説明

貯湯式給湯装置

【課題】貯湯タンクから混合弁に接続される配管類を省略し、貯湯タンク周辺の配管構成を簡素化できる貯湯式給湯装置を得る。
【解決手段】湯水が貯留される貯湯タンク2と、貯湯タンク2に貯留された湯水を加熱するヒートポンプユニット3とを有し、貯湯タンク2の内部には、上下方向に延びて設けられた給湯用タンク内混合弁38が備えられ、給湯用タンク内混合弁38は、貯湯タンク2の上面近傍に形成された連通部86h、貯湯タンク2の下面近傍に形成された連通部86l、及び連通部86hと連通部86lとの間に形成された少なくとも1つ以上の連通部86m、を備えた複数の連通部86を有し、給湯用タンク内混合弁38は、貯湯タンク2に貯留された湯水を混合して取り出す際、連通部86のうちの少なくとも2つの連通部86を開口し、これら連通部86の開口面積を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプユニット等の加熱装置を用いて湯水を沸かし、沸かした湯水を貯湯タンクに貯留する貯湯式給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の貯湯式給湯装置として、例えば「貯湯槽給湯システム10において、貯湯槽11の上部から出湯する第1の配管21と、貯湯槽11の中程から出湯する第2の配管22を有し、第1の配管21から出湯する第1配管水と、第2の配管22から出湯する第2配管水と、市水の2以上を互いに混合し、予め定めた設定温度の温水を生成する混合弁制御装置30を有する」(例えば特許文献1)というものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−364928号公報(要約、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の貯湯式給湯装置(例えば特許文献1)は、貯湯タンクと混合弁を接続するために、第1の配管、第2の配管、及び市水配管が必要となる。このため、貯湯タンク周辺にこれらの配管を取り回すための設置スペースが必要となるとともに、貯湯タンク周辺の配管構成が非常に煩雑になるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするものであって、貯湯タンクから混合弁に接続される配管類を省略し、貯湯タンク周辺の配管構成を簡素化できる貯湯式給湯装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る貯湯式給湯装置は、湯水が貯留される貯湯タンクと、該貯湯タンクに貯留された湯水を加熱する加熱装置と、を有し、前記貯湯タンクの内部には、上下方向に延びて設けられたタンク内混合弁が備えられ、該タンク内混合弁は、前記貯湯タンクの上面近傍に形成された上側連通部、前記貯湯タンクの下面近傍に形成された下側連通部、及び前記上側連通部と前記下側連通部との間に形成された少なくとも1つ以上の中間連通部、を備えた複数の連通部を有し、前記タンク内混合弁は、給湯用又は風呂用の弁として供給配管と接続され、前記貯湯タンクに貯留された湯水を混合して取り出す際、前記連通部のうちの少なくとも2つの連通部を開口し、該連通部の開口面積を調整するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明による貯湯式給湯装置によれば、貯湯タンクと混合弁を接続するための第1の配管、第2の配管及び市水配管が不要となり、貯湯タンク周辺の配管構成を簡素化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯用タンク内混合弁を構成する外筒を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯用タンク内混合弁を構成する中筒を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯用タンク内混合弁を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯用タンク内混合弁の断面図である。
【図6】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯用タンク内混合弁のH−H断面,M−M断面,L−L断面図である。
【図7】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯用タンク内混合弁のH−H断面,M−M断面,L−L断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯用タンク内混合弁のH−H断面,M−M断面,L−L断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯用タンク内混合弁のH−H断面,M−M断面,L−L断面図である。
【図10】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯用タンク内混合弁のH−H断面,M−M断面,L−L断面図である。
【図11】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯用タンク内混合弁のH−H断面,M−M断面,L−L断面図である。
【図12】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の貯湯タンクを示す斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯運転のみのときの動作説明図である。
【図14】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の、運転開始時における給湯用タンク内混合弁の連通部の初期ポジションを決めるフローの一例である。
【図15】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯運転のみのときの動作説明図である。
【図16】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯温度制御時における給湯用タンク内混合弁の制御フロー図である。
【図17】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯運転のみのときの動作説明図である。
【図18】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯運転のみのときの動作説明図である。
【図19】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の沸き上げ運転のみのときの動作説明図である。
【図20】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の風呂の湯はり運転のみのときの動作説明図である。
【図21】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の風呂の追い焚き運転のみのときの動作説明図である。
【図22】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯運転と風呂の湯はり運転を同時に行うときの動作説明図である。
【図23】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯運転と風呂の追い焚き運転を同時に行うときの動作説明図である。
【図24】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯運転と風呂の湯はり運転と沸き上げ運転を同時に行うときの動作説明図である。
【図25】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の給湯運転と風呂の追い焚き運転と沸き上げ運転を同時に行うときの動作説明図である。
【図26】本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置の変形例を示す構成図である。
【図27】本発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置を示す構成図である。
【図28】本発明の実施の形態3による貯湯式給湯装置を示す構成図である。
【図29】本発明の実施の形態4による貯湯式給湯装置を示す構成図である。
【図30】本発明の実施の形態4による貯湯式給湯装置の変形例を示す構成図である。
【図31】本発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置を示す構成図である。
【図32】本発明の実施の形態6による貯湯式給湯装置を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の各実施の形態(実施の形態1〜実施の形態6)を、図1〜図32に基づいて説明する。なお、各図において、同一又は相当部材、同一又は相当部位については同一符号を付して説明する。
【0010】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による貯湯式給湯装置を示す構成図である。
この貯湯式給湯装置は、貯湯タンク2を備えた貯湯タンクユニット1、及び貯湯タンク2内の湯水を加熱するヒートポンプユニット3等から構成されている。ここで、ヒートポンプユニット3が、本発明の加熱装置に相当する。
【0011】
貯湯タンク2内には、上下方向(略鉛直方向)に延びた2つのタンク内混合弁(給湯用タンク内混合弁38、風呂用タンク内混合弁61)が設けられている。これらタンク内混合弁は、外筒とこの外筒の内側に配置された中筒を備える、例えば二重円筒構造の弁である(詳細は後述する)。また、貯湯タンク2内には、上端部に連通部62aが形成された略円筒状の沸き上げ用タンク内配管62が、上下方向(略鉛直方向)に延びて設けられている。
【0012】
給湯用タンク内混合弁38は、その下部が貯湯タンク2の下面側に突設されており、給湯用供給配管32を介して、台所や洗面所等で使用する給湯栓4と接続されている。給湯用供給配管32には、給湯用供給配管32を流れる湯水(給湯用タンク内混合弁38を介して貯湯タンク2から取り出された湯水)の温度を検出する給湯用温度センサー33が設けられている。
【0013】
風呂用タンク内混合弁61は、その下部が貯湯タンク2の下面側に突設されており、風呂用供給配管20及び風呂浴槽配管24を介して、風呂の浴槽6と接続されている。風呂用供給配管20には、風呂用供給配管20を流れる湯水(風呂用タンク内混合弁61を介して貯湯タンク2から取り出された湯水)の温度を検出する風呂用温度センサー40が設けられている。また、風呂用供給配管20には、湯はり用電磁弁72が設けられている。風呂浴槽配管24には、風呂浴槽配管24に風呂の浴槽6の水を循環させる風呂用循環ポンプ26が設けられている。
ここで、給湯用温度センサー33及び風呂用温度センサー40が、本発明の供給温度センサーに相当する。
【0014】
本実施の形態1に係る貯湯式給湯装置には、風呂の追い焚きに使用する追い焚き用熱交換器18も備えている。この追い焚き用熱交換器18は、一方の端部が外部連通部55と湯はり用電磁弁72との間の風呂用供給配管20に接続された追い焚き用配管19に設けられている。追い焚き用配管19の他端は、高温水配管10の一端と接続されている。高温水配管10の他端は、沸き上げ用タンク内配管62の下端部に接続されている。追い焚き用配管19には、追い焚き用熱交換器18に湯水を流すための追い焚き用循環ポンプ22が設けられている。
【0015】
また、貯湯タンク2の下面部には、貯湯タンク2内に市水等の低温水を供給するための給水管8が接続されている。
また、貯湯タンク2の外周面は、断熱材84で覆われている。ここで、貯湯タンク2の上面と側面は、接続される配管類が貫通することなく断熱材84で覆われている。このため、断熱材84を上面と側面を完全に覆うことが可能となり、貯湯タンク2の断熱性能を大幅に向上することができる。
また、貯湯タンク2の外周面には、貯湯タンク2内の湯水の温度を検出する複数の貯湯用温度センサー34が、上下方向に設けられている。これら貯湯用温度センサー34の設置位置は、後述する給湯用タンク内混合弁38の連通部の位置に基づいて決定されている。貯湯用温度センサー34の設置位置は、給湯用タンク内混合弁38の詳細を示した後に説明する。
【0016】
ヒートポンプユニット3は、ヒートポンプ冷媒回路15を備えている。このヒートポンプ冷媒回路15は、圧縮機11、凝縮機(放熱器)である冷媒−水熱交換器12、電子膨張弁13、及び強制空冷式の蒸発器14で構成される。冷媒−水熱交換器12は、ヒートポンプ戻り配管52の一端、及びヒートポンプ行き配管9の一端とも接続されている。ヒートポンプ戻り配管52の他端は、高温水配管10の一端と接続されている。このヒートポンプ戻り配管52には、ヒートポンプユニット3で加熱された後の湯水の沸き上げ温度を検出する沸き上げ温度センサー23が設けられている。ヒートポンプ行き配管9の他端は、貯湯タンク2の下面部に形成された沸き上げ用流出穴70に接続されている。また、ヒートポンプ行き配管9には、貯湯タンク2内の湯水を冷媒−水熱交換器12に流すためのヒートポンプ循環ポンプ16が設けられている。
【0017】
圧縮機11で圧縮された自然冷媒である二酸化炭素は、冷媒−水熱交換器12で放熱し、電子膨張弁13で減圧膨張した後、蒸発器14で大気熱により気化蒸発され、再び圧縮機11に流入して1サイクルの運転となる。
この1サイクルの運転の際、ヒートポンプ冷媒回路15では、低温水(例えば5℃)が冷媒−水熱交換器12を介して高温水(例えば90℃)まで沸き上げられる。ここで、自然冷媒である二酸化炭素は、冷媒−水熱交換器12において超臨界状態のまま放熱されるため、効率よく湯水を高温に加熱することができる。
【0018】
(給湯用タンク内混合弁38)
次に、図2〜図5を用いて、給湯用タンク内混合弁38の詳細構造について説明する。
図2は図1に示した給湯用タンク内混合弁38の外筒80を示す斜視図であり、図3は図1に示した給湯用タンク内混合弁38の中筒81を示す斜視図である。また、図4は図1に示した給湯用タンク内混合弁38全体を示す斜視図、図5は給湯用タンク内混合弁38を貯湯タンク2に取り付けた状態の断面図である。
