説明

調光器

【課題】調光範囲の下限において照明負荷に供給される供給電力の調整が容易に行える調光器を提供する。
【解決手段】調光器1は、調光器本体20の前面に回転自在に配置された回転ハンドル29と、照明負荷への供給電力を回転ハンドル29の設定位置に応じて変化させることにより、照明負荷を所定の調光範囲で調光点灯させる調光制御部を備える。調光器本体20の前面には、調光範囲の下限において調光制御部から照明負荷に供給される供給電力を調整するための調光下限設定部14が配置されている。調光器本体20の前側には、調光下限設定部14を覆うカバー40が着脱自在に取り付けられる。調光下限設定部14は、調光範囲の下限において供給電力を増加させる第1操作部31と、調光範囲の下限において供給電力を低下させる第2操作部32とで構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、調光信号に応じて放電灯に供給する電力を制御することによって、放電灯を調光点灯させる放電灯点灯装置があった(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−149408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、高輝度で低消費電力の発光ダイオードが照明用途に使用されつつあり、従来の白熱電球と同じ口金を有するLED電球も提供されている。このようなLED電球が、位相制御方式でランプを調光する機能を備えた調光器と組み合わせて使用される場合、LED電球は、電球毎に最低点灯電圧のバラツキが大きいため、LED電球を交換した際に調光下限でLED電球が点灯しない可能性があり、調光下限値を調整する必要があった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みて為されたものであり、その目的とするところは、調光範囲の下限において照明負荷に供給される供給電力の調整が容易に行える調光器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の調光器は、照明負荷への供給電力を変化させることによって、照明負荷を所定の調光範囲で調光点灯させる調光制御部と、調光範囲の下限において照明負荷に供給される供給電力を調整する調光下限設定部とを備えている。そして、調光下限設定部が、調光範囲の下限において供給電力を増加させる第1操作部と、調光範囲の下限において供給電力を低下させる第2操作部とを有することを特徴とする。
【0007】
この調光器において、調光範囲の下限における供給電力が、所定の調整可能範囲の最大値に調整された状態で第1操作部が操作されるか、又は、調整可能範囲の最小値に調整された状態で第2操作部が操作されると、操作者に対して調整不能を報知する報知部が設けられることも好ましい。
【0008】
この調光器において、照明負荷が消灯している状態で発光する位置表示用の発光部を備え、発光部で報知部が兼用されることも好ましい。
【0009】
この調光器において、調光制御部を収納する調光器本体を備え、調光器本体の表面に設けられた凹部に調光下限設定部が配置され、調光器本体に着脱自在に取り付けられて調光下限設定部を覆うカバーが設けられることも好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1操作部及び第2操作部を用いて調光範囲の下限における供給電力を調整することができる。したがって、照明負荷に合わせて調光範囲の下限における供給電力を調整できるから、調光範囲の下限においても照明負荷を確実に点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の調光器を示し、(a)は化粧プレートが外された状態の外観斜視図、(b)は化粧プレート及びカバーが外された状態の外観斜視図である。
【図2】同上の調光器を示し、(a)は正面図、(b)は右側面図、(c)は背面図、(d)は下面図である。
【図3】同上の調光器を示し、(a)は分解斜視図、(b)はカバーを裏側から見た斜視図である。
【図4】同上の調光器のブロック図である。
【図5】(a)は全波整流器の出力電圧V1の波形図、(b)はゼロクロス検出部の出力信号S1の波形図、(c)はスイッチング素子Q1のオン/オフ状態を示す波形図、(d)は照明負荷3に印加される電圧V2の波形図である。
【図6】同上の回転ハンドルの操作位置と調光レベルとの関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態の調光器について図面を参照して説明する。
