誘導灯及び誘導灯制御システム
【課題】誘導灯の集中制御式自動点検システムに対して、制御盤を必要としないため大規模な工事が不要であり、また、点検可能かどうか、点検が必要かどうかを表示する誘導灯の提供を目的とする。
【解決手段】誘導灯1000は、商用電源によってランプ201を点灯させ、かつ、商用電源からの電力供給が途絶えるとバッテリ300に切り替えてランプ201を点灯させると共に、商用電源によってランプ201を点灯させているときに消灯信号を入力するとランプ201を消灯させる灯点灯において、モニタ用の光源(充電モニタ510、点検モニタ520あるいは点灯モニタ)と、消灯信号の有無を組み合わせた特定パターン信号を入力し、特定パターン信号を入力すると、バッテリが所定時間以上充電されているか否かを判別し、判別結果に対応する所定の発光モードで、モニタ用の光源とランプ201との少なくともいずれかを発光させる制御回路110とを備えた。
【解決手段】誘導灯1000は、商用電源によってランプ201を点灯させ、かつ、商用電源からの電力供給が途絶えるとバッテリ300に切り替えてランプ201を点灯させると共に、商用電源によってランプ201を点灯させているときに消灯信号を入力するとランプ201を消灯させる灯点灯において、モニタ用の光源(充電モニタ510、点検モニタ520あるいは点灯モニタ)と、消灯信号の有無を組み合わせた特定パターン信号を入力し、特定パターン信号を入力すると、バッテリが所定時間以上充電されているか否かを判別し、判別結果に対応する所定の発光モードで、モニタ用の光源とランプ201との少なくともいずれかを発光させる制御回路110とを備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、誘導灯などの非常点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2002年に消防法が改正され、消防設備などの基準が強化された。特に誘導灯に関しては点検時に規定の定格時間の非常点灯を確認することが必要となった。定格時間の非常点灯は、誘導灯1台あたり20分または60分必要であるが、作業者が1台ずつ非常点灯時間を確認していくことは、施設の規模が大きくなるほど負担となる。そのため、誘導灯の集中制御式自動点検システムに関する技術(例えば特許文献1)が開発され、商品化されるようになった。また、点検時期や前回の点検結果などについて集中制御室の画面に表示させることで、点検が必要な誘導灯がわかり、適切な点検を行うことができるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−111347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
誘導灯の集中制御式自動点検システムは、建物を一括制御する制御盤が必要となり、さらに有線制御であるため、設置に大規模な工事が必要となるという課題があった。また、器具単体で点検する個別制御方式の点検の場合は、ボタン又はリモコンなどを利用して点検を開始するが、点検対象となる誘導灯が何らかの事情(瞬時停電やいたずら等)で規定時間(24時間)充電が行われていない場合には、自動点検動作に移行できない。この為、点検を行うことができず、別の機会に再度点検を行わなければならない、という課題があった。
【0005】
この発明は、制御盤を必要としないため大規模な工事が不要であり、また、点検可能かどうか、あるいは点検が必要かどうかを表示する誘導灯の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の誘導灯は、
商用電源によって誘導灯用ランプを点灯させ、かつ、前記商用電源からの電力供給が途絶えるとバッテリに切り替えて前記誘導灯用ランプを点灯させると共に、前記商用電源によって前記誘導灯用ランプを点灯させているときに消灯を指示する消灯信号を入力すると前記誘導灯用ランプを消灯させる誘導灯において、
モニタ用の光源と、
前記消灯信号の有無を組み合わせた特定のパターンからなる特定パターン信号を入力すると、前記バッテリが所定時間以上充電されているか否かを判別し、判別結果に対応する所定の発光モードで、前記モニタ用の光源と前記誘導灯用ランプとの少なくともいずれかを発光させる制御部と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、大掛かりな個別の有線配線や、誘導灯個々にアドレスを設けて管理するなどの手間無く、誘導灯に対する自動点検の事前確認が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1における誘導灯1000のブロック図。
【図2】実施の形態1における誘導灯1000の自動点検のフローチャート。
【図3】実施の形態1における消灯信号をベースとする特定パターン信号を示す図。
【図4】実施の形態1における誘導灯制御システムを示す図。
【図5】実施の形態1における誘導灯1000の点検事前確認のフローチャート。
【図6】実施の形態1における誘導灯1000の点検事前確認の表示パターンを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下の実施の形態では、誘導灯1000(非常用照明装置)を説明する。誘導灯1000は、常用時に外部からの消灯を指示する消灯信号でランプ(誘導灯用ランプ)を消灯しつつ、バッテリの充電を継続する機能を有している。誘導灯用ランプの消灯は、省エネの為に、夜間や、室内等が無人になった際に行う事ができる。ただし、事前に所轄消防への届出と許可とが必要とされる。
【0010】
消灯信号は、後述の誘導灯用信号装置2000により制御されるが、元は防災管理室からの消灯信号であったり、施錠連動であったりする。また、消灯状態であっても、誘導灯用信号装置2000は自動火災報知設備の信号を受けて動作するので、火災になった際には、誘導灯用信号装置2000は消灯状態を解除し、無人であっても誘導灯を点灯させる。消灯信号は、大掛かりな個別の有線配線や、誘導灯個々にアドレスを設けて管理するなどの手間無く、電源配線と共に一般的に使用されるものである。
(1)この消灯信号のon/offパターンで、誘導灯用信号装置2000から複数の誘導灯の個々に対して、点検予定である旨を通知する「点検事前信号」を送り、個々の誘導灯の表示面(誘導灯用ランプ)、充電モニタ510、点検モニタ520等で、点検可否及び前回点検結果の概要を表示するようにする。これにより、メンテナンスの際の利便を図る。
