説明

超電導線材及びその製造方法

【課題】磁場中において高い超電導特性を有する超電導線材及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属基板11上に中間層12を介してイットリウム系超電導層13が形成されてなる超電導線材1において、イットリウム系超電導層をランタノイド系元素を含む構成とする。このとき、該超電導層中のイットリウムの組成をY、ランタノイド系元素の組成をLとしたとき、組成比L/(L+Y)が0.01〜0.40となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導ケーブルや超電導マグネットなどの超電導機器に用いられる超電導線材及びその製造方法に関し、特に、Y系超電導線材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体窒素温度(77K)以上で超電導を示す高温超電導体の一種として、RE系超電導体(RE:希土類元素)が知られている。特に、化学式YBa2Cu37-yで表されるイットリウム系超電導体(以下、Y系超電導体又はYBCO)が代表的である。
Y系超電導体を用いた超電導線材(以下、Y系超電導線材)は、一般に、テープ状の金属基板上に中間層、Y系超電導体からなる層(以下、Y系超電導層)、安定化層が順に形成された積層構造を有している。このY系超電導線材は、例えば、低磁性の無配向金属基板(例えば、ハステロイ(登録商標))上に、IBAD(Ion Beam Assist Deposition)法により2軸配向した中間層を成膜し、この中間層上に、パルスレーザ蒸着法(PLD:Pulsed Laser Deposition)や有機金属気相成長法(MOCVD:Metal Organic Chemical Vapor Deposition)等により、Y系超電導層を成膜することにより製造される(例えば、特許文献1,2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−233266号公報
【特許文献2】特表2004−536218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、Y系超電導線材では、超電導層に第二種超電導体であるYBCOを用いている。この第二種超電導体に磁場を印加すると、磁場がひも状の量子化磁束に分割され、量子化磁束が超電導体内に侵入する。超電導体内に侵入した量子化磁束は、電流が流れていない場合は静止しているが、電流が流れるとローレンツ力が働くため超電導体内を動き出そうとする。そして、超電導体を量子化磁束が移動すると、誘導起電力(電気抵抗)が発生するため、ゼロ抵抗状態(超電導状態)が壊れてしまう。
ここで、超電導体内に不純物や格子欠陥があれば、電流が流れても量子化磁束は移動せずに拘束されることが知られている(いわゆるピン止め効果)。つまり、Y系超電導線材において、超電導層内の量子化磁束は、ピン止め効果による拘束力(以下、ピン止め力)が電流を流したときに働くローレンツ力よりも大きければ移動しないが、電流又は外部磁場が増大してローレンツ力がピン止め力より大きくなると移動するようになる。
【0005】
したがって、高電流が流れ磁場が発生することとなる超電導ケーブルに使用されるY系超電導線材としては、磁場中での特性(例えば臨界電流密度特性(Jc特性))が重要な要求仕様となる。すなわち、超電導ケーブルの用途には、高いピン止め効果を有するY系超電導線材が要求される。
本発明は、磁場中において高い超電導特性を有する超電導線材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたもので、金属基板上に中間層を介してイットリウム系超電導層が形成されてなる超電導線材であって、
前記イットリウム系超電導層は、ランタノイド系元素を含んで構成され、当該超電導層中のイットリウムの組成をY、ランタノイド系元素の組成をLとしたとき、組成比L/(L+Y)が0.01〜0.40であることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超電導線材において、前記組成比L/(L+Y)が、0.10〜0.40であることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の超電導線材において、前記組成比L/(L+Y)が、0.20〜0.30であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の超電導線材において、前記ランタノイド系元素として、少なくともGdを含むことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の超電導線材において、前記ランタノイド系元素は、実質的にGdのみであることを特徴とする。
ここで、「実質的にGdのみ」とは、Gd以外のランタノイド系元素が期せずして混入している場合を含むことを意味する。ランタノイド系元素は厳密な分離が困難であるので、Gd以外のランタノイド系元素がppmオーダーで混入している場合を「実質的にGdのみ」としている。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の超電導線材において、前記ランタノイド系元素として、GdとSmを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、金属基板上に中間層が形成されてなるテープ基材の表面に、有機金属気相成長法によりイットリウム系超電導層を成膜する超電導線材の製造方法であって、
