説明

赤外線検知装置

【課題】レンズを用いることなく比較的近い位置に存在する検知対象物の動きを確実に検出することが可能な赤外線検知装置を提供する。
【解決手段】赤外線検知装置1は、第1の焦電素子11及び第2の焦電素子12と、遮光部14aとを備える。検知対象物Hが基準位置に存在するときに第1,第2の焦電素子11,12に入射する赤外線の量をそれぞれ第1,第2の基準量とする。遮光部14aは、検知対象物Hが第2の焦電素子12側に存在するときに、赤外線が遮光部14aによって遮られて、第1の焦電素子11に入射する赤外線の量が第1の基準量より小さくなり、かつ、検知対象物Hが第1の焦電素子11側に存在するときに、赤外線が遮光部14aによって遮られて、第2の焦電素子12に入射する赤外線の量が第2の基準量より小さくなるように、配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体などの赤外線放射体を検知する赤外線検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、焦電素子を利用して、人体などの赤外線放射体の有無や動きを検知する赤外線検知装置が知られている。焦電素子では、入射する赤外線によって得られる熱エネルギー量が変化したときに、起電力が発生する。この焦電素子を有する赤外線検知装置は、人体が動くことにより焦電素子に入射する赤外線量が変化したときに、変化量に応じた電気信号を出力する。
【0003】
下記特許文献1に記載の赤外線検知装置は、焦電素子とフレネルレンズとを有し、数m程度の比較的遠方のエリアに人が入ってきたことを検知することができる。一般的に、数m程度の距離に人体が位置する場合、人体から焦電素子に入射する赤外線量が小さい。このため、下記特許文献1に記載の赤外線検知装置は、赤外線がフレネルレンズによって集光されてから焦電素子に入射するように構成されている。
【0004】
また、赤外線検知装置には、複数の焦電素子と、複眼レンズとを有する赤外線検知装置がある。複眼レンズには複数のフレネルレンズが形成され、例えば、一つのフレネルレンズによって右側のエリアの赤外線を一つの焦電素子に向けて集光し、他のフレネルレンズによって左側のエリアの赤外線を他の焦電素子に向けて集光する。この場合、フレネルレンズは、焦電素子に入射する赤外線の量を増大させる機能に加えて、赤外線を集光するエリアを空間的に分割する機能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭61−77723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、数十cm程度の比較的近い位置に存在する手などの検知対象物の動きを検知するために、赤外線検知装置を用いることもできる。この場合、検知対象物が、比較的近い位置に存在するので、フレネルレンズ等のレンズがなくても検知するのに十分な量の赤外線が焦電素子に入射する。このため、赤外線の量に関しては、レンズの機能は不要である。また、レンズ、特にフレネルレンズは、高価であり、装着すると赤外線検知装置が大型化する。このため、比較的近い位置に存在する検知対象物の動きを検知する場合には、赤外線検知装置からレンズを外すことが所望されている。
【0007】
しかしながら、レンズを用いない場合、上述したレンズによる空間的な分割機能も失われてしまう。この場合、検知対象物が右側のエリアに位置したときに焦電素子に入射する赤外線の量と、検知対象物が左側のエリアに位置したときに該焦電素子に入射する赤外線の量との差が小さいため、検知対象物の動きに対して、焦電素子に入射する赤外線の変化量が小さくなる。このため、検知対象物の動きを検出することが困難になる。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、レンズを用いることなく比較的近い位置に存在する検知対象物の動きを確実に検出することが可能な赤外線検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る赤外線検知装置は、基板の主面に配置され、極性が逆になるように直列に接続された第1の焦電素子及び第2の焦電素子と、主面の法線方向から見て、第1の焦電素子より第2の焦電素子寄り、かつ、第2の焦電素子より第1の焦電素子寄りに位置し、第1の焦電素子と第2の焦電素子との並び方向と垂直な方向に延在し、検知対象物から発せられた赤外線を遮る遮光部とを備え、遮光部は、第1及び第2の焦電素子に対して主面の法線方向の位置を基準位置とし、検知対象物が基準位置に存在するときに第1の焦電素子に入射する赤外線の量を第1の基準量とし、第2の焦電素子に入射する赤外線の量を第2の基準量とした場合、検知対象物が基準位置より第2の焦電素子側に存在するときに、検知対象物から第1の焦電素子に向かう赤外線の少なくとも一部が遮光部によって遮られることにより、第1の焦電素子に入射する赤外線の量が第1の基準量より小さくなり、かつ、検知対象物が基準位置より第1の焦電素子側に存在するときに、検知対象物から第2の焦電素子に向かう赤外線の少なくとも一部が遮光部によって遮られることにより、第2の焦電素子に入射する赤外線の量が第2の基準量より小さくなるように、配置されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る赤外線検知装置によれば、遮光部が、法線方向から見て、第1の焦電素子より第2の焦電素子寄りに位置し、第2の焦電素子より第1の焦電素子寄りに位置している。このため、検知対象物が基準位置に存在するとき、赤外線が検知対象物から第1の焦電素子と第2の焦電素子とにそれぞれ入射する。ここでは、第1の焦電素子に入射する赤外線の量を第1の基準量とし、第2の焦電素子に入射する赤外線の量を第2の基準量とする。そして、遮光部は、法線方向から見て、第1の焦電素子と第2の焦電素子との並び方向と垂直な方向に延在しているので、検知対象物が、第2の焦電素子側に存在するとき、検知対象物から第1の焦電素子に向かう赤外線の少なくとも一部が遮光部によって遮られる。このために、検知対象物が第2の焦電素子側に位置しているときは、第1の焦電素子に入射する赤外線の量が第1の基準量より小さくなる。従って、検知対象物が基準位置と第2の焦電素子側との間を動いたときに、検知対象物から第1の焦電素子に入射する赤外線の変化量を大きくすることができる。一方、検知対象物が第1の焦電素子側に存在するとき、検知対象物から第2の焦電素子に向かう赤外線の少なくとも一部が遮光部によって遮られる。このために、検知対象物が第1の焦電素子側に位置しているときは、第2の焦電素子に入射する赤外線の量が第2の基準量より小さくなる。従って、検知対象物が基準位置と第1の焦電素子側との間を動いたときに、検知対象物から第2の焦電素子に入射する赤外線の変化量を大きくすることができる。以上により、検知対象物が第1の焦電素子側と第2の焦電素子側との間を動いたときに、出力を大きくすることができる。よって、レンズを用いることなく比較的近い位置に存在する検知対象物の動きを確実に検出することが可能となる。
【0011】
