調節可能な靴型を有するカスタマイズシステムおよびスポーツシューズをカスタマイズする方法
【課題】靴を、わずかな時間で着用者にカスタマイズする。
【解決手段】スポーツシューズのフィット感を個々の着用者にカスタマイズするシステムは、足採寸装置と、調節可能な足型と、赤外線活性化室とを含む。各長さサイズ用の単一の幅の靴は、幅のフィット感がカスタマイズされる、熱可鍛性材料で作製されたアッパーの少なくとも一部を有する。足採寸データを使用して長さサイズ、幅サイズ、および多数のカスタマイズする調節係数を算出する。長さサイズを算出した後、妥当なサイズの靴および靴型をともに組み付けて、熱可鍛性材料が可塑性になるまで熱処理を行う。その後、カスタマイズする幅サイズの決定を行うために、調節係数に従って靴型の調節を行う。アッパーを固まらせるさらなる熱処理および冷却後、靴が完成する。
【解決手段】スポーツシューズのフィット感を個々の着用者にカスタマイズするシステムは、足採寸装置と、調節可能な足型と、赤外線活性化室とを含む。各長さサイズ用の単一の幅の靴は、幅のフィット感がカスタマイズされる、熱可鍛性材料で作製されたアッパーの少なくとも一部を有する。足採寸データを使用して長さサイズ、幅サイズ、および多数のカスタマイズする調節係数を算出する。長さサイズを算出した後、妥当なサイズの靴および靴型をともに組み付けて、熱可鍛性材料が可塑性になるまで熱処理を行う。その後、カスタマイズする幅サイズの決定を行うために、調節係数に従って靴型の調節を行う。アッパーを固まらせるさらなる熱処理および冷却後、靴が完成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足を採寸して、足の採寸値を調節可能な靴型上の設定に相関させ、調節可能な靴型上の熱可鍛性活性化領域で適当なサイズの靴を合わせて、着用者のために靴のフィット感(フィット性)をカスタマイズするように靴型を調節しながら靴を熱処理して、着用者に対してスポーツシューズをカスタマイズするシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スポーツシューズ業界は、スポーツシューズのフィット感を向上させ、かつ、個々の着用者に対するフィット感にカスタマイズする方法を研究し続けている。個々の着用者に靴をカスタマイズする最も古い方法は、特定の個人の足にカスタマイズした靴型に基づいて靴を作製することである。これは、カスタム仕立てまたは誂えの服に等しいものであり、経費とともに時間がかかる工程を伴う。履物量産市場にカスタマイズした足型をもたらすために数多くの試みがこれまで行なわれている。
【0003】
量産された靴のフィット感をカスタマイズすることのこれまでの障害の1つは、フィット感に主たる影響を与えている構成要素、すなわち、履物が形成される靴型の形状が不変のままであるという点である。一般に、靴型つまり型は、以下の足の採寸値、すなわち、足全長、足幅、第一指の高さ、足の甲の輪郭、および少なくとも6箇所の周囲採寸値を考慮に入れることによって作製されている。一般的に行われているのは、大きな母集団から取った足の採寸値を利用して統計的に平均的な足の特性を決定することによって量産用の足型を成形するというものである。理論的には、これによって、母集団の大部分に適正なフィット感が達成されることになる。履物のサイズ決定は、一般的に、足の幅または周囲寸法の調節を伴う着用者の足の全長を基本としている。大半の履物メーカーは、限られた長さと幅との組み合わせで消費者に履物を供給しているに過ぎない。
【0004】
製造上および小売り在庫上の種々の抑制的な課題のため、量産メーカーおよび市場関係者は、多様な長さと幅との組み合わせたサイズの履物を提供することはできない。履物商品の各々の長さと幅との組み合わせには、一般的に、その特定の長さと幅との組み合わせに正しく釣り合いの取れている独自の靴型が必要であることから、経済的には、一般的に、メーカーおよび小売業者は、やはり、統計的に平均的な足に基づいて、限られた範囲の長さと幅との組み合わせを提供せざるを得ない。試行されているのは、母集団のできるだけ広範な代表例を対象にしようというものである。調査結果から、この方法は、コスト効率は高いものの、消費者に対する種々の欠点があることがわかっている。これまで、メーカーは、幅が異なっても同じツールを使用しており、アッパー(靴甲)だけは、幅において異なるサイズ決定が行われている。
【0005】
多くの人が統計的に平均的な比率の足ではないので、通常の長さと幅との組み合わせであれば、適正なフィット感が得られない。利き足が若干長いなど、左右の足で幅が異なる人もいる。これらの要素のいずれも、着用者が、特にスポーツシューズの全面的な利点を享受することを可能にするためには、フィット感の調節が必要である。
フィット感をカスタマイズする1つの方法は、2002年3月14日出願の本出願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/099,685号明細書で説明されており、当該文献は、引用により本明細書に組み入れられる。米国特許出願第10/099,685号では、履物を作製するために使用する靴型を指定することによって遠隔通信チャンネルを介して着用者が履物を購入することができる方法が説明されている。着用者は、その靴型を使用して構成した履物に関する過去の経験を元に靴型を特定することができる。靴型は、型番およびサイズ、または、着用者の足の採寸値を採用して履物を構成するために使用する靴型を決定することによって指定してもよい。
【0006】
靴は、これまで、締め付けシステム、異なる材料などの様々な調節メカニズムで作製されているが、量産された靴は、一般的に、今でも、所定の靴型または型で作製されている。靴型自体を調節して量産された靴のフィット感をカスタマイズすることは、ほとんどなされていない。靴は製造中に完成されることから、過去に調節が行われているとしても、調節は、製造中に行なわなければならず、その結果、カスタマイズされた靴を着用者が受け取るのに大幅な遅延が発生することになる。
【0007】
スポーツシューズのフィット感をカスタマイズするために種々の試みがこれまで行われ、その結果、着用者は、カスタマイズによる靴をひたすら待たなければならない。靴製造後に、好ましくは、売り渡し時点で、小売り業者がカスタマイズする必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第10/099,685号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、統計的に平均的な足のかわりに、個々の着用者の足の採寸値を使用して靴のフィット感のカスタマイズに応じる必要性に取り組むものである。本発明の局面は、小売店など、単一の場所での足の採寸および靴の完成を提供するというものである。本発明の別の局面は、1つの場所での足の採寸および別の場所での靴の完成を提供するというものである。例えば、小売り場所または他の場所で採寸が行われ、採寸値は、靴の完成のために製造または販売場所に伝送される。カスタマイズする履物は、調節可能な靴型を使用して設定することができる可塑性の特性を示すことができる材料で構成されたアッパーの少なくとも一部を使用して製造される。靴底部は、幅調節に対応するように構成される。本発明の1つの利点は、本発明は、長さサイズごとに片方の靴のみの在庫で、各顧客のぴったりとした幅のフィット感を可能にするものであるので、小売業者は、複数の長さの在庫品を持ってさえすればよいことになるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフィット感をカスタマイズシステムするシステムは、着用者の足を採寸する採寸装置と、靴の各長さサイズ用の調節可能な靴型と、制御装置を有する赤外線活性化室とを含む。また、本システムは、赤外線活性化室内でサイズに合わせて熱で固まるように設計されている活性化領域を有する特製の靴を含む。本システムは、熱硬化する靴に冷却処理を任意に行う冷却装置を任意に含む。
【0011】
採寸装置は、単純なものでは罫線が引かれた採寸道具、または複雑なものでは3次元レーザースキャナーであってもよい。1つの一般的な罫線が引かれた採寸装置は、各々の足についてつまさきからかかとまで、かかとから拇指球まで、および幅の線形の採寸値が得られるBrannock(登録商標)装置である。Brannockサイズは、本発明のサイズ決定システムとして使用してもよい。あるいは、靴のサイズは、着用者の足のスキャンから得られた足採寸値から算出することができる。
【0012】
調節可能な靴型は、着用者の足の寸法を反映させるためにより狭い、より痩せた、より広いおよび/またはより肉付きのよい型となるように移動させることができる調節可能な幅部と、調節可能な足甲部とを有する足型を含む。これらの移動可能な部分は、移動可能な部分を調節するための妥当な較正機構に接続されている。調節可能な靴型システムは、顧客の足の採寸値から取った特定のデータを、調節可能な靴型の較正機構の正確な数値設定に変換するサイズ決定アルゴリズムを含む。
【0013】
着用者の足の長さサイズが決まると、これに応じて少なくとも一部が熱処理可能な材料で作製されたアッパーを有する特別設計された長さサイズの靴が、カスタマイズ用に選択される。靴の靴底部の幅調節は、交換可能な中敷(ミッドソール)プラグを有する調節可能な中底部を使用して達成してもよい。あるいは、プラグなしの異なる幅の靴敷部を使用して、幅をカスタマイズしてもよい。外底(アウトソール)は、中敷の調節済みのより広いまたはより狭い幅に対応するために長手方向のスリットを有していてもよい。好適な実施形態においては、交換可能な中敷プラグを使用し、妥当なサイズの中敷プラグを中敷に挿入する。
【0014】
その後、調節可能な靴型を靴に挿入し、靴および靴型を赤外線活性化室内で熱処理し、熱可鍛性材料が可塑性になったときに、靴を調節済みの靴型に引き伸ばすために靴型を調節する。調節可能な靴型および靴は、アッパーを固めるためにさらに処理する。室温または任意の冷却装置内に静置することによって、靴型および靴を冷却する。靴の活性化領域を固めた後、靴型を取り外す。フィット感のカスタマイズの諸ステップを完了して、その後、フィット感をみるために靴を試し履きすることができる。さらなる調節が必要な場合、対応する靴型調節とともにさらなる熱処理が可能である。
【0015】
活性化室は、外側まで保護シールドによって覆われた複数の赤外線ランプを含む。赤外線ランプは、靴を置くことができる目標領域周りに位置決めされている。赤外線ランプは、温度、加熱速度および赤外線ランプによって靴が赤外線照射に曝される持続時間を制御する制御装置に結合されている。制御装置は、プロセス全体を制御するコンピュータ内に組み込まれていてもよい。説明の便宜上、赤外線活性化室は、印加する「熱」が赤外線照射であるという理解のもと、IR加熱器ということもある。赤外線照射処理は、広義の意味で「熱」処理ともいうことを理解されたい。
【0016】
赤外線照射は好適であるが、アッパーの活性化領域内において対応して選択されかつ設計された材料とともに他の形態のエネルギーを活性化室内で使用してもよい。代替形態のエネルギーとしては、マイクロ波照射、音波、レーザー、電気または電磁気があるが、これらに限定されない。
内側および外側側部と、足甲領域とを有する履物のフィット感をカスタマイズする調節可能な足型靴型は、靴型本体と、前記靴型本体の前記内側側部の一部に沿って延びる内側調節要素であって、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である内側調節要素と、前記靴型本体の前記外側側部の一部に沿って延びる外側調節要素であって、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である外側調節要素と、前記内側調節要素および前記外側調節要素のいずれかを移動させるために、調節機構に、協働するように結合された較正機構と、を含んでもよい。
【0017】
前記ダイヤルの移動が結果的に前記内側および外側調節要素両方の移動となるように、前記調節機構は、前記内側調節要素と前記外側調節要素との両方に突き当たるようにされていてもよい。
前記内側および外側調節要素の前記較正機構は、前記靴型本体に対して、前記内側および外側調節要素の等距離の位置に対応する複数の位置を含んでもよい。
【0018】
前記較正機構は、調節ダイヤルであってもよい。
この足型靴型は、前記靴型本体の頂部に沿って延びる足甲調節要素をさらに含んでもよく、この場合、前記足甲調節要素が、足甲調節機構に突き当たる足甲較正機構の動きによって、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能であってもよい。
【0019】
前記足甲較正機構は、前記靴型本体に対して、前記足甲調節要素の位置に対応する複数の位置を含んでもよい。
前記足甲較正機構は、前記靴型本体に対して、かつ、前記内側および外側調節要素の前記位置との相互関係において、前記足甲調節要素の位置に対応する複数の位置を含んでもよい。
【0020】
内側および外側側部と、足甲領域とを有する履物のフィット感をカスタマイズする調節可能な足型靴型は、靴型本体と、前記靴型本体の前記内側側部の一部に沿って延びる内側調節要素であって、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である内側調節要素と、前記靴型本体の前記外側側部の一部に沿って延びる外側調節要素であって、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である外側調節要素と、前記靴型本体の頂部に沿って延びる足甲調節要素であって、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である足甲調節要素と、を含んでもよい。
【0021】
この足型靴型は、前記ダイヤルの移動が結果的に前記内側および外側調節要素両方の移動となるように、前記内側調節要素を移動させる調節機構と、前記外側調節要素を移動させる調節機構とに、協働するように結合された幅較正機構であって、前記靴型本体に対して前記内側および外側調節要素の等距離の位置に対応する複数の位置を含む幅較正機構と、調節機構に、協働するように結合され、前記足甲調節要素を移動させる周囲寸法較正機構であって、前記靴型本体に対して前記足甲調節要素の位置に対応する複数の位置を含む周囲寸法較正機構と、を含んでもよい。
【0022】
前記周囲寸法較正機構は、前記内側および外側調節要素の前記位置との相互関係において、前記靴型本体に対して前記足甲調節要素の位置に対応する複数の位置を含んでもよい。
前記幅較正機構および前記周囲寸法較正機構には、前記内側および外側調節要素ならびに前記足甲調節要素の相対位置に対応する全く同じ数値が付けられていてもよい。
【0023】
内側および外側側部を有する靴のフィット感を個々の着用者の足採寸値にカスタマイズする調節可能な足型靴型は、靴型本体と、前記靴型本体の前記内側側部の一部に沿って延び、かつ、内側調節機構によって前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である内側調節要素と、前記靴型本体の前記外側側部の一部に沿って延びる外側調節要素であって、外側調節機構によって前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である外側調節要素と、前記靴型本体の頂部に沿って延びる足甲調節要素であって、足甲調節機構によって前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である甲調節要素と、前記幅較正機構の増分移動が結果的に前記内側および外側調節要素の対応する増分移動となって幅を提供する、前記内側調節機構および前記外側調節機構に結合された幅較正機構と、前記足甲較正機構の増分移動が結果的に前記足甲調節要素の対応する増分移動となって周囲寸法調節を行う、前記足甲調節機構に結合された足甲較正機構と、を含んでもよい。
【0024】
前記幅較正機構は、前記内側および外側調節要素の相対位置に対応する複数の設定を含んでもよい。
前記足甲較正機構は、前記足甲調節要素の相対位置に対応する複数の設定を含んでもよい。
前記足甲較正機構は、前記幅較正機構との相互関係において、前記足甲調節要素の相対位置に対応する複数の設定を含んでもよい。
【0025】
個々の着用者の足採寸値に基づいてフィット感をカスタマイズした靴を製造する調節可能な足型靴型は、靴型外枠と、前記靴型外枠の一部に沿って延び、かつ、調節機構によって前記靴型外枠に近づくようにおよび前記靴型外枠から離れるように移動可能である調節マッシュルーム部と、前記較正機構の増分移動が結果的に前記調節マッシュルーム部の対応する増分移動となって前記着用者の足採寸値に基づいてカスタマイズした寸法を前記靴型に与える、前記調節マッシュルーム部に結合された較正機構と、を含んでもよい。
【0026】
前記較正機構は、前記調節マッシュルーム部の相対位置に対応する複数の設定を含んでもよい。
前記調節マッシュルーム部は、前記靴型外枠の内側部分に沿って、移動可能に配置されていてもよい。
前記調節マッシュルーム部は、前記靴型外枠の外側部分に沿って、移動可能に配置されていてもよい。
【0027】
前記調節マッシュルーム部は、前記靴型外枠の足甲部分に沿って、移動可能に配置されていてもよい。
前記調節マッシュルーム部は、スポーツシューズの特定のカテゴリーに対応する、結果的に得られる形状を提供するように、前記靴型外枠に沿って、移動可能に配置されていてもよい。
【0028】
特定の活動に対して、かつ、個々の着用者の足採寸値に基づいてカスタマイズしたフィット感の靴を製造する調節可能な足型靴型は、靴型外枠と、前記靴型外枠の一部に沿って延び、かつ、第1の調節機構によって前記靴型外枠に近づくようにおよび前記靴型外枠から離れるように移動可能である第1の調節要素と、前記第1の較正機構の増分移動が結果的に前記第1の調節要素の対応する増分移動になるように、前記第1の調節機構に結合された第1の較正機構と、を含んでもよい。
【0029】
この足型靴型は、前記靴型外枠の一部に沿って延び、かつ、第2の調節機構によって前記靴型外枠に近づくようにおよび前記靴型外枠から離れるように移動可能である第2の調節要素と、前記第2の較正機構の増分移動が結果的に前記第2の調節要素の対応する増分移動になるように、前記第2の調節機構に結合された第2の較正機構と、をさらに含んでもよい。
【0030】
この足型靴型は、前記靴型外枠の一部に沿って延び、かつ、第2の調節機構によって前記靴型外枠に近づくようにおよび前記靴型外枠から離れるように移動可能である第2の調節要素をさらに含んでもよく、この場合、前記第1の較正機構の増分移動が、結果的に、前記第1の調節要素とともに、前記第2の調節要素の対応する増分移動になるように、前記第2の調節要素が、前記第1の較正機構に結合されていてもよい。
【0031】
本発明他の構成、特徴、および利点は、以下の図および詳細な説明を検討すると当業者に明らかになるであろう。全てのこのような追加システム、方法、特徴および利点は、本記載に含まれ、また、本発明の範囲内であるとともに、以下の特許請求の範囲によって保護されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】調節可能な靴型の斜視図である。
【図2】図1に示す調節可能な靴型の前部立面図である。
【図3】図1に示す調節可能な靴型の後部立面図である。
【図4a】図1に示す調節可能な靴型の側面立面図である。
【図4b】調節可能な靴型の内部構成要素の側面図である。
【図4c】調節可能な靴型の横幅マッシュルーム形調節機構の斜視組立図である。
【図4d】横幅マッシュルーム形調節機構の平面図である。
【図4e】横幅マッシュルーム形調節機構の正面立面図である。
【図4f】調節可能な靴型の足甲マッシュルーム形調節機構の斜視組立図である。
【図5】図1に示す調節可能な靴型の内側立面図である。
【図6】図1に示す調節可能な靴型の平面図である。
【図7】図1に示す調節可能な靴型の底部平面図である。
【図8a】横幅マッシュルーム部の斜視図である。
【図8b】図8aの横幅マッシュルーム部の側面図である。
【図8c】図8aの横幅マッシュルーム部の内部側面図である。
【図8d】図8aの横幅マッシュルーム部の前部立面図である。
【図8e】図8aの横幅マッシュルーム部の後部立面図である。
【図8f】図8aの横幅マッシュルーム部の平面図である。
【図8g】図8aの横幅マッシュルーム部の底部平面図である。
【図9】採寸、靴型選択、熱処理、調節および調整プロセスの概要を示す流れ図である。
【図10a】採寸する寸法を示す左右の足の模式図である。
【図10b】採寸する寸法を示す右足の側面立面図である。
【図11】足の採寸道具の斜視図である。
【図12】赤外線活性化室の一部の構成要素の模式図である。
【図13】赤外線熱処理に際して所定の位置にある靴および靴型を示す赤外線活性化室の斜視図である。
【図14a】前壁部のない図13の室の端部立面図である。
【図14b】外壁部のない図13の室の斜視図である。
