説明

調理機器

【課題】 開閉式の操作パネルと、該操作パネルに配設された電子表示部と、該電子表示部の点消灯を制御する制御手段と、前記操作パネルの開閉状態を検出する開閉状態検知手段とを備えるガスコンロにおいて、開閉状態検知手段が故障した場合であっても電子表示部の点消灯を可能な限り適切に行えるようにする。
【解決手段】 開閉状態検知手段により操作パネル9,10の開状態を検知したとき、並びに、操作パネル9,10に対する所定の操作を検出したときに、電子表示部の点灯を開始するように構成されているとともに、電子表示部の点灯状態で、開閉状態検知手段により操作パネル9,10の閉状態を検知したとき、並びに、電子表示部11,12の点灯開始から所定の点灯継続時間が経過したときに、電子表示部11,12を消灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンガルーポケット等の開閉式操作パネルを具備するガスコンロなどの調理機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば下記特許文献1及び2に示すように、カンガルーポケットと称される開閉式操作パネルを具備するガスコンロやIHクッキングヒーターなどの調理機器が普及しつつある。このカンガルーポケットによれば、多様な調理設定を行うための操作パネルを使用しないときには収納することによって、フロントデザインをシンプルなものとすることができる一方、必要時にはカンガルーポケットを引き出すことで調理タイマー機能や調理メニューの設定を操作パネルにより行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−204769号公報
【特許文献2】特開2003−279055号公報
【0004】
これら従来のカンガルーポケット内蔵調理機器では、カンガルーポケットの操作パネルに各種表示用のLEDが配設されるとともに、カンガルーポケットの開閉状態を検知するセンサが設けられ、カンガルーポケットを開いたときにはLEDの発光表示により各種状態表示や、操作案内を行うように構成され、カンガルーポケットを閉じたときには節電のためにLEDを消灯させるように構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のカンガルーポケットの内部に操作パネルを備えた調理機器においては、カンガルーポケットの開閉状態を検知するセンサの検出値に基づいて操作パネルのLEDの点消灯を制御していたため、万一、上記センサが故障してしまうと、操作パネルのLEDを適切に点消灯することができなくなり、カンガルーポケットを開いてもLED表示がなされなくなったり、反対にカンガルーポケットを閉じてもLEDが常時点灯したままとなって、調理機器の電源となる電池が早期に消耗してしまうという問題点を有していた。
【0006】
そこで、本発明は、開閉状態を検知するセンサが故障した場合であっても、操作パネルが閉じているときにLEDが常時点灯してしまうことを回避するとともに、必要時には操作パネルのLEDを点灯させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
【0008】
すなわち、本発明の調理機器は、開閉式の操作パネルと、該操作パネルに配設された電子表示部と、該電子表示部の点消灯を制御する制御手段と、前記操作パネルの開閉状態を検出する開閉状態検知手段とを備え、前記制御手段は、開閉状態検知手段により操作パネルの開状態を検知したとき、並びに、操作パネルに対する所定の操作を検出したときに、電子表示部の点灯を開始するように構成されているとともに、電子表示部の点灯状態で、開閉状態検知手段により操作パネルの閉状態を検知したとき、並びに、電子表示部の点灯開始から所定の点灯継続時間が経過したときに、電子表示部を消灯させるように構成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0009】
かかる本発明の調理機器によれば、電源スイッチをオンすることで制御手段への通電が開始された後、操作パネルの開状態を検知すると電子表示部の点灯を開始することで、電子表示部による各種状態表示、タイマー表示、操作可能ボタンのナビ表示などが行われる。万一、開閉状態検知手段の故障により操作パネルを開いても開状態が検知されない場合(以下、「閉故障」という。)であっても、閉じている状態では操作不可能な操作パネルに対する所定の操作を検出したときは、開閉状態検知手段が常時閉状態と検出してしまう閉故障であると推定できるので、開状態を検知しなくても電子表示部の点灯を開始する。