【0013】
図4は調光器1の概略的なブロック図である。この調光器1は、外部回路が接続される接続端子T1,T2と、全波整流器DB1と、スイッチング素子Q1と、調光制御部11と、ゼロクロス検出部12と、調光レベル設定部13と、調光下限設定部14と、発光部15と、記憶部16とを備えている。
【0014】
接続端子T1,T2間には、外部回路として、商用交流電源2と、LED電球のような照明負荷3との直列回路が接続されている。また接続端子T1,T2には、全波整流器DB1の交流入力端子がそれぞれ接続されている。
【0015】
全波整流器DB1は、接続端子T1,T2から入力される交流電圧を全波整流して直流に変換する。全波整流器DB1の直流出力端子間には、例えばサイリスタ(SCR)からなるスイッチング素子Q1が接続されている。
【0016】
ゼロクロス検出部12は、全波整流器DB1によって全波整流された後の電圧V1と、所定のしきい値Vth1との高低を比較することによって、交流電源電圧のゼロクロスを検出する。ゼロクロス検出部12から出力される信号S1の信号レベルは、電圧V1がしきい値Vth1よりも低ければローレベル(L)になり、電圧V1がしきい値Vth1よりも高ければハイレベル(H)になる(図5(a)(b)参照)。
【0017】
調光レベル設定部13は、照明負荷3の調光レベルを設定するために用いられる。調光レベル設定部13は、例えば操作子の回転位置に応じて抵抗値が変化する電源スイッチ付きの回転ボリューム(図示せず)からなり、ユーザが操作子をオフ位置に移動させると、調光制御部11がスイッチング素子Q1をオフさせて、照明負荷3を消灯させる。また、ユーザが操作子をオフ位置から所望の回転位置まで移動させると、調光制御部11は、回転ボリュームの抵抗値をもとに照明負荷3に供給する電力を制御し、回転位置に応じた調光レベルで照明負荷3を点灯させる。
【0018】
調光下限設定部14は、照明負荷3の調光範囲の下限において照明負荷3に供給される電力を設定するために用いられる。
【0019】
調光制御部11は、ゼロクロス検出部12の出力S1がローレベルからハイレベルに反転した時点から、調光レベル設定部13を用いて設定された調光レベルに対応した時間が経過すると、スイッチング素子Q1をオン状態に切り替える。そして、調光制御部11は、次のゼロクロスがくるまでスイッチング素子Q1をオン状態で動作させる(図5(c)参照)。これにより、図5(d)に示すように照明負荷3に供給される電圧V2の位相角が調整され、照明負荷3への供給電力が調整されるので、設定に応じた調光レベルで照明負荷3が点灯させられる。ここで、導通位相角(交流電源の半周期においてスイッチング素子Q1が導通している期間)が大きくなるほど、照明負荷3への供給電力が大きくなり、照明負荷3の光出力が明るくなる。
【0020】
発光部15は例えば発光ダイオードからなり、発光部15の発光が調光器1の外部から視認可能な状態で配置されており、発光部15の点灯状態(点灯、点滅、消灯)は調光制御部11によって制御される。
【0021】
記憶部16は不揮発性のメモリからなり、調光下限設定部14によって設定された、調光範囲の下限における供給電力を記憶する。
【0022】
次に、この調光器1の構造を図1〜図3に基づいて説明する。尚、以下の説明では特に断りが無い限り、図2(a)に示す向きにおいて上下左右の方向を規定し、図2(b)の左側を前側、右側を後側として説明を行うこととする。
【0023】
この調光器1は、調光器本体20と、調光器本体20の前面を覆うようにして調光器本体20に取り付けられるカバー40とを主要な構成として備えている。
【0024】
調光器本体20は、合成樹脂により前面が開口した箱状に形成された後ボディ21と、合成樹脂により後面が開口した前ボディ22とを結合することによって略箱状に形成されている。前ボディ22の上面及び下面の後端からは、後方に向かってそれぞれ突出する係止片23が2個ずつ設けられている。後ボディ21の上面及び下面には、各係止片23の孔23aにそれぞれ対応する部位に突起24が設けられている。而して、互いの開口部を塞ぐようにして後ボディ21の前側に前ボディ22を被せ、各係止片23の孔23aに対応する突起24を係止させることによって、後ボディ21と前ボディ22とが結合されるようになっている。
【0025】
