギャップ調整装置の動作を示すチャートである。このうち、図30は制御部が判断して自動で記録部ギャップ調整装置が動作する様子である。一方、図31は、ユーザの指示により記録部ギャップ調整装置が動作し、排出スタッカ昇降装置を動作させる様子である。
【0118】
図30に示す如く、制御部900が判断して自動で記録部ギャップ調整装置300が動作する際、先ず、ステップ11(以下、単にS11)では、ホストから記録データを受け取る。具体的には、記録装置100の制御部900が、ユーザ等が使用しているPCから送られた記録データを受け取る。そして、S12へ進む。
【0119】
S12では、現在のPGで記録を実行することができるか否かを判断する。即ち、制御部900が、S11で受け取った記録データの記録を実行するために、PGを変更調整する必要があるか否かを判断する。そして、現在のPGで実行することが不可で要変更と判断した場合はS13へ進む。一方、現在のPGで実行することが可で変更不要と判断した場合はS14へ進む。
【0120】
S13では、低速モードで目的のPGへ自動PG動作を実行する。具体的には、APGモータ910を低速で駆動させて、低速でPGの変更調整を実行する。低速で行われるため、静穏化することができる。さらに、PG調整カム部301の停止位置、即ち、停止したときの位相を精度良く決めることができる。このとき、そして、S14へ進む。
S14では、記録を実行する。具体的には、S11で受け取った記録データに基づき、用紙P、CD−R等に対して記録を実行する。そして、終了する。
【0121】
図31に示す如く、ユーザの指示により記録部ギャップ調整装置300が動作し、排出スタッカ昇降装置200を動作させる際、先ず、S21では、前面パネル6からデータを受け取る。具体的には、ユーザが前面パネル6の操作ボタン8を押した指示としての情報を、制御部900が受け取る。例えば、CDRガイド動作についてであって、第1排出スタッカ500の移動を実行する指示情報である。そして、S22へ進む。
【0122】
S22では、動力伝達切り替え装置400の動力伝達状態が接続状態か否かを判断する。具体的には、図29について前述したFlag
wheelをセンサが「CDR」状態として検出している場合であれば、遊星ギアホルダ部420は解除状態であるので、動力伝達は接続状態と判断する。一方、Flag wheelをセンサが「CDR」以外の状態、即ち、「PG−(小)」、「PGtyp(標準)」、「PG+(大)」または「PG++(CD−R記録モード)」の状態として検出している場合であれば、遊星ギアホルダ部420は規制状態であるので、動力伝達は切断状態と判断する。そして、切断状態と判断した場合はS23へ進む。一方、接続状態と判断した場合はS24へ進む。
【0123】
S23では、高速モードで動力伝達切り替え装置400の動力伝達状態が接続状態となる位置へ自動PG動作を実行する。具体的には、APGモータ910を高速で駆動させて、高速でPG調整カム部301を回転させる。そして、センサがFlag
wheelを「CDR」状態として検出する位置でPG調整カム部301を停止する。従って、動力伝達切り替え装置400の動力伝達状態は、接続状態となる。そして、S24へ進む。
【0124】
S24では、CDRガイド動作を実行する。具体的には、前述したように送り用モータ920の駆動力が動力伝達切り替え装置400を介して、排出スタッカ昇降装置200の第1排出スタッカ500を、第1の位置および第2の位置へ移動させる。そして、S25へ進む。
【0125】
S25では、高速モードで動力伝達切り替え装置400の動力伝達状態が切断状態となる位置へ自動PG動作を実行する。具体的には、APGモータ910を高速で駆動させて、高速でPG調整カム部301を回転させる。そして、遊星ギアホルダ部420を規制状態にするために、センサがFlag
wheelを「CDR」以外の状態として検出する位置でPG調整カム部301を停止する。このとき、通常は「PG−(小)」の状態に戻されるように設けられている。次の記録データが予め判断できる場合は、それに適したPGとなるように自動PG動作を実行するのが望ましい。
