識別媒体を装着した物品、同物品の真贋判定及び物流管理方法
【課題】 真贋判定と物流管理とを一つの識別媒体を用いて行い、物流管理は、識別媒体を遠距離交信用として使用することで、物流管理を行わないときには近距離交信用として使用することで、物流管理情報に対して不正アクセスされるのを防止する。
【解決手段】 スライドファスナーの上止5に内蔵した第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDに接続した遠距離交信用のアンテナ接続端子51、51を露出させる。フィルム36上に導電性塗料を用いて形成したアンテナ線35aを形成し、アンテナ線35aの両端部に形成した接点35bを除いてフィルム36の端部に粘着部37を形成する。粘着部37を介して、アンテナ線35aの接点35bをアンテナ接続端子51、51に接着させることで、第1識別媒体50を遠距離交信用の識別媒体にすることができる。
【解決手段】 スライドファスナーの上止5に内蔵した第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDに接続した遠距離交信用のアンテナ接続端子51、51を露出させる。フィルム36上に導電性塗料を用いて形成したアンテナ線35aを形成し、アンテナ線35aの両端部に形成した接点35bを除いてフィルム36の端部に粘着部37を形成する。粘着部37を介して、アンテナ線35aの接点35bをアンテナ接続端子51、51に接着させることで、第1識別媒体50を遠距離交信用の識別媒体にすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えばスライドファスナー、面ファスナー、テープ付きスナップファスナー、係合条片を有するレール状ファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナス環、スナップボタンなどのファスニング製品が被着された物品、同物品の真贋判定及び物流管理方法に係わり、特に、近距離交信用の第1識別媒体が前記ファスニング製品に備えられ、かつ遠距離交信用のアンテナを第1識別媒体に対して着脱可能に装着できるように構成された前記物品、同物品の真贋判定及び物流管理方法に関するものである。
【0002】
尚、本願明細書及び特許請求の範囲の記載において識別媒体とは、読み取り及び/又は書き込みが可能な符号、ID(Identification)識別符号をもつ媒体を指す用語として用いている。識別媒体として代表的なものとしては、RFID(Radio Frequency Identification)などがある。
【0003】
RFIDとしては、シリコンチップのRFIDやクリスタルチップのRFIDを用いることができるものである。また、RFIDは、無線ICとかICタグと称される場合もある。
【0004】
本願明細書及び特許請求の範囲の記載において用いる近距離交信用の識別媒体とは、交信距離が30cm未満、好適には10数cm未満で識別情報の入出力を行うことのできる識別媒体を総称した用語として用いているものであり、例えば、交信距離が0〜10数cm未満であるRFIDなどが近距離交信用の識別媒体として含まれるものである。RFIDとしては、アンテナを具備するもの、又はアンテナを具備しないもののいずれのものであってもよい。
【0005】
また、本願明細書及び特許請求の範囲の記載において遠距離交信用の識別媒体とは、交信距離が10数cm以上で、好適には30cm以上で5m未満の範囲において識別情報の入出力を行うことのできる識別媒体を総称した用語として用いているものであり、例えば、交信距離が10数cm以上であるRFIDなどが遠距離交信用の識別媒体として含まれるものである。
【背景技術】
【0006】
近年、無線通信方式によってデータ通信を行うRFIDを生産段階で商品に内蔵させ、商品の生産から物流、販売等にいたるトータル的な商品管理を行うことや、商品の紛失防止、盗難防止、偽造防止などが行われている。また、RFIDを衣服に装着して痴呆症患者の徘徊防止等に利用することなどが提案されてきている。
【0007】
一般にRFIDは、大きく分けて3つのタイプのものが用いられている。1つ目のタイプは、パッシブタグと称されるものであり、起動用の電源電池を備えておらず、データが格納されているものである。格納されているデータの書き換えが可能なものもある。また、パッシブタグにおける起動用の電源としては、外部の読取装置から受信した電磁波で起電力を発生させ、発生した起電力をRFIDの電源として用いる。
【0008】
2つ目のタイプは、アクティブタグと称されるもので、起動用の電源電池を持っていて格納されているデータを発信することができるものであり、格納されているデータの書き換えが可能なものもある。3つ目のタイプは、セミパッシブタグと称されるもので、起動用の電源電池は持っているが、外部の読取装置から発信したトリガ信号を受信しないと格納されているデータを外部の読取装置に発信しないものである。セミパッシブタグにおいても、格納されているデータの書き換えが可能なものもある。
【0009】
RFIDのメモリに格納されているデータを外部の読取装置によって読取るにあたって、パッシブタグにおいては、RFID内に内蔵した受信アンテナに読取装置からの制御信号を受信する機能と共にコイルとしての機能も持たせている。外部の読取装置から送信した電磁波によって、受信アンテナであるコイルに起電力を発生させ、同起電力でもってRFIDの動作を行わせている。電源電池を備えたものでは、受信アンテナによる起電力を発生させず、備えた電源電池によってRFIDを動作させている。
【0010】
RFIDが動作可能状態にあると、読取装置からの制御信号に基づいてRFID内のメモリから必要なデータを取り出して、同データを応答データとして送信アンテナから読取装置に応答送信することができる。応答送信された信号は読取装置の受信アンテナで受信され、読取装置の制御部において応答データの解析が行われる。この応答データはRFID内に格納されていたデータとして読取装置内に一時格納されたのち、パソコンなどの制御機器へと送信される。
【0011】
また、読取装置から送信された制御信号に基づいて、RFID内のメモリに格納されるデータの更新あるいは書き換え等を行うこともRFIDの性能によって可能である。RFID内のメモリからのデータの読み出し、データの書き込みにあたっては、各種セキュリティ手段が講じられている。
【0012】
この種のRFIDをファスニング製品に内蔵したものとしては、例えば、特開2002−125721号公報に記載された「スライドファスナーの引手」や特開2002−42100号公報に記載された「縫止脚付衣服用ボタン」が提案されている。
【0013】
特開2002−125721号公報に記載されたスライドファスナーの引手は、図39に示すように金属製や合成樹脂、皮革、厚布等の軟質材製の引手本体71内にRFIDチップ74とコイルアンテナ73とを埋め込んでおり、コイルアンテナ73とRFIDチップ74とは細いガラス管75内に封入されている。
【0014】
引手本体71を金属材料により構成する場合は、同引手本体71にガラス管75の埋込孔72が形成されるとともに、同埋込孔72の壁面に内外に連通する送受信用スリット76が形成され、同送受信用スリット76の部位に配したコイルアンテナ73と外部に配した読取装置との間で信号の送受信が行えるように構成されている。コイルアンテナ73とRFIDチップ74とを封入したガラス管75が前記埋込孔72内に挿入したのち、同埋込孔72の開口端をエポキシ樹脂によって密閉し、コイルアンテナ73とRFIDチップ74とからなるRFIDが埋設した引手本体71が形成されている。
【0015】
また、前記引手本体71を合成樹脂材により構成する場合は、同引手本体71が電磁透過性をもつ合成樹脂材料から構成される。ガラス管75中に封入されたRFIDは、上記金属製の引手本体と同様に、前記エポキシ樹脂によって前記埋込孔72内に封入され、RFIDを埋設した引手本体71が形成されている。
【0016】
更にまた、前記引手本体71を皮革材や布材により構成する場合は、ガラス管75を挿入する埋込空間が引手本体71に形成されている。ガラス管75中に封入されたコイルアンテナ73とRFIDチップ74とからなるRFIDは、送受信用の長孔を有する金属管によって被覆して補強されている。補強されたRFIDは前記埋込空間内に隠蔽して収納されている。
【0017】
特開2002−42100号公報に記載された縫止脚付衣服用ボタンは、図40に示すように、電磁透過性を有する硬質樹脂製のボタン本体82により構成されている。ボタン本体82の表面にはリング状の凹所84が形成され、その裏面にはボタンを衣服等に縫い止める縫止脚81が一体に突設されている。
【0018】
図41に示すように凹所84の中心部にはRFIDチップ86が配されるとともに、同RFIDチップ86に電気的に接続されたらせん状のコイルアンテナ85が前記凹所84内で周回するように配されている。このRFIDチップ86とコイルアンテナ85とからなるRFIDが前記凹所84内に配されたのち、同凹所84内にエポキシ樹脂87が流し込まれて固化され、コイルアンテナ85とRFIDチップ86とからなるRFIDは密封防水処理され、RFIDを内蔵したボタンが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2002−125721号公報
【特許文献2】特開2002−42100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特開2002−125721号公報、特開2002−42100号公報に開示されたRFIDは、近距離交信用のRFIDであるため、RFIDと読取装置間の距離が短い狭小領域内でのみRFIDに格納したデータの読取が可能であった。また、RFIDを内蔵したスライドファスナーやボタンを装着した衣料品やカバン等に関して、これら衣料品やカバン等の物流管理をスライドファスナーやボタンに内蔵したRFIDのメモリに記憶されたデータで行うことにすると、RFIDのメモリには、RFIDを内蔵したスライドファスナーやボタンの製品情報に関するデータ以外に物流管理用のデータを格納しなければならない。
【0021】
RFIDは、常に衣料品やカバン等の製品に装着されているため、第3者が悪意に基づいてRFIDを装着した衣料品やカバン等の製品を購入したエンドユーザーからRFIDに格納されている情報を盗み取ることが可能となる。このため、エンドユーザーが所有しているRFIDを装備した物品の履歴やエンドユーザーの個人情報、例えば、所有している物品の値段が幾らでどの店で購入したのか、とか、どういう店でどのような商品を購入するのが好きなのかといった、個人のプライバシーに係わる情報が外部に筒抜けになってしまうことになる。
【0022】
特に、スライドファスナーなどのファスニング製品の用途は拡大されており、カバンやバックから衣料品に至るまで幅広く使用されてきており、その使用形態も種々にわたっている。このため、これらのものに使用されているファスニング製品に対して、不正アクセスすることが可能なRFIDを備えたファスニング製品を装着した物品に関する物流情報まで格納しておくことは、消費者ニーズに合致するものではなく、また、個人のプライバシー等を保護する上からも好ましいものではなかった。
【0023】
また、RFIDや近距離確認用の識別媒体を備えたファスニング製品を装着した物品がエンドユーザーである顧客に手渡った後の真贋判定においては、RFIDは読取装置側からに信号に応じて発信すればよく、RFIDからの電波到達距離を必要としないが、製造や問屋、販売段階での物流管理においては、RFIDから発信された電波が所定範囲内に亘って安定した状態で読取装置により受信されることが望まれている。
【0024】
このため、真贋判定と物流管理とを行わせるためには、遠距離交信用のRFIDを用いなければならないが、遠距離交信用のRFIDをファスニング製品に配設することが難しく、また、遠距離交信用のRFIDを物品に装着しておくと、不正アクセスを許容することになり問題となっていた。
【0025】
本願発明は、これらの問題を解決するためになされたものである。物品及びファスニング製品の真贋判断を近距離交信用の識別媒体で行わせ、近距離交信用の識別媒体に遠距離交信用のアンテナを接続することで、物品の物流管理を行う識別媒体として使用することができるようにすることで、上述の問題点の解決を図ることにある。また、物流管理を行わせるときに使用する遠距離交信用のアンテナは、物品から取り外して、他の新たな物品に装着されている近距離交信用の識別媒体に接続することで、取り外したアンテナの再利用を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記の目的を達成するため、本願発明の第1の基本的な構成は、近距離交信用の第1識別媒体を有する物品であって、前記第1識別媒体が、近距離交信用のRFIDとして、物品に被着されるファスニング製品に固定されてなり、前記第1識別媒体のRFIDが、遠距離交信用のアンテナ接続端子を有してなり、
遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されているときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する物流管理用の識別媒体として用いられ、遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されていないときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する真贋判定用の識別媒体として用いられてなることを最も主要な特徴としている。
【0027】
本願発明の第2の基本的な構成を備えた発明では、近距離交信用のRFIDを第1識別媒体として、物品に被着されるファスニング製品に固定してなり、かつ前記第1識別媒体のRFIDと接続した遠距離交信用のアンテナ接続端子に、遠距離交信用のアンテナが着脱可能に接続されてなる前記物品の真贋判定及び物流管理方法であって、
遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されているときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する物流管理用の識別媒体として用いられ、遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されていないときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する真贋判定用の識別媒体として用いられてなり、
前記物品の物流管理が、前記アンテナ接続端子に接続した前記アンテナを介した遠距離交信において、前記第1識別媒体のメモリから読み出したデータ、及び前記メモリへ書き込んだデータのいずれかにおける少なくとも一方のデータに基づいて行われてなる物品の真贋判定及び物流管理方法を他の最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
本願発明により、遠距離交信用のアンテナを接続することで近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することができるようになる。遠距離交信用のアンテナを接続している状態では、RFIDを物流管理用のRFIDとして使用し、遠距離交信用のアンテナを取り外した状態では、真贋判定用のRFIDとして使用することができるようになる。
【0029】
しかも、遠距離交信用のアンテナは、フィルム等に導電性塗料によりアンテナを印刷して形成するなどにより構成することや、面ファスナーの面上に配線すること等により構成することができ、交信距離に応じて所望のアンテナ線の長さを有するアンテナを容易に形成することができる。
【0030】
遠距離交信用のアンテナと接続するRFIDのアンテナ接続端子は、物品上に形成することも、或いは物品に装着したファスニング製品上に形成することもでき、アンテナ接続端子を配設することができる部位であれば、所望の部位に形成することができる。また、遠距離交信用のアンテナを配設した部材を物品又はファスニング製品に着脱可能に取り付ける取り付け手段としては、粘着による取り付けや、磁力を用いた取り付け、クリップ等による狭持による取り付け、アンテナ接続端子が形成されている部位にアンテナを配設した部材を挿入すること等の種々の取り付け手段を用いて取り付けることができる。取り付ける際には、アンテナが結線しないように取り付けることが望ましい。
【0031】
また、本願発明では、RFIDに電源電池を着脱可能な状態で接続することもできる。第1識別媒体のRFIDがアクティブタイプやセミパッシブタイプの場合には、電源電池を別途接続することは必要としないが、電源電池を接続することにより遠距離交信の交信距離を更に延ばすことが可能となる。
【0032】
これにより、近距離交信用のRFIDを取り付けた物品に遠距離交信用のアンテナを取り付けることで、広範囲の領域での外部の読取装置との間での交信や、ダンボール箱等の中に収納された物品と外部の読取装置との間での交信等を行うことができるようになる。
【0033】
このように、物品の販売後においても必要な管理情報又は判断情報を第1識別媒体によって物品に残しておくことができ、遠距離交信が必要なくなったときには、遠距離交信用のアンテナを第1識別媒体のアンテナ接続端子から取外すことで、遠距離交信において物品に関する秘密情報等が外部に漏れ出るのを防止することができる。
【0034】
また、第1識別媒体を物品に被着されるファスニング製品に設けることで、ファスニング製品の管理と同ファスニング製品を被着した物品の管理とを第1識別媒体にて行うことができるようになる。しかも、物品に関する物流情報等、ファスニング製品を被着した後の物品の管理を、遠距離交信用のアンテナを第1識別媒体のアンテナ接続端子に接続した状態で、遠距離交信用とした第1識別媒体において行わせることができる。
【0035】
そして、近距離交信用とした第1識別媒体を、ファスニング製品や物品の真贋判定用の識別媒体として使用することができる。取り外した遠距離交信用のアンテナは、別の第1識別媒体に接続して再利用することができる。
【0036】
また、近距離交信用としたときの真贋判定用の第1識別媒体は物品にそのまま装着されているので、エンドユーザーが同物品の修理を依頼してきた場合や、税関での製品検査時等において物品の真贋を判定する判定手段として使用することができる。真贋判定としては、第1識別部材に格納されているデータを真贋判定用の予め設定した基準データと比較することにより行うことができる。
【0037】
近距離交信用の第1識別媒体としては、交信距離が0〜10数cmであるRFID等を使用することができる。遠距離交信用のアンテナを接続したときの第1識別媒体は、交信距離が10数cm以上としたRFIDとして使用することができる。
【0038】
本願発明の第2の基本的な構成を備えた発明により、近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することができるようになる。このため、特に遠距離交信用のRFIDを用いなくても、一つのRFIDを遠距離交信用のアンテナを接続したり取り外したりすることだけで、遠距離交信用のRFIDとしたり近距離交信用のRFIDとすることができる。
【0039】
また、第1識別媒体に格納されたデータ又は格納するデータに対応する物流管理の情報をパソコン等の外部のメモリに記憶させておき、第1識別媒体から読み出したデータ又は第1記憶媒体に格納したデータとパソコン等に記憶した情報とを対応させることで物品やファスニング製品の物流管理を行うこともできる。
【0040】
パソコン等に情報を記憶させておくことで、第1識別媒体に格納することができないような大きなデータ量のものであっても取り扱うことが可能となる。しかも、物流管理用のデータ量が増大しても、増大したデータをパソコン等の記憶装置に記録させておくことができるので、第1識別媒体のメモリ容量を大きくしなくても、大きなデータ量を必要とする物流管理を行うことができるようになり、RFIDを大きな形状としなくてすむ。
【0041】
取り外した後の遠距離交信用のアンテナは、別の新たな物品における遠距離交信用のアンテナとして使用することができ、遠距離交信用のアンテナの再利用を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願発明の実施形態に係わるスライドファスナーの正面図である。
【図2】図1に示すスライドファスナーを被着した物品の要部正面図である。
【図3】第1識別媒体を内蔵した上止の部分破断斜視図である。
【図4】第1識別媒体を内蔵した箱体の部分正面図である。
【図5】第1識別媒体を内蔵した下止の部分正面図である。
【図6】第1識別媒体を内蔵したファスナーエレメントの部分正面図である。
【図7】第1識別媒体を内蔵したスライダーの部分断面図である。
【図8】第1識別媒体を内蔵した引手の部分断面図である。
【図9】スライドファスナーを被着した物品の要部正面図である。
【図10】第1識別媒体を配設したファスナーテープの部分断面図である。
【図11】第1識別媒体を配設したファスナーテープの変形例を示す部分断面図である。
【図12】第1識別媒体を配設した補強テープの部分正面図である。
【図13】図12の要部断面図である。
【図14】スライドファスナーを被着した物品の変形例を示す正面図である。
【図15】第1識別媒体を配設したバックルの部分正面図である。
【図16】第1識別媒体を配設したベルト調整具の部分斜視図である。
【図17】第1識別媒体を配設したナス環の部分斜視図である。
【図18】第1識別媒体を配設したコードストッパーの部分斜視図である。
【図19】第1識別媒体を配設したスナップボタンの部分斜視図である。
【図20】第1識別媒体を配設したボタンの部分斜視図である。
【図21】第1識別媒体を配設した面ファスナーの部分斜視図である。
【図22】図21の要部断面図である。
【図23】第1識別媒体を配設したスナップファスナーの部分斜視図である。
【図24】図23の要部断面図である。
【図25】第1識別媒体を配設したレールファスナーの部分斜視図である。
【図26】図25の要部断面図である。
【図27】着脱可能なアンテナを第1識別媒体に配設したスライドファスナーの部分斜視図である。
【図28】図27の要部断面図である。
【図29】アンテナを形成したフィルムの変形例を示す斜視図である。
【図30】着脱可能なアンテナを第1識別媒体に配設した引手のカバーとした部分斜視図である。
【図31】図30の要部断面図である。
【図32】着脱可能なアンテナを第1識別媒体に配設した引手のカバーとした変形例の部分斜視図である。
【図33】着脱可能なアンテナを第1識別媒体に配設した引手取り付けた変形例の部分斜視図である。
【図34】着脱可能なアンテナを面ファスナーに配した部分斜視図である。
【図35】アンテナをテープに織成した要部拡大図である。
【図36】アンテナをテープに織成した変形例の要部拡大図である。
【図37】アンテナをテープに編成した要部拡大図である。
【図38】着脱可能なアンテナをダミーの雄部材に配したバックルの部分斜視図である。
【図39】RFIDを引手に用いた従来例を示す図である。
【図40】RFIDをボタンに用いた他の従来例を示す断面図である。
【図41】図40に示す従来例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本願発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明の物品の構成としては、以下で説明する形状、配置構成以外にも本願発明の課題を解決することができる形状、配置構成であれば、それらの形状、配置構成を採用することができるものである。このため、本願発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【0044】
また、本願発明におけるファスニング製品としては、例えば、スライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナス環、スナップボタン、ボタンなどの各種ファスニング製品が含まれるものである。
【0045】
物品としては、上記ファスニング製品を被着することのできる、例えばカバン、スポーツウェアその他の各種の衣類、鞄等が、物品として含まれるものである。本願発明に適用されるRFIDの曲型的な態様としは、識別対象物の識別情報などのデータを格納するメモリを備えたRFIDチップとアンテナとが互いに電気的に接続されて応答回路を構成している。その応答回路として、RFIDチップには、例えば検出回路、電源回路、制御回路、メモリ回路、変調回路、発振回路等が組み込まれている。
【0046】
更に本願発明にあっては、外部からの電磁誘導などにより各回路に電力を供給する無電池式であるパッシブタグ、あるいは電源として電池を内蔵したアクティブタグ、セミパッシブタグを含んでいる。また、RFIDチップとしては、シリコンチップ、クリスタルチップを包含しているものである。
【0047】
また、本願発明におけるRFIDチップとしては、読取装置からの送信信号によりRFIDチップ内のメモリに格納しているデータを取り出して読取措置に応答信号として送信するもの、読取装置からの送信信号によりRFIDチップ内のメモリに格納しているデータやプログラムの書き換えや更新等を行うことができるもの、更にはRFIDチップ内の制御装置がプログラムに基づいて自動的にメモリ内に格納したデータ等を読取装置に送信することのできるもの等の各種制御形態を行い得るRFIDチップとして構成されているものである。
【実施例1】
【0048】
図1は、本願発明に係わる実施形態における第1識別媒体を、上止に備えたスライドファスナーの正面図である。図2は、図1に示すスライドファスナーを被着した物品、図2では衣服を示す要部正面図である。図3〜図13は、スライドファスナーにおける第1識別媒体の配置例を示す図である。
【0049】
図14は、第1識別媒体を物品(この例では、物品としては鞄。)に装着した例を示す図である。図15〜図26は、スライドファスナー以外のファスニング製品に第1識別媒体を配置した例を示す図である。
【0050】
