説明

警報器

【課題】火災検出とそれ以外の事象の検出から火災や他の事象を複合的に判断して状況に応じた火災及び他の事象を含む適切な警報を出力可能とする。
【解決手段】警報器10−2は、火災検出信号を出力する火災センサ22と、COガス検出信号を出力するCOガスセンサ15と、警報を出力する報知部26と、火災検出信号及びCOガス検出信号に基づき火災及びガス漏れを含む警報を報知部26から出力させる異常監視部46とを備え、異常監視部46は、COガス検出信号が得られたときに火災検出信号による火災の検出感度を高く設定し、COガス検出信号が得られていないときに火災検出信号による火災の検出感度を低く設定する。また異常監視部46は、火災検出信号の大きさに応じて複数段階に設定した火災レベルのいずれに属するか判定し、判定した火災レベルとCOガス検出信号によるガス漏れ検出の有無に応じて警報内容を決定して出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅に設置され、火災及び火災以外の事象を検出して警報する複合型の警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災を検出して警報する住宅用警報器(以下「住警器」という)が普及しており、近年にあっては、1つの住戸に複数の住警器を設置して部屋毎に火災などの異常を監視する傾向も増加している。
【0003】
また住警器以外に住宅には、COガスを検出して警報するCOガス警報器、侵入者を検出して警報する盗難警報器などの様々な警報器が設置され、それぞれ独立に火災監視、COガス監視及び盗難監視を行っている。
【0004】
このように火災、COガス、盗難といった監視対象を単独のセンサ機能で監視する場合、特定の異常しか検出できないため、きめの細かい高度な監視判断ができない問題がある。例えば火災を監視する住警器の場合、タバコや調理の煙などによる非火災を誤検出して警報音を出す場合があり、このような非火災報を防止するために火災の検出感度を低くしており、その結果、火災が発生してから警報するまでの時間が長くなってしまう。
【0005】
この問題を解消するため、住警器に人体検出器を設け、人の存在を検知しないときには、人の存在を検知したときよりも音量を大きくするようにしたものも提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−094719号公報
【特許文献2】特開2006−235780号公報
【特許文献3】特開平7−230592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来の住警器、COガス警報器及び盗難警報器といった住宅で使用される警報器にあっては、火災、COガス、盗難といった用途に応じて単独の監視機能をもった警報器を設置するようにしており、住宅で火災、COガス、盗難といったセキュリティー監視をトータル的に行いたい場合、火災、ガス漏れ及び盗難といった単独の監視機能を備えた複数種類の警報器を購入して設置しなければならず、扱いが煩雑でコストも嵩むという問題がある。
【0008】
また火災検出部の他に人体検出部を設けた住警器にあっては、人の存在の有無によって警報音の音量を変えるようにしているが、人体検出部は元来侵入者の検知を目的としたものであり、火災検出時に音量制御ができるというメリットはあるが、人体検出部としての本来の機能は必ずしも発揮されておらず、盗難監視のためには新たに盗難警報器を購入して設置しなければならないという問題がある。
【0009】
さらに、火災、COガス、盗難といった監視対象を単独のセンサ機能で監視する場合、特定の異常しか検出できないため、きめの細かい高度な監視判断ができない問題もある。
【0010】
本発明は、火災検出とそれ以外の事象の検出から火災や他の事象を複合的に判断して状況に応じた火災及び他の事象を含む適切な警報を出力可能な警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は複合型の警報器を提供するものであり、
火災を検出して火災検出信号を出力する火災検出部と、
COガスを検出してCOガス検出信号を出力するCOガスセンサと、
警報を出力する報知部と、
火災検出信号及びCOガス検出信号に基づき、火災及びガス漏れを含む警報を報知部から出力させる異常監視部と、
を備え、
