説明

車両用ガラスアンテナ及び車両用窓ガラス

【課題】本発明は、DABなどのデュアルバンドに対応可能な受信特性を備えた、車両用ガラスアンテナ及び該車両用ガラスアンテナを備えた車両用窓ガラスの提供を目的とする。
【解決手段】ループが形成されたループエレメント5と、ループエレメント5上の接続点5aを起点に延伸するアンテナエレメント1と、アンテナエレメント1の延伸の終端部1gを起点にアンテナエレメント1の延伸方向に対して直角な方向に延伸するアンテナエレメント2とから構成されるL字エレメントと、ループエレメント5上の接続点5bを起点に、L字エレメントから離れる方向に延伸して給電部18に接続される接続エレメント6とを備えることを特徴とする、車両用ガラスアンテナ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナ導体及び給電部が車両用窓ガラスに設けられた車両用ガラスアンテナに関する。また、その車両用ガラスアンテナを備えた車両用窓ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、デジタルオーディオ放送(Digital Audio Broadcasting:DAB)を受信可能な車両用ガラスアンテナが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。DABは、174〜240MHzのband III(バンド3)と1452〜1492MHzのL band(Lバンド)の2つの異なる周波数帯から構成されている。
【特許文献1】特開平10−327009号公報
【特許文献2】特開2000−307321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上述のDABのように周波数帯域がデュアルバンドの場合、帯域が離れているため、両方の帯域に対応可能な十分な受信性能を持つ車両用ガラスアンテナを設計・製造することは難しい。
【0004】
そこで、本発明は、DABなどのデュアルバンドに対応可能な受信特性を備えた、車両用ガラスアンテナ及び該車両用ガラスアンテナを備えた車両用窓ガラスの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明に係る車両用ガラスアンテナは、
アンテナ導体及び給電部が車両用窓ガラスに設けられた車両用ガラスアンテナであって、
前記アンテナ導体は、
ループ状に形成されたループエレメントと、
前記ループエレメント上の第1の点を起点に第1の方向に延伸する第1のアンテナエレメントと、前記第1のアンテナエレメントの延伸の終端部を起点に前記第1の方向に対して略直角な方向である第2の方向に延伸する第2のアンテナエレメントとからL字状に構成されるL字エレメントと、
前記給電部と前記ループエレメント上の第2の点とを接続する接続エレメントと、
を備えることを特徴とする。
【0006】
ここで、前記第2のアンテナエレメントの導体長が、
前記第1のアンテナエレメントの導体長と、前記第2のアンテナエレメントの導体長と、前記接続エレメントの導体長と、前記第1の点と前記第2の点とを両端とする仮想線分の前記第1の方向成分の長さと、前記仮想線分の前記第2の方向成分の長さとを総和した全長に対して、75%以下であると好適である。
【0007】
また、前記車両用窓ガラスには、前記ループエレメントと前記L字エレメントと前記接続エレメントとを備える前記アンテナ導体と異なる第2のアンテナ導体と、複数のヒータ線と該ヒータ線に給電するバスバとを有する通電加熱式のデフォッガとが設けられており、前記第2のアンテナエレメントが、前記第2のアンテナ導体と前記デフォッガとの間の空白領域に延伸していると好適である。
【0008】
また、前記第2の方向が、前記車両用窓ガラスが車両に取り付けられる状態において、水平又は略水平な方向であると好適であり、前記接続エレメントは、前記第1の方向と反対方向に前記第2の点を起点に延伸しているとさらに好適である。
【0009】
さらに、本発明は、本発明に係る車両用ガラスアンテナを備えた車両用窓ガラスを提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、DABなどのデュアルバンドに対応可能な受信特性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。なお、形態を説明するための図面において、方向について特に記載しない場合には図面上での方向をいうものとする。また、それらの図面は、窓ガラスが車両に取り付けられた状態での車内視(又は、車外視)の図であり、図面上での左右方向が水平方向に相当する。また、例えば、窓ガラスが車両の後部に取り付けられるリアガラスである場合、図面上での左右方向が車幅方向に相当する。なお、本発明は、リアガラスに限定されず、車両の前部に取り付けられるフロントガラス、車両の側部に取り付けられるサイドガラスであってもよい。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態である車両用ガラスアンテナ100の平面図である。車両用ガラスアンテナ100は、アンテナ導体及び給電部を車両用窓ガラス12に設けた車両用ガラスアンテナである。車両用ガラスアンテナ100は、ループ状に形成されたループエレメント5と、ループエレメント5上の点である第1の点5aを起点に水平方向に略直角である第1の方向に延伸する第1のアンテナエレメントであるアンテナエレメント1と、アンテナエレメント1の第1の方向への延伸の終点である第1の終端部1gを起点に第1の方向に対して略直角な方向である第2の方向に延伸する第2のアンテナエレメントであるアンテナエレメント2とからL字状に構成されるL字エレメントと、ループエレメント5上の点である第2の点5bを起点に、そのL字エレメントから離れる方向である第3の方向(図1では、第1の方向と180°反対方向)に延伸して給電部18に接続点6aで接続される接続エレメント6とを、アンテナ導体として備えた構造である。なお、L字状とは、L字の左右対称となった形状も含み、角は曲率を有して折れ曲がっていてもよい。また終端部とは、アンテナエレメントの延伸する終端であってもよいし、その終端手前の導体部分である終端近傍であってもよい。