図1において、符号1は例えば衣服やカバン等の図示せぬ物品に縫製により被着されるスライドファスナーを示しており、ファスナーテープ4には、スライダー2、引手3、上止5、箱体6、複数のファスナーエレメント7、補強片8、蝶棒9、箱棒10等が取り付けられている。
【0051】
ファスナーテープとしては、例えば合成樹脂繊維を織成又は編成された繊維テープ状の基布、不織布、合成樹脂製シートなどから構成される。ファスナーエレメントとしては、ファスナーテープの側縁部の表裏を狭持する合成樹脂製又は金属製のエレメントから構成される。また、合成樹脂製モノフィラメントをコイル状に巻回してなるコイル状エレメント、平面内に横方向にU字形に屈曲した部分を長手方向に沿って上下交互に連続してジグザグ状に形成したジグザグ状エレメントなどの連続状エレメント等から構成してもよい。このことは、上述のスライダー、上下止具、補強用シート状部材、開離嵌挿具についても同様であり、その太さや材質及び構造なども様々に変更が可能である。
【0052】
一方の上止5には第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDが内蔵されている。また、スライダー2の第1引手部材3aには同第1引手の孔部3cに第2引手部材3bが着脱可能に取り付けられている。
【0053】
図2に示すように、第1識別媒体50を内蔵したスライドファスナー1を物品54に被着することで、第1識別媒体50を近距離交信用としたときには、真贋判定用として第1識別媒体50を用いることができ、第1識別媒体50を遠距離交信用としたときには、物流管理用として第1識別媒体50を用いることができる。第1識別媒体50を近距離交信用とした場合と遠距離交信用とした場合については、図27〜図38を用いて後述する。
【0054】
図3は、第1識別媒体50が上止5内に内蔵された状態を示す要部破断図であり、図4は、箱体6内に第1識別媒体50が内蔵された状態を示している。図5では、第1識別媒体50を下止12内に内蔵した状態を示し、図6では、複数のファスナーエレメント7に第1識別媒体50を内蔵した状態を示している。また、第7図には第1識別媒体50をスライダー胴体2a内に内蔵した状態を示しており、図8では、スライダー2の引手3内に内蔵した状態を示している。これら、図3〜図8に示す状態において、第1識別媒体50を内蔵する各部材は、非導電性、非電磁性の材料から形成しておくことが、第1識別媒体50と外部の読取装置間で信号の送信及び受信を行う上で望ましい。
【0055】
図9は、スライドファスナー1のファスナーテープ4に第1識別媒体50を配設した例を示している。第1識別媒体50を配設するファスナーテープ4上の部位としては、図10、図11に示すようにスライドファスナー1を物品54に被着したときに物品54によって被覆されるファスナーテープ4の縁部寄りの部位とすることが望ましい。また、図11に示すように、少なくとも第1識別媒体の周囲をテープ部材17で被覆した後に、物品54にスライドファスナー1を被着することもできる。テープ部材17を用いることで、第1識別媒体50を保護することが可能となり、物品54に対して洗濯等を行った場合でも、テープ部材17として防水性のテープを用いることで、第1識別媒体であるRFIDに浸水することが防止される。
【0056】
テープ部材として片面に粘着剤が塗布されたものを用いることで、第1識別媒体50をスライドファスナー1上で位置固定することができ、スライドファスナー1を物品に被着した後に、スライドファスナー1と物品54との間で第1識別媒体50が移動してしまうのを防止することができる。また、第1識別媒体50の取り付け位置が固定されることで、第1識別媒体50から所望のデータを読み取る位置が特定される。
【0057】
図12は、スライドファスナー1の補強テープ15に第1識別媒体50を配設した状態を示しているもので、図13に図12の横断面図を示すように、第1識別媒体50を補強テープ15内に収納することができる。
【0058】
このように第1識別媒体50をスライドファスナー1の特定の部位に配設することで、外部からの読取装置で第1識別媒体に格納されているデータを読み取る上でも、第3者に読取箇所が知られることなく、第1識別媒体による真贋判定等を迅速に行うことができる。
【0059】
図14は、物品55として鞄を用いた例を示している。物品55に被着されたスライドファスナー1には、第1識別媒体がスライドファスナー1の上止5に内蔵されている。物品55としての鞄における所望の部位に第1識別媒体50が外部から見づらい状態で配設されている。第1識別媒体50としては、鞄における模様の一部として配設することも、鞄に裏面側等に隠して配設することもできる。
【0060】
図14に示す例においても、遠距離交信用のアンテナを第1識別媒体50に装着すれば、離れた場所から物品の物流管理を行うことができ、遠距離交信用のアンテナを取り外すことで、近距離交信用となった第1識別媒体50を用いて物品55の真贋判定を行うことができる。
【0061】
図15は、第1識別媒体50をバックル22の雌部材22bに内蔵した例を示している。第1識別部材50は、バックル22の雌部材22bに内蔵する代わりに雄部材22aに内蔵させて配設することも、ベルト23に配設しておくこともできる。また、第1識別部材をバックル22の雄部材22a又は雌部材22bに内蔵させる代わりに、雄部材22a又は雌部材22bに接着等の適宜の取り付け手段により取り付けることもできる。
【0062】
図16は、ベルト調整具24に第1識別媒体50を内蔵した例を示している。この場合も、第1識別媒体をベルト調整具24に内蔵させる代わりに、ベルト調整具24に接着等の適宜の取り付け手段により取り付けることができる。
【0063】
図17は、ナス環25に第1識別媒体50を内蔵した例を示している。第1識別媒体50の内蔵部位としては、ナス環25の本体26bに内蔵させている。本体26bに内蔵させる代わりに、フック26aに内蔵させることも、ベルト23に配設することもできる。
【0064】
図18は、コードストッパー27に第1識別媒体50を内蔵した例を示している。第1識別媒体50の内蔵部位としては、コードストッパー27の摺動体27bに内蔵させている。摺動体27bに内蔵させる代わりに、本体27aに内蔵させることも、コード28に配設することもできる。
【0065】
図19は、スナップボタン29に第1識別媒体50を内蔵した例を示している。第1識別媒体50の内蔵部位としては、雌部材29bに内蔵させている。雌部材29bに内蔵させる代わりに、雄部材29aに内蔵させることも、スナップボタン29を取り付ける生地30に配設することもできる。
【0066】
図20は、ボタン31に第1識別媒体50を内蔵した例を示している。第1識別媒体50の内蔵部位としては、ボタン31に内蔵させている。ボタン31に内蔵させる代わりに、ボタン31の外周面に接着等の適宜の取り付け手段を用いて取り付けることもできる。
【0067】
図21は、面ファスナー19に第1識別媒体50を配設した例を示している。第1識別媒体50の配設部位としては、面ファスナー19の基材19cに接着等の適宜の取り付け手段を用いて取り付けている。図21の横断面である図22に示すように、基材19cを物品54に被着するとき、物品54によって覆われる基材19cの部位に第1識別媒体50を配設しておくことが、第1識別媒体50の設置を第3者により確認することができないので望ましい。
【0068】
図23は、スナップファスナー33に第1識別媒体50を配設した例を示している。第1識別媒体50の配設部位としては、スナップファスナー33の基材33cに接着等の適宜の取り付け手段を用いて取り付けている。図23の横断面である図24に示すように、基材33cを物品54に被着するとき、物品54によって覆われる基材33cの部位に第1識別媒体50を配設しておくことが、第1識別媒体50の設置が第3者により確認することができないので望ましい。
【0069】
図25は、係合部34aと被係合部34bとが係脱自在のレールファスナー34に第1識別媒体50を配設した例を示している。第1識別媒体50の配設部位としては、レールファスナー34のファスナーテープ34cに接着等の適宜の取り付け手段を用いて取り付けている。図25の横断面である図26に示すように、ファスナーテープ34cを物品54に被着するとき、物品54によって覆われるファスナーテープ34cの部位に第1識別媒体50を配設しておくことが、第1識別媒体50の設置が第3者により確認することができないので望ましい。
【0070】
次に、図27〜図38を用いて、遠距離交信用のアンテナの着脱によって第1識別媒体50を遠距離交信用の識別媒体や近距離交信用の識別媒体として用いる場合について説明する。
【0071】
図27では、アンテナをフィルム上に形成し、同フィルムを第1識別媒体である近距離交信用のRFIDに着脱可能に接続することのできる例を示している。図28は、図27の横断面図を示し、図29は、フィルムを近距離交信用のRFIDに接続する変形例を示している。図30は、スライドファスナーの引手に着脱可能なアンテナの構成を示す斜視図であり、図31は、図30の横断面図を示している。図32は、スライドファスナーの引手に装着することのできるアンテナの変形例を示している。また、図33は、スライドファスナーの引手に装着することのできるアンテナの別の変形例を示している。
【0072】
図34は、物品のポケットに第1識別媒体を配設した場合における遠距離交信用のアンテナの接続構成を示しており、図35〜図37には、織製又は編製したファスナーテープの織糸又は編糸の一部にアンテナ線を配した例を示している。また、図38には、第1識別媒体が内蔵されたバックルにおいて、遠距離交信用のアンテナを接続する例を示している。
【0073】
図27に示すように、フィルム36上に導電性塗料を用いた印刷等の適宜の手段によりアンテナ線35aを形成し、アンテナ線35aの両端部には接点35bを形成する。接点35bを除いたフィルム36の端部に粘着部37が形成してある。粘着部37の代わりに、図29に示すように磁性部材60を形成することもできる。尚、磁性部材60を形成する場合には、左右の接点35b、35b間が電気的に導通しないように磁性部材を形成することが必要である。
【0074】
図27では、上止5に内蔵した第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDから遠距離交信用のアンテナ接続端子51、51を延設し、上止5の表面上にアンテナ接続端子51、51を露出させている。図28に示すように、フィルム36の粘着部37を上止5の上面に貼り付けることにより、アンテナ線35aの接点35b、35bとアンテナ接続端子51,51とをそれぞれ接続する。これにより、第1識別媒体50を遠距離交信用のRFIDとして使用することができる。そして、フィルム36を上止5から剥がすことにより第1識別媒体50は、近距離交信用のRFIDとすることができる。
【0075】
また、図29に示すような磁性部材60を一端部に配したフィルム36を用いた場合には、アンテナ接続端子51,51の露出した面積を大きくすることで、アンテナ接続端子51,51の露出した面積部分と磁性部材60、60の間に作用する磁力を用いて、アンテナ接続端子51,51と接点35b、35bとを磁力により固定して両者間を接続することができる。そして、フィルム36を上止5から磁力に抗して剥がすことにより第1識別媒体50は、近距離交信用のRFIDとすることができる。
【0076】
図27〜図29に例示した遠距離交信用のアンテナをフィルム上に形成した場合には、フィルム上に形成したアンテナを近距離交信用のRFIDに接続することで近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することが可能となり、物流管理等の使用において遠距離間での物流管理用のデータの送受信を行うことができるようになる。また、アンテナを形成したフィルム状のものを近距離交信用のRFIDから剥がすことで、近距離交信用のRFIDとして使用することができる。
【0077】
しかも、近距離交信用のRFIDは、ファスニング製品に装着されたままの状態となるので、ファスニング製品及び同ファスニング製品を装着した物品の真贋判定用として使用することができる。尚、近距離交信用のRFIDを上止に配設した例を用いて説明を行ったが、近距離交信用のRFIDの配設部位としては上止に限定されるものではなく、スライドファスナーを構成する部位に配設することができるものである。
【0078】
更に、フィルム上に形成した遠距離交信用のアンテナは、スライドファスナーに接続することに限定されるものではなく、上記実施例1において図15〜図26に示したような各ファスニング製品に近距離交信用のRFIDを配したものに対しても遠距離交信用のアンテナを接続することができるものである。
【0079】
図30〜図32は、スライドファスナーの引手に配した近距離交信用のRFIDに遠距離交信用のアンテナを着脱可能に接続する例を示している。この場合においても、上述の遠距離交信用のアンテナをフィルム上に形成した場合と同様に近距離交信用のRFIDは、遠距離交信用のアンテナを接続することで遠距離交信用のRFIDとして使用することができるようになり、また、遠距離交信用のアンテナを外すことにより近距離交信用のRFIDは、近距離交信が行えるRFIDとして使用することができる。
