説明

貯湯式温水装置

【課題】貯湯式暖房装置において、加熱循環ポンプと熱交循環ポンプとを確実にコントロールすることを目的とする。
【解決手段】貯湯タンク1内の湯水を加熱する加熱手段2と、貯湯タンク1と加熱手段2とを湯水が循環可能に接続する加熱循環回路3と、加熱循環回路3に設けられ湯水を循環させる加熱循環ポンプ6と、二次側の湯水を加熱するための熱交換器9と加熱手段2とを湯水が循環可能に接続する熱交循環回路10と、熱交循環回路10に設けられ湯水を循環させる熱交循環ポンプ11とを備え、貯湯タンク1へ湯水が流入あるいは流出しているかを検出する流動方向検出手段15を設け、この流動方向検出手段15の出力に基づいて加熱循環ポンプ6あるいは熱交循環ポンプ11の能力を制御する制御手段20を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貯湯式温水装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものには、ヒートポンプ加熱手段により深夜時間帯に貯湯タンク内の水を循環加熱して昼間での給湯に必要な分量を貯湯し、暖房を行う場合は、ヒートポンプ加熱手段で加熱した温水を貯湯タンクと並列関係にある暖房用熱交換器に直接循環させて暖房を行うようにしたものがあった(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−28414号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、この従来のものでは、ヒーポン循環回路と暖房用循環回路の分岐点に一方の循環回路を循環可能にする流路切換手段にて、貯湯タンクに貯湯する貯湯運転と暖房運転とを択一的に選択して運転するようにしていたので、貯湯の要求と暖房の要求が同時にあった場合に対応することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は前記課題を解決するため、請求項1では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクと前記加熱手段とを湯水が循環可能に接続する加熱循環回路と、前記加熱循環回路に設けられ湯水を循環させる加熱循環ポンプと、二次側の湯水を加熱するための熱交換器と、前記熱交換器と前記加熱手段とを湯水が循環可能に接続する熱交循環回路と、前記熱交循環回路に設けられ湯水を循環させる熱交循環ポンプとを備え、前記貯湯タンクへ湯水が流入あるいは流出しているかを検出する流動方向検出手段を設け、この流動方向検出手段の出力に基づいて前記加熱循環ポンプあるいは前記熱交循環ポンプの能力を制御する制御手段を設けたものとした。
【0005】
また、請求項2では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクと前記加熱手段とを湯水が循環可能に接続する加熱循環回路と、前記加熱循環回路に設けられ湯水を循環させる加熱循環ポンプと、二次側の湯水を加熱するための熱交換器と、前記熱交換器と前記加熱手段とを湯水が循環可能に接続する熱交循環回路と、前記熱交循環回路に設けられ湯水を循環させる熱交循環ポンプとを備え、前記加熱循環回路の循環量を検出する加熱循環量検出手段と、前記熱交循環回路の循環量を検出する熱交循環量検出手段と、前記加熱循環量検出手段と前記熱交循環量検出手段の出力に基づいて前記加熱循環ポンプあるいは前記熱交循環ポンプの能力を制御する制御手段を設けたものとした。
【0006】
また、請求項3では、湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクと前記加熱手段とを湯水が循環可能に接続する加熱循環回路と、前記加熱循環回路に設けられ湯水を循環させる加熱循環ポンプと、二次側の湯水を加熱するための熱交換器と、前記熱交換器と前記加熱手段とを湯水が循環可能に接続する熱交循環回路と、前記熱交循環回路に設けられ湯水を循環させる熱交循環ポンプとを備え、前記加熱循環回路の循環量を検出する加熱循環量検出手段と、前記加熱循環量検出手段の出力に基づいて前記熱交循環ポンプの能力を制御する制御手段を設けたものとした。
【0007】