【図14c】片側の内部ブラケットのない図13の室を切り欠いて示す斜視図である。
【図14d】詳細を示すためにより多くの要素を除去し、図13の室を切り欠いて示す別の斜視図である。
【図15】アッパーの調節可能な部分のシェーディングを示すスポーツシューズの側面図である。
【図16】調節可能なプラグを有する中敷の平面図である。
【図17】中敷プラグの平面図である。
【図18】中敷プラグの底部平面図である。
【図19】調節可能なタイプの外底の平面図である。
【図20】図9の採寸ステップおよび相関づけステップを示す流れ図である。
【図21】靴サイズの算出サブルーチンを示す流れ図である。
【図22】中敷プラグサイズの算出を示す流れ図である。
【図23】幅調節係数の算出を示す流れ図である。
【図24】足甲調節係数の算出を示す流れ図である。
【図25】本発明のフィット感をカスタマイズするシステムの構成要素を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、以下の図面および説明を参照するとよりよく理解することができる。図における種々の構成要素は、必ずしも同一の縮尺ではなく、むしろ、本発明の原理を説明するときには強調されている。さらに、各種の図においては、同様の参照番号は、異なる図を通して、対応する部品を示す。
調節可能な靴型10を図1ないし図8gに詳細に示す。靴型10は、本体部つまり外枠12と、足甲マッシュルーム部14と、側面マッシュルーム部16と、内側マッシュルーム部18と、少なくとも2つの調節ダイヤルとを有している。靴型外枠12は、くるぶし領域前部に沿った、本システムの検出機構と係合する戻り止め11を含む。足甲ダイヤル20は、足甲マッシュルーム部14の位置を制御し、幅ダイヤル22は、側面マッシュルーム部16および内側マッシュルーム部18の位置を制御する。ダイヤルの各々には、ボタン・ノブ解放部21が装備されている。各靴型10は、特定の長さサイズのものであり、マッシュルーム部は、側面マッシュルーム部および内側マッシュルーム部の動きを介して幅サイズを変更し、かつ、足甲マッシュルーム部の動きを介して周囲寸法サイズを変更する。側面マッシュルーム部および内側マッシュルーム部は、幅ダイヤルの動きで移動する。活性化領域内の熱可鍛性材料が可塑性になるまで靴が熱処理されると、着用者の足の採寸値に関係した靴型の調節によって、フィット感のカスタマイズが行われ、靴型は、靴のサイズを設定するために調節される。
【0034】
調節可能な靴型の内部機構を図4bないし図4fに示す。側面マッシュルーム部16の調節機構について詳細に検討する。内側マッシュルーム部および足甲マッシュルーム部の機構は同様に作動することが理解されるであろう。図8aないし図8fを参照すると、側面マッシュルーム部16は、単独で示されている。マッシュルーム部16の内側は、その中に形成された斜め切り欠き26を有する内方に延びる駆動柱部24を有する。また、マッシュルーム部16は、内方に延びかつ駆動柱部24から離間している案内柱部28も有している。案内柱部28は、靴型本体に対するマッシュルーム部16の位置合わせを確実にするために靴型の案内孔で受け止められる。図4bないし図4eおよび図8aないし図8fを参照すると、ダイヤル22は、斜め楔部34を駆動させるナット32に結合されているねじ込み式主ねじ30を駆動させる。斜め楔部34は、駆動柱部28の切り欠き26を支えてかみ合うように成形されている。ブッシング31は、台座が主ねじ30を所定の位置に誘導しやすくする。図4bにおいては、ナット32およびブッシング33は、ばね部品35のスリーブ内に含まれ、かつ、ばね部品35と協働する。したがって、調節ダイヤルを回すと、軸30およびナット32が回り、これによって切り欠き26内の斜め楔部34が移動して、マッシュルーム部16が本体12から離れたり、または本体12に近づいたりする。
【0035】
ダイヤル22の調節によって、側面マッシュルーム部16および内側マッシュルーム部18が、靴型の幅を調節するために本体12から離れたりまたは本体12に近づくことがわかる。マッシュルーム部16およびマッシュルーム部18が、本体12に当接するように本体12内に引き込まれると、その位置は、靴型の最も狭い幅に対応する。ここで検討しているように、側面マッシュルーム部16および内側マッシュルーム部18は、ダイヤル22の調節で本体12から離れたりまたは本体12に近づいて等しい距離を移動する。一般に、ほとんどの足の場合、カスタマイズする幅サイズは、側面マッシュルーム部および内側マッシュルーム部の等距離の移動で最もよく達成される。しかしながら、別のパラメータを追加してさらにフィット感をカスタマイズするために、各幅マッシュルーム部について個別の調節ダイヤルを設置することは本発明の範囲内である。
【0036】
足甲マッシュルーム部14の調節機構を図4bおよび図4fに示す。調節ダイヤル20に結合された主ねじ30’を含む。ブッシング31’は、主ねじ30を着座させやすくする。主ねじ30’は、足甲アダプタ29を移動させるナット32’を駆動させる。図4bにおいては、ナット32’およびブッシング33’は、スリーブ内に含まれ、バネ部品35’と協働する。したがって、ダイヤル20の調節によって主ねじ30が移動し、これによって、結果的に、足甲マッシュルーム部14の移動を行うためにナット32’および足甲アダプタ29の動きが発生する。
【0037】
内側マッシュルーム部、側面マッシュルーム部、および足甲マッシュルーム部の調節は、靴型の周囲寸法に影響を与え、着用者の足の周囲寸法採寸値は、足甲マッシュルーム部だけを使用するのではなく、3つのマッシュルーム部のうちの2つで調節することによっても達成することができる。
言うまでもなく、ウォーム・ギア構成または前進式ラチェット組立体などの任意の公知の機構を使用して、それぞれのダイヤルの回転時にマッシュルーム部の動きを推進させてもよい。本明細書で説明するような調節機構は調節ダイヤルを指すが、任意の種類の較正機構をその代わりに使用してもよい。他の較正機構および線形スライド・スケールなどの調節表示器またはタッチスクリーンを有するLED表示器などは、本発明の範囲内である。この局面において、「ダイヤル」という用語は、任意の種類の較正機構および調節表示器を指すように広義に使用されている。
【0038】
調節可能な靴型のマッシュルーム部は、靴完成品上の滑らかな移行面を確保するために可撓性周辺部を有するように設計されている。図8bを参照すると、例示的な図として、マッシュルーム部16の周辺部は、アッパーが、マッシュルーム部16上に支持された各部と靴型の本体上に支持された各部との間の移行領域において段付きの外見を有さないように可撓性である。マッシュルーム部周辺部の可撓性は、いくつかの方法で達成することができる。1つの実施例は、単一の材料からマッシュルーム部を形成して、周辺部が滑らかな移行部を実現するように十分に柔軟で肉薄であることを確保するものである。別の方法は、2つ以上の材料、周辺部に沿った可撓性材料、および種々の柱部が接続される中心部において、より剛性のある材料からマッシュルーム部を形成するというものである。
【0039】
調節可能な靴型10は、フィット感をカスタマイズするシステムの主要構成要素の1つである。図9は、フィット感をカスタマイズした靴を作製する全体的なプロセスの概要を示す。まず、ステップ100において、電子足スキャナー、または、Brannock装置などの他のよく知られている装置を使用して着用者の足を採寸する。次に、ステップ102において、足採寸データを使用して靴サイズおよび靴型10の調節設定および妥当な中敷プラグサイズを算出する。ステップ104において、妥当なサイズの中敷プラグを中敷に挿入する。次に、ステップ106においては、熱可鍛性活性化領域を有する特別設計の靴を調節可能な靴型10上に装着する。ステップ108において、靴型に合わせて作られた靴を活性化室内に置く。ステップ110において、靴型に合わせて作られた靴を活性化室内で活性化させる。ステップ100中に、活性化領域の材料が可塑性になるようにある処理を行った後に靴型の較正機構を調節する。したがって、靴型寸法を妥当なフィットする品質まで調節する。靴型に合わせて作られた靴をさらに処理して、靴の活性化領域を固まらせて(硬化させて)、その結果、幅サイズを固定する。ステップ112において、処理済みの靴および靴型を活性化室から取り出す。ステップ114において、処理済みの靴型に合わせて作られた靴を室温または冷却装置内での冷却によって任意に冷却処理を行って、靴上の活性化領域を「固まらせる」。ステップ116において、冷却後、靴型を靴から取り除いて、これで、靴サイズのカスタマイズは、ステップ118において、完了である。
【0040】
ここで、採寸パラメータについて説明する。それに続いて、本システムの他の主要構成要素について説明し、次いで、足を採寸し、採寸データを使用して靴型サイズおよび中敷プラグサイズの調節設定を算出するのに使用する各種装置およびサブルーチンについて説明する。
カスタマイズされたフィット感に大切なものとは、調節を設定して中敷プラグのサイズを決定するために使用される採寸データである。図10Aは、それぞれ、左右の足、LおよびRの模式図であり、図10Bは、採寸する主な寸法を示す、右の根元部Rの側面立面図である。足の全長(FL)36は、親指の先からかかとまでの寸法である。拇指球長さ(BL)38は、かかとから内側の拇指球までの寸法である。足幅(W)40は、足の内側の拇指球から側方の膨らみまでの寸法である。拇指球の周囲寸法(G)42は、足の中央の拇指球と側方の膨らみと交差する足の周りの周囲部の採寸値である。足甲周囲寸法(IG)44は、足の最も狭い幅部での足周りの周囲部の採寸値である。本発明においては、採寸値は全て、ミリメートルで採寸されるが、任意の他の系も使用してもよい。
【0041】
様々な採寸道具を使用して、着用者の足の基本データを取得することができる。長さおよび幅を採寸するのに使用される簡単な足の採寸道具30の実施例を図11に示す。このタイプの足の採寸道具は、2002年5月29日出願の米国特許出願第10/159,961号および2002年12月11日出願の米国特許出願第10/316,117号の主題であり、これらの特許の開示内容全体は、引用により本明細書に組み込まれるものとする。言うまでもなく、従来のBrannock(登録商標)装置など、任意の他のタイプの線形測定を使用することができる。
【0042】
より高度な採寸装置は、3次元足スキャナー48である。このスキャナーは、周囲光をスキャナー室から遮断するようにくるぶしを取り囲む角度付きのカラーを有する。本発明は、日本国大阪の株式会社アイウェアラボラトリーによって販売および製造されている足スキャナーを採用している。アイウェア社の足スキャナーの説明および仕様は、アイウェア社のウェブサイト(www.iwl.jp)に呈示されており、かつ、引用により本明細書に組み込まれている。足をスキャナー面上のスキャナー室に置いて蓋を閉じると、スキャナーは、自動的に、採寸値が基本とする足のかかと、足指、内側の拇指球および側方の膨らみを検出する。これらの採寸値は、ミリメートルで採取されることが好ましく、この採寸データを使用して調節可能な靴型10および中敷の妥当な中敷プラグ上の靴型のカスタマイズした設定を算出する。図10Aおよび図10Bに示す採寸値は、足の電子スキャンによって自動的に採寸されて、採寸データは、任意の従来の参照手段、個人の名前または識別番号で格納される。図25のスキャナー側の搭載コンピュータまたは別のコンピュータCは、採寸データを使用して本発明によって検討されているような妥当な調節設定を算出するソフトウェアを含む。コンピュータ・ディスプレイは、採寸値および算出結果を表示することが好ましい。
【0043】
フィット感をカスタマイズした靴システムの別の構成要素は、図12に模式的に、かつ、図13ないし図14dにより詳細に示す赤外線(IR)活性化室50である。図12に模式的に示すように、IR活性化室50は、1対の靴型に合わせて作られた靴を左右の活性化領域に受け入れるように設計されている。図12は、3つの赤外線ランプ要素52a、52bおよび52cが靴型に合わせて作られた靴の周りに位置決めされているとともに、高温計53が靴の足指領域より上方に位置決めされているある活性化領域の一部の構成要素を模式的に示している。赤外線ランプ要素および高温計は、赤外線ランプ要素の加熱および露出時間量を制御して靴を処理するためにコンピューターに結合されている制御装置54に結合されている。
【0044】
活性化室50の外部を図13に示す。図を明瞭にするために、切り欠き図である図14aおよび図14dは、様々な要素が隠れているかまたは図示されていない活性化室50を示している。図13および図14aないし図14dにおいて、IR活性化室50は、2つの活性化領域を有し、これらの図は、内部構成要素をより詳細に示すために右の靴の領域を中心に示している。図14aないし図14dにおける活性化室の内部構成要素は、5000台の参照番号で付与する。これらの数字においては、活性化室は、靴のない調節可能な靴型10とともに示されているが、靴型が、IR活性化室内に挿入されるときには、靴が装着されていることが理解されるであろう。
【0045】
図13に示すように、活性化室50のハウジングは、靴型に合わせて作られた靴が所定の位置にあるときに靴型10が突出するスロット5004を有する後部壁部5002を含む。スロット5004は、活性化室50の頂部壁部5006の一部も貫通する。側壁部5008は、ファン5012用の換気開口部5010を含む。前壁部5014および基部5016で、活性化室のハウジングが完全なものとなる。
【0046】
図14aは、内部構成要素を示すために前壁部5014が除去された活性化室の前部立面図である。図14bは、頂部壁部および側壁部のすべてが除去された活性化室の斜視切り欠き図である。図14cは、図14bと類似のものであるが、内部構成要素をより詳細に示すために、靴型に合わせて作られた靴を有する活性化領域上には、主ブラケット5018が示されていない。図14dは、図14cと類似のものであるが、靴型に合わせて作られた靴が支持されるキャリッジ部品をさらに一層詳細に示すために、側面ランプおよび足甲ランプが除去されている。
【0047】
図14aないし図14dを参照して、反対側の活性化領域は鏡像になっていると了解の上で、左側の活性化領域をより詳細に説明する。図面中において明瞭である場合には、反対側の対応する要素を表示する。ハウジング内側には、各活性化領域が、3面支持ブラケット5018によって画定されている。主ブラケット5018は、スロット5004の内部を画定する靴型ドック要素5019を含む。靴型ドック要素5019は、靴型外枠12の戻り止め11と相互作用して活性化室内における靴型の適正な配置を確認し、かつ、活性化室の稼動を可能にするスイッチまたは他のタイプの検出機構を含む。主ブラケット5018は、主ブラケットとハウジング壁部との間のファン5012も支持する。さらに、主ブラケット5018は、以下のようなランプ取り付けブラケットを支持する。側面ランプ5022用ランプブラケット5020、足甲ランプ5026用ランプブラケット5024、および内側ランプ5030用ランプブラケット5028。活性化室は、制御システムに接続された、靴型に合わせて作られた靴の少なくとも2つの領域において赤外線照射を測定する複数の高温計も含む。したがって、主ブラケット5018は、足甲高温計5034を支持する足甲高温計ブラケット5032と、側面高温計5038を支持する側面高温計ブラケット5036とを含む。
【0048】
ランプつまり加熱器5022、5026、および5030は、個々のブラケットを介して主ブラケット5018上に取り付けられている。加熱器のうちの2つの取り付けは、加熱器の位置を調節することができるように設計してもよい。このような調整は、活性化室内で使用される靴型の異なるサイズに対応して、加熱器の位置を微調整しやすくなる。3つの加熱器のうちの2つが調節可能である場合、第3の加熱器を定置式にして最適波長調整を維持することが一般的に可能である。高温計5034および5038は、靴の活性化領域の温度に関して制御システムにフィードバックを行うために、図示するように取り付けられている。これらの読取り値に基づいて、このプロセスをコンピュータによって制御することができる。
【0049】
図面中に示す活性化室の実施形態においては、足甲ランプおよび内側ランプは、室内において固定式で取り付けられており、外側ランプは、3つのランプが靴型に合わせて作られた靴を処理する上で最適な位置であるように適切に移動するように取り付けられている。足甲ランプおよび内側ランプは、足甲高温計(パイロメータ)からのフィードバックによって制御され、側面ランプは、側面高温計からのフィードバックによって制御される。固定式ランプおよび固定式高温計は、多様なサイズを対象とした処理対象範囲が得られるように位置決めされている。外側ランプ5022および足甲高温計5034の動きは、靴型のサイズに左右される。上述したように、靴型外枠12は、靴型に合わせて作られた靴が活性化室内に位置決めされたときに靴型ドック要素5019上のスイッチと係合する戻り止め11を有する。靴型が小さいほど、靴型ドック要素5019内に深く挿入されることになるので、移動可能なランプおよび高温計は、妥当に位置決めされることになる。靴型の戻り止めが大きいほど、早く靴型ドック要素5019内のスイッチと係合し、それによって、結果的に、移動可能なランプおよび高温計が妥当な位置が得られることになる。任意の組み合わせにおける移動式または固定式としてのランプおよび高温計の取り付けは、本発明の範囲内である。
【0050】
図14bにおいて最もよくわかるように、活性化室50には、活性化室を換気するためにいくつかのファン5012が設備されている。後部壁部に最も近いファンは、ダクト5013も含む。ファン5012は、ハウジングの側壁の開口部5010を介して換気する。
靴型に合わせて作られた靴を支持するキャリッジ部5040は、室の基部の近くに位置決めされており、かつ、1組の2接リンク5042を介して基部5016に装着されている。リンク5042は、キャリッジ部の上下動を可能にするものである。キャリッジ部5040は、長手方向のフランジ5046間に延びている一連の平行軸5044で構成されており、平行軸は、靴型に合わせて作られた靴用支持面となっている。図14aは、靴型上に装着されている靴底の厚みに合う靴型底部とキャリッジ部との間の空間を示す。靴が靴型上にある場合、靴底は、キャリッジ上に静置されることになる。
【0051】
靴型に合わせて作られた靴が活性化室内に挿入されると、ツールとも知られている中敷および靴底要素は、これらの靴の可塑性要素はアッパーの処理中に赤外線照射に曝らされてはいけないことから、処理から保護しなければならない。ツールを保護するために、活性化室50には、目標領域に並べられた一連の保護シールドつまりシリコン・ブッシュ5048が設置されている。主ブラケットの側面に沿って、外側板シールド5050および内側板シールド5052が、それぞれ、外側側部上のシャフト・クランプ5054および内側側部上のクランプ5056を介して装着されている。各板シールドは、ブラシ5048が回転可能に取り付けられているロッドを支持している。ブラシ5048は、靴型に合わせて作られた靴が目標領域内に置かれると、ツールの完全保護を確保するために、ツールの表面に対してカム運動することができるように回転可能に取り付けられている。シリコン・ブッシュの動きは、キャリッジ部の動きがブッシュの動きに結びつけられるようにリンク5042に結合されている。このようにして、異なるサイズの靴には、シリコン・ブッシュのカム作用によって対応する。
【0052】
靴型に合わせて作られた靴がキャリッジ部5040上に置かれたときのみ確実にIR照射されるようにするために、本発明は、少なくとも1つの予防手段を採用している。すなわち、靴および活性化室は、妥当な無線周波数(RF)IDタグを有する靴が室内に置かれたときにのみ活性化室を活性化することができるように、合わせ無線周波数(RF)IDタグが備えられている。図14aは、キャリッジ部5040の下で基部5016上に取り付けられたRFID読取り装置5060を示している。これによって、調節可能な靴型およびフィット感をカスタマイズするシステム用に設計されていない靴の熱処理が防止されることになる。別の予防手段は、活性化室の稼動を可能にするために靴および靴型が室の中に置かれたときにのみ靴型外枠上の戻り止めによって係合しなければならない靴型ドック要素上のスイッチである。言うまでもなく、このタイプのスイッチと戻り止めとの組み合わせは、処理をする靴および靴型が置かれたら、結果的にスイッチが閉状態になって活性化室を稼動状態にするのであれば、活性化室またはキャリッジ部内の他の場所に位置決めしてもよい。
【0053】