異常監視部は、COガス検出信号が得られたときに火災検出信号による火災の検出感度を高く設定し、COガス検出信号が得られていないときに火災検出信号による火災の検出感度を低く設定することを特徴とする。
【0012】
例えば、異常監視部は、COガス検出信号が得られたときに火災検出信号により火災を判断する閾値を低く設定し、COガス検出信号が得られていないときに火災検出信号により火災を判断する閾値を高く設定する。
【0013】
また、異常監視部は、COガス検出信号が得られたときに火災検出信号により火災を判断する時間を短く設定し、COガス検出信号が得られていないときに火災検出信号により火災を判断する時間を長く設定するようにしてもよい。
【0014】
また、異常監視部は、火災検出信号の大きさに応じて複数段階に設定した火災レベルのいずれに属するか判定し、判定した火災レベルとCO検出信号によるガス漏れ検出の有無に応じて警報内容を決定して報知部から出力させる。
【0015】
ここで、異常監視部は、複数段階の火災レベルとガス漏れ検出の有無との組合せに基づいて警報制御を行う。
【発明の効果】
【0016】
本発明の警報器によれば、火災検出以外に人検出やCOガス検出という他の事象を検出して複合的に火災を判断することで、例えば人の有無によって検出感度を変更した火災判断が行われ、きめの細かい適切な火災の判断が実現できる。
【0017】
例えば人を検出している場合は、火災の検出感度を低く設定しているため、タバコや調理の煙など非火災報が発生してしまうことを確実に防止でき、一方、人を検出していない場合は、火災の検出感度を高く設定しているため、火災が発生してから警報するまでの時間を短くして迅速に火災を報知することができる。
【0018】
また、火災レベル0といった火災要因が存在しない通常時については、侵入者検出による盗難警報機能やガス漏れ警報機能が有効となり、火災以外の事象を検出する他信号検出部がもっている本来の検出監視機能を活用した監視ができ、単一の警報器によって複数種類の事象を監視することができ、監視する事象毎に警報器を設置する場合に比べ、設置及び管理が容易でコストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明による住警器の住宅における設置状況を示した説明図
【図2】本発明による住警器の第1実施形態を示したブロック図
【図3】図2の第1実施形態で使用する火災判断テーブルを示したブロック図
【図4】図2の第1実施形態による火災監視処理を示したフローチャート
【図5】本発明による住警器の第2実施形態を示したブロック図
【図6】図5の第2実施形態で使用する警報制御テーブルを示したブロック図
【図7】図5の第2実施形態による火災監視処理を示したフローチャート
【図8】本発明による住警器の第3実施形態を示したブロック図
【図9】図8の第3実施形態で使用する火災判断テーブルを示したブロック図
【図10】図8の第3実施形態による火災監視処理を示したフローチャート
【図11】本発明による住警器の第4実施形態を示したブロック図
【図12】図11の第4実施形態で使用する警報制御テーブルを示したブロック図
【図13】図11の第4実施形態による火災監視処理を示したフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は本発明による住警器の住宅における設置状態を示した説明図である。図1において、住宅11には本発明による住警器10−1と10−2が設置されている。住警器10−1は住宅11の例えば寝室に設置され、一方、住警器10−2は台所に設置されている。
【0021】
住警器10−1は煙感知部12を備えており、火災による煙を検出して煙検出信号を出力する。住警器10−1には、火災以外の事象を検出して他信号を出力する他信号検出部として人感センサ14が設けられている。人感センサ14は人体から発する赤外線を検出して人検出信号を出力する。また住警器10−1にはスピーカ16と警報停止スイッチ18が設けられている。
【0022】
このような住警器10−1は、煙感知部12による火災による煙検出と、人感センサ14による人検出を同時に行っており、煙感知部12による煙検出信号と、人感センサ14による人検出信号に基づき複合的に火災を判断し、更に火災以外の事象である侵入者検知の警報を行う。
【0023】
