説明

車両接近通報装置

【課題】運転者の意思による簡易な操作で、歩行者等に対し報知音を発することができる車両接近通報装置を提供する。
【解決手段】ステアリングホイールのハブ部(エアバッグ・ホーンボタンユニット20)に設置され、該ハブ部のノック操作に伴う振動を検知する圧電フィルムセンサ25と、警笛用のホーン2が発する音量よりも抑制された音量の報知音を車外側に向けて発するスピーカ3と、圧電フィルムセンサ25によりノック操作に伴う振動が検知されたときに報知音を発するようにスピーカ3を駆動制御するECU30とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者等に車両の接近等を知らせるための車両接近通報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車や電気自動車、燃料電池自動車(以下、「ハイブリッド車等」という)では、走行時に静か過ぎることが歩行者や自転車の乗り手(以下、「歩行者等」という)にとって危険であることが問題になっている。これは、特に静音性の高い車両の低速走行状態においてはタイヤ音も静かになって、当該車両が後方から接近していることを歩行者等が気付きにくいことによる。
【0003】
そこで、国土交通省は、ハイブリッド車等を対象に、歩行者等に車両の存在・接近又は後退(以下、「接近等」という)を知らせるための車両接近通報装置の要件を定めて、ハイブリッド車等の静音性に関する有効な対策の普及を図っている(非特許文献1参照)。
【0004】
従来、こうした車両接近通報装置として種々のものが提案されている(例えば特許文献1〜3など)。これらの車両接近通報装置は、基本的に歩行者の有無や車両の運転状態などの情報を検知して、歩行者等に対し自動的に報知音を発するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−163637号公報
【特許文献2】特開平7−209424号公報
【特許文献3】特開平7−322403号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】報道発表資料:「ハイブリッド車等の静音性に関する対策について(報告)」の取りまとめ等について、[online]、平成22年1月29日、国土交通省、[平成22年4月2日検索]、インターネット<URL :http://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha07_hh_000049.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、非特許文献1、特許文献1〜3では、歩行者等に対し自動的に報知音が発せられてしまうため、例えば歩行者等が明らかに当該車両を認知しているにも関わらず報知音が発せられて、歩行者等に不快感を与えることになる。特に、非特許文献1のように車両の低速走行状態で自動的に報知音が発せられると、歩行者等が不在の状況(例えば駐車時など)にも関わらず報知音が徒に発せられることになり、極めて煩わしいものとなる。また、将来的に、こうした車両接近通報装置を備える車両の普及が進んだとき、例えば渋滞が多い道路では、各車両から発せられた報知音が近隣の民家などの騒音として問題になる可能性がある。一方、歩行者等が存在する状況でのみ報知音が発せられるようにする場合、エリアセンサやカメラ等で歩行者等を検知する必要があり、その電気的構成の複雑化を余儀なくされる。
【0008】
なお、非特許文献1では、こうした煩わしさに対処し得る方策として、一時停止スイッチを設けることが併せて定められている。このスイッチは、運転者の操作により車両接近通報装置を一時的に停止させるためのものである。従って、運転者は、このスイッチを操作することで、徒に報知音が発せられることを抑制できる。しかしながら、運転者は、走行運転操作に加えて、車両接近通報装置の作動・停止を切り替える都度に当該スイッチを操作する煩わしさから、車両接近通報装置を停止したままの状態で放置して、該車両接近通報装置を結局使用しなくなってしまう。
【0009】
本発明の目的は、運転者の意思による簡易な操作で、歩行者等に対し報知音を発することができる車両接近通報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ステアリングホイールの中央部に設置され、該中央部のノック操作に伴う振動を検知する振動センサと、警笛用のホーンが発する音量よりも抑制された音量の報知音を車外側に向けて発する発音手段と、前記振動センサにより前記ノック操作に伴う振動が検知されたときに、前記報知音を発するように前記発音手段を駆動制御する制御手段とを備えたことを要旨とする。
【0011】