【0080】
図30では、スライダー2の引手3に、遠距離交信用のアンテナを配設したカバー38を装着する例を示している。スライダー2の引手3には、第1識別媒体50として近距離交信用のRFIDが内蔵され、同RFIDのアンテナ接続端子51、51が引手3の外表面の一部に露出している。
【0081】
カバー38には、引手3を挿入する差込口56が形成され、差込口56内には弾性変形可能な係合片57が一端部に係合突部57aを形成して配されている。また、カバー38内に配したアンテナ線35aの端部が接点35b、35bとして差込口56内に露出して形成されている。図35に示すように、引手3が差込口56に挿入されると、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDのアンテナ接続端子51,51と接点35b、35bとが接続するとともに、係合突部57aが引手3の孔部58と係合してカバー38を引手3に取り付けることができる。
【0082】
これにより、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することが出来る。また、カバー38を係合片57の弾性力に抗して引手3から引き抜くと、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを近距離交信用に使用することができるようになる。
【0083】
図32は、図30に示すような引手3に挿入するカバーの変形例を示している。図32に示すものでは、カバー39を絶縁性の合成樹脂等により本体39aを形成し、アンテナ39bを導電性の合成樹脂等により本体39aの両側縁部を形成する形で形成している。また、引手3を挿入することのできる差込口39cが本体39a及びアンテナ39b間に形成されている。
【0084】
カバー39を図30に示すような引手3に挿入することで、アンテナ39bを引手3内に配設した第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDのアンテナ接続端子51,51に接続することができる。これにより、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することができる。また、カバー39を引手3から取り外すことにより、第1識別媒体50を近距離交信用のRFIDとして使用することができるようになる。
【0085】
図33は、引手3の係合孔部40bに係合する係合突部40aを備えた飾り部材40にアンテナ線35aを配設した例を示している。アンテナ線35aの接点35bと引手3に配設した第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDのアンテナ接続端子51,51とを接続するための位置決め用に、飾り部材40には嵌合溝部40cが形成され、引手3には同嵌合溝部40cと嵌合する嵌合突部41が形成されている。
【0086】
飾り部材40を引手3に係合させることで、アンテナ線35aの接点35b、35bを引手3内に配設した第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDのアンテナ接続端子51,51にそれぞれ接続することができる。これにより、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することができる。また、飾り部材40を引手3から取り外すことにより、第1識別媒体50を近距離交信用のRFIDとして使用することができるようになる。
【0087】
図30、図32に示すアンテナを配設したカバー及び図33に示す飾り部材40の形状は、例示であって他の形状に形成することは可能である。また、カバー38,39及び飾り部材40は、引手3から取り外した後は、他の引手に取り付けることで、遠距離交信用のアンテナを再利用することができ、資源の有効利用を図ることができる。
【0088】
図34は、第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDを配設した面ファスナー44をポケット42のフラップ43開閉用に使用した例を示している。アンテナ線35a及び接点35b、35bを配設した別の面ファスナーテープ45を、第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDを配した面ファスナー44に係合させることにより、アンテナ線35aの接点35b、35bを第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDのアンテナ接続端子51,51に接続することができる。
【0089】
これにより、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することができる。また、面ファスナーテープ45を取り外すことにより、第1識別媒体50を近距離交信用のRFIDとして使用することができるようになる。
【0090】
図32及び図34に示すものにおいては、アンテナとして2本のアンテナを用いる例を示しているが、アンテナとしては2本のアンテナを用いる代わりに2本のアンテナの端部同士を接続したループ状のアンテナを使用することができるものである。
【0091】
図35〜図37には、織製又は編製したファスナーテープの織糸又は編糸の一部にアンテナ線を配した例を示している。アンテナ線48としては、図35〜図37に示すように導電性繊維材を織糸又は編糸として、ファスナーテープ46の基布の織成又は編成と同時に織成又は編成することができる。導電性繊維材の代わりに金属線、金属薄板、あるいは導電性樹脂等から構成される導電材を用いることもできる。なお、図35〜図37においては、織目、編目を分かり易くするために誇張して拡大した状態を示しているものである。
【0092】
アンテナ線48を図示せぬ第1識別媒体のアンテナ接続端子と断接させることで、第1識別媒体としての近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用したり、近距離交信用のRFIDとして使用することができる。アンテナ線48と第1識別媒体のアンテナ接続端子と断接形態としては、アンテナ線を初めは第1識別媒体としての近距離交信用のRFIDに接続して使用し、遠距離交信が必要なくなったときに、アンテナ線を切断することで第1識別媒体としての近距離交信用のRFIDとして使用することができる。
【0093】
また、接続していた状態から、アンテナ線の接点を第1識別媒体のアンテナ接続端子から離間させること等によってアンテナ線48と第1識別媒体のアンテナ接続端子と断接を行わせることもできる。アンテナ線48は、ファスナーテープの基布に配設する以外のも、ファスニング製品を被着する物品を構成する布等に織成又は編成により配設することもできる。あるいは、アンテナ線として金属線、金属薄板、あるいは導電性樹脂等から構成される導電材を用いて、ファスナーテープ又は物品に接着等の適宜の取り付け手段により配設することもできる。
【0094】
これらのアンテナ線の配設構成は、アンテナ線を使用するファスニング製品又は物品の使用形態に応じて、適宜の形態を採用することができるものである。図38は、アンテナ線35aをダミーの雄部材60に配設したバックル22の例を示している。バックル22の形状としては、図15で説明したバックル22を用いて説明を行うこととする。このため、図15で用いたバックル22の部材についての説明は、図15で用いたと同じ部材符号を用いることでその説明を省略する。
【0095】
雌部材22内に配設された第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDは、アンテナ接続端子51,51を備えている。ダミーの雄部材60には、雄部材22aと同様の形状を有し、内部には遠距離交信用のアンテナ線35a及び同アンテナ線25aの端部が接点35b、35bとして露出している。ダミーの雄部材60を雌部材22bに係合させることにより、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDのアンテナ接続端子51,51に、アンテナ線35aの接点35b、35bをそれぞれ接続させることができる。
【0096】
これにより、ダミーの雄部材60を雌部材22bに係合させることで第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することができ、ダミーの雄部材60を雌部材22bから取り外すことにより、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを近距離交信用として使用することができる。
【0097】
また、遠距離交信用としての使用が終えたときには、ダミーの雄部材60を雌部材22bから取り外して、他の第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを備えたバックルに係合させることで、他のバックルに対しても遠距離交信を行い得るようにすることができる。これにより、ダミーの雄部材60を再利用することができる。
【0098】
このように本願発明では、着脱可能のアンテナと同様に電源電池を第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDに接続することで、電源電池を有しないRFIDに対して電源電池を配設することができ、遠距離交信の交信距離をより拡大させることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本願発明は、ファスニング製品を備えた物品に対して好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0100】
2・・・スライダー、
3・・・引手、
22・・・バックル、
25a・・・アンテナ線、
35a・・・アンテナ線、
35b・・・接点、
36・・・フィルム、
37・・・粘着部、
39・・・カバー、
40・・・飾り部材、
44・・・面ファスナー、
45・・・面ファスナーテープ、
48・・・アンテナ線、
50・・・第1識別媒体、
51・・・アンテナ接続端子、
60・・・ダミーの雄部材。
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えばスライドファスナー、面ファスナー、テープ付きスナップファスナー、係合条片を有するレール状ファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナス環、スナップボタンなどのファスニング製品が被着された物品、同物品の真贋判定及び物流管理方法に係わり、特に、近距離交信用の第1識別媒体が前記ファスニング製品に備えられ、かつ遠距離交信用のアンテナを第1識別媒体に対して着脱可能に装着できるように構成された前記物品、同物品の真贋判定及び物流管理方法に関するものである。
【0002】
尚、本願明細書及び特許請求の範囲の記載において識別媒体とは、読み取り及び/又は書き込みが可能な符号、ID(Identification)識別符号をもつ媒体を指す用語として用いている。識別媒体として代表的なものとしては、RFID(Radio Frequency Identification)などがある。
【0003】
RFIDとしては、シリコンチップのRFIDやクリスタルチップのRFIDを用いることができるものである。また、RFIDは、無線ICとかICタグと称される場合もある。
【0004】
本願明細書及び特許請求の範囲の記載において用いる近距離交信用の識別媒体とは、交信距離が30cm未満、好適には10数cm未満で識別情報の入出力を行うことのできる識別媒体を総称した用語として用いているものであり、例えば、交信距離が0〜10数cm未満であるRFIDなどが近距離交信用の識別媒体として含まれるものである。RFIDとしては、アンテナを具備するもの、又はアンテナを具備しないもののいずれのものであってもよい。
【0005】
また、本願明細書及び特許請求の範囲の記載において遠距離交信用の識別媒体とは、交信距離が10数cm以上で、好適には30cm以上で5m未満の範囲において識別情報の入出力を行うことのできる識別媒体を総称した用語として用いているものであり、例えば、交信距離が10数cm以上であるRFIDなどが遠距離交信用の識別媒体として含まれるものである。
【背景技術】
【0006】
近年、無線通信方式によってデータ通信を行うRFIDを生産段階で商品に内蔵させ、商品の生産から物流、販売等にいたるトータル的な商品管理を行うことや、商品の紛失防止、盗難防止、偽造防止などが行われている。また、RFIDを衣服に装着して痴呆症患者の徘徊防止等に利用することなどが提案されてきている。
【0007】
一般にRFIDは、大きく分けて3つのタイプのものが用いられている。1つ目のタイプは、パッシブタグと称されるものであり、起動用の電源電池を備えておらず、データが格納されているものである。格納されているデータの書き換えが可能なものもある。また、パッシブタグにおける起動用の電源としては、外部の読取装置から受信した電磁波で起電力を発生させ、発生した起電力をRFIDの電源として用いる。
【0008】