一方、台所に設置されている住警器10−2は、煙感知部12、スピーカ16及び警報停止スイッチ18を備えた点は住警器10−1と同じであるが、火災以外の事象を検出して他信号を出力する他信号検出部としてCOガスセンサ15を設けている。
【0024】
このような住警器10−2は、煙感知部12による火災による煙検出と、COガスセンサ15によるCOガス検出を同時に行っており、煙感知部12による煙検出信号と、COガスセンサ15によるCO検出信号に基づき火災を複合的に判断し、更に火災以外の事象であるCO検知の警報を行う。
【0025】
図2は本発明による住警器の第1実施形態を示したブロック図であり、この第1実施形態の住警器は図1の寝室に設置している住警器10−1に該当する。
【0026】
第1実施形態としての住警器10−1はCPU20を備え、CPU20に対しては火災センサ22、人感センサ14、メモリ24、報知部26、操作部28、移報部30及び電池電源32を設けている。
【0027】
火災センサ部22には、本実施形態にあっては煙感知部12が設けられている。火災センサ22としては、煙感知部12以外に、火災による温度を検出するサーミスタを設けてもよい。
【0028】
報知部26にはスピーカ16とLED34が設けられている。スピーカ16は図示しない音声合成回路からの音声メッセージや警報音を出力する。LED34は、点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常を表示する。
【0029】
操作部28には警報停止スイッチ18が設けられている。警報停止スイッチ18を操作すると、住警器10−1から流している警報音を停止することができる。警報停止スイッチ18は、本実施形態にあっては点検スイッチと兼用している。このため警報停止スイッチ18は、報知部26からスピーカ16により警報音を出力しているときに有効となる。
【0030】
一方、警報音を出力していない通常監視状態で警報停止スイッチ18は点検スイッチとして機能し、点検スイッチを押すと、報知部26から点検用の音声メッセージなどが出力される。
【0031】
移報部30は他の住警器との信号線接続により、火災警報のための移報信号を出力する。電池電源32は例えば所定セル数のアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては約10年の電池寿命を保証している。
【0032】
CPU20には、プログラムの実行により実現される機能として異常監視部36が設けられている。異常監視部36は煙感知部12からの煙検出信号と、人感センサ14からの人検出信号による複合的な判断により、火災警報を出力させる。
【0033】
即ち異常監視部36は、人感センサ14から人検出信号が得られたときに煙感知部12からの煙検出信号による火災の検出感度を低くなるように設定し、一方、人検出信号が得られていないときには煙検出信号による火災の検出感度を高く設定するようにしている。この異常監視部36における煙検出信号と人検出信号を用いた複合的な火災判断は、メモリ24に展開されている火災判断テーブル38に従って実行される。
【0034】
図3は図2の第1実施形態で使用する火災判断テーブルを示した説明図である。図3の火災判断テーブル38にあっては、人感センサの検出情報と火災センサによる検出情報に基づく火災判断のルールが記述されている。
【0035】
即ち、火災判断テーブル38の人感センサ14の検出項目は「人検出あり」と「人検出なし」であり、それぞれに対応して火災の検出感度を設定する情報として、火災判断の閾値となる火災検出レベルと火災判断時間を決めている。
【0036】
火災判断の閾値となる火災検出レベルは、人検出ありの場合、低感度に設定され、人検出なしの場合に高感度に設定されている。具体的には、火災判断の閾値としての火災検出レベルは煙濃度または温度が設定される。
【0037】
図1の実施形態にあっては、煙感知部12による煙検出信号を対象としていることから、火災検出レベルは煙濃度で設定され、低感度にあっては8%/mであり、高感度にあっては5%/mとしている。一方、火災センサとしてサーミスタなどの温度検出素子を使用した場合の火災検出レベルは、低感度については70℃、高感度については60℃を設定している。
【0038】