また、請求項4では、前記請求項3のものにおいて、前記制御手段は、前記熱交循環ポンプの能力と前記熱交循環回路の循環量との関係を予め記憶する記憶手段を備え、前記加熱循環量検出手段の出力と前記記憶手段の記憶内容に基づいて前記熱交循環ポンプの能力を制御するようにしたものである。
【0008】
また、請求項5では、前記請求項3のものにおいて、前記制御手段は、前記熱交循環ポンプの能力と前記加熱循環回路の循環量との関係を予め記憶する記憶手段を備え、前記加熱循環量検出手段の出力と前記記憶手段の記憶内容に基づいて前記熱交循環ポンプの能力を制御するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、加熱循環ポンプと熱交循環ポンプをその時の運転状況に合わせて適切にコントロールでき、運転の確実性が向上して信頼性の高い貯湯式温水装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明の貯湯式温水装置の第1の一実施形態の貯湯式給湯暖房装置について説明する。
図1に示すように、1は湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプ式加熱手段、3は前記貯湯タンク1の下部に接続された加熱往き管4および前記貯湯タンク1の上部に接続された加熱戻り管5よりなる加熱循環回路、6は前記加熱循環回路3に設けられて貯湯タンク1の湯水を循環させる加熱循環ポンプ、7は前記貯湯タンク1の下部に接続され貯湯タンク1に水を給水する入水管、8は前記貯湯タンク1の上部に接続され貯湯されている高温水を出湯する出湯管である。
【0011】
9は二次側に放熱部(図示せず)に循環する湯水を加熱するための熱交換器、10は前記熱交換器9と前記加熱手段2とを湯水が循環可能に接続する熱交循環回路、11は前記熱交循環回路10に設けられ湯水を循環させる熱交循環ポンプである。この熱交循環回路10はその回路の少なくとも一部を前記加熱循環回路3と共有し、何れか一方の循環回路を循環可能にする循環切換手段12が設けられているものである。この一実施形態では、前記加熱循環回路3の加熱手段2側の往き管と戻り管を前記熱交循環回路3が共有しているもので、前記加熱循環回路3の熱交循環回路3よりも貯湯タンク1側の加熱戻り管5に循環切換手段12としての開閉弁が設けられているものである。
【0012】
13は前記入水管7から分岐された給水管、14は前記出湯管8からの出湯と給水管13からの給水を混合して設定温度の湯を供給する給湯混合弁である。
【0013】
15は前記貯湯タンク1へ湯水が流入あるいは流出しているかを検出する流動方向検出手段で、加熱循環回路3の熱交循環回路10よりも貯湯タンク1側の加熱往き管4に設けられているものである。
【0014】
ここで、前記加熱手段2は、圧縮機16と凝縮器としての冷媒−水熱交換器17と電子膨張弁18と強制空冷式の蒸発器19とで構成され、この加熱手段2には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。
【0015】
20は、前記給湯混合弁13の駆動を制御すると共に、ヒートポンプ回路の構成要素と前記加熱循環ポンプ6の駆動を制御することで冷媒−水熱交換器16に流入してきた湯水を所望の沸き上げ温度まで沸き上げるようにし、さらに前記流動方向検出手段15の検出する流動方向に基づいて前記熱交循環ポンプ11の能力を制御する制御手段であり、予めプログラミングされたマイクロコンピュータを主体として構成されている。
【0016】
ここで、貯湯タンク1内に加熱手段2で加熱された高温水を貯湯する貯湯運転について説明する。
制御手段20は深夜時刻になると電力単価が安価な深夜時間帯内で朝の所定時刻までに沸き上がるように貯湯運転を開始し、循環切換手段12を加熱循環回路3が循環可能に切換える(この実施形態では開閉弁を開く)と共に、加熱循環ポンプ6と加熱手段2を駆動および起動して、貯湯タンク1の下部から取り出した湯水を加熱手段2により沸き上げ温度まで沸き上げて貯湯タンク1の上部に積層させるように貯湯する。そして、所望の熱量を貯湯すると加熱循環ポンプ6および加熱手段2の停止して貯湯運転を終了する。なお、この実施形態においては貯湯運転時に加熱循環回路3は循環切換手段12により湯水が循環可能とされるが、熱交循環回路10は熱交換器9や熱交循環ポンプ11が流路抵抗となってほとんど循環しないものである。