【0013】
車両用ガラスアンテナ100は、単極(モノポール)アンテナであって、アンテナ導体により得られる受信信号が正極側(ホット側)の給電部18から取り出し可能になっており、その受信信号が受信機(不図示)に伝達される。単極アンテナの場合、窓ガラス12が取り付けられる車両の車体開口部やその近傍部がグランドとして使用可能な部位であるとよい(いわゆるボディーアースがとれる)。車両用ガラスアンテナ400は、車体開口部の上縁部又は下縁部の近傍に給電部18が配置される場合に好適な形態である。図1の場合、車体開口部の上縁部15aの近傍に配置されている。
【0014】
給電部18は、受信機に接続される給電線が電気的に接続される給電点である。給電線としてAV線を用いる場合は、給電部18と車両側に設置された増幅器とを接続し、増幅器のグランドにボディーアースをとる。このとき、AV線と給電部18とを電気的に接続するためのコネクタを給電部18に実装する構成にすることによって、AV線を給電部18に取り付けしやすくなる。
【0015】
同軸ケーブルを用いる場合には、給電部18には同軸ケーブルの内部導体が電気的に接続され、車体や窓ガラス12に設けられたアース部には同軸ケーブルの外部導体が電気的に接続される。同軸ケーブルと給電部18とを電気的に接続するためのコネクタを給電部18に実装する構成にすることによって、同軸ケーブルを給電部18に取り付けしやすくなる。
【0016】
給電部18に実装されるコネクタに給電部18から取り出せる受信信号を増幅するための増幅回路が内蔵されている場合には、その増幅回路のグランドを同軸ケーブルの外部導体等のグランド部位に電気的に接続し、その増幅回路の入力側に給電部18が電気的に接続され、その増幅回路の出力側に同軸ケーブルの内部導体が接続されるとよい。
【0017】
給電部18の形状は、給電部18に直接取り付けられる給電線の先端形状又は給電部18と給電線とを接続するための接続部材の形状(例えば、コネクタの実装面や接触端子の形状)に応じて決めるとよい。例えば、正方形、略正方形、長方形、略長方形などの方形状や多角形状が実装上好ましい。なお、円、略円、楕円、略楕円などの円状でもよい。
【0018】
図1は、方形状の給電部18を示している。給電部18の下辺上に接続エレメント6との接続点6aが位置する。図1の接続点6aは、給電部18の下辺の中心点であるが、下辺上の任意の位置でもよく、給電部18の右辺又は左辺と下辺の交点としてもよい。接続エレメント6は、給電部18とループエレメント5とが離間されている方向に延設され、給電部18とループエレメント5とを接続する。
【0019】
ループエレメント5は、ループ状に形成されたアンテナ導体である。ループ状とは、同一の線幅で形成されたループ形状だけでなく、一部線幅が太くなっていてもよく、ループ状に形成されていればよい。ループエレメントの形状は、円、略円、楕円、略楕円などの円状でもよいし、正方形、略正方形、長方形、略長方形、平行四辺形、略平行四辺形、ひし形、略ひし形などの方形状や多角形状でもよい。図1のループエレメント5の形状は、正方形である。ループエレメント5の導体部上に、アンテナエレメント1との接続点5aと接続エレメント6との接続点5bとが位置する。ループエレメント5の重心を通る水平方向の仮想直線に対して、接続点5aは一方の側(下側)に位置し、接続点5bは他方の側(上側)に位置する。図1の接続点5aと5bは、第1の方向に平行な直線上に位置している。また、図1の接続点5bは、ループエレメント5の上辺の中心点であるが、上辺上の任意の位置でもよく、ループエレメント5の左辺又は右辺と上辺との交点としてもよい(本発明の実施形態である車両用ガラスアンテナ200,300の平面図である図2,3参照)。
【0020】
また、接続エレメント6との接続点5bは、ループエレメント5の右辺又は左辺上の任意の位置でもよい。図11は、本発明の一実施形態である車両用ガラスアンテナ400の平面図である。車両用ガラスアンテナ400は、車体開口部の左縁部又は右縁部の近傍に給電部18が配置される場合に好適な形態である。図11の場合、車体開口部の右縁部15bの近傍に配置されている。
【0021】
アンテナエレメント1は、接続点5aを起点に下方向(第1の方向)に終端部1gを終点として延伸されればよい。図1の接続点5aは、ループエレメント5の下辺の中心点であるが、下辺上の任意の位置でもよく、ループエレメント5の左辺又は右辺と下辺との交点としてもよい(図2,3参照)。
【0022】
アンテナエレメント2は、終端部1gを起点に左方向(第2の方向)に終端部2gを終点として延伸されればよい。右方向(すなわち、第2の方向と180°反対方向)に延伸されてもよい。アンテナエレメント2の延伸方向(第2の方向)は、窓ガラス12が車体開口部に取り付けられている状態において、水平方向に平行又は略平行であることが、平行でない場合に比べアンテナ利得向上の点で好適である。
【0023】
アンテナエレメント2の導体長x2が、アンテナエレメント1の導体長x1と、アンテナエレメント2の導体長x2と、接続エレメント6の導体長x6と、接続点5aと接続点5bとを両端とする仮想的な線分の第1の方向成分の長さ(図1の場合、Ly)と、その仮想線分の第2の方向成分の長さ(図1の場合、零)とを総和した全長に対して、75%以下(特には50%以下)であることが、アンテナ利得の向上の点で好ましい。
【0024】
本発明において、所望の第1の放送周波数帯の中心周波数における空気中の波長をλ01といい、前記第1の放送周波数帯より帯域が高い所望の第2の放送周波数帯の中心周波数における空気中の波長をλ02といい、ガラス波長短縮率をk(ただしk=0.64)といい、λg1=λ01・kとし、λg2=λ02・kとするとき、全長(x1+x2+x6+Ly)は、0.25・λg1〜0.41・λg1、特には0.27・λg1〜0.39・λg1であることが、アンテナ利得の向上の点で好ましく、ループエレメント5のループの周長(Lx×2+Ly×2)は、0.92・λg2〜1.23・λg2、特には0.98・λg2〜1.17・λg2であることが、アンテナ利得の向上の点で好ましい。