【0010】
一方、電子表示部の点灯状態で、開閉状態検知手段により操作パネルの閉状態を検知したときは電子表示部を消灯させることで、操作パネルの収納時の消費電力の低減が図られる。万一、開閉状態検知手段の故障により操作パネルを閉じても閉状態が検知されない場合(以下、「開故障」という。)であっても、電子表示部の点灯開始から所定時間経過することで自動的に電子表示部を消灯させることで、消費電力の低減を図りつつも、何らかの操作後は電子表示部を所定時間点灯させることで、利便性を向上できる。
【0011】
なお、本発明において、電子表示部は、操作パネルに設けられた複数の操作ボタンに対応する複数のLEDなどの発光素子を備えるものとすることができ、この場合、「電子表示部の点灯」とは、複数の発光素子のうちその時点で発光させるべき少なくとも一つの発光素子を点灯制御させることを意味するものとする。例えば、調理ナビゲーション機能を操作パネルに具備させる場合、ある時点で操作可能な操作ボタンに対応する発光素子のみを点灯させればよい。なお、「電子表示部の消灯」時には、全ての発光素子を消灯させることが消費電力低減の為には望ましいが、電源スイッチがON状態であることをユーザーに喚起するなどの目的のために所定の発光素子を点灯させたままにしてもよい。また、電子表示部は、反射型液晶表示装置によって構成してもよく、この場合、「電子表示部の点灯」とは、液晶表示装置により表示を行うことを意味する。
【0012】
上記本発明の調理機器において、前記制御手段は、第1の記憶手段を備え、開閉状態検知手段により操作パネルの閉状態を検知しているにもかかわらず操作パネルに対する所定の操作を検出したときは当該第1の故障情報を前記第1の記憶手段に記憶するように構成されているとともに、制御手段への通電開始時に前記第1の故障情報が第1の記憶手段に記憶されているときにも電子表示部の点灯を開始するように構成されているものとすることができる(請求項2)。これによれば、閉故障(第1の故障情報)が検出されれば第1の記憶手段に当該故障情報を記憶しておくことにより、開閉状態検知手段が常時閉状態と検知している場合でも、次回の電源ON時に当該故障情報を参照して即座に電子表示部の点灯制御を行うことができ、ユーザーが今から調理を行おうとする時にタイムリーに電子表示部の点灯制御による調理ナビ表示などを行うことが可能になる。なお、開閉状態検知手段が操作パネルの開状態を検知したときには、上記第1の故障情報を消去することが好ましく、これにより、一時的な不具合にすぎない場合には自動的に正常な制御に戻すことが可能になるとともに、恒久的な故障の場合でも開閉状態検知手段を交換するのみで自動的に正常な制御に戻すことができる。
【0013】
さらに、前記制御手段は、第1の記憶手段に第1の故障情報が記憶されている場合には、前記点灯継続時間を通常時よりも長く設定するように構成されているものとすることができる(請求項3)。これによれば、電源ON時に上記したように強制的に電子表示部の点灯制御が行われる場合に、実際は操作パネルが収納されているために電源ON操作から暫く時間を置いてユーザーが操作パネルを開くことも想定されるが、このような場合でも、電子表示部の点灯継続時間を通常時よりも長く設定していることで、ユーザーが操作パネルを開いたときには電子表示部が消灯してしまっていることを回避できる。
【0014】
なお、通常時(閉故障の非検出時)には点灯継続時間は例えば10〜15秒とすることができ、閉故障時(第1の故障情報が記憶されているとき)には点灯継続時間は例えば20〜30秒とすることができる。
【0015】
また、第1の記憶手段に第1の故障情報が記憶されている場合には、開閉状態検知手段により操作パネルの閉状態を検知しても電子表示部を消灯させないように前記制御手段を構成することもできる(請求項4)。これによれば、開閉状態検知手段が常時閉状態を検知する閉故障時には、操作パネルの閉状態の検知による電子表示部の消灯制御を無効化して、操作パネルの所定の操作による点灯開始後、上記の所定の点灯継続時間が経過するまでは電子表示部を点灯させることを保証でき、開閉状態検知手段の故障により即座に電子表示部が消灯されてしまうことを防止できる。
【0016】