【0126】
例えば、S24で第1排出スタッカ500が第1の位置から第2の位置へ移動し、次の記録データがCD−Rラベル面へ記録するCDRデータである場合、センサがFlag
wheelを「PG++(CDR記録モード)」状態として検出する位置でPG調整カム部301を停止するように構成するのが望ましい。
一方、第1排出スタッカ500が第2の位置から第1の位置へ移動し、次に記録データが普通紙に対しての記録実行である場合、センサがFlag
wheelを「PG−(小)」または「PGtyp(標準)」状態として検出する位置でPG調整カム部301を停止するように構成するのが望ましい。
そして、終了する。
【0127】
以上、説明したようにS23において、高速モードで動力伝達切り替え装置400の動力伝達状態を接続状態へ切り替えるので、低速モードで切り替えた場合と比較して、S21のユーザの指示からS24の第1排出スタッカ500の動作開始までのレスポンスを良くすることができる。言い換えると、記録部ギャップ調整装置300をトリガーとして第1排出スタッカ500が移動する構成において、第1排出スタッカ500の動作開始までのレスポンスを良くすることができる。
その結果、ユーザの待ち時間を短縮することができる。
【0128】
また、S21のユーザの指示からS24の第1排出スタッカ500の動作開始まで間、APGモータ910を高速駆動させることにより、APGモータ910の駆動音を適度に大きくし、記録装置内部で動作していることをユーザに対してアピールすることができる。即ち、S21のユーザの指示からS24の第1排出スタッカ500の動作開始まで間においてタイムラグが生じるが、S23で記録装置内部のAPGモータ910の動作をアピールすることにより、記録装置全体としてレスポンスが良いことをアピールすることができる。
その結果、ユーザに安心感を与えることができる。
【0129】
本実施形態の記録装置100は、被記録媒体としての用紙PおよびCD−RトレイQに保持されたCD−Rラベル面に対してインクを吐出して記録を実行する記録部110と、記録時における用紙PおよびCD−RトレイQに保持されたCD−Rラベル面と記録部110との隙間を第1駆動手段としてのAPGモータ910の動力によって自動で切り替え調整をする記録部ギャップ調整装置300と、記録部ギャップ調整装置300によって動力伝達切り替え装置400の動力伝達が切り替えられ動作する第1被駆動装置としての排出スタッカ昇降装置200と、を備えた記録装置100であって、第1駆動手段としてのAPGモータ910は、少なくとも低速で駆動する低速モードおよび高速で駆動する高速モードで、記録部ギャップ調整装置300の前記調整をし、前記隙間であるPGを記録部ギャップ調整装置300が自動で切り替え調整をする際、APGモータ910は、低速モードで駆動し、ユーザの指示により、排出スタッカ昇降装置200を動作させる際、APGモータ910は、高速モードで駆動し記録部ギャップ調整装置300を動作させ、動力伝達切り替え装置400の排出スタッカ昇降装置200への動力伝達を接続状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする。
【0130】
また、本実施形態の記録装置100は、排出スタッカ昇降装置200を動作させた際、APGモータ910は、高速モードで駆動し記録部ギャップ調整装置300を動作させ、動力伝達切り替え装置400の排出スタッカ昇降装置200への動力伝達を切断状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする。
さらに、本実施形態の記録装置100は、記録部ギャップ調整装置300の動作は、記録装置100の内部で実行され、排出スタッカ昇降装置200の動作は、記録装置100の外部から視認することができるように構成されていることを特徴とする。
【0131】
