説明

超音波モータ駆動装置

【課題】1つのドライバで複数の超音波モータを同時に駆動できる装置を提供する。
【解決手段】超音波モータ71、72の駆動装置1は、タイミングパルスを出力するクロック21と、第1周波数fr1の第1駆動信号及び第2周波数fr2の第2駆動信号で駆動可能な第1超音波モータ71と、第1駆動信号及び第2駆動信号で駆動可能な第2超音波モータ72とを駆動するために、タイミングパルスのクロック周波数fを第1、第2周波数fr1、fr2に分周する分周部41、42と、第1、第2超音波モータ71、72両方の駆動を、第1駆動信号、第2駆動信号のいずれで行うかを切換制御する制御部11、31、32とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波モータの駆動装置に関し、特に共振周波数が異なる複数の超音波モータを駆動する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波モータによる駆動装置が提案されている。特許文献1は、複数の超音波モータを1つのドライバで駆動する装置を開示する。
【特許文献1】特開2001−211672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1の装置は、複数の超音波モータのいずれかが駆動される時に他の超音波モータは駆動されない。
【0004】
したがって本発明の目的は、1つのドライバで複数の超音波モータを同時に駆動できる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る超音波モータの駆動装置は、タイミングパルスを出力するクロックと、第1周波数の第1駆動信号及び第2周波数の第2駆動信号で駆動可能な第1超音波モータと、第1駆動信号及び第2駆動信号で駆動可能な第2超音波モータとを駆動するために、タイミングパルスのクロック周波数を第1、第2周波数に分周する分周部と、第1、第2超音波モータ両方の駆動を、第1駆動信号、第2駆動信号のいずれで行うかを切換制御する制御部とを備える。
【0006】
好ましくは、第1周波数は、第1超音波モータの共振周波数と等しく、第2周波数は第2超音波モータの共振周波数と等しい。
【0007】
さらに好ましくは、第1超音波モータの共振周波数に関する情報を検出する第1検出回路と、第2超音波モータの共振周波数に関する情報を検出する第2検出回路とを更に備え、制御部は、第1、第2検出回路からの共振周波数に関する情報に基づいて、第1、第2超音波モータの共振周波数を算出し、クロック周波数を第1、第2周波数に分周する分周比を制御する。
【0008】
また、好ましくは、分周部は、クロック周波数を第1周波数に分周する第1分周回路と、クロック周波数を第2周波数に分周する第2分周回路とを有する。
【0009】
また、好ましくは、分周部は、クロック周波数を第1、第2周波数に分周する分周回路を有し、制御部は、分周回路における分周比を制御する分周比設定回路を有する。
【0010】
また、好ましくは、分周部から出力されて第1、第2超音波モータを駆動するために選択された第1駆動信号と第2駆動信号のいずれか一方のパルス数をカウントし、パルス数に関する情報を制御部に送るカウント部を更に備え、制御部は、パルス数が一定値になる毎に、第1駆動信号と第2駆動信号のいずれか他方で第1、第2超音波モータを駆動するように切換制御を行う。
【0011】
さらに好ましくは、第1駆動信号が一定値のパルス数だけ出力される時間、及び第2駆動信号が一定値のパルス数だけ出力される時間は、第1超音波モータが起動してから定速回転するまでの時間、及び第2超音波モータが起動してから定速回転するまでの時間に比べて長い。
【0012】
本発明に係る超音波モータの駆動装置は、タイミングパルスを出力するクロックと、周波数の異なる複数の駆動信号のいずれでも駆動可能な複数の超音波モータを駆動するために、タイミングパルスのクロック周波数を、複数の駆動信号それぞれの周波数に分周する分周部と、複数の超音波モータ総ての駆動を、複数の駆動信号のいずれで行うかを切換制御する制御部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、1つのドライバで複数の超音波モータを同時に駆動できる装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の第1実施形態について、図を用いて説明する。第1実施形態における駆動装置1は、制御部11、クロック21、第1、第2スイッチ31、32、第1、第2分周回路41、42、ドライバ51、第1、第2整合用インダクタ61、62、第1、第2超音波モータ71、72、及び第1、第2検出回路81、82を備える(図1参照)。