また、前記制御手段は、第2の記憶手段を備え、開閉状態検知手段により操作パネルの開状態を継続的に検知している状態で所定条件を満たしたときは当該第2の故障情報を前記第2の記憶手段に記憶するように構成されているとともに、制御手段への通電開始時に前記第2の故障情報が第2の記憶手段に記憶されているときにも電子表示部の点灯を開始するように構成されているものとすることができる(請求項5)。これによれば、開状態を継続的に検知している状態で、該開状態の検知開始初期からの経過時間や、制御手段への積算通電時間や、操作パネル外の操作部の操作回数などが規定値以上になるなど、ユーザーによる通常の想定使用状況であれば考え難い条件を満たしたときには、開閉状態検知手段が開故障(常時、開状態を出力する状態)しているおそれがあるため、開故障情報(第2の故障情報)を第2の記憶手段に記憶しておき、次回の電源ON時に当該故障情報を参照して即座に電子表示部の点灯制御を行うことができ、ユーザーが今から調理を行おうとする時にタイムリーに電子表示部の点灯制御による調理ナビ表示などを行うことが可能になる。なお、開閉状態検知手段が操作パネルの閉状態を検知したときには、上記第2の故障情報を消去することが好ましく、これにより、一時的な不具合にすぎない場合には自動的に正常な制御に戻すことが可能になるとともに、恒久的な故障の場合でも開閉状態検知手段を交換するのみで自動的に正常な制御に戻すことができる。
【0017】
本発明の調理機器は、前記操作パネルとは別に設けられた操作部と、該操作部の操作回数をカウントする操作回数計測手段とをさらに備えることができ、前記制御手段は、開閉状態検知手段により操作パネルの開状態を継続的に検知している状態で前記操作部の操作回数が規定値以上となったときに、第2の故障情報を前記第2の記憶手段に記憶するように構成できる(請求項6)。上記操作部としては、例えば、ガスコンロのバーナーの着火操作を行う操作スイッチなどを代表的なものとして挙げることができる。これによれば、ユーザーが実際には操作パネルの開閉操作を行っているにもかかわらず開閉状態検知手段は操作パネルの開状態を継続的に検知したままである場合に、第2の故障情報(開故障情報)を記憶することにより、特に種々の操作による多彩な調理操作を行うユーザーに対して、比較的早期に開故障検知による適切な電子表示部の強制点灯制御を行わせることが可能になる。
【0018】
また、前記制御手段は、開閉状態検知手段により操作パネルの開状態を継続的に検知している状態で制御手段への積算通電時間が規定値以上となったときに、第2の故障情報を前記第2の記憶手段に記憶するものであってよい(請求項7)。これによれば、例えば電源ON後1時間もの間、操作パネルの開状態を継続的に検知した以降は、第2の故障情報(開故障情報)を記憶しておくことで、次回の電源ON時に強制的に電子表示部の点灯を開始させることが可能になる。
【0019】
さらに、前記制御手段は、第2の記憶手段に第2の故障情報が記憶されている場合には、前記点灯継続時間を通常時よりも長く設定するように構成することができる(請求項8)。これによれば、電源ON時に上記したように強制的に電子表示部の点灯制御が行われる場合に、実際は操作パネルが収納されているために電源ON操作から暫く時間を置いてユーザーが操作パネルを開くことも想定されるが、このような場合でも、電子表示部の点灯継続時間を通常時よりも長く設定していることで、ユーザーが操作パネルを開いたときには電子表示部が消灯してしまっていることを回避できる。なお、通常時(開故障の非検出時)には点灯継続時間は例えば10〜15秒とすることができ、開故障時(第2の故障情報が記憶されているとき)には点灯継続時間は例えば20〜30秒とすることができる。
【0020】
また、第2の記憶手段に第2の故障情報が記憶されている場合には、開閉状態検知手段により操作パネルの開状態を検知しても電子表示部の点灯を開始しないように前記制御手段を構成することができる(請求項9)。これによれば、開閉状態検知手段が常時開状態を検知する開故障時には、操作パネルの開状態の検知による電子表示部の点灯開始制御を無効化して、操作パネルの所定の操作があるまでは電子表示部を消灯させておくことで、開閉状態検知手段の開故障時に、所定の点灯継続時間の経過によって電子表示部が消灯された直後に、開状態検知によって再度点灯され、結果的に電子表示部が常時点灯制御されてしまうことを防止できる。
【0021】
