説明

調停装置、調停方法、調停方法のプログラム、調停方法のプログラムを記録した記録媒体及び電子スチルカメラ

【課題】調停装置、調停方法、調停方法のプログラム、調停方法のプログラムを記録した記録媒体及び電子スチルカメラに関し、例えば複数の処理回路でメモリを共用する構成に適用して、メモリ等へのアクセス権を複数の処理回路に適切かつ効率良く設定することができるようにする。
【解決手段】 本発明は、優先順位に従ってアクセス権を設定することを前提にして、基準回路からのアクセス要求と、基準回路より優先順位の低い処理回路からのアクセス要求とが競合した場合に、基準回路へのアクセス権の設定回数に対する優先順位の低い処理回路へのアクセス権の設定回数が、事前の帯域制限値に応じた値となるようにアクセス権を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調停装置、調停方法、調停方法のプログラム、調停方法のプログラムを記録した記録媒体及び電子スチルカメラに関し、例えば複数の処理回路でメモリを共用する構成に適用することができる。本発明は、優先順位に従ってアクセス権を設定することを前提にして、基準回路からのアクセス要求と、基準回路より優先順位の低い処理回路からのアクセス要求とが競合した場合に、基準回路へのアクセス権の設定回数に対する優先順位の低い処理回路へのアクセス権の設定回数が、事前の帯域制限値に応じた値となるようにアクセス権を設定することにより、メモリ等へのアクセス権を複数の処理回路に適切かつ効率良く設定することができるようにする。
【背景技術】
【0002】
従来、電子スチルカメラにおいては、撮像結果を順次メモリに記録すると共に、このメモリに記録した撮像結果を表示手段により表示し、ユーザーによる操作に応動してこのメモリに記録した撮像結果をデータ圧縮してメモリカード等の記録媒体に記録するようになされている。このため電子スチルカメラにおいては、これらの各処理に係る複数の処理回路からのメモリへのアクセス要求を調停回路により調停し、これにより各処理回路で確実に撮像結果を処理するようになされている。
【0003】
このような調停回路においては、従来、事前に設定された固定の優先順位によりアクセス権を設定する方法、さらにこの優先順位をローテーションさせるラウンドロビン方式等が採用されるようになされている。
【0004】
しかしながら固定の優先順位による調停の場合、優先順位の高い処理回路によりメモリのアクセスが独占され、優先順位の低い処理回路において、メモリにアクセスできない場合が発生する問題がある。これに対してラウンドロビン方式による場合、このような状況については有効に回避できるものの、優先順位の変更によりアクセス頻度の高い処理回路の優先順位が低くなり、これによりこの処理回路における処理速度が著しく低下する問題がある。
【0005】
これらの問題を解決する1つの方法として、各処理回路にそれぞれ専用にメモリを設ける方法も考えられるが、この方法の場合、全体構成が複雑になり、また形状も大型化する問題がある。
【0006】
これに対して特開平8−180027号公報には、動作速度の遅い低速プロセッサからアクセス要求があった場合、動作速度の速い高速プロセッサのシステムクロックによる所定クロック数だけ低速プロセッサを待機させて、この低速プロセッサにメモリへのアクセス権を設定する方法が提案されるようになされている。
【0007】
しかしながらこの方法の場合、高速プロセッサがメモリにアクセスしていない場合でも、低速プロセッサにおいては、アクセス要求に対して所定のクロック周期だけ待機させられることにより、低速プロセッサからのメモリアクセス要求に対し、レイテンシをロスしてしまう問題がある。またメモリへのアクセス要求に係る処理回路が3個以上の場合には、適用できない問題もある。
【特許文献1】特開平8−180027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、メモリ等へのアクセス権を複数の処理回路に適切かつ効率良く設定することができる調停装置、調停方法、調停方法のプログラム、調停方法のプログラムを記録した記録媒体を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決するため請求項1の発明においては、複数の処理回路からのアクセス要求に対して選択的にアクセス権を設定して、複数の処理回路からのアクセス要求を調停する調停装置に適用して、アクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係る処理回路にアクセス権を設定し、アクセス要求が競合した場合、優先順位に従って複数の処理回路からのアクセス要求に対してアクセス権を設定するようにして、基準回路のアクセス要求と基準回路より優先順位の低い処理回路のアクセス要求とが競合した場合、カウンタのカウント値と帯域制限値との比較により、基準回路及び基準回路より優先順位の低い処理回路に選択的にアクセス権を設定し、基準回路のアクセス要求と基準回路より優先順位の低い処理回路のアクセス要求とが競合した場合における、基準回路へのアクセス権の設定回数に対する、基準回路より優先権の低い処理回路へのアクセス権の設定回数を、帯域制限値に応じた値に設定する。
【0010】
また請求項11の発明においては、複数の処理回路からのアクセス要求に対して選択的にアクセス権を設定して、複数の処理回路からのアクセス要求を調停する調停方法に適用して、アクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係る処理回路にアクセス権を設定し、アクセス要求が競合した場合、優先順位に従って複数の処理回路からのアクセス要求に対してアクセス権を設定するアクセス権設定のステップとを有し、アクセス権設定のステップは、基準回路のアクセス要求と基準回路より優先順位の低い処理回路のアクセス要求とが競合した場合、カウンタのカウント値と帯域制限値との比較により、基準回路及び基準回路より優先順位の低い処理回路に選択的にアクセス権を設定し、基準回路のアクセス要求と基準回路より優先順位の低い処理回路のアクセス要求とが競合した場合における、基準回路へのアクセス権の設定回数に対する、基準回路より優先権の低い処理回路へのアクセス権の設定回数を、帯域制限値に応じた値に設定する。
【0011】
また請求項12の発明においては、演算処理手段による実行により、複数の処理回路からのアクセス要求に対して選択的にアクセス権を設定して、複数の処理回路からのアクセス要求を調停する調停方法のプログラムに適用して、アクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係る処理回路にアクセス権を設定し、アクセス要求が競合した場合、優先順位に従って複数の処理回路からのアクセス要求に対してアクセス権を設定するアクセス権設定のステップとを有し、アクセス権設定のステップは、基準回路のアクセス要求と基準回路より優先順位の低い処理回路のアクセス要求とが競合した場合、カウンタのカウント値と帯域制限値との比較により、基準回路及び基準回路より優先順位の低い処理回路に選択的にアクセス権を設定し、基準回路のアクセス要求と基準回路より優先順位の低い処理回路のアクセス要求とが競合した場合における、基準回路へのアクセス権の設定回数に対する、基準回路より優先権の低い処理回路へのアクセス権の設定回数を、帯域制限値に応じた値に設定する。
【0012】
また請求項13の発明においては、演算処理手段による実行により、複数の処理回路からのアクセス要求に対して選択的にアクセス権を設定して、複数の処理回路からのアクセス要求を調停する調停方法のプログラムを記録した記録媒体に適用して、調停方法のプログラムは、アクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係る処理回路にアクセス権を設定し、アクセス要求が競合した場合、優先順位に従って複数の処理回路からのアクセス要求に対してアクセス権を設定するアクセス権設定のステップとを有し、アクセス権設定のステップは、基準回路のアクセス要求と基準回路より優先順位の低い処理回路のアクセス要求とが競合した場合、カウンタのカウント値と帯域制限値との比較により、基準回路及び基準回路より優先順位の低い処理回路に選択的にアクセス権を設定し、基準回路のアクセス要求と基準回路より優先順位の低い処理回路のアクセス要求とが競合した場合における、基準回路へのアクセス権の設定回数に対する、基準回路より優先権の低い処理回路へのアクセス権の設定回数を、帯域制限値に応じた値に設定する。
【0013】
また請求項14の発明においては、撮像結果をモニタに表示すると共に記録媒体に記録し、記録媒体に記録した撮像結果をモニタで表示する電子スチルカメラに適用して、調停回路は、アクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係る回路にアクセス権を設定し、アクセス要求が競合した場合、優先順位に従って複数の回路からのアクセス要求に対してアクセス権を設定し、基準回路のアクセス要求と基準回路より優先順位の低い回路のアクセス要求とが競合した場合、カウンタのカウント値と帯域制限値との比較により、基準回路及び基準回路より優先順位の低い回路に選択的にアクセス権を設定し、基準回路のアクセス要求と基準回路より優先順位の低い回路のアクセス要求とが競合した場合における、基準回路へのアクセス権の設定回数に対する、基準回路より優先権の低い回路へのアクセス権の設定回数を、帯域制限値に応じた値に設定する。
【0014】