【0025】
すなわち、全長(x1+x2+x6+Ly)は、バンド3で共振する長さに基づいて設定され、ループの周長(Lx×2+Ly×2)は、Lバンドで共振する長さに基づいて設定される。
【0026】
例えば、第1の放送周波数帯としてバンド3(174〜240MHz)を設定した場合、その中心周波数は207MHzであり、207MHzにおけるλg1は927.5mmであり、また、第2の放送周波数帯としてLバンド(1452〜1492MHz)を設定した場合、その中心周波数は1472MHzであり、1472MHzにおけるλg2は130.4mmである。
【0027】
したがって、具体的には、全長(x1+x2+x6+Ly)は230〜380mm(特には250〜360mm)であることが、バンド3でのアンテナ利得の向上の点で好ましく、ループエレメント5のループの周長(Lx×2+Ly×2)は120〜160mm(特には128〜152mm)であることが、Lバンドでのアンテナ利得の向上の点で好ましい。ループエレメント5の形状が四角形の場合、一辺がそれぞれ30〜40mm(特には32〜38mm)に相当する。
【0028】
また、ループエレメント5のループ形状の水平方向における最大横幅Lxと水平方向に直交する垂直方向おける最大縦幅Lyとの関係は、Lx/Ly=0.17〜6.00(特には0.27〜3.67)であることが、Lバンドでのアンテナ利得の向上の点で好ましい。具体的には、Lx:10mm/Ly:60mm〜Lx:60mm/Ly:10mm(特には、Lx:15mm/Ly:55mm〜Lx:55mm/Ly:15mm)であることが、Lバンドでのアンテナ利得の向上の点で好ましい。
【0029】
例えば、ループエレメント5の形状が長方形である場合、最大縦幅Lyと最大横幅Lxは長方形の短辺と長辺の長さに相当する。図1の場合、ループエレメント5の形状は正方形あるので、Lx/Ly=1である。
【0030】
また、本発明において、所望の第1の放送周波数帯とこの第1の放送周波数帯より帯域が高い所望の第2の放送周波数帯とがあり、第1の放送周波数帯の中心周波数における空気中の波長をλ01といい、ガラス波長短縮率をk(ただしk=0.64)といい、λg1=λ01・kとするとき、接続エレメント6の導体長x6が、0.16・λg1以下、特には0.083・λg1以下であることが、バンド3のアンテナ利得の向上の点で好ましい。具体的には、導体長x6が、141mm以下、特には77mm以下であることが、バンド3のアンテナ利得の向上の点で好ましい。
【0031】
さらに接続エレメント6の導体長x6が、0.011・λg1以下、特には0.005・λg1以下であることが、バンド3の200MHz付近のアンテナ利得を改善できる点で好ましい。具体的には、導体長x6が、10mm以下、特には5mm以下であることが、アンテナ利得の向上の点で好ましい。
【0032】
図4は、本発明に係るガラスアンテナが窓ガラス12に配置される例を示している。4つのガラスアンテナがそれぞれ窓ガラス12の左上側領域、右上側領域、左下側領域及び右下側領域に配設されている。15aは車体上側の車体開口縁、15bは車体右側の車体開口縁、15cは車体下側の車体開口縁、15dは車体左側の車体開口縁である。図4において、窓ガラス12がリアガラスの場合は、中央領域にデフォッガ(不図示)が形成されている。しかし、これに限定されず、4つの領域の少なくとも1つに設けられていればよい。また、左側、右側ではなく中央上側領域、中央下側領域、中央左側領域、中央右側領域に設けられていてもよい。
【0033】
また、本発明においては、右上側領域のガラスアンテナが図4のような状態で配設される場合、右上側領域のガラスアンテナの形状と左右対称となった形状で図4の左上側領域に図示された状態でガラスアンテナが配設されてもよい。下側領域についても同様である。
【0034】
上記のように複数個のガラスアンテナを設置した場合、ダイバーシティ受信となり受信特性が向上し好ましい。
【0035】
上述したガラスアンテナには、補助アンテナ導体は付設されていない。しかし、これに限定されず、インピーダンスマッチング、位相調整及び指向性調整等のために、アンテナエレメントに接続導体を介して又は介さずに、略T字状、略L字状、ループ状等の補助アンテナエレメントが付設されていてもよい。
【0036】
また、アンテナ導体からなる導体層を合成樹脂製フィルムの内部又はその表面に設け、導体層付き合成樹脂製フィルムを窓ガラス板の車内側表面又は車外側表面に形成してガラスアンテナとしてもよい。さらに、アンテナ導体が形成されたフレキシブル回路基板を窓ガラス板の車内側表面又は車外側表面に形成してガラスアンテナとしてもよい。
【0037】
車両に対する窓ガラス板の取り付け角度は、水平方向に対し、15〜90°、特には、30〜90°が好ましい。
【0038】
アンテナ導体は、銀ペースト等の、導電性金属を含有するペーストを窓ガラス板の車内側表面にプリントし、焼付けて形成される。しかし、この形成方法に限定されず、銅等の導電性物質からなる、線条体又は箔状体を、窓ガラス板の車両側表面又は車外側表面に形成してもよく、窓ガラスに接着剤等により形成してもよく、窓ガラス自身の内部に設けてもよい。給電部18についても同様である。
【0039】
また、窓ガラスの面上に隠蔽膜を形成し、この隠蔽膜の上にアンテナ導体の一部分又は全体を設けてもよい。隠蔽膜は黒色セラミックス膜等のセラミックスが挙げられる。この場合、窓ガラスの車外側から見ると、隠蔽膜により隠蔽膜上に設けられているアンテナ導体の部分が車外から見えなくなり、デザインの優れた窓ガラスとなる。図示の構成では、給電部とアンテナ導体の少なくとも一部を隠蔽膜上に形成させることで、車外視において導体の細い直線部分のみを見ることになり、デザイン上好ましい。
【0040】