(2)また、この消灯信号をベースとする別のon/offパターンにより、一括して自動点検に移行できるようにする。
【0011】
図1は、実施の形態1の回路構成を示す誘導灯1000のブロック図である。誘導灯1000は、表示面200と、回路ユニット100と、表示部500と、自動点検スイッチ400と、バッテリ300と、を備える。
【0012】
表示面200は、ランプ201と、このランプ201によって照らされる表示板(図示しない)を有する。ランプ201は、放電灯、あるいは複数のLEDからなる光源である。
【0013】
回路ユニット100は、ランプ201を点灯させる点灯回路110と、消灯検出部150と、制御回路120と、タイマー130と、記憶部140と、点検部160を備える。
【0014】
点灯回路110は、電力変換回路111と、商用電源遮断回路112と、充電回路113を備える。点灯回路110は、商用電源またはバッテリから電力を供給してランプを点灯する。
【0015】
電力変換回路111は、商用電源が供給されるときは、商用電源の交流電圧を直流電圧に変換し、ランプ201に供給する電力に変換し、商用電源が供給されないとき(後述する模擬停電状態を含む。)、バッテリ300から給電されてランプ201に供給する電力に変換する。
【0016】
商用電源遮断回路112は、バッテリ300の点検動作時に商用電源からの電力を直接的または間接的に遮断する回路である。ここで、直接的に遮断するとは、商用電源からの供給ラインにスイッチなどを設けて遮断することをいう。また、間接的に遮断するとは、商用電源からの電力を直流電源などに変換する変換回路の動作を停止させて、バッテリ300からの電力をランプ201へ供給するようにして、見かけ上、商用電源からの給電を遮断している状態(擬似停電状態)をいう。
【0017】
充電回路113は、商用電源から給電されて、バッテリ300を充電する。
点検スイッチ114は、手動で操作されたとき、商用電源遮断回路112に商用電源からの電力を直接的又は間接的に遮断する信号を出力する。
【0018】
制御回路120は、表示判別回路121を備える。表示判別回路121は、ランプ201を消灯させる消灯信号を入力するとともに、消灯信号の有無を組み合わせた特定のパターンからなる点検事前信号によって、ランプ201、充電モニタ510、点検モニタ520及びランプモニタ530を所定の態様で発光させる表示信号を出力する。制御回路120は、他の構成要素を制御する機能を有する。制御回路120は例えばマイクロコンピュータである。制御回路120は、点灯回路110、タイマー130、記憶部140、消灯検出部150、点検部160等を制御する。
制御回路120は、商用電源遮断回路112を用いて、商用電源からの電力供給を、直接的または間接的に遮断する。また、制御回路120は、記憶部140に記憶されている点検結果を読み出すとともに、バッテリが所定時間以上充電されているか否かを判別し、判別結果、点検結果等をランプ、モニタ等を介して表示(発光)させる。
【0019】
点検部160は、制御回路120からの制御を受けて、商用電源からの電力供給を直接的または間接的に遮断して、ランプ201をバッテリの電力によって点灯させ、所定時間経過後のバッテリの状態から、バッテリの良否を判定する。
【0020】
表示部500は、充電モニタ510と、点検モニタ520と、ランプモニタ530を備える。これらモニタは光源であり、例えばLEDである。
【0021】
自動点検スイッチ400は、プッシュスイッチなどからなり、このプッシュスイッチが押されると、点検部160に自動点検を示す点検信号を出力する。この点検信号は、プッシュスイッチの長押しや、プッシュスイッチを押している時間を組み合わせたパターンなどによって生成された信号である。
【0022】
次に、通常の誘導灯1000の動作を説明する。商用電源(AC100V)が通電されている時、誘導灯1000(点灯装置、点灯回路)により、ランプ201を点灯し、表示面200を光らせることで、避難口及び避難経路を示す。また、誘導灯1000(点灯装置)に含まれる充電回路113を介してバッテリ300を充電し、停電時に備えている。
【0023】
このとき、バッテリ300の充電中には、表示部500において緑色の充電モニタ510を点灯させ、バッテリ300が充電されている状態であることを表示している。また、点検モニタ520は通常消灯している。
【0024】
誘導灯1000には誘導灯用信号装置2000からの信号を受ける消灯用端子600がある。消灯用端子600には通常の点灯時はAC100Vが印加されている。
【0025】
(消灯信号を受信の場合)
ここで、誘導灯1000が誘導灯用信号装置2000から消灯信号を発信すると、消灯用端子600にはAC100Vが無くなる。消灯検出部150はそれを検出する。誘導灯1000は、制御回路120が消灯検出部150の検出結果に基づき、ランプ201を消灯する制御を点灯回路110に対して実行する。以上の動作によって省エネを図りつつ、バッテリ300の充電を継続する。この場合、バッテリ300は充電中なので、充電モニタ510は点灯している。また、点検モニタ520は消灯している。
【0026】
このとき停電になると点灯回路110あるいは消灯検出部150(どちらが検出してもよい)が停電を検出する。この停電検出に基づき、制御回路120は、点灯回路110を制御することによって、消灯信号の有無にかかわらず、バッテリ300を電源としてランプ201を点灯し、避難口および避難経路を示す。
【0027】
充電モニタ510は、バッテリ300の放電中であるから、消灯し、点検モニタ520も消灯している。
【0028】
停電から復帰し、電源AC100Vが印加されれば、また通常の動作(消灯しつつ充電を継続する)に戻る。
【0029】
次に、自動点検スイッチ400の操作が行われることで開始する、通常の自動点検動作について説明する。
図2は、通常の自動点検動作を示すフローチャートである。
【0030】
(点検の前提条件)
制御回路120は、バッテリ300が24時間以上継続的に充電された状態であるかどうかを判定する。バッテリ300が24時間以上継続的に充電された状態である場合は、自動点検が可能な状態になる。24時間以上継続的に充電とするのは、バッテリ300が24時間以上充電されていないのに自動点検動作に移行した場合、充電時間が短かったために規定の時間放電することができず、良品のバッテリ300も異常と誤判定されるのを防ぐためであり、基準で決まっている。