調節可能な靴型に装着され、その後、サイズ決定が行われるように熱処理される特別に設計されている靴60は、着用者の足を収容する空洞を形成するアッパー62と、アッパー62に装着された中敷64と、地面と係合する外面となる外底66とともに単一の幅で製造されることを図15に示す。これらの構成要素の各々は、フィット感をカスタマイズするシステムの効果を高めるように工学的に処理されている。アッパー62は、多くは革、布地、工業織物などの、靴製造において一般的に使用する任意の数の材料で作製されている。アッパー62の特定の部分は、サイズに合わせて「熱硬化」することができる特殊材料で作製されている。この材料は、熱可鍛性である。広義には、熱可鍛性とは、材料が熱処理時に伸びるか、または、収縮する能力を指す。材料が加熱時に伸びた場合、靴は、最も狭い幅で作製されることになる。逆に、材料が加熱時に収縮した場合、靴は、相対的に広い単一の幅で作製されることになる。本説明のこれより以降は、伸びることでフィット感が得られるように熱可鍛性である活性化領域を有するアッパーに関するものとなるが、本開示内容は、その逆、すなわち、「収縮してフィットする」ことができる靴を包含するものである。図15に示す靴60においては、斜め線で示す領域は、熱可鍛性材料で作製されている活性化領域68である。
【0054】
図示する靴60は、本明細書で説明するフィット感をカスタマイズするシステムとともに使用することができる靴の多くの可能な変形のうちの一例である。この特定の靴は、足の前部領域内の活性化領域とともに示されているが、アッパー上の他の場所に活性化領域がある靴を設計することは、本発明の範囲内である。例えば、靴は、特に、異なる靴ひもシステムを有するかまたは靴ひもを有しておらず、かつ、ローファーシューズに似ている場合、足甲領域内に活性化領域を有してもよい。活性化領域は、調節可能な靴型上でフィット感が得られるまで伸びるポリエステル・スペーサ・メッシュ材料で作製されていることが好ましい。この材料がIR活性化室内でIR照射を受けた場合、調節可能な靴型の設定に合わせて熱硬化して、したがって、靴型の幅/周囲寸法となる。性能または熱処理の向上を目的としてポリエステル材を前処理することが可能である。このようにして、アッパー62は、足のスキャンから採寸した寸法から算出された靴型の設定に基づいて個人の足のフィット感にカスタマイズされる。
【0055】
活性化室および靴に関しては、本明細書で詳細に説明する実施形態は、IR活性化室およびIR処理可能材で作製されている靴の対応する各部を指すが、他の可能な処理および対応する材料を採用することは本発明の範囲内である。活性化室は、他の形態のエネルギーを使用することができ、また、靴の活性化領域は、活性化室内で使用されるエネルギーに感応しかつ活性化室内で使用されるエネルギーで使用可能な材料で作製される。例えば、活性化室がマイクロ波照射を用いる場合、靴の活性化領域は、マイクロ波照射によって収縮または伸長し、その後、固化が可能な材料で作製されるであろう。極低温によって感応しかつ処理可能である材料であれば、靴型に合わせて作られた靴を妥当に冷却処理するように活性化室を設計することが可能である。
【0056】
採寸値の生データから靴のサイズを算出するアルゴリズム200を図22に示す。以下の式を採用する。米国用紳士靴用ナイキサイズ(NMS)は、以下のように計算される。
【0057】
【0058】
婦人靴の米国サイズについては、ナイキ婦人サイズ(NWS)が、以下のように計算される。
【0059】
【0060】
結果的に得られるサイズは、最も近いハーフサイズに四捨五入される。
米国のサイズ決定システムを本明細書で詳細に説明するが、他のサイズ決定システムにおけるサイズを算出する妥当な方程式も、本発明の範囲内であることを理解されるであろう。代わりに、例えば、欧州サイズを算出する方程式を用いることができる。
本フィット感をカスタマイズするシステムにおいては、各靴サイズは、単一の幅、すなわち、提供される最も狭い幅で用意される。靴のサイズをこのようにして決定すると、妥当なサイズの靴を選択して調節可能な靴型に装着する。アッパーの幅および/または周囲寸法の調節の検討には、アッパーの幅調節係数は中敷の幅調節係数に基づくことから、靴の中敷および外底の要素の説明が必要である。
【0061】
アッパーに加えて、中敷64も個人の足にフィットするように調節される。中敷64は、幅に対して調整し、アッパーのフィット感に対応するフィット感のカスタマイズを行う交換可能なプラグを含む。好適なプラグ形状を図16ないし図18に示す。プラグは、挿入されるプラグのサイズに応じて中敷の幅に調整するようにサイズ決定される。中敷プラグの思想については、2002年5月14日出願の本出願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/146,480号において詳細に説明されており、この出願の開示内容全体は、引用により本明細書に組み込まれる。図16ないし図18を参照すると、中敷プラグ70は、中敷64内に形成されている中敷空洞72の内側に嵌合するように設計されている。プラグ70は、空洞の形状とかみ合うように成形されている。図でわかるように、中敷プラグ70は、横に延び、背骨部80に対向する一連の鍵部82を有する長手方向の背骨部80を含む複雑な形状を有する。各鍵部82は、胴部84と、胴部84と垂直方向に延びる係止アーム86とを有する。係止アーム86は、背骨部に面する係止端面88を有する自由端を有する。中敷空洞72は、特に、中敷が突発的な停止、切断、または靴における着用者の足の方向変えで経験するような剪断力が中敷に掛かったときに、中敷プラグを所定の位置にしっかりと保持するかみ合わせ特徴を伴って成形されている。
【0062】
隣接する鍵部82との間には、プラグと中敷64との間の別の滑り防止接触面を備えるために背骨部と一体に形成された係止用結節90が設けられている。係止用結節部は、任意の形状であってよく、図中では略半球で示されている。
中敷プラグ70裏面に、かつ、背骨部80に沿って、中敷プラグが所定の位置に確実にあるようにするために、さらなる別の構造的要素を提供するように外底の長手方向のひだ74とかみ合うように係合するように設計されている下方にぶらさがっている長手方向の舌状部92がある。
【0063】
中敷プラグのサイズによって、中敷自体の幅調整が決まる。サイズが大きいほど、中敷は幅が広くなる。中敷プラグサイズを算出するアルゴリズム300を図22に示す。まず、ナイキの紳士用幅(NMW)は、以下のように算出される。
【0064】
【0065】
NMWは、最も近い整数サイズに四捨五入される。
中敷プラグサイズ=NMW+3
本発明においては、中敷プラグは、B、C、D、E、およびEEに対応するように、それぞれ、1、2、3、4、または5とサイズ決定されている。
前出の式を採用して、妥当なサイズの中敷プラグ70を選択して、中敷64に挿入して、靴の幅調節の一局面となる。調節可能な靴型の内側/外側調節ダイヤルを介したアッパーの幅調節は、中敷プラグサイズを用いて達成する。内側/外側調節ダイヤル22は、中敷プラグサイズ1、2、3、4、または5に対応する印を有する。中敷プラグサイズおよび内側/外側調節は、多数の人の場合、同じとなるので、上記の等しい係数は、デフォルト調整となっている。すなわち、中敷プラグサイズ2が使用された場合、内側/外側調節ダイヤルは、2に設定される。中敷プラグ・サイズが3の場合、内側/外側調節ダイヤルは、3に設定されるなどである。
【0066】
しかしながら、この基準から外れている足があり、周囲部の拇指球周囲寸法を直線的な幅と比較すれば、さらなる補正および調節が必要か否か判断する有用な比率が得られる。例えば、ある人の足は、幅は広いが薄いことがある。すなわち、相対的に大きな幅採寸値と比較して相対的に小さい周囲採寸値である。逆に、ある人の足は幅は狭いが厚いことがある。すなわち、相対的に小さい幅採寸値と比較して相対的に大きな周囲採寸値である。ミリメートル単位の周囲寸法と採寸幅の比を用いて、内側/外側調節ダイヤルを算出した中敷プラグサイズよりも小さくまたは大きくなるように設定するか否かを判断する。この算出用アルゴリズム400を図23に示しており、以下の式を採用してアッパー幅調節係数(UWAF)を算出する。
【0067】
【0068】
そうでない場合には、UWAF=プラグサイズ
拇指球周囲寸法および幅は、拇指球と側面の膨らみ上の同じ点と交差する足の寸法、つまり図10の寸法40および42である。したがって、拇指球周囲寸法と幅の比×2.47が1.0の5%以内である場合、UWAFは、プラグサイズと同じである。拇指球周囲寸法と幅の比×2.47が5%公差を超える場合、UWAFは、さらなる調節度を提供するプラグサイズ±1に等しい。
【0069】
本発明においては、調節ダイヤルには、マッシュルーム部の位置に対応する数値が目盛りづけされている。例えば、ダイヤル設定「1」は、当接本体12内に引き込まれたマッシュルーム部との最も狭い幅に対応する。ダイヤル設定が大きくなるにつれて、本体から離間して延びるマッシュルーム部の増分位置に対応する。本明細書で説明する実施形態は、ダイヤル設定1ないし5を含み、設定5は、マッシュルーム部が本体12から離間して延びる最も広い範囲に対応する。
【0070】
調節可能な靴型の2つの調節ダイヤルに関しては、中敷プラグサイズに対応して外側/内側調節ダイヤルおよび足甲の調節ダイヤルが同じ数字に設定されている場合には、ほとんどの人にとって靴のフィット感は申し分なくよいものとなる。しかしながら、さらなる別の調整度合いのために、足甲調節マッシュルーム部も、外側/内側調節マッシュルーム部から独立して調節することができる。この算出用アルゴリズム500を図24に示しており、以下の式を採用して足甲調節係数(IAF)を算出する。
【0071】
【0072】
そうでない場合には、IAF=プラグサイズ
足甲周囲寸法は、足の最も細い部分の周囲部を指し、幅は、足の拇指球から側方の膨らみまでの直線的な採寸値を指している。つまり図10の寸法40および44である。UWAFと同様に、IAFは、足甲マッシュルーム部の位置の制御のための調節ダイヤル20上の目盛りを指している。IAFのデフォルト値は、ほとんどの人には適正なフィット感が得られるので、プラグサイズと同じである。このより細かい足甲調節が用いられた場合、調節係数は、足甲周囲寸法と足甲幅との比×2.45が1.0の5%を超えた場合に限り関与する。そうでない場合には、IAFは、プラグサイズと同じである。足甲周囲寸法と幅の比×2.45が5%の公差を超えた場合、IAFは、別の調節度合を提供するプラグサイズ±1に等しい。
【0073】
幅調節を可能にする中敷と関連して、靴の外底も、足の安定した基部となるために、中敷およびアッパーの幅調節に対応しなければならない。本発明によるフィット感をカスタマイズした靴は、2004年5月21日出願の、米国特許出願第10/850,453号に開示されているような長手方向に分割されかつひだを有する外底を採用しており、この特許の開示内容全体は、引用により本明細書に組み込まれるものとする。長手方向に分割された外底の一例を図19に示しており、長手方向の分割つまりひだ74を有するトレッド・パターンを示す。
【0074】
要約として、フィット感をカスタマイズするシステムの主要構成要素を図25に模式的に示しており、コンピュータCと、足スキャナー48と、IR活性化室50と、調節可能な靴型10と、任意の冷却装置76とを含む。上述したように、コンピュータCは、足の採寸データを収集するために足スキャナー48に接続されている個別のスタンドアロン型コンピュータを指すことが好ましい。コンピュータは、スキャナーまたは他の構成要素のいずれかに搭載してもよい。コンピュータは、採寸データを格納するとともに、サイズ、幅、中敷プラグサイズおよび幅および周囲寸法の調節のための計算を行う。算出結果は、コンピュータ・ディスプレイ上に表示される。本システムの他の構成要素をコンピュータに接続することも、本発明の範囲内である。例えば、IR活性化室は、熱処理プロセスを全体的にまたは部分的にコンピュータ制御することができるようにコンピュータに接続することができる。同様に、調節可能な足型の靴型は、コンピュータに直接接続されて、調節が自動的に行われるように設計することができる。以下で論じる任意の冷却装置76も、冷却装置制御の自動化のためのコンピュータに接続することができる。また、「コンピュータ」という用語は、説明した諸機能を実行する単一のコンピュータまたは複数のコンピュータを包含する主旨であることに留意されたい。
【0075】
上述した構成要素の全てとともに、靴のフィット感をカスタマイズするプロセスについてここで説明する。個別のコンピュータが本システムの必要な構成要素に結合されて、以下の作業、すなわち、識別子によって着用者にタグを付した採寸データを格納する、様々なサイズおよび調節係数を算出する、算出結果を表示するという作業を行う。これらの諸機能をスキャナーである搭載コンピュータまたは本システムの任意の他の構成要素内にプログラムすることが可能である。
【0076】
識別子および採寸データは、再度採寸する代わりに、格納採寸データを採用することによって、同じ着用者による繰り返えされる購入に備えることができるように、データベース内に格納することもできる。2000年11月11日出願の本出願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第09/721,445号および2003年9月30日出願の米国特許出願第10/675,237号では、ネットワーク内のこのようなデータベースを採用する、履物をカスタマイズ製造する方法およびシステムが説明されており、これらは、引用により本明細書に組み込まれるものとする。これら2つの先の出願で説明されている方法およびシステムは、本発明の調節可能な靴型およびシステムの使用のために構成することができる。
【0077】
以下の説明は、簡素化のために1つの足と1つの靴とについて述べるものであるが、着用者の両足が採寸および/またはスキャンのステップの対象となり、かつ、左右両方の靴が、同じ方法でフィット感をカスタマイズされることが理解されるであろう。各々の靴について、計算ならびに靴型および靴の熱処理が行われる。
方法全体の概要を示す図9を再び参照すると、第1のステップは、足を採寸してミリメートル単位の生採寸データを収集することである。少なくとも、図10に示す寸法は、図9および図20のステップ100で、線形採寸道具またはスキャナーによって収集される。採寸データは、コンピュータ内に格納されて、着用者の名前などの識別子および他の識別子によってタグが付される。その後、コンピュータは、採寸データを用いて、図21ないし図24に示すアルゴリズム200、300、400、および500に詳説されたサブルーチンに従って、ステップ102において、中敷プラグサイズおよび靴型設定を算出する。靴サイズ、中敷プラグサイズ、UWAFおよびIAFを算出すると、ステップ104において、適切なサイズの中敷プラグを靴の中敷に挿入する。その後、ステップ106において、調節可能な靴型10上に靴を装着する。
【0078】
その後、ステップ108で靴および靴型を赤外線活性化室の内側に置く。上述したように、靴および活性化室は、妥当な靴が室内に置かれるときのみに活性化室を活性化することを確実にするために、合わせRF IDタグを有する。また、活性化室は、適切な靴および靴型が所定の位置にない状態では、赤外線照射を起動することは確実にできないようにするために、台上のスイッチなどの別の物理的な予防手段を有してもよい。その後、ステップ110において靴および靴型を赤外線活性化室内で熱処理する。このステップにおいては、靴の活性化領域を可塑性をもつようになるまで熱処理する。ある程度の時間の経過後に、幅および周囲寸法の算出結果に従って靴型の調節ダイヤルを調節する。調節可能な靴型で可能なサイズに合わせて調節可能な靴型とともに靴を熱硬化させる。したがって、この実施形態においては、靴は、フィット感が得られるまで伸ばされる。活性化室内での赤外線照射曝露の正確な時間は、活性化領域に使用される材料、アッパー全体に対応する活性化領域のサイズなどのいくつかの要素に左右される。図15の靴については、靴型のダイヤルを調節した後に2分間の昇温段階および2分間の熱処理段階に対して活性化室を設定する。活性化室は、熱処理サイクル終了時に自動的に電源が切れる。これは、単純なタイマー機構によって制御することができるか、または、活性化室上のスイッチに結合されているコンピュータによって制御することができる。1つのモードにおいては、表示ランプが、活性化室に設けられており、靴型の調節ダイヤルを移動させなければならないことを示すために昇温段階後に点灯する。別のモードにおいては、コンピュータ・ディスプレイが、いつダイヤルを設定するかを示してもよい。熱処理中に最適な時期にダイヤルを自動的に調節するサーボに電圧として算出値が出力されるように、コンピュータに靴型の調節ダイヤルを作動可能なように結合することによってこれらのステップを自動化することが可能になる。
【0079】
上述したように、靴活性化領域の好適な材料は、ポリエステル・スペーサ・メッシュであり、照射サイクルの正確な設定は、材料融点に左右されることになる。本明細書に記載の実施形態においては、昇温時間ということができる第1熱処理の赤外線照射サイクルは、約2分間続き、活性化領域の温度を280°F〜360°Fの間に昇温する。浸漬または保持時間ということができる第2の処理は、温度が280°F〜360°Fの間に保持された状態で約2分間続く。浸漬または保持時間後、較正機構を所望の設定値に設定するために30秒の時間帯がある。その後、IR照射を停止して靴を活性化室の内側に約1分間残して安全に取り扱うために十分に冷却する。
【0080】
熱処理後、ステップ112において、靴および靴型を活性化室から取り出して冷却する。室温では、靴および靴型の冷却時間は、少なくとも20分間である。冷却プロセスを促進するために、靴および靴型をファンの経路内、または、32°F〜42°Fとなるように、図25の冷蔵装置内に置くことができる。これらの冷蔵温度であれば、冷却ステップは、2分ないし5分要するだけとなる。マーケティング効果について、冷却中、完成したばかりの靴を表示し、靴のカスタマイズを目立たせるために、冷蔵装置はガラス製前部を有することが好ましい。
【0081】
ファン、冷蔵、室温における静置によるかを問わず、ステップ116において、冷却後、靴を靴型から取り出して、ステップ118において、サイズ決定を完了する。わずか数分前に採寸された寸法値に基づいて、完成した靴を着用者の足のフィット感にカスタマイズする。靴が希望通りにはフィットしていないと着用者が思う場合、プロセスを再度実行して靴を再処理することができる。この実施形態においては、アッパーはフィット感が得られるまで伸ばされるので、着用者の足が2つの幅サイズにまたがる場合、一回目にプロセスを実行するときには、2つの幅の小さい方を用いなければならない。初回実行後に靴のフィット感がきつすぎる場合には、次の幅サイズまでさらに伸ばすことができる。言うまでもなく、熱処理を用いてフィット感が得られるまで靴を収縮させるように靴が設計されている場合には、これを逆に行うことになる。すなわち、初回の反復は、フィット感が緩すぎる場合には、二回目の反復を行なって靴を収縮させて、次の幅サイズに小さくすることができるように、広い方の幅に合わせることになる。
【0082】
このようにして、本フィット感をカスタマイズするシステムは、迅速なカスタマイズを実現するものである。したがって、本システムおよび方法によって達成されるフィット感は、従来のカスタマイズした靴型で作製されたカスタマイズした靴を注文することでしか得られないフィット感である。時間が掛かるばかりでなく、大量生産市場にとって経費が掛かりすぎるプロセスである。
【0083】
フィット感をカスタマイズする方法の各種ステップを実行するのは、単一の場所または複数の場所であってもよい。単一の場所の場合、買い手が自分の足をスキャンしてもらい、購入したいカスタマイズした靴を待つことができる設備の全てが用意されている小売り場所である可能性が最も高い。複数の場所の場合、多くの変形がある。1つの可能性は、小売り場所などの第1の場所で種々の足をスキャンするステップを行い、その後、靴が実際に選択され、調節可能な足型靴型上で靴型に合わせて型を取り、その後、活性化室内で処理される第2の場所に足採寸データが送信されるというものである。この第2の場所は、製造または販売場所であってもよい。完成した靴は、直接、着用者に送るか、または、受取り用に小売り場所に送り返してもよい。別の変形とは、着用者に自宅または別の個人的な場所において自分で足寸法データを取得してもらい、靴を完成させるためにデータを第2の場所に送信してもらうというものである。このシナリオの単純な実施例は、着用者に手動採寸装置を使用してもらい、その後、電話、ファックス、または、メールオーダーでデータを通信してもらうというものである。より高度な実施例は、このデータのやり取りをネットワークまたはインターネット内のコンピュータ間で行わせるというものであり、その場合、上記特許文献1で開示されているようなコンピュータネットワークで履物のサイズを決定するシステムおよび方法を採用してもよい。上記特許文献1は、引用により本明細書に組み込まれるものとする。
【0084】
本明細書で開示する様々な計算を行うソフトウェアは、本明細書で開示する個別のコンピュータ内に、または、スキャナーの搭載コンピュータ内に含まれてもよいことが、当業者によって理解される。個別のコンピュータは、プロセスの全般を制御するために、かつ、取得した採寸データを格納する独立したデータベースを提供することが好適である。さらに、個別のコンピュータは、本方法の様々なステップおよび結果的に得られる計算結果を表示するより多くの選択肢を提供する。また、別個のコンピュータは、本明細書で説明するプロセスの一部のまたはすべてのステップを自動化するために、より多くの入力および出力を提供する。