図5(車内視又は車外視)は、リアガラス12に本発明に係るガラスアンテナが設けられている実施形態であって、リアガラス12の右上側領域を示している。リアガラス12に複数本のヒータ線と、該複数本のヒータ線に給電する複数本(図5では1本のみ記載)のバスバとが設けられ、該複数本のヒータ線と該複数本のバスバとでデフォガ30が構成されている。図5において、30aは最高位のヒータ線、30bはバスバである。また、40は、デフォッガ30の上側余白領域に配置されたデジタルテレビ放送受信用のガラスアンテナの一例である。また、20は、デフォッガ30の上側余白領域に配置されたAM放送受信用のガラスアンテナの一例である。20aはAMガラスアンテナ20の最低位のアンテナエレメントである。アンテナエレメント20aとヒータ線30aとの間の空白領域にアンテナエレメント2が延伸するように本発明に係るガラスアンテナが配置されると、アンテナ利得向上の点で好適である。
【0041】
すなわち、本発明において、車両用窓ガラス12には、ループエレメント5とアンテナエレメント1,2と接続エレメント6とを備えるアンテナ導体に直流的に接続されていない独立導体(図5の場合、AMガラスアンテナ20)とが、アンテナエレメント2より車両用窓ガラスの周縁部側の空白領域に設けられていると、L bandのアンテナ利得向上の点で好適である。また、複数のヒータ線と該ヒータ線に給電するバスバとを有する通電加熱式のデフォッガ(図5の場合、デフォッガ30)が設けられ、アンテナエレメント2が独立導体とデフォッガとの間の空白領域に延伸していると、さらに好適である。
【0042】
この場合、所望の第1の放送周波数帯と第1の放送周波数帯より帯域が高い所望の第2の放送周波数帯とがあり、第2の放送周波数帯の中心周波数における空気中の波長をλ02といい、ガラス波長短縮率をk(ただしk=0.64)といい、λg2=λ02・kとするとき、アンテナ導体と独立導体との同一水平面での間隔における第2の方向成分の最小値が、0.008・λg2〜0.39・λg2、特には0.008・λg2〜0.23・λg2であることが、アンテナ利得向上の点で好ましい。具体的には、アンテナ導体と独立導体との同一水平面での間隔における第2の方向成分の最小値が、1mm〜50mm、特には1mm〜30mmであることが、アンテナ利得向上の点で好ましい。
【0043】
独立導体は、第2の方向に並走し且つ給電部18と異なる第2の給電部(図5には不図示だが、例えば、AMガラスアンテナ20の左端部に設けられた給電部)に電気的に接続される複数の線条導体を備える場合、AM放送の周波数帯の受信に利用できる点で好ましい。また、複数の線条導体の隣り合う線条導体同士が、隣り合う線条導体の少なくとも一方のアンテナ導体側の先端部を起点として短絡線により接続される短絡部を少なくとも一つ有してもよい。
【0044】
その場合、所望の第1の放送周波数帯と第1の放送周波数帯より帯域が高い所望の第2の放送周波数帯とがあり、第2の放送周波数帯の中心周波数における空気中の波長をλ02といい、ガラス波長短縮率をk(ただしk=0.64)といい、λg2=λ02・kとするとき、独立導体は、複数の線条導体のアンテナ導体側の先端部のうち車両用窓ガラスの周縁部に最近接の先端部と接続する短絡線の第1の方向成分の長さは、0〜0.19・λg2であることが、band IIIのアンテナ利得向上の点で好ましい。特には、0〜0.15・λg2であることが好ましい。具体的には、独立導体は、複数の線条導体のアンテナ導体側の先端部のうち車両用窓ガラスの周縁部に最近接の先端部と接続する短絡線の第1の方向成分の長さは、0〜25mm、特には、0〜20mmであることが、band IIIのアンテナ利得向上の点で好ましい。
【0045】
さらに、本発明において、複数の線条導体の隣り合う線条導体のアンテナ導体側の少なくとも一方の先端部と対になる線条導体との間を短絡線によって接続しない開放端を少なくとも一つ有し、複数の線条導体のアンテナ導体側の先端部のうち最高位と最低位との間の第1の方向成分の距離に対して、開放端の第1の方向成分の距離の総和が30%以上であることが、band IIIのアンテナ利得向上の点で好ましい。特には、60%以上が好ましい。
【0046】
また、本発明において、独立導体は、第2の方向に並走する複数の線条導体を備え、複数の線条導体の隣り合う線条導体のアンテナ導体側の先端部同士が直流的に接続されていない、つまりすべてオープン(開放端)になっていることが、アンテナ利得向上の点で好ましい。
【実施例】
【0047】
[例1]
図1に示すガラスアンテナ100の形態を実際の車両のリアガラスの車内視右上側に取り付けることにより作製された自動車用高周波ガラスアンテナについて、ループエレメント5のループの周長を変化させて、ガラスアンテナ100の車両全周のアンテナ利得を測定し、平均アンテナ利得を算出した。
【0048】
このときの図1に示すガラスアンテナ100の各部の寸法は、
x1 :78mm
x2 :164mm
x6 :2mm
とする。なお、ガラスアンテナ100の各アンテナエレメントの導体幅は0.8mmである。
【0049】
アンテナ利得の測定は、窓ガラスを水平方向に対して15°傾斜させて取り付けられた自動車に対して電波を放射し、角度2°毎に自動車を360°回転させて測定した。電波は垂直偏波であり、周波数をバンド3とLバンドのそれぞれの範囲で10MHz毎に変化させた。電波の発信位置とアンテナ導体との仰角は水平方向(地面と平行な面を仰角=0°、天頂方向を仰角=90°とする場合、仰角=0°の方向)で測定した。アンテナ利得は、半波長ダイポールアンテナ(band III及びL bandの両方)を基準とし、半波長ダイポールアンテナが0dBとなるように標準化した。
【0050】
図6は、ループエレメント5のループの周長を変化させたときの、上述の方向によって取得したアンテナ利得の平均値を示す実測データである。なお、図6において、縦軸のアンテナ利得は、バンド3に対応する周波数として170〜240MHzにおける10MHz毎のアンテナ利得の平均値、及びLバンドに対応する周波数として1450〜1490MHzにおける10MHz毎のアンテナ利得の平均値を示している。
【0051】
図6に示されるように、ループの周長を大きくするに従ってアンテナ利得が増加し、ループの周長が140mmのときに最大となる。したがって、ループの周長を120mm〜160mm(特には、128〜152mm)にすることによって、優れたアンテナ利得が得られることがわかる。
[例2]