【0031】
常用点灯では、誘導灯1000は商用電源でランプ201を点灯させている(S11)。点検作業者が、自動点検スイッチ400を所定の操作をすることで、制御回路120は点検を開始する。すなわちS12において、制御回路120は、自動点検スイッチ400の操作による自動点検信号を検出する。具体的には、点検部160が自動点検スイッチ400の所定の操作を検出し、検出結果を制御回路120に出力する。
【0032】
自動点検スイッチ400の操作方法は、各メーカーによって若干異なっているが、ここではそれは問題とならない。
【0033】
S13において、制御回路120は、バッテリ300が24時間以上充電されているかどうかを判別する。24時間充電されているかどうかの情報は記憶部140に記憶されている。この情報は、充電回路113による充電の際に、制御回路120がタイマー130を用いてすでに計測している。制御回路120は、バッテリ300が24時間以上充電されていると判断すると(S13のyes)、自動点検処理を開始する(S14)。
【0034】
制御回路120は自動点検モードに移行すると(S14)、商用電源遮断回路112を用いて商用電源からの電力供給を遮断し、バッテリ300により、ランプ201を非常点灯させる。このとき、充電モニタ510は消灯し、点検モニタ520はモニタの点滅などの点検中である旨の表示を行う(S15)。
【0035】
制御回路120は、自動点検モードでは、バッテリ電圧が規定値以上かどうかを継続して監視する(S16)。定格時間に満たないうちにバッテリ電圧が規定値に達していないと判定するとS19に進み、制御回路120は、バッテリ300異常・バッテリ300寿命と判断し、点検をその時点で終了し、常用点灯モードに自動的に復帰する。復帰すると、制御回路120は、バッテリ300が異常・寿命であるので充電モニタ510を点滅し、点検作業者にバッテリ300の状態を知らしめバッテリ300交換を促す。制御回路120は点検モニタ520は消灯させる。また、制御回路120は、点検結果を記憶部140に格納する。この場合、点検結果とは、「電池異常」(後述の図6の行4に対応)を意味する。
【0036】
一方、S16で監視の間、バッテリ電圧が規定値以上の場合は、制御回路120は、タイマー130を用いた計測により、定格時間(20分または60分)が経過するまでバッテリ点灯を継続し、定格時間が経過した時点で常用点灯モードに自動的に復帰する(S17,S18)。制御回路120は、バッテリ300が正常であれば、充電モニタ510を点灯し、また点検モニタ520は消灯し、通常の動作となる(S18)。制御回路120は、点検結果を記憶部300に格納する。この場合、点検結果とは、「点検良好」(後述の図6の行1に対応)、あるいは「余裕なし」(後述の図6の行2に対応)の場合がある。「余裕なし」とは、バッテリ電圧は定格時間の点灯中の間、規定値以上ではあるが、規定値ぎりぎりで、「規定値+余裕幅ΔV」以上の電圧値が好ましいとした場合、バッテリ電圧がΔVの範囲内にあるような場合である。「点検良好」とは、バッテリ電圧が「規定値+余裕幅ΔV」以上のような場合である。
【0037】
以上が図2に示す、通常の自動点シーケンスである。
【0038】
(特定パターン信号)
図3は、誘導灯用信号装置2000の送信する消灯信号の有無を組み合わせた特定のパターンからなる「特定パターン信号」を示した図である。つまり「特定パターン信号」は、消灯信号のon/offパターンである。図3の11は、特定パターン信号のうち、点検事前信号を示す。図3の12は、特定パターン信号のうち、一括点検信号を示す。
「点検事前信号」とは、後述するが、誘導灯用信号装置2000から誘導灯1000(制御回路120)に対して、これから点検処理を行うことを事前に通知する信号である。
また、「一括点検信号」とは、後述するが、誘導灯用信号装置2000から誘導灯1000(制御回路120)に対して、自動点検の開始を指示する信号である。
図4は、誘導灯用信号装置2000と複数の誘導灯1000とからなる点灯制御システムを示す図である。上記の「特定パターン信号」(点検事前信号及び一括点検信号)は、図4に示すシステムのように、1台の誘導灯用信号装置2000から、例えば誘導灯1000−1〜誘導灯1000−6のように複数台の誘導灯に「特定パターン信号」を送信することを想定している。
【0039】
誘導灯用信号装置2000からそれぞれの誘導灯1000に点検事前信号を送信することによって、各誘導灯1000が点検可能な状態であるかどうかを各誘導灯1000に表示させることで、点検可能な状態であるかどうかを個別に確認する事ができる。
【0040】
もちろん、この点検事前信号の送信は、防災管理者が発信するものであり、日中の人が多いときなどを避け、夜間などに送信する事が望ましい。
【0041】
例えば、図3の11に示すように消灯信号のon/offパターンが、3秒on、3秒offを3回繰り返した場合は、制御回路120は、この特定パターン信号を点検事前信号と判断し、それぞれの誘導灯1000は、各制御回路120が各誘導灯の状態(バッテリの充電状態)を表示する。このon/offパターンは人が手動で操作してもよい。この場合、on,offを制御回路120が判別できるような間隔と回数である事が重要である。
【0042】
図5は、点検事前信号を受信した場合の誘導灯のシーケンスである。
図6は、誘導灯1000の点検事前確認の表示パターンを示す図である。図5、図6を参照して、この場合の動作を説明する。S21において、制御回路120はランプ201を常用点灯している。制御回路120は、消灯検出部150を介して点検事前信号を受信したことを検知すると(S22のyes)、バッテリ300が24時間以上充電されているかどうかを判別する(S23)。充電時間が24時間に満たないと判別すると(S23のno)、制御回路120は、判別結果に対応する所定の発光モードで、モニタ用光源とランプ201との少なくともいずれかを発光させる(S29)。S29の例では、制御回路120は、充電時間不足を示す表示(図6の行3に対応)として、ランプ201を点滅(30分間)させ、かつ、充電モニタ510を点灯させる。
【0043】