【0085】
再度、調節可能な靴型を参照すると、図中に示す内側マッシュルーム部、側面マッシュルーム部および足甲マッシュルーム部に加えて、さらなる調節マッシュルーム部を有する調節可能な靴型を設計することが可能である。例えば、特定の足の幾何学的形状または腱膜瘤などの解剖学的な特徴部に対応するために、調節可能な靴型は、個人の足の完成した靴内に空間を設けるために、さらなるマッシュルーム部とともに設計することができる。この実施例をさらに進めるために、多くの人の足には内側側部上に突出した腱膜瘤があることから、調節可能な靴型は、腱膜瘤に対応するために内側側部上にさらなる中足骨マッシュルーム部を有するように設計することができる。さらなるマッシュルーム部の他の実施例は、つま先領域に一致させるつま先マッシュルーム部およびかかと幅を調節するかかとマッシュルーム部である。さらなるマッシュルーム部の種々の組み合わせも、本発明の範囲内である。さらなる調節パラメータを提供するために、靴型上に任意の数の箇所において任意の個数を設計することができることから、広義には単にさらなるマッシュルーム部という。
【0086】
したがって、本発明の説明では、前述した本発明のカスタマイズしたフィット感の局面を重点的に取り扱っている。本発明の諸原理の別の適用は、ランニング、バスケットボールまたはテニスなどの特定の活動のためのカスタマイズしたサイズのスポーツシューズを製造することにある。スポーツシューズは、一般的に、特定の活動またはカテゴリーに対して設計される。着用者が所望する足のフィット感は、活動によってかなりの程度まで決定づけられるので、多くのメーカーは、異なる靴型カテゴリーには、異なる靴型を使用している。本システムの主要構成要素および本発明の方法のステップは、主たる相違点が調節可能な靴型自体にある状態でカテゴリーに対応したカスタマイズをするときには、上述したものと大略的に同じものであることには変りはない。調節可能な靴型は、広義には、カスタマイズを提供する交換可能なマッシュルーム部を有する台と考えることができる。マッシュルーム部は、サイズ決定の局面に加えて、靴型によって影響を受ける靴の部分に特定の形状または幾何学的形状を提供するように設計することができる。単一の靴型本体には、1つのカテゴリーの靴の異なる幾何学的形状に対応するために異なるマッシュルーム部を合わせることができる。例えば、単一の靴型本体を、1組のマッシュルーム部とともに使用して、ランニングシューズを製造したり、第2の組のマッシュルーム部とともに使用してバスケットシューズを製造したりしてもよい。このようにして本発明のシステムおよび方法を拡大すれば、本システムの在庫ニーズが減少するであろう。各カテゴリーの靴について1組の靴型本体を提供する代わりに、1組の靴型本体を異なる組の調節マッシュルーム部とともに使用することができる。
【0087】
本発明の様々な実施形態を説明したが、本発明の範囲内でより多くの実施形態および実施態様が可能であることが、当業者に明らかであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、足を採寸して、足の採寸値を調節可能な靴型上の設定に相関させ、調節可能な靴型上の熱可鍛性活性化領域で適当なサイズの靴を合わせて、着用者のために靴のフィット感(フィット性)をカスタマイズするように靴型を調節しながら靴を熱処理して、着用者に対してスポーツシューズをカスタマイズするシステムおよび方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スポーツシューズ業界は、スポーツシューズのフィット感を向上させ、かつ、個々の着用者に対するフィット感にカスタマイズする方法を研究し続けている。個々の着用者に靴をカスタマイズする最も古い方法は、特定の個人の足にカスタマイズした靴型に基づいて靴を作製することである。これは、カスタム仕立てまたは誂えの服に等しいものであり、経費とともに時間がかかる工程を伴う。履物量産市場にカスタマイズした足型をもたらすために数多くの試みがこれまで行なわれている。
【0003】
量産された靴のフィット感をカスタマイズすることのこれまでの障害の1つは、フィット感に主たる影響を与えている構成要素、すなわち、履物が形成される靴型の形状が不変のままであるという点である。一般に、靴型つまり型は、以下の足の採寸値、すなわち、足全長、足幅、第一指の高さ、足の甲の輪郭、および少なくとも6箇所の周囲採寸値を考慮に入れることによって作製されている。一般的に行われているのは、大きな母集団から取った足の採寸値を利用して統計的に平均的な足の特性を決定することによって量産用の足型を成形するというものである。理論的には、これによって、母集団の大部分に適正なフィット感が達成されることになる。履物のサイズ決定は、一般的に、足の幅または周囲寸法の調節を伴う着用者の足の全長を基本としている。大半の履物メーカーは、限られた長さと幅との組み合わせで消費者に履物を供給しているに過ぎない。
【0004】
製造上および小売り在庫上の種々の抑制的な課題のため、量産メーカーおよび市場関係者は、多様な長さと幅との組み合わせたサイズの履物を提供することはできない。履物商品の各々の長さと幅との組み合わせには、一般的に、その特定の長さと幅との組み合わせに正しく釣り合いの取れている独自の靴型が必要であることから、経済的には、一般的に、メーカーおよび小売業者は、やはり、統計的に平均的な足に基づいて、限られた範囲の長さと幅との組み合わせを提供せざるを得ない。試行されているのは、母集団のできるだけ広範な代表例を対象にしようというものである。調査結果から、この方法は、コスト効率は高いものの、消費者に対する種々の欠点があることがわかっている。これまで、メーカーは、幅が異なっても同じツールを使用しており、アッパー(靴甲)だけは、幅において異なるサイズ決定が行われている。
【0005】
多くの人が統計的に平均的な比率の足ではないので、通常の長さと幅との組み合わせであれば、適正なフィット感が得られない。利き足が若干長いなど、左右の足で幅が異なる人もいる。これらの要素のいずれも、着用者が、特にスポーツシューズの全面的な利点を享受することを可能にするためには、フィット感の調節が必要である。
フィット感をカスタマイズする1つの方法は、2002年3月14日出願の本出願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/099,685号明細書で説明されており、当該文献は、引用により本明細書に組み入れられる。米国特許出願第10/099,685号では、履物を作製するために使用する靴型を指定することによって遠隔通信チャンネルを介して着用者が履物を購入することができる方法が説明されている。着用者は、その靴型を使用して構成した履物に関する過去の経験を元に靴型を特定することができる。靴型は、型番およびサイズ、または、着用者の足の採寸値を採用して履物を構成するために使用する靴型を決定することによって指定してもよい。
【0006】
靴は、これまで、締め付けシステム、異なる材料などの様々な調節メカニズムで作製されているが、量産された靴は、一般的に、今でも、所定の靴型または型で作製されている。靴型自体を調節して量産された靴のフィット感をカスタマイズすることは、ほとんどなされていない。靴は製造中に完成されることから、過去に調節が行われているとしても、調節は、製造中に行なわなければならず、その結果、カスタマイズされた靴を着用者が受け取るのに大幅な遅延が発生することになる。
【0007】
スポーツシューズのフィット感をカスタマイズするために種々の試みがこれまで行われ、その結果、着用者は、カスタマイズによる靴をひたすら待たなければならない。靴製造後に、好ましくは、売り渡し時点で、小売り業者がカスタマイズする必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願第10/099,685号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、統計的に平均的な足のかわりに、個々の着用者の足の採寸値を使用して靴のフィット感のカスタマイズに応じる必要性に取り組むものである。本発明の局面は、小売店など、単一の場所での足の採寸および靴の完成を提供するというものである。本発明の別の局面は、1つの場所での足の採寸および別の場所での靴の完成を提供するというものである。例えば、小売り場所または他の場所で採寸が行われ、採寸値は、靴の完成のために製造または販売場所に伝送される。カスタマイズする履物は、調節可能な靴型を使用して設定することができる可塑性の特性を示すことができる材料で構成されたアッパーの少なくとも一部を使用して製造される。靴底部は、幅調節に対応するように構成される。本発明の1つの利点は、本発明は、長さサイズごとに片方の靴のみの在庫で、各顧客のぴったりとした幅のフィット感を可能にするものであるので、小売業者は、複数の長さの在庫品を持ってさえすればよいことになるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフィット感をカスタマイズシステムするシステムは、着用者の足を採寸する採寸装置と、靴の各長さサイズ用の調節可能な靴型と、制御装置を有する赤外線活性化室とを含む。また、本システムは、赤外線活性化室内でサイズに合わせて熱で固まるように設計されている活性化領域を有する特製の靴を含む。本システムは、熱硬化する靴に冷却処理を任意に行う冷却装置を任意に含む。
【0011】
採寸装置は、単純なものでは罫線が引かれた採寸道具、または複雑なものでは3次元レーザースキャナーであってもよい。1つの一般的な罫線が引かれた採寸装置は、各々の足についてつまさきからかかとまで、かかとから拇指球まで、および幅の線形の採寸値が得られるBrannock(登録商標)装置である。Brannockサイズは、本発明のサイズ決定システムとして使用してもよい。あるいは、靴のサイズは、着用者の足のスキャンから得られた足採寸値から算出することができる。
【0012】
調節可能な靴型は、着用者の足の寸法を反映させるためにより狭い、より痩せた、より広いおよび/またはより肉付きのよい型となるように移動させることができる調節可能な幅部と、調節可能な足甲部とを有する足型を含む。これらの移動可能な部分は、移動可能な部分を調節するための妥当な較正機構に接続されている。調節可能な靴型システムは、顧客の足の採寸値から取った特定のデータを、調節可能な靴型の較正機構の正確な数値設定に変換するサイズ決定アルゴリズムを含む。
【0013】
着用者の足の長さサイズが決まると、これに応じて少なくとも一部が熱処理可能な材料で作製されたアッパーを有する特別設計された長さサイズの靴が、カスタマイズ用に選択される。靴の靴底部の幅調節は、交換可能な中敷(ミッドソール)プラグを有する調節可能な中底部を使用して達成してもよい。あるいは、プラグなしの異なる幅の靴敷部を使用して、幅をカスタマイズしてもよい。外底(アウトソール)は、中敷の調節済みのより広いまたはより狭い幅に対応するために長手方向のスリットを有していてもよい。好適な実施形態においては、交換可能な中敷プラグを使用し、妥当なサイズの中敷プラグを中敷に挿入する。
【0014】
その後、調節可能な靴型を靴に挿入し、靴および靴型を赤外線活性化室内で熱処理し、熱可鍛性材料が可塑性になったときに、靴を調節済みの靴型に引き伸ばすために靴型を調節する。調節可能な靴型および靴は、アッパーを固めるためにさらに処理する。室温または任意の冷却装置内に静置することによって、靴型および靴を冷却する。靴の活性化領域を固めた後、靴型を取り外す。フィット感のカスタマイズの諸ステップを完了して、その後、フィット感をみるために靴を試し履きすることができる。さらなる調節が必要な場合、対応する靴型調節とともにさらなる熱処理が可能である。
【0015】
活性化室は、外側まで保護シールドによって覆われた複数の赤外線ランプを含む。赤外線ランプは、靴を置くことができる目標領域周りに位置決めされている。赤外線ランプは、温度、加熱速度および赤外線ランプによって靴が赤外線照射に曝される持続時間を制御する制御装置に結合されている。制御装置は、プロセス全体を制御するコンピュータ内に組み込まれていてもよい。説明の便宜上、赤外線活性化室は、印加する「熱」が赤外線照射であるという理解のもと、IR加熱器ということもある。赤外線照射処理は、広義の意味で「熱」処理ともいうことを理解されたい。
【0016】
赤外線照射は好適であるが、アッパーの活性化領域内において対応して選択されかつ設計された材料とともに他の形態のエネルギーを活性化室内で使用してもよい。代替形態のエネルギーとしては、マイクロ波照射、音波、レーザー、電気または電磁気があるが、これらに限定されない。
内側および外側側部と、足甲領域とを有する履物のフィット感をカスタマイズする調節可能な足型靴型は、靴型本体と、前記靴型本体の前記内側側部の一部に沿って延びる内側調節要素であって、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である内側調節要素と、前記靴型本体の前記外側側部の一部に沿って延びる外側調節要素であって、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である外側調節要素と、前記内側調節要素および前記外側調節要素のいずれかを移動させるために、調節機構に、協働するように結合された較正機構と、を含んでもよい。
【0017】
前記ダイヤルの移動が結果的に前記内側および外側調節要素両方の移動となるように、前記調節機構は、前記内側調節要素と前記外側調節要素との両方に突き当たるようにされていてもよい。
前記内側および外側調節要素の前記較正機構は、前記靴型本体に対して、前記内側および外側調節要素の等距離の位置に対応する複数の位置を含んでもよい。
【0018】
前記較正機構は、調節ダイヤルであってもよい。
この足型靴型は、前記靴型本体の頂部に沿って延びる足甲調節要素をさらに含んでもよく、この場合、前記足甲調節要素が、足甲調節機構に突き当たる足甲較正機構の動きによって、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能であってもよい。
【0019】
前記足甲較正機構は、前記靴型本体に対して、前記足甲調節要素の位置に対応する複数の位置を含んでもよい。
前記足甲較正機構は、前記靴型本体に対して、かつ、前記内側および外側調節要素の前記位置との相互関係において、前記足甲調節要素の位置に対応する複数の位置を含んでもよい。
【0020】
内側および外側側部と、足甲領域とを有する履物のフィット感をカスタマイズする調節可能な足型靴型は、靴型本体と、前記靴型本体の前記内側側部の一部に沿って延びる内側調節要素であって、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である内側調節要素と、前記靴型本体の前記外側側部の一部に沿って延びる外側調節要素であって、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である外側調節要素と、前記靴型本体の頂部に沿って延びる足甲調節要素であって、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である足甲調節要素と、を含んでもよい。
【0021】
この足型靴型は、前記ダイヤルの移動が結果的に前記内側および外側調節要素両方の移動となるように、前記内側調節要素を移動させる調節機構と、前記外側調節要素を移動させる調節機構とに、協働するように結合された幅較正機構であって、前記靴型本体に対して前記内側および外側調節要素の等距離の位置に対応する複数の位置を含む幅較正機構と、調節機構に、協働するように結合され、前記足甲調節要素を移動させる周囲寸法較正機構であって、前記靴型本体に対して前記足甲調節要素の位置に対応する複数の位置を含む周囲寸法較正機構と、を含んでもよい。
【0022】
前記周囲寸法較正機構は、前記内側および外側調節要素の前記位置との相互関係において、前記靴型本体に対して前記足甲調節要素の位置に対応する複数の位置を含んでもよい。
前記幅較正機構および前記周囲寸法較正機構には、前記内側および外側調節要素ならびに前記足甲調節要素の相対位置に対応する全く同じ数値が付けられていてもよい。
【0023】
内側および外側側部を有する靴のフィット感を個々の着用者の足採寸値にカスタマイズする調節可能な足型靴型は、靴型本体と、前記靴型本体の前記内側側部の一部に沿って延び、かつ、内側調節機構によって前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である内側調節要素と、前記靴型本体の前記外側側部の一部に沿って延びる外側調節要素であって、外側調節機構によって前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である外側調節要素と、前記靴型本体の頂部に沿って延びる足甲調節要素であって、足甲調節機構によって前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である甲調節要素と、前記幅較正機構の増分移動が結果的に前記内側および外側調節要素の対応する増分移動となって幅を提供する、前記内側調節機構および前記外側調節機構に結合された幅較正機構と、前記足甲較正機構の増分移動が結果的に前記足甲調節要素の対応する増分移動となって周囲寸法調節を行う、前記足甲調節機構に結合された足甲較正機構と、を含んでもよい。
【0024】
前記幅較正機構は、前記内側および外側調節要素の相対位置に対応する複数の設定を含んでもよい。
前記足甲較正機構は、前記足甲調節要素の相対位置に対応する複数の設定を含んでもよい。
前記足甲較正機構は、前記幅較正機構との相互関係において、前記足甲調節要素の相対位置に対応する複数の設定を含んでもよい。
【0025】
個々の着用者の足採寸値に基づいてフィット感をカスタマイズした靴を製造する調節可能な足型靴型は、靴型外枠と、前記靴型外枠の一部に沿って延び、かつ、調節機構によって前記靴型外枠に近づくようにおよび前記靴型外枠から離れるように移動可能である調節マッシュルーム部と、前記較正機構の増分移動が結果的に前記調節マッシュルーム部の対応する増分移動となって前記着用者の足採寸値に基づいてカスタマイズした寸法を前記靴型に与える、前記調節マッシュルーム部に結合された較正機構と、を含んでもよい。
【0026】
前記較正機構は、前記調節マッシュルーム部の相対位置に対応する複数の設定を含んでもよい。
前記調節マッシュルーム部は、前記靴型外枠の内側部分に沿って、移動可能に配置されていてもよい。
前記調節マッシュルーム部は、前記靴型外枠の外側部分に沿って、移動可能に配置されていてもよい。
【0027】
前記調節マッシュルーム部は、前記靴型外枠の足甲部分に沿って、移動可能に配置されていてもよい。
前記調節マッシュルーム部は、スポーツシューズの特定のカテゴリーに対応する、結果的に得られる形状を提供するように、前記靴型外枠に沿って、移動可能に配置されていてもよい。
【0028】
特定の活動に対して、かつ、個々の着用者の足採寸値に基づいてカスタマイズしたフィット感の靴を製造する調節可能な足型靴型は、靴型外枠と、前記靴型外枠の一部に沿って延び、かつ、第1の調節機構によって前記靴型外枠に近づくようにおよび前記靴型外枠から離れるように移動可能である第1の調節要素と、前記第1の較正機構の増分移動が結果的に前記第1の調節要素の対応する増分移動になるように、前記第1の調節機構に結合された第1の較正機構と、を含んでもよい。
【0029】
この足型靴型は、前記靴型外枠の一部に沿って延び、かつ、第2の調節機構によって前記靴型外枠に近づくようにおよび前記靴型外枠から離れるように移動可能である第2の調節要素と、前記第2の較正機構の増分移動が結果的に前記第2の調節要素の対応する増分移動になるように、前記第2の調節機構に結合された第2の較正機構と、をさらに含んでもよい。
【0030】
この足型靴型は、前記靴型外枠の一部に沿って延び、かつ、第2の調節機構によって前記靴型外枠に近づくようにおよび前記靴型外枠から離れるように移動可能である第2の調節要素をさらに含んでもよく、この場合、前記第1の較正機構の増分移動が、結果的に、前記第1の調節要素とともに、前記第2の調節要素の対応する増分移動になるように、前記第2の調節要素が、前記第1の較正機構に結合されていてもよい。
【0031】
本発明他の構成、特徴、および利点は、以下の図および詳細な説明を検討すると当業者に明らかになるであろう。全てのこのような追加システム、方法、特徴および利点は、本記載に含まれ、また、本発明の範囲内であるとともに、以下の特許請求の範囲によって保護されることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】調節可能な靴型の斜視図である。
【図2】図1に示す調節可能な靴型の前部立面図である。
【図3】図1に示す調節可能な靴型の後部立面図である。