続いて、図1に示すガラスアンテナ100の形態を実際の車両のリアガラスの車内視右上側に取り付けることにより作製された自動車用高周波ガラスアンテナについて、全長(x1+x2+x6+Ly)を変えずにループエレメント5の上下方向の位置を変化させて、ガラスアンテナ100の車両全周のアンテナ利得を測定し、平均アンテナ利得を算出した。
【0052】
このときの図1に示すガラスアンテナ100の各部の寸法は、
全長(x1+x2+x6+Ly) :279mm
x2 :164mm
Lx :35mm
Ly :35mm
とする。なお、ガラスアンテナ100の各アンテナエレメントの導体幅は0.8mmである。アンテナ利得の測定は、例1と同じ方法である。
【0053】
図7は、x6を変化させたときの、上述の方向によって取得したアンテナ利得の平均値を示す実測データである。なお、図7において、縦軸のアンテナ利得は、バンド3に対応する周波数として170〜240MHzにおける10MHz毎のアンテナ利得の平均値、及びLバンドに対応する周波数として1450〜1490MHzにおける10MHz毎のアンテナ利得の平均値を示している。
【0054】
図7に示されるように、x6を小さくするに従ってアンテナ利得が増加し、x6が140mm付近より小さくなるとアンテナ利得が高い値となるのがわかる。すなわち、接続エレメント6を短くすることによって(ループエレメント5を給電部18に近づけることによって)、特にバンド3において優れたアンテナ利得が得られることがわかる。
【0055】
図8は、x6が2.0mmと10.8mmの場合のガラスアンテナ100のアンテナ利得の周波数特性である。なお、図8において、縦軸のアンテナ利得は、バンド3に対応する周波数として170〜240MHzにおける10MHz毎のアンテナ利得の平均値、及びLバンドに対応する周波数として1450〜1490MHzにおける10MHz毎のアンテナ利得の平均値を示している。
【0056】
図7の結果で2.0mmと10.8mmは平均値としては高いアンテナ利得を示していたが、図8に示されるように、x6が2.0mmの場合のアンテナ利得が10.8mmの場合に比べ、特定の周波数(200MHz付近)でアンテナ利得が改善している。したがって、接続エレメント6を10mm以下にすることによって、バンド3の周波数帯全域において優れたアンテナ利得が得られることがわかる。なお、Lバンドでのアンテナ特性にほぼ変化はなかったため、グラフは省略する。
[例3]
続いて、ループエレメント5の配置形態が互いに異なる図1,2,3に示すガラスアンテナ100,200,300の形態を実際の車両のリアガラスの車内視右上側に取り付けることにより作製された自動車用高周波ガラスアンテナについて、それぞれの車両全周のアンテナ利得を測定し、平均アンテナ利得を算出した。
【0057】
このときのガラスアンテナ100,200,300の各部の寸法は、
x1 :78mm
x2 :164mm
x6 :2mm
Lx :35mm
Ly :35mm
とする。なお、ガラスアンテナ100の各アンテナエレメントの導体幅は0.8mmである。アンテナ利得の測定は、例1と同じ方法である。
【0058】
図10は、ループエレメント5の配置を変化させたときの、アンテナ利得の周波数特性(バンド3)であり、図11は、ループエレメント5の配置を変化させたときの、アンテナ利得の周波数特性(Lバンド)である。図10,11に示されるように、ループエレメント5の配置向きを変えても、同等のアンテナ特性が得られる。
[例4]
続いて、AMガラスアンテナとデフォッガとの間の空白領域にアンテナエレメント2が延伸しているパターンを実際のリアガラスに取り付けることにより、自動車用高周波ガラスアンテナを作製した。
【0059】
図12は、AMガラスアンテナの基本形状であるAMガラスアンテナ20Aを配置した場合のパターン図である。AMガラスアンテナ20Aの各部の基本寸法は、
w1 :375mm
w2 :335mm
w3〜w7 :20mm
w8 :40mm
w9 :20mm
w10 :10mm
w11 :1070mm
w12 :150mm
とする。w1は、複数の線条導体21〜26を各線条導体の中心付近で短絡する中間短絡線28と複数の線条導体21〜26を各線条導体の左側先端部同士(ガラスアンテナ100と反対側の先端部同士)を短絡する左側短絡線27との車幅方向の距離である。w2は、中間短絡線28と複数の線条導体21〜26を各線条導体の右側先端部同士を短絡する右側短絡線29との車幅方向の距離である。w3〜w7は、各線条導体間の距離である。w8は、AMガラスアンテナ20Aの線条導体のうち最低位の線条導体26とデフォッガ30のバスバ30bと30c間のヒータ線のうち最高位のヒータ線30aとの距離である。w9は、線条導体26とアンテナエレメント2との距離である。w10は、ガラスアンテナ100とAMガラスアンテナ20Aとの車幅方向の最短距離である(図12の場合、右側短絡線29とループエレメント5の左辺部5eとの距離である)。w11は、ヒータ線30aの長さである。w12は、車体開口部の上縁部15aとヒータ線30aとの距離である。なお、AMガラスアンテナ20Aの各アンテナエレメント及び短絡線の導体幅は0.8mmである。
【0060】
また、AMガラスアンテナのその他の形状として、図13に示したAMガラスアンテナ20Bの場合の自動車用高周波ガラスアンテナと図14に示したAMガラスアンテナ20Cの場合の自動車用高周波ガラスアンテナとを作製した。
【0061】
AMガラスアンテナ20Bには、線条導体21〜26の右側先端部同士が接続されていないことにより(すなわち、図12の右側短絡線29を削除することにより)、ガラスアンテナ100に対して車幅方向に開口している開放端41〜45が形成されている。図13のパターンにおいて、寸法や左半分の形態は省略しているが、図12のパターンと同様である。
【0062】
