説明

試薬投与ポンプ

【課題】液体を汲み上げるポンプを提供すること。
【解決手段】ポンプは、入口手段(66)と、出口手段(26)と、入口手段(66)から液体を受ける汲み上げチャンバ(154)と、第1の位置と第2の位置の間で動作可能であり、汲み上げチャンバ(154)から出口手段(26)内に液体を汲み上げるように配置された作動装置(70、104、126、128)とを備えており、入口手段(66)および汲み上げチャンバ(154)は、作動装置(70、104、126、128)が第1の位置にある場合に供給通路(112)と流体連通されており、供給通路(112)は作動装置(70、104、126、128)内にまたはその周りに延びており、それによって作動装置(70、104、126、128)から液体への熱の伝達が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、大気への有害な物質の放出を減らすために、試薬を含む排気ガスを投与するシステムで使用する装置に関する。より詳細には、本発明は試薬を分配するポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関からの排気ガスが、環境に有害であり公衆衛生に対する脅威をもたらす可能性がある物質を含んでいることはよく知られている。長年にわたって、有害な燃焼生成物の産出を少なくするように燃焼過程自体を変更することによっても、大気内への放出前に排気ガスを処理すること、例えば、触媒を与えて良性の化合物への有害成分の化学分解を誘導することによっても、排気ガス中に担持された有害物質の大気への放出を少なくするための、絶え間ない努力が自動車業界内で行なわれてきた。
【0003】
有害排気ガス成分の1つの分類としては、Noの一般化学式を有する窒素の酸化物が挙げられ、式中、xは普通は0.5から2.5の範囲である。窒素酸化物は、対流圏オゾン、窒化物粒子、および二酸化窒素の生成の要因となり、これらは全て呼吸困難を引き起こす可能性がある。さらに、窒素酸化物は酸性雨の生成につながる可能性があり、亜酸化窒素(NO)は特に、温室効果ガスであり、オゾン層の崩壊の要因となる。したがって、大気中への窒素酸化物の放出を減らすことが望ましく、さらに、新規の車両は許容レベルのNO放出での非常に厳しい制限に従わなくてはならない。
【0004】
特定の状況では、NO放出は、例えば白金、パラジウムおよびロジウムの固定化粉末を含む三元触媒中での従来の排気ガス触媒反応によって少なくすることができる。しかし、ディーゼルまたは希薄燃焼ガソリン燃焼機関では、高濃度の酸素が排気ガス中に存在し、この酸素により従来のシステム内での窒素酸化物の触媒反応分解が抑制される。したがって、NO放出を制限するための代替戦略に対する需要が生じた。
【0005】
選択接触還元すなわちSCRとして知られる1つの戦略は、還元剤、普通は尿素水溶液などの液体アンモニア源を含む試薬を排気ガス流内に案内することを含む。還元剤は、普通はセラミックハニカム構造上に固定された酸化チタン、酸化バナジウム、および酸化タングステンなどの触媒粉末の混合物を含む、SCR触媒として知られる排気ガス触媒の上流で排気ガス内に射出される。排気ガス中の窒素酸化物は、SCR触媒上でアンモニア源との触媒還元反応が行なわれて、気体窒素および水を形成する。このようなシステムの例は、国際特許出願第WO2004/111401A号に記載されている。
【0006】
水溶性尿素はSCRシステム用の便利かつ費用効率が高いアンモニア源であるが、使用することができる最大温度はいくらか限られている。尿素結晶は、溶液の温度が約70℃より高い場合に沈殿する傾向がある。送り出しシステム内、例えば普通は噴霧ノズル内に設けられた小径出口内で閉塞を生じる可能性があるので、沈殿物は望ましくない。加えて、沈殿物の生成により残りの溶液の濃度が変わり、それによって排気流に運ばれたアンモニアの効果的な量は不特定になる。これは、NO放出の際の不十分な触媒反応および不十分な還元につながる可能性がある。
【0007】
水溶性尿素がSCRにおいて試薬として効果的に使用される場合、試薬を含んだ排出ガスを投与するために設けられたシステムは、尿素溶液の温度は沈殿が起こる温度を超えないことを保証するように理想的に配置されるべきである。しかし、試薬は普通は、試薬が排気ガス流に入る、約400℃の温度である熱い排気ガスの流れ内に排出されなければならない。試薬はしたがって、固体沈殿物が生成し始める温度を超える温度にほぼ必然的に到達する。
【0008】
出願人の米国特許出願第US2004/0093856号では、電磁操作試薬投与ポンプが記載されている。このポンプは高い試薬圧力を生成することができるので、出口ノズルを通して沈殿物を噴出させることが可能である。このようにして、試薬の過熱により形成するあらゆる固体粒子は、投与システムから排気ガス流内に押し込むことができ、試薬の流れを遮るのが防がれる。さらに、高圧電磁ポンプの使用により、高周波で少量の試薬の運搬を可能にし、その結果、SCR触媒上まで流れる排気ガスおよび試薬の混合物は、より大量の試薬がより低い周波数で運ばれる他のシステムと比較してより均一な温度および組成を有する。これにより、触媒で起こる還元反応の効率が良くなる。というのは、温度およびガス組成は、反応に最適なレベルでより良く維持することができるからである。
【0009】
電磁ポンプの使用は試薬投与装置に対してかなりの利点を提供するが、1つの潜在的な欠点はソレノイドの感度から温度まで起こる。しばしば、機械的電力出力の電気電力入力に対する比として表現される、ソレノイドの効率は、ソレノイドの温度が上昇すると共に小さくなる。このような効率の減少は、一つには温度と共にコイルの抵抗が増加するためである。試薬投与システムで使用される場合、ソレノイドは、熱い排気システムに対するポンプの近傍により、またコイルの抵抗加熱により加熱する傾向がある。ソレノイドの近傍の温度はまた、比較的高く、これは、その周囲へのソレノイドからの熱の分散が制限されるということである。
【特許文献1】国際特許出願第WO2004/111401A号
【特許文献2】米国特許出願第US2004/0093856号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような背景に対して、上記問題を克服するまたは緩和する排気ガス投与システムで使用される試薬投与装置を提供することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によると、液体を汲み上げるポンプを備えた試薬投与装置が設けられ、ポンプは、入口手段と、出口手段と、入口手段から液体を受ける汲み上げチャンバと、第1の位置と第2の位置の間で動作可能であり、汲み上げチャンバから出口手段内に液体を汲み上げるように配置された作動装置とを備えている。入口手段および汲み上げチャンバは、作動装置が第1の位置にある場合に供給通路と流体連通されており、供給通路は作動装置内にまたはその周りに延びており、それによって作動装置から液体への熱の伝達が可能になる。
【0012】
熱がポンプを通して液体通路上で液体まで作動装置から伝達されるので、熱は作動装置から、それによって加熱した試薬が出口手段によりポンプから分配された場合にポンプから失われる。このようにして、液体はポンプの作動装置を冷却するように働き、それによって明らかな冷却が起こらないポンプと比較した場合、作動装置が優れた効率で作動することが可能になる。
【0013】
作動装置は、実質的に入口手段と出口手段の間に配置され、それによって液体は作動装置内にまたはその周りに都合良く通過できることが好ましい。
ポンプはさらに、閉位置と開位置の間で動作可能な送り出し弁であって、この送り出し弁が閉位置にある場合に、汲み上げチャンバから出口手段までの液体の流れを制限するように配置された送り出し弁を備えることができる。送り出し弁を提供することにより、汲み上げチャンバ内の液体の圧力は液体が出口手段内に通過する前に増加することが可能になり、それによって液体の高い圧力が出口手段内で得られる。送り出し弁が閉位置にある場合に、汲み上げチャンバから出口手段までの液体の流れが、実質的に停止するように、送り出し弁を配置することができる。別の方法では、送り出し弁が閉位置にある場合に、汲み上げチャンバから出口手段までの液体の流れが、送り出し弁が開位置にある場合に対して小さい比率で起こることができるように、送り出し弁を配置することができる。
