説明

記録装置

【課題】 プリンタ装置において処理効率を向上させる。
さらに、システム制御の負荷を分散し装置内の温度上昇も抑制する。
【解決手段】 装置全体のシステムを制御するための中央演算処理部1と、装置の各種操作を行なう操作部からの信号の制御や表示部への表示データの出力などを行う制御部1と、前記中央演算処理部1とは別に、装置の画像処理制御するための中央演算処理部2と、各種画像データのデコード処理及びプリント処理を実行するための画像処理制御部2と、装置外部の画像出力機器及び装置内部の画像出力信号のからの画像信号を前記制御部2で制御するための切り替えを行なう為の切り替え手段より構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラなどの撮像装置或いはメモリ等から画像データを入力して記録媒体に記録する記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年のプリンタ装置において、簡単な操作で画像を撮影してデジタルデータに変換できるデジタルカメラなどの撮像装置や、SDカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)カードやメモリースティック等のメモリーカード等をパーソナルコンピューター(PC)を経由せずにダイレクト印刷可能なマルチファンクションプリンタ装置が広く普及している。
【0003】
従来のプリンタ装置において、処理効率を上げるためPCからの画像入力に対しての制御に特化し、特許文献1では、複数のCPUを備えて負荷の偏りを緩和し処理効率を向上するために、画像データの例えばHTMLデータ、JPG、BMPなどのフォーマットデータの解釈処理をメインデータ処理装置で行い、サブデータ処理装置でラスタデータを読み出し色変換処理、ハーフトーン処理を実行し、画像処理制御を分割して印刷を実行している。
【特許文献1】特開2004−98636号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のプリンタ装置においては、PCから入力される画像に特化し、画像処理制御をメインデータ処理装置で画像データの例えばHTMLデータ、JPG、BMPなどのフォーマットデータの解釈処理を行い、サブデータ処理装置でラスタデータを読み出し色変換処理、ハーフトーン処理を実行し、画像処理制御を分割して印刷を実行し処理効率を向上していた。
【0005】
しかしながら近年のプリンタ装置においては、デジタルカメラなどの撮像装置や、SDカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)カードやメモリースティック等のメモリーカード等の画像入力機器から入力される画像をプリンタ装置本体の表示部に表示を行いプリント実行の選択が行なえるようになり、表示制御等のシステム負荷が増えたが、従来のプリンタ装置においては前記表示制御等のシステム負荷増加分に対し考慮されていないという問題点を有している。
【0006】
また前記プリンタ装置において、さまざまな画像入力装置からの画像処理制御や表示制御を高速に実行することにより装置内部の温度が上昇するという問題点も有している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、請求項1に記載の発明は、装置全体のシステムを制御するための中央演算処理部1と、装置の各種操作を行なう操作部からの信号の制御や表示部への表示データの出力などを行う制御部1と、前記中央演算処理部1とは別に、装置の画像処理制御するための中央演算処理部2と、各種画像データのデコード処理及びプリント処理を実行するための画像処理制御部2と、装置外部の画像出力機器及び装置内部の画像出力信号のからの画像信号を前記制御部2で制御するための切り替えを行なう為の切り替え手段とを所持し、
前記装置外部の画像出力機器及び前記装置内部から生成される画像出力データは前記中央演算処理部2と前記制御部2で画像処理を行う記録装置を提供する。
【0008】
又、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の記録装置において、前記中央演算処理部1と前記制御部1は装置全体のシステム制御を行なうプリント基板1(PCB1)内に実装し、前記中央演算処理部2と前記制御部2は前記プリント基板1(PCB1)よりインターフェースケーブルを介して接続されるプリント基板2(PCB2)内に実装することで、前記中央演算処理部1と前記制御部1と前記中央演算処理部2と前記制御部2の物理的距離を離す記録装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、さまざまな画像入力機器からの画像処理及び前記画像入力機器からの画像を記録装置に表示する処理を効率的に行なうことができる。さらに、前記中央演算処理部1と前記制御部1は装置全体の制御を行なうプリント基板1(PCB1)内で前記中央演算処理部1と前記制御部1とを1つの集積回路に集約したICチップ1として実装し、記録用の画像処理制御を行なう前記中央演算処理部2と前記制御部2は前記プリント基板1(PCB1)よりインターフェースケーブルを介して接続される記録制御を行なうプリント基板2(PCB2)内で前記中央演算処理部2と制御部2とを1つの集積回路に集約したICチップ2として実装することで、装置の処理速度を向上し、ICチップの温度上昇を抑制できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0011】