【0019】
給湯用タンク内混合弁38は、外筒80と、外筒80の内側に周方向に摺動可能(回転可能)に設けられた中筒81とを備えている。
図2に示すように、外筒80には、例えば3箇所に外筒穴が形成されている。具体的には、外筒80には、貯湯タンク2の上面近傍(上部)となる位置に外筒穴39h、貯湯タンク2の中間部となる位置に外筒穴39m、貯湯タンク2の下面近傍(下部)となる位置に外筒穴39lが形成されている。ここで、外筒穴39h、外筒穴39m及び外筒穴39lは、外筒80の周方向(軸方向から見て)に同一位置となるように配置される。
【0020】
図3に示すように、中筒81には、例えば3箇所に中筒穴が形成されている。具体的には、中筒81には、貯湯タンク2の上面近傍(上部)となる位置で外筒穴39hと同じ高さに中筒穴41h、貯湯タンク2の中間部となる位置で外筒穴39mと同じ高さに中筒穴41m、貯湯タンク2の下面近傍(下部)となる位置で外筒穴39lと同じ高さに中筒穴41lが形成されている。ここで、中筒穴41h、中筒穴41m及び中筒穴41lは、各中心線が中筒81の周方向を3等分するように、間隔をおいて形成されている。また、中筒穴41h、中筒穴41m及び中筒穴41lは、軸方向から見て中筒穴41h、中筒穴41m、中筒穴41lの順番となるように、中筒81の周方向にずれて配置される。また、中筒81の下部には、外部連通穴42が形成されている。
【0021】
図5に示すように、中筒81の下部は、外部連通部21で覆われている。外部連通部21の側面には、給湯栓4への供給用配管である給湯用供給配管32の先端部が貫通している。中筒81の下部には、モーター35が取り付けられており、このモーター35の駆動により、中筒81は周方向に回転する。
【0022】
外筒穴39hと中筒穴41hは、連通部86hを構成している。外筒穴39mと中筒穴41mは、連通部86mを構成している。また、外筒穴39lと中筒穴41lは、連通部86lを構成している。
図4に示すように、モーター35の駆動で中筒81を回転することで、外筒穴39hと中筒穴41h、外筒穴39mと中筒穴41m、外筒穴39lと中筒穴41lが重なり合い、連通部86h、連通部86m、連通部86lが開口する。また、中筒81の回転角度を調整することにより、連通部86h、連通部86m、連通部86lの開口面積を調整することができる。なお、図4は、連通部86m及び連通部86lが開口し、連通部86hが閉口した状態を示している。
【0023】
例えば、図5に示すように、貯湯タンク2の中で、連通部86hの位置に高温水45、連通部86mの位置に中温水46、連通部86lの位置に低温水47が貯留されているとする。この場合、中温水46は、連通部86mを通って中筒81(給湯用タンク内混合弁38)に流入する。低温水47は、連通部86lを通って中筒81(給湯用タンク内混合弁38)に流入する。このため、連通部86mと連通部86lの開口面積比に対応した割合の中温水46と低温水47が給湯用タンク内混合弁38に流れ込み、給湯用タンク内混合弁38の中で混合された湯水が、外部連通穴42を介して給湯用供給配管32へ流れるようになる。
【0024】
また、図5に示すように、給湯用タンク内混合弁38の下部(より詳しくは外筒80の下部)は、貯湯タンク2の下面で固定されている。給湯用タンク内混合弁38の上部は、貯湯タンク2の上面に設置された支持構造44に設けられた略円状の切り欠き部分に貫通することで支持されている。これにより、給湯用タンク内混合弁38が貯湯タンク2の下部を支点として水平方向に振れることを防止できる。このため、給湯用タンク内混合弁38の曲げによる変形を防止することができる。また、給湯用タンク内混合弁38の上部は上下方向にフリーとなっている。これにより、湯水の膨張等により貯湯タンク2が変形して、貯湯タンク2の上面から下面までの鉛直距離が変化するような場合であっても、給湯用タンク内混合弁38の引っ張り及び圧縮による変形を防止することができる。
【0025】
図6〜図11は、図4に示した給湯用タンク内混合弁38のH−H、M−M、L−Lにおける断面図である。
中筒穴41と外筒穴39の直径dはほぼ等しく、例えば(1)式により決定される。
d≒D×sin(θ/2)…(1)
ここで、Dは中筒81の外径又は外筒80の内径を示す。θは、中筒81の中心Oと、中筒穴41又は外筒穴39(直径d)の両端と、を結ぶ線分の中心角を示す。θは(2)式により決定される。
θ≒360°/n…(2)
nは外筒穴39又は中筒穴41の数(連通部86の数)である。本実施の形態1ではn=3のため、θ≒120°となる。
【0026】
このように、選択可能な連通部の数nにあわせて中筒穴41及び外筒穴39の直径dを決定する場合、必要な直径dに対して、必要となる中筒81の外径又は外筒80の内径Dをできるだけ小さくすることができる。これにより、給湯用タンク内混合弁38内の容積を小さくできるので、例えば2箇所の連通部86を介して給湯用タンク内混合弁38の中へ流入した貯湯タンク2内の湯水は、給湯用タンク内混合弁38の中で合流して混合するまでの時間が短くなる。したがって、給湯用タンク内混合弁38を介して貯湯タンク2から湯水を取り出すまでの応答性や、制御性が向上する。
【0027】
また、給湯用タンク内混合弁38における連通部86間の距離を、従来の混合弁における湯の供給口と水の供給口との距離(約2〜3cm)よりも十分に大きくできる。例えば、本実施の形態1における連通部86間の距離は約40〜70cmとなっている。このため、外筒80の内径と中筒81の外径との隙間δは、従来の混合弁における筐体と弁体との隙間(約0.05mm〜0.1mm)よりも十分に大きくすることができる。例えば、本実施の形態1における外筒80の内径と中筒81の外径との隙間δは、約0.3mm〜1mmとなっている。したがって、給湯用タンク内混合弁38の長さが長い場合であっても、中筒81の回転に要するモータートルクを小さく抑えることができる。
【0028】
以上給湯用タンク内混合弁38について説明したが、風呂用タンク内混合弁61も同様の構造である。風呂用タンク内混合弁61の下部は、外部連通部55で覆われており、外部連通部55の側面には、風呂の浴槽6への供給用配管である風呂用供給配管20の先端部が貫通している。
【0029】
なお、図12に示すように、給湯用タンク内混合弁38、風呂用タンク内混合弁61、沸き上げ用タンク内配管62を同一の支持構造44で支持するようにしてもよい。この場合、支持構造44を給湯用タンク内混合弁38、風呂用タンク内混合弁61、沸き上げ用タンク内配管62で共有することができ、製造コストを低減することができる。
また、図12に示すように、貯湯タンク2の側面に、作業窓87を設けてもよい。これにより、上下方向に長い給湯用タンク内混合弁38、風呂用タンク内混合弁61、沸き上げ用タンク内配管62を貯湯タンク2内に配置する場合であっても、支持構造44に取り付ける際の作業性が向上する。
【0030】
上述したように、貯湯タンク2の外周面には、貯湯タンク2内の湯水の温度を検出する複数の貯湯用温度センサー34が、上下方向に設けられている。本実施の形態1では3個の貯湯用温度センサー34(34h,34m,,34l)が設けられている。より具体的には、連通部86hと同じ高さかそれよりも低い位置に貯湯用温度センサー34hが設けられており、連通部86lと同じ高さかそれよりも高い位置に貯湯用温度センサー34lが設けられており、連通部86mとほぼ同じ高さに貯湯用温度センサー34mが設けられている。なお、貯湯用温度センサー34hが連通部86hよりも若干高い位置でもよく、また、貯湯用温度センサー34lが連通部86lよりも若干低い位置でもよい。本実施の形態1では、両者がほぼ同じ高さに設置されている場合、両者が同じ高さに設置されていると称する。
【0031】
(タンク内混合弁の動作)
次に、図6〜図11を用いて、タンク内混合弁の動作について説明する。以下では、給湯用タンク内混合弁38を例にとって、タンク内混合弁の動作について説明する。
【0032】
図6は連通部86hのみが開口した状態である。この状態から図4に示す低温方向(中筒81の周方向に沿って、中筒穴41l、中筒穴41m、中筒穴41hと進む方向)へ中筒81を回転させると、図7に示すように、連通部86hと86mの2箇所が開口する。この状態からさらに図4に示す低温方向へ中筒81を回転させると、図8に示すように、連通部86mのみが開口する。この状態からさらに図4に示す低温方向へ中筒81を回転させると、図9に示すように、連通部86mと86lの2箇所が開口する。この状態からさらに図4に示す低温方向へ中筒81を回転させると、図10に示すように、連通部86lのみが開口する。この状態からさらに図4に示す低温方向へ中筒81を回転させると、図11に示すように、連通部86lと86hの2箇所が開口する。この状態からさらに図4に示す低温方向へ中筒81を回転させると、再び図6にもどって、連通部86hのみが開口する。なお、以下で説明する制御範囲は図6から図10までとする。
【0033】
逆に、図10に示す連通部86lのみが開口した状態から、図4に示す高温方向(中筒81の周方向に沿って、中筒穴41h、中筒穴41m、中筒穴41lと進む方向)へ中筒81を回転させると、図9に示すように、連通部86mと86lの2箇所が開口する。この状態からさらに図4に示す高温方向へ中筒81を回転させると、図8に示すように、連通部86mのみが開口する。この状態からさらに図4に示す高温方向へ中筒81を回転させると、図7に示すように、連通部86hと86mの2箇所が開口する。この状態からさらに図4に示す高温方向へ中筒81を回転させると、図6に示すように、連通部86hのみが開口する。
【0034】
このように、中筒穴41h、中筒穴41m、中筒穴41lの順番に、中筒81の周方向にずらして配置することで、低温方向に中筒81を回転させたときには、開口する連通部86が上から下に移動するとともに、下に位置する連通部86の開口面積が大きくなる。
また、逆に高温方向に中筒81を回転させたときは、開口する連通部86が、下から上に移動するとともに、上に位置する連通部86の開口面積が大きくなる。
【0035】
貯湯タンク2内の湯水の温度は、上部が高く、下部が低く、その中間位置に温度勾配をもつような分布となる。このため、低温方向に中筒81を回転させることで、給湯用タンク内混合弁38を介して貯湯タンク2から取り出される湯水の温度を下げることができる。逆に、高温方向に中筒81を回転させることで、給湯用タンク内混合弁38を介して貯湯タンク2から取り出される湯水の温度を上げることが可能となる。
これにより、貯湯タンク2から取り出す湯水の温度を調整することが可能となり、貯湯タンク2から直接、要求する温度の湯水を取り出すことが可能となる。
また、給湯用タンク内混合弁38を貯湯タンク2内に設けることで、貯湯タンクから混合弁に接続される配管類を省略することができ、貯湯タンク2周辺の配管構成を簡素化できる。
【0036】
なお、本実施の形態1では中筒81が回転する構成となっているが、外筒80が回転する構成となっていてもよい。外筒80及び中筒81が共に回転する構成となっていてもよい。
【0037】
<貯湯式給湯装置の動作>
次に、貯湯式給湯装置の動作について説明する。
本実施の形態1に係る貯湯式給湯装置の動作には、給湯栓4から湯を供給する給湯運転と、ヒートポンプユニット3を用いて湯を沸かす沸き上げ運転と、風呂の湯はりを行う風呂の湯はり運転と、風呂の追い焚きを行う追い焚き運転とがある。なお風呂の湯はり運転と風呂の追い焚き運転においては、どちらか一方の運転が選択されるようになっており、一方の運転が実行されているときには、もう一方の運転が停止した状態となる。
以下、給湯運転、沸き上げ運転、風呂の湯はり運転、風呂の追い焚き運転の各運転を単独に行う場合と、組合せて行う場合の動作について順次説明する。
【0038】
(給湯運転のみ)
図13は、貯湯式給湯装置が給湯運転のみを行うときを示す動作説明図である。
貯湯タンク2内には、上下方向に温度勾配を有する温度分布で湯水が貯留されている。貯湯タンク2内では、上から高温水45、中温水46、低温水47が満たされている。高温水45の温度は例えば90℃、低温水の温度は例えば5℃、中温水46の温度は高温水と低温水の間で温度勾配をもつ。
ここで、中温水46は、風呂の追い焚きの熱源としては温度が低いので、風呂の追い焚きの熱源として用いることができない。また、中温水46は、ヒートポンプユニット3で加熱するにも、冷媒−水熱交換器12を通過する冷媒との温度差が小さく、エネルギー消費効率が悪い。このため、この中温水46は優先的に給湯に利用することが求められる。
【0039】
図14に、給湯用タンク内混合弁38の初期ポジションを決定するフローの一例を示す。(なお、図14中の点線内のフローは、中間に位置する連通部86mが複数設けられている場合に相当し(図27)、実施の形態2で説明する。)
【0040】
給湯の利用者が、設定パネル5で要求する給湯温度(要求温度Ta)を設定すると(ステップS1)、貯湯タンクユニット制御部85は、貯湯用温度センサー34m(中間高さの外筒穴39m(連通部86m)が位置する高さで、貯湯タンク2の側面に設けられた貯湯用温度センサー34)が検出する温度Tmを検出する(ステップS2)。そして、貯湯タンクユニット制御部85は、貯湯用温度センサー34mの検出温度Tmと要求温度Taを比較する(ステップS3)。貯湯用温度センサー34mの検出温度Tmが要求温度Taよりも大きい場合、貯湯タンクユニット制御部85は、「貯湯タンク2内における要求温度Taの湯水が、外筒穴39m(連通部86m)と外筒穴39l(連通部86l)の間に存在し、連通部86mの近傍には、要求温度Taよりも高い温度の湯水が存在する」と判断する。そして、貯湯タンク2から取り出した湯水によるやけど等を防止するため、貯湯タンクユニット制御部85は、貯湯タンク2の下面近傍に位置する連通部86lのみが開口する状態を初期ポジションとする(ステップS4)。このとき、給湯用タンク内混合弁38は図10に示した状態となる。
【0041】