【0014】
流体連通経路は、1つまたは複数の充填ポートによって汲み上げチャンバと供給通路の間に設けることができる。例えば、充填ポートを作動装置に設けることができる。1つの装置では、作動装置が第2の位置にある場合、流体連通経路は作動装置によって閉塞される。
【0015】
都合の良いことに、作動装置は、第1の位置と第2の位置の間の作動装置の切換に応じて移動するように配置されたプランジャを備えている。プランジャは、作動装置が第1の位置と第2の位置の間で切り換えられる場合、汲み上げチャンバの容量の変化を生じるように配置することができる。例えば、作動装置が第1の位置から第2の位置まで切り換えられると、プランジャは汲み上げチャンバの容量の減少、したがって汲み上げチャンバからの液体の汲み上げを生じるように、汲み上げチャンバ内の液体圧力の増加を生じさせることができる。
【0016】
作動装置はさらに、プランジャ上に担持された停止手段を備えることができる。プランジャに対する停止手段の位置は、作動装置が第1の位置と第2の位置の間で切り換えられる場合に起こる、汲み上げチャンバの容量の変化に影響を与えるように調節可能なように配置することができる。したがって、作動装置が第1の位置から第2の位置まで切り換えられた場合に汲み上げチャンバから汲み上げられた液体の量は、例えば、装置の製造中に調節することができる。
【0017】
同様に、ポンプはさらにリフト止め具を備えることができ、停止手段は作動装置が第1の位置にある場合にリフト止め具に当接するように配置することができる。作動装置に対するリフト止め具の位置は、作動装置が第1の位置と第2の位置の間で切り換えられる場合にプランジャが移動する距離に影響を与えるように調節可能に配置することができる。このようにして、例えば装置の製造中に、出口手段によって液体がポンプから出るときの圧力の変化に影響を与えるように、プランジャの加速度を制御することができる。
【0018】
作動装置は、ソレノイドコイルを有する電磁作動装置を備えており、供給通路はソレノイドコイル内にまたはその周りに延びていることが好ましい。このような1つの装置では、ソレノイドコイルは軸を画定して、供給通路内の液体の流れの方向は軸にほぼ平行である。ポンプはさらに、極要素と、ソレノイドコイルを担持する巻型とを備えることができ、巻型は極要素の少なくとも一部の周りに配置することができ、それによって供給通路は極要素の表面によって部分的に、また巻型の表面によって部分的に画定することができる。
【0019】
電磁作動装置が、停止手段を担持するプランジャと共に利用される場合、都合良く停止手段は電磁作動装置の電機子であってもよい。
作動装置は作動装置から液体まで熱を伝達することによって冷却されるので、使用中、本発明で展開される電磁作動装置は、作動装置から液体まで熱が明らかに伝達されなかった場合より低い温度で留まる。その結果、電磁作動装置の効率が最適化される。
【0020】
電磁作動装置は本出願での使用に特に適しているが、圧電または油圧作動装置などの代替作動装置を本発明で利用することができる。また、作動装置から液体までの熱の伝達によって行なわれる冷却は、作動装置の明らかな冷却が起こらないポンプと比較した場合に、作動装置の効率を良くするように働く。
【0021】
本発明はまた、第2の態様では、液体をガス流に分配するポンプを冷却する方法が考えられ、このポンプは、入口手段と、汲み上げチャンバと、作動装置とを備えており、この方法は入口手段まで液体を供給するステップと、液体を作動装置内にまたはその周りに通過させることによって液体を汲み上げチャンバに運ぶステップと、熱を作動装置から離れるように運ぶように、汲み上げチャンバから出口手段まで液体を汲み上げるステップとを含んでいる。
【0022】
本発明のポンプは、液体が選択接触還元(SCR)用の試薬である応用例に適していることが理想的である。本発明はしたがって、上記ポンプのいずれかによるポンプを備えた投与装置にまで及ぶ。投与装置は例えば、さらに、液体をガス流内に分配する分配手段を備えることができる。ポンプの出口手段と分配手段の間に流体連通経路を提供する連結手段は、投与装置内に設けることもできる。分配手段は、ノズル、およびディスペンサを通る液体の流れを制御するノズル弁を有するディスペンサを備えることができる。さらに、本発明はまた、前に記載したような投与装置を備えた排気システムにまで及ぶ。
【0023】
選択接触還元用の液体は、尿素の水溶液であってもよい。尿素溶液の使用の温度の下限は比較的緩やかである。例えば、普通の濃度(32%)では、尿素溶液は−11.5℃で凍結し、この温度は多くの国で普通に予測することができる最小大気温度より十分高い。もちろん、溶液は凍結している場合は汲み上げたり噴霧したりすることができない。
【0024】
作動装置は、使用中に、作動装置の温度が作動装置の付勢の際に高くなって、供給通路を加熱するように配置することができる。このようにして、液体がポンプ内で凍結する場合、熱が供給通路内の凍結された液体に供給されて凍結された液体が溶解し、それによってポンプを作動させることが可能になる。この目的のため、本発明の第3の態様によると、前に説明したようなポンプ内の凍結された液体を溶解する方法が提供され、この方法は、作動装置の加熱および凍結された液体の溶解を引き起こすように、作動装置を付勢するステップを含んでいる。
【0025】
液体の凍結はしばしば、容量の増加を生じる。例えば、普通の尿素溶液の量が凍結の際に約10%だけ増加する。ポンプ内のかなりの応力の発達を防ぐように、液体が凍結する場合、供給通路は少なくとも1つの寸法に比較的狭い断面を有することができる。例えば、供給通路は、かなりの径方向応力の発達を防ぐように薄い径方向寸法を備えた環状チャンバであってもよい。
【0026】
本発明の第4の態様によると、液体を内燃機関の排気ガス流に分配するのに適したポンプが提供され、このポンプは、入口手段と、出口手段と、作動装置とを備えており、入口手段、出口手段および作動装置は実質的に共通の軸に沿って配置されており、それによって、使用中、液体は実質的に共通の軸と平行な方向にポンプおよび作動装置を通過する。
【0027】
液体が、大きく直線で曲がっていない経路に沿って通過するので、本発明の第4の態様によるポンプは有利である。例えば、これによって液体の流路内の隅部またはねじれ部での乱流による妨害がほとんどまたは全くなく、液体がポンプを通過することが可能になる。エネルギーはこのような妨害を克服する際に消費する必要がなく、それによって、この点におけるポンプの効率は最大化される。さらに、ポンプは小型設計のものであり、液体源からノズルなどのディスペンサまでの液体の流路内に直接取り付けるのに適している。ポンプはまた、製造するのにも都合が良い。例えば、ポンプの構成部品の多くは断面が円形である可能性があり、最終構成部品を作り出すのに追加の一致がほとんど必要なく、旋盤上での機械加工によって製造することができる。このような製造過程により、簡単に自動化できる低コストの製造ルートが提供される。
【0028】
次に、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して、単に例として説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
本明細書では、「下流」および「上流」という用語は、通常使用中に試薬をガス流に分配する間の装置を通る試薬流の方向のことを言う。例えば、「下流」は、図2では左側であり、図3では右側である。
【0030】
図1を参照すると、投与装置は、ポンプ20と、連結パイプ22と、ディスペンサ24とを備えている。連結パイプ22は普通半円形であり、ポンプコネクタ26によりポンプ20に第1の端部が連結されている。ディスペンサ24は、連結パイプ22の第2の端部に配置されている。使用の際、装置は内燃機関(図示せず)の排気パイプ28に取り付けられている。ディスペンサ24は、排気パイプ28内の排気ガスの流れ内に配置され、ポンプ20は排気パイプ28の外側に配置されている。