【0017】
次に、ユーザーが給湯栓を開いて給湯する時の給湯運転について説明する。
給湯栓が開かれると入水管7から貯湯タンク1内に給水されると同時に出湯管8から貯湯温水が出湯される。そして、この出湯管8からの湯水は給湯混合弁14に流入し、前記制御手段20によりコントロールされる給湯混合弁14によって給水管13からの給水と混合されて所望の給湯設定温度で給湯栓から給湯される。
【0018】
次に、暖房運転について説明する。
暖房の要求が発生すると、前記制御手段20は暖房の二次側の運転を開始して循環切換手段12を熱交循環回路10が循環可能に切換える(この実施形態では開閉弁を閉じる)と共に、加熱循環ポンプ6と加熱手段2を駆動及び起動して、加熱手段2で沸き上げた高温水を熱交換器9に直接供給し、二次側と熱交換して温度低下した温水を再度加熱手段2に直接循環させて再度加熱して暖房を行う。なお、この場合の暖房運転を直暖運転と呼ぶ。
【0019】
また、暖房運転において、加熱手段2が何らかの理由により作動していない場合には、前記制御手段20は、循環切換手段12を加熱循環回路3が循環可能に切換える(この実施形態では開閉弁を開く)と共に、前記熱交循環ポンプ11を駆動し、貯湯タンク1の上部に貯まっている高温水を熱交換器9に循環させ、再度貯湯タンク1内に戻すようにして、貯湯タンク1の蓄熱を利用した暖房運転を行わせることを可能としている。なお、この場合の暖房運転を蓄暖運転と呼ぶ。
【0020】
また、例えば直暖運転中に給湯使用によって貯湯タンク1内の残湯量が少なくなり、暖房運転の要求と貯湯運転の要求とが同時に発生した場合は、前記制御手段20は、前記加熱手段2と加熱循環ポンプ6による直暖運転を行いながら、循環切換手段12を加熱循環回路3が循環可能に切換える(この実施形態では開閉弁を開く)と共に、前記熱交循環ポンプ11を駆動する。
【0021】
そして、制御手段20は前記流動方向検出手段15の検出する流動方向が貯湯タンク1から流出する方向になるように前記熱交循環ポンプ11の能力を制御する。このようにすることによって図2に矢印で示すように、直暖運転を行いながら貯湯運転も同時に行うことができるものである。
【0022】
次に、例えば、前記直暖運転を行っている際に加熱手段2の加熱能力では暖房負荷に追いつかないような場合等には、前記制御手段20は、前記加熱手段2と加熱循環ポンプ6による直暖運転を行いながら、循環切換手段12を加熱循環回路3が循環可能に切換える(この実施形態では開閉弁を開く)と共に、前記熱交循環ポンプ11を駆動する。
【0023】
そして、制御手段20は前記流動方向検出手段15の検出する流動方向が貯湯タンク1に流入する方向になるように前記熱交循環ポンプ11の能力を制御する。このようにすることによって図3に矢印で示すように、直暖運転を行いながら蓄暖運転も同時に行うことができ、加熱手段2の能力に貯湯タンク1内の蓄熱分を足した能力で暖房運転を行うことができ、実質的な暖房能力を大きくすることができるものである。
【0024】
なお、この直暖運転と貯湯運転あるいは蓄暖運転の同時運転時は加熱循環ポンプ6の能力と熱交循環ポンプ11の能力のバランスにより貯湯タンク1近傍の流れが不安定になりやすく、例えば加熱手段2および加熱循環ポンプ6がユニット化され、貯湯タンク1と離間して設置されるような形態の場合、加熱ユニットと貯湯タンク1との間の配管距離により加熱循環ポンプ6と熱交循環ポンプ11との能力比がまちまちとなってしまい、配管距離が長い場合は加熱循環ポンプ6の能力が熱交循環ポンプ11の能力に比して低くなり、逆に配管距離が短い場合は加熱循環ポンプ6の能力が熱交循環ポンプ11の能力に比して高くなることがある。その場合に、熱交循環ポンプ11の能力が固定の能力では加熱循環ポンプ6の駆動に加えて熱交循環ポンプ11を駆動すると貯湯運転あるいは蓄暖運転のどちらが行われるかが不明なものであった。
【0025】