一方、ステップS3において貯湯用温度センサー34mの検出温度Tmが要求温度Ta以下となっている場合、貯湯タンクユニット制御部85は、「要求温度Taの湯水は外筒穴39m(連通部86m)と外筒穴39h(連通部86h)の間に存在し、外筒穴39m(連通部86m)の近傍には要求温度Taよりも低い温度の湯水が存在する」と判断する。このため、貯湯タンクユニット制御部85は、連通部86mのみが開口する状態を初期ポジションとする(ステップS5)。このとき、給湯用タンク内混合弁38は図8に示した状態となる。
【0042】
例えば、図13において、要求温度Ta=40℃で、貯湯用温度センサー34mの検出温度Tm=30℃であった場合、図14のフローより、初期ポジションは連通部86mが開口した状態(図8)となる。
また、例えば図15のように、中温水46が外筒穴39m(連通部86m)と、外筒穴39l(連通部86l)の間に存在する場合、外筒穴39m(連通部86m)の近傍には高温水45(90℃)が存在する。このため、貯湯用温度センサー34mの検出温度Tm=90℃となる。したがって、図14のフローより、初期ポジションは連通部86lが開口した状態(図10)となる。
【0043】
初期ポジションで決定された連通部86を介して貯湯タンク2から給湯用タンク内混合弁38に流入した湯水は、外部連通部21を介して給湯用供給配管32に流入し、給湯栓4に供給される。
このように給湯用タンク内混合弁38の初期ポジションを決定することで、給湯運転の初期において、給湯用タンク内混合弁38から取り出される湯水(給湯栓4から供給される湯水)の温度が要求温度Taよりも高くなることを防止できる。このため、高温出湯によるやけど等を防止することができる。また、貯湯タンク2の中に、要求温度Taよりも低い中温水46が連通部86mの近傍に存在する場合、連通部86mから中温水46を優先的に取り出すことができる。
【0044】
給湯運転が開始されると、貯湯式給湯装置は以下のように動作する。例えば図15に示す状態で説明する。この場合、連通部86mの近傍には要求温度Taよりも高い温度の湯水が存在し、連通部86lには要求温度Taよりも低い温度の湯水が存在している。このため、モーター35を駆動して給湯用タンク内混合弁38の中筒81を回転させ、上下に隣り合う連通部86mと連通部86lの開口面積を調整する。これにより、貯湯タンク2から、給湯用タンク内混合弁38を介して、要求温度Taとなる湯水を給湯栓4に送ることが可能となる。
【0045】
このように、初期ポジションに決定された連通部86とその上に隣接する連通部86の間に要求温度Taが存在するようになるため、初期ポジションで決定した連通部86とその上に隣接する連通部86との開口面積比を調整することで、給湯用タンク内混合弁38から要求温度Taの湯水を取り出すことが可能となる。このため、瞬時に給湯用タンク内混合弁38から取り出す湯水を要求温度Taに近づけることができる。
【0046】
また、貯湯タンク2内の湯水を取り出す2箇所の連通部86が上下に隣り合うようにしているので、これら連通部86間の距離が短くなる。このため、2箇所の連通部86を介して給湯用タンク内混合弁38内に流入した湯水が給湯用タンク内混合弁38内で混合するまでに要する時間が、短くなる。したがって、給湯用タンク内混合弁38の応答性を向上することができるとともに、給湯する湯水の温度のオーバーシュートを低減することができ、給湯開始時の快適性を向上することができる。
【0047】
なお、給湯運転開始後の湯水の温度は、例えば給湯用タンク内混合弁38近傍の給湯用供給配管32に設けられた給湯用温度センサー33を用いて行ってもよい。
【0048】
図16は、給湯運転開始後における湯水の温度制御方法の一例を示すフローである。以下では、給湯運転開始時の状態が図15に示す状態の場合について説明する。
貯湯タンクユニット制御部85は、給湯用温度センサー33により、給湯用供給配管32を流れる湯水の温度を検出する(ステップS11)。そして、貯湯タンクユニット制御部85は、給湯用温度センサー33の検出温度Toと要求温度Taを比較する(ステップS12)。
【0049】
給湯運転開始直後は、初期ポジションである連通部86lのみから貯湯タンク2の低温水47を取り出すため、給湯用温度センサー33の検出温度Toは、要求温度Taよりも小さくなる。ToがTaよりも小さい場合は、モーター35を駆動して給湯用タンク内混合弁38の中筒81を高温方向に回転させる。そして、検出温度Toと要求温度Taの差の絶対値がある値εよりも小さくなるように、連通部86mと連通部86lの開度を調整する(ステップS13)。
給湯運転開始後、検出温度Toが要求温度Ta以上となった場合は、モーター35を駆動し、給湯用タンク内混合弁38の中筒81を低温方向に回転させる。そして、検出温度Toと要求温度Taの差の絶対値がある値εよりも小さくなるように、連通部86mと連通部86lの開度を調整する(ステップS14)。このとき、給湯用タンク内混合弁38は図9に示したような状態となる。
【0050】
ステップS15において、検出温度Toと要求温度Taの差の絶対値がある値εより大きい場合は、ステップS12に戻る。検出温度Toと要求温度Taの差の絶対値がある値ε以下の場合は、給湯温度が所望の温度になっているとして、給湯用タンク内混合弁38の制御を停止する(ステップS16)。
【0051】
このように、給湯用温度センサー33の検出温度Toと要求温度Taを比較し、検出温度Toが要求温度Taよりも小さい場合は中筒81を高温方向へ回転させ、検出温度Toが要求温度Taよりも大きい場合は中筒81を低温方向へ回転させても、貯湯タンク2から取り出す湯水の温度を調整することができる。この方法を用いることにより、給湯用タンク内混合弁38の制御が非常に容易となる。
【0052】
その後、給湯運転が続くと、貯湯タンク2内の高温水45の量が減少し、給水管8から貯湯タンク2内に低温水が供給される。そして、図17に示すように、低温水47の量が増加して、中温水46が外筒穴39m近傍に到達する。このため、給湯用タンク内混合弁38には、連通部86mを介して、高温水45(90℃)よりも低い温度の中温水46(5〜90℃)が流入するようになる。したがって、モーター35を駆動して、給湯用タンク内混合弁38の中筒81をさらに高温方向に回転させて、連通部86mの開口面積を大きくし、貯湯タンク2から取り出す湯水の温度を調整する。このように給湯用タンク内混合弁38を制御することにより、貯湯タンク2内に存在する中温水46を、給湯用タンク内混合弁38を介して取り出し、給湯運転に利用することができる。このため、貯湯タンク2内に存在する中温水46の量を次第に減少させることができる。
【0053】
さらに、給湯運転が続くと、貯湯タンク2から連通部86mへ流入する中温水46の温度が、Tm≒Ta(40℃)となる。つまり、連通部86mのみを介して貯湯タンク2から中温水46を取り出して、給湯栓4に供給することができる。このとき、給湯用タンク内混合弁38は図8に示したような状態となる。
【0054】
さらに、給湯運転が続くと、連通部86m近傍の中温水46の温度は、要求温度Taよりも低下する(Tm<Ta)。このため、モーター35を駆動して、給湯用タンク内混合弁38の中筒81をさらに高温方向に回転させ、連通部86mと連通部86hとを開口させる(このとき、連通部86lは閉じられる)。そして、通部86mと連通部86hの開口面積を調整し、貯湯タンク2から取り出す湯水の温度を調整する。このとき、給湯用タンク内混合弁38は図7に示したような状態となる。
【0055】
さらに、給湯運転が続くと、貯湯タンク2内の高温水45の量が減少し、低温水47の量が増加する。そして、図18に示すように、中温水46が、外筒穴39m(連通部86m)と外筒穴39h(連通部86h)の間に存在するようになる。つまり、連通部86hからは高温水(90℃)が、連通部86mからは低温水(5℃)が流入する。このとき、給湯栓4に供給される湯水の温度Toが要求温度Taとなるような給湯用タンク内混合弁38のポジション(つまり連通部86mと連通部86hの開口面積の割合)を決定することができれば、モーター35を駆動して給湯用タンク内混合弁38の中筒81を制御する必要はほとんどなくなる。つまり、貯湯タンク2内に存在する中温水46の量が少ないほど、モーター35を駆動して給湯用タンク内混合弁38を制御する頻度を少なくすることができる。つまり、給湯運転において積極的に中温水46を利用し、貯湯タンク2内の中温水46の量を低減させたので、モーター35の駆動に要する消費電力量を低減することができる。また、制御頻度が減少することで、給湯用タンク内混合弁38から取り出す湯水の温度変動が小さくなり、給湯運転時の快適性を向上することができる。また、中温水46を給湯に有効利用することにより、貯湯タンク2内に占める中温水46を低減して、高温水45をより多く貯湯することができるため、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0056】
(沸き上げ運転のみ)
次に、図19を用いて、貯湯式給湯装置が沸き上げ運転のみを行うときの動作を説明する。この沸き上げ運転では、加熱装置であるヒートポンプユニット3が熱源として用いられる。
【0057】
例えば、利用者が設定パネル5で沸き上げ運転を指示した場合、貯湯タンクユニット制御部85は沸き上げ運転を開始する。また例えば、所定の貯湯用温度センサー34(例えば、貯湯用温度センサー34h)の検出温度が所定の沸き上げ開始温度(第1の所定温度、例えば60℃)よりも低くなった場合、貯湯タンクユニット制御部85は、貯湯タンク2内の高温水45の量が低下したと判断し、沸き上げ運転を開始する。ここで、沸き上げ運転開始に用いた貯湯用温度センサー34(例えば、貯湯用温度センサー34h)が、本発明の第1の加熱判断用温度センサーに相当する。
【0058】
上述のように、沸き上げ運転開始に用いた貯湯用温度センサー34h(第1の加熱判断用温度センサー)は、外筒穴39h(連通部86h)と同じ高さかそれよりも低い位置に設けられている。これにより、外筒穴39h(連通部86h)の近傍には沸き上げ開始温度よりも高い温度の湯水を確保することができ、給湯用タンク内混合弁38を用いた給湯運転が可能となる。また、連通部86h近傍の湯水温度を正確に把握することができ、給湯運転時における制御性を向上することができる。なお、外筒穴39h(連通部86h)よりも低い位置に設けられている貯湯用温度センサー34であれば、貯湯用温度センサー34h以外の貯湯用温度センサー34hを第1の加熱判断用温度センサーとして用いてもよい。
【0059】
沸き上げ運転が開始されると、ヒートポンプ制御回路17は、ヒートポンプ冷媒回路15及びヒートポンプ循環ポンプ16を駆動する。ヒートポンプ循環ポンプ16が駆動されることにより、貯湯タンク2内の低温水47は、ヒートポンプ行き配管9を介して、冷媒−水熱交換器12に送られる。そして、この低温水47は、冷媒−水熱交換器12で加熱される。冷媒−水熱交換器12で加熱されて高温となった湯水(高温水45)は、ヒートポンプ戻り配管52及び高温水配管10を通って、沸き上げ用タンク内配管62に流入する。沸き上げ用タンク内配管62に流入した高温水45は、沸き上げ用タンク内配管62の上端部(貯湯タンク2の上面近傍となる位置)に形成された連通部62aから貯湯タンク2に流入する。
【0060】
このとき、冷媒−水熱交換器12で加熱されて高温となった湯水(高温水45)は、貯湯タンク2の上部に溜まった高温水45が存在する領域に流入する。このため、貯湯タンク2内に存在する低温水47と混合することを防止できる。これにより、高温水45をより多く貯湯することができるため、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0061】
例えば、利用者が設定パネル5で沸き上げ運転を指示した場合、貯湯タンクユニット制御部85は沸き上げ運転を終了する。また例えば、所定の貯湯用温度センサー34(例えば、貯湯用温度センサー34l)の検出温度が所定の沸き上げ終了温度(第2の所定温度、例えば30℃)以上となった場合、貯湯タンクユニット制御部85は、貯湯タンク2内に高温水45の量を十分確保できたと判断し、沸き上げ運転を終了する。ここで、沸き上げ運転終了に用いた貯湯用温度センサー34(例えば、貯湯用温度センサー34l)が、本発明の第2の加熱判断用温度センサーに相当する。
【0062】
上述のように、沸き上げ運転終了に用いた貯湯用温度センサー34l(第2の加熱判断用温度センサー)は、外筒穴39l(連通部86l)と同じ高さかそれよりも高い位置に設けられている。これにより、外筒穴39l(連通部86l)の近傍には沸き上げ終了温度よりも低い温度の湯水を確保することができ、給湯用タンク内混合弁38を用いた給湯運転が可能となる。また、連通部86l近傍の湯水温度を正確に把握することができ、給湯運転時における制御性を向上することができる。なお、外筒穴39l(連通部86l)よりも高い位置に設けられている貯湯用温度センサー34であれば、貯湯用温度センサー34l以外の貯湯用温度センサー34hを第2の加熱判断用温度センサーとして用いてもよい。
【0063】
(風呂の湯はり運転のみ)
次に、図20を用いて、風呂の湯張り運転のみを行うときの動作について説明する。
例えば利用者が設定パネル5で風呂の湯はり運転を指示すると、貯湯タンクユニット制御部85は湯はり運転を開始する。湯はり運転では、湯はり用電磁弁72を開き、風呂用タンク内混合弁61、外部連通部55、風呂用供給配管20及び風呂浴槽配管24を介して、貯湯タンク2内の湯水を風呂の浴槽6へ供給する。
【0064】
ここで、湯はり運転に使用する風呂用タンク内混合弁61(外筒穴59)、外部連通部55、モーター53は、給湯運転で説明した給湯用タンク内混合弁38(外筒穴39)、外部連通部21、モーター35と同構造である。また、給湯運転における、要求湯はり温度、給湯用供給配管32、給湯用温度センサー33、給湯栓4の各々を、風呂の湯はり運転における、要求湯はり温度、風呂用供給配管20、風呂用温度センサー40、風呂の浴槽6に置き換えることにより、風呂の湯はり運転の動作は、給湯運転で説明した動作と同様となる。
これにより、風呂の湯はり運転においても給湯運転と同様の効果を有する。
【0065】
(風呂の追い焚き運転のみ)
次に、図21を用いて、風呂の追い焚き運転のみを行うときの動作について説明する。