AMガラスアンテナ20Cには、ガラスアンテナ100に対して車幅方向に開口している2つの開放端42,44が形成されている。すなわち、線条導体22と23とを短絡する短絡部分29bと線条導体24と25とを短絡する短絡部分29dとをAMガラスアンテナ20Cの車幅方向の中心部側に右側先端部からスライドした位置に配置させることにより、AMガラスアンテナ20Cの右端部にメアンダ形状を形成している。図14のパターンにおいて、寸法や左半分の形態は省略しているが、図12のパターンと同様である。図14のパターンの場合、右側先端部同士を接続する右側短絡線29a,29c,29eの上下方向の長さの総和は、最高位の線条導体21の右側先端部と最低位の線条導体26の右側先端部との間の上下方向の距離(言い換えれば、図12の右側短絡線29の全長)に対して、60%(=(3/5)×100[%])に相当する。なお、図13のパターンの場合は、0%に相当する。この場合、開放端の長さ総和が、最高位の線条導体21の右側先端部と最低位の線条導体26の右側先端部との間の上下方向の距離に対して、40%に相当する。
【0063】
次に、AMガラスアンテナの形態が互いに異なる図12,13,14のパターンを実際のリアガラスに取り付けることにより作製された自動車用高周波ガラスアンテナについて、それぞれの車両全周のアンテナ利得を測定し、平均アンテナ利得を算出した。アンテナ利得の測定は、例1と同じ方法である。
【0064】
図15は、AMガラスアンテナの形態別の、ガラスアンテナ100のアンテナ利得の平均値を示す実測データである。「Open」は図13のパターンの場合、「Short」は、図12のパターンの場合、「Meander」は図14のパターンの場合、「Without-AM」はAMガラスアンテナ自体が設けられていない場合を示す。図15に示されるように、ガラスアンテナ100に対して無給電導体に相当するAMガラスアンテナを、アンテナエレメント2の上側且つアンテナエレメント1の左側に設けると、バンド3でのアンテナ利得を高く保ったまま、Lバンドでのアンテナ利得が改善している。これらのパターンの中でも、ガラスアンテナ100のアンテナ利得の向上の点で、AMガラスアンテナの右端部の右側短絡線の少なくとも一部が開放端(オープン)になっているものがよく(図14のパターン)、特に右端部がすべてオープンになっているものがよい(図13のパターン)。
[例5]
続いて、例4で好ましい結果が得られた図13と図14のパターンについて、AMガラスアンテナとガラスアンテナ100との最短距離w2を変化させて、ガラスアンテナ100の車両全周のアンテナ利得を測定し、平均アンテナ利得を算出した。このとき、AMガラスアンテナ自体が設けられていない場合「Without-AM」のアンテナ利得を基準として、「Without-AM」のアンテナ利得が0dBとなるように算出した。
【0065】
図16は、最短距離w10を変化させたときの、図13のパターンのガラスアンテナ100のアンテナ利得の平均値を示す実測データである。図17は、最短距離w10を変化させたときの、図14のパターンのガラスアンテナ100のアンテナ利得の平均値を示す実測データである。なお、図16,17において、縦軸のアンテナ利得は、バンド3に対応する周波数として170〜240MHzにおける10MHz毎のアンテナ利得の平均値、及びLバンドに対応する周波数として1450〜1490MHzにおける10MHz毎のアンテナ利得の平均値を示している。
【0066】
図16,17に示されるように、図13のパターンでも図14のパターンでも、最短距離w10を大きくするにしたがってアンテナ利得が増加している。特に、図17に示されるように、図14のパターンの場合、最短距離w10を大きくするにしたがってLバンドでのアンテナ利得が顕著に増加する。したがって、AMガラスアンテナを設けた場合には、AMガラスアンテナとガラスアンテナ100との車幅方向の最短距離を10mm以上(特には、20mm以上)にすることによって、優れたアンテナ利得が得られる。
[例6]
続いて、図12のAMガラスアンテナ20Aの右側短絡線29の長さHbを変化させて、ガラスアンテナ100の車両全周のアンテナ利得を測定し、例5と同様に平均アンテナ利得を算出した。この場合、線条導体21〜26の位置や長さを変化させずに、AMガラスアンテナ20Aの右側端部に設けられた開口部の間口を上側から徐々に広くしていくことによって(右側短絡線29を上側から徐々に切除していくことによって)、右側短絡線29の長さHbを変化させている。
【0067】
図18は、右側短絡線29の長さHbを変化させたときの、ガラスアンテナ100のアンテナ利得の平均値を示す実測データである。なお、図18において、縦軸のアンテナ利得は、バンド3に対応する周波数として170〜240MHzにおける10MHz毎のアンテナ利得の平均値、及びLバンドに対応する周波数として1450〜1490MHzにおける10MHz毎のアンテナ利得の平均値を示している。また、長さHbが100mmのときが、図12のAMガラスアンテナ20Aのパターンの形状を示し、長さHbが0mmのときが、図13のAMガラスアンテナ20Bのパターンの形状を示している。
【0068】
図18に示されるように、右側短絡線29を上側から徐々に切除して長さHbを短くしていくにしたがって、Lバンドでのアンテナ利得を高く保ったまま、バンド3でのアンテナ利得が向上している。したがって、AMガラスアンテナを設けた場合には、線条導体21〜26の先端部同士を接続する短絡線の第1の方向成分の長さの総和Hbが、最高位の線条導体21の右側先端部と最低位の線条導体26の右側先端部との上下方向成分の長さHに対して70%以下にすることによって、優れたアンテナ利得が得られる。言い換えれば、AMガラスアンテナ20Aの右側端部に設けられた開口端の間口が、最高位の線条導体21の右側先端部と最低位の線条導体26の右側先端部との上下方向成分の長さHに対して30%以上(特には、60%以上)にすることによって、優れたアンテナ利得が得られる。
【0069】
図19は、右側短絡線29の長さHbとその配置場所の違いによる、ガラスアンテナ100の車両全周のアンテナ利得の平均値を示す実測データである。アンテナ利得の算出は、例5と同じ方法である。「上端から20mm短絡」は、車体開口部の上縁部15aに近接している線条導体21と線条導体22のみを右側短絡線29で接続させ、線条導体22〜26は開放端とした場合である。「上端から20mm開口」は、車体開口部の上縁部15aに近接している線条導体21と線条導体22のみを開口させて、線条導体22〜26は右側短絡線29によって互いに接続させた場合である。