なお、上記記憶手段としては、制御手段への通電を切っても記憶保持可能なものであればよく、例えば、書換え可能な不揮発性メモリを用いることが好ましいが、ボタン電池やコンデンサなどから供給される電圧により情報を保持するCMOSメモリなどによって構成することも可能である。また、第1及び第2の記憶手段は、共通の不揮発性メモリを用いて記憶するアドレスを別の場所とすることで構成することが回路構成の簡素化及びコスト低減のために好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の請求項1に係る調理機器によれば、電源スイッチをオンすることで制御手段への通電が開始された後、操作パネルの開状態を検知すると電子表示部の点灯を開始することで、電子表示部による各種状態表示、タイマー表示、操作可能ボタンのナビ表示などが行われる。万一、開閉状態検知手段の故障により操作パネルを開いても開状態が検知されない閉故障時であっても、閉じている状態では操作不可能な操作パネルに対する所定の操作を検出したときは、閉故障であると推定できるので、開状態を検知しなくても電子表示部の点灯を開始することができる。一方、電子表示部の点灯状態で、開閉状態検知手段により操作パネルの閉状態を検知したときは電子表示部を消灯させることで、操作パネルの収納時の消費電力の低減が図られる。万一、開閉状態検知手段の故障により操作パネルを閉じても閉状態が検知されない開故障時であっても、電子表示部の点灯開始から所定時間経過することで自動的に電子表示部を消灯させることで、消費電力の低減を図りつつも、何らかの操作後は電子表示部を所定時間点灯させることで、利便性を向上できる。
【0023】
また、本発明の請求項2に係る調理機器によれば、閉故障(第1の故障情報)が検出されれば第1の記憶手段に当該故障情報を記憶しておくことにより、開閉状態検知手段が常時閉状態と検知している場合でも、次回の電源ON時に当該故障情報を参照して即座に電子表示部の点灯制御を行うことができ、ユーザーが今から調理を行おうとする時にタイムリーに電子表示部の点灯制御による調理ナビ表示などを行うことが可能になる。
【0024】
また、本発明の請求項3に係る調理機器によれば、電源ON時に上記したように強制的に電子表示部の点灯制御が行われる場合に、実際は操作パネルが収納されているために電源ON操作から暫く時間を置いてユーザーが操作パネルを開くことも想定されるが、このような場合でも、電子表示部の点灯継続時間を通常時よりも長く設定していることで、ユーザーが操作パネルを開いたときには電子表示部が消灯してしまっていることを回避できる。
【0025】
また、本発明の請求項4に係る調理機器によれば、開閉状態検知手段が常時閉状態を検知する閉故障時には、操作パネルの閉状態の検知による電子表示部の消灯制御を無効化して、操作パネルの所定の操作による点灯開始後、上記の所定の点灯継続時間が経過するまでは電子表示部を点灯させることを保証でき、開閉状態検知手段の故障により即座に電子表示部が消灯されてしまうことを防止できる。
【0026】
また、本発明の請求項5に係る調理機器によれば、開状態を継続的に検知している状態で、該開状態の検知開始初期からの経過時間や、制御手段への積算通電時間や、操作パネル外の操作部の操作回数などが規定値以上になるなど、ユーザーによる通常の想定使用状況であれば考え難い条件を満たしたときには、開閉状態検知手段が開故障(常時、開状態を出力する状態)しているおそれがあるため、開故障情報(第2の故障情報)を第2の記憶手段に記憶しておき、次回の電源ON時に当該故障情報を参照して即座に電子表示部の点灯制御を行うことができ、ユーザーが今から調理を行おうとする時にタイムリーに電子表示部の点灯制御による調理ナビ表示などを行うことが可能になる。
【0027】
また、本発明の請求項6に係る調理機器によれば、ユーザーが実際には操作パネルの開閉操作を行っているにもかかわらず開閉状態検知手段は操作パネルの開状態を継続的に検知したままである場合に、第2の故障情報(開故障情報)を記憶することにより、特に種々の操作による多彩な調理操作を行うユーザーに対して、比較的早期に開故障検知による適切な電子表示部の強制点灯制御を行わせることが可能になる。
【0028】
また、本発明の請求項7に係る調理機器によれば、例えば電源ON後1時間もの間、操作パネルの開状態を継続的に検知した以降は、第2の故障情報(開故障情報)を記憶しておくことで、次回の電源ON時に強制的に電子表示部の点灯を開始させることが可能になる。
【0029】