【0015】
制御部11は、駆動装置1を構成する各部を制御する。制御部11は、クロック21がクロック周波数(クロックレート)fのタイミングパルスを出力するように制御する。制御部11は、第1、第2スイッチ31、32のスイッチ切換制御を行う。制御部11は、第1、第2分周回路41、42の駆動制御を行う。制御部11は、カウンタ52からのパルス数に関する情報を受ける。制御部11は、第1、第2検出回路81、82からの共振周波数に関する情報を受ける。
【0016】
制御部11は、クロック21、第1、第2スイッチ31、32、第1、第2分周回路41、42、カウンタ52、及び第1、第2検出回路81、82と接続される。
【0017】
クロック21は、クロック周波数fのタイミングパルスを出力する。タイミングパルスのクロック周波数fは、第1分周回路41で第1周波数fr1に分周され、第2分周回路42で第2周波数fr2に分周される。
【0018】
第1周波数fr1は、第1超音波モータ71の共振周波数であり、第1超音波モータ71の温度変化など負荷変動で変動する。第1分周回路41は、第1周波数fr1の変動範囲に併せて分周比(第1分周比A)が調整可能な分周回路である。第2周波数fr2は、第2超音波モータ72の共振周波数であり、第2超音波モータ72の温度変化など負荷変動で変動する。第2分周回路42は、第2周波数fr2の変動範囲に併せて分周比(第2分周比B)が調整可能な分周回路である。
【0019】
超音波モータを駆動する駆動信号の発信源にクロックのタイミングパルスを利用することで、専用の発振回路無しに駆動信号を得ることが可能になり、回路構成を容易にできる。
【0020】
ドライバ51は、第1分周回路41から出力される周波数fr1の第1駆動信号、または第2分周回路42から出力される周波数fr2の第2駆動信号に基づいて、第1、第2超音波モータ71、72を駆動する。ドライバ51には、パルス電力増幅を行うためパワーバイポーラトランジスタやパワーMOSFET等を用いたスイッチング増幅回路が用いられる。ドライバ51は、第1、第2整合用インダクタ61、62を介して第1、第2超音波モータ71、72と接続される。
【0021】
カウンタ52は、第1、第2分周回路41、42から出力される第1、第2駆動信号のパルス数をカウントし、パルス数に関する情報として制御部11に送る。制御部11は、パルス数が一定値Nになる毎に、使用する分周回路を第1、第2分周回路41、42との間で切換する(図2参照)。具体的には、第1分周回路41によって一定値Nのパルス数だけ第1周波数fr1の第1駆動信号が出力されて、第1、第2超音波モータ71、72が駆動された後、第2分周回路42によって一定値Nのパルス数だけ第2周波数fr2の第2駆動信号が出力されて、第1、第2超音波モータ71、72が駆動され、その後、第1分周回路41によって一定値Nのパルス数だけ第1周波数fr1の駆動信号が出力されて、第1、第2超音波モータ71、72が駆動される。以降、第2駆動信号、第1駆動信号、第2駆動信号の順に繰り返し出力される。
【0022】
第1周波数fr1で一定値Nのパルス数だけ第1駆動信号が出力される時間、及び第2周波数fr2で一定値Nのパルス数だけ第2駆動信号が出力される時間は、いずれも第1超音波モータ71が起動してから定速回転に至るまでの時間、及び第2超音波モータ72が起動してから定速回転に至るまでの時間に比べて長く設定される。
【0023】
第1分周回路41を使用する場合、すなわち第1周波数fr1の第1駆動信号で第1、第2超音波モータ71、72を駆動する場合は、第1スイッチ31を介してクロック21と第1分周回路41とが接続され、第2スイッチ32を介して第1分周回路42とドライバ51及びカウンタ52とが接続されるようにスイッチ切換が行われる。第2分周回路42を使用する場合、すなわち第2周波数fr2の第2駆動信号で第1、第2超音波モータ71、72を駆動する場合は、第1スイッチ31を介してクロック21と第2分周回路42とが接続され、第2スイッチ32を介して第2分周回路42とドライバ51及びカウンタ52とが接続されるようにスイッチ切換が行われる。
【0024】
第1、第2整合用インダクタ61、62は、第1、第2インダクタンスL、Lを有するコイルで、ローパスフィルタの役割を果たす。第1、第2整合用インダクタ61、62により、ドライバ51でスイッチング増幅された出力を直接、第1、第2超音波モータ71、72に印加した場合に、モータの容量成分に基づくパルス幅の短いパルス状の信号電流が流れることによるドライバ51の破損を防止することが可能になる。
【0025】