請求項1の構成により、調停装置に適用して、アクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係る処理回路にアクセス権を設定し、アクセス要求が競合した場合、優先順位に従って複数の処理回路からのアクセス要求に対してアクセス権を設定するようにして、基準回路のアクセス要求と基準回路より優先順位の低い処理回路のアクセス要求とが競合した場合、カウンタのカウント値と帯域制限値との比較により、基準回路及び基準回路より優先順位の低い処理回路に選択的にアクセス権を設定し、基準回路のアクセス要求と基準回路より優先順位の低い処理回路のアクセス要求とが競合した場合における、基準回路へのアクセス権の設定回数に対する、基準回路より優先権の低い処理回路へのアクセス権の設定回数を、帯域制限値に応じた値に設定すれば、この帯域制限値に応じてアクセス権を基準回路と基準回路より優先順位の低い処理回路とに振り分けて設定することができる。これによりこの帯域制限値により基準回路及び基準回路より優先順位の低い処理回路とで適切にアクセス権を設定することができる。またアクセス権が競合しない場合には、アクセス要求に係る処理回路にアクセス権を設定することができることにより、アイドル時間の発生を有効に回避して効率良くアクセス権を設定することができ、これらによりメモリ等へのアクセス権を複数の処理回路に適切かつ効率良く設定することができる。
【0015】
これにより請求項11、請求項12、請求項13、請求項14の構成によれば、メモリ等へのアクセス権を適切かつ効率良く設定することができる調停方法、調停方法のプログラム、調停方法のプログラムを記録した記録媒体、電子スチルカメラを提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、メモリ等へのアクセス権を複数の処理回路に適切かつ効率良く設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、適宜図面を参照しながら本発明の実施例を詳述する。
【実施例1】
【0018】
(1)実施例の構成
図2は、この実施例に適用される調停システムを示すブロック図である。この調停システム1は、例えば複数のMPU(Micro Processing Unit )c1〜cn+2によりメモリ2に記録されたデータを処理する構成に適用され、より具体的には、このメモリ2に記録されるデータが画像データである電子スチルカメラ等に適用される。
【0019】
これによりこの調停システム1において、MPUc1〜cn+2は、それぞれ各MPUc1〜cn+2に割り当てられた処理手順を実行し、メモリ2へのアクセスを要求するアクセス要求信号a1〜an+2を制御回路3に送出し、またこのアクセス要求信号a1〜an+2に対してメモリ2へのアクセスを許可するアクセス許可信号b1〜bn+2によりバスBUSを介してメモリ2をアクセスする。
【0020】
制御回路3は、これらMPUc1〜cn+2からのアクセス要求によりメモリ2のアクセスを制御する。すなわちこの制御回路3において、トランシーバー回路4は、調停回路5の制御により、アクセス許可に係るMPUc1〜cn+2からバスBUSを介して書き込み、読み出しに供するアドレスを受信してメモリコントローラ6に出力し、またこのアドレスに係るデータをMPUc1〜cn+2、メモリコントローラ6との間で入出力する。メモリコントローラ6は、調停回路5から出力されるメモリ転送開始信号eにより、トランシーバー回路4から出力されるアドレスにより、順次入力されるデータをメモリ2に記録し、またメモリ2に記録されたデータを読み出してトランシーバー回路4に出力する。
【0021】
調停回路5は、これらMPUc1〜cn+2からのアクセス要求を調停し、アクセス権を設定してアクセス許可信号b1〜bn+1、メモリ転送開始信号eを出力する。この実施例において、調停回路5は、図3に示すように、この調停システム1全体の動作を制御する図示しない上位のコントローラに、これらMPUc1〜cn+2に対してアクセス許可を与える優先順位P1、P2が複数種類、保持され、このコントローラにより、調停回路5に何れかの優先順位P1、P2が設定されるようになされている。
【0022】
帯域設定レジスタ7には、この調停システム1全体の動作を制御するコントローラにより、調停対象の処理回路であるMPUc1〜cn+2の1つを特定する基準回路が登録され、またこの基準回路と基準回路より優先順位の低いMPUとの間でアクセス要求が競合した場合において、基準回路へのアクセス権の設定回数に対して、基準回路より優先順位の低いMPUへのアクセス権の設定回数を指示する帯域制限値Lが設定されるようになされている。
【0023】
また調停回路5は、基準回路へのアクセス権の設定により初期値に設定されて、基準回路より優先順位の低いMPUへのアクセス権の設定をカウントするアクセス権設定用カウンタが設けられ、このアクセス権設定用カウンタのカウント値N、優先順位P1、P2、基準回路、帯域制限値Lを基準にしてMPUc1〜cn+2からのアクセス要求により各MPUc1〜cn+2にメモリ2へのアクセス権を設定する。この実施例において、調停回路5は、基準回路及び基準回路より優先順位の低いMPUにおいて、アクセス要求が競合した場合に限って、このアクセス権設定用カウンタにより優先順位の低いMPUへのアクセス権の設定をカウントする。
【0024】
図4は、このアクセス権設定用カウンタのカウント値Nの遷移を示す状態遷移図である。調停回路5は、起動直後において、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値0に設定し、この状態において、基準回路からのアクセス要求を受け付ける場合、矢印A1により示すように、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値1による初期値に設定する。これに対してアクセス権設定用カウンタのカウント値Nが値0の場合にあって、基準回路からアクセス要求を受け付けない場合、矢印A2により示すように、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値0に保持する。なおこのように基準回路からアクセス要求を受け付けない場合にあっては、基準回路からアクセス要求が得られない場合、基準回路と基準回路より優先順位の高いMPUとでアクセス要求が競合して優先順位の高いMPUにアクセス権を設定する場合等である。
【0025】
また基準回路からのアクセス要求を受け付けてアクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値1の初期値に設定した場合にあって、このアクセス要求に対してアクセス権を設定してアクセス要求の受け付けを完了した場合、矢印A3により示すように、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nをそのままの値に保持する。
【0026】
これに対してアクセス権設定用カウンタのカウント値Nを保持した状態で、基準回路よりも優先順位の低いMPUからのアクセス要求を受け付けた場合、矢印A4により示すように、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値1だけインクリメントし、このアクセス要求の受け付けを完了した場合、矢印A5により示すように、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを保持する。
【0027】
これに対してアクセス権設定用カウンタのカウント値Nを保持した状態で、基準回路より優先順位の高いMPUにアクセス権を設定する場合、何ら競合しないアクセス要求により基準回路にアクセス権を設定する場合、さらには何らアクセス権を設定しない場合、矢印A6に示すように、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nをそれまでの値に保持する。
【0028】
これに対してアクセス権設定用カウンタのカウント値Nを保持した状態で、このカウント値Nが帯域制限値Lと一致し、かつ基準回路からのアクセス要求を受け付ける場合、矢印A7に示すように、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値1による初期値に設定する。
【0029】
これに対してこの調停システム1全体の動作を制御するコントローラにより、帯域設定レジスタ7の内容を更新する場合、矢印A8、A9により示すように、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値0に設定する。
【0030】
これらにより調停回路5は、基準回路へのアクセス権の設定によりカウント値Nを値1の初期値に設定し、基準回路より優先順位の低いMPUへのアクセス権を設定する場合、このアクセス権の設定回数を順次カウンタによりカウントするようになされている。
【0031】
調停回路5は、このカウント値N、優先順位P1、P2、基準回路、帯域制限値Lを基準にして、図1及び図5に示す処理手順を実行することにより、各MPUc1〜cn+2にメモリ2へのアクセス権を設定する。なおこの実施例において、この図1及び図5の処理、図4について上述したカウンタの処理に係るプログラムにおいては、事前にインストールされて提供されるようになされているものの、インターネット等のネットワークを介したダウンロードにより提供するようにしてもよく、さらには各種の記録媒体を介して提供するようにしてもよい。なおこのような記録媒体にあっては、メモリカード、光ディスク等、各種の記録媒体を広く適用することができる。
【0032】
すなわち調停回路5は、電源の起動によりこの処理手順を開始すると、ステップSP1からステップSP2に移り、この調停システム1全体の動作を制御するコントローラにより、優先順位、基準回路の指定を受け、また帯域制限値Lの設定を受けて帯域設定レジスタ7の内容を更新し、続くステップSP3において、調停処理を開始する。調停回路5は、続くステップSP4において、何れかのMPUからアクセス要求が得られたか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP4を繰り返す。これにより調停回路5は、MPUからのアクセス要求を待機し、何れかのMPUからアクセス要求が得られると、ステップSP4からステップSP5に移る。