また火災センサにおける火災判断の検出感度を決めるパラメータとして、火災判断時間を設定している。火災判断時間は、人検出ありの場合はT1=50秒と長くて検出感度を下げ、火災を検出してから火災判断時間T1=50秒継続して火災が検出されたときに火災と判断する。一方、人検出なしの場合には火災判断時間をT2=20秒と短い時間に設定して検出感度を上げており、火災検出から20秒間継続して火災検出が行われたときに火災と判断している。
【0039】
図4は図2の第1実施形態による火災監視処理を示したフローチャートであり、CPU20に設けた異常監視部36による処理となる。図4において、住警器10−1の電池電源32による電源供給を開始すると、ステップS1でハードウェアチェック及び火災判断テーブルのメモリ展開を含む初期化処理が実行され、ステップS2でもし異常があった場合には、ステップS3でエラー終了となる。
【0040】
ステップS2で正常が判別されると、ステップS4でまず人感センサ14からのデータである人検出信号を読み込み、ステップS5で人検出の有無をチェックする。人検出ありの場合にはステップS6に進み、図3の火災判断テーブル38に従って低感度の火災検出レベルと長い火災判断時間を設定する。一方、ステップS5で人検出なしが判別された場合には、ステップS7に進み、図3の火災判断テーブル38に従って高感度の火災検出レベルと短い火災判断時間が設定される。
【0041】
続いてステップS8で煙感知部12からの火災検出データ、即ち煙検出データを読み込み、ステップS9で火災発報の有無を判別する。この火災発報の判別は、ステップS6で設定した条件、またはステップS7で設定した条件のいずれかを使用して行われる。
【0042】
例えばステップS6の設定は、人検出ありで低感度の火災検出レベルと長い火災判断時間を設定しており、このとき住宅11には居住者がいることから、火災検出感度を低く設定することで、煙草や調理による煙を煙感知部12で検出しても、低めに設定した火災検出レベル8%/mを超える煙濃度が火災判断時間T11=50秒継続しないと火災発報とならず、煙草や調理の煙による非火災報を確実に防止できる。
【0043】
一方、ステップS7で設定した人がいない場合の高感度の火災検出レベルと短い火災判断時間の場合には、火災発生に対し居住者がいないことで初期消火などの対応を迅速に取ることができない状況にあるため、火災検出レベルを高感度である例えば5%/mと低くし、また火災判断時間をT2=20秒と短くし、早期に火災を検出できるようにしている。
【0044】
ステップS9で火災発報が判別されると、ステップS10に進み、報知部26のスピーカ16から「ウーウー、火災警報器が作動しました」を繰り返し出力させる。同時にLED34を例えば明滅して、火災発生を知らせる。ステップS10で火災警報出力が出された状態で、ステップS11において警報停止スイッチ18の操作を判別すると、ステップS12で警報を停止することになる。
【0045】
図5は本発明による住警器の第2実施形態を示したブロック図である。図5の第2実施形態の住警器10−1は基本的に図2の第1実施形態と同じであり、CPU20、火災センサ22、人感センサ14、メモリ24、報知部26、操作部28、移報部30及び電池電源32を設けている。
【0046】
第2実施形態のCPU20に設けた異常監視部40は、火災センサ22に設けた煙感知部12からの煙検出信号が信号の大きさに応じて予め定めた複数段階の火災レベルのいずれに属するかを判定し、判定した火災レベルと人感センサ14による人検出信号の有無に応じて警報内容を決定して、報知部26から出力させる。
【0047】
この煙検出部12と人感センサ14の2つの検出情報を用いた警報制御のため、メモリ24には警報制御テーブル42が設けられている。
【0048】
図6は図5の第2実施形態で使用する警報制御テーブルを示したブロック図である。図5の警報制御テーブル42には、煙感知部12から検出される煙検出信号、即ち煙濃度につき、煙濃度の増加順に火災レベルとしてレベル0、レベル1、レベル2、レベル3を4段階に設定している。
【0049】
ここで火災レベル0は2.5%/m未満であり、これは通常監視状態における煙濃度である。火災レベル1は煙濃度が2.5%/m以上5%/m未満であり、煙草や調理による煙か火災による煙かは、必ずしも特定できないような状況である。
【0050】
火災レベル2は煙濃度が5%/m以上8%/m未満であり、火災による煙の可能性がかなり高まっている。火災レベル3は煙濃度が8%/m以上であり、火災が確定できる状況にある。
