説明

識別媒体およびその識別方法

【課題】 本発明は、従来技術を用いた識別技術より偽造防止レベルが高く、しかも識別を容易にそして確実に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】 PETフィルムである基材101上に加熱により、黒色から透明に変化するサーモクロミック材料によって構成される感熱変化インク層102を設け、さらにその上にコレステリック液晶層に適当な図柄のホログラム105を形成したコレステリック液晶層103を配置する。常温においては、感熱インク層102が光吸収性を示し、コレステリック液晶層103の選択反射特性とカラーシフト特性が観察される。そして、加熱すると、感熱インク層102が透明になり、基材101上の図柄104がさらに重なって見える。この見え方の変化を利用して真贋判定を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視覚的な効果により物品の真贋性(真正性)を識別する技術に関し、見る角度や特定の偏光フィルタによって得られる特異な見え方と、温度等の環境状態に依存して変化する光の透過状態の違いと、を組み合わせた技術に関する。
【背景技術】
【0002】
日用品や衣料品等の物品において、見た目を本物に似せて製造した偽物が市場に出回り問題となっている。このような状況において、性能、信頼性あるいは安全性の保証やブランド力の維持のために、物品の真贋性を識別することができる技術が求められている。
【0003】
物品の真贋性を識別する技術として、物品に特殊なインクを用いて印刷を行う方法、あるいは、特殊な光学反射特性を有する小片を物品に貼り付けたりする方法が知られている。
【0004】
特殊なインクを印刷する方法は、紫外線に対して蛍光するインクを用いて、所定の文字や図柄を印刷し、紫外線を照射した際にその図柄や文字を浮かび上がらせることで、真贋性を確認する方法である。また、磁性体の粒子や磁性を帯びた粒子を混ぜたインクを塗布し、磁気センサで真贋性を識別する方法も知られている。
【0005】
また、光学反射特性を有する小片としては、ホログラムやコレステリック液晶が示す光学特性を利用したものが知られている。この技術に関しては、例えば特許文献1や特許文献2に示されたものが知られている。
【0006】
【特許文献1】特開昭63−51193号公報
【特許文献2】特開平4−144796号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、各種の特殊なインクは、類似品を入手することが比較的容易であり、偽造防止効果は大きくない。また、目視用のホログラムは、見た目による真贋性の判断が困難であるような、偽造レベルの高いものが出回っており、それだけで真贋性を識別するのは困難になりつつある。
【0008】
また、偽造技術が高くなってきている背景において、コレステリック液晶を用いた識別媒体に関しても、より偽造が困難で、高い識別性が得られるものが求められている。
【0009】
そこで、本発明は、上述した従来技術を用いた識別技術よりもさらに偽造防止レベルが高く、しかも識別を容易にそして確実に行うことができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の識別媒体は、サーモクロミック材料またはフォトクロミック材料を用いた光学機能層と、前記光学機能層上に配置されたカラーシフト発現層とを含むことを特徴とする。
【0011】
サーモクロミック材料というのは、第1の温度で所定の色を発色し、第2の温度で透明になる性質を有する材料のことをいう。ここで、(第1の温度)>(第2の温度)、あるいは、(第2の温度)>(第1の温度)の関係のいずれかは、材料を選ぶことで選択することができる。また、発色の色も材料によって多様な選択肢がある。また、上記変化は可逆性のものと非可逆性のものがあるが、可逆性のものを選択することが好ましい。
【0012】
本発明においては、一方の温度が室温(例えば25℃)であり、加熱すると第2の温度となり、この際に、有色→透明あるいは透明→有色と変化する性質のものを選択することが好ましい。特に有色発現時に黒色あるいは濃い色となる材料を選択することが好ましい。こうすることで、光学機能層を光吸収層として機能させることができ、カラーシフト発現層の光学機能を有効に利用することができる。
【0013】
加熱すると透明になるサーモクロミック材料としては、光重合組成物と、脂肪族アミンまたは芳香族アミンを含む膜材料により可逆熱変色性組成物を内包し、この膜材料が酸性物質によりイオン化しているマイクロカプセル顔料を利用することができる。このサーモクロミック材料は、構成材料を選択することで、室温で光吸収層として機能する黒または濃い色を示し、加熱すると透明になる性質のものを得ることができる。
【0014】
また、市販されているサーモクロミック材料としては、クロマティックテクノロジー(CHROMATIC TECHNOLOGIES, INC:米国)社のサーモクロミックインキ(商品名:DYNACOLOR)が知られており、これを使用することもできる。
【0015】
サーモクロミック材料を加熱する方法としては、ドライヤーによる方法(温風を当てる方法)、加熱ランプによる方法、加熱ヒータによる方法、摩擦による方法、高温液体に接触させる方法、相対的に高温な物に接触させる方法、適当な発熱体を用いて直接または間接に加熱する方法等が挙げられる。この中で摩擦による方法としては、例えば、手でこすり摩擦熱を発生させる方法が含まれる。