【図4a】図1に示す調節可能な靴型の側面立面図である。
【図4b】調節可能な靴型の内部構成要素の側面図である。
【図4c】調節可能な靴型の横幅マッシュルーム形調節機構の斜視組立図である。
【図4d】横幅マッシュルーム形調節機構の平面図である。
【図4e】横幅マッシュルーム形調節機構の正面立面図である。
【図4f】調節可能な靴型の足甲マッシュルーム形調節機構の斜視組立図である。
【図5】図1に示す調節可能な靴型の内側立面図である。
【図6】図1に示す調節可能な靴型の平面図である。
【図7】図1に示す調節可能な靴型の底部平面図である。
【図8a】横幅マッシュルーム部の斜視図である。
【図8b】図8aの横幅マッシュルーム部の側面図である。
【図8c】図8aの横幅マッシュルーム部の内部側面図である。
【図8d】図8aの横幅マッシュルーム部の前部立面図である。
【図8e】図8aの横幅マッシュルーム部の後部立面図である。
【図8f】図8aの横幅マッシュルーム部の平面図である。
【図8g】図8aの横幅マッシュルーム部の底部平面図である。
【図9】採寸、靴型選択、熱処理、調節および調整プロセスの概要を示す流れ図である。
【図10a】採寸する寸法を示す左右の足の模式図である。
【図10b】採寸する寸法を示す右足の側面立面図である。
【図11】足の採寸道具の斜視図である。
【図12】赤外線活性化室の一部の構成要素の模式図である。
【図13】赤外線熱処理に際して所定の位置にある靴および靴型を示す赤外線活性化室の斜視図である。
【図14a】前壁部のない図13の室の端部立面図である。
【図14b】外壁部のない図13の室の斜視図である。
【図14c】片側の内部ブラケットのない図13の室を切り欠いて示す斜視図である。
【図14d】詳細を示すためにより多くの要素を除去し、図13の室を切り欠いて示す別の斜視図である。
【図15】アッパーの調節可能な部分のシェーディングを示すスポーツシューズの側面図である。
【図16】調節可能なプラグを有する中敷の平面図である。
【図17】中敷プラグの平面図である。
【図18】中敷プラグの底部平面図である。
【図19】調節可能なタイプの外底の平面図である。
【図20】図9の採寸ステップおよび相関づけステップを示す流れ図である。
【図21】靴サイズの算出サブルーチンを示す流れ図である。
【図22】中敷プラグサイズの算出を示す流れ図である。
【図23】幅調節係数の算出を示す流れ図である。
【図24】足甲調節係数の算出を示す流れ図である。
【図25】本発明のフィット感をカスタマイズするシステムの構成要素を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、以下の図面および説明を参照するとよりよく理解することができる。図における種々の構成要素は、必ずしも同一の縮尺ではなく、むしろ、本発明の原理を説明するときには強調されている。さらに、各種の図においては、同様の参照番号は、異なる図を通して、対応する部品を示す。
調節可能な靴型10を図1ないし図8gに詳細に示す。靴型10は、本体部つまり外枠12と、足甲マッシュルーム部14と、側面マッシュルーム部16と、内側マッシュルーム部18と、少なくとも2つの調節ダイヤルとを有している。靴型外枠12は、くるぶし領域前部に沿った、本システムの検出機構と係合する戻り止め11を含む。足甲ダイヤル20は、足甲マッシュルーム部14の位置を制御し、幅ダイヤル22は、側面マッシュルーム部16および内側マッシュルーム部18の位置を制御する。ダイヤルの各々には、ボタン・ノブ解放部21が装備されている。各靴型10は、特定の長さサイズのものであり、マッシュルーム部は、側面マッシュルーム部および内側マッシュルーム部の動きを介して幅サイズを変更し、かつ、足甲マッシュルーム部の動きを介して周囲寸法サイズを変更する。側面マッシュルーム部および内側マッシュルーム部は、幅ダイヤルの動きで移動する。活性化領域内の熱可鍛性材料が可塑性になるまで靴が熱処理されると、着用者の足の採寸値に関係した靴型の調節によって、フィット感のカスタマイズが行われ、靴型は、靴のサイズを設定するために調節される。
【0034】
調節可能な靴型の内部機構を図4bないし図4fに示す。側面マッシュルーム部16の調節機構について詳細に検討する。内側マッシュルーム部および足甲マッシュルーム部の機構は同様に作動することが理解されるであろう。図8aないし図8fを参照すると、側面マッシュルーム部16は、単独で示されている。マッシュルーム部16の内側は、その中に形成された斜め切り欠き26を有する内方に延びる駆動柱部24を有する。また、マッシュルーム部16は、内方に延びかつ駆動柱部24から離間している案内柱部28も有している。案内柱部28は、靴型本体に対するマッシュルーム部16の位置合わせを確実にするために靴型の案内孔で受け止められる。図4bないし図4eおよび図8aないし図8fを参照すると、ダイヤル22は、斜め楔部34を駆動させるナット32に結合されているねじ込み式主ねじ30を駆動させる。斜め楔部34は、駆動柱部28の切り欠き26を支えてかみ合うように成形されている。ブッシング31は、台座が主ねじ30を所定の位置に誘導しやすくする。図4bにおいては、ナット32およびブッシング33は、ばね部品35のスリーブ内に含まれ、かつ、ばね部品35と協働する。したがって、調節ダイヤルを回すと、軸30およびナット32が回り、これによって切り欠き26内の斜め楔部34が移動して、マッシュルーム部16が本体12から離れたり、または本体12に近づいたりする。
【0035】
ダイヤル22の調節によって、側面マッシュルーム部16および内側マッシュルーム部18が、靴型の幅を調節するために本体12から離れたりまたは本体12に近づくことがわかる。マッシュルーム部16およびマッシュルーム部18が、本体12に当接するように本体12内に引き込まれると、その位置は、靴型の最も狭い幅に対応する。ここで検討しているように、側面マッシュルーム部16および内側マッシュルーム部18は、ダイヤル22の調節で本体12から離れたりまたは本体12に近づいて等しい距離を移動する。一般に、ほとんどの足の場合、カスタマイズする幅サイズは、側面マッシュルーム部および内側マッシュルーム部の等距離の移動で最もよく達成される。しかしながら、別のパラメータを追加してさらにフィット感をカスタマイズするために、各幅マッシュルーム部について個別の調節ダイヤルを設置することは本発明の範囲内である。
【0036】
足甲マッシュルーム部14の調節機構を図4bおよび図4fに示す。調節ダイヤル20に結合された主ねじ30’を含む。ブッシング31’は、主ねじ30を着座させやすくする。主ねじ30’は、足甲アダプタ29を移動させるナット32’を駆動させる。図4bにおいては、ナット32’およびブッシング33’は、スリーブ内に含まれ、バネ部品35’と協働する。したがって、ダイヤル20の調節によって主ねじ30が移動し、これによって、結果的に、足甲マッシュルーム部14の移動を行うためにナット32’および足甲アダプタ29の動きが発生する。
【0037】
内側マッシュルーム部、側面マッシュルーム部、および足甲マッシュルーム部の調節は、靴型の周囲寸法に影響を与え、着用者の足の周囲寸法採寸値は、足甲マッシュルーム部だけを使用するのではなく、3つのマッシュルーム部のうちの2つで調節することによっても達成することができる。
言うまでもなく、ウォーム・ギア構成または前進式ラチェット組立体などの任意の公知の機構を使用して、それぞれのダイヤルの回転時にマッシュルーム部の動きを推進させてもよい。本明細書で説明するような調節機構は調節ダイヤルを指すが、任意の種類の較正機構をその代わりに使用してもよい。他の較正機構および線形スライド・スケールなどの調節表示器またはタッチスクリーンを有するLED表示器などは、本発明の範囲内である。この局面において、「ダイヤル」という用語は、任意の種類の較正機構および調節表示器を指すように広義に使用されている。
【0038】
調節可能な靴型のマッシュルーム部は、靴完成品上の滑らかな移行面を確保するために可撓性周辺部を有するように設計されている。図8bを参照すると、例示的な図として、マッシュルーム部16の周辺部は、アッパーが、マッシュルーム部16上に支持された各部と靴型の本体上に支持された各部との間の移行領域において段付きの外見を有さないように可撓性である。マッシュルーム部周辺部の可撓性は、いくつかの方法で達成することができる。1つの実施例は、単一の材料からマッシュルーム部を形成して、周辺部が滑らかな移行部を実現するように十分に柔軟で肉薄であることを確保するものである。別の方法は、2つ以上の材料、周辺部に沿った可撓性材料、および種々の柱部が接続される中心部において、より剛性のある材料からマッシュルーム部を形成するというものである。
【0039】
調節可能な靴型10は、フィット感をカスタマイズするシステムの主要構成要素の1つである。図9は、フィット感をカスタマイズした靴を作製する全体的なプロセスの概要を示す。まず、ステップ100において、電子足スキャナー、または、Brannock装置などの他のよく知られている装置を使用して着用者の足を採寸する。次に、ステップ102において、足採寸データを使用して靴サイズおよび靴型10の調節設定および妥当な中敷プラグサイズを算出する。ステップ104において、妥当なサイズの中敷プラグを中敷に挿入する。次に、ステップ106においては、熱可鍛性活性化領域を有する特別設計の靴を調節可能な靴型10上に装着する。ステップ108において、靴型に合わせて作られた靴を活性化室内に置く。ステップ110において、靴型に合わせて作られた靴を活性化室内で活性化させる。ステップ100中に、活性化領域の材料が可塑性になるようにある処理を行った後に靴型の較正機構を調節する。したがって、靴型寸法を妥当なフィットする品質まで調節する。靴型に合わせて作られた靴をさらに処理して、靴の活性化領域を固まらせて(硬化させて)、その結果、幅サイズを固定する。ステップ112において、処理済みの靴および靴型を活性化室から取り出す。ステップ114において、処理済みの靴型に合わせて作られた靴を室温または冷却装置内での冷却によって任意に冷却処理を行って、靴上の活性化領域を「固まらせる」。ステップ116において、冷却後、靴型を靴から取り除いて、これで、靴サイズのカスタマイズは、ステップ118において、完了である。
【0040】
ここで、採寸パラメータについて説明する。それに続いて、本システムの他の主要構成要素について説明し、次いで、足を採寸し、採寸データを使用して靴型サイズおよび中敷プラグサイズの調節設定を算出するのに使用する各種装置およびサブルーチンについて説明する。
カスタマイズされたフィット感に大切なものとは、調節を設定して中敷プラグのサイズを決定するために使用される採寸データである。図10Aは、それぞれ、左右の足、LおよびRの模式図であり、図10Bは、採寸する主な寸法を示す、右の根元部Rの側面立面図である。足の全長(FL)36は、親指の先からかかとまでの寸法である。拇指球長さ(BL)38は、かかとから内側の拇指球までの寸法である。足幅(W)40は、足の内側の拇指球から側方の膨らみまでの寸法である。拇指球の周囲寸法(G)42は、足の中央の拇指球と側方の膨らみと交差する足の周りの周囲部の採寸値である。足甲周囲寸法(IG)44は、足の最も狭い幅部での足周りの周囲部の採寸値である。本発明においては、採寸値は全て、ミリメートルで採寸されるが、任意の他の系も使用してもよい。
【0041】
様々な採寸道具を使用して、着用者の足の基本データを取得することができる。長さおよび幅を採寸するのに使用される簡単な足の採寸道具30の実施例を図11に示す。このタイプの足の採寸道具は、2002年5月29日出願の米国特許出願第10/159,961号および2002年12月11日出願の米国特許出願第10/316,117号の主題であり、これらの特許の開示内容全体は、引用により本明細書に組み込まれるものとする。言うまでもなく、従来のBrannock(登録商標)装置など、任意の他のタイプの線形測定を使用することができる。
【0042】
より高度な採寸装置は、3次元足スキャナー48である。このスキャナーは、周囲光をスキャナー室から遮断するようにくるぶしを取り囲む角度付きのカラーを有する。本発明は、日本国大阪の株式会社アイウェアラボラトリーによって販売および製造されている足スキャナーを採用している。アイウェア社の足スキャナーの説明および仕様は、アイウェア社のウェブサイト(www.iwl.jp)に呈示されており、かつ、引用により本明細書に組み込まれている。足をスキャナー面上のスキャナー室に置いて蓋を閉じると、スキャナーは、自動的に、採寸値が基本とする足のかかと、足指、内側の拇指球および側方の膨らみを検出する。これらの採寸値は、ミリメートルで採取されることが好ましく、この採寸データを使用して調節可能な靴型10および中敷の妥当な中敷プラグ上の靴型のカスタマイズした設定を算出する。図10Aおよび図10Bに示す採寸値は、足の電子スキャンによって自動的に採寸されて、採寸データは、任意の従来の参照手段、個人の名前または識別番号で格納される。図25のスキャナー側の搭載コンピュータまたは別のコンピュータCは、採寸データを使用して本発明によって検討されているような妥当な調節設定を算出するソフトウェアを含む。コンピュータ・ディスプレイは、採寸値および算出結果を表示することが好ましい。
【0043】
フィット感をカスタマイズした靴システムの別の構成要素は、図12に模式的に、かつ、図13ないし図14dにより詳細に示す赤外線(IR)活性化室50である。図12に模式的に示すように、IR活性化室50は、1対の靴型に合わせて作られた靴を左右の活性化領域に受け入れるように設計されている。図12は、3つの赤外線ランプ要素52a、52bおよび52cが靴型に合わせて作られた靴の周りに位置決めされているとともに、高温計53が靴の足指領域より上方に位置決めされているある活性化領域の一部の構成要素を模式的に示している。赤外線ランプ要素および高温計は、赤外線ランプ要素の加熱および露出時間量を制御して靴を処理するためにコンピューターに結合されている制御装置54に結合されている。
【0044】
活性化室50の外部を図13に示す。図を明瞭にするために、切り欠き図である図14aおよび図14dは、様々な要素が隠れているかまたは図示されていない活性化室50を示している。図13および図14aないし図14dにおいて、IR活性化室50は、2つの活性化領域を有し、これらの図は、内部構成要素をより詳細に示すために右の靴の領域を中心に示している。図14aないし図14dにおける活性化室の内部構成要素は、5000台の参照番号で付与する。これらの数字においては、活性化室は、靴のない調節可能な靴型10とともに示されているが、靴型が、IR活性化室内に挿入されるときには、靴が装着されていることが理解されるであろう。
【0045】
図13に示すように、活性化室50のハウジングは、靴型に合わせて作られた靴が所定の位置にあるときに靴型10が突出するスロット5004を有する後部壁部5002を含む。スロット5004は、活性化室50の頂部壁部5006の一部も貫通する。側壁部5008は、ファン5012用の換気開口部5010を含む。前壁部5014および基部5016で、活性化室のハウジングが完全なものとなる。
【0046】
図14aは、内部構成要素を示すために前壁部5014が除去された活性化室の前部立面図である。図14bは、頂部壁部および側壁部のすべてが除去された活性化室の斜視切り欠き図である。図14cは、図14bと類似のものであるが、内部構成要素をより詳細に示すために、靴型に合わせて作られた靴を有する活性化領域上には、主ブラケット5018が示されていない。図14dは、図14cと類似のものであるが、靴型に合わせて作られた靴が支持されるキャリッジ部品をさらに一層詳細に示すために、側面ランプおよび足甲ランプが除去されている。
【0047】
図14aないし図14dを参照して、反対側の活性化領域は鏡像になっていると了解の上で、左側の活性化領域をより詳細に説明する。図面中において明瞭である場合には、反対側の対応する要素を表示する。ハウジング内側には、各活性化領域が、3面支持ブラケット5018によって画定されている。主ブラケット5018は、スロット5004の内部を画定する靴型ドック要素5019を含む。靴型ドック要素5019は、靴型外枠12の戻り止め11と相互作用して活性化室内における靴型の適正な配置を確認し、かつ、活性化室の稼動を可能にするスイッチまたは他のタイプの検出機構を含む。主ブラケット5018は、主ブラケットとハウジング壁部との間のファン5012も支持する。さらに、主ブラケット5018は、以下のようなランプ取り付けブラケットを支持する。側面ランプ5022用ランプブラケット5020、足甲ランプ5026用ランプブラケット5024、および内側ランプ5030用ランプブラケット5028。活性化室は、制御システムに接続された、靴型に合わせて作られた靴の少なくとも2つの領域において赤外線照射を測定する複数の高温計も含む。したがって、主ブラケット5018は、足甲高温計5034を支持する足甲高温計ブラケット5032と、側面高温計5038を支持する側面高温計ブラケット5036とを含む。
【0048】
ランプつまり加熱器5022、5026、および5030は、個々のブラケットを介して主ブラケット5018上に取り付けられている。加熱器のうちの2つの取り付けは、加熱器の位置を調節することができるように設計してもよい。このような調整は、活性化室内で使用される靴型の異なるサイズに対応して、加熱器の位置を微調整しやすくなる。3つの加熱器のうちの2つが調節可能である場合、第3の加熱器を定置式にして最適波長調整を維持することが一般的に可能である。高温計5034および5038は、靴の活性化領域の温度に関して制御システムにフィードバックを行うために、図示するように取り付けられている。これらの読取り値に基づいて、このプロセスをコンピュータによって制御することができる。
【0049】
図面中に示す活性化室の実施形態においては、足甲ランプおよび内側ランプは、室内において固定式で取り付けられており、外側ランプは、3つのランプが靴型に合わせて作られた靴を処理する上で最適な位置であるように適切に移動するように取り付けられている。足甲ランプおよび内側ランプは、足甲高温計(パイロメータ)からのフィードバックによって制御され、側面ランプは、側面高温計からのフィードバックによって制御される。固定式ランプおよび固定式高温計は、多様なサイズを対象とした処理対象範囲が得られるように位置決めされている。外側ランプ5022および足甲高温計5034の動きは、靴型のサイズに左右される。上述したように、靴型外枠12は、靴型に合わせて作られた靴が活性化室内に位置決めされたときに靴型ドック要素5019上のスイッチと係合する戻り止め11を有する。靴型が小さいほど、靴型ドック要素5019内に深く挿入されることになるので、移動可能なランプおよび高温計は、妥当に位置決めされることになる。靴型の戻り止めが大きいほど、早く靴型ドック要素5019内のスイッチと係合し、それによって、結果的に、移動可能なランプおよび高温計が妥当な位置が得られることになる。任意の組み合わせにおける移動式または固定式としてのランプおよび高温計の取り付けは、本発明の範囲内である。
【0050】
図14bにおいて最もよくわかるように、活性化室50には、活性化室を換気するためにいくつかのファン5012が設備されている。後部壁部に最も近いファンは、ダクト5013も含む。ファン5012は、ハウジングの側壁の開口部5010を介して換気する。
靴型に合わせて作られた靴を支持するキャリッジ部5040は、室の基部の近くに位置決めされており、かつ、1組の2接リンク5042を介して基部5016に装着されている。リンク5042は、キャリッジ部の上下動を可能にするものである。キャリッジ部5040は、長手方向のフランジ5046間に延びている一連の平行軸5044で構成されており、平行軸は、靴型に合わせて作られた靴用支持面となっている。図14aは、靴型上に装着されている靴底の厚みに合う靴型底部とキャリッジ部との間の空間を示す。靴が靴型上にある場合、靴底は、キャリッジ上に静置されることになる。
【0051】
靴型に合わせて作られた靴が活性化室内に挿入されると、ツールとも知られている中敷および靴底要素は、これらの靴の可塑性要素はアッパーの処理中に赤外線照射に曝らされてはいけないことから、処理から保護しなければならない。ツールを保護するために、活性化室50には、目標領域に並べられた一連の保護シールドつまりシリコン・ブッシュ5048が設置されている。主ブラケットの側面に沿って、外側板シールド5050および内側板シールド5052が、それぞれ、外側側部上のシャフト・クランプ5054および内側側部上のクランプ5056を介して装着されている。各板シールドは、ブラシ5048が回転可能に取り付けられているロッドを支持している。ブラシ5048は、靴型に合わせて作られた靴が目標領域内に置かれると、ツールの完全保護を確保するために、ツールの表面に対してカム運動することができるように回転可能に取り付けられている。シリコン・ブッシュの動きは、キャリッジ部の動きがブッシュの動きに結びつけられるようにリンク5042に結合されている。このようにして、異なるサイズの靴には、シリコン・ブッシュのカム作用によって対応する。