この調光器本体20の内部には、図4に示した接続端子T1,T2、全波整流器DB1、スイッチング素子Q1、調光制御部11、ゼロクロス検出部12、調光レベル設定部13、調光下限設定部14、発光部15、記憶部16などの回路部品が収納されている。
【0026】
調光器本体20は、埋込配線器具用に規格化された金属製の取付枠50に取付可能であり、所謂2個モジュール寸法に形成されている。ここで、取付枠50に3個まで並べて取付可能な埋込配線器具の大きさを1個モジュール寸法といい、1個モジュール寸法の埋込配線器具を上下方向に2個並べたのと略同じ大きさを2個モジュール寸法と言う。
【0027】
調光器本体20の前部を構成する前ボディ22の上下両側面には、前側寄りの端縁の左右両側位置に凹溝28がそれぞれ設けられている。また前ボディ22の前面(つまり調光器本体20の前面)には、調光器本体20内に収納された回転ボリューム(図示せず)の操作子に連結された略円盤形の回転ハンドル29が、回転自在に取り付けられている。この回転ハンドル29の前面には、設定位置の目印となる溝29aが設けられている。前ボディ22の前面の右下隅には、他の部位よりも後側に凹んだ凹部30が設けられている。この凹部30にはそれぞれ押釦スイッチの押釦からなる第1操作部31及び第2操作部32が配置されている。さらに、前ボディ22の前面には、調光器本体20の内部に収納された発光部15の発光を外部に透過させるランプカバー33が、回転ハンドル29の下側に配置されている。
【0028】
調光器本体20の後部を構成する後ボディ21の後面には、調光器本体20の内部に電線を挿入するための2個の電線挿通孔34が開口するとともに、2個の電線挿通孔34に隣接して工具差込孔35が開口している(図2(c)参照)。調光器本体20の内部には、各電線挿通孔34から挿入された電線が接続される速結形の端子装置(図示せず)が収納されており、これらの端子装置で上述の接続端子T1,T2が構成される。また、工具差込孔35から挿入された工具(例えばマイナスドライバーなど)の先端で、速結形の端子装置を構成する鎖錠ばね(図示せず)を電線から離れる方向に押し撓めることによって、端子装置から電線を容易に取り外すことができる。尚、速結形の端子装置については従来周知であるから、その説明は省略する。
【0029】
また調光器本体20の前側(すなわち前ボディ22の前側)にはカバー40が着脱自在に取り付けられる。カバー40は合成樹脂により矩形板状に形成されており、回転ハンドル29を通すための丸穴41が中央に開口し、丸穴41の下側にはランプカバー33を通すための長孔42が開口している。カバー40の裏面には、図3(b)に示すように、前ボディ22の上下両側面に対応する位置から後方に突出する係止片43が設けられ、係止片43の先端の爪43aを凹溝28に係止させることによって、カバー40が調光器本体20に取り付けられる。尚、カバー40の前面には、丸穴41の周りに、回転ハンドル29の回転範囲を示す表示が印字等の方法で形成されている。図1の例では、小さいドットD1が調光範囲の下限位置を、大きいドットD2が調光範囲の上限位置を示し、ドットD1,D2間を結ぶ弧状の線L1が回転ハンドル29の可動範囲を示している。また電源スイッチのオフ位置を示す「OFF」という文字が、小さいドットD1の右側に設けられている。
【0030】
また、調光器本体20の前部を構成する前ボディ22の左右両側面には、取付枠50の左右の側片51に設けられた孔53にそれぞれ係止する2個で1組の係止爪25が上側寄りに設けられている。調光器本体20は、係止爪25を孔53に係止させることによって取付枠50に取り付けられる。調光器本体20が取付枠50に取り付けられた状態では、取付枠50の中央の窓孔50aから調光器本体20の前面の略全体が前方に突出している(図1(a)(b)参照)。尚、前ボディ22の左右両側面には、係止爪25が設けられた部位の上側及び下側に、後端側が開放されたスリット26が設けられており(図3参照)、一対のスリット26で挟まれた突片27が左右方向において撓み自在となっている。この突片27の後端部に設けられた突起27aが押されて、突片27が内側に撓められると、係止爪25が孔53の外側に出て、係止爪25が孔53から外れるので、調光器本体20を取付枠50から取り外すことができる。尚、取付枠50の上下の枠片52には、造営面に埋設された埋込ボックスにネジ止めするための固定ネジを挿通する長穴55が設けられている。また上下の枠片52には、パネル材からなる造営材(図示せず)を取付枠50との間で挟み込むための挟み金具(図示せず)が引掛係止する引掛穴56や、造営材に取付枠50を直接ネジ固定するための固定ネジが挿通される丸穴57が設けられている。取付枠50は、上記した取付方法のうち、設置場所に合わせて選択された何れかの取付方法を用いて造営面に取り付けられる。