第1超音波モータ71は、第1陽極71a、第1陰極71b、及び第1圧電素子71cを有する超音波モータである。第1陽極71aは、第1整合用インダクタ61と接続され、第1陰極71bは接地される。第1圧電素子71cは第1陽極71aと第1陰極71bによって挟持される。第1超音波モータ71は、第1容量成分Cdを有する。第1超音波モータ71は、第1検出回路81と接続される。
【0026】
第1超音波モータ71を効率よく駆動するために、第1整合用インダクタ61の第1インダクタンスLと、第1超音波モータ71の共振周波数(第1周波数fr1)、及び第1容量成分Cdとの関係は、fr1=1/{2π×(L×Cd1/2}であるのが望ましい。
【0027】
第2超音波モータ72は、第2陽極72a、第2陰極72b、及び第2圧電素子72cを有する超音波モータである。第2陽極72aは、第2整合用インダクタ62と接続され、第2陰極72bは接地される。第2圧電素子72cは第2陽極72aと第2陰極72bによって挟持される。第2超音波モータ72は、第2容量成分Cdを有する。第2超音波モータ72は、第2検出回路82と接続される。
【0028】
第2超音波モータ72を効率よく駆動するために、第2整合用インダクタ62の第2インダクタンスLと、第2超音波モータ72の共振周波数(第2周波数fr2)、及び第2容量成分Cdとの関係は、fr2=1/{2π×(L×Cd1/2}であるのが望ましい。
【0029】
第1、第2超音波モータ71、72は、個体差により共振周波数(第1、第2周波数fr1、fr2)が微少に異なる(最大で5kHzの差異)。従って、第1超音波モータ71の共振周波数(第1周波数fr1)の第1駆動信号で第2超音波モータ72を駆動した場合、最大の効率は得られないものの動作は可能である。同様に第2超音波モータ72の共振周波数(第2周波数fr2)の第2駆動信号で第1超音波モータ71を駆動した場合、最大の効率は得られないものの動作は可能である。
【0030】
2つのモータを駆動して動力を得ることにより、1つの大きなモータを使って同じエネルギーの動力を得る場合に比べて、モータを分散して配置するなどのメリットを有する。
【0031】
第1検出回路81は、第1検出用陽極81a、及び第1電荷増幅回路81bとを有し、第1超音波モータ71のアドミタンス特性(第1曲線g1)を検出する(図3、4参照)。
【0032】
第1検出用陽極81aは、第1陽極71aのように、第1超音波モータ71の陽極側の電極として第1圧電素子71cに取り付けられ、第1超音波モータ71に蓄積された電荷を検出する。検出された電荷は、第1電荷増幅回路81bによって増幅され、増幅された電荷が第1検出回路81からの共振周波数に関する情報として制御部11に送られる。
【0033】
第2検出回路82は、第2検出用陽極82a、及び第2電荷増幅回路82bとを有し、第2超音波モータ72のアドミタンス特性(第2曲線g2)を検出する(図3、4参照)。
【0034】
第2検出用陽極82aは、第2陽極72aのように、第2超音波モータ72の陽極側の電極として第2圧電素子72cに取り付けられ、第2超音波モータ72に蓄積された電荷を検出する。検出された電荷は、第2電荷増幅回路82bによって増幅され、増幅された電荷が第2検出回路82からの共振周波数に関する情報として制御部11に送られる。
【0035】
制御部11は、共振周波数に関する情報に基づいて、第1、第2超音波モータ71、72の共振周波数(第1、第2周波数fr1、fr2)を算出する。第1分周回路41で出力された第1駆動信号の第1周波数fr1の値と、第1検出回路81からの共振周波数に関する情報に基づいて制御部11で算出された第1周波数fr1の値とが異なる場合は、算出された第1周波数fr1の第1駆動信号が第1分周回路41から出力されるように、制御部11は、第1分周回路41の第1分周比Aを調整する。同様に、第2分周回路42で出力された第2駆動信号の第2周波数fr2の値と、第2検出回路82からの共振周波数に関する情報に基づいて制御部11で算出された第2周波数fr2の値とが異なる場合は、算出された第2周波数fr2の第2駆動信号が第2分周回路42から出力されるように、制御部11は、第2分周回路42の第2分周比Bを調整する。
【0036】
第1実施形態では、2つの超音波モータを駆動して動力を得ることにより、1つの大きな超音波モータを使って同じエネルギーの動力を得る場合に比べて、モータを分散して配置するなどのメリットを有する。
【0037】
また、1つのドライバで異なる2つの周波数で2つの超音波モータを駆動できるので、駆動装置の小型化が可能になる。
【0038】
また、一定値Nのパルス数毎に、分周回路を切り換えて超音波モータを駆動する駆動信号の周波数の値を第1周波数fr1と第2周波数fr2との間で切り換える。これにより、第1超音波モータ71に最適な周波数(共振周波数:第1周波数fr1)の第1駆動信号での第1、第2超音波モータ71、72の駆動と、第2超音波モータ72に最適な周波数(共振周波数:第2周波数fr2)の第2駆動信号での第1、第2超音波モータ71、72の駆動とが、ほぼ同じ時間ずつ交互に行われるので、2つの超音波モータそれぞれで異なる共振周波数を考慮してバランスよく、更に効率よく2つの超音波モータを駆動することが可能になる。