【0031】
取付ブラケット30は、ポンプ20を排気パイプ28に取り付けるために設けられている。取付ブラケット30は、第1の部分32(図1では水平)、および第1の部分32と垂直な第2の部分34(図1では垂直)を有するL字形プレートを備えている。取付ブラケット30の第1の部分32は、例えば、溶接継手によって排気パイプ28に取り付けられている。取付ブラケット30の第2の部分34は開口部36、および例えば星形座金の形の、開口部の周りに配置されたばねクリップ38を備えている。ポンプ20は、開口部36内に格納され、ばねクリップ38によって取付ブラケット30内に維持される。
【0032】
連結パイプ22は、試薬が通過することができる孔42を有する管40を備えている。管40は、高圧で試薬を格納することが可能である。管40は、管40とジャケット44の間に区画46を画定する、連結パイプ22用ジャケット44内に受けられる。ジャケット44は、出口手段またはポンプコネクタ26の第1のシール48、およびディスペンサ24の第2のシール50で管40に密封されており、それによって区画46は密封量を画定する。区画46は、試薬の過熱を防ぐように、使用中に管40の孔42内の試薬への排気パイプ28内の熱い排気ガスからの熱の伝達を制限するように排出される。
【0033】
連結パイプ22は、排気パイプ28の壁面のポート52を通して通過する。ポート52は円筒形であり、排気パイプ28の外表面上に周辺カラー54を有する。カラー54は、平らな取付面56を画定するような形状をしている。環状フランジ58は、連結パイプ22のジャケット44上に担持される。フランジ58は、締付リング60によって取付面56に向かって押され、密封座金62は気密シールを形成するように、フランジ58と取付面56の間で締め付けられている。ねじ付きスタッド(図示せず)はカラー54上に担持され、密封座金62、フランジ58、および締付リング60の相補的孔(図示せず)を通過する。締付リング60は、スタッド上にねじ付けられた内部ねじ付きナット64により、排気パイプ28上に保持されている。
【0034】
図2を参照すると、ポンプ20は入口コネクタ66である入口手段と、ケーシング68と、極要素70とを備えている。ケーシング68は、第1の円筒形部72および第2の円筒形部74を備えており、第1の部分72はケーシング68のショルダ76を画定するように第2の部分74より小さな直径を有する。入口コネクタ66はほぼ管状になっており、下流側部78および上流側部80を備えている。下流側部78は、上流側部80より大きな直径を有し、外部ねじ山(図示せず)を担持する。ケーシング68の第1の部分72は、入口コネクタ66の外部ねじ山と噛み合うように、相補的な内部ねじ山(図示せず)を担持する。
【0035】
入口コネクタ66の上流側部80は、入口通路82を画定する孔を備えている。入口コネクタ66の下流側部78は、フィルタチャンバ84を画定するように、入口通路82より大きな直径を有する孔を備えている。フィルタチャンバ84は、はめ輪形に形成された細かく織った金属またはプラスチック網目を備えた、試薬フィルタ86を格納する。試薬フィルタ86の周面縁部88は、環状リングまたは座金を備えたリフト止め具90に取り付けられている。リフト止め具90は、入口コネクタ66の下流端部に取り付けられ、入口コネクタ66の下流側部78内に部分的に、またケーシング68の第1の部分72内に部分的に格納されている。
【0036】
極要素70は、ほぼ円筒形の内側極片92と、外側を向いたフランジ94と、フランジ94の下流側に配置された中心管状ランドまたは突起96とを備えている。フランジ94の下流側最外縁部98は面取りされている。
【0037】
ケーシング68の第2の部分74は、ケーシング68の下流端部の領域を除いてほぼ均一な壁面厚さをしており、ここでケーシング68の壁面厚さは内部ショルダ102によって結合された環状内部溝100を画定するように小さくなる。極要素70のフランジ94は、ケーシング68の溝100内に格納される。溝100に隣接したケーシング68の下流端部は、例えば、製造中の圧接または押圧によってフランジ94の面取りされた端部98の上で屈曲して、ケーシング68のショルダ102に対してフランジ94を保持する。
【0038】
ケーシング68の第2の部分74は、巻型106の上に巻回されたソレノイドコイル104を格納する。巻型106は、ほぼU字形の径方向断面を有するリングである。U字の第1のアームは、巻型106の第1の面108を画定し、U字の第2のアームは巻型106の第2の面110を画定する。コイル104は、巻型106の第1および第2の面108と110の間に配置されている。巻型106は、極要素70の内側極片92の周りに配置されており、環状チャンバ112を備えた供給通路は巻型106と内側極片92の間に画定されている。
【0039】
巻型106の第1の面108は環状溝114を担持し、その中に第1のOリング116が設けられている。第1のOリング116は、ケーシング68のショルダ76と巻型106の第1の面108の間にシールを作り出すように配置されている。巻型106の第2の面110はまた、巻型106の内側に隣接して環状溝118を担持し、その中に第2のOリング120が設けられている。第2のOリング120は、極要素70のフランジ94と巻型106の第2の面110の間にシールを作り出すように配置されている。第1および第2のOリング116、120は耐熱ゴムでできており、ポンプ20の組立て中に弾性変形するように配置されている。
【0040】
コイル104は、供給ケーブル122により電源(図示せず)と電気連通している。電源は、コイル104の回りに可変磁界を誘導するように、可変電流をコイル104に供給することが可能である。ポンプ20内の構成部品の配置は最初、電流がコイル104に供給されない状況で説明されており、それによってコイル104の周りに磁界は存在しない。
【0041】
極要素70は軸孔124を備えている。プランジャ126は、孔124内に摺動可能に格納される。ディスク形電機子128は、プランジャ126の上流端部130近くへのプランジャ126に締まり嵌めによって取り付けられている。電機子128は、ケーシング68の第1の部分72内のすきま嵌めである。送り出し弁132はプランジャ126の下流側に設けられている。極要素70の孔124は、プランジャの下流側の大きな直径部を備えている。大きな直径部は、送り出し弁チャンバ134、および送り出し弁132のショルダまたは着座表面136を画定する。ディスクを備えた送り出し弁要素138は、送り出し弁チャンバ134内に設けられている。小さな直径を有するオリフィス140は、送り出し弁要素138の厚さを通して設けられている。
【0042】
ポンプコネクタ26は、ポンプコネクタ26から離れた管40より大きな壁面厚さを有する、連結パイプ22の管40の端部領域142によって画定される。管40の端部領域142は、第1のシール48の連結パイプ22のジャケット44に合うように大きな外径を有する。ジャケット44から出ている端部領域142の部分は、極要素70の管状突起96内に格納されている。ポンプコネクタ26の孔は、送り出し弁チャンバ134に隣接した端部領域142の部分で大きな直径をしており、管40のショルダ144および送り出しばねチャンバ146を画定する。
【0043】
圧縮ばねを備えた送り出し弁ばね148は、送り出しばねチャンバ146内に格納されている。ばね148は、送り出し弁要素138を極要素70の着座表面136に対して偏倚させて送り出し弁132を閉じるように、管40のショルダ144および送り出し弁要素138に作用する。連結パイプ22の管40の孔42は、ポンプコネクタ26の端部に形成された径方向経路150により、送り出し弁チャンバ134と連通している。
【0044】
極要素70の孔124、送り出し弁要素138、およびプランジャ126の下流端部152は共に、プランジャ126の下流側で汲み上げチャンバ154を画定する。汲み上げチャンバ154は、極要素70の内側極片92内に設けられた径方向通路を備えた充填ポート156により、環状チャンバ112と連通している。
【0045】