同構成によれば、運転者がその意思で前記ステアリングホイールの中央部をノック操作すると、前記振動センサにより前記ノック操作に伴う振動が検知される。そして、前記制御手段により前記発音手段が駆動制御されて、本来の警笛である前記ホーンが発する音量よりも抑制された音量の報知音が発せられる。これにより、歩行者等に車両の接近等が知らされる。換言すれば、運転者の意思で前記ステアリングホイールの中央部がノック操作されない限り、前記報知音が自動的に発せられることはない。特に、前記ステアリングホイールは、その操作(回転操作)に伴い変位することになるが、前記振動センサは、前記変位の僅少な前記中央部に集約して配置されるため、運転者は、前記ステアリングホイールの操作位置に関わらず前記中央部をノック操作することで、前記振動センサに前記ノック操作に伴う振動を容易に検知させることができる。従って、前記発音手段にて報知音を発する際の、運転者の操作の煩わしさを軽減することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両接近通報装置において、前記制御手段は、前記振動センサにより複数の叩数からなる前記ノック操作に伴う振動が検知されたときに、前記報知音を発するように前記発音手段を駆動制御することを要旨とする。
【0013】
同構成によれば、前記振動センサにより複数の叩数からなる前記ノック操作に伴う振動が検知されない限り、前記報知音が発せられることがないため、例えば運転者の誤操作や外乱などの影響で前記報知音が発せられることを抑制できる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の車両接近通報装置において、前記制御手段は、前記振動センサにより検知された前記ノック操作に伴う振動の特性に応じて、前記発音手段の駆動制御態様を変更することを要旨とする。
【0015】
同構成によれば、運転者が前記ノック操作の方法(例えば叩数や強さ、リズムなど)を変更すると、これに対応して前記振動センサにより検知される振動の特性(例えば波数や振幅、周波数など)が変化する。そして、前記制御手段による前記発音手段の駆動制御態様(例えば報知音の発音数や音量、音質、リズムなど)が変更される。従って、運転者は、予め定められている所定方法で前記ノック操作することで、当該方法に対応して予め定められている所定の態様で前記発音手段を駆動させることができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両接近通報装置において、前記制御手段により駆動制御され、報知光を車外側に向けて発する発光手段を備え、前記制御手段は、前記振動センサにより検知された前記ノック操作に伴う振動の特性に応じて、前記発光手段の駆動制御態様を変更することを要旨とする。
【0017】
同構成によれば、運転者が前記ノック操作の方法を変更すると、前記制御手段により前記発音手段と共に前記発光手段の駆動制御態様(例えば報知光の発光数や光量、点滅パターンなど)が変更される。従って、運転者は、予め定められている所定方法で前記ノック操作することで、当該方法に対応して予め定められている所定の態様で前記発光手段を駆動させることができる。特に、前記発光手段による報知光によって、例えば耳の不自由な人への報知が可能である。あるいは、前記発光手段による報知光を、対向車両への「お礼」や「お先にどうぞ」の合図(パッシング)として利用できる。
【0018】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両接近通報装置において、前記振動センサは、シート状の圧電センサであることを要旨とする。
同構成によれば、前記振動センサは、レイアウトの自由度が大きいシート状の圧電センサであるため、運転者は、前記ステアリングホイールの中央部を大雑把にノック操作したとしても、前記振動センサに前記ノック操作に伴う振動を検知させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、運転者の意思による簡易な操作で、歩行者等に対し報知音を発することができる車両接近通報装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態が適用される車両の模式図。
【図2】ステアリングホイールを示す正面図。
【図3】(a)(b)は、エアバッグ・ホーンボタンユニットを示す裏面図及び側面図。
【図4】同実施形態の電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面に従って説明する。
図1に示されるように、自動車などの車両ボデー1のフロントボデー1a内には、車外側前方に向かって音を発する警笛用のホーン2が設置されるとともに、車外側前方に向かって報知音を発する発音手段としてのスピーカ3が設置されている。また、フロントボデー1aには、車外側前方に露出する態様で発光手段としてのランプ4が設置されている。一方、車両ボデー1のリアボデー1b内には、車外側後方に向かって報知音を発する発音手段としてのスピーカ3が設置されるとともに、車外側後方に露出する態様で発光手段としてのランプ4が設置されている。
【0022】
運転席に臨んで車室内に設置された操舵用のステアリングホイール10は、図2の正面図に示したように、中央部としての略逆三角形状のハブ部11と、該ハブ部11から放射状に延出する複数(3本)のスポーク部12と、これらスポーク部12の先端部を連結する円環状のリング部13とを備えて構成される。
【0023】