【0039】
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、共振周波数に関する情報として第1、第2圧電素子71c、72cの電荷を検出する形態を説明したが、第2実施形態では、共振周波数に関する情報として、第1、第2超音波モータ71、72に流れる電流値を検出する。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0040】
第1検出回路81は、第1抵抗81c、及び第1差動増幅回路81dを有し、第1超音波モータ71のアドミタンス特性(第1曲線g1)を検出する(図4、5参照)。
【0041】
第1抵抗81cは、第1超音波モータ71と直列に接続される。具体的には一方の端子は第1陰極71bと接続され、他方の端子は接地される。第1差動増幅回路81dは、第1抵抗81cの端子間の電位差を検出し、第1検出回路81からの共振周波数に関する情報として制御部11に出力される。第1抵抗81cの抵抗値と第1抵抗81cの電位差に基づいて第1抵抗81cに流れる電流値、すなわち第1超音波モータ71に流れる電流値が求められる。
【0042】
第2検出回路82は、第2抵抗82c、及び第2差動増幅回路82dを有し、第2超音波モータ72のアドミタンス特性(第2曲線g2)を検出する(図4、5参照)。
【0043】
第2抵抗82cは、第2超音波モータ72と直列に接続される。具体的には一方の端子は第2陰極72bと接続され、他方の端子は接地される。第2差動増幅回路82dは、第2抵抗82cの端子間の電位差を検出し、第2検出回路82からの共振周波数に関する情報として制御部11に出力される。第2抵抗82cの抵抗値と第2抵抗82cの電位差に基づいて第2抵抗82cに流れる電流値、すなわち第2超音波モータ72に流れる電流値が求められる。
【0044】
他の構成、発明の効果については第1の実施形態と同様である。
【0045】
次に、第3実施形態について説明する。第1実施形態では、第1、第2スイッチ31、32、第1、第2分周回路41、42によって第1、第2周波数fr1、fr2の切換を行ったのに対して、第3実施形態では、制御部11の分周比設定回路12と分周回路43によって切換を行う。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0046】
第3実施形態における駆動装置1は、制御部11、クロック21、分周回路43、ドライバ51、カウンタ52、第1、第2整合用インダクタ61、62、第1、第2超音波モータ71、72、及び第1、第2検出回路81、82を備える(図6参照)。
【0047】
制御部11は、駆動装置1を構成する各部を制御する。制御部11は、クロック21がクロック周波数fのタイミングパルスを出力するように制御する。制御部11は、分周回路43の駆動制御を行う。制御部11は、カウンタ52からのパルス数に関する情報を受ける。制御部11は、第1、第2検出回路81、82からの共振周波数に関する情報を受ける。
【0048】
制御部11は、クロック21、分周回路43、カウンタ52、及び第1、第2検出回路81、82と接続される。
【0049】
制御部11は、分周比設定回路12を有する。分周比設定回路12は、第1検出回路81からの共振周波数に関する情報から求められた第1周波数fr1の第1駆動信号または、第2検出回路82からの共振周波数に関する情報から求められた第2周波数fr2の第2駆動信号が分周回路43から出力されるように、分周回路43における分周比を制御する。分周比設定回路12は、分周回路43と接続される。
【0050】
クロック21は、クロック周波数fのタイミングパルスを出力する。クロック21は、分周回路43と接続される。タイミングパルスのクロック周波数fは、分周回路43で第1超音波モータ71の第1周波数fr1または第2周波数fr2に分周される。第1周波数fr1は、第1超音波モータ71の温度変化など負荷変動で変動し、第2周波数fr2は、第2超音波モータ72の温度変化など負荷変動で変動する。分周回路43は、第1、第2周波数fr1、fr2の変動範囲に併せて分周比(第1、第2分周比A、B)が調整可能である。第1実施形態における第1、第2分周回路41、42に比べて、分周回路43の分周比の変動範囲は大きい。
【0051】
ドライバ51は、分周回路43から出力される第1周波数fr1の第1駆動信号、または第2周波数fr2の第2駆動信号に基づいて、第1、第2超音波モータ71、72を駆動する。