極要素70の孔124は、孔内のショルダ158および戻しばねチャンバ160を画定するように、電機子128に隣接した領域内で拡大される。圧縮ばねを備えた戻しばね162は、戻しばねチャンバ160内に配置されている。戻しばね162は、電機子128をリフト止め具90に対して偏倚するように孔124のショルダ158、および電機子128に作用し、それによって電機子128はプランジャ用停止手段として働く。
【0046】
図3を参照すると、ディスペンサ24は、円錐台に形成された連結パイプ22の管40の領域によって画定されたノズル163を備えている。ノズル163の縁部164は、第2のシール50を形成するように、連結パイプ22のジャケット44に合う。ノズル163は、ディスペンサ24から離れた管40の孔42の直径より小さい直径を有するノズル孔166を備えている。
【0047】
ディスペンサ24はさらに、ノズル孔166内に格納されたノズル弁要素170を有するノズル弁168を備えている。ノズル弁要素170は、ピストン172と、ピストン172の上流側のシャフト174を備えている。ピストン172は全体的にノズル孔166内の近いすきま嵌めであり、それによってノズル弁要素170はノズル孔166内で摺動することができる。環状溝176は、ピストン172とノズル孔166の間にノズルチャンバ180を画定するように、ノズル163の先端178に隣接してピストン172の下流側部に設けられている。ノズル163の先端178に隣接したピストン172の端部は、ノズル孔166より大きな直径を有するピストン172の弁表面182を画定するように、外側にフレア状になっている。ノズル163の先端178に隣接したノズル孔166は、ピストン172の弁表面182の形状と相補的にノズル163の密封表面184を画定するようにフレア状になっている。
【0048】
ノズル163の先端178から離れたピストン172の端部は、ノズル弁要素170のシャフト174に取り付けられている。ブッシュ186はノズル孔166内に設けられており、シャフト174は間隙187を画定するためのブッシュ186内のすきま嵌めである。シャフト174は連結パイプ22の管40内に延びている。保持カラー188は、ピストン172から離れてシャフト174の端部の近くのシャフト174上に担持され固定されている。圧縮ばねを備えたノズルばね190は、保持カラー188とブッシュ186の間に配置されており、ノズル弁168を閉じるように、ノズル163の密封表面184に対してピストン172の弁表面182を偏倚させる。
【0049】
螺旋状溝192は、ピストン172とノズル孔166の間に螺旋状経路を画定するように、ピストン172の上流側部に設けられている。ノズルチャンバ180はしたがって、シャフト174とブッシュ186の間の螺旋状経路および間隙187により、管40の孔42と連通している。
【0050】
使用の際、ポンプ20は入口コネクタ66の入口通路82により試薬供給部(図示せず)に連結されており、ポンプ20、連結パイプ22、およびディスペンサ24内の内部空間または通路は試薬で充填されている。図2に示すように、試薬は試薬流からの沈殿物などの固体粒子を濾過するように働く試薬フィルタ86を通して入口通路82から流れることができる。リフト止め具90は径方向通路194を組み込んで、電機子128がリフト止め具90に対して偏倚された場合に、試薬がリフト止め具90と電機子128の間を通過することが可能になる。試薬は、電機子128とケーシング68の間に画定された間隙、内側極片92と巻型106の間に画定された環状チャンバ112、および充填ポート156によって、汲み上げチャンバ154内に流れることができる。
【0051】
試薬を分配するためには、コイル104を付勢し、コイル104の周りに磁界を誘導するように、電流がコイル104を通して通過される。これにより、図4および5を参照して次に説明するように、試薬はポンプ20から連結パイプ22の孔42内に分配され、ディスペンサ24から排出される。
【0052】
図4に示すように、電流がコイル104から流れる場合、内側極片92、電機子128、およびケーシング68を囲む電磁回路が生じ、外側極片として働く。電磁回路内の構成部品は、電磁構造または作動装置を画定し、電機子128が戻しばね162の偏倚力に対向する磁力を受けるように配置される。磁力が戻しばね162の偏倚力を超えるのに十分強い場合、電機子128は内側極片92に向かって移動する。
【0053】
電機子128の移動は、プランジャ126を極要素70の孔124内で下流側方向に移動させることによって、プランジャ126の汲み上げストロークを駆動する。プランジャ126は充填ポート156を閉じるように充填ポート156を通して移動し、汲み上げチャンバ154内への試薬のさらなる通過を実質的に防ぐ。汲み上げチャンバ154の量は、プランジャ126の移動により減らされ、それによってポンプチャンバ154内の試薬の圧力が大きくなる。試薬は、送り出し弁ばね148によって送り出し弁要素156上に加えられた偏倚力と反対の方向に送り出し弁要素156に力を加える。
【0054】
ポンプチャンバ154内の試薬の圧力が閾値を超えると、試薬による送り出し弁要素156に作用する力は送り出し弁ばね148の偏倚力を超えるのに十分なだけとなり、送り出し弁要素156は送り出し弁132を開くように、極要素70の着座表面136から離れるように移動する。汲み上げチャンバ154内の試薬はその後、ポンプコネクタ26の径方向経路150により、送り出し弁要素156周りで、連結パイプ22の孔42内に流入することができる。連結パイプ22の孔42内の試薬の圧力はしたがって、増加する。
【0055】
図5を参照すると、連結パイプ22の孔42内の試薬の圧力の増加がディスペンサ24のノズルチャンバ180内で起こる。ノズルチャンバ180内の試薬の圧力は、ピストン172の弁表面182に作用して、ノズルばね190の偏倚力に対向するノズル弁要素170に力を加える。試薬の圧力が閾値を超えると、試薬圧力によるノズル弁要素172に作用する力はノズルばね190の偏倚力を超えるのに十分となり、ノズル弁要素170は、ピストン172の弁表面182とノズル163の着座表面184の間に間隙196を作り出すように下流方向に開位置に移動し、それによってノズル弁168は排気ガス流内へ試薬を分配するように開くようになる。
【0056】
ノズル弁168が開くと、試薬は間隙196によりディスペンサ24から排出される。間隙196の寸法、および着座表面184および弁表面182の形状は、試薬の排出の際に、試薬が細かく噴霧されて、排気パイプ28内の排気ガス中への試薬の分配および混合を助けるようにすることができる。
【0057】
次に説明するように、ポンプ20のプランジャ126がその汲み上げストロークの終わりに到達すると、投与装置内で圧力変化が起こり、それによってディスペンサ24を通した試薬の排出が停止する。電機子128が内側極要素92と合うと、プランジャ126はその汲み上げストロークの終わりに到達する。送り出し弁要素156は極要素70の着座表面136から離れているので、汲み上げチャンバ154内の圧力は試薬が汲み上げチャンバ154から流出すると減衰する。汲み上げチャンバ154内の試薬により送り出し弁要素156に作用する力は、したがって減衰する。試薬によって加えられる力が、送り出し弁ばね148によって送り出し弁要素156に加えられた対向する力以下になると、送り出し弁要素156は極要素70の着座表面136に対して閉じて、送り出し弁132を閉じる。
【0058】
連結パイプ22の孔42内の試薬の圧力はまた、試薬がディスペンサ24を通して排気パイプ28内に流れると減衰する。したがって、ノズルチャンバ180内の試薬の圧力も減衰し、間隙196を維持するようにピストン172の弁表面182に働く力が小さくなる。試薬によるピストン172の弁表面182に働く力が、ノズルばね190によるノズル弁要素170に働く復元力以下になると、ノズル163の着座表面182に対してピストン172の弁表面182を着座させてノズル弁168を閉じるように、ノズル弁要素170が閉じる。したがって、ディスペンサ24からの試薬排出が停止する。
【0059】