また、本発明の請求項8に係る調理機器によれば、電源ON時に上記したように強制的に電子表示部の点灯制御が行われる場合に、実際は操作パネルが収納されているために電源ON操作から暫く時間を置いてユーザーが操作パネルを開くことも想定されるが、このような場合でも、電子表示部の点灯継続時間を通常時よりも長く設定していることで、ユーザーが操作パネルを開いたときには電子表示部が消灯してしまっていることを回避できる。
【0030】
また、本発明の請求項9に係る調理機器によれば、開閉状態検知手段が常時開状態を検知する開故障時には、操作パネルの開状態の検知による電子表示部の点灯開始制御を無効化して、操作パネルの所定の操作があるまでは電子表示部を消灯させておくことで、開閉状態検知手段の開故障時に電子表示部が常時点灯制御されてしまうことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施形態に係る調理機器の操作パネルのナビ表示制御の電源ONからナビ表示開始前までのフローを示すフローチャートである。
【図2】同ナビ表示制御のナビ表示開始からナビ表示終了までのフローを示すフローチャートである。
【図3】同実施形態に係る調理機器の概略全体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0033】
図3は本実施形態に係るグリル付きガスコンロ1(調理機器)を示しており、このガスコンロ1は、3つのコンロバーナ2,3,4、及び、グリルバーナ(図示せず)を備えるグリル部6を備えたビルトインタイプのガスコンロにて構成されており、3つのコンロバーナ2,3,4は、標準バーナ2と、小バーナ3と、高火力バーナ4とによって構成されている。
【0034】
ガラス製のトッププレート5にてガスコンロ上面が覆われており、また、トッププレート5の後方には、グリル部6からの排気を行うグリル排気口7が形成されている。
【0035】
ガスコンロ前側面には、電源スイッチ8、各コンロバーナ2,3,4のそれぞれに対応する器具栓として用いられる点消火操作部2A,3A,4A、各コンロバーナ2,3,4における調理の設定を行うコンロバーナ用開閉式操作パネル9、及び、グリル部6におけるグリルバーナの点消火操作や調理の設定を行うグリルバーナ用開閉式操作パネル10が設けられている。各操作パネル9,10は、それぞれカンガルーポケットの上面に配設されている。
【0036】
ガスコンロ1には、マイクロコンピュータ及び書換え可能不揮発性メモリを備えて各種の制御を実行するように構成された制御手段と、該制御手段の電源となる電池とが内蔵されており、電源スイッチ8のオンにより制御手段に通電して各種制御を行うように構成され、電源スイッチ8のオフにより制御手段への通電を切って消費電力を節減するように構成されている。不揮発性メモリは、電源スイッチ8のオフ時においても記憶された情報を保持する。
【0037】
また、電源スイッチ8をオンしたとき、各点消火操作部2A,3A,4A及び各操作パネル9,10の操作にて指令された運転指令に基づいて、制御手段が、各コンロバーナ2,3,4及びグリルバーナの燃焼運転を制御するように構成されている。
【0038】
各操作パネル9,10のそれぞれには、開閉状態を検知するための開閉状態検知手段(図示ぜず)が設けられており、開状態であるか閉状態であるかを制御手段に出力するようになっている。かかる検知手段としては、接点式のスイッチを好適に用いることができるが、近接スイッチなどを用いてもよい。また、検知手段は、閉状態であるか閉状態でないかの1ビットの情報を出力するものであってもよく、この場合、閉状態でない場合を開状態であるとみなして制御することができる。また、検知手段は、開状態であるか開状態でないかの1ビットの情報を出力するものであってもよく、この場合、開状態でない場合を閉状態であるとみなして制御することができる。また、検知手段は、開状態であるか否かの情報と、閉状態であるか否かの情報を含む2ビットの情報を出力するものであってもよく、この場合は整合性検査により一層的確な故障検知制御を行うことも可能である。
【0039】
上記不揮発性メモリには、各開閉状態検知手段の故障状態を持続的に記憶保持するために、閉故障と診断された場合にONされる閉故障フラグ(第1の記憶手段)と、開故障と診断された場合にONされる開故障フラグ(第2の記憶手段)とが、各操作パネル9,10毎に設けられている。ここで、各故障フラグをONすることは、故障情報を不揮発性メモリに記憶することを意味し、各故障フラグをOFFすることは、故障情報を不揮発性メモリから消去することを意味するものとする。