しかし、本発明では、上記のように流動方向検出手段15の検出する流動方向に基づいて熱交循環ポンプ11の能力を制御するので、加熱循環ポンプ6と熱交循環ポンプ11をその時の運転状況に合わせて適切にコントロールでき、運転の確実性が向上して信頼性の高い貯湯式温水装置を提供することができる。なお、前記制御手段20は、加熱循環ポンプ6の能力を加熱手段2の加熱能力と協調させて駆動制御し、前記熱交循環ポンプ11の能力を流動方向検出手段15の出力に基づいて制御するようにしているので、それぞれの制御が容易に行えるという利点を有している。
【0026】
なお、前記流動方向検出手段15は上記の一実施形態の配置位置に限定されるものではなく、加熱循環回路3の熱交循環回路10よりも貯湯タンク1側の加熱戻り管5に設けてもよいもので、この場合上記の一実施形態と検出する方向(流入と流出)が逆の関係となり、この関係に合わせて前記制御手段20が熱交循環ポンプ11を制御するように変更すればよいものである。
【0027】
次に、本発明の第2の一実施形態の貯湯式給湯暖房装置について説明する。なお、先の一実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0028】
この実施形態では、図4に示すように、先の一実施形態の循環切換手段12に換え、加熱循環回路3の循環量を検出する加熱循環量検出手段21と、熱交循環回路10の循環量を検出する熱交循環量検出手段22とを設け、前記制御手段20は加熱循環量検出手段21と熱交循環量検出手段22の出力に基づいて熱交循環ポンプ11の能力を制御するようにした。ここで、前記加熱循環量検出手段21は加熱循環回路3の熱交循環回路10よりも加熱手段2側の加熱往き管4に設けられ、前記熱交循環量検出手段22は熱交循環回路10の加熱循環回路3と共有されない位置に設けられているものである。
【0029】
そして、例えば直暖運転中に給湯使用によって貯湯タンク1内の残湯量が少なくなり、暖房運転の要求と貯湯運転の要求とが同時に発生した場合は、前記制御手段20は、前記加熱手段2と加熱循環ポンプ6による直暖運転を行いながら、循環切換手段12を加熱循環回路3が循環可能に切換える(この実施形態では開閉弁を開く)と共に、前記熱交循環ポンプ11を駆動する。
【0030】
そして、制御手段20は前記加熱循環量検出手段21の検出する循環量Q1と前記熱交循環量検出手段22の検出するQ2とを比較し、加熱循環量Q1が熱交循環量Q2よりも大きくなるように前記熱交循環ポンプ11の能力を制御する。このようにすることによって図5に矢印で示すように、直暖運転を行いながら貯湯運転も同時に行うことができるものである。
【0031】
次に、例えば、前記直暖運転を行っている際に加熱手段2の加熱能力では暖房負荷に追いつかないような場合等には、前記制御手段20は、前記加熱手段2と加熱循環ポンプ6による直暖運転を行いながら、循環切換手段12を加熱循環回路3が循環可能に切換える(この実施形態では開閉弁を開く)と共に、前記熱交循環ポンプ11を駆動する。
【0032】
そして、制御手段20は前記前記加熱循環量検出手段21の検出する循環量Q1と前記熱交循環量検出手段22の検出するQ2とを比較し、熱交循環量Q2が加熱循環量Q1よりも大きくなるように前記熱交循環ポンプ11の能力を制御する。このようにすることによって図6に矢印で示すように、直暖運転を行いながら蓄暖運転も同時に行うことができ、加熱手段2の能力に貯湯タンク1内の蓄熱分を足した能力で暖房運転を行うことができ、実質的な暖房能力を大きくすることができるものである。
【0033】
なお、この直暖運転と貯湯運転あるいは蓄暖運転の同時運転時は加熱循環ポンプ6の能力と熱交循環ポンプ11の能力のバランスにより貯湯タンク1近傍の流れが不安定になりやすく、例えば加熱手段2および加熱循環ポンプ6がユニット化され、貯湯タンク1と離間して設置されるような形態の場合、加熱ユニットと貯湯タンク1との間の配管距離により加熱循環ポンプ6と熱交循環ポンプ11との能力比がまちまちとなってしまい、配管距離が長い場合は加熱循環ポンプ6の能力が熱交循環ポンプ11の能力に比して低くなり、逆に配管距離が短い場合は加熱循環ポンプ6の能力が熱交循環ポンプ11の能力に比して高くなることがある。その場合に、熱交循環ポンプ11の能力が固定の能力では加熱循環ポンプ6の駆動に加えて熱交循環ポンプ11を駆動すると貯湯運転あるいは蓄暖運転のどちらが行われるかが不明なものであった。