本発明に係る赤外線検知装置では、遮光部が、法線方向から見て、第1の焦電素子と第2の焦電素子との間に位置することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、検知対象物が基準位置に存在するときに、赤外線が遮光部によって遮られることがないので、十分な量の赤外線が第1及び第2の焦電素子へ入射する。従って、検知対象物が基準位置と第1の焦電素子側との間、及び、基準位置と第2の焦電素子側との間を移動したときに、第1及び第2の焦電素子へ入射する赤外線の変化量を確実に大きくすることができる。
【0013】
本発明に係る赤外線検知装置では、遮光部が、ひも状部材によって構成されていることが好ましい。この構成によれば、従来から用いられていたレンズと比較して、安価な部材を用いて赤外線検知装置を製造することができる。また、レンズを用いた場合と比較して、法線方向の大きさを小さくし、赤外線検知装置を薄型化することが可能となる。
【0014】
本発明に係る赤外線検知装置では、ひも状部材が被覆された導線であることが好ましい。この構成によれば、レンズを用いる場合と比較して格段に安価な部材を用いて赤外線検知装置を構成し、出力を大きくすることが可能となる。
【0015】
本発明に係る赤外線検知装置では、ひも状部材の両端部が、基板に固定されていることが好ましい。この場合、ひも状部材の両端部を基板に固定するという簡易な構成により、遮光部を含むひも状部材を第1及び第2の焦電素子に対して固定することができる。
【0016】
本発明に係る赤外線検知装置では、第1及び第2の焦電素子を収容し、赤外線が第1及び第2の焦電素子へ入射する際に透過する入射面を有するケースを備え、入射面の一部に赤外線を遮光する遮光領域が形成され、該遮光領域が遮光部として機能することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、ケースの入射面に赤外線を遮光する領域を設けるという簡易な構成により遮光部を形成し、出力を大きくすることが可能となる。また、別途部材を追加することなく、遮光部を形成することができるので、赤外線検知装置が大型化することを防止できる。
【0018】
本発明に係る赤外線検知装置では、遮光部、第1及び第2の焦電素子が、第1の焦電素子からの距離と第2の焦電素子からの距離とが等しい面に対して対称に配置されていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、検知対象物が第1の焦電素子側から第2の焦電素子側へ動く場合と、第2の焦電素子側から第1の焦電素子側へ動く場合との出力変化が対称になる。従って、一方向の動きに対する出力が小さくなることを防止して、双方向の動きをそれぞれ確実に検知することが可能となる。
【0020】
本発明に係る赤外線検知装置では、第1及び第2の焦電素子の並び方向と垂直な方向に第2の焦電素子と並んで基板の主面に配置され、第2の焦電素子と極性が逆になるように直列に接続された第3の焦電素子と、第1及び第2の焦電素子の並び方向に第3の焦電素子と並んで配置される共に該並び方向と垂直な方向に第1の焦電素子と並んで基板の主面に配置され、第3の焦電素子と極性が逆になるように直列に接続された第4の焦電素子と、検知対象物から発せられた赤外線の一部を遮る第2の遮光部と、を更に備え、第2の遮光部は、第1〜第4の焦電素子に対して基板と反対側に位置し、法線方向から見て、第2の焦電素子より第3の焦電素子寄りに位置し、第3の焦電素子より第2の焦電素子寄りに位置し、第1の焦電素子と第2の焦電素子との並び方向に延在していることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、第1〜第4の焦電素子が、2行2列に配列され、極性が逆となるように直列に接続されているので、行方向と列方向の動きを検知することができる。また、検知対象物が基準位置に存在するときに、赤外線が第3及び第2の焦電素子に確実に入射する。そして、検知対象物が第2の焦電素子側に存在するときは第3の焦電素子に向かう赤外線が遮光部によって遮られ、検知対象物が第2の焦電素子側に存在するときは第3の焦電素子に向かう赤外線が遮られる。従って、検知対象物が第3の焦電素子側と第2の焦電素子側との間を動いたときに、出力を大きくすることができる。よって、上記の並び方向と垂直な方向についても、レンズを用いることなく比較的近い位置に存在する測定対象の動きを確実に検出することが可能となる。
【0022】
本発明に係る赤外線検知装置は、基板の主面に配置され、極性が逆になるように直列に接続された第1の焦電素子及び第2の焦電素子と、検知対象物から発せられた赤外線を遮るひも状部材と、を備え、ひも状部材の少なくとも一部は、主面の法線方向から見て、第1の焦電素子より第2の焦電素子寄り、かつ、第2の焦電素子より第1の焦電素子寄りに位置し、第1の焦電素子と第2の焦電素子との並び方向と垂直な方向に延在していることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る赤外線検知装置によれば、検知対象物が第2の焦電素子側に存在するとき、赤外線が遮光部によって遮られることにより、第1の焦電素子に入射する赤外線の量を第1の基準量より小さくすることができる。また、検知対象物が第1の焦電素子側に存在するとき、赤外線が遮光部によって遮られることにより、第2の焦電素子に入射する赤外線の量を第2の基準量より小さくすることができる。従って、検知対象物が第1の焦電素子側と第2の焦電素子側との間を動いたときに、出力を大きくすることができる。よって、レンズを用いることなく比較的近い位置に存在する測定対象の動きを確実に検出することが可能となる。
【0024】
この赤外線検知装置においても、ひも状部材の両端部が、基板に固定されていることが好ましい。この場合、ひも状部材の両端部を基板に固定するという簡易な構成により、遮光部を含むひも状部材を第1及び第2の焦電素子に対して固定することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る赤外線検知装置によれば、レンズを用いることなく比較的近い位置に存在する測定対象の動きを確実に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る赤外線検知装置の平面図である。
【図2】図1のA−A断面を示す断面図である。
【図3】図1のB−B断面を示す断面図である。
【図4】第1実施形態に係る赤外線検知装置による信号出力を示す図である。
【図5】遮光部を備えていない赤外線検知装置による信号出力を示す図である。
【図6】6眼レンズを備えた赤外線検知装置による信号出力を示す図である。
【図7】第1実施形態の第1の変形例に係る赤外線検知装置の断面図である。
【図8】第1実施形態の第2の変形例に係る赤外線検知装置の断面図である。
【図9】第2実施形態に係る赤外線検知装置の平面図である。
【図10】図9のC−C断面を示す断面図である。
【図11】第3実施形態に係る赤外線検知装置の平面図である。
【図12】図11のD−D断面を示す断面図である。
【図13】図11のE−E断面を示す断面図である。
【図14】第4実施形態に係る赤外線検知装置の平面図である。
【図15】図14のF−F断面を示す断面図である。
【図16】図14のG−G断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0028】