【0031】
取付枠50の前側には、図1及び図3に示すように、取付枠50の窓孔50aよりも上下方向の長さが長く且つ幅広の窓孔61を備えたプレート枠60が取り付けられる。取付枠50の上側及び下側の枠片52にはねじ穴54がそれぞれ設けられている。また、プレート枠60の上側及び下側の枠片62には、ねじ穴54に対向する位置に貫通孔63がそれぞれ設けられている。而して、プレート枠60の貫通孔63に通された固定ネジ(図示せず)がねじ穴54にねじ込まれることによって、プレート枠60が取付枠50に固定される。
【0032】
またプレート枠60の前側には、取付枠50や、プレート枠60を固定する固定ネジの頭などを隠して外観の見栄えを向上させる化粧プレート70が取り付けられる。化粧プレート70は、プレート枠60の窓孔61に比べて若干小さめの窓孔71を備え、裏面の爪(図示せず)をプレート枠60の左右の枠片に設けられた係止孔64に係止させることによって、プレート枠60に取り付けられる。プレート枠60に化粧プレート70が取り付けられた状態では、化粧プレート70の窓孔71から調光器1の前面が露出している。
【0033】
尚、取付枠50に、2個モジュール寸法の調光器本体20のみが取り付けられ、残りの1個分の取付位置が空いている場合、プレート枠60の窓孔61が完全に塞がれないため、この隙間を塞ぐブランクカバー80がプレート枠60に取り付けられている。
【0034】
本実施形態の調光器1は以上のような構成を有しており、以下のようにして造営面に施工される。施工者は、取付枠50の後側から調光器本体20を取付枠50に近付け、調光器本体20の左右両側の係止爪25を取付枠50の孔53に係止させることによって、調光器本体20を取付枠50に取り付ける。次に施工者は、造営面(図示せず)の裏側に配線された電線を、造営面に設けられた取付用孔(図示せず)から表側に引き出して、先端側の被覆を剥いた後、電線挿通孔34に挿入して、端子装置に接続する。そして、施工者は、調光器1に接続された電線の余長分を取付用孔に押し込んだ後、調光器本体20の後部を取付用孔に挿入した状態で取付枠50を造営面に固定する。次に施工者は、前ボディ22の凹溝28に係止片43の爪43aを係止させることによって、カバー40を調光器本体20の前側に取り付けた後、取付枠50の前側にプレート枠60及び化粧プレート70を取り付けて、施工作業を完了する。
【0035】
この施工完了状態では、調光器本体20の前面がカバー40で覆われているので、施工作業者は、第1操作部31及び第2操作部32を操作できないようになっている。一方、回転ハンドル29及びランプカバー33はそれぞれカバー40の丸穴41、長孔42から露出しているので、カバー40が接続されている状態でも回転ハンドル29の操作が可能であり、またランプカバー33を通して発光部15の発光を視認できる。尚、プレート枠60に化粧プレート70が取り付けられた状態では、窓孔71とカバー40との間に指や工具を入れる隙間がなく、カバー40の取り外しが行えないようになっている。
【0036】
ここで、ユーザが回転ハンドル29を左回りに回転させて、溝29aを「OFF」の位置に合わせると、回転ボリュームの電源スイッチがオフになる。この時、調光制御部11は、スイッチング素子Q1を常時オフさせて、照明負荷3への電力供給を遮断し、照明負荷3を消灯させる。
【0037】
一方、ユーザが回転ハンドル29を右回りに回転させ、溝29aをドットD1,D2間の所定位置に合わせると、回転ボリュームの電源スイッチがオンになり、調光制御部11は、回転ハンドル29の回転位置に応じた調光レベルで照明負荷3を調光点灯させる。例えば調光制御部11は、回転ボリュームと固定抵抗器とで構成される直列回路に定電圧を印加し、回転ボリュームの両端電圧を検出することによって、回転ボリュームの抵抗値を検出する。そして、調光制御部11は、ゼロクロス検出部12の出力信号S1がローレベルからハイレベルに反転した時点から、回転ハンドル29の回転位置(つまり回転ボリュームの抵抗値)に応じた時間が経過した時点で、スイッチング素子Q1を導通させる。その後、調光制御部11は、交流電源のゼロクロスがくるまでスイッチング素子Q1をオンさせ続け、スイッチング素子Q1の導通位相角が回転ハンドル29の回転位置に応じて決定されて、照明負荷3が調光される。
【0038】
