説明

走行型茶葉摘採機

【課題】茶葉を傷つけずに摘採し、搬送する走行型茶葉摘採機を提供する。
【解決手段】走行型茶葉摘採機は、門型枠4下方の摘採装置5と、摘採装置後方の茶葉収葉装置と、摘採装置で摘採した茶葉を茶葉収容装置の上部に運ぶための略垂直な輸送ダクト7,8とより構成するとともに、輸送ダクト送出端部より排出された茶葉が当たる部分に衝撃吸収部材を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶畝に沿って走行しながら茶葉を摘採する走行型茶葉摘採機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
走行型茶葉摘採機には、摘採した茶葉をそのまま後方へ移送して茶袋へ収容するタイプと、摘採した茶葉を一度上方へ移送してから、茶葉収容装置へ落として収容するタイプのものがある。後者の場合、茶葉収容装置が茶袋タイプのもの(例えば、特許文献1参照)と、コンテナタイプのもの(例えば、特許文献2参照)がある。コンテナを装備した走行型茶葉摘採機では、コンテナの内面を鉄板またはアルミ板などで構成しており、また、最近では、通気性をよくするために、鉄板またはアルミ板を網目状のもので構成することがあった。
【特許文献1】特開2004−154021号公報
【特許文献2】特開2001−128531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
摘採装置で摘採され、輸送ダクト送出端部より排出された茶葉は、風速約10m/秒で鉄板またはアルミ板に当たり、茶葉収容装置に収容されるが、このとき、鉄板またはアルミ板にあたった衝撃で、茶葉が傷ついてしまうことがあった。
【0004】
通常、茶葉を傷つけないように摘採し、茶工場へ搬入する。万一、茶葉が傷ついてしまうと、傷の部分から発酵が始まり、茶葉原料としての品質が低下し、この品質は茶葉価格に影響する。本発明は、茶葉を傷つけずに摘採し、搬送する走行型茶葉摘採機を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1手段の走行型茶葉摘採機は、門型枠下方の摘採装置と、摘採装置後方の茶葉収葉装置と、摘採装置で摘採した茶葉を茶葉収容装置の上部に運ぶための略垂直な輸送ダクトとより構成するとともに、輸送ダクト送出端部より排出された茶葉が当たる部分に衝撃吸収部材を設ける。第2手段の走行型茶葉摘採機は、第1手段の衝撃吸収部材には、ゴムや布、化学繊維など衝撃を和らげる材質を用いる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1により、摘採された茶葉が傷つくことがなく、品質の高い茶葉を摘採、搬送することが出来る。請求項2により、身近で安価な部材で可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
茶葉収容装置をコンテナタイプにして、コンテナを網目状にした例を実施例1、2で、茶葉収容装置を茶袋タイプにして、茶袋上のフードを網目状にした例を実施例3で示す。
【実施例1】
【0008】
本実施例は、茶葉収容装置のコンテナを網目状にした例である。茶畝1を挟んで2本のクローラ型の走行装置2、3を門型枠4でつなぎ、門型枠4の下に摘採装置5を設ける。摘採装置5の後方には茶葉を収容する茶葉収容装置であるコンテナ(以下、収容コンテナとする)6を設けてある。摘採装置5と収容コンテナ6は輸送ダクト7、8でつながっており、摘採装置5は中央部で2分割され、輸送ダクト7、8の上端は収容コンテナ6に接続されている。門型枠4の上にはファン9、10が設置してあり、フレキシブルな送風ダクト11、12で摘採装置5と接続されている。13は収容コンテナ6の後面上方の壁に貼り付けた衝撃吸収部材であり、輸送ダクト7、8の送出端部から排出された茶葉が当たる位置に設ける。
【0009】