【0033】
このステップSP5において、調停回路5は、帯域設定レジスタ7の帯域制限値Lが値2以上の有効な値に設定されているか否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP6に移り、ステップSP2で設定した優先順位P1又はP2によりアクセス要求に係るMPUに基準回路より優先順位が上位のプロセッサが含まれているか否か判断する。ここで肯定結果が得られると、調停回路5は、ステップSP6からステップSP7に移り、優先順位に従ってアクセス要求のあったMPUの中で最も優先順位の高いMPUに対してアクセス権を設定した後、ステップSP8に移る。
【0034】
これに対してステップSP6で否定結果が得られると、調停回路5は、ステップSP9に移り、ここでアクセス要求に係るMPUに基準回路が含まれているか否か判断する。ここで肯定結果が得られると、調停回路5は、ステップSP9からステップSP10に移り、基準回路に対してアクセス権を設定した後、ステップSP8に移る。
【0035】
これに対してステップSP9で否定結果が得られると、調停回路5は、ステップSP11に移り、ここでアクセス要求に係るMPUに基準回路より優先順位が下位のMPUが含まれているか否か判断する。ここで肯定結果が得られると、調停回路5は、ステップSP11からステップSP12に移り、優先順位に従ってアクセス要求のあったMPUの中で最も優先順位の高いMPUに対してアクセス権を設定した後、ステップSP8に移る。なおステップSP11で否定結果が得られた場合にあっても、調停回路5は、ステップSP8に移る。
【0036】
これらにより調停回路5は、帯域設定レジスタ7の帯域制限値Lが有効な値に設定されていない場合、上位のコントローラにより指示された優先順位に従ってアクセス権を設定してMPUc1〜cn+2からのアクセス要求を調停するようになされている。調停回路5は、このようにしてアクセス要求を調停すると、ステップSP8において、上位のコントローラ内の優先順位P1、P2変更指示、上位のコントローラから帯域設定レジスタ7の変更が指示されたか否か判断し、ここで肯定結果が得られると、ステップSP2に移り、優先順位の変更内容の更新、帯域設定レジスタ7の内容を更新すると共に、優先順位、基準回路の変更を受け付けるのに対し、ステップSP8で否定結果が得られると、ステップSP3に移り、続く処理を実行する。
【0037】
これに対して帯域設定レジスタ7の帯域制限値Lが値2以上の有効な値に設定されている場合、調停回路5は、ステップSP5で肯定結果が得られることにより、ステップSP5からステップSP14に移る(図5)。ここで調停回路5は、アクセス要求に係るMPUに基準回路より優先順位が上位のプロセッサが含まれているか否か判断する。ここで肯定結果が得られると、調停回路5は、ステップSP14からステップSP15に移り、優先順位に従ってアクセス要求のあったMPUの中で最も優先順位の高いMPUに対してアクセス権を設定した後、ステップSP8に移る。これにより調停回路5は、基準回路より優先順位の高いMPUからアクセス要求があった場合には、優先順位の設定に従って、順次アクセス権を設定するようになされている。
【0038】
これに対してステップSP14で否定結果が得られると、調停回路5は、ステップSP14からステップSP16に移る。ここで調停回路5は、アクセス要求に係るMPUが基準回路か否か判断し、ここで肯定結果が得られると、ステップSP16からステップSP17に移り、アクセス要求に係るMPUに基準回路より優先順位が下位のプロセッサが含まれているいか否か判断する。ここで肯定結果が得られると、調停回路5は、ステップSP17からステップSP18に移り、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nが値0又は値Lか否か判断し、ここで肯定結果が得られると、ステップSP19に移り、基準回路からのアクセス要求に対してアクセス権を設定してステップSP8に移る。
【0039】
これにより調停回路5は、基準回路と基準回路より優先順位の低いプロセッサとの間でアクセス要求が競合した場合、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nが値0又は値1であることを条件に、基準回路にアクセス権を設定するようになされている。
【0040】
これに対してステップSP18で否定結果が得られると、調停回路5は、ステップSP18からステップSP20に移る。ここで調停回路5は、基準回路によるアクセス要求がキャッシュライトバックに係るリード要求のアクセス要求か否か判断し、ここで否定結果が得られると、ステップSP20からステップSP21に移り、基準回路からのアクセス要求を待機させ、残りの優先順位が基準回路よりも下位のプロセッサ内において、優先順位に従ってアクセス権を設定してステップSP8に移る。
【0041】
これにより調停回路5は、基準回路と基準回路より優先順位の低いプロセッサとの間でアクセス要求が競合した場合であって、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nが値0又は値1以外の場合、基準回路からのアクセス要求を待機させ、優先順位に従って下位プロセッサにアクセス権を設定するようになされている。
【0042】
しかしてステップSP18における判断基準であるアクセス権設定用カウンタのカウント値Nにおいては、図4について上述したように、このように基準回路、下位プロセッサでアクセス要求が競合した場合であって、下位プロセッサにアクセス権を設定した場合に歩進することにより、例えばこのアクセス権設定用カウンタのカウント値Nに係る帯域制限値Lを値5に、基準回路をMPUcnに設定した場合であって、調停回路5のクロックCK(図6(A))を基準にして図6に示すように、初期状態により例えば時点T1で基準回路であるMPUcnと、優先順位が下位のMPUcn+1、cn+2のアクセス要求が競合した場合(図6(B1)、(C1)及び(D1))、調停回路5は、基準回路にアクセス権を設定し(図6(B2)、(C2)、(D2)及び(E))、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値0から値1に更新する(図6(F))。
【0043】
またこのアクセス権の設定に係る処理が完了すると、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nが帯域制限値Lとなるまでの間、基準回路cnのアクセス要求を待機させ、上位及び下位のプロセッサに対して優先順位に従って順次アクセス権を設定し、下位のプロセッサに対するアクセス権の設定によりアクセス権設定用カウンタのカウント値Nを歩進する。これによりこの図6の例では、時点T1の処理周期に係るアクセス権の設定において、下位のMPUcn+1、cn+2のアクセス要求が待機していることにより、続く時点T2において、この下位のMPUcn+1、cn+2のアクセス要求に対して優先順位の高い側のMPUcn+1にアクセス権を設定し、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値1から値2に更新する。また続く時点T3では、基準回路cnからのアクセス要求が立ち上がっているにも係わらず、これを待機させ、MPUcn+2のアクセス要求に対してアクセス権を設定し、この場合基準回路からもアクセス要求が得られていることによりアクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値2から値3に更新する。
【0044】
また続く時点T4では、さらに基準回路cnのアクセス要求を待機させて、MPUcn+1のアクセス要求に対してアクセス権を設定し、この場合もアクセス要求が競合していることによりアクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値3から値4に更新する。また続く時点T5では、さらに基準回路cnのアクセス要求を待機させて、MPUcn+2のアクセス要求に対してアクセス権を設定し、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値4から値5に更新し、ここでカウント値Nが帯域制限値Lと一致することにより、続く時点T6でそれまで待機させた基準回路cnのアクセス要求に対して、アクセス権を設定する。
【0045】
これにより基準回路cnにおいては、上位のプロセッサのアクセス要求に対してアクセス権を設定して残るアクセス権の帯域について、帯域制限値Lによる複数の処理周期で、最低、1回は、メモリ2をアクセスすることができるようになされている。これによりこの調停システム1では、優先順位に従ってアクセス権を設定するようにして、基準回路については、この帯域制限値Lの分、メモリ2へのアクセス権を最低限、確保することができるようになされ、これによりメモリへのアクセス権を複数の処理回路に適切かつ効率良く設定することができるようになされている。また基準回路よりも優先順位の低いMPUにあっても、同様に基準回路にアクセス権を設定して残る帯域を確保し得、これにより、メモリへのアクセス権を適切かつ効率良く設定することができるようになされている。
【0046】
これに対してステップSP17で否定結果が得られると、調停回路5は、ステップSP17からステップSP22に移り、この場合、基準回路以外のプロセッサからはアクセス要求が得られていないことにより、基準回路にアクセス権を設定し、ステップSP8に移る。またステップSP16で否定結果が得られると、この場合、ステップSP16からステップSP23に移り、優先順位に従ってアクセス権を設定し、ステップSP8に戻る。これによりこの調停システム1では、メモリ2へのアクセスに係る帯域に余裕がある場合には、帯域制限値Lによる帯域制限を越えて、基準回路にアクセス権を設定するようになされ、また下位のプロセッサにアクセス権を設定するようになされ、その分、メモリ2へのアクセスを効率良く実行するようになされている。