【0051】
このような火災レベル0〜3に分けた煙濃度に対し、人感センサ14による人検出ありと人検出なしに分けて警報制御及び音圧レベルが設定されている。この火災レベルと人感センサの検出情報に基づく警報制御は次のようになる。
(1)火災レベル0で人検出なしの場合は警報を出力させない。
(2)火災レベル0で人検出ありの場合は防犯モードの設定を条件に盗難警報を出力させる。
(3)火災レベル1で人検出なしの場合は火災予兆注意警報を出力させる。
(4)火災レベル1で人検出ありの場合は警報を出力させない。
(5)火災レベル2で人検出なしの場合は火災警報を出力させる。
(6)火災レベル2で人検出ありの場合は警報を出力させない。
(7)火災レベル3で人検出なしの場合は火災確認警報を出力させる。
(8)火災レベル3で人検出ありの場合は火災警報を出力させる。
【0052】
また警報音の音圧レベルについては、火災レベル0で人検出ありの侵入警報については音圧レベル「大」としており、火災レベル2の火災予兆注意警報については音圧レベル「小」であり、火災レベル2の人検出なしの火災警報については音圧レベル「大」であり、火災レベル3の人検出なしの火災確認警報については音圧レベル「大」であり、更に火災レベル3の人検出ありの場合の火災警報については音圧レベルを「小」から「大」に変化させるようにしている。
【0053】
火災レベル0で人検出ありの場合の侵入警報は、図5の住警器10−1において防犯モードが設定されたときに有効となる。この防犯モードを設定するため、操作部28にモードスイッチ44が設けられている。
【0054】
住宅の居住者は、外出する際に住警器10−1に設けているモードスイッチ44を操作すると、防犯モードがCPU20の異常監視部40でセットされ、防犯モードにあっては、図6の警報制御テーブル42で火災レベル0で人検出ありの条件が成立したとき、報知部26から侵入警報を出力することになる。
【0055】
図7は図5の第2実施形態による火災監視処理を示したフローチャートであり、CPU20に設けた異常監視部40の処理となる。
【0056】
図7において、住警器10−1の電池電源32による電源投入を行うと、ステップS21でハードウェアチェック及び警報制御テーブル42のメモリ展開を含む初期化処理を行った後、ステップS22で万一、異常があれば、ステップS23でエラー終了となる。
【0057】
ステップS22で正常が判別されると、ステップS24に進み、煙感知部12から火災検出データとして煙検出データを読み込む。続いてステップS25に進み、図6に示した警報制御テーブル42を参照し、このとき検出している煙濃度から、火災レベル0〜3のいずれに属するかを判定する。
【0058】
続いてステップS26で人感センサ14の検出データ即ち人検出信号を読み込み、ステップS27で、ステップS25で判定した火災レベルが火災レベル0か否かチェックする。火災レベルが0でない場合には、ステップS28に進み、火災レベルと人検出の有無により、図6の警報制御テーブル42を参照して警報制御、更には音圧レベルを決定し、ステップS29で警報部26のスピーカ16から決定した警報制御に従った警報音を出力し、同時にLED34による警報表示を行う。続いてステップS30で警報停止スイッチ18の操作が判別されると、ステップS31に進んで警報を停止することになる。
【0059】
一方、ステップS27で火災レベル0が判別された場合、即ち煙濃度が2.5%/メm未満となる通常の監視状態であった場合には、ステップS32に進み、防犯モードが設定されているか否かチェックする。もし防犯モードが設定されていた場合には、ステップS33で人検出の有無をチェックし、人検出ありが判別された場合には、ステップS34で侵入者警報を報知部26のスピーカ16から出力することとなる。
【0060】
このように図5の第2実施形態にあっては、煙感知部12からの煙濃度と人感センサ14による人検出の有無に応じて火災レベル0〜3のいずれに属するかを判別し、火災レベルを判定した後に、人検出の有無に応じた最適な警報制御により警報内容を決定し、且つ適切な音圧レベルを決め、住宅におけるそのときの状況に応じた火災警報を適切に出力させることができる。
【0061】
また煙濃度が低い火災レベル0となる通常状態で防犯モードが設定されている場合には、人検出により侵入者警報を出力することができ、したがって住警器10−1にあっては、本来の火災警報器としての機能の他、日常的には防犯モードの設定により防犯警報器として使用することができる。