【0052】
靴型に合わせて作られた靴がキャリッジ部5040上に置かれたときのみ確実にIR照射されるようにするために、本発明は、少なくとも1つの予防手段を採用している。すなわち、靴および活性化室は、妥当な無線周波数(RF)IDタグを有する靴が室内に置かれたときにのみ活性化室を活性化することができるように、合わせ無線周波数(RF)IDタグが備えられている。図14aは、キャリッジ部5040の下で基部5016上に取り付けられたRFID読取り装置5060を示している。これによって、調節可能な靴型およびフィット感をカスタマイズするシステム用に設計されていない靴の熱処理が防止されることになる。別の予防手段は、活性化室の稼動を可能にするために靴および靴型が室の中に置かれたときにのみ靴型外枠上の戻り止めによって係合しなければならない靴型ドック要素上のスイッチである。言うまでもなく、このタイプのスイッチと戻り止めとの組み合わせは、処理をする靴および靴型が置かれたら、結果的にスイッチが閉状態になって活性化室を稼動状態にするのであれば、活性化室またはキャリッジ部内の他の場所に位置決めしてもよい。
【0053】
調節可能な靴型に装着され、その後、サイズ決定が行われるように熱処理される特別に設計されている靴60は、着用者の足を収容する空洞を形成するアッパー62と、アッパー62に装着された中敷64と、地面と係合する外面となる外底66とともに単一の幅で製造されることを図15に示す。これらの構成要素の各々は、フィット感をカスタマイズするシステムの効果を高めるように工学的に処理されている。アッパー62は、多くは革、布地、工業織物などの、靴製造において一般的に使用する任意の数の材料で作製されている。アッパー62の特定の部分は、サイズに合わせて「熱硬化」することができる特殊材料で作製されている。この材料は、熱可鍛性である。広義には、熱可鍛性とは、材料が熱処理時に伸びるか、または、収縮する能力を指す。材料が加熱時に伸びた場合、靴は、最も狭い幅で作製されることになる。逆に、材料が加熱時に収縮した場合、靴は、相対的に広い単一の幅で作製されることになる。本説明のこれより以降は、伸びることでフィット感が得られるように熱可鍛性である活性化領域を有するアッパーに関するものとなるが、本開示内容は、その逆、すなわち、「収縮してフィットする」ことができる靴を包含するものである。図15に示す靴60においては、斜め線で示す領域は、熱可鍛性材料で作製されている活性化領域68である。
【0054】
図示する靴60は、本明細書で説明するフィット感をカスタマイズするシステムとともに使用することができる靴の多くの可能な変形のうちの一例である。この特定の靴は、足の前部領域内の活性化領域とともに示されているが、アッパー上の他の場所に活性化領域がある靴を設計することは、本発明の範囲内である。例えば、靴は、特に、異なる靴ひもシステムを有するかまたは靴ひもを有しておらず、かつ、ローファーシューズに似ている場合、足甲領域内に活性化領域を有してもよい。活性化領域は、調節可能な靴型上でフィット感が得られるまで伸びるポリエステル・スペーサ・メッシュ材料で作製されていることが好ましい。この材料がIR活性化室内でIR照射を受けた場合、調節可能な靴型の設定に合わせて熱硬化して、したがって、靴型の幅/周囲寸法となる。性能または熱処理の向上を目的としてポリエステル材を前処理することが可能である。このようにして、アッパー62は、足のスキャンから採寸した寸法から算出された靴型の設定に基づいて個人の足のフィット感にカスタマイズされる。
【0055】
活性化室および靴に関しては、本明細書で詳細に説明する実施形態は、IR活性化室およびIR処理可能材で作製されている靴の対応する各部を指すが、他の可能な処理および対応する材料を採用することは本発明の範囲内である。活性化室は、他の形態のエネルギーを使用することができ、また、靴の活性化領域は、活性化室内で使用されるエネルギーに感応しかつ活性化室内で使用されるエネルギーで使用可能な材料で作製される。例えば、活性化室がマイクロ波照射を用いる場合、靴の活性化領域は、マイクロ波照射によって収縮または伸長し、その後、固化が可能な材料で作製されるであろう。極低温によって感応しかつ処理可能である材料であれば、靴型に合わせて作られた靴を妥当に冷却処理するように活性化室を設計することが可能である。
【0056】
採寸値の生データから靴のサイズを算出するアルゴリズム200を図22に示す。以下の式を採用する。米国用紳士靴用ナイキサイズ(NMS)は、以下のように計算される。
【0057】
【0058】
婦人靴の米国サイズについては、ナイキ婦人サイズ(NWS)が、以下のように計算される。
【0059】
【0060】
結果的に得られるサイズは、最も近いハーフサイズに四捨五入される。
米国のサイズ決定システムを本明細書で詳細に説明するが、他のサイズ決定システムにおけるサイズを算出する妥当な方程式も、本発明の範囲内であることを理解されるであろう。代わりに、例えば、欧州サイズを算出する方程式を用いることができる。
本フィット感をカスタマイズするシステムにおいては、各靴サイズは、単一の幅、すなわち、提供される最も狭い幅で用意される。靴のサイズをこのようにして決定すると、妥当なサイズの靴を選択して調節可能な靴型に装着する。アッパーの幅および/または周囲寸法の調節の検討には、アッパーの幅調節係数は中敷の幅調節係数に基づくことから、靴の中敷および外底の要素の説明が必要である。
【0061】
アッパーに加えて、中敷64も個人の足にフィットするように調節される。中敷64は、幅に対して調整し、アッパーのフィット感に対応するフィット感のカスタマイズを行う交換可能なプラグを含む。好適なプラグ形状を図16ないし図18に示す。プラグは、挿入されるプラグのサイズに応じて中敷の幅に調整するようにサイズ決定される。中敷プラグの思想については、2002年5月14日出願の本出願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第10/146,480号において詳細に説明されており、この出願の開示内容全体は、引用により本明細書に組み込まれる。図16ないし図18を参照すると、中敷プラグ70は、中敷64内に形成されている中敷空洞72の内側に嵌合するように設計されている。プラグ70は、空洞の形状とかみ合うように成形されている。図でわかるように、中敷プラグ70は、横に延び、背骨部80に対向する一連の鍵部82を有する長手方向の背骨部80を含む複雑な形状を有する。各鍵部82は、胴部84と、胴部84と垂直方向に延びる係止アーム86とを有する。係止アーム86は、背骨部に面する係止端面88を有する自由端を有する。中敷空洞72は、特に、中敷が突発的な停止、切断、または靴における着用者の足の方向変えで経験するような剪断力が中敷に掛かったときに、中敷プラグを所定の位置にしっかりと保持するかみ合わせ特徴を伴って成形されている。
【0062】
隣接する鍵部82との間には、プラグと中敷64との間の別の滑り防止接触面を備えるために背骨部と一体に形成された係止用結節90が設けられている。係止用結節部は、任意の形状であってよく、図中では略半球で示されている。
中敷プラグ70裏面に、かつ、背骨部80に沿って、中敷プラグが所定の位置に確実にあるようにするために、さらなる別の構造的要素を提供するように外底の長手方向のひだ74とかみ合うように係合するように設計されている下方にぶらさがっている長手方向の舌状部92がある。
【0063】
中敷プラグのサイズによって、中敷自体の幅調整が決まる。サイズが大きいほど、中敷は幅が広くなる。中敷プラグサイズを算出するアルゴリズム300を図22に示す。まず、ナイキの紳士用幅(NMW)は、以下のように算出される。
【0064】
【0065】
NMWは、最も近い整数サイズに四捨五入される。
中敷プラグサイズ=NMW+3
本発明においては、中敷プラグは、B、C、D、E、およびEEに対応するように、それぞれ、1、2、3、4、または5とサイズ決定されている。
前出の式を採用して、妥当なサイズの中敷プラグ70を選択して、中敷64に挿入して、靴の幅調節の一局面となる。調節可能な靴型の内側/外側調節ダイヤルを介したアッパーの幅調節は、中敷プラグサイズを用いて達成する。内側/外側調節ダイヤル22は、中敷プラグサイズ1、2、3、4、または5に対応する印を有する。中敷プラグサイズおよび内側/外側調節は、多数の人の場合、同じとなるので、上記の等しい係数は、デフォルト調整となっている。すなわち、中敷プラグサイズ2が使用された場合、内側/外側調節ダイヤルは、2に設定される。中敷プラグ・サイズが3の場合、内側/外側調節ダイヤルは、3に設定されるなどである。
【0066】
しかしながら、この基準から外れている足があり、周囲部の拇指球周囲寸法を直線的な幅と比較すれば、さらなる補正および調節が必要か否か判断する有用な比率が得られる。例えば、ある人の足は、幅は広いが薄いことがある。すなわち、相対的に大きな幅採寸値と比較して相対的に小さい周囲採寸値である。逆に、ある人の足は幅は狭いが厚いことがある。すなわち、相対的に小さい幅採寸値と比較して相対的に大きな周囲採寸値である。ミリメートル単位の周囲寸法と採寸幅の比を用いて、内側/外側調節ダイヤルを算出した中敷プラグサイズよりも小さくまたは大きくなるように設定するか否かを判断する。この算出用アルゴリズム400を図23に示しており、以下の式を採用してアッパー幅調節係数(UWAF)を算出する。
【0067】
【0068】
そうでない場合には、UWAF=プラグサイズ
拇指球周囲寸法および幅は、拇指球と側面の膨らみ上の同じ点と交差する足の寸法、つまり図10の寸法40および42である。したがって、拇指球周囲寸法と幅の比×2.47が1.0の5%以内である場合、UWAFは、プラグサイズと同じである。拇指球周囲寸法と幅の比×2.47が5%公差を超える場合、UWAFは、さらなる調節度を提供するプラグサイズ±1に等しい。
【0069】
本発明においては、調節ダイヤルには、マッシュルーム部の位置に対応する数値が目盛りづけされている。例えば、ダイヤル設定「1」は、当接本体12内に引き込まれたマッシュルーム部との最も狭い幅に対応する。ダイヤル設定が大きくなるにつれて、本体から離間して延びるマッシュルーム部の増分位置に対応する。本明細書で説明する実施形態は、ダイヤル設定1ないし5を含み、設定5は、マッシュルーム部が本体12から離間して延びる最も広い範囲に対応する。
【0070】
調節可能な靴型の2つの調節ダイヤルに関しては、中敷プラグサイズに対応して外側/内側調節ダイヤルおよび足甲の調節ダイヤルが同じ数字に設定されている場合には、ほとんどの人にとって靴のフィット感は申し分なくよいものとなる。しかしながら、さらなる別の調整度合いのために、足甲調節マッシュルーム部も、外側/内側調節マッシュルーム部から独立して調節することができる。この算出用アルゴリズム500を図24に示しており、以下の式を採用して足甲調節係数(IAF)を算出する。
【0071】
【0072】
そうでない場合には、IAF=プラグサイズ
足甲周囲寸法は、足の最も細い部分の周囲部を指し、幅は、足の拇指球から側方の膨らみまでの直線的な採寸値を指している。つまり図10の寸法40および44である。UWAFと同様に、IAFは、足甲マッシュルーム部の位置の制御のための調節ダイヤル20上の目盛りを指している。IAFのデフォルト値は、ほとんどの人には適正なフィット感が得られるので、プラグサイズと同じである。このより細かい足甲調節が用いられた場合、調節係数は、足甲周囲寸法と足甲幅との比×2.45が1.0の5%を超えた場合に限り関与する。そうでない場合には、IAFは、プラグサイズと同じである。足甲周囲寸法と幅の比×2.45が5%の公差を超えた場合、IAFは、別の調節度合を提供するプラグサイズ±1に等しい。
【0073】
幅調節を可能にする中敷と関連して、靴の外底も、足の安定した基部となるために、中敷およびアッパーの幅調節に対応しなければならない。本発明によるフィット感をカスタマイズした靴は、2004年5月21日出願の、米国特許出願第10/850,453号に開示されているような長手方向に分割されかつひだを有する外底を採用しており、この特許の開示内容全体は、引用により本明細書に組み込まれるものとする。長手方向に分割された外底の一例を図19に示しており、長手方向の分割つまりひだ74を有するトレッド・パターンを示す。
【0074】
要約として、フィット感をカスタマイズするシステムの主要構成要素を図25に模式的に示しており、コンピュータCと、足スキャナー48と、IR活性化室50と、調節可能な靴型10と、任意の冷却装置76とを含む。上述したように、コンピュータCは、足の採寸データを収集するために足スキャナー48に接続されている個別のスタンドアロン型コンピュータを指すことが好ましい。コンピュータは、スキャナーまたは他の構成要素のいずれかに搭載してもよい。コンピュータは、採寸データを格納するとともに、サイズ、幅、中敷プラグサイズおよび幅および周囲寸法の調節のための計算を行う。算出結果は、コンピュータ・ディスプレイ上に表示される。本システムの他の構成要素をコンピュータに接続することも、本発明の範囲内である。例えば、IR活性化室は、熱処理プロセスを全体的にまたは部分的にコンピュータ制御することができるようにコンピュータに接続することができる。同様に、調節可能な足型の靴型は、コンピュータに直接接続されて、調節が自動的に行われるように設計することができる。以下で論じる任意の冷却装置76も、冷却装置制御の自動化のためのコンピュータに接続することができる。また、「コンピュータ」という用語は、説明した諸機能を実行する単一のコンピュータまたは複数のコンピュータを包含する主旨であることに留意されたい。
【0075】
上述した構成要素の全てとともに、靴のフィット感をカスタマイズするプロセスについてここで説明する。個別のコンピュータが本システムの必要な構成要素に結合されて、以下の作業、すなわち、識別子によって着用者にタグを付した採寸データを格納する、様々なサイズおよび調節係数を算出する、算出結果を表示するという作業を行う。これらの諸機能をスキャナーである搭載コンピュータまたは本システムの任意の他の構成要素内にプログラムすることが可能である。
【0076】
識別子および採寸データは、再度採寸する代わりに、格納採寸データを採用することによって、同じ着用者による繰り返えされる購入に備えることができるように、データベース内に格納することもできる。2000年11月11日出願の本出願と同一の譲受人に譲渡された米国特許出願第09/721,445号および2003年9月30日出願の米国特許出願第10/675,237号では、ネットワーク内のこのようなデータベースを採用する、履物をカスタマイズ製造する方法およびシステムが説明されており、これらは、引用により本明細書に組み込まれるものとする。これら2つの先の出願で説明されている方法およびシステムは、本発明の調節可能な靴型およびシステムの使用のために構成することができる。
【0077】
以下の説明は、簡素化のために1つの足と1つの靴とについて述べるものであるが、着用者の両足が採寸および/またはスキャンのステップの対象となり、かつ、左右両方の靴が、同じ方法でフィット感をカスタマイズされることが理解されるであろう。各々の靴について、計算ならびに靴型および靴の熱処理が行われる。
方法全体の概要を示す図9を再び参照すると、第1のステップは、足を採寸してミリメートル単位の生採寸データを収集することである。少なくとも、図10に示す寸法は、図9および図20のステップ100で、線形採寸道具またはスキャナーによって収集される。採寸データは、コンピュータ内に格納されて、着用者の名前などの識別子および他の識別子によってタグが付される。その後、コンピュータは、採寸データを用いて、図21ないし図24に示すアルゴリズム200、300、400、および500に詳説されたサブルーチンに従って、ステップ102において、中敷プラグサイズおよび靴型設定を算出する。靴サイズ、中敷プラグサイズ、UWAFおよびIAFを算出すると、ステップ104において、適切なサイズの中敷プラグを靴の中敷に挿入する。その後、ステップ106において、調節可能な靴型10上に靴を装着する。
【0078】
その後、ステップ108で靴および靴型を赤外線活性化室の内側に置く。上述したように、靴および活性化室は、妥当な靴が室内に置かれるときのみに活性化室を活性化することを確実にするために、合わせRF IDタグを有する。また、活性化室は、適切な靴および靴型が所定の位置にない状態では、赤外線照射を起動することは確実にできないようにするために、台上のスイッチなどの別の物理的な予防手段を有してもよい。その後、ステップ110において靴および靴型を赤外線活性化室内で熱処理する。このステップにおいては、靴の活性化領域を可塑性をもつようになるまで熱処理する。ある程度の時間の経過後に、幅および周囲寸法の算出結果に従って靴型の調節ダイヤルを調節する。調節可能な靴型で可能なサイズに合わせて調節可能な靴型とともに靴を熱硬化させる。したがって、この実施形態においては、靴は、フィット感が得られるまで伸ばされる。活性化室内での赤外線照射曝露の正確な時間は、活性化領域に使用される材料、アッパー全体に対応する活性化領域のサイズなどのいくつかの要素に左右される。図15の靴については、靴型のダイヤルを調節した後に2分間の昇温段階および2分間の熱処理段階に対して活性化室を設定する。活性化室は、熱処理サイクル終了時に自動的に電源が切れる。これは、単純なタイマー機構によって制御することができるか、または、活性化室上のスイッチに結合されているコンピュータによって制御することができる。1つのモードにおいては、表示ランプが、活性化室に設けられており、靴型の調節ダイヤルを移動させなければならないことを示すために昇温段階後に点灯する。別のモードにおいては、コンピュータ・ディスプレイが、いつダイヤルを設定するかを示してもよい。熱処理中に最適な時期にダイヤルを自動的に調節するサーボに電圧として算出値が出力されるように、コンピュータに靴型の調節ダイヤルを作動可能なように結合することによってこれらのステップを自動化することが可能になる。
【0079】
上述したように、靴活性化領域の好適な材料は、ポリエステル・スペーサ・メッシュであり、照射サイクルの正確な設定は、材料融点に左右されることになる。本明細書に記載の実施形態においては、昇温時間ということができる第1熱処理の赤外線照射サイクルは、約2分間続き、活性化領域の温度を280°F〜360°Fの間に昇温する。浸漬または保持時間ということができる第2の処理は、温度が280°F〜360°Fの間に保持された状態で約2分間続く。浸漬または保持時間後、較正機構を所望の設定値に設定するために30秒の時間帯がある。その後、IR照射を停止して靴を活性化室の内側に約1分間残して安全に取り扱うために十分に冷却する。
【0080】
熱処理後、ステップ112において、靴および靴型を活性化室から取り出して冷却する。室温では、靴および靴型の冷却時間は、少なくとも20分間である。冷却プロセスを促進するために、靴および靴型をファンの経路内、または、32°F〜42°Fとなるように、図25の冷蔵装置内に置くことができる。これらの冷蔵温度であれば、冷却ステップは、2分ないし5分要するだけとなる。マーケティング効果について、冷却中、完成したばかりの靴を表示し、靴のカスタマイズを目立たせるために、冷蔵装置はガラス製前部を有することが好ましい。
【0081】
ファン、冷蔵、室温における静置によるかを問わず、ステップ116において、冷却後、靴を靴型から取り出して、ステップ118において、サイズ決定を完了する。わずか数分前に採寸された寸法値に基づいて、完成した靴を着用者の足のフィット感にカスタマイズする。靴が希望通りにはフィットしていないと着用者が思う場合、プロセスを再度実行して靴を再処理することができる。この実施形態においては、アッパーはフィット感が得られるまで伸ばされるので、着用者の足が2つの幅サイズにまたがる場合、一回目にプロセスを実行するときには、2つの幅の小さい方を用いなければならない。初回実行後に靴のフィット感がきつすぎる場合には、次の幅サイズまでさらに伸ばすことができる。言うまでもなく、熱処理を用いてフィット感が得られるまで靴を収縮させるように靴が設計されている場合には、これを逆に行うことになる。すなわち、初回の反復は、フィット感が緩すぎる場合には、二回目の反復を行なって靴を収縮させて、次の幅サイズに小さくすることができるように、広い方の幅に合わせることになる。
【0082】
このようにして、本フィット感をカスタマイズするシステムは、迅速なカスタマイズを実現するものである。したがって、本システムおよび方法によって達成されるフィット感は、従来のカスタマイズした靴型で作製されたカスタマイズした靴を注文することでしか得られないフィット感である。時間が掛かるばかりでなく、大量生産市場にとって経費が掛かりすぎるプロセスである。
【0083】