【0047】
すなわちこの図6との対比により、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nに係る帯域制限値Lを値3に、基準回路をMPUcnに設定した場合を図7に示すように、初期状態により例えば時点T1で基準回路であるMPUcnと、優先順位が下位のMPUcn+1のアクセス要求が競合した場合(図7(A)、(B1)、(C1)及び(D1))、調停回路5は、基準回路にアクセス権を設定し(図7(B2)、(C2)、(D2)及び(E))、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値0から値1に設定する(図7(F))。またこの続く時点T2において、アクセス要求を待機した下位のMPUcn+1のアクセス要求に対してアクセス権を設定し、この場合基準回路との間でアクセス要求が競合していることにより、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値1から値2に更新する。これによりこの場合も、調停回路5は、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを順次更新しながら、優先順位に従って順次アクセス権を設定する。
【0048】
このようにして続く時点T3において、基準回路のみからアクセス要求が得られている場合、調停回路5は、この基準回路cnからのアクセス要求に対してアクセス権を設定する。またこの場合、図4について上述した符号A6に示す遷移により、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値2に保持する。これにより調停回路5は、無駄なアイドル期間を防止して基準回路cnに余分にアクセス権を設定する。
【0049】
また続く時点T4において、下位のプロセッサcn+1、cn+2のアクセス要求が競合している場合、優先順位の高い側のプロセッサcn+1にアクセス権を設定し、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値2から値3に更新する。また続く時点T5において、続く優先順位のプロセッサcn+2からのみアクセス要求が得られることにより、このプロセッサcn+2のアクセス要求に対してアクセス権を設定し、この場合も、図4について上述した符号A6に示す遷移により、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値3に保持する。これにより調停回路5は、この場合も、無駄なアイドル期間を防止して基準回路cn以外のプロセッサにアクセス権を設定する。
【0050】
しかして調停回路5は、この時点T4に係る処理周期において、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nが帯域制限値Lと一致することにより、続く時点T6において、基準回路からのアクセス要求が得られると、この基準回路のアクセス要求にアクセス権を設定し、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値1の初期値に設定する。
【0051】
これに対してステップSP20で肯定結果が得られると、この場合、調停回路5は、ステップSP20からステップSP19に移り、基準回路にアクセス権を設定する。
【0052】
これにより図6との対比により帯域制限値Lを値3に、基準回路をMPUcnに設定した場合により図9に示すように、調停回路5は、初期状態により例えば時点T1で基準回路であるMPUcnと、優先順位が下位のMPUcn+1、cn+2のアクセス要求が競合した場合(図8(A)、(B1)、(C1)及び(D1))、基準回路にアクセス権を設定し(図8(B2)、(C2)、(D2)及び(E))、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値0から値1に設定する(図8(F))。またこの続く時点T2において、ライトバックのメモリアクセス要求を受け付けた後のリード要求が基準回路より得られると、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値1に保持したまま、基準回路にアクセス権を設定する。
【0053】
これにより調停回路5は、この基準回路がライトバック方式のキャッシュシステムの場合にあって、キャッシュシステムのリード時に、キャッシュミスヒットを起こした場合、キャッシュ内のデータをメモリへライトバックするようにして、その後、メモリからリードを行う場合、このリードに係るアクセス要求に対して優先的にアクセス権を設定するようになされ、これにより基準回路におけるキャッシュシステムの効率を向上するようになされている。
【0054】
しかしてこの図8の例では、続く時点T3、T4において、それぞれアクセス要求を待機させているMPUcn+1、cn+2に順次アクセス権を設定し、またカウンタのカウント値Nを順次歩進するようになされている。
【0055】
なおこの図8との対比により、帯域制限値Lを値2に設定し、基準回路をMPUcnに、基準回路より優先順位の上位及び下位のプロセッサをそれぞれMPUcn−1、MPUcn+1に設定した場合を図9に示すように、調停回路5は、このようなライトバックに係るリード要求の優先的な処理において、優先順位が上位のプロセッサからのアクセス要求が存在する場合、この優先順位が上位のプロセッサに対するアクセス権の設定を優先する。
【0056】
すなわちこの場合、調停回路5は、初期状態により例えば時点T1で基準回路であるMPUcnと、優先順位が下位のMPUcn+1のアクセス要求が競合した場合(図9(A)、(B1)、(C1)及び(D1))、基準回路にアクセス権を設定し(図9(B2)、(C2)、(D2)及び(E))、アクセス権設定用カウンタのカウント値Nを値0から値1に設定する(図9(F))。また続く時点T2において、ライトバックのメモリアクセス要求が発生し、ここで基準回路より優先順位の高いMPUcn−1からもアクセス要求があった場合、優先順位の高いMPUcn−1にアクセス権を設定し、基準回路からのリード要求に係るアクセス要求を待機させる。また続く時点T3において、基準回路と、優先順位が下位のMPUcn+1のアクセス要求が競合した場合、基準回路のリード要求に係るアクセス要求を優先して設定する。
【0057】
なおこの図9の例では、続く時点T4において、優先順位の高いMPUcn−1から再びアクセス要求が得られることにより、調停回路5は、このMPUcn−1にアクセス権を設定し、続く時点T5で最も優先順位の低いMPUcn+1にアクセス権を設定し、このとき、始めてカウンタのカウント値Nを値1から値2に更新するようになされている。
【0058】
しかしてこのようにして各アクセス要求に対してアクセス権を設定するようにして、調停回路5は、ステップSP8において、上位のコントローラ内の優先順位P1、P2変更指示、上位のコントローラから帯域設定レジスタ7の変更が指示されたか否か判断し、この判断結果によりステップSP2、ステップSP3の処理を実行することにより、この一連の処理に係る優先順位の設定、基準回路の設定、帯域制限値Lを、上位のコントローラからの指示により全体の処理の状況に応じて適宜変更するようになされ、これによってもメモリへのアクセス権を複数の処理回路に適切かつ効率良く設定することができるようになされている。
【0059】
(2)実施例の動作
以上の構成において、この調停システム1では、MPUc1〜cn+2からのアクセス要求に対して調停回路5でアクセス要求を送出したMPUc1〜cn+2に選択的にアクセス権が設定され、このアクセス権が設定されてなるMPUc1〜cn+2によりバスBUSにアドレスが送出されてメモリ2がアクセスされる。
【0060】
調停システム1では、このような調停の処理を開始する際に、上位のコントローラにより、アクセス権設定処理の優先順位P1、P2、MPUc1〜cn+2の1つの特定する基準回路が登録され、またこの基準回路と基準回路より優先順位の低いMPUとの間でアクセス要求が競合した場合において、基準回路へのアクセス権の設定回数に対して、基準回路より優先順位の低いMPUへのアクセス権の設定回数を指示する帯域制限値Lが設定される。
【0061】
調停システム1では、アクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係るMPUに対してアクセス権が設定されるのに対し、アクセス要求が競合した場合には、優先順位に従ってアクセス権が設定される。これにより例えばアクセス要求を発行してアクセス権が割り当てられるまでの待機時間を短くすることが求められるようなリアルタイムの処理に係るMPUについては、優先順位を高く設定し、これとは逆に例えばバックグランドの処理のようなリアルタイム性が必要とされないような処理に係るMPUについては、優先順位を低く設定し、各MPUに適切にアクセス権を設定することができる。
【0062】
しかしながらこのようにすると、優先順位の低いMPUにあっては、全くアクセス権を取得できない場合も発生する。これによりこの実施例では、基準回路と基準回路より優先順位が低いMPUとの間でアクセス権が競合する場合には、基準回路にアクセス権を設定してアクセス権設定用カウンタのカウント値を値1による初期値に設定し、基準回路より優先順位の低い処理回路へのアクセス権の設定をカウントするようにして、基準回路、基準回路より優先順位が低いMPUでアクセス権が競合した場合にあってカウント値Nが値1の場合、基準回路へのアクセス権の設定を中止して、基準回路より優先順位の低いMPUに優先順位に従ってアクセス権を設定し、カウンタのカウント値Nが帯域制限値Lと一致して、基準回路と基準回路より優先順位が低いMPUとの間でアクセス権が競合する場合に、基準回路にアクセス権が設定される。