【0016】
フォトクロミック材料というのは、熱ではなく、光(例えば紫外線)の照射によって有色→透明あるいは透明→有色と変化する性質を示す材料のことをいう。フォトクロミック材料は、光学機能の変化因子として光が利用される点を除けば、サーモクロミック材料とおなじである。つまり、加熱によって有色→無色または無色→有色と変化するのがサーモクロミック材料であり、光照射によって有色→無色または無色→有色と変化するのがフォトクロミック材料である。
【0017】
フォトクロミック材料は、光照射によって光異性化を起こす材料を用いたものが一般的である。フォトクロミック材料としては、例えばアドベンゼン系染料、シッフ塩素系材料、0−ニトロベンゼン系材料を挙げることができる。
【0018】
市販されているフォトクロミック材料としては、クロマティックテクノロジー(CHROMATIC TECHNOLOGIES, INC:米国)社のフォトクロミックインキ(商品名:DYNACOLOR)が知られており、これを使用することもできる。
【0019】
カラーシフトとは、視野角を大きくしてゆくと、反射光が徐々に短波長側にシフトする現象のこという。そして、カラーシフト発現層とは、このような現象を発現する層のことをいう。なお、カラーシフトは、反射光がより短波長側に変化することで、より青みがかった色に見えるように認識されることから、ブルーシフトとも呼ばれる。
【0020】
なお、視野角とは、視覚対象物表面への垂線と視線のなす角度のことをいう。例えば、視野角0°は、視覚対象物の表面に対して垂直な方向から見た場合に相当する。また、例えば、視野角が90°に近づくにつれて、より斜めさらには視覚対象物の表面に対して平行に近い方向から視覚対象物を見ることになる。
【0021】
カラーシフトを示す構成としては、異なる屈折率を有する光透過性フィルムを多層に積層した多層薄膜を挙げることができる。なお、光透過性とは、可視光線を透過するという意味である。また、可視光線とは、一般的に人が認識できることができる光のことであり、具体的には、380nm〜780nm程度の波長帯域を含む光のことをいう。
【0022】
以下、異なる屈折率を有する光透過性フィルムを多層に積層した多層薄膜を例に挙げてカラーシフトが発生する原理について説明する。図3は、カラーシフトが発生する原理を説明する概念図である。図3には、異なる屈折率を有する2種類の光透過性フィルム401および402を交互に多層に積層した断面構造を有する多層薄膜403が概念的に示されている。
【0023】
多層薄膜403に斜めから光が入射すると、その光は、多層構造の各界面において反射される。この反射は、上下に隣接する光透過性フィルムの屈折率が異なることに起因する。また、1層の界面を見た場合、反射されるのは、入射光の一部であり、入射光の大部分は透過する。つまり、多層に積層された界面に入射した入射光は、各界面において少しずつ反射されてゆく。この各界面で発生した反射光は、基本的に同じ方向に反射するので、それらは光路差に起因する干渉を起こす。
【0024】
入射光がより面に平行に近い方向から入射する程、光路差は小さくなるので、より短波長の光が干渉し、強め合うことになる。この原理から、視野角を大きくしていった場合に、より短波長の反射光同士が干渉し、強め合うことになる。この結果、白色光下で多層薄膜403を見た場合に、視野角0°で多層薄膜が所定の色合いに見えたものが、視野角を大きくしてゆくに従い、徐々に青みがかった色に見た目の色彩が変化する現象が観察される。
【0025】
この多層薄膜は、屈折率の異なる3種類以上の薄膜フィルムを積層して構成してもよい。積層の仕方は多様に考えられるが、隣接する薄膜フィルム間で屈折率が相違するように重ねればよい。
【0026】
さらに他のカラーシフトを示す構成として、コレステリック液晶層を挙げることができる。コレステリック液晶層は、液晶分子の配向状態が異なる層が多層に積層された構造を有しているので各層間の界面における入射光の反射現象が発生する。このため、図3を用いて説明した場合と同様にカラーシフト現象を観察することができる。
【0027】
図4は、コレステリック液晶層の構造を概念的に示す概念図であり、図5は、コレステリック液晶層が有する光学的な性質を説明する概念図である。図5には、自然光を入射させると、特定波長の右回り円偏光が反射され、左回り円偏光および直線偏光、さらにその他の波長の右回り円偏光がコレステリック液晶層301を透過する様子が示されている。
【0028】
コレステリック液晶層は、層状構造を有している。そして、一つの層に着目した場合、層中において液晶分子の分子長軸はその向きが揃っており、かつ層の面に平行に配向している。そして配向の方向は、隣接する層において少しずつずれており、全体としては立体的なスパイラル状に配向が回転しつつ各層が積み重なった構造を有している。
【0029】
この構造において、層に垂直な方向で考えて、分子長軸が360°回転して元に戻るまでの距離をピッチP、各層内の平均屈折率をnとする。この場合、コレステリック液晶層は、λs=n×Pを満たす、中心波長λsの円偏光を選択的に反射する性質を示す。すなわち、白色光をコレステリック液晶層に入射させると、特定の波長を中心波長とする右回りまたは左回り円偏光を選択的に反射する。この場合、反射した円偏光と同じ旋回方向を有するが波長がλsでない円偏光、反射した円偏光と逆旋回方向の円偏光、さらに直線偏光の成分は、コレステリック液晶層を透過する。