ハブ部11の運転席側に露出するエアバッグ・ホーンボタンユニット20は、図3(a)(b)に裏面図及び側面図をそれぞれ示したように、その意匠面を形成する樹脂製のカバー21と、該カバー21の中央部に固着された略ブロック状のエアバッグユニット22と、該エアバッグユニット22の両側縁部及び下縁部に沿って略U字状に成形された金属製のホーンスイッチ取付板23とを備えて構成される。そして、ホーンスイッチ取付板23の左右の上端部及び下部中央には、複数のホーンスイッチ24が取着されている。各ホーンスイッチ24は、スプリングの荷重でオン・オフする周知の構造を有しており、カバー21(エアバッグ・ホーンボタンユニット20)の押操作に伴い警笛用のホーン2の発音をオンする検知信号を出力する。
【0024】
また、エアバッグユニット22の外側となるカバー21の周縁部には、図3(a)に示したように、振動センサとしての複数(4つ)のシート状の圧電フィルムセンサ25が貼着されている。各圧電フィルムセンサ25は、加えられた圧力を電圧に変換する圧電素子(例えばピエゾ素子)で構成されており、カバー21(エアバッグ・ホーンボタンユニット20)の振動を表す検知信号を出力する。従って、例えば運転者によってカバー21の周縁部がノック操作(コツコツと叩く操作)されると、これに伴う振動が圧電フィルムセンサ25によって検知される。
【0025】
次に、本実施形態の電気的構成について図4のブロック図に基づき説明する。同図に示すように、車両ボデー1に設置される制御手段としてのECU(Electronic Control Unit )30は、例えばマイクロ・コントローラ(MCU)を主体に構成されており、前記ホーン2、スピーカ3及びランプ4とそれぞれ電気的に接続されている。また、ECU30は、ホーンスイッチ24及び圧電フィルムセンサ25とそれぞれ電気的に接続されている。そして、ECU30は、ホーンスイッチ24からオン状態の検知信号が出力されると、警笛音を発するようにホーン2を駆動制御する。あるいは、ECU30は、圧電フィルムセンサ25からノック操作に相当する振動の検知信号が出力されると、報知音を発するようにスピーカ3を駆動制御するとともに、報知光を発するようにランプ4を駆動制御する。本実施形態において、ECU30は、圧電フィルムセンサ25からの検知信号が、複数(例えば2回)の叩数からなるノック操作に伴う振動を表しているときに、報知すべくスピーカ3等を駆動制御する。報知に係るスピーカ3及びランプ4は、そのときの車両進行方向(前方又は後方)に一致する側(フロントボデー1a側又はリアボデー1b側)に配置されたもののみを利用するようにしてもよいし、両方を利用してもよい。なお、スピーカ3から発せられる報知音の音量は、歩行者等に不快感を与えないように、ホーン2から発せられる警笛音の音量よりも抑制されている。例えば報知音の音量は、内燃機関のみを原動機とする車両が時速20kmで走行する際の走行音の音量と同等又はそれ以下であることが好ましい。
【0026】
また、ECU30は、シフトレバーがリバース状態にあることがシフトポジションスイッチ(図示略)で検出されると自動的に、報知音を発するように後方のスピーカ3を駆動制御するとともに、報知光を発するように後方のランプ4を駆動制御する。これにより、車両後方の人への報知ができる。
【0027】
このような構成にあって、運転者によりカバー21(エアバッグ・ホーンボタンユニット20)が押操作されると、これに伴いホーンスイッチ24からオン状態の検知信号が出力されて、ホーン2から警笛音が発せられる。あるいは、運転者によりカバー21(エアバッグ・ホーンボタンユニット20)の周縁部がノック操作されると、これに伴う振動を表す検知信号が圧電フィルムセンサ25から出力されて、スピーカ3から報知音が発せられるとともに、ランプ4から報知光が発せられる。これにより、歩行者等は、これら報知音及び報知光によって車両の接近等を知ることができる。
【0028】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、運転者がその意思でステアリングホイール10のハブ部11をノック操作すると、圧電フィルムセンサ25によりノック操作に伴う振動が検知される。そして、ECU30によりスピーカ3が駆動制御されて、本来の警笛であるホーン2が発する音量よりも抑制された音量の報知音が発せられる。これにより、歩行者等に車両の接近等が知らされる。換言すれば、運転者の意思でステアリングホイール10のハブ部11がノック操作されない限り、報知音が自動的に発せられることはない。この場合、圧電フィルムセンサ25は、レイアウトの自由度が大きいシート状であるため、運転者は、ステアリングホイール10の中央部を大雑把にノック操作したとしても、圧電フィルムセンサ25にノック操作に伴う振動を検知させることができる。また、運転者は、ホーンスイッチ24のようなオン・オフ式のスイッチの操作(押操作)よりも簡易な操作であるノック操作をすることで、圧電フィルムセンサ25にこれに伴う振動を検知させることができる。特に、ステアリングホイール10は、その操作(回転操作)に伴い変位することになるが、圧電フィルムセンサ25は、当該変位の僅少なハブ部11に集約して配置されるため、運転者は、ステアリングホイール10の操作位置に関わらずハブ部11をノック操作することで、圧電フィルムセンサ25にノック操作に伴う振動を容易に検知させることができる。従って、スピーカ3にて報知音を発する際の、運転者の操作の煩わしさを軽減することができる。