図6は、回転ハンドル29によって操作される回転ボリュームの抵抗値Xと調光レベルYとの関係を示す図である。抵抗値Xが最小値X0のときに調光レベルYが最小レベルaになり、抵抗値Xが最大値X1のときに調光レベルYが最大レベルYmaxになるとすると、抵抗値Xと調光レベルYとの関係は以下の式(1)で表される。尚、調光レベルYが最大レベルYmaxの時の照明負荷3への供給電力は予め設定されており、調光レベルYが最小レベルaの時の照明負荷3への供給電力は、ユーザによって調光下限設定部14を用いて設定され、その設定値は記憶部16に記憶されている。
【0039】
【数1】

【0040】
したがって、ユーザが回転ハンドル29を回転させて、回転ボリュームの抵抗値を変化させると、調光制御部11が、調光レベル設定部13からの入力(すなわち回転ボリュームの抵抗値)をもとに、スイッチング素子Q1を導通させる位相角を決定する。そして、調光制御部11は、ゼロクロス検出部12がゼロクロスを検出した時点(すなわち、出力信号S1がローからハイに立ち上がった時点)から、回転ボリュームの抵抗値によって決定された時間が経過した時点でスイッチング素子Q1を導通させる。スイッチング素子Q1は、調光制御部11によってオフからオンに切り替えられると、次のゼロクロスがくるまで導通し続ける。以上の動作を商用交流電源2の半周期毎に繰り返すことで、照明負荷3には調光制御部11によって導通位相角が決定された交流電圧V2が供給され、回転ハンドル29の回転位置に応じた調光レベルで照明負荷3が調光点灯させられる。
【0041】
ここで、照明負荷3の調光範囲は最小レベルaと最大レベルYmaxの間となるが、本実施形態では調光下限設定部14を用いて調光範囲の下限(すなわち最小レベルa)において照明負荷3に供給される供給電力を調整することができる。調光下限設定部14は第1操作部31及び第2操作部32を備えており、ユーザが第1操作部31及び第2操作部32を操作することによって、調光範囲の下限において照明負荷3に供給される供給電力が調整され、その調整値は記憶部16に記憶される。なお、調光範囲の下限における供給電力を調整する場合、ユーザは、先ず、回転ハンドル29の溝29aが下限位置であるドットD1の位置にくるように回転ハンドル29を回転させ、照明負荷3を調光範囲の下限レベルで点灯させる。この状態で、ユーザは、図1(a)に示すように化粧プレート70を外した後、図1(b)に示すようにカバー40を外して第1操作部31及び第2操作部32を露出させる。調光制御部11は、第1操作部31及び第2操作部32の操作入力を監視しており、第1操作部31が1回押されると、調光範囲の下限における供給電力が所定の変化分だけ増加するように、スイッチング素子Q1の導通位相角(導通期間)を大きくする。また調光制御部11は、第2操作部32が1回押されると、調光範囲の下限における供給電力が所定の変化分だけ低下するように、スイッチング素子Q1の導通位相角を小さくする。尚、第1操作部31又は第2操作部32が1回操作された時の供給電力の変化分は、調光レベルが0%の時の供給電力と調光レベルが20%の時の供給電力との差分をN等分(例えば100等分)した値に設定されている。
【0042】
このように、ユーザが第1操作部31又は第2操作部32を押操作すると、調光範囲の下限における照明負荷3への供給電力が増加又は低減され、それによって調光下限における照明負荷3の明るさが調整される。したがって、ユーザは、照明負荷3の点灯状態を見ながら、第1操作部31又は第2操作部32を押操作することによって、調光範囲の下限における調光レベルを容易に調整することができる。そして、調光レベルの調整が終了すると、ユーザは、カバー40を調光器本体20の前面に取り付けた後、化粧プレート70をプレート枠60の前側に取り付けて調整作業を終了する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の調光器1は調光制御部11と調光下限設定部14とを備えている。調光制御部11は、照明負荷3への供給電力を変化させることによって、照明負荷3を所定の調光範囲で調光点灯させる。調光下限設定部14は、調光範囲の下限において照明負荷3に供給される供給電力を調整する。この調光下限設定部14は、調光範囲の下限において供給電力を増加させる第1操作部31と、調光範囲の下限において供給電力を低下させる第2操作部32とを備えている。
【0044】