またさらに、本実施形態の記録装置100は、第2駆動手段としての送り用モータ920によって駆動する第2被駆動装置としての排出用駆動ローラ20aを備え、排出用駆動ローラ20aは、送り用モータ920と動力伝達が常時接続され、排出スタッカ昇降装置200は、送り用モータ920の動力によって駆動し、動力伝達切り替え装置400によって動力伝達状態が切り替えられるように構成されていることを特徴とする。
【0132】
また、本実施形態の記録装置100において、第1被駆動装置は、排出スタッカ昇降装置200であり、排出スタッカ昇降装置200は、記録された被記録媒体である第1の媒体としての用紙Pを載置する第1の位置、および用紙Pと被記録媒体である第2の媒体としてのCD−RトレイQに保持されたCD−Rラベル面とを記録部110へ案内し、かつ、記録された用紙PとCD−Rを保持したCD−RトレイQとを受け止める第2の位置へ移動する第1排出スタッカ500を備えていることを特徴とする。
【0133】
本実施形態の記録装置100において、第1の位置における第1排出スタッカ500の搬送方向下流側には、第1排出スタッカ500と共に用紙Pを載置する第2排出スタッカ600が配設され、第1排出スタッカ500は、第1の位置から第2の位置へ移動する際、先ず、第1排出スタッカ500の搬送方向下流側の位置を、第2排出スタッカ600の搬送方向上流側より高い位置まで上昇させて、第1排出スタッカ500の姿勢を傾かせ、次に、姿勢が傾いた第1排出スタッカ500を、記録時の搬送方向下流側へ移動させ、その後、第1排出スタッカ500の搬送方向上流側を、第1排出スタッカ500に設けられ、用紙PとCD−Rを保持したCD−RトレイQとを案内する媒体案内面としてのCD−Rトレイ案内面523の姿勢が、主走査方向Xおよび搬送方向(Y)に対して、平行になるように上昇させるように構成されていることを特徴とする。
【0134】
また、本実施形態の記録装置100において、第2被駆動装置は、排出スタッカ昇降装置200の基体部側に設けられ、第1の媒体および第2の媒体を搬送方向(Y)へ移動させる排出用駆動ローラ20aであり、第1排出スタッカ500の第1の位置と第2の位置との間の移動は、排出用駆動ローラ20aを駆動させる第2駆動手段としての送り用モータ920の駆動力を利用して行うように構成されていることを特徴とする。
【0135】
さらに、本実施形態の記録装置100において、第2排出スタッカ600は、用紙PおよびCD−Rを保持したCD−RトレイQが排出される載置開口部260を開閉するように設けられていることを特徴とする。
またさらに、ユーザの指示は、記録装置100に設けられた操作パネル部としての前面パネル6の操作ボタン8において入力されるように構成されていることを特徴とする。
【0136】
本実施形態の記録装置100における動力伝達切り替え方法は、被記録媒体としての用紙PおよびCD−RトレイQに保持されたCD−Rラベル面に対してインクを吐出して記録を実行する記録部110と、記録時における用紙PおよびCD−RトレイQに保持されたCD−Rラベル面と記録部110との隙間を第1駆動手段としてのAPGモータ910の動力によって自動で切り替え調整をする記録部ギャップ調整装置300と、記録部ギャップ調整装置300によって動力伝達切り替え装置400の動力伝達が切り替えられ動作する第1被駆動装置としての排出スタッカ昇降装置200と、を備えた記録装置100における動力伝達切り替え方法であって、第1駆動手段としてのAPGモータ910は、制御部900によって、少なくとも低速で駆動する低速モードおよび高速で駆動する高速モードで、記録部ギャップ調整装置300の前記調整をすることが可能に構成され、前記隙間であるPGを記録部ギャップ調整装置300が自動で切り替え調整をする際、制御部900は、前記第1駆動手段を、低速モードで駆動させ(S13)、ユーザの指示(S21)により、APGモータ910を動作させる際、制御部900は、APGモータ910を、高速モードで駆動させ記録部ギャップ調整装置300を動作させ、動力伝達切り替え装置400の排出スタッカ昇降装置200への動力伝達を接続状態に切り替える(S23)ように構成されていることを特徴とする。
【0137】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】インクジェットプリンタの外観を示す斜視図。