以下、本発明の一実施形態として、マルチファンクションプリンタ装置(以下MFPと記す)121の制御に係る主要部の構成を説明する。図1は、実施形態のMFPのシステム構成を示すシステム図1である。
【0012】
図1において、101はMFP121に装着されたカードスロットに挿入可能なメモリーカードであり、例えばコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ、スマートメディア(Smart Media(登録商標))、メモリースティック(MEMORY STICK(登録商標))、SDメモリ等がある。102はデジタルカメラであり、MFP121に接続してカメラダイレクトプリントが行える。103はカラーCCDなどから構成された読取部であり読み取った原稿の画像データを転送する。104はパーソナルコンピュータ(以下PCと記す)である。105はカーソルキーなどから構成される操作部である。106は装置の状態表示や操作の案内表示を行うLCDなどから構成された表示部である。107はUSBバスハブで101のカードや102のデジタルカメラや103の読取部や104のPCとのデータのスイッチングを行う。
108は装置全体の制御するための中央演算処理部1(CPU1)である。109はASIC1(専用カスタムLSI1)を示し、107のUSBハブの切り替え制御や、105の操作部からの各種操作信号を入力したり、表示部106への表示データの出力などを行う。
【0013】
111はプログラムおよびデータを記憶するROM1である。112はCPUワークデータ、表示用データなどを記憶する記憶部(RAM1)である。
【0014】
110はMFP121の記録紙の搬送や記録紙に印字するためのヘッドを移動するためのモーターである。113は装置全体の制御を行う制御部の制御基板を示す。
【0015】
114は装置の記録制御するための画像処理等を行う中央演算処理部2(CPU2)である。115はASIC2(専用カスタムLSI2)を示し、カード101やデジタルカメラ102や読取部103から送られてくる圧縮データのデコード処理やプリント処理を実行するための輝度信号(RGB)から濃度信号(CMYK)への変換、スケーリング、ガンマ変換、誤差拡散等の画像処理等を行う。116はインクを記録情報に応じてノズルから吐出させる記録ヘッド。117はプログラムおよびデータを記憶するROM2である。118はCPUワークデータ、画像データなどを記憶する記憶部(RAM2)である。119は、記録制御を行う制御部のキャリッジ基板を示す。
【0016】
120は121MFPに電源を供給するためのPSUである。
【0017】
図2は、本実施の形態に係るMFP装置121の画像処理制御に係る機能構成をより詳しく示す機能ブロック図である。
【0018】
図2において、USBバスインターフェース等のインターフェース部201を介して入力されたPCカード101、カメラ102或は読取部103からの画像データは、一旦イメージバッファ202に格納され、圧縮されたデータの場合はJPEG解凍部203により解凍され、Y,Cb,Cr信号からRGB信号に変換された後、RGBバッファ204に格納される。3D3(205)は、ルックアップテーブル206を参照してRGBデータの色空間を変換する。また3D6(207)は、ルックアップテーブル206を参照して、RGB信号をC,M,Y,K,LC(明るいシアン),LM(明るいマゼンタ)の6色の信号に変換する。209はX,Yスケーリング部で、画像のX及び/又はY方向のサイズを変換する。210は1D出力部で、一次元テーブル211を参照してγ変換等の色処理を実行する。212は誤差拡散(ED)部で、多値画像データに対して誤差拡散処理を実行して、各色の2値画像データ(或は多値データ)を生成する。こうして生成された2値(或は多値)画像データは、EDバッファ213に格納される。214はワークバッファで、各色のインクを吐出する複数の記録ヘッドのそれぞれに対応する記録データを記憶している。こうして作成された各記録ヘッドに対応する記録データはヘッドインターフェース215を介して印刷される。
【0019】
尚、図2では、X,Yスケーリング部209による、画像のX及び/又はY方向のサイズの変換処理を、3D6(207)の後で行なうように説明したが、本発明はこれに限定されるものでなくRGBデータへの色変換を行う前に実行しても良い。
【0020】
図3は機能モジュールごとにタスク化したマルチタスク形式で構成した構成図である。
【0021】
図3において、304はシステムコントロールタスク1で、各タスク間でのイベント発行、イベントの終了に伴うシーケンス制御や排他処理等、システム全体の調停を行っている。
【0022】