2つ目のタイプは、アクティブタグと称されるもので、起動用の電源電池を持っていて格納されているデータを発信することができるものであり、格納されているデータの書き換えが可能なものもある。3つ目のタイプは、セミパッシブタグと称されるもので、起動用の電源電池は持っているが、外部の読取装置から発信したトリガ信号を受信しないと格納されているデータを外部の読取装置に発信しないものである。セミパッシブタグにおいても、格納されているデータの書き換えが可能なものもある。
【0009】
RFIDのメモリに格納されているデータを外部の読取装置によって読取るにあたって、パッシブタグにおいては、RFID内に内蔵した受信アンテナに読取装置からの制御信号を受信する機能と共にコイルとしての機能も持たせている。外部の読取装置から送信した電磁波によって、受信アンテナであるコイルに起電力を発生させ、同起電力でもってRFIDの動作を行わせている。電源電池を備えたものでは、受信アンテナによる起電力を発生させず、備えた電源電池によってRFIDを動作させている。
【0010】
RFIDが動作可能状態にあると、読取装置からの制御信号に基づいてRFID内のメモリから必要なデータを取り出して、同データを応答データとして送信アンテナから読取装置に応答送信することができる。応答送信された信号は読取装置の受信アンテナで受信され、読取装置の制御部において応答データの解析が行われる。この応答データはRFID内に格納されていたデータとして読取装置内に一時格納されたのち、パソコンなどの制御機器へと送信される。
【0011】
また、読取装置から送信された制御信号に基づいて、RFID内のメモリに格納されるデータの更新あるいは書き換え等を行うこともRFIDの性能によって可能である。RFID内のメモリからのデータの読み出し、データの書き込みにあたっては、各種セキュリティ手段が講じられている。
【0012】
この種のRFIDをファスニング製品に内蔵したものとしては、例えば、特開2002−125721号公報に記載された「スライドファスナーの引手」や特開2002−42100号公報に記載された「縫止脚付衣服用ボタン」が提案されている。
【0013】
特開2002−125721号公報に記載されたスライドファスナーの引手は、図39に示すように金属製や合成樹脂、皮革、厚布等の軟質材製の引手本体71内にRFIDチップ74とコイルアンテナ73とを埋め込んでおり、コイルアンテナ73とRFIDチップ74とは細いガラス管75内に封入されている。
【0014】
引手本体71を金属材料により構成する場合は、同引手本体71にガラス管75の埋込孔72が形成されるとともに、同埋込孔72の壁面に内外に連通する送受信用スリット76が形成され、同送受信用スリット76の部位に配したコイルアンテナ73と外部に配した読取装置との間で信号の送受信が行えるように構成されている。コイルアンテナ73とRFIDチップ74とを封入したガラス管75が前記埋込孔72内に挿入したのち、同埋込孔72の開口端をエポキシ樹脂によって密閉し、コイルアンテナ73とRFIDチップ74とからなるRFIDが埋設した引手本体71が形成されている。
【0015】
また、前記引手本体71を合成樹脂材により構成する場合は、同引手本体71が電磁透過性をもつ合成樹脂材料から構成される。ガラス管75中に封入されたRFIDは、上記金属製の引手本体と同様に、前記エポキシ樹脂によって前記埋込孔72内に封入され、RFIDを埋設した引手本体71が形成されている。
【0016】
更にまた、前記引手本体71を皮革材や布材により構成する場合は、ガラス管75を挿入する埋込空間が引手本体71に形成されている。ガラス管75中に封入されたコイルアンテナ73とRFIDチップ74とからなるRFIDは、送受信用の長孔を有する金属管によって被覆して補強されている。補強されたRFIDは前記埋込空間内に隠蔽して収納されている。
【0017】
特開2002−42100号公報に記載された縫止脚付衣服用ボタンは、図40に示すように、電磁透過性を有する硬質樹脂製のボタン本体82により構成されている。ボタン本体82の表面にはリング状の凹所84が形成され、その裏面にはボタンを衣服等に縫い止める縫止脚81が一体に突設されている。
【0018】
図41に示すように凹所84の中心部にはRFIDチップ86が配されるとともに、同RFIDチップ86に電気的に接続されたらせん状のコイルアンテナ85が前記凹所84内で周回するように配されている。このRFIDチップ86とコイルアンテナ85とからなるRFIDが前記凹所84内に配されたのち、同凹所84内にエポキシ樹脂87が流し込まれて固化され、コイルアンテナ85とRFIDチップ86とからなるRFIDは密封防水処理され、RFIDを内蔵したボタンが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2002−125721号公報
【特許文献2】特開2002−42100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
特開2002−125721号公報、特開2002−42100号公報に開示されたRFIDは、近距離交信用のRFIDであるため、RFIDと読取装置間の距離が短い狭小領域内でのみRFIDに格納したデータの読取が可能であった。また、RFIDを内蔵したスライドファスナーやボタンを装着した衣料品やカバン等に関して、これら衣料品やカバン等の物流管理をスライドファスナーやボタンに内蔵したRFIDのメモリに記憶されたデータで行うことにすると、RFIDのメモリには、RFIDを内蔵したスライドファスナーやボタンの製品情報に関するデータ以外に物流管理用のデータを格納しなければならない。
【0021】
RFIDは、常に衣料品やカバン等の製品に装着されているため、第3者が悪意に基づいてRFIDを装着した衣料品やカバン等の製品を購入したエンドユーザーからRFIDに格納されている情報を盗み取ることが可能となる。このため、エンドユーザーが所有しているRFIDを装備した物品の履歴やエンドユーザーの個人情報、例えば、所有している物品の値段が幾らでどの店で購入したのか、とか、どういう店でどのような商品を購入するのが好きなのかといった、個人のプライバシーに係わる情報が外部に筒抜けになってしまうことになる。
【0022】
特に、スライドファスナーなどのファスニング製品の用途は拡大されており、カバンやバックから衣料品に至るまで幅広く使用されてきており、その使用形態も種々にわたっている。このため、これらのものに使用されているファスニング製品に対して、不正アクセスすることが可能なRFIDを備えたファスニング製品を装着した物品に関する物流情報まで格納しておくことは、消費者ニーズに合致するものではなく、また、個人のプライバシー等を保護する上からも好ましいものではなかった。
【0023】
また、RFIDや近距離確認用の識別媒体を備えたファスニング製品を装着した物品がエンドユーザーである顧客に手渡った後の真贋判定においては、RFIDは読取装置側からに信号に応じて発信すればよく、RFIDからの電波到達距離を必要としないが、製造や問屋、販売段階での物流管理においては、RFIDから発信された電波が所定範囲内に亘って安定した状態で読取装置により受信されることが望まれている。
【0024】
このため、真贋判定と物流管理とを行わせるためには、遠距離交信用のRFIDを用いなければならないが、遠距離交信用のRFIDをファスニング製品に配設することが難しく、また、遠距離交信用のRFIDを物品に装着しておくと、不正アクセスを許容することになり問題となっていた。
【0025】
本願発明は、これらの問題を解決するためになされたものである。物品及びファスニング製品の真贋判断を近距離交信用の識別媒体で行わせ、近距離交信用の識別媒体に遠距離交信用のアンテナを接続することで、物品の物流管理を行う識別媒体として使用することができるようにすることで、上述の問題点の解決を図ることにある。また、物流管理を行わせるときに使用する遠距離交信用のアンテナは、物品から取り外して、他の新たな物品に装着されている近距離交信用の識別媒体に接続することで、取り外したアンテナの再利用を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
前記の目的を達成するため、本願発明の第1の基本的な構成は、近距離交信用の第1識別媒体を有する物品であって、前記第1識別媒体が、近距離交信用のRFIDとして、物品に被着されるファスニング製品に固定されてなり、前記第1識別媒体のRFIDが、遠距離交信用のアンテナ接続端子を有してなり、
遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されているときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する物流管理用の識別媒体として用いられ、遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されていないときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する真贋判定用の識別媒体として用いられてなることを最も主要な特徴としている。
【0027】
本願発明の第2の基本的な構成を備えた発明では、近距離交信用のRFIDを第1識別媒体として、物品に被着されるファスニング製品に固定してなり、かつ前記第1識別媒体のRFIDと接続した遠距離交信用のアンテナ接続端子に、遠距離交信用のアンテナが着脱可能に接続されてなる前記物品の真贋判定及び物流管理方法であって、
遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されているときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する物流管理用の識別媒体として用いられ、遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されていないときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する真贋判定用の識別媒体として用いられてなり、
前記物品の物流管理が、前記アンテナ接続端子に接続した前記アンテナを介した遠距離交信において、前記第1識別媒体のメモリから読み出したデータ、及び前記メモリへ書き込んだデータのいずれかにおける少なくとも一方のデータに基づいて行われてなる物品の真贋判定及び物流管理方法を他の最も主要な特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
本願発明により、遠距離交信用のアンテナを接続することで近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することができるようになる。遠距離交信用のアンテナを接続している状態では、RFIDを物流管理用のRFIDとして使用し、遠距離交信用のアンテナを取り外した状態では、真贋判定用のRFIDとして使用することができるようになる。
【0029】
しかも、遠距離交信用のアンテナは、フィルム等に導電性塗料によりアンテナを印刷して形成するなどにより構成することや、面ファスナーの面上に配線すること等により構成することができ、交信距離に応じて所望のアンテナ線の長さを有するアンテナを容易に形成することができる。
【0030】
遠距離交信用のアンテナと接続するRFIDのアンテナ接続端子は、物品上に形成することも、或いは物品に装着したファスニング製品上に形成することもでき、アンテナ接続端子を配設することができる部位であれば、所望の部位に形成することができる。また、遠距離交信用のアンテナを配設した部材を物品又はファスニング製品に着脱可能に取り付ける取り付け手段としては、粘着による取り付けや、磁力を用いた取り付け、クリップ等による狭持による取り付け、アンテナ接続端子が形成されている部位にアンテナを配設した部材を挿入すること等の種々の取り付け手段を用いて取り付けることができる。取り付ける際には、アンテナが結線しないように取り付けることが望ましい。
【0031】
また、本願発明では、RFIDに電源電池を着脱可能な状態で接続することもできる。第1識別媒体のRFIDがアクティブタイプやセミパッシブタイプの場合には、電源電池を別途接続することは必要としないが、電源電池を接続することにより遠距離交信の交信距離を更に延ばすことが可能となる。
【0032】
これにより、近距離交信用のRFIDを取り付けた物品に遠距離交信用のアンテナを取り付けることで、広範囲の領域での外部の読取装置との間での交信や、ダンボール箱等の中に収納された物品と外部の読取装置との間での交信等を行うことができるようになる。
【0033】
このように、物品の販売後においても必要な管理情報又は判断情報を第1識別媒体によって物品に残しておくことができ、遠距離交信が必要なくなったときには、遠距離交信用のアンテナを第1識別媒体のアンテナ接続端子から取外すことで、遠距離交信において物品に関する秘密情報等が外部に漏れ出るのを防止することができる。
【0034】