一方、制御回路120は、充電時間が24時間以上と判別すると(S23のyes)、バッテリ電圧が規定値以上かどうかを判別する(S24)。バッテリ電圧が規定値に満たないと判別すると(S24のno)、制御回路120は、この判別結果に対応する所定の発光モードで、モニタ用光源とランプ201との少なくともいずれかを発光させる(S30)。S30の例では、制御回路120は、自動点検不可(バッテリ電圧不足のため)を示す表示(図6の行4に対応)として、ランプ201を点滅(30分間)させ、かつ、充電モニタ510を点滅させる。
【0044】
制御回路120は、バッテリ電圧が規定値以上と判別すると(S24のyes)、自動点検可能の表示処理を開始し(S25)、S26に進む。
【0045】
S26において、制御回路120は、前回の点検結果において、バッテリ300の電圧に余裕があったかどうかを判別する。前回の点検結果は、図2で述べたように記憶部140に記憶されている。制御回路120は、記憶部140から前回の点検結果を読み出し、前回の点検結果に対応する所定の発光モードで(S27、またはS31)、モニタ用光源とランプ201との少なくともいずれかを発光させる。すなわち、図5の例では、制御回路120は、前回の点検結果が良好と判別すると(S26のyes)、ランプ201を点灯させ、かつ、充電モニタ510及び点検モニタ520を点灯させる(図6の行1に対応)(S27)。また、図5の例では、制御回路120は、前回の点検結果が「余裕なし」と判別すると(S26のno)、ランプ201を点灯させ、かつ、充電モニタ510を点滅させ、点検モニタ520を点灯させる(図6の行2に対応)(S31)。その後、制御回路120は、S28に進み、常用点灯モードに復帰する。各モニタの表示状態は、各誘導灯の状態による。
【0046】
以上のように、点検事前信号の送信により、誘導灯1000に設けられているバッテリ300の充電状態を示す表示部500(充電モニタ510)と、点検の状態を示す表示部500(点検モニタ520)と、ランプ201とにより、バッテリ300が点検可能か、また前回の点検結果が、どのような状態であったかを表示する構成とした。この構成によって、自動点検に移行する際に誤って点検スイッチを押下し、折角24時間充電したのにも関わらず無意味な放電をしてしまうようなことを避けることができる。
【0047】
なお、日中の人が多いときには、点検事前信号を受け付けないように、受付時間を夜間の20:00以降に限って受け付けるようにすることもできる。具体的には、タイマー130が時計機能を兼ねており、制御回路120は、受付可能として予め設定された時間帯に受信した点検事前信号に応答する構成とする。
【0048】
また、この点検事前確認の信号解除は、同様の信号を再度送信する事で元の状態に戻るものとする。この場合、信号発信から信号解除の間隔は数分以上(例えば3分)後に受け付けるように設定する。
【0049】
さらに、制御回路120の内部に、電波時計の機能を備えることで、時間の精度を高めることができる。
【0050】
(一括点検信号)
次に、図3で示した一括点検信号の場合を説明する。制御回路120は、消灯信号のon/offパターンを変えた一括点検信号を受信すると、自動点検に移行する機能を有する。すなわち、一括点検信号を受信した場合は、自動点検スイッチ400が操作されたのと同等の効果がある。このように、一台の誘導灯用信号装置2000から複数の誘導灯に一括点検信号を送信することで、一度に複数の誘導灯の点検が可能となる。よって、個々の誘導灯の自動点検スイッチを押したり、リモコンで自動点検に移行させたりする必要が無く、作業員は、自動点検の終了後に復帰状態を確認するだけで点検が完了する。
【0051】
動作としては、制御回路120は、一括点検信号(第2の特定パターン信号)を入力すると、バッテリ300に対して予め定められたバッテリ点検処理を実行する。また、制御回路120は、バッテリ点検処理を実行すると、バッテリ点検処理による点検結果を記憶部140に格納する。
【0052】
一括点検信号の場合は、信号の解除は無く、点検の終了時間は各々の誘導灯に内蔵しているタイマー130で終了するのは、普通の自動点検と同じである。あらかじめ誘導灯の状態が概略分っていれば、準備する交換用バッテリ300も準備がでる。
【0053】
器具の状態確認、ランプの状態、外観の清掃などを行なう必要があるので、遠隔操作だけでの点検は本来完了しない。如何にして待ち時間や往復の手間を省く事ができるかを、考えると遠くからでも概略の状態を確認でき、最終的な確認は1度だけ各誘導灯の真下に行けばよい。
【符号の説明】
【0054】
1000 誘導灯、100 回路ユニット、110 点灯回路、111 電力変換回路、112 商用電源遮断回路、113 充電回路、114 点検スイッチ、120 制御回路、121 表示判別回路、130 タイマー、140 記憶部、150 消灯検出部、160 点検部、200 表示面、201 ランプ、300 バッテリ、400 自動点検スイッチ、500 表示部、510 充電モニタ、520 点検モニタ、530 ランプモニタ、600 消灯用端子、1000 誘導灯、2000 誘導灯用信号装置。
【技術分野】
【0001】
この発明は、誘導灯などの非常点灯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
2002年に消防法が改正され、消防設備などの基準が強化された。特に誘導灯に関しては点検時に規定の定格時間の非常点灯を確認することが必要となった。定格時間の非常点灯は、誘導灯1台あたり20分または60分必要であるが、作業者が1台ずつ非常点灯時間を確認していくことは、施設の規模が大きくなるほど負担となる。そのため、誘導灯の集中制御式自動点検システムに関する技術(例えば特許文献1)が開発され、商品化されるようになった。また、点検時期や前回の点検結果などについて集中制御室の画面に表示させることで、点検が必要な誘導灯がわかり、適切な点検を行うことができるシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−111347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
誘導灯の集中制御式自動点検システムは、建物を一括制御する制御盤が必要となり、さらに有線制御であるため、設置に大規模な工事が必要となるという課題があった。また、器具単体で点検する個別制御方式の点検の場合は、ボタン又はリモコンなどを利用して点検を開始するが、点検対象となる誘導灯が何らかの事情(瞬時停電やいたずら等)で規定時間(24時間)充電が行われていない場合には、自動点検動作に移行できない。この為、点検を行うことができず、別の機会に再度点検を行わなければならない、という課題があった。