【0034】
しかし、本発明では、上記のように前記加熱循環量検出手段21と前記熱交循環量検出手段22の出力する加熱循環量Q1と熱交循環量Q2に基づいて熱交循環ポンプ11の能力を制御するので、加熱循環ポンプ6と熱交循環ポンプ11をその時の運転状況に合わせて適切にコントロールでき、運転の確実性が向上して信頼性の高い貯湯式温水装置を提供することができる。なお、前記制御手段20は、加熱循環ポンプ6の能力を加熱手段2の加熱能力と協調させて駆動制御し、前記熱交循環ポンプ11の能力を加熱循環量検出手段21および熱交循環量検出手段22の出力に基づいて制御するようにしているので、それぞれの制御が容易に行えるという利点を有している。
【0035】
なお、前記加熱循環量検出手段21は上記の一実施形態の配置位置に限定されるものではなく、加熱循環回路3の熱交循環回路10よりも加熱手段2側の加熱戻り管5に設けてもよく、また前記熱交循環量検出手段22も熱交循環回路10の熱交換器9の上流側に設けてもよいものである。また、前記熱交循環回路10の構成も上記の一実施形態の構成に限定されるものではなく、熱交換器9と貯湯タンク1とを熱交循環回路10で接続し、一旦貯湯タンク1を介して加熱手段2と熱交換器9とで湯水を循環させるよう構成してもよいものである。
【0036】
また、上記2つの実施形態では、前記流動方向検出手段15あるいは加熱循環量検出手段21および熱交循環量検出手段22の出力に基づいて前記制御手段20は熱交循環ポンプ11の能力だけを制御するようにしているが、これに限らず、熱交循環ポンプ11の能力を固定して加熱循環ポンプ6の能力を制御するようにしてもよく、また、熱交循環ポンプ11と加熱循環ポンプ6の両方の能力を制御するようにしてもよいものである。
【0037】
次に、本発明の第3の一実施形態の貯湯式給湯暖房装置について説明する。なお、先の一実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略することとする。
【0038】
この実施形態では、図7に示すように、前記加熱循環回路3にのみ循環量Q1を検出する加熱循環量検出手段21を設けていると共に、前記制御手段20には、前記熱交循環ポンプ11の能力(回転数)と熱交循環回路10の循環量Q2との関係を予め記憶した記憶手段23が設けられている。そして、前記制御手段20は、加熱循環量検出手段21で検出した加熱循環量Q1と記憶手段23で記憶している熱交循環量Q2とを比較し、この比較結果に基づいて熱交循環ポンプ11の能力を制御するようにしている。
【0039】
そして、例えば直暖運転中に給湯使用によって貯湯タンク1内の残湯量が少なくなり、暖房運転の要求と貯湯運転の要求とが同時に発生した場合は、前記制御手段20は、前記加熱手段2と加熱循環ポンプ6による直暖運転を行いながら、循環切換手段12を加熱循環回路3が循環可能に切換える(この実施形態では開閉弁を開く)と共に、前記熱交循環ポンプ11を駆動する。
【0040】
そして、制御手段20は前記加熱循環量検出手段21の検出する循環量Q1と前記記憶手段23で記憶している内容とを比較し、熱交循環量Q2が加熱循環量Q1以下となる熱交循環ポンプ11の能力を求め、この能力で熱交循環ポンプ11の能力を制御する。このようにすることによって図8に矢印で示すように、直暖運転を行いながら貯湯運転も同時に行うことができるものである。
【0041】
次に、例えば、前記直暖運転を行っている際に加熱手段2の加熱能力では暖房負荷に追いつかないような場合等には、前記制御手段20は、前記加熱手段2と加熱循環ポンプ6による直暖運転を行いながら、循環切換手段12を加熱循環回路3が循環可能に切換える(この実施形態では開閉弁を開く)と共に、前記熱交循環ポンプ11を駆動する。
【0042】
そして、制御手段20は前記前記加熱循環量検出手段21の検出する循環量Q1と前記記憶手段23で記憶している内容とを比較し、熱交循環量Q2が加熱循環量Q1以上となる熱交循環ポンプ11の能力を求め、この能力で熱交循環ポンプ11の能力を制御する。このようにすることによって図9に矢印で示すように、直暖運転を行いながら蓄暖運転も同時に行うことができ、加熱手段2の能力に貯湯タンク1内の蓄熱分を足した能力で暖房運転を行うことができ、実質的な暖房能力を大きくすることができるものである。