[第1実施形態]
図1〜図3を用いて、第1実施形態に係る赤外線検知装置1について説明する。図1は、赤外線検知装置1の平面図である。図2は、図1のA−A断面を示す断面図であり、図3は、図1のB−B断面を示す断面図である。赤外線検知装置1は、人体などの赤外線を放射する検知対象物を検知する装置である。本実施形態に係る赤外線検知装置1は、デュアルタイプの焦電型センサであり、数十cm程度の比較的近い位置に存在する検知対象物Hの動きを検知する。ここで、比較的近い位置とは、レンズによって集光せずとも、検知するのに十分な量の赤外線が検知対象物から赤外線検知装置に入射する距離である。検知対象物Hは、例えば、人の手であり、赤外線検知装置1は、人が手を左右に動かした場合に、手が動いたことを検知することができる。この赤外線検知装置1は、テレビやパーソナルコンピュータ等の電気製品の入力装置として用いることが可能である。
【0029】
赤外線検知装置1は、基板10、第1の焦電素子11、第2の焦電素子12、ケース13、及び、一部が遮光部14aとして機能するひも状部材14を備えている。第1及び第2の焦電素子11,12は、それぞれ焦電体と一対の電極により構成されている。焦電体は、LiTaO等の焦電材料により形成されている。第1及び第2の焦電素子11,12は、略直方体形状であり、一つの面が、赤外線が入射する照射面として機能する。第1及び第2の焦電素子11,12は、間隔を空けて基板10の主面10aに並んで配置されている。また、第1の焦電素子11と第2の焦電素子12とは、極性が逆になるように直列に接続されている。
【0030】
ケース13は、4つの側壁13aと、赤外線を透過する入射面13bとによって構成され、第1及び第2の焦電素子11,12を収容している。入射面13bは、基板10の主面10aと平行に配置され、収容された第1及び第2の焦電素子11,12の照射面と対向している。検知対象物Hから発せられた赤外線は、ケース13の入射面13bを透過して、第1及び第2の焦電素子11,12の照射面に入射する。
【0031】
図1は、赤外線検知装置1を基板10の主面10aの法線方向Zから見た図である。ここでは、主面10aにおいて、第1の焦電素子11と第2の焦電素子12とが並んだ方向を並び方向Xとし、並び方向と垂直な方向を垂直方向Yとする。なお、A−A断面は、垂直方向Yと垂直な断面である。B−B断面は、並び方向Xと垂直な断面である。なお、上下左右の方向は、図2における上下左右の方向を示すものとする。
【0032】
遮光部14aは、検知対象物Hから発せられた赤外線の一部を遮光する。本実施形態に係る遮光部14aは、ひも状部材14によって構成されている。ひも状部材14は、赤外線を透過しない材料で形成されていればよく、例えば、被覆された導線等である。ひも状部材14は、両端部14bと、該両端部14bの間の部分である中央部分とを有する。ひも状部材14の中央部分が、遮光部14aとして機能する。遮光部14aは、ケース13の入射面13bの上を通るように配置され、両端部14bは、基板10におけるケース13の両脇にそれぞれ固定されている。両端部14bは、それぞれ基板10に形成された2つの貫通孔10bに挿通され、基板10の裏面において、接着剤15によって接着されている。接着剤15は、一般的な合成接着剤であってもよいし、接着剤15として半田を用いてもよい。
【0033】
遮光部14aは、図2に示すように、第1及び第2の焦電素子11,12に対して基板10と反対側に配置されると共に、第1及び第2の焦電素子11,12と間隔を空けて配置されている。また、遮光部14aは、図1に示すように、法線方向Zから見て、垂直方向Yに延在している。言い換えれば、遮光部14aは、第1及び第2の焦電素子11,12の長手方向と平行な方向に延在している。また、上記実施形態では、遮光部14aは、法線方向Zから見て直線状であることが好ましいが、必ずしも直線状でなくてもよく、波状等になっていてもよい。
【0034】
この遮光部14aは、図1及び図2に示すように、法線方向Zから見て、第1の焦電素子11より第2の焦電素子12寄りに位置している。このため、検知対象物Hが基準位置に存在するとき、赤外線が検知対象物Hから第1の焦電素子11に入射する。基準位置は、第1及び第2の焦電素子11,12に対して法線方向Z(上方)の位置である。また、遮光部14aは、法線方向Zから見て、第2の焦電素子12より第1の焦電素子11寄りに位置している。このため、基準位置に検知対象物Hが存在するとき、赤外線が検知対象物Hから第2の焦電素子11に入射する。
【0035】
特に、本実施形態では、遮光部14aが、法線方向Zから見て第1の焦電素子11と第2の焦電素子12との間に位置している。すなわち、遮光部14aは、法線方向Zから見て、第1及び第2の焦電素子11,12と重ならない位置に配置されている。このため、検知対象物Hが基準位置に存在するときに、赤外線が遮光部14aによって遮光されないので、十分な量の赤外線が第1及び第2の焦電素子11,12へ入射する。また、遮光部14a、第1及び第2の焦電素子11,12は、第1の焦電素子11からの距離と第2の焦電素子12からの距離とが等しい面αに対して対称に配置されている。
【0036】
引き続いて、検知対象物Hが、図2に示すように、赤外線検知装置1の上を左右(並び方向X)に動いた場合に、第1及び第2の焦電素子11,12に入射する赤外線量の変化について説明する。なお、実際の第1及び第2の焦電素子11,12の大きさは、一辺が数mm程度以下の大きさであり、基準位置は赤外線検知装置1から数十cm程度離れているが、便宜上、図2では、検知対象物Hである手に対して、第1及び第2の焦電素子11,12を含む赤外線検知装置1を大きく描いている。
【0037】
ここで、検知対象物Hが左右に動くとは、第1の焦電素子11側から第2の焦電素子12側へ動くこと、及び、第2の焦電素子12側から第1の焦電素子11側へ動くことを意味する。第1の焦電素子11側とは、図2において、赤外線検知装置1の上方のエリアであって、第1の焦電素子11より左側のエリアである。第2の焦電素子12側とは、図2において、赤外線検知装置1の上方のエリアであって、第2の焦電素子12より右側のエリアである。
【0038】
検知対象物Hが基準位置に存在するときに、第1の焦電素子11に入射する赤外線の量を第1の基準量とする。検知対象物Hが第2の焦電素子12側に位置するときは、検知対象物から第1の焦電素子11に向かう赤外線の少なくとも一部が遮光部14aによって遮られる。このために、検知対象物Hが第2の焦電素子12側に位置するときは、第1の焦電素子11に入射する赤外線の量が第1の基準量より小さくなる。本実施形態では、検知対象物Hが第2の焦電素子12側に位置するときは、検知対象物Hから第1の焦電素子11に向かう赤外線がほぼ遮られる。
【0039】
従って、検知対象物Hが、基準位置から第1の焦電素子11側に動くときより、基準位置から第2の焦電素子12側に動くときの方が、第1の焦電素子11に入射する赤外線の量が急激に減少する。また、検知対象物Hが、第1の焦電素子11側から基準位置に動くときより、第2の焦電素子12側から基準位置に動くときの方が、第1の焦電素子11に入射する赤外線の量が急激に増加する。
【0040】