例えば利用者が設定パネル5で風呂の追い焚き運転を指示すると、貯湯タンクユニット制御部85は風呂の追い焚き運転を開始する。
【0066】
風呂の追い焚き運転では、貯湯タンクユニット制御部85は、モーター53を駆動して風呂用タンク内混合弁61の中筒81を回転させ、貯湯タンク2の中間に位置する連通部86mを開口する。このとき、風呂用タンク内混合弁61は図8に示したような状態となる。
また、貯湯タンクユニット制御部85は、湯はり用電磁弁72を閉じ、風呂用循環ポンプ26と追い焚き用循環ポンプ22を駆動する。
【0067】
追い焚き用循環ポンプ22の駆動により、貯湯タンク2内の高温水45は、沸き上げ用タンク内配管62を介して、高温水配管10へ送られ、追い焚き用配管19を通って追い焚き用熱交換器18に流入する。また、風呂用循環ポンプ26の駆動により、風呂の浴槽6から低い温度の湯水が風呂浴槽配管24を通って取り出され、追い焚き用熱交換器18に流入する。追い焚き用熱交換器18では、貯湯タンク2から取り出された高温水45と、風呂の浴槽6から取り出された低い温度の湯水が熱交換する。風呂の浴槽6から取り出された湯水は、追い焚き用熱交換器18で加熱された後、再び風呂の浴槽6に戻る。一方、貯湯タンク2から取り出された高温水は、追い焚き用熱交換器18で放熱して中温水46となり、風呂用供給配管20を通って風呂用タンク内混合弁61に流入する。そして、この中温水46は、貯湯タンク2の中間位置まで進み、風呂用タンク内混合弁61の連通部86mから貯湯タンク2内に流入する。
【0068】
中温水46は、貯湯タンク2の中間位置に貯留されることが多い。このため、風呂の追い焚き運転で中温水46となった湯水を、風呂用タンク内混合弁61を介して、貯湯タンク2の中間位置に流入させる。これにより、この中温水46と貯湯タンク2内の高温水45との混合が抑制され、高温水45の温度低下を防ぐことができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。また、貯湯タンク2内の低温水47との混合も抑制されるため、低温水47の温度上昇を防ぐことができる。このため、貯湯タンク2内の低温水47をヒートポンプユニット3で沸き上げる際に高いCOPが確保される。また、貯湯タンク2(の中間部)に中温水46を集約して貯留することができるため、給湯運転における給湯用タンク内混合弁38の制御や、風呂の湯はり運転における風呂用タンク内混合弁61の制御が容易となる。
【0069】
(給湯運転と風呂の湯はり運転の同時運転)
次に、図22を用いて、給湯運転と風呂の湯はり運転を同時に行うときの動作について説明する。
従来の給湯装置において給湯運転と風呂の湯はり運転を同時に行う場合、貯湯タンク2の上部に設けられていた配管から高温水を取り出す。そして、この配管を給湯用の混合弁と風呂用の混合弁の手前で分岐させ、給湯用の混合弁と風呂用の混合弁の各々に高温水を送るようにしている。このため、給湯運転又は風呂の湯はり運転の一方が停止したり起動したりすると、他方の運転に影響してしまい、混合弁で取り出す湯水の流量や温度が大きく変動するという問題点があった。これにより、給湯用の混合弁と風呂用の混合弁の制御が困難となっていた。したがって、給湯運転と風呂の湯はり運転を同時に行う場合であっても、温度の変動が少ない状態で、給湯栓4及び風呂の浴槽6に湯水を供給することが求められる。
【0070】
本実施の形態1に示す貯湯式給湯装置で給湯運転と風呂の湯はり運転を同時に行う場合、すでに説明した給湯運転と風呂の湯はり運転の各々の動作を同時に実施すればよい。このとき、給湯運転において貯湯タンク2から給湯栓4まで湯水が流れる経路と、風呂の湯はり運転において貯湯タンク2から風呂の浴槽6まで湯水が流れる経路は重複することなく、完全に別の経路となる。また、貯湯タンク2の容積は大きいので、貯湯タンク2から給湯用タンク内混合弁38へ流入する湯水と、貯湯タンク2から風呂用タンク内混合弁61へ流入する湯水とは、相互の影響を受けにくい。このため、給湯運転と風呂の湯はり運転を同時に行う場合であっても、温度の変動が少ない状態で給湯栓4から湯水を取り出せるとともに、温度の変動が少ない状態で風呂の浴槽6に湯はりを行うことができる。また、給湯用タンク内混合弁38の制御及び風呂用タンク内混合弁61の制御も容易となる。
【0071】
(給湯運転と風呂の追い焚き運転の同時運転)
次に、図23を用いて、給湯運転と風呂の追い焚き運転を同時に行うときの動作について説明する。
給湯運転と風呂の追い焚き運転を同時に行う場合は、すでに説明した給湯運転と風呂の追い焚き運転の各々の動作を同時に実施すればよい。
図23においては、給湯用タンク内混合弁38の外筒穴39m(中間連通部86m)の位置と風呂用タンク内混合弁61の外筒穴59m(中間連通部86m)の位置がほぼ等しく配置されている。このため、風呂の追い焚き運転で生じた中温水46は風呂用タンク内混合弁61の連通部86mを介して貯湯タンク2内に貯留されるが、その中温水46を給湯用タンク内混合弁38の連通部86mを介して貯湯タンク2から取り出し、給湯運転に使用することがでる。また、貯湯タンク2内に占める中温水46を低減して、高温水45をより多く貯湯することができるため、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0072】
(給湯運転と風呂の湯はり運転と沸き上げ運転の同時運転)
次に、図24を用いて、給湯運転と風呂の湯はり運転と沸き上げ運転を同時に行うときの動作について説明する。
給湯運転と風呂の湯はり運転と沸き上げ運転を同時に行う場合は、すでに説明した給湯運転と風呂の湯はり運転と沸き上げ運転の各々の動作を同時に実施すればよい。
図24で示すように、給湯用タンク内混合弁38と風呂用タンク内混合弁61と沸き上げ用タンク内配管62は、それぞれ貯湯タンク2内に設けられている。このため、給湯運転において貯湯タンク2から給湯栓4まで湯水が流れる経路と、風呂の湯はり運転において貯湯タンク2から風呂の浴槽6まで湯水が流れる経路と、沸き上げ運転における経路とは、それぞれ重複することなく、完全に別の経路となっている。したがって、給湯運転と風呂の湯はり運転と沸き上げ運転を同時に行う場合であっても、温度の変動が少ない状態で給湯栓4から湯水を取り出すとともに、温度の変動が少ない状態で風呂の浴槽6に湯はりを行うことができる。また、給湯運転と風呂の湯はり運転を同時に行うため、貯湯タンク2内の高温水45の消費量が多くなるが、沸き上げ運転を同時に実施することができるため、貯湯タンク2内の高温水45を補給することができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
なお、給湯運転と沸き上げ運転のみを同時に実行してもよく、また、風呂の湯はり運転と沸き上げ運転のみを同時に実行してもよい。
【0073】
(給湯運転と風呂の追い焚き運転と沸き上げ運転の同時運転)
次に、図25を用いて、給湯運転と風呂の追い焚き運転と沸き上げ運転を同時に行うときの動作について説明する。
給湯運転と風呂の追い焚き運転と沸き上げ運転を同時に行う場合は、すでに説明した給湯運転と風呂の追い焚き運転と沸き上げ運転の各々の動作を同時に実施すればよい。ただし、ヒートポンプユニット3で加熱されて高温となった湯水の一部又は全部は、貯湯タンク2に流入することなく、追い焚き用熱交換器18へ流入する。そして、この高温水45は、中温水46となって風呂用供給配管20及び風呂用タンク内混合弁61内を通って、貯湯タンク2の中間位置まで進み、風呂用タンク内混合弁61の連通部86mを介して貯湯タンク2内に流入する。
【0074】
このとき、沸き上げ運転で生じた高温水を、貯湯タンク2に戻すことなく、直接追い焚き用熱交換器18に流入させて風呂の追い焚き運転に使用することができる。このため、ヒートポンプユニット3で沸き上げた湯水を、温度低下が少ない状態で風呂の追い焚き運転に利用することができ、エネルギ効率を向上することができる。
【0075】
また、風呂の追い焚き運転で生じた中温水46が貯湯タンク2内に貯留されるが、その中温水46を給湯運転に使用することができる。このため、貯湯タンク2内に溜まった中温水46を効果的に利用することができ、貯湯タンク2内に占める中温水46を低減できる。したがって、貯湯タンク2内に高温水45をより多く貯湯することができるため、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。また、給湯運転と風呂の追い焚き運転を同時に行うため、貯湯タンク2内の高温水45の消費量が多くなるが、沸き上げ運転を同時に実施することができるため、貯湯タンク2内の高温水45を補給することができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
なお、風呂の追い焚き運転と沸き上げ運転のみを同時に実行してもよく、また、給湯運転と風呂の追い焚き運転のみを同時に実行してもよい。
【0076】
以上のように、この実施の形態1の貯湯式給湯装置によれば、主な運転モードである給湯運転、風呂の湯はり運転又は追い焚き運転、沸き上げ運転の各運転を単独で行うとともに、2つ以上の運転を組み合わせて同時に行うことができる。
また、貯湯タンク2内にタンク内混合弁を設けたことにより、貯湯タンクから混合弁に接続される配管類を省略することができ、貯湯タンク周辺の配管構成を簡素化できる。さらに、貯湯タンク2から直接、要求する温度の湯水を取り出すことが可能となる。
【0077】
また、貯湯タンク2の上面と側面は、接続される配管類が貫通することなく断熱材84で完全に覆うことが可能となるため、貯湯タンク2の断熱性能を大幅に向上することができる。
また、ヒートポンプサイクルに、自然冷媒である二酸化炭素を用いたため、効率よく湯水を高温に加熱することができる。
【0078】
また、タンク内混合弁の下部は、貯湯タンク2の下面で固定されている。給湯用タンク内混合弁38の上部は、貯湯タンク2の上面に設置された支持構造44に設けられた略円状の切り欠き部分に貫通することで支持されている。これにより、タンク内混合弁が貯湯タンク2の下部を支点として水平方向に振れることを防止できる。このため、タンク内混合弁の曲げによる変形を防止することができる。また、タンク内混合弁の上部は上下方向にフリーとなっている。これにより、湯水の膨張等により貯湯タンク2が変形して、貯湯タンク2の上面から下面までの鉛直距離が変化するような場合であっても、タンク内混合弁の引っ張り及び圧縮による変形を防止することができる。
【0079】
また、給湯用タンク内混合弁38、風呂用タンク内混合弁61及び沸き上げ用タンク内配管62を同一の支持構造44で支持するようにしたため、支持構造44を給湯用タンク内混合弁38、風呂用タンク内混合弁61及び沸き上げ用タンク内配管62で共有することができ、製造コストを低減することができる。
【0080】
また、貯湯タンク2の側面に作業窓87を設けたことにより、上下方向に長い給湯用タンク内混合弁38、風呂用タンク内混合弁61、沸き上げ用タンク内配管62を貯湯タンク2内に配置する場合であっても、これらを支持構造44に取り付ける際の作業性を向上することができる。
【0081】
また、中筒穴41h、中筒穴41m、中筒穴41lの順番に、中筒81の周方向にずれて配置したので、低温方向(中筒81の周方向に沿って、中筒穴41l、中筒穴41m、中筒穴41hと進む方向)に中筒81を回転させたときには、給湯用タンク内混合弁38を介して貯湯タンク2から取り出される湯水の温度を徐々に下げることがでる。逆に、高温方向(中筒81の周方向に沿って、中筒穴41h、中筒穴41m、中筒穴41lと進む方向)に中筒81を回転させたときは、給湯用タンク内混合弁38を介して貯湯タンク2から取り出される湯水の温度を徐々に上げることができる。
【0082】
また、給湯用温度センサー33(風呂用温度センサー40)の検出温度Toと要求温度Taを比較し、検出温度Toが要求温度Taよりも小さい場合は中筒81を高温方向へ回転させ、検出温度Toが要求温度Taよりも大きい場合は中筒81を低温方向へ回転させることにより、貯湯タンク2から取り出す湯水の温度を調整することができる。これにより、給湯用タンク内混合弁38及び風呂用タンク内混合弁61の制御が非常に容易となる。
【0083】
また、図14のフローのように、給湯用温度センサー33(風呂用温度センサー40)と要求温度Taを比較し、給湯用タンク内混合弁38(風呂用タンク内混合弁61)の初期ポジションを決定したので、給湯運転(風呂の湯はり運転)の初期に給湯用タンク内混合弁38(風呂用タンク内混合弁61)から取り出される湯水が要求温度Taよりも高くなることはなく、高温出湯によるやけど等を防止することができる。
【0084】
また、要求温度Taよりも低い中温水46が連通部86mの近傍に存在する場合、連通部86mから中温水46を優先的に取り出すことができる。また、初期ポジションで決定した連通部86とその上に隣接する連通部86との開口面積比を調整することで、給湯用タンク内混合弁38(風呂用タンク内混合弁61)から要求温度Taの湯水を取り出すことが可能となり、瞬時に給湯用タンク内混合弁38(風呂用タンク内混合弁61)から取り出す湯水を要求温度Taに近づけることができる。
【0085】
また、上下に隣り合う2箇所の連通部86から貯湯タンク2内の湯水を取り出すようにしたため、2箇所の連通部86を介して給湯用タンク内混合弁38内に流入した湯水は、給湯用タンク内混合弁38内で混合するまでに要する時間が短くなる。このため、給湯用タンク内混合弁38(風呂用タンク内混合弁61)の応答性を向上することができるとともに、給湯する湯水の温度のオーバーシュートを低減することができ、給湯開始時の快適性を向上することができる。
【0086】
また、給湯運転及び風呂の湯はり運転において積極的に中温水46を利用し、貯湯タンク2内に貯留される中温水46の量を低減したため、モーター35及びモーター53の駆動に要する消費電力量を低減することができる。さらに、給湯用タンク内混合弁38及び風呂用タンク内混合弁61から取り出す湯水の温度変動が小さくなり、給湯運転時及び風呂の湯はり運転時の快適性を向上することができる。さらに、中温水46を給湯に有効利用できるとともに、貯湯タンク2内に占める中温水46を低減して、高温水45をより多く貯湯することができるため、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0087】