また、第1識別媒体を物品に被着されるファスニング製品に設けることで、ファスニング製品の管理と同ファスニング製品を被着した物品の管理とを第1識別媒体にて行うことができるようになる。しかも、物品に関する物流情報等、ファスニング製品を被着した後の物品の管理を、遠距離交信用のアンテナを第1識別媒体のアンテナ接続端子に接続した状態で、遠距離交信用とした第1識別媒体において行わせることができる。
【0035】
そして、近距離交信用とした第1識別媒体を、ファスニング製品や物品の真贋判定用の識別媒体として使用することができる。取り外した遠距離交信用のアンテナは、別の第1識別媒体に接続して再利用することができる。
【0036】
また、近距離交信用としたときの真贋判定用の第1識別媒体は物品にそのまま装着されているので、エンドユーザーが同物品の修理を依頼してきた場合や、税関での製品検査時等において物品の真贋を判定する判定手段として使用することができる。真贋判定としては、第1識別部材に格納されているデータを真贋判定用の予め設定した基準データと比較することにより行うことができる。
【0037】
近距離交信用の第1識別媒体としては、交信距離が0〜10数cmであるRFID等を使用することができる。遠距離交信用のアンテナを接続したときの第1識別媒体は、交信距離が10数cm以上としたRFIDとして使用することができる。
【0038】
本願発明の第2の基本的な構成を備えた発明により、近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することができるようになる。このため、特に遠距離交信用のRFIDを用いなくても、一つのRFIDを遠距離交信用のアンテナを接続したり取り外したりすることだけで、遠距離交信用のRFIDとしたり近距離交信用のRFIDとすることができる。
【0039】
また、第1識別媒体に格納されたデータ又は格納するデータに対応する物流管理の情報をパソコン等の外部のメモリに記憶させておき、第1識別媒体から読み出したデータ又は第1記憶媒体に格納したデータとパソコン等に記憶した情報とを対応させることで物品やファスニング製品の物流管理を行うこともできる。
【0040】
パソコン等に情報を記憶させておくことで、第1識別媒体に格納することができないような大きなデータ量のものであっても取り扱うことが可能となる。しかも、物流管理用のデータ量が増大しても、増大したデータをパソコン等の記憶装置に記録させておくことができるので、第1識別媒体のメモリ容量を大きくしなくても、大きなデータ量を必要とする物流管理を行うことができるようになり、RFIDを大きな形状としなくてすむ。
【0041】
取り外した後の遠距離交信用のアンテナは、別の新たな物品における遠距離交信用のアンテナとして使用することができ、遠距離交信用のアンテナの再利用を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本願発明の実施形態に係わるスライドファスナーの正面図である。
【図2】図1に示すスライドファスナーを被着した物品の要部正面図である。
【図3】第1識別媒体を内蔵した上止の部分破断斜視図である。
【図4】第1識別媒体を内蔵した箱体の部分正面図である。
【図5】第1識別媒体を内蔵した下止の部分正面図である。
【図6】第1識別媒体を内蔵したファスナーエレメントの部分正面図である。
【図7】第1識別媒体を内蔵したスライダーの部分断面図である。
【図8】第1識別媒体を内蔵した引手の部分断面図である。
【図9】スライドファスナーを被着した物品の要部正面図である。
【図10】第1識別媒体を配設したファスナーテープの部分断面図である。
【図11】第1識別媒体を配設したファスナーテープの変形例を示す部分断面図である。
【図12】第1識別媒体を配設した補強テープの部分正面図である。
【図13】図12の要部断面図である。
【図14】スライドファスナーを被着した物品の変形例を示す正面図である。
【図15】第1識別媒体を配設したバックルの部分正面図である。
【図16】第1識別媒体を配設したベルト調整具の部分斜視図である。
【図17】第1識別媒体を配設したナス環の部分斜視図である。
【図18】第1識別媒体を配設したコードストッパーの部分斜視図である。
【図19】第1識別媒体を配設したスナップボタンの部分斜視図である。
【図20】第1識別媒体を配設したボタンの部分斜視図である。
【図21】第1識別媒体を配設した面ファスナーの部分斜視図である。
【図22】図21の要部断面図である。
【図23】第1識別媒体を配設したスナップファスナーの部分斜視図である。
【図24】図23の要部断面図である。
【図25】第1識別媒体を配設したレールファスナーの部分斜視図である。
【図26】図25の要部断面図である。
【図27】着脱可能なアンテナを第1識別媒体に配設したスライドファスナーの部分斜視図である。
【図28】図27の要部断面図である。
【図29】アンテナを形成したフィルムの変形例を示す斜視図である。
【図30】着脱可能なアンテナを第1識別媒体に配設した引手のカバーとした部分斜視図である。
【図31】図30の要部断面図である。
【図32】着脱可能なアンテナを第1識別媒体に配設した引手のカバーとした変形例の部分斜視図である。
【図33】着脱可能なアンテナを第1識別媒体に配設した引手取り付けた変形例の部分斜視図である。
【図34】着脱可能なアンテナを面ファスナーに配した部分斜視図である。
【図35】アンテナをテープに織成した要部拡大図である。
【図36】アンテナをテープに織成した変形例の要部拡大図である。
【図37】アンテナをテープに編成した要部拡大図である。
【図38】着脱可能なアンテナをダミーの雄部材に配したバックルの部分斜視図である。
【図39】RFIDを引手に用いた従来例を示す図である。
【図40】RFIDをボタンに用いた他の従来例を示す断面図である。
【図41】図40に示す従来例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本願発明の好適な実施の形態について、添付図面に基づいて以下において具体的に説明する。本願発明の物品の構成としては、以下で説明する形状、配置構成以外にも本願発明の課題を解決することができる形状、配置構成であれば、それらの形状、配置構成を採用することができるものである。このため、本願発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、多様な変更が可能である。
【0044】
また、本願発明におけるファスニング製品としては、例えば、スライドファスナー、面ファスナー、スナップファスナー、レールファスナー、バックル、コードストッパー、ベルトアジャスター、ナス環、スナップボタン、ボタンなどの各種ファスニング製品が含まれるものである。
【0045】
物品としては、上記ファスニング製品を被着することのできる、例えばカバン、スポーツウェアその他の各種の衣類、鞄等が、物品として含まれるものである。本願発明に適用されるRFIDの曲型的な態様としは、識別対象物の識別情報などのデータを格納するメモリを備えたRFIDチップとアンテナとが互いに電気的に接続されて応答回路を構成している。その応答回路として、RFIDチップには、例えば検出回路、電源回路、制御回路、メモリ回路、変調回路、発振回路等が組み込まれている。
【0046】
更に本願発明にあっては、外部からの電磁誘導などにより各回路に電力を供給する無電池式であるパッシブタグ、あるいは電源として電池を内蔵したアクティブタグ、セミパッシブタグを含んでいる。また、RFIDチップとしては、シリコンチップ、クリスタルチップを包含しているものである。
【0047】
また、本願発明におけるRFIDチップとしては、読取装置からの送信信号によりRFIDチップ内のメモリに格納しているデータを取り出して読取措置に応答信号として送信するもの、読取装置からの送信信号によりRFIDチップ内のメモリに格納しているデータやプログラムの書き換えや更新等を行うことができるもの、更にはRFIDチップ内の制御装置がプログラムに基づいて自動的にメモリ内に格納したデータ等を読取装置に送信することのできるもの等の各種制御形態を行い得るRFIDチップとして構成されているものである。
【実施例1】
【0048】
図1は、本願発明に係わる実施形態における第1識別媒体を、上止に備えたスライドファスナーの正面図である。図2は、図1に示すスライドファスナーを被着した物品、図2では衣服を示す要部正面図である。図3〜図13は、スライドファスナーにおける第1識別媒体の配置例を示す図である。
【0049】
図14は、第1識別媒体を物品(この例では、物品としては鞄。)に装着した例を示す図である。図15〜図26は、スライドファスナー以外のファスニング製品に第1識別媒体を配置した例を示す図である。
【0050】
図1において、符号1は例えば衣服やカバン等の図示せぬ物品に縫製により被着されるスライドファスナーを示しており、ファスナーテープ4には、スライダー2、引手3、上止5、箱体6、複数のファスナーエレメント7、補強片8、蝶棒9、箱棒10等が取り付けられている。
【0051】
ファスナーテープとしては、例えば合成樹脂繊維を織成又は編成された繊維テープ状の基布、不織布、合成樹脂製シートなどから構成される。ファスナーエレメントとしては、ファスナーテープの側縁部の表裏を狭持する合成樹脂製又は金属製のエレメントから構成される。また、合成樹脂製モノフィラメントをコイル状に巻回してなるコイル状エレメント、平面内に横方向にU字形に屈曲した部分を長手方向に沿って上下交互に連続してジグザグ状に形成したジグザグ状エレメントなどの連続状エレメント等から構成してもよい。このことは、上述のスライダー、上下止具、補強用シート状部材、開離嵌挿具についても同様であり、その太さや材質及び構造なども様々に変更が可能である。
【0052】
一方の上止5には第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDが内蔵されている。また、スライダー2の第1引手部材3aには同第1引手の孔部3cに第2引手部材3bが着脱可能に取り付けられている。
【0053】
図2に示すように、第1識別媒体50を内蔵したスライドファスナー1を物品54に被着することで、第1識別媒体50を近距離交信用としたときには、真贋判定用として第1識別媒体50を用いることができ、第1識別媒体50を遠距離交信用としたときには、物流管理用として第1識別媒体50を用いることができる。第1識別媒体50を近距離交信用とした場合と遠距離交信用とした場合については、図27〜図38を用いて後述する。
【0054】
図3は、第1識別媒体50が上止5内に内蔵された状態を示す要部破断図であり、図4は、箱体6内に第1識別媒体50が内蔵された状態を示している。図5では、第1識別媒体50を下止12内に内蔵した状態を示し、図6では、複数のファスナーエレメント7に第1識別媒体50を内蔵した状態を示している。また、第7図には第1識別媒体50をスライダー胴体2a内に内蔵した状態を示しており、図8では、スライダー2の引手3内に内蔵した状態を示している。これら、図3〜図8に示す状態において、第1識別媒体50を内蔵する各部材は、非導電性、非電磁性の材料から形成しておくことが、第1識別媒体50と外部の読取装置間で信号の送信及び受信を行う上で望ましい。
【0055】
図9は、スライドファスナー1のファスナーテープ4に第1識別媒体50を配設した例を示している。第1識別媒体50を配設するファスナーテープ4上の部位としては、図10、図11に示すようにスライドファスナー1を物品54に被着したときに物品54によって被覆されるファスナーテープ4の縁部寄りの部位とすることが望ましい。また、図11に示すように、少なくとも第1識別媒体の周囲をテープ部材17で被覆した後に、物品54にスライドファスナー1を被着することもできる。テープ部材17を用いることで、第1識別媒体50を保護することが可能となり、物品54に対して洗濯等を行った場合でも、テープ部材17として防水性のテープを用いることで、第1識別媒体であるRFIDに浸水することが防止される。
【0056】
テープ部材として片面に粘着剤が塗布されたものを用いることで、第1識別媒体50をスライドファスナー1上で位置固定することができ、スライドファスナー1を物品に被着した後に、スライドファスナー1と物品54との間で第1識別媒体50が移動してしまうのを防止することができる。また、第1識別媒体50の取り付け位置が固定されることで、第1識別媒体50から所望のデータを読み取る位置が特定される。
【0057】
図12は、スライドファスナー1の補強テープ15に第1識別媒体50を配設した状態を示しているもので、図13に図12の横断面図を示すように、第1識別媒体50を補強テープ15内に収納することができる。
【0058】
このように第1識別媒体50をスライドファスナー1の特定の部位に配設することで、外部からの読取装置で第1識別媒体に格納されているデータを読み取る上でも、第3者に読取箇所が知られることなく、第1識別媒体による真贋判定等を迅速に行うことができる。
【0059】
図14は、物品55として鞄を用いた例を示している。物品55に被着されたスライドファスナー1には、第1識別媒体がスライドファスナー1の上止5に内蔵されている。物品55としての鞄における所望の部位に第1識別媒体50が外部から見づらい状態で配設されている。第1識別媒体50としては、鞄における模様の一部として配設することも、鞄に裏面側等に隠して配設することもできる。