【0063】
これにより基準回路より優先順位の高いMPUにアクセス権を設定して余るメモリ2へのアクセスに係る帯域を、この帯域制限値Lによる割合だけ、基準回路と基準回路より優先順位の低いMPUとに割り振ることができ、優先順位の低いMPUにあっても、アクセス権を確保することができる。これにより適切にアクセス権を設定することができる。
【0064】
また何らアクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係るMPUにアクセス権を設定することにより、無駄なアイドリング時間の発生を有効に回避することができ、これにより効率良くアクセス権を設定することができる。
【0065】
しかしてこのようにカウンタのカウント値Nにより、基準回路へのアクセス権の設定を中止して優先順位の低いMPUにアクセス権を設定するようにして、この優先順位の低いMPUに対するアクセス権の設定を、優先順位に従って設定することにより、優先順位の高いMPUにアクセス権を設定して余るメモリ2へのアクセスに係る帯域を、帯域制限値Lによる割合だけ、基準回路と基準回路より優先順位の低いMPUとに割り振るようにして、基準回路より優先順位の低いMPU間においても、優先順位の設定により適切にアクセス権を配分することができ、これによっても一段と適切にアクセス権を設定することができる。
【0066】
また基準回路より優先順位が高い側においても、優先順位に従ってアクセス権を設定することにより、この優先順位が高い側に関しても、優先順位の設定により適切にアクセス権を配分することができ、これによっても一段と適切にアクセス権を設定することができる。
【0067】
またこのようにしてカウンタによるカウント値を基準Nにしてアクセス権を設定するようにして、このカウンタにおいては、基準回路、基準回路より優先順位の低いMPUにおいて、アクセス要求が競合した場合に限って、基準回路より優先順位の低い処理回路へのアクセス権の設定をカウントするようになされ、また、基準回路又は基準回路より優先順位の低いMPUからのアクセス要求が競合しない場合、このアクセス要求に係る基準回路又はMPUにアクセス権を設定するようになされ、これにより何らアクセス権が競合しない場合にはアクセス要求に係るMPUにアクセス権を設定して効率良くアクセス権を設定するようにして、基準回路と基準回路より優先順位の低いMPUとの間でアクセス要求が競合した場合に限って帯域制限値Lによりアクセス権を配分することができる。これによりメモリ2へのアクセスに余裕が無い場合に限って、帯域制限値Lによりアクセス権を割り振ることができ、これによっても適切にアクセス権を設定することができる。
【0068】
また基準回路がライトバック方式のキャッシュシステムの場合にあって、キャッシュシステムのリード時、キャッシュミスヒットによりキャッシュ内のデータをメモリ2へライトバックするようにして、このライトバック直後のリードに係るアクセス要求については、カウンタの値Nを無視して、基準回路に優先的にアクセス権を設定するようになされ、これにより基準回路におけるキャッシュシステムの効率を向上するようになされている。
【0069】
またこのようなリードに係るアクセス要求についても、基準回路より優先順位の高いMPUのアクセス要求と競合した場合、この優先順位の高いMPUにアクセス権を設定することにより、優先順位の高いMPUにおける処理を優先させて適切にアクセス権を設定することができる。
【0070】
この調停システム1では、このように優先順位の設定、基準回路の設定、帯域制限値L、カウント値Nにより順次アクセス権を設定するようにして、上位のコントローラからの指示により、これらの値が更新され、これにより全体の処理の状況に応じてアクセス権の設定を適宜変更することができるようになされ、これによってもメモリへのアクセス権を複数の処理回路に適切かつ効率良く設定することができるようになされている。
【0071】
(3)実施例の効果
以上の構成によれば、優先順位に従ってアクセス権を設定することを前提にして、基準回路からのアクセス要求と、基準回路より優先順位の低い処理回路からのアクセス要求とが競合した場合に、基準回路へのアクセス権の設定回数に対する優先順位の低い処理回路へのアクセス権の設定回数が、事前の帯域制限値に応じた値となるようにアクセス権を設定することにより、メモリ等へのアクセス権を複数の処理回路に適切かつ効率良く設定することができる。
【0072】
また基準回路より優先順位の低い処理回路へのアクセス権の設定を、優先順位に従って設定することにより、このように基準回路へのアクセス権の設定回数と優先順位の低い処理回路へのアクセス権の設定回数が事前の帯域制限値に応じた値となるようにアクセス権を設定するようにして、優先順位の低い側にあっても、優先順位に従って適切にアクセス権を設定することができる。
【0073】
また基準回路より優先順位の高い処理回路からのアクセス要求が存在する場合には、優先順位に従って基準回路より優先順位の高い処理回路にアクセス権を設定することにより、優先順位の高い側にあっても、優先順位に従って適切にアクセス権を設定することができる。
【0074】
またこのようなアクセス権の設定基準であるカウンタによるアクセス権設定のカウントが、基準回路、基準回路より優先順位の低い処理回路において、アクセス要求が競合した場合の、基準回路より優先順位の低い処理回路へのアクセス権の設定回数であり、基準回路又は基準回路より優先順位の低い処理回路からのアクセス要求が競合しない場合、アクセス要求に係る基準回路又は処理回路にアクセス権を設定することにより、メモリ2へのアクセスに余裕が無い場合に限って、帯域制限値によりアクセス権を割り振ることができ、これによっても適切にアクセス権を設定することができる。
【0075】
また基準回路が、ライトバック方式のキャッシュシステムの場合にあって、メモリへのライトバックに係るアクセス要求に対してアクセス権を設定し、続くメモリからのリード要求に係るアクセス要求については、優先的に基準回路にアクセス権を設定することにより、基準回路におけるキャッシュシステムの効率を向上することができる。
【0076】
またこのようなリードに係るアクセス要求についても、基準回路より優先順位の高いMPUのアクセス要求と競合した場合、この優先順位の高いMPUにアクセス権を設定することにより、優先順位の高いMPUにおける処理を優先させて適切にアクセス権を設定することができる。
【0077】
またこのような処理に係る優先順位の設定、基準回路の設定、帯域制限値を更新することにより、全体の処理の状況に応じてアクセス権の設定を適宜変更することができ、これによってものアクセス権を複数の処理回路に適切かつ効率良く設定することができる。
【実施例2】
【0078】
図10は、本発明の実施例2に係る電子スチルカメラを示すブロック図である。この電子スチルカメラ11においては、実施例1に係るメモリへのアクセス要求の調停を、バスBUSへのアクセス要求の調停に適用する。
【0079】
すなわち電子スチルカメラ11において、撮像素子12は、CCD(Charge Coupled Device )、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor )等による固体撮像素子であり、前処理回路13に設けられたVドライバー14から出力される各種のタイミング信号により動作して撮像結果を出力する。
【0080】
前処理回路13は、この撮像素子12の出力信号を処理して撮像結果による画像データを出力する。すなわち前処理回路13において、タイミングジェネレータ(TG)15は、この電子スチルカメラ11の動作に必要な各種タイミング信号を生成して出力し、Vドライバー14は、このタイミングジェネレータ15で生成される各種のタイミング信号により撮像素子12の駆動に供するタイミング信号を生成して出力する。信号処理回路16は、撮像素子12の出力信号を相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)した後、AGC(Automatic Gain Control)により利得を補正する。またさらにADC(Analog to Digital Converter )回路によりディジタル信号に変換し、これにより画像データを出力する。
【0081】
この電子スチルカメラ11では、これにより前処理回路13を介して撮像結果による画像データを取得し、ユーザーによる操作に応動して中央処理ユニット(CPU:Central
Processing Unit )18によりDSP(Digital Signal Processor)19等の動作を制御することにより、前処理回路13により得られる撮像結果をモニタ20により確認して記録メディア21に記録し、またこのようにして記録メディア21に記録した撮像結果をモニタ20により確認できるようになされている。
【0082】
このため中央処理ユニット18は、ユーザーインターフェースである操作子23の操作に応動して、ワークメモリであるランダムアクセスメモリ(RAM:Random Access Memory)24を用いてEEPROM((Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory )25に記録されたプログラムを実行することにより、各部の動作を制御する。この制御において中央処理ユニット18は、DSP19との間のデータ通信によりDSP19の動作を制御し、このDSP19の外部メモリであるメモリ27に撮像結果に係る画像データを一時保持して処理する。
【0083】