また、沸き上げ運転開始に用いた貯湯用温度センサー34h(第1の加熱判断用温度センサー)は、外筒穴39h(連通部86h)と同じ高さかそれよりも低い位置に設けられている。これにより、外筒穴39h(連通部86h)の近傍には沸き上げ開始温度よりも高い温度の湯水を確保することができ、給湯用タンク内混合弁38を用いた給湯運転が可能となる。また、連通部86h近傍の湯水温度を正確に把握することができ、給湯運転時における制御性を向上することができる。
【0088】
また、沸き上げ運転において、ヒートポンプユニット3で加熱された高温の湯水を沸き上げ用タンク内配管62の上端部から貯湯タンク2内に流出するようにしたため、貯湯タンク2内に存在する低温の湯水と混合することなく、高温水45を貯留することができる。このため、高温水45をより多く貯湯することができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0089】
また、沸き上げ運転終了に用いた貯湯用温度センサー34l(第2の加熱判断用温度センサー)は、外筒穴39l(連通部86l)と同じ高さかそれよりも高い位置に設けられている。これにより、外筒穴39l(連通部86l)の近傍には沸き上げ終了温度よりも低い温度の湯水を確保することができ、給湯用タンク内混合弁38を用いた給湯運転が可能となる。また、連通部86l近傍の湯水温度を正確に把握することができ、給湯運転時における制御性を向上することができる。
【0090】
また、風呂の追い焚き運転において、追い焚き用熱交換器18で放熱して中温水46となった湯水を、風呂用タンク内混合弁61の連通部86mから、貯湯タンク2内に流入するようにしている。このため、貯湯タンク2内に流入した中温水46と貯湯タンク2内の高温水45との混合が抑制され、高温水45の温度低下を防ぐことができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。さらに、貯湯タンク2内の低温水47との混合も抑制されるため、低温水47の温度上昇を防ぐことができ、ヒートポンプユニット3で沸き上げる際に高いCOPが確保される。さらに、貯湯タンク2に中温水46を集約して貯留することができるため、給湯運転における給湯用タンク内混合弁38の制御や、風呂の湯はり運転における風呂用タンク内混合弁61の制御が容易となる。
【0091】
また、給湯用タンク内混合弁38と風呂用タンク内混合弁61の2本のタンク内混合弁を貯湯タンク2に設けたため、給湯運転において貯湯タンク2から給湯栓4に湯水が流れる経路と、風呂の湯はり運転において貯湯タンク2から風呂の浴槽6に湯水が流れる経路とは重複することなく、完全に別の経路となる。また、貯湯タンク2の容積は大きいので、貯湯タンク2から給湯用タンク内混合弁38へ流入する湯水と、貯湯タンク2から風呂用タンク内混合弁61へ流入する湯水とは、相互の影響を受けにくい。このため、給湯運転と風呂の湯はり運転を同時に行う場合であっても、温度の変動が少ない状態で給湯栓4から湯水を取り出せるとともに、温度の変動が少ない状態で風呂の浴槽6に湯はりを行うことができる。また、給湯用タンク内混合弁38の制御及び風呂用タンク内混合弁61の制御も容易となる。
【0092】
また、給湯用タンク内混合弁38の外筒穴39m(中間連通部86m)の位置と風呂用タンク内混合弁61の外筒穴59m(中間連通部86m)の位置がほぼ等しく配置されている。このため、風呂の追い焚き運転で生じた中温水46は風呂用タンク内混合弁61の連通部86mを介して貯湯タンク2内に貯留されるが、その中温水46を給湯用タンク内混合弁38の連通部86mを介して貯湯タンク2から取り出し、給湯運転に使用することができる。また、貯湯タンク2内に占める中温水46を低減して、高温水45をより多く貯湯することができるため、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0093】
また、給湯用タンク内混合弁38と風呂用タンク内混合弁61と沸き上げ用タンク内配管62は、それぞれ貯湯タンク2内に設けられている。このため、給湯運転において貯湯タンク2から給湯栓4まで湯水が流れる経路と、風呂の湯はり運転において貯湯タンク2から風呂の浴槽6まで湯水が流れる経路と、沸き上げ運転における経路とは、それぞれ重複することなく、完全に別の経路となっている。したがって、給湯運転と風呂の湯はり運転と沸き上げ運転を同時に行う場合であっても、温度の変動が少ない状態で給湯栓4から湯水を取り出すとともに、温度の変動が少ない状態で風呂の浴槽6に湯はりを行うことができる。また、給湯運転と風呂の湯はり運転を同時に行うため、貯湯タンク2内の高温水45の消費量が多くなるが、沸き上げ運転を同時に実施することができるため、貯湯タンク2内の高温水45を補給することができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0094】
また、給湯運転と風呂の追い焚き運転と沸き上げ運転を同時に行う場合、ヒートポンプユニット3で加熱されて高温となった湯水の一部又は全部は、貯湯タンク2に流入することなく、直接追い焚き用熱交換器18に流入させて風呂の追い焚き運転に使用できるようになっている。このため、ヒートポンプユニット3で沸き上げた湯水を、温度低下が少ない状態で風呂の追い焚き運転に利用することができ、エネルギ効率を向上することができる。
【0095】
なお、本実施の形態1では、給湯用タンク内混合弁38と風呂用タンク内混合弁61について、貯湯タンク2の中間に位置する外筒穴39m(連通部86m)を1箇所設ける場合を示したが、貯湯タンク2の中間に位置する外筒穴39m(連通部86m)を2箇所以上設けてもよい。
【0096】
また、本実施の形態1では、外筒穴39h、外筒穴39m及び外筒穴39lを外筒80の周方向において同一位置となるように配置し、中筒穴41h、中筒穴41m及び中筒穴41lを各中心線が中筒81の周方向を3等分するように間隔をおいて配置するようにした。これに限らず、例えば、外筒穴39h、外筒穴39m及び外筒穴39lを各中心線が中筒81の周方向を3等分するように(連通部86の数に応じて分割)間隔をおいて配置し、中筒穴41h、中筒穴41m及び中筒穴41lを周方向において同一位置となるように配置してもよい。
【0097】
また、中筒穴41h、中筒穴41m、中筒穴41lの順番に、中筒81の周方向にずれるように配置したが、中筒穴41の配置は、上から下に順にずれる配置でなくてもよい。ただし、この場合は、タンク内混合弁の制御が複雑になる。このため、本実施の形態1では、中筒穴41h、中筒穴41m、中筒穴41lの順番に、中筒81の周方向にずれるように配置している。
【0098】
また、給湯用タンク内混合弁38及び風呂用タンク内混合弁61の構造は、本実施の形態1に示す構造に限られるものではない。給湯用タンク内混合弁38及び風呂用タンク内混合弁61の構造は、連通部86が開閉できる構造であればよい。
【0099】
また、本実施の形態1では、風呂の追い焚き運転で生じた中温水46を、風呂用タンク内混合弁61の貯湯タンク2の中間に位置する連通部86m(外筒穴59m)を介して、貯湯タンク2内に流入させるようにしたが、中温水46をもどす位置は任意である。例えば、風呂の追い焚き運転の開始時等は、追い焚き用熱交換器18を通過した後の湯水(高温水45)の温度低下が小さい。このような場合、貯湯タンク2の上面近傍に位置する風呂用タンク内混合弁61の連通部86hを開口させて、高温水45の領域に湯水を戻すようにしてもよい。これにより、追い焚き用熱交換器18を通過した後の高い温度の湯水と、貯湯タンク2内に存在する中温水46や低温水47との混合が抑制され、高い温度の湯水の温度低下を防ぐことができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0100】
また、追い焚き用熱交換器18を通過した後の湯水の温度が著しく低下した場合は、貯湯タンク2の下面近傍に位置する風呂用タンク内混合弁61の連通部86lを開口させて、低温水47の領域に湯水を戻すようにしてもよい。これにより、追い焚き用熱交換器18を通過した後の低い温度の湯水と、貯湯タンク2内に存在する高温水45や中温水46との混合も抑制されるため、高温水45や中温水46の温度低下を防ぐことができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0101】
また、本実施の形態1では、一重管の沸き上げ用タンク内配管62を使う例を示したが、沸き上げ用タンク内配管62として二重管構造のタンク内混合弁を用いてもよい。
【0102】
また、貯湯タンク2内に配置するタンク内混合弁及び沸き上げ用タンク内配管62の構造や、材料、設置方法、取り出し方向も任意であり、貯湯タンク2の上側から湯水を流出入するようにしてもよい。例えば、図26に示すように、貯湯タンク2の上側から湯水を流出入するようにしてもよい。このとき、支持構造44を貯湯タンク2の下側に設けて、タンク内混合弁を支持するようにすればよい。また、例えば、貯湯タンク2内に設置するタンク内混合弁及び沸き上げ用タンク内配管62を貯湯タンク2の上面と下面を貫通するように設置してもかまわない。また、モーター35及びモーター53の設置位置と、貯湯タンク2から取り出す湯水の位置とを、貯湯タンク2の上下に分けて配置してもよい。
【0103】
また、例えば、貯湯タンク2内に配置するタンク内混合弁や沸き上げ用タンク内配管62を、金属のような熱伝導率の高い材料ではなく、樹脂材料のような熱伝導性の低い材料で構成してもよい。この場合、タンク内混合弁や沸き上げ用タンク内配管62を熱伝導体として、貯湯タンク2内の高温水45、中温水46、低温水47のそれぞれの領域間を熱が移動することを抑制できる。また、タンク内混合弁や沸き上げ用タンク内配管62を通過する高温水45から貯湯タンク2内に存在する中温水46及び低温水47への熱移動を抑制できる。これにより、高温水45の温度低下を防ぐことができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。また、低温水47の温度上昇を防ぐことができ、高いCOPが確保される。
【0104】
また、貯湯タンク2内に設置するタンク内混合弁及び配管の数は任意であり、給湯用、風呂用、沸き上げ用以外の用途に利用してもかまわない。
また、貯湯用温度センサー34、給湯用温度センサー33、沸き上げ温度センサー23、風呂用温度センサー40等のセンサー類の設置場所や、数、種類、設置方法についても任意である。貯湯用温度センサー34については、設置する数が多いほど、貯湯タンク2内の温度分布や湯量を詳細に把握することができる。このため、タンク内混合弁の連通部86をより緻密に制御することにより、貯湯タンク2内の中温水46をより効果的に取り出して利用することができる。
【0105】
また、給湯運転や風呂の湯はり運転の開始直後におけるタンク内混合弁の初期ポジションは、必ずしも貯湯用温度センサー34を用いて決定される必要はない。例えば、貯湯タンク2の下側に位置する連通部86lが必ず初期ポジションとなるように設定してもかまわない。この場合、開始直後の湯水の温度は低いものの、給湯用温度センサー33(又は風呂用温度センサー40)と要求温度Taとを比較してタンク内混合弁を制御することで、貯湯用温度センサー34を用いずに、給湯運転や風呂の湯はり運転を実施することが可能となる。
【0106】
また、本実施の形態1では、給湯用タンク内混合弁38(風呂用タンク内混合弁61)の動作として図11に示す状態(貯湯タンク2の上面近傍に位置する連通部86hと貯湯タンク2の下面近傍に位置する連通部86lの開口面積を調整する動作)を用いなかったが、給湯用タンク内混合弁38(風呂用タンク内混合弁61)の動作として図11に示す状態を用いてもよい。例えば、貯湯タンク2内に、上から高温水45、中温水46、低温水47と規則正しく温度成層が形成されていない場合等のように、給湯用タンク内混合弁38等から取り出す湯水の温度制御が困難な場合には、連通部86hから高温水を、連通部86lから低温水を取り出すことで、湯水の温度調整が可能となる。
【0107】
また、風呂の追い焚き用熱交換器18の構造、設置場所は任意であり、風呂の追い焚き用熱交換器18を貯湯タンクユニット1の内側に設けてもよいし、貯湯タンクユニット1の外側に設けてもよい。
また、断熱材84で貯湯タンク2の上面と側面を完全に覆う例を示したが、貯湯タンク2の上面又は側面のいずれか一方が断熱材84で完全に覆われる構造としてもよい。つまり、貯湯タンク2の上面又は側面のいずれか一方に設けられた断熱材84が、貯湯タンク2に連通する配管類によって貫通されない構造であってもよい。
【0108】
また、給湯用タンク内混合弁38と風呂用タンク内混合弁61を別々に用いる例を示したが、給湯と風呂の湯はりで要求温度が等しい場合や、片方の要求温度で温度差を許容できる場合や、運転するタイミングが異なる場合等、給湯用タンク内混合弁38と風呂用タンク内混合弁61を1つのタンク内混合弁で共有し、給湯用供給配管32と風呂用供給配管20をタンク内混合弁の出口又は下流で分岐するようにしてもよい。
【0109】
また、給湯用タンク内混合弁38の外筒穴39m(連通部86m)の位置と風呂用タンク内混合弁61の外筒穴59m(連通部86m)の位置をほぼ等しく配置するようにしたが、給湯用タンク内混合弁38の外筒穴39mの位置を、風呂用タンク内混合弁61の外筒穴59mの位置よりも上側に設けてもよい。給湯運転のみを実行する場合の動作で説明したように、給湯運転が続くとともに貯湯タンク2内に存在する中温水46の位置が上昇する。このため、給湯用タンク内混合弁38の外筒穴39m(連通部86m)の位置を風呂用タンク内混合弁61の外筒穴59m(連通部86m)の位置よりも上側に配置することにより、給湯運転と風呂の追い焚き運転を同時に実行する場合等において、風呂の追い焚きで発生した中温水46を給湯運転でより多く使用することができる。したがって、貯湯タンク2内に占める中温水46を低減して、高温水45をより多く貯湯することができるため、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0110】
実施の形態2.