【0052】
カウンタ52は、分周回路43から出力される第1、第2駆動信号のパルス数をカウントし、パルス数に関する情報として制御部11に送る。制御部11は、一定値Nのパルス数になる毎に、分周回路43の分周比(第1、第2分周比A、B)を切換する(図2参照)。具体的には、分周回路43によって一定値Nのパルス数だけ第1周波数fr1の第1駆動信号が出力されて、第1、第2超音波モータ71、72が駆動された後、分周回路43によって一定値Nのパルス数だけ第2周波数fr2の第2駆動信号が出力されて、第1、第2超音波モータ71、72が駆動され、その後、分周回路43によって一定値Nのパルス数だけ第1周波数fr1の第1駆動信号が出力されて、第1、第2超音波モータ71、72が駆動される。以降、第2駆動信号、第1駆動信号、第2駆動信号の順に繰り返し出力される。
【0053】
分周回路43は、ドライバ51及びカウンタ52と接続される。
【0054】
第1、第2検出回路81、82の構成は、第1実施形態の構成であっても、第2実施形態の構成であってもよい。
【0055】
制御部11は、共振周波数に関する情報に基づいて、第1、第2超音波モータ71、72の共振周波数(第1、第2周波数fr1、fr2)を算出する。分周回路43で出力された第1駆動信号の第1周波数fr1の値と、第1検出回路81からの共振周波数に関する情報に基づいて制御部11で算出された第1周波数fr1の値とが異なる場合は、算出された第1周波数fr1の第1駆動信号が第1分周回路41から出力されるように、制御部11の分周比設定回路12は、分周回路43の第1分周比Aを調整する。同様に、分周回路43で出力された第2駆動信号の第2周波数fr2の値と、第2検出回路82からの共振周波数に関する情報に基づいて制御部11で算出された第2周波数fr2の値とが異なる場合は、算出された第2周波数fr2の第2駆動信号が分周回路43から出力されるように、制御部11の分周比設定回路12は、分周回路43の第2分周比Bを調整する。
【0056】
他の構成、及び発明の効果は第1実施形態と同様である。また第3実施形態では、制御部11内の切換制御により分周回路43からの出力される駆動信号の周波数を切換できるので、第1スイッチ31などが不要になり回路が簡素化されるメリットを有する。
【0057】
次に、第4実施形態について、図を用いて説明する。第1実施形態では、2つのスイッチ(第1、第2スイッチ31、32)を使って、使用する分周回路(第1、第2分周回路41、42)を切り換える形態を説明したが、第4実施形態は、1つのスイッチ33で切り換えを行う。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0058】
第4実施形態における駆動装置1は、制御部11、クロック21、スイッチ33、第1、第2分周回路41、42、ドライバ51、第1、第2整合用インダクタ61、62、第1、第2超音波モータ71、72、及び第1、第2検出回路81、82を備える(図7参照)。
【0059】
制御部11は、スイッチ33のスイッチ切換制御を行う。制御部11は、クロック21、スイッチ33、第1、第2分周回路41、42、カウンタ52、及び第1、第2検出回路81、82と接続される。クロック21は、第1、第2文集回路41、42と接続される。
【0060】
第1分周回路41を使用する場合、すなわち第1周波数fr1の第1駆動信号で第1、第2超音波モータ71、72を駆動する場合は、スイッチ33を介して第1分周回路42とドライバ51及びカウンタ52とが接続されるようにスイッチ切換が行われる。第2分周回路42を使用する場合、すなわち第2周波数fr2の第2駆動信号で第1、第2超音波モータ71、72を駆動する場合は、第2スイッチ32を介して第2分周回路42とドライバ51及びカウンタ52とが接続されるようにスイッチ切換が行われる。
【0061】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。第1実施形態に比べて、スイッチの数を減らして回路構成を簡略化できるメリットを有する。
【0062】
なお、第1、第2周波数fr1、fr2は、第1、第2超音波モータ71、72の共振周波数であるとして説明したが、第1、第2超音波モータ71、72の両方を駆動できる周波数であれば共振周波数に限られない。
【0063】
また、2つの超音波モータの駆動で実施形態を説明したが、3つ以上の超音波モータを駆動する形態であってもよい。この場合は、複数の超音波モータそれぞれの共振周波数に対応する分周比でクロック周波数を分周し、それぞれの共振周波数で順に複数の超音波モータを駆動することによって、2つの超音波モータの駆動の場合と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1、第2実施形態における駆動装置の構成図である。