【0060】
図14に示す例においても、遠距離交信用のアンテナを第1識別媒体50に装着すれば、離れた場所から物品の物流管理を行うことができ、遠距離交信用のアンテナを取り外すことで、近距離交信用となった第1識別媒体50を用いて物品55の真贋判定を行うことができる。
【0061】
図15は、第1識別媒体50をバックル22の雌部材22bに内蔵した例を示している。第1識別部材50は、バックル22の雌部材22bに内蔵する代わりに雄部材22aに内蔵させて配設することも、ベルト23に配設しておくこともできる。また、第1識別部材をバックル22の雄部材22a又は雌部材22bに内蔵させる代わりに、雄部材22a又は雌部材22bに接着等の適宜の取り付け手段により取り付けることもできる。
【0062】
図16は、ベルト調整具24に第1識別媒体50を内蔵した例を示している。この場合も、第1識別媒体をベルト調整具24に内蔵させる代わりに、ベルト調整具24に接着等の適宜の取り付け手段により取り付けることができる。
【0063】
図17は、ナス環25に第1識別媒体50を内蔵した例を示している。第1識別媒体50の内蔵部位としては、ナス環25の本体26bに内蔵させている。本体26bに内蔵させる代わりに、フック26aに内蔵させることも、ベルト23に配設することもできる。
【0064】
図18は、コードストッパー27に第1識別媒体50を内蔵した例を示している。第1識別媒体50の内蔵部位としては、コードストッパー27の摺動体27bに内蔵させている。摺動体27bに内蔵させる代わりに、本体27aに内蔵させることも、コード28に配設することもできる。
【0065】
図19は、スナップボタン29に第1識別媒体50を内蔵した例を示している。第1識別媒体50の内蔵部位としては、雌部材29bに内蔵させている。雌部材29bに内蔵させる代わりに、雄部材29aに内蔵させることも、スナップボタン29を取り付ける生地30に配設することもできる。
【0066】
図20は、ボタン31に第1識別媒体50を内蔵した例を示している。第1識別媒体50の内蔵部位としては、ボタン31に内蔵させている。ボタン31に内蔵させる代わりに、ボタン31の外周面に接着等の適宜の取り付け手段を用いて取り付けることもできる。
【0067】
図21は、面ファスナー19に第1識別媒体50を配設した例を示している。第1識別媒体50の配設部位としては、面ファスナー19の基材19cに接着等の適宜の取り付け手段を用いて取り付けている。図21の横断面である図22に示すように、基材19cを物品54に被着するとき、物品54によって覆われる基材19cの部位に第1識別媒体50を配設しておくことが、第1識別媒体50の設置を第3者により確認することができないので望ましい。
【0068】
図23は、スナップファスナー33に第1識別媒体50を配設した例を示している。第1識別媒体50の配設部位としては、スナップファスナー33の基材33cに接着等の適宜の取り付け手段を用いて取り付けている。図23の横断面である図24に示すように、基材33cを物品54に被着するとき、物品54によって覆われる基材33cの部位に第1識別媒体50を配設しておくことが、第1識別媒体50の設置が第3者により確認することができないので望ましい。
【0069】
図25は、係合部34aと被係合部34bとが係脱自在のレールファスナー34に第1識別媒体50を配設した例を示している。第1識別媒体50の配設部位としては、レールファスナー34のファスナーテープ34cに接着等の適宜の取り付け手段を用いて取り付けている。図25の横断面である図26に示すように、ファスナーテープ34cを物品54に被着するとき、物品54によって覆われるファスナーテープ34cの部位に第1識別媒体50を配設しておくことが、第1識別媒体50の設置が第3者により確認することができないので望ましい。
【0070】
次に、図27〜図38を用いて、遠距離交信用のアンテナの着脱によって第1識別媒体50を遠距離交信用の識別媒体や近距離交信用の識別媒体として用いる場合について説明する。
【0071】
図27では、アンテナをフィルム上に形成し、同フィルムを第1識別媒体である近距離交信用のRFIDに着脱可能に接続することのできる例を示している。図28は、図27の横断面図を示し、図29は、フィルムを近距離交信用のRFIDに接続する変形例を示している。図30は、スライドファスナーの引手に着脱可能なアンテナの構成を示す斜視図であり、図31は、図30の横断面図を示している。図32は、スライドファスナーの引手に装着することのできるアンテナの変形例を示している。また、図33は、スライドファスナーの引手に装着することのできるアンテナの別の変形例を示している。
【0072】
図34は、物品のポケットに第1識別媒体を配設した場合における遠距離交信用のアンテナの接続構成を示しており、図35〜図37には、織製又は編製したファスナーテープの織糸又は編糸の一部にアンテナ線を配した例を示している。また、図38には、第1識別媒体が内蔵されたバックルにおいて、遠距離交信用のアンテナを接続する例を示している。
【0073】
図27に示すように、フィルム36上に導電性塗料を用いた印刷等の適宜の手段によりアンテナ線35aを形成し、アンテナ線35aの両端部には接点35bを形成する。接点35bを除いたフィルム36の端部に粘着部37が形成してある。粘着部37の代わりに、図29に示すように磁性部材60を形成することもできる。尚、磁性部材60を形成する場合には、左右の接点35b、35b間が電気的に導通しないように磁性部材を形成することが必要である。
【0074】
図27では、上止5に内蔵した第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDから遠距離交信用のアンテナ接続端子51、51を延設し、上止5の表面上にアンテナ接続端子51、51を露出させている。図28に示すように、フィルム36の粘着部37を上止5の上面に貼り付けることにより、アンテナ線35aの接点35b、35bとアンテナ接続端子51,51とをそれぞれ接続する。これにより、第1識別媒体50を遠距離交信用のRFIDとして使用することができる。そして、フィルム36を上止5から剥がすことにより第1識別媒体50は、近距離交信用のRFIDとすることができる。
【0075】
また、図29に示すような磁性部材60を一端部に配したフィルム36を用いた場合には、アンテナ接続端子51,51の露出した面積を大きくすることで、アンテナ接続端子51,51の露出した面積部分と磁性部材60、60の間に作用する磁力を用いて、アンテナ接続端子51,51と接点35b、35bとを磁力により固定して両者間を接続することができる。そして、フィルム36を上止5から磁力に抗して剥がすことにより第1識別媒体50は、近距離交信用のRFIDとすることができる。
【0076】
図27〜図29に例示した遠距離交信用のアンテナをフィルム上に形成した場合には、フィルム上に形成したアンテナを近距離交信用のRFIDに接続することで近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することが可能となり、物流管理等の使用において遠距離間での物流管理用のデータの送受信を行うことができるようになる。また、アンテナを形成したフィルム状のものを近距離交信用のRFIDから剥がすことで、近距離交信用のRFIDとして使用することができる。
【0077】
しかも、近距離交信用のRFIDは、ファスニング製品に装着されたままの状態となるので、ファスニング製品及び同ファスニング製品を装着した物品の真贋判定用として使用することができる。尚、近距離交信用のRFIDを上止に配設した例を用いて説明を行ったが、近距離交信用のRFIDの配設部位としては上止に限定されるものではなく、スライドファスナーを構成する部位に配設することができるものである。
【0078】
更に、フィルム上に形成した遠距離交信用のアンテナは、スライドファスナーに接続することに限定されるものではなく、上記実施例1において図15〜図26に示したような各ファスニング製品に近距離交信用のRFIDを配したものに対しても遠距離交信用のアンテナを接続することができるものである。
【0079】
図30〜図32は、スライドファスナーの引手に配した近距離交信用のRFIDに遠距離交信用のアンテナを着脱可能に接続する例を示している。この場合においても、上述の遠距離交信用のアンテナをフィルム上に形成した場合と同様に近距離交信用のRFIDは、遠距離交信用のアンテナを接続することで遠距離交信用のRFIDとして使用することができるようになり、また、遠距離交信用のアンテナを外すことにより近距離交信用のRFIDは、近距離交信が行えるRFIDとして使用することができる。
【0080】
図30では、スライダー2の引手3に、遠距離交信用のアンテナを配設したカバー38を装着する例を示している。スライダー2の引手3には、第1識別媒体50として近距離交信用のRFIDが内蔵され、同RFIDのアンテナ接続端子51、51が引手3の外表面の一部に露出している。
【0081】
カバー38には、引手3を挿入する差込口56が形成され、差込口56内には弾性変形可能な係合片57が一端部に係合突部57aを形成して配されている。また、カバー38内に配したアンテナ線35aの端部が接点35b、35bとして差込口56内に露出して形成されている。図35に示すように、引手3が差込口56に挿入されると、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDのアンテナ接続端子51,51と接点35b、35bとが接続するとともに、係合突部57aが引手3の孔部58と係合してカバー38を引手3に取り付けることができる。
【0082】
これにより、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することが出来る。また、カバー38を係合片57の弾性力に抗して引手3から引き抜くと、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを近距離交信用に使用することができるようになる。
【0083】
図32は、図30に示すような引手3に挿入するカバーの変形例を示している。図32に示すものでは、カバー39を絶縁性の合成樹脂等により本体39aを形成し、アンテナ39bを導電性の合成樹脂等により本体39aの両側縁部を形成する形で形成している。また、引手3を挿入することのできる差込口39cが本体39a及びアンテナ39b間に形成されている。
【0084】
カバー39を図30に示すような引手3に挿入することで、アンテナ39bを引手3内に配設した第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDのアンテナ接続端子51,51に接続することができる。これにより、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することができる。また、カバー39を引手3から取り外すことにより、第1識別媒体50を近距離交信用のRFIDとして使用することができるようになる。
【0085】
図33は、引手3の係合孔部40bに係合する係合突部40aを備えた飾り部材40にアンテナ線35aを配設した例を示している。アンテナ線35aの接点35bと引手3に配設した第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDのアンテナ接続端子51,51とを接続するための位置決め用に、飾り部材40には嵌合溝部40cが形成され、引手3には同嵌合溝部40cと嵌合する嵌合突部41が形成されている。
【0086】
飾り部材40を引手3に係合させることで、アンテナ線35aの接点35b、35bを引手3内に配設した第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDのアンテナ接続端子51,51にそれぞれ接続することができる。これにより、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することができる。また、飾り部材40を引手3から取り外すことにより、第1識別媒体50を近距離交信用のRFIDとして使用することができるようになる。
【0087】
図30、図32に示すアンテナを配設したカバー及び図33に示す飾り部材40の形状は、例示であって他の形状に形成することは可能である。また、カバー38,39及び飾り部材40は、引手3から取り外した後は、他の引手に取り付けることで、遠距離交信用のアンテナを再利用することができ、資源の有効利用を図ることができる。
【0088】
図34は、第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDを配設した面ファスナー44をポケット42のフラップ43開閉用に使用した例を示している。アンテナ線35a及び接点35b、35bを配設した別の面ファスナーテープ45を、第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDを配した面ファスナー44に係合させることにより、アンテナ線35aの接点35b、35bを第1識別媒体50である近距離交信用のRFIDのアンテナ接続端子51,51に接続することができる。