【0070】
図19に示されるように、車体開口部の上縁部15aに近接している線条導体21が右側短絡線29と接続すると、線条導体22〜26が開放端となっていてもバンド3が悪化することがわかる。一方、線条導体21と線条導体22とが開放端となることにより、線条導体22〜26が右側短絡線29と接続するしていたとしてもバンド3は向上する。つまり、車体開口部の上縁部15aに近接している線条導体21が右側短絡線29と接続する場合は右側短絡線29の長さを短くすることが好ましい。
【0071】
したがって、所望の第1の放送周波数帯と第1の放送周波数帯より帯域が高い所望の第2の放送周波数帯とがあり、第2の放送周波数帯の中心周波数における空気中の波長をλ02といい、ガラス波長短縮率をk(ただしk=0.64)といい、λg2=λ02・kとするとき、車体開口部の上縁部15aに近接している線条導体21と接続する短絡線の第1の方向成分の長さが、図19に基づいて、0〜0.19・λg2、特には0〜0.15・λg2であることが、アンテナ利得向上の点で好ましい。具体的には、短絡線の長さが、0mm〜25mm、特には0mm〜20mmであることが、アンテナ利得向上の点で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の一実施形態である車両用ガラスアンテナ100の平面図である。
【図2】本発明の一実施形態である車両用ガラスアンテナ200の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態である車両用ガラスアンテナ300の平面図である。
【図4】車両用ガラスアンテナの窓ガラスへの第1の配置例である。
【図5】車両用ガラスアンテナの窓ガラスへの第2の配置例である。
【図6】ループエレメント5のループの周長を変化させたときの、アンテナ利得の平均値を示す実測データである。
【図7】x6を変化させたときの、アンテナ利得の平均値を示す実測データである。
【図8】x6が2.0mmと10.8mmの場合のガラスアンテナ100のアンテナ利得の周波数特性である。
【図9】ループエレメント5の配置を変化させたときの、アンテナ利得の周波数特性(バンド3)である。
【図10】ループエレメント5の配置を変化させたときの、アンテナ利得の周波数特性(Lバンド)である。
【図11】本発明の一実施形態である車両用ガラスアンテナ400の平面図である。
【図12】AMガラスアンテナの基本形状であるAMガラスアンテナ20Aを配置した場合のパターン図である。
【図13】AMガラスアンテナ20Bを配置した場合のパターン図である。
【図14】AMガラスアンテナ20Cを配置した場合のパターン図である。
【図15】AMガラスアンテナの形態別の、ガラスアンテナ100のアンテナ利得の平均値を示す実測データである。
【図16】最短距離w10を変化させたときの、図13のパターンのガラスアンテナ100のアンテナ利得の平均値を示す実測データである。
【図17】最短距離w10を変化させたときの、図14のパターンのガラスアンテナ100のアンテナ利得の平均値を示す実測データである。
【図18】右側短絡線29の長さHbを変化させたときの、ガラスアンテナ100のアンテナ利得の平均値を示す実測データである。
【図19】右側短絡線29の長さHbとその配置場所の違いによる、ガラスアンテナ100のアンテナ利得の平均値を示す実測データである。
【符号の説明】
【0073】
1,2 アンテナエレメント
5 ループエレメント
5e 左辺部
6 接続エレメント
12 窓ガラス板
15 窓の車体開口縁
18 給電部
20,20A,20B,20C AMアンテナ
21〜26 線条導体(AMアンテナのアンテナエレメント)
27 左側短絡線
28 中間短絡線
29 右側短絡線
30 デフォッガ
40 デジタルテレビ放送用アンテナ
41〜45 開口部
100,200,300 ガラスアンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンテナ導体及び給電部が車両用窓ガラスに設けられた車両用ガラスアンテナであって、
前記アンテナ導体は、
ループ状に形成されたループエレメントと、
前記ループエレメント上の第1の点を起点に第1の方向に延伸する第1のアンテナエレメントと、前記第1のアンテナエレメントの延伸の終端部を起点に前記第1の方向に対して略直角な方向である第2の方向に延伸する第2のアンテナエレメントとからL字状に構成されるL字エレメントと、
前記給電部と前記ループエレメント上の第2の点とを接続する接続エレメントと、
を備えることを特徴とする車両用ガラスアンテナ。
【請求項2】
所望の第1の放送周波数帯と該第1の放送周波数帯より帯域が高い所望の第2の放送周波数帯とがあり、前記第2の放送周波数帯の中心周波数における空気中の波長をλ02といい、ガラス波長短縮率をk(ただしk=0.64)といい、λg2=λ02・kとするとき、
前記ループエレメントは、ループの導体部分の中心側縁部の周長が、0.92・λg2〜1.23・λg2である、請求項1に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項3】
前記ループエレメントは、ループの導体部分の中心側縁部の周長が、120〜160mmである、請求項1又は2に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項4】
所望の第1の放送周波数帯と該第1の放送周波数帯より帯域が高い所望の第2の放送周波数帯とがあり、前記第1の放送周波数帯の中心周波数における空気中の波長をλ01といい、ガラス波長短縮率をk(ただしk=0.64)といい、λg1=λ01・kとするとき、
前記接続エレメントの導体長が、0.16・λg1以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項5】
前記接続エレメントの導体長が、141mm以下である、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項6】
前記第2のアンテナエレメントの導体長が、