【図2】ケーシングを取り外してインクジェットプリンタの内部構造を示す斜視図。
【図3】インクジェットプリンタの内部構造の概略を示す側断面図。
【図4】本発明に係る排出スタッカ昇降装置の用紙記録モードを示す斜視図(第1の位置)。
【図5】本発明に係る排出スタッカ昇降装置のCD−R記録モードを示す斜視図(第2の位置)。
【図6】CD−R記録モードにおいてCD−Rトレイをセットした状態を示す斜視図(第2の位置)。
【図7】本発明に係る排出スタッカ昇降装置への動力伝達を示す概略側面図(切断)。
【図8】本発明に係る排出スタッカ昇降装置への動力伝達を示す概略側面図(逆転)。
【図9】本発明に係る排出スタッカ昇降装置への動力伝達を示す概略側面図(正転)。
【図10】本発明に係る排出スタッカ昇降装置の第1排出スタッカの移動を示す側面図(第1の位置)。
【図11】本発明に係る第1排出スタッカの移動を示す側面図(下流端上昇)。
【図12】本発明に係る第1排出スタッカの移動を示す側面図(下流端上昇)。
【図13】本発明に係る第1排出スタッカの移動を示す側面図(下流側へ移動)。
【図14】本発明に係る第1排出スタッカの移動を示す側面図(下流側へ移動)。
【図15】本発明に係る第1排出スタッカの移動を示す側面図(下流側へ移動)。
【図16】本発明に係る第1排出スタッカの移動を示す側面図(下流側へ移動)。
【図17】本発明に係る第1排出スタッカの移動を示す側面図(上流端上昇)。
【図18】本発明に係る第1排出スタッカの移動を示す側面図(上流端上昇)。
【図19】本発明に係る第1排出スタッカの移動を示す側面図(上流端上昇)。
【図20】本発明に係る第1排出スタッカの移動を示す側面図(上流端上昇)。
【図21】本発明に係る第1排出スタッカの移動を示す側面図(上流側へ移動)。
【図22】本発明に係る第1排出スタッカの移動を示す側面図(第2の位置)。
【図23】本発明に係る第2排出スタッカの開閉を示す側面図(閉状態)。
【図24】本発明に係る第2排出スタッカの開閉を示す側面図。
【図25】本発明に係る第2排出スタッカの開閉を示す側面図(開状態)。
【図26】本発明に係る第1排出スタッカの第2の位置を示す側面図。
【図27】本発明に係る記録部ギャップ調整装置を示す斜視図。
【図28】本発明に係る記録部ギャップ調整装置の動力伝達を示す概略側面図。
【図29】記録部ギャップ調整装置および動力伝達切り替え装置のタイミングチャート。
【図30】自動による記録部ギャップ調整装置の動作を示すチャート。
【図31】ユーザの指示による記録部ギャップ調整装置の動作を示すチャート。
【符号の説明】
【0139】
2 自動給送装置、 3 プリンタ本体(記録装置本体)、4 スキャナ装置、
5 給送用トレイ、 6 前面パネル、7 液晶モニタ画面、8 操作ボタン、
9 メモリカード挿入部、10 キャリッジ、11 無端ベルト、
12 キャリッジガイド軸、13 記録ヘッド、14 給送用ローラ、
15 エッジガイド、16 ホッパ、17 回転軸(給送用ローラの)、
18 ローラホルダ(搬送用従動ローラ用の)、19 搬送用ローラ、
19a 搬送用駆動ローラ、19b 搬送用従動ローラ、20 排出用ローラ、
20a 排出用駆動ローラ、20b 第1排出用従動ローラ、
22 排出用補助従動ローラ、26 記録ポジション、28 プラテン、
30 給送用カセット、50 排出用スタッカ、51 載置面、
100 インクジェットプリンタ(記録装置)、110 記録部、120 排出部、
200 排出スタッカ昇降装置、210 動力伝達手段、211 第1ギア、
212 第2ギア、213 第3ギア、214 第4ギア、215 第5ギア、
216 第6ギア、217 第7ギア、218 第8ギア、219 ピニオン、
220 基体部、221 第1溝部、222 第2溝部、223 第3溝部、
224 第4溝部、225 第5溝部、226 第6溝部、227 ラック、
228 姿勢規制部、230 ホームポジション検出器、250 カバー規制部、
260 載置開口部、270 動力伝達シャフト、300 記録部ギャップ調整装置、