【0062】
図8は本発明による住警器の第3実施形態を示したブロック図であり、この第3実施形態の住警器は図1の台所に設置した住警器10−2を対象としている。
【0063】
図8において、第3実施形態の住警器10−2は、第1及び第2実施形態の住警器10−1に対し人感センサの代わりにCOガスセンサ15を設けたことを特徴とする。即ち住警器10−2は、火災センサ22、COガスセンサ15、メモリ24、報知部26、操作部28、移報部30及び電池電源32を備えている。
【0064】
COガスセンサ15は、火災以外の事象を検出して他信号を出力する他信号検出部として機能し、COガスの有無を検出してCOガス検出信号を出力する。
【0065】
CPU20にプログラムの実行により実現される機能として設けた異常監視部46は、火災検出信号である煙感知部12からの煙検出信号と、他信号であるCOガスセンサ15からのCOガス検出信号に基づく総合的な判断により、火災を警報する。
【0066】
即ち異常監視部46は、COガス検出信号が得られたときに煙検出信号による火災の検出感度を高く設定し、一方、COガス検出信号が得られないときには煙検出信号による火災の検出感度を低く設定する。このCOガス検出信号に応じた煙検出信号による火災判断の感度設定は、メモリ24に格納された火災判断テーブル48に設定されている。
【0067】
図9は図8の火災判断テーブル48を示している。火災判断テーブル48は、COガスセンサについてCOガスなしとCOガスありに分け、火災センサとしての火災判断の検出感度として、火災判断の閾値である火災検出レベルと火災判断時間を決めている。
【0068】
即ちCOガスなしの場合、火災判断の閾値である火災検出レベルを高くして低感度に設定し、また火災判断時間はT1=50秒と長い時間を設定している。これに対しCOガスありの場合には火災判断の閾値である火災検出レベルを低くして高感度に設定し、火災判断時間はT2=20秒と短い時間に設定している。
【0069】
また火災判断レベルにおける検出感度の低感度と高感度については、煙濃度については低感度の火災検出レベルを8%/m、高感度の火災検出レベルを5%/mとし、また温度センサによる火災温度については低感度の火災検出レベルを70℃、高感度の火災検出レベルを60℃としている。
【0070】
図10は図8の第3実施形態による火災監視処理を示したフローチャートであり、図8の住警器10−2に設けたCPU20の異常監視部46による処理となる。
【0071】
図10において、住警器10−2の電池電源32により電源を投入すると、ステップS41でハードウェアチェック及び火災判断テーブル48のメモリ展開を含む初期化処理が実行され、ステップS42で万一、異常が判別された場合には、ステップS43でエラー終了となる。
【0072】
ステップS42で正常が判別された場合には、ステップS44でCOガスセンサ15のデータを読み込み、ステップS45でCOガス検出なしの場合は、ステップS46で図9に示した火災判断テーブル48に従って低感度の火災検出レベルと長い火災判断時間を設定する。
【0073】
一方、ステップS45でCOガス検出ありが判別された場合には、ステップS47に進み、図9の火災判断テーブル48に従って高感度の火災検出レベルと短い火災判断時間を設定する。
【0074】
続いてステップS48で煙感知部12から火災検出データとして煙検出データを読み込み、ステップS49で火災発報の有無を判別する。この火災発報の判別は、ステップS46で設定したCOガスなしの場合の低い検出感度、またはステップS47で判別したCOガスありの場合の高い検出感度のいずれかによる火災発報の判断となる。
【0075】
ステップS49で火災発報が判別されると、ステップS50で火災警報が、報知部26のスピーカ16からの警報音の出力、及びLED34の表示制御で行われる。火災警報の出力状態で、ステップS51において警報停止スイッチ18の操作が判別されると、ステップS52で警報を停止することになる。
【0076】
このように図8の第3実施形態にあっては、火災検出とCOガス検出から複合的に火災を判断することで、COガスのない状態での火災判断については、煙草や調理の煙による非火災報を防ぐように検出感度を低めとし、一方、COガスが検出された場合には火災の危険度が高いことから、火災検出の感度を高めて迅速に火災を判断できるようにしている。