【0030】
反射する円偏光の旋回方向(回転方向)は、コレステリック液晶層のスパイラル方向を選択することで決めることができる。つまり、光の入射方向から見て、右ネジの向きに螺旋を描いて各層における分子長軸が配向しているか、左ネジの向きに螺旋を描いて各層における分子長軸が配向しているか、を選択することで、反射する円偏光の旋回方向(回転方向)を決めることができる。
【0031】
なお、当然のことながら、コレステリック液晶層の場合、この特定波長の特定旋回方向の円偏光を選択的に反射する光学的性質は、カラーシフトを伴って観察することができる。すなわち、視野角0°で見た場合に見える色彩は、視野角を大きくするに従って、徐々に短波長側の色彩にシフトして見える。
【0032】
本発明においては、光学機能層が示す光の吸収あるいは透過の選択特性とカラーシフト層の光学的な性質が組み合わされて特異な見え方を示す識別媒体を得ることができる。この光学的に特異な見え方については、実施形態において詳細に説明する。
【0033】
本発明において、光学機能層は、常温において略黒色であり、常温を超えた所定の温度に達すると透明になるインクを含んでいる構成とすることは好ましい。
【0034】
また、本発明において、光学機能層を、光吸収層として機能させることは好ましい。光の吸収効率が極めて高くなった状態は、色が濃くなった状態であるので、入射した可視光線は吸収される。この状態は、光学機能層が光吸収層として機能することを意味する。
【0035】
実施形態において詳述するように、光学機能層をある場面では光吸収層として機能させ、他の場面では光透過層として機能させることで、カラーシフト発現層の機能のみの場合と、基材からの反射光とカラーシフト発現層の機能とが組み合わさった場合の2つの見え方を選択することができる。そしてこの2つの見え方の相違を利用することで、極めて識別性の高い識別媒体を得ることができる。
【0036】
本発明において、カラーシフト発現層にホログラム加工が施されていることは好ましい。こうすることで、カラーシフト現象とホログラムの機能が組み合わさり、特異な見え方を得ることができる。このため、識別機能を高めることができる。
【0037】
本発明において、光学機能層を介して観察する図柄は、本発明の識別媒体を貼り付ける物品表面の図柄を利用する場合、あるいは所定の図柄を印刷した基材層を光学機能層の下に貼り付け、光学機能層を介してその図柄を観察する場合のいずれであってもよい。
【0038】
本発明において、光学機能層は、基材層上に配置されており、この基材層には、印刷またはホログラムが形成されていることは好ましい。この態様によれば、光学機能層が透明になった場合に、カラーシフト発現層からの反射光に加えて、基材層からの印刷やホログラムの反射光を観察することができ、両者の組合せによる光学識別機能を得ることができる。
【0039】
特に基材層として、異なる屈折率を有する光透過性フィルムを多層に積層した多層薄膜を採用することは好ましい。
【0040】
例えば、物品への固定側から、順に多層薄膜、光学機能層、コレステリック液晶層と積層された構造とした場合、コレステリック層側から観察を行うことで、コレステリック液晶層の視覚効果と、コレステリック液晶層の視覚効果と多層薄膜の視覚効果が相乗した視覚効果とを、光学機能層の光学スイッチ的な機能により選択することができる。
【0041】
本発明の識別媒体の物品への固定方法としては、粘着層の機能による方法、接着剤による方法、縫い付けによる方法、ラミネートによる方法、ネジ止めによる方法、リベットによる方法、その他固定部材による方法、ワイヤやチェーンによる方法等を挙げることができる。
【0042】
識別媒体を固定する物品は、特に限定されないが、例えば、パスポート、証書、重要書類、カード類、商品券、衣料品、日用品、記憶媒体、電化製品、機械部品、電子部品、その他各種製品等を挙げることができる。また、これら物品のパッケージや包装材料に本発明の識別媒体を固定してもよい。また、商品に取り付けられるタグや値札等に本発明の識別媒体を固定する、あるいはタグや値札自体を本発明の識別媒体で構成してもよい。
【0043】
また本発明は、上述した識別媒体を用いた識別方法として把握することもできる。すなわち、本発明の識別媒体の識別方法は、上述した識別媒体の識別方法であって、識別媒体に加熱を行わないステップと、識別媒体に加熱を行うステップとを含むことを特徴とする。
【0044】
この態様によれば、加熱の有無による光学的な機能の違いを意図的に発現させることができ、この違いを利用することで、真贋判定を行うことができる。この場合、真贋判定は、目視により行う方法、あるいは所定の偏光状態の光を透過する光学フィルタを介した目視による方法、あるいは機械を用いて自動判定する方法、さらにはこれらの方法を複数組み合わせた方法のいずれであってもよい。
【0045】
また、本発明の識別媒体の識別方法は、第1の温度において識別媒体からの反射光を検出する反射光検出ステップ1と、前記第1の温度より高い第2の温度において識別媒体からの反射光を検出する反射光検出ステップ2と、前記反射光検出ステップ1と前記反射光検出ステップ2とを参照して、真贋判定処理を行うステップとを含むことを特徴とする。