フィット感をカスタマイズする方法の各種ステップを実行するのは、単一の場所または複数の場所であってもよい。単一の場所の場合、買い手が自分の足をスキャンしてもらい、購入したいカスタマイズした靴を待つことができる設備の全てが用意されている小売り場所である可能性が最も高い。複数の場所の場合、多くの変形がある。1つの可能性は、小売り場所などの第1の場所で種々の足をスキャンするステップを行い、その後、靴が実際に選択され、調節可能な足型靴型上で靴型に合わせて型を取り、その後、活性化室内で処理される第2の場所に足採寸データが送信されるというものである。この第2の場所は、製造または販売場所であってもよい。完成した靴は、直接、着用者に送るか、または、受取り用に小売り場所に送り返してもよい。別の変形とは、着用者に自宅または別の個人的な場所において自分で足寸法データを取得してもらい、靴を完成させるためにデータを第2の場所に送信してもらうというものである。このシナリオの単純な実施例は、着用者に手動採寸装置を使用してもらい、その後、電話、ファックス、または、メールオーダーでデータを通信してもらうというものである。より高度な実施例は、このデータのやり取りをネットワークまたはインターネット内のコンピュータ間で行わせるというものであり、その場合、上記特許文献1で開示されているようなコンピュータネットワークで履物のサイズを決定するシステムおよび方法を採用してもよい。上記特許文献1は、引用により本明細書に組み込まれるものとする。
【0084】
本明細書で開示する様々な計算を行うソフトウェアは、本明細書で開示する個別のコンピュータ内に、または、スキャナーの搭載コンピュータ内に含まれてもよいことが、当業者によって理解される。個別のコンピュータは、プロセスの全般を制御するために、かつ、取得した採寸データを格納する独立したデータベースを提供することが好適である。さらに、個別のコンピュータは、本方法の様々なステップおよび結果的に得られる計算結果を表示するより多くの選択肢を提供する。また、別個のコンピュータは、本明細書で説明するプロセスの一部のまたはすべてのステップを自動化するために、より多くの入力および出力を提供する。
【0085】
再度、調節可能な靴型を参照すると、図中に示す内側マッシュルーム部、側面マッシュルーム部および足甲マッシュルーム部に加えて、さらなる調節マッシュルーム部を有する調節可能な靴型を設計することが可能である。例えば、特定の足の幾何学的形状または腱膜瘤などの解剖学的な特徴部に対応するために、調節可能な靴型は、個人の足の完成した靴内に空間を設けるために、さらなるマッシュルーム部とともに設計することができる。この実施例をさらに進めるために、多くの人の足には内側側部上に突出した腱膜瘤があることから、調節可能な靴型は、腱膜瘤に対応するために内側側部上にさらなる中足骨マッシュルーム部を有するように設計することができる。さらなるマッシュルーム部の他の実施例は、つま先領域に一致させるつま先マッシュルーム部およびかかと幅を調節するかかとマッシュルーム部である。さらなるマッシュルーム部の種々の組み合わせも、本発明の範囲内である。さらなる調節パラメータを提供するために、靴型上に任意の数の箇所において任意の個数を設計することができることから、広義には単にさらなるマッシュルーム部という。
【0086】
したがって、本発明の説明では、前述した本発明のカスタマイズしたフィット感の局面を重点的に取り扱っている。本発明の諸原理の別の適用は、ランニング、バスケットボールまたはテニスなどの特定の活動のためのカスタマイズしたサイズのスポーツシューズを製造することにある。スポーツシューズは、一般的に、特定の活動またはカテゴリーに対して設計される。着用者が所望する足のフィット感は、活動によってかなりの程度まで決定づけられるので、多くのメーカーは、異なる靴型カテゴリーには、異なる靴型を使用している。本システムの主要構成要素および本発明の方法のステップは、主たる相違点が調節可能な靴型自体にある状態でカテゴリーに対応したカスタマイズをするときには、上述したものと大略的に同じものであることには変りはない。調節可能な靴型は、広義には、カスタマイズを提供する交換可能なマッシュルーム部を有する台と考えることができる。マッシュルーム部は、サイズ決定の局面に加えて、靴型によって影響を受ける靴の部分に特定の形状または幾何学的形状を提供するように設計することができる。単一の靴型本体には、1つのカテゴリーの靴の異なる幾何学的形状に対応するために異なるマッシュルーム部を合わせることができる。例えば、単一の靴型本体を、1組のマッシュルーム部とともに使用して、ランニングシューズを製造したり、第2の組のマッシュルーム部とともに使用してバスケットシューズを製造したりしてもよい。このようにして本発明のシステムおよび方法を拡大すれば、本システムの在庫ニーズが減少するであろう。各カテゴリーの靴について1組の靴型本体を提供する代わりに、1組の靴型本体を異なる組の調節マッシュルーム部とともに使用することができる。
【0087】
本発明の様々な実施形態を説明したが、本発明の範囲内でより多くの実施形態および実施態様が可能であることが、当業者に明らかであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者に対する靴のフィット感をカスタマイズする方法であって、
前記着用者の足を採寸して足寸法データを取得するステップと、
前記足寸法データから靴長さサイズを算出するステップと、
前記足寸法データから靴幅を算出するステップと、
前記算出靴長さサイズの調節可能な足型靴型を選択するステップと、
少なくとも一部は熱可鍛性材料で作製されたアッパーを有する前記算出靴長さサイズの靴を選択するステップと、
前記靴を前記調節可能な足型靴型周りに装着するステップと、
前記熱可鍛性材料が可塑性になるまで前記靴を第1回目に熱処理するステップと、
前記調節可能な足型靴型を前記算出された幅に調節するステップと、
前記靴を第2回目に熱処理して前記熱可鍛性材料を固まらせるステップと、
前記靴を冷却するステップと、
前記靴を前記調節可能な足型靴型から取り外すステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記着用者の足を採寸する前記ステップが、足スキャナー内に前記足を置いて足寸法データを取得するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
靴幅を算出する前記ステップが、靴長さサイズを算出するステップと、中敷プラグサイズを算出して前記中敷に対して幅調節を行うステップとを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記調節可能な足型靴型を調節する前記ステップが、前記足寸法データおよび中敷プラグサイズからUWAFを算出するステップと、前記UWAFに基づいて前記調節可能な足型靴型に対する調節を行うステップとを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記調節可能な足型靴型を調節する前記ステップが、前記足寸法データおよび中敷プラグサイズからIAFを算出するステップと、前記IAFに基づいて前記調節可能な足型靴型に対する調節を行うステップとを含むことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記靴を熱処理する前記ステップが、前記靴を赤外線照射に曝すステップを含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記靴を冷却する前記ステップが、前記靴を冷蔵室に置くステップを含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
着用者に対する靴のフィット感をカスタマイズする方法であって、
前記着用者の足を採寸して足寸法データを取得するステップと、
前記足寸法データから靴長さサイズを算出するステップと、
前記足寸法データから靴幅を算出するステップと、
前記算出靴長さサイズの調節可能な足型靴型を選択するステップと、
少なくとも一部は、処理時に収縮または伸長させることができる処理可能な材料で作製されたアッパーを有する前記算出された靴長さサイズの靴を選択するステップと、
前記靴を前記調節可能な足型靴型周りに装着するステップと、
前記足型靴型を前記算出された幅に調節しながら前記靴を処理して前記処理可能な材料を固まらせるステップと、
前記調節可能な足型靴型から前記靴を取り外すステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記着用者の足を採寸する前記ステップが、足スキャナー内に前記足を置いて足寸法データを取得するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記着用者の足を採寸する前記ステップが、手動採寸装置で足寸法データを取得するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
靴幅を算出する前記ステップが、靴長さサイズを算出するステップと、中敷プラグサイズを算出して前記中敷に対して幅調節を行うステップとを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記調節可能な足型靴型を調節しながら前記靴を処理する前記ステップが、前記足寸法データおよび中敷プラグサイズからUWAFを算出するステップと、前記UWAFに基づいて前記調節可能な足型靴型に対する調節を行うステップとを含むことを特徴とする請求項8ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記調節可能な足型靴型を調節する前記ステップが、前記足寸法データおよび中敷プラグサイズからIAFを算出するステップと、前記IAFに基づいて前記調節可能な足型靴型に対する調節を行うステップとを含むことを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
処理する前記ステップが、前記靴を赤外線照射に曝すステップを含むことを特徴とする請求項8ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
処理する前記ステップが、赤外線照射への曝した後に前記靴を冷却するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
アッパーと、中敷と、外底とを含み、前記アッパーが、カスタマイズされた幅および周囲寸法のフィット感を提供するために熱可鍛性材料で作製された少なくとも1つの活性化領域を含むことを特徴とする靴。
【請求項17】
前記活性化領域が、幅調節のカスタマイズを行うために前記靴の前部領域内にあることを特徴とする請求項16に記載の靴。
【請求項18】
前記活性化領域が、ポリエステル・スペーサ・メッシュ繊維で作製されることを特徴とする請求項17に記載の靴。
【請求項19】
前記中敷が、前記プラグの幅を変えることによって前記中敷の幅調節を行うために取り換え可能な中敷プラグを含むことを特徴とする請求項16ないし18のいずれか1項に記載の靴。
【請求項20】
前記外底が、前記中敷およびアッパーの様々な幅サイズのために安定した基部を提供する長手方向のひだを含むことを特徴とする請求項16ないし19のいずれか1項に記載の靴。
【請求項21】
アッパーと、中敷と、外底とを含み、前記アッパーが、カスタマイズされた幅および周囲寸法のフィット感を提供するために、エネルギー適用時に可塑性になって固まるように適用エネルギー源に感応する材料で作製された少なくとも1つの活性化領域を含むことを特徴とする靴。
【請求項22】
前記活性化領域が、赤外線照射適用時に可塑性になって冷却時に固まることを特徴とする請求項21に記載の靴。
【請求項23】
前記活性化領域が、幅調節を行うために、前記靴の前部領域内にあることを特徴とする請求項22に記載の靴。
【請求項24】
前記活性化領域が、ポリエステル・スペーサ・メッシュ繊維で作製されていることを特徴とする請求項23に記載の靴。
【請求項25】
靴のフィット感をカスタマイズするシステムであって、
熱可鍛性活性化領域を有するアッパーを備えた靴に挿入されるように構成されている調節可能な靴型であって、靴型本体と、前記靴型本体に移動可能に取り付けられ、かつ、カスタマイズされた幅サイズを提供するために、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である内側および外側調節要素とを含む調節可能な靴型と、
前記調節可能な靴型に装着された前記靴を収容し前記活性化領域が可塑性になるまで前記靴を熱処理し、前記靴の幅を固定するように前記熱可鍛性材料を固まらせるように構成されている赤外線活性化室と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項26】
着用者の足を採寸するために足採寸装置をさらに含むことを特徴とする請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記足採寸装置が、足スキャナーであることを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
調節係数を算出することによって前記調節可能な靴型の調節設定に足採寸値を相関づけるコンピュータをさらに含むことを特徴とする請求項26または27に記載のシステム。
【請求項29】
前記赤外線活性化室が、目標領域の周りに位置決めされた複数の赤外線ランプを含むことを特徴とする請求項25ないし28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記赤外線活性化室が、適当に設計された靴が前記目標領域に位置決めされていない状態での前記室の活性化を防止する予防手段を含むことを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記予防手段が、無線周波数IDトランシーバであることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記予防手段が、前記調節可能な靴型上の戻り止めおよび前記活性化室上の合せスイッチであることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
冷却装置をさらに含むことを特徴とする請求項25ないし32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記コンピュータが、足寸法データを取得して格納し、調節係数を算出して調節係数を表示するために前記足採寸装置に接続されていることを特徴とする請求項28に記載のシステム。
【請求項35】
前記コンピュータが、前記IR活性化室に接続され、かつ、熱処理サイクルを制御することを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記コンピュータが、算出された調節係数に従って前記靴型を自動的に調節するために前記調節可能な靴型に接続されていることを特徴とする請求項34または35に記載のシステム。
【請求項37】
靴のフィット感をカスタマイズするシステムであって、
熱可鍛性活性化領域を有するアッパーを備えた靴に挿入されるように構成されている調節可能な靴型であって、靴型本体と、前記靴型本体に移動可能に取り付けられ、かつ、カスタマイズされた幅サイズを提供するために、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である内側および外側調節要素とを含む調節可能な靴型と、
前記調節可能な靴型に装着された前記靴を収容して前記活性化領域が可塑性になるまで前記靴を熱処理し、前記靴の幅を固定するように前記熱可鍛性材料を固まらせるように構成されている赤外線活性化室と、
足の基準点を自動検出して足採寸データを収集するように構成されている足スキャナーと、
前記足スキャナーに接続され、調節係数を算出することによって前記調節可能な靴型の調節設定に足採寸データを相関づけるコンピュータと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項38】
前記コンピュータが、前記IR活性化室にも接続され、かつ、熱処理サイクルを制御することを特徴とする請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記コンピュータが、算出された調節係数に従って前記靴型を自動的に調節するために前記調節可能な靴型にも接続されていることを特徴とする請求項37または38に記載のシステム。
【請求項40】
靴のフィット感をカスタマイズするシステムであって、
活性化領域において少なくとも一部は処理可能な材料で作製されたアッパーを備えた靴に挿入されるようになっている調節可能な靴型であって、靴型本体と、前記靴型本体に移動可能に取り付けられ、かつ、カスタマイズ幅サイズを提供するために、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である内側および外側調節要素とを含む調節可能な靴型と、
前記調節可能な靴型に装着された前記靴を収容して前記活性化領域が可塑性になるまで前記靴を処理し、前記靴の幅を固定するように前記処理可能な材料を固まらせるように構成されている活性化室と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項41】
着用者の足を採寸するための足採寸装置をさらに含むことを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記足採寸装置が、足スキャナーであることを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
足採寸値から靴長さサイズと、靴幅サイズと、調節係数とを算出して前記調節可能な靴型の調節設定に相関づけるコンピュータをさらに含むことを特徴とする請求項41または42に記載のシステム。
【請求項44】
前記活性化室が、目標領域周りに位置決めされた複数の赤外線ランプを含む赤外線活性化室であることを特徴とする請求項40ないし43のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項45】
前記活性化室が、適当に設計された靴が前記目標領域に位置決めされていない状態での前記室の活性化を防止する予防手段を含むことを特徴とする請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記予防手段が、無線周波数IDトランシーバであることを特徴とする請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記予防手段が、前記調節可能な靴型上の戻り止めおよび前記室上の合せスイッチであることを特徴とする請求項45に記載のシステム。
【請求項48】
冷却装置をさらに含むことを特徴とする請求項44に記載のシステム。
【請求項49】
前記コンピュータが、足寸法データを取得して格納し、調節係数を算出して、調節係数を表示するために前記足採寸装置に接続されていることを特徴とする請求項43に記載のシステム。
【請求項50】
前記コンピュータが、前記活性化室に接続され、かつ、熱処理サイクルを制御することを特徴とする請求項49記載のシステム。
【請求項51】
前記コンピュータが、算出された調節係数に従って前記靴型を自動的に調節するために前記調節可能な靴型に接続されていることを特徴とする請求項49または50に記載のシステム。
【請求項52】
スポーツシューズのフィット感を個々の着用者の足採寸値にカスタマイズするシステムにおいて使用されるように構成されている活性化室であって、
基部と、側壁部および頂壁部とを含むハウジングであって、前記壁部の一方が、調節可能な靴型および靴を収容するように構成されている靴型ドック・スロットを含み、前記ハウジングが、活性化領域を画定するハウジングと、
前記基部に移動可能に取り付けられ、かつ、前記活性化領域の底部を提供するために前記靴型ドック・スロットと位置合わせされたキャリッジ部と、
前記活性化領域にて方向づけられ、かつ、前記ハウジング上に支持された処理要素と、
を含むことを特徴とする活性化室。
【請求項53】
前記ハウジング内に支持され、かつ、前記キャリッジ部および前記処理要素に対して離間されて、前記活性化領域内に置かれた靴の各部を保護する保護シールドをさらに含むことを特徴とする請求項52に記載の活性化室。
【請求項54】
前記保護シールドが、前記ハウジング内に取り付けられた軸上に回転可能に支持された一連のシリコーン・ブラシを含むことを特徴とする請求項53に記載の活性化室。
【請求項55】
靴型に合わせて作製された靴の処理をモニターするために前記ハウジング内に支持された検出要素をさらに含むことを特徴とする請求項52ないし54のいずれか1項に記載の活性化室。
【請求項56】
前記処理要素が、赤外線照射加熱器であることを特徴とする請求項52ないし54のいずれか1項に記載の活性化室。
【請求項57】
前記処理要素が、赤外線照射加熱器であることを特徴とする請求項55に記載の活性化室。
【請求項58】
前記検出要素が、高温計であることを特徴とする請求項57に記載の活性化室。
【請求項59】
複数の処理要素をさらに含むことを特徴とする請求項56に記載の活性化室。
【請求項60】