すなわちモニタ20は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)等により形成され、DSP19から出力される画像データによる画像を表示する。記録メディア21は、この電子スチルカメラ11に着脱可能に保持された記録手段であり、例えば半導体メモリを用いたいわゆるメモリカード、DVD(Digital Versatile Disk)、CD(Compact Disc)等の光ディスク、ハードディスク装置等が適用される。メモリ27は、例えばSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)により構成され、DSP19の処理に係る画像データを一時記録して保持する。
【0084】
これに対してDSP19は、中央処理ユニット18の制御により所定の処理プログラムを実行することにより、前処理回路13から出力される画像データを処理してモニタ20に表示し、また記録メディア21に記録する。またこれとは逆に、記録メディア21に記録された画像データをモニタ20により表示する。なおこの実施例において、このDSP19の処理プログラムにおいては、事前にインストールされて提供されるようになされているものの、インターネット等のネットワークを介したダウンロードにより提供するようにしてもよく、さらには各種の記録媒体を介して提供するようにしてもよい。なおこのような記録媒体にあっては、メモリカード、光ディスク等、各種の記録媒体を広く適用することができる。
【0085】
すなわちDSP19において、バスインターフェースユニット(BIU:Bus Interface Unit)29は、中央処理ユニット18との間のデータ通信に供するインターフェースであり、中央処理ユニット18からコマンドをバスBUSを介してDSP19の各部に通知し、またこのコマンドの通知による各部の応答をバスBUSを介して取得して中央処理ユニット18に通知する。
【0086】
カメラ信号処理回路30は、バスBUSを介して得られる中央処理ユニット18からのコマンドにより動作を切り換え、画像データのキャプチャ時、前処理回路13から撮像素子12の駆動に同期して順次出力される画像データを取得してホワイトバランス調整、ガンマ補正し、メモリ制御回路31を介してメモリ27に記録する。またこのようにしてキャプチャの処理を完了すると、メモリ27に記録してなる画像データをメモリ制御回路31を介して取得し、この画像データを赤色、緑色、青色の色データによる画像データに変換し、この色データによる画像データをメモリ制御回路31を介してメモリ27に記録する。これによりカメラ信号処理回路30は、キャプチャ時、撮像素子12の駆動に同期したリアルタイムの処理により画像データを処理してメモリ27に格納するのに対し、キャプチャ後においては、このようなリアルタイムの処理を終了してメモリ27に記録された画像データを逐次処理するようになされている。
【0087】
解像度変換回路32は、同様のバスBUSを介して得られる中央処理ユニット18からのコマンドにより動作を切り換え、メモリ27に保持してなる画像データをメモリ制御回路31を介して取得して解像度を変換し、メモリ制御回路31を介してメモリ27に格納する。コーディック33は、同様のバスBUSを介して得られる中央処理ユニット18からのコマンドにより動作を切り換え、メモリ27に保持してなる画像データをメモリ制御回路31を介して取得してJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group )、MPEG(Moving Picture Experts Group)等によりデータ圧縮してメディア制御回路35に出力する。またメディア制御回路35から出力される画像データを取得してデータ伸長し、メモリ制御回路31を介してメモリ27に格納する。メディア制御回路35は、同様のバスBUSを介して得られる中央処理ユニット18からのコマンドにより動作を切り換え、コーディック33の出力データを記録メディア21に記録する。またこれとは逆に、記録メディア21に記録した画像データを読み出し、この画像データをコーディック33に出力する。これらにより解像度変換回路32、コーディック33、メディア制御回路35は、メモリ27又は記録メディア21に記録された画像データを逐次処理するようになされている。
【0088】
表示制御回路36は、同様のバスBUSを介して得られる中央処理ユニット18からのコマンドにより動作を切り換え、メモリ27に保持してなる画像データをメモリ制御回路31を介して取得し、この画像データによりモニタ20を駆動する。これにより表示制御回路36は、モニタ20の駆動に同期したリアルタイムの処理によりメモリ27に記録された画像データを処理するようになされている。
【0089】
しかしてDSP19においては、これら各部30〜36の動作により、キャプチャ時、前処理回路13から出力される画像データをカメラ信号処理回路30により処理してメモリ27に格納するようになされている。またこのキャプチャによりメモリ27に保持した画像データについて、カメラ信号処理回路30により処理してメモリ27に一時格納した後、解像度変換回路32により画サイズを変更してメモリ27に格納し、続いて表示制御回路36によりこの画像データを読み出してモニタ20の駆動に供するようになされ、これにより撮像結果をモニタ20により確認できるようになされている。
【0090】
またこれらの処理と同時並列的に、キャプチャによりメモリ27に保持した画像データを、別途、解像度変換回路32により画サイズを変更してメモリ27に格納し、続いてコーディック33によりデータ圧縮してメディア制御回路35より記録メディア21に記録するようになされている。
【0091】
これに対してこのようにして記録メディア21に記録した画像データによる撮像結果をモニタする場合、記録メディア21に記録された画像データをコーディック33によりデータ伸長してメモリ27に一時格納した後、この画像データを表示制御回路36により読み出してモニタ20の駆動に供するようになされ、これによりモニタ20により確認できるようになされている。
【0092】
これらによりDSP19では、カメラ信号処理回路30、解像度変換回路32、コーディック33、表示制御回路36による複数の処理回路でメモリ27をアクセスするようになされ、このアクセスに供するバスBUSがこれらの処理回路とBIU29、メディア制御回路35とで共通に使用されるようになされている。これによりDSP19では、これら各部からのバスアクセス要求をメモリ制御回路31に設けられた調停回路により調停するようになされている。
【0093】
しかしてこのメモリ制御回路31に設けられている調停回路においては、調停に係るアクセス要求がバスの占有を求めるアクセス要求に係る点を除いて、実施例1について上述した調停回路と同一に構成され、これにより優先順位の設定、基準回路の設定、帯域制限値の設定により、バスBUSのアクセス権を適切かつ効率良く設定するようになされている。
【0094】
さらにこの電子スチルカメラ11においては、中央処理ユニット18の制御により、第1及び第2の優先順位が選択的に調停回路に設定されるようになされている。ここで第1の優先順位は、表示制御回路36、カメラ信号処理回路30、BIU29、解像度変換回路32、コーディック33、メディア制御回路35の順位に優先順位が設定されるのに対し、第2の優先順位は、第1の優先順位におけるカメラ信号処理回路30とBIU29との順位が入れ換えられて、表示制御回路36、BIU29、カメラ信号処理回路30、解像度変換回路32、コーディック33、メディア制御回路35の順位に優先順位が設定される。
【0095】
中央処理ユニット18は、キャプチャ時、第1の優先順位を調停回路に設定し、これによりこのキャプチャ時におけるリアルタイムの処理系である表示制御回路36、カメラ信号処理回路30に優先的にアクセス権を設定する。しかしてBIU29は中央処理ユニット18からの制御に係るインターフェースであり、解像度変換回路32、コーディック33、メディア制御回路35にあっては、リアルタイムの処理を要しない。これにより中央処理ユニット18は、中央処理ユニット18からのコマンドに係るバスBUSの占有に優先して、表示制御回路36、カメラ信号処理回路30の処理を優先させるようになされている。
【0096】
これに対してキャプチャの処理を完了すると、中央処理ユニット18は、第2の優先順位を調停回路に設定する。これにより中央処理ユニット18は、中央処理ユニット18からの制御を優先するようにして、ユーザーインターフェース等を向上するようになされている。しかしてこのように中央処理ユニット18の優先順位を高く設定した場合にあって、使用する中央処理ユニット18により中央処理ユニット18からのアクセス頻度が多過ぎると、解像度変換回路32、コーディック33、メディア制御回路35における処理に時間を要することになる。しかしながらこの場合に、このBIU29を基準回路に設定して帯域制限値を設定すれば、中央処理ユニットのアクセス頻度が多過ぎる場合であっても、中央処理ユニット18によるバス権独占を防止することができ、これにより解像度変換回路32、コーディック33、メディア制御回路35において適切に画像データを処理することができる。
【0097】
また中央処理ユニット18は、記録メディア21に記録された撮像結果をモニタ20により表示する場合、第2の優先順位を調停回路に設定する。これによりこの場合も、バス権を効率良くかつ適切に各回路ブロックに割り当てるようになされている。しかしてこのような記録メディア21に記録された撮像結果をモニタ20に表示する場合にあっては、リアルタイムアクセスは表示制御回路36のみであることにより、このように表示制御回路36を高い優先順位に設定して撮像結果を違和感なく表示することができる。
【0098】