【0046】
この態様によれば、加熱前と加熱後の2段階にわたって判定を行うことができる。また例えば画像処理技術を用いて、加熱前後における撮像画像の違いから、真贋判定を自動的に行うことができる。
【0047】
さらに本発明の識別媒体の識別方法は、光学機能層が光吸収性を示す状態に維持するステップと、前記光学機能層が光透過性を示す状態に維持するステップとを含む構成として把握することもできる。
【0048】
この態様によれば、光学機能層が可視光線を透過する状態、あるいは吸収する状態の2状態を選択することで、図柄の見え方や反射光の相違を発現させ、それを利用して真贋判定を行うことができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、温度変化や紫外線照射によって、光学的な特性が大きく変化する識別媒体を得ることができる。本発明によれば、従来技術を用いた識別技術よりもさらに偽造防止レベルが高く、しかも識別を容易にそして確実に行うことができる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0050】
1.第1の実施の形態
(第1の実施形態の構成)
図1は、本発明を利用した識別媒体の概要を示す概念図である。図1には、基材101、感熱変化インク層102、コレステリック液晶層103、印刷図柄104、およびホログラム105が示されている。
【0051】
基材101は、厚さ25μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムである。基材101の表面には、黒インクによる図柄104が印刷されている。なお、図柄104は文字、絵、任意のデザイン、その他写真等を用いることができる。また、図柄104は、ホログラムであってもよい。
【0052】
また、図1には図示されていないが、基材101の裏面には、粘着層とセパレータ(離型紙)が配置されている。このセパレータを剥がし、粘着層を適当な物品に接触させることで、基材101を物品に固定することができる。
【0053】
感熱変化インク層102は、サーモクロミック材料で構成される感熱変化インクを基材101の表面に塗布した層である。この層は、本発明の光学機能層として機能する層であり、常温(25℃)では黒であるが、35℃以上になると透明になる。
【0054】
また、この感熱変化インク層102の温度に対する変化は、可逆的であり、温度を下げれば、透明から黒に戻る変化を示す。
【0055】
コレステリック液晶層103は、コレステリック液晶層にホログラム加工を施したものである。コレステリック液晶層103は、図の上方、すなわちコレステリック液晶層103の側から見て、赤色に相当する波長の右回り円偏光を反射する性質ものを採用している。
【0056】
ホログラム105は、適当な図柄の型をコレステリック液晶層に押し付け、コレステリック液晶層の層構造を部分的に歪ませることで形成されている。
【0057】
図1には記載されていないが、コレステリック液晶層103は、TAC(トリアセチルセルロース)フィルムを基材として、その表面にコレステリック液晶層が塗布形成された構造を有している。
【0058】
(第1の実施形態の機能)
図2は、本発明を利用した識別媒体の視覚効果を説明する概念図である。まず常温(25℃)の状態において、図1の識別媒体をコレステリック液晶層103側から見た場合を説明する。この場合、感熱変化インク層102は、黒色であるから、コレステリック液晶層103から反射される赤色の右回り円偏光のみが観察される。より詳細にいうと、ホログラム105の図柄が赤色で金属光沢を帯びたような状態で観察される。
【0059】
この状態を図2(A)に示す。図2(A)には、赤い金属光沢の背景201の中にやはり赤の金属光沢を帯びたホログラム105が見える状態が示されている。
【0060】
また、この状態において、視野角を大きくしてゆくと、この金属光沢を帯びたホログラム105の図柄が赤からより短波長の色合いにカラーシフトしてゆく状態が観察される。
【0061】
また、この状態において、左回り円偏光を選択的に透過する光学フィルタを用いて観察を行うと、コレステリック液晶層103から反射した赤色の右回り円偏光はフィルタで遮断され、見ることができず、全体が真っ黒に見える。
【0062】
また、この状態において、右回り円偏光を選択的に透過する光学フィルタを用いて観察を行うと、コレステリック液晶層103から反射した赤色の右回り円偏光だけがフィルタを透過し、直視した場合と同様の像を認識することができる。
【0063】
この右回り円偏光を透過する光学フィルタと、左回り円偏光を透過する光学フィルタとを適時切り換えて用いることで、識別媒体の見え方の顕著な違いを認識することができる。そしてこの見え方の違いを利用することで、効果的な真贋判定を行うことができる。
【0064】
次に識別媒体をドライヤー等で加熱した場合を説明する。この場合、感熱変化インク層102が35℃を超えると、透明に変質する。
【0065】