【0005】
この発明は、制御盤を必要としないため大規模な工事が不要であり、また、点検可能かどうか、あるいは点検が必要かどうかを表示する誘導灯の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の誘導灯は、
商用電源によって誘導灯用ランプを点灯させ、かつ、前記商用電源からの電力供給が途絶えるとバッテリに切り替えて前記誘導灯用ランプを点灯させると共に、前記商用電源によって前記誘導灯用ランプを点灯させているときに消灯を指示する消灯信号を入力すると前記誘導灯用ランプを消灯させる誘導灯において、
モニタ用の光源と、
前記消灯信号の有無を組み合わせた特定のパターンからなる特定パターン信号を入力すると、前記バッテリが所定時間以上充電されているか否かを判別し、判別結果に対応する所定の発光モードで、前記モニタ用の光源と前記誘導灯用ランプとの少なくともいずれかを発光させる制御部と
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、大掛かりな個別の有線配線や、誘導灯個々にアドレスを設けて管理するなどの手間無く、誘導灯に対する自動点検の事前確認が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1における誘導灯1000のブロック図。
【図2】実施の形態1における誘導灯1000の自動点検のフローチャート。
【図3】実施の形態1における消灯信号をベースとする特定パターン信号を示す図。
【図4】実施の形態1における誘導灯制御システムを示す図。
【図5】実施の形態1における誘導灯1000の点検事前確認のフローチャート。
【図6】実施の形態1における誘導灯1000の点検事前確認の表示パターンを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下の実施の形態では、誘導灯1000(非常用照明装置)を説明する。誘導灯1000は、常用時に外部からの消灯を指示する消灯信号でランプ(誘導灯用ランプ)を消灯しつつ、バッテリの充電を継続する機能を有している。誘導灯用ランプの消灯は、省エネの為に、夜間や、室内等が無人になった際に行う事ができる。ただし、事前に所轄消防への届出と許可とが必要とされる。
【0010】
消灯信号は、後述の誘導灯用信号装置2000により制御されるが、元は防災管理室からの消灯信号であったり、施錠連動であったりする。また、消灯状態であっても、誘導灯用信号装置2000は自動火災報知設備の信号を受けて動作するので、火災になった際には、誘導灯用信号装置2000は消灯状態を解除し、無人であっても誘導灯を点灯させる。消灯信号は、大掛かりな個別の有線配線や、誘導灯個々にアドレスを設けて管理するなどの手間無く、電源配線と共に一般的に使用されるものである。
(1)この消灯信号のon/offパターンで、誘導灯用信号装置2000から複数の誘導灯の個々に対して、点検予定である旨を通知する「点検事前信号」を送り、個々の誘導灯の表示面(誘導灯用ランプ)、充電モニタ510、点検モニタ520等で、点検可否及び前回点検結果の概要を表示するようにする。これにより、メンテナンスの際の利便を図る。
(2)また、この消灯信号をベースとする別のon/offパターンにより、一括して自動点検に移行できるようにする。
【0011】
図1は、実施の形態1の回路構成を示す誘導灯1000のブロック図である。誘導灯1000は、表示面200と、回路ユニット100と、表示部500と、自動点検スイッチ400と、バッテリ300と、を備える。
【0012】
表示面200は、ランプ201と、このランプ201によって照らされる表示板(図示しない)を有する。ランプ201は、放電灯、あるいは複数のLEDからなる光源である。
【0013】
回路ユニット100は、ランプ201を点灯させる点灯回路110と、消灯検出部150と、制御回路120と、タイマー130と、記憶部140と、点検部160を備える。
【0014】
点灯回路110は、電力変換回路111と、商用電源遮断回路112と、充電回路113を備える。点灯回路110は、商用電源またはバッテリから電力を供給してランプを点灯する。
【0015】
電力変換回路111は、商用電源が供給されるときは、商用電源の交流電圧を直流電圧に変換し、ランプ201に供給する電力に変換し、商用電源が供給されないとき(後述する模擬停電状態を含む。)、バッテリ300から給電されてランプ201に供給する電力に変換する。
【0016】
商用電源遮断回路112は、バッテリ300の点検動作時に商用電源からの電力を直接的または間接的に遮断する回路である。ここで、直接的に遮断するとは、商用電源からの供給ラインにスイッチなどを設けて遮断することをいう。また、間接的に遮断するとは、商用電源からの電力を直流電源などに変換する変換回路の動作を停止させて、バッテリ300からの電力をランプ201へ供給するようにして、見かけ上、商用電源からの給電を遮断している状態(擬似停電状態)をいう。
【0017】
充電回路113は、商用電源から給電されて、バッテリ300を充電する。
点検スイッチ114は、手動で操作されたとき、商用電源遮断回路112に商用電源からの電力を直接的又は間接的に遮断する信号を出力する。
【0018】
制御回路120は、表示判別回路121を備える。表示判別回路121は、ランプ201を消灯させる消灯信号を入力するとともに、消灯信号の有無を組み合わせた特定のパターンからなる点検事前信号によって、ランプ201、充電モニタ510、点検モニタ520及びランプモニタ530を所定の態様で発光させる表示信号を出力する。制御回路120は、他の構成要素を制御する機能を有する。制御回路120は例えばマイクロコンピュータである。制御回路120は、点灯回路110、タイマー130、記憶部140、消灯検出部150、点検部160等を制御する。
制御回路120は、商用電源遮断回路112を用いて、商用電源からの電力供給を、直接的または間接的に遮断する。また、制御回路120は、記憶部140に記憶されている点検結果を読み出すとともに、バッテリが所定時間以上充電されているか否かを判別し、判別結果、点検結果等をランプ、モニタ等を介して表示(発光)させる。