ノズル弁168が開く際、試薬はピストン172の螺旋状溝192によって画定された螺旋状通路を通して流れる。螺旋状通路は、試薬を、試薬の噴霧を向上させる旋回動作でディスペンサ24から離す。加えて、試薬が螺旋状通路から流れると試薬はピストン172にトルクを加え、それによってピストン172はディスペンサ24内で回転する。ノズル弁168が閉じると、したがって、弁表面182は異なる角度方向でノズル163の着座表面184に提示される。このような配置により、弁表面182および着座表面184の不均一な磨耗が防止され、ノズル弁168を閉じた場合に、ディスペンサ24からの試薬の望ましくない漏洩につながる可能性がある。加えて、ピストン172の回転は、例えば固定粒子をノズル孔166から取り除くことによって、ディスペンサ24からの固体堆積物の除去を促進して、ディスペンサ24が固体堆積物によって閉塞される可能性を最小限に抑える。
【0060】
コイル104を通した電流が切られると、コイル104の周りの磁界がなくなる。電機子128によりプランジャ126に作用する磁力はなくなり、戻しばね162の偏倚力を超えなくなることができる。電機子128上の戻しばね162の作用により、プランジャ126の戻しストロークが駆動され、そこでプランジャ126は電機子128がリフト止め具90に対して静止する初期位置まで戻る。汲み上げチャンバ154の量は増加し、充填ポート156と汲み上げチャンバ154の間の連通が復元される。試薬は、次の汲み上げストロークに備えて、汲み上げチャンバ154内の試薬を補充するように、充填ポート156を通して汲み上げチャンバ154内に流れることができる。
【0061】
送り出し弁要素156内のオリフィス140は、汲み上げチャンバ154と送り出しばねチャンバ146の間に送り出し弁132を通る連通手段を提供する。オリフィス140は、送り出し弁要素138が極要素70の着座表面136上に着座している場合でさえも、送り出し弁要素138を通して試薬を流すことができるように開いている。送り出し弁要素156が着座表面136上でちょうど閉じた場合に、試薬は連結パイプ22の孔42から汲み上げチャンバ154に流入することができ、それによって連結パイプ22の孔42内の試薬の圧力は急速に減衰する。これにより、ノズル弁168はオリフィス140がない場合よりもより急速に閉じる。さらに、試薬の運搬が必要ない場合、例えばエンジンがオフになっている場合、連結パイプ22の孔42内に存在する可能性があるあらゆる残留圧力が、オリフィス140を通る試薬の流れによって減衰する。これにより、試薬はディスペンサ24を通して排気パイプ28内に望ましくなく浸透しないことが保証される。
【0062】
ディスペンサ24、または連結パイプ22の孔42内の試薬は、例えば、エンジンが切られた場合に、ディスペンサ24での温度の上昇により沸騰することがあり、ディスペンサ24を冷却する傾向があるディスペンサ24を通る試薬の流れが停止する。排気システム内の余熱は、ディスペンサ24および連結パイプ22の温度を上昇させる傾向がある。沸騰が起こった場合、オリフィス140は試薬を連結パイプ22の孔42からポンプ20内に戻すように流して、ディスペンサ24または連結パイプ22内の圧力の増加を防ぐことが可能である。
【0063】
実際、ポンプ20内の構成部品は、コイル104の抵抗加熱、および電機子128、ケーシング68、および極要素70内の渦電流による磁気加熱により加熱する傾向がある。内側極片92と巻型106の間の環状チャンバ112を通して流れる試薬は、コイル104およびポンプ20内の他の構成部品を冷却するように働く。というのは、熱は試薬内に伝達され、ポンプ20から運ばれるからである。内側極片92および巻型106に曝された環状チャンバ112の表面積は、ポンプ20の構成部品から試薬への熱伝達を最大限にするように、都合良く可能な限り大きい。
【0064】
ポンプ20の構成部品から試薬に伝達される熱は加えて、試薬が冷たい環境状態で凍結するのを防ぐように働くことができる。この目的のため、コイル104に加えられた電流は、試薬の凍結を防ぐために十分な熱が試薬に伝達されるのを保証するように制御することができる。例えば、コイル104へ電流を加えることは、プランジャ126がその汲み上げストロークの終わりに到達した後に、短期間保持することができ、それによってポンプ20内の熱生成が長い時間続き、試薬の加熱が長くなる。通常の状態では、試薬が凍結する可能性が低いような大気温度である場合、コイル104への電流は、プランジャ126の汲み上げストロークの終わりに、またはその直前に切られる。
【0065】
ポンプ20が動作していない場合、例えばエンジンが切られた場合、ポンプ20内の残留試薬の温度は低くなり、次第に大気温度に到達する。試薬がポンプ20内で凍結する場合、コイル104の抵抗加熱を生じさせるように、直流を電源によりコイル104に加えることができる。コイル104からの熱は、巻型106を通した導電により凍結した試薬内に、ポンプ20の他の構成部品を通して分散され、それによって試薬が溶解する。別の方法では、大きな急速なパルス電流を電源によってコイル104に加えることができる。パルスの周波数は十分高く、各パルスの長さはかなり短く、それによって電機子128上の得られる磁力はプランジャ126を移動させるのには不十分である。しかし、かなりの渦電流がポンプ20の電磁回路内の構成部品に誘導され、これらの渦電流は構成部品の温度を上昇させ、したがって凍結した試薬の急速な溶解を促進する。いずれの場合でも、ディスペンサ24および連結パイプ22の孔42内のあらゆる凍結した試薬が、排気パイプ28からの熱により、またはポンプ20から出て、連結パイプ22を通して伝導される熱により溶解される。
【0066】
内側極片92と巻型106の間の環状チャンバ112は径方向に小さく、それによって試薬がチャンバ112内で凍結する場合に起こる量の変化は大きな径方向応力を生じない。このようにして、ポンプ20、より詳細にはコイル104の構成部品への損傷が防がれる。
【0067】
電機子128の移動は、電機子128を囲む液体によって減衰される。例えば、電機子128が内側極片92に近づいた場合、液体は電機子128と内側極片92の間の空間から変位させるまたは絞り出さなくてはならない。変位に対する液体の耐性は、内側極片92と接触する前に電機子128を減速させるように働き、それによって機械的雑音が最小限に抑えられ、電機子128および内側極片92上の磨耗が少なくなる。電機子128の減速はまた、コイル104の付勢を取り除いた後に、電機子128がリフト止め具90に近づく場合に起こる。
【0068】
プランジャ126の各汲み上げストロークによって運ばれる液体の量は、例えば、ポンプ20が各ストロークで正確に知られている量の試薬を分配することを保証し、製造許容範囲を補償するように、ポンプ20の製造中に調節することができる。普通、プランジャ126の各汲み上げストロークによって運ばれる液体の量は1から6mmの間であり、所与のポンプでは、運ばれる量は約1mmまで調節可能である。しかし、より大きなまたは小さな運搬量、または調節範囲を提供することもできる。
【0069】
各汲み上げストロークで運ばれる液体の量を調節する1つの方法では、プランジャ126上の電機子128の位置は、内側極片92の孔124内で摺動するのに利用可能なプランジャ126の長さを調節するように変えられる。
【0070】
充填ポート156の位置は内側極片92に対して固定されるので、プランジャ126の汲み上げストローク中の汲み上げチャンバ154の量の効果的な変化は、電機子128が内側極片92に対して静止している場合に、その汲み上げストロークの限度でプランジャ126の位置によって決まる。汲み上げチャンバ154の量の変化は、その戻りストロークの終わりのプランジャ126の位置にあまり影響されない。充填ポート156が開いている場合に、プランジャ126の移動を補償するように液体が汲み上げチャンバ154から離れるように流れることができるので、このことが起こる。充填ポート156が汲み上げチャンバ154を隔離するように閉じる場合にのみ、プランジャ126は汲み上げチャンバ154内の圧力をかなり大きくするように働く。このようにして、電機子128に対して下流方向にプランジャ126を移動させることにより、各汲み上げストロークで運ばれる液体の量が増加する。
【0071】