【0089】
これにより、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することができる。また、面ファスナーテープ45を取り外すことにより、第1識別媒体50を近距離交信用のRFIDとして使用することができるようになる。
【0090】
図32及び図34に示すものにおいては、アンテナとして2本のアンテナを用いる例を示しているが、アンテナとしては2本のアンテナを用いる代わりに2本のアンテナの端部同士を接続したループ状のアンテナを使用することができるものである。
【0091】
図35〜図37には、織製又は編製したファスナーテープの織糸又は編糸の一部にアンテナ線を配した例を示している。アンテナ線48としては、図35〜図37に示すように導電性繊維材を織糸又は編糸として、ファスナーテープ46の基布の織成又は編成と同時に織成又は編成することができる。導電性繊維材の代わりに金属線、金属薄板、あるいは導電性樹脂等から構成される導電材を用いることもできる。なお、図35〜図37においては、織目、編目を分かり易くするために誇張して拡大した状態を示しているものである。
【0092】
アンテナ線48を図示せぬ第1識別媒体のアンテナ接続端子と断接させることで、第1識別媒体としての近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用したり、近距離交信用のRFIDとして使用することができる。アンテナ線48と第1識別媒体のアンテナ接続端子と断接形態としては、アンテナ線を初めは第1識別媒体としての近距離交信用のRFIDに接続して使用し、遠距離交信が必要なくなったときに、アンテナ線を切断することで第1識別媒体としての近距離交信用のRFIDとして使用することができる。
【0093】
また、接続していた状態から、アンテナ線の接点を第1識別媒体のアンテナ接続端子から離間させること等によってアンテナ線48と第1識別媒体のアンテナ接続端子と断接を行わせることもできる。アンテナ線48は、ファスナーテープの基布に配設する以外のも、ファスニング製品を被着する物品を構成する布等に織成又は編成により配設することもできる。あるいは、アンテナ線として金属線、金属薄板、あるいは導電性樹脂等から構成される導電材を用いて、ファスナーテープ又は物品に接着等の適宜の取り付け手段により配設することもできる。
【0094】
これらのアンテナ線の配設構成は、アンテナ線を使用するファスニング製品又は物品の使用形態に応じて、適宜の形態を採用することができるものである。図38は、アンテナ線35aをダミーの雄部材60に配設したバックル22の例を示している。バックル22の形状としては、図15で説明したバックル22を用いて説明を行うこととする。このため、図15で用いたバックル22の部材についての説明は、図15で用いたと同じ部材符号を用いることでその説明を省略する。
【0095】
雌部材22内に配設された第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDは、アンテナ接続端子51,51を備えている。ダミーの雄部材60には、雄部材22aと同様の形状を有し、内部には遠距離交信用のアンテナ線35a及び同アンテナ線25aの端部が接点35b、35bとして露出している。ダミーの雄部材60を雌部材22bに係合させることにより、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDのアンテナ接続端子51,51に、アンテナ線35aの接点35b、35bをそれぞれ接続させることができる。
【0096】
これにより、ダミーの雄部材60を雌部材22bに係合させることで第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを遠距離交信用のRFIDとして使用することができ、ダミーの雄部材60を雌部材22bから取り外すことにより、第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを近距離交信用として使用することができる。
【0097】
また、遠距離交信用としての使用が終えたときには、ダミーの雄部材60を雌部材22bから取り外して、他の第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDを備えたバックルに係合させることで、他のバックルに対しても遠距離交信を行い得るようにすることができる。これにより、ダミーの雄部材60を再利用することができる。
【0098】
このように本願発明では、着脱可能のアンテナと同様に電源電池を第1識別媒体50としての近距離交信用のRFIDに接続することで、電源電池を有しないRFIDに対して電源電池を配設することができ、遠距離交信の交信距離をより拡大させることができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0099】
本願発明は、ファスニング製品を備えた物品に対して好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0100】
2・・・スライダー、
3・・・引手、
22・・・バックル、
25a・・・アンテナ線、
35a・・・アンテナ線、
35b・・・接点、
36・・・フィルム、
37・・・粘着部、
39・・・カバー、
40・・・飾り部材、
44・・・面ファスナー、
45・・・面ファスナーテープ、
48・・・アンテナ線、
50・・・第1識別媒体、
51・・・アンテナ接続端子、
60・・・ダミーの雄部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離交信用の第1識別媒体を有する物品であって、
前記第1識別媒体が、近距離交信用のRFIDとして、物品に被着されるファスニング製品に固定されてなり、
前記第1識別媒体のRFIDが、遠距離交信用のアンテナ接続端子を有してなり、
遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されているときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する物流管理用の識別媒体として用いられ、
遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されていないときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する真贋判定用の識別媒体として用いられてなることを特徴とする物品。
【請求項2】
前記遠距離交信用のアンテナが着脱可能に装着される前記物品の部位に、前記アンテナ接続端子が配設されてなることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記近距離交信用のRFIDに対して、バッテリーが着脱可能に接続されてなることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項4】
近距離交信用のRFIDを第1識別媒体として、物品に被着されるファスニング製品に固定してなり、かつ前記第1識別媒体のRFIDと接続した遠距離交信用のアンテナ接続端子に、遠距離交信用のアンテナが着脱可能に接続されてなる前記物品の真贋判定及び物流管理方法であって、
遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されているときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する物流管理用の識別媒体として用いられ、遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されていないときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する真贋判定用の識別媒体として用いられてなり、
前記物品の物流管理が、前記アンテナ接続端子に接続した前記アンテナを介した遠距離交信において、前記第1識別媒体のメモリから読み出したデータ、及び前記メモリへ書き込んだデータのいずれかにおける少なくとも一方のデータに基づいて行われてなることを特徴とする物品の真贋判定及び物流管理方法。
【請求項5】
前記物品の真贋判定が、前記遠距離交信用のアンテナを前記アンテナ接続端子から取り外した後に、近距離交信において前記第1識別媒体のメモリから読み出したデータを、予め設定した基準データと比較することにより行われることを特徴とする請求項4に記載の物品の真贋判定及び物流管理方法。
【請求項6】
前記遠距離交信用のアンテナを前記アンテナ接続端子から取り外した後、同取り外した前記アンテナを他の新たな物品における遠距離交信用のアンテナとして使用してなることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の物品の真贋判定及び物流管理方法。
【請求項1】
近距離交信用の第1識別媒体を有する物品であって、
前記第1識別媒体が、近距離交信用のRFIDとして、物品に被着されるファスニング製品に固定されてなり、
前記第1識別媒体のRFIDが、遠距離交信用のアンテナ接続端子を有してなり、
遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されているときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する物流管理用の識別媒体として用いられ、
遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されていないときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する真贋判定用の識別媒体として用いられてなることを特徴とする物品。
【請求項2】
前記遠距離交信用のアンテナが着脱可能に装着される前記物品の部位に、前記アンテナ接続端子が配設されてなることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記近距離交信用のRFIDに対して、バッテリーが着脱可能に接続されてなることを特徴とする請求項1に記載の物品。
【請求項4】
近距離交信用のRFIDを第1識別媒体として、物品に被着されるファスニング製品に固定してなり、かつ前記第1識別媒体のRFIDと接続した遠距離交信用のアンテナ接続端子に、遠距離交信用のアンテナが着脱可能に接続されてなる前記物品の真贋判定及び物流管理方法であって、
遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されているときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する物流管理用の識別媒体として用いられ、遠距離交信用のアンテナが前記アンテナ接続端子に接続されていないときには、前記第1識別媒体は、前記物品に対する真贋判定用の識別媒体として用いられてなり、
前記物品の物流管理が、前記アンテナ接続端子に接続した前記アンテナを介した遠距離交信において、前記第1識別媒体のメモリから読み出したデータ、及び前記メモリへ書き込んだデータのいずれかにおける少なくとも一方のデータに基づいて行われてなることを特徴とする物品の真贋判定及び物流管理方法。
【請求項5】
前記物品の真贋判定が、前記遠距離交信用のアンテナを前記アンテナ接続端子から取り外した後に、近距離交信において前記第1識別媒体のメモリから読み出したデータを、予め設定した基準データと比較することにより行われることを特徴とする請求項4に記載の物品の真贋判定及び物流管理方法。
【請求項6】
前記遠距離交信用のアンテナを前記アンテナ接続端子から取り外した後、同取り外した前記アンテナを他の新たな物品における遠距離交信用のアンテナとして使用してなることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の物品の真贋判定及び物流管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【公開番号】特開2009−187580(P2009−187580A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119634(P2009−119634)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【分割の表示】特願2005−517358(P2005−517358)の分割
【原出願日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【分割の表示】特願2005−517358(P2005−517358)の分割
【原出願日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【出願人】(000006828)YKK株式会社 (263)
【Fターム(参考)】
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