前記イットリウム系超電導層を成膜するための原料溶液として、イットリウムの組成をY、ランタノイド系元素の組成をLとしたとき、組成比L/(L+Y)が0.01〜0.40の範囲となるように予めイットリウムとランタノイド系元素の有機化合物原料を調整し、これにバリウムと銅の有機化合物原料を所定の比率で加えて溶媒に溶かしたものを用い、
この原料溶液を気化器に導入して原料ガスを生成し、生成された原料ガスを反応炉において前記テープ基材の表面に蒸着させることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、金属基板上に中間層が形成されてなるテープ基材の表面に、有機金属気相成長法によりイットリウム系超電導層を成膜する超電導線材の製造方法であって、
前記イットリウム系超電導層を成膜するための原料溶液として、イットリウム、ランタノイド系元素、バリウム、及び銅の有機化合物原料をそれぞれ溶媒に溶かしたものを用い、
イットリウムの組成をY、ランタノイド系元素の組成をLとしたとき、組成比L/(L+Y)が0.01〜0.40、バリウムと銅が所定の比率となるように、それぞれの原料溶液を気化器に導入して原料ガスを生成し、生成された原料ガスを反応炉において前記テープ基材の表面に蒸着させることを特徴とする。
【0014】
以下、本発明を完成するに至った経緯について説明する。
上述したように、Y系超電導層内に不純物や欠陥を適度に導入することでピン止め効果が高くなり、磁場中での臨界電流密度特性(以下、Jc特性)を向上できることは公知である。そこで、本発明者等は、高いピン止め効果を実現すべく、Y系超電導層内に不純物を添加する手法に着目して検討を重ねた。
【0015】
図7は、YBCOの結晶構造を示す図である。図7に示すように、YBCOは、Y(イットリウム)とBa(バリウム)が規則的に並んだ結晶構造を有している。かかる結晶構造において、Yがランタノイド系元素(以下、L系元素)に置き換わっても同じ結晶構造をとるので、同様に超電導体となることが知られている(前述のRE系酸化物超電導体)。これより、YBCOからなる超電導層を成膜するに際して、L系元素を不純物として添加することにより、超電導特性を低下させることなくピン止め効果を発現させることができるのではないかと推定した。
【0016】
ここで、不純物として添加したL系元素がYと固溶(置換)すれば、YBCOの規則的な結晶構造は保持されるために超電導特性は低下しないと考えられる。しかしながら、L系元素がBaと固溶してしまうと、規則的な結晶構造が崩れてしまうために超電導特性が低下してしまう。そのため、L系元素のうち、Baと固溶しにくい元素を選定することとした。
【0017】
図8は、Y及びL系元素とBaのイオン半径比と、固溶−非固溶の関係を示す図である。なお、Ba2+のイオン半径は1.34Åである。
図8に示すように、Gd(ガドリニウム)やSm(サマリウム)などは、Yに比べてBaにイオン半径が近いが、Baとは非固溶である。一方、Nd(ネオジウム)やLa(ランタン)はBaと固溶するので、YBCOに添加する不純物元素として不適切ということになる。
【0018】
以上のことから、L系元素のうちBaと固溶しにくい元素(例えば、GdやSm)をYBCOに添加する不純物元素として選定した上で、超電導特性(特に磁場中の超電導特性)が向上することとなる不純物量(L系元素の組成比)を実験的に求め、本発明において規定した。
本発明に係る超電導線材は、原理的に製造方法には依存しないので、MOCVD法や焼結法等で超電導層を成膜する場合に適用できる。本発明者等は、MOCVD法により超電導層を成膜する際のイットリウムとランタノイド系元素の組成比を制御することで、L系元素の作用によるピンを生成すること、すなわち磁場中において高いJc特性を示す超電導線材を実現できた。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、磁場中において高い超電導特性を有する超電導線材が提供される。したがって、本発明に係る超電導線材を適用することで、超電導ケーブルの大電流化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施形態に係る超電導線材の積層構造を示す図である。
【図2】長尺のテープ基材に成膜するための一般的なMOCVD装置の概略構成を示す図である。
【図3】実施例1に係る超電導線材の磁場中のJc特性を示す図である。
【図4】Jc特性を測定する際の磁場入射角度について示す図である。
【図5】実施例2に係る超電導線材の無磁場中(77K,0T)のJc特性を示す図である。
【図6】実施例2に係る超電導線材の磁場中(77K,3T)のJc特性を示す図である。
【図7】YBCOの結晶構造を示す図である。
【図8】Y及びL系元素とBaのイオン半径比と、固溶−非固溶の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る超電導線材の積層構造を示す図である。
図1に示すように、Y系超電導線材1は、テープ状の金属基板11上に中間層12、超電導層13、安定化層14が順に形成された積層構造を有している。