【0019】
点検部160は、制御回路120からの制御を受けて、商用電源からの電力供給を直接的または間接的に遮断して、ランプ201をバッテリの電力によって点灯させ、所定時間経過後のバッテリの状態から、バッテリの良否を判定する。
【0020】
表示部500は、充電モニタ510と、点検モニタ520と、ランプモニタ530を備える。これらモニタは光源であり、例えばLEDである。
【0021】
自動点検スイッチ400は、プッシュスイッチなどからなり、このプッシュスイッチが押されると、点検部160に自動点検を示す点検信号を出力する。この点検信号は、プッシュスイッチの長押しや、プッシュスイッチを押している時間を組み合わせたパターンなどによって生成された信号である。
【0022】
次に、通常の誘導灯1000の動作を説明する。商用電源(AC100V)が通電されている時、誘導灯1000(点灯装置、点灯回路)により、ランプ201を点灯し、表示面200を光らせることで、避難口及び避難経路を示す。また、誘導灯1000(点灯装置)に含まれる充電回路113を介してバッテリ300を充電し、停電時に備えている。
【0023】
このとき、バッテリ300の充電中には、表示部500において緑色の充電モニタ510を点灯させ、バッテリ300が充電されている状態であることを表示している。また、点検モニタ520は通常消灯している。
【0024】
誘導灯1000には誘導灯用信号装置2000からの信号を受ける消灯用端子600がある。消灯用端子600には通常の点灯時はAC100Vが印加されている。
【0025】
(消灯信号を受信の場合)
ここで、誘導灯1000が誘導灯用信号装置2000から消灯信号を発信すると、消灯用端子600にはAC100Vが無くなる。消灯検出部150はそれを検出する。誘導灯1000は、制御回路120が消灯検出部150の検出結果に基づき、ランプ201を消灯する制御を点灯回路110に対して実行する。以上の動作によって省エネを図りつつ、バッテリ300の充電を継続する。この場合、バッテリ300は充電中なので、充電モニタ510は点灯している。また、点検モニタ520は消灯している。
【0026】
このとき停電になると点灯回路110あるいは消灯検出部150(どちらが検出してもよい)が停電を検出する。この停電検出に基づき、制御回路120は、点灯回路110を制御することによって、消灯信号の有無にかかわらず、バッテリ300を電源としてランプ201を点灯し、避難口および避難経路を示す。
【0027】
充電モニタ510は、バッテリ300の放電中であるから、消灯し、点検モニタ520も消灯している。
【0028】
停電から復帰し、電源AC100Vが印加されれば、また通常の動作(消灯しつつ充電を継続する)に戻る。
【0029】
次に、自動点検スイッチ400の操作が行われることで開始する、通常の自動点検動作について説明する。
図2は、通常の自動点検動作を示すフローチャートである。
【0030】
(点検の前提条件)
制御回路120は、バッテリ300が24時間以上継続的に充電された状態であるかどうかを判定する。バッテリ300が24時間以上継続的に充電された状態である場合は、自動点検が可能な状態になる。24時間以上継続的に充電とするのは、バッテリ300が24時間以上充電されていないのに自動点検動作に移行した場合、充電時間が短かったために規定の時間放電することができず、良品のバッテリ300も異常と誤判定されるのを防ぐためであり、基準で決まっている。
【0031】
常用点灯では、誘導灯1000は商用電源でランプ201を点灯させている(S11)。点検作業者が、自動点検スイッチ400を所定の操作をすることで、制御回路120は点検を開始する。すなわちS12において、制御回路120は、自動点検スイッチ400の操作による自動点検信号を検出する。具体的には、点検部160が自動点検スイッチ400の所定の操作を検出し、検出結果を制御回路120に出力する。
【0032】
自動点検スイッチ400の操作方法は、各メーカーによって若干異なっているが、ここではそれは問題とならない。
【0033】
S13において、制御回路120は、バッテリ300が24時間以上充電されているかどうかを判別する。24時間充電されているかどうかの情報は記憶部140に記憶されている。この情報は、充電回路113による充電の際に、制御回路120がタイマー130を用いてすでに計測している。制御回路120は、バッテリ300が24時間以上充電されていると判断すると(S13のyes)、自動点検処理を開始する(S14)。
【0034】
制御回路120は自動点検モードに移行すると(S14)、商用電源遮断回路112を用いて商用電源からの電力供給を遮断し、バッテリ300により、ランプ201を非常点灯させる。このとき、充電モニタ510は消灯し、点検モニタ520はモニタの点滅などの点検中である旨の表示を行う(S15)。
【0035】
制御回路120は、自動点検モードでは、バッテリ電圧が規定値以上かどうかを継続して監視する(S16)。定格時間に満たないうちにバッテリ電圧が規定値に達していないと判定するとS19に進み、制御回路120は、バッテリ300異常・バッテリ300寿命と判断し、点検をその時点で終了し、常用点灯モードに自動的に復帰する。復帰すると、制御回路120は、バッテリ300が異常・寿命であるので充電モニタ510を点滅し、点検作業者にバッテリ300の状態を知らしめバッテリ300交換を促す。制御回路120は点検モニタ520は消灯させる。また、制御回路120は、点検結果を記憶部140に格納する。この場合、点検結果とは、「電池異常」(後述の図6の行4に対応)を意味する。
【0036】
一方、S16で監視の間、バッテリ電圧が規定値以上の場合は、制御回路120は、タイマー130を用いた計測により、定格時間(20分または60分)が経過するまでバッテリ点灯を継続し、定格時間が経過した時点で常用点灯モードに自動的に復帰する(S17,S18)。制御回路120は、バッテリ300が正常であれば、充電モニタ510を点灯し、また点検モニタ520は消灯し、通常の動作となる(S18)。制御回路120は、点検結果を記憶部300に格納する。この場合、点検結果とは、「点検良好」(後述の図6の行1に対応)、あるいは「余裕なし」(後述の図6の行2に対応)の場合がある。「余裕なし」とは、バッテリ電圧は定格時間の点灯中の間、規定値以上ではあるが、規定値ぎりぎりで、「規定値+余裕幅ΔV」以上の電圧値が好ましいとした場合、バッテリ電圧がΔVの範囲内にあるような場合である。「点検良好」とは、バッテリ電圧が「規定値+余裕幅ΔV」以上のような場合である。