前記第1のアンテナエレメントの導体長と、前記第2のアンテナエレメントの導体長と、前記接続エレメントの導体長と、前記第1の点と前記第2の点とを両端とする仮想線分の前記第1の方向成分の長さと、前記仮想線分の前記第2の方向成分の長さとを総和した全長に対して、75%以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項7】
所望の第1の放送周波数帯と該第1の放送周波数帯より帯域が高い所望の第2の放送周波数帯とがあり、前記第1の放送周波数帯の中心周波数における空気中の波長をλ01といい、ガラス波長短縮率をk(ただしk=0.64)といい、λg1=λ01・kとするとき、
前記第1のアンテナエレメントの導体長と、前記第2のアンテナエレメントの導体長と、前記接続エレメントの導体長と、前記第1の点と前記第2の点とを両端とする仮想線分の前記第1の方向成分の長さと、前記仮想線分の前記第2の方向成分の長さとを総和した全長が、0.25・λg1〜0.41・λg1である、請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項8】
前記第1のアンテナエレメントの導体長と、前記第2のアンテナエレメントの導体長と、前記接続エレメントの導体長と、前記第1の点と前記第2の点とを両端とする仮想線分の前記第1の方向成分の長さと、前記仮想線分の前記第2の方向成分の長さとを総和した全長が、230〜380mmである、請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項9】
前記ループエレメントは、ループの形状が四角形であり、一辺がそれぞれ30〜40mmである、請求項1から8のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項10】
前記車両用窓ガラスには、前記アンテナ導体と直流的に接続されていない独立導体が前記第2のアンテナエレメントより前記車両用窓ガラスの周縁部側の空白領域に設けられている請求項1から9のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項11】
所望の第1の放送周波数帯と該第1の放送周波数帯より帯域が高い所望の第2の放送周波数帯とがあり、前記第2の放送周波数帯の中心周波数における空気中の波長をλ02といい、ガラス波長短縮率をk(ただしk=0.64)といい、λg2=λ02・kとするとき、
前記アンテナ導体と前記独立導体との同一水平面での間隔における前記第2の方向成分の最小値が、0.008・λg2〜0.39・λg2である、請求項10に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項12】
前記アンテナ導体と前記独立導体との同一水平面での間隔における前記第2の方向成分の最小値が、1mm〜50mmである、請求項10又は11に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項13】
前記独立導体は、前記第2の方向に並走する複数の線条導体を備え、
前記複数の線条導体の隣り合う線条導体同士が、該隣り合う線条導体の少なくとも一方の前記アンテナ導体側の先端部を起点として短絡線により接続される短絡部を少なくとも一つ有する請求項10から12のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項14】
所望の第1の放送周波数帯と該第1の放送周波数帯より帯域が高い所望の第2の放送周波数帯とがあり、前記第2の放送周波数帯の中心周波数における空気中の波長をλ02といい、ガラス波長短縮率をk(ただしk=0.64)といい、λg2=λ02・kとするとき、
前記独立導体は、前記第2の方向に並走する複数の線条導体を備え、
前記複数の線条導体の前記アンテナ導体側の先端部のうち前記車両用窓ガラスの周縁部に最近接の先端部と接続する前記短絡線の前記第1の方向成分の長さは、0〜0.19・λg2である、請求項13に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項15】
前記複数の線条導体の前記アンテナ導体側の先端部のうち前記車両用窓ガラスの周縁部に最近接の先端部と接続する前記短絡線の前記第1の方向成分の長さは、0〜25mmである、請求項13に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項16】
前記複数の線条導体の隣り合う線条導体の前記アンテナ導体側の少なくとも一方の先端部と対になる線条導体との間を前記短絡線によって接続しない開放端を少なくとも一つ有し、
前記複数の線条導体の前記アンテナ導体側の先端部のうち最高位と最低位との間の前記第1の方向成分の距離に対して、前記開放端の前記第1の方向成分の距離の総和が30%以上である、請求項14又は15に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項17】
前記独立導体は、前記第2の方向に並走する複数の線条導体を備え、
前記複数の線条導体の隣り合う線条導体の前記アンテナ導体側の先端部同士が直流的に接続されていない、請求項10から12のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項18】
前記第2の方向が、前記車両用窓ガラスが車両に取り付けられる状態において、水平又は略水平な方向である、請求項1から17のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項19】
前記接続エレメントは、前記第1の方向と反対方向に前記第2の点を起点に延伸している、請求項1から18に記載の車両用ガラスアンテナ。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の車両用ガラスアンテナを備えた車両用窓ガラス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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