適当に設計された靴が前記活性化領域に位置決めされていない状態での前記室の活性化を防止する予防手段をさらに含むことを特徴とする請求項52ないし59のいずれか1項に記載の活性化室。
【請求項61】
前記予防手段が、無線周波数IDトランシーバであることを特徴とする請求項60に記載の活性化室。
【請求項62】
スポーツシューズのフィット感を個々の着用者の足採寸値にカスタマイズするシステムにおいて使用されるように構成されている赤外線活性化室であって、
基部と、側壁部および頂壁部とを含むハウジングであって、前記壁部の一方が、調節可能な靴型および靴を収容するように構成されている靴型ドック・スロットを含み、前記ハウジングが、活性化領域を画定するハウジングと、
前記基部に移動可能に取り付けられ、かつ、前記活性化領域の底部を提供するために前記靴型ドック・スロットと位置合わせされたキャリッジ部と、
前記ハウジング内に取り付けられ、かつ、前記活性化領域に方向づけて、前記スポーツシューズを熱処理する複数の赤外線加熱器と、
を含むことを特徴とする活性化室。
【請求項63】
前記ハウジング内に取り付けられた軸上に回転可能に支持された一連の保護要素をさらに含み、前記ブラシが、前記活性化領域内に置かれた靴の保護部に対して前記キャリッジ部および前記加熱器に相対的に位置決めされていることを特徴とする請求項62に記載の活性化室。
【請求項64】
前記保護要素が、処理されている靴の一切の泡または熱可塑性部分を保護するように構成されているシリコーン・ブラシであることを特徴とする請求項63に記載の活性化室。
【請求項65】
靴型に合わせて作られた靴の処理をモニターするために前記ハウジング内に支持された検出要素をさらに含むことを特徴とする請求項62ないし64のいずれか1項に記載の活性化室。
【請求項66】
前記検出要素が、高温計であることを特徴とする請求項65に記載の活性化室。
【請求項1】
着用者に対する靴のフィット感をカスタマイズする方法であって、
前記着用者の足を採寸して足寸法データを取得するステップと、
前記足寸法データから靴長さサイズを算出するステップと、
前記足寸法データから靴幅を算出するステップと、
前記算出靴長さサイズの調節可能な足型靴型を選択するステップと、
少なくとも一部は熱可鍛性材料で作製されたアッパーを有する前記算出靴長さサイズの靴を選択するステップと、
前記靴を前記調節可能な足型靴型周りに装着するステップと、
前記熱可鍛性材料が可塑性になるまで前記靴を第1回目に熱処理するステップと、
前記調節可能な足型靴型を前記算出された幅に調節するステップと、
前記靴を第2回目に熱処理して前記熱可鍛性材料を固まらせるステップと、
前記靴を冷却するステップと、
前記靴を前記調節可能な足型靴型から取り外すステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記着用者の足を採寸する前記ステップが、足スキャナー内に前記足を置いて足寸法データを取得するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
靴幅を算出する前記ステップが、靴長さサイズを算出するステップと、中敷プラグサイズを算出して前記中敷に対して幅調節を行うステップとを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記調節可能な足型靴型を調節する前記ステップが、前記足寸法データおよび中敷プラグサイズからUWAFを算出するステップと、前記UWAFに基づいて前記調節可能な足型靴型に対する調節を行うステップとを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記調節可能な足型靴型を調節する前記ステップが、前記足寸法データおよび中敷プラグサイズからIAFを算出するステップと、前記IAFに基づいて前記調節可能な足型靴型に対する調節を行うステップとを含むことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記靴を熱処理する前記ステップが、前記靴を赤外線照射に曝すステップを含むことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記靴を冷却する前記ステップが、前記靴を冷蔵室に置くステップを含むことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
着用者に対する靴のフィット感をカスタマイズする方法であって、
前記着用者の足を採寸して足寸法データを取得するステップと、
前記足寸法データから靴長さサイズを算出するステップと、
前記足寸法データから靴幅を算出するステップと、
前記算出靴長さサイズの調節可能な足型靴型を選択するステップと、
少なくとも一部は、処理時に収縮または伸長させることができる処理可能な材料で作製されたアッパーを有する前記算出された靴長さサイズの靴を選択するステップと、
前記靴を前記調節可能な足型靴型周りに装着するステップと、
前記足型靴型を前記算出された幅に調節しながら前記靴を処理して前記処理可能な材料を固まらせるステップと、
前記調節可能な足型靴型から前記靴を取り外すステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記着用者の足を採寸する前記ステップが、足スキャナー内に前記足を置いて足寸法データを取得するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記着用者の足を採寸する前記ステップが、手動採寸装置で足寸法データを取得するステップを含むことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項11】
靴幅を算出する前記ステップが、靴長さサイズを算出するステップと、中敷プラグサイズを算出して前記中敷に対して幅調節を行うステップとを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記調節可能な足型靴型を調節しながら前記靴を処理する前記ステップが、前記足寸法データおよび中敷プラグサイズからUWAFを算出するステップと、前記UWAFに基づいて前記調節可能な足型靴型に対する調節を行うステップとを含むことを特徴とする請求項8ないし11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記調節可能な足型靴型を調節する前記ステップが、前記足寸法データおよび中敷プラグサイズからIAFを算出するステップと、前記IAFに基づいて前記調節可能な足型靴型に対する調節を行うステップとを含むことを特徴とする請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
処理する前記ステップが、前記靴を赤外線照射に曝すステップを含むことを特徴とする請求項8ないし13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
処理する前記ステップが、赤外線照射への曝した後に前記靴を冷却するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
アッパーと、中敷と、外底とを含み、前記アッパーが、カスタマイズされた幅および周囲寸法のフィット感を提供するために熱可鍛性材料で作製された少なくとも1つの活性化領域を含むことを特徴とする靴。
【請求項17】
前記活性化領域が、幅調節のカスタマイズを行うために前記靴の前部領域内にあることを特徴とする請求項16に記載の靴。
【請求項18】
前記活性化領域が、ポリエステル・スペーサ・メッシュ繊維で作製されることを特徴とする請求項17に記載の靴。
【請求項19】
前記中敷が、前記プラグの幅を変えることによって前記中敷の幅調節を行うために取り換え可能な中敷プラグを含むことを特徴とする請求項16ないし18のいずれか1項に記載の靴。
【請求項20】
前記外底が、前記中敷およびアッパーの様々な幅サイズのために安定した基部を提供する長手方向のひだを含むことを特徴とする請求項16ないし19のいずれか1項に記載の靴。
【請求項21】
アッパーと、中敷と、外底とを含み、前記アッパーが、カスタマイズされた幅および周囲寸法のフィット感を提供するために、エネルギー適用時に可塑性になって固まるように適用エネルギー源に感応する材料で作製された少なくとも1つの活性化領域を含むことを特徴とする靴。
【請求項22】
前記活性化領域が、赤外線照射適用時に可塑性になって冷却時に固まることを特徴とする請求項21に記載の靴。
【請求項23】
前記活性化領域が、幅調節を行うために、前記靴の前部領域内にあることを特徴とする請求項22に記載の靴。
【請求項24】
前記活性化領域が、ポリエステル・スペーサ・メッシュ繊維で作製されていることを特徴とする請求項23に記載の靴。
【請求項25】
靴のフィット感をカスタマイズするシステムであって、
熱可鍛性活性化領域を有するアッパーを備えた靴に挿入されるように構成されている調節可能な靴型であって、靴型本体と、前記靴型本体に移動可能に取り付けられ、かつ、カスタマイズされた幅サイズを提供するために、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である内側および外側調節要素とを含む調節可能な靴型と、
前記調節可能な靴型に装着された前記靴を収容し前記活性化領域が可塑性になるまで前記靴を熱処理し、前記靴の幅を固定するように前記熱可鍛性材料を固まらせるように構成されている赤外線活性化室と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項26】
着用者の足を採寸するために足採寸装置をさらに含むことを特徴とする請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記足採寸装置が、足スキャナーであることを特徴とする請求項26に記載のシステム。
【請求項28】
調節係数を算出することによって前記調節可能な靴型の調節設定に足採寸値を相関づけるコンピュータをさらに含むことを特徴とする請求項26または27に記載のシステム。
【請求項29】
前記赤外線活性化室が、目標領域の周りに位置決めされた複数の赤外線ランプを含むことを特徴とする請求項25ないし28のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項30】
前記赤外線活性化室が、適当に設計された靴が前記目標領域に位置決めされていない状態での前記室の活性化を防止する予防手段を含むことを特徴とする請求項29に記載のシステム。
【請求項31】
前記予防手段が、無線周波数IDトランシーバであることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記予防手段が、前記調節可能な靴型上の戻り止めおよび前記活性化室上の合せスイッチであることを特徴とする請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
冷却装置をさらに含むことを特徴とする請求項25ないし32のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項34】
前記コンピュータが、足寸法データを取得して格納し、調節係数を算出して調節係数を表示するために前記足採寸装置に接続されていることを特徴とする請求項28に記載のシステム。
【請求項35】
前記コンピュータが、前記IR活性化室に接続され、かつ、熱処理サイクルを制御することを特徴とする請求項34に記載のシステム。
【請求項36】
前記コンピュータが、算出された調節係数に従って前記靴型を自動的に調節するために前記調節可能な靴型に接続されていることを特徴とする請求項34または35に記載のシステム。
【請求項37】
靴のフィット感をカスタマイズするシステムであって、
熱可鍛性活性化領域を有するアッパーを備えた靴に挿入されるように構成されている調節可能な靴型であって、靴型本体と、前記靴型本体に移動可能に取り付けられ、かつ、カスタマイズされた幅サイズを提供するために、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である内側および外側調節要素とを含む調節可能な靴型と、
前記調節可能な靴型に装着された前記靴を収容して前記活性化領域が可塑性になるまで前記靴を熱処理し、前記靴の幅を固定するように前記熱可鍛性材料を固まらせるように構成されている赤外線活性化室と、
足の基準点を自動検出して足採寸データを収集するように構成されている足スキャナーと、
前記足スキャナーに接続され、調節係数を算出することによって前記調節可能な靴型の調節設定に足採寸データを相関づけるコンピュータと、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項38】
前記コンピュータが、前記IR活性化室にも接続され、かつ、熱処理サイクルを制御することを特徴とする請求項37に記載のシステム。
【請求項39】
前記コンピュータが、算出された調節係数に従って前記靴型を自動的に調節するために前記調節可能な靴型にも接続されていることを特徴とする請求項37または38に記載のシステム。
【請求項40】
靴のフィット感をカスタマイズするシステムであって、
活性化領域において少なくとも一部は処理可能な材料で作製されたアッパーを備えた靴に挿入されるようになっている調節可能な靴型であって、靴型本体と、前記靴型本体に移動可能に取り付けられ、かつ、カスタマイズ幅サイズを提供するために、前記靴型本体に近づくようにおよび前記靴型本体から離れるように移動可能である内側および外側調節要素とを含む調節可能な靴型と、
前記調節可能な靴型に装着された前記靴を収容して前記活性化領域が可塑性になるまで前記靴を処理し、前記靴の幅を固定するように前記処理可能な材料を固まらせるように構成されている活性化室と、
を含むことを特徴とするシステム。
【請求項41】
着用者の足を採寸するための足採寸装置をさらに含むことを特徴とする請求項40に記載のシステム。
【請求項42】
前記足採寸装置が、足スキャナーであることを特徴とする請求項41に記載のシステム。
【請求項43】
足採寸値から靴長さサイズと、靴幅サイズと、調節係数とを算出して前記調節可能な靴型の調節設定に相関づけるコンピュータをさらに含むことを特徴とする請求項41または42に記載のシステム。
【請求項44】
前記活性化室が、目標領域周りに位置決めされた複数の赤外線ランプを含む赤外線活性化室であることを特徴とする請求項40ないし43のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項45】
前記活性化室が、適当に設計された靴が前記目標領域に位置決めされていない状態での前記室の活性化を防止する予防手段を含むことを特徴とする請求項44に記載のシステム。
【請求項46】
前記予防手段が、無線周波数IDトランシーバであることを特徴とする請求項45に記載のシステム。
【請求項47】
前記予防手段が、前記調節可能な靴型上の戻り止めおよび前記室上の合せスイッチであることを特徴とする請求項45に記載のシステム。
【請求項48】
冷却装置をさらに含むことを特徴とする請求項44に記載のシステム。
【請求項49】
前記コンピュータが、足寸法データを取得して格納し、調節係数を算出して、調節係数を表示するために前記足採寸装置に接続されていることを特徴とする請求項43に記載のシステム。
【請求項50】
前記コンピュータが、前記活性化室に接続され、かつ、熱処理サイクルを制御することを特徴とする請求項49記載のシステム。
【請求項51】
前記コンピュータが、算出された調節係数に従って前記靴型を自動的に調節するために前記調節可能な靴型に接続されていることを特徴とする請求項49または50に記載のシステム。
【請求項52】
スポーツシューズのフィット感を個々の着用者の足採寸値にカスタマイズするシステムにおいて使用されるように構成されている活性化室であって、
基部と、側壁部および頂壁部とを含むハウジングであって、前記壁部の一方が、調節可能な靴型および靴を収容するように構成されている靴型ドック・スロットを含み、前記ハウジングが、活性化領域を画定するハウジングと、
前記基部に移動可能に取り付けられ、かつ、前記活性化領域の底部を提供するために前記靴型ドック・スロットと位置合わせされたキャリッジ部と、
前記活性化領域にて方向づけられ、かつ、前記ハウジング上に支持された処理要素と、
を含むことを特徴とする活性化室。
【請求項53】
前記ハウジング内に支持され、かつ、前記キャリッジ部および前記処理要素に対して離間されて、前記活性化領域内に置かれた靴の各部を保護する保護シールドをさらに含むことを特徴とする請求項52に記載の活性化室。
【請求項54】
前記保護シールドが、前記ハウジング内に取り付けられた軸上に回転可能に支持された一連のシリコーン・ブラシを含むことを特徴とする請求項53に記載の活性化室。
【請求項55】
靴型に合わせて作製された靴の処理をモニターするために前記ハウジング内に支持された検出要素をさらに含むことを特徴とする請求項52ないし54のいずれか1項に記載の活性化室。
【請求項56】
前記処理要素が、赤外線照射加熱器であることを特徴とする請求項52ないし54のいずれか1項に記載の活性化室。
【請求項57】
前記処理要素が、赤外線照射加熱器であることを特徴とする請求項55に記載の活性化室。
【請求項58】
前記検出要素が、高温計であることを特徴とする請求項57に記載の活性化室。
【請求項59】
複数の処理要素をさらに含むことを特徴とする請求項56に記載の活性化室。
【請求項60】
適当に設計された靴が前記活性化領域に位置決めされていない状態での前記室の活性化を防止する予防手段をさらに含むことを特徴とする請求項52ないし59のいずれか1項に記載の活性化室。
【請求項61】
前記予防手段が、無線周波数IDトランシーバであることを特徴とする請求項60に記載の活性化室。
【請求項62】
スポーツシューズのフィット感を個々の着用者の足採寸値にカスタマイズするシステムにおいて使用されるように構成されている赤外線活性化室であって、
基部と、側壁部および頂壁部とを含むハウジングであって、前記壁部の一方が、調節可能な靴型および靴を収容するように構成されている靴型ドック・スロットを含み、前記ハウジングが、活性化領域を画定するハウジングと、
前記基部に移動可能に取り付けられ、かつ、前記活性化領域の底部を提供するために前記靴型ドック・スロットと位置合わせされたキャリッジ部と、
前記ハウジング内に取り付けられ、かつ、前記活性化領域に方向づけて、前記スポーツシューズを熱処理する複数の赤外線加熱器と、
を含むことを特徴とする活性化室。
【請求項63】
前記ハウジング内に取り付けられた軸上に回転可能に支持された一連の保護要素をさらに含み、前記ブラシが、前記活性化領域内に置かれた靴の保護部に対して前記キャリッジ部および前記加熱器に相対的に位置決めされていることを特徴とする請求項62に記載の活性化室。
【請求項64】
前記保護要素が、処理されている靴の一切の泡または熱可塑性部分を保護するように構成されているシリコーン・ブラシであることを特徴とする請求項63に記載の活性化室。
【請求項65】
靴型に合わせて作られた靴の処理をモニターするために前記ハウジング内に支持された検出要素をさらに含むことを特徴とする請求項62ないし64のいずれか1項に記載の活性化室。
【請求項66】
前記検出要素が、高温計であることを特徴とする請求項65に記載の活性化室。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図8f】
【図8g】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図4f】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図8f】
【図8g】
【図9】
【図10a】
【図10b】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14a】
【図14b】
【図14c】
【図14d】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公開番号】特開2011−229992(P2011−229992A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182963(P2011−182963)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【分割の表示】特願2008−526205(P2008−526205)の分割
【原出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【分割の表示】特願2008−526205(P2008−526205)の分割
【原出願日】平成18年8月9日(2006.8.9)
【出願人】(505424859)ナイキ インターナショナル リミテッド (249)
【Fターム(参考)】
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