この状態において、コレステリック液晶層103側から観察を行うと、上述したホログラム105に加えて、基材101表面の印刷図柄104を観察することができる。すなわち、ホログラム105の他に、印刷図柄104がうっすらと観察される。この際、コレステリック液晶層103を透過し、基材で反射した反射光も認識することになるので、図2(A)の場合に視認される赤色感は薄れる。この状態を図2(B)に示す。図2(B)には、ホログラム105と基材表面の印刷図柄104が同時に見えている状態が示されている。
【0066】
また、この状態において、右回り円偏光を選択的に透過する光学フィルタを用いて観察を行うと、ホログラム105を主に観察することができる。また、左回り円偏光を選択的に透過する光学フィルタを用いて観察を行うと、ホログラム105は見えず、印刷図柄104だけを観察することができる。これは、基材104からの反射光は、左回り円偏光を選択的に透過する光学フィルタで遮断されない成分を含んでいるからである。
【0067】
また、左回り円偏光を選択的に透過する光学フィルタを用いて観察を行い、印刷図柄104だけを観察した状態において、識別媒体を冷却し、感熱変化インク層102の温度を下げると、感熱インク層102が黒色に変化し、印刷図柄104は見なくなる。
【0068】
また、図2(B)に示す状態において、感熱インク層102の温度を下げると、感熱インク層102が黒色に変化し、印刷図柄104は見えなくなる。そして、基材101からの反射光が見えなくなるので、図2(A)の場合と同様に赤色の光沢色の背景の中で、赤色の金属光沢を帯びたホログラム105が見える状態となる。この状態を図2(C)に示す。
【0069】
なお、常温において、左回り円偏光を選択的に透過する光学フィルタを用いて観察を行った場合、全体が黒色に見えるが、その状態で加熱を行うと、感熱変化インク層102が透明になり、基材101の印刷図柄104が浮かび上がってくる視覚効果を得ることができる。
【0070】
このように、加熱の有無を選択することで、見え方の特異な違いを示す識別媒体を得ることができる。これにより高い識別性を有した真贋判定を行うことができる。特に、加熱の有無によって2段階の識別が行えることで、隠れたセキュリティ(カバード・セキュリティ)を実現することができ、高いセキュリティを得ることができる。さらに、偏光フィルタを併用することで、3段階のチェックを行うことが可能となる。
【0071】
また、基材の印字面が密封されており、その印字内容を改ざんすることが困難であるので、高い偽造防止効果を得ることができる。
【0072】
(第1の実施形態の製造方法)
図6は、図1に示す識別媒体の断面構造の詳細を示す断面図である。また、図7は、切断前の状態にある識別媒体の概略を示す斜視図である。以下、識別媒体の製造工程の概略を説明する。
【0073】
まず40μm厚のTAC(トリアセチルセルロース)フィルム131の表面に1μmの厚さに高分子コレステリック液晶を塗布し、配向処理を施すことで、赤の右回り円偏光を反射するコレステリック液晶層103を形成する。
【0074】
また、このコレステリック液晶層103にホログラム型で熱と圧力を加えながらエンボス加工を施し、ホログラムの図柄(例えば、図1の105参照)を形成する。こうして、TACフィルム131上にコレステリック液晶層103が形成された部材1を得る。
【0075】
次に、厚さ25μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム101を用意し、その表面に図1の104で示されるような印刷図柄を印刷し、さらにその上に感熱変化インクをスクリーン印刷により塗布する。なお、感熱変化インクの製造方法について後述する。
【0076】
そして、感熱変化インクを乾燥させることで、感熱変化インク層102を得る。こうして、PETフィルム101の印刷面の上に感熱変化インク層102が形成された部材2を得る。
【0077】
そして、前述した部材1と部材2とを、コレステリック液晶層103と感熱変化インク層102とが対向するように接着層121を介して貼り合わせる。なお、接着層121は、接着力を発揮した段階において、透明であるものを用いる。
【0078】
そして、露呈したPETフィルム101の表面に粘着層111を貼り、さらに粘着層111の表面にセパレータ(離型紙)112を貼り付ける。こうして、下から順に、セパレータ112、粘着層111、PETフィルム(基材層)101、感熱変化インク層102、接着層121、ホログラムが形成されたコレステリック液晶層103、およびTACフィルム131と積層された積層体が得られる。
【0079】
例えば、この積層体は、0.1m×100mというような帯状のものとして形成される。そして、この帯状の積層体をまず縦に5cm幅に裁断し、さらに積層体140が図7に示されるように点々とセパレータ112上に、所定の間隔をおいて残存するように加工する。
【0080】
すなわち、粘着層111、PETフィルム(基材層)101、感熱変化インク層102、接着層121、ホログラムが形成されたコレステリック液晶層103、およびTACフィルム131から構成される積層体に切り込みを入れ一部を取り除き、残部が複数の島状の積層体140として、図7に示すように残存するようにする。
【0081】
こうして、例えば3cm×2cmの小片状の積層体140が、幅5cmの帯状のセパレータ112上に、所定の間隔をおいて複数固定された構成を得る(図7参照)。
【0082】