なおこの電子スチルカメラ11においては記録メディア21に記録した撮像結果をモニタする場合、コーディック33により黒パディング用の画像データを生成してメモリ27に記録した後、解像度変換回路32から出力される画像データを上書きによりメモリ27に記録し、これにより黒色の背景により1枚又は複数枚の撮像結果をモニタ20により表示する。この電子スチルカメラ11では、この場合にも一時的にコーディック33の優先順位を高く設定することにより、黒パディングの処理に係る画像データを連続してメモリ27に記録し、その後、BIU29の優先順位を高く設定し直すことにより、互いにバス権を取得して効率良く撮像結果をモニタに表示するようになされ、いわゆるバス権の独占を防止することができる。
【0099】
しかしてこの電子スチルカメラ11において、カメラ信号処理回路30は、撮像結果による画像データを処理してバスに出力する画像データ処理回路を構成し、コーディック33、メディア制御回路35は、バスに接続されて、画像データをデータ圧縮して記録媒体に記録し、記録媒体に記録された画像データをデータ伸長してバスに出力する記録再生回路を構成するようになされている。また表示制御回路36は、バスに接続されて、画像データを取得してモニタに表示する表示回路を構成し、中央処理ユニット18、BIU29は、バスに接続されて、画像データ処理回路、記録再生回路、表示回路の動作を制御するコマンドをバスに出力する制御回路を構成し、メモリ27は、メモリ制御回路31を介してバスに接続されて、画像データを一時保持する記憶回路を構成するようになされている。
【0100】
図10の構成によれば、バスのアクセス要求に関して、優先順位に従ってアクセス権を設定することを前提にして、基準回路からのアクセス要求と、基準回路より優先順位の低い処理回路からのアクセス要求とが競合した場合に、基準回路へのアクセス権の設定回数に対する優先順位の低い処理回路へのアクセス権の設定回数が、事前の帯域制限値に応じた値となるようにアクセス権を設定することにより、バスへのアクセス権を複数の処理回路に適切かつ効率良く設定することができる。
【0101】
またキャプチャ、キャプチャ以外の動作モードの切り換えにより、優先順位を切り換えることにより、リアルタイム系のアクセスにおいてはバスを破綻させること無く画像データを処理し得、非リアルタイムアクセスでも帯域制御を設定することで、互いにバスを効率良く使用することができる。
【実施例3】
【0102】
なお上述の実施例2においては、基準回路をBIUに設定して優先順位のみを切り換える場合について述べたが、本発明はこれに限らず、動作モードの切り換えにより、優先順位に加えて基準回路及び又は帯域制限値の設定を切り換えるようにしてもよく、また実用上十分な特性を確保できる場合には、基準回路及び又は帯域制限値の設定のみを切り換えるようにしてもよい。
【0103】
また上述の実施例1においては、全体の処理に応じて上位のコントローラにより優先順位、基準回路、帯域制限値を切り換える場合について述べたが、本発明はこれに限らず、処理回路が演算処理手段の場合にあっては、各演算処理手段の実行に係る処理プログラムに応じて、優先順位、基準回路及び又は帯域制限値の設定を切り換えるようにしてもよい。
【0104】
また上述の実施例においては、基準回路及び帯域制限値をそれぞれ1つ設定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、基準回路及び帯域制限値を複数種類設定するようにして1つの帯域制限値により振り分けた帯域を、さらに残りの帯域制限値により振り分けるようにしてもよい。
【0105】
また上述の実施例においては、メモリへのアクセス要求の調停、バスへのアクセス要求の調停に本発明を適用する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばデータ転送手段等へのアクセス要求を調停する場合等、種々のアクセス要求を調停する場合に広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、例えば電子スチルカメラに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の実施例1に係る調停回路の処理手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施例1に係る調停システムを示すブロック図である。
【図3】図2の調停システムにおける優先順位を示す図表である。
【図4】図2の調停システムにおけるアクセス権設定カウンタにおけるカウント値の遷移を示す遷移図である。
【図5】図1の続きを示すフローチャートである。
【図6】基準回路と下位の処理回路とのアクセス要求の調停の説明に供するタイムチャートである。
【図7】アクセス権設定カウンタにおけるカウント値を保持する場合の説明に供するタイムチャートである。
【図8】キャッシュバックに係るアクセス要求の調停の説明に供するタイムチャートである。
【図9】上位の処理回路からのアクセス要求が競合する場合の説明に供するタイムチャートである。
【図10】実施例2に係る電子スチルカメラを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0108】
1……調停システム、2、27……メモリ、3……制御回路、5……調停回路、11……電子スチルカメラ、12……撮像素子、18……中央処理ユニット、19……DSP、20……モニタ、20……カメラ信号処理回路、31……メモリ制御回路、32……解像度変換回路、33……コーディック、35……メディア制御回路、36……表示制御回路、c1〜cn+2……MPU


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理回路からのアクセス要求に対して選択的にアクセス権を設定して、前記複数の処理回路からのアクセス要求を調停する調停装置において、
前記複数の処理回路からのアクセス要求に対する処理の順位を示す優先順位と、
前記複数の処理回路の1つを特定する基準回路と、
前記基準回路へのアクセス権の設定回数に対して、前記基準回路より前記優先順位の低い処理回路へのアクセス権の設定回数を指示する帯域制限値とが設定され、
前記基準回路へのアクセス権の設定により初期値に設定されて、前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路へのアクセス権の設定をカウントするカウンタを有し、
前記アクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係る前記処理回路にアクセス権を設定し、
前記アクセス要求が競合した場合、前記優先順位に従って前記複数の処理回路からのアクセス要求に対してアクセス権を設定するようにして、
前記基準回路のアクセス要求と前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路のアクセス要求とが競合した場合、前記カウンタのカウント値と前記帯域制限値との比較により、前記基準回路及び前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路に選択的にアクセス権を設定し、
前記基準回路のアクセス要求と前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路のアクセス要求とが競合した場合における、前記基準回路へのアクセス権の設定回数に対する、前記基準回路より優先権の低い前記処理回路へのアクセス権の設定回数を、前記帯域制限値に応じた値に設定する
ことを特徴とする調停装置。
【請求項2】
前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路へのアクセス権の設定を、前記優先順位に従って設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の調停装置。
【請求項3】
前記基準回路より優先順位の高い前記処理回路からのアクセス要求が存在する場合、前記優先順位に従って前記基準回路より優先順位の高い前記処理回路に前記アクセス権を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の調停装置。
【請求項4】
前記カウンタにおける、前記基準回路より優先順位の低い処理回路へのアクセス権の設定のカウントが、
前記基準回路、前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路において、アクセス要求が競合した場合の、前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路へのアクセス権の設定回数であり、
前記基準回路又は前記基準回路より優先順位の低い処理回路からのアクセス要求が競合しない場合、アクセス要求に係る前記基準回路又は前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路にアクセス権を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の調停装置。
【請求項5】
前記アクセス要求がメモリへのアクセス要求であり、
前記基準回路が、
ライトバック方式のキャッシュシステムの場合にあって、前記メモリへのライトバックに係るアクセス要求に対してアクセス権を設定し、続く前記メモリからのリード要求に係るアクセス要求が、前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路からのアクセス要求と競合した場合、
前記基準回路のリード要求に対して優先的にアクセス権を設定する
ことを特徴とする請求項1に記載の調停装置。
【請求項6】
前記メモリへのライトバックに係るアクセス要求に続く前記メモリからのリード要求に係るアクセス要求が、前記基準回路より優先順位の高い前記処理回路からのアクセス要求と競合した場合、