次に、検知対象物Hが基準位置に存在するときに、第2の焦電素子12に入射する赤外線の量を第2の基準量とする。検知対象物Hが第1の焦電素子11側に存在するときは、検知対象物から第2の焦電素子12に向かう赤外線の少なくとも一部が遮光部14aによって遮られる。このために、検知対象物Hが第1の焦電素子11側に位置するときは、第2の焦電素子12に入射する赤外線の量が第2の基準量より小さくなる。本実施形態では、検知対象物Hが第1の焦電素子11側に位置するときは、検知対象物Hから第2の焦電素子12に向かう赤外線がほぼ遮られる。
【0041】
従って、検知対象物Hが、基準位置から第2の焦電素子12側に動くときより、基準位置から第1の焦電素子11側に動くときの方が、第2の焦電素子12に入射する赤外線の量が急激に減少する。また、検知対象物Hが、第2の焦電素子12側から基準位置に動くときより、第1の焦電素子11側から基準位置に動くときの方が、第2の焦電素子12に入射する赤外線の量が急激に増加する。
【0042】
以上説明したように、本実施形態に係る赤外線検知装置1によれば、検知対象物Hが基準位置と第2の焦電素子12側との間を動いたときに、第1の焦電素子11に入射する赤外線の変化量を大きくすることができる。また、検知対象物Hが基準位置と第1の焦電素子11側との間を動いたときに、第2の焦電素子12に入射する赤外線の変化量を大きくすることができる。従って、検知対象物Hが左右に動いたときに、赤外線検知装置1の出力を大きくすることができる。よって、レンズを用いることなく比較的近い位置に存在する検知対象物の動きを確実に検出することが可能となる。
【0043】
また、第1の焦電素子11と第2の焦電素子12とが、極性が逆に接続されているので、赤外線検知装置1の出力として、2つの焦電素子11,12それぞれにおいて発生する起電力の差分が出力される。検知対象物Hが第2の焦電素子12側に存在するとき、第1の焦電素子11へ入射する赤外線は遮られるが、第2の焦電素子12へ入射する赤外線は遮られない。よって、検知対象物Hが基準位置と第2の焦電素子12側との間を動いたときに、2つの焦電素子11,12の差分が大きくなる。検知対象物Hが第1の焦電素子11側に存在するとき、第2の焦電素子12へ入射する赤外線は遮られるが、第1の焦電素子11へ入射する赤外線は遮られない。よって、検知対象物Hが基準位置と第1の焦電素子11側との間を動いたときに、2つの焦電素子11,12の差分が大きくなる。この理由によっても、検知対象物Hが左右に動いたときに、赤外線検知装置1の出力が大きくなる。
【0044】
また、本実施形態では、遮光部14aが、法線方向Zから見て第1及び第2の焦電素子11,12と重なることなく、第1の焦電素子11と第2の焦電素子12との間に位置している。この場合、検知対象物Hが基準位置に存在するときに、赤外線が遮光部14aによって遮られることなく第1の焦電素子11及び第2の焦電素子12に確実に入射する。従って、基準位置において、第1及び第2の焦電素子11,12へ入射する赤外線量を大きくできるので、検知対象物Hが左右に動いたときに第1及び第2の焦電素子11,12へ入射する赤外線量の変化を大きくすることができる。
【0045】
また、本実施形態では、ひも状部材14として被覆された導線を用いているので、従来のように、出力を大きくするためにレンズを用いた場合と比較して格段に安価な部材を用いて、赤外線検知装置を構成することができる。ところで、赤外線検知装置は、小型化又は薄型化が求められる機器に搭載される場合がある。この場合、赤外線検知装置にレンズが装着されていると大型化するため、機器に赤外線検知装置を搭載するだけのスペースを確保することが困難となる。これに対して、本実施形態に係る赤外線検知装置1は、レンズを用いた場合と比較して、法線方向Zの大きさを小さくし、薄型化することができる。このため、機器に搭載する際に、より小さいスペースであっても搭載することができる。
【0046】
更に、本実施形態では、遮光部14a、第1及び第2の焦電素子11,12は、面αに対して対称に配置されているので、検知対象物Hが第1の焦電素子11側から第2の焦電素子12側へ動く場合と、第2の焦電素子12側から第1の焦電素子11側へ動く場合との出力変化が対称になる。従って、一方向の動きに対する出力が小さくなることを防止して、双方向の動きをそれぞれ確実に検知することが可能となる。
【0047】
引き続いて、本実施形態に係る赤外線検知装置1の効果を従来の赤外線検知装置と比較して説明する。図4は、本実施形態に係る赤外線検知装置1による信号出力を示す図である。図5は、遮光部14aを備えていない従来の赤外線検知装置による信号出力を示す図である。図5の赤外線検知装置は、本実施形態に係る赤外線検知装置1から遮光部14aを含むひも状部材14を外したものである。図6は、6眼レンズを備えた従来の赤外線検知装置による信号出力を示す図である。図6の赤外線検知装置は、本実施形態に係る赤外線検知装置1から遮光部14aを含むひも状部材14を外し、6眼レンズを装着したものである。6眼レンズは、高さ1cm程度、直径1cm程度の半球状であり、6個のフレネルレンズが形成されている。図6の赤外線検知装置には、ケース13を覆うように6眼レンズが装着されている。
【0048】
図4〜図6は、検知対象物である手を赤外線検知装置から10cm程度の距離で左右に振った場合に、各赤外線検知装置から出力された信号を示している。手は、1秒間に1回、右から左、又は、左から右へ動く程度の速度で振っている。図4〜図6のグラフでは、横軸が時間を示し、1目盛が1秒間を示している。縦軸は、出力を示している。図4と図5を比較すると、遮光部14aを備える赤外線検知装置1は、遮光部14aを備えていない赤外線検知装置より振幅(出力)が非常に大きい。図4と図6を比較すると、遮光部14aを備える赤外線検知装置1は、従来の6眼レンズを備えた赤外線検知装置より振幅が大きい。従って、本実施形態に係る赤外線検知装置1は、比較的近い位置に存在する検知対象物の動きであれば、フレネルレンズを備えた従来の赤外線検知装置より感度良く動きを検出することができる。
【0049】
[第1実施形態の第1変形例]
図7を参照して、第1実施形態の第1変形例に係る赤外線検知装置1Aについて説明する。第1変形例に係る赤外線検知装置1Aは、上記のアーチ状に形成されたひも状部材14に替えて、直線状に形成されたひも状部材17を備える点が、上記の赤外線検知装置1と異なる。上述したひも状部材14と変形例に係るひも状部材17は、並び方向Xから見た形状が異なり、その他の点は同様である。変形例に係るひも状部材17は、図7に示すように、端部17bを含む部分が基板10から法線方向Zに延び、遮光部17aとして機能する中央部分が垂直方向Yに直線状に延びている。この遮光部17aは、ケース13の入射面13bに接触し、入射面13bに沿って配置されている。この遮光部17aも上述した遮光部14aと同様な機能を発揮するので、本変形例に係る赤外線検知装置1Aは、レンズを用いることなく検知対象物Hの動きを確実に検知することができる。
【0050】
[第1実施形態の第2変形例]