本実施形態において、金属基板11は、低磁性の無配向金属基板(例えばハステロイ(登録商標))である。中間層12は、超電導層13の結晶を一定の方向に配向させるための2軸配向層(例えばイットリア安定化ジルコニア)を含んで構成される。この2軸配向層は、例えばIBAD法により成膜される。
超電導層13は、Y系超電導体からなるY系超電導層であり、例えばMOCVD法により成膜される。超電導層13の上面には、例えばスパッタ法により銀からなる安定化層14が成膜されている。
【0022】
本実施形態では、超電導層13を構成するY系超電導体に、L系元素であるGdを不純物として添加している。Gdの量は、YとGdの組成比Gd/(Gd+Y)が、0.01〜0.40(モル比)を満たすように調整されている。MOCVD法により超電導層13を成膜することで、YとGdの組成比を比較的容易に制御することができる。
【0023】
図2は、長尺のテープ基材に成膜するための一般的なMOCVD装置の概略構成を示す図である。図2に示すように、MOCVD装置100は、原料供給部101、気化器102、反応炉103、基材搬送部104を備えて構成されている。
原料供給部101は、気化器102に原料溶液とAr等のキャリアガスを供給する。気化器102は、供給されたキャリアガス中に原料溶液を噴霧して原料ガスを生成する。生成された原料ガスは、導入管を介して反応炉103に導入される。
反応炉103は、導入された原料ガスをテープ基材110の表面に蒸着させ、超電導層を成膜する。基材搬送部104は、反応炉103内においてテープ基材110を所定速度で移動させる。すなわち、テープ基材110を移動させながら超電導層13が成膜されるようになっている。なお、テープ基材110の温度は図示しないヒータにより制御される。
【0024】
実施形態に係る超電導線材1の超電導層13は、図2に示すMOCVD装置100により成膜できる。テープ基材110には、例えば、100μm厚、幅10mm、長さ200mの無配向金属基板(例えばハステロイ)11上に、IBAD法により配向中間層12を成膜したものを用いる。
原料溶液には、予め、YとGdの有機化合物原料(例えば、テトラメチルヘプタンジオネート化合物)を、YとGdの組成比Gd/(Gd+Y)が0.01〜0.40の範囲となるように調整し、これにBaとCuの有機化合物原料を所望の比率で加え、溶媒のTHF(テトラヒドロフラン)に溶かしたものを用いる。
【0025】
原料供給部101から上述した構成の原料溶液を気化器102に供給し、原料ガスを生成する。反応炉103内にテープ基材110を所定速度で搬送しつつ、700〜900℃でテープ基材110を加熱する。そして、原料ガスをテープ基材110の表面に噴出し、不純物としてGdが添加されたYBCOを成膜する。
ここで、YとGdの有機化合物原料の組成比は、生成物まで保持される。すなわち、YとGdの有機化合物原料の組成比Gd/(Gd+Y)が0.25〜0.30であれば、生成物であるGd添加のYBCOにおけるYとGdの組成比Gd/(Gd+Y)も0.25〜0.30となる。
【0026】
[実施例1]
実施例1では、超電導層13におけるYとGdの組成比Gd/(Gd+Y)を0.35としたときの臨界電流密度特性(Jc特性)を調べた。
図3は実施例1に係る超電導線材の磁場中のJc特性を示す図である。図3では、図4における超電導層13に対する磁場入射角度θを横軸としている。なお、測定温度は77K、印加磁場は3T(テスラ)である。
図3に示すように、実施例1に係るGd添加YBCOのJc特性は、比較例に係るGd無添加YBCOのJc特性に比較して、印加する磁場の方向に関わらず電流値が高くなった。特に、磁場入射角度が90°における電流値の向上は約50%となった。
【0027】
[実施例2]
実施例2では、YとGdの組成比を変えたときのJc特性について調べた。YとGdの組成比Gd/(Gd+Y)=0のときGd無添加YBCOとなり、Gd/(Gd+Y)=1のときGdBCOとなる。
図5は実施例2に係る超電導線材の無磁場中(77K,0T)のJc特性を示す図であり、図6は実施例2に係る超電導線材の磁場中(77K,3T)におけるJc特性を示す図である。
図5に示すように、無磁場中では、YとGdの組成比Gd/(Gd+Y)が0.22付近でピークを持つような傾向が得られた。また、図6に示すように、磁場中では、ピーク位置が0.28付近にずれるが、ほぼ同様の傾向が得られた。
これより、YとGdの組成比をある範囲に制御することで、磁場中でもJc特性を向上できることがわかった。具体的には、YとGdの組成比Gd/(Gd+Y)を0.01〜0.40とすることでGd無添加時(Gd/(Gd+Y)=0)よりもJc特性を向上できた。また、YとGdの組成比Gd/(Gd+Y)を0.10〜0.40とすることで高いJc特性を実現でき、0.20〜0.30とすることでさらに高いJc特性を実現できた。
【0028】
実施形態では、Y系超電導層13はL系元素を含んで構成され、当該超電導層中のYとL系元素(実施形態ではGd)の組成比L/(L+Y)が0.01〜0.40となっている。
また、YとL系元素の組成比L/(L+Y)は0.10〜0.40の範囲とするのが好ましく、さらには、0.20〜0.30の範囲とするのが好ましい。
このように、Y系超電導層におけるYとL系元素の組成を調整することで、磁場中において高い超電導特性(特にJc特性)を有する超電導線材を提供することができる。そして、このような超電導線材を適用することで、超電導ケーブルの大電流化を図ることができる。