図27は、本発明の実施の形態2による貯湯式給湯装置を示す構成図である。なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とする。
【0111】
本実施の形態2では、貯湯タンク2内に設けられた給湯用タンク内混合弁38及び風呂用タンク内混合弁61のそれぞれに、異なる中間高さに2箇所の外筒穴(連通部)を設けている。より詳しくは、貯湯タンク2内に設けられた給湯用タンク内混合弁38に、異なる中間高さの外筒穴39m(連通部86m)及び外筒穴39m’(連通部86m’)を設けている。また、貯湯タンク2内に設けられた風呂用タンク内混合弁61に、異なる中間高さの外筒穴59m(連通部86m)及び外筒穴59m’(連通部86m’)を設けている。
外筒穴39m(外筒穴59m)は、外筒穴39m’(外筒穴59m’)よりも低い位置に設けられている。また、外筒穴39m(外筒穴59m)及び外筒穴39m’(外筒穴59m’)の各々と同じ高さとなる貯湯タンク2の側面には、貯湯用温度センサー34m及び貯湯用温度センサー34m’が設けられている。
なお、貯湯用温度センサー34m及び貯湯用温度センサー34m’のそれぞれが外筒穴39m(外筒穴59m)及び外筒穴39m’(外筒穴59m’)とほぼ等しい高さに設置されている場合、両者が同じ高さに設置されていると称する。
【0112】
ここで、図14のフローを用いて、本実施の形態2に係る初期ポジションの決定方法について説明する。以下では、給湯用タンク内混合弁38の初期ポジションを決定する場合について説明する。
【0113】
まず、低い側の中間連通部となる外筒穴39m(連通部86m)と同じ高さに設けられた貯湯用温度センサー34mを用いて判定を行う。ステップS3において、貯湯用温度センサー34mの検出温度Tmが要求温度Taよりも大きい場合、貯湯タンク2の下面近傍に位置する連通部86lのみが開口する状態を初期ポジションとする(ステップS4)。また、貯湯用温度センサー34mの検出温度Tmが要求温度Ta以下である場合、ステップS21に進む。ステップS21では、貯湯タンクユニット制御部85は、高い側の中間連通部となる外筒穴39m’(連通部86m’)と同じ高さに設けられた貯湯用温度センサー34m’の検出温度Tm’を検出する。そして、貯湯タンクユニット制御部85は、貯湯用温度センサー34m’の検出温度Tm’と要求温度Taを比較する(ステップS22)。
【0114】
貯湯用温度センサー34m’の検出温度Tm’が要求温度Taよりも大きい場合、貯湯タンクユニット制御部85は、「要求温度Taにほぼ等しい湯水が、外筒穴39m(連通部86m)と外筒穴39m’(連通部86m’)の間に存在する」と判断し、ステップS5に進む。そして、外筒穴39m’(連通部86m’)の近傍には高温水45が存在する可能性があるため、連通部86mのみが開口する状態を初期ポジションとする。
一方、貯湯用温度センサー34m’の検出温度Tm’が要求温度Ta以下の場合、貯湯タンクユニット制御部85は、「要求温度Taにほぼ等しい湯水が、外筒穴39m’(連通部86m’)と外筒穴39h(連通部86h)の間に存在する」と判断し、ステップS23に進む。そして、連通部86m’のみが開口する状態を初期ポジションとする。
【0115】
なお、連通部86mは3箇所以上あってもよい。この場合、連通部86mの中でもっとも低い位置にある連通部86mから同様の判定を繰り返す。これにより、貯湯タンク2の中間に位置する連通部86mの中で、要求温度Taよりも温度が低く、かつ、もっとも高い位置にある連通部86mが初期ポジションに決定される。
【0116】
これにより、貯湯タンク2内に存在する中温水46の中でも、要求温度Taよりも低い温度で、かつ要求温度Taに近い温度の中温水46を取り出して利用できるようになる。また、貯湯タンク2からより多くの中温水46を取り出して利用することが可能となり、貯湯タンク2内に溜まった中温水46を効果的に利用することができる。また、給湯運転や風呂の湯はり運転の開始段階から、貯湯タンク2内の中温水46を取り出して利用できる可能性が増える。このため、貯湯タンク2内に占める中温水46を低減して、高温水45をより多く貯湯することができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0117】
また、本実施の形態2では、風呂の追い焚き運転において、風呂用供給配管20を流れる追い焚き用熱交換器18を通過した後の湯水の温度を風呂用温度センサー40により検出し、この検出温度と貯湯用温度センサー34で検出した温度と比較している。そして、風呂用温度センサー40で検出した温度に近い値を示す貯湯用温度センサー34を選択し、選択された貯湯用温度センサー34とほぼ同じ高さに位置する風呂用タンク内混合弁61の連通部86を介して、貯湯タンク2内に湯水を流入させている。これにより、風呂の追い焚き運転で生じた中温水46を、貯湯タンク2内に存在する温度の近い中温水46の領域に流入させることができる。このため、貯湯タンク2内に流入する中温水46が高温水45や低温水47と混合拡散することをさらに抑制することができ、貯湯タンク2にさらに効率よく中温水46を集約して貯留することができる。
【0118】
実施の形態3.
図28は、本発明の実施の形態3による貯湯式給湯装置を示す構成図である。なお、本実施の形態3において、特に記述しない項目については実施の形態1又は実施の形態2と同様とする。
本実施の形態3では、貯湯タンク2内に、実施の形態1で示した沸き上げ用タンク内配管62の代わりとして沸き上げ用タンク内混合弁63が設置されている。沸き上げ用タンク内混合弁63の構造は、給湯用タンク内混合弁38及び風呂用タンク内混合弁61と同じ構造である。
【0119】
ヒートポンプユニット3を起動した際、ヒートポンプ冷媒回路15は安定するまでに時間が必要である。このため、沸き上げ運転直後は、ヒートポンプユニット3が低温水47を高温水45(例えば90℃)まで加熱することができず、中温水46が生じる。このとき、この中温水46を貯湯タンク2の高温水領域に戻すと、中温水46と高温水45が混合して、高温水45の温度が低下してしまう。このため、ヒートポンプユニット3の起動時(沸き上げ運転開始時)に生じた中温水46を、貯湯タンク2内の高温水45と混合しないように、貯湯タンク2内の中温水46が存在する領域に流入させることが求められる。
【0120】
そこで、本実施の形態3に係る貯湯式給湯装置は、沸き上げ運転の際、沸き上げ用タンク内混合弁63を以下のように制御している。
まず、沸き上げ運転の開始時には、モーター54を駆動して沸き上げ用タンク内混合弁63の中筒を回転させ、沸き上げ用タンク内混合弁63の貯湯タンク2の中間に位置する連通部86m(外筒穴60m)が開口する状態にする。このとき、沸き上げ用タンク内混合弁63は図8に示したような状態となる。
【0121】
ヒートポンプユニット3の起動時からヒートポンプ冷媒回路15が安定するまでは、ヒートポンプユニット3の冷媒−水熱交換器12を通過後に発生した中温水46を、沸き上げ用タンク内混合弁63の連通部86mから貯湯タンク2内に流入させる。
中温水46は、貯湯タンク2の中間位置に貯留されることが多い。このため、沸き上げ運転の起動時に発生した中温水46が貯湯タンク2の中間位置に流入することにより、この中温水46と貯湯タンク内の高温水45との混合が抑制される。これにより、高温水45の温度低下を防ぐことができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。また、貯湯タンク2内の低温水47との混合も抑制されるため、低温水47の温度上昇を防ぐことができ、高いCOPが確保される。また、貯湯タンク2に中温水46を集約して貯留することができるため、給湯運転における給湯用タンク内混合弁38の制御や、風呂の湯はり運転における風呂用タンク内混合弁61の制御が容易となる。
【0122】
ヒートポンプ冷媒回路15が安定した後は、モーター54を駆動して沸き上げ用タンク内混合弁63の中筒を回転させ、沸き上げ用タンク内混合弁63の貯湯タンク2の上面近傍に位置する連通部86h(外筒穴60h)を開口する。このとき、冷媒−水熱交換器12で加熱されて高温となった湯水は、貯湯タンク2の上部に溜まった高温水45が存在する領域に流入する。このため、冷媒−水熱交換器12で加熱されて高温となった湯水を、貯湯タンク2内に存在する中温水46や低温水47と混合することなく、高温水領域に貯留することができる。これにより、高温水45をより多く貯湯することができるため、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0123】
なお、本実施の形態3に係る風呂用タンク内混合弁61には、貯湯タンク2の中間に位置する外筒穴60m(連通部86m)を1箇所設ける構成としている。これに限らず、貯湯タンク2の中間に位置する外筒穴39m(連通部86m)を2箇所以上設けてもよい。
【0124】
また、沸き上げ温度センサー23の検出温度と、貯湯用温度センサー34の検出温度とを比較しながら、両者の温度がほぼ等しくなる温度領域の連通部86mを開口させて、沸き上げ運転により生じた中温水46を貯湯タンク2内の中温水領域に流入させてもよい。これにより、沸き上げ運転により生じた中温水46が貯湯タンク2内へ流入する際、貯湯タンク2内の高温水45や低温水47との混合をさらに抑制することが可能となる。さらに高温水45の温度低下を防ぐことができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。また、低温水47の温度上昇を防ぐことができ、高いCOPが確保される。
【0125】
また、ヒートポンプ冷媒回路15が安定したかどうかの判断は、種々の方法で判断可能である。例えば、沸き上げ温度センサー23の検出温度が安定したことで、ヒートポンプ冷媒回路15が安定したと判断してもよい。例えば、沸き上げ温度センサー23の検出温度がある温度(例えば90℃)以上となったとき、ヒートポンプ冷媒回路15が安定したと判断してもよい。例えば、ヒートポンプ冷媒回路15が安定するまでの時間(例えば10分)をあらかじめ設定しておいてもよい。
【0126】
また、沸き上げ用タンク内混合弁63に設ける連通部86の位置は任意である。例えば、沸き上げ用タンク内配管62の中間に位置する連通部86m(外筒穴60m)の位置を、給湯用タンク内混合弁38の連通部86m(外筒穴39m)の位置及び風呂用タンク内混合弁61の連通部86m(外筒穴59m)の位置よりも下側に配置してもよい。沸き上げ運転、給湯運転及び風呂の湯はり運転を同時に実行する場合等において、沸き上げ運転の開始時に発生した中温水46を給湯運転及び風呂の湯はりでより多く使用することができる。このため、貯湯タンク2内に占める中温水46を低減して高温水45をより多く貯湯することができるため、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0127】
実施の形態4.