走行装置2、3によって、茶畝1を移動しながら摘採装置5で刈り取られた茶葉を、輸送ダクト7、8を通り、収容コンテナ6に送る。このとき、茶葉はファン9、10の風にのって、勢いよく収容コンテナ6に飛び出してくる。茶葉の多くは、収容コンテナ6の壁に当たり、本実施例の場合は、網目状の壁に当たる。本来、この網目状の収容コンテナ6は、傷ついた切れ葉等の茶葉を網目から外へ廃棄し、傷ついていない正常な茶葉を収容するものであるが、勢いよく網目に当たると、正常な茶葉が傷ついてしまう。傷ついている茶葉は茶葉Aより呼吸熱が多く、傷ついていない茶葉Aより早く、変質し、葉焼けという状態を起こし、加工することができなくなってしまう。また、傷ついている茶葉が混ざっていると、製品の品質が低下する。そこで、勢いよく飛び出してくる茶葉を衝撃吸収部材13に当てることで、茶葉を傷つけないようにする。衝撃吸収部材13に当たった茶葉は傷つくことなく、勢いをなくして、収容コンテナ6下部に収容される。衝撃吸収部材13の材質は、ゴム、布、化学繊維など、茶葉と当たっても茶葉を傷つけずに衝撃を和らげる材質を用いる。
【0010】
収容コンテナ6に収容された茶葉Aを、茶園の枕地でトラック19の荷台へ載せかえる。この時、支点22、24を軸として、保持腕21、23で収容コンテナ6を上方へ持ち上げ、下扉16を開いて、茶葉Aを取り出す。取出終了後は、下扉16を閉じて、収容コンテナ6を下ろし、摘採を行う状態とする。
【実施例2】
【0011】
本実施例は、実施例1の衝撃吸収部材の位置を変えた例である。本実施例では、収容コンテナ6の壁に貼り付けるのではなく、収容コンテナ6の天井から衝撃吸収部材14を垂らす。茶葉が収容コンテナ6の壁にぶつかる前に、衝撃吸収部材14へ当たり、衝撃吸収部材14が暖簾のようになり、茶葉の勢いをなくして、収容コンテナ6へ茶葉を収容する。
【実施例3】
【0012】
本実施例は、茶葉収容装置上のフードを網目状にした例であり、茶葉収容装置は収容枠34と茶葉収容袋33とからなるものである。走行、摘採に関する構成は、実施例1と同様である。輸送ダクト7、8の上端は下面が開放された網目状のフード31、32となっており、収容枠34の上部に設置する。フード31、32の後面上方の輸送ダクト7、8の送出端部から排出された茶葉が当たる位置に、衝撃吸収部材15を貼り付ける。収容枠34には複数の茶葉収容袋33を上面を開放して装着している。
【0013】
輸送ダクト7、8によって、移送された茶葉を茶葉収容袋33へ投入するときに、フード31、32の衝撃吸収部材15に当て、勢いをなくしてから茶葉収容袋33へ落とす。
【0014】
茶葉Aをトラックへ載せかえるときは、茶葉収容袋33を収容枠34から取り外して、茶葉収容袋33ごとトラックへ載せる。
【0015】
実施例1〜3の茶葉収容装置は網目状のものであるが、網目状でないタイプのものでも同様である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1の正面図。
【図2】実施例1の側面図。
【図3】実施例1の後面図。
【図4】実施例1の茶葉取出時の側面図。
【図5】実施例1の側面一部断面図。
【図6】実施例2の側面一部断面図。
【図7】実施例3の側面図。
【図8】実施例3の側面一部断面図。
【符号の説明】
【0017】
1 茶畝
2 走行装置
3 走行装置
4 門型枠
5 摘採装置
6 コンテナ
7 輸送ダクト
8 輸送ダクト
9 送風ファン
10 送風ファン
11 送風ダクト
12 送風ダクト
13 衝撃吸収部材
14 衝撃吸収部材
15 衝撃吸収部材
16 下扉
17 駆動手段
18 ハンドル
19 トラック
21 保持腕
22 支点
23 保持腕
24 支点
31 フード
32 フード
33 茶葉収容袋
34 収容枠
A 茶葉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
門型枠下方の摘採装置と、摘採装置後方の茶葉収葉装置と、摘採装置で摘採した茶葉を茶葉収容装置の上部に運ぶための略垂直な輸送ダクトとより構成するとともに、輸送ダクト送出端部より排出された茶葉が当たる部分に衝撃吸収部材を設けることを特徴とする走行型茶葉摘採機。
【請求項2】
衝撃吸収部材には、ゴムや布、化学繊維など衝撃を和らげる材質を用いることを特徴とする請求項1記載の走行型茶葉摘採機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−166710(P2006−166710A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−359460(P2004−359460)
【出願日】平成16年12月13日(2004.12.13)
【出願人】(000145116)株式会社寺田製作所 (90)
【出願人】(592264237)松元機工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】