【0029】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
上記実施形態では、添加するL系元素を実質的にGdのみとしているが、少なくともGdを含むようにすればよく、Gdと他のL系元素(ただし、NdやLaを除く)で構成するようにしてもよい。
少なくともGdを含むようにしているのは、Baと非固溶であり結晶構造が崩れる虞が少なく、L系元素の中では低廉で超電導線材の製造コストを抑えることができるためである。同様の理由で、添加するL系元素をGdとSmを含むようにしてもよい。
【0030】
また、超電導線材1の金属基板11として、無配向基板の代わりに、還元雰囲気中で配向熱処理により配向した金属(例えばNi−W)を用いてもよい。この場合、金属基板11上に、金属基板11からのNi等の拡散防止、或いは配向性をより向上させるための中間層12を、例えばスパッタ法、又はイオンビーム蒸着法により成膜する。
つまり、本発明は超電導線材を構成するY系超電導層の組成に関するものであり、金属基板と中間層の組合せついては特に制限されない。
【0031】
実施形態におけるMOCVD装置100では、原料供給部101で予め原料溶液を混合して1つの原料容器に収容する構成となっているが、Gd,Y,Ba、Cuの各原料容器を別々に設けた構成としてもよい。
具体的には、Y系超電導層13を成膜するための原料溶液として、Gd,Y,Ba,及びCuの有機化合物原料を単体でTHFに溶かしたものをそれぞれ別の原料容器に収容する。これらを液体マスフローコントローラによって、所望の比率になるように流量調整し、合流させた後、気化器に供給する。このとき、YとGdの組成比Gd/(Gd+Y)が0.01〜0.40となるように流量を調整する。そして、気化器で生成された原料ガスを反応炉において前記テープ基材の表面に蒸着させる。
【0032】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0033】
1 超電導線材
11 金属基板
12 中間層
13 Y系超電導層
14 安定化層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基板上に中間層を介してイットリウム系超電導層が形成されてなる超電導線材であって、
前記イットリウム系超電導層は、ランタノイド系元素を含んで構成され、当該超電導層中のイットリウムの組成をY、ランタノイド系元素の組成をLとしたとき、組成比L/(L+Y)が0.01〜0.40であることを特徴とする超電導線材。
【請求項2】
前記組成比L/(L+Y)が、0.10〜0.40であることを特徴とする請求項1に記載の超電導線材。
【請求項3】
前記組成比L/(L+Y)が、0.20〜0.30であることを特徴とする請求項2に記載の超電導線材。
【請求項4】
前記ランタノイド系元素として、少なくともGdを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の超電導線材。
【請求項5】
前記ランタノイド系元素は、実質的にGdのみであることを特徴とする請求項4に記載の超電導線材。
【請求項6】
前記ランタノイド系元素として、GdとSmを含むことを特徴とする請求項4に記載の超電導線材。
【請求項7】
金属基板上に中間層が形成されてなるテープ基材の表面に、有機金属気相成長法によりイットリウム系超電導層を成膜する超電導線材の製造方法であって、
前記イットリウム系超電導層を成膜するための原料溶液として、イットリウムの組成をY、ランタノイド系元素の組成をLとしたとき、組成比L/(L+Y)が0.01〜0.40の範囲となるように予めイットリウムとランタノイド系元素の有機化合物原料を調整し、これにバリウムと銅の有機化合物原料を所定の比率で加えて溶媒に溶かしたものを用い、
この原料溶液を気化器に導入して原料ガスを生成し、生成された原料ガスを反応炉において前記テープ基材の表面に蒸着させることを特徴とする超電導線材の製造方法。
【請求項8】
金属基板上に中間層が形成されてなるテープ基材の表面に、有機金属気相成長法によりイットリウム系超電導層を成膜する超電導線材の製造方法であって、
前記イットリウム系超電導層を成膜するための原料溶液として、イットリウム、ランタノイド系元素、バリウム、及び銅の有機化合物原料をそれぞれ溶媒に溶かしたものを用い、
イットリウムの組成をY、ランタノイド系元素の組成をLとしたとき、組成比L/(L+Y)が0.01〜0.40、バリウムと銅が所定の比率となるように、それぞれの原料溶液を気化器に導入して原料ガスを生成し、生成された原料ガスを反応炉において前記テープ基材の表面に蒸着させることを特徴とする超電導線材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−48914(P2011−48914A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193951(P2009−193951)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構イットリウム系超電導電力機器技術開発,産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】