上述した赤外線検知装置1,1Aの遮光部14a,17aは、両端部14bが基板10に接着剤15で接着されていたが、両端部14bの固定方法はこれに限られない。例えば、図8に示すように、遮光部14aの両端部14cを基板10の貫通孔10bに挿通した後、抜けないような形状としてもよい。図8の例では、先端から数mm程度の位置に太い段差部が形成され、段差部から先端に向けて細くなるように、両端部14cが形成されている。
【0051】
なお、上記実施形態及び変形例では、遮光部14aは、法線方向Zから見て第1の焦電素子11と第2の焦電素子12との間に位置することとした。すなわち、上記実施形態及び変形例では、遮光部14aは、法線方向Zから見て、第1及び第2の焦電素子11,12と重ならない位置に配置されている。遮光部14aは、これに限られない。遮光部14aは、法線方向Zから見て、第1の焦電素子11より第2の焦電素子12寄り、かつ、第2の焦電素子12より第1の焦電素子11寄りに位置していればよく、遮光部14aが、法線方向Zから見て、第1の焦電素子11の一部及び/又は第2の焦電素子12の一部と重なっていてもよい。
【0052】
[第2実施形態]
図9及び図10を参照して第2実施形態に係る赤外線検知装置2について説明する。図9は、第2実施形態に係る赤外線検知装置2の平面図である。図10は、図9のC−C断面を示す断面図である。なお、上下左右の方向は、図10における上下左右の方向を示すものとする。第2実施形態に係る赤外線検知装置2は、第1実施形態に係る赤外線検知装置1の遮光部14aを含むひも状部材14及びケース13に替えて、遮光部24が形成されたケース23を備えている。ここでは、第1実施形態と同様な点については説明を省略し、異なる点を主に説明する。
【0053】
ケース23は、4つの側壁23aと、赤外線を透過する入射面23bとによって構成され、第1及び第2の焦電素子11,12を収容している。入射面23bは、第1及び第2の焦電素子11,12の照射面と対向している。検知対象物Hから発せられた赤外線は、ケース23の入射面23bを透過して、第1及び第2の焦電素子11,12の照射面に入射する。入射面23bの一部には、赤外線を遮光する遮光領域が形成されている。この遮光領域が遮光部24として機能する。遮光部24は、例えば、ケース23の入射面23bの一部に赤外線を遮光する黒色のビニールテープを張り付けることにより形成される。また例えば、遮光部24は、ケース23の入射面23bの一部に赤外線を遮光する塗料(インク)等を塗布することにより形成することができる。なお、入射面23bのうち、遮光部24以外の領域は、赤外線を透過する。
【0054】
遮光部24は、図10に示すように、第1及び第2の焦電素子11,12に対して基板10と反対側に位置すると共に、第1及び第2の焦電素子11,12と間隔を空けて配置されている。また図9に示すように、遮光部24は、法線方向Zから見て、矩形状の領域であり、遮光部24の長手方向が垂直方向Yに延在している。言い換えれば、遮光部24は、第1及び第2の焦電素子11,12の長手方向と平行な方向に延在している。
【0055】
遮光部24は、法線方向Zから見て、第1の焦電素子11より第2の焦電素子12寄りに位置している。また、遮光部24は、法線方向Zから見て、第2の焦電素子12より第1の焦電素子11寄りに位置している。特に、本実施形態では、遮光部24は、法線方向Zから見て、第1の焦電素子11と第2の焦電素子12との間に位置している。このため、検知対象物Hが、基準位置に存在するときは、赤外線が遮光部24によって遮られることなく、第1及び第2の焦電素子11,12にそれぞれ入射する。また、遮光部24、第1及び第2の焦電素子11,12は、面αに対して対称に配置されている。
【0056】
引き続いて、検知対象物Hが、図10に示すように、赤外線検知装置2の上を左右に動いた場合に、第1及び第2の焦電素子11,12に入射する赤外線量の変化について説明する。ここでは、上記第1実施形態と同様に、検知対象物Hが基準位置に存在するときに、第1及び第2の焦電素子11,12にそれぞれ入射する赤外線の量を第1,第2の基準量とする。
【0057】
検知対象物Hが、第2の焦電素子12側に存在するときは、検知対象物Hから第1の焦電素子11に向かう赤外線の少なくとも一部が遮光部24によって遮られる。このために、検知対象物Hが第2の焦電素子12側に位置するときは、第1の焦電素子11に入射する赤外線の量が第1の基準量より小さくなる。本実施形態では、検知対象物Hが第2の焦電素子12側に位置するときは、検知対象物Hから第1の焦電素子11に向かう赤外線がほぼ遮られる。
【0058】
一方、検知対象物Hが、第1の焦電素子11側に存在するときは、検知対象物Hから第2の焦電素子12に向かう赤外線の少なくとも一部が遮光部24によって遮られる。このために、検知対象物Hが第2の焦電素子12に位置するときは、第2の焦電素子12に入射する赤外線の量が第2の基準量より小さくなる。本実施形態では、検知対象物Hが第1の焦電素子11側に位置するときは、検知対象物Hから第2の焦電素子12に向かう赤外線がほぼ遮られる。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る赤外線検知装置2によれば、上述した第1実施形態と同様に、検知対象物Hが基準位置と第2の焦電素子12側の位置との間を動いたときに、第1の焦電素子11に入射する赤外線の変化量を大きくすることができる。また、検知対象物Hが基準位置と第1の焦電素子11側の位置との間を動いたときに、第2の焦電素子12に入射する赤外線の変化量を大きくすることができる。従って、検知対象物Hが左右に動いたときに、出力を大きくすることができる。よって、レンズを用いることなく比較的近い位置に存在する検知対象物の動きを確実に検出することが可能となる。
【0060】
また、本実施形態では、ケース23の入射面23bに赤外線を遮光する領域を設けるという簡易な構成により遮光部24を形成し、出力を大きくすることが可能となる。別途部材を追加することなく、遮光部24を形成することができるので、赤外線検知装置2が大型化することを防止できる。また、レンズを装着しない分、赤外線検知装置2を小型化することができる。従って、他の機器に赤外線検知装置2を搭載する際には、より小さいスペースに搭載することができる。
【0061】
[第3実施形態]
図11〜図13を参照して、第3実施形態に係る赤外線検知装置3について説明する。図11は、赤外線検知装置3の平面図である。図12は、図11のD−D断面を示す断面図であり、図13は、図11のE−E断面を示す断面図である。赤外線検知装置3は、クワッドタイプの焦電型センサである。赤外線検知装置3は、基板30、第1の焦電素子31、第2の焦電素子32、第3の焦電素子33、第4の焦電素子34、ケース35を備えている。また、赤外線検知装置3は、一部が第1の遮光部36aとして機能するひも状部材36、及び、一部が第2の遮光部37aとして機能するひも状部材37も備えている。
【0062】
第1〜第4の焦電素子31〜34は、2行2列に間隔を空けて配列した状態で、基板30の主面30aに配置されている。ここでは、第1の焦電素子31と第2の焦電素子32とが並んだ方向を並び方向Xとする。並び方向Xと垂直な方向を垂直方向Yとする。第3の焦電素子33は、垂直方向Yに第2の焦電素子32と並んで配置されている。第4の焦電素子34は、並び方向Xに第3の焦電素子33と並んで配置されると共に、垂直方向Yに第1の焦電素子31と並んで配置されている。