【0037】
以上が図2に示す、通常の自動点シーケンスである。
【0038】
(特定パターン信号)
図3は、誘導灯用信号装置2000の送信する消灯信号の有無を組み合わせた特定のパターンからなる「特定パターン信号」を示した図である。つまり「特定パターン信号」は、消灯信号のon/offパターンである。図3の11は、特定パターン信号のうち、点検事前信号を示す。図3の12は、特定パターン信号のうち、一括点検信号を示す。
「点検事前信号」とは、後述するが、誘導灯用信号装置2000から誘導灯1000(制御回路120)に対して、これから点検処理を行うことを事前に通知する信号である。
また、「一括点検信号」とは、後述するが、誘導灯用信号装置2000から誘導灯1000(制御回路120)に対して、自動点検の開始を指示する信号である。
図4は、誘導灯用信号装置2000と複数の誘導灯1000とからなる点灯制御システムを示す図である。上記の「特定パターン信号」(点検事前信号及び一括点検信号)は、図4に示すシステムのように、1台の誘導灯用信号装置2000から、例えば誘導灯1000−1〜誘導灯1000−6のように複数台の誘導灯に「特定パターン信号」を送信することを想定している。
【0039】
誘導灯用信号装置2000からそれぞれの誘導灯1000に点検事前信号を送信することによって、各誘導灯1000が点検可能な状態であるかどうかを各誘導灯1000に表示させることで、点検可能な状態であるかどうかを個別に確認する事ができる。
【0040】
もちろん、この点検事前信号の送信は、防災管理者が発信するものであり、日中の人が多いときなどを避け、夜間などに送信する事が望ましい。
【0041】
例えば、図3の11に示すように消灯信号のon/offパターンが、3秒on、3秒offを3回繰り返した場合は、制御回路120は、この特定パターン信号を点検事前信号と判断し、それぞれの誘導灯1000は、各制御回路120が各誘導灯の状態(バッテリの充電状態)を表示する。このon/offパターンは人が手動で操作してもよい。この場合、on,offを制御回路120が判別できるような間隔と回数である事が重要である。
【0042】
図5は、点検事前信号を受信した場合の誘導灯のシーケンスである。
図6は、誘導灯1000の点検事前確認の表示パターンを示す図である。図5、図6を参照して、この場合の動作を説明する。S21において、制御回路120はランプ201を常用点灯している。制御回路120は、消灯検出部150を介して点検事前信号を受信したことを検知すると(S22のyes)、バッテリ300が24時間以上充電されているかどうかを判別する(S23)。充電時間が24時間に満たないと判別すると(S23のno)、制御回路120は、判別結果に対応する所定の発光モードで、モニタ用光源とランプ201との少なくともいずれかを発光させる(S29)。S29の例では、制御回路120は、充電時間不足を示す表示(図6の行3に対応)として、ランプ201を点滅(30分間)させ、かつ、充電モニタ510を点灯させる。
【0043】
一方、制御回路120は、充電時間が24時間以上と判別すると(S23のyes)、バッテリ電圧が規定値以上かどうかを判別する(S24)。バッテリ電圧が規定値に満たないと判別すると(S24のno)、制御回路120は、この判別結果に対応する所定の発光モードで、モニタ用光源とランプ201との少なくともいずれかを発光させる(S30)。S30の例では、制御回路120は、自動点検不可(バッテリ電圧不足のため)を示す表示(図6の行4に対応)として、ランプ201を点滅(30分間)させ、かつ、充電モニタ510を点滅させる。
【0044】
制御回路120は、バッテリ電圧が規定値以上と判別すると(S24のyes)、自動点検可能の表示処理を開始し(S25)、S26に進む。
【0045】
S26において、制御回路120は、前回の点検結果において、バッテリ300の電圧に余裕があったかどうかを判別する。前回の点検結果は、図2で述べたように記憶部140に記憶されている。制御回路120は、記憶部140から前回の点検結果を読み出し、前回の点検結果に対応する所定の発光モードで(S27、またはS31)、モニタ用光源とランプ201との少なくともいずれかを発光させる。すなわち、図5の例では、制御回路120は、前回の点検結果が良好と判別すると(S26のyes)、ランプ201を点灯させ、かつ、充電モニタ510及び点検モニタ520を点灯させる(図6の行1に対応)(S27)。また、図5の例では、制御回路120は、前回の点検結果が「余裕なし」と判別すると(S26のno)、ランプ201を点灯させ、かつ、充電モニタ510を点滅させ、点検モニタ520を点灯させる(図6の行2に対応)(S31)。その後、制御回路120は、S28に進み、常用点灯モードに復帰する。各モニタの表示状態は、各誘導灯の状態による。
【0046】
以上のように、点検事前信号の送信により、誘導灯1000に設けられているバッテリ300の充電状態を示す表示部500(充電モニタ510)と、点検の状態を示す表示部500(点検モニタ520)と、ランプ201とにより、バッテリ300が点検可能か、また前回の点検結果が、どのような状態であったかを表示する構成とした。この構成によって、自動点検に移行する際に誤って点検スイッチを押下し、折角24時間充電したのにも関わらず無意味な放電をしてしまうようなことを避けることができる。
【0047】
なお、日中の人が多いときには、点検事前信号を受け付けないように、受付時間を夜間の20:00以降に限って受け付けるようにすることもできる。具体的には、タイマー130が時計機能を兼ねており、制御回路120は、受付可能として予め設定された時間帯に受信した点検事前信号に応答する構成とする。
【0048】
また、この点検事前確認の信号解除は、同様の信号を再度送信する事で元の状態に戻るものとする。この場合、信号発信から信号解除の間隔は数分以上(例えば3分)後に受け付けるように設定する。
【0049】
さらに、制御回路120の内部に、電波時計の機能を備えることで、時間の精度を高めることができる。
【0050】
(一括点検信号)