【0029】
(2)本実施形態では、圧電フィルムセンサ25により複数の叩数からなるノック操作に伴う振動が検知されない限り、報知音等が発せられることがないため、例えば運転者の誤操作や外乱などの影響で報知音等が発せられることを抑制できる。
【0030】
(3)本実施形態では、圧電フィルムセンサ25がステアリングホイール10のハブ部11(カバー21)に周設されていることで、運転者は、ハブ部11の周縁部の任意の位置をノック操作することで、圧電フィルムセンサ25にノック操作に伴う振動を容易に検知させることができる。また、ハブ部11の中心部は、圧電フィルムセンサ25による占有が軽減されることで、その配置自由度を向上することができる。そして、圧電フィルムセンサ25と干渉することなく、エアバッグユニット22を配置することができる。
【0031】
(4)本実施形態では、運転者によるハブ部11の直接操作(ノック操作)を検知する圧電フィルムセンサ25を採用したことで、例えばタッチパネルに利用される静電式のセンサのように過剰反応で報知音等が誤って発せられることを抑制できる。あるいは、圧電フィルムセンサ25がステアリングホイール10のハブ部11(カバー21)に周設されていることで、タッチパネルに利用される抵抗膜圧式のセンサやオン・オフ式のスイッチとは異なって、ステアリングホイール10の操作(回転操作)に関わらず実質的に操作位置が変位することがなく、操作性を向上することができる。
【0032】
(5)本実施形態では、スピーカ3及びランプ4の協働により、歩行者等に車両の接近等をより確実に報知することができる。特に、ランプ4による報知光によって、例えば耳の不自由な人への報知が可能である。あるいは、ランプ4による報知光を、対向車両への「お礼」や「お先にどうぞ」の合図(パッシング)として利用できる。
【0033】
(6)本実施形態では、運転者の意思により報知音を発して歩行者等に注意換気できるため、例えば渋滞時や駐車時等に無駄に報知音が発せられることがなく、将来的に装置の普及が進んだとしても騒音の心配がない。
【0034】
(7)本実施形態では、歩行者等を検知するための装置が不要であることで、電気的構成を簡易化することができ、ひいてはコストを削減することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
【0035】
・前記実施形態において、スピーカ3から発せられる報知音は、車両周辺の歩行者等に不快感を与えない適宜のメロディや音声(優しい声、女性の声など)であればよい。この場合、ECU30にメロディICや音声合成用のICを設ければよい。
【0036】
・前記実施形態において、圧電フィルムセンサ25により検知されたノック操作に伴う振動の特性に応じて、ECU30によるスピーカ3の駆動制御態様を変更してもよい。この場合、運転者がノック操作の方法(例えば叩数や強さ、リズムなど)を変更すると、これに対応して圧電フィルムセンサ25により検知される振動の特性(例えば波数や振幅、周波数など)が変化する。そして、ECU30によるスピーカ3の駆動制御態様(例えば報知音の発音数や音量、音質、リズムなど)が変更される。従って、運転者は、予め定められている所定方法でノック操作することで、当該方法に対応して予め定められている所定の態様でホーン2を駆動させることができる。そして、歩行者等は、所定の態様で駆動される前記発音手段によって、その意図する内容(例えば「車両の接近有り」、「ありがとう」、「進路を譲る」など)をより明確に認識することができる。
【0037】
同時に、圧電フィルムセンサ25により検知されたノック操作に伴う振動の特性に応じて、ECU30によるランプ4の駆動制御態様を変更してもよい。この場合、運転者がノック操作の方法を変更すると、ECU30によりスピーカ3と共にランプ4の駆動制御態様(例えば報知光の発光数や光量、点滅パターンなど)が変更される。従って、運転者は、予め定められている所定方法で前記ノック操作することで、当該方法に対応して予め定められている所定の態様でランプ4を駆動させることができる。そして、歩行者等は、スピーカ3と共に所定の態様で駆動されるランプ4によって、その意図する内容をより一層明確に認識することができる。特に、ランプ4による報知光によって、例えば耳の不自由な人への報知が可能である。あるいは、ランプ4による報知光を、対向車両への「お礼」や「お先にどうぞ」の合図(パッシング)として利用できる。
【0038】
・前記実施形態において、ホーンスイッチ24からオン状態の検知信号が出力されるほどの振動(衝撃)が検知された場合には、警笛音が優先して発せられるようにホーン2のみを駆動制御してもよい。
【0039】