【0063】
また、第1の焦電素子31と第2の焦電素子32とは、極性が逆になるように直列に接続されている。第2の焦電素子32と第3の焦電素子33とは、極性が逆になるように直列に接続されている。第3の焦電素子33と第4の焦電素子34とは、極性が逆になるように直列に接続されている。ケース35は、4つの側壁35aと、赤外線を透過する入射面35bとによって構成され、第1〜第4の焦電素子31〜34を収容している。検知対象物Hから発せられた赤外線は、ケース35の入射面35bを透過して、第1〜第4の焦電素子31〜34の照射面に入射する。
【0064】
図11は、赤外線検知装置3を基板30の法線方向Zから見た図である。図12は、垂直方向Yと垂直なD−D断面を示す図である。図13は、並び方向Xと垂直なE−E断面を示す図である。
【0065】
第1及び第2の遮光部36a,37aは、検知対象物Hから発せられた赤外線の一部を遮光する。本実施形態に係る第1及び第2の遮光部36a,37aは、それぞれ、ひも状部材36,37によって構成されている。ひも状部材36,37は、例えば、被覆された導線等である。ひも状部材36,37は、それぞれ両端部36b,37bと、該両端部36b,37bの間の部分である中央部分とを有する。ひも状部材36,37の中央部分が、それぞれ遮光部36a,37aとして機能する。遮光部36a,37aは、ケース35の入射面35bの上を交差して通るように配置され、両端部36b,37bは、基板30におけるケース35の四方の脇にそれぞれ固定されている。両端部36b,37bは、基板30に形成された4つの貫通孔にそれぞれ挿通され、基板30の裏面において、接着剤38によって接着されている。
【0066】
第1の遮光部36aは、図12に示すように、第1〜第4の焦電素子31〜34に対して基板30と反対側に位置すると共に、第1〜第4の焦電素子31〜34と間隔を空けて配置されている。また、第1の遮光部36aは、図11に示すように、法線方向Zから見て、垂直方向Yに延在している。第1の遮光部36aは、法線方向Zから見て、第1及び第4の焦電素子31,34と第2及び第3の焦電素子32,33との間に位置している。また、第1の遮光部36aを含むひも状部材36、第1〜第4の焦電素子31〜34は、第1の焦電素子31からの距離と第2の焦電素子32からの距離とが等しい面βに対して対称に配置されている。
【0067】
第2の遮光部37aは、図13に示すように、第1〜第4の焦電素子31〜34に対して基板30と反対側に位置すると共に、第1〜第4の焦電素子31〜34と間隔を空けて配置されている。また、第2の遮光部37aは、図11に示すように、法線方向Zから見て、並び方向Xに延在している。第2の遮光部37aは、法線方向Zから見て、第2及び第1の焦電素子32,31と第3及び第4の焦電素子33,34との間に位置している。また、第2の遮光部37aを含むひも状部材37、第1〜第4の焦電素子31〜34は、第2の焦電素子32からの距離と第3の焦電素子33からの距離とが等しい面γに対して対称に配置されている。
【0068】
引き続いて、検知対象物Hが、図12に示すように、赤外線検知装置3の上を並び方向Xに動いた場合に、第1〜第4の焦電素子31〜34に入射する赤外線量の変化について説明する。また、検知対象物Hが並び方向Xに動くとは、第1及び第4の焦電素子31,34側と第2及び第3の焦電素子32,33側との間を動くことである。第1及び第4の焦電素子31,34側は、図12において、赤外線検知装置3の上方のエリアであって、第1及び第4の焦電素子31,34より左側のエリアである。第2及び第3の焦電素子32,33側は、図12において、赤外線検知装置3の上方のエリアであって、第2及び第3の焦電素子32,33より右側のエリアである。
【0069】
ここでは、検知対象物Hが基準位置に存在するときに、第1の焦電素子31に入射する赤外線の量を第1の基準量とし、第4の焦電素子34に入射する赤外線の量を第4の基準量とする。なお、基準位置は、第1〜第4の焦電素子31〜34に対して法線方向Zの位置とする。検知対象物Hが、第2及び第3の焦電素子32,33側に位置するときは、検知対象物Hから第1及び第4の焦電素子31,34に向かう赤外線の少なくとも一部が第1の遮光部36aによって遮られる。このために、検知対象物Hが第2及び第3の焦電素子32,33側に位置するときは、第1の焦電素子31に入射する赤外線の量が第1の基準量より小さくなり、第4の焦電素子34に入射する赤外線の量が第4の基準量より小さくなる。本実施形態では、検知対象物Hが第2及び第3の焦電素子32,33側に位置するときは、検知対象物Hから第1及び第4の焦電素子31,34に向かう赤外線がほぼ遮られる。
【0070】
次に、検知対象物Hが基準位置に存在するときに、第2の焦電素子32に入射する赤外線の量を第2の基準量とし、第3の焦電素子33に入射する赤外線の量を第3の基準量とする。検知対象物Hが、第1及び第4の焦電素子31,34側に存在するときは、検知対象物から第2及び第3の焦電素子32,33に向かう赤外線の少なくとも一部が第1の遮光部36aによって遮られる。このために、検知対象物Hが第1及び第4の焦電素子31,34側に位置するときは、第2の焦電素子32に入射する赤外線の量が第2の基準量より小さくなり、第3の焦電素子33に入射する赤外線の量が第3の基準量より小さくなる。本実施形態では、検知対象物Hが第1及び第4の焦電素子31,34側に位置するときは、検知対象物Hから第2及び第3の焦電素子32,33に向かう赤外線がほぼ遮られる。
【0071】
従って、検知対象物Hが基準位置と第2及び第3の焦電素子32,33側の位置との間を動いたときに、第1及び第4の焦電素子31,34に入射する赤外線の変化量を大きくすることができる。また、検知対象物Hが基準位置と第1及び第4の焦電素子31,34側の位置との間を動いたときに、第2及び第3の焦電素子32,33に入射する赤外線の変化量を大きくすることができる。
【0072】
引き続いて、検知対象物Hが、図13に示すように、赤外線検知装置3の上を垂直方向Yに動いた場合に、第1〜第4の焦電素子31〜34に入射する赤外線量の変化について説明する。垂直方向Yに動くとは、第2及び第1の焦電素子32,31側と第3及び第4の焦電素子33,34側との間を動くことである。第2及び第1の焦電素子32,31側は、図13において、赤外線検知装置3の上方のエリアであって、第2及び第1の焦電素子32,31より左側のエリアである。第3及び第4の焦電素子33,34側は、図13において、赤外線検知装置3の上方のエリアであって、第3及び第4の焦電素子33,34より右側のエリアである。
【0073】
検知対象物Hが、第3及び第4の焦電素子33,34側に位置するときは、検知対象物Hから第2及び第1の焦電素子32,31に向かう赤外線の少なくとも一部が第2の遮光部37aによって遮られる。このために、検知対象物Hが第3及び第4の焦電素子33,34側に位置するときは、第2の焦電素子32に入射する赤外線の量が第2の基準量より小さくなり、第1の焦電素子31に入射する赤外線の量が第1の基準量より小さくなる。本実施形態では、検知対象物Hが第3及び第4の焦電素子33,34側に位置するときは、検知対象物Hから第2及び第1の焦電素子32,31に向かう赤外線がほぼ遮られる。