電機子128がプランジャ126上の締まり嵌めであるので、プランジャ126はプランジャ126の上流端部130への押圧によって、電機子128を通して摺動するように押し込むことができる。製造中、入口コネクタ66、リフト止め具90、およびフィルタ80がポンプ20に嵌合していない場合に、プランジャ126の上流端部130はアクセス可能である。都合の良いことに、入口コネクタ66とほぼ同様の本体、および調節固定具の孔内に格納された押し棒を備えた調節固定具(図示せず)は、入口コネクタ66の変わりにポンプ20のケーシング68内にねじ込まれる。押し棒は、電機子128に対してプランジャ126の位置を調節するように、押し棒に力を加える際にプランジャ126の上流端部130に対して押すように配置されている。調節固定具は、調節中にポンプ20を検査するように、ポンプ20に液体を供給する入口通路を備えている。
【0072】
必要な調節量は、ある量の試薬を分配するようにポンプ20のコイル104を付勢することによって決まり、試薬の量を測定し、所望の量からの分配量の偏差を判断する。必要に応じて、ねじ付き止まり穴(図示せず)は、押し棒のねじ付き端部と噛み合うようにプランジャ126の上流端部130内に設けることができ、プランジャ126を電機子128に対していずれかの方向に調節することが可能になる。
【0073】
その戻りストロークの終わりのプランジャ126の位置は、汲み上げストローク毎に運ばれる試薬の量にあまり影響を与えないが、この位置は充填ポート156が閉じる前に、汲み上げストロークのどの部分が起こるかを決める。電機子128およびプランジャ126は汲み上げストロークの少なくとも第1の部分の間に加速するので、充填ポート156が閉じる前に起こるプランジャ移動は、充填ポート156が閉じるときのプランジャ126の加速度、したがって圧力が汲み上げチャンバ154内で上昇する速度に影響を与える。汲み上げチャンバ154内の圧力上昇の挙動は、ポンプ20の投与特徴、例えば出力流速に影響を与える。
【0074】
したがって、その戻りストロークの終わりにプランジャ126によって採用される位置は、最適な圧力上昇が汲み上げチャンバ154内で起こることを保証するように、ポンプ20の製造中に測定および調節することができると考えられる。
【0075】
その戻りストロークの終わりにプランジャ126によって採用される位置を調節する1つの方法では、入口コネクタ66はケーシング68内に、またはそこからねじ込まれて、ケーシング68に対するリフト止め具90の位置を調節する。リフト止め具90の位置により、戻りストロークの終わりでの電機子128の位置、したがってプランジャ126の位置が決まる。
【0076】
リフト止め具90、したがって入口コネクタ66の最適位置は、ポンプ20のコイル104を付勢し、時間の関数としてポンプ20から出力される液体の圧力を測定することによって決まる。測定した圧力/時間特徴は、所望の圧力/時間特徴を含む基準関数と比較され、入口コネクタ66の位置は測定した特徴と所望の特徴の間のあらゆる偏差を補償するように調節される。
【0077】
コイル104の電気インダクタンスは、電機子128の位置の繊細な関数である。リフト止め具90の最適な位置を測定する第2の方法では、目標インダクタンス値が計算される、あるいは測定される。目標インダクタンス値は、電機子128がリフト止め具90に当接するときに、電機子128がケーシング68に対して最適に位置決めされる場合に生じるインダクタンスに対応している。コイル104の電気インダクタンスが測定され、測定したインダクタンスが目標値と一致するように入口コネクタ66の位置が調節される。
【0078】
入口コネクタ66が適切な位置にあると、例えば、入口コネクタ66およびケーシング68のねじ山の間の摩擦によって、または入口コネクタ66のねじ山をケーシング68のねじ山に糊付け、ろう付け、または溶接することによって定位置に固定することができる。別の方法では、または加えて、係止ナットを使用して入口コネクタ66を定位置に係止することができる。
【0079】
使用の際、投与装置のディスペンサ24はSCR触媒の上流の排気ガス流内に配置され、それによって装置によって分配される試薬は排気ガス流内でSCR触媒まで運ばれ、ここで試薬は排気ガス流内のNOを化学的に還元するように反応が行なわれる。NO還元反応の効率は、試薬が投与装置から分配される速度、および試薬が分配される方法によって影響を受ける可能性がある。これらの特徴を制御するため、コイル104の付勢は次に説明するように調整される。
【0080】
コイル104に加えられる電流は、電源によりエンジン制御装置(図示せず)によって制御される。エンジン制御装置は、プランジャ126のストローク毎に分配される試薬の量、および試薬の濃度などのパラメータを記憶し、エンジン速度、大気温度、SCR触媒温度、試薬温度、排気酸素含有量などの別のパラメータに対応する信号を監視する。エンジン制御装置は、これらのパラメータに基づき、排気ガス中のNOの還元の効率を最大限にする方法で試薬を分配するのにどのように電流をコイル104に加えるべきかを判断する。普通、ポンプ20の出力を最適化して所与の時間でエンジンの動作状態を適合させるように可変である各パルスの持続時間、大きさおよびプロファイルで、電流がコイル104に供給される。
【0081】
試薬温度は重要なパラメータである。というのは、試薬の濃度、したがってその容積濃度は温度と共に変化するからである。例えば、試薬が暖かい場合、試薬の濃度、したがってその容積濃度は減少する。一定速度の試薬の追加が必要な場合、電流パルスの周波数は濃度の減少を補償するように大きくすることができる。
【0082】
試薬温度を測定するためには、エンジン制御装置が配置されて、ポンプ20のコイル104の抵抗を測定する。コイル104は試薬によって冷却されるので、コイル104の温度は試薬の温度に密接に関連している。例えば、試薬が冷たい場合、コイル104から試薬までの熱伝達速度は高く、コイル104は試薬が暖かい場合よりより広範囲にわたって冷却される。コイル104の抵抗はその温度の関数であり、それによって試薬温度は抵抗測定から計算することができる。
【0083】
本発明の第2の実施形態を次に、図6を参照して説明する。第2の実施形態は、第1の実施形態と形態および動作が同様であり、同様の機構は同様の参照番号を共有する。第2の実施形態と第1の実施形態の相違点のみを説明する。
【0084】
第2の実施形態の試薬投与装置は、ポンプ20aと、連結パイプ22aと、ディスペンサ24aとを備えている。連結パイプ22aは直線管40aを備えており、それによってディスペンサ24aはポンプ20aと同軸である。ディスペンサ24aのノズルは、外側を向いたノズルフランジ163aに形成された管40aの領域と、ノズル弁168を格納するノズル孔166とを備えている。
【0085】
極要素70aは、内側極片92aと、外側極片198と、管状突起96aと、フランジ94aとを備えている。外側極片198は、ショルダ202を画定するように端部領域200から離れた壁面厚さより小さい壁面厚さを有する上流端部領域200を備えている。ケーシング68aは、第1の実施形態のケーシングの上流側部と同様の上流側部72aと、面取りした縁部204を有する外側を向いたフランジ76aとを備えている。ケーシング68aのフランジ76aは、外側極片198のショルダ202に当接する。外側極片198の端部領域200は、例えば、製造中の圧接または押圧によってフランジ76aの面取りした縁部204の上で屈曲して、ケーシング68aを外側極片198のショルダ202に対して保持する。
【0086】
ジャケット44aは、連結パイプ22aの管40aを囲み、ディスペンサ24aおよびポンプ20aを部分的に囲む。ジャケット44aは、ポンプ20aの極要素70aの上流端部に近接した第1のシール48aでポンプの極要素70aに対して固定および密封され、ノズルフランジ163aの縁部の第2のシール50aでディスペンサ24aに対して固定および密封されている。
【0087】
使用の際、装置は角度付けされたポート206を有する排気パイプ28aの壁面内に取り付けられている。ポート206は、排気パイプ28aの内部の第1の部分208と、排気パイプ28aの外部の第2の部分210とを備えている。第1および第2の部分208、210は管状および同軸であり、ポート206の孔212内に装置の連結パイプ22aおよびディスペンサ24aを格納するように配置されている。ポート206の軸は、排気パイプ28aの軸に対して鋭角にある。