301 PG調整カム部、301a 弧部、301b 弦部、302 カム軸、
303 レバー当接部、304 レバー部材、305 レバー軸、
307 第1伝達歯車、308 第2伝達歯車、309 ポンプ部、
310 振子歯車、311 APG減速輪列、312 カム受け部、
400 動力伝達切り替え装置、410 ロックレバー、420 遊星ギアホルダ部、
423 第1遊星ギア、424 第2遊星ギア、425 回動支点軸(太陽ギアの)、
426 太陽ギア、430 スライドバー、431 バーガイド、
500 第1排出スタッカ、501 第1突部、502 揺動軸、
503 第2排出用従動ローラ、504 第2突部、510 第1載置部、
520 当接面、521 当接突部、522 CD−Rトレイ案内開口部、
523 CD−Rトレイ案内面、600 第2排出スタッカ、601 カバー軸、
610 第2載置部、700 連結アーム部、701 第3突部、
800 排出フレーム部、801 第4突部、802 第5突部、
900 制御部、910 APGモータ、920 送り用モータ、
C インクカートリッジ、P 用紙(被記録材)、Q CD−Rトレイ、
X 主走査方向、Y 副走査方向、PG ギャップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体に対してインクを吐出して記録を実行する記録部と、記録時における被記録媒体と前記記録部との隙間を第1駆動手段の動力によって自動で切り替え調整をする記録部ギャップ調整装置と、該記録部ギャップ調整装置によって動力伝達切り替え装置の動力伝達が切り替えられ動作する第1被駆動装置と、を備えた記録装置であって、
前記第1駆動手段は、少なくとも低速で駆動する低速モードおよび高速で駆動する高速モードで、前記記録部ギャップ調整装置の前記調整をし、
前記隙間を記録部ギャップ調整装置が自動で切り替え調整をする際、
前記第1駆動手段は、低速モードで駆動し、
ユーザの指示により、前記第1被駆動装置を動作させる際、
前記第1駆動手段は、高速モードで駆動し前記記録部ギャップ調整装置を動作させ、前記動力伝達切り替え装置の前記第1被駆動装置への動力伝達を接続状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の記録装置において、前記第1被駆動装置を動作させた際、
前記第1駆動手段は、高速モードで駆動し前記記録部ギャップ調整装置を動作させ、前記動力伝達切り替え装置の前記第1被駆動装置への動力伝達を切断状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の記録装置において、
前記記録部ギャップ調整装置の動作は、記録装置の内部で実行され、
前記第1被駆動装置の動作は、記録装置の外部から視認することができるように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の記録装置において、前記記録装置は、第2駆動手段によって駆動する第2被駆動装置を備え、該第2被駆動装置は、前記第2駆動手段と動力伝達が常時接続され、
前記第1被駆動装置は、前記第2駆動手段の動力によって駆動し、前記動力伝達切り替え装置によって動力伝達状態が切り替えられるように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の記録装置において、前記第1被駆動装置は、排出スタッカ昇降装置であり、
該排出スタッカ昇降装置は、記録された被記録媒体である第1の媒体を載置する第1の位置、および第1の媒体と被記録媒体である第2の媒体とを記録部へ案内し、かつ、記録された第1の媒体と第2の媒体とを受け止める第2の位置へ移動する第1排出スタッカを備えていることを特徴とする記録装置。
【請求項6】
請求項5に記載の記録装置において、前記第1の位置における前記第1排出スタッカの搬送方向下流側には、該第1排出スタッカと共に第1の媒体を載置する第2排出スタッカが配設され、
前記第1排出スタッカは、前記第1の位置から前記第2の位置へ移動する際、