図7には、帯状のセパレータ112がロール状に巻き取られた状態150が示されている。実際の使用に際しては、点線160で示される線で切断を行い、その切断片を用いる。物品への固定は、セパレータ112(図6参照)を剥がし、粘着層111を露出させ、粘着層111の粘着力によって行う。
【0083】
こうして得られた識別媒体の使用形態としては、上述した形態以外に、ロール状に巻き取られた状態150から、セパレータ112を適時引き出し、そして必要とする積層体140をセパレータ112から剥がし、この剥がした積層体140を識別対象の物品に適時貼り付ける形態を挙げることができる。また、点線160の部分にミシン目を入れ、適時セパレータを切り離して切断片を得られるようにしてもよい。
【0084】
本実施形態において、ホログラム105を形成せず、所定の色を反射する材料や塗料による図柄を感熱変化インク層102の表面(視認側の表面)に形成してもよい。この場合、コレステリック液晶層からの反射光はカラーシフトを示すが、感熱変化インク層102の表面に形成した図柄からの反射光はカラーシフトを示さないので、その違いにより識別機能を得ることができる。
【0085】
コレステリック液晶層としては、赤の右回り円偏光を反射する構成以外に、赤の左回り円偏光を反射する構成、赤以外の波長帯域の右または左回り円偏光を反射する構成を利用することもできる。
【0086】
これら反射光の旋回方向や中心波長は、コレステリック液晶層における分子長軸が360°回転して元に戻るまでの距離(ピッチP)を調整することで設定することができる。
【0087】
接着層121は、粘着材料で構成した粘着層としてもよい。ここで、接着層とは、接着材料が硬化し、接着力を発現する層のこという。また粘着層とは、接着材料のように硬化せず、粘着性を発現しつづける層のこという。
【0088】
(感熱変化インクの製造方法)
感熱変化インク層102を構成する感熱変化インクの一例を説明する。ここでは、光重合組成物と、脂肪族アミンまたは芳香族アミンを含む膜材料により可逆熱変色性組成物を内包し、この膜材料が酸性物質によりイオン化しているマイクロカプセル顔料を採用する場合を説明する。
【0089】
以下、このサーモクロミック材料の作製方法の一例を説明する。まず、(a)電子供与性呈色性有機化合物として、3−ジブチルアミノ−6−メチル―アニリノフルオランを4重量部、(b)電子受容性化合物として4−ヒドロキシフェニル−2−メチルプロパン6重量部、(c)反応媒体としてカプリン酸ステアリル20重量部、さらにセチルアルコール25重量部を混合し、これを加温溶解する。この溶解したものに、エポキシ樹脂12重量部と助溶剤50重量部を混合し、それを15%ゼラチン水溶液中で乳化分散した。
【0090】
さらにこのゼラチン水溶液中にジエチレントリアミン/エポキシ樹脂アダクト物の10%水溶液を50重量部滴下し、エポキシ/アミンからなるエポキシ樹脂膜のマイクロカプセルが分散したマイクロカプセル分散液を得た。
【0091】
このマイクロカプセル分散液100重量部中にクエン酸を加えてpHを2.0に調整し、さらに75℃の温度に保って30分間の攪拌を行った。そして、さらに遠心分離処理を施し、可逆性の感熱変化を示すインクを得た。
【0092】
このインクを用いて被形成面に層を形成することで、感熱変化インク層102を得ることができる。
【0093】
2.第2の実施形態
実施形態1におけるコレステリック液晶層の代わりに、異なる屈折率を有する光透過性フィルムを多層に積層した多層薄膜を用いてもよい。この場合、多層薄膜にホログラム加工を施すことで、高い識別性を得ることができる。
【0094】
すなわち、常温では、多層薄膜のホログラムの図柄が、カラーシフトを伴って観察することができ、加熱すると、基材に印刷された図柄がさらに見える。この際、基材に印刷された図柄は、カラーシフトを伴わないので、識別力の高い光学的な機能を得ることができる。
【0095】
3.第3の実施形態
実施形態1における感熱変化インク層の代わりに、フォトクロミックインクを用いてもよい。フォトクロミックインクとは、例えば紫外線を当てると変色するインクのことである。
【0096】
フォトクロミックインクとして、通常の白色光下では透明に見え、所定波長および強度の紫外線を当てると、所定の色(例えば黒や濃い色)に変色するものを挙げることができる。
【0097】
この場合、実施形態1において説明した加熱の有無ではなく、紫外線の照射の有無によって、図柄の見え方の顕著な違いが現れる。
【0098】
4.第4の実施形態
以上説明した実施形態におけるPETフィルムの代わりに多層薄膜を用いてもよい。この場合、基材(図1の101参照)からの反射光がカラーシフトを示すので、コレステリック液晶層からの反射光と相乗した光学的な識別性を得ることができる。
【0099】
以下、図1の場合を例に挙げて説明する。この場合、基材101が2種類の屈折率を有する光透過性フィルムを交互に100層以上重ねた多層薄膜となる。屈折率の違いは、延伸状態の違いによって付与する方法が簡便である。また、PETフィルムとアクリルフィルムとを相互に重ねる等してもよい。
【0100】
この構成において、コレステリック液晶層103側から観察を行う場合を説明する。まず、常温においては、感熱変化インク層102が黒であるので、金属光沢のある赤の背景の中に、やはり赤の金属光沢を示すホログラム105が見える。そして、視野角を大きくしてゆくと、カラーシフトが見られ、全体の色合いが短波長側にシフトする。
【0101】