【0040】
また、各操作パネル9,10には、各バーナの燃焼時間の設定、バーナ燃焼量制御による調理温度の設定、湯沸かしなどの設定、グリルの調理メニューの設定などを行う各種操作ボタンや、時間表示や温度表示などを行うための液晶表示部などが設けられているとともに、各操作ボタンに対応して、当該ボタンが現在有効な操作ボタンであることをナビ表示するためのLEDなどの発光素子が各操作ボタンに埋め込み乃至近接配置されており、これら複数の発光素子によって、調理操作のナビ表示を行う電子表示部11,12が構成されている。コンロバーナ用操作パネル9の電子表示部11と、グリルバーナ用操作パネル10の電子表示部12とは、制御手段によって個別に点消灯制御されるようになっている。
【0041】
図1及び図2は、各操作パネル9,10の電子表示部11,12の制御手段による点消灯制御フローを示しており、以下説明の簡単のために操作パネル9の電子表示部11の制御として説明する。
【0042】
図1に示すように、ユーザーが電源スイッチ8をオンすると(ステップS1)、まず制御手段への積算通電時間を計測するためのタイマーT1を初期化する(ステップS2)。次に、不揮発性メモリ内に設けられた閉故障フラグがONであるか(第1の故障情報が記憶されているか)、若しくは、不揮発性メモリ内に設けられた開故障フラグがONである(第2の故障情報が記憶されているか)場合には、開閉状態検知手段が故障している可能性が高いため、即座にナビ表示制御を行うために、図2のステップS10へジャンプする(ステップS3)。
【0043】
いずれの故障フラグもOFFである場合(ステップS3:NO)は、次に、操作パネル9の開閉状態検知手段の出力を診断し(ステップS4)、操作パネル9の閉状態を検知するときは開故障フラグをOFF、すなわち第2の故障情報を消去して(ステップS5)、操作パネル9の所定操作の検出判定を行う(ステップS8)。操作パネル9の何らの操作も行われていなければステップ4に戻り、操作パネル9に対して何らかの操作が行われていれば、閉故障であると診断されるため、閉故障フラグをONにして、図2のステップS10へ移行する。
【0044】
一方、ステップS4において、操作パネル9の開状態を検知するときは、閉故障フラグをOFF、すなわち第1の故障情報を消去して(ステップS6)、開故障フラグがONであるか否かを判定する(ステップS7)。当該ステップS7は、図2に示すナビ表示制御中に開故障と診断され、開故障フラグがONされた後にステップS4へ制御が戻った場合に、何らユーザが操作を行っていないにもかかわらず操作パネル9の開検知(誤検知)により再度ナビ表示制御が開始されてしまい、結果的に常時、電子表示部11が点灯されてしまうことを回避するためのステップである。開故障フラグがONの場合は、次に操作パネル9の所定操作が検出されるまで電子表示部11を消灯状態でループさせるためにステップS8へ移行し、開故障フラグがOFFの場合は、操作パネル9の開状態の検知により電子表示部11の点灯によるナビ表示の制御を開始するために、図2のステップS10へ移行する。
【0045】
かかる図1に示すように、制御手段は、(1)制御手段への通電開始時に第1の故障情報が第1の記憶手段に記憶されているとき(閉故障フラグがONのとき)、(2)制御手段への通電開始時に第2の故障情報が第2の記憶手段に記憶されているとき(開故障フラグがONのとき)、(3)電子表示部11の消灯状態で開閉状態検知手段により操作パネル9の開状態を検知し且つ第2の故障情報が第2の記憶手段に記憶されていないとき(開故障フラグがOFFのとき)、及び、(4)電子表示部11の消灯状態で操作パネル9に対する所定の操作を検出したとき、のいずれかの条件を満たせば、電子表示部11の点灯を開始するように構成されている。なお、開故障フラグを設けずに、開故障フラグの判定を行うステップS7も省略して、操作パネル9の開状態が検知されれば無条件で電子表示部11の点灯を開始させるように構成してもよく、また、通電直後の各故障フラグの判定を行うステップS3を省略して操作パネル9の開状態の検知か操作パネル9に対する所定操作の検出のいずれかの場合にのみ電子表示部11の点灯を開始させるように構成してもよい。
【0046】