【0043】
なお、この直暖運転と貯湯運転あるいは蓄暖運転の同時運転時は加熱循環ポンプ6の能力と熱交循環ポンプ11の能力のバランスにより貯湯タンク1近傍の流れが不安定になりやすく、例えば加熱手段2および加熱循環ポンプ6がユニット化され、貯湯タンク1と離間して設置されるような形態の場合、加熱ユニットと貯湯タンク1との間の配管距離により加熱循環ポンプ6と熱交循環ポンプ11との能力比がまちまちとなってしまい、配管距離が長い場合は加熱循環ポンプ6の能力が熱交循環ポンプ11の能力に比して低くなり、逆に配管距離が短い場合は加熱循環ポンプ6の能力が熱交循環ポンプ11の能力に比して高くなることがある。その場合に、熱交循環ポンプ11の能力が固定の能力では加熱循環ポンプ6の駆動に加えて熱交循環ポンプ11を駆動すると貯湯運転あるいは蓄暖運転のどちらが行われるかが不明なものであった。
【0044】
しかし、本発明では、上記のように加熱循環量検出手段21の出力する加熱循環量Q1と記憶手段23の記憶内容に基づいて熱交循環ポンプ11の能力を制御するので、熱交循環ポンプ11をその時の運転状況に合わせて適切にコントロールでき、運転の確実性が向上して信頼性の高い貯湯式温水装置を提供することができる。なお、前記制御手段20は、加熱循環ポンプ6の能力を加熱手段2の加熱能力と協調させて駆動制御し、前記熱交循環ポンプ11の能力を加熱循環量検出手段21の出力および記憶手段23の記憶内容に基づいて制御するようにしているので、それぞれの制御が容易に行えるという利点を有している。
【0045】
なお、前記加熱循環量検出手段21は上記の一実施形態の配置位置に限定されるものではなく、加熱循環回路3の熱交循環回路10よりも加熱手段2側の加熱戻り管5に設けてもよいものである。また、前記熱交循環回路10の構成も上記の一実施形態の構成に限定されるものではなく、熱交換器9と貯湯タンク1とを熱交循環回路10で接続し、一旦貯湯タンク1を介して加熱手段2と熱交換器9とで湯水を循環させるよう構成してもよいものである。
【0046】
また、前記記憶手段23で記憶する熱交循環ポンプ11の能力(回転数)と熱交循環回路10の循環量Q2との関係は、予め試験により求めてデータテーブルや近似式などの形式で記憶しておけばよいものである。
【0047】
また、前記記憶手段23で記憶する内容は、熱交循環ポンプ11の能力(回転数)と熱交循環回路10の循環量Q2との関係に換えて、熱交循環ポンプ11の能力(回転数)と加熱循環回路3の循環量Q1との関係としてもよい。この場合、例えば、直暖運転と貯湯運転の同時運転を行う際の加熱循環量Q1に応じた熱交循環ポンプ11の能力(回転数)を予め試験により求め、また、直暖運転と蓄暖運転の同時運転を行う際の加熱循環量Q1に応じた熱交循環ポンプ11の能力(回転数)を予め試験により求めて、これらをデータテーブル等の形式で記憶しておけばよい。そして、実際の運転時には、直暖運転と貯湯運転あるいは蓄暖運転の同時運転のモードと前記加熱循環量検出手段21で検出する加熱循環量Q1と前記記憶手段23で記憶している内容とから、前記制御手段21はその状況で最適な熱交循環ポンプ11の能力を選択し、この能力で熱交循環ポンプ11の能力を制御するようにしている。
【0048】
このように加熱循環量検出手段21の出力する加熱循環量Q1と記憶手段23の記憶内容に基づいて熱交循環ポンプ11の能力を制御するので、熱交循環ポンプ11をその時の運転状況に合わせて適切にコントロールでき、運転の確実性が向上して信頼性の高い貯湯式温水装置を提供することができる。なお、前記制御手段20は、加熱循環ポンプ6の能力を加熱手段2の加熱能力と協調させて駆動制御し、前記熱交循環ポンプ11の能力を加熱循環量検出手段21の出力および記憶手段23の記憶内容に基づいて制御するようにしているので、それぞれの制御が容易に行えるという利点を有している。
【0049】