次に加熱を行うと、感熱インク層102が透明になり、多層薄膜からなる基材101からの反射光を観察することができる。この場合、コレステリック液晶層103が示すカラーシフトに加えて、基材101が示すカラーシフトの影響が視覚効果に影響し、より複雑な特異な色合いの変化を観察することができる。
【0102】
また、基材として多層薄膜フィルムを用いた場合において、この多層薄膜フィルムの基材にホログラムを形成し、ホログラムによる任意の表示を行わせても良い。また、この多層薄膜フィルムの表面または裏面に適当な図柄を印刷してもよい。なお、多層薄膜フィルムの光学機能を有効に発現させるには、裏面側に光吸収層を設けることが好ましい。例えば、この多層薄膜フィルム裏面側の光吸収層として、黒や濃い色の顔料を加えた接着層や粘着層を利用することができる。もちろん、多層薄膜フィルムの裏面側に黒や濃い色の印刷層を設け、それを光吸収層として利用してもよい。
【0103】
5.第5の実施形態
図1に示す第1の実施形態において、印刷図柄104として公知のバーコードを利用することができる。この場合、ホログラム105の目視観察による識別に加えて、バーコードを用いた識別を行うことができる。この場合、常温の状態では、バーコードを読み取ることができず、加熱時にバーコードを読み取ることができる。
【0104】
本形態において、コレステリック液晶層103からの反射光は、カラーシフトを示すので、このカラーシフトの色変化の具合とバーコードから読み取られるコードとの組合せにより、真贋判定を行うといったことができる。このような特異な光学現象を利用することで、偽造品を見破る能力が極めて高い真贋判定技術を得ることができる。
【0105】
6.第6の実施形態
図8は、本発明の識別媒体の真贋判定を行う装置の一例を示す概念図である。図8には、真贋判定装置801、ステージ802、真贋判定対象物品803、可視光照射装置804、カメラ805、加熱ランプ806、判定部807、メモリ808、および出力部809を備えている。
【0106】
ステージ802は、真贋判定対象物品803が載置されるステージである。真贋判定対象物品803は、例えば図1に示す識別媒体が取り付けられた身分証明書である。加熱ランプ806は、赤外線を照射して、真贋判定対象物品803を加熱する機能を有する加熱手段である。判定部807は、カメラ805が撮像した画像を解析し、真贋判定を行う機能を有する。メモリ808は、判定部807において行われる判定処理において参照されるデータを格納する記憶手段である。
【0107】
出力部809は、判定部807で行われた判定処理の結果を表示する情報出力手段である。出力部809としては、ディスプレイや警報ブザーを採用することができる。
【0108】
以下、真贋判定装置801の動作の一例を具体的に説明する。ここでは、図1に示す識別媒体を対象として真贋判定処理を行う例を説明する。
【0109】
まず前もって、メモリ808に、非加熱状態および加熱状態における識別媒体の撮像画像の画像データを記憶させておく。
【0110】
真贋判定に際しては、まず真贋判定対象物品803をステージ802上に載置する。この状態で、加熱ランプ806をOFFにし、可視光照射装置804から白色光を照射する。この際、真贋判定対象物品803上の図示しない識別媒体をカメラ805によって撮像する。
【0111】
判定部807は、カメラ805が撮像した画像とメモリ808に記憶されている画像とを比較し、同じ、あるいは違いがあっても許容できるレベルの範囲内であれば、真贋判定を本物と判定し、そうでなければ贋物と判定する。この判定結果は、出力部809に表示される。
【0112】
この場合、カメラ805が撮像する画像は、カラーシフトも含めた色情報を含んでいるので、コレステリック液晶層が偽造されている場合は、この色情報の違いによって識別することができる。
【0113】
上記判定において本物と判定された場合は、次のステップに進む。次のステップでは、加熱ランプ806をONにし、識別媒体を加熱する。加熱ランプ806によって識別媒体が所定の温度以上に加熱されると、感熱変化インク層102が透明になり、印刷図側104が現れる。この変化は、カメラ805によって撮像され、その画像データは判定部807に送られる。
【0114】
判定部807では、予め記憶しておいた感熱インク層102が透明になった場合の画像と上記撮像された画像とを比較し、同じ、あるいは違いがあっても許容できるレベルの範囲内であれば、真贋判定を本物と判定し、そうでなければ贋物と判定する。この判定結果は、出力部809に表示される。このように2段階の判定処理を行うことで、真贋判定機能を高めることができる。
【0115】
また、加熱前と加熱後の画像を比較し、その違いが予め記憶されている画像の変化と同じであるか、を判定することで、真贋判定を行っても良い。
【0116】
この形態において、出力部にカメラ805で撮像した画像を表示し、目視による確認を併用することもできる。また、ステージ802を傾ける機構を設け、カメラ805の視線と識別媒体の表面への垂線とのなす角度を意図的に変化させ、カラーシフトの現れ方を判定内容に取り入れてもよい。
【0117】