図2は電子表示部11によるナビ表示制御中における電子表示部11の点消灯制御フローを示しており、まず、ナビ表示継続時間(点灯継続時間)を計測するためのタイマーTを初期化して(ステップS10)、電子表示部11の点灯によりナビ表示制御を開始する(ステップS11)。かかるナビ表示制御が開始された後は、後述するステップS23におけるナビ表示制御の停止が行われるまで、制御手段が、操作パネル9の操作状況に応じて電子表示部11に含まれる各発光素子や液晶表示部の点消灯制御が行われる。
【0047】
次に、開閉状態検知手段の検出結果に基づいて操作パネル9の開閉状態を診断し(ステップS12)、操作パネル9が開状態であると検知されるときは閉故障フラグをOFFに設定して(ステップS13)、操作パネル9に対応する器具栓となる点消火操作部2A,3A,4Aによる各コンロバーナ2,3,4の総着火回数(器具栓ON回数)が規定値以上(例えば、100回以上)となるか(ステップS14)、あるいは、制御手段への通電開始時からの経過時間(すなわち積算通電時間)を示すタイマーT1が規定値以上(例えば、1時間以上)である場合(ステップS15)には、開閉状態検知手段が操作パネル9を閉じても開状態を検知している可能性が高いと判断されるため、開故障フラグをONに設定する(ステップS16)。その後、電子表示部11の点灯開始から所定の点灯継続時間が経過したか否かを判定し(ステップS18,S19)、所定時間が経過していなければステップS12に戻り、所定の点灯継続時間が経過したときは節電のために電子表示部11を消灯させてナビ表示制御を停止させる(ステップS23)。ここで、開故障フラグ及び閉故障フラグの少なくともいずれか一方がONに設定されているとき(ステップS17)は、開閉状態検知手段の故障により正確な開閉状態検知が行われていないと判定されるため、上記点灯継続時間として20秒に設定しており(ステップS18)、故障状態を検出していない通常時の点灯継続時間としての10秒(ステップS19)よりも長く設定されている。
【0048】
上記ステップS12において、操作パネル9の閉状態を検知したときは、開故障フラグをOFFに設定して(ステップS20)、閉故障フラグがONであるか否かを判定する(ステップS21)。当該ステップS21は、図1のステップS9において閉故障フラグがONされた後にナビ表示制御が開始された場合に、ステップS12において即座に閉状態が検知されてナビ表示の終了処理に移行されてしまうことを回避するためのステップである。閉故障フラグがONの場合は、上記の所定の点灯継続時間が経過するまではナビ表示制御を行わせるためにステップS14へ移行する。一方、閉故障フラグがOFFの場合は、上記ステップS12において操作パネル9の閉状態を検知できていることから、開故障状態ではないと判断できるため、開故障フラグをONするためのカウンターとなる器具栓ON回数及びタイマーT1を初期化した上で(ステップS22)、操作パネル9の閉状態の検知により電子表示部11を消灯させてナビ表示制御を終了させるためにステップS23へ移行する。
【0049】
ステップS23では、電子表示部11を消灯させることでナビ表示を停止させるが、ナビ表示を行うための内部の制御自体は継続しつつ電子表示部11を構成する各発光素子への通電のみを停止するものであってもよく、ナビ表示制御そのものを停止させるものであってもよい。
【0050】
かかる図2に示すように、制御手段は、(1)電子表示部11の点灯状態で、開閉状態検知手段により操作パネル9の閉状態を検知し且つ閉故障フラグがOFFであるとき、(2)電子表示部の点灯開始から所定の点灯継続時間が経過したとき、のいずれかの条件を満たせば、電子表示部11を消灯するように構成されている。なお、閉故障フラグを設けずに、閉故障フラグの判定を行うステップS21も省略して、操作パネル9の閉状態が検知されれば無条件で電子表示部11を消灯させるように構成してもよい。
【0051】
以上説明した本実施形態に係るガスコンロ1によれば、開閉状態検知手段が常時開状態を出力する状態となる開故障が発生したか否かを示す開故障フラグと、常時閉状態を出力する状態となる閉故障が発生したか否かを示す閉故障フラグとを設けたので、それぞれの故障状態に対応して適切な制御を行わせることができる。
【0052】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、図1及び図2においてはシーケンス制御の例を示したが、操作パネルの開閉状態検知や、操作パネルに対する操作検出や、タイマーT1又はTが所定時間を経過したときに割込み処理を行わせて所定の制御を行うように構成してもよい。また、制御手段は論理回路によって構成することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1 調理機器