・前記実施形態においては、圧電フィルムセンサ25からノック操作に相当する振動の検知信号が出力されると、ECU30はスピーカ3及びランプ4を同時に報知駆動した。これに対し、ノック操作の方法等が変更されると、ECU30はスピーカ3及びランプ4のいずれか一方のみを報知駆動するように選択可能にしてもよい。特に、ランプ4のみを報知駆動(発光駆動)する場合、発音することなく対向車両への「お礼」や「お先にどうぞ」の合図(パッシング)を行うことができる。
【0040】
・前記実施形態において、ノック操作の方法等が変更されると、ECU30は 前方及び後方のいずれか一方のみに配置されたスピーカ3及びランプ4を報知駆動するようにしてもよい。これにより、車両前方及び後方の人への報知を選択的にできる。
【0041】
・前記実施形態において、圧電フィルムセンサ25の個数は、1つであってもよいし、4つ以外の複数個であってもよい。また、圧電フィルムセンサ25の設置位置は、カバー21(ハブ部11)の周縁部の任意位置であってもよい。
【0042】
・前記実施形態において、圧電フィルムセンサ25は、エアバッグユニット22の作動に影響を及ぼさなければ、カバー21(ハブ部11)の全面に亘って貼着されていてもよい。
【0043】
・前記実施形態において、圧電フィルムセンサ25として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の有機圧電フィルムセンサを採用してもよい。
・前記実施形態において、スピーカ3を割愛して、ホーン2を発音手段として兼用してもよい。この場合、圧電フィルムセンサ25によりノック操作に伴う振動が検知された際、ホーン2から本来の警笛よりも音量の抑制された報知音を発するように該ホーン2の適宜の音量調整機能を設ければよい。
【0044】
・前記実施形態において、車両の高速運転時(例えば車速が時速20km以上のとき)には、運転者のノック操作に関わらず報知音を発生しないようにしてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について以下に追記する。
【0045】
・請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両接近通報装置において、
前記振動センサは、前記ステアリングホイールの前記中央部に周設されていることを特徴とする車両接近通報装置。同構成によれば、前記振動センサが前記ステアリングホイールの前記中央部に周設されていることで、運転者は、前記中央部の周縁部の任意の位置をノック操作することで、前記振動センサに前記ノック操作に伴う振動を容易に検知させることができる。また、前記中央部の中心部は、前記振動センサによる占有が軽減されることで、その配置自由度を向上することができる。
【符号の説明】
【0046】
2…ホーン、3…スピーカ(発音手段)、4…ランプ(発光手段)、10…ステアリングホイール、11…ハブ部(中央部)、24…ホーンスイッチ、25…圧電フィルムセンサ(振動センサ)、30…ECU(制御手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの中央部に設置され、該中央部のノック操作に伴う振動を検知する振動センサと、
警笛用のホーンが発する音量よりも抑制された音量の報知音を車外側に向けて発する発音手段と、
前記振動センサにより前記ノック操作に伴う振動が検知されたときに、前記報知音を発するように前記発音手段を駆動制御する制御手段とを備えたことを特徴とする車両接近通報装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両接近通報装置において、
前記制御手段は、前記振動センサにより複数の叩数からなる前記ノック操作に伴う振動が検知されたときに、前記報知音を発するように前記発音手段を駆動制御することを特徴とする車両接近通報装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の車両接近通報装置において、
前記制御手段は、前記振動センサにより検知された前記ノック操作に伴う振動の特性に応じて、前記発音手段の駆動制御態様を変更することを特徴とする車両接近通報装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両接近通報装置において、
前記制御手段により駆動制御され、報知光を車外側に向けて発する発光手段を備え、
前記制御手段は、前記振動センサにより検知された前記ノック操作に伴う振動の特性に応じて、前記発光手段の駆動制御態様を変更することを特徴とする車両接近通報装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両接近通報装置において、
前記振動センサは、シート状の圧電センサであることを特徴とする車両接近通報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−1110(P2012−1110A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−138294(P2010−138294)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)