また、カメラ805の光軸に挿入・非挿入を選択できる光学フィルタの配置し、特定旋回方向の円偏光を選択的に透過、あるいは非透過させる構成としてもよい。この場合、光学フィルタの挿入・非挿入を切り換えることで、撮像される画像に変化が現れる。この画像の変化具合を判定処理に取り入れることで、真贋判定能力をさらに高めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0118】
本発明は、視覚的な識別機能を有する識別媒体に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明を利用した識別媒体の概略の構造を示す概念図である。
【図2】本発明を利用した識別媒体の視覚効果を説明する概念図である
【図3】カラーシフトが発生する原理を説明する概念図である。
【図4】コレステリック液晶層の構造を概念的に示す概念図である。
【図5】コレステリック液晶層が有する光学的な性質を説明する概念図である。
【図6】図1に示す識別媒体の断面構造の詳細を示す断面図である。
【図7】切断前の状態のある識別媒体の概略を示す斜視図である。
【図8】本発明の識別媒体の真贋判定を行う装置の一例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0120】
101…機材、102…感熱変化インク層、103…コレステリック液晶層(コレステリック液晶層+ホログラム)、104…印刷図柄、105…ホログラム、111…粘着層、112…セパレータ、121…接着層、131…TAC(トリアセチルセルロース)フィルム、140…小片状の積層体、150…ロール状に巻き取られた状態、160…切断する部分、201…背景、301…コレステリック液晶層、401…光透過性フィルム、402…光透過性フィルム、403…多層薄膜、801…真贋判定装置、802…ステージ、803…真贋判定対象物品、804…可視光照射装置、805…カメラ、806…加熱ランプ、807…判定部、808…メモリ、809…出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーモクロミック材料またはフォトクロミック材料を用いた光学機能層と、
前記光学機能層上に配置されたカラーシフト発現層と
を含むことを特徴とする識別媒体。
【請求項2】
前記カラーシフト発現層は、コレステリック液晶層であることを特徴とする請求項1に記載の識別媒体。
【請求項3】
前記光学機能層は、基材層上に配置されており、
前記基材層には、印刷またはホログラムが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の識別媒体。
【請求項4】
前記基材層は、異なる屈折率を有する光透過性フィルムを多層に積層した多層薄膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の識別媒体。
【請求項5】
前記カラーシフト発現層は、異なる屈折率を有する光透過性フィルムを多層に積層した多層薄膜であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の識別媒体。
【請求項6】
前記光学機能層は、常温において略黒色であり、
常温を超えた所定の温度に達すると透明になるインクを含んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の識別媒体。
【請求項7】
前記光学機能層は、所定の波長の光が照射されると変色するインクを含んでいることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の識別媒体。
【請求項8】
前記光学機能層は、光吸収層として機能することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の識別媒体。
【請求項9】
前記カラーシフト発現層は、ホログラム加工が施されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の識別媒体。
【請求項10】
前記請求項1〜9のいずれかに記載された識別媒体の識別方法であって、
前記識別媒体に加熱を行わないステップと、
前記識別媒体に加熱を行うステップと
を含むことを特徴とする識別媒体の識別方法。
【請求項11】
前記請求項1〜9のいずれかに記載された識別媒体の識別方法であって、
第1の温度において前記識別媒体からの反射光を検出する反射光検出ステップ1と、
前記第1の温度より高い第2の温度において前記識別媒体からの反射光を検出する反射光検出ステップ2と、
前記反射光検出ステップ1と前記反射光検出ステップ2とを参照して、真贋判定処理を行うステップと
を含むことを特徴とする識別媒体の識別方法。
【請求項12】
前記請求項1〜9のいずれかに記載された識別媒体の識別方法であって、
前記光学機能層が光吸収性を示す状態に維持するステップと、
前記光学機能層が光透過性を示す状態に維持するステップと
を含むことを特徴とする識別媒体の識別方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−103048(P2006−103048A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−290248(P2004−290248)
【出願日】平成16年10月1日(2004.10.1)
【出願人】(000004640)日本発条株式会社 (1,048)
【Fターム(参考)】