図29は、本発明の実施の形態4による貯湯式給湯装置を示す構成図である。なお、本実施の形態4において、特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態3と同様とする。
【0128】
本実施の形態4に係る貯湯タンク2内には、タンク内配管である一重円筒の暖房用タンク内配管73が上下方向に延びて設けられている。この暖房用タンク内配管73は、その上部が閉止されており、貯湯タンク2の中間高さとなる位置に連通部74が設けられている。
【0129】
また、本実施の形態4に係る貯湯式給湯装置には、暖房端末75と、暖房端末75に流れる流体を加熱するための暖房用熱交換器79が設けられている。暖房用熱交換器79は、暖房端末配管76を介して暖房端末75と接続されている。暖房端末配管76には、暖房端末75から暖房用熱交換器79に流体を循環させる暖房端末用循環ポンプ77が設けられている。また、暖房用熱交換器79は、暖房行き配管50を介して高温水配管10及びヒートポンプ戻り配管52と接続されており、暖房戻り配管51を介して暖房用タンク内配管73の下端部と接続されている。暖房戻り配管51には、貯湯タンク2やヒートポンプユニット3から暖房用熱交換器79に湯水を循環させる暖房用循環ポンプ78が設けられている。また、暖房戻り配管51には、暖房戻り配管51を流れる(暖房用熱交換器79から流出した)湯水の温度を検出する暖房用温度センサー64が設けられている。
ここで、暖房端末75は、床暖房や浴室乾燥機等の高温水45を熱源とする装置である。
【0130】
本実施の形態4では、給湯運転、風呂の湯はり運転及び風呂の追い焚き運転、沸き上げ運転に加えて、暖房端末75を運転する暖房端末運転が可能である。
【0131】
例えば、利用者が設定パネル5で暖房端末運転を指示すると、貯湯タンクユニット制御部85は暖房端末運転を開始する。暖房端末運転では、暖房用循環ポンプ78と、暖房端末用循環ポンプ77を駆動する。
【0132】
暖房用循環ポンプ78の駆動により、貯湯タンク2内の高温水45は、貯湯タンク2に設けた沸き上げ用タンク内配管62を介して高温水配管10へ送られ、暖房用行き配管50を通って暖房用熱交換器79に流入する。また、暖房端末用循環ポンプ77の駆動により、暖房端末75から低い温度の湯水が暖房端末配管76を通って循環され、暖房用熱交換器79に流入する。暖房用熱交換器79では、貯湯タンク2から取り出された高温水45と、暖房端末75から循環された低い温度の湯水が熱交換する。暖房端末75から流入した湯水は、暖房用熱交換器79で加熱された後、再び暖房端末75に戻って暖房端末75における放熱に使用される。一方、貯湯タンク2から取り出された高温水45は、暖房用熱交換器79で放熱して中温水46となり、暖房用戻り配管51及び暖房用タンク内配管73を通って貯湯タンク2の中間位置まで進み、暖房用タンク内配管73の連通部74から貯湯タンク2内に流入する。
【0133】
中温水46は、貯湯タンク2の中間位置に貯留されることが多い。このため、暖房端末運転で中温水46となった湯水を、暖房用タンク内混合弁69を介して、貯湯タンク2の中間位置に流入させる。これにより、この中温水46と貯湯タンク2内の高温水45との混合が抑制され、高温水45の温度低下を防ぐことができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。また、貯湯タンク2内の低温水47との混合も抑制されるため、低温水47の温度上昇を防ぐことができ、高いCOPが確保される。
【0134】
なお、本実施の形態4では、一重管の暖房用タンク内配管73を使う例を示したが、図30に示すように、暖房用タンク内配管73に代えて二重管構造の暖房用タンク内混合弁69を用いてもよい。暖房用タンク内混合弁69の構造は、給湯用タンク内混合弁38と同様の構造である。また、暖房用タンク内混合弁69には、貯湯タンク2の中間となる位置に、連通部86mを2箇所以上設けてもよい。
【0135】
暖房用タンク内混合弁69を用いることにより、暖房用温度センサー64の検出温度と貯湯用温度センサー34の検出温度とを比較しながら、両者の温度がほぼ等しくなる温度領域の連通部86mを開口させて、暖房端末運転により生じた中温水46を貯湯タンク2内の中温水領域に流入させることができる。これにより、暖房端末運転により生じた中温水46が貯湯タンク2内へ流入する際、貯湯タンク2内の高温水45や低温水47との混合をさらに抑制することが可能となる。さらに高温水45の温度低下を防ぐことができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。また、低温水47の温度上昇を防ぐことができ、高いCOPが確保される。
【0136】
また、図30に示す暖房用タンク内混合弁69は、貯湯タンク2の上面近傍及び下面近傍となる位置に連通部86を設けない構造を示したが、貯湯タンク2の上面近傍及び下面近傍となる位置に連通部86を設けるようにしてもかまわない。例えば、暖房端末運転の開始時等で、暖房用熱交換器79を通過した後の湯水の温度が低下しない場合は、貯湯タンク2の上面近傍に位置する暖房用タンク内混合弁69の連通部86を開口させて、高温水45の領域に湯水を戻すようにしてもよい。これにより、暖房用熱交換器79を通過した後の高い温度の湯水と、貯湯タンク2内に存在する中温水46や低温水47との混合が抑制され、高い温度の湯水の温度低下を防ぐことができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0137】
また、暖房用熱交換器79を通過した後の湯水の温度が著しく低下した場合は、貯湯タンク2の下面近傍に位置する暖房用タンク内混合弁69の連通部86を開口させて、低温水47の領域に湯水を戻すようにしてもよい。これにより、暖房用熱交換器79を通過した後の低い温度の湯水と、貯湯タンク2内に存在する高温水45や中温水46との混合も抑制されるため、低い温度の湯水の温度上昇を防ぐことができ、高いCOPが確保される。
【0138】
また、暖房用熱交換器79の構造、設置場所等は任意である。
【0139】
また、本実施の形態4では暖房端末運転のみを実施する場合について説明したが、給湯運転、風呂の湯はり運転及び風呂の追い焚き運転、沸き上げ運転のいずれか1つ以上と同時に運転してももちろんよい。
なお、暖房運転と、給湯運転と風呂の湯はり運転のいずれか1つ以上とを同時に実行する場合、暖房端末運転で生じた中温水46が貯湯タンク2内に貯留されるが、その中温水46を給湯運転又は風呂の湯はり運転に使用することができる。このため、貯湯タンク2内に溜まった中温水46を効果的に利用することができる。また、貯湯タンク2内に占める中温水46を低減して、高温水45をより多く貯湯することができるため、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0140】
また、暖房端末運転と沸き上げ運転とを同時に実効する場合、沸き上げ運転で生じた高温水45を貯湯タンク2に戻すことなく、暖房端末運転に直接利用することもできる。暖房端末運転では貯湯タンク2内の高温水45の使用量が多くなるが、沸き上げ運転を同時に実施することができるため、高温水45を補給することができ、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0141】
また、暖房端末運転で生じた中温水46を、暖房用タンク内配管73の貯湯タンク2の中間に位置する連通部74を介して、貯湯タンク2内に流入させるようにしたが、中温水46をもどす位置は任意である。例えば、暖房用タンク内配管73の連通部74の位置を、給湯用タンク内混合弁38の外筒穴39m(連通部86m)の位置及び風呂用タンク内混合弁61の外筒穴59m(連通部86m)の位置よりも下側に配置してもよい。これにより、暖房端末運転、給湯運転、及び風呂の湯はり運転を同時に実行する場合等において、暖房用端末運転で発生した中温水46を給湯運転及び風呂の湯はりでより多く使用することができる。このため、貯湯タンク2内に占める中温水46を低減して、高温水45をより多く貯湯することができるので、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0142】
実施の形態5.
図31は、本発明の実施の形態5による貯湯式給湯装置を示す構成図である。なお、本実施の形態5において、特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態4と同様とする。
【0143】
本実施の形態5では、実施の形態1で貯湯タンク2の外に設けられた追い焚き用熱交換器18を、貯湯タンク2の内部にタンク内追い焚き用熱交換器88として配置したものである。タンク内追い焚き用熱交換器88は、例えば、銅配管を貯湯タンク2の内壁に沿って螺旋状に巻いた形状となっており、貯湯タンク2の上部に配置される。ここで、タンク内追い焚き用熱交換器88は、貯湯タンク2内の湯水と直接熱交換することができるため、貯湯タンク2内の湯水をタンク内追い焚き用熱交換器88へ送るための配管(図1の追い焚き用配管19、風呂用供給配管20)や、循環ポンプ(図1の追い焚き用循環ポンプ22)等が不要となる。
【0144】
例えば、利用者が設定パネル5で風呂の追い焚き運転を指示すると、貯湯タンクユニット制御部85は、風呂の追い焚き運転を開始する。風呂の追い焚き運転が開始されると、風呂用循環ポンプ26の駆動により、風呂の浴槽6から低い温度の湯水が取り出され、タンク内追い焚き用熱交換器88に流入する。貯湯タンク2内の上部に配置されたタンク内追い焚き用熱交換器88では、貯湯タンク2内の高温水45と、風呂の浴槽6から取り出された低い温度の湯水と、が熱交換する。風呂の浴槽6から取り出された湯水は、タンク内追い焚き用熱交換器88で加熱された後、再び風呂の浴槽6に戻る。一方、貯湯タンク2内の高温水は、タンク内追い焚き用熱交換器88で放熱して中温水46となる。
【0145】
以上のように、タンク内追い焚き用熱交換器88を貯湯タンク2内に配置したため、貯湯タンク2内の湯水をタンク内追い焚き用熱交換器88へ送るための配管や循環ポンプが不要となり、低コスト化をはかることができる。また、貯湯タンク2の外に、追い焚き用熱交換器18を配置する必要がなくなるため、貯湯タンクユニット1をコンパクト化することができるとともに、貯湯タンク2の取り回し配管を簡素化することができる。
なお、タンク内追い焚き用熱交換器88の貯湯タンク2内における配置場所は任意である。例えば、タンク内追い焚き用熱交換器88を貯湯タンク2内の中間高さに配置してもよい。
【0146】
また、タンク内追い焚き用熱交換器88に接続する配管を、貯湯タンク2の側面から取り出すようにしたが、貯湯タンクの上面又は下面から取り出してもよい。
【0147】
また、タンク内追い焚き用熱交換器88の素材や構造は任意である。なお、銅配管を用いてタンク内追い焚き用熱交換器88を構成する場合、タンク内追い焚き用熱交換器88の低コスト化が可能となる。
【0148】
また、タンク内追い焚き用熱交換器88を設置した箇所と同じ高さ、又はその上側に、給湯用タンク内混合弁38の外筒穴39m(連通部86m)及び風呂用タンク内混合弁61の外筒穴59m(連通部86m)を配置してもよい。風呂の沸き上げ運転で発生した中温水46を給湯運転及び風呂の湯はりでより多く使用することができる。これにより、貯湯タンク2内に占める中温水46を低減して、高温水45をより多く貯湯することができるので、貯湯タンク2内の高温水不足を解消することができる。
【0149】
また、本実施の形態5では風呂の追い焚き運転のみを説明したが、給湯運転、風呂の湯はり運転、沸き上げ運転も可能である。また、給湯運転と、風呂の湯はり運転又は風呂の追い焚き運転、沸き上げ運転のいずれか1つ以上を同時に実行してもよい。
【0150】
実施の形態6.