なお、これらの実施形態では前記循環切換手段12を開閉弁で構成したが、前記循環切換手段12は三方弁や分配比率制御弁で構成してもよいものであり、任意の構成である。このように、本発明は上記した一実施形態および他の一実施形態に限定されるものではなく、本発明はその要旨を変更しない範囲で任意に変形可能で、これを妨げるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の一実施形態の概略構成図。
【図2】同一実施形態の作動を説明する図。
【図3】同一実施形態の他の作動を説明する図。
【図4】本発明の第2の一実施形態の概略構成図。
【図5】同一実施形態の作動を説明する図。
【図6】同一実施形態の他の作動を説明する図。
【図7】本発明の第3の一実施形態の概略構成図。
【図8】同一実施形態の作動を説明する図。
【図9】同一実施形態の他の作動を説明する図。
【符号の説明】
【0051】
1 貯湯タンク
2 加熱手段
3 加熱循環回路
6 加熱循環ポンプ
9 熱交換器
10 熱交循環回路
11 熱交循環ポンプ
15 流動方向検出手段
20 制御手段
21 加熱循環量検出手段
22 熱交循環量検出手段
23 記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクと前記加熱手段とを湯水が循環可能に接続する加熱循環回路と、前記加熱循環回路に設けられ湯水を循環させる加熱循環ポンプと、二次側の湯水を加熱するための熱交換器と、前記熱交換器と前記加熱手段とを湯水が循環可能に接続する熱交循環回路と、前記熱交循環回路に設けられ湯水を循環させる熱交循環ポンプとを備え、前記貯湯タンクへ湯水が流入あるいは流出しているかを検出する流動方向検出手段を設け、この流動方向検出手段の出力に基づいて前記加熱循環ポンプあるいは前記熱交循環ポンプの能力を制御する制御手段を設けたことを特徴とする貯湯式温水装置。
【請求項2】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクと前記加熱手段とを湯水が循環可能に接続する加熱循環回路と、前記加熱循環回路に設けられ湯水を循環させる加熱循環ポンプと、二次側の湯水を加熱するための熱交換器と、前記熱交換器と前記加熱手段とを湯水が循環可能に接続する熱交循環回路と、前記熱交循環回路に設けられ湯水を循環させる熱交循環ポンプとを備え、前記加熱循環回路の循環量を検出する加熱循環量検出手段と、前記熱交循環回路の循環量を検出する熱交循環量検出手段と、前記加熱循環量検出手段と前記熱交循環量検出手段の出力に基づいて前記加熱循環ポンプあるいは前記熱交循環ポンプの能力を制御する制御手段を設けたことを特徴とする貯湯式温水装置。
【請求項3】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンク内の湯水を加熱する加熱手段と、前記貯湯タンクと前記加熱手段とを湯水が循環可能に接続する加熱循環回路と、前記加熱循環回路に設けられ湯水を循環させる加熱循環ポンプと、二次側の湯水を加熱するための熱交換器と、前記熱交換器と前記加熱手段とを湯水が循環可能に接続する熱交循環回路と、前記熱交循環回路に設けられ湯水を循環させる熱交循環ポンプとを備え、前記加熱循環回路の循環量を検出する加熱循環量検出手段と、前記加熱循環量検出手段の出力に基づいて前記熱交循環ポンプの能力を制御する制御手段を設けたことを特徴とする貯湯式温水装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記熱交循環ポンプの能力と前記熱交循環回路の循環量との関係を予め記憶する記憶手段を備え、前記加熱循環量検出手段の出力と前記記憶手段の記憶内容に基づいて前記熱交循環ポンプの能力を制御するようにしたことを特徴とする請求項3記載の貯湯式温水装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記熱交循環ポンプの能力と前記加熱循環回路の循環量との関係を予め記憶する記憶手段を備え、前記加熱循環量検出手段の出力と前記記憶手段の記憶内容に基づいて前記熱交循環ポンプの能力を制御するようにしたことを特徴とする請求項3記載の貯湯式温水装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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