【0077】
図11は本発明による住警器の第4実施形態を示したブロック図であり、他信号検出部としてCOガスセンサ15を設けた点は、図8の第3実施形態の住警器10−2と同じであるが、火災検出とCOガス検出の複合的な判断により最適な警報制御を行うようにしたことを特徴とする。
【0078】
図11において、住警器10−2の構成は図8の第3実施形態と同じであるが、メモリ24に警報制御のための警報制御テーブル52が格納されており、異常監視部50は警報制御テーブル52を参照し、煙感知部12から出力される煙検出信号が、予め設定した検出信号の大きさに応じて定めた複数段階の火災レベルのいずれに属するかを判定し、判定した火災レベルと、そのときのCOガス検出の有無に応じて警報内容を決定して、報知部26から火災警報及びCOガス警報を出力させるようにしている。
【0079】
図12は図11の警報制御テーブル52を示している。警報制御テーブル52は、火災レベルを煙濃度の増加に応じて、レベル0、レベル1、レベル2、レベル3の4段階に分けており、各火災レベル0〜3につき、COガスセンサ15によるCOガスありとCOガスなしの2つに分けて警報制御と音圧レベルを決めている。この警報制御テーブル48による処理内容は、次のようになる。
(1)火災レベル0でCOガス検出なしの場合は警報を出力させない。
(2)火災レベル0でCOガス検出ありの場合はCOガス警報を出力させる。
(3)火災レベル1でCOガス検出なしの場合は火災予兆注意警報を出力させる。
(4)火災レベル1でCOガス検出ありの場合はCOガス警報を出力させる。
(5)火災レベル2及び火災レベル3ではCOガス検出の有無に関わらず火災警報を出力させる。
【0080】
また音圧レベルについては、火災予兆注意警報については音圧レベルは「小」であり、火災レベル3でCOガスありの場合の火災警報については音圧レベルを「小」から「大」に変化させており、それ以外の火災警報及びCOガス警報については音圧レベルをすべて「大」としている。
【0081】
この図12の警報制御テーブル52に示す警報制御によれば、煙濃度が5%/m未満となる火災レベル0及び火災レベル1において、COガスありが検出された場合、住警器10−2はCOガス警報器として機能し、COガス警報を出すことになる。
【0082】
このため第4実施形態の住警器10−2にあっては、煙濃度が少ない場合には基本的にCOガス警報器として機能し、煙濃度が増加してくると火災警報器として機能することになり、単一の住警器10−2でCOガス警報器としての機能と火災警報器としての機能を両立させることができる。
【0083】
図13は図11の第4実施形態による火災監視処理を示したフローチャートであり、図11の住警器10−2に設けているCPU20の異常監視部50による制御処理となる。
【0084】
図13において、住警器10−2の電池電源32を投入すると、ステップS61でCPU20はハードウェアチェック及び警報制御テーブル52のメモリ展開を含む初期化処理を実行し、ステップS62で万一、異常が判別されると、ステップS63でエラー終了となる。
【0085】
ステップS62で正常が判別された場合は、ステップS64に進み、煙感知部12から火災検出データとして煙検出データを読み込み、ステップS65で図12の警報制御テーブル52を参照して、火災レベル0〜3のいずれに属するかを判定する。
【0086】
続いてステップS66でCOガスセンサ15のCOガス検出データを読み込み、ステップS67で火災レベルとCOガス検出の有無に基づき、図12の警報制御テーブル52を参照して警報制御の内容を決定する。
【0087】
続いてステップS68で、火災レベル0でCOガスなしか否か判別し、この条件を満たしていない場合には警報を出力させる制御内容であることからステップS69に進み、ステップS68で決定した警報制御に従った警報出力を行う。この警報出力には、火災レベル0,1でCOガスありの場合に行われるCOガス警報も含まれる。
【0088】
警報出力中にステップS70で警報停止スイッチ18の操作を判別すると、ステップS71で警報を停止する。一方、ステップS68で火災レベルが0でCOガスなしの場合には、警報出力は行わずに、ステップS64に戻って同じ処理を繰り返す。
【0089】