前記優先順位の高い前記処理回路からのアクセス要求に対して優先的にアクセス権を設定する
ことを特徴とする請求項5に記載の調停装置。
【請求項7】
前記アクセス要求がバスへのアクセス要求である
ことを特徴とする請求項1に記載の調停装置。
【請求項8】
前記優先順位、前記基準回路及び又は前記帯域制限値の設定を所定のタイミングで更新する
ことを特徴とする請求項1に記載の調停装置。
【請求項9】
動作モードの切り換えにより、前記優先順位、前記基準回路及び又は前記帯域制限値の設定を切り換える
ことを特徴とする請求項1に記載の調停装置。
【請求項10】
前記複数の処理回路がそれぞれ所定の処理プログラムを実行する演算処理回路であり、
前記複数の処理回路の何れかにおける前記処理プログラムの切り換えにより、前記優先順位、前記基準回路及び又は前記帯域制限値の設定を切り換える
ことを特徴とする請求項1に記載の調停装置。
【請求項11】
複数の処理回路からのアクセス要求に対して選択的にアクセス権を設定して、前記複数の処理回路からのアクセス要求を調停する調停方法において、
前記複数の処理回路からのアクセス要求に対する処理の順位を示す優先順位と、
前記複数の処理回路の1つを特定する基準回路と、
前記基準回路へのアクセス権の設定回数に対して、前記基準回路より前記優先順位の低い前記処理回路へのアクセス権の設定回数を指示する帯域制限値とが設定され、
前記基準回路へのアクセス権の設定により初期値に設定して、前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路へのアクセス権の設定をカウントするカウントのステップと、
前記アクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係る前記処理回路にアクセス権を設定し、前記アクセス要求が競合した場合、前記優先順位に従って前記複数の処理回路からのアクセス要求に対してアクセス権を設定するアクセス権設定のステップとを有し、
前記アクセス権設定のステップは、
前記基準回路のアクセス要求と前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路のアクセス要求とが競合した場合、前記カウントのステップによるカウント値と前記帯域制限値との比較により、前記基準回路及び前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路に選択的にアクセス権を設定し、
前記基準回路のアクセス要求と前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路のアクセス要求とが競合した場合における、前記基準回路へのアクセス権の設定回数に対する、前記基準回路より優先権の低い前記処理回路へのアクセス権の設定回数を、前記帯域制限値に応じた値に設定する
ことを特徴とする調停方法。
【請求項12】
演算処理手段による実行により、複数の処理回路からのアクセス要求に対して選択的にアクセス権を設定して、前記複数の処理回路からのアクセス要求を調停する調停方法のプログラムにおいて、
前記複数の処理回路からのアクセス要求に対する処理の順位を示す優先順位と、
前記複数の処理回路の1つを特定する基準回路と、
前記基準回路へのアクセス権の設定回数に対して、前記基準回路より前記優先順位の低い前記処理回路へのアクセス権の設定回数を指示する帯域制限値とが設定され、
前記基準回路へのアクセス権の設定により初期値に設定して、前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路へのアクセス権の設定をカウントするカウントのステップと、
前記アクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係る前記処理回路にアクセス権を設定し、前記アクセス要求が競合した場合、前記優先順位に従って前記複数の処理回路からのアクセス要求に対してアクセス権を設定するアクセス権設定のステップとを有し、
前記アクセス権設定のステップは、
前記基準回路のアクセス要求と前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路のアクセス要求とが競合した場合、前記カウントのステップによるカウント値と前記帯域制限値との比較により、前記基準回路及び前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路に選択的にアクセス権を設定し、
前記基準回路のアクセス要求と前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路のアクセス要求とが競合した場合における、前記基準回路へのアクセス権の設定回数に対する、前記基準回路より優先権の低い前記処理回路へのアクセス権の設定回数を、前記帯域制限値に応じた値に設定する
ことを特徴とする調停方法のプログラム。
【請求項13】
演算処理手段による実行により、複数の処理回路からのアクセス要求に対して選択的にアクセス権を設定して、前記複数の処理回路からのアクセス要求を調停する調停方法のプログラムを記録した記録媒体において、
前記調停方法のプログラムは、
前記複数の処理回路からのアクセス要求に対する処理の順位を示す優先順位と、
前記複数の処理回路の1つを特定する基準回路と、
前記基準回路へのアクセス権の設定回数に対して、前記基準回路より前記優先順位の低い前記処理回路へのアクセス権の設定回数を指示する帯域制限値とが設定され、
前記基準回路へのアクセス権の設定により初期値に設定して、前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路へのアクセス権の設定をカウントするカウントのステップと、
前記アクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係る前記処理回路にアクセス権を設定し、前記アクセス要求が競合した場合、前記優先順位に従って前記複数の処理回路からのアクセス要求に対してアクセス権を設定するアクセス権設定のステップとを有し、
前記アクセス権設定のステップは、
前記基準回路のアクセス要求と前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路のアクセス要求とが競合した場合、前記カウントのステップによるカウント値と前記帯域制限値との比較により、前記基準回路及び前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路に選択的にアクセス権を設定し、
前記基準回路のアクセス要求と前記基準回路より優先順位の低い前記処理回路のアクセス要求とが競合した場合における、前記基準回路へのアクセス権の設定回数に対する、前記基準回路より優先権の低い前記処理回路へのアクセス権の設定回数を、前記帯域制限値に応じた値に設定する
ことを特徴とする調停方法のプログラムを記録した記録媒体。
【請求項14】
撮像結果をモニタに表示すると共に記録媒体に記録し、前記記録媒体に記録した撮像結果を前記モニタで表示する電子スチルカメラにおいて、
前記撮像結果による画像データを処理してバスに出力する画像データ処理回路と、
前記バスに接続されて、前記画像データをデータ圧縮して前記記録媒体に記録し、前記記録媒体に記録された画像データをデータ伸長して前記バスに出力する記録再生回路と、
前記バスに接続されて、前記画像データを取得して前記モニタに表示する表示回路と、
前記バスに接続されて、前記画像データ処理回路、前記記録再生回路、表示回路の動作を制御するコマンドを前記バスに出力する制御回路と、
前記バスに接続されて、前記画像データを一時保持する記憶回路と、
前記画像データ処理回路、前記記録再生回路、前記表示回路、前記制御回路による前記バスのアクセス要求を調停する調停回路とを少なくとも有し、
前記調停回路は、
前記画像データ処理回路、前記記録再生回路、前記表示回路、前記制御回路による複数の回路からのアクセス要求に対する処理の順位を示す優先順位と、
前記複数の回路の1つを特定する基準回路と、
前記基準回路へのアクセス権の設定回数に対して、前記基準回路より優先順位の低い回路へのアクセス権の設定回数を指示する帯域制限値とが設定され、
前記基準回路へのアクセス権の設定により初期値に設定されて、前記基準回路より優先順位の低い回路へのアクセス権の設定をカウントするカウンタを有し、
前記アクセス要求が競合しない場合には、アクセス要求に係る前記回路にアクセス権を設定し、前記アクセス要求が競合した場合、前記優先順位に従って前記複数の回路からのアクセス要求に対してアクセス権を設定し、
前記基準回路のアクセス要求と前記基準回路より優先順位の低い回路のアクセス要求とが競合した場合、前記カウンタのカウント値と前記帯域制限値との比較により、前記基準回路及び前記基準回路より優先順位の低い回路に選択的にアクセス権を設定し、
前記基準回路のアクセス要求と前記基準回路より優先順位の低い回路のアクセス要求とが競合した場合における、前記基準回路へのアクセス権の設定回数に対する、前記基準回路より優先権の低い回路へのアクセス権の設定回数を、前記帯域制限値に応じた値に設定する
ことを特徴とする電子スチルカメラ。
【請求項15】
前記画像データ処理回路によるキャプチャ時と、キャプチャ以外の動作モードの切り換えにより、前記優先順位、前記基準回路及び又は前記帯域制限値の設定を切り換える
ことを特徴とする請求項14に記載の電子スチルカメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−4028(P2006−4028A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177737(P2004−177737)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】