【0074】
検知対象物Hが、第2及び第1の焦電素子32,31側に存在するときは、検知対象物から第3及び第4の焦電素子33,34に向かう赤外線の少なくとも一部が第2の遮光部37aによって遮られる。このために、検知対象物Hが第2及び第1の焦電素子32,31側に位置するときは、第3の焦電素子33に入射する赤外線の量が第3の基準量より小さくなり、第4の焦電素子34に入射する赤外線の量が第4の基準量より小さくなる。本実施形態では、検知対象物Hが第2及び第1の焦電素子32,31側に位置するときは、検知対象物Hから第3及び第4の焦電素子33,34に向かう赤外線がほぼ遮られる。
【0075】
従って、検知対象物Hが基準位置と第3及び第4の焦電素子33,34側の位置との間を動いたときに、第2及び第1の焦電素子32,31に入射する赤外線の変化量を大きくすることができる。また、検知対象物Hが基準位置と第2及び第1の焦電素子32,31側の位置との間を動いたときに、第3及び第4の焦電素子33,34に入射する赤外線の変化量を大きくすることができる。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係る赤外線検知装置3によれば、検知対象物Hが並び方向Xと垂直方向Yとのいずれの方向に動いたときであっても、第1〜第4の焦電素子31〜34に入射する赤外線の変化量を大きくすることができる。従って、検知対象物Hが並び方向X及び垂直方向Yのいずれの方向に動いたときであっても、出力を大きくすることができる。すなわち、2つの方向について、レンズを用いることなく比較的近い位置に存在する検知対象物の動きを確実に検出することが可能となる。
【0077】
[第4実施形態]
図14〜図15を参照して第4実施形態に係る赤外線検知装置4について説明する。図14は、第4実施形態に係る赤外線検知装置4の平面図である。図15は、図14のF−F断面を示す断面図であり、図16は、図14のG−G断面を示す断面図である。第4実施形態に係る赤外線検知装置4は、上述した赤外線検知装置3のひも状部材36,37及びケース35に替えて、遮光部46が形成されたケース45を備えている。ここでは、第3実施形態と同様な点については説明を省略し、異なる点を主に説明する。
【0078】
ケース45は、4つの側壁45aと、赤外線を透過する入射面45bとによって構成され、第1〜第4の焦電素子31〜34を収容している。検知対象物Hから発せられた赤外線は、ケース45の入射面45bを透過して、第1〜第4の焦電素子31〜34の照射面に入射する。ケース45の入射面45bの一部に赤外線を遮光する遮光領域が形成されている。この遮光領域が遮光部46として機能する。遮光部46は、第2実施形態に係る遮光部24と同様に、赤外線を遮光するビニールテープを張り付けること等により形成することができる。入射面45bのうち、遮光部46以外の領域は、赤外線を透過する。
【0079】
遮光部46は、第1〜第4の焦電素子31〜34に対して基板30と反対側に位置すると共に、第1〜第4の焦電素子31〜34と間隔を空けて配置されている。また、遮光部46は、図14に示すように、法線方向Zから見て、十字状に形成されている。遮光部46の中央部分46aは、法線方向Zから見て、2行2列に配列した第1〜第4の焦電素子31〜34の中央の空間と重なる位置に配置されている。遮光部46は、中心部分46aから垂直方向Yに延びた部分46b,46dを有している。中心部分46a及び部分46b,46dによって構成される領域は、法線方向Zから見て垂直方向Yに延在している。また、遮光部46は、中心部分46aから並び方向Xに延びた部分46c,46eを有している。中心部分46a及び部分46c,46eによって構成される領域は、法線方向Zから見て並び方向Xに延在している。
【0080】
遮光部46の部分46bは、法線方向Zから見て、第1の焦電素子31と第2の焦電素子32との間に位置している。遮光部46の部分46cは、法線方向Zから見て、第2の焦電素子32と第3の焦電素子33との間に位置している。遮光部46の部分46dは、法線方向Zから見て、第3の焦電素子33と第4の焦電素子34との間に位置している。遮光部46の部分46eは、法線方向Zから見て、第4の焦電素子34と第1の焦電素子31との間に位置している。従って、検知対象物Hが、基準位置に存在するときは、赤外線が遮光部46によって遮られることなく、第1〜第4の焦電素子31〜34にそれぞれ入射する。また、遮光部46、第1〜第4の焦電素子31〜34は、面βに対して対称に配置されると共に、面γに対して対称に配置されている。
【0081】
引き続いて、図15を参照して、検知対象物Hが赤外線検知装置4の上を並び方向Xに動いた場合に、第1〜第4の焦電素子31〜34に入射する赤外線量の変化について説明する。ここでは、検知対象物Hが基準位置に存在するときに、第1〜第4の焦電素子31〜34にそれぞれ入射する赤外線の量を第1〜第4の基準量とする。
【0082】
検知対象物Hが、第2及び第3の焦電素子32,33側に存在するときは、検知対象物Hから第1及び第4の焦電素子31,34に向かう赤外線の少なくとも一部が遮光部46の中央部分46a及び部分46b,46dによって遮られる。このために、検知対象物Hが第2及び第3の焦電素子32,33側に位置するときは、第1の焦電素子31に入射する赤外線の量が第1の基準量より小さくなり、第4の焦電素子34に入射する赤外線の量が第4の基準量より小さくなる。本実施形態では、検知対象物Hが第2及び第3の焦電素子32,33側に位置するときは、検知対象物Hから第1及び第4の焦電素子31,34に向かう赤外線がほぼ遮られる。
【0083】
検知対象物Hが、第1及び第4の焦電素子31,34側に存在するときは、検知対象物Hから第2及び第3の焦電素子32,33に向かう赤外線の少なくとも一部が遮光部46の中央部分46a及び部分46b,46dによって遮られる。このために、検知対象物Hが第1及び第4の焦電素子31,34側に位置するときは、第2の焦電素子32に入射する赤外線の量が第2の基準量より小さくなり、第3の焦電素子33に入射する赤外線の量が第3の基準量より小さくなる。本実施形態では、検知対象物Hが第1及び第4の焦電素子31,34側に位置するときは、検知対象物Hから第2及び第3の焦電素子32,33に向かう赤外線がほぼ遮られる。
【0084】
引き続いて、図15を参照して、検知対象物Hが赤外線検知装置4の上を垂直方向Yに動いた場合に、第1〜第4の焦電素子31〜34に入射する赤外線量の変化について説明する。
【0085】
検知対象物Hが、第3及び第4の焦電素子33,34側に存在するときは、検知対象物Hから第2及び第1の焦電素子32,31に向かう赤外線の少なくとも一部が遮光部46の中央部分46a及び部分46c,46eによって遮られる。このために、検知対象物Hが第3及び第4の焦電素子33,34側に位置するときは、第2の焦電素子32に入射する赤外線の量が第2の基準量より小さくなり、第1の焦電素子31に入射する赤外線の量が第1の基準量より小さくなる。本実施形態では、検知対象物Hが第3及び第4の焦電素子33,34側に位置するときは、検知対象物Hから第2及び第1の焦電素子32,31に向かう赤外線がほぼ遮られる。
【0086】