なお上記の実施形態にあっては、煙感知部12と人感センサ14を設けた住警器10−1と、煙感知部12とCOガスセンサ15を設けた住警器10−2を例に取るものであったが、別の実施形態として、煙感知部12、人感センサ14及びCOガスセンサ15を設け、3つの検出情報を複合的に判断して、火災警報、盗難警報、COガス警報を出すようにしてもよい。この場合には、例えば人検知とCOガス検知の論理和と火災検知と組合せて火災判断及び警報制御を行う。
【0090】
また上記の実施形態は火災の複合的な判断および警報制御を、火災判断テーブル38,48及び警報制御テーブル42,52を用いて行っているが、テーブル構造とせずに、火災判断の条件をプログラムにルールとして記述して判断するようにしても良い。
【0091】
また上記の実施形態は他の住警器に信号線接続されて移報可能な住警器を例に取るものであったが、無線通信部を備え、無線通信により他の住警器との間で連動警報を行う住警器としても良い。
【0092】
また上記の実施形態はセンサ部を装置本体と一体に設けた実施形態を例に取るものであったが、センサ部を別体として設けた警報器であってもよい。
【0093】
また上記の実施形態にあっては、警報制御のための火災レベルとして火災レベル0〜3の4段階に分けた場合を例に取っているが、火災レベルは2段階以上であれば適宜の複数段階に分けてもよい。
【0094】
また本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0095】
10−1,10−2:住警器
12:煙感知部
14:人感センサ
15:COガスセンサ
16:スピース
18:警報停止スイッチ
20:CPU
22:火災センサ
24:メモリ
26:報知部
28:操作部
30:移報部
32:電池電源
34:LED
36,40,46,50:異常監視部
38,48:火災判断テーブル
42,52:警報制御テーブル
44:モードスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災を検出して火災検出信号を出力する火災検出部と、
COガスを検出してCOガス検出信号を出力するCOガスセンサと、
警報を出力する報知部と、
前記火災検出信号及びCOガス検出信号に基づき、火災及びガス漏れを含む警報を前記報知部から出力させる異常監視部と、
を備え、
前記異常監視部は、前記COガス検出信号が得られたときに前記火災検出信号による火災の検出感度を高く設定し、前記COガス検出信号が得られていないときに前記火災検出信号による火災の検出感度を低く設定することを特徴とする警報器。
【請求項2】
請求項1記載の警報器に於いて、前記異常監視部は、前記COガス検出信号が得られたときに前記火災検出信号により火災を判断する閾値を低く設定し、前記COガス検出信号が得られていないときに前記火災検出信号により火災を判断する閾値を高く設定することを特徴とする警報器。
【請求項3】
請求項1記載の警報器に於いて、前記異常監視部は、前記COガス検出信号が得られたときに前記火災検出信号により火災を判断する時間を短く設定し、前記COガス検出信号が得られていないときに前記火災検出信号により火災を判断する時間を長く設定することを特徴とする警報器。
【請求項4】
請求項1記載の警報器に於いて、
前記異常監視部は、前記火災検出信号の大きさに応じて複数段階に設定した火災レベルのいずれに属するか判定し、前記判定した火災レベルと前記CO検出信号によるガス漏れ検出の有無に応じて警報内容を決定して前記報知部から出力させることを特徴とする警報器。
【請求項5】
請求項4記載の警報器に於いて、前記異常監視部は、前記複数段階の火災レベルと前記ガス漏れ検出の有無との組合せに基づいて警報制御を行うことを特徴とする警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−47971(P2013−47971A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−230632(P2012−230632)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【分割の表示】特願2008−197796(P2008−197796)の分割
【原出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】