9 コンロバーナ用操作パネル
10 グリルバーナ用操作パネル
11 コンロバーナ用操作パネルの電子表示部
12 グリルバーナ用操作パネルの電子表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉式の操作パネルと、該操作パネルに配設された電子表示部と、該電子表示部の点消灯を制御する制御手段と、前記操作パネルの開閉状態を検出する開閉状態検知手段とを備え、
前記制御手段は、開閉状態検知手段により操作パネルの開状態を検知したとき、並びに、操作パネルに対する所定の操作を検出したときに、電子表示部の点灯を開始するように構成されているとともに、電子表示部の点灯状態で、開閉状態検知手段により操作パネルの閉状態を検知したとき、並びに、電子表示部の点灯開始から所定の点灯継続時間が経過したときに、電子表示部を消灯させるように構成されていることを特徴とする調理機器。
【請求項2】
請求項1に記載の調理機器において、
前記制御手段は、第1の記憶手段を備え、開閉状態検知手段により操作パネルの閉状態を検知しているにもかかわらず操作パネルに対する所定の操作を検出したときは当該第1の故障情報を前記第1の記憶手段に記憶するように構成されているとともに、制御手段への通電開始時に前記第1の故障情報が第1の記憶手段に記憶されているときにも電子表示部の点灯を開始するように構成されていることを特徴とする調理機器。
【請求項3】
請求項2に記載の調理機器において、
前記制御手段は、第1の記憶手段に第1の故障情報が記憶されている場合には、前記点灯継続時間を通常時よりも長く設定するように構成されていることを特徴とする調理機器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の調理機器において、
第1の記憶手段に第1の故障情報が記憶されている場合には、開閉状態検知手段により操作パネルの閉状態を検知しても電子表示部を消灯させないように前記制御手段が構成されていることを特徴とする調理機器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の調理機器において、
前記制御手段は、第2の記憶手段を備え、開閉状態検知手段により操作パネルの開状態を継続的に検知している状態で所定条件を満たしたときは当該第2の故障情報を前記第2の記憶手段に記憶するように構成されているとともに、制御手段への通電開始時に前記第2の故障情報が第2の記憶手段に記憶されているときにも電子表示部の点灯を開始するように構成されていることを特徴とする調理機器。
【請求項6】
請求項5に記載の調理機器において、
前記操作パネルとは別に設けられた操作部と、該操作部の操作回数をカウントする操作回数計測手段とをさらに備え、前記制御手段は、開閉状態検知手段により操作パネルの開状態を継続的に検知している状態で前記操作部の操作回数が規定値以上となったときに、第2の故障情報を前記第2の記憶手段に記憶することを特徴とする調理機器。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の調理機器において、
前記制御手段は、開閉状態検知手段により操作パネルの開状態を継続的に検知している状態で制御手段への積算通電時間が規定値以上となったときにも、第2の故障情報を前記第2の記憶手段に記憶することを特徴とする調理機器。
【請求項8】
請求項5,6又は7に記載の調理機器において、
前記制御手段は、第2の記憶手段に第2の故障情報が記憶されている場合には、前記点灯継続時間を通常時よりも長く設定するように構成されていることを特徴とする調理機器。
【請求項9】
請求項5〜8のいずれかに記載の調理機器において、
第2の記憶手段に第2の故障情報が記憶されている場合には、開閉状態検知手段により操作パネルの開状態を検知しても電子表示部の点灯を開始しないように前記制御手段が構成されていることを特徴とする調理機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−92334(P2013−92334A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236042(P2011−236042)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)