検知対象物Hが、第2及び第1の焦電素子32,31側に存在するときは、検知対象物Hから第3及び第4の焦電素子33,34に向かう赤外線の少なくとも一部が遮光部46の中央部分46a及び部分46c,46eによって遮られる。このために、検知対象物Hが第2及び第1の焦電素子32,31側に位置するときは、第3の焦電素子33に入射する赤外線の量が第3の基準量より小さくなり、第4の焦電素子34に入射する赤外線の量が第4の基準量より小さくなる。本実施形態では、検知対象物Hが第2及び第1の焦電素子32,31側に位置するときは、検知対象物Hから第3及び第4の焦電素子33,34に向かう赤外線がほぼ遮られる。
【0087】
以上説明したように、本実施形態に係る赤外線検知装置4によれば、検知対象物Hが並び方向Xと垂直方向Yとのいずれの方向に動いたときであっても、第1〜第4の焦電素子31〜34に入射する赤外線の変化量を大きくすることができる。従って、検知対象物Hが並び方向X及び垂直方向Yのいずれの方向に動いたときであっても、出力を大きくすることができる。すなわち、2つの方向について、レンズを用いることなく比較的近い位置に存在する検知対象物の動きを確実に検出することが可能となる。
【0088】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記第1〜4実施形態に限定されるものではなく更なる種々の変形が可能である。遮光部14a,24,46及び第1及び第2の遮光部36a,37aの形状及び材料については、上記に限られず、種々の変形が可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施形態では、ひも状部材14,24として被服された導線を用いたが、ひも状部材としては細長い形状であればよく、棒状の部材であってもよい。また、上記実施形態では、遮光部は、ケースの外に配置されていたが、ケース内に配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1,2,3,4 赤外線検知装置
10,30 基板
10a,30a 主面
11,31 第1の焦電素子
12,32 第2の焦電素子
13,23,35,45 ケース
13a,23a,35a,45a 入射面
14,17,36,37 ひも状部材
14a,17a,24,46 遮光部
33 第3の焦電素子
34 第4の焦電素子
36a 第1の遮光部
37a 第2の遮光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の主面に配置され、極性が逆になるように直列に接続された第1の焦電素子及び第2の焦電素子と、
前記主面の法線方向から見て、前記第1の焦電素子より前記第2の焦電素子寄り、かつ、前記第2の焦電素子より前記第1の焦電素子寄りに位置し、前記第1の焦電素子と前記第2の焦電素子との並び方向と垂直な方向に延在し、検知対象物から発せられた赤外線を遮る遮光部と、
を備え、
前記遮光部は、前記第1及び前記第2の焦電素子に対して前記主面の法線方向の位置を基準位置とし、前記検知対象物が前記基準位置に存在するときに前記第1の焦電素子に入射する赤外線の量を第1の基準量とし、前記第2の焦電素子に入射する赤外線の量を第2の基準量とした場合、前記検知対象物が前記基準位置より前記第2の焦電素子側に存在するときに、前記検知対象物から前記第1の焦電素子に向かう赤外線の少なくとも一部が前記遮光部によって遮られることにより、前記第1の焦電素子に入射する赤外線の量が前記第1の基準量より小さくなり、かつ、前記検知対象物が前記基準位置より前記第1の焦電素子側に存在するときに、前記検知対象物から前記第2の焦電素子に向かう赤外線の少なくとも一部が前記遮光部によって遮られることにより、前記第2の焦電素子に入射する赤外線の量が前記第2の基準量より小さくなるように、配置されていることを特徴とする赤外線検知装置。
【請求項2】
前記遮光部は、前記法線方向から見て、前記第1の焦電素子と前記第2の焦電素子との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の赤外線検知装置。
【請求項3】
前記遮光部は、ひも状部材によって構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線検知装置。
【請求項4】
前記ひも状部材は、被覆された導線であることを特徴とする請求項3に記載の赤外線検知装置。
【請求項5】
前記ひも状部材の両端部は、前記基板に固定されていることを特徴とする請求項3又は4に記載の赤外線検知装置。
【請求項6】
前記第1及び前記第2の焦電素子を収容し、赤外線が前記第1及び前記第2の焦電素子へ入射する際に透過する入射面を有するケースを備え、
前記入射面の一部に赤外線を遮光する遮光領域が形成され、該遮光領域が前記遮光部として機能することを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線検知装置。
【請求項7】
前記遮光部、前記第1及び前記第2の焦電素子は、前記第1の焦電素子からの距離と前記第2の焦電素子からの距離とが等しい面に対して対称に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の赤外線検知装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の焦電素子の並び方向と垂直な方向に前記第2の焦電素子と並んで前記基板の主面に配置され、前記第2の焦電素子と極性が逆になるように直列に接続された第3の焦電素子と、
前記第1及び第2の焦電素子の並び方向に前記第3の焦電素子と並んで配置される共に該並び方向と垂直な方向に前記第1の焦電素子と並んで前記基板の主面に配置され、前記第3の焦電素子と極性が逆になるように直列に接続された第4の焦電素子と、
前記検知対象物から発せられた赤外線の一部を遮る第2の遮光部と、を更に備え、
前記第2の遮光部は、前記第1〜前記第4の焦電素子に対して前記基板と反対側に位置し、前記法線方向から見て、前記第2の焦電素子より前記第3の焦電素子寄りに位置し、前記第3の焦電素子より前記第2の焦電素子寄りに位置し、前記第1の焦電素子と前記第2の焦電素子との並び方向に延在していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の赤外線検知装置。
【請求項9】
基板の主面に配置され、極性が逆になるように直列に接続された第1の焦電素子及び第2の焦電素子と、
検知対象物から発せられた赤外線を遮るひも状部材と、を備え、
前記ひも状部材の少なくとも一部は、前記主面の法線方向から見て、前記第1の焦電素子より前記第2の焦電素子寄り、かつ、前記第2の焦電素子より前記第1の焦電素子寄りに位置し、前記第1の焦電素子と前記第2の焦電素子との並び方向と垂直な方向に延在していることを特徴とする赤外線検知装置。
【請求項10】
前記ひも状部材は、両端部が基板に固定されていることを特徴とする請求項9に記載の赤外線検知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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