先ず、該第1排出スタッカの搬送方向下流側の位置を、前記第2排出スタッカの搬送方向上流側より高い位置まで上昇させて、該第1排出スタッカの姿勢を傾かせ、
次に、姿勢が傾いた該第1排出スタッカを、記録時の搬送方向下流側へ移動させ、
その後、該第1排出スタッカの搬送方向上流側を、該第1排出スタッカに設けられ、第1の媒体と第2の媒体とを案内する媒体案内面の姿勢が、主走査方向および搬送方向に対して、平行になるように上昇させるように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の記録装置において、前記第2被駆動装置は、排出スタッカ昇降装置の基体部側に設けられ、第1の媒体および第2の媒体を搬送方向へ移動させる排出用駆動ローラであり、
前記第1排出スタッカの前記第1の位置と前記第2の位置との間の移動は、前記排出用駆動ローラを駆動させる前記第2駆動手段の駆動力を利用して行うように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項8】
請求項5乃至7のいずれか1項に記載の記録装置において、前記第2排出スタッカは、第1の媒体および第2の媒体が排出される載置開口部を開閉するように設けられていることを特徴とする記録装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の記録装置において、前記ユーザの指示は、前記記録装置に設けられた操作パネル部において入力されるように構成されていることを特徴とする記録装置。
【請求項10】
被液体噴射媒体に対して液体を噴射して液体噴射を実行する液体噴射部と、液体噴射時における被液体噴射媒体と前記液体噴射部との隙間を第1駆動手段の動力によって自動で切り替え調整をする液体噴射部ギャップ調整装置と、該液体噴射部ギャップ調整装置によって動力伝達切り替え装置の動力伝達が切り替えられ動作する第1被駆動装置と、を備えた液体噴射装置であって、
前記第1駆動手段は、少なくとも低速で駆動する低速モードおよび高速で駆動する高速モードで、前記液体噴射部ギャップ調整装置を前記調整し、
前記隙間を液体噴射部ギャップ調整装置が自動で切り替え調整をする際、
前記第1駆動手段は、低速モードで駆動し、
ユーザの指示により、前記第1被駆動装置を動作させる際、
前記第1駆動手段は、高速モードで駆動し前記液体噴射部ギャップ調整装置を動作させ、前記動力伝達切り替え装置の前記第1被駆動装置への動力伝達を接続状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項11】
被記録媒体に対してインクを吐出して記録を実行する記録部と、記録時における被記録媒体と前記記録部との隙間を第1駆動手段の動力によって自動で切り替え調整をする記録部ギャップ調整装置と、該記録部ギャップ調整装置によって動力伝達切り替え装置の動力伝達が切り替えられ動作する第1被駆動装置と、を備えた記録装置における動力伝達切り替え方法であって、
前記第1駆動手段は、制御部によって、少なくとも低速で駆動する低速モードおよび高速で駆動する高速モードで、前記記録部ギャップ調整装置の前記調整をすることが可能に構成され、
前記隙間を記録部ギャップ調整装置が自動で切り替え調整をする際、
前記制御部は、前記第1駆動手段を、低速モードで駆動させ、
ユーザの指示により、前記第1被駆動装置を動作させる際、
前記制御部は、前記第1駆動手段を、高速モードで駆動させ前記記録部ギャップ調整装置を動作させ、前記動力伝達切り替え装置の前記第1被駆動装置への動力伝達を接続状態に切り替えるように構成されていることを特徴とする動力伝達切り替え方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2008−44182(P2008−44182A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220668(P2006−220668)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】