【0088】
したがって、囲まれた区画46aはポンプ20a、管40a、ノズルフランジ163a、およびジャケット44aの間に画定される。使用中に、ポンプ20a、連結パイプ22aの孔42a、およびディスペンサ24a内に存在する試薬への排気パイプ28aおよびポート206からの熱伝達を最小限に抑えるように、区画46aは排気される。
【0089】
ポート206はさらに、ポート206の第2の部分210から径方向に突出する管状経路を有する空気入口214を備えている。空気入口214の孔216は、ポート206の孔212と連通している。ジャケット44aは、ポート206の空気入口214の下流側の係合領域218を除いて、ポート206内のすきま嵌めである。係合領域218では、ジャケット44aの直径はポート206内に気密締まり嵌めを形成するように拡大される。ジャケット44aとポート206の間の間隙は、空隙220を画定する。
【0090】
使用の際、ポート206の空気入口214は、ターボチャージャの圧縮機ホイールの下流側でエンジンの入口通路から取られた抽気などの空気源(図示せず)に連結されている。したがって、空気は空隙220に入り、排気ガス流内に排気する前に空隙220内に流れる。空隙220内の空気流は、連結パイプ22aおよびディスペンサ24aを冷却して、熱い排気パイプ28aおよび排気ガスによる試薬の加熱を最小限に抑えるように働く。
【0091】
上記実施形態の多くの変更形態は本発明の範囲内にあることが分かるであろう。特に、ポンプおよびその装置内の構成部品は、前に説明したこれらの構成部品および装置とは異なっていてもよい。
【0092】
電機子の移動の際に液体の減衰効果を変更または最適化する機構を設けることができる。例えば、内側極片および/またはリフト止め具は、電機子と合うように円錐状またはテーパ状部分を有することができる。同様に、電気子は、内側極片および/またはリフト止め具と合うように円錐状またはテーパ上部分を有することができる電機子、内側極片、および/またはリフト止め具は、電機子の周りの液体流を変えるように穿孔またはスロットを備えることができる。機械的雑音をさらに少なくするため、リフト止め具はポリマーまたはエラストマー材料でできていてもよい。
【0093】
例えば、ポンプに入る液体が供給システム内で予め濾過される場合、フィルタをポンプ内に設ける必要はない。代替形態として、またはメッシュフィルタに加えて、磁気粒子を液体流から取り除くために、フィルタは磁石、例えば磁気リングまたはディスクを組み込むことができる。特に、ポンプ内でステンレス鋼構成部品の腐食を開始させる可能性がある高い鉄含有量の固体は、ポンプの電磁構造に入る前に磁石によって捕捉され、そうでなければ磁化された構成部品に吸着される可能性がある。
【0094】
入口コネクタはケーシング内の締まり嵌めまたは押し嵌めであってもよく、この場合、入口コネクタもケーシングの相補的部分もねじ山を担持していない。この場合、その戻りストロークの終わりのリフト止め具の位置、したがってプランジャの位置を調節するように、入口コネクタの位置の調節が、ケーシング内で入口コネクタを摺動させることによって行なわれる。
【0095】
記載した実施形態では、ポンプコネクタは連結パイプの管と一体的に形成される。ポンプコネクタは代わりに、別個の構成部品として形成することができることが分かるであろう。例えば、ポンプコネクタは連結パイプの管またはジャケット上に担持されたねじ山と係合するねじ山を担持することができる。ポンプコネクタは別の方法では、極要素と一体的に形成することができる。
【0096】
前に説明したように、試薬の濃度、したがって試薬の容積濃度は、試薬温度の関数である。ポンプは、大気温度の変化を自動的に補償するように配置することができ、それによって、例えば温度が上昇し、試薬濃度が減少すると、各汲み上げストロークで分配される液体の量が増加する。
【0097】
例えば、プランジャは、内側極片が作られている材料より低い熱膨張係数を有する材料で作ることもできる。ポンプの温度が上昇すると、内側極片およびプランジャは膨張するが、内側極片の寸法はプランジャの寸法より比較的大きく膨張する。その結果、汲み上げチャンバの量は温度での試薬の濃度減少を妨げるように増加する。同様に、ポンプの温度が低下すると、汲み上げチャンバの量は減少する。内側極片が鉄系合金で製造されている場合、プランジャに適切な材料としては、アルミナ、炭化珪素、および窒化珪素などのセラミックが挙げられる。大量の熱補償を達成するため、プランジャの長さは、その汲み上げおよび戻りストロークの際に、プランジャによって移動される距離に対して大きいべきである。
【0098】
2つ以上の材料でできた複合プランジャが使用され、径方向へのプランジャの少なくとも一部の熱膨張係数が内側極片とほぼ等しく、軸方向への有効熱膨張係数が内側極片よりかなり小さいように配置されていることが好ましい。このようにして、熱補償機能が達成されるが、プランジャを通る試薬の過剰な漏洩を防ぐため、極片の孔内のプランジャの径方向間隙は大きくは変わらない。
【0099】
尿素溶液などの多くの試薬は、普通に使用される金属合金に対する腐食性が高い。ポンプはしたがって、高い耐腐食性を有するようになっていてもよい。例えば、電磁回路内の材料は高いクロム含有量を有する磁気合金、またはモリブデンなどの他の合金化元素でできていてもよい。適切な材料の一例は、Carpenter Chrome Core(登録商標)18−FM、すなわちCarpenter Technology Corporationによって提供されるステンレス鋼である。
【0100】
ポンプの構成部品はまた、耐腐食性を良くするため表面処理してもよい。表面処理はまた、耐摩耗性を良くするのに利用することもできる。例えば、ステンレス鋼構成部品は表面硬化処理を全体的にまたは部分的に行なうことができ、この処理では表面近くに炭化クロムを形成するように炭素が拡散によって構成部品内に案内される。Kolsterising(登録商標)として知られる適切な処理は、Bodycote International plc.によって商業的に提供されている。炭化クロムは、構成部品の表面の硬さを大きくして、耐摩耗性を良くし、また金属の耐腐食性を良くする。別の方法では、または加えて、表面コーティングをポンプの構成部品に塗布することができる。例えば、窒化チタンまたはダイヤモンド状炭素コーティングを利用して、耐摩耗性および耐腐食性を良くすることができる。パリレンコーティングなどの有機コーティングは、使用の際に、磨耗されない構成部品に適している可能性もある。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】排気パイプに取り付けられた、本発明による投与装置の断面図である。
【図2】図1の投与装置のポンプの拡大断面図である。
【図3】図1の投与装置のディスペンサの拡大断面図である。
【図4】付勢した場合の、図1の投与装置のポンプの拡大断面図である。
【図5】付勢した場合の、図1の投与装置のディスペンサの拡大断面図である。
【図6】排気パイプに取り付けた、本発明の第2の実施形態による投与装置の断面図である。
【符号の説明】
【0102】
20 ポンプ
20a ポンプ
22 連結パイプ
22a 連結パイプ
24 ディスペンサ
24a ディスペンサ
26 ポンプコネクタ
28 排気パイプ
28a 排気パイプ
30 取付ブラケット
32 第1の部分
34 第2の部分
36 開口部
38 ばねクリップ
40 管
40a 管
42 孔
44 ジャケット
44a ジャケット
46 区画
46a 区画
48 第1のシール
48a 第1のシール
50 第2のシール
50a 第2のシール
52 ポート
54 周辺カラー
56 取付面
58 フランジ
60 締付リング
62 密封座金
64 内部ねじ付きナット
66 入口コネクタ
68 ケーシング
70 極要素
70a 極要素
72 第1の円筒形部
72a 上流側部
74 第2の円筒形部
76 ショルダ
76a フランジ
78 下流側部
80 上流側部
82 入口通路