【図2】第1、第2駆動信号の出力波形例を示す図である。
【図3】第1実施形態における第1、第2超音波モータ、第1、第2検出回路の構成図である。
【図4】第1、第2超音波モータのアドミタンス特性を示すグラフである。
【図5】第2実施形態における第1、第2超音波モータ、第1、第2検出回路の構成図である。
【図6】第3実施形態における駆動装置の構成図である。
【図7】第4実施形態における駆動装置の構成図である。
【符号の説明】
【0065】
1 駆動装置
11 制御部
12 分周比設定回路
21 クロック
31、32 第1、第2スイッチ
33 スイッチ
41、42 第1、第2分周回路
43 分周回路
51 ドライバ
52 カウンタ
61、62 第1、第2整合用インダクタ
71、72 第1、第2超音波モータ
71a、72a 第1、第2陽極
71b、72b 第1、第2陰極
71c、72c 第1、第2圧電素子
81、82 第1、第2検出回路
81a、82a 第1、第2検出用陽極
81b、82b 第1、第2電荷増幅回路
81c、82c 第1、第2抵抗
81d、82d 第1、第2差動増幅回路
A、B 第1、第2分周比
fr1、fr2 第1、第2周波数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイミングパルスを出力するクロックと、
第1周波数の第1駆動信号及び第2周波数の第2駆動信号で駆動可能な第1超音波モータと、前記第1駆動信号及び前記第2駆動信号で駆動可能な第2超音波モータとを駆動するために、前記タイミングパルスのクロック周波数を前記第1、第2周波数に分周する分周部と、
前記第1、第2超音波モータ両方の駆動を、前記第1駆動信号、前記第2駆動信号のいずれで行うかを切換制御する制御部とを備える超音波モータの駆動装置。
【請求項2】
前記第1周波数は、前記第1超音波モータの共振周波数と等しく、前記第2周波数は前記第2超音波モータの共振周波数と等しいことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記第1超音波モータの共振周波数に関する情報を検出する第1検出回路と、前記第2超音波モータの共振周波数に関する情報を検出する第2検出回路とを更に備え、
前記制御部は、前記第1、第2検出回路からの共振周波数に関する情報に基づいて、前記第1、第2超音波モータの共振周波数を算出し、前記クロック周波数を前記第1、第2周波数に分周する分周比を制御することを特徴とする請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記分周部は、前記クロック周波数を前記第1周波数に分周する第1分周回路と、前記クロック周波数を前記第2周波数に分周する第2分周回路とを有することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記分周部は、前記クロック周波数を前記第1、第2周波数に分周する分周回路を有し、前記制御部は、前記分周回路における分周比を制御する分周比設定回路を有することを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記分周部から出力されて前記第1、第2超音波モータを駆動するために選択された前記第1駆動信号と前記第2駆動信号のいずれか一方のパルス数をカウントし、前記パルス数に関する情報を前記制御部に送るカウント部を更に備え、
前記制御部は、前記パルス数が一定値になる毎に、前記第1駆動信号と前記第2駆動信号のいずれか他方で前記第1、第2超音波モータを駆動するように切換制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記第1駆動信号が前記一定値のパルス数だけ出力される時間、及び前記第2駆動信号が前記一定値のパルス数だけ出力される時間は、前記第1超音波モータが起動してから定速回転するまでの時間、及び前記第2超音波モータが起動してから定速回転するまでの時間に比べて長いことを特徴とする請求項6に記載の駆動装置。
【請求項8】
タイミングパルスを出力するクロックと、
周波数の異なる複数の駆動信号のいずれでも駆動可能な複数の超音波モータを駆動するために、前記タイミングパルスのクロック周波数を、前記複数の駆動信号それぞれの周波数に分周する分周部と、
前記複数の超音波モータ総ての駆動を、前記複数の駆動信号のいずれで行うかを切換制御する制御部とを備える超音波モータの駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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