302はキーイベントタスクを示し、操作パネル105のキー操作に基づいて、押下されたキーの解析等を行う。301は表示部106への表示タスクを示し、表示部106におけるUI制御或はメッセージ表示要求等が発生した時点で起動され、表示部106への表示制御を実行している。305はPCカードへの読み書きなどによるデータの入出力により起動されるタスクを示す。308はUSBバスを介して接続されるPC104からのデータ転送により起動されるUSBプリンタタスクで、USBのプリンタ割り込みにより起動され、PCプリンタとしての機能を実行する。
【0023】
306はUSBタスクにより起動され、USBを介して接続されるデジタルカメラ102からのデータの読込みや各種通信制御等を実行する。
【0024】
307は読取部のスキャナよりデータの出力により起動されるタスクを示す。
【0025】
309は、システムコントロールタスク304により起動され、ファームウェアの初期化を行う。またシステムコントロールタスク304からのメッセージに応じて、下位タスクであるUSBコントロールタスク、USBバルクタスクの起動・終了を行う。
【0026】
310は画像処理システムコントロールタスク2で、画像処理に関連する各タスク間でのイベント発行、イベントの終了に伴うシーケンス制御等を行っている。
【0027】
311はページ・クリエイトタスクで、JPEGデータを伸長して画像データに変換したり、或はBMP形式のデータからイメージデータを作成したり、或はHTML文書からイメージデータを作成するとともに、フォトデータの補正、階調補正等の画像処理やRGBデータの作成等を行っている。
【0028】
312は画像処理タスクで、RGBデータを受取り、色変換やスケーリング及び誤差拡散処理などによりYMCKデータを作成し、最終的にヘッド116に出力する。
【0029】
図4は従来の実施例のMFPのシステム構成図2である。
【0030】
101は従来のMFP401に装着されたカードスロットに挿入可能なメモリーカードであり、例えばコンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ、スマートメディア、メモリースティック、SDメモリ等がある。102はデジタルカメラであり、MFP401に接続してカメラダイレクトプリントが行える。MFP401はカラーCCDなどから構成された読取部であり読み取った原稿の画像データを転送する。104はパーソナルコンピュータ(以下PCと記す)である。402はカーソルキーなどから構成される操作部である。403は装置の状態表示や操作の案内表示を行うLCDなどから構成された表示部である。404はUSBバスハブで101のカードや102のデジタルカメラや401の読取部や104のPCとのデータのスイッチングを行う。
【0031】
405は装置全体の制御や画像処理制御等するための中央演算処理部3(CPU3)である。406はASIC3(専用カスタムLSI3)を示し、404のUSBハブの切り替え制御や、402の操作部からの各種操作信号を入力したり、表示部403への表示データの出力やカード101やデジタルカメラ102や読取部401から送られてくる圧縮データのデコード処理やプリント処理を実行するための輝度信号(RGB)から濃度信号(CMYK)への変換、スケーリング、ガンマ変換、誤差拡散等の画像処理等などを行う。
【0032】
407はプログラムおよびデータを記憶するROM3である。408はCPUワークデータ、表示用データ、画像データなどを記憶する記憶部(RAM3)である。
【0033】
409はMFP121の記録紙の搬送や記録紙に印字するためのヘッドを移動するためのモーターである。413は装置全体の制御を行う制御部の制御基板を示す。
【0034】
410はインクを記録情報に応じてノズルから吐出させる記録ヘッド。411は401MFPに電源を供給するためのPSUである。
【0035】
次に図5のフローチャートを参照して、本実施の形態に係るMFP装置121のデジカメプリントによる処理の概要について説明する。
【0036】
ステップ101で、デジタルカメラが接続されているか確認する。接続されていなければステップ102で、カメラフラグがONしているか確認する。カメラフラグがONしていなければ終了し、カメラフラグがONしていればステップ103で、カメラフラグをOFFし終了する。ステップ101で、デジタルカメラが接続されていれば、ステップ104で、カメラフラグをONしステップ105で、現在記録動作(カードプリントまたはPCプリントまたはコピー)が実行中か確認する。記録動作が実行中の場合は引き続き記録動作の状態を確認する。記録動作が実行中でない場合はステップ106で、表示部106にカメラマークを表示する。ステップ107でデジタルカメラからの圧縮された画像データをキャリッジ基板119内のヘッド制御部により画像処理を行う。ステップ108でデジカメプリントを実行し終了する。
【0037】
次に図6のフローチャートを参照して、本実施の形態に係るMFP装置121のカードプリントによる処理の概要について説明する。
【0038】