84 フィルタチャンバ
86 試薬フィルタ
88 周面縁部
90 リフト止め具
92 内側極片
94 フランジ
94a フランジ
96 突起
96a 突起
98 縁部
100 内部溝
102 内部ショルダ
104 電磁コイル
106 巻型
108 第1の面
110 第2の面
112 環状チャンバ
114 環状溝
116 第1のOリング
118 環状溝
120 第2のOリング
122 供給ケーブル
124 軸方向孔
126 プランジャ
128 電機子
130 上流端部
132 送り出し弁
134 送り出し弁チャンバ
136 ショルダまたは着座表面
138 送り出し弁要素
140 オリフィス
142 端部領域
146 送り出しばねチャンバ
148 送り出し弁ばね
150 径方向経路
152 下流端部
154 汲み上げチャンバ
156 充填ポート
158 ショルダ
160 戻しばねチャンバ
162 戻しばね
163 ノズル
163a ノズルフランジ
164 縁部
166 ノズル孔
168 ノズル弁
170 ノズル弁要素
172 ピストン
174 シャフト
176 環状溝
178 先端
180 ノズルチャンバ
182 弁表面
184 密封表面
186 ブッシュ
187 間隙
188 保持カラー
190 ノズルばね
192 螺旋状溝
194 径方向通路
196 間隙
198 外側極片
200 端部領域
202 ショルダ
204 縁部
206 ポート
208 第1の部分
210 第2の部分
212 孔
214 空気入口
216 孔
218 係合領域
220 空隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口手段(66)と、
出口手段(26)と、
前記入口手段(66)から液体を受ける汲み上げチャンバ(154)と、
第1の位置と第2の位置の間で動作可能であり、前記汲み上げチャンバ(154)から前記出口手段(26)内に液体を汲み上げるように配置された作動装置(70、104、126、128)とを備えた液体を汲み上げるポンプであって、
前記入口手段(66)および前記汲み上げチャンバ(154)は、前記作動装置(70、104、126、128)が前記第1の位置にある場合に供給通路(112)と流体連通されており、前記供給通路(112)は前記作動装置(70、104、126、128)内にまたはその周りに延びており、それによって前記作動装置(70、104、126、128)から液体への熱の伝達が可能になるポンプ。
【請求項2】
前記作動装置(70、104、126、128)は、実質的に前記入口手段(66)と前記出口手段(26)の間に配置される、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
閉位置と開位置の間で動作可能な送り出し弁(132)であって、該送り出し弁(132)が前記閉位置にある場合に、前記汲み上げチャンバ(154)から前記出口手段(26)までの液体の流れを制限するように配置された送り出し弁(132)をさらに備えた、請求項1または2に記載のポンプ。
【請求項4】
流体連通経路は、1つまたは複数の充填ポート(156)によって前記汲み上げチャンバ(154)と前記供給通路(112)の間に設けられている、請求項1から3のいずれかに記載のポンプ。
【請求項5】
前記作動装置(70、104、126、128)が前記第2の位置にある場合、前記各充填ポート(156)は前記作動装置(70、104、126、128)によって閉塞される、請求項4に記載のポンプ。
【請求項6】
前記作動装置は、前記第1の位置と前記第2の位置の間の前記作動装置の切換に応じて移動するように配置されたプランジャ(126)を備えている、請求項1から5のいずれかに記載のポンプ。
【請求項7】
前記プランジャ(126)は、前記作動装置が前記第1の位置と前記第2の位置の間で切り換えられる場合、前記汲み上げチャンバ(154)の容量の変化を生じるように配置されている、請求項6に記載のポンプ。
【請求項8】
前記作動装置はさらに、前記プランジャ(126)上に担持された停止手段(128)を備えている、請求項7に記載のポンプ。
【請求項9】
前記プランジャ(126)に対する前記停止手段(128)の位置は、前記作動装置が前記第1の位置と前記第2の位置の間で切り換えられる場合に起こる、前記汲み上げチャンバ(154)の容量の変化に影響を与えるように調節可能なように配置されている、請求項8に記載のポンプ。
【請求項10】
さらにリフト止め具を備えたポンプであって、前記停止手段は前記作動装置が前記第1の位置にある場合に前記リフト止め具に当接するように配置されている、請求項8または9に記載のポンプ。
【請求項11】
前記作動装置(70、104、126、128)に対する前記リフト止め具の位置は、前記作動装置(70、104、126、128)が前記第1の位置と前記第2の位置の間で切り換えられる場合に前記プランジャが移動する距離に影響を与えるように調節可能に配置されている、請求項10に記載のポンプ。
【請求項12】
前記作動装置は、ソレノイドコイル(104)を有する電磁作動装置を備えており、前記供給通路(112)は前記ソレノイドコイル(104)内にまたはその周りに延びている、請求項1から11のいずれかに記載のポンプ。
【請求項13】
前記ソレノイドコイル(104)は軸を画定し、前記供給通路(112)は、使用中に、前記供給通路(112)内の液体の流れの方向は前記ソレノイドコイル(104)の前記軸にほぼ平行であるように配置されている、請求項12に記載のポンプ。
【請求項14】
さらに極要素(70)と、前記ソレノイドコイル(104)を担持する巻型(106)とを備えたポンプであって、前記巻型(106)は前記極要素(70)の少なくとも一部の周りに配置され、前記供給通路(112)は前記極要素(70)の表面によって部分的に、また前記巻型(106)の表面によって部分的に画定される、請求項12または13に記載のポンプ。
【請求項15】
前記作動装置(70、104、126、128)は、使用中に、前記作動装置(70、104、126、128)の温度が前記作動装置(70、104、126、128)の付勢の際に上昇して、前記供給通路(112)を加熱するように配置されている、請求項1から14のいずれかに記載のポンプ。
【請求項16】
前記液体は、選択接触還元用試薬である、請求項1から15のいずれかに記載のポンプ。
【請求項17】
請求項1から16のいずれかに記載のポンプを備えた投与装置。
【請求項18】
請求項17に記載の投与装置を備えた排気システム。
【請求項19】
入口手段(66)と、汲み上げチャンバ(154)と、作動装置(70、104、126、128)とを備えた、液体をガス流に分配するポンプを冷却する方法であって、
前記入口手段(66)まで前記液体を供給するステップと、
前記液体を前記作動装置(70、104、126、128)内にまたはその周りに通過させることによって前記液体を前記汲み上げチャンバ(154)に運ぶステップと、
熱を前記作動装置(70、104、126、128)から離れるように運ぶように、前記汲み上げチャンバ(154)から前記出口手段(26)まで前記液体を汲み上げるステップとを含む方法。
【請求項20】
前記作動装置(70、104、126、128)の加熱および凍結された液体の溶解を生じさせるように、前記作動装置(70、104、126、128)を付勢するステップを含む、請求項1から16のいずれかに記載のポンプ内で凍結された液体を溶解させる方法。
【請求項21】
液体を内燃機関の排気ガス流内に分配するのに適したポンプであって、
入口手段(66)と、
出口手段(26)と、
作動装置(70、104、126、128)とを備えたポンプであって、
前記入口手段(66)、前記出口手段(26)および前記作動装置(70、104、126、128)は実質的に共通の軸に沿って配置されており、それによって、使用中、液体は実質的に前記共通の軸と平行な方向に前記ポンプおよび前記作動装置(70、104、126、128)を通過するポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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