次に、図3で示した一括点検信号の場合を説明する。制御回路120は、消灯信号のon/offパターンを変えた一括点検信号を受信すると、自動点検に移行する機能を有する。すなわち、一括点検信号を受信した場合は、自動点検スイッチ400が操作されたのと同等の効果がある。このように、一台の誘導灯用信号装置2000から複数の誘導灯に一括点検信号を送信することで、一度に複数の誘導灯の点検が可能となる。よって、個々の誘導灯の自動点検スイッチを押したり、リモコンで自動点検に移行させたりする必要が無く、作業員は、自動点検の終了後に復帰状態を確認するだけで点検が完了する。
【0051】
動作としては、制御回路120は、一括点検信号(第2の特定パターン信号)を入力すると、バッテリ300に対して予め定められたバッテリ点検処理を実行する。また、制御回路120は、バッテリ点検処理を実行すると、バッテリ点検処理による点検結果を記憶部140に格納する。
【0052】
一括点検信号の場合は、信号の解除は無く、点検の終了時間は各々の誘導灯に内蔵しているタイマー130で終了するのは、普通の自動点検と同じである。あらかじめ誘導灯の状態が概略分っていれば、準備する交換用バッテリ300も準備がでる。
【0053】
器具の状態確認、ランプの状態、外観の清掃などを行なう必要があるので、遠隔操作だけでの点検は本来完了しない。如何にして待ち時間や往復の手間を省く事ができるかを、考えると遠くからでも概略の状態を確認でき、最終的な確認は1度だけ各誘導灯の真下に行けばよい。
【符号の説明】
【0054】
1000 誘導灯、100 回路ユニット、110 点灯回路、111 電力変換回路、112 商用電源遮断回路、113 充電回路、114 点検スイッチ、120 制御回路、121 表示判別回路、130 タイマー、140 記憶部、150 消灯検出部、160 点検部、200 表示面、201 ランプ、300 バッテリ、400 自動点検スイッチ、500 表示部、510 充電モニタ、520 点検モニタ、530 ランプモニタ、600 消灯用端子、1000 誘導灯、2000 誘導灯用信号装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源によって誘導灯用ランプを点灯させ、かつ、前記商用電源からの電力供給が途絶えるとバッテリに切り替えて前記誘導灯用ランプを点灯させると共に、前記商用電源によって前記誘導灯用ランプを点灯させているときに消灯を指示する消灯信号を入力すると前記誘導灯用ランプを消灯させる誘導灯において、
モニタ用の光源と、
前記消灯信号の有無を組み合わせた特定のパターンからなる特定パターン信号を入力すると、前記バッテリが所定時間以上充電されているか否かを判別し、判別結果に対応する所定の発光モードで、前記モニタ用の光源と前記誘導灯用ランプとの少なくともいずれかを発光させる制御部と
を備えたことを特徴とする誘導灯。
【請求項2】
前記誘導灯は、さらに、
前記バッテリに対する過去の点検結果を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、
前記特定パターン信号を入力すると、前記記憶部から前記点検結果を読み出し、前記点検結果に対応する所定の発光モードで、前記モニタ用の光源と前記誘導灯用ランプとの少なくともいずれかを発光させることを特徴とする請求項1記載の誘導灯。
【請求項3】
前記制御部は、
前記消灯信号の有無を組み合わせた特定のパターンからなる第2の特定パターン信号を入力すると、前記バッテリに対して予め定められたバッテリ点検処理を実行することを特徴とする請求項2記載の誘導灯。
【請求項4】
前記制御部は、
前記バッテリ点検処理を実行すると、前記バッテリ点検処理による点検結果を前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項3記載の誘導灯。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の複数の誘導灯と、
前記複数の誘導灯の各誘導灯に、前記消灯信号と前記特定パターン信号とを送信する誘導灯用信号装置と
を備えたことを特徴とする誘導灯制御システム。
【請求項1】
商用電源によって誘導灯用ランプを点灯させ、かつ、前記商用電源からの電力供給が途絶えるとバッテリに切り替えて前記誘導灯用ランプを点灯させると共に、前記商用電源によって前記誘導灯用ランプを点灯させているときに消灯を指示する消灯信号を入力すると前記誘導灯用ランプを消灯させる誘導灯において、
モニタ用の光源と、
前記消灯信号の有無を組み合わせた特定のパターンからなる特定パターン信号を入力すると、前記バッテリが所定時間以上充電されているか否かを判別し、判別結果に対応する所定の発光モードで、前記モニタ用の光源と前記誘導灯用ランプとの少なくともいずれかを発光させる制御部と
を備えたことを特徴とする誘導灯。
【請求項2】
前記誘導灯は、さらに、
前記バッテリに対する過去の点検結果を記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、
前記特定パターン信号を入力すると、前記記憶部から前記点検結果を読み出し、前記点検結果に対応する所定の発光モードで、前記モニタ用の光源と前記誘導灯用ランプとの少なくともいずれかを発光させることを特徴とする請求項1記載の誘導灯。
【請求項3】
前記制御部は、
前記消灯信号の有無を組み合わせた特定のパターンからなる第2の特定パターン信号を入力すると、前記バッテリに対して予め定められたバッテリ点検処理を実行することを特徴とする請求項2記載の誘導灯。
【請求項4】
前記制御部は、
前記バッテリ点検処理を実行すると、前記バッテリ点検処理による点検結果を前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項3記載の誘導灯。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の複数の誘導灯と、
前記複数の誘導灯の各誘導灯に、前記消灯信号と前記特定パターン信号とを送信する誘導灯用信号装置と
を備えたことを特徴とする誘導灯制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【公開番号】特開2012−22944(P2012−22944A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−161155(P2010−161155)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]