図32は、本発明の実施の形態6による貯湯式給湯装置を示す構成図である。なお、本実施の形態6において、特に記述しない項目については実施の形態1〜実施の形態5と同様とする。
【0151】
本実施の形態5では、実施の形態4で貯湯タンク2の外に設けられた暖房用熱交換器79を、貯湯タンク2の内部にタンク内暖房用熱交換器89として配置したものである。タンク内暖房用熱交換器89は、例えば、銅配管を貯湯タンク2の内壁に沿って螺旋状に巻いた形状となっており、貯湯タンク2の上部に配置される。ここで、タンク内暖房用熱交換器89は、貯湯タンク2内の湯水と直接熱交換することができるため、貯湯タンク2内の湯水をタンク内暖房用熱交換器89へ送るための配管(図29の暖房行き配管50、暖房戻り配管51)や、循環ポンプ(図29の暖房用循環ポンプ78)、タンク内の暖房用タンク内配管及び暖房用タンク内混合弁(図29の暖房用タンク内配管73、図30の暖房用タンク内混合弁69)が不要となる。
【0152】
例えば、利用者が設定パネル5で暖房端末運転を指示すると、貯湯タンクユニット制御部85は、暖房端末運転を開始する。暖房端末運転が開始されると、暖房端末用循環ポンプ77の駆動により、暖房端末75から低い温度の湯水が取り出され、タンク内暖房用熱交換器89に流入する。貯湯タンク2内の上部に配置されたタンク内暖房用熱交換器89では、貯湯タンク2内の高温水45と、暖房端末75から取り出された低い温度の湯水と、が熱交換する。暖房端末75から取り出された湯水は、タンク内暖房用熱交換器89で加熱された後、再び暖房端末75に戻る。一方、貯湯タンク2内の高温水は、タンク内追い焚き用熱交換器88で放熱して中温水46となる。
【0153】
以上のように、タンク内暖房用熱交換器89を貯湯タンク2内に配置したため、貯湯タンク2内の湯水をタンク内暖房用熱交換器89へ送るための配管や、循環ポンプ、タンク内の暖房用タンク内配管又は暖房用タンク内混合弁が不要となり、低コスト化をはかることができる。また、貯湯タンク2の外に、暖房用熱交換器79を配置する必要がなくなるため、貯湯タンクユニット1をコンパクト化することができるとともに、貯湯タンク2の取り回し配管を簡素化することができる。
なお、タンク内暖房用熱交換器89の貯湯タンク2内における配置場所は任意である。例えば、タンク内暖房用熱交換器89を貯湯タンク2の中間高さに配置してもよい。
【0154】
また、タンク内暖房用熱交換器89に接続する配管を、貯湯タンク2の側面から取り出すようにしたが、貯湯タンクの上面又は下面から取り出してもよい。
【0155】
また、タンク内暖房用熱交換器89の素材や構造は任意である。なお、銅配管を用いてタンク内暖房用熱交換器89を構成する場合、タンク内暖房用熱交換器89の低コスト化が可能となる。
【0156】
また、本実施の形態6では暖房端末運転のみを説明したが、給湯運転、風呂の湯はり運転及び風呂の追い焚き、沸き上げ運転も可能である。また、給湯運転と、風呂の湯はり運転又は風呂の追い焚き運転、沸き上げ運転のいずれか1つ以上を同時に実行してもよい。
【0157】
また、貯湯タンク2内に、タンク内暖房用熱交換器89とタンク内追い焚き用熱交換器88の両方を配置するようにしてもよい。
【0158】
以上、上記各実施の形態1〜実施の形態6では、加熱装置としてヒートポンプユニット3を用いてきた。しかしながら、加熱装置は勿論ヒートポンプユニット3に限定されるものではなく、ガス又は電気ヒータを用いて、貯湯タンク2内の湯水を加熱してもかまわない。電気ヒータで貯湯タンク2内の湯水を加熱する場合は、貯湯タンク2内に直接電気ヒータを設けることも可能である。
【0159】
また、ヒートポンプユニット3に使用する冷媒として二酸化炭素を用いたが、冷媒は二酸化炭素に限定されるものでないのは勿論であり、R410A等のフロン系冷媒や、その他の自然冷媒である炭化水素、フロン等を用いてもよい。また、地球温暖化係数(GWP:温室効果ガスである物質に対して地球の温暖化をもたらす程度を、二酸化炭素に係る当該程度に対する比を示す数値として国際的に認められた知見に基づき定められた係数)が低い冷媒であるテトラフルオロプロペンを冷凍サイクルに用いてもよい。
【符号の説明】
【0160】
1 貯湯タンクユニット、2 貯湯タンク、3 ヒートポンプユニット、4 給湯栓、5 設定パネル、6 風呂の浴槽、8 給水管、9 ヒートポンプ行き配管、10 高温水配管、11 圧縮機、12 冷媒−水熱交換器、13 電子膨張弁、14 強制空冷式の蒸発器、15 ヒートポンプ冷媒回路、16 ヒートポンプ循環ポンプ、17 ヒートポンプ制御回路、18 追い焚き用熱交換器、19 追い焚き用配管、20 風呂用供給配管、21,55 外部連通部、22 追い焚き用循環ポンプ、23 沸き上げ温度センサー、24 風呂浴槽配管、26 風呂用循環ポンプ、32 給湯用供給配管、33 給湯用温度センサー、34(34h,34m,34m’,34l) 貯湯用温度センサー、35,53,54 モーター、38 給湯用タンク内混合弁、39h,39m,39m’,39l 外筒穴、40 風呂用温度センサー、41h,41m,41m’,41l 中筒穴、42 外部連通穴、44 支持構造、45 高温水、46 中温水、47 低温水、50 暖房行き配管、51 暖房戻り配管、52 ヒートポンプ戻り配管、59h,59m,59m’,59l 外筒穴、60(60h,60m,60l) 外筒穴、61 風呂用タンク内混合弁、62 沸き上げ用タンク内配管、62a 連通部、63 沸き上げ用タンク内混合弁、64 暖房用温度センサー、69 暖房用タンク内混合弁、70 沸き上げ用流出穴、72 湯はり用電磁弁、73 暖房用タンク内配管、74 連通部、75 暖房端末、76 暖房端末配管、77 暖房端末用循環ポンプ、78 暖房用循環ポンプ、79 暖房用熱交換器、80 外筒、81 中筒、84 断熱材、85 貯湯タンクユニット制御部、86(86h,86m,86m’,86l) 連通部、87 作業窓、88 タンク内追い焚き用熱交換器、89 タンク内暖房用熱交換器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水が貯留される貯湯タンクと、
該貯湯タンクに貯留された湯水を加熱する加熱装置と、
を有し、
前記貯湯タンクの内部には、上下方向に延びて設けられたタンク内混合弁が備えられ、
該タンク内混合弁は、
前記貯湯タンクの上面近傍に形成された上側連通部、前記貯湯タンクの下面近傍に形成された下側連通部、及び前記上側連通部と前記下側連通部との間に形成された少なくとも1つ以上の中間連通部、を備えた複数の連通部を有し、
前記タンク内混合弁は、給湯用又は風呂用の弁として供給配管と接続され、
前記貯湯タンクに貯留された湯水を混合して取り出す際、
前記連通部のうちの少なくとも2つの連通部を開口し、
該連通部の開口面積を調整することを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記貯湯タンクから取り出された湯水の温度を検知する供給温度センサーを備え、
該供給温度センサーが検出する温度に基づいて、
開口させる前記連通部を選択し、該連通部の開口面積を調整することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
前記上側連通部と同じ高さ又は当該高さよりも低い位置に、前記貯湯タンクに貯留された湯水の温度を検出する第1の加熱判断用温度センサーを備え、
該第1の加熱判断用温度センサーが検出する温度が第1の所定温度よりも低下したとき、前記貯湯タンクに貯留された湯水を前記加熱装置で加熱する運転を開始することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記下側連通部と同じ高さ又は当該高さよりも高い位置に、前記貯湯タンクに貯留された湯水の温度を検出する第2の加熱判断用温度センサーを備え、
該第2の加熱判断用温度センサーが検出する温度が第2の所定温度よりも高くなったとき、前記貯湯タンクに貯留された湯水を前記加熱装置で加熱する運転を停止することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項5】
前記貯湯タンクに貯留された湯水を混合して取り出す際、
高さ方向に隣り合う2つの前記連通部を開口し、前記貯湯タンクに貯留された湯水を取り出すことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項6】
開口した前記連通部のうちの高い方の前記連通部の近傍に位置する前記貯湯タンク内の湯水の温度が所定温度よりも低い状態となった場合、
開口した前記連通部のうちの低い方の前記連通部を閉口し、
開口した前記連通部のうちの高い方の前記連通部と隣り合い、該連通部よりも高い位置の前記連通部を開口し、
開口した前記連通部のうちの低い方の前記連通部の近傍に位置する前記貯湯タンク内の湯水の温度が所定温度よりも高い状態となった場合、
開口した前記連通部のうちの高い方の前記連通部を閉口し、
開口した前記連通部のうちの低い方の前記連通部と隣り合い、該連通部よりも低い位置の前記連通部を開口することを特徴とする請求項5に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項7】
前記貯湯タンクの内部には、給湯用又は風呂用の弁として、複数の前記タンク内混合弁が備えられていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項8】
前記貯湯タンクに流入する湯水は、前記貯湯タンクの下面側から流入し、
前記貯湯タンクから取り出される湯水は、前記貯湯タンクの下面側から取り出されることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項9】
前記貯湯タンクの内部に上下方向に延びて設けられたタンク内配管を少なくとも1つ以上備え、
前記タンク内配管は、
前記貯湯タンクの上面近傍又は中間の高さとなる位置に連通部が形成されていることを特徴とする請求項8に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項10】
前記加熱装置はヒートポンプユニットであり、
該ヒートポンプユニットで加熱された湯水は、前記タンク内配管を通過して前記貯湯タンクに流入することを特徴とする請求項9に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項11】
前記加熱装置となるヒートポンプユニットと、
該ヒートポンプユニットで加熱された湯水の温度を検出する沸き上げ温度センサーと、
前記貯湯タンクに上下方向に配置され、前記貯湯タンクに貯湯された湯水の温度を検出する複数の貯湯用温度センサーと、
を有し、
前記貯湯タンクの内部には、給湯用の弁となる前記タンク内混合弁とは別のタンク内混合弁が備えられ、
該タンク内混合弁は、加熱装置用の弁として、前記ヒートポンプユニットで加熱された湯水が流れる配管と接続され、
検出温度が前記沸き上げ温度センサーの検出温度と最も近くなる前記貯湯用温度センサーを選択し、
該貯湯用温度センサー以下の高さで該貯湯用温度センサーに最も近い位置の前記連通部を開口し、
前記ヒートポンプユニットで加熱された湯水を前記貯湯タンクに流入させることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項12】
前記貯湯タンクに貯留された湯水と、風呂の浴槽から取り出した湯水及び暖房端末を流れる湯水の少なくとも一方と、が熱交換する熱交換器を前記貯湯タンクの内部に備えたことを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項13】
前記貯湯タンクの外部に設けられ、前記貯湯タンクに貯留された湯水と、風呂の浴槽から取り出した湯水及び暖房端末を流れる湯水の少なくとも一方と、が熱交換する熱交換器と、
前記熱交換器を通過した湯水のうちの前記貯湯タンクに戻る湯水の温度を検出する熱交換器温度センサーと、
前記貯湯タンクに上下方向に配置され、前記貯湯タンクに貯湯された湯水の温度を検出する複数の貯湯用温度センサーと、
を有し、
前記貯湯タンクの内部には、給湯用の弁となる前記タンク内混合弁とは別のタンク内混合弁が備えられ、
該タンク内混合弁は、熱交換器用の弁として、前記貯湯タンクに戻る湯水が流れる配管と接続され、
検出温度が前記熱交換器温度センサーの検出温度と最も近くなる前記貯湯用温度センサーを選択し、
該貯湯用温度センサー以下の高さで該貯湯用温度センサーに最も近い位置の前記連通部を開口し、
前記貯湯タンクに戻る湯水を前記貯湯タンクに流入させることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項14】
前記貯湯タンクの外部に設けられ、前記貯湯タンクに貯留された湯水と、風呂の浴槽から取り出した湯水及び暖房端末を流れる湯水の少なくとも一方と、が熱交換する熱交換器と、
前記熱交換器を通過した湯水のうちの前記貯湯タンクに戻る湯水の温度を検出する熱交換器温度センサーと、
を有し、
前記貯湯タンクの内部には、給湯用の弁となる前記タンク内混合弁及び加熱装置用の弁となる前記タンク内混合弁とは別のタンク内混合弁が備えられ、
該タンク内混合弁は、熱交換器用の弁として、前記貯湯タンクに戻る湯水が流れる配管と接続され、
検出温度が前記熱交換器温度センサーの検出温度と最も近くなる前記貯湯用温度センサーを選択し、
該貯湯用温度センサー以下の高さで該貯湯用温度センサーに最も近い位置の前記連通部を開口し、
前記貯湯タンクに戻る湯水を前記貯湯タンクに流入させることを特徴とする請求項11に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項15】
熱交換器用の弁となる前記タンク内混合弁は、給湯用の弁としても用いられることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項16】
加熱装置用の弁となる前記タンク内混合弁に形成された前記中間連通部及び熱交換器用の弁となる前記タンク内混合弁に形成された前記中間連通部のうちの少なくとも1つは、
給湯用の弁となる前記タンク内混合弁に形成された前記中間連通部のうちの少なくとも1つと同じ高さ、又は該中間連通部よりも低い高さに形成されていることを特徴とする請求項13〜請求項15のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項17】
前記タンク内混合弁は、
外筒と、該外筒の内側に配置された中筒と、を備え、
前記外筒は、前記上側連通部を構成する第1の外筒穴と、前記中間連通部を構成する少なくとも1つ以上の第2の外筒穴と、前記下側連通部を構成する第3の外筒穴と、を有し、
前記中筒は、前記上側連通部を構成する第1の中筒穴と、前記中間連通部を構成する少なくとも1つ以上の第2の中筒穴と、前記下側連通部を構成する第3の中筒穴と、を有し、
前記第1の外筒穴と前記第1の中筒穴とが重合することで、前記上側連通部の連通部が開口し、
前記第2の外筒穴と前記第2の中筒穴とが重合することで、前記中間連通部の連通部が開口し、
前記第3の外筒穴と前記第3の中筒穴とが重合することで、前記下側連通部の連通部が開口し、
前記外筒及び前記中筒の少なくとも一方を周方向に回転させることにより、所定の前記連通部を開口し、該連通部の開口面積を調整することを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項18】
所望の要求温度での給湯が要求され、前記貯湯タンクに貯留された湯水の取り出しを開始する際、
給湯用の弁となる前記タンク内混合弁は、前記要求温度よりも低い温度領域に配置されている前記連通部が開口され、
前記貯湯タンクに貯留された湯水の取り出しを開始することを特徴とする請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項19】
前記貯湯用温度センサーは、給湯用の弁となる前記タンク内混合弁の前記連通部のそれぞれと同じ高さに設けられ、
所望の要求温度での給湯が要求され、前記貯湯タンクに貯留された湯水の取り出しを開始する際、
前記要求温度よりも低い温度を検出する前記貯湯用温度センサーのうち、もっとも高い位置に配置された前記貯湯用温度センサーを選択し、
給湯用の弁となる前記タンク内混合弁は、選択された該貯湯用温度センサーと同じ高さに配置された前記連通部が開口され、
前記貯湯タンクに貯留された湯水の取り出しを開始することを特徴とする請求項11,13,14のいずれか1項に記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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