これにより、第1操作部31及び第2操作部32を用いて調光範囲の下限における供給電力を調整することができる。したがって、照明負荷3に合わせて調光範囲の下限における供給電力を調整できるから、LED電球のように点灯開始電圧のばらつきが大きい場合でも、調光範囲の下限における供給電力を調整することによって、調光範囲の下限においてLED電球を確実に点灯させることができる。
【0045】
この調光器1において、調光範囲の下限における供給電力が、所定の調整可能範囲の最大値に調整された状態で第1操作部31が操作されるか、又は、所定の調整可能範囲の最小値に調整された状態で第2操作部32が操作されると、操作者に対して調整不能を報知する報知部が設けられることも好ましい。本実施形態では報知部が発光部15からなり、調光制御部11が発光部15を点滅させることで、調整不可能な操作が行われたことを報知しており、調整不可能な操作が行われたことを操作者に対して知らしめることができる。尚、報知部は発光部15に限定されるものではなく、報知部は、ブザーやスピーカのように音で報知を行うものでもよい。また報知部が、発光ダイオードのように光を出力するものと、ブザーやスピーカのように音を出力するものとを両方共に備え、光と音の両方で報知を行うものでもよい。
【0046】
ここで、照明負荷3の消灯時に調光制御部11が発光部15を点灯させて位置表示を行うようにしてもよい。
【0047】
これにより、位置表示用の発光部15で報知部が兼用されるから、部品点数を削減できる。
【0048】
また本実施形態では、調光器本体20の表面に設けられた凹部30に調光下限設定部14(第1操作部31及び第2操作部32)が配置されている。そして、調光器本体20に着脱自在に取り付けられるカバー40で調光下限設定部14が覆われている。
【0049】
これにより、カバー40で調光下限設定部14を覆うことによって、調光下限設定部14の誤操作が起こりにくくなる。また調光器本体20の表面に設けられた凹部30に調光下限設定部14が配置されているので、調光下限設定部14とカバー40との干渉を避けつつ、調光器本体20の表面からカバー40の出代を小さくできる。
【0050】
尚、本実施形態では調光レベル設定部13を電源スイッチ付きの回転ボリュームで構成し、回転ハンドル29の溝29aが「OFF」の位置にくるように回転ハンドル29を回転させることによって、照明負荷3を消灯させているが、商用交流電源2及び照明負荷3の直列回路と調光器1との間にスイッチを接続し、スイッチのオン/オフによって照明負荷3の点灯/消灯を切り替えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1 調光器
3 照明負荷
11 調光制御部
14 調光下限設定部
20 調光器本体
29 回転ハンドル
31 第1操作部
32 第2操作部
40 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明負荷への供給電力を変化させることによって、前記照明負荷を所定の調光範囲で調光点灯させる調光制御部と、
前記調光範囲の下限において前記照明負荷に供給される供給電力を調整する調光下限設定部とを備え、
前記調光下限設定部が、前記調光範囲の下限において供給電力を増加させる第1操作部と、前記調光範囲の下限において供給電力を低下させる第2操作部とを有することを特徴とする調光器。
【請求項2】
前記調光範囲の下限における供給電力が、所定の調整可能範囲の最大値に調整された状態で前記第1操作部が操作されるか、又は、前記調整可能範囲の最小値に調整された状態で前記第2操作部が操作されると、操作者に対して調整不能を報知する報知部が設けられたことを特徴とする請求項1記載の調光器。
【請求項3】
前記照明負荷が消灯している状態で発光する位置表示用の発光部を備え、前記発光部で前記報知部が兼用されたことを特徴とする請求項2記載の調光器。
【請求項4】
前記調光制御部を収納する調光器本体を備え、
前記調光器本体の表面に設けられた凹部に前記調光下限設定部が配置され、
前記調光器本体に着脱自在に取り付けられて前記調光下限設定部を覆うカバーが設けられたことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の調光器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−109980(P2013−109980A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−254537(P2011−254537)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】