ステップ201で、MFP121のカードスロットにカードが装着されているか確認する。装着されていなければステップ202で、カメラフラグをOFFし終了する。ステップ201で、カードが装着されていれば、ステップ203で、カードフラグをONしステップ204で、現在記録動作(カメラプリントまたはPCプリントまたはコピー)が実行中か確認する。記録動作が実行中の場合は引き続き記録動作の状態を確認する。記録動作が実行中でない場合はステップ205で、カード(コンパクトフラッシュ(登録商標)メモリ、スマートメディア、メモリースティック、SDメモリ等)からデータの読み出しを行う。ステップ206で、読み出した圧縮された画像データをキャリッジ基板119内の制御部により画像処理を行う。ステップ207でカードプリントを実行し終了する。
【0039】
次に図7のフローチャートを参照して、本実施の形態に係るMFP装置121のコピー動作による処理の概要について説明する。
【0040】
ステップ301で、現在記録動作(カメラプリントまたはPCプリントまたはカードプリント)が実行中か確認する。記録動作が実行中の場合は引き続き記録動作の状態を確認する。記録動作が実行中でない場合はステップ302で、読取原稿を原稿台にセットする。ステップ303で、操作パネル105よりコピーキー押下する。ステップ304で、原稿のスキャン動作を開始し画像を読み取る。ステップ305で、読み出した圧縮された画像データをキャリッジ基板119内の制御部により画像処理を行う。ステップ306でコピー動作を実行し終了する。
【0041】
次に図8のフローチャートを参照して、本実施の形態に係るMFP装置121のPCプリントによる処理の概要について説明する。
【0042】
ステップ401で、現在記録動作(カメラプリントまたはカードプリントまたはコピー)が実行中か確認する。記録動作が実行中の場合は引き続き記録動作の状態を確認する。記録動作が実行中でない場合はステップ402で、画像処理は行わずPCプリントを実行し終了する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例のMFPのシステム構成図1
【図2】実施例のMFPの機能ブロック図1
【図3】実施例のMFPの機能モジュールごとにタスク化したマルチタスク形式で構成した構成図
【図4】従来の実施例のMFPのシステム構成図2
【図5】実施例のMFPの動作を示すフローチャート1
【図6】実施例のMFPの動作を示すフローチャート2
【図7】実施例のMFPの動作を示すフローチャート3
【図8】実施例のMFPの動作を示すフローチャート4
【符号の説明】
【0044】
101 カード
102 デジタルカメラ
103 読取部
104 PC
105 操作パネル
106 表示部
107 USB HUB
108 CPU1
109 ASIC1
110 モーター
111 ROM1
112 RAM1
113 制御基板
114 CPU2
115 ASIC2
116 ヘッド
117 ROM2
118 RAM2
119 キャリッジ基板
120 PSU
121 MFP
201 IF
202 イメージバッファ
203 JPEG解凍RGB
204 RGBバッファ
205 3D3
206 3D3,3D6テーブル
207 3D6
208 CMYK,LG,LMバッファ
209 X,Yスケーリング
210 1D出力
211 一次元テーブル(γテーブル)
212 誤差拡散
213 EDバッファ
214 ワークバッファ
215 ヘッド IF
301 LCDディスプレイ
302 キーイベント
303 ビューワータスク
304 システムコントロールタスク1
305 カード
306 デジカメ
307 読取部
308 PC
309 USB HUB
310 画像処理システムコントロール2
311 JPEG
312 画像処理
401 読取部
402 操作部
403 表示部
404 USB HUB
405 CPU3
406 ASIC3
407 ROM3
408 RAM3
409 モーター
410 ヘッド部
411 PSU
412 従来のMFP
413 制御基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録装置全体のシステムを制御するための中央演算処理部1と、記録装置の各種操作を行なう操作部からの信号の制御や表示部への表示データの出力を行う制御部1と、前記中央演算処理部1とは別に、記録装置の画像処理制御するための中央演算処理部2と、各種画像データのデコード処理及びプリント処理を実行するための画像処理制御部2と、記録装置外部の画像出力機器及び記録装置内部の画像出力信号のからの画像信号を前記制御部2で制御するための切り替えを行なう為の切り替え手段とを所持し、
前記記録装置外部の画像出力機器及び前記記録装置内部から生成される画像出力データは前記中央演算処理部2と前記制御部2で画像処理を行うことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記中央演算処理部1と前記制御部1は装置全体のシステム制御を行なうプリント基板1(PCB1)内に実装し、前記中央演算処理部2と前記制御部2は前記プリント基板1(PCB1)よりインターフェースケーブルを介して接続されるプリント基板2(PCB2)内に実装することで、前記中央演算処理部1と前記制御部1と前記中央演算処理部2と前記制御部2の物理的距離を離すことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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